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『物語で読むダイレクトマーケティング構築編』

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『物語で読むダイレクトマーケティング構築編』
『物語で読むダイレクトマーケティング構築編』
~マーケティングミックスと戦略プログラムの抽出から
マーケティング戦略書の策定まで~
The marcomplan.jp
1
Copyright (C) 2008 The marcomplan All Rights Reserved.
はじめに
こんにちは、ザ・マーコムプラン ドット ジェーピー 飯田です。
この度は、『物語で理解するダイレクトマーケティング 構築編』~マーケティングミックスと戦略
プログラムの抽出からマーケティング戦略書の策定まで~をリクエスト頂きありがとうございます。
本レポートはビジネスを成功させる為に欠かせないマーケティングの考え方とプランニングの方
法について書かれています。
計測可能なダイレクトマーケティングの必要性はネットの重要性が増すにつれ、日に日に高ま
っています。一方で、本当のダイレクトマーケティングを理解し、それをプラン実行できる真のマ
ーケッターがなかなかいないという現実もあります。本当の意味でのマーケティング、ダイレクト
マーケティング、リアルビジネスを理解する前に、ネットという便利さとバーチャルな世界だけの
出来事を浅く捕えて本来のマーケティングを理解し、実行できないのでは本末転倒です。
本レポートは、できるだけ入り込みやすく理解しやすいように、戦略的なダイレクトマーケティン
グ、最大効果最大効率のダイレクトマーケティングのエッセンスを物語という形で15のステップ
で解説しています。真のダイレクトマーケティングというものを理解して、あなたのマーケティング
人生のお役にたてれば幸いです。
尚、企業におけるマーケティングはスケールや考えるポイント、説明すべきステークホルダーなど、
扱うべき情報や内容やコミュニケーションが個人のそれとは異なります。そのため、基本的理
論や原則は参考にできても、個人のレベルで展開できるネットビジネスと内容とは異なります
ので、その点ご理解の上、お読みください。
また、本レポートで触れた最大効果最大効率の戦略的ダイレクトマーケティングのプランニン
グについてさらに詳しく知りたい方は、私が今まで培ってきた通販におけるリアルなダイレクトマ
ーケティングのノウハウを詳細に解説した有料の情報『最大効果最大効率のダイレクトマーケ
ティング』をご活用ください。詳細は本レポート巻末でご確認ください。企業で活用するマーケ
ターを目指す方、特に通販という形態でリアルとネットを融合させたダイレクトマーケティングの
プランニングに興味のあるかたには有益な情報にだと思います。
2
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私は、リアルビジネスにおけるダイレクトマーケティングを実際にプランニングし実行し十数億の
ビジネスをマネジメントしていますが、同時に個人でネットビジネスを展開しています。
個人がプランし実施する戦略的ダイレクトマーケティングを記事にした私のブログ『お客様が笑
顔で勝手に買って行く?ネットビジネス初心者の為の超ダイレクトマーケティング講座』、最新
情報をお届けするメルマガ『ネットマーケティングを学びながら稼ぐ方法』も同時にご利用いた
だければ幸いです。
私の座右の銘は、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」です。
多尐の危険を冒さなければ望みのものは得られないことのたとえですが、成功する人とそうで
ない人との決定的な違いは、ここにあると思います。考えていているだけでは駄目で行動する
事が必要です。
行動しなくては何も生まれません。尐しでも成功への近道を歩めるように、成功者を学びまし
ょう。そして自分で行動して、成功しても失敗しても学びましょう。それを活かす成功の循環を
生み出す事が大切です。
共に成長していきましょう。自分の人生は自分でコントロールしましょう。
成功を祈っています。
Control your destiny!
飯田 耕平
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【著作権について】
このレポートは、著作権法で、保護されています。 著作権者の許可なく、このレポートの全
部又は一部をいかなる手段においても複製、転載、流用、転売、再配布等することを禁じ
ます。このレポートに書かれた情報は、作成時点での著者の見解等です。著者は事前許可
を得ずに誤りの訂正、情報の最新化、見解の変更等を行う権利を有します。
このレポートの作成には万全を期しておりますが、万一誤り、不正確な情報等がありましても、
著者・パートナー等の業務提携者は、一切の責任を負わないことをご了承願います。
このレポートを利用することにより生じたいかなる結果につきましても、著者・パートナー等の
業務提携者は、一切の責任を負わないことをご了承願います。
【推奨環境】
このレポート上に書かれているURLはクリックできます。できない場合は最新のAdobeReader
をダウンロードしてください。'無料(
http://www.adobe.co.jp/products/acrobat/readstep2.html
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目次
物語で理解するダイレクトマーケティングとは
第17話「マーケティングミックスって?」
第18話「商品ミックス」
第19話「サービスミックス」
第20話「流通ミックス」
第21話「コミュニケーションミックス」
第22話「戦略ポイントの絞込みとプログラムの抽出」
第23話「戦略プログラムレビュー会と目標の決定」
第24話「ミナクルダイレクトライフ」
第25話「上手なバケツリレー」
第26話「CARDとプログラムの目的」
第27話「CARD戦略ロードマップの作成」
第28話「アクティビティで大切なのは?」
第29話「知合いと好きな人の違い?」
第30話「ブランドはダイレクトマーケティングを促進する」
第31話「顧客獲得3つのルート」
第32話「顧客獲得その1-ユニバースからのコンバート」
第33話「顧客獲得その2-買って下さい起きて下さい」
第34話「顧客育成その1-ようこそ」
第35話「顧客育成その2-ファンを作る」
第36話「顧客維持-水漏れを防ぐ」
第37話「CARD戦略ロードマップ完成」
第38話「カタログはセールスマン」
第39話「Webカタログ」
第40話「どのカタログが必要ですか?」
第41話「適正な予算」
第42話「マーケティング戦略書の策定」
あとがき
挿入写真素材:無料素材・WEB デザイン フリー素材屋 Hoshino
http://www.s-hoshino.com/
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物語で読むダイレクトマーケティングとは
物語で読むダイレクトマーケティングは、企業戦略としての『最大効率最大効果のダイレクト
マーケティングのプランニング』をベースに、分かりやすい物語でダイレクトマーケティングのプラン
から実行の方法を解説したものです。15 のステップで手項を解説します。
本編は『物語で理解するダイレクトマーケティング 構築編』です。基礎編・展開編をご覧に
なりたい方はこちらからダウンロードしてください。
⇒ http://marcomplan.jp/index.php?storyall
「ザ・マーコムプラン手項 15 のステップ」
1企業のミッション、ビジョンの確認
基礎編
2目的・目標の検討
3現状の把握
4標的市場の明確化
5マーケティングミックスと
戦略プログラムの抽出
6マーケティング目的・目標の決定
'企業の目的・目標とリンク(
構築編
7ステイタス予測とマーケティングコミュニケーション
目的別戦略ロードマップの決定
8販売メディアの決定
9マーケティング予算、広告予算の決定
10マーケティング戦略書の策定
11マーケティングコミュニケーションミックス
への落とし込みと決定
展開編
12インターナルコミュニケーションの強化
13マーケティングインテリジェンスによる
効果測定とフィードバックプランの決定
14マーケティングコミュニケーションプランの実行
15継続的成長
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0.イントロダクション: マーケティングとは・・
まずはマーケティングとはなにか?ダイレクトマーケティングとは何か?マーケティングプランニング
のキーポイントは何かを考えてみましょう。
1.企業のミッション、ビジョンの確認
企業の存在意義を考える、企業には果たすべきミッションが存在します。
2.企業の目的・目標の決定
会社の使命を果たす為、ビジョンを実現する為にターゲット、ゴールを設定する事がはじまりま
す。
3.現状の把握
マーケティング戦略を考えるには現状を理解する、自社の強みと弱みを見極め戦略ポイント
を見つけ出す事が必要。実現できないターゲットはターゲットじゃなく夢です。まずは現状をさ
まざまな角度からみてみよましょう。
4.標的市場の明確化
ターゲット'自社の標的市場、つまりは自社がサービスを提供する顧客層(を明確にするため
に市場を適切な切り口'変数(で細分化'セグメンテーション=市場のグループ分け(しましょ
う。グループわけができたらビジネスを展開する標的市場'ターゲット(を決め、'ターゲッティン
グ(標的市場がきまったら市場の中での競合状況と自社の位置づけ、例えば競合に参入す
るか、隙間を狙うかを考えます。'ポジショニング(
5 マーケティングミックスと戦略プログラムの抽出'戦略の分析と選択(
マーケティングセグメンテーションを行い市場標的'ターゲッティング(と差別化、位置づけ'ポジ
ショニング(ができたら、そのターゲットにあったマーケティングミックス'戦略ポイント(を考えましょ
う。ポジショニングによってつかんだ競合に対する自社の位置を実現する為、競合に優位に
立つ差別化には何をすべきかを考えます。
6.マーケティング目的・目標の決定'企業の目的とリンク(
戦略ポイントを決め試算ができたら今期のマーケティング目的と目標をハイレベルで確認しま
す。目標は会社の目標とリンクしますから、戦略テーマに関して一連の検討を行った結果、
会社の目標を考えなおす必要がある場合も出てくるかもしれません。この場合はコストも含
めての軌道修正、見直しを行います。
7
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7 ステイタス予測とマーコム'マーケティングコミュニケーション(目的別ロードマップの決定
目標の設定ができたら、現状のステイタス分析から得た数字と、必要なステイタス別コンタク
ト予測数を考え、各フェイズに必要なコミュニケーションプラン、プログラムを考えましょう。
8.販売メディアの決定
ロードマップを考える際にカタログや新商品紹介サイト等の販売メディアの発行やロウンチはコ
アなアクションとなります。コアメディアにコミュニケーションを集中する事は効率的でもあります。
9.マーケティング予算、広告予算の決定
目的別'Name recognition / Acquisition / Development / Retention(アクションとタイミ
ング、販売メディアの発行をロードマップで大枠掴んだら、マーケティング予算を考えていきまし
ょ。まずはマーケティング予算として適切なレベルを考えます。
10.マーケティング戦略書の策定
ここまで決まったらマーケティング戦略をまとめます。この戦略書にそって全てのマーケティングア
クティビティは展開されます。纏めた書類は経営陣と各部門のリーダーに配布し説明し方向
性の共有を行いましょう。
11.マーケティングコミュニケーションミックスへの落とし込みと決定、レスポンスフォーキャストの
作成
マーケティングコミュニケーションプラン'マーコム戦術書:キャンペーン内容や媒体、ツールといっ
たコミュニケーションミックス内容をプログラム別にまとめたもの(を考え、それをダイレクトマーケ
ティング予算&レスポンスフォーキャスト'プログラムごとのアクション、予算、レスポンス、CPR、
CPC 等を一枚に纏めたもの(を使って実際に落とし込みます。
12.インターナルコミュニケーションの強化
どんなによいマーケティング戦略ができても会社全体が同じ方向に向かって動かなければ効
果は発揮できません。インターナルコミュニケーションは重要です。
13.マーケティングインテリジェンスによる効果測定とフィードバック
ダイレクトマーケティングは測定可能であるのが大きなポイントです。効果を正しく測定するた
めに必要なデータを集める、必要なデータを集める仕組みを作る必要になります。
8
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14.マーケティング コミュニケーションプランの実行
プランができて、効果測定方法が出来上がったら、実行しましょう。実行に当たってはロードマ
ップからマーケティングコミュニケーション プランで具体化したプログラムを実際に制作しロール
アウト効果測定、Review と軌道修正という事を正確に行う事が重要です。
15.Next Step (継続的な成長へ(
ダイレクト マーケティング コミュニケーションプランと実行の PDCA(Plan/Do/Check/Action)
サイクルは会社が継続する限り続きます。効果測定ができ、数値でしっかりと管理できるのが
ダイレクトマーケティングであり、それはデータ、経験としての知見を重ねれば重ねるほど進歩
していきます。
このレポートでは、ザ・マーコムプラン手項 15 のステップの中の戦略を構築する部分である
「最大効果最大効率のダイレクトマーケティングプラン」構築編、マーケティングミックスと戦略
プログラムの抽出からマーケティング戦略書の策定までの、物語をお届けします。
この物語について
これから始まる株式会社ミナクルと登場人物や商品は全てフィクションです。数字等も架空
のものですが、ポイントとなる割合や比率はできるだけ本当の事例を想定した形で作成して
います。
株式会社ミナクルと株式会社ミナクルの登場人物
株式会社ミナクル
5 年前に滝沢 巌が 5 年前に脱サラで始めた通販会社。主服飾雑貨品をあつかう。
滝沢 巌
59 歳'株(ミナクル創業者、最近会社の伸び悩みに悩んでいる。
土田 浩'土田(
37 歳 巌の甥。広告代理店に勤務後、アメリカに留学し先週帰国した。人格者であるが
決定すべきところは決めるリーダーシップがある。 ミナクルのマーケティング部にリーダーとして配
9
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属される。
山下 香'山ちゃん(
25 歳 マーケティング部、広告全般、DM 担当。まだかけだしのマーケッター志望。明るいが
尐しぶりっ子タイプ。代代理店との話し合い等は高橋と一緒に担当、行動している。
鈴木 大輔'ポッポ(
32 歳 マーケティング部、Web マーケティング担当。頭は切れる、論理的だがすこしそっけな
い。素直。
高橋 正夫'高橋(
48 歳 マーケティング部マネージャー 予算を管理して貫禄はあるが、ダイレクトマーケティン
グの本質をしらない。大胆、接待がとくい。べらんめい調だが憎めないタイプ。
前田 孝'前ちゃん(
30 歳 マーケティング部 メールマガジン、カスタマーリサーチ、分析担当。 ダイレクトマーケテ
ィングにめざめ、データベース中心で展開、浩の期待の星。静かで温厚。データの管理をして
いる事から E メールを使うメールマガジンも担当している。
片野 真央'まおさん(
35 歳 マーケティング部カタログ制作担当 もともと通販会社でカタログを作っていた。その為
通販ダイレクトマーケティングというものは何かを理解している。明るい、美人。 2児の母。
小林 早紀'小林(
34 歳 土田の知合い。長い間ダイレクトマーケティングを経験し、知識は豊富。出産のため
暫く仕事を休んでいたが、土田の誘いで復帰。ミナクルのダイレクトマーケティングアドバイザー
としてチームをサポート。片野 真央とは気が合う。1 児の母
それでは、お楽しみください。
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第 17 話 「マーケティングミックスって?」
【1】マーケティングミックスと 4P
【2】「商品」「サービス」「流通」「コミュニケーション」
【3】マーケティングミックスの考え方
------------------------------------------------------------------【1】マーケティングミックスと 4P
------------------------------------------------------------------「マーケティングミックスってごちゃ混ぜのマーケティングでしょう。」
高橋お得意のギャグだ。
「そういう、反応できないギャグ止めてくださいよ。」とポッポ。
「ごちゃごちゃという意味ではないけど、組み合わせですね。
マーケティングセグメンテーションを行い、標的市場'ターゲッティング(
を決め、競合との差別化、ポジショニングを決めたら、その差別化、
言い換えれば自社の価値を最大限に引き出す、マーケティングミックス
を考えよう。」
土田が説明を始める。
「マーケティングミックスって言うのは 4P のことですか?」
前ちゃんが訊く。
「そう、4P という言い方は結構良く聞くと思う。4P とは何ですか。」
土田の問いに高橋が手を挙げた。
「はい、高橋マネージャー。」
土田が手を上げた高橋をさした。
「マーケティングミックスで代表的な論理で E・J マーカシーが言った
Product[商品]/Price[価格]/Place[流通]/Promotion[販売促進]です。」
高橋の鼻が膨らむ。
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「その通り。でもこれ自体がマーケティングミックスという事ではあり
ませんから、皆誤解のないようにしましょう。この 4P は適切な市場に
あったツールの組み合わせの考え方を示したものです。」
「つまり、ある企業ではその特徴を出す為に Product の P を強くしたり、
ある企業では Promotion の P で広告を強くしたりという事。この 4 つを枠組み
として考え最適な組合せを作るという事ですよね。」
「そう、前ちゃんのいうように、それぞれの標的市場とその中での
ポジショニングを考えるべきですから、業種や個々の企業の特色によって
マーケティングミックスは自ずと異なってきます。
つまり、マーケティングミックスとはは標的市場として設定した顧客の
要求を充足させる為のマーケティング手段の組み合わせということが
できます。」
「標的市場が好む最適なミックスね。」
まおさんが独り言を言う。
------------------------------------------------------------------【2】「商品」「サービス」「流通」「コミュニケーション」
------------------------------------------------------------------「言葉としては良く知られている 4P ですが、実際何の事かわかっていない人
も結構いるかもしれません。」
「Place、流通ってどんな事かちょっと想像しにくいなあ。」
山ちゃんが言った。
「そうですね、これからマーケティングミックスについて見ていきましょう。
私流ですが 4P の Product'商品(と Price'価格(を 1 カテゴリにして、
お客様が商品を見つけてから手にするまでのサービスを切り出したマーケ
ティングミックスをベースに考えたいと思います。」
土田がスライドを表示させる。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
●商品ミックス
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「商品」
-商品レンジ
-バリエーション
-品質
-デザイン
-パッケージ
-ブランド
「価格」
-標準価格設定、プライシング'設定の視点:コスト、需要、競争(
-ディスカウント'一律(
-カスタマー割引
-アローアンス
-支払期限
-信用取引
「アフターケアー」
-返品
-保証
-取扱い説明
●サービスミックス
「検索、比較、選択」'見つけやすさ(
-カタログ種類
-カタログ発刊サイクル
-Web サイトアクセシビリティ
-Web ユーザビリティ
-問合せ対応
「注文」'注文しやすさ(
-Web オーダー
-電話オーダー
-Fax オーダー
-営業時間
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「納品」'受取りやすさ(
-配送スピード
-配送オプション
「支払」'支払いやすさ(
-支払方法'カード、代引き、銀行振込等(
-支払期限
●流通ミックス
「商的流通」'販売ルート、チャネル(
-小売
-卸売り
-ダイレクト
「物的流通」'物流、ロジスティック(
-流通範囲
-輸送、配送
-バギング、梱包
-在庫
「情報流通」'データ(
-マーケティングインテリジェンス
-商品、在庫管理、POS
-CRM データ
●コミュニケーションミックス
「ダイレクトマーケティングコミュニケーション」'メディアミックス(
-認知
-Acquisition
-Development
-Retention
「CRM」'人的販売(
-セールスフォース
-テレセールス
-コールセンター、テクニカルサポート
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「PR/IR」'リレーション(
-PR
-IR
「リサーチ」'お客様の声の抽出(
-認知調査
-CS 調査
-競合調査
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「これらの頄目から、私たちの標的市場に最適且つ、強みを行かせる
ミックスを作り上げていくわけです。」
「マーケティングミックスは 1 つ考えるんですか?」
前ちゃんが聞く。
「複数の標的市場であっても 1 つのマーケティングミックスを集中して行う
ということもあるけれど、基本的には標的市場が 1 つなら 1 つのマーケティ
ングミックスを行い、2 つなら 2 つのマーケティングミックスを行うという
事です。但し、あまり複雑に考えすぎない事も大切です。実行が伴わない
セグメンテーションや差別化は意味がありませんからね。」
「じゃあ、新生ミナクルは標的市場に対して 1 つのマーケティングミックス
を考えると言う事ですね。」
「そうです。」
前ちゃんの質問に土田が答えた。
------------------------------------------------------------------【3】マーケティングミックスの考え方
------------------------------------------------------------------「では、これから新生ミナクルのマーケティングミックスを具体的に考えて
見よう。まず、我々『ザ・マーコムプラン』チームで考えてから経営会議に
提案すると言う事にしたいと思いますが、いいですか?」
「はい。」
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「どのような考え方をしていけばいいのですか?」
ポッポ聞いた。
「基本は、今までやってきた現状分析から得たポイントや自社の強みや弱み
をここからのプランニングに生かしていく作業だね。つまり、現状分析を
セグメンテーションやターゲッティング、ポジショニング、マーケティング
ミックスと戦略ポイント決定というプランニングの工程に活かす事が重要
なんです。」
土田が次のスライドを用意しながら皆に話し続けた。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
効果的なマーケティングミックスはプランニングのベースになる。
現状分析からえた知見を具現化するような気持ちで考えよう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 18 話 「商品ミックス」
【1】商品ミックスとは
【2】ライフサイクル密着型の商品を目指して
【3】商品ミックスの戦略ポイント
------------------------------------------------------------------【1】商品ミックスとは
------------------------------------------------------------------「突然ですが、今日はゲストに竹重部長に来ていただきました。
竹重部長は皆さんご存知のようにミナクル創業時から営業部長、商品購買を
担当されてきました。商品ミックスの話はやはり、専門の部長に加わって
もらったほうが良いと思い参加をお願いしました。竹重部長宜しくお願い
します。」
「土田さんから、話を聞きました。皆と有意義な話ができればと思って
います。」
竹重がにこやかな表情をしながら言った。
「商品のことなら、やっぱり竹重部長ですよね。」
山ちゃんがさりげなく竹重を持ち上げた。
「じゃあ、早速ですが、マーケティングミックスから今日は商品ミックスに
ついて考えていきましょう。」
土田がスライドを表示する。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
●商品ミックス
「商品」
-商品レンジ
-バリエーション
-品質
-デザイン
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-パッケージ
-ブランド
「価格」
-標準価格設定、プライシング
-ディスカウント'一律(
-カスタマー割引
-アローアンス
-支払期限
-信用取引
「アフターケアー」
-返品
-保証
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「これらの中から新生ミナクルの標的市場に、最適な商品ミックスを考え
ていきましょう。」
「お客様の声として、今まであった中でネガティブだったのは、何を売っ
ているのかイメージがないとか、服飾のラインナップが他社よりも若干务る
とか、家具は購入しないとかの声でした、一方で、ベビー用品などに対して
は、良く購入する等のポジティブなフィードバックが多かったと思います。
ここら辺のところは、部長はどう思われていますか?」
と前ちゃんが竹重に言った。
「確かに、ベビー用の商品はうちはかなり豊富だし調達力があるんだ。
反面、服飾や家具はなんとかラインナップを揃えているという部分もある。
特に最近は競合が激しくなってきているね。強力な北欧の会社も進出して
きたしね」
竹重は資料を皆に配布しながら話はじめた。
「あ、山ちゃんこれを皆に渡してくれるかい。この資料は今のミナクルの
商品のラインナップとそれぞれの販売実績を表した資料です。これを見て
分かるのは、現在ミナクルの取扱商品は・・・・・・。」
暫く竹重の商品に関する説明が続いた。
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「やっぱり、そうなんだ。新生ミナクルがライフサイクル密着型に移行す
るには、それに伴って商品も大きく変更していく必要があると思います。」
