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水質モニタリング 調査マニュアル

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水質モニタリング 調査マニュアル
吉野川下流域農地防災事業
水質モニタリング
調査マニュアル
(案)
平成 26 年 3 月
中国四国農政局四国東部農地防災事務所
目 次
1. モニタリングの進め方 ................................................... 1
1.1 モニタリングの目的 .................................................. 1
1.2 モニタリングの実施段階 .............................................. 2
1.3 モニタリングの実施内容 .............................................. 3
1.3.1 水質 ............................................................ 3
1.3.2 水質以外の項目 .................................................. 3
2. 水質モニタリング ....................................................... 5
2.1 水質モニタリングの実施体制 .......................................... 5
2.2 水質モニタリングの実施内容 .......................................... 6
2.3 毎月調査 ............................................................ 9
2.4 データチェック ..................................................... 10
2.5 その他のデータの収集・整理 ......................................... 13
3. 水質の指標値超過時の対応 .............................................. 15
3.1 データチェックによる指標値超過地点・項目の確認 ..................... 15
3.2 追加調査の実施手順 ................................................. 16
4. データの評価 .......................................................... 24
4.1 評価の進め方 ....................................................... 24
4.2 評価方法 ........................................................... 26
5. 参考資料 .............................................................. 27
1. モニタリングの進め方
1.1 モニタリングの目的
吉野川下流域農地防災事業の実施により、河川水質への影響が想定されたが、水
質予測結果によれば、事業後においても変化は小さく、環境基準値も満たすことが
予測されている。
しかしながら、予測検討には不確実な要因等も残るため、実際の環境変化を把握
し、影響の有無等を確認することを目的として、事後調査(モニタリング)を実施
し、慎重に対処していくものとする。
モニタリング計画の策定
モニタリング結果の確認
モニタリング計画の点検
図 1-1 モニタリングの実施イメージ
1
学識経験者のアドバイス等
モニタリングの実施
必要に応じて
見直し
1.2 モニタリングの実施段階
モニタリングは、事業の進捗に応じて、
「取水開始前」、
「段階的取水時」及び「供
用時」の 3 つの実施段階に分けることができる。
「取水開始前」のモニタリングは、事業着手時より進められてきている各種調査
を含み、事業影響の予測検討等に用いるデータを取得してきた。
「段階的取水時」のモニタリングは、試験通水時における段階的取水 ※ による環
境への影響の有無・程度を確認するために実施するものである。
「供用時」のモニタリングは、事業完了後の環境の変化を一定期間監視するもの
である。
本マニュアルは、「段階的取水時」におけるモニタリングの具体的な実施内容を
とりまとめるものである。
※段階的取水について
取水口からの取水量を、初めから全量での取水を行わずに、数ヵ年をかけて段階的
に取水量を計画量まで増やしていく方法。
段階的取水の実施により、河川に生じる変化はよりゆるやかなものとなり、十分な
モニタリングと分析が可能になる。また、万が一予測の範囲を超える影響が出現した
場合にも、早期の発見と適切な対応を行うことが可能になる。
取水開始前のモニタリング
段階的取水時のモニタリング
供用時のモニタリング
図 1-2 モニタリングの実施段階
2
1.3 モニタリングの実施内容
1.3.1 水質
本事業においては、用水系統の更新と新たな取水口の運用により、吉野川下流域
の河川水質への影響が想定されたが、影響予測結果によれば、事業後においても変
化は小さく、環境基準値も満たすことが予測されている。
しかしながら、予測検討には不確実な要因等も残るため、実際の環境変化を把握
