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算数のよさに気付き,進んで活用しようとする態度を育てる 算数的活動の

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算数のよさに気付き,進んで活用しようとする態度を育てる 算数的活動の
研究紀要
第 184 号
算数のよさに気付き,進んで活用しようとする態度を育てる
算数的活動のあり方に関する研究
2008.3
大阪市教育センター
研究紀要
第 184 号
算数のよさに気付き,進んで活用しようとする態度を育てる
算数的活動のあり方に関する研究
本研究は,算数のよさに気付き,進んで活用しようとする態度を育て
る算数的活動のあり方を追究したものである。
まず,文献研究により算数的活動のとらえ方,算数的活動の工夫,算
数的活動を取り入れた実践,態度面の評価の内容や方法,個に応じた支
援の内容や方法について整理をした。次に,学習の理解度・到達度が低
く,児童が興味・関心をもちにくいと考えられる第 6 学年「単位量あた
りの大きさ」の単元を選択し,日常事象との関連を図るなど算数的活動
を工夫した授業を構想した。実践による検証を通して,算数的活動を工
夫し,積極的に取り入れていくことで,児童の算数の学習に対する興味・
関心が高まり,理解度・到達度が高められることを明らかにした。
【キーワード】
算数的活動
日常事象との関連
教育振興担当
當
活用しようとする態度
麻
俊
和
算数のよさ
目
はじめに
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
Ⅰ
研究のねらいと方法
Ⅱ
算数のよさに気付き,進んで活用しようとする態度を育てる算数的活動
1
2
Ⅲ
学習指導要領からとらえる算数的活動の意味と意義
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
算数的活動の意味について
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
⑵
算数的活動の意義について
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
⑴
日常の事象と算数の学習をつなぐための算数的活動
⑵
実験・実測などを通して実感を伴った理解に結びつけるための算数的活動
⑶
習得した知識や技能,数学的な考え方を活用するための算数的活動
算数的活動を取り入れた授業づくり
PDCAサイクルをもとにした授業づくり
2
単元を通した学習活動の構築
・・5
・・・・5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
⑴
研究単元設定の理由
⑵
教材解釈から見えてきた学習内容の関連
⑶
単元の評価規準
⑷
診断的評価においての実態把握
⑸
本単元の指導計画案
⑹
授業の実際と考察
⑺
総括的評価から読み取る授業の成果
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
算数のよさに気付き,進んで活用しようとする態度の育ち
研究のまとめと今後の課題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
1
おわりに
・・・・・・・・・・3
⑴
本研究において重点とする算数的活動
3
Ⅳ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
資料1
算数検定(診断的評価問題)
資料2
事前意識調査用紙
資料3
算数検定(形成的評価問題)
資料4
算数卒業検定(総括的評価問題)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
11 月に中央教育審議会「教育課程部会における
はじめに
これまでの審議のまとめ」が出され,その中で
IEA国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003)
理数教育の充実を挙げ,
「算数・数学や理科につ
やOECD生徒の学習到達度調査 (PISA2003) の結
いては,授業時数を増加し,基礎的・基本的な
果によると,児童生徒の学力は,国際的に見て
知識・技能の確実な定着のための学年間や学校
上位にあるものの,数学的リテラシー(数学が
段階間での反復学習などの繰り返し学習,思考
世界で果たす役割を見つけ,理解し,現在及び
力や表現力等の育成のための観察・実験やレポ
将来の個人の生活,職業生活,友人や家族や親
ートの作成,論述,数量や図形に関する知識・
族との社会生活,建設的で関心を持った思慮深
技能を実際の場面で活用する活動などを行う時
い市民としての生活において確実な数学的根拠
間を十分に確保する必要がある」4)としている。
に基づき判断を行い,数学に携わる能力1))は
以上のことから,算数・数学の基礎的・基本
低下傾向にあり,学習意欲や学習習慣において
的な知識・技能の習得はもとより,習得した知
国際平均を下回っており課題があると分析され
識・技能を活用する能力の育成と指導の工夫が
ている。
求められていることが分かる。
そして,国内においても平成 16(2004)年4月
Ⅰ 研究のねらいと方法
小・中学校教育課程実施状況調査教科別分析と
改善点(小学校・算数)によると,改善点の四
算数を活用する能力の必要性については前述
つ目に「(4)算数を生活に生かしたり,数学的に
発展させたりする指導の工夫」を挙げている2)。
した通りであるが,活用する能力を持っている
また,平成 17(2005)年 1 月~2 月に実施され
ことと,それを実際に発揮したり,実行したり
た特定の課題に関する調査(国語,算数・数学)
することとは異なった意味合いがあると考える。
の結果報告によると,数学的に考える力につい
『PISA2006 年調査評価の枠組み』の中で,次
て「情報を選んで問題を解決したり,変化の様
のように記されている。
「自信,好奇心,興味・
子をグラフに表現するなど,日常事象の考察に
関心,物事をやってみたいあるいは理解したい
算数・数学を生かす力」に課題があるとしてい
という欲求など,
数学に関連する態度や感情は,
る3)。
数学的リテラシーの定義の構成要素とは言えな
さらに,平成 19 年 4 月に実施された全国学
いが,それにも関わらず数学的リテラシーにと
力・学習状況調査においては,算数・数学のB
って重要な意味を持つ。原理的には,こうした
問題において,
「知識・技能等を実生活の様々な
態度や感情を持たずに数学的リテラシーを持つ
場面に活用する力や,様々な課題解決のための
ことは可能である。しかしながら実際には,自
構想を立て,実践し,評価・改善する力などに
信,好奇心,興味・関心,数学的な要素からな
関わる内容」として,活用に関する問題が出題
る事柄をやってみたい,あるいは理解したいと
されている。結果として,活用に関する問題で
いう欲求などをある程度持たない人間が,この
は正答率は低く,課題がある。
様なリテラシーを発揮したり,実行したりする
そのような調査結果等をふまえ,平成 19 年
とは考えにくい。数学的リテラシーと相関関係
1
があるものとして,この様な態度や感情の重要
葉がある。この言葉は,平成 10 年 12 月に改訂
性が認識されている」5)。つまり,活用する能
されたこの学習指導要領において,新たに用い
力を発揮・実行するためには態度や感情を育て
られるようになったものである。
「算数的活動を
ることが重要であることを示唆していると読み
通して」と示されているように,具体的に指導
取ることができる。本研究においても,めざす
法にかかわる言葉が明確に目標に位置づけられ
児童の姿は,図1に示したような活用する能力
たということになる。この算数的活動は算数の
を発揮したり,実行したりしている姿であり,
目標全てに関係してくると考える。黒澤(1999)
そのような態度を育てることをねらいとしてい
は,算数的活動の目標を算数の目標をもとに次
く。
のように構造理解を図っている。
算数の目標は,
「能力」と「態度」に大きく分けることができ
活用する能力を発揮・実行しようとする態度
る。
「能力」としては,
「基礎的な知識と技能を
事物・事象,問題場面と出合ったとき
身に付け,日常の事象について見通しをもち筋
道を立てて考える能力を育てる」
であり,
「態度」
○○のときの考え方でできそう。
○○を使ったら分かるのではないかな。
としては,
「活動の楽しさや数理的な処理のよさ
問題を解決しているとき
に気付き,進んで生活に生かそうとする態度を
育てる」である6)。つまり,算数的活動を通し
やっぱり,○○でうまくできた。
○○ではできないから,△△ではどうかな。
て,
「能力」と「態度」を育てるというように解
釈することができる。
問題解決し,新たな能力を習得したとき
そこで,本研究においては,前述のようなめ
この学習は,○○するとき役立ちそう。
今度,○○のときに実際に使ってみよう。
ざす児童の姿にせまるために,算数的活動を通
した指導の工夫に重点をおき,算数のよさに気
付き,進んで算数を活用しようとする態度を育
図1 活用する能力を発揮・実行しようとする態度
てるための算数的活動のあり方について追究し
一方,小学校学習指導要領(以下学習指導要
ていくことを目的とする。
領)においての算数の目標には,次のように記
研究の方法は,以下の通りである。
述されている。
① 算数に対する意識や到達度・理解度につい
ての資料を収集・分析し問題の所在を明らか
数量や図形についての算数的活動を通して,
にする。
基礎的な知識と技能を身に付け,日常の事象に
② 先行研究にあたり資料を収集し,算数的活
ついて見通しをもち筋道を立てて考える能力を
動についてとらえ方を明らかにする。
育てるとともに,活動の楽しさや数理的な処理
③ 意識調査や診断的評価テストなどにより児
のよさに気付き,進んで生活に生かそうとする
童の実態を把握する。
態度を育てる。
④ 児童の実態に応じた授業デザインをする。
⑤ 授業実践を通して有効性を検証する。
この目標のはじめに「算数的活動」という言
2
Ⅱ 算数のよさに気付き,進んで活用し
(2)算数的活動の意義について
学習指導要領解説の第 4 章1(2)エにおい
ようとする態度を育てる算数的活動
て,
「身近な生活における様々な事象との関連を
1 学習指導要領からとらえる算数的活動の意
考慮しつつ,児童がゆとりをもって学ぶことの
味と意義
楽しさを味わいながら数量や図形についての作
(1)算数的活動の意味について
業的・体験的な活動などの算数的活動に取り組
『小学校学習指導要領解説算数編』
(以下,学
み,数量や図形についての意味を理解し,考え
習指導要領解説)によると,算数的活動を次の
る力を育て,それらを活用していけるようにす
ように意味付けている。
るために,算数の目標の中に「算数的活動」を
位置づけることとした」8)としている。また,
