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イタリア・ルーマニア掃除研修 報告書

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イタリア・ルーマニア掃除研修 報告書
イタリア・ルーマニア掃除研修
期 間
研修先
主催者
協
力
報告書
平成 25 年 5 月20 日~30 日
イタリア
ミラノ市 ブィチェンッア市 ブレシャ市
ルーマニア アユド市
イタリア
イタリア・日本文化交流会「ふじの会」代表 マニセラ氏
ルーマニア 「カイゼン研究所」ルーマニアオフイス ジュリアン社長
イタリア
Guerini 出版株式会社 ブイチェンッアビジネススクール
ブレシャ大学 ふじの会
ルーマニア アユド市役所 企業 学校関係者・学生
「カイゼン研究所」ルーマニアオフィス
SUPREMIA・GRUP
参加者
趣
旨
「日本を美しくする会」鍵山秀三郎相談役 鍵山啓子様
田中義人会長
田中美鈴様
ブラッド社長〔誠コンサルタント代表〕
イタリアでの開催経過
イタリアと日本の文化交流をされている経営コン
サルタントのマニセラ氏が、平成24年に日本の改
善事例見学会で、来社され、掃除の話に感動されま
した。その時に、鍵山相談役の「一日一話」をお渡
ししたところ、早速に読まれてイタリアでの翻訳発
行の話となりました。そして、記念講演会を開催す
るにあたりイタリアへ来てほしいとの依頼を受けての訪問となりました。当初、
(招聘文は文
街頭清掃も計画されましたが、市が選挙のため中止となりました。
末に記載)
ルーマニアでは第三回目の開催
カイゼン研究所・ルーマニアオフィスのジュリアン
社長が、平成18年に改善視察団として来社され、
「改善活動における掃除の重要性」に気付かれ、顧
問先に指導され成功する中、再度、22年に来社さ
れた時、日本を美しくする会の活動を知り感動され、
ルーマニアにおいて、日本と同様の活動をすべく平
成23年に三つの市で第一回目を開催、そして、昨
年の24年には二つの市で開催されました。今回は、前回開催しましたアルバ
ユーリア市の隣町、アユド市での開催となり、市長を先頭に、行政職員を初め
市内の五つの学校から生徒が五十名ほど参加、そして、企業からの参加者を含
め百名近い人達で行われました。
経過報告
5 月 20日(月)成田国際航空からアリタリア航空ミラノ直行便、12時20分発で、お
よそ11時間を掛け、ミラノ・マルペンサ国際空港に到着しました。空港で、
主催者のマニセラさんの出迎えを受け、ミラノ市内のホテル・ロマネ・レシ
デンスへ向かい、その日は、ゆっくりと休息をとりました。
5月21日(火)講演会が開催される前の時間を利用して、以前、鍵山相談役がミラノ
に来た時に、皮職人の店が、ずらりと並ぶ職人の街があるとのことで、その
街へ行きましたが、今では、大半がシャッターを下ろし、その面影は全然な
く数軒のみとなっていました。イタリアも日本と同様に、中小企業が多い国
ですが、今では、海外の安い製品に押されて苦戦しているとのことでした。
そして、今、イタリアの失業率は、平均12%で、若者に限ると40%との
ことで、大変厳しい状況が続いています。
3時に、ミラノの中心街にある出版社主催の記念
講演会場に向かいますと、もう三十名ほどの人た
ちが集まっていました。
今回、翻訳出版は、イタリアでは大手の出版社で、
主に、経営、経済の書籍出版をしている Guerini
出版株式会社です。鍵山相談役の「一日一話」を「ト
イレト・クリーニング・マネイジメント」と言う書
籍名での出版であり、イタリアでも、過去にないものとなりました。
そして、会場には、ビジネスマンや経営者が30名ほど集まり、最初に主
催者のマニセラさんから挨拶があり、その後、鍵山相談役の講演、続いて、事
例発表を行いました。その後に質問が、多く
あり、相談役は的確に答えました。最後に、
書籍の販売となり、相談役は、一冊一冊に丁
寧にサインし、中は、友人にも読ませたいと
二冊購入された方もみえ25冊売れました。
イタリアでは、一冊、二千四百円の定価です。
5 月22日(水)ヴィチェンツア市のビジネススクールにて講演
ミラノから車で、約2時間半ほどのヴィチェンツア市ビジネススクールで、午後四時
からの講演会がありました。そのビジネススクールの
建物は、昔、貴族の別荘だったところで、庭園も広く、
それは立派な建物でした。その建物のセミナールーム
で学生、ビジネスマン、先生方、約三十名の参加で行
われました。最初に相談役が講演、その後、私が事例
発表を行うこととなりました。このビジネススクール
の先生方は、日本の改善活動をよく研究し、改善活動
の中での清掃の大切さを知っていましたが、イタリア人
