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自己点検・評価報告書
自己点検・評価報告書 2007年9月26日 愛知大学法科大学院 愛知大学大学院 法務研究科 研究科長 加 藤 克 佳 第1 法科大学院の基本情報 ·················································· 1 第2 自己点検・評価報告書作成のプロセス ···································· 2 第3 自己点検・評価の内容と結果 ············································ 3 1-1-1 養成しようとする法曹像を明確にし、関係者等に周知していること ·· 3 1-2-1 自己改革を目的とした組織・体制が適切に整備され機能していること。 ······························································ 6 1-3-1 教育活動等に関する情報を適切に公開し、学内外からの評価や改善提案 に適切に対応していること。 ··································· 14 1-4-1 法科大学院の教育活動に関する重要事項が、法科大学院により自主性・ 独立性をもって意思決定されていること。 ······················· 16 1-4-2 法科大学院が教育活動等の重要事項について学生に約束したこと を実施していること、実施していない場合には合理的理由があり、 かつ適切な手当等を行っていること。 ··························· 18 1-5-1 特徴を追求する取り組みが適切になされていること。 ············· 20 2-1-1 適切な学生受入方針、選抜基準及び選抜手続が明確に規定され、適切に 公開されていること。 ········································· 23 2-1-2 入学者選抜が、入学者選抜の基準及び手続に従って適切に実施されてい ること。 ····················································· 27 2-2-1 適切な法学既修者の選抜基準・選抜手続及び既修単位の認定基準・認定 手続が明確に規定され、適切に公開されていること。 ············· 29 2-2-2 法学既修者の選抜及び既修単位の認定が、所定の選抜・認定の基準及び 手続に従って適切に実施されていること。 ······················· 33 2-3-1 入学者全体に対する「法学部以外の学部出身者」又は「実務等の経験の ある者」の割合が3割以上であること、これに至らない場合は3割以上 となることを目標として適切な努力をしていること。 ············· 35 3―1―1 専任教員が12名以上おり、かつ学生15人に対し専任教員1人以上の 割合を確保していること。 ····································· 38 3-1-2 法律基本科目の各分野毎に必要数の専任教員がいること。 ········· 40 3―1―3 5年以上の実務経験を有する専任教員が2割以上であること ······· 42 3-1-4 専任教員の半数以上は教授であること。 ························· 44 3-1-5 教員の年齢構成に配慮がなされていること。 ····················· 45 3-1-6 教員のジェンダー構成に配慮がなされていること。 ··············· 46 3-2-1 教員の担当する授業時間数が十分な授業準備をすることができる程度 の適正なものであること。 ····································· 48 3-2-2 教員の教育活動を支援する仕組み・体制が用意されていること。 ··· 51 3-2-3 教員の研究活動を支援するための制度・環境に配慮がなされていること。 ····························································· 54 4-1-1 教育内容や教育方法の改善に向けた組織的取り組みが適切に実施され ていること。 ················································· 56 4-1-2 教育内容や教育方法についての学生による評価を把握しその結果を教 育内容や教育方法の改善に活用する取り組みが適切に実施されている こと。 ······················································· 68 5-1-1 授業科目が法律基本科目、法律実務基礎科目、基礎法学・隣接科目、展 開・先端科目の全てにわたって設定され、学生の履修が各科目のいずれ かに過度に偏ることのないように配慮されていること ············· 71 5-1-2 授業科目が体系的かつ適切に開設されていること。 ··············· 74 5-1-3 法曹倫理を必修科目として開設していること。 ··················· 76 5-2-1 学生が履修科目の選択を適切に行うことができるようにするための取 り組みがなされていること。 ··································· 77 5-2-2 履修科目として登録することのできる単位数の上限が年間36単位を 標準とするものであること、及び修了年度の年次は44単位を標準とす るものであること。 ··········································· 79 6-1-1 開設科目のシラバスや教材の作成等、授業の計画・準備が適切になされ ていること。 ················································· 80 6-1-2 開設科目が効果的に履修できるような適切な態様・方法で授業が実施さ れていること。 ··············································· 82 6-2-1 理論教育と実務教育との架橋を意識した授業が実施されていること。 90 6-2-2 臨床科目が適切に開設され実施されていること。 ················· 94 7-1-1 法曹に必要なマインドとスキルを養成する教育内容が、開設科目等の中 で適切に計画され、適切に実施されていること。 ················· 98 8-1-1 授業等の教育の実施や学習に必要な施設・設備が適切に確保・整備され ていること。 ················································ 103 8-1-2 教育及び学習の上で必要な図書・情報源及びその利用環境が整備されて いること。 ·················································· 106 8-2-1 学生が学習に集中できるように支援する体制が備わっていること。 109 8-2-2 学生が学習方法や進路選択等につき適切にアドバイスを受けられる体 制があり、有効に機能していること。 ·························· 111 8-2-3 学生が適切に精神面のカウンセリングを受けることのできる体制があ り、有効に機能していること ·································· 113 8-2-4 国際性の涵養に配慮した取り組みがなされていること。 ·········· 115 8-3―1 1つの授業を同時に受講する学生数が適切な数であること。 ······ 117 8-3-2 入学者数が入学定員に対してバランスを失していないこと。 ······ 118 8-3-3 在籍者数が収容定員に対してバランスを失していないこと。 ······ 119 9-1-1 厳格な成績評価基準が適切に設定され、事前に学生に開示されているこ と。 ························································ 120 9-1-2 成績評価が、成績評価基準に従い厳格に実施されていること。 ···· 122 9-1-3 成績評価に対する学生からの異議申立手続が規定されており、適切に実 施されていること。 ·········································· 124 9-2-1 修了認定基準、修了認定の体制・手続が適切に設定されていること、及 び修了認定基準が適切に開示されていること。 ·················· 125 9-2-2 修了認定が、修了認定基準及び所定の手続に従って適切に実施されてい ること。 ···················································· 127 9-2-3 修了認定に対する学生からの異議申立手続が規定されており適切に実 施されていること。 ·········································· 129 別紙 学生数および教員に関するデータ ······································ 130 第1 法科大学院の基本情報 1.大学(院)名 2.法務博士が授与される大学院課程の名称 3.開設年月 4.当該大学院課程の教学責任者 氏名 所属・職名 連絡先 5.認証評価対応教員・スタッフ ① 氏名 所属・職名 役割 連絡先 ② 氏名 所属・職名 役割 連絡先 ③ 氏名 所属・職名 役割 連絡先 1 愛知大学大学院 法務研究科法務専攻 平成 16 年 4 月 加藤 克佳 法務研究科 教授(研究科長) 愛知大学 車道教学課 電話(052)937-8115 榎本 修 法務研究科 教授(教学主任) 自己点検・評価の 教学責任者 愛知大学 車道教学課 電話(052)937-8115 岩間 康夫 法務研究科 教授 自己評価・FD 委員会委員 愛知大学 車道教学課 電話(052)937-8115 春日 修 法務研究科 教授 自己評価・FD 委員会委員 愛知大学 車道教学課 電話(052)937-8115 第2 自己点検・評価報告書作成のプロセス 我々、愛知大学法科大学院では、この「自己点検・評価報告書」を一部の教 員の負担だけで作成するのではなく、専任教員全体でそれぞれ分担して、相互 に検証・議論しながら教員団・教授団として「組織として」作成することが法 科大学院の組織の更なる改善のために非常に大切であると考えた。 そこで、これを専任教員全員で分担し、以下のようなプロセスにより作成し た。 1 FD 合宿・教授会において執筆分担の確定 2007 年 2 月の愛知大学法科大学院 FD 合宿において「自己点検・評価報告書」 について執筆担当者の分担を確定した(その分担状況については、2007 年度 第1回法務研究科議事録1のとおり。満遍なく、教員全体で組織として執筆を 分担した)。 2 各教員による執筆 各教員は、上記分担に従ってそれぞれの箇所を執筆して、当法科大学院の 自己評価・FD 委員会に提出した。 3 自己評価・FD 委員会における点検・検討 上記によって執筆・提出された原案について、 (1)2007 年 6 月 5 日開催の法科大学院自己評価・FD 委員会(岩間康夫教 授・榎本修教授・春日修教授)において、3 名で分担して、それぞれの 原稿を点検・検討することとし2、 (2)上記委員 3 名でそれぞれ検討の結果を 2007 年 6 月 27 日開催の自己 評価・FD 委員会において検討した結果3、 (3)これを加藤研究科長に報告した。 4 運営委員会・教授会における審議と確定 上記によって確定した報告書原案について (1)2007 年 7 月 13 日に教授会の全構成員に配布して意見を募り、 (2)2007 年 7 月 18 日開催の法科大学院運営委員会・教授会で審議して内 容を確定した。 上記作成の過程においては、教員間で法科大学院のあり方についての種々の 議論が活発に行われ、この自己点検・評価報告書の作成プロセス自体が、当法 科大学院の現状の問題点を認識し、更なる改善のための議論の契機になりえる ものと考えている。 1 2 3 資料10-2-④ 2007 年度第 2 回自己評価・FD 委員会議事録(資料0-11-③) 2007 年度第 3 回自己評価・FD 委員会議事録(資料0-11-③) 2 第3 自己点検・評価の内容と結果 1-1-1 養成しようとする法曹像を明確にし、関係者等に周知しているこ と 1.現状 (1)当法科大学院で養成しようとする「法曹像」 愛知大学の建学の精神を要約すると、①学問、文化の地域貢献(地域社会へ の貢献)、②国際的視野を持った教養人の養成(国際化)等であるが、愛知大 学が設立された当時、中部日本には法文科系の大学が存在しておらず、本学は その要望に応えて設立されたという「特殊の意義」を有している。つまり、 「地 域貢献」が建学の精神の重要な柱なのである。このことは、当法科大学院が目 指そうとしている法曹像と密接に関わるのであり、当法科大学院の使命は、 「法 の支配」の担い手である法曹を養成し、質の高い法的サービスを、地域に提供 することにあるといえる。 すなわち、当法科大学院が養成しようとする法曹像を具体的に示すとすれば、 それは、 「地域社会に貢献するローヤー」の育成の一語に集約できるのである。 地域社会に貢献するローヤーとしては、主として以下のようなタイプのロー ヤーが想定できる。 ① 地域社会に貢献するホーム・ローヤー 市民にとって身近で利用しやすい「ホーム・ドクター」があるように、市 民生活から生じる法的諸問題に関して、身近で必要とされる法的サービスを 提供する「国民の社会生活上の医師」としてのローヤー。 ② 地域社会に貢献するビジネス・ローヤー グローバル化に対応して領域を拡大する企業活動に関連して生じる複雑 多岐な国際的・国内的な法律問題について、専門的に適切なサービスを提供 することにより、当該企業の健全かつ適法な発展に寄与することができるロ ーヤー。このことは、上記した愛知大学の建学の精神の一つである「国際的 視野を持った教養人の養成(国際化)」にも合致するものである。 上記の理念を実現するためには、専門的な法知識はもちろん、問題となる事 案の事実関係を的確に分析し、法的紛争を解決するための法的な思考力、分析 力、表現能力および交渉能力、そしてプロフェッショナルとしての責任感や倫 理観、社会に貢献するという自覚といった資質を備えた法曹の育成が必要であ る。すなわち、当法科大学院では、このような資質を備えた法曹を育成するこ とを目指している。 (2)法曹像の周知 当法科大学院で養成しようとする「法曹像」は、学生・教員には全員に配布 3 する「法科大学院ガイドブック」4で、入学志望者等学外の者には「法科大学 院パンフレット」5「法科大学院ホームページ」(http://lawschool.aichi-u. ac.jp/outline.html)6で知らせている。また、入学予定者に対するオリエン テーションにおいても、研究科長等から説明を行っている。 (3)実践 当法科大学院では、上記(1)記載の基本方針を、上記(2)記載の方法で 法科大学院関係者(教職員、学生等)に周知徹底し、十分な理解を得た上で、 下記のとおり、当法科大学院におけるあらゆる局面において一貫して実践して いる。 ア 入学資格審査において、「志望理由」及び「自己 PR 書」の作成提出を義 務付け7、また、面接審査においても、適宜これを補充する質問を行う等の 方法により、当法科大学院の理念に沿う考え方を有しているか否かを確認し ている8。また、入学者に対しては、地域貢献奨学金を募集・支給すること によって、当地域に貢献しようとの志のある者を積極的に募集している9。 イ 当法科大学院は、少人数教育を旨として学生 6.3 名に 1 人の割合で教員を 配置し10、また、多くの実務家教員を配置することによって、上記(1)記 載の資質の育成と向上に努めている。特に、弁護士の実務家教員については、 愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会の委員が多く、当地域の法曹養成 にとって必要な素養は何かということを常に探るよう心がけている。 ウ カリキュラム構成においては、実務科目であるローヤリングや臨床実務の 充実が挙げられる。例えば、臨床実務Ⅰの授業においては、犯罪被害者、民 事介入暴力、高齢者・障害者、児童虐待等様々な問題で困っている人を援助 するための法曹としての取り組み方について指導を行っている11。 2.点検・評価 (1)当法科大学院が掲げる法曹像は、「1現状」で示したとおり、より多く の人が明確なイメージをつかみやすいように、法律の専門的表現を使わず、 個々の言葉の意味を明確にすべく説明に行を割いている。このことから明 確な法曹像を示すことができているといえる。なお、当法科大学院設立時 における「当法科大学院が目指す法曹像」については、その概念が必ずし も整理されておらず、また、内容的にも不明確な部分が存したことから、 4 資料0-5p1-p3 資料0-3p1 6 資料1-3-1 7 法科大学院募集要項 p3(資料0-4-①②) 8 法科大学院募集要項 p1(資料0-4-①②)および合格者判定基準等(資料2-1-1①~⑤および資 料0-19) 9 2007 年度法科大学院ガイドブック p273-p275(資料0-5) 10 法科大学院パンフレット p9(資料0-3) 11 2007 年度法科大学院ガイドブック p98-p99(資料0-5) 5 4 2006 年度第 8 回教授会(2006 年 12 月 20 日実施)において、上記1(1) 記載のとおり修正することが諮られ、審議の結果承認されたことから12、こ れを 2007 年度法科大学院ガイドブック13に掲載し、2007 年度入学者のオリ エンテーションにおいても周知した。 (2)当法科大学院で養成しようとしている「法曹像」は、次のような方法で 教員・学生・社会に周知されている。 ア 専任教員については、法科大学院設置認可申請書の作成段階から全員 ではないが、新任教員に加わっていただき、理念の浸透に努めてきた。 加えて、毎年「法科大学院ガイドブック」を配布し、年度が変わるごと に気持ちを新たに理念実現への意識を高めていただいている。 イ 非常勤教員・教育補助講師(チュータ)についても、採用時に「法科 大学院ガイドブック」をお渡しし、本学の理念への理解および共感を求 めている。 ウ 学生については、教員と同様に毎年「法科大学院ガイドブック」を配 布するほか、上記のとおりの少人数教育という当法科大学院の環境から、 教員・学生間の距離が近く、講義内外において学生へもこの「法曹像」 の意識が周知浸透されやすい状況にある。また学生にとってより近い立 場にある教育補助講師(チュータ)14による補講等コミュニケーションの 機会を設けることで、実在の法曹と「法曹像」イメージが結びつきやす いことも、学生への周知に役立っている。 エ 入学予定者を含む社会に対しては、「法科大学院パンフレット」やホ ームページ等に「法曹像」を掲載し、周知している。 (3)当法科大学院においては、上記のとおり、学内・学外とも明確に「法曹 像」を周知するという点については概ね条件を満たすことができていると 認識しており、これとともに、入学者選抜、教員体制の構築、カリキュラ ム構成等の法科大学院の活動の各局面において、当該基本方針に沿った実 践がなされている。 3.自己評定 B 4.改善計画 在校生に対する周知方法について、適時、メール等の方法をもって、更なる 徹底を図る等、今後も学内外の反応に敏感に対応していく所存である。 12 13 14 法務研究科教授会議事録(2006 年度)(資料10-2-③) 資料0-5p1-p3 法科大学院パンフレット p10(資料0-3) 5 1-2-1 自己改革を目的とした組織・体制が適切に整備され機能している こと。 1.現状 (1)自己改革を目的とした組織・体制の整備について ア 教授会 当法科大学院は、愛知大学の専門職大学院における研究科及び専攻 の一つである法務研究科法務専攻(法科大学院)として位置付けられて いる15。組織としては、法務研究科長が置かれ、さらに法務研究科の専 任教員をもって組織されている法務研究科教授会がある16。教授会の決 議事項としては、教育課程及び授業の計画・実施に関する事項、教育研 究及び指導に関する事項、教員人事に関する事項、自己評価その他専門 職大学院の評価に関する事項、FD 活動に関する事項、学生の入学・退 学・修了等に関する事項、試験に関する事項等が含まれている17。 イ 教学委員会及び運営委員会、自己評価・FD 委員会 設立当初は、教授会とは別に諸問題や自己改革に関する取り組みを行 う教学委員会を設置していたが、以下に述べるような経緯により、その 後解消された。現在は、法務研究科運営委員会と自己評価・FD 委員会 が設置されている18。また諸問題につき迅速に対応するため、教学主任 のもとに各分野からの世話人 4 名を置く体制がとられている。 具体的には、以下のとおりである。 (ア)教学委員会 法科大学院設立当初は、法科大学院内に教学委員会を設置し、公法 系からは小林武教授・民事系からは榎本修教授・刑事系からは岩間康 夫教授・展開先端実務系からは森山文昭教授が委員に選出され、教学 委員会を構成した。 2004 年度春学期には、設立当初であったこともあり、ほぼ毎週の ペースで教学委員会を開催し、自己改革に関する取り組みについても この教学委員会の中で取り扱った。 (イ)教学主任及び自己評価・FD 委員会体制 その後、初期の諸問題が相当程度解決する一方、種々の雑多な諸問 題について迅速に対応する趣旨で、教学委員会を発展的に解消し、教 学委員長であった榎本修教授を教学主任とし、各分野の世話人を公法 分野については春日修教授・民事法分野については森山文昭教授・刑 事系分野については互敦史教授・先端実務分野については高橋譲二教 15 16 17 18 愛知大学専門職大学院学則第 2 条(資料0-5p237-p251) 同第 9 条ないし第 11 条 同第 12 条 愛知大学法科大学院自己改革組織図(資料1-2-1-①)、法務研究科運営委員会内規(資料1-2 -1-②)、愛知大学法科大学院自己評価・FD委員会規程(資料0-11-⑤) 6 授とする体制に改めた19。そして、全学の FD 委員会委員であり教学主 任である榎本修教授(委員長、民事法分野)、全学の自己評価委員会 委員である岩間康夫教授(刑事法分野)、春日修教授(公法分野)か ら構成される自己評価・FD 委員会により自己評価・FD 活動を行うこ とになった(FD 活動の仕組みそのものの改革)。 ウ 日弁連法務研究財団トライアル評価での意見を受けた改革 当法科大学院は、2006 年 7 月に日弁連法務研究財団トライアル評価 (フル・トライアル)を受け、意見原案が同年 10 月に示され、その 中で「自己改革に関する項目が専任教員全員によって構成される教授 会の決議事項とされていること、教学主任と世話人による柔軟な体制 の採用など小規模法科大学院なりの組織編成上の工夫が見受けられ ること等評価しうる点もあるが、なお当該法科大学院の組織・体制の 整備は不十分である」との指摘を受けた。かような指摘を率直に受け 止め、FD 活動の仕組みを更に以下のとおり改善した。 (ア)教授会において、FD に関する議題を「FD 関係議題集中審議」 という形で、毎回、集中的に取り扱うこととした。このような議 題の取り扱い方は、専任教員全員が FD 委員会を構成するのと同 様の効果を有する。とりわけ、「教授会の出席率は高い」ことが 当法科大学院の特徴でもあり、多数の教員が出席する中で FD 関 係の議題を集中して議論することができるようになった。 ちなみに、上記のとおり FD 関係議題集中審議を行うようにな った 2006 年 12 月以降に集中審議された FD 関係議題は以下のと おりである。 2006 年度第 8 回教授会 FD 関係議題 1.2007 年度法科大学院ガイドブックについて 2.授業改善(FD)上の諸問題について 3.FD 合宿の開催について 2006 年度第 9 回教授会 FD 関係議題 1.授業相互参観制度について 2.期末試験答案添削制度について 3.成績評価・修了認定に関する異議申立制度について 2006 年度第 10 回教授会 FD 関係議題 1.授業相互参観制度について(継続) 2.期末試験答案添削制度について(継続) 3.成績評価・修了認定に関する異議申立制度について(継続) 4.3L 春学期総合演習の共通化について 5.愛知大学法科大学院教育補助講師(チュータ)規程の一部改正 19 2005 年度第 12 回教授会議事録(資料10-2-②)。 7 について 6.2008 年度以降の検討すべき課題について 2006 年度第 11 回教授会の FD 関係議題 1.愛知大学法科大学院教育補助講師(チュータ)規程の一部改正 について(継続) 2.第三者評価のための自己点検・評価報告書の作成について 2007 年度第 1 回教授会の FD 関係議題 1.期末試験受験資格としての出席要件について 2.2007 年度授業評価アンケートについて 2007 年度第 3 回教授会の FD 関係議題 1.法科大学院における成績評価に対する異議申立てに関する細則 の一部改正について 2007 年度第 4 回教授会の FD 関係議題 1.成績評価ガイドラインの改定について 2.総合演習の学習成果情報の共有について 2007 年度第 5 回教授会の FD 関係議題 1.期末試験受験資格としての授業出席要件について 2.添削方法についての FD 活動について (イ)上記 FD 関係議題集中審議で取り扱い切れない、一定時間をま とめてとることが必要な議題については、教職員の合宿(FD 合 宿)を行った20。今後も、この FD 合宿のような集中的な時間を取 った FD 活動を定期的に行ってゆくことが確認されている21。 エ 愛知大学の全学的組織 なお、愛知大学の全学的組織として自己評価委員会22及び FD 委員 会23が置かれている。 オ 開催状況・成果 上記各委員会・FD 合宿・で取り上げたテーマのうち主なものは以 下のとおりである。 20 2007 年 2 月 23 日(金)・24 日(土)に開催。なお、「教員」だけでなく「職員」も一緒になって授業 改善を行うことが必要であると考えて、この FD 合宿には専任教員・非常勤教員だけでなく、教学課職員 も参加して議論を行った。 (1)FD 合宿における議論の様子や概要については、 愛知大学 HP 掲載文書(資料0-20-⑰) (2)FD 合宿における議論の詳細と取りまとめについては、 「2006 年度愛知大学法科大学院 FD 合宿について(まとめ)」(資料0-20-⑯) にそれぞれ記載したとおりである。 21 「2006 年度愛知大学法科大学院 FD 合宿について(まとめ)」(資料0-20-⑯) (2)まとめ「ア 継続的な議論の必要性」 22 愛知大学自己点検・評価規程第 2 条(資料0-14-①)・愛知大学法科大学院自己改革組織図(資料 1-2-1-①) 23 FD委員会規程第 1 条(資料0-11-①)・愛知大学法科大学院自己改革組織図(資料1-2-1- ①) 8 (ア)設立半月経過後の院生アンケート(授業のみならず施設や法科 大学院全体の問題も含む)の実施と集計・分析・対応 →(成果)これら一連の作業によって、授業内容のみならず、施 設・法科大学院全体の諸問題について多くの改善が為さ れた。詳細は議事録24を参照。 なお、このアンケートは 2004 年に第 1 回を行い、 その後も毎年 4 月の学年当初に行って継続的に実施し ている。 (イ)展開・先端科目の履修者の偏りについての問題 →(成果)履修指導の更なる充実や時間割の工夫によって、偏り は解消した。 (ウ)学生の外国留学に関する規程改正 →(成果)規程を法科大学院生にも対応したものに改訂した。 (エ)2004 年度文部科学省「法科大学院等専門職大学院形成支援プ ログラム申請」について →(成果)最終的に申請手続を行ったが、残念ながら採択されな かった。 (オ)学部費予算の使途に関するアンケートの実施・集約・予算執行 (パンチ等の購入など) →(成果)アンケート結果を踏まえて、施設や講演会の実施など 充実した学部費25予算の執行を行うことができた。 (カ)授業評価アンケートのアンケート文案の作成について →(成果)第 5 回教学委員会議事録の通り文案を確定26。 (キ)設立後 1 ヶ月半経過後の教員アンケート →(成果)第 5 回・第 7 回教学委員会議事録の通り実施し、アン ケートの結果に応じて、設備等の改善を行った27。 (ク)「学生の成績評価に関するガイドライン(案)」について →(成果)第 6 回、第 7 回教学委員会議事録の通り、教学委員会 及び教授会での議論を重ねた結果、ガイドラインを確 定した28。 (ケ)授業評価アンケートの集計と分析、公表方法の決定 →(成果)春学期に 2 回(初期アンケートを含めれば 3 回)、秋 学期に 2 回の年間 4 回行い、学期末アンケートについて 24 第 2 回・第 3 回教学委員会議事録(資料0-11-③) 本学各学部に配分される、学生の教育に関わる物品の購入等を補助するための予算措置。各学部の裁量 で執行することができる。2007 年度の法科大学院への配分額は 985 千円。 26 資料0-11-③ 27 資料0-11-③ 28 資料0-11-③ 25 9 は、担当教員のコメントをつけて公表するという方式が 定着し、実行している29。 (コ)日弁連法務研究財団(JLF)認証評価のトライアル評価につい て →(成果)協議の結果を踏まえて、貴財団のトライアル評価を受 けさせていただくことになった。 (サ)FD 合宿の開催について →(成果)2007 年 2 月に 1 泊 2 日で開催。 (シ)授業相互参観制度について →(成果)2006 年度第 10 回教授会で導入を決定。 (ス)期末試験答案添削制度について →(成果)2006 年度第 10 回教授会で導入を決定。 (セ)3年生春学期総合演習の共通化について →(成果)2006 年度第 10 回教授会で申し合わせ。 (ソ)「目指す法曹像」そのものの見直し・検討 →(成果)トライアル評価での「法曹像の 3 類型が必ずしも十 分に整理されたものとは言えない」との指摘を受け、 教授会で議論をしたうえ、法曹像自体を「地域貢献」 に基づく 2 類型に整理した30。 カ 愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会における授業内容の発表 (外部公開)やこれに対する意見聴取など 愛知大学法科大学院の教員の中には、愛知県弁護士会の法科大学院検 討特別委員会の委員が多い。研究者教員(弁護士登録をしている)であ る加藤克佳教授も同委員会に積極的に参加しているし、もちろん実務家 教員も多く同委員会に参加している31。 当法科大学院の授業内容については、独善に陥ることがないように、 このような地元弁護士会の委員会の議事やインターカレッジな教員研 修会の中で他の法科大学院の教員や一般の弁護士(司法修習などに携わ っている弁護士など)等にも積極的に披瀝し32、多く意見を聴取してい 29 学生授業評価アンケート記録(資料0-9-①②③④) 30 「2006 年度第 8 回法務研究科教授会議事録」議題10(2)(資料10-2-③) 愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会議事録(資料4-1-1-①)。なお、同委員会の活動の一 つとして行われた法科大学院生との匿名座談会(愛知大学法科大学院生も参加)についての報告として、 鈴木隆弘「法科大学院生との座談会レポート―初年度 1 年間を終えて―」(愛知県弁護士会会報 530 号 24 頁〔資料4-1-1-②〕)。 32 山田尚武「実録、法科大学院の授業!」(名古屋弁護士会会報 520 号 22~23 頁)を参照していただき たい(資料4-1-1-③)。この記事は、愛知大学法科大学院の研究者教員が主教員である「刑事訴 訟法」の授業を愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会委員〔愛知大学とは直接の関係がない外部の 第三者である〕に参観してもらった際の報告記事である。 