し、影響の有無等を確認するため、水質のモニタリングを実施する。
水質のモニタリング項目は、これまで実施されてきた調査と同様とし、水質調査
の補足情報として必要となる河川流量、気象データについても各年毎に収集・整理
する。
1.3.2 水質以外の項目
(1)地下水
地下水は、A層(不圧地下水)は西二条、飯尾、西覚円、下ノ庄、祖母ヶ島、
不動北、吉成、柿原、東中富、応神、C層(被圧地下水)は藍住南小学校におい
て、地下水位(水頭)を測定する。
詳細を表 1-1 に示す。
(2)植物
植物については植生断面調査を行う。調査地点、調査時期および調査方法につ
いては、取水開始前の状況との比較検討を行う観点から、過年度の調査方法と同
様とする。
詳細を表 1-1 に示す。
(3)動物
動物については魚類相調査及びアユ調査を行う。調査地点、調査時期および調
査方法については、取水開始前の状況との比較検討を行う観点から、過年度の調
査方法と同様とする。
詳細を表 1-1 に示す。
(4)底質(参考項目)
河川水質の変化を補足的に説明するための参考項目として底質の調査を行う。
調査地点及び項目を表 1-1 に示す。
3
表 1-1 モニタリング調査項目
調査項目
(1) 河 川 水
質
調査内容
BOD、COD、DO、T-N、
T-P、クロロフィルa
(参考項目)
pH、SS、大腸菌群
塩素イオン、
水道源水水質項目
(2)地下水
A層
C層
(3)植物
(4)動物
(5)底質
( 参 考 項
目)
調査地点
・吉 野 川:阿波中央橋、高瀬橋、第十堰貯水池内
・旧吉野川:藍園橋、市場橋、牛屋島橋、
旧吉野川河口堰上流
・今 切 川:今切川河口堰上流
・吉 野 川:名田橋、吉野川大橋
補 ・旧吉野川:旧吉野川河口堰下流、大津橋
・今 切 川:今切川河口堰下流、加賀須野橋
足 ・吉野川への流入 :蛇池川、江川、飯尾川
・旧吉野川への流入:六条暗渠、宮川内谷川、
地
黒谷川、八ヶ村排水末端、
藍住町乙瀬排水末端
点 ・今切川への流入 :源九郎排水末端
・徳島市、鳴門市、北島町、松茂町の
水道源流地点
西二条、飯尾、西覚円、下ノ庄、祖母ヶ島、不動北、
吉成、柿原 ※ 、東中富 ※ 、応神 ※
藍住南小学校
植性断面調査
・旧吉野川(23.4km 地点、18.6km 地点、6.4km 地点)
・今 切 川(11.4km地点)
・その他に重要種が確認された箇所
魚類相調査
・吉 野 川:学島橋、高瀬橋、第十樋門上流、
第十堰貯水池内、第十堰下流
・旧吉野川:旧吉野川揚水機場、大寺橋、長岸橋、
大津橋
・今 切 川:百石須
アユ調査
・学島橋、川島橋、西条大橋、高瀬橋
泥温・水温、ORP(酸化 ・吉 野 川:第十堰貯水池内、名田橋付近
還元電位)、堆積層厚、 ・旧吉野川:市場橋、旧吉野川河口堰上流 ※
粒度組成、pH、含水率、 ・今 切 川:今切川河口堰上流 ※
VSS(強熱減量)、CODsed、
硫化物、T-N、T-P
4
調査方法
公定法
調査頻度
月々観測
調査実施者
・国土交通省、水資源機構、
徳島県、徳島市、四国東部
農地防災事務所による観測
公定法
及び
パックテスト
月々観測
・四国東部農地防災事務所
による観測
公定法
自記水位計
各市町にて定めた調
査時期による観測
毎時観測
自記水位計
毎時観測
・徳島市、鳴門市、北島町、
松茂町による観測
・国土交通省による観測
※の調査地点は四国東部農
地防災事務所による観測
・徳島県による観測
帯状区調査、重
要な種確認調査
6月から10月にかけ
て4回実施
・四国東部農地防災事務所
による調査
採捕、潜水目視
春∼冬 4 回
・四国東部農地防災事務所
による調査
採捕、潜水目視
JIS規格
春∼秋 年3 回
四季毎に年 4 回実施
・四国東部農地防災事務所
による調査
※の調査地点は6月のみ水
資源機構による観測
2. 水質モニタリング
2.1 水質モニタリングの実施体制
本事業に係る水質モニタリングでは、公共用水域調査結果のデータ提供を受ける
ことで、モニタリングの一元化と効率化を図っている。徳島県においては、毎年春
に策定される「公共用水域及び地下水の水質の測定に関する計画」に基づき、表 2-1
に示す測定機関により調査が実施されている。このうち、事業影響の予測評価に必
要な吉野川下流域を代表する地点として、7 地点の調査結果の提供を受けている。
(参考:前章「1.3 モニタリングの実施内容」の表 1-1 参照)
一方で、本事業の新たな取水口の運用に伴う環境影響予測を行うにあたり、事業
対象範囲の上流端に位置する「阿波中央橋」を基準点として設定し、事業者主体の
水質調査を実施してきている。阿波中央橋の水質調査は、上記の公共用水域調査結
果と併せてデータ解析等を行う観点から、実施日、測定方法、分析方法等は、公共
用水域調査に準じて実施している。
上記のように、本事業における水質モニタリング調査では、様々な実施主体によ
る調査の結果を活用しており、関係機関との連携や情報共有が重要となっている。
モニタリングは供用開始後数ヶ年まで継続する予定であり、今後も同様の実施体制
で進めていくことから、関係機関との連携をより強めていく必要がある。
表 2-1 徳島県内の公共用水域調査における測定機関
機関名
国土交通省
徳島県
徳島市
鳴門市
小松島市
阿南市
北島町
担当事務所または担当部署
四国地方整備局徳島河川国道事務所、那賀川河川事務所、四国
技術事務所
環境管理課、保健製薬環境センター、南部総合県民局、西部総
合県民局
環境保全課
環境政策課
生活環境課
環境保全課
生活産業課
出典:平成 25 年度公共用水域及び地下水の水質の測定に関する計画(徳島県,2013 年 3 月 29 日策定)
5
2.2 水質モニタリングの実施内容
(1)実施内容
本マニュアルでは、事業に係るこれまでの水質調査の実施状況をふまえ、公共