まおさんが言った。
「ライフサイクル密着???どのような事か、具体的に話してくれるかい。」
竹重が眉を八の字にしながら言った。
------------------------------------------------------------------【2】ライフサイクル密着型の商品を目指して
------------------------------------------------------------------「はい、実は私たちマーケティングでは新生ミナクルのマーケティングミッ
クスに関して議論を重ねているんですが、ポジショニングとしては競合他社
よりも、もっともっとライフサイクルに密着して行くべき、その為にも商品
はターゲットにあったものを思い切って絞り込む必要があると思っているん
です。私たちの標的市場である『出産を控えた、もしくは 5 歳までの子供が
いる 20 から 50 歳までの既婚女性』が必要とする商品のみを紹介するんです。
なんでもかんでも用意できるものを提供すると言うよりも必要な商品を数点
選んだ上で適切なタイミングに提案するんです。」
まおさんが何時になく興奮気味に話した。
「なるほどね、でも商品を絞り込むと言う事は、今売れている商品も売らなく
するという事もあるんだよね。」竹重が質問する。
「ええ、そういう事もあると思います。」
「まおさん、この前のミーティングで作ったドラフトプランを見せた方が
分かりやすいかもしれないね。」土田が言う。
「そうですね、じゃあ、ちょっと時間を頂いてもいいですか?」
といって今度はまおさんが資料を出した。
「具体的には商品を以下のカテゴリに分けてお客様に紹介します。」
)))))<資料の内容ここから>)))))
新生ミナクルの商品案'ドラフト(
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●基本的な考え方
)商品レンジを絞ったライフサイクル密着型、お客さんの声を反映する。
)商品の便利な点、不便な点も明確に紹介しながら推薦する。お客様
の代わりに選んであげるような感覚。代表商品を 5 点程度に絞り込む。
ターゲットは本人と子供の年齢で以下に分類した上で商品を絞り込む。
●妊娠から出産前まで
●出産から子供が 10 ヶ月ぐらいまで
●子供が 10 ヶ月ぐらいから 2 歳ぐらいまで
●2 歳ぐらいから 5 歳ぐらいまで
それぞれのターゲットにあったカタログを季節ごとに発行配布する。
具体的な商品は以下のようなイメージ
●妊娠から出産前まで
ママの用品
-出産を控えたお母さんの読む本 「10 月生まれの本」、「初めてのパパ」
-マタニティーなどの服飾や便利な道具'季節ごと(
生まれてくる赤ちゃんの準備品
-肌着セット'出産予定月ごと(
-ベビーベット
-ベビーカー
-沐浴'お風呂(用具
その他
-チャイルドシート
-ビデオカメラ
-心配事何でも相談パック+コミュニティ
-出産内祝いカタログ
●出産から 10 ヶ月ぐらいまで
-お宮参りセット
-哺乳瓶セット'洗浄器、保温器、粉ミルク(
-スタイ'前掛け(やミトン'手袋(セット'洋服とコーディネート(
-おくいぞめ用商品
-ひな祭り、雛人形、5 月人形
-プレイマット
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など。
)))))<資料の内容ここまで>)))))
「へえ、ずいぶん細かいところまで考えたんだね。」
竹重が関したような顔で腕組みをしながら資料を眺めている。
「ええ、何人かの知合いに調査をしてみました。ミナクルと他の通販会社
との違いをだす、私たちの強みを発揮するにはもっと、もっときめ細かい
サービスが必要だと思うんです。」
「なるほど、調査はこれからもっとやるつもりなんですか?」
「ええ、できるだけ多くの実際の声を聞いてみるべきと思っています。」
竹重の質問にまおさんが答えた。
「そう、新生ミナクルはライフタイム密着型ですから。」
まおさんに前ちゃんが重ねる。
------------------------------------------------------------------【3】商品ミックスの戦略ポイント
------------------------------------------------------------------「土田さん、このアイデアはこれからどのようにするつもりなの?」
竹重が土田に聞く。
「ええ、これからマーケティングミックスを話しあう中で今後の戦略の
ポイントをいくつかに絞った上でプランを各関係部門で詰めてプログラム
として纏め上げ実行へと移していくつもりです。もちろん経営会議でも
議論します。中でもこのライフサイクル密着商品レンジ開発プログラムは
これからのミナクルのコアになる部分です。しかし、勿論、竹重部長や
部長のチームの協力なしには進めていけません。今日は基本的な部分を
ご説明させていただき、このプログラムの推進にご賛同いただければと、
思います。」
土田が竹重に言った。
「う-ん、これからやる事は尐なくはないな。が今のミナクルには新たな
チャレンジが必要なのは確実だな。」
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考え込む、竹重にまおさんが言った。
「竹重部長、やりましょう。私もカタログ発行の観点からぜひ一緒に考え
させてください。」
「商品ミックスの 1 つの大きなポイントは
『ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム』ですね。」
土田が言った。
「そうだね、我々購買部門もマーケティングも経営陣も一緒になって考え
ていく必要がありそうだね。」
竹重の言葉に皆がほっとした。
「商品のことなら、やっぱり竹重部長ですよね。」
山ちゃんがまた言った。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
マーケティングミックスのなかの商品ミックスは商品を取り巻くツール
の組合せである。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
22
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第 19 話 「サービスミックス」
【1】サービスミックスとは
【2】ライフサイクル密着型のサービスを目指して
【3】サービスミックスの戦略ポイント
------------------------------------------------------------------【1】サービスミックスとは
------------------------------------------------------------------「前回の商品ミックスに続いて、今回のサービスミックスの検討にもゲスト
に来ていただきました。」
「土田さん、誰ですか?」
「前ちゃん、誰ですかってコールセンターの小澤さんですよ。ここに座って
いる。」
コールセンターの小澤が前ちゃんの隣に座っている。
「あ、そうか、小澤さん、その為に来てくれたんですか。ありがとうござい
ます。」
「前ちゃん、大丈夫、しっかりしてね。皆さん、今日はお客様といつも直接
話している部門の代表として役に立てればと思います。宜しくお願い
します。」
小澤がてきぱきと挨拶をした。
「では、サービスミックスについてですが、これは商品を選ぶ、注文する、
受取る、支払うという購入の流れにおいてのサービスの部分にフォーカスを
当てたものです。選ぶということには検索、比較、選択するという要素も
含まれてきます。」
土田がスライドを表示する。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
●サービスミックス
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「検索、比較、選択」'見つけやすさ(
-カタログ種類
-カタログ発刊サイクル
-Web サイトアクセシビリティ
-Web ユーザビリティ
-問合せ対応
「注文」'注文しやすさ(
-Web オーダー
-電話オーダー
-Fax オーダー
-営業時間
「納品・支払い」'受取りやすさ(
-配送スピード
-配送オプション
-支払方法'カード、代引き、銀行振込等(
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「サービスミックスの中で一つの課題は、いかにして商品を見つけやすく
するかという事かと私は思います。これは商品ミックスと密接に結びつい
た部分ですが、ライフサイクルに密着した商品レンジを開発しても、
お客様が気づかない見つけられないのでは意味がありませんから。」
土田の話の後に続くように小澤が言う。
「お客様の問合せも多いわ、子育てのライフサイクルに密着しようとする
なら当然だけどライフサイクルに添った商品紹介が必要じゃないかな。」
「私もそう思うな。カタログは内容や発行するタイミングや掲載商品を
見直す必要があると思うわ。選び易いようにもっと商品のポイントや情報
を充実させる事が必要だと思う。」
まおさんが小澤の意見に賛同する。
「あまりいっぱいあると迷っちゃうよね。ここが良いポイント、こういう
人にはこれがお勧めみたいな情報があると選び安いわよね。」
「そうそう、選ぶにのに結構時間がかかっちゃうんですよね。」
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「小澤さんとまおさんは、気が合いますね。」
ポッポが言う。
「そうよ、同年代ですもの。おまけに子供は尐し大きいけど子育て経験あり。
新ミナクルの過去のターゲットってとこかな。」
まおさんが笑いながら言った。
「確かお客様のフィードバックで Web での商品が選びにくいなんてのも、
有りましたよね。ここは何とかしたいです。」
とポッポ。
------------------------------------------------------------------【2】ライフサイクル密着型のサービスを目指して
------------------------------------------------------------------「どうやら新生ミナクルはメディア、つまりカタログや Web サイトでの商品
の選びやすさを向上させる事が必要みたいですね。」
土田が問題提起する。
「はい、商品ミックスの時にお話したように商品は子供の成長別に 4 つの
ライフサイクルに分類して紹介したいと思っています。妊娠から出産前まで、
出産から 10 ヶ月ぐらいまで、10 ヶ月ぐらいから 2 歳ぐらいまで、2 歳ぐらいから
5 歳ぐらいまでの 4 つです。でそれぞれ 4 つのシーズン毎にカタログを発行する
のが良いのじゃないかと思っているんです。」
まおさんが言う。
「まおさん気合はいっていますね。」
高橋が久しぶりに口を挟んだ。
「だって、私はカタログ制作担当ですから。それぞれのカタログのタイトル
も考えてみました。どうでしょうか?」
)))))<タイトル案ここから>)))))
●妊娠から出産前まで - 「パパママと生まれてくるあなた編」
●出産から 10 ヶ月ぐらいまで - 「パパママと微笑んだあなた編」
●10 ヶ月ぐらいから 2 歳ぐらいまで -「パパママと歩き出したあなた編」
●2 歳ぐらいから 5 歳ぐらいまで - 「パパママと話し出したあなた編」
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)))))<タイトル案ここまで>)))))
「いいわねえ、なんだか優しさがあふれたタイトルで。」
小澤が言った。
「じゃあ、カタログは 4 つの種類に 4 つのシーズン 16 種類って事ですか?
出産日を起算日にしてお子さんが何歳かによってカタログを送り分ける
って事ですよね。大変そうだなあ。」
前ちゃんが言った。
「Web サイトと連動させる形で考えていくのが見せ方としても、
コスト的にも行くのがベストなのかな?」
ポッポが天井を見上げた。
「これから、考えていきましょうよ。いずれにせよカタログや Web サイト
はもっともっと選びやすい、見つけやすい形に変えていかなきゃね。
それともう一つ、選び易いようにするためには、もっと商品のポイントや
情報を充実させる事が必要だと思うんだけど、その点はどう。」
「まおさんの言うとおりだと思う。私たちのミッション『家族の楽しい
人生を創造する』という事から考えても、上手な使い方や楽しみ方の
ような情報をもっともっと提供すべきだと思うわ。その為には、お客様
の声を聞いて、商品開発やカタログコンテンツに反映するような仕組み
を作る事が大切なんじゃないかな。ポッポさん、どう思う?」
小澤はコールセンターなので、お客様の声にフォーカスする。
「僕もそう思います。その意味でも Web でコミュニティを展開するんも
良いと思います。お客様から情報を集めて、我々はその情報を生かして
商品選定や見やすいカタログ作りに反映して WinWin の関係を作るんです。」
「いいお客様との関係がつくれそうね。」
小澤が言った。
------------------------------------------------------------------【3】サービスミックスの戦略ポイント
-------------------------------------------------------------------
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「議論も進んできたところで、サービスミックスのポイントを纏めてみま
しょう。1 つはまおさんや小澤さんから提案があった、カタログや Web サイト
で商品の選びやすさを向上させる事ですね。『選びやすさ向上プログラム』
とでも呼びましょうか。」
と土田が纏めに入る。
「SEO はもちろんの事、Web サイトユーザービリティ、サイト内検索、
ブラウズする為のグループ分けや階層構造、なんていうことも選びやすさ
に入ると思います。」
ポッポが付け加えた。
「確かにそうだね、カタログも Web も含めた選びやすさがポイントだね。
そこは、プランの始めにきちんと定義していこう。で、もう一つは?」
「見やすく、選びやすくという事と連動しているのですが、商品情報を如何
に充実させて、こちらから商品を提案できるかと言うような事かと思います。
お客様の声をどのように生かすかと言う事もポイントと思います。」
まおさんが言う。
「うん、選ぶために適正な商品情報を充実させると言う事かな。お客様の
声をどのように捕らえてフィードバックできるかはコミュニケーションの
部分の色合いが強いかもしれない。ここでは『商品情報充実プログラム』
とでも呼びましょうか。」
土田が 2 つのポイントをホワイトボードにかいた。
今日も『ザ・マーコムプラン』は活気があふれていた。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
マーケティングミックスのなかのサービスミックスは商品を選ぶ'検索、
比較、選択(、注文する、受取る'納品・支払い(の組合せである。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 20 話 「流通ミックス」
【1】流通ミックスとは
【2】ライフサイクル密着型のサービスを目指して
【3】流通ミックスの戦略ポイント
------------------------------------------------------------------【1】流通ミックスとは
------------------------------------------------------------------「では、商品ミックスに続いて流通ミックスについて考えましょう。小澤
さん、このまま続けますが時間が有ればこのままミーティングに加わって
もらっていいですか?」
サービスミックスの議論からミーティングに加わっているコールセンター
長の小澤に土田が聞いた。
「ええ、もちろん、今日はその予定でしたから。」
「ありがとうございます、では流通ミックスについて考えます。えーっと、
遅いなぁぁ。」
土田が小さな声で言った。
「何が遅いんですか。」
山ちゃんが言ったところで、ノックの音がした。
「トン、トン、トン」
「はい、どうぞ。」
「遅れました。すみません、」
入ってきたのはロジスティックセンター長の岩松だ。
「あ、岩松さん、今始めたところです。席にどうぞ。」
岩松が頭を低くしながら席についた。
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「流通ミックスのゲストは岩松さんですね。」
山ちゃんが言った。
「そう、この時間は岩松さんにも参加して頂きます。さてと、流通ミックス
は以下のような頄目で構成されます。」
土田がスライドを表示する。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
●流通ミックス
「商的流通」'販売ルート、チャネル(
-小売
-卸売り
-ダイレクト
「物的流通」'物流、ロジスティック(
-流通範囲
-輸送、配送
-バギング、梱包
-在庫
「情報流通」'データ(
-マーケティングインテリジェンス
-商品、在庫管理、POS
-CRM データ
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「流通ミックスは簡単に言うと、物や情報の流れ方を変える、工夫する事
で効果的効率的なサービスを生み出すという事になります。」
と土田がスライドを指しながら話す。
------------------------------------------------------------------【2】ライフサイクル密着型のサービスを目指して
-------------------------------------------------------------------
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「商品ミックスでも、サービスミックスでも新生ミナクルの特徴を生かす為
に、ライフサイクル密着型のサービスを意識してきたけれど、流通ミックス
では、どのような事を考えて行く事が必要なのかな。」
とまおさんが口火を切った。
「商的流通の部分でいけば、私たちはネットとカタログのダイレクト通販
だけど、発想を変えてお客様と直接お話をしながら販売するような機会が
あってもいいんじゃないかなあ。例えば、私たちのお客様である小さいお子
さんをもったママさんが多くいる場所にお店を構えて、どんな商品をもとめ
ていて、どんな部分がポイントで、どんな部分は妥協できてなんて部分を
ヒヤリングしながら販売するような。」
小澤がいう。
「さすが小澤さんはカスタマーフォーカスですね。実際のお客様の声を
リアルに体感するような場所は必要かもしれませんね。データだけでは
分からないような事が多く分かるかもしれないし。それたの情報を実際の
次のアクションにつなげていければ最高ですね。」
ポッポがいった。
「その場合、商品は実際にその店に置くという事ですか?」
ロジスティックスの岩松がゆっくりと話した。
「ロジスティックスとして配送が気になりますよね。」
小澤がいった。
「ええ、まあ。」
と岩松。
「商品は、その場その場で注目されているものや、実際に触って確かめな
いとを分かりにくいような商品を一部分置けばいいんじゃないかしら。
注文はお店にお客さんが自由につかる PC を数台置いて注文してもらえる
ようにすればいいと思う。そうすれば、今までの物流を大きく変える必要
がないでしょう。」
「さすが、小澤さん冴えてるう。」
高橋が口をはさむ。
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「インターネットカフェみたいに、お茶を飲みながらママさん同士が気軽
に話や商品レビューができて、商品を決めたら、その場で注文見たいな
アットホームな雰囲気のお店なんかがあったらいいかもね。」
まおさんが付け加える。
「そうですね、そのような形なら今の体制でも十分カバーできると
思います。」
岩松は冷静な感じの低い声で答えた。
「コミュニティのオフ会と連動させたりしても楽しいかも。」
とポッポ。
「いわるるアンテナショップ的な発想ですが、ライフスタイル密着型の
ミナクルには非常に重要な情報源になると思いますね。お客様の声を
商品選定やカタログや Web のコンテンツに生かせればショップへの投資
コストも十分回収できると思いますね。一方で数値データも重要な経営
資源です。現状分析で、費用がどのように効率的に使われているかが把握
できない等の課題が出てきましたが、それらはどのように解決していけば
良いと思いますか。」
土田が皆に問いかけた。
「はい、データを整備して費用対効果をきちんと分析把握できる仕組みを
作る事が必要だと思います。お客様を獲得するのにいくらの費用をかけて
何人のお客様を獲得できてというような事を数値で判定できるような
仕組みが必要だと思います。」前ちゃんが言った。
「確かに大切だと思うけど、それって流通ミックスと関係あるんですか。」
と山ちゃん。
「流通ミックスには情報流通というものも含まれるんだよ。ダイレクト
マーケティングの実行には情報、データをどのように取って、それをどの
ように管理して、どのように反映していくかという流れ、フロー、仕組み
が必要だよね。」
土田が前ちゃんの意見に付け加えるように言った。
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------------------------------------------------------------------【3】流通ミックスの戦略ポイント
------------------------------------------------------------------「では、ここらへんで流通ミックスのポイントを纏めてみましょう。
1 つ目は小澤さんから提案があった、『アンテナショッププログラム』と
でも呼びましょうか。ここにはお客様の声を抽出するという機能もはいって
来ると思います。」
土田がホワイトボードに書き出した。
「土田さんが言うように、これはお客様の声の抽出という事にも関連して
きますので、Web のコミュニティの考え方とも連動してくると思います。」
ポッポが言う。
「OK、お客様の声の抽出という部分はコミュニケーションミックスでも取り
上げて話をしよう。次にポイントとしてあげる必要のあるのは・・・」
「『ダイレクトマーケティング強化プログラム』です。ダイレクトマーケ
ティング実践の為にも必要です。」
前ちゃんが言う。
「うん、効果測定をきちっとして最大効果・最大効率のマーケティングを
するにはダイレクトマーケティング用 DB とフローの構築は必須だね。
これに関して意見のある人はいますか。」
土田がいう。
「ライフサイクル密着型を目指すには、誰にどのタイミングでどのような
情報を提供するかを理解しある程度きめ細かく管理運営する必要がある。
その為にもデータベースは必須だと思います。」
まおさんが答えた。
うん、うんとマーケティングの皆と小澤は頷いていた。ロジスティックス
の岩松だけがじっとスライドを見つめていた。
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今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
マーケティングミックスのなかの流通ミックスは物や情報の流れ方を
最適にするための組合せである。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
33
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第 21 話 「コミュニケーションミックス」
【1】コミュニケーションミックスとは
【2】ライフスタイル密着型のサービスを目指して
【3】コミュニケーションミックスの戦略ポイント
------------------------------------------------------------------【1】コミュニケーションミックスとは
------------------------------------------------------------------「さて、いよいよコミュニケーションミックスです。コミュニケーション
ミックスは言葉の通り、主にお客様とのコミュニケーションに関する事柄
です。とはいっても広告等のマーケティングコミュニケーションのみに
限ったことではありません。」
土田がいつものようにはじめた。
「土田さん、素朴な疑問なんですがお聞きしていいでしょうか?」
「もちろん。なんだい、山ちゃん。」
「あの、変な質問なんですが、私たちはマーケティングコミュニケーション
を担当するマーケティング部門なのですから、このコミュニケーション
ミックスのマーケティングコミュニケーションを考えるのが業務なのじゃ
ないのでしょうか?」
「それは違うんだよ、山ちゃん。確かに様々なメディアを駆使してダイレ
クトなマーケティングコミュニケーションを行うのはマーケティング部門
の業務だけど、それだけではない。効果的にコミュニケーションする為
には、いつ、誰に、何をコミュニケーションしていくかを考えなくては
ならないよね。その為には、大きな枠組み、何をやるかという戦略を考え、
それを如何に実現していくかの戦術に落としていくという作業が不可欠
なんだよ。何をやる為にどのようにコミュニケーションするかを考えなく
てはいけない。それが抜け落ちて、ただ決まった物事を伝達するだけでは
マーケティングとは言えないんだよ。」
土田が熱っぽく話した。
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「考えてみれば確かにそうでした。」
山ちゃんは尐しばつが悪そうにうつむいた。
「山ちゃん、聞いてくれてありがとう。実はここが多くのマーケティング
に携わる人が勘違いするポイントなんだよ。もしくは、分かっているとは
言っても実際に行動がともなわないという人も多いよ。さ、改めてコミュニ
ケーションミックスを復習しよう。」
)))))<スライドの内容ここから>)))))
●コミュニケーションミックス
「ダイレクトマーケティングコミュニケーション」'メディアミックス(
-ブランド認知系コミュニケーション
-Acquisition'顧客獲得(系コミュニケーション
-Development'顧客深耕(系コミュニケーション
-Retention 系'顧客維持(系コミュニケーション
「CRM」'人的対応(
-セールスフォース
-テレセールス
-コールセンター、テクニカルサポート
「PR/IR/インターナル」'リレーション(
-PR
-IR
-インターナル
「リサーチ」'お客様の声の抽出(
-認知調査
-CS 調査
-競合調査
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「コミュニケーションミックスミックスで新生ミナクルに必要な事は
何でしょうか?」
と土田がスライドを指しながら話す。
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------------------------------------------------------------------【2】ライフサイクル密着型のサービスを目指して
------------------------------------------------------------------「今まで考えてきたように、現状分析からみえてきた事、お客様の声、