上記の愛知大学での授業参観に続いて、他の法科大学院の授業参観も行っており、当該授業参観に当 31 10 る(愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会では、実務家教員研修会 を年に数回開催しているが、愛知大学法科大学院の教員が発表者となる 場合が一番多く、これまでも①刑事法に関する授業(前田義博教授・浅 井正教授)、②民法関係の授業(森山文昭教授・榎本修教授)、③要件 事実・事実認定に関する授業(高橋譲二教授・榎本修教授)、④実務基 礎科目(ローヤリング)に関する授業(榎本修教授)などの内容を発表 し、他の法科大学院の教員や司法修習を担当する弁護士などから意見や 批判などもしてもらい、授業改善に役立てている33。このように愛知大 学法科大学院の授業内容を地域法曹に広く開示して意見を求めること は、授業改善という意味でも意義があるが、それ以外にも①「地域に貢 献する法曹」という当法科大学院の養成しようとする法曹像から考える と、実際の地域法曹に広く授業内容を公開し意見を求めることが地域貢 献法曹を養成するために重要であると考えられること、②上記のように 広く授業内容を公開すること自体が当地方の法科大学院教育全体に対 する情報提供や議論の契機となり、当地域の法曹養成全体にも貢献して ゆく意義を有していることから、非常に意味が大きいと思われる34。 (2)組織・体制の機能について ア 各委員会等の活動は以下のとおりである。 ・ 教授会 毎月1回の教授会のほか、必要に応じて臨時の教授会も開催 33 34 法科大学院の教員が参加することによってインターカレッジな授業参観が実現している。鈴木隆弘「高 度な授業内容を傍聴して―名古屋大学法科大学院」(名古屋弁護士会会報 521 号 36 頁〔資料4-1-1 -④〕)の授業参観には前田義博教授が、清水綾子「法科大学院で身につけるべきものは??―南山大 学法科大学院の授業を傍聴して」(名古屋弁護士会会報 526 号 26 頁〔資料4-1-1-⑤〕)の授業参 観には榎本修教授がそれぞれ参加している。なお、鈴木隆弘「ロースクール授業傍聴第 3 弾 中京大学 ―松永裁判官の授業を傍聴して」(名古屋弁護士会会報 525 号 38 頁〔資料4-1-1-⑥〕)において も愛知大学法科大学院の授業との比較が掲載されている。 以下は、これらの実務家教員研修会をまとめた弁護士会会報記事である。愛知大学法科大学院の教員 が最も中心となって研修会で発表を行っている様子が分かっていただけると思う。 鈴木含美「第 1 回実務家教員研修会~実務家教員が行う法科大学院の授業」(名古屋弁護士会会報 521 号 34 頁〔資料4-1-1-⑦〕)。同「第 2 回実務家教員研修会~主に刑事関係科目を中心として」(名 古屋弁護士会会報 525 号 36 頁〔資料4-1-1-⑧〕)。同「第 3 回実務家教員研修会~学生からみた 法科大学院の授業など」(名古屋弁護士会会報 529 号 69 頁〔資料4-1-1-⑨〕)。 宮島元子「第 1 回実務家教員意見交換会~ロースクールにおいて民事実務をどう教えるか」(愛知県 弁護士会会報 535 号 47 頁〔資料4-1-1-⑩〕)。河瀬直人「第 2 回実務家教員意見交換会を傍聴し て」(愛知県弁護士会会報 538 号 47 頁〔資料4-1-1-⑪〕)。竹内裕詞「各校でのローヤリング授 業の工夫を意見交換」(愛知県弁護士会会報 541 号 83 頁〔資料4-1-1-⑫〕)。尾関栄作「『法曹 倫理』って、弁倫研修じゃないの?~法科大学院・実務家教員意見交換会、開催される」(愛知県弁護 士会会報 546 号 58 頁〔資料4-1-1-⑬〕)。 なお、愛知県弁護士会だけでなく他の弁護士会の法科大学院関係者と当法科大学院において意見交換 を行った例として、角谷晴重「弁護士会と法科大学院の連携に関する大阪弁護士会との意見交換会」(愛 知県弁護士会会報 553 号 66 頁〔資料4-1-1-⑭〕)。 たとえば、以下のような実例がある。 ア 当法科大学院が提供している「臨床実務」のカリキュラムやシラバスの内容を愛知学院大学法科大 学院の実務家教員(神沢昌克教授)を通じて同法科大学院に提供した。 イ 当法科大学院の「ロイヤリング」の授業内容や教材(民事法研究会から出版した「実務ロイヤリン グ講義」)を愛知県弁護士会の実務家教員に情報提供し、南山大学法科大学院で「ロイヤリング」の授 業を担当する実務家教員(加藤良夫教授)の希望を受けて授業参観していただいた(資料として、同授 業が見学を受けた際の授業見学のビデオがある。現地調査の際に視聴していただくことが可能である)。 11 され、その時々の必要事項について決議及び報告・協議が行われている35。 ・ 教学委員会 2004 年 4 月 2 日から 7 月 20 日までに 10 回開催36。 ・ 基礎法学・隣接・展開・先端・実務法部会 2004 年 12 月 22 日開催 ・ 授業相互見学・意見交換会 2004 年 12 月 22 日37、2006 年 11 月 22 日 開催 ・ 授業に関する意見交換会(法科大学院 FD 活動) 2005 年 11 月 16 日開 催38 ・ 兼担・非常勤教員と専任教員との意見交換会 2005 年 12 月 14 日39、2006 年 11 月 29 日開催40 ・ 自己評価・FD 委員会 2006 年度は 6 回開催。2007 年度は、4 月 25 日 に第1回、6 月 5 日に第 2 回、6 月 27 日に第 3 回を開催した41。 イ 教授会の出席率は高い。 ウ 教員アンケートのほか、各種の学生アンケートを適宜実施し、教授会 で検討された後、学生にも開示されている42。 2.点検・評価 (1)自己改革を目的とした組織・体制自体は、上記のとおり整備されてき たものと評価できる。取組の内容は非常に豊富であるし、必要な活動を 時宜に応じて行ってきたものと言えると思う。 (2)「しかし、全教員における組織的取組」という点では、従前、必ずし も十分ではなかった点もあった。この点については、昨年のトライアル 評価を受けて、教授会での FD 関係の議事の取扱を変えて「集中審議」と する形態を採ることにより、実質的に全教員が FD 委員であることと同様 の状況になった。2007 年 2 月の FD 合宿には専任教員についてはほぼ全員 が参加したばかりでなく、兼担教員・非常勤教員の参加もあり、組織的 な取組が強まってきており、従前よりは改善が行われてきたと評価でき る。ただし、必ずしもまだ十分とは言えない面もあり、更に「組織的取 組」を強めてゆく必要がある。 (3) 「中長期的に計画を立てて、目標を定めて結果を確認する」 (plan-do-see の導入など)という点では不十分な点があり、この点について改善の余 地がある。 35 法務研究科教授会議題(資料1-4-1-①②③) 教学委員会議事録(資料0-11-③) 37 資料0-20-④ 38 資料0-20-⑨ 39 資料0-20-⑩ 40 資料0-20-⑮ 41 資料0-11-③ 42 教員アンケートに関しては、「第 7 回教学委員会議事録」(資料0-11-③)。学生アンケートに関 しては、資料0-20-⑫⑬、資料5-1-1-②、資料6-1-2-③、資料8-2-1-⑤等。 36 12 3.自己評定 B 4.改善計画 (1) FD 活動を、更に組織的・全体的な取り組みとするように努力を重ねる 必要がある。また、中長期的な FD に関する計画を立てる必要がある。以 上から、このような「中期 FD 計画」を組織的に立案して、組織的にチェ ックを重ねることが必要である。 (2) また、法科大学院外部の意見を取り入れることの重要性に鑑み、今後 の改善計画として、以下の取り組みを行いたい。 ア 今後、当法科大学院卒業生の司法修習生の指導を担当した指導担当法 曹(裁判官・検察官・弁護士)・当法科大学院卒業生法曹の依頼者等の 司法の一般ユーザーとの意見交換会・アンケートを開催したいと考えて いる。 イ 先回のトライアル評価(フル・トライアル)自体が、法科大学院外部 からの意見を取り入れる大きなチャンスであった。このフル・トライア ルでは、厳しい指摘も多々していただいたが、このような外部からの御 指摘があったからこそ、上記のとおり教授会での議事の持ち方を改革す ることもできたし、FD 合宿のような極めて充実した取り組みを行うこと ができた。その意味では、今回の第三者評価自体も外部からの重要な自 己改革の契機であり、当法科大学院としては今回の第三者評価も、これ をおざなりに受け流すのではなく、自己改革のための契機として積極的 に受け止めて、更なる改善に努めたい。 13 1-3-1 教育活動等に関する情報を適切に公開し、学内外からの評価や改 善提案に適切に対応していること。 1.現状 (1)教育活動等に関する情報の公開について ア 情報の開示内容 (ア)法科大学院の基本方針と養成しようとする法曹像 (イ)入学者選抜の基準・方法 (ウ)教員・職員の体制 (エ)カリキュラム (オ)シラバス (カ)教え方 (キ)学生(在籍者数・収容定員) (ク)奨学金等の学生支援体制 (ケ)成績評価や修了認定の基準や判定手続 (コ)自己改革の取り組み イ 開示の方法 (ア)学内向け 毎年「法科大学院ガイドブック」43を作成して開示((1)ア~コ)。 (イ)学外向け a ホームページ(http://lawschool.aichi-u.ac.jp/outline.html)に掲載して誰 でも情報にアクセスできる状況になっている((1)ア~コ)44。 b パンフレットにも掲載している((1)ア・イ・ウ・エ・ク)45。 c また、これらの情報については愛知大学車道校舎教学課において 質問やコメントを受け付ける窓口体制となっている。 (2)学内外からの意見や評価等に対する対応について 学内外から寄せられる評価や意見については、「愛知大学車道教学課 法科大学院係」が窓口となっており、このことはパンフレット46の裏表紙 に「愛知大学法科大学院に関するお問合せ先」として明示してある。 具体的対応は、質問や提案の内容に応じて行われている。教学課に寄 せられた質問や提案のうち、教員を含めた対応が必要なもの、法科大学 院全体に関するものについては研究科長・教学関係については教学主任 を責任者として、場合によっては運営委員会ないし教授会にも諮って、 随時協議し、速やかな改善に活かすことができるように即座に対応して 43 44 45 46 資料0-5 資料1-3-1 資料0-3 資料0-3 14 いる。(院生からの要望については、「院生要望書」47および「目安箱回 答書」48を参照) 2.点検・評価 (1)情報の公開 教育活動等に関する情報はさまざまな媒体を通して公開しており、また、 弁護士会での授業内容の発表とそれに対する批判ないしそのような意見を 踏まえての改善など、相当程度改善提案に適切に対応していると考える。 (2)学内外からの質問などへの対応 対応窓口を愛知大学車道校舎教学課に設置し、適切に対応・処理されて いると考える。 3.自己評定 B 4.改善計画 これまで以上に、自己点検・評価の内容等についても積極的に学外に開示 し情報発信し、意見を求めていくことを検討したい。 47 48 様式は資料8-2-1-⑥、具体的要望は資料10-7。 資料4-1-2 15 1-4-1 法科大学院の教育活動に関する重要事項が、法科大学院により自 主性・独立性をもって意思決定されていること。 1.現状 (1)法科大学院の自主性・独立性の制度的保障について ア 当法科大学院は、愛知大学専門職大学院学則第 11 条49に基づき、独立 の意思決定機関として、専任教員によって組織される教授会を設置して いる。 イ 当該教授会の審議事項は、愛知大学専門職大学院学則第 12 条50に規定 されており、教育課程及び授業の計画、実施に関する事項、教員の人事 に関する事項、学生の入学、修了等に関する事項等教育活動に関する重 要事項が、教授会の審議事項として明文化されている51。 (2)法科大学院の自主性・独立性の実態的確保について ア 当法科大学院は、学校法人全体の中でもその立場を尊重されており、 特に法学部とは別の組織で、独立の意思決定機関(教授会)を有し、自 主性・独立性が確保されている。 イ 当法科大学院の現研究科長は、法学部長を兼ねることはなく、法科大 学院運営に専念しており、意思決定の自主性・独立性の点で問題となる 事象はない。 2.点検・評価 当法科大学院は、専門職大学院設置基準に適う組織であり、その自主性・ 独立性は、制度的に保障され実態としても確保されており、懸念を抱かせる 問題は見当たらないと考えている。敢えて挙げるとすれば、問題となり得る のは、法科大学院の自主性・独立性に力点を置きすぎて、かえって、学校法 人愛知大学という組織内でのバランスを失することである。いかなる学部も 大学院も大学組織の一部であり、独立独歩で組織運営ができるものではない。 この観点から、これまで大学当局との協調関係維持と法科大学院の自主性・ 独立性とのバランスの上にたち、法科大学院を運営してきたことも評価でき ると考えている。 3.自己評定 合 49 50 51 2007 年度法科大学院ガイドブック p238(資料0-5) 2007 年度法科大学院ガイドブック p238(資料0-5) 教授会議題・審議事項は資料1-4-1―①②③ 16 4.改善計画 特になし。現状では、当法科大学院の自主性・独立性は、制度的に保障さ れており、実態的運用においても自主性・独立性は尊重されている。これを 今後も維持していくように努力したい。 17 1-4-2 法科大学院が教育活動等の重要事項について学生に約束したこと を実施していること、実施していない場合には合理的理由があり、 かつ適切な手当等を行っていること。 1.現状 (1)募集要項やパンフレットで約束した以下のような事柄が実際に実施さ れている。 ①開設科目、②クラス人数を明らかにした少人数教育(1 学年 40 人)、 ③教育研究システムによる授業のレジュメ等の提供、④一般図書館とは 別に法科大学院専用の図書スペースを確保し 24 時間文献・資料を利用 できること、⑤一人 1 席のキャレルデスク(専用)と個人ロッカー、⑥ 各院生に 1 台ずつノートパソコンを無償貸与、⑦チュータ制度の設置、 ⑧ノートパソコンから教室で LAN に接続できる環境など。 (2)このうち、①の開設科目について、学生の履修登録が3名未満であった 場合は教授会の議によって当該授業科目の開講を取りやめることがで きること52の周知が十分ではなかったので、2007年度法科大学院ガイド ブック53218頁に明記した。もっとも、履修登録が3名未満であった場合 でも機械的に取りやめることはせず柔軟に対応することとしており54、 2006年度春学期には、「法律英語Ⅰ」(伊藤)、「英米法Ⅰ」(ケネス・ ポート)が履修者1名で開講され、履修者がいるが不開講とした科目は なかった。2006年度秋学期にも、「知的財産法Ⅱ」(高橋)が履修者1 名で開講され、「国際取引契約」(田中)、「法哲学」(西野)、「法 制史」(大川)は履修者2名で開講された。「金融法」(広瀬)は当初 の履修登録者2名と話し合い、納得を得て不開講とした。2007年度春学 期は「租税法Ⅰ」(加藤)が履修者1名で開講され、「国際関係法(私 法系)Ⅰ」(田中)、「英米法Ⅱ」(ケネス・ポート)が履修者2名で 開講されており、履修者がいるが不開講とした科目はなかった。55 (3)⑤のキャレルデスクについて、2007年度現在は在学生・研究生とも一人 1席となるよう必要数が確保されている。2008年度以降については、研 究生の席を確保できない可能性があるため、何らかの対策を講ずる必要 があると考える。 2.点検・評価 上記のとおり、学生に約束した重要事項は十分に実施され、問題はない。 52 53 54 55 2005 年度第 2 回法科大学院教授会議事録(資料10-2-②) 資料0-5 法科大学院における履修者数過少科目の開講等に関する申し合わせ(資料1-4-2) 履修者数一覧表(資料8-3-1) 18 3.自己評定 合 4.改善計画 特になし。 19 1-5-1 特徴を追求する取り組みが適切になされていること。 1.現状 (1)当法科大学院で養成しようとする法曹像 当法科大学院で養成しようとする法曹像は「地域社会に貢献するロー ヤー」であり、これを「地域社会に貢献するホーム・ローヤー」と「地 域社会に貢献するビジネス・ローヤー」という二つのタイプにわけて明 確化し、周知していることは本報告書1-1-1で述べたところである。 当法科大学院では、この二つのタイプのローヤーを目指すための履修 モデルを学生に提示するとともに56、それぞれのタイプのローヤー育成の ためにつぎのような取り組みを行っている。 (2)「地域社会に貢献するホーム・ローヤー」育成のための取り組み ア 地域社会とりわけ愛知県弁護士会との連携による教育プログラム (ア)臨床実務ⅠⅡの開講(愛知県弁護士会子どもの権利委員会・民 事介入暴力対策特別委員会・高齢者障害者対策特別委員会・犯罪 被害者特別委員会から講師の派遣を受け、エクスターンシップ・ 弁護士会法律相談センター見学などを実施。臨床実務Ⅱは2週間 集中でエクスターンシップを行う)。 (イ)「消費者救済法」の開講(愛知県弁護士会消費者問題対策特別 委員会からコーディネーターとなる講師及び各回の講師の派遣 を受けて授業を実施)。 (ウ)「科目等履修生」について愛知県弁護士会会員(現役弁護士)に 対して広報する作業を、愛知県弁護士会会員でもある実務家教員 の協力を得て行っており57、弁護士や社会保険労務士の応募があ る58。このような制度は CLE(継続的法曹教育)として意味がある し、院生にとっても、現役法曹と少人数で机を並べて授業を受け ることができることは、学習効果の上でも将来のキャリア支援の ためにも有益であると考えられる。このような呼びかけが可能な のは、当法科大学院が名古屋駅から地下鉄で 8 分、名古屋地方裁 判所・愛知県弁護士会館からもタクシーで 15 分程度の都心にあ り、実務法曹にとっても通いやすい位置にあることが寄与してい る。 イ 弁護士ゼロ・ワン地域(弁護士過疎地域)に赴任する志あるロース クール生に対する資金的援助 (ア)愛知大学法科大学院自身の奨学金(地域貢献奨学金) 56 57 58 2007 年度法科大学院ガイドブック p5 (資料0-5) 2007 年度「科目等履修生」募集のお知らせ(資料1-5-1-①) 愛知大学法科大学院科目等履修生応募者一覧(資料1-5-1-②) 20 中部地方の7県(愛知・岐阜・三重・静岡・石川・福井・富山) の弁護士ゼロ・ワン地域に赴任する志ある法科大学院生に 授業料・教育充実費の全額を貸与。実際に赴任した場合に返還を 免除する(2004 年度 2 名。2005 年度 1 名。2006 年度 2 名。2007 年度 1 名の実績59)。 (イ)NPO 法人ロースクール奨学金ちゅうぶの奨学金 上記(ア)と同様の学費を貸与する NPO 法人の奨学金支給対象 法科大学院となっている(上記(ア)とは別に、2005 年度 1 名。 2006 年度 1 名。2007 年度 1 名の実績60)。 (3)「地域に貢献するビジネス・ローヤー」育成のための取り組み ア 国際的素養の育成 地域に貢献するといっても、ビジネス・ローヤーとなる以上は国際 的素養が求められることは言うまでもない。愛知大学は建学の精神とし て「国際的素養と視野をもった人材の育成」を謳っており、そもそも、 愛知大学の前身である東亜同文書院(後に大学)は、1901 年に中国上 海に設置され、日本の海外高等教育機関として最も古い歴史を持ってい る。このような伝統を更に拡充・発展させるために、以下のような取り 組みを行っている。 (ア)中国法・中国語関係科目の開講 現代中国法・法律中国語Ⅰ・法律中国語Ⅱなどの中国法・中国語関 係科目を開講している。 (イ)その他の国際的科目の開講 上記のような中国関係科目のほかにも、外国人と法・国際取引契約・ 国際関係法(私法系)Ⅰ・国際関係法(私法系)Ⅱ・アジア会社法・国 際関係法(公法系)Ⅰ・国際関係法(公法系)Ⅱ・EU法・英米法Ⅰ・ 英米法Ⅱ・法律英語Ⅰ・法律英語Ⅱなどの国際的科目を開講している。 (ウ)中国関係の書籍の充実 愛知大学は、創立の由来から中国関係の文献が多く、貴重な資料と して「簡斎文庫」(元住友本社総理事・蔵相小倉正恒氏旧蔵)、「霞 山文庫」(旧霞山会蔵)、「東亜同文書院中国調査旅行報告書」があ る。 この他にコレクションとして「竹村文庫」、「浅川文庫」、「中国 学術交流文庫」、「中日大辞典文庫」等がある。 (エ)外国人教師による授業 英米法Ⅱについては、外国人講師(ケネス・ポート講師)を集中講 義で招聘して開講している。 59 60 奨学金利用状況(資料8-2-1-③) 奨学金利用状況(資料8-2-1-③) 21 イ ビジネス・ローヤー育成のためのその他の取り組み 小規模校でありながら、倒産法や租税法、知的財産法はもちろんの こと、商取引法、事業譲渡法、金融法などの科目も配置し、履修モデ ルにも取り入れている。 2.点検・評価 追求している特徴は明確で、その取り組み状況も適切になされている。 3.自己評定 B 4.改善計画 学生への周知をさらに徹底し、授業の中でも地域社会への貢献の意識を高 める工夫をしたい。 22 2-1-1 適切な学生受入方針、選抜基準及び選抜手続が明確に規定され、 適切に公開されていること。 1.現状 (1)学生受入方針については、司法制度改革の主旨から「公平性、開放性、 多様性」に加えて、本学独自の理念、法曹像を勘案して、入学者受入方 針(アドミッション・ポリシー)を定め、「法科大学院ホームページ」 (http://www.aichi-u.ac.jp/lawschool/exam.html) 内の入学者受入方針(アドミッ ション・ポリシー)で公開している61。 (2)選抜基準及び選抜手続は、例年 6 月中旬頃に作成する「法科大学院募集 要項」62、「法科大学院ホームページ」(http://www.aichi-u.ac.jp/lawschool/exa 63 m.html)で公開するとともに、入試説明会 を開催し、広く入学希望者に対 する情報公開を行っている。なお、「法科大学院ホームページ」には、 入試情報を中心とするQ&Aのコーナー64を設けており、ここでも選抜基 準に関する情報を提供している。 (3)合格者判定にあたっては、判定基準を設け、公平・公正に行っている65。 2.点検・評価 (1)当法科大学院が養成しようとする法曹像を具体的に示すとすれば、それ は、「地域社会に貢献するローヤー」の育成の一語に集約できるのである。 地域社会に貢献するローヤーとしては、主として以下のようなタイプのロ ーヤーが想定できる。 ① 地域社会に貢献するホーム・ローヤー 市民にとって身近で利用しやすい「ホーム・ドクター」があるように、市 民生活から生じる法的諸問題に関して、身近で必要とされる法的サービスを 提供する「国民の社会生活上の医師」としてのローヤー。 ② 地域社会に貢献するビジネス・ローヤー グローバル化に対応して領域を拡大する企業活動に関連して生じる複雑 多岐な国際的・国内的な法律問題について、専門的に適切なサービスを提供 することにより、当該企業の健全かつ適法な発展に寄与することができるロ ーヤー。 こうしたローヤーを目指す学生を受け入れるという学生受入方針を明確に 定め、ホームページ等で公表する他、入試説明会でも説明している66。 61 62 63 64 65 66 資料2-1-1-① 資料0-4-①p1~p4・資料0-4―②p1~p4 資料2-1-1-② 資料2-1-1-③ 2007 年度・2008 年度法科大学院特別入試合格者判定基準、2007 年度・2008 年度法科大学院一般入試合 格者判定基準(資料2-1-1-④⑤⑨⑩) 入試説明会(進学相談会)案内(資料2-1-1-②) 23 (2)学生受入方針に適合した入学者選抜を行うべく、入学試験として、例え ば一般入試では、適性試験、小論文、面接、書類審査等を課し、小論文 で社会問題への関心と論理的思考能力、面接および書類審査で倫理観・ 正義感、コミュニケーション能力、法曹としての将来性をみている。な お、面接試験では、「面接採点の指針」、「面接質問事項」を作成し、 各試験官に対して周知徹底を図り、面接試験における採点基準を明確に している67。 もっとも、上記の諸点につき、2006 年 7 月に実施されたトライアル評 価においては、併願者に対する未修者としての選抜過程で、純粋未修者 と異なる判断要素によって算出された面接・書類選考点が用いられてい る可能性がある等、併願者への対応は改善の必要性があり、もし今後改 善なき場合には、今後、D 評価とされる場合もあり得るとの指摘と評価を 受けた。具体的には、併願者への対応において、未修者としての選抜段 階で、既修者選抜の過程で用いた面接・書類選考点が修正されず、これ により実質的に未修者選抜の段階でも一定の法律知識や法律専門職資格 試験の受験経験等が選抜基準に加味されているのではないかという指摘 である。これが未修者コースにおける選抜の過程で一定の法律知識等が ある者を有利に扱う結果を認めるものであるとすれば、事実上未修者選 抜の過程で法律知識の試験を課すことに類する状況と言えるのではない かとされた。そこでトライアル評価は、併願者への対応の特殊性を考慮 したとしても、このような取扱いは本来の未修者選抜のあり方として疑 念を抱かざるを得ないと厳しく指摘・評価している。その上でトライア ル評価は、未修・既修が同列に評価される項目と、既修者選抜過程での み評価される項目とに細分化することにより、併願者との関係でも未修 者選抜の段階での公平性が担保されるであろうとの、改善に向けての示 唆も与えている。 これを受け、2007 年 5 月 30 日(水)に開催された入試委員会で最終的 に議論を詰めた結果、書類点採点においては法律的素養を除くことを決 定し、 「愛知大学法科大学院入試 出願書類採点の指針68」としてまとめ、 教授会の承認を得た69。 さらに、トライアル評価では「面接質問事項」として定められている 項目が、当該法科大学院の学生受入方針と整合していないとの指摘も受 けた。そこで、2007 年からは上記の受入方針に即した質問事項になるよ う、一部質問の内容を修正した70。 67 資料0-19 資料2-1-1-⑧ 69 2007 年度第 4 回法務研究科教授会議事録(資料10-2-④) 70 面接実施要綱(愛知大学法科大学院「一般入試面接質問事項」「特別入試面接質問事項」)(資料0- 19) 68 24 (3)入学試験の配点については、合格者判定基準71で明示しているが、志願 者に対してはそれをそのままの形では公表しておらず、「法科大学院ホ ームページ」のQ&Aのコーナーで示してきた72。 しかしながら、トライアル評価においては、一般入試における書類審 査の比重が高いこと、また既修者コースと未修者コースを併願する受験 者に関する各コースの配点や選抜基準の関連性の有無・程度などが志願 者に対して明らかにされておらず、若干懸念されるとの指摘も受けた。 そこで、書類審査の配点や全体における比重、さらには既修・未修の各 コースの配点や選抜基準につき、明確に数値を挙げつつ、ホームページ 上に示すことにより、この点の改善を図っている73。 (4)学生受入方針、選抜基準及び選抜手続については、常時ホームページに おいて公開し74、さらに入試説明会は複数回実施し、愛知県以外でも行っ て(今年も東京、大阪、福岡にて)、広く入学希望者に対し、上記事項 を記した入試要項を来場者に配布し、相談ブースにおいても質問に回答 する形で情報の公開に努めている75。 (5)入試の個人別成績の開示に関しては、総合得点および合格最低点を開示 しているが、科目別の個別得点は開示していない76。また、合格の上本学 に入学した者の入試における成績と在学中の成績との相関関係等につい ては、まだ分析が十分になされていないが、今後、未修者が初めて司法 試験を受験する 2007 年実施の新司法試験の結果に関するデータを収集し た上で、本格的に相関関係を検証し、翻って本学の入学試験の「適性」 について知見を得る予定でいる。 (6)本学では、多様な知識または経験を有する者を積極的に入学させるとい う学生受入れ方針にもとづき、資格や社会活動などで顕著な実績を修め た者、法科大学院適性試験の成績優秀者、学部・大学院・専門職大学院 の成績優秀者等を対象とする「特別入試」を実施している。「特別入試」 においては、従来、資格や活動実績などを記入する「自己 PR 書」、「自 己 PR 資料綴り」等の出願書類と面接試験に重点的な配点を行ってきた。 その「特別入試」の詳細については、「法科大学院募集要項」77、「法科 大学院ホームページ」(http://www.aichi-u.ac.jp/lawschool/exam.html)で公開し ている。 しかしながら、この点については、トライアル評価において、特別入 試(既修者認定試験をも含む)に関する選抜基準・選抜手続の情報公開 71 72 73 74 75 76 77 資料2-1-1-④⑤⑨⑩ 資料2-1-1-③ 資料2-1-1-③⑨⑩⑪ 資料2-1-1-③ 入試説明会(進学相談会)案内(資料2-1-1-②) 入試成績開示要領・愛知大学法科大学院入学試験個人別成績開示請求書(資料2-1-1-⑥⑦) 資料0-4-①p1~p4・資料0-4―②p1~p4 25 が不十分であるとの指摘を受けた(なお、特別入試の存在意義全般や特 別入試の既修者選抜に対するトライアル評価の指摘については、2-2 -1を参照)。この点についても一般選抜と同様、上記ホームページ上 で志願者に対して基準を明示することによって情報の充実を図っている 78 。 3.自己評定 B 4.改善計画 学生受入方針については、当初は「法科大学院ホームページ」上でのみ公 開していたが79、現在では募集要項80、パンフレット81等にも記載し、入試相談 会等をも通じて、より一層受験生への周知を図るよう心がけている。また、書 類審査をはじめとする各項目の配点を明示し、既修者コース・未修者コースの 選抜手続の明確さを上記ホームページ等で担保すべく上述のような改善策を 既に実施しているが、さらに入学者に対してアンケートを取る等の方法により、 受験者側が本学の情報公開度に対して他校との比較等を通じてどのように評 価しているのかを把握し、さらなる明確化・情報公開への方策を講じていきた いと考えている。 78 79 80 81 資料2-1-1-③⑪ 資料2-1-1-① 資料0-4-①②p1 資料0-3 26 2-1-2 入学者選抜が、入学者選抜の基準及び手続に従って適切に実施さ れていること。 1.現状 (1)合格者判定基準を機関決定し82、基準に基づき入学者選抜を行っている83。 さらに、2007 年度に入り、入試委員会の審議結果を同年度第 4 回教授会84 において了承・最終決定している。 (2)小論文、法律科目試験、面接、書類等の採点は、2 名以上の教員によっ て行っている85。トライアル評価においては、面接票から判断するに、面 接質問事項や評価の根拠が明らかにされているものとそうでないものの 差が大きく、面接担当官によるバラツキはないのかとの懸念が示され、 面接担当官による確認事項の調整、面接票に評価根拠を示すことによる 事後的な確認方法の確保について、面接の公平性を担保するために検討 の余地があると評された。それに従い、2008 年度の入学試験(2007 年 9 月 8~9 日実施)からは、質問事項の数を減らし、面接官の組み合わせに よる質問事項のばらつきをなくすべく、ほとんどの項目を統一的に発問 させるようにさせている86。 (3)入学者選抜の公正さ・公平さに疑問を提起される事態はこれまで発生し ていない。また、入試制度や評価方法に関して寄せられる質問に関して は、「法科大学院ホームページ」のQ&Aのコーナー(http://www.aichi-u.a c.jp/lawschool/q_a.html)87で公開しているほか、法科大学院ホームページに問 い合わせ先を明記し、電話・メール等で回答している。さらに、入試相 談会においても質問に回答し、その場で正確に答えられない事項につい ては、後日車道教学課から発信の電子メールや電話等で回答している。 2.点検・評価 (1)合格者判定基準に基づき、総合点の高い順に合格としており、入学者選 抜が所定の基準及び手続に従って公正・公平に実施されている88。 (2)入学試験の配点については、合格者判定基準89で明示し、「法科大学院ホ ームページ」で示している90。 