用水域調査を主とする毎月 1 回の水質調査を「毎月調査」と表記する。
また、取水開始後の事業影響の有無・程度を検討するため、対象 8 地点の水質
6 項目が指標値※を超過した場合に実施する水質調査を「追加調査」と表記する。
「追加調査」は、各地点・各項目で設定した指標値に基づき、毎月の観測値が
指標値を超過していないかチェックし、超過している場合は、その超過項目・地
点を対象として、できるだけ元の調査日に近いうちに別途調査を行い、データを
補足するものである(「2.4 データチェック」に詳述)。なお、追加調査は事業者
が実施するものである。
水質モニタリングにおいては、「毎月調査」を基本とし、必要に応じて「追加
調査」を実施するものとする。
測定機関ごとに、「毎月調査」と「追加調査」の調査地点、調査項目及び調査
期間を表 2-2 に示す。
表 2-2 水質モニタリング調査の実施内容
実施機関
中国四国農政
局
四国東部農地
防災事務所
調査内容
毎月調査
国土交通省
徳島河川国道
事務所
公共用水域調
査(毎月)
水資源機構
公共用水域調
査(毎月)
徳島県
公共用水域調
査(毎月)
調査地点
阿波中央橋
調査項目
実施期間
BOD、COD、DO、T-N、 ・ 事 業 完 了 年 度
まで
T-P、クロロフィル
a、その他補足項目 ・ 公 共 用 水 域 調
査と同一日に
実施
高瀬橋、第十 BOD、COD、DO、T-N、 ※ 公 共 用 水 域 調 査
堰貯水池内、 T-P、クロロフィル の た め 期 限 等 は 無
し
市場橋、牛屋 a、
島橋
旧 吉 野 川 河 BOD、COD、DO、T-N、 ※ 公 共 用 水 域 調 査
口堰上流、今 T-P、クロロフィル の た め 期 限 等 は 無
し
切 川 河 口 堰 a、
上流
藍園橋
BOD、COD、DO、T-N、 ※ 公 共 用 水 域 調 査
T-P
のため期限等は無
し
6
(2)調査位置
毎月調査地点及び関連する流入支川の調査地点の概況を図 2-1 に、毎月調査の実
施対象となる 8 地点の位置を図 2-2 に示す。
吉野川市
阿波中央橋
阿 波 市
柿原堰
柿原堰下流
ブロック
高瀬橋
ブロック
上板町
高瀬橋
石 井 町
第十樋門
ブロック
板 野町
第十堰
ブロック
宮川内谷川
ブロック
第十堰
実施者
旧
藍園橋
市場橋
ブロック
吉
野
名田橋
藍住町
川
予
測
結
果
と
対
応
す
る
調
査
今切川河口堰
ブロック
鮎
喰
川
吉
野
川
市場橋
下 流 域 地 区 の 上 流 水 質観
測点
国 交 高瀬橋
高瀬ブロック代表水質
国 交 第十貯水池内
第十堰ブロック代表水質
県
藍園橋
国 交 市場橋
国 交 牛屋島橋
水資源
旧吉野川河口堰上
流
水資源 今切川河口堰上流
北 島町
農 水 蛇池川
今切川河口堰
旧吉野川河口堰
ブロック
牛屋島橋
徳 島市
鳴 門 市
影
響
要
因
の
特
定
の
た
め
の
調
査
農 水 江川
農 水 飯尾川
農 水 六条暗渠
農 水 宮川内谷川
農 水 黒谷川
農 水
藍住町乙瀬排水末
端
農 水 八ヶ村排水末端
農 水 源九郎排水末端
吉野川大橋
加賀須野橋
調査地点の位置づけ
農 水 阿波中央橋
今
切
川
調査地点
宮 川 内 谷 川 ブ ロ ッ ク 代表
水質
市場橋ブロック代表水質
旧 吉 野 川 河 口 堰 ブ ロ ック
代表水質1
旧 吉 野 川 河 口 堰 ブ ロ ック
代表水質2
今 切 川 河 口 堰 ブ ロ ッ ク代
表水質
柿 原 堰 下 流 ブ ロ ッ ク への
主要流入支川
高 瀬 橋 ブ ロ ッ ク へ の 主要
流入支川
高 瀬 橋 ブ ロ ッ ク へ の 主要
流入支川
後 背 に 混 住 化 の 進 む 農地
が あ り 、 排 水 負 荷 量 が大
市 場 橋 ブ ロ ッ ク へ の 主要
流入支川
市 場 橋 ブ ロ ッ ク へ の 主要
流入支川
後 背 に 宅 地 が 多 く 、 排水
負 荷 量 が 大 き い と 想 定さ
後 背 に 宅 地 が 多 く 、 排水
負 荷 量 が 大 き い と 想 定さ
後 背 に 宅 地 が 多 く 、 排水
負 荷 量 が 大 き い と 想 定さ
旧吉野川河口堰
実施者
国 交 :国土交通省 徳島河川国道事務所
農 水 :農林水産省 四国東部農地防災事務所
大津橋
松 茂町
水資源 :独立行政法人水資源機構
県
:徳島県
市
:徳島市
図 2-1 本事業における水質モニタリング地点の概況
7
牛屋島橋
吉野川河口堰上流
市場橋
藍園橋
阿波中央橋
第十堰貯水池内
今切川河口堰上流
高瀬橋
図 2-2 モニタリング対象 8 地点の配置
8
2.3 毎月調査
公共用水域の定期採水が実施されている 7 地点の調査手法等については、「公共用
水域及び地下水の水質の測定に関する計画」に詳細が定められており、ここでは割愛
する。
最上流に位置する阿波中央橋については、事業者が主体となって水質調査を実施す
るが、これまでの調査と同様に、公共用水域調査の手法に準じて実施するものとする。
以下に、阿波中央橋の調査地点や手法等を示す。
(1)対象地点及び採水位置
阿波中央橋の流心直上(下流側)で橋上から採水
原則として、流心部の表層水(水面から水深の 20%の部位)
(2)採水時期・頻度
実施頻度については、公共用水域の調査実施頻度である月 1 回(原則として)と
する。
採水は、採水前日において比較的晴天が続き、水質が安定している日を選ぶもの
とする。
(3)調査項目
下記項目に加え、採水日時、降雨状況、採水地点付近の地形及び利水状況、主要
な汚濁源等もわかる範囲で記録する。
現場観測項目:天候、水温、気温、濁り、臭気
モニタリング項目:BOD、COD、DO、T-N、T-P、クロロフィル a