算数的活動の意義について,具体的に次のよう
児童が目的意識をもって取り組む算数にかか
わりのある様々な活動
に整理している。
また,その例として,次に示す八つの算数的
・算数の授業を児童の活動を中心とした主体的
活動を挙げている。そして,
「こうした算数的活
なものとする。
動を積極的に取り入れることによって,算数の
・算数の授業を児童にとって楽しいものとする。
授業は,教師の説明が中心であるものから,児
・算数の授業を児童にとって分かりやすいもの
童の主体的な活動が中心となるものへと転換し
とする。
ていくであろう。また,分かりやすい学習とな
・算数の授業を児童にとって感動のあるものと
ったり,実生活での活動と算数との関連が明ら
する。
かになったりするとともに,算数の楽しさやよ
・算数を日常生活や自然現象と結びついたもの
さが感じられ,感動のある学習ともなっていく
とする。
であろう。
(中略)今後は上記のような算数的活
・算数の授業を創造的,発展的なものとする。
動を積極的に取り入れることによって,算数の
・算数と他教科等を関連させる活動を構想しや
授業を改善していくことが求められる。
」7)と
すいものとする。
している。
作業的な算数的活動:手や身体などを使って,ものを作るなどの活動
体験的な算数的活動:教室の内外において,各自が実際に行ったり確かめたりする活動
具体物を用いた算数的活動:身の回りにある具体物を用いた活動
調査的な算数的活動:実態や数量などを調査する活動
探究的な算数的活動:概念,性質や解決方法などを見つけたり,つくり出したりする活動
発展的な算数的活動:学習したことを発展的に考える活動
応用的な算数的活動:学習したことを様々な場面に応用する活動
総合的な算数的活動:算数のいろいろな知識,あるいは,算数や様々な学習で得た知識などを総合
的に用いる活動
3
2 本研究において重点とする算数的活動
分かる。その指導の工夫として,算数的活動を
『PISA2006 年調査評価の枠組み』の中で,数
位置づけていきたいと考える。そこで,数学化
学化のサイクル(図2)が示されている。数学
のサイクルをもとに,算数の学習の流れにあて
化とは,
「生徒が現実生活の問題を解決するため
はめて算数的活動の工夫が必要となる場面を整
に使用する基本的なプロセス」であり,数学化
理したものが図3である。
は五つの段階からなるとしている。その五つの
算数の目標及び単元の目標確認
日常の場面
段階とは次のようなものである。
・ 学校での生活場面
・ 家庭での生活場面
①現実に位置づけられた問題から始めること。
②数学的概念によって問題を構成し,関連する
目標と実態に適応した場面
数学を特定すること。
算数的活動
③仮説の設定,一般化,定式化などのプロセス
1.学習課題をつかむ段階
を通じて,次第に現実を取り除くこと。それ
児童の知的好奇心を引き出す活動の工夫
により,状況の数学的特徴を高め,現実世界
2.解決への見通しをもつ段階
の問題をその状況を忠実に表現する数学の問
題へと変換することができる。
3.筋道を立てて考える段階
自力解決・集団解決
④数学の問題を解く。
実験・実測などを通して実感を伴った理解に結びつけ
⑤数学的な解答を現実の状況に照らして解釈す
る活動の工夫
ること。これには解答に含まれる限界を明ら
4.学習内容をまとめ,深める段階
かにすることも含む。9)
算数の有用性,よさに気付き,進んで活用していくこ
とができるような活動の工夫
現実の世界
は,算数的活動を工夫する主な視点
数学の世界
日常の場面に結びつける
現実的解答
⑤
図3 算数的活動の工夫が必要となる場面
数学的解答
このように,算数の学習活動全体が算数的活
⑤
動と言っても過言ではないわけであるが,本研
④
現実の世界の
問題
①②③
究においては,特に次の三点に重点を絞って追
数学の問題
究していきたい。
重点とする算数的活動
図2 数学化のサイクル
○ 日常の事象と算数の学習をつなぐための算
このような五つの段階の中で,①と⑤の段階
数的活動
については,多くの調査結果から課題があると
○ 実験・実測などを通して実感を伴った理解
される部分である。つまり,算数の学習への入
に結びつけるための算数的活動
口と,算数の学習からの出口において日常の事
○ 習得した知識や技能,数学的な考え方を活
象と結びつけた指導の工夫が必要であることが
用するための算数的活動
4
(1)
日常の事象と算数の学習をつなぐための
際に1㎥を作るという活動をすることで,
「1㎥
算数的活動
ってこんなに大きいんだ」という実感が得られ
日常の事象と算数の学習をつなぐために,留
ると考える。この実感こそが,学習指導要領で
意しておくべきポイントを次に述べる。
も示されている数量や図形についての感覚を豊
まず,児童の生活実態に応じた問題場面を設
かにすることにもつながるのである。
定し,興味・関心を高めるようにすることであ
(3)
る。全ての時間でそのようなことをする必要は
習得した知識や技能,数学的な考え方を
活用するための算数的活動
ないが,単元の導入場面など,新しい内容を学
次に,進んで活用しようとする態度を育てる
習するという場面での工夫が必要であると考え
ために,知識や技能,数学的な考え方等を活用
る。そうすることで,学習に対する意欲が高ま
する場面について考えておく必要がある。伊藤
り,
主体的に学ぼうとする態度が育つと考える。
(2007)は,算数を活用する場面として,次の
また,算数のよさに気付けるようにすること
三つの場面を考えている。第一は,日常生活に
である。算数のよさについては,学習指導要領
おける活用である。第二は,既習事項を新しい
解説では,その典型として「数理的な処理のよ
算数学習の場面で活用することである。
第三は,
さ」を示し,
「有用性,簡潔性,一般性,正確性,
算数以外の他教科で算数を活用する場合である
能率性,発展性,美しさなどの諸点」を挙げて
11)。
第一の,
日常生活における活用場面として,
整理している。
そして,
「数理的な処理のよさは,
例えば,体積の学習で「プールの水の量を調べ
知識として覚えさせることがねらいではない。
る」という算数的活動を通して,容積の調べ方
児童が自らよさに気付くようになり,それを味
や水の量に対する量感が身に付き,その調べ方
わい,求めていく態度を育てることをねらいと
や量感を生活に活用する場面が考えられる。
「お
している」として,教師によるトップダウン的
ふろの水の量ってどれぐらいかな?」
「1日にど
な指導ではなく,より児童自らが積極的に算数
れぐらいの水が必要なのかな?」といった疑問
にかかわりながら進める学習を創造していく必
や関心が芽生え,活用することにつながってい
要性を示している 10)。このような算数のよさに
くと考える。また,第二の,既習事項を新しい
気付ける指導の工夫をすることで,日常場面で
算数学習の場面で活用することについては,日
も活用してみたいという意欲が高まり,その結
常の授業の中で積み重ねられていることととら
果,活用しようとする態度が育つと考える。
えることができる。指導者としては常々意識し
(2)
実験・実測などを通して実感を伴った理
て,児童が既習事項を活用していく態度を身に
解に結び付けるための算数的活動
付けることができるよう工夫していくことが求
児童の実感を伴った理解に結び付けるために
められる。また,第三の,算数以外の他教科で
は,実験・実測は必要であると考える。机上の
算数を活用する場合については,
指導者自身が,
活動に終始するだけでなく,実際に試してみた
他教科の指導内容や指導時期などをしっかりと
り,実際に測定してみたりしてはじめて実感が
理解し,児童の意識ができるだけ連続するよう
わいてくると考える。例えば,1㎥を学習する
な時期と内容で関連を図っていくことが大切で
場合に,数式の操作だけで理解するよりも,実
あると考える。
5
Ⅲ 算数的活動を取り入れた授業づくり
がると考える。その詳細については,昨年度の
-第 6 学年「単位量あたりの大きさ」において-
大阪市教育センターの研究紀要第 178 号に記さ
れているので参照されたい 12)。
1 PDCA サイクルをもとにした授業づくり
2 単元を通した学習活動の構築
授業づくりを進める際に,教師として留意し
本研究においては,第 6 学年「単位量あたり
ておかなければならないことがある。それは,
の大きさ」の単元において,PDCA サイクルに
PDCA サイクルに基づく授業づくりというこ
基づいた算数的活動を取り入れた授業の成果と
とである。PDCA サイクルの,P は計画(Plan),
課題を探る。授業実践は平成 19 年 9 月から 10
D は実践(Do),C は評価(Check),A は改善
月に,研究協力員の協力のもと,大阪市立苅田
(Action)のことである。この計画,実践,評価,
小学校第 6 学年の児童を対象に行ったものであ
改善という流れで自らの授業を見直し改善し,
る。
児童にとってより「わかる」
「楽しい」授業づく
(1) 研究単元設定の理由
りをめざしていく必要があると考える(図4)
。
本単元を研究単元に設定した理由として次
の二つを挙げておく。
授業デザインの流れ
・児童の学習到達度・理解度が低い内容である
○ 教科の目標の確認
こと。
○ 教材解釈
・日常の事象と関連が深いにもかかわらず,児
○ 単元目標の確認
○
評価規準の作成
○
指導計画案の作成
童が興味を持ちにくい内容であること。
P
まず,児童の到達度・理解度が低いことは,
○ 診断的評価
三つの調査結果から明らかである。平成 16 年
○ 児童の実態に応じた指導計画の作成
4月の教育課程実施状況調査の結果では,単位
○ 教材の開発・工夫
量あたりの大きさに関する問題が二問出題され,
○ 授業実践
その正答率は 60%前後と低い数値になってい
D
○ 形成的評価
る。また,平成 17 年 1 月~2 月の特定の課題に
○ 改善計画の実施
○ 総括的評価
関する調査では,三問出題され,正答率 50%程
C
○ 授業評価
度と低い数値になっている。そして,大阪市小
A
○ 授業改善
学校教育研究会算数部が実施している,算数の
診断においては,基本的な混み具合に関する問
図4 授業デザインの流れ
児童の学習意欲を高めるために,実態を把握
題であるが,正答率は 70%台となっている。つ
し,算数的活動をどの段階で,どのような内容
まり,理解,習得に課題が大きい単元であるこ
の活動を設定するかを考慮しながら教材解釈や
とがこの結果から読み取ることができる。
教材の開発を進めていくことが大切であると考
次に,日常の事象と関連が深いことについて
える。そして,実践を通して教師自身が自己評
であるが,
例えば,
トイレットペーパーの値段,
価し,児童の実態に応じた授業となるよう改善
ガソリンの値段,肉の値段など単位量当たりの
を図っていくことが指導と評価の一体化につな
考え方が活用されている事象はたくさんあるは
6
ずである。確かに,教育課程実施状況調査にお
る内容の関連だけで児童は学習を進めることが