82 2006 年度第 4 回教授会議事録(資料10-2-②) 資料2-1-1-④⑤⑨⑩ 84 資料10-2-④ 85 入学者選抜に関する資料(実施体制・実施要領)(2007 年度)(資料10-5-①) 86 面接実施要綱(愛知大学法科大学院「一般入試面接質問事項」「特別入試面接質問事項」)(資料0- 19) 87 資料2-1-1-③ 88 2006 年度第 5 回、9 回教授会議事録(資料10-2-③) 89 資料2-1-1-④⑤⑨⑩ 90 資料2-1-1-③⑪ 83 27 3.自己評定 合 4.改善計画 2-1-1にも記したように、合格者判定基準をホームページにおいて公表 することとし、2008 年度入学試験より実施しており、一応の改善計画は実施 できたと考えているが、さらに入学者等へのアンケート・インタビュー等によ り、志願者における判定内容の予測可能性を向上させるための努力を継続した いと考えている。 28 2-2-1 適切な法学既修者の選抜基準・選抜手続及び既修単位の認定基 準・認定手続が明確に規定され、適切に公開されていること。 1.現状 (1)当法科大学院では、法学既修者コースを希望する者(法学未修者コース・ 法学既修者コースを併願する者を含む)に対し、入学試験時において法 律科目試験を課している。法律科目試験は、一般入試では 3 科目(憲法・ 民法・刑法)、特別入試では 2007 年度の入試までは 1 科目(憲法・民法・ 刑法から 1 科目選択)であったが、2008 年度入試からは 3 科目に変更し ている91。 (2)法学既修者コースの合格者判定は、それぞれの入試の合格者判定基準に もとづき高得点順に決定しているが、法律科目試験の合計点が一定の点 数(おおむね 200 点程度)に満たない場合は、既修者として認定しない ものとしている。なお、この場合は、法学未修者コースとして合格する 場合がある92。 (4)法学既修者コースとして合格し入学した者には、1 年次配当の必修科目 (憲法 4 単位、民法Ⅰ2 単位、民法Ⅱ4 単位、民法Ⅲ4 単位、民法Ⅳ2 単 位、民法Ⅴ2 単位、商法 4 単位、刑法総論 4 単位、刑法各論 2 単位)およ び法学の基礎 2 単位の計 30 単位を入学時に単位認定している93。また、 商法に関しては 2007 年 3 月より、既修者コースの入学者に対して単位認 定試験を実施している。同年 3 月の試験の結果、受験した全員に単位認 定が相当との判定に至った(次項 2 も参照)。 2.点検・評価 (1)2006 年 7 月に実施されたトライアル評価においては、愛知大学法科大 学院の既修者選抜に関する手続や判定基準、及び既修とされる単位の詳 細や単位認定の手続に関する明確な規定と適切な公開に関し、厳しくも 貴重なご指摘を受けた。その内容をまとめれば、以下の通りになろう。 (ア)既修者として認定される法律科目における単位として、憲法・民 法・刑法という既修者認定試験の 3 科目にない商法 4 単位が含まれてい ることの妥当性への疑問。(イ)特別入試における既修者認定は憲法・ 民法・刑法のうち 1 科目の試験と提出資料のみによってなされており、 それにより既修者と判定された者に未修者の 1 年次修了と同等の能力が 備わっていることの問題性がより顕著に認められる点。しかも、それに 91 92 93 法科大学院募集要項 p4(資料0-4-②)、愛知大学法科大学院に関するQ&A(法学既修者関係)(資 料2-2-1) 2007 年度・2008 年度法科大学院特別入試合格者判定基準、2007 年度・2008 年度法科大学院一般入試合 格者判定基準(資料2-1-1-④⑤⑨⑩)、愛知大学法科大学院に関する Q&A(資料2-2-1) 2006 年度第 11 回教授会議事録(資料10-2-③) 29 関する検証がなされていない点。(ウ)書類選考の基準が外部から見る と不明確であり、客観的基準が窺われない点。(エ)特別入試制度の存 在意義一般に関して。さらに、その中で既修者選抜をも実施し、その受 験科目も1科目に限定することにより、結局は法律知識を有する者の囲 い込みを図っているのではないかとの疑念。(オ)選抜基準や手続に関 する情報公開の不備(既修者選抜〔その中でも、特別入試におけるそれ〕 の基準・手続、具体的には既修者判定が法律科目試験の結果だけではな く、書類選考や面接の結果も加味してなされる点、特別入試のそれにお いてはさらに過去の試験成績等法律知識の有無も大きく作用する点、入 学後になされる単位認定試験の成績により、一部科目については入学後 に履修が必要となりうる点)。 上記の諸点に関し、当法科大学院としては、以下のような措置をとり、 あるいは今後予定し、もしくはさらに検討を重ねることにしている。 (ア) 既修者として認定される法律科目における単位として、憲法・民法・ 刑法という既修者認定試験の 3 科目にない商法 4 単位が含まれているこ との妥当性への疑問について この点に関しては、上述(1.現状を参照)の通り、2007 年 3 月既修 入学者に対しては商法の単位認定試験を実施し、法律基本科目の 1 年次 配当科目のすべてにつき、入学者の実力を判断する形に改善した。なお、 トライアル評価では、この商法の単位認定試験の結果により、既修入学 者の中で認定単位のばらつきが生じうることへの懸念も示されていたが、 この点はむしろ当然のことと思われ、履修に際して時間割の編成を配慮 する等の措置を講じれば十分ではないかと考えている。 (イ)特別入試における既修者認定は憲法・民法・刑法のうち 1 科目の試験 と提出資料のみによってなされており、それにより既修者と判定された 者に未修者の 1 年次修了と同等の能力が備わっていることの問題性がよ り顕著に認められる点。しかも、それに関する検証がなされていない点 この点については、2007 年 4 月 25 日(水)開催の入試委員会において 審議の結果、特別入試においても既修者認定のための法律科目試験を一 般入試の場合と同じく、憲法・民法・刑法の 3 科目すべてにつき実施す ることに変更することに決定し、同年 5 月 9 日(水)開催の法務研究科 教授会において、その原案が承認された94。 (ウ)書類選考の基準が外部から見ると不明確であり、客観的基準が窺われ ない点について この点に関しても、2007 年 5 月 30 日(水)開催の入試委員会において、 書類点採点の指針を制定し、それをホームページにて公表することとな 94 2007 年度第 3 回教授会議事録(資料10-2-④) 30 った95。 (エ)特別入試制度の存在意義一般に関して。さらに、その中で既修者選抜 をも実施し、その受験科目も 1 科目に限定することにより、結局は法律 知識を有する者の囲い込みを図っているのではないかとの疑念について 特別入試制度は、この間他校においても採用・創設するところが現わ れ、むしろ定着・拡大の傾向にあると認識している。そのような時流の 中で、敢えて本校がその意義を否定すべき特段の新規事情を見出だせな いでいるところである。したがって、特別入試制度自体は存続すること に、2007 年 4 月 25 日(水)開催の入試委員会で合意を見、その方針につ いては、同年 5 月 9 日(水)開催の 2007 年度第 3 回法務研究科教授会に おいて承認された96。その上で、既修者選抜の受験科目は一般入試の場合 と同じ憲法・民法・刑法の3科目に増やすことに決定したことについて は、上述の通りである(商法に関しては、単位認定試験を入学直前の 3 月に実施する)。 (オ)選抜基準や手続に関する情報公開の不備(既修者選抜〔その中でも、 特別入試におけるそれ〕の基準・手続、具体的には既修者判定が法律科 目試験の結果だけではなく、書類選考や面接の結果も加味してなされる 点、特別入試のそれにおいてはさらに過去の試験成績等法律知識の有無 も大きく作用する点、入学後になされる単位認定試験の成績により、一 部科目については入学後に履修が必要となりうる点) 以上の諸点に関しては、本学ホームページにて公表することにした97。 以上のようにして、既修者選抜、既修単位認定の基準及び手続は、少 なくとも 2007 年度においては、いずれも公平・公正であって、明確に規 定されていると評価できるものと考える。 (2)(1)の(ウ)、(オ)に記したように、既修者選抜、既修単位認定 の基準及び手続は、少なくとも 2007 年度以降においては、ホームページ や入試説明会等を通じて事前に志願者等に対して公開されている。 (3)選考結果の検証については、今年度にトライアル評価の指摘を受 けた大きな改革を行なったところであるが、2008 年 1 月に実施されるB 日程入試の結果と合わせて、2008 年度以降のしかるべき時期に、既修入 学者の学内成績と入試結果との相関関係等をはじめとして、多角的な検 証を行なう予定でいる。 95 96 97 2007 年度第 4 回教授会議事録において承認(資料10-2-④) 資料10-2-④ 2007 年 4 月 25 日開催の入試委員会、同年 5 月 9 日開催の 2007 年度第 3 回教授会(資料10-2-④) において方針了承。関係資料を参照されたい(資料2-1-1-⑨⑩⑪) 31 3.自己評定 B 4.改善計画 (1)法学既修者の選抜基準・選抜手続については、2008 年度以降も、さらに より一層受験生への周知を図る方向で改善を検討したい。 (2)単位認定基準・認定手続については、基準を明文化し、ホームページに も明記したところではあるが、入試相談会等や車道教学課への照会手続、 入試要綱への明記等を通じてより一層受験生への周知を図っていく方策 を検討している。 (3)なお、選考結果の多角的な検証を 2008 年度以降に行う予定であることは 2.点検・評価に記載のとおりである。 32 2-2-2 法学既修者の選抜及び既修単位の認定が、所定の選抜・認定の基 準及び手続に従って適切に実施されていること。 1.現状 (1)各年度の入学者数ならびに法学既修者数およびその入学者数に対する 割合は、以下のとおりである98。 05年度 入学者数 学生数 学生数に 対する割合 [注] 06年度 法学既修 入学者数 07年度 法学既修 入学者数 法学既修 者数 者数 者数 (内数) (内数) (内数) 38 11 38 15 43 18 100% 29% 100% 39% 100% 42% 「法学既修者」とは、当該法科大学院において必要とされる法学の基本的な学識をすでに有する と認められ、入学し在学している者をいう。 (2)一般入試・特別入試を通じて、2-2-1に記載した選抜基準・選抜 手続を厳格に厳守し、総得点の上位者から順に合格者を選抜している。 なお、合格者は、教授会で議論した上で最終決定しており、既修者試験 (法律科目の試験)の点数が法学既修者として必要最低限の得点に達し ない者は、既修者として認定しない措置をとっている(その者が既修コ ースと未修コースを併願していた場合、得点によっては未修者として合 格することはあり得る)。 (3)既修者試験(法律科目の試験)の採点にあたっては、評価の客観化を 図り、公平かつ公正な認定に資するため、複数の教員が採点を行い、そ の平均点を得点としている。 (4)2007 年度入試より、法学既修者コースに合格して入学手続をした者に 対し、単位認定科目のうち入学試験科目に含まれていない商法の単位認 定試験を実施した。 (5)これまで、既修者選抜・既修単位認定の公正さ・公平さに疑問を提起 されるような事態が発生したことはない。 2.自己点検・評価 (1)既修者選抜・既修単位認定は、選抜・認定の基準・手続の規定に従い、 公平・公正に実施されている。 98 入試種別ごとの内訳は、愛知大学法科大学院入試結果一覧(2004 年度~2007 年度)(資料2-2-2) 参照 33 (2)既修者試験(法律科目の試験)の出題内容についても、おおむね既修 者選抜制度の趣旨に適合した妥当なものであると考える。 3.自己評定 合 4.改善計画 特になし。 34 2-3-1 入学者全体に対する「法学部以外の学部出身者」又は「実務等の 経験のある者」の割合が3割以上であること、これに至らない場 合は3割以上となることを目標として適切な努力をしていること。 1.現状 (1)各年度の入学者の中で、法学部出身者、他学部出身者、実務等経験者 の占める割合は、以下のとおりである。 入学者数 07年度 法学部 出身者 他学部 出身者 実務等経験者 合計 20 3 20 43 合計に対する 割合 入学者数 06年度 合計に対する 割合 入学者数 05年度 合計に対する 割合 [注] 1 46.5% 15 7.0% 3 20 7.9% 39.5% 16 46.5% 5 38 52.6% 17 13.2% 42.1% 100.0% 100.0% 38 44.7% 100.0% 「実務等経験者」とは、社会人等の入学者の割合を確保しようとする趣旨を考慮しつつ各法 科大学院が定義したものをいう。 2 「入学者数」とは、実際に入学した学生の数をいい、既修者・未修者を問わない。 3 「他学部出身者」とは、他学部出身者のうち実務等経験者でない者をいう。 4 「法学部出身者」とは、法学部出身者のうち実務等経験者でない者をいう。法学部及び他学 部を卒業している者は、他学部出身者として扱い、法学部出身者に含めない。 (2)上記表の「他学部出身者」とは、主として法律を学ぶ学科あるいは専 攻以外の出身者で、「実務等経験者」でない者をいう。 (3)上記表の「実務等経験者」とは、大学卒業後、2 年またはそれ以上の社 会経験を有する入学時 24 歳以上の者をいう99。そのように定義した理由 は、実務等経験というからには、最低でも 2 年またはそれ以上の社会経 験が必要であり、大学卒業後直ちにその経験を積み始めた場合は年齢が 入学時には 24 歳以上になると考えたからである。 (4)当法科大学院は、入学者受入方針の一つに「多様な知識または経験を 99 設置認可申請に係る補正申請書「1.大学設置・学校法人審議会からの意見への対応(8 月意見対応)p8 (資料0-1) 35 有する者を積極的に入学させること」を掲げており100、このような学生を 一人でも多く確保すべく、一定の社会経験・社会活動等を評価する特別 入試を実施している。また、都心(名古屋市東区)にある車道キャンパ スに法科大学院を設置し、社会人にも配慮した学習環境を整えている。 さらに、試験日程についても複数の日程を設定し、いずれの日程も土・ 日曜日や祝日に実施する等、社会人が受験しやすい日程を準備している101。 (5)純粋未修者の入学前教育の一環として、プレ・スクーリングを実施し、 入学後の学習をスムーズに行えるように配慮している102。 (6)入学後においても、毎学期初めに専任教員が定期的に履修指導を行い、 純粋未修者や社会人学生等の学習進度や弱点等を把握するよう努めてい る103。 2.自己点検・評価 (1)「他学部出身者」および「実務等経験者」の入学者数に対する割合は 過去 3 年において 6 割前後を占めており、いずれも 3 割を超えている。 (2)この点に関し、2006 年 7 月に実施されたトライアル評価において、当 法科大学院の「他学部出身者」および「実務等経験者」の定義について、 以下のような問題点が指摘された。 「当該法科大学院の『他学部出身者』の定義につき『主として 法律を学ぶ学科あるいは専攻以外の出身者』とするが、ホームペ ージの Q&A では法学部以外を卒業して大学院法学研究科を修了し た者を『非法学部(他学部)出身者』とする旨が表示されている。 また当該法科大学院では、実務等経験者を『大学卒業後 2 年ま たはそれ以上の社会経験を有する入学時年齢 24 歳以上の者』と定 めている。さらに『社会経験』に『勉学』も含む旨、明示されて いる。」 上記の指摘を受けて、当法科大学院では、2007 年 5 月 9 日に開催され た教授会で、以下を決定し、ホームページの Q&A の記載を訂正するとと もに、入学志願票にもその旨を明記する措置をとった104。 ア 「他学部出身者」の定義について 他学部を卒業して大学院法学研究科を修了した者については、大 学院における主たる専攻が法律学であれば、法学部出身とみなすこ とにした。 100 入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)(資料2-1-1-①) 法科大学院募集要項(資料0-4―②) 102 法学初心者の方のためのプレ・スクーリング(資料2-3-1―①)、プレ・スクーリング資料(資料 0-13) 103 資料10-8-①②③ 104 法科大学院募集要項(資料0-4―②) 101 36 また、たとえば人文学部等においても、法律科目の単位を取得で きることがあるので、学部の名称にとらわれず、法律学を主たる専 攻とする学科(または学科に相当する課程)は「法学」に該当する ことを明記することとした。 イ「実務等経験者」の定義について 大学卒業後 3 年以上経過し、2 年以上の職業経験(NGO 活動、NPO 活動、ボランティア活動等の社会経験を含む)を有する者と訂正し、 勉学は職業経験に加えないこととした。 (3)2006 年度と 2007 年度の他学部出身者が、2005 年度と比較して低い割 合になっているが、これは前記の定義にもとづき、他学部出身者であっ ても「実務等経験者」に該当する者は「実務等経験者」としていること によるものである。実務経験を問わず、法学部以外の出身者を数えると 2006 年度が 10 名、2007 年度が 11 名であり105、この点に関しては特段問 題があるとは考えていない。 (4)特別入試によって、「他学部出身者」および「実務等経験者」の優秀な 人材を確保するとともに、一般入試においても、「他学部出身者」およ び「実務等経験者」の出願が恒常的に得られるよう広報活動を徹底して いる。 (5)一般入試の小論文および面接においても、法律の知識を問うことは一切 しておらず、選抜に関して問題は無いと考えている106。 3.自己評定 合 4.改善計画 前記のように、「他学部出身者」と「実務等経験者」の定義を変更した結 果、それぞれの入学者に占める割合がどのように変化するかを検証しつつ、今 後も「他学部出身者」と「実務等経験者」が 3 割以上を占めることになるよう 適切な措置を講じていきたい。 105 106 出身学部別人数(資料2-3-1-②) 入試問題(2007 年度 A 日程・B 日程小論文)(資料0-17)、面接実施要綱(資料0-19) 37 3―1―1 専任教員が12名以上おり、かつ学生15人に対し専任教員1人 以上の割合を確保していること。 1.現状 (1)収容定員数:120 名 (2)専任教員総数:19 名(うち 1 名は 2007 年度採用予定) (3)専任教員の適格性 ア 採用時には、関連する分野の 3 名の教員により選考委員会を設け、十 分な審査・検証を行った。 イ 2006 年度の自己点検時においては、設置認可申請時の教員個人調書、 およびその後の業績に関しては本学発行の「学術要覧 2005」107に掲載 された各教員の業績について、改めて自己評価・FD 委員会が審査・検 証し、各教員は適格性を満たしていると判断した。 ウ なお、2007 年度についての適格性審査は、2006 年 12 月 20 日(水) 開催の 2006 年度第 8 回法務研究科教授会の議題 4 および 2007 年 2 月 21 日(水)開催の 2006 年度第 10 回法務研究科教授会の議題 3、2007 年 3 月 7 日(水)開催の 2006 年度第 11 回法務研究科教授会の議題 7 の中で、審議され、すべての教員について適格性を満たしていると判 断した108。 2.点検・評価 (1)学生約 6.3 人に対して専任教員 1 人を確保しており、基準を充足してい ると考える。 (2)教員の適格性につき、 ア 採用時は、全教員が文部科学省教員資格審査において「可」の判定を得 ており、客観的にも適格要件を満たしているものと判断できる。 イ 2006 年度の自己点検時においては、設置認可申請時の教員調書、および その後の業績については本学発行の「学術要覧 2005」109に掲載された各 教員の業績について、改めて自己評価・FD 委員会による審査・検証の結 果、各教員はともに適格性を満たしていると判断した。 ウ 2007 年度についても、「1.現状」(3)ウに記した通りであり、特段 の問題は認められない。 3.自己評定 合 107 資料0―15 専任教員の各担当科目における適格性について(資料3-1-1-①)、法務研究科教授会議事録(2006 年度)(資料10-2―③) 109 資料0-15 108 38 4.改善計画等 (1)法学部とのダブルカウント(併任)の問題については、2006 年 4 月から 法科大学院と法学部間で、この問題に関する協議会を開催し、検討を開始 した110。 (2)その後、2006 年 12 月 20 日開催の法務研究科教授会111において、併任問 題解消に向けた 2007 年度以降の人事計画を承認・決定し、理事長宛に審議 を依頼したが、まだ最終的な結論は下されていない。 (3)もっとも、行政法に関しては、併任教員を 2008 年度より法科大学院専任 とし、法学部において新規に採用人事を進める旨、理事会・大学評議会の 了承が得られた。現在、法学部において行政法担当教員の採用人事を進め ているところである。その他の併任教員についても、理事会の了承が得ら れるよう、粘り強く説得を続ける所存である。 (4)前述の「学術要覧 2005」112においては、実務家教員の実務上の業績につ いて記載欄がなく、科目適格性審査に際して基礎資料として十分でないき らいがある。そこで、全学の自己評価委員会等を通じて、この点の改善を 次回の「学術要覧」発行の際には図っていただくよう、要請するつもりで ある。 110 111 112 法務研究科教授会議事録(2005 年度)(資料10-2-②) 資料10-2-③ 資料0-15 39 3-1-2 法律基本科目の各分野毎に必要数の専任教員がいること。 1.現状 (1)当法科大学院の入学定員は 40 名であり、憲法、行政法、民法、商法、 民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の各分野につき 1 人の専任教員が必要で ある。各分野の必要専任教員数と実員数は下表のとおりである。 憲 法 行 政 法 民 法 商 法 民事訴訟法 刑 法 刑事訴訟法 必要 教員数 1 1 1 1 1 1 1 実員数 2 1 3 1 1 1 1 (2)憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法のそれぞ れの分野についての専任教員は、以下のとおりである。 憲 法:小 林 武〔専〕、大 林 文 敏〔専・他〕 行 政 法:春 日 修〔専・他〕 民 法:森 山 文 昭〔実・専〕、榎 本 修〔実・専〕 久須本 かおり〔専・他〕 商 法:宇 田 一 明〔専〕 民事訴訟法:片 野 三 郎〔専・他〕 刑 法:岩 間 康 夫〔専〕 刑事訴訟法:加 藤 克 佳〔専・他〕 (3)各教員が担当する科目は、別紙教員調書のとおりである。その科目適 合性については、2006 年 12 月 20 日(水)開催の 2006 年度第 8 回法務研 究科教授会の議題 4 および 2007 年 2 月 21 日(水)開催の第 10 回法務研 究科教授会議題 3、2007 年 3 月 7 日(水)開催の第 11 回法務研究科教授 会議題 7 においてなされた教員資格審査において、いずれも「可」の判 定結果を得ている113。 2.点検・評価 (1)各専任教員の担当科目については、2006 年 12 月 20 日(水)開催の 2006 年度第 8 回法務研究科教授会の議題 4 および 2007 年 2 月 21 日(水)開 催の第 10 回法務研究科教授会議題 3、2007 年 3 月 7 日(水)開催の第 11 回法務研究科教授会議題 7 においてなされた教員資格審査において、い ずれも「可」の判定結果を得ており114、客観的にも科目適合性の観点から 113 専任教員の各担当科目における適格性について(資料3-1-1-①)、法務研究科教授会議事録(2006 年度)資料10-2-③ 114 専任教員の各担当科目における適格性について(資料3-1-1-①)、法務研究科教授会議事録(2006 年度)資料10-2-③ 40 適格性を充足していると考えている。 (2)開設科目の中でも重要とされている法律基本科目である憲法、行政法、 民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の各分野につき、それぞれ 少なくとも 1 人の専任教員が配置されており、基準の必要教員数を満た している。 3.自己評定 合 4.改善計画 特にない。引き続き、現状を維持すべく努める。 41 3―1―3 5年以上の実務経験を有する専任教員が2割以上であること 1.現状 (1)当法科大学院が法令上求められている「5 年以上の実務経験」を有する 専任教員(以下、「実務家教員」という。)の人数は 3 人であり、当 法科大学院での実数は 8 人である。 (2)実務家教員の実務経験は、別紙教員調書のとおりであり、2006 年 12 月 20 日(水)開催の 2006 年度第 8 回法務研究科教授会の議題 4 および 2007 年 2 月 21 日(水)開催の 2006 年度第 10 回法務研究科教授会の議 題 3 においてなされた教員資格審査において、いずれも「可」の判定 結果を得ており、基準を満たしている115。 2.点検・評価 (1)実務経験を有する専任教員数は基準を優に充足しており、また、各教 員は高度の実務の能力を有する者と考える。 (2)各実務家教員の実務経験は次のとおりである。 ア 互敦史教授・・16 年間の検察官経験を有し、東京地検、横浜地検等に おいて捜査・公判に従事した経験を有する。 イ 浅井正教授・・36 年間の弁護士経験を有し、特に刑事事件・国賠訴訟 につき豊富な経験を有する。 ウ 今村憲治教授・・27 年間の弁護士経験を有し、特に民事事件・商事事 件に豊富な経験を有する。 エ 榎本修教授・・13 年間の弁護士経験を有し、民事事件・少年事件に精 通している。 オ 酒井廣幸教授・・27 年間の弁護士経験を有し、特に倒産関係分野にお いて豊富な経験を有する。 カ 高橋譲二教授・・13 年間の弁護士経験を有し、特に知財事件・民事事 件・商事事件について豊富な経験を有する。 キ 前田義博教授・・30 年間の弁護士経験を有し、刑事事件・労働事件に おいて豊富な経験を有する。 ク 森山文昭教授・・28 年間の弁護士経験を有し、税金訴訟において豊富 な経験を有すると共に、弁護士会の各種活動に従事し ている。 3.自己評価 合 115 資料10-2-③ 42 4.改善計画 特になし。 43 3-1-4 専任教員の半数以上は教授であること。 1.現状 (1)「教授」の資格要件および認定手続きについては、「愛知大学教育職員 選考規程」116で定められており、これに基づき法務研究科教授会(設置前 は法科大学院設置委員会)が決定をしている117。 (2)専任教員全員の数と、教授の数は以下の通りである。 専任教員 専任教員総数 教授 その他 うち実務家教員(実員) 計 教授 その他 計 専任教員数 計に対する割合 17 1 18 8 0 8 94.44% 5.56% 100% 100% 0% 100% 2.点検・評価 専任教員の 9 割以上が「教授」で基準を満たしている。 3.自己評定 合 4.改善計画 特になし。 116 資料3-1-4-① 117 さらに、昇格人事の手続きの詳細は、資料3-1-4-②のように定められている。 44 3-1-5 教員の年齢構成に配慮がなされていること。 1.現状 専任教員の年齢構成は、以下のとおりである。 40 歳以下 41~50 歳 51~60 歳 61~70 歳 71 歳以上 計 1 4 1 4 0 10 10.00% 40.00% 10.00% 40.00% 0% 100.0% 1 2 4 1 0 8 12.50% 25.00% 50.00% 12.50% 0% 100.0% 2 6 5 5 0 18 11.11% 33.33% 27.78% 27.78% 0% 100.0% 研究者教員 専任教員 実務家教員 合計 2.点検・評価 (1)多少の凹凸があるものの各年齢層に満遍なく教員が配置されており、 今後、退職等若干の異動があっても、教育体制の安定性、教育の多様性 を確保できると考える。 (2)採用時には年齢構成に配慮し採用活動を行った。 3.自己評定 A 4.改善計画 特になし。もっとも、長期的にみた場合、40 歳前後の若手教員を積極的に 採用することが必要であると考えている。 45 3-1-6 教員のジェンダー構成に配慮がなされていること。 1.現状 (1)専任教員、兼担教員・非常勤教員の男性、女性別の人数は、以下のと おりである。 教員区分 専任教員 兼担教員・非常勤教員 計 性 研究者教員 別 実務家教員 研究者教員 実務家教員 9 8 10 11 38 23.68% 21.05% 26.32% 28.95% 100.0% 1 0 2 0 3 33.33% 0% 66.66% 0% 100.0% 男 女 全体における 5.56% 8.70% 7.32% 女性の割合 2.点検・評価 (1)教育の多様性、及び男女雇用機会均等の観点において、女性教員が少 ないことは憂慮すべきことだと思われるが、現時点において法科大学院 の教育に大きな支障が出ているとは考えていない。院生からこの点に関 する苦情や要望も聞いていない。 (2)専任教員中の女性比率が 10%未満であるが、専任教員以外で女性がお り、その割合は 8.70%である。全体における女性の割合も 7.32%となっ ており、10%には満たないものの一定の配慮をしている。また、質問・ 相談チュータについては、この点を補うべく意識的に女性の採用を心が けている。 (3)また、現有の女性スタッフには、オフィスアワー等を通じ、特に女子 院生からの各種相談窓口としての役割を担っていただいており、また、 法科大学院のセクシュアル・ハラスメント相談員には久須本かおり准教 授を任命する等118、女性教員の割合の僅少さにより懸念される事態の防止 に努めている。 (4)今後の採用人事においても、更にジェンダー構成を意識して採用活動 を行う予定である。 118 セクシュアル・ハラスメント防止ガイドライン(資料8-2-1-④) 46 3.自己評定 C 4.改善計画 今後の教員及びチューター採用人事においては、更に男女比の格差是正を 念頭に置いて採用活動を行いたい。また、この点に関する院生(特に女子) からの意見にも絶えず耳を傾けたい。 47 3-2-1 教員の担当する授業時間数が十分な授業準備をすることができる 程度の適正なものであること。 1.現状 2005 年度、2006 年度、2007 年度の各学期における教員の担当授業時間数(コ マ数)の最長、最短、平均値は以下のとおりである。なお、平均値の算出に当 たり、非常勤教員については授業を担当する学期のみ母数に含めた119。 2005 年度春学期 専任教員 教員区分 兼担教員・非常勤教員 備考 授業 研究者教員 実務家教員 研究者教員 実務家教員 時間数 最 高 7 5.88 6.74 1.06 最 低 1 0 1 0.56 平 均 3.86 2.87 3.28 0.89 1授業時間 90分 2005 年度秋学期 専任教員 教員区分 兼担教員・非常勤教員 備考 授業 研究者教員 実務家教員 研究者教員 実務家教員 時間数 最 高 7 6 9 1 最 低 2 3 1 0.5 平 均 4.01 3.88 4.53 0.9 1授業時間 90分 2006 年度春学期 専任教員 教員区分 兼担教員・非常勤教員 備考 授業 研究者教員 実務家教員 研究者教員 実務家教員 時間数 最 高 8 6 7 1.06 最 低 1 0 1 1 平 均 4.50 2.53 4.38 1.01 1授業時間 90分 2006 年度秋学期 専任教員 教員区分 兼担教員・非常勤教員 備考 授業 研究者教員 実務家教員 研究者教員 実務家教員 時間数 最 高 7 5 6.08 1 最 低 2 2 4 0.5 平 均 4.70 3.88 5.14 0.75 119 詳細は、担当授業時間数一覧表(資料3-2-1-①②③)を参照 48 1授業時間 90分 2007 年度春学期 専任教員 教員区分 兼担教員・非常勤教員 備考 授業 研究者教員 実務家教員 研究者教員 実務家教員 時間数 最 高 6.28 6 7 1 最 低 3 2 1 0.6 平 均 4.73 3.63 4.60 0.95 1授業時間 90分 2007 年度秋学期 専任教員 教員区分 兼担教員・非常勤教員 備考 授業 研究者教員 実務家教員 研究者教員 実務家教員 時間数 最 高 7 6.2 7 1 最 低 2 2 3 0.5 平 均 4.80 3.86 4.55 0.82 [注] 1授業時間 90分 1 教員が当該大学において担当する週当たりの最高、最低及び総平均授業時間(コマ数)を記 載してください。 