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平成 25 年度我が国情報経済社会における基盤整備

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平成 25 年度我が国情報経済社会における基盤整備
平成 25 年度我が国情報経済社会における基盤整備
(情報処理実態調査の分析及び調査設計等事業)
調査報告書
平成 26 年 5 月
経済産業省
目次
I. 調査の目的及び調査方法........................................................................................................... 2
1. 調査の目的 ........................................................................................................................... 2
2. 調査対象の範囲 ................................................................................................................... 2
3. 調査対象期日及び調査対象期間 .......................................................................................... 2
4. 調査項目の変更等 ................................................................................................................ 2
II. 概況 .......................................................................................................................................... 3
1. 情報処理関係支出の状況 ..................................................................................................... 3
1.1. 情報処理関係諸経費の状況 ...................................................................................... 3
1.2. 情報処理関係諸経費の変動の背景 ........................................................................... 7
1.3. 情報システムの取り組み状況 .................................................................................. 8
2. 組織と権限 ......................................................................................................................... 13
2.1. 情報処理要員の状況 ............................................................................................... 13
2.2. CIO の設置状況 ...................................................................................................... 14
2.3. 経営における IT の利活用状況 .............................................................................. 17
3. IT 投資効果の状況............................................................................................................. 21
3.1. 効果項目別の効果状況 ........................................................................................... 21
3.2. IT 投資効果への当初の意図別にみた効果状況 ...................................................... 22
3.3. IT 組織と IT 投資効果の関係性 ............................................................................. 23
4. EC(電子商取引)の状況 ................................................................................................. 25
4.1. BtoB、BtoG 及び業務連携の状況 ......................................................................... 25
4.2. EC の取引高の状況 ................................................................................................ 32
5. 情報セキュリティの状況 ................................................................................................... 40
5.1. トラブル発生状況 ................................................................................................... 40
5.2. 情報セキュリティトラブルの被害額の状況 .......................................................... 47
5.3. システムの不具合状況 ........................................................................................... 49
5.4. 情報セキュリティトラブルの情報処理推進機構への届出状況 ............................. 52
5.5. 情報セキュリティへの対策状況 ............................................................................. 53
5.6. 情報セキュリティへの対策費用 ............................................................................. 61
5.7. 情報セキュリティへの対策効果 ............................................................................. 65
5.8. 情報セキュリティ対策の阻害要因 ......................................................................... 67
6. クラウド・コンピューティングの利用状況 ..................................................................... 69
6.1. クラウド・コンピューティングの定義 .................................................................. 69
6.2. 利用状況 ................................................................................................................. 69
6.3. 利用効果 ................................................................................................................. 76
6.4. 導入・利用メリット ............................................................................................... 77
6.5. 導入・利用上の課題 ............................................................................................... 78
6.6. 将来の利用意向 ...................................................................................................... 80
7. スマートフォン及びタブレット端末の業務利用の状況 ................................................... 82
7.1. スマートフォン及びタブレット端末の定義 .......................................................... 82
7.2. 業務における利用状況 ........................................................................................... 82
7.3. 業務における利用目的 ........................................................................................... 86
7.4. 業務利用に係る費用 ............................................................................................... 87
7.5. 業務利用上の課題 ................................................................................................... 87
1
I.調査の目的及び調査方法
1.調査の目的
この調査は、民間企業等(事業者団体等を含む。以下「企業」という。)の情報処理の実態
を把握し、情報政策の基礎資料とすることを目的としている。
なお、本調査は、民間部門の情報処理に関する統計としては、統計報告調整法に基づく唯一
の政府統計である。
2.調査対象の範囲
全国の外国公務、国家公務、地方公務、分類不能の産業を除く全産業の企業で、資本金 3,000
万円以上かつ総従業者 50 人以上の企業の中から、無作為抽出により 9,500 事業者を調査対象と
して、郵送方式で実施した。
3.調査対象期日及び調査対象期間
調査対象期日:平成 25 年 3 月 31 日現在
調査対象期間:平成 24 年 4 月 1 日~同 25 年 3 月 31 日までの 1 年間(平成 24 年度)
4.調査項目の変更等
平成 25 年調査では、IT に関連する環境の変化等に鑑み、調査項目の見直しを行った。
A) 追加した調査項目

CIO の役割・権限(第 2 章

経営における IT の利活用状況(第 2 章
組織と権限)
組織と権限)
B) 削除した調査項目

IT 人材育成(第 2 章

EDI の利用技術(第 4 章 EC(電子商取引)の状況)
組織と権限)
2
II.概況
平成 25 年情報処理実態調査は、調査対象企業 9,500 社について調査票を送付し、平成 24 年
度(2012 年度)の民間企業における情報処理の実態について調査を行った。
本調査への有効回答企業は 5,190 社、回収率 54.6%(平成 23 年調査 52.3%、前年度差+2.3
ポイント)で、このうちの有効回答企業規模の平均は、資本金規模 8,756 百万円、年間事業収
入規模 65,905 百万円、従業者規模 1,062 人であった。
1.情報処理関係支出の状況
平成 24 年度1の情報処理関係諸経費は前年度から減少、情報処理関係諸経費の対年間事業収
入比は横ばい傾向であり、ともに長期的にみれば減少傾向が続いているものとうかがわれる。
他方、情報システム構築(新規構築や再構築)の取り組み状況では、平成 24 年度に取り組
みを実施した企業の割合は、昨年に引き続き増加となった。また、平成 25 年度以降システム構
築に取り組む予定の企業の割合は、平成 24 年度に取り組みを実施した企業の割合よりも高く、
今後システム構築の取り組みがさらに拡大することが予想される。
このように、システム構築への取り組みが拡大傾向にある一方、情報処理関係支出は減少傾
向にあることから、システム構築に係る単価が減少傾向にあることが推察される。
1.1. 情報処理関係諸経費の状況
平成 24 年度の「一社平均情報処理関係諸経費」は 5 億 9,250 万円と前年度比▲4.8%(平成
23 年度 6 億 2,275 万円)であり、長期的に減少傾向が続いている。他方、「情報処理関係諸経
費の対年間事業収入比」は、0.93%と横ばいの傾向(平成 23 年度 0.88%)であるが、こちら
も長期的にみれば減少傾向にあるとうかがわれる(図表 1-1)
。
また、
「一社平均情報処理関係諸経費」を支出区分別にみると、「その他」を除く全ての区分
で減少している(図表 1-2)
。
1
以下では、特に断りのない限り、調査対象年度については単に「年度」と表記し、調査実施年については「年調査」と表記
する。
3
図表 1-1 一社平均情報処理関係諸経費と対年間事業収入比の推移
(百万円)
(%)
1,200
1.6
1.4
1,000
1.2
800
1.0
600
0.8
0.6
400
0.4
200
0.2
0
0.0
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
(年度)
一社平均情報処理関係諸経費(左軸)
対年間事業収入比(右軸)
旧定義の経費(左軸)
旧定義の比率(右軸)
注1. 回答企業一社平均の情報処理関係諸経費と対年間事業収入比の推移。情報処理関係諸経費とは IT に関して生じた経費合
計を表す。このため、情報処理関係諸経費には費用として計上されるハードウェア及びソフトウェアの当期減価償却費は
含まれるが、費用として計上されないハードウェア及びソフトウェアの資産計上分の買取額は含まれない。
注2. 平成 16 年度から、キャッシュフローベースの情報処理関係支出を中心の調査項目に変更しており、過去のデータと時系
列比較を行うためには、従来ベースの情報処理関係諸経費(資産計上された買取額が含まれない一方、当期減価償却費が
含まれる)を求める必要がある。
注3. 平成 18 年度より、米国や韓国、デンマーク等と合わせてハードウェアの範囲をコンピュータ・FAX・携帯情報端末からコ
ンピュータ・周辺機器、通信機器、その他の情報機器に拡充したため、従来の定義の情報処理関係諸経費と新しい定義の
情報処理関係諸経費は、それぞれ以下の費用の合計により定義。なお、従来の定義のグラフは点線で示している。
 従来の定義の情報処理関係諸経費:
・ コンピュータ・FAX・携帯情報端末関連費用、ソフトウェア関連費用、サービス関連費用、その他費用
 新しい定義の情報処理関係諸経費:
・ コンピュータ・周辺機器関連費用、通信機器関連費用、その他の情報機器関連費用、ソフトウェア関連費用、サ
ービス関連費用、その他費用
注4. 注 3.の各関連費用は、具体的には、以下の費目の合計により計算。
 コンピュータ・FAX・携帯情報端末関連費用:
・ コンピュータ・FAX・携帯情報端末の当期減価償却費、その他コンピュータ(・FAX・携帯情報端末)関連支出(レ
ンタル・リース料等を含む)
 コンピュータ・周辺機器関連費用
・ コンピュータ・周辺機器の当期減価償却費、その他コンピュータ関連支出(レンタル・リース料等を含む)
 通信機器関連費用:
・ 通信機器の当期減価償却費、その他通信機器関連支出(レンタル・リース料等を含む)
 その他の情報機器関連費用:
・ その他の情報機器の当期減価償却費、その他情報機器関連支出(レンタル・リース料等を含む)
 ソフトウェア関連費用:
・ ソフトウェアの当期減価償却費、その他ソフトウェア関連支出(レンタル・リース料等を含む)
 サービス関連費用
・ 処理サービス料、運用保守委託料、その他サービス関連支出
 上記以外の関連費用:
・ それぞれの該当する支出区分の関連支出と同じ
注5. 対年間事業収入比は、情報処理関係諸経費と年間事業収入の双方を回答した企業における情報処理関係諸経費の対年間事
業収入比。
注6. 平成 24 年度の回答企業数は、情報処理関係諸経費が 3,496 社、対年間事業収入比が 3,365 社。
注7. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 4-1-1 参照。
4
図表 1-2 支出区分別にみた一社平均情報処理関係諸経費の推移
(百万円)
350
300
250
200
150
100
50
0
H8
H9
H10
H11
H12
従来の定義のハードウェア
H13
H14
H15
H16
(年度)
新しい定義のハードウェア
H17
H18
H19
ソフトウェア
H20
H21
H22
サービス
H23
H24
その他
注1. 回答企業一社平均の情報処理関係諸経費の推移。
注2. 情報処理関係諸経費の定義については、図表 1-1参照。ハードウェアの定義は、以下の通り。
従来の定義のハードウェア:コンピュータ・FAX・携帯情報端末
新しい定義のハードウェア:コンピュータ・周辺機器、通信機器、その他の情報機器
注3. 平成 24 年度の回答企業数は、3,496 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 4-1-1 参照。
「製造業」
、
「非製造業」別にみると、「製造業」が前年度比▲2.4%の 5 億 9,560 万円、非製
造業が同▲5.8%の 5 億 9,150 万円と、ともに前年度よりも減少した。業種別にみると、情報処
理実態調査の業種分類2全 26 業種(以下単に「全 26 業種」という)のうち 13 業種で増加3し、
業種によるばらつきがみられた。増加率が大きい業種は、「映像・音声情報制作・放送・通信業」
、
「教育(国・公立を除く)
、学習支援業」
、
「食料品、飲料・たばこ・飼料製造業」
、
「輸送用機械
器具製造業」
、
「金融・保険業」等であった4。
また資本金規模別にみると5、資本金「100 億円超6」を除く全ての区分で昨年度を下回る結果
となった(図表1-3)
。
2
3
情報処理実態調査業種分類については、別途公開している記入要項 4p を参照。同分類は日本標準産業分類に準拠して策定さ
れている。また平成 19 年 11 月同分類が改訂されたことに伴い、平成 19 年度より業種分類を 27 分類から 26 分類に変更した。
前年度に有効回答企業数が 0 であった業種については、増加の対象としてカウントしていない。
4
業種別にみると 1 業種ごとの標本数が少なくなるに伴い、回答企業属性の規模の分布が経年でみると変動しやすい。前年度
からの変動をみる際には、回答企業属性の規模の分布の変動が一要素として影響している点を考慮されたい。
5
情報処理実態調査では企業規模をとらえる基準として、資本金規模、年間事業収入規模、総従業者規模の 3 つが提供されて
いるが、以下では一般的に利用されることが多い資本金規模を用いることを原則とし、資本金よりも年間事業収入や総従業者
数により直接左右されやすい項目について規模別にみるときは、それらの基準を用いることとする。
6
平成 19 年度から資本金規模階級の設定方法を変更し、
「△△円以上□□円未満」から「△△円超□□円以下」へ、規模階級
の境界値を下位の階級から上位の階級に移動している。例えば図表 1-3中の資本金「1 億円~5 億円」は、平成 17 年度ま
では同 1 億円以上 5 億円未満企業、平成 18 年度以降では同「1 億円超 5 億円以下」企業を意味している。以下では表現の煩
雑さを避けるため、平成 18 年度以降における規模階級の呼称で表現を統一することとする(年間事業収入規模階級、総従業
者規模階級も同様)
。
5
図表 1-3 業種別、資本金規模別にみた一社平均情報処理関係諸経費の推移
【業種別】
0
1,000
全産業
3,000
4,000
5,000
6,000
(百万円)
7,000
592.5
製造業
595.6
食料品
430.0
繊維
パルプ・紙・紙加工品
2,000
186.2
97.8
化学
771.2
437.4
石油・石炭
窯業・土石
200.5
鉄鋼
981.4
非鉄金属・金属製品
250.3
電気機械
324.9
情報通信機械
1,029.0
1,514.1
輸送用機械
その他機械
590.3
その他製造業
267.8
非製造業
農林漁業、鉱業
591.5
72.2
建設
147.0
電気・ガス
1,123.6
映像・音声
474.0
新聞・出版
144.7
情報サービス
運輸・郵便
510.4
105.2
卸売
294.7
小売
321.6
金融・保険
医療
教育・学習支援
その他非製造業
6,416.2
59.9
555.0
158.6
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
【資本金規模別】
(百万円)
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
(年度)
1億円
1億円~
10億円~100億円
~
100億円~
5億円
5億円~ 10億円
不
明
注1. 回答企業一社平均の情報処理関係諸経費の推移。
注2. 情報処理関係諸経費の定義は図表 1-1参照。なお、資本金規模別のグラフでは、新定義の情報処理関係諸経費を実線
で示している。
注3. 平成 17 年度までは資本金規模階級の境界値は下位の階級に属したが、平成 18 年度以降は上位の階級に属している(1 億
円~5 億円の場合、平成 17 年度までは資本金 1 億円以上 5 億円未満、平成 18 年度以降は資本金 1 億円超 5 億円以下)。
注4. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 4-1-1 及び表 4-1-1-1 参照。
6
1.2. 情報処理関係諸経費の変動の背景
1.1.でみた通り、「一社平均情報処理関係諸経費」は前年度と比べて減少となったが、
その理由として次のことが考えられる。
まず、企業業績と IT 投資との関係性である。「一社平均年間事業収入」と「一社平均情報処
理関係諸経費」の推移を比較すると、相関関係があるようにみられる。今回調査では、
「一社平
均年間事業収入」が減少しており、それに伴い「一社平均情報処理関係諸経費」も減少してい
る可能性がある(図表 1-4)
。
図表 1-4 情報処理関係諸経費と年間事業収入の関係
(%)
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
(5.0)
(10.0)
(15.0)
(20.0)
(25.0)
(30.0)
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
(年度)
一社平均情報処理関係諸経費
一社平均年間事業収入
注1. 回答企業一社平均の情報処理関係諸経費の前年度比変化率と同年間事業収入の前年度比変化率の推移。
注2. 情報処理関係諸経費の定義は図表 1-1参照。
注3. 平成 18 年度情報処理関係諸経費の定義変更が行われたため、従来の定義の情報処理関係諸経費は点線で示している。
注4. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 1 及び概表 4-1-1 参照。
次に、期待成長率と IT 投資との関係性である。内閣府「企業行動に関するアンケート調査」
より企業の期待成長率の推移をみると、こちらも同様に「一社平均情報処理関係諸経費」との
間で相関関係がみられる。実際、企業は将来の見通しを踏まえて各支出計画を策定するため、
このような期待成長率の変動が、情報処理関係諸経費の変動に繋がっている可能性がある。
平成 24 年度においては、期待成長率がマイナスに転じており、このような変動が「一社平
均情報処理関係諸経費」の減少に繋がっている可能性がある(図表 1-5)
。
7
図表 1-5 情報処理関係諸経費の変動の背景
【「一社平均情報処理関係諸経費」と「期待成長率」との関係】
(%)
(%)
15.0
2.5
10.0
2.0
5.0
1.5
0.0
1.0
(5.0)
0.5
(10.0)
0.0
(15.0)
(0.5)
(20.0)
(1.0)
(25.0)
(1.5)
(30.0)
(2.0)
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
(年度)
一社平均情報処理関係諸経費
期待成長率(次年度)
※「企業行動に関するアンケート調査」(内閣府)
注1. 「一社平均情報処理関係諸経費」の前年度比率と「期待成長率」の推移。
注2. 情報処理関係諸経費の定義は図表 1-1参照。
注3. 期待成長率は、次年度の実質経済成長率に対する企業の予想であり、グラフ上の数値は内閣府各年の「企業行動に関する
アンケート調査」による。
注4. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 4-1-1 参照。
1.3. 情報システムの取り組み状況
