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日本医学図書館協会のロゴ・マーク - So-net
医学図書館 1989;36(3):196—197. <オン・ザ・スポット> 日本医学図書館協会のロゴ・マーク 堀 江 幸 司 東京女子医科大学図書館 富士山にアスクレピオスの杖。本協会のロゴ・マークが決まった。(図1)アスクレピオス (Asclepjius)は,ギリシャ最古の医神アポロン(Applon)の子でギリシャ神話の医神。アスクレピオ スの獣神は蛇で,蛇の絡まった杖を持っている。これにちなんで,杖に蛇を絡ませる図柄が医学 のシンボルとしてよく使われる。 図1.新たに決められたロゴ・マーク 図2.ロゴ・マークの原図となった図柄 今回,本協会のロゴ・マークに決定された図柄の原図となるものは,既に30年前につくられて いたものである。当時の『医学図書館』には,次ぎのように記されている。少し長くなるが,引用し ておく。 「・・・小学館につながる昭和写真製版所の柴田庄次郎さんの厚意で,『協議題総目録』の表紙 に,上掲(図2)のような版を入れることができた。日本を富士山であらわし,医学としての蛇を Library の L に巻き付けて,長方形に入りこみのある,ガッチリ組み合った八咫(やた)の枠でかこ み,協会名の小文字をあしらったが,協会のシンボルときめた訳ではない。30年史の表紙広場 の埋草につかったまでである。」(蛇紋の表紙:医学図書館 1958;5(5):363.) 医学図書館 1989;36(3):196—197. <オン・ザ・スポット> 当時の日本医学図書館協会は,先頃亡くなられて緒方富雄会長を中心に,全国46医科大学 (医学部)附属図書館の完全加盟を実現し,多角的な医学図書館活動を展開していた。国際的 な活動にも力を注いでいた本協会にとって,『協議題総目録(第1−29回,昭和2−33年)』(編集 責任者・中里龍瑛<東大><現本協会名誉顧問>)の埋草に使われたカットは,シンボルにふ さわしいものであった。しかし,当時は,シンボル・マークとしては定められなかった。それが,今 回,手直しされ正式なロゴ・マークとなったのである。 昭和63年度第3回理事会(新執行部の第1回)が,昭和63年(1988)6月28日,成城クラブ (東京・有楽町)において開催された。黒須吉夫教授(東邦)が,本協会の第13代会長に就任し たのに伴い,会長交代および理事の担当職務を国内外の関係諸機関・団体に通知することにな った。そこで,本協会の正式なレターヘッドを決めることになり,ロゴ・マークのデザインは黒須会 長と井上英新渉外担当理事(東邦)に一任された。その後,井上理事と裏田和夫(慈恵)・大久保 泰雄(日大歯)の両総務担当理事によって具体案が検討され,今回,正式決定の運びとなった。 新しいデザインと,もとの図柄との大きな違いは囲みの違いである。もとの図柄では八咫の囲 みであったが,新しい図柄では,単純化されて盾の形となった。富士山とアスクレピオスの杖の 構図はもとのままである。ちなみに,もとの図柄の杖の L の字は『医学図書館』創刊号の表紙の デザインから採られていた。 このロゴ・マークは本協会のレターヘッドに採用されたほかに,平成元年(1989)6月1日(木) −2日(金),日本大学会館大講堂で開催された第60回日本医学図書館協会記念総会の記念品 (男性用はネクタイピン,女性用はペンダント)のデザインとしても使用され,さらに記念出版物と して刊行された『日本医学図書館協会六十年略史』(題字:牛場大蔵名誉顧問)の表紙に箔押し され,標題紙にも印刷された。 表紙の箔押し用につくられたロゴ・マークの型は,本来なら出版後処分されてしまうものだが, 今回は,出版をお願いした形成社の中城(なかじょう)民夫氏のご厚意で,箔押しの型に台を付 けて残して頂くことができた。また,題字の箔押し用の型も残して頂いた。本協会としては,よい 記念の品となった。 『協議題総目録』(30年史)をまとめられた中里龍瑛氏が埋草用のカットとして使われた図柄が, 30年の年月を経て『日本医学図書館協会六十年略史』に本協会の正式なロゴ・マークとして標 題紙をかざることになったのは偶然であった。しかし,この偶然の出来事の中にも,なにか日本 医学図書館協会の歴史と継続性といったことを感じるのである。 (平成22年1月20日 リポジトリ登録)