モニタリング補足項目:SS、pH、大腸菌群
9
2.4 データチェック
(1)データチェックの流れ
国土交通省、水資源機構及び徳島県が実施する 7 地点(高瀬橋、第十堰貯水池内、
藍園橋、市場橋、牛屋島橋、旧吉野川河口堰上流、今切川河口堰上流)の水質調査
結果については、速報値段階のデータを受領し、指標値との比較によるデータチェ
ックを行うものとする。
なお、あくまでも速報値段階の数値であり、公表前の値であることから、その取
り扱いには十分留意するとともに、実施機関の精査により数値が修正される可能性
もあることをふまえ、データチェックを行う。
データの受領にあたっては、所定の 6 項目の他、各地点の現場観測事項について
も可能な範囲で提供してもらい、指標値超過の際の判断事項とする。
受領したデータは、水質チェックシステム(Microsoft 社 Excel)に入力し、各
地点・各項目で設定されている指標値を超過していないか確認する。
【関係機関】
【事業者】
国土交通省、水資源機構、
徳島県…等
四国東部農地防災事務所
事業者による
毎月調査結果
(阿波中央橋)
関係機関による
毎月調査結果
(公共用水域 7 地点)
8 地点・6 項目のデータチェック
指標値を超過しているか?
速報値の提供
超過している地点・
項目がある
超過している地点・
項目は無い
追加調査へ
次の毎月調査へ
図 2-3 データチェックの流れ
10
【データチェックの方法】
①
チェックシステム(Microsoft 社 Excel)に毎月の水質分析結果(8 地点・6 項
目)を入力。
②
数値の比較またはグラフにより、指標値を超過している地点及び項目を抽出
(指標値と同値の場合も「超過」に含める)
③
超過した項目及び地点について、追加調査の実施内容を整理する
→詳細は「3.水質の指標値超過時の対応」を参照
①毎月データを入力
BOD
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
指標値
COD
DO
高瀬橋
T-N
T-P
0.5
0.5
0.6
0.7
1.1
1.1
1.5
1.8
12.4
12.6
11.0
10.2
0.70
0.76
0.82
0.76
0.008
0.011
0.013
0.009
1.19
2.22
7.17
1.30
0.03
クロロフィルa
<2.0
<2.0
2.2
<2.0
14.01
②指標値を超過している項目の確認
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
指標値
BOD
0.5
0.5
0.6
0.7
1.4
COD
1.1
1.1
1.5
1.8
1.8
高瀬橋
DO
T-N
12.4
0.70
12.6
0.76
11.0
0.82
10.2
0.76
9.0
0.69
T-P
0.008
0.011
0.013
0.009
0.014
クロロフィルa
<2.0
<2.0
2.2
<2.0
2.3
0.03
14.01
エクセルの「条件付き書式」機能に
より、超過した値が入力されると自
動的にセルに着色される
超過
1.19
2.22
7.17
1.30
グラフでも超過の確認が可能
高瀬橋 BOD 指標値超過チェック
3
超過
BOD
2
指標値
最大値
最小値
1
平均値
20xx年
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
11
8月
9月 10月 11月 12月
(2)指標値について
本モニタリングにおいては、各地点・各項目のデータの対数変換値を用いて算出
した「平均値±2σ」を指標値としている。データの算出対象期間は取水開始前の直
近 10 カ年である。
8 地点・6 項目の指標値の一覧を表 2-3 に示す。
表 2-3 各地点・各項目の指標値
モニタリング地点
水質項目
阿波
中央橋
高瀬橋
第十堰
貯水池内
藍園橋
市場橋
牛屋島橋
旧吉野川
河口堰
上流
今切川
河口堰
上流
BOD
(mg/l)
1.74
1.15
1.55
1.26
1.47
1.64
2.57
2.63
COD
(mg/l)
2.76
2.24
2.57
2.55
2.96
3.01
3.66
3.63
DO
(mg/l)
7.76
7.20
7.42
7.08
6.12
6.80
6.73
6.51
T-N
(mg/l)
1.47
1.30
1.31
1.37
1.54
1.55
1.65
1.58
T-P
(mg/l)
0.057
0.031
0.031
0.063
0.081
0.106
0.112
0.111
クロロフィルa
(μg/l)
7.96
3.88
10.70
5.91
14.06
36.16
31.35
-
注 1:各項目の指標値は直近 10 ヶ年として 2003∼2012 年の毎月値から算出した。
注 2:有効数字は、T-P 以外は小数点以下 2 桁、T-P は 3 桁とし、その下の桁を四捨五
入している。「公共用水域水質測定結果の報告について(環水規 51 号)」に準じ
て整理した。
注 3:「−」は測定が行われていない。
12
2.5 その他のデータの収集・整理
取水影響の事後評価に用いるため、水質以外のデータについても収集・整理する。
水質モニタリング調査において必要なデータ・情報等が閲覧できる各種データベース
やインターネットサイトについて、表 2-4 に示す。
流況や気象については日データあるいは毎時データが入手できるほか、調査地点近
傍のライブカメラ映像が閲覧できるサイト等もあることから、調査にあたっての事前
データ・情報の収集や結果整理において、これらの外部データベースやサイトを最大
限に活用することで、より効率的にモニタリングを行うことが可能となる。
表 2-4 データの入手先
No.