ライフサイクル密着型という新生ミナクルのポジショニングを前提に考え
る事が必要だと思います。」
山ちゃんが気を取り直して言う。
「ぼくも山ちゃんの意見に賛成です。まずは商品ミックスの時にもあった
ように、お客様からの意見として『ミナクルは何を売っているかのイメージ
が弱い』との声があります。ミナクルをもっと知ってもらうと言う事が必要
だと思います。もっと言えば知ってもらうだけではなく、どのようなサービ
スをやっているか、何を売っているかを広く理解してもらう事が必要と思い
ます。」
ポッポが言った。
「そうよね、商品やサービスが揃っても認識が今までと変わらなかったら
あまり効果が見込めないものね。」
まおさんも続いた。
「まずは知ってもらうと言う事が大切という認識は私も同じです。そして
ミナクルはこういう会社なんだって言うことをイメージしてもらう。
知ってもらったら次は買ってもらうという事が必要ですよね。今までよりも
もっと標的市場を絞って差別化を図った我々には顧客獲得をどのように
効果的・効率的に行うという事も考えないと・・ですよね。」
前ちゃんの意見に山ちゃんが質問する。
「今、私たちのメディアで一番効果的なのってなんでしたっけ?」
「うん、それは残念ながらハッキリ分からないんだ。ここは流通ミックス
で決めた『ダイレクトマーケティング強化プログラム』で進めていかなけ
ればならない部分なんだけど・・・。でも口コミやお客様による紹介が
多いというお客様の回答から考えて、顧客紹介のシステムは顧客獲得の
キーポイントとして最大限に利用しなければと思う。」
前ちゃんが過去の資料をラップトップで見ながら山ちゃんに答えた。
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「確かお客様を獲得しても次の年にはお客様がいなくなってしまうと言う
事もあったと思うんですが、7,000 人獲得しても 7,000 人いなくなってしま
うといった事があったかと。」
「山ちゃんの言う通りなんだ、お客様が買わなくなってしまう、休眠しな
い様にするかも私たちの大きな課題なんだ。休眠を如何になくすかという
事は言い換えれば、如何に買い続けてもらえるようにするかという事だか
ら、顧客の維持と顧客の育成という課題は同じような側面があるかもしれ
ない。」
前ちゃんが現状分析で利用したスライドを皆に示しながら言った。
「今まで皆で議論してきた事がシェアできてるから理解もしやすいよね。」
スライドを見ながらまおさんが言った。
------------------------------------------------------------------【3】コミュニケーションミックスの戦略ポイント
------------------------------------------------------------------「みんな、活発な議論で私の出番はなかった感じだけど、今までの議論が
から戦略ポイントとして取上げるものを纏めて見ましょう。
まずは、認知度・ブランドアウェアネスの向上だけど、私は今の分かり
にくさを克服する為には思い切って社名の変更も視野に入れたいと思って
いますが皆はどう思いますか?」
土田の突然の提案に皆驚きながらもニコニコしていた。
「そうですよ、それくらいの事しなくっちゃ。」
「みんな、異議がないようだし、そこも視野に入れて考えて行きましょう。
なので、このプログラムは『CI 定着プログラム』と呼ぶ事にします。」
「次は・・・」
「効率的な顧客獲得のプログラム、紹介や口コミを利用した・・・。
『顧客獲得、顧客紹介プログラム』なんてのはどうでしょうか?」
山ちゃんが言った。
「そうですね、では、そうしましょう。その他は?」
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「べたですが『顧客育成、維持のプログラム』です。」
前ちゃんが言った。
「うん、これもマーケティングコミュニケーションの根本的な部分ですね
議論としてあがったのは、このくらいだったでしょうか。はい。最後に
私から、1 つプログラムとしてあげたいと思います。それは『お客様の声の
抽出と利用促進プログラム』です。ここに今まで、きちんとサンプルを
きめて行えなかった認知度調査や顧客満足度調査、それぞれのプログラム
で活用するアンケートや、商品情報充実プログラムの一部になるかもしれ
ないコミュニティなどともリンクしながら、どのようにお客様の声を今後
集めて抽出しサービスの向上に反映していくかと言うような事に繋げて
行きたいと思います。」
土田がプログラムを 1 つ加えた。
「マーケティングはアウトサイドイン、CS 思考が基本ですから。」
高橋が言った。
「その言葉、久しぶり。高橋さん。」
山ちゃんがいつものように高橋に反応した。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
マーケティングミックスのなかのコミュニケーションミックスはお客様や
ステークホルダーとのコミュニケーションを最適にするための組合せ。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 22 話 「戦略ポイントの絞込みとプログラムの抽出」
【1】戦略ポイントの絞込みとプログラムの抽出
【2】プログラム概要と進め方
【3】各プログラムの計画と ROI
【4】売上、利益目標への反映
------------------------------------------------------------------【1】戦略ポイントの絞込みとプログラムの抽出
------------------------------------------------------------------定例の経営会議。土田がミナクル経営人に来期のマーケティングプラン
プランの方向性に関して話し始めていた。
「・・・ご説明させてような手項で、マーケティング部門を中心に
『ザ・マーコムプラン』と称するミーティングを開催してきまいたが、
今回、戦略ポイントを絞り込みプログラムを抽出しました。
今から、そのプログラムを発表させていただきます。」
土田がパネルを取り出した。
「まず 1 つ目のプログラムは『ライフサイクル密着商品レンジ開発プログ
ラム』です。このプログラムは我々の標的市場のお客様にアピールできる
商品レンジを開拓しオファーする事を目的としています。このプログラム
の抽出には、商品部門の代表として竹重部長にも入っていただきました。」
話をしながら土田が、マグネット付きのパネルをミーティングルームの
壁にペタリと貼った。パネルには
『商品ミックス:ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム』
と書いてある。
「2 つ目は、お客様が商品を検索する、比較する、選択すると言った
見つけやすさに関連するプログラムで『選びやすさ向上プログラム』
です。このプログラムではお客様が商品を選ぶ際の重要なメディアである
カタログ、ここには Web カタログも当然含まれますが、その内容や更新
サイクル、種類等の見直しと再開発を目的とします。
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ライフスタイル密着商品レンジを訴求する主たるツールであるカタログ
メディアの見直しは重要なポイントと考えます。尚、このプログラムの
抽出には、お客様とのダイレクトコンタクトを行っているコールセンター
の小澤さんにも入っていただきました。」
小澤が立ってにこりと笑うと軽く頭を下げた。
土田が、また1枚パネルを壁に貼った。パネルには
『サービスミックス:選びやすさ向上プログラムプログラム』
と書いてある。
「では次、3 つ目のプログラムに行っていいでしょうか?3 つ目は・・・」
土田が全てを話し終えた時にはミーティングルームの壁には合計で 8 つの
パネルが貼られていた。
)))))<壁に貼られたパネルの内容ここから>)))))
〔1〕 ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム
〔2〕 選びやすさ向上プログラム
〔3〕 商品情報充実プログラム
〔4〕 アンテナショッププログラム
〔5〕 ダイレクトマーケティング強化プログラム
〔6〕 CI・ブランドプログラム
〔7〕 顧客獲得、育成、維持のプログラム
〔8〕 お客様の声の抽出と利用促進プログラム
)))))<壁に貼られたパネルの内容ここまで>)))))
------------------------------------------------------------------【2】プログラム概要と進め方
------------------------------------------------------------------経営会議メンバーは壁に貼られたパネルを眺めていた。
暫くして竹重が口を開いた。
「これから概要はどう詰めるんだね。」
「それぞれのプログラム毎にプロジェクトチームを作って大枠の部分
で議論を行いドラフトプランとして完成していければと思っています。
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ドラフトプランには目的、目標'ターゲット(、スコープ'適用範囲(、
必要なアクティビティ、コストなどを明確にできればと思います。」
土田が続ける。
「そこで、それぞれのプログラムのリードなんですが・・・。」
「誰がやるのかね。」
社長の滝澤がボソッと行った。
「以下のようにさせていただきたいと思います。」
土田がそれぞれのパネルんび貼られたシールを剥がすと、それぞれの
パネルから名前が現れた。
)))))<パネルの内容ここから>)))))
〔1〕 ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム-----竹重部長
〔2〕 選びやすさ向上プログラム-----リード:片野
〔3〕 商品情報充実プログラム-----リード:小澤コールセンター長
〔4〕 アンテナショッププログラムリード:岩松ロジセンター長
〔5〕 ダイレクトマーケティング強化プログラム-----リード:前田
〔6〕 CI・ブランドプログラム-----リード:土田
〔7〕 顧客獲得、育成、維持のプログラム----リード:高橋
〔8〕 お客様の声の抽出と利用促進プログラム----リード:山本
)))))<パネルの内容ここまで>)))))
自分の名前が載っているのを見て皆それぞれに反応した。
「我々経営メンバーも加わって、リードしていくと言う事ですね。」
コールセンターの小澤が一番の見込みが早かったようだ。
「そうです、これらのプログラムは全てこれからのミナクルの経営に大
きく関わる事ですから皆さんにもお願いしたいと思います。」
「土田くん、私は何をすればいいんだい?」
と聞いたのは社長の滝澤だ。確かに滝澤の名前は何処にもない。
「社長には全体のオーナーになっていただきます。」
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------------------------------------------------------------------【3】各プログラムの計画と ROI
------------------------------------------------------------------「ドラフトプランには目的、目標'ターゲット(、スコープ'適用範囲(、
必要なアクティビティ、コストなどを纏めるということだったよね。」
竹重が言う。
「そうですね、その程度のポイントは抑えていただきたいと思います。
最終的には各プログラムの投資効果を見て、費用の捻出方法や来期の目標
への反映を再度検討したいと思います。ROI を見てプログラムを軌道修正
すると言う事もでてくるかと思います。」
「で、いつまでに?」
「来期の計画は来年初めには決着をつけたいところですから、今年中には
各プログラムのドラフトプランを纏めていただけますか?」
土田がカレンダーをペラペラとめくりながら答えた。
「約 2 ヶ月かあ。」
「各ドラフトプランができた後は、どんな形で進行するつもりだい?」
社長の滝澤が微笑みながら土田に聞いた。
「はい、出来上がったら一度、皆で集まって各プログラムのレビュー会を
したいと思っています。そこでこれらのプログラムは新ミナクルの重要な
骨組みになっていくはずですから。」
------------------------------------------------------------------【4】売上、利益目標への反映
------------------------------------------------------------------「新ミナクルか・・」
滝澤がつぶやいた。
「ひとつこの場でお話しておきたいのですが、CI 定着プログラムは、私、
土田がリードさせていただきますが、CI、コーポレートアイデンティティ
を変更する事での、ブランドの確立と認知の向上を目指します。ここには
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社名の変更、ロゴの変更、カタログブランド名の変更を視野に入れていき
たいと思っています。」
「名前が変わる・・」
「はい、新ミナクルにふさわしいブランドを作りたいと思います。
社長には相談させていただきますのでよろしくお願いします。」
土田がハッキリとした口調で答えた。
尐しの沈黙があった。
「各プログラムのレビュー会を終えたら、その結果は来期の売上げ・利益
目標にも反映させることになります。」
土田が言った。
「張り切ってプログラムを仕上げましょう。新しいミナクルの為に。」
『ザ・マーコムプラン』メンバーがいち早く立ち上がった。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
戦略ポイントから抽出したプログラムは経営陣を巻き込んでつめよう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 23 話 「戦略プログラムレビュー会と目標の決定」
【1】戦略的プログラムレビュー会
【2】売上、利益に関する目標の決定
【3】顧客動向に関する目標の決定
【4】マーケティング目標の決定
------------------------------------------------------------------【1】戦略プログラムレビュー会
------------------------------------------------------------------経営会議でのプログラムの発表から約 2 ヶ月の月日が過ぎた。それぞれの
プログラム検討チームのドラフトプランも出来上がり、今日はそのレビュー
会だ。各チームのリーダーがそれぞれの検討した結果を持ち寄った。
)))))<レビュー会 Agenda ここから>)))))
プログラムレビュー会
〔1〕 ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム-----竹重部長
〔2〕 選びやすさ向上プログラム-----リード:片野
〔3〕 商品情報充実プログラム-----リード:小澤コールセンター長
〔4〕 アンテナショッププログラムリード:岩松ロジセンター長
〔5〕 ダイレクトマーケティング強化プログラム-----リード:前田
〔6〕 CI・ブランドプログラム-----リード:土田
〔7〕 顧客獲得、育成、維持のプログラム----リード:高橋
〔8〕 お客様の声の抽出と利用促進プログラム----リード:山本
)))))<レビュー会 Agenda ここまで>)))))
「では、まずは竹重部長からお願いできますか。」
土田に促がされ竹重が席を立って説明をはじめた。
「では、ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラムという事で、ここ
2 ヶ月で検討してきた商品レンジに関して説明します。基本的な考え方は
商品レンジを大幅に絞りこみ、それぞれの家族構成と子供の成長を時期毎
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に考えたライフサイクルに密着した紹介型の商品構成にすると言う事です。
今から、目的、目標、スコープ'適用範囲(、具体的な内容、想定される
売上げ、コスト、スケジュールの項に説明したいと思います。・・・
・・・次に具体的な内容ですが、今まで扱ってきた数万点の商品を過去の
販売データと今後のターゲットに対する売上げ予測をベースにして一気に
数千点まで絞り込みたいと思います。絞り込むにあたってはお客様を、
以下のようなグループ、ターゲットに分けた上でライフサイクルに沿った
商品構成にします。その際は、お客様が本当に必要か否か、我々が自信を
持ってお勧めできる商品かといった事に注目していきます。」
竹重が示したスライドには以下のような内容が書かれていた。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
●妊娠から出産前 - 妊婦と産後直後の子に必要な商品構成
●出産から 10 ヶ月ぐらい - 10 ヵ月までの子と親に必要な商品構成
●10 ヶ月から 2 歳ぐらい -歩き出した子と親に必要な商品構成
●2 歳から 5 歳ぐらい -話をし学びだした子と親に必要な商品構成
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「この内容は、次の『選びやすさ向上プログラム』の中で、カタログの
構成の話が出てくると思いますが、そことリンクしています。事前に片野
さんと話を進めてきました。」
竹重は片野の方を見た。
まおさんが立ち上がった。
「私たちは『選びやすさ向上プログラム』としてメディアであるカタログ
をお客様の現状に合わせた 4 つの商品構成に分ける事を提案します。
詳しくは私のパートで説明しますが、ここでお話しておいたほうが
商品レンジ開発プログラムも理解しやすいかと思いますので。
竹重部長、例のスライドお願いします。」
))))<選びやすさ向上プログラムスライド内容ここから>))))
カタログ・Web 構成タイトル案
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ミナクル
●「パパママと生まれてくるあなた編」- 妊娠から出産前
●「パパママと微笑んだあなた編」- 出産から 10 ヶ月ぐらい
●「パパママと歩き出したあなた編」 - 10 ヶ月から 2 歳ぐらい
●「パパママと話し出したあなた編」- 2 歳ぐらいから 5 歳ぐらい
))))<選びやすさ向上プログラムスライド内容ここから>))))
「このように 4 つのお客様のライフサイクルに分けて、カタログ、Web を展開
します。では詳細はまた後でお話します。」
「はい。片野さんありがとうございました。」
竹重の説明が続く。
「次に、想定される売上げ、コスト、今後のスケジュールに関して
ですが・・・。」
竹重の説明は 30 分に及んだ。
竹重に続き、片野、小澤、岩松、前田、土田、鈴木、高橋、山本の項で
各プログラムの概要説明が行われ、活発な質疑応答が繰りひろげられた。
「皆さん、これで各プログラムの説明と質疑応答は終わりです。今日は
この辺にして、明日は実際にこのプログラムを進めていく為の話合いを
しましょう。」
こうして丸 1 日を費やして各プログラムのレビュー会が行われ、更に 1 日を
使ってこれからの進め方を皆で議論した。
長い 2 日間だったが、皆、充実感に浸っていた。
------------------------------------------------------------------【2】売上、利益に関する目標の決定
------------------------------------------------------------------次の経営会議。土田がリードをする。
「前回のレビュー会での検討結果、全てのプログラムは基本的に実施に
向けて進めると言う事でよろしいですよね。」
出席者みなが合意の意思を示した。
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「では、皆が合意のようなので実施によって得られる売上げと費用は
レビュー会で出揃いました。これらをどのような形で来期の目標、
3 ヵ年計画の目標に盛り込んでいくかを決めたいと思います。」
土田が示したスライドには以下のような頄目があげられていた。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
売上、利益に関する目標
●売上高'Top line/Net Sales(
●成長率'Growth rate(
●販売費及び一般管理費(Cost)
●営業利益(Operating profit)
●営業利益率(Operating profit % sales)
●純利益'Bottom Line(
●マーケティング費用(Direct Marketing cost)目的別/メディア別
●マーケティング費用が売上高に占める割合(Direct Marketing cost % sales)
●セールスフォース/コールセンターの費用(Call center/Sales force cost)
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「これらが『ミナクルライフ』の売上、利益に関する目標
になります。詳しくは経理の会田部長に説明していただきます。」
「あ、言い忘れましたが、これからは今までの『ミナクル』とこれからの
『ミナクル』を区別する為に、来期の目標等に関しては、新しい社名
『ミナクルダイレクトライフ』を使わせていただきます。
------------------------------------------------------------------【3】顧客動向に関する目標の決定
------------------------------------------------------------------「売上げ、利益関する目標も大切ですが、それを実現するのが顧客獲得、
育成、維持といったお客様の動向です。マーケティングの目標として、正直
今まではここの部分が甘かったと思います。この 3 カ年計画には、新規の
お客様の獲得や育成、維持と言った部分に関連する指標もきちんと数値目標
として抑えたいと思います。」
というと土田は顧客動向に関する目標のスライドを示した。
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)))))<スライドの内容ここから>)))))
顧客動向に関する目標
顧客数×購入頻度'AOF)×1 回の注文金額'AOV(の目標値を押さえる。
顧客数の推移はステイタスの移動を考慮して組み立てる。
●既存カスタマー数
●新規カスタマー数
●ラプスとカスタマー数
●リアクティブカスタマー数
●平均購入単価'AOV)
●平均購入頻度'AOF(
●オーダー数
●Average Number of Item/Customer'平均購入アイテム数(
●Average LTV'平均生涯購入金額(
●CPC'1 人のカスタマー獲得にかかる費用(
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「これらが顧客動向に関する新しい『ミナクルダイレクトライフ』の
目標になります。これをターゲットにダイレクトマーケティング活動を
展開します。」
------------------------------------------------------------------【4】マーケティング目的・目標の決定
------------------------------------------------------------------「企業の目的・目標はマーケティングの最終的な目標に一致します。
当然といえば当然ですが、最後にもう一度 3 ヶ年計画の目標を復習させて
ください。」
)))))<ミナクルダイレクトライフ目標ここから>)))))
3 ヵ年計画
●売上げ規模 22 億'今の 2 倍(
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3 ヵ年計画初年度である来期の計画
●売上げ:13 億 2 千万'25%増(
●年度末のカスタマー数 2 万 1 千 5 百'26%増(
●新規カスタマー獲得 6 千'昨年の 1.5 倍(
●オーダー数 14 万 7 千'26%増(
●平均購入頻度'AOF( 6.8 回
●平均購入単価'AOV) 9 千円
)))))<ミナクルダイレクトライフ目標ここまで>)))))
「先ほど、会田部長に説明していただいたように、基本として 9 月に私が
経営会議で提示した 3 ヵ年計画の目標を踏まえたうえで、各プログラム
の売上げ、コストを入れ込んだのが、この 3 ヵ年計画です。」
土田は会田を見た、会田は静かに頷いた。
皆、それにつられる様に頷いた。
こうして、株式会社ミナクルダイレクトライフは新たなターゲットに
向かって出航した。
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第 24 話 「ミナクルダイレクトライフ」
【1】ブランドとしてのミナクルダイレクトライフ
【2】ミッション、ビジョン
【3】目的と目標、それを実現する戦略プログラム
【4】次のステップ'ステイタス予測(
------------------------------------------------------------------【1】ミナクルダイレクトライフ
------------------------------------------------------------------「戦略プログラムレビュー会お疲れ様でした。とてもよい議論と、アウト
プットが得られたと思います。ありがとう。これからの『ザ・マーコムプ
ラン』は、大枠で決めた戦略プログラムをアクティビティやキャンペーン
といった実行レベルの戦術に落とし込んでいくフェイズにはいります。
まずは、新しいミナクルダイレクトライフについて、もう一度確認しまし
ょう。」
土田の話から、戦略レビュー会の後はじめての『ザ・マーコムプラン』が
はじまった。
「土田さん、質問してもいいですか?」
「もちろん、なんだい、山ちゃん。」
「ミナクルダイレクトライフの社名とロゴマークですが、私たちも入って
ブレストしたし、お客さんの意見も聞いて決めたので、変えた理由は
分かるし、自信はあるんですが、ブランドを作り上げる方法ってあるん
ですか?」
山ちゃんの素朴な質問だった。
「うん、いい質問だね。ここは、大切だから尐しブランドについて話す事
んしよう。ブランドって何だと思う?」
と土田が皆に聞いた。
「ええ、テキストによりますとブランドは名前、サイン、シンボルマーク
やロゴ、デザイン、それらのコンビネーションで表現されるもの。ブランド
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は商品やサービスや売主を識別、認識する。そして競合との差別化を示し
ます。」
と高橋が例によって教科書的な答えをした。
「ありがとう、高橋さん。ブランドは見えない価値なんですよね。
ブランドの力が強いとブランドは商品やサービスにブランドのパワーを
与える事ができる。逆にブランドがダメージを受けると商品やサービス
にも著しい影響が出る。
では、どうしてお客さんはブランドに影響されはじめるのだろか?