いて「普段の生活や社会の生活で役に立つと思
できるのかを考えてみると,前提目標として必
った」と答えた児童が 57.5%と他の内容に比べ
要となる数学的な見方や考え方の関連にも目を
て比較的高い状況であるといえる。しかし,教
向ける必要があることに気付いた。
師質問紙において,
「児童が興味を持ちにくい」
そこで,本単元で必要となる数学的な見方や
と回答した割合が 53.4%と高くなっている。
考え方について追究すると,第 5 学年「割合」
(数量関係領域)や,第 6 学年「倍数,公倍数」
以上のことを踏まえ,理解・習得に課題があ
り,児童が興味を持ちにくいという状況を,算
(数と計算領域)などのように,他の領域との
数的活動を積極的に取り入れながら改善を図っ
関連が非常に深いことが分かってきた。そのよ
ていきたいと考える。
うな内容の関連を表したのが図6の②である。
(2) 教材解釈から見えてきた学習内容の関連
したがって,本研究においては,これらの両
本単元は,学習指導要領においては量と測定
面から内容の関連を考えていくこととし,診断
領域に位置づけられている。それは,量の体系
的評価においては,とくに数学的な見方や考え
と深く関係していると考える。
『算数教育指導用
方を中心に調査することとした。
語辞典』には,図5のような量の体系が示され
ている
① 領域の系統性からとらえる内容の関連
13)。
量の体系
分離量
量
外延量
連続量
第3学年
第4学年
第6学年
B(3)時間
b 時刻や時間を求
めること
B(1)面積
a 面積の単位と測
定
b 正方形,長方形の
面積の求め方
B(3)異種の二つの
量の割合
a 単位量当たりの
考え
b 速さ
度(速度,密度)
B(1)長さ,かさ,
重さの単位と測定
b かさの単位と測
定の意味
内包量
率(利率,濃度)
図5 量の体系
B(1)長さ,かさ,
重さの単位と測定
c 重さの単位と測
定の意味
児童はこれまでに,量として,個数,人数な
どの分離量,長さ,重さ,かさ,面積などの連
続量の中でも加法性をもつ外延量,そしてその
② 数学的な見方や考え方からとらえる内容の関連
連続量の中でも割合(百分率など)のように加
第4学年
法性をもたない内包量を学習してきている。第
第6学年
A(3)整数の除法
A(1)約数,倍数
6学年では,これまでに学習した量のほかに,
第5学年
内包量の中でも,速さや人口密度のような異な
D(2)百分率
った二つの量の割合でとらえることのできる数
量について学習する。このように,本単元の内
A(2)異分母分数の
加法,減法
a 同じ大きさを表
す分数
b 分数の相等と大
小
容は,量と測定領域に位置づくわけであるが,
D(3)平均の意味
領域の系統性から内容をとらえると図6の①の
ようになる。しかし,領域の系統性からとらえ
図6 内容の関連
7
第6学年
B(3)異種の二つの
量の割合
a 単位量当たりの
考え
b 速さ
(3) 単元の評価規準
着度に大きな差があるということが分かった。
評価規準については,目標分析により,中核
とくに理解度に差があった割合の学習について
目標が明らかになり,その中核目標を中心に作
は復習の時間を設け,定着を図ることにした。
成することとした。その結果,次のような評価
また,診断的評価として算数についての事前
規準になった。
意識調査を実施した(資料2)
。その結果,
「算
数の学習がわかりますか」という設問に対して
【関心・意欲・態度】
日常の事象や算数での問題において,異種の二つ
の量の関係をとらえ,単位量当たりの考えを用い
て解決しようとしている。
【数学的な考え方】
人口密度,速さなど異種の二つの量の割合でとら
えられる数量を比較する際に,その一方を固定す
れば他方の量で比較できるというように考えら
れる。
【表現・処理】
人口密度,速さなど異種の二つの量の割合でとら
えられる数量を比較する際,単位量当たりの考え
を用いて数値化し,能率的に比較することができ
る。
【知識・理解】
単位量当たりの考えをもとに,人口密度,速さな
ど異種の二つの量の割合でとらえられる数量を
比較する方法を理解している。
は,28 名中 26 名が肯定的(よくわかる+だい
たいわかる)な回答をしていたが(図8)
,
「算
数の学習を楽しいと思いますか」という設問に
対しては,11 名の児童が否定的(どちらかとい
えば楽しいと思わない+楽しいと思わない)な
回答をしていた(図9)
。その理由として,
「考
えるのが苦手だから」
「問題が難しいから」など
念頭での思考活動に関わる記述が多く見られた。
つまり,学習内容は理解できるけれども,楽し
いという思いについては十分にもつことができ
ていない児童も多いという実態があることが分
かった。
(4) 診断的評価においての実態把握
そこで,実験・実測など体験的な算数的活動
学習内容の関連から前提目標となる内容を中
を工夫することにより,児童がより楽しいと感
心に診断的評価問題(資料1)を作成し,診断
じ,学習に対する意欲を高めることのできる授
的評価を実施した。
その結果,
割合については,
業づくりを進めていくことを指導者の中心的な
「くらべる量」
「もとにする量」
「割合」の関係
めあてとした。
が十分に理解できていないことや,図などを活
算数の学習がわかりますか
n=28
用して表現する力が十分でないことなどが分か
ってきた。また,全体的な分布状況のグラフ(図
12
14
1 1
7)からも理解度・到達度が高い児童の数も多
い反面,約半数の児童は分散傾向が見られ,定
よくわかる
診断的評価テスト
だいたいわかる
あまりわからない
ほとんどわからない
図8 「算数の学習がわかりますか」回答状況
(人)
n=28
16
14
12
10
8
6
4
2
0
算数の学習は楽しいと思いますか
7
10
n=28
7
4
90
~
10
0
80
~
89
70
~
79
60
~
69
50
~
59
40
~
49
30
~
39
20
~
29
10
~
19
0~
9
(点)
楽しい
どちらかといえば楽しいと思わない
図7 診断的評価テスト度数分布グラフ
どちらかといえば楽しい
楽しいと思わない
図9 「算数の学習を楽しいと思いますか」回答状況
8
(5) 本単元の指導計画案
この指導計画案をもとに,前述した重点とす
以上のような教材解釈,診断的評価を踏まえ
る算数的活動を児童の実態に応じて工夫してい
て,次のような指導計画案を作成した。
(
「割合」
きながら形成的評価,総括的評価を通して授業
の復習にかかる時間は含まず。
)
改善を図り,
その活動の有効性を検証していく。
次
○時
主な学習活動
評価規準【評価方法や場面】
診断
①
診断的評価の結果をもとに,自分の課題を把握する。
○ 混み具合について理解する。
○ カードゲームに興味をもち,ルールを知る過程で単位
量あたりの大きさの意味を理解する。
○ カードゲームを通して,単位量当たりの考えを活用す
る。
診断的評価【算数検定(資料1)
】
・畳の数・人数の二つの量のどちらかの
単位量にそろえながら,混み具合の比
べ方を考える。
(数学的な考え方)
・混み具合のように,異種の二つの量の
組合せによってとらえる量があること
を理解する。
(知識・理解)
【活動の様子・ワークシート】
・人口密度の意味と求め方を理解する。
(知識・理解)
・いろいろな人口密度を調べようとする。
(関心・意欲・態度)
【発表の様子・ワークシート】
・身近な場面で単位量当たりの考えが活
用できることを知る。
(知識・理解)
【ワークシート】
・単位量当たりの考えで処理することが
できる。
(表現・処理)
・単位量当たりの考えを日常生活に積極
的に活用しようとしている。
(関心・意欲・態度)
【学び合いの場・ワークシート】
形成的評価【算数検定(資料3)
】
②
1
単
位
量
あ
た
り
の
大
き
さ
○
③
○
○
④
○
○
学校の運動場の混み具合を調べることを通して,人口
密度について理解する。
様々な市町村,都道府県の人口密度を調べる活動を通
して,人口密度についての理解を深める。
1個あたりや1mあたりなど,日常の場面で単位量あ
たりの考えを活用する場面を知る。
単位量当たりの考えを使って問題を解決する。
一番お得な買い物をする場面を通して,単位量当たり
の考えを積極的に活用する。
⑤
⑥
○
⑦
○
○
○
⑧
2
速
さ
○
⑨
○
⑩
○
⑪
3
ま
と
め
○
⑫
⑬
○
いろいろな場合の単位量当たりの考えを活用する問題
を解決する。
速さの意味を理解する。
・二つの量(時間・道のり)の関係をもとに,
速さの求め方を考える。
速さの比べ方を考えている。
(数学的な
考え方)
【班での活動・ワークシート】
時速,分速,秒速の意味を理解する。
・時速,分速,秒速の意味を理解してい
る。
(知識・理解)
【班での活動・ワークシート】
速さと時間から道のりを求める。
・速さと時間が分かっている場合につい
て道のりの求め方を考えている。
(数学
的な考え方)
【ワークシート】
道のりと速さから時間を求める。
・道のりと速さが分かっている場合につ
いて時間の求め方を考えている。
(数学
的な考え方)
【活動の様子・図の活用】
身の回りにあるいろいろな速さを知る。
・身近にあるいろいろな速さに関心をも
つ。
(関心・意欲・態度)
【体験活動・ワークシート】
】
「たしかめよう」の問題を解き,単元の学習をふり返 総括的評価【算数卒業検定(資料4)
る。
総括的評価の結果をもとに,自分の課題を把握する。
(本実践では,評価方法としてワークシートと示したが,本来はノートを活用することが望ましい。
)
9
(6) 授業の実際と考察
もち,ルールを知る必要感も生じてくると考え
① 混みキングゲーム(第 2 時)
た。また,異種の二つの量として何を持ってく
学習活動
るかも大切な要素である。
「混みキング」の場合
1.どちらのカードが強いかを考えるという学
は,
「面積(畳の数)
」と「人数」を設定した。
習課題をつかむ。
その理由は,時期的に修学旅行が近く,修学旅
・混み具合について知る。
行に向けての準備で部屋を決めるという経験を
・学習課題をつかむ。
することになるので,比較的イメージしやすい
2.どちらのカードが強いかを考えるための見
場面となると考えたからである。では,実際の
通しをもつ。
逐語記録を次に載せる。
・1 人当たり
T:
(
「2 畳・2 人」
「2 畳・3 人」のカードを提
・1 畳当たり
示し)どちらのカードが強いですか。
3.どちらのカードが強いかを筋道立てて考え
C:
「2 畳・3 人」の方です。
る。
T:なぜかな。
・強さの比べ方を考える。
C:人数が増えているからです。
・考えた方法を発表する。
T:
(
「2 畳・2 人」
「3 畳・3 人」のカードを提
4.学習内容をまとめ,深める
示し)どちらのカードが強いですか。
・混みキングゲームの進め方を知る。
C:同じです。
・混みキングゲームをする。
T:なぜかな。人数が増えているよ。
・ゲームを通して気付いたことを発表する。
C:人数が増えているけど,畳の数も増えてい