1
データベース名等
●水文水質データベース
国土交通省が所管する観測所における
観測データを公開することを目的とし
たデータベース。
雨量、水位、流量、水質、底質等のデー
タ入手が可能。
吉野川流域も複数の測定地点が設定さ
れている。
●道路防災情報
雨量、水位情報、ダム情報、交通規制情
報、気象警報情報等を掲載
発行元等
国土交通省 水
管理・国土保全
局
URL 等
http://www1.river.g
o.jp/
徳島県 県土整
備部
http://www1.road.pr
ef.tokushima.jp/c6/
index.html
3
●気象統計情報
過去の気象データ(降水量、気温、日照
時間等)の検索が可能
気象庁
http://www.data.jma
.go.jp/obd/stats/et
rn/index.php
4
●環境数値データベース
公共用水域の水質測定結果の閲覧やダ
ウンロードが可能。
(独) 国立環境
研究所
http://www.nies.go.
jp/igreen/index.htm
l
5
●吉野川一斉水質調査
2000∼2010 年に実施された市民参加型
の河川水質調査。項目は COD および pH
のパックテスト結果のみ。
●国土数値情報
国土に関する様々な情報を整備、数値化
したデータのデータベース。流域内の土
地利用状況の変遷等を図化したい場合
等に活用可能。
国土交通省 四
国地方整備局
徳島河川国道事
務所
国土交通省
http://www.skr.mlit
.go.jp/tokushima/ri
ver/event/suishitu/
issei.html
http://nlftp.mlit.g
o.jp/ksj/
2
6
13
図 2-4 水文水質データベースの過去データ検索画面(水質)
図 2-5 徳島県道路防災情報管理システムの参照画面
14
3. 水質の指標値超過時の対応
3.1 データチェックによる指標値超過地点・項目の確認
毎月調査結果のデータチェックにより、いずれかの地点・いずれかの項目において、
指標値(平均値±2σ)を超える値が確認された場合、水質事故等の発生状況を確認し
た後に、公共用水域の調査日とできるだけ近いタイミングで追加調査を行い、データ
を補足する。
補足データを含めたデータセットにより指標値を超過した要因を検討し、取水影響
の有無・程度の評価に資するものとする。
追加調査は、原則として、指標値を超過した項目及び地点と、関連する可能性のあ
る周辺地点及び項目を対象として実施する。
毎月調査
データチェック
超えていない
※1 指標値は「通年指標値」
月毎観測値が指標値
(平均値±2σ) ※ 1 を超
えているか
を用いる
超えている
水質事故等の発生
状況の確認 ※ 2
発生している
関係機関との連携
・データの提供・共有
発生していない
※2 事 業 に 起 因 し な い
追加調査の実施
・毎月調査に準拠した調査の実施
・目視による現地確認
データの蓄積
期別評価・年間評価
図 3-1 水質のデータチェック後の対応フロー
15
事象を指す
3.2 追加調査の実施手順
(1)全体の流れ
①
指標値との比較を行い、超過値を確認する
② 調査対象範囲周辺における水質事故等の発生状況等の情報を問い合わせ、取水
以外の明らかな外的要因が無いか確認する
③ 追加調査対象の地点・項目及びこれに関連する可能性のある地点・項目の組み
合わせについて、調査人員の確保や必要な時間等を鑑み、選定する
④ 調査行程の作成、機材準備等を行い、気象条件等から実施のタイミングを判断
する
⑤
現地観測及び採水を行い、適切な手段で試料を保存し、分析施設へ搬入する
⑥
分析機関において、所定の分析手法にて分析を行う
⑦ 分析機関より分析結果を受領した後、あらためて指標値との比較によるデータ
チェックを行うとともに、データベースに追加する
データチェック
① 指標値超過を確認
・吉野川水系水質汚濁防止連絡協議会
②水質事故等の確認
【下流部会】等、関係機関との情報共有
・追加調査対象地点・項目の決定
③調査地点・項目の選定
