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成表で比較検討を行った結果認められた群集および群落は、 科学…般に
VI.現存植生図(縮尺12,000) 田ノ浦地区における各身分についての植生調査資料(Vegetationsau飴ahme)を群落組 成表で比較検討を行った結果認められた群集および群落は、科学一般に用いられる類型化の 手法によって抽象化されたものである。植生図はこのように抽象化された植生単位の具体的 な配分を地形図上に描いたものである(Braun−Blanquet 1964, T廿xen 1956, Ellenbeτg I956,宮脇1968他)Q 今回は、現地踏査により縮尺1:2,000の地形図.ヒに植生調査地点のチェックを行ないな がら、相観および優占種などにより現存植生図の凍雨が描かれた。群落組成表で比較検討を 行ない決定された群集および群落単位に基づいて凡例が決められ、さらに調査地点と植生単 位について考察を加えつつ現存植生図の第二原図が描かれた。現地踏査によって現存植生図 の第二原図の再診と広がりを校正して最終的な現存植生図が描かれた。 1。 自 然 植 生 直接建設工事によって破壊されなかった周辺地区には、イノデータブ群集、ホソバカナワ ラビースダジイ群集やヤブコウジースダジイ群集などの自然植生が小面積つつながら残存ま たは復元している。しかしこれらの自然植生も、人の侵入などにより林床が荒れていたり、 樹冠が部分的にあいていたり、残存面積が限られていたため周辺の代償槙生の構成種の混生 が認められたりしている。 したがって原植生に一致するような厳密な意味での自然植生の残存は認められないが、種 三越や群落構造からみて自然植生に準じる植生が今回は自然植生として描かれた。自然植 生、とくに森林植生が果してきた多様な効用についてはすでに述べられてきたが、今回現存 植生図に描かれ自然櫨生として認められた地域は、建設工事にともなって植生の側から後退 が著しい発電機・建造物設1崖域をとりかこむ形で残存しており、建設工事完成後に要求され る環境保全林として期待されるところが大きい。また一度破壊された地域の環境保全林形成 の一つの生きた例としても新しい模範となることが期待される。 2.代償植生 何らかの形で自然植生が破壊されたところに生育している二次植生・代償植生は、調査対 象域において土地改変が現在さかんに行なわれて裸地化している地域と自然植生が残存生育 している地区を除いた地域に、破壊の程度または代償度に応じてモザイク状に生育している 26 のが見られる。 音海半島全体や若狭地区全域としてみた場合に、その大部分が代償植生の生育域となり、 現存植生図がほぼそのまま代償植生図に近いものとなる。しかし縮尺1:2,000がで限られた 特殊な地域であったため代償植生の生育域はきわめて限られたものとなっている。 また、調査対象域には、アカマツ、モウソウチク、メダケ、スギおよびヒノキなどの各種 樹種の植栽地がみられる。これらの樹種は、いずれもその立地に本来生育する植物でないた めに、固有の共存種を有しない。したがって植林には植栽樹の他に人為的干渉の程度と立地 条件の差異に応じた代償植生の構成種が生育している。 現存している代償植生は環境保全林形成の一段階または林縁植生形成の具体的一例とみる こともできる。 3. そ の 他 現存植生図の凡例で示されている旧地および建造物の地域は、植生の側からみて最も破壊 が進んだところとなっている。これらの地域は、一部にまだ土地の改変が行われており、他 の一部はコンクリート・建造物で被われている。その他の部分でもつねに除草が行われた り、人や車両の往来がはげしいために裸地・無植生地から遷移が進行しないで持続してい る。 発電所建設工事が完成した際には、発電所および関連施設として直接使用されない、いわ ゆる裸地・あき地を最小限にとどめ、別項で考察される緑で代表される生きた自然一植生一 による環境保全が強く望まれる。