(太枠は本時に重視する算数的活動)
ます。
本時は,
「混み具合」
という異種の二つの量
(面
T:じゃあ,同じと思うわけは。
C:どちらも,1 畳に 1 人ずつだからです。
積と人数)の割合としてとらえる数量と初めて
出合う時間である。そのため,太枠で示した活
動を重視し学習活動の構成を図ることにした。
まず,学習課題をつかむ段階においての活動
構成の工夫について述べる。
児童の学習に対する積極的な姿勢とはどこか
ら生まれるのかを考えたときに,児童の知的好
図 10 「混みキング」カードの例
奇心を揺さぶるような素材であることが大切と
このように,人数だけでは比較できないこと
なる。本時は,
「混みキング」というカードゲー
を児童は自ら気付いていったといえる。
そして,
ム(筆者の自作教材)を学習の素材とした。
「混
1 畳に○人ずつという単位量当たりの大きさで
みキング」とは,図 10 にあるような畳の枚数
比較することができていた。その後,図 10 の
と人を表したドットがかかれているカードがあ
ような 2 枚のカードを提示し,
「これはちょっ
り,混んでいる方が強いカードという条件を付
と考えないと分からないな」というような知的
加したゲームである。児童は,ゲームに興味を
好奇心を揺さぶる場面を設定することで,学習
10
課題を明確につかめるようにした。
このように,教師の助言をきっかけに解決し
次に,学習内容をまとめ,深める段階につい
ていったグループもあった。結果として,ほと
て述べる。本時に学習した単位量当たりの考え
んどのグループが,お互いに畳の枚数と人数か
方を活用する場面の工夫についてである。異な
らどちらが強いかを判断することができ,十分
る数値にした練習問題や,異なる場面への活用
な時間ではなかったが,数回戦することができ
を図る練習問題などは,よく実施されている。
たので,ゲームを通して単位量当たりの考え方
それも大切であり効果的ではあるが,より児童
も活用し,
「人数」を「畳の数」でわるという計
の主体性を視野に入れた工夫はできないかと考
算の仕方も定着してきた。
え,本時は「混みキング」ゲームを取り入れる
本時における算数的活動の工夫が効果的であ
ことにした。このゲームを通して,身につけた
ったかを評価しておく必要がある。本時におい
考え方を活用する場面を設定することで,児童
ての評価資料は,児童のワークシート(本来な
がより主体的に単位量当たりの考え方を活用で
らばノート記録での評価)での記述を活用する
きるのではないかと考えた。
ことにした。
混みキングゲームを終えた後に
「ゲ
ームをして気付いたこと」
をかく時間を設けた。
その中に,次のような記述が見られた。
・同じ畳の数だと比べやすかった。
・畳の数が少なくて人数が多いと強い。
・畳の数と人数が違うのに同じ強さのカードが
あった。 など
図 11 混みキングゲームをしている児童
予想した通り,児童はゲームを楽しむことが
よく「ゲームが楽しかった」といったゲーム
できた(図 11)
。そして,ゲームを進めていく
そのものに対する楽しさだけに終わってしまう
中で,迷うことなく勝ち負けを決めていけるグ
場合がある。それでは,算数的活動ではなく,
ループもあった。しかし,どちらが勝ったのか
ただの遊びとなってしまう。しかし,本時の場
を決めにくいグループもあり,そのようなグル
合,児童は具体的な比べ方についての記述や,
ープには次のような助言をしながら解決できる
二つの量の関係からとらえる新しい見方に気付
ようにしていった。
いていることが分かる。つまり,児童はゲーム
C1:これはどっちの勝ちかな?
自体の楽しさだけではなく,しっかり算数の本
C2:ぼくの勝ちじゃないかな?
質に感じていることが読み取れた。また,
「計算
T:ちょっと待ってね。C1さんのカードは畳
が速くなった」と自分の変容について感じてい
1 枚当たり何人になるのかな。
る児童も数名見られた。
C1:
「6 畳・30 人」だから,30÷6 で5人です。
このように,混みキングゲームという算数的
C2:ぼくのカードは,
「8 畳・32 人」だから,
活動を通して,混み具合の比べ方についての見
32÷8で4人か。そうか,ぼくの負けだ。
方が広がったのではないかと考える。
11
② 運動場の混みキング(第3時)
活用し,縮尺を計算しながらおよその面積を割
学習活動
り出すようにした。そして,近隣の3つの小学
1.運動場の混みキングを調べようという学習
校の運動場の比較ができるようなカード(図
課題をつかむ。
12)を作成した。
・A小学校,B小学校,C小学校の運動場
の広さと全校児童数を知る。
・運動場の混みキングを調べるという学習
課題をつかむ。
2.運動場の混みキングを調べるための見通し
をもつ。
3.見通しをもとに運動場の混みキングを調べ
る。
図 12 「運動場混みキング」のカード
このような 3 枚のカードを提示し,どの学校
・運動場の混みキングを調べる。
の運動場が一番混んでいるか予想した結果,15
・調べた結果を発表する。
名がA小学校,4 名がB小学校,9 名がわからな
4.学習内容をまとめ,深める。
・人口密度の意味と求め方を知る。
いという状況であった。そこで一番すいている
・区内の小学校に広げて,運動場の混みキ
のはC小学校であることは,全員が気付いてい
たので,
「畳の数が少なくて人数が多いと強い。
」
ングを調べる。
という前時の児童の気付きを取り上げながら,
(太枠は本時に重視する算数的活動)
面積が広いのに,人数が少ないから一番すいて
本時では,学習課題をつかむ段階と自力解決
いることを確認しておいた。そのうえで,A小
をする段階においての活動構成を重視した。
まず,学習課題をつかむ段階では,前時の「混
学校とB小学校の比較の方法を考えるところに
みキング」に児童は関心・意欲をもっていたの
焦点を絞っていき学習課題を明確につかんでい
で,本時の場面にもこのカードによる工夫を活
けるようにした。見通しをもつ段階では,前時
用することにした。本時の目標として,
「人口密
の方法を思い出し,「1㎡当たり何人かで考え
度」についての意味と求め方の理解がある。教
る」
,
「1 人当たり何㎡で考える」という2つの
科用図書(以下,教科書)には「1㎢当たりの
見通しをもとに解決活動に入った。
人口を,人口密度といいます。
」と表記されてい
次に自力解決の段階では,二つの量の関係を
る。しかし,児童にとって1㎢と言われてもど
とらえて,立式し解決するという問題解決の過
れぐらいの広さかはイメージできないと考えた。
程を大切にしたかったので,できるだけ計算に
そこで,もっと身近で普段から目にしている学
よる煩雑さを解消するために電卓を使用した。
校の運動場という範囲に絞り,数値を小さくし
しかし,二つの量の関係がとらえきれず,電卓
てイメージができるように設定を工夫した。
を用いる前に,式に表すことで戸惑っている児
運動場の面積については,筆者がインターネ
童が数多く見られた。そこで,前時を再度ふり
ットの地図サイトで表示できる「航空写真」を
返り前時の畳が面積になっているだけだという
12
ことを確認しながら机間指導で助言をしていっ
る。また,B児は,二通りの考え方により的確
た。戸惑いながらも,児童はあきらめることな
に結果を出すことができていた。この児童が商
くじっくり考え,近くの友だちとも教え合いな
に単位をつけていることから,何を求めたのか
がら立式し解決していくことができた。そのと
を明確に判断できていることが読み取ることが
きのノート記録の一部を図 13 に示す。
できる。問題解決において,「1㎡に何人」「1
人に何㎡」のどちらの考え方で解決しようとし
A児
ているのか,式に表す場合は,どちらでわれば
よいのかということが明確に判断できるように
A
していくことが大切である。また,結果として
すいていると考える根
拠をかけている
何が求められたのか,その数値の意味をしっか
り理解できるようにすることも大切である。し
B児
かし,本時において,そのような二つの量の関
係を十分におさえることができなかったために,
A
児童の理解度を高めることができなかったとこ
ろもあった。
B
学習内容をまとめ深める段階において,活用
する問題場面(図 14)を考えていたが,一人一
C
人が発展的な課題として取り組むこととなった。
その問題場面は,区内の全小学校についての運
A
動場の面積と児童数を資料として載せ,区内の
運動場混みキングを調べようというものである。
図 13 児童のワークシート記録
A児は,「面積」÷「人数」で1人当たりの
面積を求めて混み具合を比べていた。この考え
方の場合,数値が大きくなるほどすいていると
いうとらえ方になる。一般的に,人口密度は「人
口」÷「面積」で,単位面積当たりの人口を求
めて比較する。それは,数値が大きくなるほど
混んでいるというとらえ方ができるからである。
この児童は,しっかりと二つの量の関係をつか
んで式に表し,計算結果が何を表しているのか
を考え判断している。そのことは,判断した理
由を吹き出しを活用しながら明確に表現してい
ることから読み取ることができる。この児童の
ように,出てきた結果が何を表しているのかを
しっかり見抜くという姿勢が大切であると考え
図 14 区内の運動場混みキングを調べよう
13
③ 買い物体験(第 5 時)
本時は,単位量当たりの大きさのまとめとな
学習活動
る時間であり,算数で学習したことがどのよう
1.一番お得な買い物をしようという学習課題
に日常の場面に生かされるのかに気付き,積極
をつかむ。
的に活用していこうとする態度を育てることが
・問題場面を知る。
主なねらいとなる。
・学習課題をつかむ。
児童は,普段の生活の中で買い物の経験をし
2.一番お得な買い物をするための見通しをも
ている。しかし,どれが得かということについ
つ
てはあまり考えたことがない現状があった。そ
・単位量当たりの値段
こで,買い物をする際,同じ商品ならば少しで
3.見通しをもとにお得な買い物をする。
も得な買い方をしようという場面を設定した。
・広告の 7 品目からお得な商品を選ぶ。
実際に買い物をするわけではなく,
図 15 にある
・商品を選べたら,レジで確認する。
ような,架空のスーパーマーケットの商品広告
4.学習内容をまとめ,深める。
と,それとネットショッピングにおいてのカー
・レジの画面を見ながら,お得な買い物の
ト方式を取り入れたものを作成した。この広告
確認をする。
には,7品目の商品が掲載されある程度現実的
・実際の生活にも,単位量当たりの考え方
な価格設定となるよう心がけた。また,1当た
が使われていることを知る。
りの値段を記入する欄を設けることで,理解度
(太枠は本時に重視する算数的活動)
をチェックすることができるようにした。
6年 組 番( )
当店では,7種類の商品を販売しています。
それぞれの商品の中から1番お得な商品を選
んで,買い物カートに選んだ商品の番号をかき,
1こあたりや,1gあたりなどの値段をかいてくださ
い。
7種類選び終わったら,レジへGO!