・関連する可能性のある地点・項目の
組み合わせ検討
・調査行程の作成
④計画準備
・機材準備
・採水実施の判断
・現地観察(周辺環境、水質性状の確認等)
・現地測定(気温、水温、濁り、臭気等)
⑤現地観測及び採水
・採水
・適正な保存・運搬
⑥分析
・所定の方法に従って分析
・再度、指標値超過チェック
⑦データの蓄積
・データベースへの追加
図 3-2 追加調査の実施手順
16
(2)水質事故等の確認
水質事故等の発生時における関係機関の対応については、徳島県が定める「吉野
川水系水質汚濁防止連絡協議会【下流部会】」において、詳細が定められているこ
とから、協議会を通じて事故発生位置や対応状況等の情報を入手するものとする。
(3)調査地点・項目の選定
原則として、超過が確認された地点のみ対象とするが、上下流のモニタリング地
点や流入支川における水質の挙動もふまえ、必要に応じて周辺地点も調査対象とす
る。
検討にあたっては、各地点・各項目の上下流の相関性や、流入支川との相関性の
検討結果を参考とする。
(4)計画準備
1) 調査行程の検討
調査を実施する地点及び項目の数量や位置をふまえ、移動経路や時間の配分等を
記載した調査工程表を作成する。
2) 機材の準備
追加調査に必要な機材を下記に示す。その他に必要な機材については、調査担当
者の判断による。
これらの機材は、追加調査に備えてあらかじめ準備しておくとよい。
バケツ、ロープ、採水容器、水温計、pH 計、DO 計、クーラーボックス
ライフジャケット、記録用紙、筆記用具、カメラ、地図、等
3) 安全管理体制の確認
水質調査は水際での作業となるため、安全管理には十分留意し、必ず二人以上で
実施する。また、調査時に留意すべき事項について下記に示す。
・
降雨後等の流量が多い時は、無理に調査を行わない
・
採水作業中はライフジャケットを身につける
・
最寄りの病院、警察署、消防署等の連絡先を確認し、緊急連絡網を整備する
・
夏に調査を行う際は水分補給や日焼け対策を十分に行い、熱中症を予防する
・ 天候の急変時(突風、落雷等)には速やかに作業をとりやめ、安全な場所に一
時退避する
17
4) 調査実施の判断
雨天時出水等により、河川水が著しく濁ると、それに伴って SS や BOD などが晴
天時とは異なった水質挙動を示すため、公共用水域の水質管理を目的とする定期採
水では急激な水質変化のない晴天日に調査することとされている。
公共用水域調査結果の速報値を受領してから追加調査実施の必要性を判断する
ため、公共用水域調査日と追加調査の間に一定程度のブランクが生じることはやむ
を得ない。一方で、毎月調査のデータを補足し、比較・検討に用いるという観点か
ら、追加調査の場合でも、降雨時等の水質変化が生じやすい状況での調査は避ける
必要がある。この点をふまえ、実施判断は、公共用水域調査時ほど厳密である必要
はないが、可能な限り、晴天日に行う。
降雨量・河川の水位はインターネット等により、「川の防災情報」、「防災気象情
報サービス」など最新データが入手できる。これを用い、以下の点を考慮して調査
日を決定する。
・前日・前々日の降水状況(積算降水量はどの程度か?)
・対象河川の水位の変動状況(安定しているか?)
図 3-3 リアルタイム川の防災情報(国土交通省)の水位データ(毎時)検索画面
(http://www.river.go.jp/)
18
図 3-4 リアルタイム川の防災情報(国土交通省)の雨量データ(10 分毎)検索画面
(http://www.river.go.jp/)
(5)採水及び現地観測
1) 周辺環境の確認
採水の前に、採水地点における河川水の外観(濁り、水色)、臭気等を観察する。
採水場所がわかるよう、写真も撮影する。
また、調査地点周辺の排水路、河川状況(上流・下流・周辺状況・水面)などに
おいて、以下に示すような異常な点が無いか観察し、野帳への記録を行う。
【観察の観点】
・
出水影響(増水、濁り)が無いか?
・
渇水影響(水が流れていない)が無いか?
・
排水流入影響が無いか?
・
そのほかの人為的影響(工事による河道の変化、濁り)が無いか?