情報システムを構築している企業の平成 24 年度における取り組み状況をみると、「新規シ
ステム構築」7と回答した企業の割合8は 19.5%、「システム再構築」と回答した企業9の割合は
23.1%、両者を合わせると 42.6%となり、前年度差+1.3 ポイント(平成 23 年度 41.3%)と 2
年連続で増加となった。
また、これを業務領域別10にみると、9 業務領域のうち 7 業務領域において「新規システム構
築またはシステム再構築を行っている」と回答した企業の割合が上昇しており、特に「財務・
会計」(同+2.4 ポイント)における上昇幅が大きい結果となった(図表 1-6)。
7
平成 16 年度から、選択肢「新たなシステムの構築若しくはシステムの世代交代に取り組んでいる」は、選択肢「新たなシス
テムの構築に取り組んでいる」と「システムの再構築に取り組んでいる」に分割された。
8
システムを構築している企業に対する新たなシステム構築に取り組んでいる企業の割合(以下同様)
。なお、情報システム全
般におけるシステムを構築している企業は、いずれかの業務領域について「新たなシステム構築に取り組んでいる」
、
「システ
ムの再構築に取り組んでいる」、
「従来構築してきたシステムを運用している」のいずれかを回答した企業。また情報システム
全般における新たなシステム構築に取り組んでいる企業は、いずれかの業務領域について「新たなシステム構築に取り組んで
いる」を回答した企業。
9
いずれかの業務領域について「システムの再構築に取り組んでいる」を回答し、全ての業務領域について「新たなシステムの
構築に取り組んでいる」を回答しなかった企業。
10
各業務領域の例は、以下の通り。
財務・会計: 資金調達・運用、決算処理、納税・申告等
人事・給与: 従業員個人情報管理、勤怠管理、給与計算等
開発・設計: 新商品・サービス企画、試作品開発、設計等
調達: 見積・商談、発注・契約、納入・検収等
生産・サービス提供: 生産計画、品質管理、設備管理等
物流: 物流手配、出荷、輸送管理等
販売: 販売計画、受注管理、顧客情報管理等
カスタマーサポート: 保守・故障対応、クレーム処理等
その他: 上記に分類できない業務
8
図表 1-6 情報システムの取り組み状況
【新規構築/再構築別】
0%
10%
20%
H13年度
30%
40%
50%
60%
70%
47.4
H14年度
80%
45.1
37.4
H16年度
62.6
23.0
H17年度
21.7
21.0
H18年度
57.7
22.3
19.8
H20年度
55.3
21.4
23.0
H19年度
54.7
26.0
18.1
54.2
22.8
59.1
H21年度
17.7
22.9
59.4
H22年度
17.5
22.7
59.8
H23年度
17.8
H24年度
100%
52.6
54.9
H15年度
90%
23.5
19.5
58.7
23.1
57.4
新規システム構築
システム再構築
従来システム運用
【業務領域別】
(%)
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
H15年度
H16年度
H17年度
情報システム全般
開発・設計
販売
H18年度
H19年度
基幹業務
調達
カスタマーサポート
H20年度
H21年度
H22年度
財務会計
生産・サービス提供
その他
H23年度
H24年度
人事給与
物流
注1. 平成 24 年度における業務別情報システムの取り組み状況に関する設問について、システムを構築している企業に対する、
各選択肢を回答した企業の割合。このため、概表 4-2 で提示された構成比とは一致しない。
注2. 情報システム全般におけるシステムを構築している企業と各選択肢の企業は、以下の通り計算。
 システムを構築している企業:
・ いずれかの業務領域について「新たなシステムの構築に取り組んでいる」、「システムの再構築に取り組んでい
る」、「従来構築してきたシステムを運用している」のいずれかを回答した企業
 新規システム構築:
・ いずれかの業務領域について「新たなシステムの構築に取り組んでいる」を回答した企業
 システム再構築:
・ いずれかの業務領域について「システムの再構築に取り組んでいる」を回答し、全ての業務領域について「新た
なシステムの構築に取り組んでいる」を回答しなかった企業
 従来システム運用:
・ いずれかの業務領域について「従来構築してきたシステムを運用している」を回答し、全ての業務領域について
「新たなシステム構築に取り組んでいる」及び「システムの再構築に取り組んでいる」を回答しなかった企業
注3. 平成 24 年度の情報システムの取り組み状況に関する回答企業数は、4,554 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 4-2 参照。
9
業種別に「新規システム構築またはシステム再構築に取り組んでいる企業の割合」をみると、
「製造業」が前年度差+1.8 ポイントの 49.4%(平成 23 年度 47.6%)、非製造業が同+1.6
ポイントの 40.2%(平成 22 年度 38.6%)であった。個別業種についてみると、全 26 業種中
16 業種で増加しており、特に「金融・保険業」、「映像・音声情報制作・放送・通信業」「電気・
ガス・熱供給・水道業」における増加率が大きかった。
また、資本金規模別にみると、「5 億円超 10 億円以下」を除く全ての規模において割合が増
加している(図表 1-7)。
図表 1-7 業種別、資本金規模別にみた情報システム全般における新規システム構築・システム再構築に
取り組んでいる企業の割合の推移
【業種別】
0
10
20
30
40
50
全産業
60
70
42.6
製造業
49.4
食料品
44.4
繊維
38.7
パルプ・紙・紙加工品
43.2
化学
54.6
石油・石炭
51.0
窯業・土石
38.1
鉄鋼
47.6
非鉄金属・金属製品
45.9
電気機械
57.1
情報通信機械
53.6
輸送用機械
53.7
その他機械
54.2
その他製造業
44.4
40.2
非製造業
農林漁業、鉱業
17.7
建設
38.4
電気・ガス
51.7
映像・音声
39.1
新聞・出版
42.9
情報サービス
37.6
38.5
運輸・郵便
卸売
42.6
小売
44.3
金融・保険
医療
66.2
28.8
教育・学習支援
38.0
38.1
その他非製造業
H21年度
10
H22年度
H23年度
H24年度
(%)
【資本金規模別】
(%)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
H15年度
H16年度
H17年度
H18年度
~1億円
10億円 ~100億円
H19年度
H20年度
H21年度
1億円 ~5億円
100億円~
H22年度
H23年度
H24年度
5億円 ~10億円
不
明
注1. 平成 24 年度に情報システム全般についてシステムを構築している企業に対する新規システム構築またはシステム再構築
に取り組んでいる企業の割合。この分母、分子は、平成 24 年度における業務別情報システムの取り組み状況に関する設
問の回答結果に基づき、以下の方法で計算。
 システムを構築している企業(分母):
・ いずれかの業務領域について「新たなシステムの構築に取り組んでいる」、「システムの再構築に取り組んでい
る」または「従来構築してきたシステムを運用している」を回答した企業
 新規システム構築またはシステム再構築に取り組んでいる企業(分子):
・ いずれかの業務領域について「新たなシステムの構築に取り組んでいる」または「システムの再構築に取り組ん
でいる」を回答した企業
注2. 平成 17 年度までは資本金規模階級の境界値は下位の階級に属したが、平成 18 年度以降は上位の階級に属している(1 億
円~5 億円の場合、平成 17 年度までは資本金 1 億円以上 5 億円未満、平成 18 年度以降は資本金 1 億円超 5 億円以下)。
注3. 平成 24 年度のシステムを構築している企業数及び集計結果詳細は、表 4-2-1 及び表 4-2-5 参照。
なお、平成 25 年度以降の情報処理関係支出の内容をみるため、情報システムの取り組み予
定をみると、
「新規システム構築の予定がある」と回答した企業11が回答企業数全体の 22.6%、
「システム再構築の予定がある」12が同 31.5%となり、新規システム構築やシステム再構築に
ついて具体的な計画を持つ企業は 54.1%と、平成 24 年度新規システム構築やシステム再構築
に取り組んでいる企業の割合(41.9%13)を上回っており、情報システム構築の取り組みの拡
大が期待される(図表 1-8)。
11
いずれかの業務領域について「新たなシステムを構築する具体的な予定がある」を回答した企業。
12
いずれかの業務領域について「システムの再構築を行う具体的な予定がある」を回答し、全ての業務領域について「新たな
システムを構築する具体的な予定がある」を回答しなかった企業。
13
平成 24 年度における業務別情報システムの取り組み状況に関する設問について、いずれかの業務領域について回答した企業
に対する、いずれかの業務領域について「新たなシステムの構築に取り組んでいる」または「システムの再構築に取り組んで
いる」を回答した企業の割合。図表 1-6では、分母に全ての業務領域について「システムがない」と回答した企業などが
含まれていなかったが、この数値にはこの企業も分母に含まれている。
11
図表 1-8 平成 25 年度以降における情報システムの取り組み予定
0%
10%
情報システム全般
8.5
人事・給与
7.6
開発・設計
4.5
調達
5.6
物流
販売
40%
6.3
5.9
100%
50.2
54.6
21.6
59.9
20.0
11.6
90%
70.6
14.4
58.4
18.3
18.1
64.7
22.3
51.7
18.0
8.6
80%
27.2
22.6
12.9
7.9
70%
18.8
18.6
7.2
60%
21.8
15.2
5.4
50%
31.5
19.5
カスタマーサポート 3.0 6.1
その他
30%
22.6
財務・会計
生産・サービス提供
20%
72.9
15.3
新規システム構築の予定がある
70.2
システム再構築の予定がある
関心はある
予定はない
注1. 平成 25 年度以降の業務別情報システムの取り組み予定に関する設問について、回答企業全体に対する各選択肢を回答し
た企業の割合。
注2. 情報システム全般における各選択肢の企業は、以下の通り計算。
 新規システム構築の予定がある:
・ いずれかの業務領域について「新たなシステムを構築する具体的な予定がある」を回答した企業
 システム再構築の予定がある:
・ いずれかの業務領域について「システムの再構築を行う具体的な予定がある」を回答し、全ての業務領域につい
て「新たなシステムを構築する具体的な予定がある」を回答しなかった企業
 関心がある:
・ いずれかの業務領域について「新たなシステムの構築及びシステムの再構築を行う具体的な予定はないが、関心
はある」を回答し、全ての業務領域について「新たなシステムを構築する具体的な予定がある」及び「システム
の再構築を行う具体的な予定がある」を回答しなかった企業
 予定はない:
・ 回答企業数全体から上記の選択肢の企業の数を差し引いた値
注3. 平成 24 年度における次年度以降の情報システム取り組み予定の回答企業数は、4,538 社。
注4. 平成 24 年度における各業務領域の回答企業数及び詳細な集計結果は、概表 4-2 参照。
12
2.組織と権限
平成 24 年度における情報処理要員の状況について、
「一社平均情報処理要員数」は微減した
ものの、
「情報処理要員数の対総従業者数比」については前年度と同値であり、全体的には横ば
い傾向であった。
CIO(Chief Information Officer;情報システム統轄役員)の設置率は平成 18 年度以降低下
傾向が続いており、特に今回調査では設置状況が調査開始以来最も低く、また設置をしない理
由として「必要ない」を回答した企業の割合についても過去の調査の中で最も高い数値となっ
ており、消極的な姿勢が強まっている結果となった
また、今回調査では経営における IT の利活用状況を調査した。その結果、ハード面では環
境が整いつつある一方で、
体制や仕組み等のソフト面は相対的に進んでいない傾向がみられた。
2.1. 情報処理要員の状況
平成 24 年度の「一社平均情報処理要員数」は平成 23 年度の 35.7 人から 33.5 人となり、前
年度比▲6.2%であった。また、
「情報処理要員数の対総従業者数比」については、前年度差±0
ポイントの 3.3%であり、全体的にみれば横ばい傾向であった。
一方で、
「一社平均情報処理要員数」を社内雇用者、外部要員に分けてみると、
「社内雇用者」
が前年度比+10.4%(平成 23 年度 18.3 人→平成 24 年度 20.2 人)、「外部要員」が同▲23.6%
(同 17.4 人→13.3 人)となり、
「外部要員比率」
(「一社平均情報処理要員数」に占める「外部
要員」の割合)は、前年度差▲9.0 ポイントと(同 48.7%→39.7%)となった(図表 2-1)。
図表 2-1 情報処理要員数の推移
【一社平均情報処理要員数】
(人)
60
56.9
50
18.3
45.1
41.7
40
9.4
9.4
41.8
36.5
6.7
39.2
9.2
35.7
11.0
30.4
30
20
15.9
35.7
38.6
32.3
29.8
30.0
30.0
23.0
10.8
28.3
11.0
33.5
29.5
17.4
13.3
10.6
11.7
30.8
10
14.5
19.2
17.3
18.9
18.3
20.2
H20
H21
H22
H23
H24
11.3
0
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
(年度)
社内雇用者
13
外部要員
【対総従業員数比】
(%)
6
5
4.4
4.3
1.1
4
0.9
5.0
4.8
4.7
0.8
1.1
4.2
1.6
1.1
3.3
3.0
3
3.0
2.1
1.6
2
3.4
3.6
3.6
3.7
3.1
3.4
1.1
2.8
1.1
3.3
3.0
1.1
1.6
1.3
1.1
1
1.4
1.9
1.7
1.9
1.7
H20
H21
H22
H23
2.0
1.0
0
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
(年度)
社内雇用者
H19
H24
外部要員
【外部要員比率】
(%)
60
52.3
50.9
48.7
50
38.9
40
32.2
30
36.0
39.7
35.9
26.3
20.7
23.5
22.6
18.4
20
10
0
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
(年度)
注1. 回答企業一社平均の情報処理要員数、情報処理要員数の対総従業者数比、及び外部要員比率の推移。
注2. 総従業者数比は、一社平均情報処理要員数を総従業者数と情報処理要員数の双方を回答した企業の一社平均総従業者数で
割った値。
注3. 外部要員比率は、外部要員数を情報処理要員数で割った値。
注4. 平成 24 年度の回答企業数は、4,986 社。
注5. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 2-1 参照。
2.2. CIO の設置状況
A) CIO の選任状況
平成 24 年度の CIO の設置状況をみると、「専任者がいる」または「兼任者がいる」と回答し
た企業の割合(以下「CIO 設置率」という)は 29.6%となり、前年度差▲5.9 ポイントと 2 年
連続で低下した。また、
「専任者がいる」と回答した企業の割合は同▲0.5 ポイントの 3.6%と
低下し、平成 18 年度以降低下傾向をたどっている。
CIO を設置しない理由をみると、「必要ない」を回答した企業の割合が同+5.5 ポイントの
48.1%と過去の調査の中でも最も高い数値となっており、消極的な姿勢が強まっている結果と
なった(図表 2-2)
。
14
図表 2-2 CIO の設置状況の推移と CIO を設置しない理由
【CIO の設置状況の推移】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
H14年度
4.3
H15年度
4.5
32.8
62.7
H16年度
3.9
33.0
63.1
H17年度
31.6
8.0
32.5
5.0
32.1
62.8
4.6
33.5
61.9
H20年度
4.3
30.8
H21年度 3.6
32.7
4.2
4.1
80%
90%
100%
64.9
63.7
32.6
63.2
31.4
H24年度 3.6
100%
59.5
H19年度
H23年度
90%
63.6
H18年度
H22年度
80%
64.6
26.0
70.4
専任者がいる
兼任者がいる
CIOがいない
【CIO を設置しない理由】
0%
H15年度
4.1
H16年度
4.0
H17年度
4.0
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
52.1
43.8
53.9
42.1
43.4
H18年度 2.9
41.8
H19年度 3.0
42.6
8.1
44.6
7.1
34.6
8.0
13.5
38.7
H20年度 2.1
40.2
7.8
42.6
H21年度 2.4
40.4
7.5
41.1
H22年度 1.9
41.0
H23年度 1.6
H24年度 2.1
7.3
39.7
30.0
検討中
7.1
9.5
対応できていない
7.7
7.3
8.5
40.0
9.8
42.6
8.9
48.1
社外のコンサルタントを活用
10.3
必要ない
その他
注1. 平成 17 年度 CIO の定義拡張(情報システム統括役員→情報システム担当統括役員・部長)が行われたが、国際比較のた
め平成 18 年度以降は平成 16 年度以前の定義に戻している。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、CIO の設置状況に関する設問が 5,161 社、CIO を設置しない理由に関する設問が 3,499 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 2-2-1 参照。
B) CIO の役割14
CIO の役割については、全産業では「セキュリティ管理」が 75.2%と最も高く、次に「業務
改革」
(66.8%)
、リスク管理(60.6%)、「コスト削減」(58.7%)等が続く結果となった。
「製造業」と「非製造業」における CIO の役割の差異を比較すると、全体的には同様の傾向
を示しているものの、
「業務改革」では「製造業」が「非製造業」よりも高い傾向を示しており、
「新サービス・事業の開発」ではその反対の傾向を示している(図表 2-3)
。
14
CIO の設置状況についてより深堀を実施すべく、今回調査より設問に追加した。
15
図表 2-3 CIO の役割
0
10
20
30
40
50
全産業
製造業
60
70
80
90
100
(%)
経営改革
業務改革
組織改革
新サービス・事業の開発
IT投資効果の最大化
コスト削減
コンプライアンス強化
リスク管理
セキュリティ管理
EA構築
人材育成
その他
非製造業
注1. CIO の役割に関する設問(複数回答可)の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、全産業 1,488 社、製造業 428 社、非製造業 1,060 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 2-2-2 参照。
C) CIO の権限15
CIO の権限については、全産業では「予算権」が 75.7%、
「人事権」が 59.1%、
「その他」が
26.9%であり、予算権と人事権の両方を有するケースは 53.5%であった。
権限を有する CIO の割合について、
「製造業」と「非製造業」を比較すると、いずれの区分
においても「製造業」の方が 1~2 割程度高く、業態により CIO の権限が多少異なる傾向が見受
けられる(図表 2-4)
。
図表 2-4 CIO の権限
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
(%)
53.5
予算権及び人事権
62.1
50.0
75.7
予算権
83.3
72.7
59.1
人事権
67.4
55.7
26.9
その他
19.3
30.0
全産業
製造業
非製造業
注1. CIO の権限に関する設問(複数回答可)の回答状況。
注2. 選択肢は「予算権」
「人事権」
「その他」の 3 つであり、
「予算件」と「人事権」の双方に回答している企業を「予算権及
び人事権」の回答企業として算出している。
注3. 平成 24 年度の回答企業数及び全産業 1,449 社、製造業 414 社、非製造業 1,035 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 2-2-3 参照。
15
CIO の設置状況についてより深堀を実施すべく、B)「CIO の役割」と同様に今回調査より設問に追加した。
16
2.3. 経営における IT の利活用状況
今回調査では、企業における IT 利活用の実態を把握するために、企業経営における IT の利
活用状況に関する調査を実施した。ここでは、経営における IT の機能を 6 つに分け、各機能に
対する企業の状況を 4 つのステージに区分した指標を用いる(図表 2-5)
。
なお、ステージが高い程、IT 利活用が進展していることを指し示している。
図表 2-5 経営における IT 利活用指標
経営におけるITの機能
1
ITの浸透度
ステージ1
 IT導入の目的が不
明確で、ITの活用が
ステージ2
ステージ3
 事業部門、機能別組
 企業、企業グループ
織単位でITを活用。
単位でITを活用。
ステージ4
 取引先等も含めて
ITを活用。
不十分。
2
標準化された安定
的なIT基盤の構築
 自社のシステム構
 システム基盤がア
 全社的にシステム
成を理解していな
プリケーションご
基盤の標準化が行
での共通インフラ
い。
とにバラバラに構
われている。
基盤を構築してい
築。
3
4
IT の 活 用 に よ る 新
 新ビジネスモデル
 連携企業間、産業間
る。
 一部の事業部門で
 複数の部門間或い
 連携企業間、産業間
ビジネスモデルの
の創出、ビジネス領
は、新ビジネスモデ
は全社的にビジネ
での新ビジネスモ
創出、ビジネス領域
域の拡大に活用し
ルの創出、ビジネス
スモデルの創出、ビ
デルの創出、ビジネ
の拡大
ていない。
領域の拡大のため
ジネス領域の拡大
ス領域の拡大のた
にITを活用してい
のためにITを活用
めにITを活用して
る。
している。
いる。
IT マ ネ ジ メ ン ト 体
制の確立
 IT戦略を策定して
 IT戦略の立案に経
 経営層が参加する
 経営層が参加する
いない。または、IT
営層が関与してい
協議会においてIT
協議会においてIT
戦略の立案に経営
る。
戦略が立案され、経
戦略が立案され、経
陣が関与していな
営の効率化の観点
営の効率化と新ビ
い。
からIT投資の判断
ジネスモデルの創
を行っている。
出、ビジネス領域の
拡大の観点からIT
投資の判断を行っ
ている。
5
IT 投 資 評 価 の 仕 組
みと実践
 IT投資によって得
 IT投資の効果予測
 IT投資前後での投
 IT投資前後での投
られる効果を明確
は投資前に行うが、
資評価の実施と、そ
資評価の実施と、そ
に理解しないまま
投資後の評価は行
の結果を受けた改
の結果を受けた改
投資を決断してい
っていない。
善やシステム続行
善やシステム続行
の是非などを通じ
の是非などを通じ
て、PDCAサイクルを
て、PDCAサイクルを
る。
確立している。
確立している。
 定期的にIT資産の
分析を行い、最適な
ポートフォリオ管
理を行っている。
6
IT 活 用 に 関 す る 人
材の育成
 社員のITスキル向
 IT部門、情報部門向
 経営層や一般社員
 企業の生産性向上、
上につながるよう
けにITに関する教
向けにITに関する
事業成果向上、ビジ
な取り組みは特段
育・研修を行ってい
教育・研修を行って
ネス領域の拡大等
行っていない。
る。
いる。
に向けてデータの
分析等を行うため
の新たな人材の育
成に取り組んでい
る。
17
A) 経営における IT の機能項目別の実態
機能項目別にみると、
「IT の浸透度」や「標準化された安定的な IT 基盤の構築」については、
半数を超える企業がステージ 3 以上となっている。他方、「IT の活用による新ビジネスモデル
の創出、ビジネス領域の拡大」
、
「IT マネジメント体制の確立」、
「IT 投資評価の仕組みと実践」、
「IT 活用に関する人材の育成」では、ステージ 3 以上の企業が全体の 2 割程度であった。この
ように、ハード面では環境が整いつつある一方で、体制や仕組み等のソフト面は相対的に進ん
でいない傾向にあるものと考えられる(図表 2-6)
。
図表 2-6 経営における IT の機能項目別の実態
0%
ITの浸透度
標準化された安定的な
IT基盤の構築
10%
20%
10.9
30%
40%
50%
30.7
8.1
90%
6.1
17.4
37.4
17.7
18.4
56.6
49.1
ステージ2
3.0
5.5
23.4
31.5
ステージ1
100%
16.0
36.6
38.6
IT活用に関する人材の育成
80%
46.3
42.9
ITマネジメント体制の確立
70%
42.4
39.5
ITの活用による新ビジネスモデルの
創出、ビジネス領域の拡大
IT投資評価の仕組みと実践
60%
ステージ3
17.7
2.3
1.7
ステージ4
注1. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 2-4 参照。
B) IT ステージの実態
次に、企業経営における IT の機能項目別の回答状況を総合した指標として IT ステージを用
いた分析を実施した。IT ステージは、機能別に対する回答結果に基づいて分類している。具体
的には、各機能において、ステージ 1、2、3、4 との回答に対して、それぞれ 1、2、3、4 点と
し、合計点で下表の基準に従って IT ステージを判定している(図表 2-7)。
図表 2-7 IT ステージの判定基準
IT ステージ
判定基準
ステージ 1
9 点未満(ステージ 2 に満たない)
ステージ 2
