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総目次へ戻る 2001 年 1 月 11 日 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ M97-5148 経営情報学科 4 年 O 組 44 番 神垣 裕介 指導教員:草薙 信照 目 次 第一章 研究の概要 1 第一節 VRMLについて 1 第二節 開発及び実行環境 1 第三節 大学図面 2 第二章 3Dモデルの作成 3 第一節 建物の作成 3 第二節 変形(見かけ上の変形) 4 第三節 リンクコピー 5 第四節 階層構造から見たサイズ低減の仕組み 5 第五節 窓の制作 6 第六節 階段の制作 6 第七節 樹木の制作 8 第八節 各オブジェクトの配置 10 第三章 VRMLへの変換 11 第一節 縮小 11 第二節 光源の設定 11 第三節 視点の設定 12 第四節 変換とその後の手直し 13 第四章 完成モデル図 14 第一節 大学全図 14 第二節 本館 16 第三節 体育館 17 第四節 C館D館 18 第五節 E館 19 第六節 F館 20 第七節 G館 21 第八節 守衛室 22 第五章 考察と今後の課題 23 第六章 参考文献 23 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第一章 研究の概要 情報化が進みインターネットが普及した今日、HTMLによっての文書や映像の配信、AS P等技術は日々進歩している。そんな中で日の目をみていないものもある。例えば VRML (Virtual Reality Modeling Language)である。面白い物だと思うのだが、はっきりいって 普及しているとは思えない。だがこのまま埋もれさすにはおしいものである。そこで本当に利 用できないか?大学空間を再現することで調べて見ようと思う。 第一節 VRML について 第一節 まず、 「VRML」というのは、VirtualRealityModelingLanguage の略で、「3次元空間」 を作成できる記述言語である。専用のプラグインで見ることで、3次元空間を作ることがで きる。 現在VRMLのバージョンは VRML1.0、VRML2.0、VRML97 の3つあり、もっとも新 しいのは VRML97 である。といっても VRML97 は VRML2.0 の規格の ISO 準拠版であり ほとんど同じものであるため実質2つである。 VRML97(2.0)とそれまでの 1.0 バージョンとの大きな変更点は、「動作記述」が細か にできるようになったことや、音声・動画のサポートがされたことである。 第二節 開発及び実行環境 開発は Windows98/NT で行っており、使用ソフトウェアは以下に列挙する。 東洋情報システム CyberWalkerPro ほとんどの作業を行う。主にモデリング。 Microsoft Photo Editor テクスチャの作成に利用。 Adobe PhotoshopLE スキャナーを使った図面の読み取りに利用。 実行環境としては VRML をみるのに必要なプラグインとブラウザで、今回は CosmoPlayer と InternetExproler の組み合わせでおこなった。 -1- 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第三節 大学図面 今回利用した図面の一部を掲載する。(図 1-1~5) 図 1-1 全校地配置図 図 1-3 G 館立面図_2 図 1-2 G 館立面図_1 図 1-4 G 館立面図_3 -2- 図 1-5 G 館立面図_4 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第二章 3Dモデルの作成 VRML はテキストエディタを使っての作成も可能ではあるが、簡単なモデルならともか く今回作る大学空間のような巨大な空間を作るには適していないため、CyberWalkerPro で モデルを作り VRML で出力という方法を利用する。 第一節 建物の作成 図面から読み取ったサイズを入力 してオブジェクトを作る。(図 21,2-2)それに色をつけて壁面パー ツを作り上げる。(図 2-3) 図 2-1 壁パラメータ入力画面 図 2-2 壁オブジェクト 図 2-3 塗色済みの壁オブジェクト -3- 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ そして出来あがったオブジェクトを集め、積木の要領で建物の形状に組み上げる。 (図 24,2-5) 図 2-4 組立て前の建物 図 2-5 組立て後の建物 普通に 3Dモデルを作るのであればこれでも良い。