・
藻類や砂礫等への異物の付着や臭気、外観
・
油類等流出物の分布状況
・
陸上あるいは水域の底等に原因物質の容器があるか
・
へい死魚がみられるか
・
ホテイアオイ、ボタンウキクサ等が繁茂または流れ着いているか
19
2) 採水
a)採水位置
対象となる 8 地点の採水位置は、基本的に橋または河口堰の直下に設定されてい
るが、「第十堰貯水池内」、「旧吉野川河口堰上流」及び「今切川河口堰上流」につ
いては橋直下または堰直下ではなく、船を用いて流心で採水している。追加調査に
おいては、可能な限り迅速かつ効率的な手法で実施するという観点から、上記の 3
地点については毎月調査とは異なる位置で採水するものとする。ただし、データ評
価時には採水位置が異なる点に十分留意した分析が必要である。
表 3-1 各地点の採水位置
地点
採水位置
追加調査
(参考)毎月調査
阿波中央橋
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
高瀬橋
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
第 十 堰 貯 水 ・堰より約 200m 上流の左岸の護岸
池内
部より採水
・バケツによる表層水の採水
・堰より約 300m 上流の流心
・船を使い、流心でバケツにより
表層水を採水
藍園橋
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
市場橋
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
牛屋島橋
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
・橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
旧 吉 野 川 河 ・堰のゲートより約 350m 上流に位
口堰上流
置する空港大橋の中心(下流側)
・バケツによる表層水の採水
今 切 川 河 口 ・堰のゲートより約 100m 上流、右
堰上流
岸側の護岸部より採水
・バケツによる表層水の採水
20
・堰より上流側
・船を使い、流心でバケツにより
表層水を採水
・堰より上流側
・船を使い、流心でバケツにより
表層水を採水
旧吉野川河口堰上流
牛屋島橋
市場橋
藍園橋
1
2
第十堰貯水池内
今切川河口堰上流
高瀬橋
阿波中央橋
図 3-5 追加調査の実施地点
21
b)採水方法
追加調査の対象項目に応じ、必要な量の採水を行う。採水部位は、流心部の表
層水(水面から水深の 20%の部位)とするが、前述の採水位置の留意点にある
ように、一部の地点では流心での採水ができないことから、その場合は採水位置
の状況を詳細に記録しておく。
採水は、バケツによる採水とする。バケツは、採水場所の水で 2、3 回洗った
後(共洗いという)、水を採取する。複数地点で採水する場合は、地点ごとに共
洗いをする。
採水の様子(高瀬橋)
採水の様子(第十堰貯水池内)
3) 現地観測
追加調査の対象項目が DO の場合は、採水後に現地測定を行う。また、水温、
気温、pH についても測定する。
DO は、DO 計または多項目水質計等により測定するが、使用機器のマニュアル
を事前に確認し、測定前に校正を行っておく。
(6)保存・運搬
追加調査の対象項目が BOD、COD、T-N、 T-P 及びクロロフィル a の場合は、採
水後速やかに試料容器(分析項目数によるが通常は 2 リットル程度)に移して保
存し、分析機関に搬入する。なお、クロロフィル a の試料容器はアルミホイル等
で包み、遮光して保存・運搬する必要がある。
運搬にあたり、試料は氷または蓄冷材と共にクーラーボックスに入れて冷蔵し
ておく。なお、蓄冷材としてドライアイスは気化ガス(二酸化炭素)が試料に溶
解し、pH 等に変化を与えるため使用しない。また、運搬中に試料容器が破損し
ないよう、クーラーボックスにはクッション材等も併せて入れる。
22
(7)分析
採取した試料は分析機関において、できるだけ早く分析を行う。
分析方法は、水質汚濁に係る環境基準(昭和 46 年環境庁告示第 59 号)が定め
られている項目にあっては、同基準に掲げられた検定方法によるものとし、その
他の項目については、昭和 49 年 9 月 30 日に環境庁告示第 64 号に掲げられる方
法、日本工業規格、上水試験方法、下水試験方法等、科学的に確立された分析方
法によるものとする。
(8)データの蓄積
かんがい期・非かんがい期それぞれのデータによる期別評価、年間のデータに
よる年間評価に資するため、データを整理し、蓄積する。
その他の調査項目(pH、水温等)についても、評価のための補足情報として重
要となることから、これについても同時に整理・蓄積する。
23
4. データの評価
4.1 評価の進め方
水質モニタリングは、事業による水質への影響予測結果をふまえ、実際の環境変
化を把握し、影響の有無・程度を確認するための手段として実施しているものであ
る。
そのため、段階的取水時∼供用開始後(3 年程度)は、毎月調査及び追加調査に
より取得した水質データを用い、取水口の運用に伴う影響の有無や程度を評価する
必要がある。
評価結果を共有する場としては、取水開始前から設置されている河川環境調査委
員会(以下、「委員会」という。)及び河川環境情報連絡会(以下、「情報連絡会」
という。)を継続するものとする。
検討期間は、かんがい期(取水量の多い期間)と非かんがい期(取水量の少ない
期間)に分割し、かんがい期が終了した時点(9 月末)で調査結果について取りま
とめ、その後、早急に委員会委員へ報告を行い、情報連絡会を開催し報告する。た
だし、河川環境への影響が認められた場合は、委員会に諮ることとし、次期かんが
い期までに対策を検討する。非かんがい期については、3 月末時点で調査結果を取
りまとめ、委員会委員及び情報連絡会員に報告する。ただし、河川環境への影響が
認められた場合は、委員会及び情報連絡会を随時開催する。
なお、供用時の委員会の体制については、関係機関等との協議をふまえ決定する。
毎月調査結果及び追加調査結果を用いた事業影響の評価の流れを図 4-2 に示す。
□委 員 会 ※ 1
□情報連絡会
■委 員 会 ※ 1
※1
■情報連絡会
▽非かんがい期評価