9 点~14 点(全項目ステージ 2 の加点を得た場合の値に対し 70% 以上)
ステージ 3
15 点~19 点(全項目ステージ 3 の加点を得た場合の値に対し 80% 以上)
ステージ 4
20 点以上(満点値に対し 80% 以上)
業種別にみると、ステージ 3 以上の企業は「金融・保険業」において 68.4%と最も多く、
「情
報サービス業」
(63.0)%、
「情報通信機械器具製造業」(52.0%)が続いている。
年間事業収入別では、規模が大きくなるほどステージが進む傾向にあり、「1,000 億円以上」
の企業では、65.5%がステージ 3 以上となっている(図表 2-8)
。
18
図表 2-8 IT ステージの実態
【業種別】
0%
20%
40%
60%
80%
100%
全産業
13.8
56.9
25.9
3.4
製造業 9.4
60.6
26.0
4.0
食料品
12.3
63.8
21.5
2.5
繊維
14.7
64.7
17.6 2.9
パルプ・紙・紙加工品
21.6
62.2
13.5 2.7
化学 4.7
59.8
31.8
3.7
石油・石炭 7.7
69.2
15.4
7.7
窯業・土石
13.3
64.4
22.2
鉄鋼 7.1
69.0
19.0
4.8
非鉄金属・金属製品 9.3
71.0
17.8 1.9
電気機械 5.9
64.7
23.5
5.9
情報通信機械 8.8
39.2
43.1
8.8
輸送用機械 8.1
53.2
33.9
4.8
その他機械 9.2
59.5
28.2
3.1
その他製造業 9.4
62.2
25.2
3.1
非製造業
15.2
55.6
25.9
3.2
農林漁業、鉱業
22.9
63.5
11.5 2.1
建設
17.2
60.2
21.6 1.0
電気・ガス 6.5
63.4
28.0
2.2
映像・音声
14.0
58.0
16.0
12.0
新聞・出版
13.9
55.6
27.8
2.8
情報サービス 2.4
34.6
53.1
9.8
運輸・郵便
23.3
57.4
17.5 1.8
卸売
12.0
56.1
29.8
2.1
小売
13.8
51.6
30.8
3.7
金融・保険 1.3
30.4
52.5
15.8
医療
28.0
64.0
7.3 0.6
教育・学習支援
16.7
62.5
18.8 2.1
その他非製造業
16.7
61.0
21.0 1.2
ステージ1
ステージ2
ステージ3
ステージ4
【年間事業収入規模別】
0%
10%
20%
~1億円以下
30.1
10億円超~20億円以下
30.1
60%
80%
90%
8.7
59.4
10.0 0.4
52.9
15.6
64.3
18.5
35.2
33.3
51.8
17.2
56.9
ステージ1
ステージ2
ステージ3
2.0
3.2
23.3
4.7
25.9
3.4
ステージ4
注1. 経営における IT の利活用状況に関する設問の回答状況に基づき判定した IT ステージの割合。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 2-4 参照。
19
1.3
13.7
54.7
13.8
100%
30.0
53.4
57.3
1,000億円超~ 1.2
70%
20.0
15.2
100億円超~1,000億円以下 4.3
合計
50%
37.9
5億円超~10億円以下
不明
40%
50.0
1億円超~5億円以下
20億円超~100億円以下
30%
C) IT ステージ別にみた労働生産性の偏差値の分布状況
次に、IT ステージ別の「労働生産性の偏差値の分布状況」の分析を実施した。
ここでは、情報処理実態調査において回答を得られたデータのうち、労働生産性として利用
可能な「従業者一人当たり年間事業収入(以下「労働生産性」という)」を活用する。ただし、
この労働生産性は名目値であり、業種に応じて収益構造が異なることを考慮すると、数値の大
きさや差異が持つ意味は、業種によって異なることが想定される。従って、この値をそのまま
用いて比較分析することは適切ではないと考えられる。そこで、業種ごとの労働生産性の平均
値及び標準偏差を用いて正規化された各企業の労働生産性の値を活用することで、業種間にお
ける収益構造の差異の影響を調整する。なお、正規化の方法としては様々な方法があるが、こ
こでは一般になじみが深い「偏差値」を用いることとする16。
結果をみるとステージが進むにつれ、労働生産性の偏差値は高い水準に分布している。この
ため、業種間の収益構造の差異の影響を除いてみても、IT ステージが進んでいる企業ほど、労
働生産性が高まる可能性があることがうかがわれる(図表 2-9)
図表 2-9 IT ステージ別にみた労働生産性の偏差値の分布状況
0%
10%
ステージ1
ステージ2
ステージ3
ステージ4
合計
20%
30%
40%
50%
15.2
60%
70%
80%
90%
70.2
11.4
8.8
59.5
7.4
17.2
54.8
6.1
19.9
42.2
10.7
21.1
45~50未満
55~60未満
6.1
10.0
18.4
16.8
50~55未満
2.83.0
5.9
7.9
12.2
59.5
~45未満
100%
6.1
7.0
60以上
注1. IT ステージ別に労働生産性の偏差値の分布状況をクロス集計。このため、概表 2-4 等の公表された統計表には集計結果
が掲載されていない。
注2. 労働生産性は、従業者 1 人当たり年間事業収入により計算。ただし、この値は名目値であり、業種間の単価等の差異の影
響を受けやすいため、この影響を調整するため、業種ごとの労働生産性の標本平均と標本標準偏差を用いて下式の偏差値
を求め、その分布状況をクロス集計した。
企業 i の労働生産性の偏差値=50+10×(企業 i の労働生産性-企業 i が属する業種の標本平均)÷企業 i が属する業種
の標本標準偏差。
注3. 平成 24 年度の各ステージに属する企業の数は、概表 2-4 参照。
16
具体的には下式により偏差値を計算する。なおこの偏差値は、万円や人のような単位がつかない数値である。
企業 i の労働生産性の偏差値=50+10×{(企業 i の労働生産性-企業 i が属する業種における労働生産性の標本平均)÷企
業 i が属する業種における労働生産性の標本標準偏差}
20
3.IT 投資効果の状況
IT 投資に対する実際の効果としては、「業務効率化」、「IT インフラの強化」、
「リスク対応」
をあげる企業の割合が多い。
当初の意図別にみると、当初の意図があった効果項目に対しては、いずれも 9 割ほどの企業
が効果を実感しており、当初の意図がなかった効果項目に対しては、特に「従業員満足度の向
上」に関して 18.9%の企業が副次的な効果として実感している。
IT 組織と IT 投資効果の関係性について分析した結果、CIO が設置されている企業(特に専
任)や、経営における IT の利活用状況が進んでいる企業は、より多くの IT 投資効果を実感し
ているという結果を得た。
3.1. 効果項目別の効果状況
IT 投資の効果に関する設問の回答企業のうち、各効果項目に対する効果状況について「実際
の効果があった」と「実際の効果がどちらかといえばあった」を合計した割合をみると、
「業務
効率化17」に対する割合が 92.7%と最も多く、
「IT インフラの強化18」
(90.2%)、
「リスク対応」
(88.9%)が続いた。他方、
「収益改善19」や「顧客満足度の向上20」については、それぞれ同
63.2%、57.1%と相対的に割合が低い結果となった(図表 3-1)
。
図表 3-1 IT 投資の実際の効果があった企業の割合
0%
10%
20%
業務効率化
50%
60%
70%
43.4
41.1
その他の効果
27.1
4.6 5.2
11.3
34.9
31.2
36.9
実際の効果があった
実際の効果がどちらかといえばなかった
5.7
15.1
27.9
28.3
25.9
4.6 2.7
32.8
31.4
顧客満足度の向上
100% (%)
90%
32.5
56.1
法令などへの対応
80%
42.0
57.7
リスク対応
収益改善
40%
50.7
ITインフラの強化
従業員満足度の向上
30%
17.5
17.9
5.4
10.1
19.7
19.3
25.0
13.1
23.0
実際の効果がどちらかといえばあった
実際の効果がなかった
注1. IT 投資の実際の効果に関する設問の回答企業における各効果項目に対する各効果状況の回答の割合。
注2. IT 投資の実際の効果に関する設問は、IT 投資の事前評価または事後評価のいずれかを実施している企業を対象。
注3. 効果状況について、平成 23 年度までは「実際の効果があった」
「実際の効果がなかった」の 2 つの選択肢区分であったが、
平成 24 年度調査では当該区分を細分化し、
「実際の効果がどちらかといえばあった」
「実際の効果がどちらかといえばな
かった」を追加した 4 つの選択肢区分としている。
注4. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 2-3-2 参照。
17
在庫の圧縮、リードタイムの短縮、作業効率の向上や連携の向上、他社との協業の強化・効率化等があげられる。
18
サーバ、ネットワークの増強、アーキテクチャの改造等があげられる。
19
営業・販売等の管理コストの削減、調達単価の引き下げ、売上の拡大、機会損失の減少等があげられる。
20
製品・サービスの品質向上、新規顧客の開拓、既存顧客の満足度の向上、顧客への提案の新規ビジネスへの展開等があげら
れる。
21
3.2. IT 投資効果への当初の意図別にみた効果状況
次に、各効果項目に対して当初の意図が“あった”ケースと、“なかった”ケースに分け、
それぞれにおける効果状況の回答割合をみる。
当初の意図が“あった”ケースでは、「実際の効果があった」と「実際の効果がどちらかと
いえばあった」を合計した割合をみると、全項目において 9 割程度となっており、特に「IT イ
ンフラの強化」
(98.3%)
、
「リスク対応」(97.9%)、
「法令などへの対応」(97.0%)では、「実
際の効果があった」との回答に限定した場合でも 6 割を超えており、多くの企業において狙い
通りの効果を享受できているものとうかがわれる。
当初の意図が“なかった”ケースでは、
「従業員満足度の向上」
(18.9%)
、
「IT インフラの強
化」
(14.9%)
、
「業務効率化」
(13.5%)において 1 割を超える企業が効果を当初想定していな
かった副次的な効果を実感している結果となった(図表 3-2)
。
図表 3-2 当初の意図と実際の効果の状況の比較
【当初の意図が”あった”項目に対する実際の効果】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
ITインフラの強化
64.2
34.1
1.5 0.2
リスク対応
63.5
34.4
1.8 0.3
法令などへの対応
60.8
業務効率化
36.2
54.0
従業員満足度の向上
43.0
41.3
顧客満足度の向上
42.7
収益改善
41.9
その他の効果
2.5 0.5
50.7
7.7
48.0
1.1
8.9
51.3
実際の効果がどちらかといえばあった
0.3
8.2
47.7
43.9
実際の効果があった
2.6 0.3
1.5
4.5
実際の効果がどちらかといえばなかった
0.4
実際の効果がなかった
【当初の意図が”なかった”項目に対する実際の効果】
0%
10%
従業員満足度の向上 2.1
16.8
ITインフラの強化
9.7
5.2
業務効率化 2.7
法令などへの対応
収益改善
40%
50%
70%
30.6
40.5
(%)
100%
45.9
51.0
64.0
35.8
59.0
33.0
11.2
90%
54.5
28.2
5.2
80%
42.2
39.1
7.1
実際の効果があった
60%
38.9
6.6
0.2
顧客満足度の向上 4.2
その他の効果 2.0
30%
10.8
リスク対応 3.3
0.7
20%
62.6
26.0
60.9
実際の効果がどちらかといえばあった
実際の効果がどちらかといえばなかった
実際の効果がなかった
注1. 当初の意図が“あった”ケース、当初の意図が“なかった”ケース別の各効果項目に対する効果状況の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 2-3-2 参照。
22
3.3. IT 組織と IT 投資効果の関係性
IT 投資効果に対しては、投資規模のみに限らず、企業における IT 組織の体制や仕組みが影
響すると考えられる。そこで、第 2 章「組織と権限」における「CIO の設置状況」及び「経営
における IT の利活用状況」の結果と本章における IT 投資効果とのクロス集計を実施した。な
お、
前節までと同様に、
各効果項目に対する効果状況の割合については、
「実際の効果があった」
と「実際の効果がどちらかといえばあった」を合計した割合を用いる。
A) CIO の設置状況と IT 投資効果の関係性
CIO の設置状況(
「CIO(専任者)がいる」「CIO(兼任者)がいる」「CIO がいない」)別に、
各効果項目に対する効果状況を分析した結果、全ての効果項目に関して、
「CIO がいない」ケー
スよりも「CIO がいる」ケースの方が効果を得ている傾向を示しており、また「CIO がいる」に
ついても「専任者がいる」ケースと「兼任者がいる」ケースで分けた場合、前者の方が全ての
ケースにおいてより高い効果を得ている結果となった。特に、
「収益改善」、
「顧客満足度の向上」
に関しては、
「専任者がいるケース」
では他のケースと比べて 2 割ほど高い数値となっている(図
表 3-3)
。
図表 3-3 CIO の設置状況別にみた IT 投資の実際の効果があった企業の割合
(%)
0
20
40
60
80
100
82.4
収益改善
63.3
59.5
76.5
顧客満足度の向上
57.8
53.0
97.6
94.4
90.2
業務効率化
従業員満足度の向上
82.6
76.5
71.7
96.8
91.0
85.1
リスク対応
法令などへの対応
79.8
74.3
61.6
94.4
93.5
86.3
ITインフラの強化
その他の効果
78.1
65.5
60.0
CIOがいる(専任者)
CIOがいる(兼任者)
CIOがいない
注1. CIO の設置状況と IT 投資効果のクロス集計のため、回答企業数及び集計結果は、概表 2-2-1、概表 2-3-2 等には掲載され
ていない。
23
B) 経営における IT の利活用状況と IT 投資効果の関係性
続いて、IT の経営における利活用状況別(IT ステージ 1~4)に同様の分析を実施した結果、
「その他の効果」を除く全ての効果項目に関して、ステージが上がるにつれて効果を実感する
割合が増加している。また、同ステージ内における効果項目別の数値をみると、ステージ 1 や
2 では、効果があったとの回答の割合が高い項目と低い項目との間で差が大きい。例えば「リ
スク対応」では、ステージ 1、2 においてそれぞれ 75.0%、82.6%である一方、
「収益改善」で
は、同 33.3%、49.5%、
「顧客満足度」では、同 33.3%、39.9%と、項目間で 3 割から 4 割程
の差がある。他方、ステージ 3 や 4 ではその差が狭まる傾向がみられる。このような傾向から、
IT の経営における利活用状況が進む(IT ステージが高い)ほど、IT 投資効果を得られる範囲
が広がっている可能性が考えられる(図表 3-4)
。
図表 3-4 IT ステージ別に見た IT 投資の実際の効果があった企業の割合
0
20
40
60
80
100
(%)
60.0
89.3
95.4
98.5
業務効率化
66.7
85.1
93.4
98.5
ITインフラの強化
75.0
82.6
93.0
97.0
リスク対応
53.3
63.9
従業員満足度の向上
80.5
93.8
50.0
53.2
法令などへの対応
79.2
88.5
33.3
収益改善
49.5
70.4
90.6
顧客満足度の向上
33.3
39.9
66.1
88.2
その他の効果
56.3
53.0
69.5
84.1
ステージ1
ステージ2
ステージ3
ステージ4
注1. 経営における IT の利活用状況と IT 投資効果のクロス集計のため、回答企業数及び集計結果は、概表 2-4、概表 2-3-2 等
には掲載されていない。
24
4.EC(電子商取引)の状況
他の企業や行政機関等と EDI(Electronic Data Interchange; 電子データ交換)等21を利用
している企業の割合(
「EDI 利用率」
)は平成 20 年以降横ばい傾向であったが、平成 24 年度は
上昇に転じた。一方、「EDI 実施先割合」(取引先全体に占める EDI を実施している取引先の割
合)や「EDI 実施金額割合」
(取引額全体に占める EDI を実施している取引先の割合)について
は、前年度と比較して全体的に減少傾向であった。
EC 取引高について、
「EC 実施率」及び「EC 化率」
(EC 額が全商取引額に占める割合。BtoB 購
入の場合、BtoB 購入 EC 額の調達総額に占める割合)は、平成 24 年度も上昇しており、長期的
な上昇傾向を示す結果となった。
4.1. BtoB、BtoG 及び業務連携の状況
A) EDI の利用状況
平成 24 年度における EDI 等の利用状況をみると、
「EDI 利用率」は前年度差+3.6 ポイント
の 69.7%であり、ここ数年の横ばい傾向から上昇に転じた。
これをインターネット EDI 等22とその他 EDI 等23に分けてみると、「インターネット EDI 利用
率」が同+4.5 ポイントの 58.2%と上昇する一方で「その他 EDI 利用率」が同▲1.5 ポイント
の 39.3%と減少している(図表 4-1)
。
図表 4-1 EDI 利用率の推移
(%) 80
71.2
70
61.7
60
50
48.1
48.0
68.4
64.6
52.2
45.7
40
66.6
66.1
51.4
52.6
53.7
42.4
43.1
40.8
69.7
58.2
55.3
51.1
48.1
65.4
46.4
48.8
43.2
36.1
30
20
73.6
64.0
39.3
27.5
10
0
H15年度
H16年度
H17年度
EDI利用率
H18年度
H19年度
H20年度
インターネットEDI利用率
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
その他EDI利用率
注1. 情報システム全般における各 EDI 利用率の推移。
注2. 情報システム全般の EDI 利用率は、いずれかの業務領域で「インターネット EDI 等」または「その他 EDI 等」を利用した
企業が回答企業全体に占める割合。
注3. インターネット EDI 利用率とその他 EDI 利用率は、それぞれいずれかの業務領域で各 EDI 等を利用した企業が回答企業全
体に占める割合。
注4. 平成 24 年度の情報システム全般の回答企業数は、4,115 社。
注5. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 3-1-1 参照。
21
EDI 等とは、企業又は事業者間のコンピュータをオンラインで結び、商取引他各種のデータの送受信等を行うことを意味し、
フォーマットが標準化された EDI のほか、各企業の独自のフォーマットによるデータ送受信等も含む。
22
インターネット EDI 等とは、インターネット回線を使って EDI 等を実施することをいい、ホームページ画面による物品の調
達取引等があげられる。
23
その他 EDI 等とは、EDI 等のなかでインターネット EDI 等以外のものを指し、具体的には商用 VAN を利用したオンラインデ
ータ交換や専用回線を用いた専用システムによる特定事業者間のオンラインデータ交換等があげられる。
25
「EDI 利用率」を業務領域別にみると、
「販売」を除く全ての領域で上昇しており、特に「カ
スタマーサポート」
(前年度差+5.0 ポイント)、
「人事給与」
(同+4.6 ポイント)等で上昇幅が
大きい結果となった。(図表 4-2)
。
図表 4-2 業務領域別にみた EDI 利用率の推移
(%)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
H15年度
H16年度
情報システム全般
開発・設計
販売
H17年度
H18年度
H19年度
基幹業務
調達
カスタマーサポート
H20年度
H21年度
H22年度
財務会計
生産・サービス提供
その他
H23年度
H24年度
人事給与
物流
注1. 業務領域別にみた EDI 利用率の推移。
注2. 当該業務領域で「インターネット EDI 等」または「その他 EDI 等」を利用した企業が当該業務領域に関する設問の回答企
業全体に占める割合。
注3. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 3-1-1 参照。
また、業種別に「EDI 利用率」の推移をみると、全 26 業種中 21 業種で上昇し、
「新聞・出版
業」
(前年度差+25.2 ポイント)
、
「医療業(国・公立を除く)」(同+16.0 ポイント)
、「金融・
保険業」
(同+14.7 ポイント)等における上昇幅が大きかった。
さらに年間事業収入規模別24にみると、年間事業収入「1,000 億円超」企業では、前年度差▲
0.2 ポイントと微減であったが、それ以外の全ての区分において前年度よりも上昇した(図表
4-3)
。
24
本章で述べる EDI や EC の利用は企業業績により左右されやすいと考えられるため、年間事業収入規模により規模別動向をみ
ることとした。
26
図表 4-3 業種別、年間事業収入規模別にみた EDI 利用率の推移(情報システム全般)
【業種別】
0.0
20.0
40.0
60.0
(%)
100.0
80.0
全産業
69.7
製造業
77.9
食料品
80.8
繊維
80.0
パルプ・紙・紙加工品
80.6
化学
83.5
石油・石炭
78.7
窯業・土石
59.0
鉄鋼
72.5
非鉄金属・金属製品
80.6
電気機械
81.2
情報通信機械
82.7
輸送用機械
80.3
その他機械
72.5
その他製造業
71.8
非製造業
66.6
農林漁業、鉱業
38.2
建設
61.0
電気・ガス
59.2
58.1
映像・音声
新聞・出版
85.2
情報サービス
71.3
運輸・郵便
60.7
卸売
80.8
小売
78.4
金融・保険
88.0
医療
58.1
教育・学習支援
52.7
57.4
その他非製造業
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
【年間事業収入規模別】
(%)
100
80
60
40
20
0
H16年度
H17年度
~
H18年度
1億円
100億円~1000億円
H19年度
H20年度
1億円~
1000億円~
H21年度
10億円
H22年度
H23年度
H24年度
10億円~ 100億円
不
明
注1. 情報システム全般における EDI 利用率の推移。
注2. EDI 利用率は、いずれかの業務領域で「インターネット EDI 等」または「その他 EDI 等」を利用した企業が回答企業全体
に占める割合により計算。
注3. 平成 17 年度までは年間事業収入規模階級の境界値は下位の階級に属したが、平成 18 年度以降は上位の階級に属している
(100 億円~1,000 億円の場合、平成 17 年度までは年間事業収入 100 億円以上 1,000 億円未満、平成 18 年度以降は年間
事業収入 100 億円超 1,000 億円以下)
。
注4. 平成 24 年度の回答企業数は、4,115 社。
注5. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、表 3-1-1-2 及び表 3-1-1-5 参照。
27
EDI 利用率について、
企業間における EC25の実施の有無別にみると、
「EC を実施している企業」
における「EDI 利用率」は前年度差+1.6 ポイントの 90.7%、
「EC を実施していない企業」にお
ける「EDI 利用率」は同+5.7 ポイントの 44.5%でありいずれも上昇を示した(図表 4-4)
。
図表 4-4 EC の実施の有無別にみた EDI 利用率の推移
(%)
100
91.0
90.0
91.8
90
89.4
88.0
88.4
89.1
89.1
40.1
40.0
39.3
38.8
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
90.7
80
70
60
50
53.6
56.4
48.7
45.2
44.5
40
30
20
10
0
H16年度
H17年度
H18年度
H19年度
ECを実施している
H24年度
ECを実施していない
注1. 企業間における EC の実施の有無別にみた EDI 利用率の推移。BtoB 購入及び BtoB 販売の広義 EC の実施状況の設問の回答
状況により、インターネット EDI 等及びその他 EDI 等の業務領域別利用状況をクロス集計した結果。
注2. EDI 利用率は、いずれかの業務領域で「インターネット EDI 等」または「その他 EDI 等」を利用した企業が回答企業全体
に占める割合。
注3. クロス集計元は、以下の通り定義。
 EC を実施している:
・ BtoB 購入または BtoB 販売のいずれかの広義 EC について「実施している」と回答した企業
 EC を実施していない:
・ BtoB 購入及び BtoB 販売の双方の広義 EC について「実施していない」と回答した企業。
注4. これらの数値はクロス集計のため、概表 3-1-1 等の公表された集計表には掲載されていない。
B) EDI 実施先割合の状況
平成 24 年度における取引先全体に占める EDI を実施している取引先の割合をみると、同割
合が 50%以上と回答した企業の割合について前年度と比較すると、「調達」では上昇している
一方、
「販売」では減少している。
次に、取引額全体に占める EDI による取引額の割合についても同様に前年度と比較すると、
「調達」
、
「販売」ともに同割合が 50%以上と回答した企業の割合は減少している。
このように、平成 24 年度における EDI 実施先割合は、全体的に前年度と比べると減少の傾
向となった(図表 4-5)
。
25
ここでは広義 EC の実施の有無別の集計結果を取り上げている。
「広義 EC」とは、狭義 EC に、インターネット技術を用いな
