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医療費の3要素について

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医療費の3要素について
医療費の3要素
ある集団における医療費の水準を考える場合、代表的な指標の 1 つとして「1 人当たり診療費」があります。
1 人当たり診療費は次式によって求められます
(1 人当たり診療費)=(診療費総額)/(人数)
1 人当たり診療費は、さらに次式のように「1 人当たり件数」、
「1 件当たり日数」、
「1 日当たり診療費」の積
に分解することができます(図 6)。
(1 人当たり診療費)
=(診療費総額)/(人数)
={(件数)/(人数)}×{(日数)/(件数)}×{(診療費総額)/(日数)}
=(1 人当たり件数)×(1 件当たり日数)×(1 日当たり診療費)
ここでいう件数とは、医療機関が作成する診療報酬明細書の枚数のことで、これは患者 1 人につき 1 つの医
療機関で毎月 1 枚作成することになっています。つまり 1 人当たり件数は、加入者 1 人当たりが一定期間にい
くつの医療機関にかかったかを示す指標であり、医療保険の分野では「受診率」と呼ばれています。
受診率は、概ね、一定期間内に医療機関にかかった人の割合を表す指標と考えることができます。したがっ
て、ある地域で受診率が全国平均よりも高いということは、医療機関にかかる者の割合が高いということであ
り、受診率の伸び率が高いということは医療機関にかかる者の割合が増えているということです。なお、受診
率は、1 月当たりの件数でみる場合、1 年当たりの件数でみる場合、また、100 人当たり、1,000 人当たりの件
数でみる場合などがあり、その単位のとり方には注意する必要があります
1 件当たり日数は、患者が一定期間内に同一の医療機関に通った平均的な日数(または、入院した日数)を表
し、診療実日数をレセプト枚数で割ったものです。疾病の治療期間が長期にわたっていても、月が変わるとレ
セプトも新たに作成されるので、1 件当たり日数は必ずしも初診日からの治療日数や入院期間の累計を表すも
のではありません。しかし、入院の 1 件当たり日数が多ければ、概ね入院期間が長く、入院外の 1 件当たり日
数が多ければ、通院頻度が高いものと考えられます。
1 日当たり診療費は、医療費の単価を表し、診療費を診療実日数で割ったものです。1 日当たり診療費が高
いということは、1 回の診療あるいは 1 日の入院でかかる費用が高いということです。
「1 日当たり診療費」の
代わりに「1 日当たり点数」を使うことがありますが、診療報酬は 1 点 10 円の定額制となっているため、両
者は概念としては同じものです。
受診率は、主に医療を受ける側の受診動向や感染症の流行などの疾病構造等に依存しやすく、1 件当たり日
数は、患者の受診動向や疾病の種類、並びに、医療機関における診療行為など、医療を受ける側による要因、
並びに、医療供給側による要因の両方の影響を受けやすいと考えられます。
また、1 日当たり診療費は、医療供給側の診療行為などの要因に依存しやすいと考えられます。
「受診率」
、
「1 件当たり日数」及び、
「1 日当たり診療費」のことを「医療費の 3 要素」といい、医療費を分
析していくうえでの基本的な指標となります。
一口に 1 人当たり診療費が高いといっても、3 要素別に何が高くなっているかを調べることによって、医療
費の増加要因について見当をつけることができます。
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この医療費の3要素分析を「入院」「入院外」「歯科」別に細分化して行うことにより、より詳細な医療費
状況の把握が可能となりますが、地域別に分析する場合、医薬分業率が地域ごとに異なるため(図 9)、入院外
医療費に調剤分を加えるなどの工夫が必要です。
支部別に医療費分析を行う際、医療費の3要素分析が基本となりますが、例えば、3要素分析の結果、入院
の受診率が他支部と比べて高いことがわかった場合、その原因を究明することが、これからの医療費分析の課
題となっています。分析の着眼点としては、時系列や患者の年齢の他、図 7 にある各要因などが有効と考えら
れ、傷病や診療行為データや健診・保健指導データなど含めてさらに多角的に掘り下げて分析していくことが
重要です。
図6
医療費の要素分解
図7
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