水質・地下水調査
動物調査
●
●
●
●
●
4
5
6
植物調査
月
●
▼かんがい期評価
●
○
○
○
○
○
○
○
○
○
●
●
●
●
7
8
9
10
11
12
1
2
3
※1:必要に応じて開催
影響がない場合は報告のみとする
かんがい期
図 4-1 環境モニタリングと河川環境調査委員会の進め方のイメージ
24
毎月調査結果及び追加調査結果
情報連絡会員
及び委員へ報告
超えていない
非かんがい期評価
かんがい期評価時
最大(小)値や
指標値 ※ 1 を超える
頻度を過去と比較
※1
指標値は「通年指標値」を
用いる
超えている
自然的条件・社会的条件等
による影響 ※ 2 の棄却
※2
要因の詳細分析 ※ 3
※3
情報連絡会
の開催
水質事故、災害発生状況
等
期別平均値と期別指標値の
比較、環境基準値や各種水質
必要に応じて
委員会の開催
基準値との比較、統計的手法
による解析等により、要因や
情報連絡会及び
委員会の開催
なし
OK
環境影響の程度を検討
取水の影響の
有無の評価
あり
・モニタリング計画の修正(調査頻度の増加等)
・取水堰の運用方法の検討
図 4-2 水質値の評価の流れ
25
4.2 評価方法
水質モニタリングの目的は、柿原取水口の供用に伴う水質変化を監視し、事業影
響の有無・程度を評価することである。評価にあたっては、定量的・統計学的な観
点・手法をもって、客観的に分析を進めていく必要がある。
一方で、河川の水質変動の直接的な要因を明らかにすることは、現在の技術的な
面からも難しい点が多く、どのような結論であっても、あくまでも推定の域を出な
いという点を考慮して、評価を行っていく必要がある。
本モニタリングにおける評価は、『取水開始前後のデータ間で指標値(平均値±2
σ)の超過傾向は異なっているか』という観点でデータの比較検討及び解析を行う
ものとする。
評価にあたっては、各モニタリング地点の取水開始前後のデータ群について、指
標値の超過頻度、期別・月別・年別の最大値、最小値、平均値、中央値等について
統計学的手法等を用いて比較し、有意な差がみられるか確認する。また、各地点間・
流入支川間の相関関係や、気象・流況との相関関係についても、取水開始前後で比
較し、傾向が変化していないか確認する。
最終的な評価のイメージは図 4-3 に示すとおりであり、取水開始前のデータ群と
取水開始後のデータ群について、統計学的手法等を用いて比較し、有意な差がみら
れない場合は、取水に伴う環境の変化は生じていないと見なすものとする。有意な
差がみられた場合は、取水開始後の異常気象の多発や災害発生、社会的条件や地域
環境の急激な変化等の「取水以外の影響要因」が寄与していないかという観点も含
め関連要素を可能な限り洗い出し、慎重に検討を進めるものとする。
なお、評価の具体的手法については、実際の取水開始後のモニタリングデータを
用いていくつかの手法を比較検証し、最も説明性が高い手法に絞り込んでいくこと
がのぞましい。
100%
100%
超過した
超過した
超過しない
80%
超過しない
80%
60%
60%
40%
40%
取水前後のデータ群
に有意な差は無し?
20%
取水前後のデータ群
に有意な差は有り?
20%
0%
0%
取水前
取水後①
取水前
図 4-3 取水影響の有無の評価イメージ
26
取水後②
5. 参考資料
水質調査・分析の手順や具体的手法、異常値発生時の対応等について国や都道府
県等が作成している各種マニュアル、水質基準に係る規程等について表 5-1 に示す。
モニタリングの実施手法においては本マニュアルを基本とするが、ここに記載の
ない専門的な事項については以下に示す各種資料等を参照しながら調査を進める
ものとする。
表 5-1 水質基準・水質調査等に関する各種マニュアル・法令等
No.
4-1
タイトル
河川水質調査要領(案)
4-2
水環境保全のための農業環境モニ
タリングマニュアル改訂版
4-3
河川水質試験方法(案)1997 年版
4-4
採水・採泥の手引き
4-5
水質調査方法
4-6
平成 25 年度公共用水域及び地下水
の水質の測定に関する計画
4-7
公共用水域における異常水質事案
取扱指針
4-8
水質調査作業規程準則
4-9
水質基準に関する省令の規定に基
づき厚生労働大臣が定める方法
4-10
「みんなで調べる宍道湖流入河川
調査」調査の手引き(平成 21 年度
版)
発行元・URL 等
国土交通省河川局河川環境課
http://www.mlit.go.jp/river/shi
shin_guideline/kasen/pdf/kasen_
suisitu_tyousa_youryouan_h1703.
pdf
独立行政法人農業環境技術研究所
http://www.niaes.affrc.go.jp/te
chdoc/monitoring/
建設省河川局監修/建設省建設技
術協議会水質連絡会・河川環境管理
財団編
国土交通省東北地方整備局東北技
術事務所
http://www.thr.mlit.go.jp/tougi
/kensetsu/hozen/pdf/tebiki.pdf
環境省
http://www.env.go.jp/hourei/syo
usai.php?id=05000140
徳島県
http://www.pref.tokushima.jp/do
cs/20130319000561/
新潟県県民生活・環境部
http://www.pref.niigata.lg.jp/H
TML_Article/izyousuishitu_shish
in,0.pdf
総理府令
http://www.e-gov.go.jp/htmldata
/s32/s32F03101000014.html
発行年
2005 年 3
月
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bu
kyoku/kenkou/suido/index.html
宍道湖水質汚濁防止対策協議会
http://www.fref.shimane.lg.jp/s
hinjiko_nakaumi/ryun/
最終改正
2012 年 4
月
2009 年
27
2006 年 3
月
1997 年
12 月
2004 年 3
月
1971 年 9
月
2013 年 3
月
2008 年 4
月
最終改正
2000 年 8
月
Fly UP