だがこのままVRMLへの変換を行う とファイルサイズが大きくなってしまう。インターネットは普及したとはいえ、まだまだ誰 もが充分な通信速度を得られるわけではない。Web 上での再現を目的とするからには現状 の通信速度でもストレスを感じさせないレベルで作らなければならない。そこで今回、2 つ の方法でサイズの軽減を図った。見かけ上の変形とリンクコピーである。 第二節 変形(見かけ上の変形) 第二節 変形(見かけ上の変形) 変形は今回のモデルの大部分に使われている手法である。まず任意のオブジェクトを作り、 それを 1 パーツとして保存する。そして建物を作るときにそのパーツを読み込み、サイズを 引き伸ばして(位置情報のみの変化)表示させる。(図 2-6,2-7) 図 2-6 元のオブジェクト 図 2-7 引き伸ばして見せたもの -4- 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ この方法を単純に用いただけではデータの重複になり、効力を発揮するどころかかえってサ イズが大きくなるため、リンクコピーと併用することになる。 第三節 リンクコピー リンクコピーとは位置情報のみをコピーすることであり、他のデータはコピー元を参照す る。データを共有するため、メモリの消費を抑えることができる。本来はまったく同じ形状 のものをコピーするものであるが、前述の変形と併用することでさらにサイズを低減できる。 それはこのソフトで作るモデルがもつ階層構造から説明せねばならない。 第四節 階層構造からみたサイズ低減の仕組み 大学の 3D空間モデルは図 2-8 の 大学 ような Tree 型の階層構造を持ってい 本館 る。 C館 しかし、リンクコピーと引き伸ば 北壁面 D館 しを併用した場合図 2-9 のようにな り、点線で表示した各壁面は位置情 東壁面 G館 報のみを持つことになる。 パーツを 1 つ増やすことになるが 南壁面 ファイルサイズは大幅に低減される ことになる。 西壁面 図 2-8 階層構造 大学 本館 C館 北壁面 D館 東壁面 G館 壁 南壁面 西壁面 図 2-9 ファイルサイズ低減のしくみ -5- 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第五節 窓の制作 壁面と同じようにまずはオブジェクトを作る。色をつける時に鏡面にして窓らしさをだす。 本来ならさらに透過させるべきである のだが建物内部は作っていないので今 回は行わない。 (図 2-10,2-11) 図 2-10 窓 図 2-11 窓の色 第六節 階段の制作 図 2-12 のような階段を作成する。 図 2-12 F 館階段 -6- 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 1段だけを作成し、他の段はそれをコピーして作成する。コピーは貼り付け直後の移動情 報も記憶するので、簡単に作ることがでる。 まずは1段目を作る。オブジェクトを用意してサイズを入力する。(図 2-13,2-14) 図 2-13 階段 1 段目 図 2-14 階段 1 段目データ 次に1段目をリンクコピーし貼り付けて2段目を作る。そして2段目の位置情報を入力し て段になるように設定する。(図 2-15,2-16) 図 2-15 階段 2 段 図 2-16 階段2段目データ このときに1段目から2段目までの移動情報が記憶される。この情報がポイントで,次の 貼り付けのときに前回の移動情報をもとに貼り付けをおこなうので,3段目からは単に貼り 付けを行うだけで自動的に階段状にオブジェクトを配置してくれる。 (図 2-17) 図 2-17 階段 -7- 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ この方法は階段だけでなく、パターンのあるオブジェクトの作成するときに利用している。 第七節 樹木の制作 まずは木のグラフィックを用意し、背景を黒く塗る。それはこの ソフトは黒のみ透過色に設定できるためである。が今回はソフトに サンプルとして用意されていたものを使用したためその工程は省い てある。 (図 2-18) 図 2-18 木の絵 次に薄いオブジェクト(限界まで 薄くする)を用意する。(図 2-19,220) 図 2-19 木のオブジェクトデータ 図 2-20 木のオブジェクト そこに先程の木のグラフィックをテ クスチャとして貼り付ける。その際黒 色を透明にするにチェックを入れるこ とで背景が透過され木のみが表示され る。 (図 2-21,2-22) 図 2-21 テクスチャを貼った 図 2-22 テクスチャ設定 オブジェクト -8- 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ このオブジェクトを2つ用意し90度回転させ交差させる。 (上から見て十字になるよう に配置する)こうすることで擬似的に木を見せている。(図 2-23)テクスチャを外すとただ の板2枚である。(図 2-24) 図 2-23 木のモデル 図 2-24 木のモデル(テクスチャなし) -9- 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第八節 各オブジェクトの配置 建物ごとにパーツとして保存し、最終的にそのパーツをまとめて大学モデルを完成させる。 まずは地面となるオブジェクトを作り、そこに配置図をテクスチャとして貼り付ける。(図 2-25)それに合わせてパーツを配置して(図 2-26)、最後にテクスチャを解除すれば完成で ある。 (図 2-27) 図 2-25 配置図 図 2-26 配置途中 図 2-27 完成図 - 10 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第三章 VRMLへの変換 CyberWalkerPro には VRML97 保存というメニューがあるのだが、そのまま保存するの では問題点がおこる。その問題を解決させようとおもう。 第一節 縮小 第一にやらなければいけないのはサイズの縮小である。VRML で実寸で作ると非常に重 くなり、きれいに表示されなくなる。そこで 1/100 に縮小する。 第二節 光源の設定 次にやることは光源の設 定である。このまま変換し たのではかなり暗くなって しまう。(図 3-1)そこで 光源を設定し明るくしなけ ればならない。 図 3-1 光源設定してない VRML もともと 1 つ光源は設定されて いるのだが、それだけでは弱い。 そこで東西南北と真上の 5 点を追 加する。光源はダイアログから簡 単に入力できる。(図 3-2) そ う す る と CyberWalkerPro では明るくなりすぎるのだが、 VRML に変換するといい明るさ になる。 (図 3-3、3-4) 図 3-2 光源設定ダイアログ - 11 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 図 3-3 光源設定した後の CyberWalkerPro でのモデル 図 3-4 光源設定した後の VRML でのモデル 第三節 視点の設定 モデルを観るときに快適性を増すため、あらかじめ視点を設定しておく。メニュー内の視 点登録で簡単に視点を登録できる。 - 12 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第四節 変換とその後の手直し 変換自体はソフト任せ なので簡単である。気を つけなければならない点 は、テクスチャ出力フォ ーマットのチェックを PNG にしておくという ことと出力ノードの視点、 光源、テクスチャにチェ ックをしておくというこ とである。PNG にする のはほかのファイル形式 だと透過に対応していな いためで、出力ノードの ほうはチェックしなけれ ば出力されないのだから 当然いれなければならな い。(図 3-5) 図 3-5 VRML 形式での保存ダイアログ 変換後の修正だが、視点名だけ直す必要がある。VRML で保存すると視点名が「VIEW_0」 と出力されてしまうため、そこを修正する。まず保存したファイルをエディタで開き Viewpoint { orientation -0.148528 0.966316 0.210175 1.9433 position 881.126 445.914 -312.079 fieldOfView 0.523599 description "VIEW_0" } という個所をさがす。そのなかの"VIEW_0"を任意の名前に変えればよい。 - 13 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第四章 完成モデル図 第一節 大学全図 図 4-1 北東からの大学全図 図 4-2 南西からの大学全図 図 4-3 大学全図 上面図 図 4-4 大学全図 正面図 図 4-5 大学全図 側面図 - 14 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 図 4-6 F 館からの景色 図 4-7 守衛室からみた G 館 全体図。西側が建物が2つで寂しいのが残念であるが、大学の雰囲気はでていると思う。 ファイルサイズとの兼ね合いで、壁面のレンガを再現できなかったのが非常に残念である。 しかし、現状の通信環境や実行するパソコンの性能を考えるとこれ以上は作りこまないほう が賢明だと判断した。そう考えると、この仕上がりには満足である。 - 15 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第二節 本館 図 4-8 南西からの本館 図 4-9 北東からの本館 図 4-10 本館上面図 図 4-11 本館正面図 図 4-12 本館側面図 複雑な形状なうえ、図面が増築部分ともとからあった部分とに分かれていて読み取りづら いなど作るのが最も困難であった。しかし苦労したかいあって出来映えには非常に満足して いる。 - 16 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第三節 体育館 図 4-13 北東からの体育館 図 4-14 南西からの体育館 図 4-15 体育館上面図 図 4-16 体育館正面図 図 4-17 体育館側面図 多くの窓に複雑な形状という作りづらい建物であった。簡略してはいるがそれでも一番時 間がかかった。唯一円筒をつかった建物でもある。 - 17 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第四節 C館D館 図 4-18 南西からの C 館 D 館 図 4-19 北東からの C 館 D 館 図 4-20 C 館 D 館上面図 図 4-21 C 館 D 館正面図 図 4-22 C 館 D 館側面図 図面がなく、記憶だけで作ったためリアルさにはかける。が、雰囲気はつかめていると思 う。 - 18 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第五節 E館 図 4-23 北東からの E 館 図 4-24 南西からの E 館 図 4-25 E 館上面図 図 4-26 E 館正面図 図 4-27 E 館側面図 2つのモデルを並べて作った。その2つのずれが曲者で手間取った。 - 19 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第六節 F館 図 4-28 南西からの F 館 図 4-29 北東からの F 館 図 4-30 F 館上面図 図 4-31 F 館正面図 図 4-32 F 館側面図 最初に作ったこともあり角部分に不慣れな点が見て取れる。意外と複雑で思うように作業 が進まなかった。 階段は作り込んだだけあって、いい出来栄えで満足している。 - 20 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第七節 G館 図 4-33 南西からみた G 館 図 4-34 北東からみた G 館 図 4-35 G 館上面図 図 4-36 G 館正面図 図 4-37 G 館側面図 建物自体は単純であったが図書館の渡り廊下部分が結局うまくいかなかった。 - 21 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第八節 守衛室 図 4-38 南西からみた守衛室 図 4-39 北東からみた守衛室 図 4-40 守衛室上面図 図 4-41 守衛室正面図 図 4-42 守衛室側面図 記憶だけで作ったもの。三角錐の屋根は守衛室以外では使っていないため、屋根の高さが うまくつかめず悩んだ。 - 22 - 地域計画における VRML の利用可能性 ∼Web 上での 3D 大学空間の実現∼ 第五章 考察と今後の課題 今回の作品は3Dが初めてということもあり非常に手間取った。慣れてしまえばそう難し くはないのだが、どこまで細かく作るか、どれだけディフォルメするかというバランスが問 題となった。出来あがったモデルは快適とはいえないがバランスの面からみれば満足のいく 仕上がりである。 VRML はマシンパワーを必要とするが将来性は十分にある。今回の作品では VRML の基 本をさわっただけであるが、Java や JavaScript 言語を利用すれば、3次元空間を監視・制 御したりでき、単なる3D.モデルにとどまらずに、施設案内、ショッピングモール、GIS 等 さまざまなものへの利用も可能である。そして 2002 年には VRML2002 へのバージョンア ップが予定されている。(本質的変化はないが、アプリケーションに応じて VRML ブラウザ をコンパクトにできること、XML(eXtensible Markup Language)と統合されることなど が異なる。)またその頃には今よりもインターネット環境が良くなっているはずなので、今 後 3D サイバースペースはインターネット上での「空間」や「物体(オブジェクト) 」の表 示、及びインタフェースとして重要なものとなるかもしれない。 第六章 参考文献 CyberWalkerPro のマニュアル Yuuta's Room - about VRML97 http://www.din.or.jp/~y-shiba/yuuta/ 荒屋研究室のホームページ http://www.fit.ac.jp/~araya/jis/index.html - 23 -