2 「備考」欄に1授業時間が何分であるかを記入してください。 2.点検・評価 (1)担当授業時間数について、各教員によりばらつきがあるものの、許容 限度内に収まっているものと考える。 専 教員」、「○ 専 ・他教員」「み (2)そのように判断する理由としては、「○ なし専任」など、専任教員の中でも身分が分かれており、「みなし専任」 専 教員」、「○ 専 ・他教員」より低 については基準となる授業コマ数が「○ く設定されている。さらに、役職に就いている教員は、その分授業負担 を軽減しているため、各教員により必然的にばらつきが生じる部分があ るからである。 (3)もっとも、特定の教員については、担当科目の配当セメスターにより、 いずれかの学期に負担が偏っている感は否めない。これは学生の体系 的・段階的な履修に配慮したカリキュラムの副産物であり、そちらを優 先する以上は不可避の現象となっている。 3.自己評定 C 4.改善計画 今年度より実施されたカリキュラム改革の中でも、教育効果を重視しなが らも、教員の授業負担について配慮したつもりであるが、上述のような法系 列ごとに集中したカリキュラム自体についても、異論がありうることは重々 承知している。今後もこの点をはじめ、さらに各教員及び受講する院生の声 49 に耳を傾けながら、さらなる改善に向けて検討を重ねていきたいと考えてい る。 なお、本項目における自己評定を C とした理由の1つにもなるが、従来よ り当法科大学院における懸案の1つとして、法学部との併任教員が多数存在 している状態の解消が挙げられている。それに向けて、まず来年度から、従 来法学部と併任であった行政法担当教員が大学院法務研究科の専任となる (それに伴い、現在法学部においてはあらたに法学部専任の行政法担当教員 の採用活動を行っている)。さらに、他の法学部所属教員との併任の解消に ついても、法学部教授会と連携を図りつつ、かねてからポスト増には消極的 な態度をとり続ける本学理事会に対し、早期の併任解消(法科大学院及び法 学部における新任者採用の許可)につき、再三理解を求めているところであ るが、引き続き粘り強く説得に努めたい。 50 3-2-2 教員の教育活動を支援する仕組み・体制が用意されていること。 1.現状 (1)正課の授業で扱いきれない部分をフォローするため、チュータ制度を 採用している。チュータには、主として若手弁護士を採用しており、補 習授業の他、個々の学生の質問・相談に、個別に応じてもらえるような クラスも開講している。チュータの授業については、当初の時期におい ては、チュータに任せきりにするのではなく、教授会でチュータの授業 の目的なども何度も協議した結果、「自主研究」科目とも連動化した形 で目的を明確化して実施してきた120。 また、チュータの授業のあり方については、教員やチュータが一方的に 決めるのではなく、少人数である当法科大学院の特色を活かして、アン ケートやメール又は院生との直接の対話などを通じて柔軟に修正を重ね、 とりわけ初年度においては、柔軟に変更を加えながら 2 年目以降はほぼ 現在の形に固まってきている121。 但し、2007 年度は今まで議論し改善してきた経験を生かし、法科大学 院側は時間と場所を設定するが、授業の内容・方法については、むしろ チュータと参加院生との協議に委ねることにした122。 また、「自主研究」科目の時間が多すぎて学生自身の勉強時間が取れな いのではないかとの懸念も有り得るので、これらのチュータ授業・「自 主研究」は全て任意出席としており、各院生は自分自身の苦手科目・苦 手な部分(知識が足りない・文書作成能力が足りない)などを自ら顧み て、自分が出たい授業に出るという形になっている。したがって、全て のチュータ授業・「自主研究」に出席している院生はいないし、1L~3L 向けという表示も一応の目安であって、例えば 1L 向け(初学者向け)の 授業であっても、3L の者の中には例えば、自分はこの科目が弱いと思っ ているものについては、自主的に 1L 向けの授業に出席しているという場 合もあり、それぞれ院生の学力と勉強の進度と時間の余裕によって取捨 選択されているものと考えられる。 なお、このチュータ授業はあくまで正課の授業によっても知識や論理的 思考の不足している(と各自の判断する)部分をチュータや他の参加者 に対する質疑を通じて自発的に補いつつ、さらに院生生活全般に関する 相談をチュータに対して行うという趣旨で設けられているものである。 120 「2006 年度の補習体制について【チュータ・起案指導】」(補習についての基本的な考え方)(資料3 -2-2-①)参照 121 2004 年 5 月 1 日付「チュータの授業の進行方法について(まとめ)」(資料3-2-2-②)は、その ような初年度の修正を重ねているころの文書である。また、「2006 年度の補習体制について【チュータ・ 起案指導】」(資料3-2-2-①)が 2006 年 3 月(開講前)の段階で第 5 稿となっているのも、院生 の意見なども取り入れて修正・改善を繰り返した結果である。 122 2007 年度春学期のチュータ授業について(資料3-2-2-③)参照 51 したがって、その趣旨を徹底し、予備校的な受験指導にわたることのな いよう、チュータ各位に対しては機会のあるごとに要請している。 (2)授業の教材については、基本的には各教員が印刷も含めて準備してい る(教員には担当コマ数に応じてコピープリペードカードを配付してい る)が、作業量が膨大になる場合には、事務局で請け負っている。 (3)施設設備の改善等教育の具体的内容以外に関する学生からの要望につ いては、車道教学課の法科大学院担当専任職員が窓口となり、教員の負 担を軽減している。 (4)IT 環境の充実に努めている。IT に精通した専任教員を配置し、情報メ ディアセンターには、法科大学院教員・学生専用のヘルプデスクも設け ている。 専 ・他教員」には (5)法科大学院と法学部は別のキャンパスにあるが、「○ 双方に研究室を設けている。 (6)兼任教員は学部と共用の講師控室が利用できる他、法科大学院教員専 用のラウンジを利用することができる。ラウンジは法科大学院専任教員 の研究室と同じフロアにあるため、授業の打合せを円滑に行うことがで きる。またラウンジに隣接して 4 部屋のミーティングルームがあり、学 生が質問におとずれやすいようにしている。 (7)教員総数、職員総数、チュータ総数は以下の通りである。 なお、職員については以下の人数で法科大学院、会計大学院、社会人 リフレッシュ・コース(大学院経営学研究科夜間コース)、法学部 3 年 次以上を担当している。 教員総数 専任:18名 職員総数 専任職員:8名 TA・授業補助員の総数 2006年度秋学期:13名 2005年度秋学期:12名 2006年度春学期:10名 兼担・非常勤:23名 派遣職員:3名 ※法科大学院を主 たる業務としてい る者は、専任職員2 名、派遣職員1名の 計3名である。 [注] チュータ総数 2006年度秋学期:10名 2007年度春学期:10名 1 「職員」とは、学校法人との契約関係に基づき、法科大学院の事務を担当している者を指し ます。専従者、派遣職員、パート等を含み、雇用形態は問いません。パートの人数は、フルタ イムの人数に換算してください。 2 「TA」とは、教育的配慮の下に、法科大学院の学生に対する教育的補助業務を行う者を指し、 その名称を問いません。なお、上欄の「TA」の代わりに、当該法科大学院における名称を記載 してください。 2.点検・評価 (1)チュータについては、開設以来、毎学期 10 名前後のチュータを採用し ている。チュータの補助により、教員は正課の授業を効率よく進めるこ とが可能となり、教育効果が一段と高まっている。 52 (2)法科大学院の教育においては、教材印刷だけでも相当の分量があり、 それを事務局で請け負うことにより、教員の負担は軽減されている。 (3)IT 環境の充実が、教育効果をより一層高めている。教材の提示、課題 のやり取りなどにもネットワークが活用されている。 3.自己評定 B 4.改善計画 もっとも、問題点がないわけではない。それは、事務職員数の不足と、それ による職員への過重な負担という点である。学年定員 40 名の法科大学院にお いて、主たる業務を法科大学院とする職員(派遣職員 1 名を含む)3 名で対応 しているのは、職員の労働条件としては苛酷と言わざるをえない。したがって、 このような状況下にある事務職員への配慮もあり、教材の準備を原則的には各 教員が自ら行なわねばならないことになっている。これにより、教員の負担も 連動して過重なものとなっており、残念ながら、教育支援システムが十全に機 能していないと評価せざるをえないのである。 この状態を解消するには、事務職員の増員を図ること以外に適切な方策はな い。大学側はこの点に関する理解を必ずしも示しているとは言い難い状況にあ るが、理事会・大学評議会に対しては、現状を正確に伝えつつ、専任教員の充 実と併せて、サービスのさらなる充実のため、事務職員の増員を絶えず強力に 要請していきたい。 53 3-2-3 教員の研究活動を支援するための制度・環境に配慮がなされてい ること。 1.現状 (1)経済的な支援体制として、教員の研究活動をサポートするための研究費 などを支給している123。 学内資金 図書館図書費(個人研究図書費)、個人研究費、客員教員 研究費、研究助成、出版助成、学会等開催助成、特別研究 助成 学外資金 文部科学省・日本学術振興会科学研究費補助金、民間研究 助成、受託研究 (2)専攻する分野の学術研究又は調査を目的として、研修制度を設けている 124 。 ア 国内研修制度:一定期間国内の他大学において研究する。 イ 海外研修制度:一定期間海外の研究機関において研究又は外国を視察 する。 ウ 利用状況:法科大学院教員は、国内研修制度、海外研修制度ともに利 用者なし。 (3)人的な支援体制として、図書館及び法科大学院図書室に司書資格を有す るスタッフを配置している他、総務課に研究支援担当職員を置き、教員 の研究費の管理、学外研究助成制度の案内等をしている。 車道図書館は、全体として見ればやや蔵書数が少ないが、大学法学部時 代の伝統から、判例集の種類は他校に引けをとらないほど充実しており、 研究・教育への支障は皆無と言える。さらに、名古屋校舎(広大なフロ ア面積を誇る)、豊橋校舎にも法学関係の図書が充実しており、それら は、車道図書館受付に申し込めば、翌日のうちに閲覧可能である。 (4)研究室の状況 身分 形態 面積 備考 専任教員 研究室(個室) 20.66 ㎡ ― みなし専任教員 研究室(共同) 57.30 ㎡ キャレルデスク 8 台 兼担・非常勤教員 教員用ラウンジ 講師控室 57.30 ㎡ 86.72 ㎡ キャレルデスク 6 台 キャレルデスク 11 台(学部と共用) (5)各研究室に LAN ケーブルを完備しており、研究室から判例検索などがで きる図書館のデータベースへのアクセスが可能。 123 教員の研究条件及び支援体制(資料3-2-3-①)。なお、2006 年度の個人研究費、研究助成の実績 については 2006 年度個人研究費実績(資料3-2-3-②)を参照。 124 教員の研究条件及び支援体制(資料3-2-3-①) 54 (6)研究室に洗面台が設置されており、教員には好評である。なお、研究室 は 24 時間利用できる。 (7)法科大学院独自に紀要の発行はしていないが、法学部「法学会」に準会 員として所属し、法学会発行の「法経論集」に研究成果の発表の場が設 けられている。ちなみに、専 ○教員による「法経論集」への寄稿は、2006 年度(170 号~172 号)が 7 点、2007 年度(173 号)が 4 点である。 2.点検・評価 (1)研究助成制度の内容は充実しており、研究活動をサポートするために十 分な配慮がなされている。 (2)研究室の設備環境等はその広さの点以外においては充実しており、現状 において特に深刻な問題は発生していないといえる。 3.自己評定 B 4.改善計画 今後は、上記以外にも教員の研究活動を支援する研修制度を新規に創設す る等して、その活発な活用を図りうる方策を検討していきたい。 図書館の手狭さ、及び研究室数やその面積の相対的僅少さは、ひとえに車 道校舎の敷地面積自体による制約と言わざるをえないが、現在すでに計画中 とされる全学的キャンパス再編計画の実施による改善を期待したい。 55 4-1-1 教育内容や教育方法の改善に向けた組織的取り組みが適切に実施 されていること。 1.現状 (1)組織体制のあり方 ア FD の組織体制の整備 当法科大学院独自の FD を担当する組織としては、法務研究科教授会が FD 活動に関する事項を所掌するとともに、その下部組織として法務研究科運 営委員会125及び自己評価・FD 委員会が設置されている126。 イ FD 活動組織の根拠規程の整備 愛知大学の全学的組織としての FD 委員会に関する根拠規程127がある。ま た、当法科大学院としては、2006 年 6 月 21 日の教授会において、自己評 価・FD 委員会に関する根拠規程等の整備を行った128。 ウ 自己評価・FD 委員会のメンバー 従来全学の自己評価委員会委員である教授と全学 FD 委員会委員であり当 法科大学院の教学主任である教授の 2 名によって構成されていたが、2006 年 6 月 21 日の教授会決議により、さらに 1 名の教授が加わり、3 名体制に なった129。 エ 日弁連法務研究財団トライアル評価の指摘を受けての組織的改善 当法科大学院は、2006 年の日弁連法務研究財団トライアル評価で「法科 大学院の全教員若しくは全専任教員が参加することが予定されている FD 組織」がなく、「全組織体制の整備が遅れていた結果、未だ当該法科大学 院全体が FD 活動に組織的・継続的に取り組んできたとはいえない」との指 摘を受けた。かような指摘を率直に受け止めて更なる改善の契機とすべく、 FD 活動の仕組みを更に以下のとおり改善した。 (ア)教授会において、FD に関する議題を「FD 関係議題集中審議」とい う形で、毎回、集中的に取り扱うこととした。このような議題の取 り扱い方は、専任教員全員が FD 委員会を構成するのと同様の効果を 有する。とりわけ、「教授会の出席率は高い」ことが当法科大学院 の特徴でもあり、多数の教員が出席する中で FD 関係の議題を集中し て議論することができるようになった。 ちなみに、上記のとおり FD 関係議題集中審議を行うようになった 2006 年 12 月以降に集中審議された FD 関係議題は以下のとおりであ る。 125 126 127 128 129 資料1-2-1-② 愛知大学法科大学院自己評価・FD 委員会規程第 1 条(資料0-11-⑤) FD 委員会規程(資料0-11-①) 2006 年度第 3 回法務研究科教授会議事録(資料10-2-③) 愛知大学法科大学院自己評価・FD 委員会規程第 4 条(資料0-11-⑤) 56 2006 年度第 8 回教授会 FD 関係議題 1.2007 年度法科大学院ガイドブックについて 2.授業改善(FD)上の諸問題について 3.FD 合宿の開催について 2006 年度第 9 回教授会 FD 関係議題 1.授業相互参観制度について 2.期末試験答案添削制度について 3.成績評価・修了認定に関する異議申立制度について 2006 年度第 10 回教授会 FD 関係議題 1.授業相互参観制度について(継続) 2.期末試験答案添削制度について(継続) 3.成績評価・修了認定に関する異議申立制度について(継続) 4.3L 春学期総合演習の共通化について 5.愛知大学法科大学院教育補助講師(チュータ)規程の一部改正 について 6.2008 年度以降の検討すべき課題について 2006 年度第 11 回教授会の FD 関係議題 1.愛知大学法科大学院教育補助講師(チュータ)規程の一部改正 について(継続) 2.第三者評価のための自己点検・評価報告書の作成について 2007 年度第 1 回教授会の FD 関係議題 1.期末試験受験資格としての出席要件について 2.2007 年度授業評価アンケートについて 2007 年度第 3 回教授会の FD 関係議題 1.法科大学院における成績評価に対する異議申立てに関する細則 の一部改正について 2007 年度第 4 回教授会の FD 関係議題 1.成績評価ガイドラインの改定について 2.総合演習の学習成果情報の共有について 2007 年度第 5 回教授会の FD 関係議題 1.期末試験受験資格としての授業出席要件について 2.添削方法についての FD 活動について (イ)上記 FD 関係議題集中審議で取り扱い切れない、一定時間をまとめ てとることが必要な議題については、教職員の合宿(FD 合宿)を行っ た130。今後も、この FD 合宿のような集中的な時間を取った FD 活動を 130 2007 年 2 月 23 日(金)・24 日(土)に開催。なお、「教員」だけでなく「職員」も一緒になって授業 57 定期的に行ってゆくことが確認されている131。 オ FD 活動の記録 教授会議事録の他、当法科大学院における FD 活動の記録は、以下のとお りである132。 2004 年度分 ① 2004 年 4 月 2 日から 7 月 20 日までの間の 10 回分の「FD 実施にか かる記録(教学委員会議事録)」 ② 2004 年 12 月 22 日付「基礎法学・隣接・展開・先端・実務法部会 議事録」133 ③ 2004 年 12 月 22 日付「2004 年度授業相互見学・意見交換会議事録」 134 2005 年度分 ① 2005 年 11 月 16 日付「2005 年度授業に関する意見交換会議事録(法 科大学院 FD 活動記録)」135 ② 2005 年 12 月 14 日付けの「兼担・非常勤教員と専任教員の意見交 換会議事録(法科大学院 FD 活動記録)」136 2006 年度分 ① 6回分の「2006 年度自己評価・FD 委員会議事録」137 ② 愛大LS教学主任通信(1)~(15)138 ③ 2006 年 11 月 22 日付「2006 年度授業相互見学・意見交換会」(授 業見学感想シート)139 ④ 2006 年 11 月 29 日付「2006 年度兼担・非常勤教員と専任教員の意 見交換会議事録」140 ⑤ 2007 年 2 月 23 日・24 日開催の FD 合宿に関する記録 ア FD 合宿における議論の様子や概要については、 改善を行うことが必要であると考えて、この FD 合宿には専任教員・非常勤教員だけでなく、教学課職員も 参加して議論を行った。 (1)FD 合宿における議論の様子や概要については、 愛知大学 HP 掲載文書(資料0-20-⑰) (2)FD 合宿における議論の詳細と取りまとめについては、 「2006 年度愛知大学法科大学院 FD 合宿について(まとめ)」(資料0-20-⑯) にそれぞれ記載したとおりである。 131 「2006 年度愛知大学法科大学院 FD 合宿について(まとめ)」(資料0-20-⑯) (2)まとめ「ア 継続的な議論の必要性」。 132 FD実施にかかる記録(教学委員会議事録)(資料0-11-③) 133 資料0-20-⑱ 134 資料0-20-④ 135 資料0-20-⑨ 136 資料0-20-⑩ 137 資料0-11-③ 138 愛大LS教学主任通信(1)~(15)(資料4-1-1-⑮) 139 資料0-20-⑭ 140 資料0-20-⑮ 58 愛知大学 HP 掲載文書141 イ FD 合宿における議論の詳細と取りまとめについては、 「2006 年度愛知大学法科大学院 FD 合宿について(まとめ)」142 ⑥ 各教授会の議事録143 2007 年度分 ① 2007 年 4 月から 9 月までに開催した「2007 年度自己評価・FD 委員会 議事録」144 ② 愛大LS教学主任通信(11)~(15)145 ③ 2007 年度春学期授業参観報告書146 ④ 各教授会の議事録147 また、全学的な FD 活動の記録として「Faculty Development ニュース」 が発行されており、法科大学院における FD 活動の報告がなされている148。 (2)FD 活動の内容149 ア 学生の学習負荷の調整 2004 年度第 6 回教学委員会で、「カリキュラムが過密すぎるので整理し て欲しい」との学生の要望に対して、検討することを決定している。また、 各年度において、学習時間に関するアンケートを行い、その分析結果等を 報告した150。その後、以下のような対策を行った。 (ア)2006 年 6 月 21 日の教授会において、下記のとおり学生の学習負荷の 調整について以下のような対策案が承認された151。 a 院生に対しては、今回のアンケートで教員が回答した「教員が設 定(予想)した予習時間」を遵守し、時間内に予習を終えるよう 注意を喚起する。 b 今後の授業で、臨時に上記の「教員が設定(予想)した予習時間」 を超える予習時間を要する課題・予習指示を与えた場合には、そ れに要する「教員設定時間」を告知する。そのような特段の告知 がない限りは、a の時間内に予習を終えることを教員は期待してい ることを、本申し合わせにおいて確認する。 141 愛知大学ホームページ掲載文書(資料0-20-⑰) 「2006 年度愛知大学法科大学院 FD 合宿について(まとめ)」(資料0-20-⑯) 143 とりわけ、2006 年 12 月以降は教授会において「FD 関係事項集中審議」という議題で集中的に議論して いるので、当該該当部分に記録が残っている(資料10-2-③)。 144 資料0-11-③ 145 愛大LS教学主任通信(11)~(15)(資料4-1-1-⑮) 146 資料0-20-⑲、2007 年度第 5 回法務研究科教授会議事録(「「行政法」授業参観意見交換会」資料 10-2-④) 147 とりわけ「FD関係事項集中審議」部分(資料10-2-④) 148 資料0-20-②⑥⑦⑧ 149 総括的な活動報告としては、各年度の年次計画履行状況報告書・補足説明資料に記載がある。平成 18 年度に関しては補足説明資料(資料0-2-①)の p4~6、平成 19 年度(資料0-2-②)に関しては p8~11。 150 例えば、森山文昭教授作成の 2005 年 6 月 12 日付「『学習時間アンケート』に対する若干のコメント」 (資料4-1-1-⑯)。 151 2006 年度第 3 回法務研究科教授会議事録(資料10-2-③) 142 59 c アンケートの結果、院生が授業の復習を行う時間が不足しているよ うに思われるので、教員は、十分に復習を行う時間をとるよう院 生に呼びかける。 (イ)更に 2006 年 11 月 22 日には法務研究科教授会において「予習・課題 についての申し合わせ」が為された152。 (ウ)2007 年度からは、上記(イ)を更に制度化・組織化する趣旨で法科 大学院ガイドブック(シラバス)に予習・課題に教員が想定している時 間を明記することとし、各教員にも院生に対して課されている負荷が一 覧できるように改善した153。 イ 授業の内容・方法の改善・授業の相互参観 (ア)2006 年度までの実施状況 下記のとおり、 2004 年度には、授業相互見学とこれに基づく授業に関 する意見交換会が実施されている154。また、2005 年度には、授業に関す る意見交換会が開催されている155。その他には、民法に関する担当教員間 の月 1 回程度の検討会や刑事系教員による随時の授業に関する打ち合わ せが行われている。 a 授業相互見学の実施 2004 年 12 月 13~17 日に「教え方」の改善を目的として開催156。 b 「授業相互見学に関する意見交換会」の実施 上記 a の授業相互見学を踏まえて、意見交換会を 2004 年 12 月 22 日に実施。3 つの授業のビデオを全員で見た後、下記のテーマで意見 交換を行った(19 名中 17 名が参加)157。 【授業相互見学に関する意見交換会の協議テーマ】 (ア)授業見学についての感想 (イ)双方向・多方向の授業を更に充実させるためには? a 教員側 (a)議論の前提【学生の発言】を教室全体の共通認識とする工夫 (b)議論の途中 ①何を議論しているのか的確に整理する。 ②場合によっては板書する。 (c)議論の最後【教員のまとめ】 b 学生側 (a) 発言の方法に関する指導・ガイダンスの必要性 152 153 154 155 156 157 2006 年 11 月 22 日法務研究科教授会「予習・課題についての申し合わせ」(資料4-1-1-⑰) 2007 年度法科大学院ガイドブックの「授業内容紹介(シラバス)」(資料0-5)参照。 2004 年度授業相互見学・意見交換会議事録(資料0-20-④)。 2005 年度授業に関する意見交換会議事録(資料0-20-⑨)。 FD活動としての授業相互見学について(2004.12.8)(資料0-20-③)。 2004 年度授業相互見学・意見交換会議事録(法科大学院FD活動記録)(資料0-20-④)。 60 (b)学生に板書をとらせる当番を決める。 c 授業に関する意見交換会の実施 2005 年 11 月 16 日(19 名中 14 名参加)授業内容についてのフリ ートーキングを食事をとりながら 18:00~21:00 の 3 時間に亘って開 催158。 石浦章一「東大教授の通信簿-『授業評価』で見えてきた東京大 学」(平凡社新書)が回覧された。また、今後もこのような意見交換 を行うことの必要性・重要性が確認された。 d「兼担・非常勤教員と専任教員の意見交換会」 下記の日程でおおむね年 1 回開催している。専任教員だけでなく、 兼担・非常勤教員とも意思疎通を十分にし、充実した授業とすること を目的としている。 (a) 2005 年 12 月 14 日 18:00~20:30、兼担・非常勤教員 4 名と専 任教員 10 名で開催159。 (b) 2006 年 11 月 29 日 18:00~20:30、兼担・非常勤教員 4 名と専 任教員 10 名で開催160。 (イ)日弁連法務研究財団トライアル評価の指摘を踏まえた改善 2006 年に行われた日弁連法務研究財団トライアル評価においては 「教員間の授業相互参観が制度化されておらず、若干の教員を除いて は、これを積極的に行っている形跡は見当たらない」との指摘を受け た。そこで、当法科大学院ではこれを厳粛に受け止めて改善の契機と し、2006 年第 5 回自己評価・FD 委員会(2007 年 1 月 17 日開催)にお いて授業相互参観の制度化について確認し161、第 9 回・第 10 回教授会 において協議の上承認された162。 ウ 愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会における授業内容の発表 (外部公開)やこれに対する意見聴取など 愛知大学法科大学院の教員の中には、愛知県弁護士会の法科大学院検 討特別委員会の委員が多い。研究者教員(弁護士登録をしている)であ る加藤克佳教授も同委員会に積極的に参加しているし、もちろん実務家 教員も多く同委員会に参加している163。 158 2005 年度授業に関する意見交換会議事録(法科大学院FD活動記録)(資料0-20-⑨)。 2005 年度「兼担・非常勤教員と専任教員の意見交換会」議事録(法科大学院 FD 活動記録)(資料0- 20―⑩)。 160 2006 年度「兼担・非常勤教員と専任教員の意見交換会」議事録(法科大学院 FD 活動記録)(資料0- 20-⑮)。 161 2006 年度第5回自己評価・FD委員会議事録(資料0-11-③)。 162 2006 年度第9回法務研究科教授会議事録(議題A8)・2006 年度第 10 回法務研究科教授会議事録(議 題A8)(資料10-2-③)。 163 愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会議事録(資料4-1-1-①)。なお、同委員会の活動の一 159 61 当法科大学院の授業内容については、独善に陥ることがないように、 このような地元弁護士会の委員会の議事やインターカレッジな教員研 修会の中で他の法科大学院の教員や一般の弁護士(司法修習などに携わ っている弁護士など)等にも積極的に披瀝し164、多く意見を聴取してい る(愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会では、実務家教員研修会 を年に数回開催しているが、愛知大学法科大学院の教員が発表者となる 場合が一番多く、これまでも①刑事法に関する授業(前田義博教授・浅 井正教授)、②民法関係の授業(森山文昭教授・榎本修教授)、③要件 事実・事実認定に関する授業(高橋譲二教授・榎本修教授)、④実務基 礎科目(ローヤリング)に関する授業(榎本修教授)などの内容を発表 し、他の法科大学院の教員や司法修習を担当する弁護士などから意見や 批判などもしてもらい、授業改善に役立てている165。このように愛知大 学法科大学院の授業内容を地域法曹に広く開示して意見を求めること は、授業改善という意味でも意義があるが、それ以外にも①「地域に貢 献する法曹」という当法科大学院の養成しようとする法曹像から考える と、実際の地域法曹に広く授業内容を公開し意見を求めることが地域貢 献法曹を養成するために重要であると考えられること、②上記のように 広く授業内容を公開すること自体が当地方の法科大学院教育全体に対 つとして行われた法科大学院生との匿名座談会(愛知大学法科大学院生も参加)についての報告として、 鈴木隆弘「法科大学院生との座談会レポート―初年度 1 年間を終えて―」(名古屋弁護士会会報 530 号 24 頁〔資料4-1-1-②〕)。 164 山田尚武「実録、法科大学院の授業!」(名古屋弁護士会会報 520 号 22~23 頁)を参照していただき たい(資料4-1-1-③)。この記事は、愛知大学法科大学院の研究者教員が主教員である「刑事訴 訟法」の授業を愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会委員〔愛知大学とは直接の関係がない外部の 第三者である〕に参観してもらった際の報告記事である。 上記の愛知大学での授業参観に続いて、他の法科大学院の授業参観も行っており、当該授業参観に当 法科大学院の教員が参加することによってインターカレッジな授業参観が実現している。鈴木隆弘「高 度な授業内容を傍聴して―名古屋大学法科大学院」(名古屋弁護士会会報 521 号 36 頁〔資料4-1-1 -④〕)の授業参観には前田義博教授が、清水綾子「法科大学院で身につけるべきものは??―南山大 学法科大学院の授業を傍聴して」(名古屋弁護士会会報 526 号 26 頁〔資料4-1-1-⑤〕)の授業参 観には榎本修教授がそれぞれ参加している。なお、鈴木隆弘「ロースクール授業傍聴第 3 弾 中京大学 ―松永裁判官の授業を傍聴して」(名古屋弁護士会会報 525 号 38 頁〔資料4-1-1-⑥〕)において も愛知大学法科大学院の授業との比較が掲載されている。 165 以下は、これらの実務家教員研修会をまとめた弁護士会会報記事である。愛知大学法科大学院の教員 が最も中心となって研修会で発表を行っている様子が分かっていただけると思う。 鈴木含美「第 1 回実務家教員研修会~実務家教員が行う法科大学院の授業」(名古屋弁護士会会報 521 号 34 頁〔資料4-1-1-⑦〕)。同「第 2 回実務家教員研修会~主に刑事関係科目を中心として」(名 古屋弁護士会会報 525 号 36 頁〔資料4-1-1-⑧〕)。同「第 3 回実務家教員研修会~学生からみた 法科大学院の授業など」(名古屋弁護士会会報 529 号 69 頁〔資料4-1-1-⑨〕)。 宮島元子「第 1 回実務家教員意見交換会~ロースクールにおいて民事実務をどう教えるか」(愛知県 弁護士会会報 535 号 47 頁〔資料4-1-1-⑩〕)。河瀬直人「第 2 回実務家教員意見交換会を傍聴し て」(愛知県弁護士会会報 538 号 47 頁〔資料4-1-1-⑪〕)。竹内裕詞「各校でのローヤリング授 業の工夫を意見交換」(愛知県弁護士会会報 541 号 83 頁〔資料4-1-1-⑫〕)。尾関栄作「『法曹 倫理』って、弁倫研修じゃないの?~法科大学院・実務家教員意見交換会、開催される」(愛知県弁護 士会会報 546 号 58 頁〔資料4-1-1-⑬〕)。 