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切り花の鮮度管理と日持ち保証

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切り花の鮮度管理と日持ち保証
切り花の鮮度管理と
日持ち保証
2010.2.25東海地域花きセミナー
宇田 明
1.日持ちと鮮度
1. 日持ちと鮮度は同じではない
2. 日持ちをどのように計るか
3. 日持ちは老化、鮮度は水分収支
(1)切り花では「日持ち」と 「鮮度」は
同じではない
状態
日持ち 生けてから観賞
価値を失うまで
鮮度
判定
原理
進行
日数
老化
一方通行
水分収支
回復可能
見かけ上のみず 主観、目視、
みずしさ
手触り
(2)日持ちをどのように計るか
日持ち検査環境
室温25℃
照度1,000ルクス12時間照明(12時間暗黒)
相対湿度60%(目標)
後処理剤使用
日持ち検査マニュアル
切り花の日持ち評価
リファレンステスト
マニュアル
花卉生産システム研究会
2006年3月
土井・稲本・山中・小山・宇田
(3)鮮度は水分収支
吸水と蒸散のバランス
なぜ切り口(根)から水を吸い上げることができるか
吸水と蒸散のバランス
吸水>蒸散=黒字
吸水(収入)が
蒸散(支出)
より多い
フレシュ
蒸散
吸水
吸水と蒸散のバランス
吸水<蒸散=赤字
蒸散(支出)は同じだが
吸水(収入)が減った
萎れ
道管閉塞
蒸散
吸水が減った:導管閉塞
対策
切り口、水の殺菌
吸水
吸水と蒸散のバランス
吸水<蒸散=赤字
吸水(収入)は同じだが
蒸散(支出)が増えた
萎れ
蒸散過多
蒸散
対策
暗所・低温下におく
葉を取り除く
吸水
2.日持ち保証と採花日表示
1. 日持ち保証:誰が誰に保証するのか
2. 誰が保証販売をのぞんでいるか
3. ユニクロのLMSと切り花のLMSは同じか
4. 切り花の価値は日持ちだけではない
5. 生産履歴の記帳と提示
2010年1月19日 日本農業新聞
日持ち保証をどう儲けに
結びつけるか
99%
100%
全国886店
80%
61%
60%
40%
40%
30%
27%
22%
20%
12%
6%
3%
0%
環
に
境
さ
や
い
し
品
商
を
色
指
さ
定
る
れ
日
ち
持
す
る
品
商
目
品
・品
の
種
定
指
鮮
が
度
よ
い
花
季
感
節
あ
の
る
花
引
値
き
少
希
(新
品
)
品
商
品
産
国
図 消費者からどのような要望がありますか「よくある」の回答数(H21 JFTD白書)
100%
80%
60%
41%
40%
40%
38%
38%
16%
20%
4%
2%
1%
0%
持
日
ち
法
方
理
管
前
名
の
花
段
値
前
名
の
種
品
こ
花
ば
と
国
産
生
図 消費者からの質問「よくある」の回答数(H21JFTD白書)
産
名
地
何日なら満足か?
JFMA2009 インターネットアンケート
1日間
1%
10日間以上
31%
3日間
4% 5日間
12%
7日間
52%
(1)誰が誰に保証するのか
①生産者が保証
産地が市場、花店に保証
出荷時に保証できる日持ちを表示
例 常陸野カーネーション組合 13日間保証
産地で定期的に日持ち検査
茨城園芸試験場が協力
日持ち保証システム
花市場
日
り持
花ち
のが
生長
産い
切
リ
フ
日持ち試験依頼
日持ち試験結果
報告
出荷品に日持ち
日数表示
ァ
生産者
レ
ン
ス
テ
ス
ト
日持ち日数を考
慮して買い付け
小売り
消費者
速
や
か
な
販
売
後
処
理
剤
使
用
情報提供
図 日持ち保証システムのイメージ(農林水産省 2004に追加)
(1)誰が誰に保証するのか
②花店が保証
花店が消費者に保証
欧米のスーパーマーケットでは日持ち保証販売で
成功
日本のスーパーも欧米をまねる
(1)誰が誰に保証するのか
③花店の保証事例
過去 サンクス
バラ5日間保証(難波駅コンコース)
現在 ヤオコー新規開店5店(JFMAニュース)
全品目5日間保証
FAJ、東日本板橋、クリザールなどで9日間の日持ち
テストに合格した50品目
トルコギキョウは失格
MPS認証取得生産者優先
1束198円
全90店舗に拡大予定
(2)誰が保証販売をのぞんでいるか
専門店は「のれん」が信用
量販は保証販売を希望
(3)ユニクロのLMSと切り花のLMSは同じか
 ユニクロのLMSは大きさが違うだけで質、値段は同じ
 切り花のLMSは質が違う
 2L、Lをめざして生産をしたが、失敗してMSができた
 MSは日当たりが悪い、芽の数が多いなどで
体内養分が少ない
 MSを収穫後の管理技術でよくすることはできない
 スーパーが日持ち保証したいのはMSの花
 今のMSの切り花では日持ち保証できない
スーパーが日持ち保証販売をするためには
産地との連携 MSをめざした生産
無駄なボリュームを生産しない=炭酸ガス削減
リファレンステストマニュアルの拡充
後処理剤使用を前提(後処理剤小袋をつける)
(4)切り花の価値は日持ちだけではない
 スーパー・量販は日持ち
 青山FMは日持ちより鮮度
 ダリア、クチナシの人気
 朝採りイチゴ、イチジクはあるが朝採り切り花は
ないのか
 「日持ち保証」と「採花日表示」
鮮度
 切り花の鮮度は見かけ上のみずみずしさ
 野菜の鮮度は収穫後の時間
 切り花の鮮度も収穫後の時間が重視されるよう
になってきた
 切り花では収穫後の時間が延び続けている
 花市場の2日前、3日前入荷
 量販店での中短期貯蔵→スーパーの花束
図 花店が産地にのぞむこと
(平成21年度JFTD白書)
100%
95%
94%
80%
73%
66%
60%
40%
20%
0%
前処理情報
採花日表示
産地直送
短茎安価
採花日表示
 近郊生産者は採花日表示に賛成
 大市場は対応できるか
 2日前、3日前出荷と採花日表示の整理
 大市場での採花日表示受け入れ体制
3.差別化商品
1. 差別化商品が増えている
2. 差別化商品をどう販売に結びつけるか
3. すべては生産履歴の記帳から
(1)「差別化商品」が増えている
 エコファーマー、MPS、日持ち保証、採花日表示、
CO2排出量・・・
 販売にどのようにつなげるのか




環境にやさしい花が欲しい花店
鮮度がよい花が欲しい花店
日持ちが長い花が欲しい花店
安い花が欲しい花店
(2)産地-市場-花店の連携
情報の共有
採花日
日持ち日数
環境に配慮した栽培
いくらで売りたいか
川上
川下
生産
情報
売れ筋商品
欲しい品質
のぞむ販売形態
いくらなら買えるか
生産
市場
市場
花店
花店
情報
花店で花が売れないと
生産者の花も売れない
花店で花が売れて
生産者の花が売れる
環境にやさしい花づくりの
ためには、まず記録
生産技術の改善に役立つ
スーパー、生協など消費者へ
生産履歴(トレイサビリティ)提示
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