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再生可能エネルギーの 現状と導入促進策について
資料2 再生可能エネルギーの 現状と導入促進策について 平成21年11月6日 資源エネルギー庁 再生可能エネルギーの全量買取に 関するプロジェクトチーム 1.再生可能エネルギーとは (1)再生可能エネルギーの定義(国際エネルギー機関(IEA)) 「絶えず補充される自然のプロセス由来のエネルギー」 「太陽、風力、バイオマス、地熱、水力、海洋資源から生成されるエネルギー、再生可能起源の 水素が含まれる」 (2)再生可能エネルギーの定義(国際再生可能エネルギー機関(IRENA)) 「再生可能エネルギー」とは、再生することが可能な資源から持続可能な方法で生産されるあらゆ る形態のエネルギーをいい、特に次のものを含む。 バイオエネルギー、地熱エネルギー、水力エネルギー、海洋エネルギー(特に、潮力エネルギー、 波力エネルギー及び海洋温度差エネルギーを含む)、太陽光エネルギー、風力エネルギー (3)エネルギー供給高度化法における再生可能エネルギー源の定義 【エネルギー供給構造高度化法第2条第3項】 この法律において「再生可能エネルギー源」とは、太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、 エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令に定められるものを いう。 【エネルギー供給構造高度化法施行令第4条で規定している「再生可能エネルギー源」 】 ①太陽光、②風力、③水力、④地熱、⑤太陽熱、 ⑥大気中の熱その他の自然界に存する熱(④⑤に掲げるものを除く。) ⑦バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの (法第2条第2項に規定する化石燃料を除く。)をいう。) 1 (4)新エネ法における新エネルギー等の定義 【新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法第2条】 この法律において「新エネルギー利用等」とは、非化石エネルギーの開発及び導入の促進に関する 法律 (昭和五十五年法律第七十一号)第二条に規定する非化石エネルギー(以下この条において 「非化石エネルギー 」という。)を製造し、若しくは発生させ、又は利用すること及び電気を変換して 得られる動力を利用することのうち、経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、 その促進を図ることが非化石エネルギーの導入を図るため特に必要なものとして政令で定めるもの をいう。 【新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令第で規定している「新エネルギー利用等」 】 ①バイオ燃料、②バイオマス熱利用、③太陽熱利用、④温度差熱利用、⑤雪氷熱利用、 ⑥バイオマス発電、⑦地熱発電(バイナリー方式*に限る)、⑧風力発電、 ⑨水力発電(1000kW以下のもの)、⑩太陽光発電 *熱源を著しく減じないもの (5)ヒートポンプ、燃料電池、コージェネレーションについて ・ヒートポンプは自然界に存するエネルギーの一形態である空気熱を利用するもので あり、また、永続的な利用も可能であることから、再生可能エネルギーの利用形態の 一つに位置づけるもの。EUの「再生可能資源によるエネルギーの利用促進に関する EU指令」においても、高効率ヒートポンプは再生可能エネルギーに算入されている。 ・一方、燃料電池やコージェネレーションからの廃熱は、再生可能エネルギーとは位置 づけられないが、未利用エネルギーの高度利用として再生可能エネルギーに準ずる ものとして、広義の再生可能エネルギー等として位置づけることが可能。 2 再生可能エネルギーの重要性 ○ 再生可能エネルギーは、 地球温暖化対策に貢献 エネルギーの多様化により、輸入依存度を低減(エネルギーセキュリティー) 新規産業・雇用の創出にも寄与 ○ 我が国の再生可能エネルギーの導入実績も目標も、主要各国に比べて遜色ない。 ○ 日本の強みは技術力であり、今後技術開発や導入促進政策により更なる導入拡大が必要。 ○ 一方、その導入には、出力の不安定性やコスト高、立地制約といった課題が常に存在する。 <各国・地域の最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギー等の割合(2005年)・目標(2020年)> (%) 23 25 20(※) 20 18 20 15 15 10 10.3 8.4 8.5 5.8 5 1.3 0 日本 ドイツ フランス イギリス EU 2005年実績 2020年目標 ※注:図は最終エネルギー消費に占める比率。 日本の一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの比率は5.9%。 ※2020年の日本の最終エネルギー消費における再生可能エネルギーには空気熱等が含まれる。 ※ 出典 各国報道発表資料等を参考に経済産業省にて作成 3 再生可能エネルギーの導入見通しについて 「長期エネルギー需給見通し[再計算]」(2009年8月)の最大導入ケースにおいては、 一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの比率を、2020年に9.0%、2030 年に11.6%としている。 長期エネルギー需給見通しにおける再生可能エネルギーの最大導入ケース ( )内は一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合 日本の一次エネルギー供給 (2005年度) 再生可能 エネルギー 5.9% 原子力 11% (11.6%) 6000 (9.0%) 5000 (5.9%) 4000 700 269 200 494 太陽光発電 423 風力発電 727 バイオマス・廃棄物発電 393 35 石油 天然ガス 27380PJ 14% (約6億1千万原油換算kl) 49% 44 252 3000 142 1300 330 763 バイオマス熱利用 687 その他 2000 2013 1931 石炭 20% 水力 1732 地熱 1000 570 631 766 2005 2020 2030 0 4 参考:民主党マニフェスト 民主党の政権政策Manifesto2009(抜粋) 43.全量買い取り方式の固定価格買取制度を導入する 【政策目的】 ○国民生活に根ざした温暖化対策を推進することにより、国民の温暖化に対する 意識を高める。 ○エネルギー分野での新たな技術開発・産業育成をすすめ、安定した雇用を創出 する。 【具体策】 ○全量買い取り方式の再生可能エネルギーに対する固定価格買取制度を早期に 導入するとともに、効率的な電力網(スマートグリッド)の技術開発・普及を促進する。 ○住宅用などの太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成する。 5 2.エネルギー源別の検討 • • • • • • 太陽光 風力 バイオマス 水力 地熱 その他 6 太陽光発電について データ(2005年時点) ○ 導入量 約142万kW(原油換算35万kl) ○ 発電原価 約49円/kWh ○ CO2削減コスト(試算):約69千円/t-CO2 長期エネルギー需給見通し(最大導入ケース) ○ 導入量を2020年頃に現状(05年度)の 20倍程度 ○ システム価格を3∼5年で半額程度にまで 低減(政策目標) 特徴 ○ 大幅な発電コスト低下が見込まれる ○ 住宅・非住宅とも潜在的な導入量が大きい (個人でも導入可能) ○ 産業の裾野が広い 課題 ○ 発電原価が他の発電方式に比べ高い ○ 出力不安定で系統安定化対策が必要 現在の導入促進策 ○ 補助金(住宅用・事業用・公共用) ○ 税制 ○ 余剰電力買取制度 ○ RPS制度(買取制度対象外のものに限る) ○ 研究開発・実証試験 600 (万kW) ドイツ 500 日本 400 アメリカ スペイン 300 200 100 0 2000 2005 2008 太陽光発電の累積導入量の推移 <国別生産量> 2008年の太陽電池生産量 6941MW その他 15.3% 中国 25.8% 米国 11.9% 台湾 12.0% <企業別生産量> 1位 Q-Cells(独) Cells(独) 569MW 2位 First Solar(米) Solar(米)507MW 507MW ドイツ 17.4% 日本 17.6% 3位 Suntech( Suntech(中) 500MW 4位 シャープ 472MW 5位 MOTECH(台) MOTECH(台) 382MW 6位 京セラ 292MW 11位 三洋電機 208MW 世界の太陽電池の生産量(2008年) 7 風力発電について データ(2005年時点) ○導入量 約108万kW(原油換算44万kl) ○発電原価 約10∼14円/kWh ○CO2削減コスト(試算):約4.2∼10.8千円/t-CO2 長期エネルギー需給見通し(最大導入ケース) ○導入量を2020年に現状(05年度)の5倍程度 (500万kW) 特徴 ○相対的に発電コストが低く、事業採算性が高い ○小型風力・洋上風力などの新技術も登場 課題 ○立地制約(風況・自然公園・景観・バードストライク等) ○発電コストは逓増する可能性が高い ○出力が不安定で電力系統上の制約 ○騒音対策等 現在の導入促進策 ○補助金(事業用、公共用) ○税制 ○RPS制度 ○研究開発・実証試験 世界(MW) 140000 120000 日本(MW) 2400 世界 2200 日本 100000 2000 80000 1600 60000 1200 40000 800 20000 400 0 0 