図 15 架空のスーパーの広告
14
さらに,自分の選んだ商品が本当にお得かど
定」と表示された児童は「やった。買い物名人
うかを判定するためのレジソフトを開発した。
だ」と喜んでいたし,また,
「もう一度チャレン
このソフトは画面(図 16)で,選んだ商品をク
ジ」が表示され,クリアできなかった児童は「あ
リックすると明細欄に商品名と単価が表示され,
れ?ここが間違っていた。
もう一度やり直そう」
判定欄には「お得」の場合「OKです」
,
「損」
など自主的に間違えたところを修正して全員が
の場合「残念」が表示され,全ての商品が「O
解決することができた(図 17)
。
Kです」の場合のみ,合計の判定欄に「買い物
名人認定」と表示されるように設定した。この
ソフトを活用するねらいは,児童の意欲を高め
ることと,児童が主体的に学習を進めることの
2つがある。
図 17 レジのパソコンを操作する児童
さらに,日常と結びつけるために,まとめ深
める段階で実際のスーパーマーケットの広告を
提示し,どこに単位量当たりの考え方が使われ
ているかを見つける活動をした。例えば,肉な
図 16 レジソフトの画面
児童は,買い物という場面に興味を示し,学
どは,
「100g 当たり」などと記されていたり,
習課題を明確につかみ,積極的に学習すること
魚なども「1 尾当たり」などと記されていたり
ができていた。7 品目を選び終わった児童から,
するところを見つけて発表していた。
レジで確認していくようにした。速く確認でき
本時の主なねらいである算数で学習したこと
た児童には,レジの使い方のアドバイスや,困
がどのように日常の場面に生かされるのかに気
っている児童へのアドバイスなどをするように
付き,積極的に活用していこうとする態度を育
指示し,
学習速度の違いに対応するようにした。
てることについて考察しておく。そのための資
しかし,児童は,比較的戸惑うことなく解決し
料として,事後意識調査において「単位量の学
ていたので,速くできた児童への補充課題や発
習が使えそうだなあと思うときは」の設問に対
展課題を準備するなどの個人差への対応も必要
する回答を活用することにした。本時の学習か
であったと考える。当然,解決に時間が要する
らはある程度の期間が経過していたにもかかわ
児童への支援は必要であるが,速くできる児童
らず,
「買い物でどれがお得かを考えるとき」な
への支援にも計画的な取り組みをしていく必要
どと回答した児童が 9 名いたことからも,本時
性を改めて感じさせられた。
の学習が児童にとって具体的にイメージしやす
レジで自分の選択が正しかったかどうかを自
く,印象に残る活動であったといえるのではな
己評価できるようにしたことで,
「買い物名人認
いかと考える。
15
④ 速さの実測(第7時)
は適当であると判断した。本時は班活動で調べ
学習活動
る場にしようと考えたので,モーター付きおも
1.どの電車が一番速いかを調べようという学
ちゃの電車を 6 台用意し,それぞれ少しずつ速
習課題をつかむ。
さが異なるように電池の消耗度合いも調節して
・問題場面を知る。
おくことにした。そして,レールの長さを 100
・学習課題をつかむ。
㎝として,道のり一定の場合の計測の場を設定
2.調べるための見通しをもつ。
することにした。道のり一定の速さを比べる方
・速さを比べる方法
法は,50m走など,体育の授業の中で経験して
・速さを比べるために必要なもの
いることから,イメージしやすいと考えたから
3.どの電車が一番速いかを調べる。
である。
・実測する。
では,次に重視する活動とした筋道を立てて
・結果を発表し順位を決める。
考える段階について述べる。
4.学習内容をまとめ,深める。
まず,実測ではどうしても誤差が出ることを
・同じ道のりの場合の比べ方をまとめる。
確認し,平均の学習で自分の歩幅を調べた時を
・道のりが異なる場合について考える。
思い出して,誤差をできるだけ少なくするため
・考えた方法を発表する。
に,5回計測した平均をそれぞれの電車の記録
・速さの意味や求め方をまとめる。
とすることを説明し,実測に移った。
(太枠は本時に重視する算数的活動)
本時は,
「速さ」と出合う初めの場面である。
「速さ」は,
「時間」と「道のり」という異種の
二つの量の割合でとらえる数量である。まず,
大切なことは,児童がその二つの量の存在を認
知し,速さを比較するためには「時間」と「道
のり」が必要であることに気付けるような場設
定を工夫することであると考えた。そのために
図 18 実際に計測している様子
は,
「あれっ」
「なんだかおかしいぞ」と知的好
5人班が中心なので,
奇心を揺さぶるような場面が必要であると考え
どの班も全員が計測する
た。また,念頭による操作だけでは,
「速さ」を
経験をすることができた。
実感できないと考え,実測による体験的な活動
計測した結果をノートに
の場を設定することにした。
記録し,平均を求めるよ
学習素材として,本時はモーター付きおもち
うにした。5人の計測値に
ゃの電車を用いることにした。このようなおも
大きなずれがなかったので
ちゃで,遊んだ経験のある児童も多く,より親
きっちり計測ができたと判断できる。計測して
しみがあると考えたからである。また,ある程
いる際に,
「思ったより遅かった」など「速さ」
度一定のスピードで走行する点も今回の学習に
を,実感しているつぶやきも聞かれた。
16
図 19 調べた結果
次に,学習内容をまとめ深める段階について
解決していくことができた。
述べる。計測して順番を決定したので,児童は
本時では,
「どの電車が一番速いか調べる」
「道
一応解決したと思っている場面だが,実はこれ
のりが違う場合の速さの比べ方」という大きく
からが二つの量の関係をとらえるメインの活動
二つの学習場面があり,時間的にも難しい面が
となるのである。その問題場面の提示は次のよ
ある。児童は自分の班の速さについて記録する
うに行った。
ことで精一杯であり,第二の学習課題について
T:
(もう 1 台の少し電池の消耗したモーター付
は,自分の班の結果しか記録されていない状態
きおもちゃの電車を出して)実はもう1台
であった。そこで,ノート記録の補助資料とし
もってきています。じゃあ,走らせてみる
て,
図 20 のようなシートを全児童のノートに添
ね。
付して返却することにした。
C:遅いな。
学習の記録(補助資料)
T:みんなもそう思う?
C(ほとんど同意する。
)
T:では,タイムを計ってみましょう。
(実際にタイムを計り記録 3.74 秒を伝える)
班番号
タイム(秒)
道のり(㎝)
1班
2班
3班
4班
5班
6班
4.48
4.8
4.81
4.77
4.94
2.69
100
100
100
100
100
100
C:速いなぁ。ええ,ぼくらの負けてるやん。
1㎝に何秒(秒) 1秒に何㎝(㎝)
0.0448
0.048
0.0481
0.0477
0.0494
0.0269
約22.3
20.8
20.7
20.96
約20.24
約37.2
○○2 号について
道のり→60 ㎝ 時間→3.74 秒
C:なんかおかしいで。5回平均ださなあかん
1 ㎝に何秒?
のと違うかな?
3.74÷60=0.0623・・・
(5回の平均を求めてもタイムは,ほぼ同じ。
)
つまり,1 ㎝進むのに 0.062 秒かかります。
C:もしかして,レール短いんと違うの?
1 秒に何㎝?
このようにして,見た瞬間の感覚は,遅いと
60÷3.74=16.04
いう印象をもったのではあるが,タイムを計測
つまり,1 秒間に 16 ㎝進みます。
すると,第二位の記録となった。記録が出た瞬
図 20 ノート記録の補助資料
事後意識調査の「単位量の学習でおもしろい
間は「速いな」という思いをもったが,やはり
何かが変だと感じることはできたようであった。
なあと思うときは」という設問に対して,
「モー
しかし,
なかなかその理由に気付けなかったが,
ター付きおもちゃの電車で速さを調べたのが楽
ある児童が,
「レール短いんと違う。
」というこ
しかった」
というように回答した児童が 10 名い
とをつぶやき,前でレールを提示し全員がその
た。このことからも,関心・意欲・態度を高め
矛盾の理由に気付くことができた。
ることはできたといえる。さらに,同じ設問に
レールの長さが違う場合にどうやって比べた
「いろいろなモーター付きおもちゃの電車を使
らよいかを考えるという新たな課題をつかみ,
ってどれが一番速いかを調べた授業で分かりや
これって「単位量のときと似てるな」というつ
すく勉強できた」と回答した児童もいた。実測
ぶやきをきっかけに,単位量当たりの考え方を
することで,念頭による操作だけの学習よりも
使えそうだという発想から,「1㎝進むのに何
分かりやすかったということがいえるのではな
秒」
「1 秒で何㎝」という二つの見通しをもち,
いかと考える。
17
⑤ 「道のり」と「速さ」から「時間」を求め
のかという疑問をもつであろうと考えたからで
る・
「自分の歩く速さ」を実測(第 10 時)
ある。そこで,地域の駅名を使い,より児童の
学習活動
日常としてイメージしやすい場面設定を考える
1.