どうやってブランドは形成されていくんだろうか?」
土田がまた質問する。
「結構難しい質問ですね。僕は単純にブランドが好きだからとか、
魅力があるからという理由で買うけど、なんでそのブランドが好きに
なったのかという事ですよね・・・。やっぱり、あそこの商品は良いって
皆が言い始めるからですかね?するとついつられて・・・。」
前ちゃんが首を傾げながら独り言のように言う。土田が応える。
「そう、はじめはブランドはお客様の反応という形で現れて来るんだよ。
良い反応を得る為にはターゲットがあっている事、そのターゲット、つまり
お客様に効果的な商品やサービスの優位を、きちんと伝えられる事が条件
だね。ターゲットがあっていて、そこにいるお客様に訴える事のできる商品
やサービスを提供し続けていくうちに、それがポジティブなお客様の反応
となってあらわれて次第にブランドの認識として形成される。」
「土田さん、ブランドの認識って例えばなんですか?」
と山ちゃん。
「それは、イメージや、感覚や、経験や、信念などさ。アップルやナイキ
って言うと頭に思い浮かぶものがあるでしょう。」
「i pod のアップル。タイガーウッズのナイキなんかですかね。」
「そう、それらの言葉やイメージとその裏にある信頼とか、安全とか、革新
性があるとかという、ブランドへの認識が積み重なって次第に選択や好みや
行動に結びついていくんだよ。ブランドは、目に見えない価値なので、慎重
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に扱わなければならない。初めの山ちゃんの質問にもどると、ブランドを
作り上げる方法はこれと言う明快な答えはないけれど、大きくは 3 つかな?」
「なんですか?」と山ちゃん。
「それはね、自社の差別化のポイントを伝える事ができる正しいブランド
の素材を選ぶこと、次にマーケティングアクティビティとの確実な連動、
それだけではなく間接的に影響を及ぼすものにも注意を払うことだね。
もちろん適切なお客様に適切なサービスを提供する事は基本だよ。」
「私たちミナクルダイレクトライフのポジショニングは競合にはない
ライフサイクル密着型だ。それを確実にする基本の商品とサービスを形や
イメージとして認識させる素材が、今回決めた社名、『ミナクルダイレクト
ライフ』であり、キャッチフレーズであり、ロゴマークさ。」
------------------------------------------------------------------【2】ミッション、ビジョン
------------------------------------------------------------------「さ、ブランドの話はこの辺にして、もう一回ミナクルダイレクトライフの
ミッション、ビジョンを確認しよう。」
)))))<ミッション、ビジョン復習ここから>)))))
ミナクルダイレクトライフのミッション
●家族の楽しい人生を創造する
ビジョン
●顧客満足度 No.1 のダイレクト通販
その為に
●お客様のライフサイクルにあった商品を提供する。
●お客様が安心できるサービスの提供する。
●お客様に新しいライフスタイルを提案する。
)))))<ミッション、ビジョン復習ここまで>)))))
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------------------------------------------------------------------【3】目的と目標、それを実現するプログラム
------------------------------------------------------------------「次に目標もおさらいしましょう。」
)))))<来期売上げ目標ここから>)))))
来期の計画
●売上げ:13 億 2 千万'25%増(
●年度末のカスタマー数 2 万 1 千 5 百'26%増(
●新規カスタマー獲得 6 千'昨年の 1.5 倍(
●オーダー数 14 万 7 千'26%増(
●平均購入頻度'AOF( 6.8 回
●平均購入単価'AOV) 9 千円
3 ヵ年計画
●売上げ規模 22 億'現在の 2 倍(
)))))<来期売上げ目標ここまで>)))))
)))))<来期の顧客動向に関する目標ここから>)))))
顧客動向に関する目標
顧客数×AOF 購入頻度×AOV'1 回の注文金額(の目標値を押さえる。
顧客数の推移はステイタスの移動を考慮して組み立てる。
●既存'年度初(カスタマー数 1 万 7 千 5 百'昨対 0%増(
●既存'年度末(カスタマー数 2 万 1 千 5 百'26%増(
●新規カスタマー数 6 千'50%増(
●ラプストカスタマー数 5 千 1 百'25%減(
●リアクティブカスタマー数 3 千 6 百'25%増(
●平均購入頻度'AOF( 6.8 回
●平均購入単価'AOV) 9 千円
●オーダー数 14 万 7 千'26%増(
●CPC'1 人のカスタマー獲得にかかる費用(1 万 5 千 6 百円
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)))))<来期の顧客動向に関する目標ここまで>)))))
「最後に、これらを実現するミナクルダイレクトライフの
戦略プログラムです。」
)))))<戦略プログラムここから>)))))
〔1〕 ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム
〔2〕 選びやすさ向上プログラム
〔3〕 商品情報充実プログラム
〔4〕 アンテナショッププログラム
〔5〕 ダイレクトマーケティング強化プログラム
〔6〕 CI・ブランドプログラム
〔7〕 顧客獲得、育成、維持のプログラム
〔8〕 お客様の声の抽出と利用促進プログラム
)))))<戦略プログラムここまで>)))))
「皆、クリアですよね。」
土田の問いに皆がうなずいた。
------------------------------------------------------------------【4】次のステップ'ステイタス予測(
------------------------------------------------------------------「では、今日の『ザ・マーコムプラン』はこの辺でおわりましょう。次回は
ステイタス予測について考えて見ましょう。つまり、
いかに効率的、効果的にお客様にリーチして、
いかに効率的、効果的に認知してもらい、
いかに効率的、効果的カタログを手に取る、または Web サイトを訪問して頂き、
いかに効率的、効果的に商品を購入して頂き
いかに効率的、効果的に何度も購入してくださるお客様としてお付き合いをし、
いかに長くお付き合いができるかというような話です。
これらをどのように数字として理解して効果的なアクションをするかという
ダイレクトマーケティングのベースとなる話です。」
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「面白そうですね。あ、皆さん、今日のザ・マーコムプラン夜の部は、
高橋さんお気入りの居酒屋で、7 時からです。」
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
ブランドは商品やサービスにパワーを与える重要な資産。
戦略を戦術に移す際には、ミッションや目標を再確認しよう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 25 話 「上手なバケツリレー」
【1】ステイタス予測
【2】ユニバースサイズ、ブランドアウェアネス'認知(
【3】サスペクト、プロスペクト、カスタマー
【4】ラプスト'休眠客(、リアクティブ'復活(
------------------------------------------------------------------【1】ステイタス予測
------------------------------------------------------------------「おはようございます。今日はステイタス予測について話し合います。
ダイレクトマーケティングではお客様の状況、言い換えるとステイタス別
に個々のお客様をデータとしてしっかり管理して、そのステイタスに適した
アクションを行う事が基本です。どのお客様も初めからお客様だったわけ
ではありません。どのようにお客様になるのでしょうか?」
いつものように土田の質問からはじまった。
「まず、市場にいる人々に向けて、広告や口コミやらでメッセージが届く
と、それによって商品やサービスやブランドを認知する人が現れます。
そして、その中から、Web サイトにアクセスしたり、カタログを請求したり
と何らかの行動を示す人が現れます。こういった事ですか。」
と前ちゃんがすかさず反応した。
「そう、さすが前ちゃんはデータを見ているだけありますね。そう、
お客様の購買プロセス別のステイタスの話だよ。行動をする人が現れた
続きはどうなるのかな?ポッポ、どうだい。」
「Web のページビューとユニークユーザー、リピートユーザーやコンバー
ジョンに似てますよね。行動をする人のなかから、実際に購入をする人が
現れるんですね。そして購入した人の中から、その後何度も購入して
くれるロイヤルカスタマーが生まれていくという事ですね。
「Web の場合は、Visit、Browse、Shop、Buy、 Buy×というようにログから
分類するような場合もあるね。それも大きくはステイタス予測に取り込む
事ができるんだ。」
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「Visit、訪問した人はメッセージが届いたという事ですか?」
「そうだね、マーケットにいる人々から何名かが、広告等のコミュニケー
ションに接触し、広告等のコミュニケーションに接触した人々の中から
何名かが、そのブランドを認知する人々となり、ブランドを認知する人々
の中から何名かが行動する人々となる。そして、行動する人の中から、
何名かが購入する人々になり、購入する人々の何名かがロイヤルカス
タマーになる。」
「それって逆に言うと、ある割合の人にはコミュニケーションが届かず、
ある割合の人は、気がついたけど行動はせず、ある割合の人は行動した
けど購入はせず、ある割合の人は、購入は 1 度だけで去っていったと言う
事ですねよね。」
「さえてるね、山ちゃん。そのとおりさ、前に話した水漏れする器の話
だよね。だから、私はダイレクトマーケティングはバケツリレーに似て
いるなあと思うんだ。チームワークの良く、効果的な道具をつかって、
効果的な距離間で如何に多くの水を運ぶか。動きが早くても、多く水漏れ
していては意味ないし、水もれする事なく運べても遅すぎると手遅れに
なる。ダイレクトマーケティングでは、水漏れが無いかを検証する為に、
ステイタスデータで管理して効率的に効率的なアクションを行えるんだ。」
「ほんとうですね。ステイタスにはどんな種類があるんでしたっけ?」
と山ちゃんが素直な感じできく。
「じゃあ、前ちゃん、ステイタスの説明をお願いしてもいいかな。」
「はい、土田さん。」
前ちゃんがスライドを使って説明をはじめた。」
)))))<スライドの内容ここから>)))))
ダイレクトマーケティングにおけるステイタス
●ユニバース・・・・・標的市場全体、市場に存在するコンタクト
●プロスペクト・・・・・マーケティングコミュニケーションに対し
何らかの反応があったコンタクト
)Web の場合、ユーザー登録をした、カートに商品を入れた。
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●サスペクト・・・・・マーケティングコミュニケーションに対し
何の反応もないコンタクト
●カスタマー・・・・・購入のあったコンタクト
●ラプストカスタマー・・・・最終購入日から一定の期間'例えば 1 年
が経過した休眠状態のコンタクト
●リアクティブカスタマー・・・・休眠状態から再度購入したコンタクト
●デッド・・・・・退職、異動などで存在が消滅したコンタクト
●認知率・・・・・市場全体'ユニバース(の中で会社・ブランドを知って
いるコンタクトの比率
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
------------------------------------------------------------------【2】ユニバースサイズ、ブランドアウェアネス'認知(
------------------------------------------------------------------「まず、ユニバースと言うのは私たちの活動する市場です。そのなかに
いる人々、つまりコンタクト全体の事をユニバースと言います。まずは
ユニバースのサイズ、市場の規模を知る事が必要です。
そのユニバースに対して私たちがマーケティングコミュニケーションを
行い、今までの話にあったように、ユニバースには認知が生まれる、我々
を『知っている』人々'コンタクト(が出現してくる。市場の中で知って
いる人の割合、パーセンテージを認知率といいます。」
土田が付け加えた。
「ありがとう前ちゃん。
ブランドアウェアネスや認知というのは、単純に名前を知っていると
いう人から、サービスの内容まで知っているという人までレベルはあるね。
また単純に『通販の会社でどちらを知っていますか?』という純粋想起型
の質問と、『通販のミナクルという会社を知っていますか?』というよう
な助成による質問の仕方によっても想起に差が出るからそこは認知という
中身を考える時には注意が必要だよね。でもここでのステイタスは大きな
流れをつかむ事が大切だから、ここでは全てブランドアウェアネス、認知
と言う事で纏めましょう。」
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------------------------------------------------------------------【3】サスペクト、プロスペクト、カスタマー
------------------------------------------------------------------前ちゃんの説明が続く。
「次にサスペクト、プロスペクト、カスタマーの説明をします。商品や
サービス認知した人の中には企業からのコミュニケーションに対して反応
をしてくれる人がいます。それをプロスペクトといいます。日本語でいう
と潜在顧客ですね。一方、何の反応もしない人をサスペクトと呼びます。」
「企業からのコミュニケーションに対しての反応っていうのは、例えば、
あるキャンペーンを実施したときに、電話をしてきたり、Web サイトに登録
したりした人のことですか?」
まおさんが聞いた。
「そうです。この場合電話をしたり、Web サイトに登録したりした人は
プロスペクト'既存顧客(です。一方、何の反応もしない人をサスペクト
と呼びます。そうですよね土田さん。」
「うん、そうだよ。プロスペクトは何らかの反応したひと、つまりは
尐なくても何かしらの興味を抱いた人だ。だからプロスペクトはきちんと
データベースに保存し、継続的なアプローチを試みる価値がある。
一方、サスペクトは反応の見込みがほとんどない人々の事で、この人たち
に継続的アプローチを試みる事はコスト効率が極端に悪く無意味なんだよ。」
「なるほどねえ。」まおさんがつぶやく。
「ダイレクトマーケティングではそれを区別して、そのステイタスによって
アクションを変える。つまり、オファーに対し反応した人と、しない人を
きっちり分けてアプローチをする事で効果的・効率的なマーケティング
コミュニケーションが可能になるわけだ。そして、これらはデータとして
計測可能である事が重要なんだ。
これはダイレクトマーケティングの条件だよ。」
「そうか、適材適所って感じでお金を使っていくわけですね。」
まおさんは納得した模様だ。
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------------------------------------------------------------------【4】ラプスト'休眠客(、リアクティブ'復活(
------------------------------------------------------------------「次のステイタスはラプストとリアクティブです。日本語で言うと休眠客
と目覚めたお客様という意味合いです。つまり最終購入日から一定の期間
'例えば 1 年(が経過した休眠状態のコンタクトをラプストと呼びます。
この場合、このまま何のアクションもしなければ、永久に消えていく
可能性があります。」
「せっかくお客様になってくれたのに、残念ね。」
山ちゃんがいう。
「そうなんだよ、折角お金をかけてお客様になっていただいても皆が 1 回の
購入で終わってしまったらビジネスを継続させるのは非常に困難なんだ。
今のミナクルは実はここも問題なんだよ。というのは昨年のデータでは
ざっくり 4,000 人のカスタマーと 3,000 人のリアクティブを獲得しているのに
ラプストも約 7,000 人。これが、お客様が増えない原因の一つなんです。
これは既に現状把握から分かっています。 顧客獲得、育成、維持のプログ
ラム等で改善を試みる予定です。」
前ちゃんの説明はまるで土田のようになってきた。
「最後にデット、このステイタスは退職、異動などで存在が消滅したコンタ
クトです。ここもしっかりフォローしてデータに反映しないと、存在しない
人にアクションをすることになり、コストを無駄にする事になるほか、
アクションをそのものが迷惑となり信頼を損ねることにもなります。」
「前ちゃん、よくできたよ。ありがとう。皆も前ちゃんに拍手をお願い
します。さて、次回はこのステイタスの移行をどのように捉えて実際の
アクションに結び付けていくかを考えよう。ステイタスは基本だから
皆、しっかり覚えてくださいね。
我々は賢いバケツリレーをしましょう。」
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
ユニバース、サスペクト、プロスペクト、カスタマー、ラプスト、
リアクティブ等のステイタスの管理と適材適所のリソース配分が大切。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 26 話 「CARD とプログラムの目的」
【1】Name recognition・Brand awareness'認知、ブランド)
【2】Customer Acquisition'顧客獲得)
【3】Customer Development'顧客育成(
【4】Customer Retantion'顧客維持)
【5】インターナルオペレーション
------------------------------------------------------------------【1】Name recognition・Brand awareness'認知、ブランド)
------------------------------------------------------------------「ステイタスの定義に関しては前ちゃんがまとめてくれたし、みんな理解し
たね。次に、ユニバース数、認知者数、プロスペクト数、サスペクト数、
カスタマー数、ラプスト数、リアクティブ数の現在の数を把握し予測を立
てて行きます。その上で各ステイタスに必要な数を達成する為には、各
プログラムの目的を明確にして、どのようなアクションが必要かを考えるん
だよ。まずはユニバース数の確認だ。ユニバースの数は現在 50 万人と予測
しています。ここには変化があると思いますか?」
土田がホワイトボードに棒グラフを描き X 軸に 10 万毎のメモリをふった。
Y 軸にユニバースと書くとその上に、50 万人に達した棒グラフを描いた。
「ここは、数種類の統計を使ってはじいたばかりだから変化なしとしよう。
次に、Name recognition・Brand awareness(認知、ブランド)について
だけど、ここは、何%、何人になるかな。以下のような事を考えてみると
いいよ。」
ホワイトボードに書いたグラフの下にポイントを書き始めた。
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここから>)))))
来期の売上げの目標を達成するには、
●年間で何人のカスタマー企業数'B2B(・カスタマー数が必要か
●カスタマー全体の AOF は?
●カスタマー全体の AOV は?
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売上げを求める公式'第 5 話から(
売上げ=カスタマー数×平均購入金額(AOV)×平均購入頻度(AOF)
言い換えると、
必要カスタマー数=売上げ目標÷平均購入金額(AOV)÷平均購入頻度(AOF)
=13 億 2 千÷9 千÷6.8=2 万 1 千 5 百
つまり、売上げの達成を顧客のステイタス移動と言う観点から見ると
2 万 1 千 5 百人のカスタマー数が必要になる、その為には
●市場にどれだけのコンタクト'人(がいて
●どれだけの認知を得て
●どれだけのプロスペクトを獲得して
●どれだけのプロスペクトをカスタマーへコンバートさせて
●あるいはどれだけのリアクティブを獲得して
●どれだけのカスタマーがラプストになるのを防ぐ必要があって
●どれだけの平均購入金額(AOV)×平均購入頻度(AOF)向上が必要か
を考えると良い。
年間の売上げを導く際には年度末の期末総顧客数がベースになる
期末総顧客数=
'前年期末カスタマー+新規カスタマー数+リアクティブ数-ラプスト数(
×AOF'平均購入頻度(
×AOV(平均購入単価)
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここまで>)))))
「われわれの認知が 5%としたら、ユニバース 50 万の 5%だから 2 万 5 千人の
認知者という計算ですよね。」前ちゃんが土田に聞いた。
「そう言うことになるね。ただし、ミナクルでは正式な認知度調査をした
事がないと思うから、認知度に関しては必要なサンプル数での定量的な
調査が一度必要だね。来期のターゲットは 20%ぐらいが妥当かなあと
思っているんだけれどね。」
「20%というと 10 万人ですか。ところで、認知度、ブランド認知を上げる
という事は必要なんでしょうか?」
前ちゃんが続けて聞く。
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「Name recognition・Brand awareness(認知、ブランド)を向上させると
言う事はプロスペクト、カスタマー獲得の為には結果として必要だよね。
ここで間違ってはいけない事は、プロスペクト、カスタマーというのは
ステイタスの名前であり、認知度を向上させる事は目的なんだ。つまり
私たちの戦略プログラムの『CI・ブランドプログラム』の大きな目的は、
認知・ブランド力を向上させる事にあるんだよ。」
「そうか、ブランド力がカスタマー獲得にパワーを与えるんですね。」
「そう、そういう事さ。これら、マーケット内の顧客の購買行動を認知→
プロスペクト→カスタマーというステイタス移動を指標として把握し目的
別のアクションを行っていくダイレクトマーケティングの手法を CARD と呼
んでいる。」
「CARD?」
「Customer Aquisition, Retention, Development の略さ。」
------------------------------------------------------------------【2】Customer Acquisition'顧客獲得)
------------------------------------------------------------------「次に目的として Customer Acquisition'顧客獲得)を考えてみましょう。
カスタマーを獲得するのが活動の目的ですが、例えばどのようなアクション
でしょうか?」
「戦略プログラム『選びやすさ向上プログラム』は Customer Acquisition
の為のプログラムといえると思います。」
とまおさん。
「そうですね。つまり Customer Acquisition'顧客獲得)としての『選びや
すさ向上プログラム』はユニバースへコミュニケーションを行い反応を
促進する Prospect Acquisition の活動とも言えますね。つまりどれだけの
ボリュームでユニバースにコミュニケーションを送り、どれほどの反応、
つまりプロスペクトの獲得をめざすかということでもあるわけです。反応
が購入という形で現れる場合もあります。この場合はプロスペクトという
ステイタスを飛び越えてカスタマーになったという事です。」
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「でもプロスペクトにメールを送って購入に結びついた場合は、プロス
ペクトコンバージョンとも言えますね。」とまおさん。
「そうです、ですから Customer Acquisition'顧客獲得)を目的とした場合
には次のような事をターゲットをして考える必要がありますね。」
といいながら土田がホワイトボードに書き出した。
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここから>)))))
Customer Acquisition'顧客獲得)プログラムに必要な KPM
●サーキュレーション
●サーキュレーションに対してのレスポンスレート
●新規プロスペクトの獲得数
●新規プロスペクトのコンバージョンレート
●CPR'Cost Per Response(1 プロスペクト'レスポンス(のコスト
●新規カスタマー数
●CPC'Cost Per Custoemr(1 カスタマー獲得のコスト
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここまで>)))))
「戦略プログラムでは『選びやすさ向上プログラム』、『アンテナショッ
ププログラム』、『顧客獲得プログラム'顧客獲得・育成・維持プログ
ラム(』の 3 つを Customer Acquisition'顧客獲得)プログラムとして位置
づけたいと思います。」
------------------------------------------------------------------【3】Customer Development'顧客育成(
------------------------------------------------------------------「次は Customer Development'顧客育成(ですが、何を目的としています
か?」
「えーと Development ですから、クロスセルやアップセルでしょうか?」
と高橋。
「あ、高橋さん眠ってなかったんですか?」
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「山ちゃん、勘弁してよ。」
「そう、よく言う言葉ではロイヤリティの向上、より多く頻度が高く買っ
てくれるお客様を増やすのが目的です、数字的ターゲットとしては平均
購入金額(AOV)や平均購入頻度(AOF)の向上になります。」
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここから>)))))
Customer Development'顧客育成)プログラムに必要な KPM
カスタマー'人(の観点から
●購入金額(AOV)の向上
購入金額を分解すると
)購入商品点数の向上'アップセルやクロスセル(
)購入商品単価の向上
●購入金額(AOV)や平均購入頻度(AOF)の向上
●購入製品種類数の向上
商品の観点から'商品訴求をした場合(
●訴求した商品の Before/After での売上げ推移の比較