なお、愛知県弁護士会だけでなく他の弁護士会の法科大学院関係者と当法科大学院において意見交換 を行った例として、角谷晴重「弁護士会と法科大学院の連携に関する大阪弁護士会との意見交換会」(愛 知県弁護士会会報 553 号 66 頁〔資料4-1-1-⑭〕)。 62 する情報提供や議論の契機となり、当地域の法曹養成全体にも貢献して ゆく意義を有していることから、非常に意味が大きいと思われる166。 エ 成績評価の厳格化・客観化 2004 年度第 6 回及び第 7 回教学委員会において、「学生の成績評価に関 するガイドライン(案)」に関する議論がなされている。また第 8 回教学 委員会において、卒業要件に関する議論がなされている。そして第 10 回教 学委員会では、「専門職大学院(法科大学院)の試験及び成績評価に関す る規程」の見直しについて議論及び取りまとめがなされた167。 また 2005 年 11 月 30 日に行われた文部科学省の実地調査に基づく指摘に 対応して、同年 12 月 21 日開催の教授会において、成績評価ガイドライン が改訂され、学生に公表されている168。 オ カリキュラム、各科目の内容、教育方法、教科書等教材 カリキュラムや教材作成のための研究者教員と実務家教員との打ち合わ せ会議が、2002 年 12 月から 2003 年 9 月までの間に 17 回以上にわたって 開催されている169。また、教授会で議論検討の結果、2007 年度から新カリ キュラムを導入することを承認した170。 カ 架橋教育 2006 年の日弁連法務研究財団トライアル評価においては「実際の授業を 参観した結果によれば、優れた架橋教育を実施している授業が散見された ものの、必ずしも担当教員が架橋教育に関する認識を形成しこれを意識し ているとは言い難い授業も少なくなかった」との指摘を受けた。この点に ついては、更に改善の必要性がある。 (3)教員の参加度合い トライアル評価において「法科大学院の全教員若しくは全専任教員が参 加することが予定されている FD 組織はない」と指摘された点について、教 授会において毎回 FD 関係事項を集中審議する形態を採る形としたことにつ いては前述した。これによって、全専任教員が参加して FD 関係の議題を集 中的に審議できる体制が整った。 また、トライアル評価では「FD 関連行事に対する教員の参加度合い」に 166 たとえば、以下のような実例がある。 ア 当法科大学院が提供している「臨床実務」のカリキュラムやシラバスの内容を愛知学院大学法科大 学院の実務家教員(神沢昌克教授)を通じて同法科大学院に提供した。 イ 当法科大学院の「ロイヤリング」の授業内容や教材(民事法研究会から出版した「実務ロイヤリン グ講義」)を愛知県弁護士会の実務家教員に情報提供し、南山大学法科大学院で「ロイヤリング」の授 業を担当する実務家教員(加藤良夫教授)の希望を受けて授業参観していただいた(資料として、同授 業が見学を受けた際の授業見学のビデオがある。現地調査の際に視聴していただくことが可能である)。 167 FD 実施にかかる記録(資料0-11-③) 168 2007 年度法科大学院ガイドブック p224 以下。なお、このガイドラインは 2007 年度第 4 回法務研究科教 授会において、更に改定されている(資料10-2-④、資料9-1-2)。学生には 2007 年度秋学期 開講後に周知予定。 169 補正申請書中「大学設置・学校法人審議会からの意見への対応(8月意見対応)」p6(資料0-1) 170 2006 年度第 6 回法務研究科教授会議事録(議題 11)(資料10-2-③)。 63 ついて「 授業相互見学等実施された活動についての参加状況は悪くはない ものの、その他の参加状況は良いとはいえない」とも指摘された。 その後 2007 年 2 月に開催した FD 合宿には、ほぼ全員の専任教員が参加 し、一部ではあったが非常勤教員や兼担教員の参加も得ることができた171。 教員だけではなく、職員も FD の主体であると考え、法科大学院を担当する 教学課職員 3 名にも FD 合宿に参加してもらったことも、「組織として」教 育を行ううえで大変意義深かった。従前よりは、多くの教員が参加する形 が整ってきたように思われる。 また、トライアル評価では「非常勤教員からは、教授会の決定事項が知 らされていないとの指摘があった172」との指摘があった。これを厳粛に受け 止めて、毎回の教授会の決定事項等について、教学主任から「愛大LS教 学主任通信」の形で、専任教員や非常勤教員・チュータに対して定期的に 情報発信することとした173。また、上記のとおり FD 合宿には非常勤教員の 参加も募ったが、この点については十分な参加が得られたとは言えない状 況にある。 (4)講師招聘による講演会の開催 外部から講師を招聘した講演会を行っている。 ア 高橋宏志東京大学教授による講演会の実施 2005 年 3 月 16 日午後 4~6 時 愛知大学車道校舎 3 階コンベンションホールで開催 「法科大学院教育の1年を振り返って」174。 イ 米倉明愛知学院大学教授による講演会の実施 2007 年 10 月 25 日午後 4 時 40 分~午後 6 時 30 分 愛知大学車道校舎 3 階コンベンションホールで開催 「3つのリアリズム―法科大学院教育における」175 (5)外部の講演会やシンポジウムへの参加とその報告 教授会にも報告またはメーリングリストにて配信している。一部の者に 偏らないように、教員間で交替で参加している176。 (6)他法科大学院の授業の参観 南山大学法科大学院の刑事訴訟法の授業を参観した例177や名古屋大学法 171 (1)FD 合宿における議論の様子や概要については、 愛知大学 HP 掲載文書(資料0-20-⑰) (2)FD 合宿における議論の詳細と取りまとめについては、 「2006 年度愛知大学法科大学院 FD 合宿について(まとめ)」(資料0-20-⑯) にそれぞれ記載したとおりである。 172 日弁連法務研究財団実施の教員アンケート。 173 愛大LS教学主任通信(1)~(15)(資料4-1-1-⑮)。 174 愛知大学法科大学院 FD 講演会「法科大学院教育の 1 年を振り返って」(資料0-20-⑤)。 175 その概要については、愛知大学法経論集に掲載予定。 「FDニュース」12 号、15 号(資料0-20-⑥⑦⑧)。 清水綾子「法科大学院で身につけるべきものは??―南山大学法科大学院の授業を傍聴して」(名古 176 177 64 科大学院の法曹倫理・ロイヤリングの授業を参観した例などがある。 (7)FD 活動報告等 全学の FD 委員会が刊行する「Faculty Development ニュース」誌上に、 法科大学院における FD 活動に関する報告等を公表している178。 (8)FD 関係図書の購入 教え方・教える内容の改善を目的として、下記のような図書を購入して、 車道校舎講師控室に備え付けた。 図書名 著者・編者 出版社 商業法務研究 1 JLF叢書Vol.1次世代法曹教育 日弁連法務研究財団 2 ロースクール教育論 遠藤直哉 信山社 3 ロースクールって何? 野村憲弘 東京布井出版 4 法科大学院構想の理想と現実 柳田幸男 有斐閣 5 6 7 アメリカ法曹協会(ABA)ロースクール認 日本弁護士連合会司法改革調査 定手続 室 成長するティップス先生 授業デザイン のための秘訣集 ロースクールを考える 21世紀の法曹 養成と法学教育 玉川大学出版 博・中井俊樹 部 角 米倉 9 リーガルマインドへの挑戦 紀代恵・新美育文・鎌田 明 成文堂 新青出版 山本満雄 有斐閣選書 10 法学教育改革とプロフェッション アメリカ法曹協会 三省堂 11 法科大学院 財団法人 商事法務 12 13 パートⅡ 現代人文社 池田輝政・戸田山和久・近田政 薫・高窪利一・鈴木重勝 8 法学・法学教育 会 統一適性試験ガイドブック リーガル・エリートたちの挑戦 コロン ビア・ロースクールに学んで ハーヴァード・ロー・スクール -わが 試練の1年- 14 民法の聴きどころ 15 16 法律家をめざす諸君へ 版] ファシリテーション革命 参加型の場づ くりの技法 17 こうなる法科大学院 18 178 ダグラス・K・フリーマン スコット・タロー 米倉 [2003年度 司法制度改革と法科大学院 世界標準のプロフェッショナル・スクー 日弁連法務研究財団 商事法務 山室まりや訳 早川書房 明 成文堂 中央大学ロースクール進学対策 中央大学出版 特別委員会 部 ほか 中野民夫 岩波書店 須網隆夫 学陽書房 田村次朗 日本評論社 屋弁護士会会報 526 号 26 頁〔資料4-1-1-⑤〕) 「FDニュース」12 号、15 号(資料0-20-⑥⑦⑧)。 65 ル実現に向けて 19 法科大学院を中核とする法曹養成制度の 財団法人日本法律家協会法曹養 在り方 成問題委員会 20 法科大学院における教育方法 日弁連法務研究財団 21 めざせロースクール、めざせ弁護士 宮澤節生・池添徳明 22 23 法科大学院 弁護士が増える、社会が変 わる ロースクール実験授業 法廷技術編 専修大学 at 村上政博 宮岡孝之 商事法務 商事法務 阪急コミュニケーション ズ 中公新書 辰巳法律研究 所 24 ハーバードの医師づくり 田中まゆみ 医学書院 25 法科大学院と臨床法学教育 宮川成雄 成文堂 26 立命館大学法科大学院 法科大学院ガイド編集委員会 日本評論社 27 授業の知 梶田正巳 有斐閣選書 28 相手がわかるように教える技術 戸田昭直 中経出版 29 ファシリテーションの教科書 名倉広明 学校と大学の教育革新 日本能率協会マ ネージメントセンター (9)授業評価アンケートの実施 春学期は中期・後期の 2 回だが、初期に授業も含めた全体のアンケート があるので、これもあわせれば 3 回となる。秋学期は中期・後期の 2 回実 施する。よって、全部合わせれば年間 5 回実施している。この年間 5 回と いうアンケートの実施回数は、比較的多い方であると思われる。 後期アンケートは集計結果を法科大学院図書室に備え付けて院生にも閲 覧できるようにする。その際は、教員からのコメント(このコメントは、 教員自身の反省と自己評価・自己点検の機会として重要な意義を持ってい る)と教学主任の総括コメントをつける。 院生が閲覧できるものについては、院生の自由記載欄は開示しない ようにしているが(極端な意見等も含まれるため)、教授会には全教員 の分を自由記載欄も含めて全て開示している179。 (10)今回の自己点検・評価報告書の作成について 今回の自己点検・評価報告書の作成それ自体が、非常に重要な「組織的」 な FD の機会であると考えている。すなわち、2006 年のトライアル評価の 際には、主としては一部の教員が中心となって素案をとりまとめ、その後 教授会の承認を得るという手続を採った。しかし、今回は、2007 年 2 月の FD 合宿の際に概ねの執筆分担・担当者を決めて、その後教授会で承認の上、 179 「授業評価アンケートの記録」(資料0-9―①②③)。 66 各専任教員がそれぞれを分担し「組織的に」作成した180。このようなプロ セス自体が、「組織的に」FD を行うという理念に資するものであり、この 点においては従前より改善が図られたものと考えられる。 2.点検・評価 (1)取組体制 FD 活動全体としては、教授会で FD 関係事項を集中審議することとした ため、従前よりは、組織的な取り組みが行われるようにはなってきたが、 まだ、教員間の温度差もあり、全体的な取り組みとまではなっていないと ころがある。一部の教員に任せきりではなく、各教員がそれぞれの分担を しながら全体として行うにはまだ足りない。また、非常勤教員や兼担教員 の各種行事への参加状況が必ずしも良くないので、この点も改善すべき課 題である。 また、設置認可申請書に記載されている「カリキュラム部会」が未設置 のままとなっている点も改善を要する点である。 (2)取組内容 院生に対するアンケートを頻繁に行い、不断に改善に努めてはいるが、 まだ不十分な点があるといわざるを得ない。授業相互参観を制度化した点、 予習・課題の調整のためにシラバスに統一記載を導入した点など、従前よ りは組織的な取り組みが行われるようになったが、アンケートで繰り返し 院生から厳しい指摘が為されている科目や授業についての改善が十分では ない点がある。また、架橋教育についての教員間での議論や統一意思の形 成も不十分である。 これらの諸点について改善が必要である。 3.自己評定 B 4.改善計画 以下の点について、早急に改善の必要があり、自己評価・FD 委員会で検 討を開始したい。 ア カリキュラム部会の設置 イ 架橋教育に関する意思統一 180 2007 年度 第 2 回法務研究科議事録(資料10-2-④)。 67 4-1-2 教育内容や教育方法についての学生による評価を把握しその結果 を教育内容や教育方法の改善に活用する取り組みが適切に実施さ れていること。 1.現状 (1)授業アンケート 教育内容や教育方法についての学生による評価を把握しその結果を教育 内容や教育方法の改善に活用するための制度的取り組みとして、下記のよ うな授業アンケートを実施している。 ア 実施時期・回数 自己評価・FD 委員会が主体となって、すべての授業科目について授業 評価アンケートを実施している。 年度ごとに授業アンケートの実施状況を示せば、以下のようになる。 ①2004 年度……春学期初期・中期・後期アンケート、秋学期中期・後期 アンケート ②2005 年度……春学期初期・中期・後期アンケート、秋学期中期・後期 アンケート ③2006 年度……春学期初期・中期・後期アンケート、秋学期中期・後期 アンケート ④2007 年度……春学期初期・中期・後期アンケート、秋学期中期・後期 アンケート(予定) 開設以来、春学期 3 回・秋学期 2 回、合計 5 回のアンケートを実施し ている。初期アンケート(4 月実施)は、授業の内容に限らずに、全般の 問題について実施している。初期アンケートの集計後においては、今後の 授業の進め方の参考資料としている181。さらに、各学期の中期アンケート では、これに基づき教員と学生とが直接話し合って授業内容を適宜に調整 し、変更・改善をしている。最後の学期末のアンケートでは、授業の全体 を振り返り、授業の総合評価も含めて授業評価がなされる。これに対して は、教員のコメントを付したうえで、全アンケートを集計し、教授会で提 示される。 イ 内容 アンケート項目については、随時、自己評価・FD 委員会においてその 問題点・項目の適切性について議論し、毎年アンケート項目の改善を図っ てきた。しかし、これまでの経験と FD 合宿の議論を踏まえて、2007 年 4 月 18 日の教授会において大きくアンケート項目を改めた。現在、合計 15 181 たとえば、2007 年度の春学期初期アンケート(資料0-9-④)参照。 68 項目となっており、そこには愛知大学法科大学院の独自の項目を付け加え るにいたっている182。 ウ 匿名性 (ア)授業アンケートの集計方法 学生代表がとりまとめて、教員ラウンジのメールボックスにいれてい た。そして教員は、それを車道教学課へ提出する方法をとっていた。教 員の目に触れさせないようにするために、これを改め、2006 年度秋学期 中期アンケートからは、学生代表が回収後、直接車道教学課の窓口に提 出することになった。 (イ)無記名 授業アンケートは、もとより、無記名であり、自由記載欄も設けら れている。自由記載欄には、例年さまざまな意見が提出される。なか には、表現の適切性に配慮を欠けるものもある。教員がそれをみて、 学生の筆跡から、個人が特定されないようにするため、ワープロ化し ている。その後において教員に開示している。 エ 回収率 アンケートの回収率は、2005 年度は平均 73.85%、2006 年度は平均 76.73%、そして 2007 年度の春学期は 86.2%となっている183。このよ うに回収率は、年々、増加している。 (2)評価結果の授業等の改善の活用 ア とりまとめ 車道教学課は回答用紙をとりまとめ、委託業者が自由記載欄をワープロ 化し、集計処理する。自己評価・FD 委員会は、集計処理された授業アンケ ート調査の結果を各教員に送付する。各教員は授業アンケート調査の結果 を踏まえて、自分の担当科目について自己点検・評価(コメント)する。 それらをワープロ化したものを自己評価・FD 委員がとりまとめ、統計的な 分析を加えたうえで、全教員分を教授会へ提出するという方法をとってい る。教授会は、さまざまな観点から検討をおこなっている。上記の分析資 料の中には、教員毎の分析表や総合評価の高い順番毎の一覧表184も含まれ ており、授業参観の際の候補授業として推奨されている。 イ 182 学生への公表 学生授業評価アンケート記録(2007 年度分)(資料0-9-③)。とりわけ、授業の運営方法に関す る設問つき、詳細な項目を設けたことは、当法科大学院の特徴と思う。 183 回収率の詳細― 2005 年度春学期中期:77.7%、後期:64.1%、秋学期中期:77.5%、後期:76.1%。 2006 年度春学期中期:83.4%、後期:71.9%、秋学期中期:76.4%、後期:75.2%。 184 学生授業評価アンケート記録(集計したもの)(資料0-9-②③)。 69 学期末アンケート調査の結果については、自由記載欄の部分を除き、 すべて学生に開示している。開示の際には、教学主任(自己評価・FD 委員) が全体に対するコメントも添付している185。 ウ 組織的な取り組み 従来、教授会ではアンケート調査結果に基づき、改善のための意見交 換、授業相互参観、授業のビデオ鑑賞などの取り組みを実施してきた。と ころが、トライアル評価において「組織的な FD 活動としての結果の利用 や授業改善への活用については、改善の余地がある」との指摘を受けた。 これらの指摘を謙虚に受けとめ、教授会では、毎回 FD 関係事項を集中審 議する形態に変更し、2007 年 2 月には 1 泊 2 日の FD 合宿を実施した。ま た、アンケート調査結果から問題のある授業があるさいには、研究科長や 自己評価・FD 委員が、改善方法を含めて、担当教員と話しあい、調整をと ることを 2007 年度第 3 回教授会186で決定して、実行に移した。 2.点検・評価 現状をみる限り、学生の評価を把握するために、多様なチャンネルが用意 されている。学生の要望のなかで、授業の改善に役立つものについては、教授 会・教員・事務局は、迅速かつ柔軟に対応をして改善を図っているものと考え ている。もっとも、授業アンケートの回収率が 100%には達してはおらず、今 後は回収率をより高める必要がある。また、学生との意見交換会・昼食会の開 催や、あらたな組織的対応などについても、更に検討してゆく必要があるよう に思われる。 3.自己評定 B 4.改善計画 上記「点検・評価」で記載したような課題について、今後、十分に検討し てゆきたい。 185 学生授業評価アンケート記録(集計したもの)(資料0-9-①②③) 186 法務研究科教授会議事録(資料10-2-④) 70 5-1-1 授業科目が法律基本科目、法律実務基礎科目、基礎法学・隣接科 目、展開・先端科目の全てにわたって設定され、学生の履修が各 科目のいずれかに過度に偏ることのないように配慮されているこ と 1.現状 (1)開設科目数 科目群 公法系 5 科目 法律基本科目 24 科目 民事系 12 科目 刑事系 6 科目 総 実務基礎科目 12 科目 基礎法学・隣接科目 11 科目 展開・先端科目 36 科目 合 1 科目 公共関係科目 10 科目 民事関係科目 16 科目 国際関係科目 10 科目 (注)修了単位に含まれない「公法概論」「民事法概論」「刑事法概論」 は除いた。 (2)学生の履修状況(4科目群毎の履修単位数の平均) 科目群 1年 2年 3年 全体 法律基本科目 28.00 単位 24.30 単位 10.90 単位 20.08 単位 実務基礎科目 2.64 単位 5.95 単位 7.35 単位 5.70 単位 基礎法学・隣接科目 3.20 単位 0.65 単位 0.70 単位 1.28 単位 展開・先端科目 1.52 単位 4.85 単位 18.35 単位 9.20 単位 (注) 修了単位に含まれない「公法概論」「民事法概論」「刑事法概論」は除 いた。 71 (3)履修要件 法律基本科目 必修 62 単位 実務基礎科目 必修 8 単位 選択必修 4 単位 基礎法学・隣接科目 選択必修 4 単位 展開・先端科目 選択必修 10 単位 実務基礎科目、基礎法学・隣接 8 単位以上 科目および展開・先端科目の中 から 合 計 96 単位以上 2.点検・評価 (1)開講科目 上記の通り、授業科目は、法律基本科目、実務基礎科目、基礎法学・ 隣接科目、展開・先端科目の全てにわたって開設されている。 (2)科目バランス ア 学生の履修については、法律基本科目に集中しているきらいがある が、これらの科目は法曹になるうえで、最低限修得しておくべき科目 で、ほとんどの科目を必修にしていることにより、このような数字と なって現れている。 イ 昨年度のトライアル評価は、まず、形式的基準に基づく不適格性を 指摘している。すなわち、「当財団では、『学生の履修が過度に偏る ことのないように配慮されている』とするために具体的には『実務基 礎科目、基礎法学・隣接科目、展開・先端科目の合計で 33 単位以上』 履修できるように配慮することを基準としている」ところ、この基準 を満たしていないことから、「当該法科大学院のカリキュラムにおけ る科目バランスは、形式的に見て適格性を欠いている」との指摘であ る。この指摘に受けて、早速、当法科大学院は 2007 年度に向けてカリ キュラムを改正した。その結果、現行のカリキュラムにおいては、実 務基礎科目、基礎法学・隣接科目、展開・先端科目の合計で 34 単位以 上履修できるように配慮している。 ウ つぎに、トライアル評価は、実質的な観点による科目バランスを指 摘している。この指摘を真摯に受け止めて、いくつかの科目において 改善をした。たとえば、「有価証券法」および「商取引法」は、2007 年度法科大学院ガイドブックにあるように、展開・先端科目にふさわ 72 しい内容に変更している187。また、民法の一部の授業において、「通 常 90 分とされている授業時間を恒常的に 120 分としている」との指摘 があったが、これも改善した。 エ そして、トライアル評価での最後の指摘は、補習および法律基本科 目偏重の問題点である。前者の問題に関していえば、チュータによる 補習を、学生とチュータとの自発的な判断に任せるという方法をとっ た188。後者の問題については、当法科大学院の全体のスキームにもか かわる問題であって、その解決のためには、十分な時間と検討が必要 である。現状では、上記のような改善によって偏りを是正している。 (3)授業時間割は、必修科目が特定の曜日時限に偏らないように編成して いる189。 (4)毎年 4 月第 1 週の開講前に、全学生を集めた履修ガイダンスを行い、 また、偏った履修届を出してきた者に対しては、履修指導を行うなど、 適切な指導を行っている190。 3.自己評定 B 4.改善計画 現行の制度設計にかかわる問題であるが、法曹を養成する機関である法科 大学院において、法律基本科目をどのように位置づけるかが問われている。 講義内容や授業方法の再検証、さらにはカリキュラム全体の再構成を念頭に おかなければならない。今後、上記の点の検討が必要とされている。 187 188 189 190 2007 年度法科大学院ガイドブック p157-p158、p155-p156(資料0-5)。 愛知大学法科大学院 2007 年度春学期のチュータ授業について(資料3-2-2-③)。 2007(H19)年度愛知大学法科大学院時間割表(資料5-1-1-④) 履修科目選択のオリエンテーション資料(資料0-6-②) 73 5-1-2 授業科目が体系的かつ適切に開設されていること。 1.現状 (1)授業科目の開設状況については、資料5-1-2のとおりである。 (2)授業科目の体系性という観点では、カリキュラム構成自体を工夫し、 セメスターごとに科目群の重点配置を行って、集中的・体系的理解がで きるようにしている(具体的には、1 年生の法律基本科目について、奇数 セメスターは民事系に、偶数セメスターは刑事系に比重を置いたカリキ ュラムを導入している)。これにより、同一セメスターに特定科目を集 中的に学修する機会が確保される。 (3)授業科目の適切性(養成しようとする法曹との関係での整合性)につ いては、当法科大学院が発行している「法科大学院ガイドブック」にお いて当法科大学院が目指す具体的な法曹像を意識した履修モデルを掲載 し、履修登録の際参考にさせている。かつて当大学院では、3 つの法曹像 に区分していたが、法曹像の輪郭が必ずしも明確ではないという疑問が だされ、またトライアル評価においても同様な指摘がなされた。そこで、 法曹像を明確化する作業がなされ、現行では 2 つの法曹像とそれに相応 しい履修モデルを提示するにいたっている191。 (4)法曹像や法曹の役割・使命を考えさせるために、1 年次から選択できる 科目として「司法制度論」および「臨床実務Ⅰ」を、そして 2 年次に「法 曹倫理」を、2 年次・3 年次に選択できる科目として「臨床実務Ⅱ」を設 けている。また、法曹に必要な IT 技術を習得するために、必修科目とし て 1 年次に「法情報調査」をおいている。「臨床実務Ⅰ」「臨床実務Ⅱ」 は、当法科大学院が養成しようとする「地域社会に貢献する法曹」の法 曹像を具体的な形で明確に意識できる実務基礎科目である。 (5)愛知大学の設立の経緯にちなんで、アジア(とりわけ中国)に関する 科目として、「法律中国語Ⅰ・Ⅱ」、「アジア会社法」および「現代中 国法」を設けている。 (6)時間割上の工夫としては、学生の負担を考え、特定の曜日時限に必修 科目が偏らないように編成している。 2.点検・評価 (1)教育効果を考慮しつつ、若干の配当セメスター変更を検討してゆきた いが、現時点では概ね良好なカリキュラムであると考える。 (2)セメスターごとに科目群の重点配置を行っている点は、当法科大学院 191 2007 年度法科大学院ガイドブック p7-p8(資料0-5)およびオリエンテーションでの法曹像の説明。 74 の特徴の 1 つであり、教育効果が上がっていると考えているため、今後 も継続してゆきたい。ただ、履修機会の空白が生じるおそれがあるから、 自学自習に任せるのみでなく、正規の授業においても関連づけて触れる 必要があろう。 3.自己評定 B 4.改善計画 毎年の授業計画の中で、逐次、カリキュラムの点検・見直しを行ってゆき たい。 75 5-1-3 法曹倫理を必修科目として開設していること。 1.現状 「法曹倫理」を必修科目として開設している。 (1)科目名 「法曹倫理」 (2)単位数 2 単位 (3)必修・選択必修・選択の別 必修科目 (4)弁護士倫理、裁判官倫理、検察官倫理が含まれている。 なお、弁護士自治と綱紀・懲戒制度についても授業内容に含まれて いる。 (5)その他 なお、その他の科目(例えば、民事法総合演習)の中でも、法曹倫 理について取り扱われている。 2.自己点検・評価 適切に運用されており、問題は無い。 3.自己評定 合 4.改善計画 特になし。 76 5-2-1 学生が履修科目の選択を適切に行うことができるようにするため の取り組みがなされていること。 1.現状 (1)学生が適切に履修科目を選択することができるように、当法科大学院の なしている取り組み ア 法科大学院ガイドブックの配布。なお、ガイドブックのシラバスの 記載内容に科目間の過不足がないようにできる限りの統一化を図り、学 生の履修科目選択に資するよう努めている。 イ 履修モデルの提示による情報提供192。 当法科大学院が養成を目指す法曹像である「地域社会に貢献するホー ム・ローヤー」「地域社会に貢献するビジネス・ローヤー」のそれぞれ について履修モデルを提示し、展開・先端科目の選択の際の指針を提示 している。 ウ 履修ガイダンスの開催(毎年 4 月) 入学時・進級時に全員を対象としたガイダンスを開催している。特に、 入学時のオリエンテーションガイダンスでは、当法科大学院が養成を目 指す法曹像と履修モデルについて、時間をとって説明している193。 エ 個別履修指導の実施 春学期・秋学期の成績が明らかになった段階で、各教員が各自の担当 科目を通じて個別履修指導の必要性が感じられる学生の名前を挙げ、教 授会としてそれを集約し、複数教員から名前が挙げられた学生について は、教員が分担して履修指導を行っている。また、給付奨学金を受給し ている学生で、成績不振に陥っている場合にも、給付奨学金の継続が困 難となる恐れがあることから、個別に履修指導を行っている。以上の指 導とは別に、各教員がオフィスアワーを設置し、科目履修を含めた教育 関係全般の相談に随時応じる体制を設けている194。 オ 目指すべき法曹像や、法曹としての使命・責任を考えさせる授業であ る「臨床実務Ⅰ」を 1 年次から選択できるようなカリキュラム構成とし ている。また、1 年次から実務家の担当する授業に接する機会も多い(司 法制度論・民事法概論・臨床実務Ⅰなど)。 2.点検・評価 以上の組織的な取り組みを通じて、履修選択指導は適切になされているも のと評価する。 192 193 194 法科大学院ガイドブック p7-p8(資料0-5) オリエンテーション資料(資料0-6-①)、履修ガイダンス資料(資料0-6-②) 2007 年度春学期法科大学院オフィス・アワー(資料8-2-2-①) 77 なお、学生の履修選択の実態を見ると、特定の科目に偏る傾向が見られ195、 その意味では、当法科大学院が掲げる法曹像を養成するために提示している履 修モデルが、学生の履修選択の目安として十分に機能していないと見ることも できる。学生が司法試験関連科目に偏ることのないよう、履修選択指導をより 強化していく必要がある。 3.自己評定 B 4.改善計画 履修ガイダンスや個別指導の際に、履修モデルを参考に各学生の目指す法 曹像にとって必要だと思われる展開・先端科目を自発的に履修するべきであ ることを、より強く指導する。 195 履修者数一覧表(資料8-3-1) 78 5-2-2 履修科目として登録することのできる単位数の上限が年間36単 位を標準とするものであること、及び修了年度の年次は44単位 を標準とするものであること。 1.現状 (1)履修登録可能な単位数上限は年間 36 単位又は 44 単位(修了年度)で ある。(各学期毎の上限は定めていない) (2)1 単位の授業時間数は 15 時間である。 (3)補習は正規以外の科目として「自主研究」、「チュータ補講」を開講 して対応している196。なお、これら正規以外の科目への学生の参加は、任 意である。 2.点検・評価 履修登録可能な単位数上限を定めており、また授業時間割についても必修 科目が特定の曜日時限に偏らないように編成しているため、学生が個々の科 目の予習・復習に十分な時間を充てることができるスケジュールとなってい ると評価している。 なお、従前のチュータ補講等の中には、ほぼ全学生が参加するものもあっ た。確かに、客観的に見れば任意とは言いがたく、授業時間の延長を前提と する指導体制と誤解を受ける恐れがある。そこで、これらについては改善を 図り、2007 年度から補講の授業数を削減した。これにより、学生の予習復習・ 自学自習の時間の確保に資するものと考えている。 3.自己評定 合 4.改善計画 アンケートをとって、学生の要望に応えてゆきたい。また、学生が沢山の自 主研究に無理して参加して大きな負担を抱え、正課の学習体制に支障が生じる ことのないよう、配慮を怠らないようにする必要がある。 196 2007 年度の実施状況は「2007(H19)年度自主研究開講一覧・チュータ補講開講一覧」(資料5-2 -2―③)のとおりである。 79 6-1-1 開設科目のシラバスや教材の作成等、授業の計画・準備が適切に なされていること。 1.現状 (1) 2007 年度のシラバス(進行計画を中心とした授業内容紹介)の提出を もって現状の記述に代える197。 (2) 当法科大学院で各科目の授業計画に共通して求めている工夫として、 シラバスには、学生の履修選択や学習準備の参考となるように、下記の 事項を盛った統一フォームを用意し、学生にとって十分な情報を提供す ることを図っている。 ア 授業のテーマ・目標 とくに、「目標」欄では、当該授業における達成目標を、できる だけ詳細に記すようにしている。 イ 授業の形態 ウ 授業の内容・スケジュール この欄において 2007 年度で工夫したのは、とくに予習想定時間を 明示するようにしたことである。 