いコンピュータ・ネットワーク・システム(例、VAN・専用線等、TCP/IP プロトコルを利用していない従来型 EDI)を介して
商取引が行われ、かつその成約金額が捕捉されるものを加えたものをいう。
「狭義 EC」とは、
「インターネット技術を用いた
コンピュータ・ネットワーク・システムを介して商取引が行われ、かつその成約金額が捕捉されるもの」をいう。ここで「商
取引行為」とは「経済主体間での財の商業的移転に関わる、受発注者間の物品、サービス、情報、金銭の交換」をいう。また
「インターネット技術」とは、TCP/IP プロトコルを利用した技術をいい、公衆回線上のインターネットのほか、エクストラ
ネット、インターネット VPN、IP-VPN 等が含まれる。
28
図表 4-5 取引先全体に占める EDI を実施している取引先の割合の推移
【調達先における状況 - EDI 実施企業数割合】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
H21年度
50.4
8.7
4.9
5.4
6.6
6.1
17.9
H22年度
49.5
9.3
4.6
5.8
6.6
5.9
18.2
H23年度
47.9
9.2
5.9
5.4
H24年度
47.6
10.1
5.2
5.8
0%~10%未満
10%~30%未満
30%~50%未満
50%~70%未満
6.5
6.3
7.5
18.8
6.5
70%~90%未満
100%
90%以上
17.2
わからない
【調達先における状況 - EDI 実施金額割合】
0%
10%
H21年度
20%
30%
40%
50%
40.6
8.6
60%
6.0
70%
6.5
80%
90%
8.8
8.5
20.9
H22年度
38.8
8.6
6.0
7.5
9.7
8.7
20.7
H23年度
39.3
8.4
5.5
7.5
9.5
8.8
21.2
H24年度
39.6
8.5
9.2
9.1
20.6
0%~10%未満
10%~30%未満
6.1
30%~50%未満
7.0
50%~70%未満
70%~90%未満
90%以上
100%
わからない
【販売先における状況 - EDI 実施企業数割合】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
H21年度
51.1
10.9
5.2
H22年度
50.8
11.1
4.7 3.8 4.0
H23年度
50.4
9.9
H24年度
51.7
0%~10%未満
10%~30%未満
5.6
10.7
30%~50%未満
4.5 4.0
4.8
19.6
6.7
19.0
4.1
70%~90%未満
5.6
90%以上
100%
18.2
6.0
4.0 4.4
4.7
50%~70%未満
6.2
90%
18.4
わからない
【販売先における状況 - EDI 実施金額割合】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
H21年度
37.0
H22年度
37.3
11.3
H23年度
36.8
11.4
H24年度
10.1
39.1
0%~10%未満
10%~30%未満
8.2
11.6
30%~50%未満
60%
70%
80%
90%
7.7
8.0
8.3
20.7
7.4
7.1
8.3
7.9
20.7
7.8
7.1
7.8
8.0
21.1
8.1
50%~70%未満
6.6
6.6
7.2
70%~90%未満
100%
20.8
90%以上
わからない
注1. 平成 24 年度の回答企業数は、以下の通り。
 調達:EDI を実施している企業の割合:2,548 社、EDI を実施している取引額の割合:2,539 社
 販売:EDI を実施している企業の割合:2,488 社、EDI を実施している取引額の割合:2,490 社
注2. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 3-1-2-1 及び概表 3-1-2-2 参照。
29
C) EDI 効果の満足度
EDI 効果の満足度の状況について、「業務効率化効果」では、
「大変役立っている」と「どち
らかといえば役立っている」の合計が 82.1%と大部分が満足を得ており、「売上拡大効果」で
は、同 39.4%であった。また、経年での変化をみるといずれも横ばい傾向であった(図表 4
-6)
。
図表 4-6 EDI 利用企業における EDI 効果の満足度の推移
【業務効率化】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
0.7
H21年度
37.7
42.8
9.2
3.9
5.8
1.1
H22年度
39.0
41.4
9.1
3.7
H23年度
38.6
41.4
10.0
1.3
3.1
5.6
H24年度
37.9
44.2
8.5
大変役立っている
どちらかといえば役立っている
どちらでもない
どちらかといえば役立っていない
大変役立っていない
わからない
5.7
1.1
3.2 5.0
【売上拡大効果】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
2.1
H21年度
8.5
30.4
38.8
6.1
H22年度
10.6
28.9
37.4
6.4
H23年度
10.5
28.4
38.7
5.7
H24年度
10.0
29.4
36.5
14.0
2.4
14.3
2.4
14.3
2.5
6.1
大変役立っている
どちらかといえば役立っている
どちらでもない
どちらかといえば役立っていない
大変役立っていない
わからない
15.4
注1. 平成 24 年度の回答企業数は、業務効率化効果が 2,788 社、売上拡大効果が 2,719 社。
注2. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 3-1-2-3 参照。
さらに、
「B)EDI 実施先割合の状況」でみた EDI の実施先割合別にクロス集計を行うと26、EDI
実施先や EDI での取引額の割合が高くなるほど、
「業務効率化効果」及び「売上拡大効果」とも
に「大変役立っている」と回答した企業の割合は高くなる傾向を示している(図表 4-7)
。
26
クロス集計元は、クロス集計先の効果項目と関連性が高い割合とした。業務効率化効果は業務量と密接な関係があるため、EDI
実施先取引額割合との関連性よりも EDI 実施先企業数割合との関連性の方が高いと判断し、調達における EDI 実施先企業数割
合別集計と販売における EDI 実施先企業数割合別集計を行った。売上拡大効果は売上と密接な関係があるため、調達における
EDI 実施先割合との関連性よりも販売における EDI 実施先割合との関連性の方が高いと判断し、販売における EDI 実施先企業
数割合別集計と販売における EDI 実施先取引額割合別集計を行った。
30
図表 4-7 EDI 実施先割合別にみた EDI 効果の満足度の状況
【業務効率化効果 - 調達における EDI 実施先企業数割合別】
0%
10%
0%~10%未満
20%
30%
40%
50%
31.1
60%
70%
80%
47.1
10%~30%未満
11.5
42.2
30%~50%未満
48.9
4.6
32.4
59.2
90%以上
5.8
30.3
27.7
無回答企業
45.0
31.8
合計
3.4 2.0
34.0
66.1
わからない
4.1
4.7 1.6
60.8
70%~90%未満
100%
4.7
49.2
45.0
50%~70%未満
90%
7.9
45.1
37.9
2.3
16.4
11.4
5.7
44.2
大変役立っている
どちらかといえば役立っていない
8.5
どちらかといえば役立っている
大変役立っていない
4.9
3.2
5.0
どちらでもない
わからない
【業務効率化効果 - 販売における EDI 実施先企業数割合別】
0%
0%~10%未満
10%~30%未満
10%
20%
60%
36.8
70%
80%
50.0
47.8
4.6
7.0
3.4
33.7
65.2
3.0
25.4
29.5
44.2
8.1
39.7
3.6 2.9
2.4
15.2
48.9
37.9
5.8
44.2
どちらかといえば役立っている
大変役立っていない
31
4.3
2.6
36.1
61.4
大変役立っている
どちらかといえば役立っていない
100%
8.6
58.0
90%以上
90%
11.0
42.6
70%~90%未満
合計
50%
45.1
50%~70%未満
無回答企業
40%
33.5
30%~50%未満
わからない
30%
8.5
どちらでもない
わからない
3.2
3.7
5.0
【売上効果拡大- 調達における EDI 実施先企業数割合別】
0%
0%~10%未満
10%
7.6
20%
30%
50%
27.3
10%~30%未満
10.9
30%~50%未満
9.7
60%
70%~90%未満
15.9
90%以上
無回答企業
9.4
31.5
10.0
29.4
7.3
12.0
2.2
4.9
4.7 1.6
4.9
7.7
8.6
33.3
35.8
5.9 1.6
36.5
大変役立っている
どちらかといえば役立っていない
9.7
5.6 1.4
28.8
28.9
13.5
8.1
38.5
23.1
100%
3.61.6
27.5
31.9
8.4
3.4
33.1
30.8
わからない
90%
40.5
38.7
20.9
80%
7.4
41.9
14.8
70%
40.8
33.6
50%~70%未満
合計
40%
6.1
どちらかといえば役立っている
大変役立っていない
15.7
2.5
15.4
どちらでもない
わからない
【売上効果拡大 - 販売における EDI 実施先企業数割合別】
0%
0%~10%未満
10%
6.8
11.7
30%~50%未満
12.2
90%以上
23.2
無回答企業
9.5
60%
70%
14.1
5.6
3.4
1.7
31.4
5.1
24.8
24.6
27.9
29.4
4.3 2.2 5.8
4.8
41.2
36.5
どちらかといえば役立っている
大変役立っていない
8.5
5.9 3.0 5.9
39.9
25.2
大変役立っている
どちらかといえば役立っていない
3.9
100%
40.0
37.6
10.0
90%
34.2
36.4
22.0
80%
7.8
45.2
22.8
8.6
50%
39.9
18.6
わからない
40%
44.4
70%~90%未満
合計
30%
27.5
10%~30%未満
50%~70%未満
20%
35.4
4.2 2.3
6.1
2.5
17.6
15.4
どちらでもない
わからない
注1. EDI 実施による各効果の満足度に関する設問の回答結果について、EDI を実施している取引先数の割合及び取引金額の割
合に関する設問の回答結果によりクロス集計した結果。
注2. これらの数値は概表 3-1-2-3 等の公表された集計表には掲載されていない。
4.2. EC の取引高の状況
平成 24 年度の企業間取引における「(広義)EC27実施率」は、「BtoB 購入」は前年度差+2.6
ポイントの 42.2%、
「BtoB 販売」は同+0.4 ポイントの 35.1%、
「BtoC 販売」は同+2.0 ポイン
トの 18.3%といずれも前年度よりも上昇した。また、
「EC 化率」(EC 額が全商取引額に占める
割合。BtoB 購入の場合、BtoB 購入 EC 額の調達総額に占める割合)は、
「BtoB 購入」が同+6.8
ポイントの 66.5%、
「BtoB 販売」が同+5.1 ポイントの 62.3%とこちらも同様にいずれも前年
度と比べて上昇しており、
長期的に上昇傾向が継続している様子がうかがわれる(図表 4-8)
。
27
広義 EC と狭義 EC の定義については、脚注 25 を参照。
32
図表 4-8 EC 実施率と EC 化率の推移
【EC 実施率】
(%)
45
40
35.7
35
30
29.4
25
20
33.9
32.9
28.9
21.4
34.3
34.7
16.6
16.3
H22年度
H23年度
42.2
31.4
13.1
13.4
14.6
H19年度
H20年度
H21年度
35.1
26.1
9.7
10.6
H16年度
H17年度
10
39.6
32.8
31.5
20.1
15
40.0
36.6
12.3
18.3
5
0
H18年度
BtoB購入
BtoB販売
H24年度
BtoC販売
【EC 化率】
(%)
70
60
50
40
30
20
10
0
H13年度 H14年度 H15年度 H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度
BtoB購入(旧定義)
BtoB販売(旧定義)
BtoB購入
BtoB販売
注1. EC 実施率は、広義 EC の実施状況に関する設問の回答企業に対する、同設問で「実施している」と回答した企業の割合。
注2. EC 化率は、全商取引額に対する EC 額の割合。
注3. 平成 19 年度に EC 額の定義の変更が行われ、受発注が必ずコンピュータネットワーク経由で行われること、電子メールに
よる取引額のうち定型フォーマットによらないものは含まないことが EC 額の要件となった。このため、平成 18 年度以前
は、電話や FAX、定型フォーマットによらない電子メールによる取引額や、受発注以外の業務のみをコンピュータネット
ワーク経由で行う取引額も EC 額に含まれていたが、平成 19 年度以降これらは EC 額には含まれなくなった。
注4. 平成 24 年度の回答企業数は以下の通り。
 EC 実施率:BtoB 購入 4,275 社、BtoB 販売 4,222 社
 EC 化率:BtoB 購入 706 社、BtoB 販売 573 社
注5. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 3-2-1 及び概表 3-2-3 参照。
業種別動向をみると、
「BtoB 購入」において「EC 実施率」が上昇した業種は全 26 業種中 20
業種で、
「医療業(国・公立除く)」
、
「化学工業」
、
「石油・石炭・プラスチック製品製造業」等
における上昇幅が大きかった。また「EC 化率」が上昇した業種は 16 業種で、
「農林漁業・同協
同組合、鉱業」
、
「建設業」
、
「食料品、飲料・たばこ・飼料製造業」等における上昇幅が大きか
った。
また「BtoB 販売」では、
「EC 実施率」が上昇した業種は 18 業種で、このうち「石油・石炭・
プラスチック製品製造業」
、
「食料品、飲料・たばこ・飼料製造業」
「金融・保険業」等における
上昇幅が大きかった。また「EC 化率」が上昇した業種は 17 業種で、「農林漁業・同協同組合、
鉱業」
、
「医療業(国・公立除く)」
、
「卸売業」おける上昇幅が大きかった(図表 4-9)
。
33
図表 4-9 業種別にみた BtoB EC における EC 実施率と EC 化率の推移
【BtoB 購入 – EC 実施率】
0
20
40
80 (%)
60
全産業
42.2
製造業
46.0
食料品
37.9
繊維
35.5
パルプ・紙・紙加工品
37.1
化学
52.0
石油・石炭
52.0
窯業・土石
27.5
鉄鋼
34.1
非鉄金属・金属製品
35.9
電気機械
51.3
情報通信機械
61.2
輸送用機械
65.5
その他機械
48.3
その他製造業
35.1
非製造業
40.9
農林漁業、鉱業
25.6
建設
28.7
電気・ガス
36.4
映像・音声
新聞・出版
35.6
17.2
情報サービス
45.5
運輸・郵便
25.8
卸売
58.6
小売
67.4
金融・保険
34.3
医療
教育・学習支援
39.1
24.1
その他非製造業
36.3
H21年度
H22年度
34
H23年度
H24年度
【BtoB 購入 – EC 化率】
0
20
40
60
100 (%)
80
全産業
66.5
製造業
69.9
食料品
60.8
繊維
48.8
パルプ・紙・紙加工品
6.3
化学
24.9
石油・石炭
9.1
窯業・土石
73.0
鉄鋼
84.0
非鉄金属・金属製品
43.2
電気機械
64.8
情報通信機械
76.1
輸送用機械
88.4
その他機械
59.9
その他製造業
27.1
非製造業
64.8
農林漁業、鉱業
70.4
建設
68.3
電気・ガス
54.0
映像・音声
新聞・出版
61.9
0.1
情報サービス
42.6
運輸・郵便
21.4
卸売
66.6
小売
金融・保険
81.8
0.4
医療
教育・学習支援
52.8
6.4
その他非製造業
66.6
H21年度
H22年度
35
H23年度
H24年度
【BtoB 販売 – EC 実施率】
0
20
40
全産業
80 (%)
60
35.1
製造業
56.8
食料品
66.7
繊維
51.6
パルプ・紙・紙加工品
54.3
化学
63.0
石油・石炭
62.0
窯業・土石
40.0
鉄鋼
43.9
非鉄金属・金属製品
61.5
電気機械
53.9
情報通信機械
61.3
輸送用機械
61.9
その他機械
47.3
その他製造業
50.0
非製造業
27.4
農林漁業、鉱業
19.5
建設
25.4
電気・ガス
12.9
映像・音声
16.3
新聞・出版
27.6
情報サービス
39.5
運輸・郵便
21.1
卸売
55.5
小売
24.1
金融・保険
38.5
医療
教育・学習支援
その他非製造業
7.0
2.9
21.5
H21年度
H22年度
36
H23年度
H24年度
【BtoB 販売 – EC 化率】
0
20
40
60
100 (%)
80
全産業
62.3
製造業
69.1
食料品
66.6
繊維
43.1
パルプ・紙・紙加工品
24.8
化学
42.8
石油・石炭
11.6
窯業・土石
55.1
鉄鋼
96.2
非鉄金属・金属製品
44.2
電気機械
57.1
情報通信機械
62.8
輸送用機械
その他機械
95.0
48.4
その他製造業
35.1
非製造業
52.8
農林漁業、鉱業
68.9
建設
20.6
電気・ガス
映像・音声
87.8
0.0
新聞・出版
7.3
情報サービス
18.0
運輸・郵便
68.9
卸売
59.7
小売
金融・保険
40.8
2.5
医療
教育・学習支援
98.9
0.0
その他非製造業
60.5
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. EC 実施率は、広義 EC の実施状況に関する設問の回答企業に対する、同設問で「実施している」と回答した企業の割合。
注2. EC 化率は、全商取引額に対する EC 額の割合。なお、EC 額は平成 19 年度以降の定義に基づくもので、受発注が必ずコン
ピュータネットワーク経由で行われること、電子メールによる取引額のうち定型フォーマットによらないものは含まない
ことが要件となっている。
注3. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 3-2-1 及び概表 3-2-3 参照。
年間事業収入規模別にみると、
「BtoB 購入」では年間事業収入規模「1,000 億円超」企業を
除く全ての区分で「EC 実施率」が上昇した。また「EC 化率」では「不明」を除く全ての区分で
上昇した。
「BtoB 販売」では、
「1,000 億円超」企業を除く全ての区分で「EC 実施率」が上昇し、「EC
化率」は「1 億円超 10 億円以下」企業、
「不明」企業を除く全ての区分で増加した(図表 4-
10)
。
37
図表 4-10 年間事業収入規模別にみた BtoB EC における EC 実施率と EC 化率の推移
【BtoB 購入 – EC 実施率】
(%)
80
70
60
50
40
30
20
10
0
H16年度
H17年度
1億円~
1000億円~
H18年度
10億円
H19年度
H20年度
H21年度
10億円~ 100億円
不
明
H22年度
H23年度
H24年度
100億円~1000億円
【BtoB 購入 – EC 化率】
(%)
100
80
60
40
20
0
H13年度 H14年度 H15年度 H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度
1億円~
1000億円~
10億円
10億円~ 100億円
不
38
明
100億円~1000億円
【BtoB 販売 – EC 実施率】
(%)
70
60
50
40
30
20
10
0
H16年度
H17年度
1億円~
1000億円~
H18年度
10億円
H19年度
H20年度
H21年度
10億円~ 100億円
不
明
H22年度
H23年度
H24年度
100億円~1000億円
【BtoB 販売 – EC 化率】
(%)
100
80
60
40
20
0
H13年度 H14年度 H15年度 H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度
1億円~
1000億円~
10億円
10億円~ 100億円
不
100億円~1000億円
明
注1. EC 実施率は、広義 EC の実施状況に関する設問の回答企業に対する、同設問で「実施している」と回答した企業の割合。
注2. EC 化率は、全商取引額に対する EC 額の割合。
注3. 平成 19 年度 EC 額の定義の変更が行われ、受発注が必ずコンピュータネットワーク経由で行われること、電子メールによ
る取引額のうち定型フォーマットによらないものは含まないことが EC 額の要件となった。
このため、
平成 18 年度以前は、
電話や FAX、定型フォーマットによらない電子メールによる取引額や、受発注以外の業務のみをコンピュータネットワー
ク経由で行う取引額も EC 額に含まれていたが、平成 19 年度以降これらは EC 額には含まれなくなった。
注4. 平成 17 年度までは年間事業収入規模階級の境界値は下位の階級に属したが、平成 18 年度以降は上位の階級に属している
(100 億円~1,000 億円の場合、平成 17 年度までは年間事業収入 100 億円以上 1,000 億円未満、平成 18 年度以降は年間
事業収入 100 億円超 1,000 億円以下)
。
注5. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、表 3-2-1-2 及び表 3-2-3-1 参照。
39
5.情報セキュリティの状況
平成 24 年度の情報セキュリティトラブルの発生率(
「情報セキュリティトラブルが発生した」
と回答した企業の割合)は、前年度と比べると微増であるが、ここ 10 年の間では前年度の次に
低い水準となっている。また、情報セキュリティトラブルの被害額が発生した企業の割合は減
少した。
情報セキュリティ対策については、対策の実施割合、対策費用ともに前年度と比較すると微
減であるが、ここ数年の傾向に照らし合わせると、横ばい傾向を継続している状況とうかがわ
れる。
5.1. トラブル発生状況
平成 24 年度の「情報セキュリティトラブルの発生率」をみると、前年度差+1.4 ポイントの
24.4%と増加した(図表 5-1)
。
トラブルのカテゴリー別にみると、
【システムトラブル】が前年度差+2.2 ポイントの 61.8%、
【重要情報の漏えい】が同+1.3 ポイントの 22.6%、【その他】が同+0.5 ポイントの 5.3%と
上昇した一方、
【不正アクセス】は同▲0.9 ポイントの 3.8%、
【コンピュータウィルス】は同▲
1.4 ポイントの 55.9%と減少した。
カテゴリー別に最も回答企業割合が高かった内訳はそれぞれ、
【システムトラブル】では「内
部要因によるシステムの停止」が 47.7%、【不正アクセス】では「IP・メールアドレス詐称」
が 1.7%、
【コンピュータウィルス】では「USB 経由等によるウィルス感染」が 29.9%、【重要
情報の漏えい】では「ノートパソコン及び携帯記憶媒体等の盗難・紛失」が 19.4%となった。
また、経年での傾向をみると、【システムトラブル】における「スパムメール等の中継利用
等」
、
【コンピュータウィルス】における「スパムメール等によるウィルス感染」ともに上昇傾
向が続いていることから、スパムメールに起因する情報セキュリティトラブルが増加傾向にあ
ることがうかがわれる(図表 5-1)。
40
図表 5-1 情報セキュリティトラブルの発生状況
【トラブル全体の発生率】
(%)
80
72.3
70
60
55.3
50
40
35.9
28.7
30
27.3
28.2
26.7
24.8
24.4
23.0
20
10
0
H15年度
H16年度
H17年度
H18年度
H19年度
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
【トラブルのカテゴリー別】
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
H15年度
H16年度
システムトラブル
H17年度
H18年度
不正アクセス
H19年度
H20年度
コンピュータウイルス
41
H21年度
H22年度
重要情報の漏えい
H23年度
H24年度
その他
【トラブルの種類別】
(%)
0
20
40
60
【システムトラブル】
80
61.8
<システムの停止>
53.0
内部要因によるシステムの停止
47.7
外部要因によるシステムの停止
11.1
14.7
<その他のシステムトラブル>
DoS攻撃
5.6
スパムメール等の中継利用等
7.8
ホームページやファイル、データの改ざん
2.6
【不正アクセス】
3.8
IP・メールアドレス詐称
リソースの不正使用
内部者の不正アクセス
1.7
1.0
1.6
【コンピュータウィルス】
55.9
<ウィルスやワーム小計>
53.8
USB経由等によるウィルス感染
29.9
スパムメール等によるウィルス感染
21.2
ホームページ等によるウィルス感染
17.6
標的型サイバー攻撃によるウィルス感染
2.5
その他の経路によるウィルス感染
11.8
12.6
<トロイの木馬>
【重要情報の漏えい】
22.6
コンピュータウィルス等による情報漏えい
不正アクセスによる情報漏えい
標的型サイバー攻撃による情報漏えい
0.3
0.8
0.3
内部者による情報漏えい
2.9
2.5
委託先による情報漏えい
ノートパソコン及び携帯記憶媒体等の盗難・紛失
19.4
【その他】
5.3
ホームページ上での誹謗中傷等
2.4
2.9
その他
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. 情報セキュリティトラブルが「発生した」と回答した企業の割合の推移と、情報セキュリティトラブルが発生した企業に
おいて当該カテゴリー/種類のトラブルを発生したトラブルと回答した企業の割合の推移(複数回答可)