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここまで>)))))
「戦略プログラムでは『ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム』
『商品情報充実プログラム』、『顧客育成プログラム』の 3 つを Customer
Development'顧客育成(プログラムとして位置づけたいと思います。」
------------------------------------------------------------------【4】Customer Retantion'顧客維持)
------------------------------------------------------------------「Customer Retantion'顧客維持)は、顧客維持が目的ですから、ラプスト
カスタマー数の低減、言葉を変えると休眠に入るカスタマーをどの程度
抑える事ができきるかと言う事がターゲットになってきます。
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここから>)))))
Custoemr Retantion'顧客維持)プログラムに必要な KPM
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●アトリションレート'休眠率(の低減
●休眠客の内容、プロファイルの変化
'ロイヤルカスタマー、1 回のみの購入客等(
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここまで>)))))
「戦略プログラムでは『お客様の声の抽出と利用促進プログラム』、
『顧客維持プログラム』の 2 つを Customer Retantion'顧客維持)
プログラムとして位置づけたいと思います。」
------------------------------------------------------------------【5】インターナルオペレーション
------------------------------------------------------------------「土田さん、これまで Name recognition・Brand awareness、Customer
Acquisition、Customer Development、Customer Retantion と目的ごとに
プログラムを見てきましたが、ひとつ取上げられていない戦略プログラムが
あります。」
と前ちゃん。
「ダイレクトマーケティング DB 強化プログラムですね。このプログラムは
目的に分類するよというよりも全てのダイレクトマーケティングの活動の
フレーム、土台になるものですから、インターナルオペレーションとして
位置づけましょう。」
「わかりました。」
前ちゃんの頭はフル回転していた。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
プログラムの目的を考えてステイタス移動を予測し、ターゲットを決め
よう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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Name Recognition
認知向上・ブランド確立
Customer Acquisition
顧客獲得
Prospect Acquisition
プロスペクトの獲得
Prospect Conversion
プロスペクトのコンバージョン
Customer
Development
顧客育成
Early
Development
早期育成
Universe
Recognized
Prospect
Customer
Loyal
Lapsed
Suspect
Customer
Retention
顧客維持
インターナル プロセス
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第 27 話 「CARD 戦略ロードマップの作成」
【1】戦略から戦術へ'CARD 戦略ロードマップの役割(
【2】キーメディアを戦略ロードマップに落とし込む
【3】戦略プログラムを CARD に分類し落とし込む
【4】プログラム間の関連性、タイミング、妥当性を見る
------------------------------------------------------------------【1】戦略から戦術へ'CARD 戦略ロードマップの役割(
------------------------------------------------------------------「土田さん、今日のザ・マーコムプランは『CARD 戦略ロードマップの作成』
でしたよね。」
とポッポ。
「CARD って顧客獲得、育成、維持の意味で・・・。何の略でしたっけ?」
と山ちゃん。
「Customer Aquisition, Retention, Development の略さ。皆、前回の Mtg
で必要なカスタマー数、獲得が必要なプロスペクト数、カスタマー数、
ラプストの数は分かったね。今日はそれらの数を踏まえた上で、目標達成
にはどのステイタスに何をすべきかを考えながら各プログラムを目的別に
落とし込んで戦略ロードマップを作成していこう。前回、各プログラムを
目的別に分けたけど、それをもう一回整理してみよう。」
土田がそう言いながらパワーポイントのスライドを映した。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
戦略を抽出する為マーケティングミックスを
●商品ミックス
①ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム
●サービスミックス
②選びやすさ向上プログラム
③商品情報充実プログラム
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●流通ミックス
④アンテナショッププログラム
⑤ダイレクトマーケティング DB 強化プログラム
●コミュニケーションミックス
⑥CI 定着プログラム
⑦顧客獲得、育成、維持のプログラム
⑧お客様の声の抽出と利用促進プログラム
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
目的別 CARD での分類へ
●認知、ブランド
⑥CI 定着プログラム
●Customer Acquisition(顧客獲得)
②選びやすさ向上プログラム
⑤アンテナショッププログラム
⑦-1 顧客獲得、'顧客紹介プログラム(
●Development'顧客育成(
①ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム
③商品情報充実プログラム
⑦-2 顧客育成のプログラム
●Retantion(顧客維持)
⑧お客様の声の抽出と利用促進プログラム
⑦-3 顧客維持のプログラム
●インターナルオペレーション
⑤ダイレクトマーケティング DB 強化プログラム
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「土田さん、それぞれの戦略プログラムには複数の目的があると思うんで
す。例えば『選びやすさ向上プログラム』は顧客獲得にだけ効果がある
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わけではないし認知向上にも、顧客育成にも効果を期待できますよね。」
まおさんが聞いた。
「うん、その通り。でも、あれもこれもだと焦点が鈍るというのも事実だ
よね。ロードマップでは言葉の通りある程度大きな視点で考えよう。
例えば『選びやすさ向上プログラム』は認知や顧客育成にもある程度の
効果を期待するけど主たる目的としては、一つに絞ろう。この場合は顧客
獲得。中でもユニバースからカスタマーを獲得する事に加えて、特に
プロスペクトをコンバージョンさせる仕組が大切だね。」
土田がステイタス分析の図を見ながら言った。
「認知した人がプロスペクトになる比率は高いけど、プロスペクトから
カスタマーにわずか 29%しかコンバートしないのが問題ということです
しょうか?」
まおさんがグラフを見ながら言った。
「そう、工夫の余地は大きいね。ステイタス分析を見ながらどの部分に
工夫の余地があるかを考えながら戦略プログラムのタイミングや構成を
考えていくんだよ。」
「そうか、事実を確認しながら論理的にプログラムを配置していくわけ
ですね。」
前ちゃんが頷きながら言った。
------------------------------------------------------------------【2】キーメディアを戦略ロードマップに落とし込む
------------------------------------------------------------------「じゃあ、早速 CARD 戦略ロードマップの作成をはじめてみよう。」
1 枚のパワーポイントを開きながら土田が言った。横軸に 4 月から 3 月までの
月が左から右に、縦軸には Key Media、Brand、Acquisition、Development、
Retention、Internal という帯が上から下に並んでいる。
「まずは、キーメディアであるカタログの発行のタイミングを入れよう。
カタログ発行のタイミングについては、商品レンジ担当の竹重部長とも
既に話しているんだよね、まおさん。」
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「はい、詳細はつめる必要はありますが、商品導入計画と歩調を合わす
必要があるので、時期やボリュームについては大枠で話しています。」
「OK、商品がなくてはカタログは出せないからね。じゃあ、現在の発行
予定を教えてくれるかい。」
「はい、カタログは 4 シリーズに分けて発行するので、コストやリソースも
考えて紙のカタログは 4 月と 9 月に発行する予定です。Web カタログは、4 月
と 9 月は基本的に紙カタログと同様の内容。それ以外の月は尐量の新商品を
毎月追加するように考えています。そうよね、ポッポさん。」
「はい、そうです。」
ポッポがゆっくり頷いた。
「ではキーメディアの紙カタログ 4 種を 8 月と 3 月のところにいれよう。」
そういうと土田がキーメディアのラインの 8 月、3 月の下にカタログ型の
アイコンを置いた。
「Web カタログは毎月更新っと。」
次に PC アイコンを各月の下に 12 個置いた。
「どうしてキーメディアから入れるんでしょうか?」
と前ちゃん。
「それは、キーメディアはコミュニケーションの柱だからだよ。単なる
広告・宣伝媒体のみならず、注文のチャネルでもあるから、このタイミン
グを考えないで戦略ロードマップを考えるのは現実的じゃない。」
「カタログや Web は偉大なセールスマンでですからね。」
「そう、いい事言いますね。高橋さん。」
「いやー、どうも。」
土田にほめられて高橋は嬉しそうだった。
------------------------------------------------------------------【3】戦略プログラムを CARD に分類し落とし込む
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「キーメディアのタイミングを抑えたら、いよいよ各戦略プログラムを
目的別にプロットしていこう。その前に・・」
「その前に、コーヒーブレイクですか。」
「高橋さん、調子に乗りすぎじゃないですか?」
「山ちゃん、冗談ですよ。」
「その前に、各戦略プログラムを構成するアクティビティの整理しまし
ょう。といっても、既に各プログラム毎に、それぞれチームをつくって
議論をしたから。大枠ではほぼ決まっているはずです。まず、
『選びやすさ向上プログラム』ですが、どんな活動、アクティビティを
考えていますか?このプログラムのリーダーであるまおさん。」
「えーと、私たちの『選びやすさ向上プログラム』では大きく 2 つのアクテ
ィビティを考えました。1 つは新カタログ発刊キャンペーン、もうひとつは
Web 選ぶポイントキャンペーンです。」
「Web 選ぶポイントキャンペーンって例えば、どんなものですか?」
Web マーケティングのポッポには気になるところだ。
「選びやすさを訴求して新規顧客を獲得するには、カタログの特徴や構成
を分かり易く、面白くマーケットに知らせるのは必須だと思うの。それは
紙のカタログだけではなく Web カタログもね。だから年に 2 程度、Web カタ
ログの使いやすさを体験してもらうようねキャンペーンをしたいと思って
いるの。」
「例えば、Web で商品を購入した人に何かが当るような?」
とポッポ。
「うん、例えばそうね。具体的な事はこれからだけど、Web の力を最大限
に活かす事なしに 4 種類のカタログを効果的にまわすのは難しいものね。
その為にも Web に誘導する事が重要でしょ。」
まおさんとポッポのやり取りが終わると土田がパワーポイントスライド
の Acquisition のに『選びやすさ向上』という枠をつくり、その 3 月の部分
にラインを引いた。
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「では『選びやすさ向上プログラム』のアクティビティの 1 つ新カタログ
発刊キャンペーンは、4 月に予定でいいかい?」
「はい、そして 9 月もあります。」
とまおさんが答える。
「OK、2 つ目のアクティビティ Web 選ぶポイントキャンペーンは何月を
予定していますか?」
「5 月と 10 月で予定しています。」
「ありがとうまおさん。」
と言いながら、土田は『選びやすさ向上』の、5 月と 10 月の部分にライン
を引き②Web 選ぶポイントキャンペーンと記入した。
「さ、この要領で、すべての戦略プログラムのアクティビティをロード
マップに入れてみよう。」
------------------------------------------------------------------【4】プログラム間の関連性、タイミング、妥当性を見る
------------------------------------------------------------------「さ、これで全ての戦略プログラムがロードマップに落とし込めた。」
土田が示したスライドを皆で眺めた。
「こうやって全体を眺めて見ると、来期に何をやるのかがイメージとして
良く分かりますね。」
「前ちゃんの言うとおりの事を、僕も感じてました。同時になんかダブっ
ているようなアクティビティもあるような気もします。」
とポッポが言った。
「そうなんだ、戦略ロードマップにキーメディアと戦略プログラムの主要
アクティビティを書いてみることで、全体を俯瞰で見る事ができるんだ。
タイミングが市場にあっているか?アクティビティが効率的・効果的に
行えるようにプランされているかを見るのが重要だね。」
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「各戦略プログラムの相関関係を考えることも必要ですね。」
と前ちゃん。
「実際問題、アクティビティをきちんと実行できるかって言うことも大切
ですよね。なんか、てんこもりって感じもするし。」
「うん、そうなんだよ。絵に描いたもちじゃ意味がないから、人的リソース
やコストを考えて実効性のあるプランにしないとね。じゃ、そこらへんを
皆ですこし議論しようか。」
今日のザ・マーコムプランはもう尐し続きそうだった。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
戦略ロードマップに戦略プログラムを構成するアクティビティをプロット
し、年間のスケジュールを俯瞰で見てみよう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 28 話 「アクティビティで大切なのは?」
【1】ターゲット
【2】オファー
【3】コミュニケーション(メディア)Mix とクリエイティブ
【4】PDCA マネジメント
------------------------------------------------------------------【1】ターゲット
------------------------------------------------------------------12 時 5 分過ぎ。土田が前ちゃんの席にやってきた。
「前ちゃん、たまには一緒にお昼どう?」
「あ、行きます、行きます。ポッポと一緒に行こうって言っていたんで皆で
言っても良いですか。」
「あ、僕も一緒でいいのかい。」
「もちろんですよ、ちょっと土田さんに聞きたいことあったし。」
土田、前ちゃん、ポッポの 3 人で会社のそばのラーメン屋にやってきた。
)))))
「ところで聞きたいことってなんだい?」
土田が言った。
「実は仕事の事なんです。前回のザ・マーコムプランで各戦略プログラム
を構成するアクティビティを、戦略ロードマップに落し込みましたよね。
例えば、選びやすさ向上プログラム』で言うところの、”新カタログ発刊
キャンペーン”や、”Web 選ぶポイントキャンペーン”なんかです。」
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「うん。”新カタログ発刊キャンペーン”は顧客獲得を目的として 4 月と 9 月にやることになった
よね。」
「はい、で質問なんですけど、各アクティビティを考える上で、大切な事
はなんだと思いますか?」
前ちゃんが質問すると、注文した半チャーハンラーメンセットがきた。
「そういうことかい。うん、いろいろと考えるべき要素があるけど、簡単
にいうと 3 つだね。それは、ターゲット、オファー、クリエイティブ。」
「ターゲット、オファー、クリエイティブですか。」
「そう、まずはターゲットから考えてみようか、例えばこのラーメン屋で
半チャーハンラーメンキャンペーンをするとする。その時に誰に対して
メッセージを伝えるか。その伝えたい人たちがターゲットさ。」
土田にもラーメンがやってきた。
「伝えたい人はキャンペーンの目的によって変わりますよね。ブランドか、
顧客獲得か、育成か、維持か、あ、そうか考え方は同じですね。顧客獲得
ならユニバースやプロスペクトに対してだし、育成ならカスタマーに対して、
ステイタス分析で注力すべきポイントを見ていくと言うことですね。」
前ちゃんが思いついたように言う。
「そう、でもひとつひとつのアクティビティはもっとターゲットを絞る
場合があるよ。例えばこのラーメン屋が新規顧客を獲得しようとした場合
は、ラーメン好きの中でも特に若者をターゲットにする場合もあるだろうし、
この近辺に住んでる人をターゲットにするかもしれないし、電車で通勤して
くるサラリーマンかもしれない。」
「確かにそうですね、僕はこの近所に住んでないのにこのラーメン屋に
入って、しかもチャーハンだけ食べてるから。半チャーハンラーメン
キャンペーンのターゲットにはなりえますね。」
ポッポがチャーハンをを食べながら言う。
「目的にそってアクティビティのターゲットをしっかり見極める事は、
確かに大切ですね。」
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前ちゃんが言った。
------------------------------------------------------------------【2】オファー
------------------------------------------------------------------「じゃあ、オファーはどうだろう?半チャーハンラーメンキャンペーンで
新規顧客を行うには、期間限定で値引きをしたほうがよいだろうか?それ
とも、チャーハンを半分ではなくて普通盛りにして料金据え置きの方が
よいだろうか?」
土田の問いに前ちゃんが答える。
「そうですね、僕だったら値引きしてもらったほうが嬉しいかな。最近は
サラリーマンが昼食に使うお金が減ったなんていう話もありますから、
その方が効果的なような気が・・・」
「ターゲットが学生なら料金据え置きで大盛りのほうが嬉しいかもよ。
でも今までこの店のチャーハンを食べた事がない人に食べてもらうには、
やはり料金を下げてもらったほうが良いかな?」
とポッポ。
「そうだね、目的やターゲットによっても、効果的なオファーは違って
来るかもしれないよね。正直な話、どのターゲットにはどのオファーが
最も効果的かを判断するのは簡単なことじゃない。アクティビティの成否を
左右する要因は、ターゲッティング 50%、オファー30%、クリエイティブ 20%
という事を言う人もいる。ダイレクトマーケティングの素晴らしい所は
レスポンスをしっかりと図って何が効果的かを学び次回に活かす事が
できるというところさ。」
「次回に活かす?」
「そう。個の場合ならあるターゲットにまずは、一番良いと思われる方法
例えば期間限定で値引きで半チャーハンラーメンキャンペーンを実施する。
その効果が十分でなければ、同じターゲット、同じクリエイティブで
期間限定で半チャーハンが普通盛りの半チャーハンラーメンキャンペーン
を実施する。それで 2 つのキャンペーンの効果を比較し、次回は効果が
あったキャンペーンをベースに新たなキャンペーンを行う。こんな風に
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実際のお客さんの反応を学びながらマーケティングアクティビティを
行う事がダイレクトマーケティングの鉄則さ。」
「なるほど。そうすれば結果的には有効に費用を使えて、同じコストで
より多くの効果を期待できるって訳ですね。」
土田の話に前ちゃんは納得していた。
------------------------------------------------------------------【3】コミュニケーション(メディア)Mix とクリエイティブ
------------------------------------------------------------------「クリエイティブではどんな事がアクティビティの成否に影響しますか?」
考え込んでいる前ちゃんを見ながら、今度はポッポが土田に質問する。
「じゃあ、また半チャーハンラーメンキャンペーンで考えてみよう。
例えば期間限定で値引きをする事にしたとしよう。ばら撒くチラシのコピー
はどうしたらいいだろうか?”いまなら半チャーハンラーメン 100 円引き”
と”思い切っていまなら半チャーハンラーメンチャーハン無料”のどちら
が効果的だろうか。」
「僕は”無料”がすきだなあ。」
「ただほど怖いものはないっていうよ。」
ポッポに前ちゃんが笑いながら言った。
「そうだね、でも実際ダイレクトマーケティングを行ったレスポンスと
して効果的なのは”無料”とか””新しい”なんだよ。」
と土田。
「面白いですね。でも確かに無料って大きく書いてあると目が留まりますよね。
でも反対に言うと良いコピーも実際、ターゲットの目に留まらない
と意味がないですね。」
「そう、前ちゃんの言うとおり。だからこそターゲットにあったメディア
を選ぶ事、メディアの特性とタイミングを考えたコミュニケーション
ミックスは必須さ。半チャーハンラーメンキャンペーンの告知に、駅前で
チラシを配るのが良いのか、アドワーーズを使うのが良いのか良く考えて
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みれわかるよね。もうひとつ、ダイレクトマーケティングならではの重要
な事があるんだけど、なんだかわかるかい?」
「ダイレクトマーケティングならではの・・・」
前ちゃんとポッポが考え込む。
「レスポンスさ。」
「レスポンス?」
「そう、忘れちゃいけないのはレスポンスをする仕組み、方法をしっかり
と抑えること。例えばレスポンス先の表示、専用 Tel や URL や Fax なんかだ。
レスポンスレートを向上させるには大きさ、位置、色なんかもしかりと
クリエイティブで考えるべきだね。また大抵の場合は物理的に商品は
存在しないから、その存在しない商品をイメージできる真に迫った表現
例えば視覚だけではなく、肌触りや音や、臭いなどの仕掛けでレスポンス
を向上させる工夫もしたいね。」
「深いんですね。ダイレクトマーケティングは。」
土田の話にまたまた感心する前ちゃんとポッポだった。
------------------------------------------------------------------【4】PDCA マネジメント
------------------------------------------------------------------「半チャーハンラーメンキャンペーンのターゲット、オファー、クリエイ
ティブは完璧だった、でもキャンペーンは大失敗。こんな事が実際に起き
る事がある。なぜだか分かるかい?」
「わかりました。」
前ちゃんが手を叩いた。
「新たなお客様がどんどんやってきた、でも午前中に予想以上にチャーハン
が出て。12 時過ぎには肝心のチャーハンをつくるご飯がなくなった。
お客様はせっかく来ても怒って変える始末、ってな事じゃないですか。」
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「その通り。告知が成功しても、それに応えるだけの受け側の体制ができて
いなければ全くの逆効果だよね。信じられないけどこういう事が起きるんだよ。」
「どうすれば防げるんですか?」
とポッポ。
「当たり前の事だけど、きちんとしたコミュニケーションが大切だね。
戦略や商品の選定や調達、マーケティングやセールス活動や受注処理や
発送その後のサポートや、お客様の声を聞く方法や分析など、エンドトゥーエンドで管理する
プロセスも必要だね。」
土田が続ける。
「前に言ったように、ダイレクトマーケティングは効果を数字やお客様の
反応、声としてきちんと把握しその反応を学びながらマーケティング
アクティビティを継続的に展開してこそ効果があるんだ。」
「基本はやっぱり PDCA'Plan、Do、Check、Action)サイクルをしっかりと
まわすことですね。」
「そういうこと。さ、そろそろ行こうか。」
「あ、土田さん、このラーメン屋でもキャンペーンやってましたよ。
ここにチラシが。」
ポッポがレジの脇においてあったチラシを見ていった。
「マーケッターポッポ、キャンペーンの効果をどう予想しますか?」
と前ちゃん。
「今度きた時に、マスターに聞いてみよう。」
「それは懸命だね。」
土田と前ちゃん、ポッポが一斉に笑った。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
戦略ロードマップに戦略プログラムを構成するアクティビティをプロットし、年間のスケジュールを
俯瞰で見てみよう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 29 話 「知合いと好きな人の違い?」
【1】認知の向上、ブランドの確立
【2】ブランド戦略とブランドエレメント
【3】ブランドポジショニング、POD と POP
【4】認知の獲得、ブランドの確立系プログラムでのアクティビティ
------------------------------------------------------------------【1】認知向上、ブランドの確立
------------------------------------------------------------------「戦略ロードマップの中でプログラムを大きく 5 つの目的に分けて配置した
けど、今日はその中で認知、ブランドについて考えてみよう。戦略プログ
ラムでこの目的にあてはまるのは『CI 定着プログラム』になります。」
「まずは、認知とブランドアウェアネスの違いは何だと思いますか?
