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1 避難指示区域に残置されているLPガスに含まれる放射性物質量調査
避難指示区域に残置されているLPガスに含まれる放射性物質量調査結果について 平成27年10月14日 原子力被災者生活支援チーム 1.概要 原子力被災者生活支援チームでは、関係機関と協力して、避難指示区域内に残置されているL Pガスボンベの回収等を検討しており、それに先だって、今般、LPガスボンベ内部への放射性物 質(放射性セシウム)の混入の有無を確認することとした。環境中におけるセシウムの移行メカニ ズムを考慮すると、バルブの閉まっている LP ガスボンベ内部に入るとは考えられないことから 脚 注 1) 、ボンベ内のガスにセシウムが混入しているとは考えにくいものの、確実に混入していないこ とを示すための測定として、避難指示区域に残置されているLPガスボンベからガスをフィルターを 通して放出し、フィルターの放射性物質を分析することでガス中の放射性物質濃度を評価した。 その結果、空間線量率の高い地域であっても、残置されているLPガスボンベ内のガス中からは 放射性物質は検出されなかった。 2.調査対象 ・避難指示区域(帰還困難区域)に残置されているLPガスボンベ内のガス 3.調査方法 (1)調査対象地域 帰還困難区域のうち、特に空間線量率の高い大熊町夫沢地区及び小入野地区より11地点を 選定した。選定した地点の空間線量率は、15.2~39.3μSv/h の範囲であった。 (2)試料採取実施期間 ・平成27年8月27日~28日 (3)評価方法 セシウムは大気浮遊じんに付着して移動するため、仮に、LP ガスボンベ内にセシウムが混入 している場合、ガスの放出によって大気浮遊じんと共に放出されると考えられる。そこで、ガスを 大気浮遊じん捕集用フィルターを通して放出し、フィルターを分析することでガス中の放射性物 質濃度を評価した。ここで、フィルターの分析は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 福島研究開発部門 福島環境安全センター(笹木野分析所)の協力を得て行った。 1 福島第一原子力発電所の事故で主として環境に放出された核種はセシウム134及びセシウム137である。バ ルブの閉まったボンベの内部にバルブからセシウムが浸入することは考えにくい。また、セシウム原子は金属 の結晶格子に比べて大きいため、LPガスボンベ表面に付着したセシウムが内部に浸透することはない。さら に、セシウム134及びセシウム137が放出する放射線はエネルギーが低いため、LPガスボンベや内部のガス を放射化することはない。以上の内容については、NPO法人放射線安全フォーラムからも同様の見解が示され ている。 1 (1)で選定した11地点より、16本のLPガスボンベを回収した。16本のLPガスボンベを5つに 組分け、それぞれ図1に示す治具を接続し、内部のガスを大気浮遊じん捕集用フィルターを通し て放出し、測定試料とした。 Ge半導体検出器で試料の放射能量を測定し、通気したガスの体積で除してガス中の放射性 物質濃度を求めた。ここで、検出限界値は幹線道路等の線量調査 (参1~4)における空気中の放 射性物質濃度の測定時と同程度(約0.002Bq/m3)を目標に設定した。 4.調査結果 ガス中の放射性物質濃度を表1に示す。いずれのサンプルも検出限界値未満であり、LP ガス ボンベ内への放射性物質の有意な混入はないと考えられる。 ※この調査は、原子力規制庁職員の参画を得て実施したものである。 (参考資料) 参1 原子力被災者生活支援チーム、JR常磐線(広野駅~竜田駅間)の線量調査結果について (平成26年5月30日公表) 参2 原子力被災者生活支援チーム、常磐自動車道(浪江IC~南相馬IC間)及び国道114号(浪 江IC~国道6号間)の線量調査結果について(平成26年10月3日公表) 参3 原子力被災者生活支援チーム、常磐自動車道(常磐富岡IC~浪江IC間)及びならはPAの 線量調査結果について-開通前の最終確認結果-(平成27年2月27日公表) 参4 原子力被災者生活支援チーム、帰還困難区域を含む国道288号、国道114号県道35号 及び大熊町道の線量調査結果について(平成27年6月5日公表) (本資料の問合せ先) 内閣府 原子力災害対策本部 原子力被災者生活支援チーム(山田、川﨑、大塚) 電話:03-5114-2225(原子力規制庁内) 2 図1 LPガス中の浮遊じん捕集の様子 表1 ガス中の放射性物質濃度の測定結果 放射能濃度(Bq/m3) サン プル Cs-134 Cs-137 ND注1 ND (0.00068)注2 (0.00075) ND ND (0.00073) (0.00056) ND ND (0.00077) (0.00059) ND ND (0.0010) (0.00077) ND ND (0.00077) (0.00062) ND ND (0.00083) (0.00067) 備考 No. 1 2 3 4 5 6 大熊町から採取した試料 大熊町から採取した試料 大熊町から採取した試料 大熊町から採取した試料 大熊町から採取した試料 比較参照試料 注3 注1:ND は検出限界値未満であることを示す 注2:括弧の中は検出限界値 注3:新品のガスボンベから測定対象ガスボンベと同程度の体積のガスを通気したフィルター 3