。
注2. カテゴリー別の発生状況は、各カテゴリーに属するいずれかのトラブルを回答した企業の割合により計算。
注3. 平成 24 年度の回答企業数は、情報セキュリティトラブルの発生状況に関する設問が 4,782 社、種類別情報セキュリティ
トラブルの発生状況に関する設問(複数回答可)が 1,153 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-1-1 参照。
「外部要因によるシステムの停止」が発生した企業の割合を業種別にみると、全 26 業種中
17 業種で減少しており、減少幅が大きい業種は「石油・石炭・プラスチック製品製造業」、
「繊
維工業」、
「農林漁業・同協同組合、鉱業」等であった。
同様に、
「USB メモリ経由等によるウィルス感染」では 17 業種において前年度から減少して
おり、
「パルプ・紙・紙加工品製造業」、
「鉄鋼業」、
「新聞・出版業」等における減少幅が大きい
かった。
一方、
「ノートパソコン及び携帯記憶媒体等の盗難・紛失」についてみると、21 業種で前年
度よりも上昇しており、上昇幅の大きい業種は「鉄鋼業」、
「パルプ・紙・紙加工品製造業」
、
「電
気・ガス・熱供給・水道業」等であった(図表 5-2)。
42
図表 5-2 業種別にみた主な情報セキュリティトラブルの発生状況
【外部要因によるシステムの停止】
(%)
0
10
20
全産業
8.5
6.5
食料品
0.0
パルプ・紙・紙加工品
20.0
化学
7.0
石油・石炭
6.3
窯業・土石
鉄鋼
20.0
0.0
非鉄金属・金属製品
11.5
電気機械
11.1
情報通信機械
16.7
輸送用機械
5.6
その他機械
6.3
その他製造業
9.7
非製造業
12.1
農林漁業、鉱業
14.3
建設
9.4
電気・ガス
4.2
映像・音声
新聞・出版
情報サービス
20.0
0.0
10.3
運輸・郵便
14.9
卸売
15.4
小売
15.0
金融・保険
医療
教育・学習支援
その他非製造業
40
11.1
製造業
繊維
30
18.2
12.5
10.8
9.8
H21年度
H22年度
43
H23年度
H24年度
50
【USB 経由等によるウィルス感染】
(%)
0
10
20
30
全産業
40
50
29.9
製造業
40.1
食料品
25.8
繊維
28.6
パルプ・紙・紙加工品
20.0
化学
46.5
石油・石炭
31.3
窯業・土石
50.0
鉄鋼
16.7
非鉄金属・金属製品
38.5
電気機械
38.9
情報通信機械
45.8
輸送用機械
50.0
その他機械
42.2
その他製造業
38.7
非製造業
26.1
農林漁業、鉱業
50.0
建設
36.5
電気・ガス
20.8
映像・音声
26.7
新聞・出版
18.8
情報サービス
9.0
運輸・郵便
21.6
卸売
14.1
小売
金融・保険
28.0
5.5
医療
50.0
教育・学習支援
その他非製造業
60
53.0
21.5
H22年度
44
H23年度
H24年度
70
【ノートパソコン及び携帯記憶媒体等の盗難・紛失】
(%)
0
20
40
全産業
60
30.3
食料品
12.9
繊維
14.3
20.0
パルプ・紙・紙加工品
化学
51.2
石油・石炭
31.3
窯業・土石
20.0
鉄鋼
66.7
非鉄金属・金属製品
7.7
電気機械
33.3
情報通信機械
37.5
輸送用機械
38.9
その他機械
31.3
その他製造業
19.4
非製造業
15.3
0.0
建設
13.5
電気・ガス
29.2
映像・音声
33.3
新聞・出版
12.5
情報サービス
37.2
運輸・郵便
9.5
卸売
20.5
小売
金融・保険
医療
教育・学習支援
その他非製造業
100
19.4
製造業
農林漁業、鉱業
80
11.0
9.1
5.0
10.8
13.5
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. 情報セキュリティトラブルが発生した企業において発生したトラブルとして、各トラブルを回答した企業の割合の推移
(複数回答可)
。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 5-1-1 参照。
年間事業収入規模別に各トラブルの発生状況をみると28、「外部要因によるシステムの停止」
については、
「10 億円以下」の企業を除く全規模において回答企業割合が減少し、最も減少し
たのは、
「10 億円超 100 億円以下」の企業の前年度差▲5.5 ポイントの 11.0%、同様に、
「USB
メモリ経由等によるウィルス感染」については、
「不明」の企業を除く全ての区分において、減
少し、
「100 億円超 1,000 億円以下」の企業が同▲7.7 ポイントの 31.1%と最も減少した。一方
で、
「ノートパソコン及び携帯記憶媒体等の盗難・紛失」では、同「1 億円超 10 億円以下」か
ら「100 億円超 1,000 億円以下」までの区分が上昇となり、
「1 億円超 10 億円以下」の企業が同
+3.0 ポイントの 9.1%と最も上昇した(図表 5-3)
。
28
情報セキュリティについては、情報セキュリティ対策の実施が企業業績の影響を受けやすく、資本金、年間事業収入、総従
業者数のなかで、年間事業収入との関係が最も深いと考えられるため、年間事業収入規模により規模別動向をみることとした。
45
図表 5-3 年間事業収入規模別にみた主な情報セキュリティトラブルの発生状況
【外部要因によるシステムの停止】
(%)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
H15年度
H16年度
1億円~
H17年度
H18年度
H19年度
10億円
H20年度
H21年度
H22年度
10億円~ 100億円
1000億円~
不
H23年度
H24年度
100億円~1000億円
明
【USB 経由等によるウィルス感染】
0
1億円~
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
(%)
10億円
21.2
10億円~ 100億円
25.1
100億円~1000億円
31.1
1000億円~
35.6
不
明
35.2
H22年度
H23年度
H24年度
【ノートパソコン及び携帯記憶媒体等の盗難・紛失】
(%)
60
50
40
30
20
10
0
H16年度
H17年度
1億円~
1000億円~
H18年度
10億円
H19年度
H20年度
H21年度
10億円~ 100億円
不
H22年度
H23年度
H24年度
100億円~1000億円
明
注1. 情報セキュリティトラブルが発生した企業において発生したトラブルとして、各トラブルを回答した企業の割合の推移
(複数回答可)
。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 5-1-1 参照。
46
5.2. 情報セキュリティトラブルの被害額の状況
システムトラブルを除く情報セキュリティトラブルの被害額の状況をみると、「(被害額が)
発生しなかった」と回答した企業は 43.3%であり、
「わからない」
(18.4%)を除いた企業(被
害額が発生した企業)は 38.3%と、前年度差▲10.3 ポイントとなった。
被害額としては「50 万円未満」が最も多く 30.3%となった。50 万円以上の被害額が発生し
た企業を合計すると 8.0%と、同▲10.4 ポイントとなり、大きな被害を受けている企業の割合
は減少した(図表 5-4)
。
図表 5-4 システムトラブル以外の情報セキュリティトラブルの被害額の発生状況
H22年度
32.5
H23年度
3.7
38.2
H24年度
30.3
0%
10%
15.8
5.2
3.3
20%
30%
42.6
17.2
34.2
18.4
40%
50%
43.3
60%
70%
80%
90%
100%
50万円未満
50~100万円
100~150万円
150~200万円
200~400万円
400~600万円
600~800万円
800~1,000万円
1,000~1,500万円
1,500~2,000万円
2,000~3,000万円
3,000~5,000万円
5,000~1億円
1億円以上
わからない
発生しなかった
注1. システムトラブル以外の情報セキュリティトラブルの被害額に関する設問の回答状況。
注2. 被害額には地震によるシステム停止等のシステムトラブルの被害額は含まれていない。
注3. 平成 24 年度の回答企業数は、1,056 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-1-2 参照。
業種別に被害額の状況をみると、「鉄鋼業」、「繊維工業」、「石油・石炭・プラスチック製品
製造業」
、
「情報通信機械器具製造業」等で被害額が発生した割合が高かった。1,000 万円以上
の被害額が発生した企業の割合は「金融・保険業」6.6%(前年度差+6.6 ポイント)、
「情報サ
ービス業」が 4.1%(同 0.3 ポイント)
、「卸売業」が 1.4%(同 0.1 ポイント)、等において大
きかった。
年間事業収入規模別にみると、被害額が発生したと回答した企業の割合については年間事業
収入規模による傾向はみられないものの、1,000 万円以上の被害額が発生した企業の割合につ
いては、年間事業収入が「1,000 億円超」企業では 3.0%(同▲0.3 ポイント)と他の区分と比
べて高い水準であった。
また、経年での動きをみると、1,000 万円以上の被害額が発生した企業の割合について、平
成 22 年度が 1.7%、平成 23 年度が 1.1%、平成 24 年度が 1.0%と、大きな被害を受けている
企業の割合は減少傾向にあることがうかがわれる(図表 5-5)。
47
図表 5-5 業種別、年間事業収入規模別にみたシステムトラブル以外の
情報セキュリティトラブルの被害額の発生状況
【業種別】
0%
20%
40%
60%
80%
100%
全産業
製造業
食料品
繊維
パルプ・紙・紙加工品
化学
石油・石炭
窯業・土石
鉄鋼
非鉄金属・金属製品
電気機械
情報通信機械
輸送用機械
その他機械
その他製造業
非製造業
農林漁業、鉱業
建設
電気・ガス
映像・音声
新聞・出版
情報サービス
運輸・郵便
卸売
小売
金融・保険
医療
教育・学習支援
その他非製造業
50万円未満
50~100万円
100~150万円
150~200万円
200~400万円
400~600万円
600~800万円
800~1,000万円
1,000~1,500万円
1,500~2,000万円
2,000~3,000万円
3,000~5,000万円
5,000~1億円
1億円以上
わからない
発生しなかった
【年間事業収入規模別】
0%
~
20%
40%
60%
80%
100%
1億円以下
1億円超~
5億円以下
5億円超~
10億円以下
10億円超~
20億円以下
20億円超~
100億円以下
100億円超~1,000億円以下
1,000億円超~
不
明
合
計
50万円未満
50~100万円
100~150万円
150~200万円
200~400万円
400~600万円
600~800万円
800~1,000万円
1,000~1,500万円
1,500~2,000万円
2,000~3,000万円
3,000~5,000万円
5,000~1億円
1億円以上
わからない
発生しなかった
注1. システムトラブル以外の情報セキュリティトラブルの被害額に関する設問の回答状況。
注2. 被害額には地震によるシステム停止等のシステムトラブルの被害額は含まれていない。
注3. 平成 24 年度の回答企業数は、1,056 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-1-2 参照。
48
5.3. システムの不具合状況
A) 累積発生数の状況
「各年度中に稼働した情報システムの不具合の累積発生数」29をみると、
「システムの不具合
全般」では、変動幅が大きい選択肢は「0 回」
(54.7%、前年度差+1.6 ポイント)、
「21 回以上」
(9.1%、同▲1.1 ポイント)であった。なお、各選択肢の中間値を、それぞれの選択肢を回答
した企業の発生数とみなし、加重平均値を求めると、同▲0.5 ポイントの 5.8 回となり、前年
度と比べてシステム不具合の発生件数は減少したものとうかがわれる(図表 5-6)
。
この発生数について、顧客や情報システム利用者への損害からみた重要度別 30にみると、い
ずれも「0 回」を回答した企業の割合が増加しており、先ほどと同様に加重平均により発生数
を算出すると、
「重要度が重大」な不具合では、0.4 回(前年度差±0 ポイント)、「重要度が中
度」な不具合では 1.9 回(前年度差▲0.2 ポイント)、
「重要度が軽微」な不具合では 4.9 回(前
年度差▲0.4 ポイント)であった。
図表 5-6 各年度中に稼働した情報システムにおけるシステムの不具合の発生状況の推移
【システムの不具合全般】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
H20年度
50.9
6.9
6.0
12.6
8.9
3.6 1.7
9.5
H21年度
51.2
7.0
5.8
12.8
8.3
3.7 1.8
9.4
H22年度
50.8
7.2
5.1
H23年度
53.1
H24年度
6.7
54.7
0回
1回
2回
6.6
3~5回
6~10回
11~15回
12.2
5.4
5.5
8.4
11.8
7.4
11.3
16~20回
7.9
3.3 2.2
3.4 2.0
3.21.8
10.8
10.2
9.1
21回以上
29
平成 24 年度を調査対象年度とする他の調査項目と異なり、本項目では、平成 24 年度中に新規に稼働または大幅な改修(仕
様の変更や追加等を伴う既存システムの改修)を行った全てのシステムにおいて、調査が実際に行われた平成 25 年 11 月頃ま
でに発生した不具合の状況が調査されている点に注意する必要がある。
30
不具合の重要度を次のように定義している。
 重大:顧客や情報システムの利用者に損害を与え、緊急対応を要するレベルの不具合
 中度:顧客や情報システムの利用者への損害はないが、緊急対応を要するレベルの不具合
 軽微:顧客や情報システムの利用者への損害はなく、緊急対応も不要なレベルの不具合
49
【重要度別 ①重要度が重大】
0%
84%
86%
88%
H20年度
90%
92%
90.9
H21年度
91.9
H24年度
0回
1回
3~5回
6~10回
1.8
11~15回
0.3 0.1
0.8
0.3
2.1
1.6
16~20回
0.3 0.1
0.7
0.7
1.8
3.5
2回
0.1 0.1
0.7 0.5
2.0
2.1
3.1
100%
0.2 0.1
0.8
0.4
2.2
2.1
4.9
91.6
98%
1.8
4.1
89.4
H23年度
96%
3.5
90.5
H22年度
94%
0.1 0.1
0.8 0.3
1.6
21回以上
【重要度別 ②重要度が中度】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
H20年度
68.7
8.2
H21年度
69.6
8.2
H22年度
69.3
8.4
90%
9.5
6.0
8.6
1.1 0.5
3.9 2.1
5.7
8.7
1.0 0.6
3.5 2.8
6.4
H23年度
71.7
7.7
5.3
H24年度
72.5
7.4
5.5
0回
1回
2回
3~5回
6~10回
11~15回
16~20回
100%
1.0 0.4
3.5 2.2
7.5
1.2 0.4
3.5 2.6
8.0
1.1 0.4
2.9 2.3
21回以上
【重要度別 ③重要度が軽微】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
H20年度
56.2
5.8
5.5
13.8
7.4
1.2
2.2
7.9
H21年度
56.2
5.7
5.4
13.9
6.9
1.6
2.5
7.7
H22年度
55.7
5.8
H23年度
57.6
5.6
59.3
H24年度
0回
1回
2回
4.9
5.1
5.3
3~5回
6~10回
11~15回
12.6
5.5
16~20回
1.2
2.8
7.5
11.8
11.7
7.2
7.2
9.4
1.2
3.1
8.2
1.6
2.0
7.4
21回以上
注1. 各調査対象年度中に新規稼働または大幅改修した情報システムの、各調査対象時点(平成 24 年度の場合は、平成 26 年 1
月)までに発生した不具合の累積発生数。
注2. システム不具合全般の累積発生数の分布については、以下の通り回答された各重要度の選択肢の中間値を、回答企業にお
ける各重要度のシステム不具合の累積発生数とみなし、この合計値を回答企業のシステム不具合の累積発生数と定義して
分布を計算した。
「0 回」=0 回、
「1 回」=1 回、
「2 回」=2 回、
「3~5 回」=4 回、
「6~10 回」=8 回、
「11~15 回」=13 回、
「16~20 回」=18 回、
「21 回以上」=42 回
注3. 平成 24 年度の回答企業数は、システムの不具合全般 4,458 社、重要度が重大 4,078 社、重要度が中度 4,200 社、重要度
が軽微 4,300 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-1-5 参照。
50
B) システム不具合の原因
平成 24 年度の「回答企業全体」におけるシステム不具合の原因をみると、回答企業の割合
が最も高かったのは「ハードウェアの障害」(51.0%)であり、次いで「ネットワークの障害」
(45.9%)
、
「テストにおけるミスやテスト不足」
(41.0%)が続いた。また、前年度からの変動
幅が大きかったのは「テストにおけるミスやテスト不足」
(前年度差▲4.5 ポイント)、
「システ
ム不具合発生時の対応の誤り・遅れ」
(前年度差+2.6 ポイント)、
「DBMS 以外のアプリケーショ
ンソフトのバグ」
(前年度差▲2.5 ポイント)であった(図表 5-7)
。
図表 5-7 各年度中に稼働した情報システムの不具合の主な原因の推移
0
10
20
30
40
(%)
60
50
ハードウェアの障害
51.0
ネットワークの障害
45.9
テストにおけるミスやテスト不足
41.0
操作ミス等運用上のミス
37.1
要求定義・設計のミス
26.6
性能・容量等の不足
19.8
システム不具合発生時の対応の誤り・遅れ
16.8
OS、ミドルウェアのバグ
14.4
DBMS以外のアプリケーションソフトのバグ
11.8
製品間インターフェースの障害
7.9
稼働時の予測処理量の過小見積もり
DBMSのバグ
地震、火災等の自然災害
その他
5.1
4.2
2.5
6.0
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. 各調査対象年度中に新規稼働または大幅改修した情報システムにおいて、各調査対象時点(調査が実際に行なわれた平成
25 年 11 月頃)までに発生した不具合の原因に関する設問(複数回答可)の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、1,969 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-1-6 参照。
51
5.4. 情報セキュリティトラブルの情報処理推進機構への届出状況
平成 24 年度における「IPA への情報セキュリティトラブルの届出状況」をみると、「全て届
け出ている」と回答した企業の割合は前年度差▲3.0 ポイントの 13.1%、「一部届け出ている」
と回答した企業の割合は同+3.0 ポイントの 25.4%であり、両者を合わせた値は 38.5%と前年
度と同値であった(図表 5-8)
。
図表 5-8 情報処理推進機構への情報セキュリティトラブルの届出状況の推移
0%
10%
H19年度
13.0
H20年度
14.0
H21年度
13.9
H22年度
16.7
H23年度
16.1
H24年度
13.1
20%
30%
40%
50%
16.8
60%
70%
80%
90%
100%
70.3
21.6
64.3
13.9
72.2
14.5
68.8
22.4
61.5
25.4
すべて届け出ている
61.5
一部届け出ている
届け出ていない
注1. 情報処理推進機構への情報セキュリティトラブルの届出状況に関する設問について、「届け出るべき情報がなかった」を
回答した企業を除いた上での回答状況。このため、概表 5-1-4 で提示された構成比とは一致しない。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、136 社(「届け出るべき情報がなかった」に対する回答は 977 社)
。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-1-4 参照。
52
5.5. 情報セキュリティへの対策状況
A) 対策実施状況
平成 24 年度の「情報セキュリティ対策の実施率」をみると、【情報セキュリティ対策全般】
の実施率31は、前年度差▲1.7 ポイントの 86.4%となった。
カテゴリー別32に実施率33をみると、<技術的対策の実施>が同▲1.2 ポイントの 83.3%、<
組織的対策の実施>が同▲3.0 ポイントの 68.7%、<監視体制>が同±0 ポイントの 54.2%、
<評価の実施>が同▲1.8 ポイントの 50.1%となった。
種類ごとにみると、前年度から継続調査された 25 の対策のうち 5 の対策の実施率が増加した。
増加幅が大きかった対策は「外部専門家による常時セキュリティ監視」
(同+2.3 ポイント)、
「事
業継続計画(BCP)の作成」
(同+1.9 ポイント)であった。他方、減少幅が大きかった対策は「セ
キュリティポリシーの策定」
(同▲3.8 ポイント)、
「セキュリティポリシーに基づく対策の検討」
(同▲3.5 ポイント)と、共に平成 21 年度以来、最も低くなった(図表 5-9)
。
31
いずれかのセキュリティ対策の実施状況に関する設問に回答した企業数に対する、いずれかのセキュリティ対策で「既に実
施している」と回答した企業数の割合。なお、各カテゴリーに属するセキュリティ対策の構成が毎回変わっているため、厳密
な意味ではこの数値は時系列的に連続しない。
32
情報セキュリティ対策のカテゴリーとして、以下の 4 つを提示している。
 組織的対策の実施:
・ リスク分析、セキュリティポリシーの策定、セキュリティポリシーに基づく具体的な対策、情報セキュリティ報
告書の作成、事業継続計画の作成、全社的なセキュリティ管理者の配置、部門ごとのセキュリティ管理者の配置、
従業員に対する情報セキュリティ教育、取引相手における情報セキュリティ対策実施状況の確認、内部統制の整
備強化
 技術的対策の実施:
・ 重要なコンピュータ室への入退出管理、重要なシステムへの内部でのアクセス管理、データの暗号化、外部接続
へのファイアウォールの配置、ISO/IEC15408 認証取得製品の導入、シンクライアントの導入、生体認証の導入
 監視体制:
・ セキュリティ監視ソフトの導入、外部専門家による常時セキュリティ監視
 評価の実施:
・ 情報セキュリティ対策ベンチマークの活用、外部専門家による定期的なシステム監査、内部による定期的なシス
テム監査、外部専門家による定期的な情報セキュリティ監査、内部による定期的な情報セキュリティ監査、定期
的な脆弱性診断の実施・定期的な脆弱性情報の取得・定期的なアクセスログの分析等、情報セキュリティマネジ
メントシステム認証の取得
33
各カテゴリーに属するいずれかのセキュリティ対策の実施状況に関する設問に回答した企業に対する、各カテゴリーに属す
るいずれかのセキュリティ対策で「既に実施している」と回答した企業の割合。
53
図表 5-9 情報セキュリティ対策の実施率の推移(全般)
【情報セキュリティ対策全般】
(%)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
H13年度 H14年度 H15年度 H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度
情報セキュリティ対策全般
組織的対策の実施
技術的対策の実施
監視体制
評価の実施
【個別の情報セキュリティ対策】
0
20
【情報セキュリティ対策全般】
<組織的対策の実施>
リスク分析
セキュリティポリシーの策定
セキュリティポリシーに基づく対策の検討
情報セキュリティ報告書の作成
事業継続計画(BCP)の作成
全社的なセキュリティ管理者の配置
部門ごとのセキュリティ管理者の配置
従業員に対する情報セキュリティ教育
取引相手のセキュリティ対策状況確認
内部統制の整備強化
<技術的対策の実施>
コンピュータ室への入退室管理
システムへの内部アクセス管理
データの暗号化(PKIを含む)
クレジットカード情報の暗号化
個人情報の暗号化
外部接続へのファイアウォール
ISO/IEC15408認証取得製品導入
シンクライアントの導入
生体認証の導入
<監視体制>
セキュリティ監視ソフトの導入
外部専門家による常時セキュリティ監視
<評価の実施>
情報セキュリティ対策ベンチマークの活用
外部によるシステム監査
内部によるシステム監査
外部による情報セキュリティ監査
内部による情報セキュリティ監査
定期的な脆弱性診断の実施
定期的な脆弱性情報の取得
定期的なアクセスログの分析
情報セキュリティマネジメントシステム認証取得
40
60
(%)
100
80
86.4
68.7
37.6
52.7
45.9
20.4
30.8
50.9
35.3
47.6
28.8
43.8
83.3
58.1
68.3
31.3
15.4
21.8
75.9
11.2
14.1
13.0
54.2
52.9
15.7
50.1
9.1
19.4
32.2
17.2
31.6
23.3
24.5
28.8
9.0
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. 情報セキュリティ対策の実施状況について「既に実施している」と回答した企業の割合の推移。
注2. 情報セキュリティ対策全般の実施率は、いずれかのセキュリティ対策の実施状況について回答した企業に対する、いずれ
かのセキュリティ対策について「既に実施している」と回答した企業の割合により計算。
注3. 各カテゴリーの実施率は、それぞれのカテゴリーに属するいずれかのセキュリティ対策の実施状況について回答した企業