はい、山ちゃん。」
「えーと、以前のザ・マーコムプランでブランドを作り上げる方法に
ついて話した時に、ブランドはどうやって形成されるかを考えましたよね。
確か、はじめはブランドはお客様の反応という形で現れて、サービスを
提供し続けていくうちに、次第にブランドの認識として形成されるという
事だったから・・・。認知は名前を知っていると言うことで、ブランド
アウェアネスはそのブランドの意味する価値やサービスを認識していると
言う事じゃないかなあ。」
「やるねー、山ちゃん。」
高橋がからかう。
「その通り、ブランドは商品やサービスや売主を識別、認識する。そして
競合との差別化を示す。ブランドの力が強いとブランドは商品やサービス
にブランドのパワーを与える。ブランドがダメージを受けると商品やサー
ビスにも著しい影響が出るんだよ。別の言い方をすれば、認知はブランド
形成の通過点かな。知らなければ始まらないからね。」
土田が説明をはじめた。
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「ブランドには知っている以上の価値があるんですね。」
と山ちゃん。
「うん、ブランドは信頼できる、安心、価値がある、好きなどという認識
を伴ってその人にとって特別なものになっていくんだね。人間関係でたと
えると認知は知合い、ブランドは好きな人って所かな。好きな人の物や話
には興味もわくし好感も持つけど、ただの知合いの事には無関心、
そんな感じに似ているかもしれないなあ。」
「土田さん、分かりやすいわ。その例え。私は土田ブランドがいいなあ。
高橋ブランドはちょっとねえ。」
山ちゃんが笑った。
「勘弁してよ、山ちゃん。」
と高橋。
「ブランドは、お客様のポジティブなレスポンスから次第にその認識が
形成される。だからブランディングの構築には、そのブランドのイメージ
を適切なタイミング、期間、ボリュームで継続的にコミュニケ-ション
する事が大切だね。」
土田が皆に話しかける。
「それはメディアの露出量を高めたほうが良いと言う事ですすか?」
土田に応じるように前ちゃんが質問した。
「露出量ではないんだよ。大切なのはメディアから得られる測定可能な
結果なんだよ。単に露出が高くてもターゲットに的確に届いているかの
実証がなければ意味がない。今までのメディアにおける”リーチ”いわ
ゆる累積到達率や”フリークエンシー”平均視聴回数などをもって露出
があるから良いという事には全くならないよね。関係を始められるのは
コンタクト'生活者との接触(のみだから。」
------------------------------------------------------------------【2】ブランド戦略
------------------------------------------------------------------「ブランドの価値を正しく伝えていくにはブランド戦略が必要だ。例えば
新しい商品を発売する時にブランドを形成する方法は 3 つある。戦略的には
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おおきく 4 つが考えられる。」
土田がホワイトボードに書きだした。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
新商品発売時のブランド形成に 3 つの方法
●新しいブランドを作る
●既存のブランドに入れる
●新しいブランドと既存ブランドのコンビネーション
ブランドの 4 つの戦略
●新たなブランドネームを設ける
●既存のファミリーネームを使う
●異なるファミリーネームを設ける
●会社名との合体
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「既存のブランドに入れるのにも、ブランドを拡張しファミリーを設けた
り、既存ファミリーにサブブランドを作ったり、親ブランドを作ったり、
ラインを拡張したり、カテゴリーを広げたりとろいろな手法がある。大切
なのはそのブランドの伝えたい価値を明確にしてブランド戦略を作る事
だね。」
「良いブランドを拡張する方が安全だし効果的なような気がしますが。」
山ちゃんが言った。
「そうでね、ブランドの拡張には良い点も悪い点もある。例えば・・・」
土田がまたホワイトボードに書き始めた。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
ブランド拡張の良い点
●今までの成功を引継ぐ事で成功率を上げる事ができる
●成功ブランドのポジティブなフィードバックを受継げる
ブランド拡張の悪い点
●ブランドをイメージを希薄にする
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●そのブランドばかりでなく親ブランドのイメージを傷つける
●ブランドを食いあい、全体での効果が減尐する
●良いブランドを作り出す機会の喪失
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「強いブランドを作ることに成功すれば長期にわたっての利益も期待でき
ますね。その意味では、いつも消極的にブランドの拡張ばかりしていると
すばらしい商品やサービスですばらしいブランドを生み出す機会を失う
と言う事があります。気づきにくいけど、これはもしかすると企業にとっ
てもっとも大きな損失かもしれませんね。」
土田がさらに、ホワイトボードに書き始めた。
------------------------------------------------------------------【3】ブランドポジショニング、POD と POP
------------------------------------------------------------------「次にブランドポジショニングについて尐し話そう。ブランドポジショニ
ングを巧妙につくるにはまず商品やサービスのポジショニングを決め、
そこからマーケッターは POD と POP を決める。それらをブランドの伝えたい
価値として明確に言葉として言い表せるようにすることが必要だ。」
「POD と POP ってなんですか?」
前ちゃんが聞く。
「どめんごめん。ポイントオブディファレンスとポイントオブパリティの略
で、簡単に言うとブランド差別化のポイントと、ブランドに必須のポイント
なんだ。ブランドを確立する為には、ポジショニングを明確にしこれらを
的確に効果的な方法でターゲットに伝えていかなくればならない。」
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
POD'Points of Difference(
その商品、サービス、企業に特有な価値。他企業にはないブランド差別化
のポイント。
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POP'Points of Parity(
その商品、サービス、企業に特にユニークではないが、そのマーケットに
存在する為に必須なポイント。あるいは、競合の POD を打ち消す為のもの。
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「私たちミナクルダイレクトでいえば、POD はライフタイム密着型の選り
すぐった商品レンジや情報ね。POP は品質や Web での注文体制やカスタマー
サービスなどってことになるかな。」
まおさんが久しぶりに口を開いた。
「それを如何に分かり易く継続的に伝えていって、実際にポジティブな
反応を継続的に勝ち取っていく。それによってブランドを作っていく。
言うは易し行うは難しでしすね。」
ポッポがホワイトボードを見ながらボソッと言った。
------------------------------------------------------------------【4】認知の獲得、ブランドの確立系プログラムでのアクティビティ
------------------------------------------------------------------「一度ブランドを決めたら、すべての活動がそのブランドの元に連携して
動かなければならないね。マーケティングアクティビティだけではなく
間接的に影響を及ぼすものにも注意をしなくてはならない。これからは、
実際に私たちの『CI 定着プログラム』の中でのアクティビティを具体化して
いくけど、認知の獲得、ブランドの確立のアクティビティとしてはどんな
ものが考えられるかな?」
「じゃあ、皆でブレストしませんか?土田さん。」
まおさんが言った。
「よし、じゃあ、いまから 10 分間ブレストしよう。」
「はい、では言いだしっぺの私から。新しいカタログを発刊するに
あたってブランド名、ロゴをつくって以降のすべてのメディアで展開
する。継続的な活動ね。」
「あ、それいいですね。4 つの雑誌それぞれにサブブランドを作って展開
するのも良いかもしれないですね。」ポッポが付けす。
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それから 10 分、ブレインストーミングにはすっかり慣れたみんなの活発な
議論が行われた。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
認知、ブランド系プログラムでのアクティビティ
●ブランド、認知向上の為の集中的なコミュニケーションミックス
●ブランド、認知向上の為の継続的な活動
●イメージキャラクターの開発とキャンペーン
●冠イベントの主催や協賛
●コミュニティサイト、ファンサイトの運営と活動
●CI やロゴ、スローガンの変更に伴う認知の向上
●情報誌の発刊
etc
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「なんだか、まだまだ考えられそうね。」
「じゃあ、あと 10 分延長でやってみようか?」
今日もザ・マーコムプランは活気に満ちていた。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
明確なポジショニングと POD、POP。それらを明確に継続的にコミュニケー
ションする事で次第にブランドが人々の頭に形成されていく。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 30 話 「ブランドはダイレクトマーケティングを促進す
る」
【1】賢い生活者とブランドの形成
【2】ブランドエレメント
【3】購入プロセスにおけるブランド
【4】ブランドはダイレクトマーケティングを促進する
------------------------------------------------------------------【1】賢い生活者とブランドの形成
------------------------------------------------------------------定例のザ・マーコムプランの開始 5 分前、尐し早く来た前ちゃんと、
まおさんが話している。
「ブランドを作り上げるって思った以上に地道な努力が必要ですね。」
と前ちゃん。
「最近の消費者、ううん、生活者はどんどん賢くなって来ているって言う
から、一層の努力が必要ね。」
「どんどん賢くなってきているって例えばどんなことですか?」
「最近はコミュニケーションも双方向だし、生活者が商品を購入するまで
に、自分たちで調べる、知識をえる、情報を得る媒体と購入する媒体を、
それぞれ選ぶようになってきてるわよね。今までのようにこれはいいです
買ってくださいってだけじゃ駄目で、如何に良いかをいろんな角度から
実証できるような仕組が必要なんだろうなって思うのよ。」
「購入前には必ず Web で検索して検討する人が多いですからね。」
「一方で検索しても情報が多すぎて、選びにくいなんてこともあるわ。
検索したら数千件がヒットして、どれもこれも良いことばかりなんて事に
なるから結局選べなかったりするのよね。」
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「だからこそ、その人の本当のニーズにあった、ライフサイクルに応じた
商品とそれを裏付ける情報の提供が必要ですね。」
前ちゃんがまおさんに同意したように言った。
「それが、私たちミナクルダイレクトライフのコンセプト、POD、差別化の
訴求ポイントね。」
「そういうことですね。」
そうしているうちに高橋、山下、鈴木、そして土田がやってきた。
「では今日のザ・マーコムプランをはじめます。今日はもう尐しブランド
について考えよう。一歩踏み込んでダイレクトマーケティングにおける
レスポンスの獲得とブランドの確立を同時に進める方法についてだ。」
「土田さん、ザ・マーコムプランが始まる前に前ちゃんと、最近の生活者
は自ら情報を収集し、調べ、比較する賢くなったという話をしていたんで
すが、ブランドは賢くなった生活者にも必要なんでしょうか?」
まおさんが聞く。
「うん、確かに我々のターゲットは自ら情報を収集し、調べ、比較する
賢い生活者だね。でもやっぱり人間、購入するプロセスの中には複合的な
要因があり、ブランドはその中で重要な意味を成しているのは間違いない
と思う。選ぶことを任された生活者だからこそ、信頼や安心をブランドに
求めるのかもしれないなあ。」
「私もブランド力は必須だと思っていたんですけど聞いてよかったです。」
まおさんが微笑んだ。
------------------------------------------------------------------【2】ブランドエレメント
------------------------------------------------------------------「ブランドのポジショニングをしっかりと把握し適切な言葉とタイミングで
コミュニケーションしていく事、そしてブランドのポジティブな認識、価値
を醸成する。ブランディングは簡単ではありませんが促進する 3 つのドライ
バーがあります。」
土田がスライドを示した。
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)))))<スライドの内容ここから>)))))
ブランド力向上の 3 つのドライバー
●正しいブランドの素材
●マーケティングアクティビティとの確実な連動
●間接的に影響を及ぼすものへの注意
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「正しいブランドの素材と言うのは、ロゴやキャッチなどの事ですか?」
山ちゃんが聞いた。
「そう。ロゴやキャッチフレーズはそのブランドが持つ、優位性や、
生活者への約束や期待などを識別するものだから非常に大切だね。
エレメントを決めるにはどんな事を考えればよいと思う。久しぶりに
高橋さんに聞いてみようかな。」
「は、はい。えー、ブランドは好きになってもらう事が必要ですから、
形や色なんかでしょうか?」
「確かに、それもエレメントに必要な要素だね。複合的な要素があるけど
基準として考慮にいれるべき事をあげてみました。」
土田が次のスライドを示す。高橋はなにやらほっとした様子だ。
)))<スライドの内容ここから>)))))
エレメントを選ぶ基準
●Memorable - 記憶しやすい
●Meaningful - 意味がある
●Likeability - 好感度
●Transferable - 移転・譲渡可能
●Adaptable - 柔軟性のある
●Protectible - 保護できる
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
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「確かに覚えやすい、印象に残りやすいと言う事は重要ですよね。あ、
これなら安心、これが馴染みがあるって買うタイミングで脳に反応
するようなマークが良いのだと思うなあ。」
まおさんがスライドを見ながら言った。
「クリックしてみたくなるマークなんていうのも Web には必要かも知れませ
んね。」
とポッポ。
「私たちディストリビューターは自社のブランドを高めることも必要だけ
ど、取り扱っているメーカーのブランドの扱いも考えないといけませんね。
ブランドっていろいろな事を考えないと駄目なのね。」
まおさんがカタログを見ながら言った。
「人の頭の中に存在して見えないブランドは慎重に取り扱わないといけない
と言う事は皆分かったと思う。でも注意すべきポイントをきちんと抑えて
いけば、恐れすぎる必要はないね。ブランド名やロゴを決めるときは、
ポイントをきちんと抑えてからいろいろなアイデアを数点に絞り込んで、
後は、実際のお客様の意見を聞いてみるクリエイティブテストをしてから
決める手項が必要だね。」
話を聞いてから、前ちゃんが土田に確認した。
「それもダイレクトマーケティングの手法ですね。」
------------------------------------------------------------------【3】購入プロセスにおけるブランド
------------------------------------------------------------------「ブランドは生活者の頭の中で構成される、それが企業にとってはどういう
意味を持つんですか?尐し、混乱してきました。」
ポッポが言う。
「ブランドはビジネスの視点から見れば、明らかに実際の商品やサービスの
もつ収益力をプラスにする、もちろんきちんとブランド価値を高める維持す
るコミュニケーションを適切に行えばだけれども。」
土田がポッポに答えた。
「ブランドはイメージではなく儲かると言う事ですか?」
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「YES、No で答えるのであれば明確に Yes だね。ブランドは人が商品を認知し、
理解し、情報を集め、選び、試し、判断し、購入し、情報を共有すると
いった購買行動を左右する大きな要因の一つなんだよ。つまり、ブランドを
きちんと維持していけばレスポンス、購入率は向上していくはず。購入率
が高まると言うことだ。単なるイメージではなく企業にとっても重要な資産と
なるんだよ。」
「なるほど、ブランドはレスポンスにも影響すると言うことですね。」
「そう、ダイレクトマーケティングと言うとすごい狭い意味で DM や電話で
単にレスポンスをとる手法と誤解している人もいるけどダイレクトマーケテ
ィングは実はほとんどのマーケティング活動をカバーしていると言っていい。
だから勿論ブランドはレスポンスにも大きな影響を与える。逆に言えば、
ダイレクトマーケティングの手法でブランドが与える効果を如何に的確に
測定把握するか、適切なコミュニケーションができるかがポイントかもしれ
ないね。」
ポッポが質問を続ける。
「では、例えば Web における PPC 広告や SEO にもブランドは存在するんでしょ
うか。」
「文章に限りがある PPC のみでは限界もあるけど、答えは YES だ。ブランドの
価値が総合的なコミュニケーションで的確に伝わっていて、ユーザーがその
ブランドをポジティブ理解していればレスポンスは上がるはずだ。」
「なるほど、僕はブランドとレスポンスは同時にできない相反する命題かと
思っていましたけど、そうではないんですね。」
「ポッポの言うとおり、ブランドとレスポンスは共有できないというように
思っている人は結構いるかもしれないね。でもそうではない。Web が発展し
情報があふれ、生活者が自分で調べ知識をもち選ぶ、今の時代のダイレクト
マーケティングだからこそ、人の脳、頭の中に形成されるブランドが重要
といえるんだよ。」
みんないつしか真剣な眼差しになっていた。
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------------------------------------------------------------------【4】ブランドはダイレクトマーケティングを促進する
------------------------------------------------------------------「ブランドは認知からはじまり、行為、好感、信頼、サービス、コミュニ
ケーション、自分とのかかわりなどのさまざまな要因から成り立っている。
そうやって形成されたブランド力は信頼感、安心感、価格妥当性等をサポ
ートして結果的にはレスポンスにも効果を及ぼすんだよ。」
「ミナクルダイレクトライフの名前を聞くと、ここなら安心って思って
もらえる様なブランドを築けば、最終的には我々にプラスのパワーになって
帰ってくるって分けですよね。」
まおさんが言う。
「言うは易し、行なうは難しですけどね。」
「あ、ポッポ、前にもそんなこと言ってたわよ。」
「すみません。つい。でも土田さんの話を聞いて分かってきました。ブランド
とレスポンスが両立し相乗効果をだすようなダイレクトマーケティングを Web
を含めた複合チャネルで展開できそうな気がします。」
「そうさ、ポッポ、ダイレクトマーケティングだから効果は数字やお客様の
フィードバックとしてきちんと抑えるのを忘れないようにね。」
土田がポッポに語りかけながらもう 1 枚のスライドを示した。
)))<スライドの内容ここから>)))))
ブランドはダイレクトマーケティングを促進する
●ブランドの信頼性の向上がレスポンスに効果を与える。
●ブランドは総合的なコミュニケーションで継続的に訴求する。
●目的にあったブランドとレスポンスのバランスが重要。
●限られたスペースでブランドに偏るとレスポンスの獲得力が下がる。
●ブランドとレスポンスの表現は統一感をもって行う。
●ブランドを維持した上でレスポンス促進の戦術を駆使する。
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
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今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
継続的なブランド力の向上はレスポンスにパワーを与えダイレクト
マーケティングの力を最大限に引き出す。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 31 話 「顧客獲得 3 つのルート」
【1】顧客獲得 3 つのルート
【2】Universe からコンバート
【3】Prospect Acquisition、Prospect を経て Customer へコンバート
【4】Lapsed からの Reactivate
------------------------------------------------------------------【1】顧客獲得 3 つのルート
------------------------------------------------------------------マーケティング部の定例ミーティング『ザ・マーコムプラン』が
いつものように始まった。だが今日は尐し様子が違う。
土田が 1 人の女性をつれて入ってきたからだ。
「今日は紹介したい人がいます。今日からダイレクトマーケティングの
アドバイザーとして来てもらう小林早紀さんです。小林さんは約 7 年間に
わたって有名な某 PC 関連の通販会社でダイレクトマーケティングを実践
されて来ました。昨年お子さんを出産になり、仕事もお休みされていたの
ですが、縁あってわが社でダイレクトマーケティングのお手伝いをして
もらう事になりました。週に 2、3 回のペースで来て頂きます。
小林さんのダイレクトマーケティングの経験がこれからの私たちミナクル
ダイレクトライフにとってきっと大きなプラスになると思いますよ。」
土田に促されるように小林早紀がみんなの前に進んだ。
「小林早紀と言います。皆さんがこれから本格的にダイレクトマーケティ
ングをビジネスに活かしていけるように思いっきり協力したいと思います。
みなさん、よろしくお願いします。」
はきはきとした話し方が知的な、明るい印象を与えた。
「よろしくお願いします。山本香といいます。マーケティング部では広告
全般を担当しています。縁あってってどんな縁なんですか?」
「あはは、変な縁じゃないよ、実は小林さんは私のいとこなんだ。」
土田が笑っている。
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「へー、そうなんだ。」
「自分は、高橋正夫です。マーケティング部マネージャーです。」
高橋に続いてポッポ、前ちゃん、まおさんと自己紹介が続いた。
「でも、よかった。ダイレクトマーケティングの実践経験のある方が来て
くれて、土田さんにおんぶに抱っこじゃ悪いし、頭で分かっていても正直
尐し不安もあったから。」
まおさんが言う。
「実は、この会社の話を土田さんから聞いたとき、子供のいる女性がター
ゲットって聞いて、すごく働きたいって思ったんです。というのも私自身
がターゲットである新米ママなので。きっとお客様の気持ちになった視点
で見る事もできるかなって思っています。」
小林早紀が人懐っこい顔で話しかける。
「ほんとね、実は私もママなのよ。でも小林さんよりは先輩ママね。」
まおさんも笑った。
「さ、強力な助っ人がきたところで、今日のマーコムプランをはじめよう。
前回までは CARD の 5 つの目的のなかで、認知の向上、ブランドの確立の戦略
プログラムとそのアクティビティについて考えてブレストしたよね。
今日からは Customer Acquisition'顧客獲得)の戦略プログラムとそれを
構成するアクティビティについて考えていきましょう。」
)))))<CARD における目的ここから>)))))
Name recognition・Brand awareness'認知、ブランド)
Customer Acquisition'顧客獲得)
Customer Development'顧客育成(
Customer Retantion'顧客維持)
インターナルオペレーション
)))))<CARD における目的ここまで>)))))
「以前 CARD の話をしたときに顧客獲得の話をしましたが、顧客獲得には
大きく 3 つのルートが考えられます。ひとつは Universe からコンバート、
2 つめは Prospect Acquisition、Prospect を経て Customer へコンバート
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3 つ目は Lapsed からの Reactivate です。まずはこの 3 つのルートについて
それぞれ考えていきましょう。」
土田がスライドを映し出した。
------------------------------------------------------------------【2】Universe からコンバート
------------------------------------------------------------------「ここからは早速、小林早紀さんにお願いしたいと思います。」
土田が小林の方を見ながら行った。小林は尐し驚いた様子だったが、
すぐに落着いた顔になってスライドを見ながら話しはじめた。
「3 つのルートのうちのルート 1、Universe からコンバートについてですが、
このルートはユニバース全体に対してアプローチをし、カスタマーの獲得
を目指すものです。最初の反応が購入というケースがこのルートです。」
「認知をしない、プロスペクトにならないでカスタマーになったコンタクト
ということですか?」
データに詳しい前ちゃんは小林がきて嬉しそうだ。
「正確に言うと企業の存在を認知をしていない、プロスペクトになって
いないのではなくて、認知をしたが認知をしたというデータの記録がない、
プロスペクトになるような反応、つまりカタログ請求や Web へのユーザー
登録はしたがプロスペクトとして存在した記録がない。もしくはプロス
ペクトとして存在した期間が極端に短く、企業側が購入のない潜在顧客で
あるプロスペクトとしての認識とアクションをする期間がなかったと言う
ほうがよいかしら。」
小林がスライドの図をさしながら説明をした。
「なるほど、そういうことか。だから最初のアクションが購入だったと
言うケースという訳ですよね。」
「そうです。ルート 1、つまり Universe からコンバートが起きるのは、企業
側がどのようなアクションそとった時かわかりますか?」
「なんか、小林さんの質問形式って土田さんに似ているみたい。さすが
いとこね。それはさておき・・・、あ例えば新聞や雑誌、ネットなどで
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広告を打ったときなどですよね。」
と山ちゃんが小林に話しかけるように言った。
「そうね。新聞や雑誌、ネット広告を見てそれに反応して即座に購入
してくださった場合にはプロスペクトというフェイズは通過して一気に
ユニバースになかのコンタクトや認知者というフェイズからカスタマーに
なったと言うことですね。」
「ルート 1、つまり Universe からコンバートでの特徴はなんですか?」
と前ちゃん。
「大概の場合はターゲットにリーチする有望媒体を選定し、テストマーケ
ティングを経てメディアミックスで投下することになるので、ターゲット
の幅がユニバース全体に及び広いと言う事ですね。したがって費用もかか
ります。また良く聞く言葉で言えば網を投げて入るのを待つようなプル戦略
といえるといえます。ポイントはサーキュレーションとレスポンスレート
を確認しがらのメディア、コミュニケーションミックスをきちんと行う事
です。そしてメディアのレスポンスが悪い場合はできるだけ早期に切り替
える必要があります。効果がないのにだらだらと継続するとコスト的に
大きなダメージになります。」
「ありがとう、小林さん、よく分かりました。」
小林の説明に前ちゃんは満足そうだった。
------------------------------------------------------------------【3】Prospect Acquisition、Prospect を経て Customer へコンバート
------------------------------------------------------------------「ルート 2 は Prospect Acquisition、Prospect を経て Customer へコンバート
です。簡単に言うとさまざまなアクティビティを行う中で DB として蓄積され
たプロスペクトに対してアプローチしカスタマーになってもらう事です。
この人たちは、一度何らかの反応を示したわけですから、潜在的に購入の
可能性が高いと思われます。」
再びスライドを示しながら小林が話す。
「こんどは一種のプッシュ戦略ですね。」
と高橋が久しぶりに一言はさむ。