「道のり」と「速さ」から「時間」を求める
ことにした。
という学習課題をつかむ。
マンション○○
・問題場面を知る。
好評分譲中
地下鉄御堂筋線
マンション△△
分譲中
地下鉄御堂筋線
「あびこ」駅 徒歩2分 「あびこ」駅 徒歩?分
・前時との違いから,本時の学習課題を明
確につかむ。
図 21 第 9 時・第 10 時における問題場面
第9時では,まず,図 21 の左図にあるような
2.
「時間」を求めるための見通しをもつ。
・図(線分図)
問題場面を提示した。
「これじゃ分からない」
「速
・式や言葉
さは?」というつぶやきが出て,住宅関係の場
合,規定により歩く速さは分速 80mを基準にし
3.
「時間」の求め方を筋道立てて考える。
ていることを伝え,自力解決に向かった。
・図などを活用して考える。
次に,第 10 時は,図 21 の右図にあるように
・考えた方法を発表する。
時間が分からない状況を設定した。ここでは,
4.学習内容をまとめ,深める。
・言葉の式に整理する。
前時の学習が生きてくると考えられる。
・練習問題を通して理解を深める。
T:前の時間は何がわからなかったのかな?
・自分の歩く速さを調べる。
C:
「道のり」です。
・本時の学習をふり返る。
T:今日は,何がわからないのかな?
(太枠は本時に重視する算数的活動)
C:
「時間」です。
C:
「道のり」もわかりません。
第9時は,
「速さ」と「時間」が分かっている
場合の「道のり」の求め方を考えること,第 10
T:そうですね。これだけではわかりません。
時は,
「速さ」と「道のり」が分かっている場合
そこで,
「道のり」は 480mという情報を付
の「時間」の求め方を考えることがねらいとな
け足すと「時間」は求められそうですか。
る。この2時間の学習は,式の変形だけでも解
前時の学習を思い出しながら,このようなや
決することができるが,場面や式の意味理解を
りとりの中で学習課題をつかんでいけるように
明確にしておく必要があると考え,より具体的
した。そして,前時のように図に表すなどの見
な日常生活の中に存在する場面を提示したり,
通しをもちながら,
自力解決に向かっていった。
実際に測定してみたりする活動を取り入れるこ
では,児童が自力解決している様子について述
とにした。
べる。児童は,図に表したり,言葉による説明
をしたりしながら,480÷80 という式を導き出
そこで,
日常生活の中に存在する場面として,
新聞の折り込み広告に住宅販売の広告の中の,
し,6 分かかるという解答に到達することがで
「駅近徒歩2分」などという文言を学習場面に
きていた。しかし,図を自分でかく自信がない
設定することに決めた。
この文言を見た児童は,
児童もいたので,補助シートを用意しそれを活
その徒歩2分とはいったいどれだけの道のりな
用して考える児童もあった。結果として,自分
18
で図をかいて解決した児童(図 22)は 13 名,
い児童も,チャレンジ問題をすることで,より
言葉の説明
(図 23)
により解決した児童は 6 名,
理解度を高めることができたと考える。
補助シートの図を使って解決した児童は 5 名,
このように第 9 時,第 10 時の 2 時間で,
「速
言葉の式だけで公式にあてはめて解決した児童
さ」が分かっている場合の,
「道のり」や「時間」
は 4 名であった。前時は,指導者があらかじめ
の求め方を学習し,
「速さ」は役に立つなという
ワークシートに図を入れたものをプリントして
思いをもつことができたと考える。
おいたが,その図を本時は自分で活用しようと
そこで,さらに第 10 時において,日常生活で
する児童が 13 名いたということは大きな変容
「速さ」を活用できるようにするために,
「自分
であるととらえることができる。
の歩く速さを調べる」という活動を設定した。
自分の歩く速さが分かっていれば,目的地まで
到着するのにかかる時間や,自分が歩いた道の
りなどがわかるというよさがあることを伝え,
自分の歩く速さを知りたいという気持ちを高め
図 22 図による解決
るようにした。あらかじめ運動場に 10m間隔の
マンション△△
ラインを引いておき,ストップウォッチを用意
しておいた。
「これで,歩く速さを調べることが
できますか。
」と問いかけると,
「できます。
」と
図 23 言葉の説明による解決
また,本時のまとめ,深める段階では,練習
答え,計測の仕方については特に指示しなくて
問題をする際,第7時の改善計画として学習速
も,
班ごとに協力してタイムを計測していた
(図
度の違いに応じる手だての必要性を挙げていた
25)
。そして,計測が終わった班から,教室に戻
ことを受けて,チャレンジ問題(図 24)を準備
って自主的に計算している児童の姿には驚かさ
した。これにより,解決に時間がかかる児童に
れた。また,事後意識調査の「単位量の学習が
助言する時間を確保でき,さらに学習速度が速
使えそうだなあと思うのは,
どんなときですか」
という設問に対しても,
「家から駅まで何mかを
速さにチャレンジ
6年 組
番(
)
① 分速60m で歩いている人が,2 時間に進む道のりは何㎞ですか。
(式)
(答え)
㎞
② 時速60㎞で走っている自動車が,30㎞走るのにかかる時間は何時
間ですか。
(式)
(答え)
時間
③ 秒速3m で泳ぐ人が,2 時間泳ぎ続けました。何㎞泳いだことになり
ますか。
調べるとき」というように,速さの学習にかか
わる記述が多数見られた。
(式)
(答え)
㎞
④ 400m を 5 秒で進む自動車があります。この自動車の時速は何㎞です
か。
(これ本当です。ドラッグレースという競技に出る自動車です。)
(式)
(答え)時速
㎞
⑤ 時速 300 ㎞で走る新幹線のぞみ号は,大阪から東京まで 2.5 時間で行
きます。
大阪から東京までの道のりは何㎞ですか。
(式)
(答え)
㎞
図 24 チャレンジ問題
図 25 自分の歩く速さを計測している様子
19
(7) 総括的評価から読み取る授業の成果
とから,児童は,ゲームをしたり,コンピュー
単元終了後に総括的評価テスト(資料4)を
タを用いたりするなどの算数的活動に楽しさを
実施した。その結果(図 26)と,診断的評価テ
感じているということがわかった。
ストの結果(p.8 図7)とを比較してもわかる
また,
「算数(単位量あたりの大きさ)の学習
ように,分散傾向がなくなり,90 点以上を頂点
がわかりますか」という設問に対して,
「よくわ
とする右よりの山型へと変化している。80 点以
かった」と回答した児童は2名減少しているも
上の得点を得て「満足のできる状況」と判断す
のの,28 名中 27 名と,ほとんどの児童は肯定
る児童が 28 名中 21 名,
「概ね満足できる状況」
的(よく+だいたい)な回答をしていた(図 28)
。
と判断する児童が 4 名と児童の学習の到達度・
算数(単位量あたりの大きさ)の学習がわかりますか
n=28
理解度は高いことが明らかになった。
事前
12
14
1 1
総括的評価テスト
n=28
(人)
16
14
12
10
8
6
4
2
0
事後
10
よくわかった
17
だいたいわかった
あまりわからなかった
10
ほとんどわからなかった
図 28 事前・事後意識調査の比較
89
90
~
10
0
79
69
59
このように,総括的評価テストのような客観
80
~
70
~
60
~
39
49
50
~
40
~
29
30
~
19
20
~
0~
10
~
9
(点)
的な評価資料と意識調査のような主観的な自己
評価資料の両面からみて,算数的活動を工夫す
図 26 総括的評価テスト度数分布
次に,事前意識調査と事後意識調査を比較す
ることにより「わかる」
「楽しい」授業づくりが
ると,
「楽しいと思いますか」という設問に対し
できたといえるのではないかと考える。
て,肯定的な回答をした児童が 17 名から 26 名
全体としての成果は確認できたが,個人レベ
になり,9 名増加したことがわかる(図 27)
。
ルでは全員が肯定的であったわけではなかった。
算数(単位量あたりの大きさ)の学習を楽しいと思いますか
事前
7
10
n=28
7
C児
好き
4
自信
4
3
楽しい
2
1
0
ふり返り
事後
14
楽しいと思った
どちらかといえば,楽しいと思わなかった
12
わかる
1 1
友だちの考え
どちらかといえば,楽しいと思った
楽しいと思わなかった
めあて
自力解決
図 27 「楽しさ」に関する意識の変化
事前
肯定的な回答をした理由については,
「実際に
測ったりして楽しかったから」
など実測や体験,
事後
図 29 C児の否定的な変容
ゲームなどの算数的活動に関わる記述が 14 名
C児は,
「算数(単位量あたりの大きさ)の学習は
に見られた。さらに,算数的活動を工夫した授
好きですか」という設問に対して,否定的な回
業形態に関わる記述が 6 名に見られた。このこ
答をしていた(図 29)
。その理由を読み取ると,
20
「求め方がややこしいから」というように,二
D児(図 30 上)は,
「好き」
「楽しい」の両方
つの量のどちらを単位量として考えるかを十分
の項目において肯定的な変容が見られた。その
に理解できていないようであった。これについ
理由として,
「買い物のお得な物などが分かって
ては,第3時の学習において二つの量の関係を
楽しいから」と記述していた。学習したことが
十分にとらえきれていないまま,学習が進んだ
どのように使えるか,役に立つのかということ
ことに大きな原因があると考える。求めた結果
がしっかりとイメージできたことが,このよう
が,何を表しているかが明確にとらえられず,
な変容につながったと考える。また,授業中の
しかもその数値を比較する基準が曖昧であった
様子からも,自分の考えを文章できっちりと整
ため学習に自信が持てなくなってしまったので
理し発表することができていた。
ある。また,
「楽しさ」においても否定的で,理
また,E児(図 30 下)は,ほとんど全ての項
由として「あまり意味がわからなかった」と記
目において肯定的な変容が見られる。
「好き」
「楽
述していた。形成的評価をさらに工夫し,成就
しい」の項目についての理由として,
「おもしろ
感を味わえるように個に応じた支援をしていく
いから」
「分かりやすいから」という記述があっ
べきであったと考える。
た。具体的な記述はできていないが,算数的活
その反面,肯定的な変容が見られた児童も 17
動自体が楽しく分かりやすかったのであろうと
名いた。
考える。つまり,関心・意欲の高まりととらえ
ることができる。
D児
好き
4
自信
3
このように,個人の変容においては肯定的,
楽しい
否定的の両面が確認された。否定的な変容の原
2
因は,二つの数量の関係をとらえることの難し
1
0
ふり返り
わかる
さにあると考える。指導計画上時数を増やすこ
とができなかったが,算数的活動を生かしなが
友だちの考え
めあて
ら,じっくり考え,じっくりまとめるという時
自力解決
事前
間を,さらに確保できるように工夫していく必
事後
要があるのではないかと考える。
E児
好き
4
自信
3
3 算数のよさに気付き,進んで活用しようと
楽しい
する態度の育ち
2
これまで述べてきたように,
「単位量あたりの
1
0
ふり返り
わかる
大きさ」の単元全体で,算数的活動を取り入れ
た授業づくりを実施した。