に対する、同カテゴリーに属するいずれかのセキュリティ対策について「既に実施している」と回答した企業の割合によ
り計算。
注4. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 5-2-1-1 参照。
54
【情報セキュリティ対策全般】の実施率について業種別にみると、全 26 業種のうち 12 業種
で前年度より増加しており、特に「鉄鋼業」
(同+5.7 ポイント)、
「輸送用機械器具製造業」
(同
+4.9 ポイント)
、
「新聞・出版業」
(同+5.3 ポイント)等における増加幅が大きかった。
また、年間事業収入規模別にみると、年間事業収入規模「100 億円超 1,000 億円以下」企業
では実施率が増加し、前年度差+0.4 ポイントの 95.4%となった(図表 5-10)
。
図表 5-10 業種別、年間事業収入規模別にみた情報セキュリティ対策全般の実施率の推移
【業種別】
(%)
0
20
40
60
80
100
全産業
86.4
製造業
87.5
食料品
86.1
繊維
83.3
パルプ・紙・紙加工品
69.4
化学
97.2
石油・石炭
87.2
窯業・土石
85.0
鉄鋼
92.1
非鉄金属・金属製品
86.8
電気機械
90.2
情報通信機械
90.9
輸送用機械
92.4
その他機械
86.0
その他製造業
80.0
非製造業
86.1
農林漁業、鉱業
90.4
建設
80.2
電気・ガス
95.7
映像・音声
94.0
新聞・出版
93.5
情報サービス
99.6
運輸・郵便
76.9
卸売
87.5
小売
84.5
金融・保険
100.0
医療
75.8
教育・学習支援
93.7
その他非製造業
83.7
H21年度
55
H22年度
H23年度
H24年度
【年間事業収入規模別】
(%)
100
80
60
40
20
0
H13年度 H14年度 H15年度 H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度
1億円~10億円
10億円~100億円
100億円~1000億円
1000億円~
不明
注1. 情報セキュリティ対策全般の実施率の推移。
注2. 情報セキュリティ対策全般の実施率は、いずれかのセキュリティ対策の実施状況について回答した企業に対する、いずれ
かのセキュリティ対策について「既に実施している」と回答した企業により計算。
注3. 平成 17 年度までは年間事業収入規模階級の境界値は下位の階級に属したが、平成 18 年度以降は上位の階級に属している
(100 億円~1,000 億円の場合、平成 17 年度までは年間事業収入 100 億円以上 1,000 億円未満、平成 18 年度以降は年間
事業収入 100 億円超 1,000 億円以下)
。
注4. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 5-2-1-1 及び表 5-2-1-1-1 参照。
B) 情報セキュリティ業務の専任担当者数の状況
平成 24 年度における
「一社平均の情報セキュリティ業務の専任担当者数34」
は 0.8 人となり、
また「対総従業者比」も 0.1%と、ともに前年度と同じ水準であった。
業種別にみると、
「一社平均の情報セキュリティ業務の専任担当者数」は、
「情報サービス業」
(2.1 人)
、
「金融業・保険業」
(1.8 人)等で多かった。
また、前年度より増加した業種としては、「映像・音声情報制作・放送・通信業」(+0.6 ポ
イント)
、
「金融業・保険業」
(+0.3 ポイント)等で増加幅が大きかった。
総従業者規模別35にみると、経年では「5,000 人以下」までは、横ばいまたは微減傾向にある
のに対し、
「5,001 人以上」においては、上昇傾向にあり、企業規模に応じて情報セキュリティ
に対する取り組みに差がある様子がうかがわれる。
また、規模が大きくなるほど「一社平均の情報セキュリティ業務の専任担当者数」が多くな
る傾向にある一方、
、
「対総従業者比」では反対に規模が大きくなるほど少なくなる傾向がみら
れた(図表 5-11)
。
34
情報セキュリティ対策費用の把握は困難といわれており、特に情報セキュリティ対策を主目的としない費用(例. 老朽化し
たサーバを交換したとき、ついでにセキュリティ機能の強化を付加するケース)をどこまで正確に把握できるかにより、企業
により回答された情報セキュリティ対策費用に大きなばらつきが生じやすくなる。このような問題に対応するため、より客観
的に把握しやすく、かつ国際比較も可能な情報セキュリティ業務の専任担当者数について、平成 20 年度より調査し、情報の
補足を行っている。
35
情報セキュリティ業務の専任担当者数は企業の雇用施策に左右される部分が大きいと思われるため、ここでは総従業者規模
により規模別動向をみることとした。
56
図表 5-11 情報セキュリティ業務の専任担当者数の推移
【業種別(一社平均)】
(人)
0.0
0.5
1.0
全産業
繊維
パルプ・紙・紙加工品
化学
石油・石炭
非鉄金属・金属製品
0.8
0.3
0.3
0.6
0.5
0.6
0.6
0.5
電気機械
0.6
情報通信機械
1.2
1.1
輸送用機械
その他機械
0.9
その他製造業
1.7
非製造業
0.7
0.6
農林漁業、鉱業
建設
0.5
電気・ガス
1.0
映像・音声
1.2
新聞・出版
0.6
情報サービス
運輸・郵便
卸売
小売
2.1
0.4
0.5
0.5
金融・保険
医療
教育・学習支援
その他非製造業
2.5
0.4
窯業・土石
鉄鋼
2.0
0.8
製造業
食料品
1.5
1.8
0.6
0.7
0.6
H21年度
57
H22年度
H23年度
H24年度
【総従業者規模別 ①一社平均】
(人)
5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
H20年度
H21年度
H22年度
H23年度
~100人
101人~200人
201人~250人
301人~1,000人
1,001人~5,000人
5,001人~
H24年度
251人~300人
【総従業者規模別 ②対総従業者比】
(%)
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
H20年度
H21年度
~100人
251人~300人
5,001人~
H22年度
101人~200人
301人~1,000人
H23年度
H24年度
201人~250人
1,001人~5,000人
注1. 回答企業一社平均の情報セキュリティ業務の専任担当者数と同担当者数の対総従業者比の推移。
注2. 情報セキュリティ業務の専任担当者数の対総従業者比における分母は、情報セキュリティ業務の専任担当者数を回答した
企業の総従業者数を適用。
注3. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 5-2-3-4 参照。
58
C) 情報セキュリティ人材育成
「従業員に対する情報セキュリティ教育」の対策の実施状況において「既に実施している」
と回答した企業のうち、
「IT 要員または一般社員向けに情報セキュリティに関する教育を実施
している」と回答した企業の割合(以下「情報セキュリティ人材育成実施率」という)は 95.5%
(前年度差+1.9 ポイント)となった。情報セキュリティ人材育成実施率について内訳36をみる
と、
「IT 要員向け」が 75.2%、
「一般社員向け」が 90.1%となった。
業種別にみると、情報セキュリティ人材育成実施率はほとんどの企業で 90%前後に達してい
るが、
「石油・石炭・プラスチック製品製造業」では 81.8%、「農林漁業・同協同組合、鉱業」
では 83.3%であり、他業種に比べて実施率が低い。
また、年間事業収入規模別にみると、全ての規模で情報セキュリティ人材育成実施率が 90%
を超えており、規模による違いはあまりみられなかった(図表 5-12)
。
図表 5-12 情報セキュリティに関する教育の実施状況
【情報セキュリティ人材育成実施率 ①業種別】
0
20
40
60
(%)
100
80
全産業
95.5
製造業
96.2
食料品
97.8
繊維
92.9
パルプ・紙・紙加工品
100.0
化学
97.1
石油・石炭
81.8
窯業・土石
94.1
鉄鋼
100.0
非鉄金属・金属製品
93.3
電気機械
94.4
情報通信機械
100.0
輸送用機械
95.8
その他機械
98.5
その他製造業
96.7
非製造業
95.2
農林漁業、鉱業
83.3
建設
97.8
電気・ガス
96.7
映像・音声
100.0
新聞・出版
100.0
情報サービス
100.0
運輸・郵便
95.6
卸売
90.3
小売
94.1
金融・保険
93.3
医療
91.1
教育・学習支援
90.8
その他非製造業
96.1
H23年度
36
H24年度
「従業員に対する情報セキュリティ教育」の対策を実施している企業のうち、
「IT 要員向け」または「一般社員向け」の情報
セキュリティに関する教育の少なくとも一方を「実施している」企業の割合である。そのため、
「IT 要員向け」の教育実施率
や「一般社員向け」の教育実施率よりも、値が高くなる場合がある。
59
【情報セキュリティ人材育成実施率 ②年間事業収入規模別】
0
20
40
60
80
100 (%)
~1億円以下
100.0
91.9
95.5
1億円超~10億円以下
90.5
93.6
10億円超~100億円以下
94.5
96.0
100億円超~1,000億円以下
98.6
98.5
1,000億円超~
不明
93.9
95.7
合計
93.6
95.5
H23年度
H24年度
【IT 要員向け、一般社員向けの情報セキュリティ教育実施率】
0
20
40
60
(%)
100
80
71.5
IT要員向け
75.2
87.9
一般社員向け
90.1
H23年度
H24年度
注1. 情報セキュリティ人材育成実施率は、「従業員に対する情報セキュリティ教育」の対策の実施状況において「既に実施し
ている」と回答しており、なおかつ IT 要員向け及び一般社員向けの情報セキュリティに関する教育の実施状況に関する
設問において、いずれかの設問を回答した企業に対する、いずれかについて「実施している」と回答した企業の割合によ
り計算。
注2. IT 要員向け及び一般社員向けの情報セキュリティ教育実施率は、
「従業員に対する情報セキュリティ教育」の対策の実施
状況において「既に実施している」と回答しており、なおかつ各情報セキュリティに関する教育の実施状況に関する設問
において「実施している」と回答した企業の割合により計算。
注3. 平成 24 年度の回答企業数は、IT 要員または一般社員向け 2,047 社、IT 要員向け 2,019 社、一般社員向け 2,042 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-2-1-3 及び表 5-2-1-3-2 参照。
60
5.6. 情報セキュリティへの対策費用
A) 対策費用の分布
平成 24 年度における「情報セキュリティ対策費用の回答企業分布」をみると、増加した区
分は「50 万円未満」
(前年度差+1.8 ポイント)、
「100 万円~150 万円未満」
(同+0.3 ポイント)
で、減少幅が大きい区分は「50 万円~100 万円未満」(同▲1.1 ポイント)、
「150 万円~200 万
円未満」
(同▲1.0 ポイント)であった。最も分布の大きい区分は「50 万円未満」であり 21.8%、
次いで「50 万円~100 万円未満」が 11.9%であった。なお、各選択肢の中間値を、それぞれの
選択肢を回答した企業の情報セキュリティ対策費用とみなし、加重平均値を求めると、同▲12
万円の 967 万円となり、減少傾向が継続する結果となった。
「情報セキュリティ対策費用の対情報処理関係支出総額比」をみると、増加したのは、「1%
未満」企業の割合が前年度差+0.9 ポイントの 17.8%、
「3%~5%未満」が同+1.7 ポイントの
14.1%、
「5%~7%未満」が同+2.3 ポイントの 10.7%であった。一方で、「1%~3%未満」と
なった企業の割合が同▲1.0 ポイントの 25.3%、
「10%以上」が同▲3.8 ポイントの 24.2%とな
っており、
「7%~10%未満」企業の割合は前年度差±0 ポイントの 8.0%であった(図表 5-
13)。
図表 5-13 情報セキュリティ対策費用の分布の推移
【一社平均情報セキュリティ対策費用(回答分布状況)】
0
5
10
15
20
50万円未満
25
21.8
50万円~100万円
11.9
100万円~150万円
6.4
150万円~200万円
4.0
200万円~400万円
400万円~600万円
600万円~800万円
800万円~1,000万円
3.8
1.5
2.0
1,000万円~1,500万円
1,500万円~2,000万円
2,000万円~3,000万円
3,000万円~5,000万円
5,000万円~1億円
1億円以上
6.3
2.4
1.2
1.6
1.5
1.4
1.5
わからない
発生しなかった
23.9
8.8
H21年度
H22年度
61
H23年度
H24年度
(%)
30
【一社平均情報セキュリティ対策費用(加重平均による推計)】
(万円)
1,400
1,230
1,200
1,030
1,050
1,070
H20年度
H21年度
H22年度
979
967
H23年度
H24年度
1,000
800
600
400
200
0
H19年度
【対情報処理関係支出総額比】
0%
10%
H16年度
H19年度
H20年度
30%
40%
33.7
H17年度
H18年度
20%
60%
70%
28.9
24.7
22.6
21.7
12.9
10.4
18.1
16.5
24.3
H22年度
17.3
26.3
H23年度
16.9
26.3
H24年度
17.8
25.3
1%~3%未満
13.3
12.4
3%~5%未満
9.7
8.4
14.1
8.2
9.6
10.9
10.7
5%~7%未満
6.7
100%
12.6
20.2
33.5
10.2
12.2
12.9
90%
6.5
6.9
12.5
27.2
H21年度
6.4
7.6
7.9
25.1
80%
11.7
28.0
18.7
1%未満
50%
7.3
8.0
22.3
25.6
27.5
7.6
8.0
25.9
28.0
8.0
7%~10%未満
24.2
10%以上
注1. 情報セキュリティ対策費用の設問の回答状況と、情報セキュリティ対策費用の対情報処理関係支出総額比の分布状況。
注2. 平成 16 年度及び平成 17 年度の情報セキュリティ対策費用の情報処理関係支出総額比分布は、各回答企業の情報セキュリ
ティ対策費用と情報処理関係支出総額の回答に基づき計算。
注3. 平成 18 年度の情報セキュリティ対策費用の情報処理関係支出総額比は、以下の通り回答された情報セキュリティ対策費
用の選択肢の中間値を回答企業の情報セキュリティ対策費用総額とみなし、これと各企業が回答した情報処理関係支出総
額を用いて計算。
「200 万円未満」=100 万円、
「200 万円~400 万円」=300 万円、
「400 万円~600 万円」=500 万円、
「600 万円~800 万円」=700 万円、「800 万円~1,000 万円」=900 万円、
「1,000 万円~1,200 万円」=1,100 万円、
「1,200 万円~1,400 万円」=1,300 万円、「1,400 万円~1,600 万円」=1,500 万円、
「1,600 万円~1,800 万円」=1,700 万円、「1,800 万円~2,000 万円」=1,900 万円、
「2,000 万円以上」=4,000 万円
注4. 平成 19 年度から平成 23 年度までの情報セキュリティ対策費用の情報処理関係支出総額比は、以下の通り回答された情報
セキュリティ対策費用の選択肢の中間値を回答企業の情報セキュリティ対策費用総額とみなし、これと各企業が回答した
情報処理関係支出総額を用いて計算。
「50 万円未満」=25 万円、
「50 万円~100 万円」=75 万円、
「100 万円~150 万円」=125 万円、
「150 万円~200 万円」=175 万円、「200 万円~400 万円」=300 万円、
「400 万円~600 万円」=500 万円、
「600 万円~800 万円」=700 万円、「800 万円~1,000 万円」=900 万円、
「1,000 万円~1,500 万円」=1,250 万円、
「1,500 万円~2,000 万円」=1,750 万円、「2,000 万円~3,000 万円」=2,500 万円、
「3,000 万円~5,000 万円」=4,000 万円、「5,000 万円~1 億円」=7,500 万円、
「1 億円以上」=2 億円
注5. 情報セキュリティ対策費用の対情報処理関係支出総額比における回答企業数は、各年度以下の通り定義。
 平成 16 年度~平成 17 年度:
・ 情報セキュリティ対策費用を回答し(0 百万円を含む)
、情報処理関係支出総額について 1 百万円以上の数値を回
答した企業
 平成 18 年度~平成 23 年度:
・ 情報セキュリティ対策費用の設問で「わからない」または「発生していない」以外の選択肢を回答し、情報処理
関係支出総額について 1 百万円以上の数値を回答した企業
注6. 平成 24 年度の回答企業数は、一社平均情報セキュリティ対策費用が 4,478 社、対情報処理関係支出総額比が 2,475 社。
注7. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-2-3-1 及び概表 5-2-3-2 参照。
62
次に、「情報セキュリティ対策費用の情報処理関係支出総額比」が「1%~3%未満」の企業
の割合について、業種別にみると全 26 業種のうち 11 業種で前年度より増加し、特に「情報通
信機械器具製造業」
(前年度差+18.1 ポイント)、
「石油・石炭・プラスチック製品製造業」
(同
+12.8 ポイント)
、
「輸送用機械器具製造業」
(同+10.1 ポイント)
、
「新聞・出版業」
(同+15.8
ポイント)等における増加幅が大きかった。
また、同「1%~3%未満」の回答企業について、年間事業収入規模別にみると、年間事業収
入規模「1 億円超 5 億円以下」企業、同「20 億円超 100 億円以下」企業では回答企業の割合が
増加したのに対して、同「5 億円超 10 億円以下」企業、同「10 億円超 20 億円以下」企業、同
「100 億円超 1,000 億円以下」企業では減少した(図表 5-14)
。
図表 5-14 業種別、年間事業収入規模別にみた情報セキュリティ対策費用の
対情報処理関係支出総額比が 1%~3%未満の企業の割合の推移
【業種別】
(%)
0
10
20
30
全産業
40
25.3
製造業
28.4
食料品
22.7
繊維
30.0
パルプ・紙・紙加工品
21.1
化学
27.0
石油・石炭
33.3
窯業・土石
13.6
鉄鋼
22.2
非鉄金属・金属製品
25.8
電気機械
32.7
情報通信機械
42.1
輸送用機械
29.5
その他機械
29.8
28.4
その他製造業
非製造業
農林漁業、鉱業
24.1
9.8
建設
20.6
電気・ガス
31.1
映像・音声
20.0
新聞・出版
情報サービス
44.4
11.4
運輸・郵便
19.1
卸売
29.4
小売
33.2
金融・保険
医療
50
23.6
17.6
教育・学習支援
31.0
その他非製造業
24.3
H21年度
H22年度
63
H23年度
H24年度
60
【年間事業収入規模別】
(%)
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
H16年度
H17年度
H18年度
1億円超~5億円以下
20億円超~100億円以下
H19年度
H20年度
H21年度
5億円超~10億円以下
100億円超~1,000億円以下
H22年度
H23年度
H24年度
10億円超~20億円以下
1,000億円超~
不明
注1. 情報セキュリティ対策費用の対情報処理関係支出総額比が 1%~3%未満の企業の割合の推移。
注2. 計算方法及び分母の回答企業数の定義は、図表 5-13参照。
注3. 平成 17 年度までは年間事業収入規模階級の境界値は下位の階級に属したが、平成 18 年度以降は上位の階級に属している
(100 億円~1,000 億円の場合、平成 17 年度までは年間事業収入 100 億円以上 1,000 億円未満、平成 18 年度以降は年間
事業収入 100 億円超 1,000 億円以下)
。
注4. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 5-2-3-2 及び表 5-2-3-2-2 参照。
B) 対策費用の内訳
「情報セキュリティ対策費用の内訳構成比37」をみると、<技術的対策>が 57.0%、<監視
体制>が 19.6%、<組織的対策>が 16.3%、<評価の実施>が 7.1%となり、引き続き技術的
対策が中心であった。また、前年度の構成比と比較すると、<組織的対策>、<評価の実施>
がそれぞれ増加(前年度差+2.9 ポイント)した。
業種別にみると、<技術的対策>は「食料品、飲料・たばこ・飼料製造業」(79.2%)、「鉄
鋼業」
(77.6%)
、
「新聞・出版業」
(86.7%)、
「運輸業・郵便業」
(75.9%)等で構成比が大きく、
<監視体制>は「繊維工業」
(60.9%)、「パルプ・紙・紙加工品製造業」(49.9%)等で構成比
が大きく、<組織的対策>は「非鉄金属製品・金属製品製造業」(33.9%)、
「情報サービス業」
(32.9%)等で構成比が大きいという特徴がある(図表 5-15)。
37
情報セキュリティ対策のカテゴリーの定義は脚注 32 を参照。
64
図表 5-15 情報セキュリティ対策費用の内訳構成比の推移
0%
10%
H16年度
10.7
H17年度
10.7
20%
30%
40%
50%
60%
60.1
70%
80%
90%
15.9
100%
13.3
68.9
16.7
3.7
H18年度
14.6
63.8
17.1
4.4
H19年度
15.4
63.4
16.3
5.0
H20年度
16.9
H21年度
16.9
H22年度
H23年度
H24年度
58.9
17.6
57.6
14.7
17.5
60.4
13.4
17.8
59.3
16.3
23.1
57.0
組織的対策
技術的対策
19.6
監視体制
6.5
8.0
7.1
4.2
7.1
評価の実施
注1. 情報セキュリティ対策費用の内訳構成比。
注2. 平成 16 年度及び平成 17 年度は、各企業が回答した情報セキュリティ対策費用総額と内訳構成比の数値を用いて、各対策
費用の金額を計算し、積み上げた結果に基づき構成比を算出。
注3. 平成 18 年度は、以下の通り回答された情報セキュリティ対策費用の選択肢の中間値を回答企業の情報セキュリティ対策
費用総額とみなし、これと各企業が回答した各対策の構成比を用いて注 2.の方法で各対策の構成比を算出。
「200 万円未満」=100 万円、
「200~400 万円」=300 万円、
「400~600 万円」=500 万円、
「600~800 万円」=700 万円、
「800~1,000 万円」=900 万円、
「1,000~1,200 万円」=1,100 万円、
「1,200~1,400 万円」=1,300 万円、
「1,400~1,600 万円」=1,500 万円、
「1,600~1,800 万円」=1,700 万円、
「1,800~2,000 万円」=1,900 万円、
「2,000 万円以上」=4,000 万円
注4. 平成 19 年度以降は、以下の通り回答された情報セキュリティ対策費用の選択肢の中間値を回答企業の情報セキュリティ
対策費用総額とみなし、これと各企業が回答した各対策の構成比を用いて注 2.の方法で各対策の構成比を算出。
「50 万円未満」=25 万円、
「50~100 万円」=75 万円、
「100~150 万円」=125 万円、
「150~200 万円」=175 万円、
「200~400 万円」=300 万円、
「400~600 万円」=500 万円、
「600~800 万円」=700 万円、
「800~1,000 万円」=900 万円、
「1,000~1,500 万円」=1,250 万円、
「1,500~2,000 万円」=1,750 万円、
「2,000~3,000 万円」=2,500 万円、
「3,000~5,000 万円」=4,000 万円、
「5,000 万~1 億円」=7,500 万円、
「1 億円以上」=2 億円
注5. 平成 16 年度の構成比は、社内 IC カードを除いた情報セキュリティ対策費用総額に対する内訳構成比。
注6. 平成 24 年度の回答企業数は、1,486 社。
注7. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-2-3-3 参照。
5.7. 情報セキュリティへの対策効果
A) セキュリティ向上への寄与の状況
平成 24 年度の「情報セキュリティ対策のセキュリティ向上への寄与の状況」を【情報セキ
ュリティ対策全般】についてみると、
「寄与した」と回答した企業の割合38は 88.5%となり、前
年度(88.8%)より▲0.3 ポイントとなったものの、90%に近い値を示した。
これをカテゴリー別にみると39、<技術的対策の実施>が最も多く 87.6%(前年度差▲1.1
ポイント)
、次いで<監視体制>が 85.9%(同+0.1 ポイント)、<評価の実施>が 85.2%(同
▲1.0 ポイント)
、<組織的対策の実施>が 81.8%(同+0.5 ポイント)となった。
38
いずれかのセキュリティ対策のセキュリティ向上への寄与に関する設問に回答した企業に対する、いずれかのセキュリティ
対策でセキュリティ向上に「寄与した」と回答した企業の割合。なお、各カテゴリーに属するセキュリティ対策の構成が毎回
変わっているため、厳密な意味ではこの数値は時系列的に連続しない。
39
各カテゴリーに属するいずれかのセキュリティ対策のセキュリティ向上への寄与に関する設問に回答した企業に対する、各
カテゴリーに属するいずれかのセキュリティ対策でセキュリティ向上に「寄与した」と回答した企業の割合。
65
セキュリティ向上に寄与した企業の割合の前年度からの減少幅について、対策の種類ごとに
みると、
「リスク分析」
(同▲7.9 ポイント)、「情報セキュリティ報告書の作成」(同▲3.6 ポイ
ント)
、
「外部による情報セキュリティ監査」
(同▲3.6 ポイント)、
「情報セキュリティマネジメ
ントシステム認証取得」
(同▲3.2 ポイント)等において減少幅が大きかった。反対に上昇幅に