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 風力発電の累積導入量の推移 世界の風力発電導入量 120,798MW(2008年) その他 27% 米国 21% ドイツ 20% インド 8% 中国 10% <国別導入量> スペイン 14% 1位 米国 25170MW 2位 ドイツ 23903MW 3位 スペイン 16754MW 4位 中国 12210MW 5位 インド 9645MW 13位 日本 1880MW 風力発電機の導入量(2008年) 8 バイオマス発電について データ(2005年時点) ○ 導入量 約223万kW(原油換算252万kl) ○ 発電原価 千差万別 ○ CO2削減コスト:千差万別 主なバイオマスの未利用量 (資料)バイオマス・ニッポン総合戦略推進会議(平成21年3月24日)をもとに作成 長期エネルギー需給見通し(最大導入ケース) ○ 導入量を2020年に約333万kW 特徴 ○ 地域の未利用資源の利用が可能 ○ バイオマス発電利用だけでなく、熱利用や マテリアル利用など、用途が幅広い ○ 種類・利用方法によりコストが大きく異なる ○ 実態として有限な資源であり、供給量や価 格の変動を伴う 課題 ○ 他用途への仕向け量等に関する配慮必要 ○ 大量導入のための原料の安定供給 ○ LCAでのCO2削減効果の検証が必要 (注)発生量ベース。下水汚泥に関しては濃縮汚泥ベース。 燃料 化 林 地・山 土場 •伐 採 ・搬 出 ・運材 ・チ ッ プ化 orペレ ッ ト 化 林地 残材 輸送 実 証 事 業 発電 所 •受入 ・ 貯 蔵設 備 •払出 ・ 混 炭設 備 ・ 専 用設 備 ( 大規 模 時) ・ 実 証運 転 経 費 既 設 石 炭 払 出コン ベヤ 現在の導入促進策 ○ 補助金(事業用、公共用) ○ 税制 ○ RPS制度 ○ 研究開発・実証試験 貯 炭 場 石 炭 既 設石 炭払 出コン ベ ヤ ボ イ ラ 受入コ ンベ ヤ 払出 コン ベ ヤ 石炭 バンカ トラ ッ ク 貯蔵 サイロ 木質バ イオ マ ス燃料 補 助 対 象 設備の 範囲 微粉 炭機 (ミ ル ) 林地残材バイオマスの石炭混燃発電実証 9 水力発電について データ(2005年時点) ○導入量 約4574万kW (原油換算1732万kl) ○発電原価 約8∼13円/kWh ○CO2削減コスト(試算):約0.8∼9.2千円/t-CO2 (万kW) 5000 (億kWh) 設備容量(左軸) 発電量 (右軸) 1200 設備容量( 1000kW) 発電電力量( 100万kWh) 4000 800 3000 2000 400 1000 長期エネルギー需給見通し(最大導入ケース) ○導入量を2020年に約4925万kW 1965年 1970年 1980年 〔水道水〕 新枯渕発電所 2005年 〔農業用水〕 家中川小水力市民発電所 課題 ○立地箇所の制約が大きい ○発電コストは逓増する可能性が高い ● 〔河川維持放流水〕 ● ● 清和発電所 百村第二発電所 〔河川水〕 宮川ダム維持流量発電所 現在の導入促進策 ○補助金(事業用、公共用) ○RPS制度(1000kW以下の水力) 2000年 水力発電設備規模及び発電量推移 郡山ポンプ場水力発電所 特徴 ○安定的な発電が可能であり、技術的にも 成熟 ○中小水力発電への関心の高まり 1990年 ● ● ● ● 〔新型除塵装置付可変速 大型下掛け水車発電システム〕 鷺沼発電所 〔水道水〕 〔砂防ダム水〕 中小水力発電の導入事例 10 地熱発電について データ(2005年時点) ○ 導入量 52万kW(原油換算73万kl) ○ 全国18箇所 ○ 発電原価 約9∼22円/kWh(注) ○ CO2削減コスト(試算): 約2.5∼24.2千円/t−CO2 (出典)「地熱開発促進調査(戦略的全国調査)」(平成13年度NEDO実施)の結果を 基に「地熱発電に関する研究会」(平成21年3月)において試算。 目標 ○ 導入量を2020年に約53万kW (億kWh) (万kW) 60 50 認可出力 (万kW) 発電電力量 (億kWh) 53.0 40 37.9 30 27.029.6 20 16.1 13.9 4.8 53.5 21.4 10 3.1 0 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 地熱発電の設備容量及び発電電力量の推移 40 35 30 25 20 15 10 5 0 (年度) 特徴 ○ 安定的な発電が可能であり、技術的にも 成熟 ○ 国内に豊富に存在 課題 ○ 立地箇所の制約が大きい ○ 発電コストは逓増する可能性が高い 現在の導入促進策 ○ 補助金(事業用、公共用) ○ RPS制度(熱水を著しく減じない発電方式の場合) (出典)第1回地熱発電に関する研究会より 温泉発電(53℃∼120℃)の資源量予測 11 その他の再生可能エネルギー • 海洋エネルギー – 海洋温度差発電 – 潮力発電 – 波力発電 • 太陽熱発電 12