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「プロスペクトデータは全て内部で保管するのでしょうか?」
またまた前ちゃん。
「プロファイル等のデータがひもづいたプロスペクトデータはカスタマー
データと同様に内部 DB に保管すべきでしょう。戦略的に商品のセグメンテ
ーションを追加するなどの場合には再利用することも十分考えられます
から。」
------------------------------------------------------------------【4】Lapsed からの Reactivate
------------------------------------------------------------------「顧客獲得には 3 つのルートの最後は Lapsed からの Reactivate です。
ラプストはつまり休眠客ですね。」
「小林さん、これわかります。以前は購入経験のあったカスタマーだった
のだけれど何らかの原因で購入をやめてしまったコンタクトが、これまた
なんらかの原因でもう一度買い始めると言うことですよね。」
山ちゃんが元気にいった。
「山下さん、正解です。」
「小林さん、山ちゃんでいいですよ。」
「はい、山ちゃんの言うとおりです。一度購入経験があるのにやめてしま
ったと言う事はもしかすると競合にスイッチしてしまったのかもしれませ
んし、原因の分析が必要ですね。高いコストをかけてカスタマーになって
頂いたのですから。」
「そう、新規顧客の獲得はコスト的には高くつく。だからこそ一度お客様
になっていただいたら、できるだけ長くお客様でい続けていただく事が
非常に大切です。LTV ライフタイムバリュー、生涯購入金額を最大化する
事はマーケティングにとって非常に重要な事ですね。その意味でも、
ラプストを復活させる事はコスト的にも非常にプラスに働きます。」
久しぶりに土田が話した。
「私からの説明は以上です。」
小林が皆に言った。
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「ありがとう、小林さん。なんだか私の出番がなくなっちゃったかな。」
土田は小林の経験と確かさを感じて嬉しそうだった。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
戦略ロードマップに戦略プログラムを構成するアクティビティをプロット
し、年間のスケジュールを俯瞰で見てみよう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
ルート1-2
認知者から
コンバート
ルート1-1
ユニバースから
コンバート
Recognized
Universe
Prospect
ルート3
ラプストから
リアクティブ
Customer
ルート2
プロスペクトか
らのコンバート
Suspect
ステイタス移行の流れ
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Lapsed
第 32 話 「顧客獲得その 1-ユニバースからのコンバー
ト」
【1】オファーは商品
【2】オファーは情報
【3】オファーはプレゼント
【4】成功指標
------------------------------------------------------------------◆株式会社ミナクル-5 年前に滝沢 巌が脱サラでスタートした通販会社。
登場人物
◆滝沢 巌-'株(ミナクル創業者、会社の伸び悩みに悩む
◆土田 浩-巌の甥。アメリカに留学し帰国、現在マーケティング部長
◆山下 香-マーケティング部、広告全般、DM 担当'山ちゃん(
◆高橋 正夫-マーケティング部マネージャー'高橋(
◆鈴木 大輔-マーケティング部、Web マーケティング担当'ポッポ(
◆前田 孝-マーケティング部、リサーチ、分析担当'前ちゃん(
◆片野 真央-マーケティング部カタログ制作担当'まおさん(
◆小林 早紀-ダイレクトマーケティングアドバイザー
------------------------------------------------------------------【1】オファーは商品
------------------------------------------------------------------「前回は Customer Acquisition'顧客獲得)の戦略プログラムとそれを構成
するアクティビティについて考え行く前に、顧客獲得には大きく 3 つのルー
トが考えられるという話を小林さんに説明してもらいました。
次の 3 つです。」
土田がホワイトボードに書いた。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
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●Universe からコンバート
●Prospect Acquisition、Prospect を経て Customer へコンバート
●Lapsed からの Reactivate
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>))))
「この 3 つのルートのうちまず今日は主に Universe からコンバートを狙った
具体的なアクティビティについて考えてみましょう。」
「土田さんアクティビティというのは、戦略プログラムを構成するキャン
ペーンやプロモーション等の事ですか?」
と前ちゃん。
「そうだよ。1 つの戦略プログラムはさまざまなアクティビティによって
その目的を総合的な結果として達成することになる。だから、戦略プログ
ラムの各アクティビティは、ある程度共通のメッセージがなくてはなら
ないし、メディアやタイミングも各アクティビティが相乗効果を発揮し 1 つ
の戦略プログラムとして機能するように設計しなければならないんだ。」
土田が前ちゃんに説明した。
「ここからは、小林さんにファシリテイトしてもらおうかな。」
小林早紀が立ち上がった。
「皆さん、おはようございます。それでは、ここからは私が進行させても
らいますね。まず、皆さんに 1 つ質問させてください。アクティビティを
プランする場合に大切な事はなんだと思いますか?」
「はい、僕とポッポは答えを知ってます。」
と前ちゃんが言う。
「あら、というのはどういう意味かな?」
「実は、以前土田さんと昼ごはんを食べにいてアクティビティで大切な事
は何かを教えてもらったんですよ。」
「あ、半チャーハンラーメンキャンペーンのこと。」
ポッポが言う。
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「なあに、それ??」
山ちゃんも不思議そうだ。
「話すと長きなるんですが、キャンペーンの例です。」
「ああ、そうだったね。」
と土田。
「なんだか、よく分からないけど、では前ちゃんも、ポッポさんも答えを
知っているようなので、お話しますね。答えは、ターゲット、オファー、
クリエイティブですね。土田さんの答えと同じだった?」
と小林が言う。
「はい、同じでした。」
前ちゃんとポッポが揃って言った。
「良かった。アクティビティで大切な事、逆に言うとこのポイントを上手
くできれば成功できる確率が高くなるのはこのターゲット、オファー、
クリエイティブです。ユニバースからのコンバートを狙った顧客獲得の
アクティビティの場合はターゲットはユニバースと言う事になります。
ユニバースの中から、更にターゲットを絞り込む事もあります。今日
特に考えたいのはオファーです。オファーについて今日は 3 つの視点で見て
見ましょう。」
「小林さん、視点っていうと?」
「何をオファーとしてコミュニケーションをしると言う事ね。ターゲット
があっていてオファーが魅力的なら高いレスポンスが期待できるから。
まずオファーとして商品や値引き等を訴える事ができます。」
小林がホワイトボードに書き始めた。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
商品や値引きをオファーとする例
●新商品の価値を訴求するアクティビティ
●サービス開始を訴求するアクティビティ
●セールやディスカウントを訴求するアクティビティ
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●価格改定に伴うアクティビティ
●クリアランス、アウトレット等の在庫一掃を訴求するアクティビティ
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「商品発売時に発売日の前まではシルエットだけだして期待感をあおる
ねんて広告もありますが、そういうのも新商品の価値を訴求するアクティ
ビティにはいるんですか?」
ポッポが聞いた。
「ティーザー広告ね。うんそうだけど、今ここで言うのはオファーね。
何をフックに訴えているかという事だから前ちゃんの言っているのは
どちらかと言うと方法論、コミュニケーション Mix とクリエイティブの話
になるかもしれないわね。でも重要なポイントね。」
------------------------------------------------------------------【2】オファー情報
------------------------------------------------------------------「続いてのオファーとしては商品や値引き等を訴える事ができます。」
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
良い情報やお得な情報などをオファーとする例
●カタログプレゼントのアクティビティ
●お役立ち情報の小冊子プレゼントのアクティビティ
●お客様紹介を促進するアクティビティ
●実証広告'テスティモニアル(を使ったアクティビティ
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「そうかあ、カタログは考えてみれば貴重な情報ですよね。だからカタ
ログ差し上げますなんてキャンペーンやってたのに、アクティビティを
成功させる 3 つの構成要素のひとつだって改めて考えた事なかったな。」
まおさんがカタログをめくりながら言った。
「そうですね、きちんと理論にもどって考える事でアクティビティがもし
失敗しても、ターゲットがわるかったのか?オファーか?クリエイティブ
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か?と考える事で次回の軌道修正が可能になっていきますね。」
小林がまおさんに話す。
「例えば、春夏秋冬、入学、卒業等の季節やイベントに連動したアクティ
ビティをする事もあると思うんですが、それは何のオファーになるんです
か?」
まおさんが質問する。
「確かに入学式に併せてキャンペーンなんて良くありますよね。でも入学
式に値引きとか、お役立ち情報とか、オファーの組み合わせはいろいろ
できますよね。なので、これは外部環境を見た上でタイミングをいつに
するかと言う事かと思います。外部環境やタイミングはターゲット、
オファー、クリエイティブの全てに影響しますね。」
小林の返事に続けて土田がいった。
「まおさん、いいポイントだと思うよ。小林さんの言うようにタイミング
は非常に大切だ。その意味でも、戦略ロードマップで各戦略プログラムと
それを構成するアクティビティをいつ実施するかをプロットして、全体像
を見ていく事が非常に重要なんだよ。」
------------------------------------------------------------------【3】オファープレゼント
------------------------------------------------------------------「次のオファーはプレゼントです。これはみんな生活者の立場でも結構
目にしているんじゃないかしら。」
小林がホワイトボードに書いていく。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
プレゼントや無料提供、特典などをオファーとする例
●抽選プレゼントのアクティビティ
●サンプリングのアクティビティ
●モニタリングやネーミング募集のアクティビティ
●クーポン、バウチャーを訴求するアクティビティ
●配送料無料等を訴求するアクティビティ
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
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「私、雑誌やネットでのプレゼントに応募するの大好き!」
山ちゃんが反応する。
「私もよ、海外旅行プレゼントなんていうのに応募して行った事を想像
しちゃうのよね。まだ当ってもいないうちから。」
「あ、小林さんもですか、良かった。」
「でもプレゼントキャンペーンで注意しなければならない事があります。」
「なんですか?」
「それは、応募者の質が低下する可能性があると言う事です。
購入する可能性が低いプロスペクトを多く集めてしまう事は最終的なレス
ポンスを下げコスト効率を非常悪化させる可能性があります。CPC を悪化
させる原因になります。」
小林が真剣な眼差しで言う。
「確かに、私もプレゼントっていうと何でも応募するけど、どこの会社の
プレゼントだったか覚えていなかったりするわ。」
「レスポンスの質を低下させない為にはどうすればよいのですか?」
前ちゃんが聞いた。
「基本にもどって、訴求するターゲットをメしっかり見極めてメディア
ミックスを考える事。オファー内容をプレゼントや景品にする場合は
ターゲットに好まれるような物を選定する事、クリエイティブも良く考え
購入する可能性が高いターゲットに響くような工夫をする事。最後に
レスポンスだけではなく、カスタマーのコンバージョンレートもしっかり
追ってアクティビティの成否を判断する事ね。」
小林がホワイトボートにペンを置いた。
------------------------------------------------------------------【4】成功指標
------------------------------------------------------------------「1 つだけ付け加えたいのだけど、ユニバースからの顧客獲得で且つとても
有効な手段があります。それはお客様紹介プログラムです。直接ユニバース
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にアプローチするのではなく既存のお客様にお友達を紹介してくださいと
いう形でコミュニケーションするのでターゲットはカスタマーという事に
なりりますが目的は顧客獲得です。すでに購入いただいたお客様に口コミ
で広げてもらうので多くの場合尐ないコストで大きな効果が期待できます。」
土田が付け加えた。
「ありがとうございます。土田さん、説明を忘れていました。良い情報や
お得な情報などをオファーとする例の部分に、お客様紹介を促進するアクテ
ィビティと入れておきましたが、確かに既存顧客を対象にコミュニケーシ
ョンをすると言う意味では他のアクティビティとは尐し違いますね。
土田さんの言うように、効果は大きく期待できます。また実証広告を連動
させるという事も非常に効果的です。」
「さ、最後に顧客獲得プログラムに必要な KPM、成功指標を復習して今日の
ザ・マーコムプランをしめよう。」
土田が立ち上がってスライドを示した。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
Customer Acquisition'顧客獲得)プログラムに必要な KPM
●サーキュレーションに対してのレスポンスレート
●新規プロスペクトの獲得数
●新規プロスペクトのコンバージョンレート
●CPR'Cost Per Response(1 プロスペクト'レスポンス(に使用したコスト
●新規カスタマー数
●CPC'Cost Per Custoemr(1 カスタマー獲得に使用したコスト
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
目的やタイミングを見ながら戦略にあった効果的なオファーを考えよう。
オファーが効果的かどうかは必ず検証しよう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 33 話「顧客獲得その 2-買って下さい起きて下さ
い」
【1】買って下さい - プロスペクトのコンバート促進
【2】起きて下さい - ラプストの復活の促進
【3】資源の有効活用
【4】成功指標
------------------------------------------------------------------【1】買って下さい - プロスペクトのコンバート促進
------------------------------------------------------------------今日も『ザ・マーコムプラン』が始まった。今日も小林が説明をはじめた。
「顧客獲得の 3 つのルート、2 つ目は Prospect Acquisition プラス Customer へ
のコンバートです。」
「前回お話した 1 つ目のルートからプロスペクトが獲得されます。つまり、
ユニバースに対するコミュニケーションに反応しカタログを請求する、
または Web でユーザー登録をするという形でプロスペクトの情報として社内
DB にエントリーされます。そのプロスペクトを如何にコンバートさせていく
かを考えてアクティビティを実施するわけです。」
「と言う事は、社内 DB からデータを抽出して DM を発送したり、e メールを
送信したりすると言う事ですか?」
前ちゃんが小林に聞く。
「コミュニケーション方法としてはそういった方法が考えられるわね。
でも、ユニバースからのコンバートと同じようにターゲット、オファー、
メディア選択とクリエイティブが大切ね。この場合、ターゲットはプロス
ペクト、つまり商品やサービスを認知し、何らかの反応をしめしたコンタ
クトだから、そこを踏まえた上でオファーやメディアクリエイティブを
考える必要はあるわね。」
と小林。
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「ではオファーについてですけど、プロスペクトをコンバートさせるには、
どういった事が必要になってくるんでしょうか?ユニバースからのコンバ
ートではオファーについて話をしましたよね。商品や値引きをオファーと
したり、良い情報やお得な情報などをオファーとしたり、プレゼントや
無料提供、特典などをオファーとしたりすると言う事でしたが。」
「そうね、例えば新商品をオファーとしてプロスペクトとコミュニケーシ
ョンをする場合は、ユニバースに対して訴求していたときよりも、もっと
詳細な内容が必要かもしれないわね。ただ単に新商品というだけではなく
て具体的な機能や価値をより理解してもらう、お客様が理解し比較をした
上で選択して購入してもらえるような内容が必要かもしれないわね。」
「そうですね、考えてみれば、一度カタログ請求や Web 登録をしているわけ
ですから興味をもっているのは事実ですものね。その興味を如何にして
購入へと結びつけていけるかと言う事ですね。」
前ちゃんが納得した模様だ。
「例えば旅行用のバックを買うとしたら、ユニバースに対してはイメージ
やその優位性を訴えてレスポンスを取ることにフォーカスし、その結果
プロスペクトになった人には、よりどのように軽く持ち運びがしやすいか、
どのように丈夫か、どのように収納できるか、どのようにかっこいいか、
だから価値があるというような詳細な説明が必要かもしれないわね。」
「メディアとしてはどうですか?気をつける事はありますか?」
ポッポが聞く。
「そうね、やはり内容や頻度は考えるべきね。同じ情報を何度も何度も
機械的に送っても意味がないかもしれないから、都度訴求ポイントや視点
をかえていく事も必要だわ。またある程度の頻度を考慮してアプローチ
する必要があるわね。感覚があきすぎれば忘れられてしまうし、感覚が
空きすぎても、しつこいと思われてしまうから。」
「内容と頻度を考えて、定期的にメールを配信するのがいいのかなあ。」
ポッポが PC に配信されたメールを見ながら言った。
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「それもひとつの方法ね、大切なのは 1 つの企業からのメッセージとして
一貫性があること。シナジーを持っている事ね。買って下さいっていう
メッセージを説得力をもって継続的に適切な内容と頻度で行う事よね。」
------------------------------------------------------------------【2】起きて下さい - ラプストの復活の促進
------------------------------------------------------------------「3 つのルートの最後は Lapsed からの Reactivate です。いわゆる休眠客に
ふたたび買ってもらうということですね。」
「眠っている人に起きて下さいって言うってことですね。」
山ちゃんがニコニコしながら言った。
「そうね、ここでいう新規顧客獲得という意味合いとは今までとは尐し
違ってくるわね。まずは休眠客、ダイレクトマーケティングではラプスト
と言いますが、その意味は最終購入日から一定期間が過ぎた顧客と言う事
です。何らかの理由で購入が途絶えてから一定期間が経過したコンタクト
ですね。」
小林が答える。
「再度刺激することによって再び活動する事がある。もともと一度購入
経験があるのだから、ポテンシャルはあるってことですよね。」
前ちゃんが確認するように言う。
「そうね、以前よりもサービスが向上したり、商品ラインナップが増えた
りしている場合などは、それをラプストに伝えることが必要ね。新しい
サービスやラインナップによって、再度購入していただける可能性は
結構あるかもしれないですものね。」
------------------------------------------------------------------【3】資源の有効活用
------------------------------------------------------------------「さ、これで顧客獲得の 3 つのルートは理解できたと思います。これらの
ルート、ステイタスの移動を頭にいれながら戦略プログラムにおけるアク
ティビティを考えて行く事は大切です。」
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「小林さん、質問なんですけど顧客獲得の 3 つのルートはわかったのですが
例えばある顧客獲得アクティビティをするとして、3 つのルートそれぞれに
個別のメディアやツールを使わなければならないと言う事ですか?」
山ちゃんが質問をした。
「それは、良いポイントですね。3 つのルートは CARD の目的とステイタスの
流れの中で理解する必要はありますが、すべてにおいてコミュニケーション
やメディアを切り替えるべきと言う事ではありません。つまり No です。
コミュニケーションやメディアを不必要に切り替える事はコストや
リソース面で不利なばかりでなく、メッセージを受取る側の視点から見た
場合の不整合を与える事にもなりかねません。」
「制作する立場としても、何をつくっているか訳がわからなくなったら
大変ね。」
と山ちゃん。
「例えば B2B では、同じ職場にプロスペクトとカスタマーが隣同士で座って
いるなんて事もありますから、メッセージを切り替えるときは、その辺も
よく考えておきたいですね。」
「高橋さんがカスタマーで、私がプロスペクトで、高橋さんにだけ割引が
あったら、ちょっと嫌かもしれないなあ。」
山ちゃんが笑いながら言った。
------------------------------------------------------------------【4】成功指標
------------------------------------------------------------------「では今日も最後に顧客獲得プログラムに必要な KPM、成功指標を復習して
おきましょう。」
)))))<スライドの内容ここから>)))))
Customer Acquisition'顧客獲得)
Prospect から Customer へコンバート
Lapsed からの Reactivate プログラムに必要な KPM
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●サーキュレーションに対してのレスポンスレート
●プロスペクトのカスタマーへのコンバージョンレート
●ラプストからカスタマーにリアクティベイトしたレート
●CPR'Cost Per Response(1 レスポンスに使用したコスト
●CPC'Cost Per Custoemr(1 カスタマー獲得に使用したコスト
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
プロスペクトをコンバージョンさせる事、ラプストを復活させる事は
顧客獲得を着実に売上げ利益につなげることにおいて非常に重要である。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 34 話「顧客育成その 1-ようこそ」
【1】アーリーデベロップメントの必要性
【2】ようこそコール
【3】ようこそキット
【4】成功指標
------------------------------------------------------------------【1】アーリーデベロップメントの必要性
------------------------------------------------------------------ザ・マーコムプラン、今日も小林早紀の説明からはじまった。
「おはようございます。ここ数日にわたって CARD の目的別におけるアクティ
ビティの考え方について考えてきました。認知ブランド、顧客獲得ときて
今日からは顧客育成 Customer Development に関して見たいと思います。
顧客育成の部分に関しては、大きく 2 つに分けて考えましょう。まずは
初回購入者が 2 回、3 回と購入していくようになるまで、初期段階における
顧客育成です。英語では Early development と言います。」
「土田さんは英語ぺらぺらですけど、小林さんも発音かっこいいですね、
やっぱり英語できるんですか?でもどうしてダイレクトマーケティング
用語は英語が多いんでしょうかね。」
と山ちゃん。
「ダイレクトマーケティングは世界的に通用するものですが、もともとの
アメリカで開発、発展してきたと言う事がありますね。英語は大変ですが
国際的な共通語なので、できるだけ英語の標記も押さえておきたいわね。」
「はい、頑張ります。Early development というと早い開発??」
山ちゃんが首をかしげながら言った。
「初期段階における顧客育成活動ですね。具体的にいうと初めて購入して
くれたお客様をいかにして 2 回目、3 回目の購入へとつなげていくかという
事です。」
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「私たちの会社で初回購入者の何パーセントが 2 回目の購入をしているか、
わかる人いますか?」
小林の質問に皆が顔を見合わせた。
「実は 50%弱です。」
「結構尐ないんですね。」
ポッポがボソッと言う。
「では、2 回目購入者が 3 回目の購入をするパーセントは?」
「3 分の 2 ぐらいかな??」
ポッポがつぶやいた。
「実はこれも 50%弱なんです。」
「へー、これまた尐ないんですね。」
山ちゃんは尐し驚いたようだ。
「初回購入者の約半分以上が 2 回めの購入をしない。2 回目の購入者のまた
更に半分が 3 回目の購入をしない。つまりは初回購入者の 75%以上が 3 回目
の購入前にいなくなってしまうという事です。
これを高められれば、顧客もライフタイムバリュー'LTV(は大きく向上
します。前に土田さんが触れたかと思いますがライフタイムバリューの
向上は利益におおきく貢献します。」
小林の説明には説得力があった。
「折角高いコストをかけて獲得したお客様も、これでは利益に十分貢献
する前にいなくなってしまうという事になりますね。」
------------------------------------------------------------------【2】ようこそコール
------------------------------------------------------------------「小林さん、何回目までいけばお客様がはなれていくリスクが小さくなる
のですか?」
前ちゃんが小林に質問した。
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「3 回目まで行けば 4 回目の確立はあがっていくわ。3 回までいけば安心感が
高まる。ですから、戦略プログラムとしての顧客育成プログラムの中でも、
ここでは 3 回目の購入までを Early development と位置づけていきたいと思
います。」
「いつも Web サイトで購入すると、ありがとうメールが来るけど、そういう
活動なんかも Early development の一部なのかな。」
とまおさん。
「そうですね、片野さんが言うようなありがとうメールやコールは Early
development の一つと言えますね。他にはこのようなアクティビティが
ありります。」
小林がホワイトボードに書き始めた。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
Early Development 系プログラムでのアクティビティ例
●ようこそページの設立'初めての方へページ(
●ようこそコール'テレセールスから初回購入者にコール(
●ようこそキットの送付
●ようこそキットの商品同梱
●ようこそメール
●初回購入者限定のオファー'商品、情報、プレゼント(
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「なんでも第一印象って大切よね。その意味では初期段階のアクティビ
ティは重要ね。電話やメールやキット等のコミュニケーションがバラバラ
に伝わらない事、またタイミングが大切だと思うわ。」
「そのとおり、私たちから見て例え担当部門が異なってもお客様にとって
会社は 1 つですから連携を確認する事は大切ですね。例えばようこそコール
を行う場合には、初回購入者や購入商品をどの様に確認しコールを開始
するのか?、いつメールやキットが送られたのか?内容はどういうものか?