エ 評価方法 オ テキスト・参考図書 カ その他(履修者への要望など) (3) シラバスの配布時期は、毎年の授業開始前の履修ガイダンス前(在学 生は 3 月初旬、新入生は 4 月 1 日)である。 (4) おおむねシラバスどおりの授業が実施されている。 (5) 全員が共通のパソコンとメールアドレスを配布されているため、メー ルでの一斉連絡が容易である。そのため、授業内容の変更告知等がある 場合には、メールを使って一斉に全員に連絡することが可能となってい る。 (6) 科目担当者が複数である民法では、全教員が協議の上、学習上の効果 を考えて、教科書の可及的統一化を図っている(内田 貴『民法』Ⅰ~ Ⅳ〔東大出版会〕を中心に用いる)。 2.点検・評価 (1) シラバスは、効果的な授業準備のための有効な事項が記載されたもの であり、また、その配布も適時になされている。 (2) 197 シラバスに記載された授業計画は、良く練られたものである。 法科大学院ガイドブック(資料0-5) 80 (3) 教材も、基本的には効果的な履修のために適切に選択されている。ま た、当法科大学院の教員は総じて一般には非常に授業に対して熱心であ り授業準備も基本的には念入りに行われているものが多い。ただし、科 目による若干の温度差は否めないところがあり(①教員の熱心さが足り ない科目は少ないが、②教員の熱心さが必ずしも適切な方向に向けられ ていないのではないかと考えられたり、③教員の授業準備方法や学生の 予習指示について更に改善の余地が存するのではないかと思われる科目 も存する)その点は実際の授業内容にも影響を与えているように思われ る。このような点を組織的な FD 活動によって改善してゆく必要がある。 (4) 学生に対する予習指示について、一部の教員から出される課題に突出 して相当の時間を要する問題があるように思われる。同じ教育効果を達 成するために、より少ない予習時間でこれを達成するにはどうしたら良 いかという点について、組織的な FD 活動によって改善を図る必要がある。 3.自己評価 B 4.改善計画 上記2(3)(4)の点を中心に、今後とも、シラバスや教材選択・予習 指示の方法について、卒業生等の意見も踏まえて、一層良いものにするよう 工夫したい。さしあたり、シラバスの記載で科目間の精粗の差があるところ を修正し、授業計画が学生にとってより可視的なものとなるよう改善を図る とともに、組織的 FD 活動によって上記2(3)(4)の点について教員団の 更なる討議と意思統一を図ることが必要であると考えられる。 81 6-1-2 開設科目が効果的に履修できるような適切な態様・方法で授業が 実施されていること。 1.現状と点検・評価 (全体に共通するもの) (1) ア 入学までの対応措置 プレ・スクーリング (入学前教育) まず、新入学生が 4 月からの授業にスムーズに入ることができるよう、プレ・ スクーリング(入学前教育)を行っている。開催頻度は、合格発表直後の 10 月か ら 1 ヶ月に 1 回(未修入学予定者向け:計 6 回、既修入学予定者向け:計 6 回) というペースである198。 希望者を対象としたものであるが、多くの人が受講することができるように するために、以下のような配慮を施した。 実施日時は、社会人等を考慮して土曜とし、頻度も 1 ヶ月に 1 回のみとした。 そのかわりに、各科目を事前に見渡せることができるように、初学者向けのテ キストを指定して毎回各自が読み進める範囲を決め、当該プレ・スクーリング の日にはその範囲で理解できなかったところについて、憲法・民法・刑法の教 員が質問を受ける時間を設けた。学生には大変好評であり、出席者も多い。 また、合格発表直後(10 月)には、合格者全員に「推奨する書籍・六法など」 や「各科目教科書の紹介」という文書を配布し199、4 月からの授業で用いるテキ ストや参考書なども知らせて、準備ができるように配慮している。 イ とくに「純粋未修」者への手だてについて 4 月からの授業に備える対策として最も難しいのは、いわゆる「純粋未修」者 (法律の勉強の経験が全くない者) に対する導入教育のあり方である。当法科大 学院では、前出の「推奨する書籍・六法など」の中で、今まで全く法律の勉強 をしたことのない学生に対して、六法、辞書・辞典類から、各科目の入門書、 基本的なテキストを、説明を付けて紹介し、初学者であってもできるだけスム ーズに授業に入ることができるよう配慮している。 また、プレ・スクーリングの第 1 回は、「『法学の基礎』の基礎」として、 「法とは?」、「六法とは?」、「類推解釈と反対解釈のちがい」、「文理解 釈の意味」など、最初に身につけてほしい基本的知識についてわかりやすく説 明している200。 (2) 1 年生の春学期に民法を集中させていることへの対応 当法科大学院では、教育効果の観点から 1 年生春学期に民法を集中配当して 198 199 200 プレ・スクーリング資料(資料0-13) 資料6-1-2-① 未修者向け第 1 回プレ・スクーリングレジュメ:『「法学の基礎」の基礎』(資料6-1-2-②) 82 いることとの関連で、以下のような手だてを講じている。 ア 入学直後に、1 年生にアンケートを配付し201、それまでの勉強の状況や要 望などを調査して202、 民法担当者は、これらと、また、このアンケート集計 結果を座席表に書き込んだもの203とを共有して授業を行っている。 イ 上記のプレ・スクーリング(10 月~3 月)の中で、後半は民法の回数と 時間を増やして、春学期の民法に入って行きやすいカリキュラムにしている。 ウ さらに、入学時(4 月)のオリエンテーション・キャンプの中で 3 時間か けて「民法導入講義」を行い、春学期の民法Ⅰ~Ⅴ・民事法総合という正課 の授業につながるような工夫をしている204。 (3) 学期末テストにかんする手だてなど 学期末テストについては、事後に、各教科について、出題意図・採点基準等 の説明を含む講評を行っている205。 なお、学生全員が共通のパソコンを持っており、そこに最初から全教員・チ ューターのアドレスを入力してあるので、すぐに質問できる環境となっている。 また、学生の要望に応じて、自由参加の補習をしている教員もいる。 (各科目の授業実施) (4)法律基本科目について、各科目の詳細は以下のとおりである。 ア 憲法 (ア)教育内容:法曹教育として相応しい内容の授業か。 →そのように考えている。 (イ) 授業の仕方: 各回の授業で達成するべき目標を事前に明確に示しているか。 →示している。シラバスで、明確に提示し、また授業におい てこれを事前に具体化している。 ミニテスト等で理解度をチェックしながら進めているか。 →ミニテストは行っていないが、全員からのレポート提出を 求め、また発問をとおして理解度をチェックする等して進 めている。 映像等を利用しわかりやすい工夫をしているか。 →映像は用いていないが、具体的事例を意識的に示すなど、 問題のイメージをつかみやすくする工夫をしている。 201 アンケートの御願い(民法新入生へのアンケート)(資料6-1-2-③) 2007 年度民法アンケート(集計)(資料6-1-2-④) 203 1L2007 座席表(民法アンケート回答つき)(資料6-1-2-⑤) 204 民法導入講義(レジュメ)(資料6-1-2-⑥) 205 定期試験講評(サンプル)(資料6-1-2-⑦)、定期試験(筆記試験)解説と講評(資料10- 10-①②) 202 83 双方向・多方向の議論をする等で考える機会を設けているか。 →学生からの報告および教師による発問をとおして、双方 向・多方向の議論をするなど、考える機会を可及的に多く 設けるようにしている。 (ウ) 履修指導(予習やフォローアップ) 予習の指示内容の適切さ、レポートの活用・添削 →学期全体の計画にもとづいて、毎回、次回の予習課題を提 示する。最も標準的な体系書(芦部信喜『憲法』)を教科書 とし、その全体をわがものとすること、加えて、憲法基本 判例を理解することを目指す。そして、その達成度を把握 すべく試問し、また、提出を求めたレポートにはコメント を付す。 イ 行政法 (ア)教育内容:法曹養成教育として相応しい内容の授業か。 →そのように考えている。 (イ)授業の仕方: 各回の授業で達成するべき目標を事前に明確に示しているか。 →シラバスで明示している。オリエンテーションや各授業の 最初の回で、当該授業における達成目標、関連授業との関 係を説明し、法科大学院のカリキュラム全体の中での、当 該授業の位置づけも示すようにしている。 ミニテスト等で理解度をチェックしながら進めているか →「行政法」では時間の余裕がないことから、質問により理 解度を確認することに留まっている。「行政法演習」では、 昨年度、中間試験を二度実施し、今年も同様に実施する予 定である。 映像等を利用しわかりやすい工夫をしているか →レジメに図を入れるように心がけている。授業でパワーポ イントを使った場合は、学生が再度閲覧できるようにして いる。 双方向・多方向の議論をする等で考える機会を設けているか →「行政法」では、受講者に適宜質問して、双方向性を出す ように心がけている。「行政法演習」は、演習という性格 上、より双方向多方向を意識した授業を行ってきたが、今 年度から問題演習を通じて、双方向・多方向の色彩をより 84 強めたいと考えている。 (ウ)履修指導(予習やフォローアップ) 予習の指示内容の適切さ、レポートの活用・添削 →「行政法」では、オリジナルのテキストを各回ごとに事前 配布し、それを熟読して授業に臨むことを要求し、きちん と理解できているかを、授業中の質問で確認している。昨 年度の「行政法演習」では、判例を読んでくることを予習 として求め、復習問題を出して、それについての解答を提 出させ、解説を配布していた。今年度からは、問題演習(昨 年の復習問題と解説)中心の授業展開に変更する予定であ る。 ウ 民法 (ア)教育内容:法曹養成教育として相応しい内容の授業か。 →そのように考えている。 (イ)授業の仕方: 各回の授業で達成するべき目標を事前に明確に示しているか。 →示している(シラバス及びメールでの随時の連絡)。 ミニテスト等で理解度をチェックしながら進めているか →起案等を作成させて添削したり、個別講評なども行って授 業を進めているものもある。 映像等を利用しわかりやすい工夫をしているか →独自のレジュメを配布する、パワーポイントを用いるなど。 独自の教材を開発し作成する(ケースシート・争点整理案)。 双方向・多方向の議論をする等で考える機会を設けているか →設けている。 (ウ)履修指導(予習やフォローアップ) 予習の指示内容はできるだけ具体的に行うようにしている。 添削について「集中コメント方式」を採用するなど。 授業後に質問待機時間を設ける。 学期末テストについて講評を行う(これは全科目共通)。 エ 商法 (ア)教育内容:法曹養成教育として相応しい内容の授業か。 →そのように考えている。 (イ)授業の仕方: 85 各回の授業で達成するべき目標を事前に明確に示しているか。 →示している(前の回の授業の最後の段階及び授業用レジュ メの冒頭及びシラバスによる説明)。 ミニテスト等で理解度をチェックしながら進めているか →そのようにしている(確認問題・復習問題等を進度に合わせ てオリジナルに作りメールにて院生に送り、解答がほぼ出 揃った段階で私から解説・解答を送り(以下、「集団コメン ト方式」とする)、必要に応じて授業中に再度検討しなおし たり、それでも理解が得られていない学生には個別指導等 をしている)。 映像等を利用しわかりやすい工夫をしているか →そのようにしている(特に、契約書類、定款、株券や株主優 待券その他必要に応じて現物を持参し、空理にならないよ う進めている)。 双方向・多方向の議論をする等で考える機会を設けているか →設けている(授業中毎回というわけにはいかないが、双方 向・多方向の議論ができるように配布レジュメや配布資料 中に工夫した説例等を作ってそれができるようにしてい る)。 (ウ)履修指導(予習やフォローアップ) 予習の指示内容の適切さ、レポートの活用・添削 →レジュメに授業内容等のポイントを示し、何を予習すべき かの強調点を赤い文字で書く等して具体的に説明し、的を 射た予習が可能なように図っている。 →オリジナルな確認問題・復習問題を授業の進行に合わせて 作成・配布し、先ず「集中コメント方式」による解説・解 答を行い、その反応からそれでも理解が得られていないよ うな場合には毎回ではないが授業中に再検討するようにし てフォローアップに努めている。 →質問等を受け付けるべくメールによる質疑を保証し、また、 必要に応じ、主にオフィスアワーを利用して対応している。 →学期末テストについては模範解答(解説付き)を配布し、ま た、個別の質問にも応え、理解の定着化に努めている。 オ 民事訴訟法 (ア)教育内容:法曹養成教育として相応しい内容の授業か。 86 →そのように考えている。一昨年までは実務家の教 員に参加していただいていたが、秋学期の演習に も参加していただくので、昨年度からは講師のみ の講義を行っている。 (イ)授業の仕方: 各回の授業で達成するべき目標を事前に明確に示しているか。 →示している(シラバスおよびメールによるレジュメでの連 絡) ミニテスト等で理解度をチェックしながら進めているか →小テストを毎回授業の最初に行い、自分の理解が足りない 点を確認させて講義を聴くようにさせている。 また、口頭またはメールによる質問を奨励しており、質問 がしやすい雰囲気を作るようにしている(質問はかなり提 出されている)。 映像等を利用しわかりやすい工夫をしているか →レジュメ・板書を利用し、事実関係や理論の説明をしてい る。 双方向・多方向の議論をする等で考える機会を設けているか →講義内容の中に毎回2ないし3の問題を設定し、受講生の 意見を求めている。 (ウ)履修指導(予習やフォローアップ) 予習の指示内容の適切さ、レポートの活用・添削 →レジュメをメールで送付することにより、予習の内容を指 示している。質問を奨励し、講義後またはメールでの質問 を受け、回答している。 学期末テストの講評を行っている。 カ 刑法 (ア)教育内容:法曹養成教育として相応しい内容の授業か。 →そのように考えている。 (イ)授業の仕方: 各回の授業で達成するべき目標を事前に明確に示しているか。 →示している(シラバス、教員作成の授業用ホームページに おける進行予定、各回の教員作成による補助教材ファイル 〔PDF 等〕による予告、さらにはメール連絡等により)。 ミニテスト等で理解度をチェックしながら進めているか 87 →初年度は行なったこともあるが、次年度以降は特に行なっ ていない。しかし、学生からの質問(口頭あるいはメールに よる)にはすべて答えており、さらには授業テキスト(木村 光江『演習刑法』)に付された事例問題の解答をメールで 送付してきた者には添削して送り返したりもした。もっと も、この方法は教員の労力を著しく消費させるものである ことから、教員が模範答案を作成してホームページ上に掲 示する方式に改めることとし、すでに実施している)。 映像等を利用しわかりやすい工夫をしているか →教室備え付けのプロジェクターを用いたり、手持ちのノー トパソコンを接続して図表を掲示したりして、受講者の視 覚に訴える手法も適宜採り入れている。 双方向・多方向の議論をする等で考える機会を設けているか →特に入門講義科目(「刑事法概論」「刑法総論」「刑法各 論」)では講述一方になりがちなので、受講者への質問な どを随時織り込むように心がけている。また、授業中に院 生から質問が発せられることもあり、当然それには答えて いるので、自然と双方向の授業になっていると言える。 (ウ)履修指導(予習やフォローアップ) 上記の繰り返しになるが、予習の指示内容はホームページ上 の授業予定、さらには各回用の補助教材(担当教員作成)上の参 考文献指示等により具体的に行っているつもりである。 また、講義後 30 分程度、さらにはメールでは随時、受講者か らの質問を受け付け、迅速に回答している。また、受講者が持 ち込んできた事例問題答案についても目を通し、添削指導を行 なっている。 成績評価の基礎となる期末試験に関しては、問題の解説と講 評を文書にして行ない、メールにて一斉送信している。また、 2006 年度の「刑法総論」「刑法各論」では、それぞれ F(不可) 評価を出した 4 名ずつ、計 8 名に対しては、当該答案を詳細に 添削し、それを画像ファイルにして当該院生に送信した。 キ 刑事訴訟法 (ア)教育内容:法曹養成教育として相応しい内容の授業か。 →そのように考えている。 (イ)授業の仕方: 88 各回の授業で達成するべき目標を事前に明確に示しているか。 →示している(シラバス、各回の教員作成による授業用レジ ュメや教材、メールでの連絡等による)。 ミニテスト等で理解度をチェックしながら進めているか →毎回の授業の際に、その回のテーマに関連する事例問題を 検討し、理解ができているかどうかをチェックしている。 映像等を利用しわかりやすい工夫をしているか →授業に関連するビデオや資料等を利活用している。 双方向・多方向の議論をする等で考える機会を設けているか →授業は基本的に双方向・多方向で進めており、受講者にで きるだけ発言を促している。 (ウ)履修指導(予習やフォローアップ) 予習の指示内容の適切さ、レポートの活用・添削 →予習の指示は、シラバス、毎回の授業後の指示、授業用レ ジュメ、メールでの連絡等により、遺漏なく行っている。 期末試験について、解説および講評を行っている。 (5) 適切な授業が、授業全体のどの程度まで浸透しているか。 8 割以上は適切な授業である、と考えている。 2.自己評価 B 3.改善計画 授業の水準をさらに高めたい。その鍵として、授業相互見学などを含む FD 活動の充実につとめる。 89 6-2-1 理論教育と実務教育との架橋を意識した授業が実施されているこ と。 1.現状 (1)司法制度論・臨床実務Ⅰを 1 年次から履修可能な構成として 2 年次 には法曹倫理を必修科目として置いており、1 年次の早い段階から、 「理 論と実務の架橋」を意識した取り組みを体験させ、3 年間で法曹養成の 実をあげることにつなげている。 (2)基礎理論の教材作成にあたり、ケースブックや具体的な事実を取り 上げた教材を採用していることから、法律基本科目においても事実の 理解から出発する工夫をしている。 (3)法律実務基礎科目等の実務的側面が強い科目においても理論面の検 証と進化を行っている。 例1)ローヤリングの授業の中で、民法の和解契約や、契約法の基本 理論(内田貴教授の「関係的契約理論」など)も取り扱っている。 例2)刑事訴訟実務基礎・民事訴訟実務基礎において、提訴から判決 まで等を一連の流れとして学生に理解させることとしている。 (4)1 つの授業を実務家教員と研究者教員で共同で担当している。 当法科大学院においては、研究者教員と実務家教員は、多くの科目で 実際に共同授業を持っているので(法律基本科目については、民法演 習Ⅰ・民法演習Ⅱ・公法総合演習・商法演習・民事訴訟法演習・刑法 演習・刑事訴訟法演習・民事法総合演習・刑事法総合演習・法務総合 演習)、「理論と実務を架橋」することは常に意識されている。特に 当法科大学院では、単純に、縦割りで「実務家教員のコマ」「研究者 教員のコマ」と割ってしまうのではなく、常時両者が出席して発言し、 共同して授業を行っているため、上記のような「理論と実務の架橋」 を意識しないと授業自体が成り立ちにくい構造となっており(そのよ うな工夫をした)、効果的である。そして、上記の科目は全て必修科 目であるから、「理論教育と実務教育の架橋を目指した授業」を学生 は、全員が履修する機会があることになる。 (5)さらに科目融合化によって、理論教育と実務教育の融合を試みてい る。 例)民事法総合演習は、民法(実務家)・商法(研究者)、刑事法総 合演習は、刑法(実務家・研究者)・刑事訴訟法(実務家・研究者) という構成にして、理論が実務に活かされる場面を学ぶ科目を設定し ている。その上、法務総合演習は、公法、私法、刑事法の研究者と実 務家が混合一体となって指導に当たっている。 (6)改善計画の実現等 ア 研究者教員が実務に触れる機会の設定については、研究者教員のうち 90 民事系で 1 名、刑事系で 1 名が弁護士登録をなし、元来の実務家教員 の紹介により具体的な紛争を共同で処理し、共同受任による訴訟への 参加(共同代理人、共同弁護人)をなすことで、研究者教員と実務家 教員の双方向での向上を実現している。生の事件そのものが、双方教 員の正に架橋の役割を果たしている。 イ 実務家教員が学術的研究をする機会の設定については、アの実践の中 で、個別の共同受任した事件の抱える学術的問題点を契機に、実務家 教員はいわゆる学際的な問題について研究を始める端緒ともなり、ま た当大学法学部「法学会」の発行する「法経論集」に研究論文や研究 ノートを発表する機会が保障され、現に掲載もされている。 ウ なお、理論と実務の融合を目指した研究会の設置等については、当法 科大学院独自の研究会ではないが、例えば名古屋高等裁判所刑事部長 官代行総括裁判官が主催する刑事実務研究会(当地域の裁判官、検察 官、弁護士、各大学法学部系の研究者で構成され、数十年の伝統を持 つ)に刑事系の教員は常時出席し、時として、発表者となり研鑚に努 めている。 (7)トライアル評価を踏まえた改善の努力 ア 先般のトライアル評価では『司法制度改革審議会意見書では、法科大 学院に理論教育と実務教育の架橋を図ることが期待されているが、こ の理論教育と実務教育とはどのようなことを意味し、それをどのよう に実現するのかについて、まずは各法科大学院が徹底的に議論をして、 教員団のコンセンサスを得て、これをカリキュラムや授業実施に反映 させなければならない。ところが、当該法科大学院においてこの議論 がどのように行われ、いかなるコンセンサスを得たのかが明らかでな い。法科大学院が社会からいかなる使命を与えられたかについて、今 後、徹底した議論が必要であろう』との厳しい御指摘・御批判をいた だいた。 イ 当法科大学院では、このような御指摘を非常に有益かつ意義ある ものと考え、その後以下のような努力を開始した。 (ア)教員による FD 合宿の開催と「架橋」に関する討論 2007 年 2 月 23 日から、1 泊 2 日で全教員による FD 合宿をな し、この「架橋」のあり方の問題をも含めて議論をなした206。 そして、新堂幸司院長(当時)のまとめでは「本来、理論は実 務を意識しては成り立たないはずである」とのコメントが為さ れ、その意味で「理論」の先に実務を見通すことの意義が指摘 されている207。「架橋」は決して容易に実現できるものではな 206 207 2006 年度愛知大学法科大学院 FD 合宿について(まとめ)(資料0-20-⑯)参照 新堂幸司院長(当時)のこの考え方は、愛知大学法科大学院での授業をもとに新規に発表された下記論 91 く、架橋法的知識の習熟と共に法曹としての責任感や倫理観、 さらには社会に貢献する自覚を育てることを目指すこととし た。 (イ)『少なくとも民事系科目においては、かかる方向付けが明確 になされ、理論教育と実務教育を架橋する意識が教員間で十分に 共有されているかにつき、疑問が残る。』、『研究者教員と実務 家教員とが授業に同席するというだけでは、真の意味での研究者 教員と実務家教員との「共同授業」とはいえないところ、かかる 「共同授業」と評価できるだけの実践がなされているかについて は、疑問が残るといわざるをえない。』、『「民事法総合演習Ⅰ・ Ⅱ」「刑事法総合演習」では、結果的に多くの回で、実務家養成 の観点からみても高度かつ良質の内容の教材が用いられている が、これも、組織的な協議・検討の成果というより、各回を担当 する個々の教員の工夫によるという色合いが濃いものとうかが われる。』との指摘を受けている。とりわけ、民事系科目の教員 間で、授業の企画について事前のミーティングを多く持つ等、架 橋のための連携を充実させるための努力が必要であるが、この点 についてはまだ改善が必要である。 (ウ)なお、公法系科目においては、3 年次の公法総合演習において、 これまで行政法分野については研究者教員のみにおいて授業を おこなってきたところ、行政法実務に明るい弁護士(堀口久弁護 士)の同席を得て授業を行うように本年度から授業内容を改善し た。両教員の間の事前準備や授業時のコメントのやりとりも大変 充実していることは授業評価アンケートにおける学生からの意 見などからも裏付けられているところであって、この点では従前 より「理論と実務の架橋」が進んでいる。 2.点検・評価 当法科大学院では「実務教育と理論教育の架橋を目指した授業」について、 当法科大学院のような小規模法科大学院として持てる能力、資質を活かして、 工夫をなして実現しようとしている。しかし、特に民事系科目についてはま 文に結実し、現れているものともいえる。なお、当該 FD 合宿に際しては事前に新堂院長から 2007 年 2 月 8 日付「FD活動における中長期的議論のために」(資料6-2-1)を寄せていただいて議論した。 (論文の表示) 新堂幸司「訴訟承継論よ、さようなら」新堂幸司ほか編『民事手続法と商事法務』(商事法務、2006 年)。 (同書より引用〔391 頁〕) 「民事訴訟法の研究から 10 年以上離れていた筆者が、縁あって、愛知大学法科大学院で、民事訴訟法の授 業をすることになった。」「院生の皆さんと直接議論する機会に恵まれた。その結果、とっくに忘れてし まっていた研究課題の一つを思い起こされ、それがきっかけで、本稿は日の目を見た。授業における緊張 感こそは、研究生命を維持するための不可欠のスパイスである。本稿の執筆中、このことを、これほど実 感したことは、これまでにない。大学院での授業が研究を進める大切なエンジンであることも、痛感した。」 92 だ実務と理論の架橋についての取り組みは必ずしも十分とは言えず、改善の 余地がある。 3.自己評定 C 4.改善計画 特に民事系科目についての努力が必要である。本来は、毎回の授業前に一定 時間をとってミーティングを持つことが望ましいが、複数教員間で必ずしも十 分な時間を取ることが困難である実情がある。そこで例えば次のようなことを 定例化する方法が考えられる。このような方法について民事系科目担当者にお いて協議して検討したい。 【案】実務と理論を架橋するための定例的な取組について。 民法演習ⅠⅡ・民事法総合演習・法務総合演習(のうち民事系)の各回 について、これまで研究者と実務家が同席していても必ずしもその「架橋」 という形の授業が十分行われていないのではないかという問題点がある。 そこで、これらの科目で研究者と実務家が同席するばあいには、必ず事前 に次のような作業を行うことを定例化してこれを改善したい。 1)実務家教員は、当該授業の 3 日前までに今回の問題に関し①理論上の 問題を含むと考えうる②実務上の取扱いの実情について説明するメー ルを研究者教員に送信する。 例)今回は抵当地上の山林を丸ごと伐採する行為について抵当権の目 的物の付加物の分離が問題となっているが、実務上は、抵当権実 行前に抵当権設定者が山林を丸ごと伐採することは刑法上の犯罪 に処されるおそれもあるし(刑法 242 条、235 条)通常は行わない であろう。しかし、もし実際に行ってしまった場合には、抵当目 的物の価値が低下するので、その後に行われる抵当権実行(不動 産競売開始決定)後の不動産評価が下がってしまい、被担保債権 が十分満足できない可能性がある。そこで、抵当権者としてはこ のような伐採をすることが事前に予測できるときは民事執行法上 の保全処分により伐採禁止の仮処分を行うことが考えられる。た だし、この場合の保全の必要性は実務上非常に厳格に解釈されて おり、発令に至ることは相当に困難である(東京地裁「執行法上 の保全処分」)。 2)研究者教員は、当該授業において①実務家教員からの上記1)の実務 上の取扱とその理由について披瀝を受けたのち、②研究者教員として 理論的な側面から意見を述べる。 93 6-2-2 臨床科目が適切に開設され実施されていること。 1.現状 (1)開設されている臨床科目の内容 ア 臨床教育の中心科目 (ア)臨床実務Ⅰ208 愛知県弁護士会法科大学院検討特別委員会から提案を受けた「人 権関係科目」を授業に取り入れたものである。愛知県弁護士会の 4 つの委員会(①子どもの権利特別委員会、②民事介入暴力対策特別 委員会、③犯罪被害者対策特別委員会、④高齢者障害者対策特別委 員会)に所属する弁護士 12 人に委嘱して、法律相談の現場への立ち 合い(できる限り子どもの権利相談・犯罪被害者相談等の特別相談 への立会いを依頼)及び法律相談の立ち会いと法律事務所訪問を行 う。12 名の弁護士には、全員に対して各分野(子どもの権利・民暴・ 犯罪被害者・高齢者障害者)に関する諸問題についての講義を行っ てもらう209。 (イ)臨床実務Ⅱ210 2007 年に新設した科目である。2 週間のエクスターンシップ を行う。 イ 外延科目 臨床教育の外延科目としてローヤリング・民事模擬裁判(2007 年度 から民事訴訟実務基礎Ⅱとして再編)・刑事模擬裁判(2007 年度から 刑事訴訟実務基礎Ⅱとして再編)も開講している。 ローヤリングでは、面接・相談・交渉に関するシミュレーションを 行っているが、その内容は以下の点で当地方及び全国のローヤリング教 育を牽引するものである。 (ア)当法科大学院でローヤリング科目を担当している教員(榎本修・ 深井靖博)が中心となって、当地方のローヤリング科目担当者で 協力して日本で初めてのロイヤリング(ローヤリング)の教科書 を作成した211。 (イ)当法科大学院での「ローヤリング」の授業内容を日本弁護士連 合会「日弁連・法科大学院におけるローヤリング科目に関する意 208 209 シラバスは「法科大学院ガイドブック」p98(資料0-5)。 2004 年~2006 年の臨床実務の授業概要については、「2004 年『臨床実務』概要」(資料10-3-③) 「2005 年『臨床実務』概要」(資料10-3-④)「2006 年『臨床実務』概要」(資料10-3-⑤)。 なお、犯罪被害者自助グループ代表青木聡子氏の講義の模様が 2004 年 12 月 1 日付日本経済新聞に掲載 されている(資料6-2-2-③)。 210 シラバスは「法科大学院ガイドブック」p100(資料0-5)。 211 名古屋ロイヤリング研究会『実務ロイヤリング講義』(民事法研究会、2004 年)である。 94 見交換会」においても積極的に紹介し、全国の法科大学院の「ロ ーヤリング」科目担当者に情報を提供し教育内容の普及・改善に 努力した212。 (ウ)更には当法科大学院での「ローヤリング」の授業内容を詳細に 判例タイムズにおいて発表し213、「ローヤリング」科目担当者以外 にもローヤリング科目の意義や重要性について広く知らせ、実務 と理論の架橋のために努力した。 ウ 実務研修施設について214 学校法人愛知大学が弁護士事務所(専任教員が代表者を務めている) に委嘱して、各種の実務研修を行っている。具体的には、①法律相談へ の立ち合い、②当番弁護士への同行、③ローヤリング・法文書作成の授 業を実際に法律事務所で行う等のほかに、④2007 年 4 月から専任教員 の立会いのもと市民への無料法律相談を行う(クリニック)授業も開始 した215(地域貢献という当法科大学院の養成しようとする法曹像にも合 致する)。これらの研修は、③の授業以外は、院生の任意・自主的な課 外研修という形を採っている。 2006 年 1 月 7 日 院生立会の法律相談 2006 年 8 月 12 日 愛知県弁護士会「子どもの権利相談」院生立会 2006 年 9 月 15 日 愛知県弁護士会・当番弁護士に院生同行 (碧南警察署) 2007 年1月 26 日 法科大学院「ローヤリング」「法文書作成」 授業を実務研修施設にて実施・あわせて法律事務所見学 (2)履修状況(履修人数と単位修得人数) (臨床実務Ⅰについて) 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 履修人数 24 名 21 名 17 名 24 名 単位修得 人数 24 名 21 名 17 名 未定 (秋学期科目) (臨床実務Ⅱについて) 2007 年に開設された科目であるが、2007 年度の履修者は 4 名である。 212 日本弁護士連合会「日弁連・法科大学院におけるローヤリング科目に関する意見交換会」 記録(資料 10-17)。 