は、家庭では、よく掃除をしているのに、なぜ、職場で
出来ないのかとの話もありました。そして、講演の後、
質問を受け、ここでも多くの人たちが本を買い求め、相
談役はサインの求めに応じていました。
5 月23日(木)ブレシヤ市のブレシヤ大学での講演会
ブレシヤ市は、主催者マニセラさんの地元で
もあり、公園での清掃大会も予定されていま
したが、選挙と重なり急遽中止となり、講演
会のみとなりました。
講演は、ブレシヤ大学の大講堂で行われ、大
型スクリーンの前に、大学教授、講師、地元
経営者、そして、私たちの席が、用意されて
いました。
定刻の午後三時には、約百五十人の参加者が集まり、大学側挨拶に始まり、
主催者マニセラさんから開催の趣旨説明がありました。そして、続いて、鍵
山相談役の講演となり、イエローハット創業時から掃除を始めた苦労話、そ
して、日本を美しくする会の活動の広がりを三十分ほど話しました。その後
を受けて、私が、掃除を始めた切っ掛けから、
会社がどう変わったのか、現在どのように掃
除を経営に活かしているのかを話しました。
そして、質問の中に、掃除は、よいことと分
かりましたが、どのように自分の職場、学校
で行ったらよいのかとの質問があり、議論が
沸騰しました。
今回の講演会の最後に挨拶に立たれた先生から、「イタリア人は
現在の危機的状況を作った原因を返り見ずして、また同じ考え方で乗り切
ろうとしているが、それは無理だ。今までの価値観を変えないといけない。
それには、今日の講演にあったように、まずは頭と心のクリーニングが必
要。」と言われ、その言葉を受けて相談役が「大きな努力で、小さな成果」
と大紙に書き賛同を得ました。
今回の開催協賛者である、カルビニ・アンドレア社長は、
講演に感動され、一晩かけて本を読
破され、翌朝に、幹部に読ませたい
とのことで、二十冊注文、すぐに社
員の人たちと掃除を始められまし
た。そして、会社玄関には、毎日の
「一日一話」を書き出して、全員の目にとまるようにされました。(写真)
講演会終了後のレセプションは、マニセラさんが会長をしている「ふじの
会」
(イタリアと日本の文化交流会)のメンバーと大学生が中心になって準
備をされました。テーブルには、手作りのケーキや料理も用意され、ワイ
ンを飲みながら楽しいひと時を過ごしま
した。ここでも、鍵山相談役のサインを求
める人が長蛇の列となりました。
その後、会場を移して「ふじの会」のメ
ンバーによる歓迎会も開催していただき、
とっても和やかな一日となりました。
5 月24日(金)ブレシヤからベネツィアへ移動
当初、ブレシヤ市での掃除大会が予定されていましたが、選挙のために出
来なくなり、急遽、ベネツィアへ行くこととな
りました。ところが、ベネツィアに着いたとき
には、大雨で、道路も水没していて外出できる
状態ではありませんでした。そこで、ホテルの
長靴を借り、カッパを購入して、昼食に出かけ
ました。日本では、短時間で食事を済ます相談
役も、二時間程、食事を楽しみ、その内に雨も上がり、水量も下がっていきま
した。
5 月25日(土)午前中、ベネツィアの美術館、海洋博物館を見て、午後にベネツィア
から列車で三時間ほどかけミラノへ戻りました。
5 月26日(日)ミラノからルーマニアへ移動
昨年も、ルーマニアへ同行していただいたブラット社長と合流し、ミラノ・
リナーテ空港を10時15分の飛行機で、ルーマニアのブカレスト空港へ入
り、そこで、ルーマニアの主催者の「カイゼン研究所」ルーマニアオフィス
のジュリアン社長の出迎えを受け、昼食を兼ねて打ち合わせを行いました。
その後、ブカレスト空港を17時30分の飛行機で、ナポカ空港へ向かい到
着後、マイクロバスで、宿泊地のアルバユーリアのプレシオサ・ホテルに2
1時に到着、その後、夕食会となりました。
5 月27日(月)アユド市での掃除大会
昨年開催しましたアルバユーリアの隣町のアユド市へ、約30分かけて移動。
午前8時に市役所に到着した時には、もう大半の人たちが集まっていて、す
ぐに研修が始まりました。会場には、市長を初め教育長、職員、学校関係者
と生徒、企業からの参加者で会議室は満席となり、熱気の中での開催となり
ました。最初に、市長から挨拶があり、その後、各
種団体の紹介がありました。
開会式の後、講演に入りましたが、最初に、主催者
のジュリアン社長から、これまでの掃除大会の話が
あり、その後、5Sの説明がありました。講演とし
て、鍵山相談役が、自ら率先して掃除をしてきたこ
と、そして、日本を美しくする会の活動を紹介し、
掃除大会が、こうしてルーマニアで開催されたことへの感謝の気持ちを述べま
した。その後、会社での掃除事例の話しをしました。質問の時に、参加者の中
で、ナポカ市から参加していた女性から、自分の街でも、ぜひ、行いたいとの