「理解度・到達度」や
友だちの考え
めあて
「楽しさ」
については前節(7)で述べたとおり成
自力解決
事前
果が見られたといえる。
事後
本節においては,算数のよさに気付き,進ん
図 30 D児とE児の変容
で活用する態度の育ちという視点で実践をふり
21
返っておきたい。
ていることを知らせ,実際にその速さで話して
事後意識調査において「ふだんの生活で「単
みるというものである。このような体験活動を
位量あたりの大きさ」で学習したことが使えそ
通して,速さというものが仕事量にも適応され
うだなあ!と思うのは,どんなときですか。
」と
ることを実感を伴って理解できたのではないか
いう設問に対して,表1のような記述が見られ
と考える。そして,単元の最後に「速さについ
た。
て調べてみたいこと」について聞いたところ,
次のような回答を得た。
表1 事後意識調査「活用」に関する記述
単位量あたりの大きさ
・世界で一番速く飛ぶ鳥は何か。
・買い物とか「どっちが安くて得だ
ろう?」と思ったときに「単位量
・世界で一番走るのが速い動物は何か。
あたりの大きさ」の計算が使えそ 22
・世界で一番速い自動車は時速何㎞か。
うだと思います。
・世界で一番速い飛行機は何か。
名
・旅館等で泊まるときに一人あたり
の値段を調べて比べるとき。
など
・光の速さはどれぐらいか。また,太陽系の端
・自分の歩く速さで徒歩何分かがで
児童は,速さという視点から様々な対象へと関
の惑星まで行くのに何時間かかるか。など
6
心を広げていることがわかる。このような,興
・電車に乗っていて時速がわかった 名
味・関心を指導者としてしっかりと受け止め評
とき道のりや時間が計算できる。
価し,児童に返していくことが大切であると考
・野球のピッチャーが投げる球の速
さ。
など
える。時間が許すならば,調べ活動の時間をと
きる。
速さ
り,速さについての簡単な新聞作りなどができ
このように,全員が「単位量あたりの大きさ」
れば児童の成就感・達成感につながるのであろ
か「速さ」のどちらかについて記述していた。
う。しかし,今回の実践は,限られた時間の中
また,記述内容も授業場面を想起しながら具体
での取り組みなので,指導者からの発信で終わ
的に書けていた。事前意識調査の時点と比較す
体験する活動を取り入れた。この活動は,アナ
ウンサーは,1 分間に 300 字を基本にして話し
図 31 単位量通信(切り抜き)
22
○
○
▼乗り物シリーズ結果報告
ンジ」というテーマで,話す速さというものを
○○○○○○○○○ ○○○○
また,第 11 時には,
「アナウンサーにチャレ
《電車》 新幹線より速い電車が世界
さんあります。その中でも
いのがオーストラリアの電
んと時速357㎞です。
《飛行機》○○○○が開発したステル
○○というものです。時速
㎞です。
《ジェットコースター》
世界で一番速いジェットコ
は時速206㎞。日本では
○の「○○○○」が時速1
いうことです。
ちなみに,ジェットコース
エンジ ンや モー ター はつ
ず,自然に落ちるスピード
て動いているそうです。自
る ス ピ ード が2 00 ㎞を
は,なんともびっくりです
いえるのではないかと考える。
2007年 月 日発行
う結果から,活用しようとする態度が育ったと
単位量通信
るかという方法までもイメージできているとい
4名もの人が質問!
面が具体的にイメージでき,どのように活用す
おそらく,給食時のクイズで出題されたことが原因だと思
われますが,チーターの速さに関心が集中していました。陸
上 動 物 の中 で 一番 速 い と され る チ ー タ ーで す が , そ の 速さ
は,時速115㎞だといわれています。さてこの速さ,いっ
たいどれぐらいなのか実感できるかな?
や実測などの算数的活動を通して,より活用場
自動車で世界一位はなんと
するときなどあった。本実践での疑似体験活動
時速1228㎞
これは驚きです。自動車といっても,ジェットエンジンを
搭載した飛行機のような自動車(○○○○○○)です。おそ
らく,ドラッグレース(400㍍の直線コースを2台の自動 ▼動物シリーズ結果報告▲
車で競争するレース)用に開発されたものでしょうが,想像
《魚》 魚で一番速いのは,バショウ
を絶する世界ですね。
時速約100㎞です。
ちなみに,普通に販売されている自動車で世界最速は,F
《鳥》 鳥で一番速いのは,ハヤブサ
社の○○○という車で,時速407㎞を記録したそうです。
下するときには,なんと時速
また,日本車では,現在東京モーターショーで発表されたN
になるそうです。
社の○○○が最速といわれています。ただし,日本の一般道
《人間》100㍍走の男子で,○○○
路で そ んな ス ピ ード を 出 したら 間 違 い な く ス ピ ー ド 違 反 で
○○さんが世界記録をもって
つかまってしまいますけどね。
記録は,9秒74です。
う記述は 19 名に見られたが,ただ,会計で合計
《チーターの速さ》に関心が集中
った。
(図 30)
ると,事前意識調査でも「買い物のとき」とい
Ⅳ 研究のまとめと今後の課題
一つの数量だけでは判断できない場合でも,も
う一つの数量に着目すると判断できる」という
本研究では,児童が算数のよさに気付き,進
算数的な面白さ,よさに気付けるようにするこ
んで活用しようとする態度を育てるために,算
とが算数の本質的なねらいであった。そのねら
数的活動を工夫し,積極的に取り入れた授業づ
いを達成するためには,様々な事象に出合った
くりを通して追究してきた。
とき,一つの観点だけではなく,多面的にとら
まず,本研究において重点とした3つの算数
えてみようとする態度を育てることが大切であ
的活動について実践をもとにまとめておきたい。
る。そのような態度を育てるためには,算数的
一番目の「日常の事象と算数の学習をつなぐ
活動の工夫が重要になってくると考える。
ための算数的活動」については,本単元のどの
本研究においては,
「単位量あたりの大きさ」
授業づくりにおいても視点の一つとしてとらえ
という一単元での算数的活動を工夫した授業実
ていた。そうすることで,児童が場面をよりイ
践であった。今後,他の単元や他の学年におい
メージしやすくなり,記憶に残る学習となった
ての実践を広げていき,年間を通じて計画的,
と考える。ある日常の事象に出合ったとき学習
継続的に算数的活動を工夫していくことが課題
の内容を想起するということも考えられる。そ
である。さらに,学年間や,中学校での数学的
ういった意味でも日常事象と算数をつなぐ活動
活動とのつながり,他教科及び総合的な学習の
は大切であるといえる。
時間との関連までも視野に入れて,取り組むこ
二番目の「実験・実測などを通して実感を伴
とも大切なことであると考える。
った理解に結びつけるための算数的活動」につ
おわりに
いては,
第 7 時,
第 10 時が主に関係する。
ただ,
計算するだけではなく,実際にストップウォッ
チを使って測定することで,速さという概念に
本研究においては,一単元のみの研究ではあ
対する具体的なイメージが持てたということが
ったが,算数的活動を取り入れていく視点や学
いえる。また,実際に自分の歩く速さを測定す
習活動の構成の仕方などは,全ての単元におい
ることで,身長や体重,手のひらを広げたとき
ても生かしていけるのではないかと考える。
の幅などと同じような,新たな量の大きさにつ
今後,全国学力・学習状況調査や PISA2006
いての感覚を得たことになる。
これは,
今後様々
の結果等を受けて,さらに「活用能力」や「活
な場面で生きてくるのではないかと考える。
用しようとする態度」を育てるための指導の工
夫,改善が求められると思われる。
三番目の「習得した知識や技能,数学的な考
その際に,本稿が先行研究としての役割を果
え方を活用するための算数的活動」
については,
第2時,第5時が主に関係する。このような算
たせるなら幸いである。多くの方々のご指導ご
数的活動は,児童の学習意欲を喚起し,しかも
批正をお願いする次第である。
なお,本研究における授業実施に当たり,忙
楽しみながら学習できるという点で有効であっ
しい時間を割いてご協力くださった関係の方々
たと考える。
に対して心から感謝申しあげる次第である。と
本単元においては,
「ある事象を比較する際,
23
りわけ,研究協力員の方には授業実践や資料の
8)文部科学省「小学校学習指導要領解説算数編」
東洋館出版社 平成 11 年 p.171
提供をいただいた。指導教員として,大阪教育
9)国立教育政策研究所「PISA2006 年調査評価の
大学の准教授柳本朋子先生には助言を賜った。
枠組み OECD 生徒の学習到達度調査」ぎょうせ
心から感謝申し上げる次第である。
い 2007,p.91
10)文部科学省「小学校学習指導要領解説算数編」
東洋館出版社 平成 11 年 p.19
〈研究協力員〉
11)新算数教育研究会 「新しい算数研究2月号」
千葉法幸(大阪市立鴫野小学校)
東洋館出版社 2007.2 p.62
播野理子(大阪市立苅田小学校)
12)大阪市教育センター研究紀要
敬称略(五十音順)
第 178 号
2007,p.7
13)日本数学教育学会「算数教育指導用語辞典第
三版」教育出版 平成 16 年 p.9
〈引用・参考文献〉
1)国立教育政策研究所「PISA2003 年調査評価の
枠組み OECD 生徒の学習到達度調査」ぎょうせ
い 2004,p.16
2)国立教育政策研究所教育課程研究センター「平
成15年度小・中学校教育課程実施状況調査教科
別分析と改善点(小学校・算数)
」平成16年
http://www.nier.go.jp/kaihatsu/katei_h15/H15/
03001030020007004.pdf
3)国立教育政策研究所「特定の課題に関する調査
(国語,算数・数学)」平成17年
http://www.nier.go.jp/kaihatsu/tokutei/040020
30200007001.pdf
4)中央教育審議会「教育課程部会におけるこれ
までの審議のまとめ」平成 19 年,p.56
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chuky
o/chukyo3/siryo/001/07110606/001.pdf
5)国立教育政策研究所「PISA2006 年調査評価の
枠組み OECD 生徒の学習到達度調査」ぎょうせ
い 2007,p.69
6)黒澤俊二「なぜ『算数的活動』なのか」 東洋
館出版社 1999 pp.48-49
7)文部科学省「小学校学習指導要領解説算数編」
東洋館出版社 平成 11 年 p.14
24
(資料1)算数検定(診断的評価問題)
算数検定
6年
組
番
名前(
)
【第1問】
せっかく作った等しい分数のカードが虫に食べられてしまいました。虫に食べられた部分 あ から え
にあてはまる数を見つけましょう。
あ
2
=
3
8
3
い
7
=
9
=
い
あ
え
9
=
35
う
う
え
【第2問】
48人で人数集めゲームをします。全員あまることなく組が作れるようにするためには,何人組がつく
れるかな?(ただし,1 人組と 48 人組はのぞきます。)
(
)人組,(
)人組,(
(
)人組,(
)人組
)人組,(
)人組,(
)人組,(
)人組,
5人組だったら、48÷5=9あまり3だから
3人あまってしまうな・・・?