ついて着目すると、最も上昇幅が大きい「シンクライアントの導入」は同+6.3 ポイントであ
ったが、それ以外では同+1.0 ポイント以上の対策は存在せず、対策の種類ごとにみると全体
的に前年度よりも「セキュリティ向上に寄与した」と回答する企業の割合は減少している傾向
にある(図表 5-16)
。
図表 5-16 各情報セキュリティ対策についてセキュリティ向上に寄与した企業の割合の推移
0
20
40
【情報セキュリティ対策全般】
<組織的対策の実施>
リスク分析
セキュリティポリシーの策定
セキュリティポリシーに基づく対策の検討
情報セキュリティ報告書の作成
事業継続計画(BCP)の作成
全社的なセキュリティ管理者の配置
部門ごとのセキュリティ管理者の配置
従業員に対する情報セキュリティ教育
取引相手のセキュリティ対策状況確認
内部統制の整備強化
<技術的対策の実施>
コンピュータ室への入退室管理
システムへの内部アクセス管理
データの暗号化(PKIを含む)
クレジットカード情報の暗号化
個人情報の暗号化
外部接続へのファイアウォール
ISO/IEC15408認証取得製品導入
シンクライアントの導入
生体認証の導入
電子署名の導入
<監視体制>
セキュリティ監視ソフトの導入
外部専門家による常時セキュリティ監視
<評価の実施>
情報セキュリティ対策ベンチマークの活用
外部によるシステム監査
内部によるシステム監査
外部による情報セキュリティ監査
内部による情報セキュリティ監査
定期的な脆弱性診断の実施
定期的な脆弱性情報の取得
定期的なアクセスログの分析
情報セキュリティマネジメントシステム認証取得
H21年度
60
80
(%)
100
88.5
81.8
69.8
74.7
79.0
66.9
61.9
78.0
76.8
81.0
74.4
76.3
87.6
85.3
85.3
82.9
78.0
81.8
87.1
74.0
74.8
83.0
73.0
85.9
86.3
81.9
85.2
74.6
85.0
82.3
83.9
84.9
85.5
84.9
82.5
83.8
H22年度
H23年度
H24年度
注1. 情報セキュリティ対策のセキュリティ向上への寄与について「寄与した」と回答した企業の割合の推移。
注2. 情報セキュリティ対策全般の数値は、いずれかのセキュリティ対策のセキュリティ向上への寄与について回答した企業に
対する、いずれかのセキュリティ対策について「寄与した」と回答した企業の割合により計算。
注3. 各カテゴリーの数値は、それぞれのカテゴリーに属するいずれかのセキュリティ対策のセキュリティ向上への寄与につい
て回答した企業に対する、同カテゴリーに属するいずれかのセキュリティ対策について「寄与した」と回答した企業の割
合により計算。
注4. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 5-2-1-1 参照。
66
B) その他の効果
「情報セキュリティ対策のセキュリティ向上以外の効果」の状況をみると、回答企業の割合
が最も高かった項目は「特に効果はなかった」
(42.9%)であり、次いで「顧客・取引先からの
評価の上昇」
(25.8%)と続いた。また、効果項目のうち、「効果があった」との回答割合につ
いて、前年度からの上昇幅が最も高かった項目は「業務効率や生産性の向上」
(14.0%、前年度
差+2.1 ポイント)であった。(図表 5-17)。
図表 5-17 情報セキュリティ対策のセキュリティ向上以外の効果の推移
0
5
10
15
20
25
30
35
40
45
(%)
50
顧客・取引先からの評価の上昇
25.8
業務効率や生産性の向上
14.0
製品やサービスの質の向上
9.2
市場や投資家からの評価の上昇
3.5
その他
18.5
特に効果はなかった
42.9
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. 情報セキュリティ対策のセキュリティ向上以外の効果として、各効果をあげた企業の割合の推移(複数回答可)
。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、3,579 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-2-1-2 参照。
5.8. 情報セキュリティ対策の阻害要因
平成 24 年度の「情報セキュリティ対策の阻害要因」をみると、最も回答企業割合が多かっ
たのは「手間・コストがかかる」であり、前年度差▲3.8 ポイントの 58.9%となった。次いで
「対策をどこまでやるべきかがわからない」(40.8%、同±0 ポイント)と続いた。
これらの阻害要因について、回答企業割合が大きい上位 3 業種を挙げると、「手間・コスト
がかかる」では「輸送用機械器具製造業」
(71.7%)、
「化学工業」
(70.9%)、
「金融業・保険業」
(70.3%)が、
「対策をどこまでやるべきかがわからない」では「石油・石炭・プラスチック製
品製造業」
(50.0%)
、
「輸送用機械器具製造業」(50.0%)が挙げられる。
年間事業収入規模別にみると、「手間・コストがかかる」では規模が大きい企業において阻
害要因との意識が高く、年間事業収入規模「100 億円超 1,000 億円以下」企業では 65.0%、同
「1,000 億円超」企業では 72.5%となった。
「対策をどこまでやるべきかがわからない」も同様
の傾向であり、年間事業収入「100 億円超 1,000 億円以下」企業では 43.1%、同「1,000 億円
超」企業では 50.2%となった。
また、経年の傾向をみると、
「予算がとれない」については 3 年連続で回答企業の割合が減
少している一方、
「実施する知識・ノウハウがない」や「専門家(CIO や CISO)がいない」では
67
反対に 3 年連続で回答企業の割合が上昇しており、情報セキュリティの推進に際して専門性が
障壁となる傾向が強まっている様子がうかがわれる(図表 5-18)。
図表 5-18 情報セキュリティ対策の阻害要因の推移
(%)
0
10
20
30
40
50
手間・コストがかかる
58.9
対策をどこまでやるべきかがわからない
40.8
実施する知識・ノウハウがない
29.1
予算がとれない
21.8
専門家(CIOやCISO)がいない
19.3
企業のセキュリティ対策方針が明確になっていない
18.3
情報セキュリティガバナンスが確立されていない
17.1
従業員の理解・協力が得られない
11.6
必要性や効果がわからない
10.3
トップの理解・協力が得られない
その他
問題はない
60
7.1
2.7
13.3
H21年度
H22年度
注1. 情報セキュリティ対策の阻害要因に関する設問(複数回答可)の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、4,491 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 5-2-2 参照。
68
H23年度
H24年度
70
80
6.クラウド・コンピューティングの利用状況
平成 24 年度の「クラウド・コンピューティング利用率」(クラウド・コンピューティング
関連費用が「発生した」と回答した企業の割合)は前年度同様のペースで堅調に拡大した。利
用形態では、「PaaS(Platform as a Service)」や「IaaS(Infrastructure as a Service)」
の利用が拡大傾向にある。利用分野では「財務・会計」、「人事・給与」を中心に様々な分野
で利用率が上昇しており、利用領域の拡大がうかがわれる。
利用の拡大の中で、課題傾向は変化の兆しをみせており、「トータルコストが高い」、「カ
スタマイズの自由度が低い」といった項目を課題としてあげる企業の割合が増加している。
今後におけるクラウド・コンピューティングの利用意向をみると、「具体的な利用予定があ
る」企業が 18.9%(前年度差+3.2 ポイント)であり、今後もさらなる利用拡大が見込まれる。
6.1. クラウド・コンピューティングの定義
クラウド・コンピューティングとは、ネットワークから提供される情報処理サービスで、ネ
ットワークとの接続環境さえあれば、ネットワークに接続している特定のコンピュータや通信
ネットワーク等の情報処理基盤を意識することなく、情報通信技術の便益やアプリケーション
を享受可能にするものをいう。クラウド・コンピューティングは、ネットワークから提供され
るサービスがアプリケーション・プログラムか、OS/データベース管理システムか、ハードウェ
アやネットワーク等かにより、SaaS(Software as a Service)
、PaaS(Platform as a Service)、
IaaS(Infrastructure as a Service)に分かれる40。
6.2. 利用状況
A) クラウド・コンピューティング関連費用の発生状況
平成 24 年度の「クラウド・コンピューティング利用率」は前年度差+6.4 ポイントの 28.2%
となり、平成 18 年度の調査開始以来最高となった41。「クラウド・コンピューティング関連費
用の対情報処理関係支出総額比」をみると、「5%(未満)」をあげた企業の割合が 54.0%(前
年度差+1.4 ポイント)と最も大きく、また上昇幅においても最も大きかった(図表 6-1)。
40
厳密には、それぞれ以下の通り定義される。
 SaaS(Software as a Service)
:
・ 「ライセンス契約」という形でパッケージソフトを販売する従来の形式とは異なり、インターネット等のネット
ワークを介して、顧客に必要なアプリケーションソフトの機能をサービスとして提供し、月額使用料で収入を得
る販売形態。ASP(ApplicationService Provider)も同様のサービスであるが、特に1つのシステムプラットフ
ォームで複数の顧客のアプリケーションが動作する形式のものが、SaaS といわれている。
 PaaS(Platform as a Service)
:
・ SaaS 的に使用されるアプリケーションソフトウェアの作成、カスタマイゼーション、保守自体をネットワーク経
由で行うことを可能にしたシステム形態。
 IaaS(Infrastructure as a Service):
・ 仮想マシン(「仮想化技術」により物理的なコンピュータを分割し、独立した OS により動作する論理的なコンピ
ュータ)を直接的に操作可能にしたもの。
41
平成 20 年度までは SaaS 関連費用の発生状況の設問であったが、平成 21 年度以降クラウド・コンピューティング関連費用
の発生状況の設問に変更された。
69
図表 6-1 クラウド・コンピューティング利用率とクラウド・コンピューティング関連費用の大きさの推移
【クラウド・コンピューティングの利用率】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
H18年度*
6.6
93.4
H19年度*
7.1
92.9
H20年度*
8.4
91.6
H21年度*
7.6
92.4
H21年度
9.7
H22年度
80%
90%
100%
80%
90%
100%
90.3
16.0
H23年度
70%
84.0
21.8
H24年度
78.2
28.2
71.8
発生した
発生しなかった
【クラウド・コンピューティング関連費用の対情報処理関係支出総額比】
0%
10%
20%
30%
H18年度*
40%
50%
60%
70%
60.5
H19年度*
12.5
65.1
H20年度*
10.7
61.1
H21年度*
7.4
8.0
11.0
64.1
9.7
13.4
9.3
H21年度
58.9
13.0
12.5
H22年度
59.1
12.4
11.8
H23年度
52.6
H24年度
16.3
54.0
12.2
14.8
13.1
5%未満
5~10%未満
10~15%未満
15~20%未満
20~25%未満
25~30%未満
30~50%未満
50~70%未満
70%以上
わからない
注1. クラウド・コンピューティング関連費用の発生状況に関する設問、クラウド・コンピューティング関連費用の対情報処理
関係出総額比に関する設問の回答状況。
注2. 各グラフで「*」は、SaaS 関連費用に関する各設問の回答状況を表示。
注3. 「H21*」は、クラウド・コンピューティングの利用形態に関する設問で「SaaS」を回答した企業における各設問の回答状
況を計算。
注4. 平成 21 年度の SaaS 関連費用の発生状況は、以下の通り計算。なお、この数値は概表 6-1 等の公表された集計表には掲載
されていない。
 発生した:
・ クラウド・コンピューティングの利用形態に関する設問で「SaaS」を回答し、クラウド・コンピューティング関
連費用の発生状況に関する設問で「発生した」と回答した企業
 発生しなかった:
・ 上記の「発生した」と回答した企業以外の企業
注5. 平成 21 年度の SaaS 関連費用の対情報処理関係支出総額比は、クラウド・コンピューティングの利用形態に関する設問で
「SaaS」を回答した企業についての、クラウド・コンピューティング関連費用の対情報処理関係支出総額比に関する設問
の回答状況を表示。なお、この数値は概表 6-1 等の公表された集計表には掲載されていない。
注6. 平成 24 年度の回答企業数は、以下の通り。
クラウド・コンピューティング関連費用の発生状況に関する設問 4,671 社。
クラウド・コンピューティング関連費用の対情報処理関係支出総額比に関する設問 1,215 社。
注7. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 6-1 参照。
70
業種別にみると、「パルプ・紙・紙加工品製造業」、「石油・石炭・プラスチック製品製造
業」、「鉄鋼業」を除く全ての業種において前年度より上昇した。ただし、これら 3 業種は前
年度に大きく上昇した業種であり、前々年度比では引き続き大きく上昇している。
また年間事業収入規模別にみると42、全ての規模で前年度よりも上昇しており、特に年間事
業収入規模「1,000 億円超」企業における上昇幅(前年度差+11.6 ポイント)が前年度に続き、
最も大きかった(図表 6-2)。
図表 6-2 業種別、年間事業収入規模別にみたクラウド・コンピューティング利用率の推移
【業種別】
0
10
20
30
全産業
(%)
50
40
28.2
製造業
31.8
食料品
26.7
繊維
33.3
パルプ・紙・紙加工品
18.4
化学
石油・石炭
48.1
26.0
窯業・土石
30.2
鉄鋼
27.5
非鉄金属・金属製品
18.9
電気機械
33.7
情報通信機械
31.4
輸送用機械
39.2
その他機械
31.8
その他製造業
36.0
非製造業
農林漁業、鉱業
27.0
13.3
建設
25.8
電気・ガス
28.6
映像・音声
44.0
新聞・出版
37.1
情報サービス
38.7
運輸・郵便
20.0
卸売
27.5
小売
22.7
金融・保険
医療
37.9
11.3
教育・学習支援
29.9
30.4
その他非製造業
H21年度
42
H22年度
H23年度
H24年度
クラウド・コンピューティングの導入は企業業績により左右されるといわれていることから、企業業績と関係性が最も深い
年間事業収入規模を、規模別動向を把握するための基準とした。
71
【年間事業収入規模別】
0
10
20
30
40
50
(%)
70
60
1億円超~5億円以下
14.0
5億円超~10億円以下
12.3
10億円超~20億円以下
15.9
20億円超~100億円以下
21.1
100億円超~1,000億円以下
35.5
1,000億円超~
62.7
不明
24.2
合計
28.2
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. クラウド・コンピューティング関連費用の発生状況に関する設問の回答企業における、クラウド・コンピューティング関
連費用が「発生した」と回答した企業の割合。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 6-1 及び表 6-1-2 参照。
B) クラウド・コンピューティングの利用形態
クラウド・コンピューティングの利用形態をみると、「SaaS」を回答した企業が 76.5%(前
年度差+0.3 ポイント)と最も多かった。他の利用形態については、「PaaS」が前年度差+2.1
ポイントの 15.9%、「IaaS」が同+3.9 ポイントの 23.6%、「その他」が同▲1.3 ポイントの
7.8%であった。このように、クラウド・コンピューティングの利用の中心は「SaaS」であるが、
「PaaS」や「IaaS」についても利用が拡大しており、クラウド・コンピューティングの利用形
態が多様化していることがうかがわれる(図表 6-3)。
図表 6-3 クラウド・コンピューティングの利用形態の推移
0
10
20
30
IaaS
その他
50
60
70
81.0
76.5
76.2
76.5
SaaS
PaaS
40
10.0
14.2
13.8
15.9
10.4
15.8
19.7
23.6
8.4
9.0
9.1
7.8
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. クラウド・コンピューティングの利用形態に関する設問(複数回答可)の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、1,268 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 6-2 参照。
72
80
(%)
90
C) クラウド・コンピューティングの利用分野
平成 24 年度の「クラウド・コンピューティングの利用分野」をみると、「グループウェア、
文書管理」をあげた企業が 39.3%と最も多かった。前年度と比較すると、「グループウェア、
文書管理」は前年度差+0.3 ポイントとほぼ横ばいの伸びであった。特に上昇幅が大きかった
のは、「財務・会計」の同+4.4 ポイント、「人事・給与」の同 3.7 ポイントである。「販売」、
「物流」、「その他」を除く全ての利用分野で上昇しており、引き続き利用分野の広がりがう
かがわれる(図表 6-4)。
図表 6-4 クラウド・コンピューティングの利用分野の推移
(%)
0
10
20
30
40
グループウェア、文書管理
39.3
販売
25.9
セキュリティ
15.0
財務・会計
19.1
人事・給与
17.4
調達
10.4
生産・サービス提供
物流
カスタマーサポート
開発・設計
50
9.1
6.3
6.3
4.6
その他
28.3
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. クラウド・コンピューティングの利用企業におけるクラウド・コンピューティングの利用分野として、各分野を回答した
企業の割合(複数回答可)。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、1,278 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 6-3 参照。
「グループウェア、文書管理」を回答した企業に注目して、業種別にみると、全 26 業種中
14 業種で上昇し、
「鉄鋼業」、「農林漁業・同協同組合、鉱業」等において大きく上昇した。
年間事業収入規模別にみると、
「10 億円超 20 億円以下」の企業の利用割合が 50.6%(前年度差
+20.6 ポイント)と最も高かった(図表 6-5)。
73
図表 6-5 業種別、年間事業収入規模別にみた
クラウド・コンピューティングを「グループウェア、文書管理」に利用している企業の割合の推移
【業種別】
(%)
0
10
20
30
40
全産業
50
60
70
80
39.3
製造業
41.7
食料品
29.5
繊維
25.0
パルプ・紙・紙加工品
28.6
化学
59.6
石油・石炭
38.5
窯業・土石
41.7
鉄鋼
63.6
非鉄金属・金属製品
45.0
電気機械
28.6
情報通信機械
37.5
輸送用機械
33.3
その他機械
53.1
その他製造業
40.9
非製造業
38.3
農林漁業、鉱業
50.0
建設
45.7
電気・ガス
34.6
映像・音声
36.4
新聞・出版
15.4
情報サービス
48.9
運輸・郵便
41.7
卸売
39.8
小売
48.5
金融・保険
22.0
医療
21.1
教育・学習支援
21.7
その他非製造業
35.9
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
【年間事業収入規模別】
(%)
0
20
40
60
1億円超~5億円以下
80
100
50.0
5億円超~10億円以下
33.3
10億円超~20億円以下
50.6
20億円超~100億円以下
36.4
100億円超~1,000億円以下
36.1
1,000億円超~
44.7
不明
43.5
合計
39.3
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. クラウド・コンピューティングの利用企業において、利用分野として「グループウェア、文書管理」を回答した企業の割
合(複数回答可)
。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 6-3 参照。
74
D) SLA の締結状況
「クラウド・コンピューティング利用に関する SLA43の締結状況」をみると、
「締結している」
と回答した企業の割合(以下「SLA 締結率」という)は前年度差▲0.9 ポイントの 45.5%とな
った。
締結内容別にクラウド・コンピューティングの「SLA 締結項目」をみると、
「その他」を除き、
全項目において前年度から上昇した。このうち、上昇幅が大きかった項目は「サービス提供時
間」
(72.7%、前年度差+5.7 ポイント)、
「データ管理」
(50%、同+4.2 ポイント)、
「システム
障害の対応レベル」
(49.3%、同+4.2 ポイント)等であった。(図表 6-6)。
図表 6-6 クラウド・コンピューティング利用に関する SLA の締結状況と締結項目の推移
【SLA 締結率】
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
H18年度*
43.9
56.1
H19年度*
43.8
56.2
H20年度*
43.1
56.9
H21年度*
38.7
H21年度
90%
100%
61.3
40.5
59.5
H22年度
46.0
54.0
H23年度
46.4
53.6
H24年度
45.5
54.5
締結している
締結していない
【SLA の締結項目】
0
10
20
30
40
50
60
サービス提供時間
72.7
サポートデスクのサービスレベル
54.0
サービス稼働率
50.7
データ管理
50.0
システム障害の対応レベル
49.3
セキュリティのサービスレベル
47.3
オンライン応答時間
その他
(%)
80
70
20.9
5.8
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
注1. SLA 締結率の時系列の「*」は、SaaS の SLA の締結状況を表している。
「H21*」の数値は、クラウド・コンピューティング
の利用形態に関する設問で「SaaS」を回答した企業における、SLA の締結状況に関する設問の回答状況を計算。
注2. クラウド・コンピューティングの SLA 締結企業における SLA の締結項目の状況を表している。
注3. 平成 24 年度の回答企業数は、以下の通り。
クラウド・コンピューティングの利用時における SLA の締結状況に関する設問 1,256 社。
クラウド・コンピューティングに関する SLA 締結項目に関する設問 556 社。
注4. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 6-4 参照。
43
SLA(Service Level Agreement)とは、提供されるサービスの範囲・内容・前提事項を踏まえた上でサービス品質に対する
利用者側の要求水準と提供者側の運営ルールについて明文化したものを指す。
75
6.3. 利用効果
次に、クラウド・コンピューティングの利用の有無により労働生産性や情報処理関係諸経費
にどのような影響があるかみてみる。
クラウド・コンピューティング関連費用の発生の有無別に「労働生産性の偏差値の分布状況」
をみると、「クラウド関連費用が発生した」企業における「(偏差値)50 以上」の割合は「ク
ラウド関連費用が発生しなかった」企業の同割合よりも高く、「50 未満」の割合は「クラウド
関連費用が発生した企業」の方が低くなった。このため、業種間の労働生産性の数値の差異は
業種ごとの背景により異なる場合が多いが、その差異の影響を鑑みても、クラウド・コンピュ
ーティングの利用企業の労働生産性の方が高い可能性があることがうかがわれる(図表 6-
7)。
図表 6-7 クラウド・コンピューティング関連費用の発生の有無別にみた労働生産性の偏差値の分布状況
0%
クラウド関連費用が発生した
クラウド関連費用が発生しなかった
10%
20%
30%
7.4
40%
50%
60%
52.2
12.1
~45未満
19.1
61.8
45~50未満
70%
50~55未満
80%
10.2
16.0
55~60未満
90%
100%
11.0
4.6 5.6
60以上
注1. クラウド・コンピューティング関連費用の発生の有無別に労働生産性の偏差値の分布状況をクロス集計。このため、概表
6-1 等の公表された統計表には集計結果が掲載されていない。
注2. 労働生産性は、従業者 1 人当たり年間事業収入により計算。ただし、この値は名目値であり、業種間の単価等の差異の影
響を受けやすいため、この影響を調整するため、業種ごとの労働生産性の標本平均と標本標準偏差を用いて下式の偏差値
を求め、その分布状況をクロス集計した。
企業 i の労働生産性の偏差値=50+10×(企業 i の労働生産性-企業 i が属する業種の標本平均)÷企業 i が属する業種
の標本標準偏差。
注3. 平成 24 年度の回答企業数は、以下の通り。
クラウド・コンピューティング関連費用が発生した企業:1,249 社
クラウド・コンピューティング関連費用が発生しなかった企業 3,133 社。
また、クラウド・コンピューティング関連費用の発生の有無別に「情報処理関係諸経費 44の
対年間事業収入比の分布状況」をみると、「クラウド関連費用が発生した」企業の方が「クラ