話がありました。(後日、その女性から、ナポカ市の市長に働きかけ実現の可能性が出
てきましたとの連絡がありました。
)
そして、10時半に掃除場所の公園へ移動し、
各リーダーの指示により、班分けが行われ、
掃除が始まりました。今回は、約百名の参加
でしたが、その半数が学生でした。月曜日に
も関わらず参加できたことは、担当の先生か
ら、
「教室での授業も大切だが、このような実
践的教育を小さな時から体験させていくこと
は、もっと大切なこと」だと、先生も一緒に参加し掃除をされました。約一時
間半の掃除でしたが、生徒が真剣に掃除に取り組む姿勢は、日本以上のものを
感じました。
また、通訳を務めた、ブカレスト大学の日本語担当のマリアナ先生も、相
談役の講演通訳として、辞書を
引いても出てない専門用語に苦
労されていましたが、実際にほ
うきを持って掃除をした時、
「言
葉の意味がよく分かりました。」
と話されたことが印象にのこり、
「言葉での理解
体験することで、
より、実践が勝ります」と本人
も驚いていました。
(例えば、凡事
徹底する)
また、市長の配慮で、市内にある刑務所の囚人の人たちも、ゴミ片付けに
参加されている姿を見て驚きました。
掃除大会の後、ワイナリーでの昼食会に招いていただき、今回の掃除大会
が成功したことへの喜びを分かち合いました。中でも、最初からジュリアン
社長と共に、行政、企業、学校、市民ボランティアによるルーマニア社会で
掃除活動を広めようと努力されている、SUPREMIA・GRUPのバラ
社長の献身的な協力には頭が下がりました。バラ社長
の会社は、掃除をベースとした改善活動で飛躍的に成
長している素晴らしい会社です。バラ社長の会社をイ
ンターネットで検索してみてください。動画配信もさ
れています。(SUPREMIA・GRUP)
その後、ナポカ市(ルーマニアでは三番目に大きな都
市)へ移動し、ナポカ改善メンバーのロッタ社長(NechitaRotta)ご夫妻主
催の夕食会に出席し、次回は、ナポカ市でも開催しいたいので協力してほしい
との依頼を受け、すべての日程を終えました。
5 月28日(火)朝、ホテルを出てナポカ空港から、ブカレスト空港を経て、ミラノ・
リナーテ空港へ戻り、マニセラさんの出迎えで、ミラノ・マルペンサ国際空
港近くのホテル・コロナへ移動。ホテルにて、マニセラさんと今後の打ち合
わせをして別れしました。
5 月29日(水)ミラノ・マルペンサ国際空港から、アリタリア航空の14時35分発
で、日本成田へ向けて立つ
5 月30日(木)成田に午前9時25分に無事到着、鍵山幸一郎さんの出迎えを受けて、
すべての日程を終える。
イタリアのマニセラさんからいただいた開催主旨文を紹介します。
昨年の日本旅行で、掃除をすべての会社経営のベースにしてい
る会社を訪問し、驚きました。社長を初めとして総ての従業員が、
仕事を始める前に、職場周りの環境や道具や設備の掃除や整備を
実施するのです。日本の家での習慣と同じように工場には靴を脱
いでから入るのです。総てが清潔で整頓され、輝いているのです。
その後、知ったのですが、
「クリーニング・マネージメント」は
思ったより広まっていて、市民社会にも広まっているようです。
掃除は、他人に対する繊細で役立とうする心や、美しいものの存
在を大事にする心を育むと理解されています。
掃除は、他人との一体感を作る手助けとなり、それを実施する人を謙虚にします。魂
を清め、企業だけでなく社会の向上に寄与します。このような訳で、5月にこの活動の
源泉である指導者の鍵山氏と田中氏をイタリアに招くことにしました。
今回のイタリア、ルーマニアでの講演で、鍵山相談役が紙に書いて話した骨子。
大きな努力で、小さな成果
他人を教育するには
早道である
やっておいて
やっておけば
一番の
よかった
よかった
わたしさえ
よければ
あなたも
あなたが
あなたさえ
よければ
よければ
よければ
こう
こう
こう
自分を教育するのが
だったから こうなった
だったのに こうなれた
だったからこそ こうなれた
0から 1 への距離は
1 から 1000 までの距離より遠い
お礼の言葉(田中)
イタリアもルーマニアも、日本と同様、経済的にも政治的にも、大変厳しい状況下にお
かれています。その様な中で、イタリアのマニセラさん、ルーマニアのジュリアンさん
は、鍵山掃除道の中に、これからの生き方、経営があると確信を持って広めようとされ
ています。時代は、
「対立、批判、他力依存の時代から、協調、協力、自律、そして、共
創の時代へ」そのことを学んだ旅となりました。ありがとうございました。
文責
田中義人
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