213 榎本修「実務基礎科目『ロイヤリング』の現状と課題」(判タ 1224 号 11 頁)(法科大学院シンポジウ ム―南山大学法科大学院◇理論と実務の架橋―実務教育のあり方を問う◇)(資料6-2-2-①)。 214 実務研修施設における院生の感想文については、実務研修施設感想文綴り(資料10-3-①)。 215 愛知大学法科大学院「無料法律相談実施のお知らせ」(資料6-2-2-②)。 95 (3)コーディネーターとして専任教員が責任を持って全体を配置し、各教 員の講義に当たっても、理論的な側面からの補足や適法性の確保をする ように心がけている。第 1 回には法廷傍聴とともに事務所訪問時等の注 意点についても十分講義するようにしている。 (4)守秘義務については誓約書を徴求している216。また、損害賠償保険にも 加入している。(法科大学院生教育研究賠償責任保険) (5)選択必修科目としている。 (6)受託担当者は、法科大学院の非常勤教員として委嘱し、説明会等も行 った。 2.点検・評価 (1)基本的な評価 臨床科目は基本的には適切に実施されている。派遣先(講師)も弁 護士会の各委員会の協力で上手くいっている。 (2)改善すべき点 ア 臨床実務Ⅱ(エクスターンシップ)の受講生が少ないが、この点 について開講時期の点等も含めて工夫が必要であるように思われる。 イ 実務研修施設で行っているクリニック的法律相談について、正課 の授業に位置づけて研究者教員などの参加もあるような形にして実 務と理論の架橋を目指していくなどの改善の余地がある。 3.自己評定 B 4.改善計画 2(2)アについては、次年度は春休みと夏休みの双方開講という方向につ いて検討したい。 2(2)イについては、まずは広報活動を強化し、本年度の実績を踏まえて 「臨床実務Ⅲ」のような形で正課とできないか検討してゆきたい。 なお、2004 年の文部科学省法科大学院等専門職大学院形成支援プログラ ムにおいて、当法科大学院では「地域貢献型クリニック授業プログラム」 を立案して申請したが他にも同種の取り組みが行われていること等を理 由として残念ながら採択されるには至らなかった。当法科大学院では、 その後も大学独自の予算で地域貢献型のクリニック授業を行っている (これが上記の「実務研修施設での無料法律相談事業」である)。2007 年の文部科学省専門職大学院等教育推進プログラムでは、上記のような 216 誓約書や院生の感想文等は「臨床実務資料集」(資料10-3-①②) 96 地域貢献の精神を更に発展させ、「犯罪被害者支援による地域貢献プロ グラム」を立案して 採択された 217。当法科 大学院では、今後、 当該プロ グラムの実施によって犯罪被害者の援助という形で院生が臨床教育を受 ける機会を更に拡充したいと考えている。 217 資料6-2-2-④「平成 19 年度専門職大学院等教育推進プログラム申請書」及び資料6-2-2- ④採択に関する文部科学省の発表資料(資料6-2-2-⑤) 97 7-1-1 法曹に必要なマインドとスキルを養成する教育内容が、開設科目 等の中で適切に計画され、適切に実施されていること。 1.現状 (1)当法科大学院で養成を目指す法曹に必要と考えるスキルやマインドは、 基本的には、日弁連法務研究財団の「2 つのマインド・7 つのスキル」と 共通する。 (2)これらの資質を養成するためのカリキュラムとその実践 ア カリキュラム全体は、当法科大学院で養成しようとしている 法曹像(地域貢献型のホームローヤー型及びビジネスローヤー型)と 適合している。これを示すために履修モデルも作成して院生に示して いる。 履修モデル①【地域社会に貢献するホーム・ローヤー型】 地域社会に貢献するホーム・ローヤー型では、展開・先端科目の 中で、民事関係科目を中心にして履修することができる。 履修モデル②【地域社会に貢献するビジネス・ローヤー型】 地域社会に貢献するビジネス・ローヤー型では、展開・先端科目 の中で、国際関係科目に重点を置いて履修することが望ましい。なお、 国内法務を目指すものは、展開・先端科目の中で、民事関係科目に重 点を置きながら、知的財産法、租税法、経済法、労働法などを履修す るとよいであろう。 イ 法的知識以外の法曹に必要な能力を涵養することを目的とした、独 立した科目を設けている(例えば、法文書作成・法情報調査・民事訴 訟実務基礎〔事実認定についての科目〕・法曹倫理・臨床実務など)。 ウ 法曹に必要な資質・能力の養成のために、より効果的な授業のあり 方を検討し、工夫している(例えば、議論の能力、コミュニケーショ ン能力、創造的批判的検討能力の養成を目的として、授業を双方向・ 多方向的に運営する。など)。 エ 各マインドとスキルに照らして具体例を挙げれば、以下のとおりで ある。 (ア)法曹としての使命・責任の自覚 a 犯罪被害者の話を直接聞く機会を設けて、法曹が果たすことを 期待されている役割を理解する(臨床実務Ⅰ)。 b 司法サービス提供の現場(裁判所・弁護士会館・法律相談セン ター)や法律事務所を直接見学する機会を設けて、法曹が果た すことを期待されている役割を理解する(臨床実務Ⅰ・Ⅱ)。 98 c 国際社会での法曹のサービスの利用者(中国で企業実務を行っ ている経営者)の話を直接聞く機会を設けて、国際社会におい て法曹が果たすことを期待されている役割を理解する(現代中 国法)。 d 司法制度の概要・問題点について、講義ないし討議することに よって、司法制度改革の中で法曹に新たに期待される役割につ いて理解する(司法制度論:この科目は法曹の機能や役割を主 たるテーマの一つとしている)。 e 入学後のオリエンテーション・キャンプの中で、法曹の実際の 活動について実務家教員と交流する機会を設けている。 f クリニックやエクスターンシップで法曹が役割を果たす現場 を体験させる機会を設けている(臨床実務Ⅰ・Ⅱ)。 g 「臨床実務Ⅰ」において、法曹としての使命・責任の自覚を涵 養するという観点に配慮して、例えば、民暴被害者側の代理人 (弁護士)の活動内容について検討する授業を行った。 h 「臨床実務Ⅰ」は、1 年生から履修できるカリキュラムとして おり、チュータ・実務家教員などとの多数の接触も含めて早い 段階から多数の実務家と接する機会が設けられている。 (イ)法曹倫理 a 「国民のための法曹像、法曹の埃と生き甲斐」法曹の基本的責 務や弁護士として実践しなければならない責務について、具体 的事例を検討することを通じて、法曹倫理の内容を深く理解す ることとしている。 b 授業担当者(弁護士:実務家教員)は、『法曹倫理』という科 目が単なる『処世術を身につける科目』(法曹としてしてはなら ないことを学び、懲戒にならないようにする等)に堕することが ないよう心がけている。とりわけ、全ての学生が『自分はどのよ うな法曹になるのか』『依頼者や関係者のために、法曹としてど のような仕事をするのか、できるのか』という、法曹としてのあ り方・生き方を考える場にするよう意を用いている。 c 上記のような目的を実現するために、毎回、具体的な事例を提 起して、いろいろな意見を出してもらって討論しながら、しっか り考えてもらうことを心がけている。 d あわせて、裁判官経験教員、派遣現職検察官教員から裁判官の 倫理、検察官の倫理について特化した講義日程も用意し、弁護士 のみの法曹倫理とならないように配慮している。 (ウ)問題解決能力 a 2・3 年次の演習科目、臨床実務やローヤリングなどの科目で、 99 何が問題か、その問題を解決するためにはどのような検討視点 や選択肢があるか、どのような方法を選択することが妥当か、 その選択肢に基づいて手続を進めるためにはどのようなスキル や作業が必要か等々を検討することによって、問題解決能力の 内容を理解する。 b 基礎法学のみならず、法律基本科目の必修科目、ローヤリン グなどの科目を通じて、同一事実で異なる視点から授業を行う (例えば、ローヤリングの授業において、示談交渉や契約取引交 渉について 2 つのグループに分かれ、2 人の教員がそれぞれに ついて交渉を行うなど)。これによって、法曹は多様な視点か ら事実を捉えることが必要であることを理解させる。 (エ)法的知識(基礎的法的知識・専門的法的知識・法情報調査) a 「法情報調査」の授業を必修科目として設けており、その授業 の中で (a)具体的事実や問題につき関連する国内法令・判例・文献を網 羅的に抽出する能力 (b)国内の諸法令について適用例(裁判例・行政解釈)や制定背 景を調査する能力 (c)インターネット等の情報源やオンライン・データベースから 法情報調査する能力を習得する機会を設けている。 (オ)事実調査・事実認定能力 a 民事訴訟法・民事訴訟法演習・刑事訴訟法・刑事訴訟法演習の 科目の中で、事実(要件事実・構成要件事実等)と証拠との関 係、証拠の種類・証明の程度・証拠能力等について理解する。 b 「民事訴訟実務基礎」の中で、事例研究等を行い、主張や事 実を抽出した上で事実と証拠の結びつきを整理する訓練を行っ ている。 c 民事訴訟実務基礎講義中で行われる「民事模擬裁判」、刑事訴 訟実務基礎中で行われる「刑事模擬裁判」の中で、主張や事実・ 証拠の整理をもとに、立証計画(尋問事項等)を立てる等のよ り実践的な訓練を行う。 d 証拠の収集方法のあらましを、ローヤリングで整理して教えて いる(第 4 回・第 5 回)。 (カ)法的分析・推論能力 a 民事訴訟法・民事訴訟法演習・刑事訴訟法・刑事訴訟法演習の 科目の中で、事実(要件事実・構成要件事実等)と証拠との関 係、証拠の種類・証明の程度・証拠能力等について理解する。 b 民法演習・刑法演習などの各演習科目において、事実の記述か 100 ら、法律的に意味のある事実をとりあげて、ケース・メソッド やプロブレム・メソッドを素材として、双方向・多方向的授業 を行って法的分析力・推論能力を養成する。 (キ)創造的・批判的検討能力 a 法律基本科目において、判例・通説だけでなく、それに批判的 な視点からの検討を常に行うようにする。 b 当法科大学院の特色である中国の法律関係について検討する 機会を持つことで、現行の国内法制度を相対的なものと して捉える機会を提供している(現代中国法・法律中国語など)。 c 「臨床実務」という科目の中で、現行法や現在の裁判例では 必ずしも十分に対処できない問題についても検討する機会を持 つ(例えば、犯罪被害者救済・高齢者障害者問題・児童虐待)。 (ク)法的議論・表現・説得能力 a 文書作成のための科目として法文書作成という授業を開設し ている。 b 民法演習Ⅰ・Ⅱ、民事法総合演習、刑事法総合演習などの演習 科目の中で、実際に文書を作成したり当該文書についてコメン トを受ける(添削・口頭・個別指導)などの機会を設けている。 c 口頭の議論・表現能力を養成するために、各授業における双 方向・多方向の議論、ソクラティックメソッドの実施、ローヤ リング授業の中での口頭の交渉シミュレーション授業、民事訴 訟実務基礎Ⅱ・刑事訴訟実務基礎Ⅱなどの科目において口頭の 表現能力を実際の手続に応じてシミュレーションする等を行っ ている。 d 民法演習Ⅰでの実践例:発表者を 1 名決めて、当該テーマに ついて他の学生には予習させず、発表者が「他の人が全く 1 か らこのテーマについて勉強する」という前提で分かりやすく説 明させるという作業を行う(多方向での質問・意見のあとで、 教員は補足・補充をしてゆく)。 e 民法演習Ⅱでの実践例:全員が答案を書いてきて他人の答案を 検討してくる。当日指名された者は、他の人の答案(文書)の ①良いところ、自分も取り入れたいと思ったところ、②ここを 改めた方が良いところをそれぞれ指摘する。そのコメントに教 員が補足・補充、訂正をしてゆく。 (ケ)コミュニケーション能力 a ローヤリングの授業の中で、とりわけ初回面談の基本事項を重 点的に学習する中で、カウンセリングの技法も取り入れて、オ ープン・クエスチョンから面談を始めることの重要性などコミ 101 ュニケーション能力を養成することに努めている。 b 「臨床実務」の授業の中で、実際の法律相談の現場に触れる ことで、コミュニケーションの難しさや課題を認識する機会を 設けている。 (3)カリキュラム外での展開 ア 入学時のオリエンテーション・キャンプなどでも法曹の話を聞く機 会を設けている。 イ チュータとして多数の現役の法曹を配置し、学生が法曹実務のあり 方や考え方に触れる機会を設定している。 (4)組織的な取り組み 自己評価・FD 委員会などを通じてできるだけ組織的な取り組みとなる ように心がけている。 2.点検・評価 上記1.(3)カリキュラム外での展開が、逆に徐々に院内の教育内容に 影響を与えており、法曹に必要なマインドとスキル養成は、当法科大学院の ような小規模法科大学院においては、教員、職員、院生の人間関係の重層的 かつ亀の甲羅的緊密さにより、徐々に成果を上げていくことができる。 3.自己評定 B 4.改善計画 上記1.(3)カリキュラム外での展開、(4)組織的な取り組みが、実 質的な改善計画となっている。 102 8-1-1 授業等の教育の実施や学習に必要な施設・設備が適切に確保・整 備されていること。 1.現状 (1)車道校舎本館は、最新設備の導入により、講義や演習はもちろんのこ と、自学自習で最大の成果が期待できる設計になっている218。 (2)本館 5 階に一般図書館とは別に法科大学院専用の図書スペース(法科 大学院図書室)を設けている。法科大学院図書室は学生の教育・学習面 での利便性を考慮し、平日・休日を問わず 24 時間利用することができる ようにしている。法科大学院図書室への出入り、休日の本館全体への出 入りについては、ICカードによる出入管理を行う(法科大学院の学生 および教職員のみに限定)ことで、学生の適切な学習環境を確保できる ように安全面にも配慮している219。 (3)法科大学院図書室内には一人1席のキャレルデスク(全部で 149 席、 専用)および個人ロッカーが設置され、キャレルデスクには、情報コン セントおよび LAN ケーブルが備えられており、勉学の拠点になっている220。 さらに、法科大学院図書室内にはコピー機、スキャナ、3 台のネットワー クプリンタ、大型パンチ、裁断機等も設置されており、学生が課題レポ ートやレジュメを作成する際に役立っている221。 (4)学生には大学から一人1台のノート型パソコンを貸与しており、学内 どこでも、常時利用できる。授業にパソコンを持ち込むことも可能であ る。各教室の机にも電源があり、有線・無線 LAN と接続し、どこからで も様々な情報を入手して予習、復習をすることができる222。 (5)本館 7 階には法廷教室が設置されており、臨場感のある模擬裁判が体 験できる223。なお、法廷教室には、模擬裁判の状況を収録できるシステム を設置しており、学生の復習用にも役立っている。 (6)講義室・演習室ともに学生が資料を参照しつつ、授業を受け、また議 論できる手元スペースを確保できるようにクラス定員以上の座席数を確 保し、ゆとりを持たせている。講義室・演習室は学部との共用であるが、 本館7階(4 教室:K702、K703、K704、K705)を法科大学院の優先教室と して位置づけているため、学部との共用においても授業実施の上で問題 は生じない(ただし、科目によっては他のフロアの教室を使用している ものもある)。なお、K703、K704、K705 の各講義室は、放射状に机を配 218 219 220 221 222 223 車道キャンパスガイド(資料8-1-1-①) 施設・設備、学習環境(資料8-1-1-②) 施設・設備、学習環境(資料8-1-1-②) 車道校舎本館1、5、6階平面図(資料8-1-1-⑤) 施設・設備、学習環境(資料8-1-1-②) 施設・設備、学習環境(資料8-1-1-②) 103 置し、学生の集中度を上げる工夫をしている。 (7)講義室はすべて、ホワイトボード、マイク、OHC、パソコンケーブル、 ビデオデッキ、MD・CD・DVD・LD・カセットの各デッキ、外部入力端子、 スクリーンが配置されている224。 (8)講義内容について、全員が共通の問題認識を持つこと、共通理解とな ることが必要と考えている。 そのためには、双方向・多方向の講義を実践することが大切であり、 教室の広さが弊害とならない様、複数のハンドマイクを使用したり、又、 法廷教室ではスタンドマイクも設置している。 (9)学生が授業以外にグループ学習、議論等に使用できるよう、ミーティ ングルームやゼミ室(K1002)を常時開放している225。また、これ以外に も授業で使用していない時間帯については、事前に届け出れば、講義室・ 演習室を使用することができる。 (10)ミーティングルームは全部で 7 部屋あるため、その 2 室を学生の食 事・休憩用としている。また、各階に学生ラウンジがあり、そこでも食 事を取ったり、休憩したりすることができる226。 (11)ミーティングルームは教員の研究室が設置されている 6 階にあり、 学生と教員がコミュニケーションをとるスペースとしても利用されてい る227。 (12)学生の教室使用の届出窓口、機器の故障・備品の補充の受付窓口(車 道教学課)や、情報インフラ利用に対するヘルプデスク(情報メディア センター)を設け、サポートしている。 (13)学生の施設・設備への要望については、(12)記載のサポート体 制を踏まえ、教学担当の教員が具体的には対応しているのが現状である。 しかし、本学は少人数の法科大学院であり、月 1 回の教授会・普段の教 員間のメール等を通じて問題の共通認識・方針の決定をはかっている。 2.点検・評価 (1)学生が授業以外にグループ学習、議論等に使用できるよう、特定のミ ーティングルームやゼミ室を常時開放したり、これ以外にも授業で使用 していない時間帯については、事前に届け出れば、講義室・演習室を使 用することができるようにしている。また、教室階の通路スペースには、 複数のオープンデッキ型のテーブルとイスを配置しているが、このスペ ースも小グループのゼミ・議論等に活用されている。しかし、年次進行 等による人員の増加、会計大学院の開校等により、スペースが手狭にな 224 225 226 227 車道校舎施設配備一覧表(資料8-1-1-③) 法科大学院院生の施設利用について(資料8-1-1-④) 法科大学院院生の施設利用について(資料8-1-1-④) 車道校舎本館1、5、6階平面図(資料8-1-1-⑤) 104 ってきている。 (2)また、法科大学院を修了した学生を対象に研究生として引き続き大学 の諸施設を利用できる制度を設けているが、今後は研究生に対しても一 人1席のキャレルデスクを確保することは困難である。 3.自己評定 A 4.改善計画 (1)前記1(13)に関して、今後、対応するべき課題の増加が発生する ことがあれば、教学担当の増加の他、職務分担の明確化も検討したい。 (2)前記2(2)に関して、フロアーガイド228に記載されたスペースの転用 などの有効活用を検討してゆきたい。 (3)校舎内の食堂(カフェラウンジ)の営業時間を拡充し、学生の施設利 用の便宜をはかるため、委託業者との交渉を検討したい。 228 車道キャンパスガイド(資料8-1-1-①) 105 8-1-2 教育及び学習の上で必要な図書・情報源及びその利用環境が整備 されていること。 1.現状 (1)書籍の整備・充実 ア ハード面として、車道校舎 5 階に、24 時間利用可能な法科大学院専用 図書室を設け、図書室内に一人1席のキャレルデスクを設けており、院 生は場所を移動することなく、必要な時に必要なだけ法情報を検索・閲 覧利用することができる。また車道校舎 4 階にある車道図書館の図書も 利用可能であり、ここには司書が配置され法科大学院図書室も兼務して、 レファレンスサービスも行っている。 イ 研究・学習に必要となる法令、裁判例、法律雑誌、法情報関連文献な どの法情報を、紙媒体および電子媒体で提供できるように充実させてい る。特に判例集などは、4 階の車道図書館に紙媒体での冊子体が配備し てあり原本に触れることが可能となっているが、院生の学習効率の観点 からは電子媒体での提供が好ましいと考え、LEX/DB インターネットとい ったオンラインデータベースで学習の用に供することに重点を置いて いる。 ウ 研究・学習に必要な書籍類は、購入希望リクエストを図書館に出すこ とで購入するシステムが確立している。院生の学年毎に図書委員がおり、 この図書委員経由もしくは院生個別に、購入希望図書を申し出ることが できる。こうした購入希望は、授業担当教員の了承を得て、ほぼ例外な く購入されており、図書館職員が書籍配架などが速やかに行えるように 対応している。 エ また図書の整備について、法科大学院図書予算として年間購入予算を あらかじめ確保している。 (2)法情報データベースの整備・充実 ア 院生全員に一人1台のノートパソコンを貸与し、院生は各自のキャレ ルでアクセス可能な無線および有線 LAN により 24 時間自由に、また自 宅にパソコンを持ち帰った環境でも、法情報データベース(TKC 社のロ ー・ライブラリー等)にアクセスできる環境を提供している。このノー トパソコンには予め、法律用語辞典や広辞苑といった電子辞書類がイン ストールされており、院生は学習に役立てている。 イ 法科大学院図書室内に検索用パソコンを設置し、学内ネットワーク経 由により、最高裁判所判例解説、ジュリストといったデータベースにア クセスできる環境を整えている。 ウ 大学図書館の Web ページ経由で、官報、日経テレコン 21、聞蔵 II(朝 日新聞 DNA)といったオンラインデータベースにアクセス可能であり、併 106 せて、Westlaw、Juris といった海外法律データベースにアクセスできる 環境を整えている。 2.点検・評価 (1)十分な図書・情報源が確保されているか 本学車道校舎 5 階の法科大学院専用図書室および同 4 階の車道図書館で もって、十分な図書が確保されており、更に、院生は貸与された各自のノ ートパソコンを使い、オンライン法情報検索が可能である。よって、十分 確保されていると考えている。 (2)アクセス環境 院生は与えられた教学環境を十分活用して学習に役立てている。24 時間 利用可能な法科大学院専用図書室内には、院生一人1席のキャレルデスク を設けており、院生は場所を移動することなく、必要な時に必要なだけ法 情報を検索・閲覧利用することができる。とくに、院生一人一人に貸与さ れたノートパソコンを使った法情報検索の場合も、各院生に 1ID を与えて おり、需要に応じた情報供給を行えるようにしている。 また、法情報の利用方法は、法情報調査といった講義で習得することと なっており、ノートパソコンのトラブル時等は車道校舎 3 階のヘルプデス クが対応している。 よって、情報源へのアクセス環境も整っていると考えている。 (3)整備体制 教育及び学習の上で必要な図書・情報源及びその利用環境の確保・整備 のための体制はできている。特に、法科大学院図書室の収蔵については、 予算の範囲内で院生や教員の要望を聞き、法科大学院として相応しい図書 室となるように多方面にわたる書籍を収蔵してきた。しかしながら、図書 予算には限度があり充実した文献収集が行えないという問題があること を認識している。 3.自己評定 A 4.改善計画 (1)書籍の整備・充実 ア 収蔵図書の充実は、利用者である院生や教員の意見をこれまで以上に 積極的に反映させ、限られた予算を効率的に配分して、図書館職員と力 を合わせて整備してゆきたい。 イ 少ない予算内で如何に効率よく図書を収蔵するかという問題を解決す るために、歳出のカットを常に考えており、利用頻度の少ない法律雑誌 107 類は購読を見直す、使われないデータベースは契約を見直すなどの努力 をし、一方で法科大学院図書室として収蔵すべき書籍類は購入するよう に努力したい。 ウ 当法科大学院図書室では 100 名以上の院生が日夜勉強をしているが、 その座席配置の調整や静粛性の確保などは、院生の自治組織である院生 協議会に任せ、自主的に勉強しやすい環境を維持するようにさせている。 学習環境の維持向上は、基本的には利用者の自治に委ね、必要な場合に は大学や教員が関与するという姿勢を貫きたいと考えている。 (2)法情報データベースの整備・充実 ア 法情報データベースは新しい商品開発が積極的に行われているので、 院生の意見を聞きながら常に最新で秀逸なデータベースが利用できる環 境を提供してゆきたい。 イ オンライン法情報データベースの積極的な導入を進めていき、それら を院生が学習にうまく活用できるような教育を行い、効率的な学習が行 えるようにしたい。 ウ 今後さらなる学習環境の効率化を考えて、LMS(Leaning Management System)を使った e-Learing のあり方も検討している。また、院生と教員 がそれぞれ同じノートパソコンを使用して情報共有が行えるという環境 の利点をもっと生かして法学教育を行う手法を駆使できるように努力し ていきたいと考えている。 108 8-2-1 学生が学習に集中できるように支援する体制が備わっていること。 1.現状 (1)経済的困窮者に対する支援体制としては、学費負担を軽減できるよう、 日本学生支援機構の他に本学独自の複数の奨学金制度を整えており229、多 くの学生が利用している230。 (2)セクハラに関しては、学生・教職員一人ひとりの人権が尊重され、誰 もが安心できる就学就労環境を築くために、「セクシュアル・ハラスメ ント防止ガイドライン」を定め(公式ホームページ、法科大学院ガイド ブック231等に掲載)、相談員・相談窓口を設けて対応している232。 (3)有職者に対する支援体制としては、社会経験を重視する入学者選抜(特 別入試)を行っている。 (4)身体障害者に対する支援体制としては、施設全体をバリアフリー化す るとともに、車椅子使用者が利用できる専用机を設置したり(全教室)、 身体障害者が利用できる多目的トイレを設置している(全フロア)。 (5)これら支援体制に関する学生からの指摘や改善要求については、毎年 初めに全学生に対してアンケート調査を行い、できる限り改善に役立て ている233他、年間を通じて学生からの要望(「院生要望書」)を随時受け 付けており、要望に対する対応内容は書面で回答している234。また、2006 年度 11 月から、法科大学院図書室に目安箱を設け、匿名での意見・要望 を受け付けることにより、よりよい学習環境に寄与している235。 (6)学生の要望や改善要求について、院内の職務分担の関係で教学担当が 窓口として対応しているため、一部の教員の負担にみえるかもしれない が、月1回の定例教授会(必要時においては臨時教授会も開催する)又 は教員間のメールのやりとりで組織的に対応している。 2.点検・評価 学生が学習に集中できるように、経済面、生活面、施設面にわたり学生が 満足できる環境整備ができていると評価しているが、今後も定期的にアンケ ート調査を実施するとともに、学生からの要望を随時受け付けるシステムを 継続していく必要があると考えている。 229 奨学金制度(資料8-2-1-①)、奨学金のしおり(2007 年度)(資料8-2-1-②) 奨学金利用状況(資料8-2-1-③) 231 資料0-5 232 セクシュアル・ハラスメント防止ガイドライン(資料8-2-1-④) 233 アンケート(年度初)(資料8-2-1-⑤) 234 院生要望書(資料8-2-1-⑥)、要望書の提出数は 2004 年度 11 件、2005 年度 11 件、2006 年度 2 件、2007 年度 0 件。実際の要望の内容は資料10-7を参照 235 目安箱回答書(資料4-1-2) 230 109 3.自己評定 A 4.改善計画 前記1(6)に関し、相談担当員の配備のみでなく、メールの活用・個別 の面談の実施など多数な体制を組織として充実したい。 110 8-2-2 学生が学習方法や進路選択等につき適切にアドバイスを受けられ る体制があり、有効に機能していること。 1.現状 (1)適切にアドバイスを受けることのできる体制を整備していること ア 機会の付与 (ア)若手弁護士をチュータとして、学生へのアドバイスを受ける機 会を確保している。毎学期 10 名前後のチュータが選任され、講義 形式のクラスのほかに質問・相談専用のクラスも設けている。 (イ)オフィスアワー236を設けて、院生に告知し実施している。なお、オ フィスアワーは授業スケジュールと抵触しないよう、正規授業の時 間割が確定後に配分している。 (ウ)小規模校であるため、オフィスアワー以外の時間にも教員のとこ ろに気軽に学生が訪ねてくる雰囲気がある。 (エ)院生全員が無償で同一のパソコンを貸与されており、全教員・チ ュータのメールアドレスが予めインストールされているので、簡単 にメールで質問をしやすい。 (オ)学内の当法科大学院専用電子掲示板237を利用することもできる。 (カ)教員によっては、各院生に対する答案の個別講評の際にあわせて 個別の相談に乗ること等も行っている。 イ 学生への告知・周知 (ア)入学時にオリエンテーションキャンプを行い、学習方法や進路選 択等の相談の窓口、相談の仕方、チュータなどの制度の紹介を行っ ている238。 チュータ制度は、司法試験対策とは位置づけていない。学生の勉 学のレベル・科目間の得意不得意などのバラつきのある現状で一定 のレベルの正規授業を補充するものとして、任意に取得できる制度 である。この制度を活用することによって、個々の学生の不得意科 目の解消、並びに司法試験に合格して間のないチュータよりそれぞ れの学習方法の体験談・法曹会の新人としての熱意・実務法曹の現 実等を修得してもらいたいと考えている。 (イ)5 階の法科大学院生専用掲示板において、オフィスアワーなどの 相談窓口について掲示している。 (ウ)オフィスアワーは特定の科目の特定の質問をはなれ、対象となる 教員の思想・哲学・物の見方等、今後実務家をめざしあるいは悩む 236 237 238 2007 年度春学期法科大学院オフィス・アワー(資料8-2-2-①) 資料8-2-2-② オリエンテーション資料(資料0-6-①) 111 学生の人生の師との面談の場として、重要な制度と考えられる。更 なる活用がなされる様、教員はよりオープンに対応し、学生にも活 用をすすめたい。 ウ 体制の多様性 (ア)メール・オフィスアワーを利用した個別面談・電子掲示板を利用 した方法など多様な体制を整備している。 (イ)各教員の毎週の教科指導時間の設定(オフィスアワー)、定期試 験後の公表、チュータによる相談質問クラスなどで指導されている。 エ アドバイスを受けやすい環境の整備 非常に少人数であることを活かして、オフィスアワーと別のアプロ ーチの方法として各教員は、日頃からできるだけ院生との接触を密に するように心がけており、場合によっては、積極的に教員側から院生 に連絡を取って話す機会を設けること等も行っている。 (2)アドバイスを受けられる体制が有効に機能していること 多様な相談窓口の設置に対し、学生は自らそれぞれ窓口を選択し、 一定程度利用している。 2.点検・評価 学生に対するアドバイス体制は相当程度充実していると思われるが、活発 に利用されているとまでは言えないように思われる。また、少人数であるこ ともあってクラス担任制は設けていない。 3.自己評定 B 4.改善計画 制度の構築と、現実の活用とは別のものである。実態にあわなければ制度 を改善する必要もあり、又、そのためにも、活用をうながしたい。その一環 としてプライバシーを尊重しつつ、どのような相談があったかを学生にも公 開することも検討したい。 112 8-2-3 学生が適切に精神面のカウンセリングを受けることのできる体制 があり、有効に機能していること 1.現状 (1)本学では、学生が精神面のカウンセリングを受けることができるよう に各校舎に「学生相談室」を設置しており、車道校舎学生相談室にはカ ウンセラー(臨床心理士)、本学心理学専攻教員、精神科医の 3 名の相 談員を配置し、週に 4 日開室している。 (2)学生相談室の利用方法については、入学時のオリエンテーションで「学 生相談室のごあんない」239を配付して説明する他、公式ホームページへの 掲載240、学生向け掲示241によって学部生および院生に周知している。利用 件数は、2004 年度は利用者 0 名だったところが、2005 年度には 37 件、 2006 年度には 82 件と増えている242。 (3)また、2005 年度より、学生相談室の紹介も兼ねて、こころの病やスト レス対処法をテーマに「ティーアワー」を年2回開催し、精神の健康に ついての質問に気軽に応じる機会を設ける等、学生、とくに法科大学院 院生が相談しやすい体制づくりに努めている243。 (4)教授会にて、学生相談室のカウンセラーから、学生が受けている精神 的プレッシャーの内容などについて定期的に報告してもらい、カウンセ ラーと教員とが意見交換を行う機会を設けている244。 2.点検・評価 学生によるカウンセリング体制の利用状況は増加しつつあり、利用方法 に関してはほぼ周知されているものと考える245。また、学生の抱える問題状 況を、カウンセラーと教員とが共有できる体制も整いつつある。もっとも、 「利用回数の増加=体制の充実」とは言えないので、カウンセラーと教員 との協力体制を一層強化し、学生が気軽に利用できる体制をより充実させ ていく必要があると考える。 3.自己評定 B 239 240 241 242 243 244 資料8-2-3-① 資料8-2-3-② 資料8-2-3-③ 学生相談室利用状況・ティーアワー参加状況(資料8-2-3-⑧) 資料8-2-3-④⑤⑥⑦⑧⑨⑩ 2006 年度第 4 回教授会議事録(資料10-2-③)、2007 年度第 3 回教授会議事録(資料10-2- ④)参照 245 学生相談室利用状況・ティーアワー参加状況(資料8-2-3-⑧) 113 4.改善計画 従来より、教授会にてカウンセラーと教員との意見交換をすでに定期的に 行なってきたところであり、今年度も 2007 年 5 月 9 日(水)開催の第 3 回法 務研究科教授会の冒頭でその時間が持たれ246、教員側からも授業中の指導方法 等に関し、カウンセラーのアドバイスを求める質問が活発になされた。この ように院生の精神的サポートに関する教員側の意識にもかなりの改善が見ら れると言ってよいが、他方で上述のような相談人数の増加は、単に院生数の 増加だけで説明のつく問題なのかどうかを含め、さらに原因を分析する必要 があろう。新司法試験という重圧が先に控えていることも背景をなしている かもしれないが、他方では身近な問題として、各教員によって課される課題 の量が多く、それを処理することで1日が終わるとも、ある院生が嘆くよう な、ゆとりのない教育による過労としての疲労も精神面に影響していると言 えなくもない。したがって、単にカウンセリングに関するサポート体制をさ らに充実させるだけにとどめることなく、院生の心身の不調の原因に立ち返 った検討と改善策を図ることが急務ではないかと思われる。そのためには、 教授会等を通じた各教員のさらなる啓発と、受講者の声(自分勝手な要望等、 不適切なものは当然排除してしかるべきであるが)にも素直に耳を傾ける日 頃の態度の養成を、授業の相互参観等、他の制度をも活用して図るべきでは ないかと思われるのである。 246 資料10-2-④参照 114 8-2-4 国際性の涵養に配慮した取り組みがなされていること。 1.現状 (1) 次のように、数多くの国際関係科目を開講している247。 ア 国際関係科目の基本となる「国際関係法(公法系)Ⅰ・Ⅱ」及び「国際 関係法(私法系)Ⅰ・Ⅱ」の両科目を開講している(展開・先端科目)。 イ 本学創立の由来並びに中国の目覚ましい経済発展及びこの地方との密接 なつながりに鑑み、「現代中国法」(展開・先端科目)、「法律中国語 Ⅰ・Ⅱ」(基礎法学・隣接科目)など中国法及び中国語関係科目を開講 している。 ウ 英米法の重要性に配慮し、「英米法Ⅰ・Ⅱ」(展開・先端科目)、「法 律英語Ⅰ・Ⅱ」(基礎法学・隣接科目)など英米法及び英語関係科目を 開講している。 エ その他、実務基礎科目として「国際取引契約」を、また、展開・先端科 目として「EU法」、「アジア会社法」及び「外国人と法」を開講して いる。 (2) 中国関係の書籍の充実 本学が創立された由来から中国関係の文献は多く、「簡斎文庫」、「霞 山文庫」、「東亜同文書院中国調査旅行報告書」など貴重な資料を数多 く所蔵している。 その他、コレクションとして「竹村文庫」、「浅川文庫」、「中国学 術交流文庫」、「中日大辞典文庫」などを所蔵している。 (3) 外国人講師の招聘 英米法の教育には格別の配慮を払い、院生にネイティブスピーカーに よる英米法の教育を経験させるため、外国人講師(米国ウィスコンシン 大学ロースクールのケネス・ポート教授)を招聘して英語による英米法 の集中講義を開講している。 なお、2004 年度には、院生が米国のロースクールへ夏期留学する際の 留学補助費を学部費の中で予算計上したが、結果として希望者がいなか った。 2.点検・評価 2007 年度より、国際法Ⅰ・Ⅱ及び国際取引法Ⅰ・Ⅱを国際関係法(公法系) Ⅰ・Ⅱ及び国際関係法(私法系)Ⅰ・Ⅱへと科目名の変更を伴いつつ発展さ せ、更なる内容の拡充を図った。なお、国際関係科目の内容を充実させる過 程において、今後は、科目の量よりも科目の質の向上に力点を置く必要があ る。 247 法科大学院ガイドブック(資料0-5)等参照 115 国際関係科目は数多く開講しているが、残念ながら、各科目の受講者の数 が少なく、また、一部の科目には、受講者が全くいない状態が続いている。 その原因は、院生が国際関係科目に取り付きにくさを感じていること、時間 を掛ける割には新司法試験対策としての効果に乏しいと考えていることにあ る。しかし、将来の法曹として物事を国際的な視野で考え、かつ、判断する 能力・教養を身につけさせる必要があり、改善の余地がある。 3.自己評定 B 4.改善計画 上述した受講者数に関する現状は、ともすれば新司法試験の受験資格とし て法科大学院が捉えられがちな事実の反映とも言え、一概に本学における体制 の不備を原因として決めつけるわけにはいかないようにも思われる。その点を 正確に認識するため、他校における国際関係科目の履修状況なども把握するよ う努めたい。 しかしながら、わが国における昨今の国際化の進展の度合いを考えると、院 生に幅広い国際的教養を身につけさせることが必定であり、国際関係科目を最 低でも 4 単位取得するよう事実上指導することを今後さらにカリキュラムの 改善に先立って検討したい。また、改善状況によっては、最低 4 単位の取得を 義務づけることも検討したい。そのためには、必修単位数を全体的に引き下げ て、院生において余裕のある科目選択を許すことが不可欠となろう。 また、比較的規模の小さい中京地区の法科大学院が、それぞれ充実した国 際関係科目を開講することは人的資源の無駄を生ずる結果となる虞れがある ため、単位互換制度の導入を模索し、各法科大学院がその得意とする法分野で 一段とレベルの高い国際関係科目を開講し、中京地区の院生が、近隣の法科大 学院を全体として捉えれば、首都圏並の多様かつ充実した国際関係科目を受講 できるように、他校への打診等を通じて改善することをも視野に入れたい。 116 8-3―1 1つの授業を同時に受講する学生数が適切な数であること。 1 現状 2004 年度発足以来の、開設科目毎の履修登録者数は、資料8-3-1「履 修者数一覧表」記載の通りである。 2 評価 法律基本科目については全て、履修者数が 50 人以内であり、問題はない。 3 多段階評価・合否判定 合 4.改善計画 特になし。 117 8-3-2 入学者数が入学定員に対してバランスを失していないこと。 1.現状 (表12) 05 年度 入学定員 06 年度 入学者数 入学定員 入学者数 B/A (A) (B) 40 38 [注] 1 2 3 0.95 07 年度 入学定員 入学者数 (A) (B) 40 43 B/A (A) (B) 40 38 0.95 B/A 1.08 「入学定員」とは、各年度の入学定員として各法科大学院が定める人数をいう。 「入学者数」とは、実際に入学した学生の数をいう。 [B/A]欄については、小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで表示するこ と。 2.点検・評価 入学者数は、いずれの年度も入学定員の 108%から 95%の範囲内にあり、 学習環境に影響はない。 3.自己評定 合:入学者数が入学定員の 110%以内である。 4.改善計画 特になし。 118 8-3-3 在籍者数が収容定員に対してバランスを失していないこと。 1.現状(2007 年 5 月 1 日時点) 在籍者数と収容定員、退学者・休学者は次の通りである。 (表13) 07 年度 収容定員 在籍者数 (A) (B) 第1年次 40 第2年次 第3年次 合 [注] 計 B/A 退学者数 休学者数 43 1.08 0 1 40 37 0.93 1 0 0 40 24 0.60 3 1 0 120 104 0.87 4 2 0 1 2 3 留年者数 「収容定員」とは、「入学定員」の3倍に相当する人数をいう。 「在籍者数」とは、在籍の法科大学院生の数をいう。 上記表では、第1年次とは07年度、第2年次とは06年度、第3年次とは05年度の入学 者をそれぞれ指す。 4 [B/A]欄については、小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで表示するこ と。 5 退学者数、休学者数は、各年次の入学者のうち、07年5月1日時点における退学者数、休 学者数をいう。 6 留年者数は、進級制限がある場合において、05年度、06年度の入学者のうち進級できな かった者の人数をいう。 留年者には、休学や留学によって進級の遅れた者は含めないこと。 2.点検・評価 在籍者数が収容定員を上回っていない。 3.自己評定 合:在籍者数が収容定員の 110%以内である。 4.改善計画 特になし。 119 9-1-1 厳格な成績評価基準が適切に設定され、事前に学生に開示されて いること。 1.現状 (1)教学委員会での協議を踏まえて、法科大学院の最上位の意思決定機関 である教授会で「学生の成績評価に関するガイドライン」を定め、規定 している。 (2)2005 年 12 月に文部科学省の年次計画履行状況調査における指導を踏ま えてこれを改訂し、「基本的に絶対評価によるものとするが、可及的に 正規分布(ガウス分布)となるように努めるものとする。なお、S は履修 者の 5%以内、A は S を含めて履修者の 25%以内を目安とする」との記載 を追加した。 (3)さらに、その後の実施上の問題点を、自己評価・FD 委員会、教授会で 検討した結果、①1 学年 40 人と学生数の少ない当法科大学院において、 ガウス分布になるように努めると、成績評価がゆがめられ、教育的効果 が期待できなくなること、②S は履修者の 5%以内、A は S を含めて履修 者の 25%以内というレベルは概ね妥当ではあるものの、「目安」という 表現に曖昧さがあり、ガイドラインが守りにくくなること、③「履修者」 というのが、「履修登録者」と「履修登録をして、最終試験を受験した 者」のいずれかが不明であること、④履修者が少ない授業にはそのまま 適用できないこと等の問題点が指摘され、その結果、ガイドラインを再 度改定し、ガウス分布に努めるものとするという表現を削除すると共に、 SABC の各評価についての位置付けを明確にすることとした。この新たな ガイドライン(以下、「新ガイドライン」という248。)は、2007 年度 6 月の教授会で承認された249(学生には 2007 年度秋学期開講後に周知予 定)。 (4)「学生の成績評価に関するガイドライン」を、「法科大学院ガイドブ ック」に掲載して学生に事前に開示している250。 (5)また、各教員は「法科大学院ガイドブック」に掲載されている各科目 のシラバスに、当該科目の評価方法を記載しており、例えば、「平常評 価 30%(起案、授業への出席、参加)、試験 70%で評価する、なお、「起 案」のみ、「解説授業への出席・参加」のみの場合、その回の平常点は 通常の 1/2 とする」251などと、評価に当たっての考慮要素・そのウエー 248 資料9-1-2 資料10-2-④ 250 法科大学院ガイドブック p224~225(資料0-5)。ただし、これは改定以前のガイドラインであり、 新ガイドラインは 2007 年度秋学期開講後に、掲示により学生に周知するとともに 2008 年度のガイドブ ックに掲載する予定である。 251 『法務総合演習』の例、法科大学院ガイドブック(資料0-5) 249 120 ト付けを学生に対して事前に告知している。 (6)一部の科目については、2005 年 12 月の「学生の成績評価に関するガイ ドライン」の改訂において、合格(G)・不合格(F)で評価する科目も 新たに定めることとした(2007 年度は法曹倫理・民事訴訟実務基礎Ⅱ(旧 民事模擬裁判)・刑事訴訟実務基礎Ⅱ(旧刑事模擬裁判)・ローヤリン グ・臨床実務Ⅰ・Ⅱ)252。 (7)2007 年度より、正当な理由(期末試験の追試験受験資格に該当する理 由)なしに、4 回以上(4 単位科目の場合は、8 回以上)授業を欠席した 学生は、原則として期末試験の受験資格を与えない旨を、教授会で決定 し、直ちに学生に公表、実施した253。 2.点検・評価 成績評価基準について上記のような議論と改善を重ねた結果、設定状況・ 事前開示の実施状況は良好であると考えられる。 (1)最高意思決定機関である教授会で議論をして設定した詳細なガイ ドラインがある。また、自己評価・FD 委員会、教授会で常に見直しを 行い、より適正な成績評価基準の策定に努めている。 (2)事前の開示状況も上述1のとおり十分であると思われる。 (3)開示時期も学生が履修科目を選択するに際して考慮できる時期(学 年当初)に開示されている。なお、今回のガイドライン改定については 年度途中での変更となった点に改善の余地はあるが、①全科目に共通し た改定であること、②当法科大学院には秋学期開始前に履修変更の制度 があり変更を希望する学生はこれにより対応できることから問題は少 ないと考えている。ただし、今後ガイドラインを改定することが生じた 場合には、できるだけ年度途中での変更は避け学年の初めに実施できる ように更に計画的に準備を進めたい。 3.自己評定 B 4.改善計画 専門職大学院としての特質上、どの程度相対評価(正規分布等)の要素を加 味すべきなのか、引き続き検討を続ける必要がある、さらに、評価方法の客観 化・統一化を検討する必要がある。 252 253 法科大学院ガイドブック p225(資料0-5) 期末試験受験資格としての授業出席要件について(資料9-1-1) 121 9-1-2 成績評価が、成績評価基準に従い厳格に実施されていること。 1.現状 (1)当法科大学院の成績評価については、従前は成績評価基準から逸脱し た例が少なからず見られた。しかし、その後の FD 活動や成績評価に関す る組織的取り組みを行い、また成績評価基準自体の合理的改正により、 少なくとも現時点では成績評価基準に従い厳格に実施されているものと いうことができる。 (2)関連事項 ア 「学生の成績評価に関するガイドライン」の改訂 事前に定められた成績評価基準と実際の成績評価には、当初若干の 齟齬があったので(S・A 評価の者の割合など)、2005 年 12 月の「学生 の成績評価に関するガイドライン」改訂の際に討議して合理的に改訂 し、現在は齟齬は解消されている。 イ 採点基準の公表による成績評価の客観化 各教員が、試験の実施後に学生に対して出題意図や採点基準を明示 し、書面(ないしメール)で配布することにより、自己採点できるよう にしている。学生が自己採点の結果を成績に照らして分析・検証できる ようにしている。 ウ 成績分布の公表による事後的検証機会の担保 当法科大学院においては、各科目の成績分布などについて公表され ている。教員に対しては教授会で資料配付され、院生に対しては 5 階法 科大学院図書室に掲示される254。 エ 成績分布・講評についての教授会での検討 各教員の期末試験の成績分布や講評を教授会で検討する取り組みを 行っている255。 2.点検・評価 成績評価が予め設定された成績評価基準に従って厳格に実施されている。 期末試験問題が適切であるか、出席を成績評価に入れている場合の出席記録 の管理をどうするかについては各教員に委ねられている。 問題点としては、当初、S・A の評価の者が多く、評価が絶対評価に偏重し ていたきらいがあった。そこで「成績評価に関するガイドライン」を 2 度に わたって改訂し、評価方法を周知徹底することにした。 254 科目毎の成績分布表(資料0-22-①②) 255 2006 年度第1回・第 6 回および 2007 年度第 1 回教授会(資料10-2-③④) 122 3.自己評定 合 4.改善計画 2006 年度までの改善をさらに推し進め、全科目においてガイドラインをふ まえた厳格な成績評価が行われるようにしていきたい。そのために、現在行 われている、ガイドラインの遵守状況の公表、及び、教授会での検討を続行 すると共に、新たに授業を担当する教員につき、ガイドラインとその遵守に ついて、説明するようにしたい。また、成績分布や講評の内容について教授 会で相互に検討し検証する取り組みについては、組織的 FD 活動の一環とい う側面もあるのでこれを続けてゆきたい。 123 9-1-3 成績評価に対する学生からの異議申立手続が規定されており、適 切に実施されていること。 1.現状 (1)異議申立の制度は、「成績評価に関する調査」として、「専門職大学院 の試験及び成績評価に関する規程」第 33 条256に規定され、運用されてい た。2006 年度の「成績評価に関する調査」の運用実績は、春学期末試験: 1 件、秋学期末試験:4 件である。この制度を、より充実した形で明文化 したのが、以下に示す「成績評価に対する異議申立てに関する細則」で ある。 (2) 2006 年度より、成績評価に対する異議申立ての前段階として、個々の院 生の答案(採点前のもの)を返却することとした。さらに、2007 年度よ り、採点済みの答案を返却するように改めた。 (3)各科目の成績評価基準について、シラバスでより詳細に開示するよう、 各教員に指導徹底した。 (4) 2006 年度に法科大学院における成績評価に対する異議申立てに関する細 則を制定し、指摘された問題点を改定した上、学生に公表し 2007 年度春 学期からこれを施行した257。 2.点検・評価 従前は必ずしも異議申立手続が十分に整っていなかったが、その後の改善 により、異議申立て制度が整備され、さらに、その前提としての成績評価基 準の公表、答案の返却も行われることとなった。 3.自己評定 B 4.改善計画 制定した細則を適正に実施すると共に、その実施状況を自己評価・FD 委員 会を中心に客観的に検証し、その問題点の改定を図っていきたい。 256 257 法科大学院ガイドブック p223(資料0-5-①) 現行の細則は、資料9-1-3 124 9-2-1 修了認定基準、修了認定の体制・手続が適切に設定されているこ と、及び修了認定基準が適切に開示されていること。 1.現状 (1)修了認定基準 「愛知大学専門職大学院学則」第 34 条258・「専門職大学院(法科大学 院)授業科目履修規程」第 3 条259により、以下のように定めている。 ア 法律基本科目 62 単位以上 イ 実務基礎科目 12 単位以上 ウ 基礎法学・隣接科目 4 単位以上 エ 展開・先端科目 10 単位以上 オ 実務基礎科目、基礎法学・隣接科目及び展開・先端科目の中から 8 単位以上 (2)修了認定基準の開示 「法科大学院ガイドブック」に上記各規定を掲載して学生に学年当初 に開示している。 (3)2007 年度より、カリキュラム改定を行い、3 年次春学期に「公法総合 演習」「民事法総合演習」「刑事法総合演習」を併置し、3 年次秋学期に 「法務総合演習」を、必修科目として設置し、これらの科目を通じて、 「司法修習を経れば、法曹としての活動を始めることができる程度の知 識、分析力、思考力等を備えているかどうか」(平成 15 年 12 月 11 日「新 司法試験に係る研究調査報告書」第1参照)を判定することとした。こ れらの科目、とりわけ「法務総合演習」は最終学期に置かれた必修科目 として、実質的に修了認定を決する科目となる。したがって、この科目 では多くの分野の教員が多数参加し、複数の視点から、科目の合否(修 了の適否)を判断することとした。この科目の成績評価基準については、 シラバスで公表している260。 また、春学期の「公法総合演習」「民事法総合演習」「刑事法総合演 習」の単位が修得できないと、その時点で、当該年度での修了が不可能 となる。このような事態は、該当学生の学習の意欲を著しく減退させる 可能性があるため、修了再試験の制度を導入し、「公法総合演習」「民 事法総合演習」「刑事法総合演習」の単位が修得できなかった場合であ っても、「法務総合演習」の単位が修得できれば、修了再試験の受験資 格を与え、この試験に合格すれば、修了を認めることとした261。これは、 学生のモチベーションを維持すると共に、「公法総合演習」「民事法総 258 259 260 261 法科大学院ガイドブック p241(資料0-5) 法科大学院ガイドブック p230(資料0-5) 法科大学院ガイドブック p77-p79(資料0-5) 法科大学院ガイドブック p222(資料0-5) 125 合演習」「刑事法総合演習」で厳格な成績評価を行うこと、3年全体で、 総合的に修了の可否を判断するためである。 2.点検・評価 修了認定基準の内容は 100 単位未満となっており、当該基準が事前に開示 されている点は適切であると考えられる。さらに、「公法総合演習」「民事法 総合演習」「刑事法総合演習」の併置、「法務総合演習」の設置により、一年 を通じて、複数の教員が多角的視点から、修了の適否を判断することが可能に なった。 3.自己評定 B 4.改善計画 今年度設置した「法務総合演習」の適切な実施により、適正な修了認定を 行っていきたい。そのためには、当該科目その他の修了認定のあり方全体に ついて、自己評価・FD 委員会を中心に今後も継続的に客観的な検証の取り組 みを行うことが必要不可欠である。 また、現時点では導入されていない GPA の利用につき、議論を積み重ね、 これを修了認定、警告制度、退学勧告制度などに利用できないか、検討して いきたい。 126 9-2-2 修了認定が、修了認定基準及び所定の手続に従って適切に実施さ れていること。 1.現状 (1)2005 年度、2006 年度の修了認定の実施状況 ア 2005 年度対象者数 19 名、修了認定者数 19 名、(修得単位数の最多: 108 単位、同最小:94 単位、同平均 98.5 単位) イ 2006 年度対象者数 32 名、修了認定者数 26 名(取得単位数の最多:102 単位、同最小 94 単位、同平均 97.5 単位) (2)2005 年度については修了予定であったにもかかわらず修了認定されな かった者はなかったが、2006 年度は、6 名が修了認定されなかった。 (3)修了認定については、当時の「学生の成績評価に関するガイドライン」 の「公法総合演習ⅠⅡ・民事法総合演習ⅠⅡ・刑事法総合演習の成績評 価について」において「これらの科目については、新司法試験の試験科 目と直接に対応する形で開講されている趣旨にも鑑み、成績評価の判定 にあたっては、当該科目について『司法修習を経れば、法曹としての活 動を始めることができる程度の知識、分析力、思考力等を備えているか どうか』(平成 15 年 12 月 11 日「新司法試験に係る研究調査報告書」第 1参照)という観点も踏まえて合否を決するものとする」と規定されて いることから、このような力を備えていると言えるかどうかについて、 教授会で相当程度の議論を行った。特に 3 年次秋学期(第 6 セメスター) 唯一の必修科目である「民事法総合演習Ⅱ」の成績評価については、直 接修了認定と関わるだけに、担当教員から、教授会に報告が行われ、こ のように一科目によって、修了認定が左右されることについての制度的 問題について、議論が行われた。さらに、翌 2006 年度は、3 年次春学期 「刑事法総合演習」においても、3 名が単位未修得となり、この時点でこ れらの学生は 2006 年度中に修了できないこととなった。このように修了 認定を修了認定基準及び所定の手続に従って適切に実施したが、その結 果、さまざまな問題が明らかになったため、2007 年度より制度改善を行 うこととなった。 2.点検・評価 上記のように教授会を通じた様々な議論がなされ、制度改善を続けていると ころではあるが、修了認定自体は、所定の修了認定基準・手続により実施され たものと評価することができる。 3.自己評定 合 127 4.改善計画 2007 年度からの新たな修了認定を適正に実施するとともに、その経過を自 己評価・FD 委員会を中心に教授会全体で客観的に検証し、十分な自己点検を 行った上で、更にその改善について検討したい。 128 9-2-3 修了認定に対する学生からの異議申立手続が規定されており適切 に実施されていること。 1.現状 修了認定基準は、9-2-1 1.現状(1)および9-2-2 1.現 状(3)のとおりである。すなわち、修了に必要な授業科目の単位を修得し ていれば、修了認定される関係にあるので、現状では単位数の違算等極めて 限られた場合しか修了認定自体に対する異議申立の事例は考えられない。 したがって「修了認定に対する異議申立」は基本的には「公法総合演習」 「民事法総合演習」「刑事法総合演習」「法務総合演習」などの「成績評価 に対する異議申立」の形をとることになる。 2.点検・評価 成績評価に対する異議申立てを通じて、修了認定についての異議を申し立 てる学生に対しては、前記9-1-3の制度をもって対処可能である。しか し、成績に対する異議申立て制度では収まりきらない問題が提起された場合 も考えられ、また、GPA による修了認定等が導入された場合にも備えて、修了 認定に関する異議申立て制度も創設した262。 3.自己評定 A 4.改善計画 特になし。 262 資料9-2-3 129 別紙 学生数および教員に関するデータ ◇入学者 単位:人 入学定員 入学者数 法学部 他学部 実務等 出身者 出身者 経験者 法学既修者 05年度入学者 40 38 11 16 5 17 06年度入学者 40 38 15 15 3 20 07年度入学者 40 43 18 20 3 20 ◇学生数の推移 単位:人 04年度 05年度 05年度 06年度 06年度 07年度 07年度 退学者 退学者 留年者 退学者 留年者 退学者 留年者 数 数 数 数 数 数 数 未修 1 2 0 1 0 0 05年度 未修 ― 1 0 2 0 入学者 既修 ― 0 0 0 06年度 未修 ― ― ― 入学者 既修 ― ― 07年度 未修 ― 入学者 既修 ― 休学者 在籍者 数 数 5 3 6 0 ― 1 24 0 0 ― 0 0 1 0 0 ― 0 22 ― 0 0 0 ― 0 15 ― ― ― ― 0 ― 1 25 ― ― ― ― 0 ― 0 18 04年度 入学者 [注] 1 2 「在籍者数」とは、07年5月1日時点における在籍の法科大学院生の数をいう。 退学者数、休学者数は、各年度の入学者のうち、07年5月1日時点における各年度の退学 者数、休学者数をいう。 3 留年者数は、進級制限がある場合において、05年度、06年度の入学者のうち、各年度に 進級できなかった者の人数をいう。留年者には、休学や留学によって進級の遅れた者は含めな いこと。 130 ◇修了者 単位:人 修了者総数 法学部出身者 他学部出身者 実務等経験者 未修 15 2 4 9 05年度 未修 ― ― ― ― 入学者 既修 11 5 0 6 06年度 未修 ― ― ― ― 入学者 既修 ― ― ― ― 07年度 未修 ― ― ― ― 入学者 既修 ― ― ― ― 04年度 入学者 教員一覧 氏 浅井 名 正 年齢 62才 性別 男 職名 教授 専任/ みなし 専任/ 非常勤 の別 みなし 「5年以 上の実務 経験」の有 無 有 着任年月 ㍻16年4月1日 専任 担当科目 (07年度前期) 刑事訴訟実基礎Ⅰ 法律中国語Ⅰ (07年度後期) 刑事訴訟実基礎Ⅱ 現代中国法 伊藤 博文 49才 男 教授 専任 無 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 法情報調査A/B 法律英語Ⅰ 英米法Ⅰ (07年度後期) 法文書作成 法情報学 法律英語Ⅱ 今村 憲治 54才 男 教授 みなし 専任 有 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 民事訴訟実務基礎Ⅱ 商法演習A/B (07年度後期) 法務総合演習 商法特論 131 氏 名 年齢 性別 専任/み 「5年以 なし専任 上の実務 職名 着任年月 担当科目 /非常勤 経験」の有 の別 岩間 康夫 47才 男 教授 専任 無 無 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 刑事法総合演習 刑事法概論 刑事政策・少年法 刑法演習A/B (07年度後期) 刑法総論 刑法各論 法務総合演習 宇田 一明 66才 男 教授 専任 無 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 商法演習A/B 民事法総合演習 有価証券法 (07年度後期) 商法 事業譲渡法 商法特論 榎本 修 38才 男 教授 専任 有 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 民事法総合演習 民法演習ⅠA/B 民法Ⅱ (07年度後期) 民事訴訟実務基礎Ⅰ ローヤリング 臨床実務Ⅰ 法文書作成 民法演習ⅡA/B 臨床実務Ⅱ 大林 文敏 61才 男 教授 専任 無 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 公法総合演習 法学の基礎 (07年度後期) 憲法演習A/B 法務総合演習 132 氏 春日 名 修 年齢 45才 性別 男 職名 教授 専任/み 「5年以 なし専任 上の実務 /非常勤 経験」の有 無 の別 専任 無 着任年月 ㍻17年10月1日 担当科目 (07年度前期) 行政法 公法総合演習 (07年度後期) 行政法演習A/B 行政法特論 法務総合演習 片野 三郎 57才 男 教授 専任 無 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 民事訴訟法 (07年度後期) 民事訴訟法演習A/B 民事訴訟法特論 加藤 克桂 50才 男 教授 専任 無 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 刑事訴訟法 刑事法総合演習 法律英語Ⅰ 刑事訴訟法特論 (07年度後期) 刑事訴訟法演習A/B 法務総合演習 法律英語Ⅱ 久須本 かおり 36才 女 准 教 専任 無 ㍻16年4月1日 授 (07年度前期) 民法Ⅲ 民法Ⅳ (07年度後期) 民法演習ⅡA/B 消費者救済法 小林 武 66才 男 教授 専任 無 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 公法概論 地方自治法 公法総合演習 (07年度後期) 憲法 憲法演習A/B 法務総合演習 133 氏 酒井 名 廣幸 年齢 56才 性別 男 職名 教授 専任/み 「5年以 なし専任 上の実務 /非常勤 経験」の有 無 の別 みなし 有 着任年月 ㍻16年4月1日 専任 担当科目 (07年度前期) 民事訴訟実務基礎Ⅱ 倒産法Ⅰ (07年度後期) 倒産法Ⅱ 執行保全法 高橋 譲二 50才 男 教授 みなし 有 ㍻16年4月1日 専任 (07年度前期) 知的財産法Ⅰ (07年度後期) 民事訴訟実務基礎Ⅰ 経済法Ⅱ 知的財産法Ⅱ 民事訴訟法演習A/B 法務総合演習 互 敦史 47才 男 教授 みなし 有 ㍻17年4月1日 専任 (07年度前期) 刑事法総合演習 刑事訴訟実務基礎Ⅰ 刑事訴訟法特論 刑法演習A/B (07年度後期) 刑事訴訟実務基礎Ⅱ 刑事訴訟法演習A/B 法務総合演習 法文書作成 田中 信幸 69才 男 教授 専任 無 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 国際関係法(私法系)Ⅰ (07年度後期) 国際取引契約 国際関係法(私法系)Ⅱ 134 氏 名 年齢 性別 専任/み 「5年以 なし専任 上の実務 職名 着任年月 担当科目 /非常勤 経験」の有 の別 前田 義博 59才 男 教授 みなし 無 有 ㍻16年4月1日 専任 (07年度前期) 刑事訴訟実務基礎Ⅰ (07年度後期) 刑事訴訟実務基礎Ⅱ 労働法Ⅱ 森山 文昭 55才 男 教授 専任 有 ㍻16年4月1日 (07年度前期) 民法演習ⅠA/B 民事法概論 法曹倫理 民法Ⅰ (07年度後期) 司法制度論 租税法Ⅱ 民法演習ⅡA/B 法務総合演習 135