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新聞記者の仕事について調べる活動を取り入れた社会科授業
PISA 型読解力を高める指導の授業提案 さいたま市立東宮下小学校 教諭 菊池健一 ■(23)5学年での実践 (社会・ 『新聞記者の仕事』より) 新聞記者の仕事について調べる活動を取り入れた社会科授業 PISA型読解力育成の手だて 【情報へのアクセス・取り出し】 ・新聞記事から記者の仕事の工夫や新聞を作る工夫について読み取る。 ・新聞記者の話を聞いて必要な情報をメモする。 【解釈・統合】 ・新聞記事や記者の話などから、新聞作成の工夫や届く仕組みについてまとめる。 【熟考・評価】 ・新聞記者の話などから分かったことをワークシートにまとめる。 ・新聞作りの工夫についてわかったことをまとめ、友達に発表する。 【取り組む能力】 ・新聞記事などから進んで知りたいことなどを考える。 ・新聞記者の話について関心をもちながら聞く。 学習指導要領では 5 学年の内容として「我が国の情報産業や情報化した社会の様子につ いて資料を活用して調べること」などを示しています。これまでは情報産業の中でもテレ ビ局の仕事を取り上げることが多かったのですが、新聞社も積極的に取り上げられるよう になりました。通常の授業では、教科書や資料集などを活用して、新聞の作られ方や新聞 記者の取材の方法などについて学びますが、今回の実践では児童が丸ごと 1 部の新聞から 調べたい課題を設定したり、実際に新聞記者の話を聞いたりする活動を取り入れました。 児童はまず、丸ごと 1 部の新聞を見ながら、新聞とテレビとの違いを考える活動を行い ました。普段の生活で接しているメディアは圧倒的にテレビの方が多いので、それと比較 することで新聞の特徴がわかってきました。 「テレビのニュースはすぐに流れてしまうけど、新聞は何度も読み返せるね。」 「新聞は記事の大きさでその大切さを表しているみたいだよ。」 「新聞はテレビと違って、文で伝えなければいけないから大きな見出しがついている。」 新聞活用 丸ごと 1 部の新聞を活用することで、 新聞というメディアについてテレビ と比較しながら考えることができま した。調べたい課題も見つけることが できました。 1 次に児童は自分の選んだ記事を要約し、そこから記者が取材や記事を書く際に工夫をし ていること、さらには新聞を作る仕事について知りたいことなどをまとめる活動を行いま した。教科書には新聞の作られ方や記者の取材をしている様子などが取り上げられており、 学びやすくなっていますが、今回は児童自身が知りたいことを自分で考えて調べる活動に しました。そして、実際に新聞記者をゲストティーチャーとして招聘し、児童が知りたい ことを質問するという活動も行いました。 プロの新聞記者の方に来ていただき、どの ように取材をしているのか、そして新聞が どのように作られていくのかということ を詳しく学習することができました。本物 の新聞記者に児童は興味津々でした。 <新聞記者をゲストティーチャーとして招聘する際のポイント> ○ 記者を招聘するねらいを明らかにしておく。 (記者任せにしない。 「何でもよいので話してください」はだめ) ○ 事前に記者に授業の内容や前後の指導について話をしておく。 ○ 児童に記者をゲストとして招くことを告げておき、話を聞く準備をさせておく。 (知りたいこと・疑問点など) ○ 招聘する記者の書いた記事などを事前に児童に示しておくとよい。 ○ 日常的に新聞スクラップなどを行い、新聞に親しんでいると大変効果的である。 児童はゲストティーチャーの記者から話を聞き、新聞が作られていくためには記者だけ ではなく、いろんな方が関わっていることを知りました。また、自分の家に新聞が届くま でに様々な行程を経ていることも学ぶことができました。この授業の後に、改めて教科書 を活用して、新聞の作られ方について学習をしました。実際の調査活動やゲストティーチ ャーを取り入れたことで、児童は興味関心をもって学習に取り組めました。 今回の取り組みで、社会科の学習としてのねらいを達成することができました。また、 PISA 型読解力向上という視点からも大きな成果がありました。実際に丸ごと 1 部の新聞か ら興味をもった記事を選んで、疑問点や調べたいことを明らかにすることや、新聞記者に インタビューをして知りたいことを調べる作業を行うことで、読解力も高まったと言えま す。これからも、社会科学習においても、読解力向上を意識した授業作りを行っていきた いと考えています。 2