【第3問】
夏休み新幹線のぞみの「乗車率 150%」とニュースで報道していました。
もし,乗車定員が1200人だとすると,いったいこの新幹線のぞみには何人乗車していたことになる
でしょう。自分の考えを図を使って説明しましょう。
(自分の考え)
(式)
(答え)
5
2
【第4問】
わたしの身長は140㎝です。お姉さんの身長はわたしの身長の 1.2 倍です。
①
お姉さんの身長は何㎝ですか。
(式)
(答え)
わたしの身長は弟の身長の 1.5 倍で150㎝です。
②
弟の身長は何㎝ですか。
(式)
(答え)
【第5問】
ドミノをならべています。10こ並べるごとにストッパーを入れます。8こごとに色を変えてならべ
なければなりません。ストッパーを入れる場所と色の分かれ目がぴったり合えば次の人と交代できます。
ドミノを何個ならべれば次の人と交代できるでしょうか。
(式)
(答え)
【自信度チェック】
この算数検定の自信度はどれぐらいですか。あてはまる番号を選んで□にかきましょう。
①
どの問題も簡単だった。自信満々。
②
だいたいできたと思う。
③
少し難しい問題があった。
④
難しい問題がたくさんあって、あまり自信がない。
③か④とかいた人は、難しかった問題の番号を選んで(
(
)
【第1問】
(
)
【第2問】
(
)
【第3問】
(
)【第4問】
(
)【第5問】
)に○をつけてください。
(資料2)事前意識調査用紙
算数についてのアンケート
6年
組
番
名前
このアンケートは,みなさんが算数の学習について,感じたり考えたりしていることを知るためのも
ので,答えが正しいとかまちがっているとかを調べるものではありません。一人ひとりのことを調べる
ものでもありません。あなたのありのままの気持ちや考えを答えてください。
答え方
あてはまるものを一つだけ選んで,その番号を
の中に書いてください。
ぴったりあてはまる答えがないときは,一番近いものを選んでください。
1
あなたは,算数の学習が好きですか。
①
好き
②
どちらかといえば,好き
③
どちらかといえば,きらい
④
きらい
6
2
2
そのわけを書きましょう。
あなたは,算数の学習を楽しいと思いますか。
①
楽しいと思う
②
どちらかといえば,楽しいと思う
③
どちらかといえば,楽しいと思わない
④
楽しいと思わない
そのわけを書きましょう。
3
あなたは,算数の学習がわかりますか。
6
友だちの意見や考え方を聞いて,自分の意見
①
よくわかる
や考え方と比べていますか。
②
だいたいわかる
③
あまりわからない
④
ほとんどわからない
①
②
③
④
4
あなたは,毎時間の学習のめあてがわかって,
7
いつも比べている
ときどき比べている
あまり比べていない
まったく比べていない
毎時間の学習でどんなことがわかったのか,
学習していますか。
どんなことができるようになったのかをふり
①
わかっている
返っていますか。
②
だいたいわかっている
③
あまりわかっていない
④
わかっていない
①
②
③
④
5
これまでに学習したことをもとに,自分なり
8
いつもふり返っている
ときどきふり返っている
あまりふり返っていない
まったくふり返っていない
あなたは,割合、倍数・公倍数や約数・公約
の方法で答えを求めようとしていますか。
数、分数の約分や通分の学習に自信があります
①
いつもしている
か。
②
ときどきしている
③
あまりしていない
④
まったくしていない
①
②
③
④
9
とても自信がある
少し自信がある
あまり自信がない
まったく自信がない
算数の学習で「おもしろいなあ!」と思うことはどんなことですか。
10 ふだんの生活で「算数で学習したことが使えそうだなあ!」と思うのは,どんなとき
ですか。
(資料3)算数検定(形成的評価問題)
算数検定
6年
(1)
組
番(
)
修学旅行が近づいてきました。宿泊する部屋を決めます。さて,次の3つの部屋の中で,どの部
こ
こ
屋が混みキング(1 番混んでいる)でしょう。式やことばで説明しましょう。
(説明)
部屋番号
広さ
人数
301号室
10 畳
8人
302号室
10 畳
6人
303号室
8畳
6人
こ
(答え)混みキングは
号室
(2) 大阪市の区の人口密度ランキングは次の通りです。
順位
区名
面積(㎢)
人口(人)
第1位
城東区
8.42
162546
第2位
阿倍野区
5.99
107926
第3位
西成区
7.35
130477
第4位
東成区
4.55
79079
第5位
住吉区
9.34
157977
住吉区の人口密度を求めましょう。
(ただし,面積を 9 ㎢,人口を 160000 人として計算しましょう。
)
÷
(式)
(答え)
(3)
1㎢あたり
=
人(小数第 1 位を四捨五入し整数の値で答えましょう。)
30ℓのガソリンで 450 ㎞走ることのできる自動車があります。
この自動車は,ガソリン 1ℓあたり何㎞走ることができるでしょう。
(式)
(答え)ガソリン 1ℓあたり
(うら面に続きます。)
㎞走ることができる。
7
2
(4)
30ℓのガソリンで 450 ㎞走ることのできる自動車があります。
この自動車で 300 ㎞走るためには,ガソリンは何ℓ必要でしょうか。
(考え方)
(答え)
(5)
ガソリンは
ℓ必要
次の豆大福の中で一番お得な豆大福を見つけましょう。
①
3こ
450円の豆大福
②
5こ
800円の豆大福
③
10 こ
1400円の豆大福
(考え方)
(答え)一番お得な豆大福は
【自信度チェック】
この算数検定の自信度はどれぐらいですか。あてはまる番号を選んで□にかきましょう。
①
どの問題も簡単だった。自信満々。
②
だいたいできたと思う。
③
少し難しい問題があった。
④
難しい問題がたくさんあって、あまり自信がない。
③か④とかいた人は、難しかった問題の番号を選んで(
(
)
(1)
(
)
(2)
(
)
(3)
(
)(4)
(
)(5)
)に○をつけてください。
です
(資料4)算数卒業検定(総括的評価問題)
算数卒業検定
6年
【1】
組
番(
)
みなさん「混みキング」を覚えていますか。混んでいる方が勝ち
というカードゲームでしたね。
では,右のような場合AさんとBさんでは,どちらが勝ちでしょ
う。
(自分の考え)
(答え)
【2】
大阪市の中で一番混んでいる城東区の人口密度を求めましょう。
城東区のデータ(面積:8 ㎢,人口:160000 人)
(式)
8
2
(答え)城東区の人口密度は(
【3】
)人
次の商品は,どちらが得でしょうか。
① 6 こ 120 円のたまごと,10 こ 208 円のたまご
(式)
(答え)
(
)こ(
)円のたまごの方が得
② 300 円で 1500g 買える肉と,500 円で 2000g 買える肉
(式)
(答え)
(
《裏に続きます》
)円で(
)m買える肉の方が得
【4】
おもちゃの電車で速さ比べをして,次の結果が出ました。
おもちゃ名
進んだ道のり(㎝)
時間(秒)
新幹線のぞみ
120
3
トーマス
150
5
アーバンライナー
200
6
それぞれの秒速を求めてから,1 番速いおもちゃを答えましょう。
(自分の考え)
(答え)
【5】
が 1 番速い
住宅の広告について次の問いに答えましょう。
(徒歩○分とは,分速 80m で歩くときにかかる時間です。)
①
「マンション苅田
あびこ駅
徒歩 5 分」と広告に書いてありました。
「マンション苅田」か
ら「あびこ駅」までの道のりは,何 m でしょう。
(式)
(答え)
m
② 「マンション東我孫子」から「あびこ駅」までの道のりは,560m です。では,広告に徒歩何分
と書けばいいでしょう。
(式)
(答え)徒歩
【自信度チェック】
この算数検定の自信度はどれぐらいですか。あてはまる番号を選んで□にかきましょう。
①
②
③
④
どの問題も簡単だった。自信満々。
だいたいできたと思う。
少し難しい問題があった。
難しい問題がたくさんあって、あまり自信がない。
③か④とかいた人は、難しかった問題の番号を選んで(
(
)
【1】
(
)
【2】
(
)
【3】
(
)【4】
(
)【5】
)に○をつけてください。
分
研究紀要
第 184 号
平成 20(2008)年 3 月 31 日
平成 20(2008)年 3 月 31 日
印刷
発行
発行所
大 阪 市 教 育 セ ン タ ー
発行者
552-0007 大阪市港区弁天 1-1-6
電話
06( 6572) 0603
後
藤
幸
雄
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