ウド関連費用が発生しなかった」企業よりも「情報処理関係諸経費の対年間事業収入比」の割
合が高い方に分布していることから、クラウド・コンピューティング利用企業の方が IT への投
資に積極的であることがうかがわれる(図表 6-8)。
44
情報処理関係諸経費の定義については、図表 1-1参照。
76
図表 6-8 クラウド・コンピューティング関連費用の発生の有無別にみた情報処理関係諸経費の
対年間事業収入比の分布状況
0%
10%
20%
クラウド関連費用が発生した
30%
40%
50%
60%
46.1
70%
24.6
クラウド関連費用が発生しなかった
10.4
65.8
0%~0.5%
80%
3.7
15.2
0.5%~1%
1%~1.5%
1.5%~2%
90%
100%
15.3
6.6 2.8
9.6
2%以上
注1. クラウド・コンピューティング関連費用の発生の有無別に労働生産性の偏差値の分布状況をクロス集計。このため、概表
6-1 等の公表された統計表には集計結果が掲載されていない。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、以下の通り。
クラウド・コンピューティング関連費用が発生した企業:956 社
クラウド・コンピューティング関連費用が発生しなかった企業:2,348 社
6.4. 導入・利用メリット
クラウド・コンピューティング利用企業における「クラウド・コンピューティングの導入・
利用のメリット」をみると、
「導入までの期間が短い」をあげた企業の割合が 57.9%と最も高
く、
「初期コストが安い」
(53.7%)
、
「技術的な専門知識がなくても導入できる」
(36.1%)が続
いた。前年度からの変化幅をみると、上昇幅が最も大きかったのは「運用コストが安い」
(前年
度差+5.0 ポイント)で、次に「セキュリティ面での信頼性・安全性が高い」(同+4.9 ポイン
ト)が続いた(図表 6-9)
。
図表 6-9 クラウド・コンピューティングの導入・利用のメリットの推移
0
10
20
30
40
50
60
導入までの期間が短い
57.9
初期コストが安い
53.7
技術的な専門知識がなくても導入できる
36.1
運用コストが安い
34.0
セキュリティ面での信頼性・安全性が高い
33.3
ユーザーアカウントの追加などサービス拡張が容易
24.6
ソフトウェア利用の停止・解除が容易
20.0
サービス・プラットフォームの定期的な機能拡張ができる
18.5
既存システムや他サービスとの連携が容易
カスタマイズが容易
4.7
4.2
その他
7.8
H21年度
注1. 平成 24 年度の回答企業数は、1,267 社。
注2. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 6-5 参照。
77
H22年度
H23年度
H24年度
(%)
70
6.5. 導入・利用上の課題
平成 24 年度の「クラウド・コンピューティングの導入・利用上の課題45」をみると、「シス
テムの信頼性・安全性が不十分」をあげた企業の割合が 37.3%と最も高く、次に「重要データ
を社外に出せない」
(33.5%)
、
「トータルコストが高い」(30.7%)が続いた。経年の傾向をみ
ると、利用が普及拡大していく中で「既存システムとの連携ができない」、
「自社のプロセスの
変更が必要」
、
「必要なアプリケーションや機能が提供されていない」等の項目を課題として回
答した企業の割合は減少傾向にある一方で、
「トータルコストが高い」、
「カスタマイズの自由度
が低い」といった項目を課題としてあげる企業の割合が増加傾向であった。
年間事業収入規模別にみると46、年間事業収入規模「100 億円以下」企業、同「100 億円超 1,000
億円以下」企業、同「1,000 億円超」企業に共通して「システムの信頼性・安全性が不十分」、
「重要データを社外に出せない」
、
「トータルコストが高い」、「既存システムとの連携ができな
い」の回答企業割合が高く、いずれの企業規模においても、システムに対する不安や使いにく
さ、コスト高が課題となっている。
さらに、クラウド・コンピューティング関連費用の発生の有無別にみると、クラウド関連費
用が発生した企業では、
「カスタマイズの自由度が低い」、
「重要データを社外に出せない」、
「既
存システムとの連携ができない」
、
「トータルコストが高い」の回答企業割合が、クラウド関連
費用が発生しなかった企業では「システムの信頼性・安全性が不十分」、「重要データを社外に
出せない」
、
「トータルコストが高い」
、「既存システムとの連携ができない」の回答企業割合が
高かった(図表 6-10)
。
図表 6-10 クラウド・コンピューティングの導入・利用上の課題の推移
【回答企業全体】
(%)
0
5
10
15
20
25
30
35
システムの信頼性・安全性が不十分
45
37.3
重要データを社外に出せない
33.5
トータルコストが高い
30.7
既存システムとの連携ができない
30.3
カスタマイズの自由度が低い
27.7
自社のビジネスプロセスの変更が必要
21.0
サービス保証などに関する契約内容が不十分
13.5
必要なアプリケーションや機能が提供されていない
13.3
APIが標準化されていない
メリットが少ない
40
8.5
5.9
その他
11.5
H21年度
45
H22年度
H23年度
H24年度
クラウド・コンピューティング関連費用が発生しなかった企業も含め回答。なお、前年度までの SaaS の導入・利用上の課
題に関する設問から、平成 21 年度クラウド・コンピューティングの導入・利用上の課題に関する設問に変更されたため、時
系列比較はできなくなっている。
46
軸が煩雑になることを避けるため、3 階級にまとめることとした。
78
【年間事業収入規模別】
(%)
0
10
20
30
40
50
システムの信頼性・安全性が不十分
重要データを社外に出せない
トータルコストが高い
既存システムとの連携ができない
カスタマイズの自由度が低い
自社のビジネスプロセスの変更が必要
サービス保証などに関する契約内容が不十分
必要なアプリケーションや機能が提供されていない
APIが標準化されていない
メリットが少ない
その他
~100億円以下
100億円超~1,000億円以下 1,000億円超~
【クラウド・コンピューティング関連費用の発生の有無別】
(%)
0
10
20
30
26.5
システムの信頼性・安全性が不十分
サービス保証などに関する契約内容が不十分
11.6
41.8
19.3
21.8
カスタマイズの自由度が低い
20.2
32.9
34.0
31.1
30.1
29.8
31.2
重要データを社外に出せない
既存システムとの連携ができない
トータルコストが高い
APIが標準化されていない
1.3
47.3
13.7
6.4
7.6
必要アプリケーションや機能が提供されていない
その他
50
18.6
自社のビジネスプロセスの変更が必要
メリットが少ない
40
12.5
7.5
15.3
12.9
クラウド・コンピューティング関連費用が発生した
クラウド・コンピューティング関連費用が発生しなかった
注1. クラウド・コンピューティングの導入・利用上の課題に関する設問(複数回答可)の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 6-6 及び表 6-6-2 参照。ただし、クラウド・コンピューティング
関連費用の発生の有無別については、クラウド・コンピューティング関連費用の発生状況に関するの設問の回答結果に基
づきクロス集計。このため、概表 6-6 等の公表された集計表には集計結果が掲載されていない。
79
6.6. 将来の利用意向
今後におけるクラウド・コンピューティングの利用予定の状況をみると、「具体的に導入す
る予定がある」と回答した企業は 18.9%(前年度差+3.2 ポイント)であり、3 年連続で前年
を上回った。一方、
「具体的な導入計画はないが、関心はある」と回答した企業の割合は前年度
差▲3.4 ポイントの 44.2%となっているが、
「導入の予定はない」と回答した企業の割合は前年
度差±0 の 36.8%であった。このことから、関心を抱いていた層が、具体的な導入を検討する
フェーズへと進んできている可能性を指摘できる(図表 6-11)
。
今後におけるクラウド・コンピューティングの利用予定または関心がある企業(「具体的に
導入する予定がある」または「具体的な導入計画はないが、関心はある」と回答した企業)の
割合について、業種別にみると、全 26 業種中 12 業種で前年度より回答企業割合が上昇した。
特に上昇幅が大きかった業種は「電気機械器具製造業」、「非鉄金属製品・金属製品製造業」等
であった。
年間事業収入規模別にみると、今後におけるクラウド・コンピューティングの「利用予定」
または「関心がある」企業の割合は、年間事業収入規模が大きくなるほど高くなる傾向にあり、
最もその割合が高かったのは「1,000 億円超」の企業で 89.2%(前年度差▲0.8 ポイント)で
あった。一方、前年度からの上昇幅が最も大きかったのは年間事業収入規模「1 億円超 5 億円
以下」の企業(前年度差+10.0 ポイント)であり、想定的に規模が小さい事業者においても普
及が進展している様子がうかがわれる(図表 6-12)
。
図表 6-11 今後におけるクラウド・コンピューティングの利用予定の推移
(%)
0
10
20
30
40
8.2
具体的に導入する予定である
13.4
15.7
18.9
46.6
48.7
具体的な導入計画はないが、関心がある
47.6
44.2
45.1
導入の予定はない
37.9
36.8
36.8
H21年度
注1. 平成 24 年度の回答企業数は、4,505 社。
注2. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 6-7 参照。
80
H22年度
H23年度
H24年度
50
60
図表 6-12 業種別、年間事業収入規模別にみた今後におけるクラウド・コンピューティングの利用予定
または関心がある企業割合の推移
【業種別】
(%)
0
20
40
60
80
全産業
100
63.2
製造業
66.1
食料品
60.6
繊維
58.6
パルプ・紙・紙加…
45.9
化学
75.0
石油・石炭
62.0
窯業・土石
61.9
鉄鋼
66.7
非鉄金属・金属…
69.4
電気機械
64.7
情報通信機械
65.3
輸送用機械
69.3
その他機械
72.4
その他製造業
64.5
非製造業
62.2
農林漁業、鉱業
48.4
建設
61.0
電気・ガス
64.8
映像・音声
67.3
新聞・出版
80.0
情報サービス
78.6
運輸・郵便
54.5
卸売
61.9
小売
64.0
金融・保険
75.9
医療
42.5
教育・学習支援
68.8
その他非製造業
60.3
H21年度
H22年度
H23年度
H24年度
【年間事業収入規模別】
(%)
0
20
40
1億円超~5億円以下
60
80
100
43.3
5億円超~10億円以下
38.0
10億円超~20億円以下
44.3
20億円超~100億円以下
59.1
100億円超~1,000億円
以下
74.0
1,000億円超~
89.2
不明
56.6
合計
63.2
H21年度
H22年度
H23年度
注1. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 6-7 及び表 6-7-2 参照。
81
H24年度
7.スマートフォン及びタブレット端末の業務利用の状況
平成 24 年度のスマートフォン及びタブレット端末の業務での利用率は、タブレット端末を
中心に堅調に拡大した。
このような普及拡大に伴い、スマートフォン及びタブレット端末の業務利用においては、実
運用上での環境整備やルール等の仕組みの構築の面での課題感が強まっている傾向にあるもの
とみられる。
7.1. スマートフォン及びタブレット端末の定義
「スマートフォン」とは、携帯電話のうち、音声通話以外にウェブ閲覧、電子メールの送受
信、文書の作成・閲覧、写真・音楽・ビデオの再生・閲覧等の多様な機能を持ち、汎用の OS
を搭載しており、利用者が後からソフトウェア(アプリケーション)を追加することができる
携帯電話とする。
また、「タブレット端末」とは、タッチパネルディスプレイを搭載し、主に指先でタッチし
て操作する携帯型端末(携帯電話を除く)とする。
7.2. 業務における利用状況
A) スマートフォン及びタブレット端末の業務利用の状況
平成 24 年度は、全体の 39.2%の企業がスマートフォンまたはタブレット端末を業務で利用
している結果となり、前年度よりも 30.1%から 9.1 ポイント上昇した。内訳をみると、「スマ
ートフォンを利用した」企業は 24.2%(前年度差+4.3 ポイント)、「タブレット端末を利用し
た」企業は 31.8%(同+9.3 ポイント)、
「両方利用した」企業は 16.8%(同 4.5 ポイント)と、
特にタブレット端末の普及が進んでいることがうかがわれる47。
業種別にみると、前年度の結果も併せて解釈すると、情報サービス業(55.7%、前年度 49.5%)、
「映像・音声情報制作・放送・通信業」
(52.9%、同 41.8%)等において相対的に導入が進んでい
る一方で、
「医療業(国・公立を除く)」
(15.3%、同 10.1%)、
「農林漁業・同協同組合、鉱業」
(21.4%、同 10.9%)
、
「運輸業・郵便業」(23.0%、19.5%)等においては、相対的に導入が
進んでいない傾向がみられる。
年間事業収入規模別にみると、規模が大きいほど利用が進んでおり、年間事業収入規模
「1,000 億円以上」になると利用率が急激に上昇する傾向が引き続きみられた(図表 7-1)
。
47
「スマートフォンを利用した」企業の割合は、
「スマートフォンのみを利用した」及び「両方利用した」の合計、
「タブレッ
ト端末を利用した」企業の割合は、
「タブレット端末のみを利用した」及び「両方利用した」の合計により算出しているため、
概表 7-1 等の数値とは異なる。
82
図表 7-1 スマートフォン及びタブレット端末の業務での利用率と推移
【回答企業全体】
0%
H23年度
H24年度
20%
12.3
7.6
40%
60%
10.2
16.8
80%
100%
69.9
7.4
15.0
60.8
両方利用した
スマートフォンのみを利用した
タブレット端末のみを利用した
両方とも利用しなかった
【業種別】
0%
全産業
20%
16.8
製造業
食料品
20.2
18.2
12.1
窯業・土石
11.6
鉄鋼
非鉄金属・金属製品
15.2
5.6
11.6
20.7
22.5
4.6
65.5
12.6
11.8
25.5
6.8
その他製造業
24.0
12.0
15.7
6.2
49.7
15.2
48.8
15.6
62.5
78.6
5.9
13.6
60.7
73.1
35.3
25.0
2.0
5.6
7.2
16.5
14.9
12.6
15.7
9.8
7.9
8.3
4.2
11.0
44.3
17.2
58.1
20.9
4.4
59.9
32.1
50.9
84.7
21.1
18.1
55.6
77.0
11.9
8.6
47.1
13.9
34.9
7.9
小売
教育・学習支援
53.2
18.0
11.8 3.2 11.8
卸売
その他非製造業
58.8
7.3
17.3
情報サービス
医療
12.1
19.8
新聞・出版
金融・保険
62.1
9.8
その他機械
映像・音声
42.5
19.5
27.4
建設
49.0
69.8
輸送用機械
農林漁業、鉱業
50.0
11.8
20.0
6.2
19.6
運輸・郵便
12.0
7.0
15.0
8.8
電気機械
電気・ガス
54.5
57.9
27.5
情報通信機械
非製造業
60.2
15.8
32.4
11.8
55.5
10.8
13.2
化学
石油・石炭
80%
60.8
13.4
14.5
13.2
60%
15.0
10.9
14.5
繊維
パルプ・紙・紙加工品
40%
7.4
8.7
69.9
14.5
58.8
両方利用した
スマートフォンのみを利用した
タブレット端末のみを利用した
両方とも利用しなかった
83
100%
【年間事業収入規模別】
0%
10%
~1億円以下
11.1
1億円超~5億円以下
10.8
5億円超~10億円以下
8.0
10億円超~20億円以下
40%
6.8
6.2
100%
77.0
13.2
7.0
16.8
90%
55.6
6.9
64.8
19.9
54.7
40.9
合計
80%
77.5
7.9
14.0
70%
78.4
7.5
1,000億円超~
60%
11.1
7.6
17.6
不明
50%
3.9 6.9
14.4
100億円超~1,000億円以下
30%
22.2
10.0
20億円超~100億円以下
20%
7.8
21.9
15.7
7.4
29.4
63.2
15.0
60.8
両方利用した
タブレット端末のみを利用した
スマートフォンのみを利用した
両方とも利用しなかった
注1. スマートフォン及びタブレット端末の業務利用状況に関する設問の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 7-1 及び表 7-1-2 参照。
B) スマートフォン及びタブレット端末の業務利用における社内無線 LAN 利用状況
スマートフォンやタブレット端末を業務利用する上で、社内無線 LAN を利用している企業は
全体で 48.0%であり、そのうち新規に社内無線 LAN を敷設した企業が 14.4%、既存の社内無線
LAN を活用した企業が 33.6%であった。
業種別にみると、「教育(国・公立を除く)、学習支援業」、「映像・音声情報制作・放送・通信
業」
、
「新聞・出版業」等における利用率が高かった。
年間事業収入規模別にみると、社内無線 LAN の利用率では年間事業収入規模「20 億円超 100
億円以下」企業が 51.7%と最も高く、一方で同「1,000 億円超」企業は 41.0%と最も低い結果
であった(図表 7-2)
。
図表 7-2 スマートフォン及びタブレット端末の業務利用における社内無線 LAN の利用率
【回答企業全体】
0%
10%
H23年度
13.6
H24年度
14.4
20%
30%
40%
50%
60%
31.3
70%
80%
90%
51.5
33.6
48.9
新規に社内無線LANを敷設して利用している 既存の社内無線LANを利用している
社内無線LANは利用していない
わからない
84
100%
3.7
3.1
【業種別】
0%
20%
全産業
14.4
製造業
13.7
食料品
40%
33.6
48.9
28.6
18.5
11.5
窯業・土石
20.4
39.5
16.7
輸送用機械
12.3
その他機械
9.0
その他製造業
35.7
47.6
映像・音声
23.1
新聞・出版
25.0
14.7
運輸・郵便
13.5
卸売
12.8
小売
12.6
金融・保険
13.0
15.8
51.7
4.3
2.7
73.9
57.7
19.2
43.8
25.0
38.2
6.3
46.3
24.0
0.7
60.4
27.7
2.1
52.3
45.1
7.2
40.0
18.2
2.3
64.9
医療 3.8
3.9
61.5
34.6
19.4
その他非製造業
3.4
42.1
31.3
21.7
1.3
47.6
15.8
14.3
情報サービス
47.4
47.5
34.3
電気・ガス
3.1
54.4
31.1
26.3
7.9
40.6
42.3
14.7
教育・学習支援
42.1
33.3
農林漁業、鉱業
建設
9.5
43.8
19.7
非製造業
7.7
57.1
12.5
情報通信機械
1.9
3.8
53.8
14.3
10.5
電気機械
59.3
69.2
30.8
19.0
非鉄金属・金属製品
42.9
50.0
15.4
7.7
鉄鋼
2.5
3.0
43.8
化学
3.1
62.1
28.6
6.3
100%
52.1
24.2
繊維
石油・石炭
80%
31.7
10.6
パルプ・紙・紙加工品
60%
66.1
15.5
14.5
31.6
49.0
3.9
新規に社内無線LANを敷設して利用している
既存の社内無線LANを利用している
社内無線LANは利用していない
わからない
【年間事業収入規模別】
0%
1億円超~5億円以下
5億円超~10億円以下
10億円超~20億円以下
20億円超~100億円以下
10%
18.2
15.4
13.7
11.6
100億円超~1,000億円以下
15.4
1,000億円超~
15.9
不明
合計
20%
30%
27.3
50%
60%
70%
80%
90%
50.0
37.1
42.7
40.1
4.5
52.8
25.1
2.0
58.3
43.3
33.6
0.7
33.7
48.9
新規に社内無線LANを敷設して利用している
社内無線LANは利用していない
3.8
6.5
43.8
29.8
100%
4.5
48.1
32.7
18.3
14.4
40%
4.8
3.1
既存の社内無線LANを利用している
わからない
注1. スマートフォン及びタブレット端末の業務利用における社内無線 LAN の利用状況に関する設問の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 7-4 及び表 7-4-2 参照。
85
7.3. 業務における利用目的
次に、スマートフォン及びタブレット端末の業務での利用目的をみると、「営業活動の効率
化」と回答した企業が全体で 62.5%(前年度差+4.1 ポイント)と最も多く、次に「社内コミ
ュニケーションの円滑化」が 45.3%(同+3.0 ポイント)と続いた。
年間事業収入規模別にみると、いずれも「営業効率化」等の回答割合が高い一方で、「従業
員管理の強化」等の回答割合が低いというように、規模にかかわらず回答項目間での回答割合
の高低については近しい傾向が見受けられる。また、
「社内コミュニケーションの円滑化」や「業
務時間の短縮」
、
「最新技術の導入」については、年間事業収入規模が大きいほど、高い回答割
合となっている(図表 7-3)
。
図表 7-3 スマートフォン及びタブレット端末の業務での利用目的の推移
【回答企業全体】
(%)
0
10
20
30
40
50
60
営業活動の効率化
62.5
社内コミュニケーションの円滑化
45.3
業務時間の短縮
24.3
ファイル・データの共有
20.8
最新技術の導入
15.8
コストの削減
10.2
企業イメージの向上
ソフトウェアの開発
従業員管理の強化
70
8.3
4.4
2.8
その他
13.0
H23年度
H24年度
【年間事業収入規模別】
0
20
40
60
80
営業活動の効率化
社内コミュニケーションの円滑化
業務時間の短縮
ファイル・データの共有
最新技術の導入
コストの削減
企業イメージの向上
ソフトウェアの開発
従業員管理の強化
その他
~100億円以下
100億円超~1,000億円以下
1,000億円超~
注1. スマートフォン及びタブレット端末の業務利用目的に関する設問(複数回答可)の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、1,836 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 7-3 参照。
86
(%)
100
7.4. 業務利用に係る費用
平成 24 年度における「スマートフォン及びタブレット端末の業務利用に係る費用の対情報
処理関係支出総額比」は、回答企業全体で 0.8%となっており、全般的にスマートフォン及び
タブレット端末の業務利用に係るコストは、情報処理関係支出全体でみると軽微であることが
うかがわれる。
また、年間事業収入規模別にみると、規模が大きいほど支出総額に占めるスマートフォン及
びタブレット端末の業務利用に係る費用は小さくなる傾向がみられる(図表 7-4)
。
図表 7-4 スマートフォン及びタブレット端末の業務利用に係る費用の対情報処理関係支出総額比
【年間事業収入規模別】
0.0
1.0
1億円超~5億円以下
2.0
3.0
4.0
1.8
10億円超~20億円以下
6.0
20億円超~100億円以下
1.9
100億円超~1,000億円以下
0.7
1,000億円超~
合計
(%)
7.0
6.0
1.1
5億円超~10億円以下
不明
5.0
0.8
0.4
0.8
H23年度
H24年度
注1. スマートフォン及びタブレット端末の業務利用における費用負担の対情報処理関係支出総額比に関する設問の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数及び集計結果の詳細は、概表 7-2 及び表 7-2-2 参照。
7.5. 業務利用上の課題
スマートフォン及びタブレット端末の業務利用における課題として、「セキュリティへの不
安」が全体の 57.8%(前年度差▲1.3 ポイント)と最も高く、次に「スマートフォン(タブレ
ット端末)の業務利用ルールの策定が難しい」が 37.9%(同+5.2 ポイント)、「スマートフォ
ン(タブレット端末)に対応したシステム環境を整備できない」が 36.3%(同+5.3 ポイント)
と続いた。スマートフォン及びタブレット端末の業務利用が進むに伴い、実運用上での環境整
備やルール等の仕組みの構築の面での課題感が強まっている傾向にあるものと考えられる(図
表 7-5)
。
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図表 7-5 スマートフォン及びタブレット端末の業務利用上の課題
0
20
40
60
セキュリティへの不安
(%)
80
57.8
スマートフォン(タブレット端末)の業務利用ルールの策定が難しい
37.9
スマートフォン(タブレット端末)に対応したシステム環境を整備できない
36.3
スマートフォン(タブレット端末)の業務利用のメリットが少ない
31.7
既存のシステムとの連携ができない
28.4
スマートフォン(タブレット端末)の管理負担が重い
24.8
業務用としてスマートフォン(タブレット端末)を購入する余裕がない
15.5
個人用スマートフォン(タブレット端末)を利用せざるを得ない
6.3
その他
6.6
H23年度
H24年度
注1. スマートフォン及びタブレット端末の業務利用における社内無線 LAN の利用状況に関する設問(複数回答可)の回答状況。
注2. 平成 24 年度の回答企業数は、4,636 社。
注3. 平成 24 年度の集計結果の詳細は、概表 7-5 参照。
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