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伝統や文化に関する教育
第4章 教育活動の 教育活動の推進 伝統や文化に関する教育 国際社会で活躍する人材の育成を図るため,我が国や郷土の伝統や文化についての理 解を深め,そのよさを継承・発展させるための教育を充実することが必要である。自ら の国や郷土の伝統や文化についての理解を深め,尊重する態度を身に付けることによっ てこそ,グローバル化社会の中で,自分とは異なる文化や歴史に敬意を払い,これらに 立脚する人々と共存することができることとなる。 1 教育基本法等への 教育基本法等への規定 への規定 教育基本法(平成 18 年 12 月公布)前文に,伝統を継承し,新しい文化の創造を目指 す教育を推進することが示され,第2条第5号には,教育の目標の一つとして,次のこ とが規定されている。 伝統と文化を尊重し,それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに, 他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。 また,教育基本法の教育理念を踏まえ,平成 19 年6月に公布された学校教育法には, 「義務教育の目標」として第 21 条の第3号に次のように示された。 我が国と郷土の現状と歴史について,正しい理解に導き,伝統と文化を尊重し, それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに,進んで外国の 文化の理解を通じて,他国を尊重し,国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う こと。 これらの改正を受け,伝統や文化に関する教育は,学習指導要領の改訂において,教 育内容に関する主な改善事項の一つとして示された。 2 各教科等における 各教科等における指導 における指導 新学習指導要領では,教科等の指導において,例えば,次のような内容の充実が図ら れている。 国語…親しみやすい古文や漢文の音読をすること(小学校第5・6学年),歴史的背景などに 注意して古典を読むこと(中学校第3学年)など,古典に関する指導。 社会…世界文化遺産や国宝などの文化遺産を取り上げる歴史学習(小学校第6学年)。身近な 地域の歴史や各時代の文化の学習(中学校・歴史的分野)。 音楽…教材として扱う唱歌(「春が来た」「もみじ」「ふるさと」など)の曲数を増加(小学校)。 民謡・長唄や和楽器(箏,三味線,尺八など)に関する学習(中学校)。 保健体育…男女共に武道を必修化(中学校第1・2学年)。 技術・家庭…地域の食材を生かした調理などを通した地域の食文化,和服の基本的な着装な どの学習(中学校・家庭分野)。 3 各学校における 各学校における取組 における取組 伝統や文化に関する教育を推進していくためには,地域や学校等の実態に応じて,学 習指導要領に示す各教科等の目標や内容を踏まえ,我が国の伝統や文化に関する学習を 教育課程上に適切に位置付けるとともに,児童生徒が学校教育の中で我が国の伝統や文 化に触れたり,認識を深める機会を充実させたりすることに留意すること及び外部の人 材や団体等との効果的な連携をするなどの工夫が考えられる。 学 校 に お け る 取 組 「総合的な学習の時間」等において,日本の童謡を歌い 継ぐ学習に取り組んでいる。全ての児童が毎年それぞれ持 ち歌を決め,作者や歌詞の意味を調べて歌う練習を続け, 授業前にクラス全員で持ち歌から一曲歌ったり,来校者に 対して一人で歌唱を披露したりしている。 また,歌詞の色紙作り等の活動では,地域のゲストティ ーチャーが講師として参加している。 ~ ~ 日本の 日本の歌を歌い継ぐ 地域の 地域の伝統を 伝統を語り継ぐ 事 例 ~ (東広島市立河内小学校) ~ 「総合的な学習の時間」を通して,一昨年度からミュ ージカルの創作に取り組んでいる。ミュージカルは,校 訓及び学校教育目標の実現を図る一つの方法として,三 原市の伝統文化である「三原やっさ」の 440 年の歴史と その当時の民話を基に構成したものである。今年度は「響 き合う“やっさ”の青春 partⅡ-鬼と殿さま-」を三原 市芸術文化センター(ポポロ)等で上演した。 (三原市立第二中学校) 「音楽Ⅰ」「音楽Ⅱ」「演奏法」「総合的な学習の時間」 等において,和太鼓や三味線,篠笛などの我が国の伝統 楽器を取り上げ,概論や演奏の技法等の学習について, ゲストティーチャーと連携して取り組んでいる。また, 部活動の和太鼓部は地域でのイベントに積極的に出向い て演奏活動を行っており,全国大会出場など数々の受賞 歴がある。 (広島県立湯来南高等学校) ~ 伝統楽器の 伝統楽器の普及を 普及を目指して 目指して ~