2 回目の購入の有無はいつ判断して 2 回目のコールをするのか?などを体系
的に管理する仕組が必要ですね。」
小林がまおさんの意見に付け加えるように言った。
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「Early development による一連のアクティビティはお客様の購入時から
3 回目の購入までを継続的に管理するプログラムであるべきですね。
2 回目以降の購入に移行しない理由を調査し理解する事も大切ですよね。」
「片野さんのいうとおりですね。」
小林とまおさんは、お互いが小さい子供をもつ働くママさんだからか、
互いに気が合うようだった。
------------------------------------------------------------------【3】ようこそキット
------------------------------------------------------------------「お客様が商品を購入する、ありがとうメールが送られる、商品と同時に
ようこそキットが同梱され送られる。ついた頃にコールセンターから電話
をかけて、何かお困りではないですか?お聞きする?そんなイメージです
よね、小林さん。」
「メールのみで済ますか、ようこそキットをお送るか、コールをするか等
は企業の状況や 2 回目以降の購入に移行しない理由、コスト的な事も考えて
行う事になると思うけど大体は、そんな感じね。」
小林が山ちゃんに返事をした。
「ようこそキットって例えばどんなものですか?」
「まずは、購入いただいた事への感謝を伝えるメッセージ、次に商品や
サービスなどに価値を感じてもらえるような具体的な説明など。後は
割引券やお役立ち情報やプレゼントのご案内などをフックにしたキャン
ペーンの案内などかな。」
「ここでも現状を把握する事から導き出したアクティビティをターゲット
オファー、クリエイティブやメディアを考えて組み立てるんですね。」
「基本はいつも同じね。大切な事をもう 1 つ。これもダイレクトマーケテ
ィングの基本だけど、きちんとレスポンスや効果をメジャーする事、一度
テストで行ってから必要な部分は軌道修正したうえで大きく展開する事。」
「わかりました、ありがとうございます。小林さん。」
山ちゃんの返事に小林はにっこりと微笑んだ。
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------------------------------------------------------------------【4】成功指標
------------------------------------------------------------------「では、最後はおきまりの KPM、成功指標です。」
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここから>)))))
Customer Development'顧客育成)プログラムに必要な KPM
カスタマー'人(の観点から
●アクティビティにおけるレスポンス
●購入金額(AOV)の向上
購入金額を分解すると
)購入商品点数の向上'アップセルやクロスセル(
)購入商品単価の向上
●購入金額(AOV)や平均購入頻度(AOF)の向上
●購入製品種類数の向上
商品の観点から'商品訴求をした場合(
●訴求した商品の Before/After での売上げ推移の比較
Early development プログラムを実施したグループと実際しないグループ
に分け'コントロール(上記 KPM において効果を判断する。
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここまで>)))))
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
第一印象は大切、一体感のある初期段階における顧客育成はライフタイム
バリュー(LTV 生涯価値(の向上と利益に大きく貢献する。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 35 話「顧客育成その 2-ファンを作る」
【1】ファンを作る
【2】特典・優遇
【3】クロスセル・アップセル
【4】成功指標
------------------------------------------------------------------【1】ファンを作る
------------------------------------------------------------------「えーと、前回はどこまで説明しましたっけ。」
「あら、めずらしーい。小林さん忘れちゃったんですか。前回は顧客育成
について、その中でも初期段階における顧客育成、Early development につ
いてでしたよ。ああ、そういえば、今週は土田さん見かけないですけど
どうしたんですか?小林さんわかります?」
小林に問いかけた山ちゃんに、ポッポが返事をした。
「あれ、山ちゃん知らないの。土田さんは先週から休暇をとってアメリカ
に行ってるよ。尐し気分転換だっていってた。」
「そうなんだ。ミナクルに入ってから毎日休まずって感じで働いてたもの
ね。私たちを引っ張るのに疲れちゃったのかな?だから最近は小林さんに
リードを任せていたのかな?でも、小林さんがいてくれてよかった。
とっても分かりやすいもの。」
「ありがとう山ちゃん。みんなの期待に応える為にもがんばらなくっちゃ。
土田さんは疲れてなんていないと思うわ。ミナクルやみんなの事は、
いつも誇らしげに話してたし、今回の休暇もアメリカで調べたい事がある
って言って行ったしね。それでは、今日は顧客育成についてですね。」
小林のはきはきとした話し方が皆には心地よかった。
「Early development は特に初期購入から 3 回目までの購入に焦点をあてて
ましたけど、今回はさらにロイヤルな優良顧客になっていただく、良い
関係を作っていくかということですか?」
前ちゃんが言った。
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「そうですね。いかにして私たちの商品やサービスを愛してくれるファン
を作っていくかです。初めに尐し顧客育成の重要性を考えて見ましょう。
新規顧客は継続的な成長のために必須ですが、その年の売上げに貢献する
という意味ではせいぜい全体の 4 分の 1 程度に過ぎません。反面ロイヤル
カスタマーは売上げ利益の大部分をもたらす重要なお客様です。」
「それって、パレートの法則のことですか?Web で大量の商品を扱う事に
よるロングテールで 20%80%の法則は崩れたって聞いたことありますけど。」
ポッポが言う。
「そういう風な事を言う人もいたわね。でもそれは尐し誤解があるわね。
第一にパレートの法則は分配・分布を考えたとき、例えば売上げは尐数の
要因によって決定されるという事を言っているのであって、それが
すなわち 20%80%という比率ではないという事。つまり 20%か、30%か数字
のぶれはあるにせよ、尐数のロイヤルカスタマーが企業の売上げ、利益に
大きく貢献している構図は変わらない。第二にロングテールは一部の
優良顧客に頼らなくても利益がでるという事を示しているのではなく、
絶対的な規模、ロングテールを獲得すれば、利益を生むことも可能になる
という事です。」
「ロングテールさえやれば利益が生まれるのではないという事ですよね。
物販においてロングテールでビジネスを成功させるには絶対的なスケール、
商品点数と、圧倒的な市場スケールと投資能力が必要。と参考文献には
かいてあります。」
と高橋。
「高橋さん、何を読んでるんですか?」
山ちゃんがすかさず突っ込む。
「ロングテールを誤解するな、圧倒的な商品点数と SEO/SEM さえあれば
売れるという事ではないという事ですよね。」
ポッポが本を見ながらボソッと言う。
「ロイヤルカスタマーの重要性は変わらない。 顧客の生涯価値、LTV の
引き上げが企業の利益確保にとってとても重要なのは間違いないわ。
でも、Web の特性を上手く生かしてファンを作る事は、生活者が主導権を
もつ Web ベースの社会ではとても大切。生活者のポジティブな声は相乗
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効果を持って波及する。反対にネガティブな声も同じように波及する。」
小林が切れのいい声で話をする。
「ミナクルダイレクトライフはライフサイクル密着型が差別化のポイント
だから、ファンの声を上手く波及させる活かす事が大切ですよね。」
とまおさんが追いかけるように言った。
「その通りだわ。戦略ポイントに基づいてきちんと設計されたアクティビ
ティを実行し、しっかりとメジャーしていく事、そしてそれを着実に反映
していく事がダイレクトマーケティングの得意な分野ですから、Web には
とても相性がいいのよ。」
そういいながら、小林がホワイトボードに書き始めた。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
ファン作りによる顧客育成のアクティビティの例
●メンバーズクラブの設置'付加価値を伴った(
●パーソナライズドサービス'記念品、誕生日カード送付など(
●FSP(Frequent Shopper Program) いわゆるマイレージプログラム
●ファンの集い等の開催
●コミュニティサイトの設置
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「ここに書き出したのは、顧客育成のアクティビティのなかでも特に、
商品やサービスの価値を理解し伝道師になってもらえるようなロイヤル
カスタマーの醸成を目的にしたアクティビティの例です。ロイヤル
カスタマーという言葉よりもファンといったほうがしっくり来るかな。」
------------------------------------------------------------------【2】特典・優遇
------------------------------------------------------------------「その他にはどのようなアクティビティが考えられるのでしょうか?」
前ちゃんが聞いた。
「特に顧客育成のアクティビティに絞って考えればロイヤルカスタマーに
限定したオファーをベースにしたアクティビティは考えられますね。
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ここではアクティビティの例としてあげますが、これらはそれぞれ戦略
プログラムとしても成り立ちますし、実施の際にはきっちりと費用対効果
を算出して行わなければなりませんね。」
「限定サービスは魅力的ですけど、いっぱい限定ができると対応する側も
いろいろなやり方ができて大変だし、コストもかかりますよね。」
前ちゃんがメモを取りながら言った。
「そう、選択と集中が必要ね。」
「みんな限定になったら限定じゃなくなっちゃいますものね。」
「ほんとね。」
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
特典、優遇による顧客育成のアクティビティの例
●ロイヤルカスタマーだけの限定割引
●無料サポート
●コンサルティング型プレミアムラウンジ等の提供
●担当アカウントマネージメントによるキャンペーン
●クリアランス、アウトレット等の在庫処分
●定期お届け、定期購買プログラム
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
------------------------------------------------------------------【3】クロスセル・アップセル
------------------------------------------------------------------「なんでも限定してサービスを行うには限界があるわね。そういう意味では
商品紹介を定期的に行っていくクロスセル、アップセルのアクティビティ
はもっともスタンダードなアクティビティかもしれないわね。」
と小林。
「クロスセルというのは購入商品種類の向上で、アップセルは商品購入
点数ボリュームの向上ですよね。」
前ちゃんが確認する。
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「言葉を変えるとクロスセルは注文ラインの向上、アップセルは注文数量の
向上ともいえます。ですから、クロスセルやアップセルは購入商品単価を
上げる効果も期待できます。ロイヤルカスタマーを増やす目的に加えて、
売上げに対する直接的な貢献も期待できるという事ですよね。」
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
クロスセル・アップセルよる顧客育成のアクティビティの例
●クロスセル'関連商品の販売(キャンペーン
●アップセル'ボリューム(のキャンペーン'例、今なら 3 個買うと安い等(
●新商品にからめた既存商品の紹介
●メール、Web、DM、小冊子当による各種キャンペーン
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「クロスセルやアップセルは様々なメディアで効果的に効果的に訴求するのが
ポイントです。商品の売上げ構成の分析をして仮説を立てて実施する事です。」
小林が書き終える。
「やたらめったらと紹介してもごちゃごちゃで訳がわからなくなりますよね。
ターゲット、オファー、クリエイティブをしっかりと設計して効果測定をし
次に反映する事。ここでもダイレクトマーケティングの基礎が大切ですね。」
「前ちゃん、そういうこと。」
------------------------------------------------------------------【4】成功指標
------------------------------------------------------------------「では、今日も最後はおきまりの KPM、成功指標です。」
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここから>)))))
Customer Development'顧客育成)プログラムに必要な KPM
カスタマー'人(の観点から
●アクティビティにおけるレスポンス
●購入金額(AOV)の向上
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購入金額を分解すると
)購入商品点数の向上'アップセルやクロスセル(
)購入商品単価の向上
●購入金額(AOV)や平均購入頻度(AOF)の向上
●購入製品種類数の向上
商品の観点から'商品訴求をした場合(
●訴求した商品の Before/After での売上げ推移の比較
Development プログラムを実施したグループと実際しないグループ
に分け'コントロール(上記 KPM において効果を判断する。
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここまで>)))))
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
ロングテールを誤解しない事。Web の時代にも、ロイヤルカスタマーの
重要性は変わらない。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 36 話「顧客維持-水漏れを防ぐ」
【1】顧客維持の重要性
【2】RFM 分析の RF
【3】RFM 分析の M
【4】成功指標
------------------------------------------------------------------【1】顧客維持の重要性
------------------------------------------------------------------朝の 8 時、株式会社ミナクルの朝のオフィスに小林早紀がいた。皆より尐し
早くオフィスに来てその日の準備をするのが小林の日課になっていた。
独り言を言いながらマインドマップでメモを書いていた。
「顧客維持は重要。
→顧客の獲得にはコストがかかる。
新規顧客の獲得は顧客維持の 6 倍から 10 倍の経費がかかるという。
→顧客を維持し LTV を高める事は非常に価値のあることである。
→Development がきちんとできてれば、それほど休眠しないはず。
→顧客育成と維持は連携するもの。表裏一体なもの。
→顧客育成プログラムがきちんと機能していれば、休眠客になるレート
はそれほど多くないはず。
→CRM がキーポイント。
→RFM 分析から顧客維持について考える。」
誰かがやってきた。
「おはようございまーす。」
元気な声の山ちゃんだ。
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「あ、おはよう。」
「小林さんいつも早いですね。」
「ええ、朝早く来ると気持ちいいし、得した気持ちになるわ。」
「えらいですね、私なんか起きるのがやっとって感じです。
今日の、ザ・マーコムプランは何の話ですか?」
「今日は顧客維持についてよ。」
「あ、そうでしたね。じゃあ、私先に行ってセッティングしてきます。」
「ありがとう。」
山ちゃんと話していると自分も元気な気持ちになると小林は思った。
------------------------------------------------------------------【2】RFM 分析の RF
------------------------------------------------------------------ザ・マーコムプラン、小林の顧客維持の話が続いていた。
「顧客維持の重要性はわかったかしら。」
「せっかくお客様になっていただいてもすぐにいなくなってしまったら
意味がないですものね。顧客を維持するのには適切なコミュニケーション
を継続的に取っていく事が必要ですよね。」
まおさんがいう。
「CRM ですよね。」
いつものようにボソッというポッポ。
「そう、適切なコミュニケーションを行い最適なお客様のとの関係を継続
的に維持するカスタマーリレーションシップマネージメントが肝心です。
CRM を行う為の分析の 1 つに RFM というものがあります。今度は顧客維持の
観点から RFM を考えてみましょう。」
小林がスライドを用意した。
「RFM って言葉は耳にしますけど、何でしたっけ?」
山ちゃんが聞いた。
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「そういう人は結構いるんじゃないかしら。尐し RFM の説明しましょう。」
小林がスライドを映した。
「RFM は顧客の購買行動・購買履歴から、優良顧客のセグメンテーション
などを行う顧客分析手法の 1 つです。RFM はそれぞれ指標の頭文字を表して
います。」
)))))<スライドの内容ここから>)))))
RFM3 つの指標
●R'recency:最新購買日( いつ買ったか、最近購入しているか
●F'frequency:累計購買回数( どのくらいの頻度で買っているか
●M'monetary:累計購買金額( いくら使っているか
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「この各指標に数値で重み付けして CRM の観点からの顧客をグループ分けし、
アクティビティを行います。例えば 5 段階で recency に重み付けした場合、
直近の購入月が先月が 5、2 ヶ月前は 4、3 ヶ月前が 3、4 ヶ月前が 2、5 ヶ月前
が 1 というようにします。同じように frequency と monetary もそれぞれ頻度、
購入金額で数値をつけます。そのような形で数値化した場合 555 から 111
までのランキングで顧客を表す事ができます。ランキングが上位の顧客は
“最近、何度も、たくさん買ってくれている顧客”すなわち優良顧客と
判断できます。、反面。逆に 3 つの数値が低いグループは販売促進活動を
行っても見込みがない顧客層と判断されると言う訳です。」
「小林さん、重み付けは企業によって違うのですか?」
前ちゃんがが PC でクエリーを組みながら聞いた。
「よいポイントね。各指標の重要性や意味合いは、業種や業態、取扱商品
によって異なります。あまり大雑把では意味がないし、詳細すぎると作業が
増すのみでアクティビティを変える意味も効果もない。指標数値への
ウエートの付け方自体が企業ノウハウとなると言う事になるでしょうね。
また必ず RFM 分析をしなくてはならないと言う事ではないので誤解しない
ようにしてください。ひとつの手法ですから。では、ちょっと RFM の表す
数字の意味を皆で尐し考えて見ましょう。」
そういってスライドを進めた。
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)))))<スライドの内容ここから>)))))
「F が低くて R が低い」
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「先ほどのランキング例で考えると、これは、どういう事を表しているで
しょうか?」
「購入頻度が低くて、最後に購入してから 5 ヶ月以上が経過しているって
事ですよね。」
と前ちゃん。
「一見さんですね。」
高橋が答えた。
「そうね、もう尐し付け加えると、試し買いをして離れていったお客様かも
しれないわね。一回買ってそれっきりで相当期間が経過しているから。」
「行きつけの店の事を考えてみると、頻度が低くてそれっきりってのは
冷やかしかなって思いました。」
「さすが高橋さん、考えるポイントが飲み屋ね。」
山ちゃんが茶化した。
「でも身近なところで自分に置き換えて考えるのはイメージするのによい
かも知れないわね。」
小林が笑いながら次のスライドを映した。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
「F が高くて R が低い」
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「これは優良客だったんじゃないでしょうか?」
とポッポ。
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「何度も購入していたのに購入しなくなった。最近購入した形跡がない
と言う事は、競合他社に奪われている率が高いかもしれないですね。」
前ちゃんが尐し険しい顔つきで答えた。
「そうね、前ちゃんやポッポさんの言う通り、大切なのは理解してから
アクションに結びつけることです。例えばここでは、競合他社に負けない
キャンペーン戦略を練ったりする事が必要かもしれないわね。」
「R どの程度の期間買わなくなったら危険か?と言う事もありますよね。」
「F が高い人がいなくなるのは何が起きたのか?F が高い人が買わなく
なってどの程度の期間買わなくなったら危険か?と言う事も考えないと
いけないわよね。」
まおさんが言った。
「そうね、ポテンシャルは継続的にあるのかもしれない、それともやはり、
不満があったのかもしれない。次のアクションを行う為にもアンケート
などで理由は知る必要があるわね。」
------------------------------------------------------------------【3】RFM 分析の M
------------------------------------------------------------------)))))<スライドの内容ここから>)))))
「F も R も高い人は必ず優良顧客である」
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「これは正しいでしょうか?」
小林の次の問題だ。
「正しいと思いますけど・・・」
ポッポが自信なさげに答えた。
「答えは△かな。というのは優良客の可能性大ですが M の monetary、
累計購買金額を考えないといけないからです。なので必ずではなく、
優良顧客といえない場合もありえます。来店率が高くて購買金額が尐ない
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お客様にはもっと多くの商品を、大量に買ってもらうクロスセル/アップ
セルのアクティビティが必要かもね。」
と小林がスライドを示しながら話した。
「CRM や RFM 分析も調べただけ、現場に落さなければ無意味なんですよね。」
前ちゃんが言う。
「先ほども言いましたけど、そこはポイントです。今まで多くの企業が
まず CRM システムありきという発想から抜け出せなかったのも事実です。
システムで RFM 分析を行い、優良顧客を抽出し、ディスカウントセールなど
の DM'ダイレクトメール(を出すぐらいで終わっている場合があります。
でもこの程度のことであれば、複雑に考える必要はありません。」
「マーケティングの重要性は理解しながらも、具体的なマーケティング
アクションにまで落とし込めていないという事ですよね。」
「なんか耳が痛い感じ。」
と高橋。
「マーケティングというものは、ある意味非常に『現場的』なものです。
いくら立派な戦略を立てても、販売やビジネスの現場で顧客に適した
アクションが取られなくては、まったく効果は上がりません。
現場における適切なマーケティングアクションを立案・実施するためには
顧客の理解にたった、深い知識・ノウハウ・経験が必要なのです。」
いつしか小林の言葉には力が入っていた。
「現状分析から抽出された戦略プログラムの実施が大切ですね。」
とまおさん。
「机上の空論じゃ駄目ですよね。」
前ちゃんも戦略プログラムの重要性をかみ締めるように言った。
------------------------------------------------------------------【4】成功指標
------------------------------------------------------------------「では、今日も最後はおきまりの KPM、成功指標です。」
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)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここから>)))))
Custoemr Retantion'顧客維持)プログラムに必要な KPM
●アトリションレート'休眠率(の低減
●休眠客の内容、プロファイルの変化
'ロイヤルカスタマー、1 回のみの購入客等(
)))))<ホワイトボードのポイントの内容ここまで>)))))
「ちなみに本年度はこのままでいくと、多分 16,936 の期首の既存顧客に対
して約 6,800 のラプストカスタマーで 40%のアトリションレート'休眠率(
になります。これに対して来期目標は期首 17,015 のの既存顧客に対して
5,100 のラプストカスタマー。つまりラプストの数は対昨年度 25%減で
アトリションレート 30%以下に抑える目標となっています。」
「それは戦略プログラムの目標でもあるんですよね。」
と前ちゃん。
高橋が立ち上がると話し始めた。
「戦略プログラム『お客様の声の抽出と利用促進プログラム』と
『顧客維持プログラム』は私たち高橋・山ちゃん最強チームが実行を
リードします。特に『顧客維持プログラム』では今日の考え方を応用した
アクティビティになるかと思います。小林さんヘルプよろしくお願い
します。」
「はい、もちろん。あ、それから来週は土田さんが戻ってきます。」
小林は嬉しそうだった。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
顧客維持は顧客育成と密接な関連がある。CRM の適切なマネージメントが
大切である。但し、システムを過信しない事、複雑にし過ぎない事。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
129
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第 37 話「CARD 戦略ロードマップ完成」
【1】CARD 戦略ロードマップの位置づけ
【2】チェックポイント - 外部環境
【3】チェックポイント - 内部環境
【4】チェックポイント - 実効性
------------------------------------------------------------------【1】CARD 戦略ロードマップの位置づけ
------------------------------------------------------------------「おはようございます。留守中はのザ・マーコムプランはどうでしたか?」
休暇中だった土田が帰ってきた。
「とっても項調でしたよ。小林さんにいっぱい教わっちゃいました。」
といつものように山ちゃんが口火を切る。
「そうだね、小林さんは僕よりも現場を良く知っているからね。これから
アクティビティを具体的に実行していく際に役に立つと思います。小林さん
ありがとう。」
「私も楽しかったです、今日からまたみんなと一緒に考えていきたいと思
います。」
小林がニコニコしながら行った。
「あれ、ところで土田さんお土産は?」
「あるよ、でも後のお楽しみと言う事で。今日は戦略ロードマップを完成
させましょう。」
「えーーーー」
特に山ちゃんは不満そうだった。
「さ、まずは CARD 戦略ロードマップを作成するために今日までやってきた
事を復習してみよう。」
そういいながら土田がホワイトボードに書き始めた。
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)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
CARD 戦略ロードマップを作成の過程
現状分析
↓
標的市場の明確化
↓
戦略プログラム抽出
↓
各プロジェクトチームで検討
↓
レビュー会での方向性の決定
↓
戦略ロードマップ作成
●キーメディアを戦略ロードマップに落とし込む
●戦略プログラムを目的別に分類し戦略ロードマップに落とし込む。
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「思い返せばいろいろとやってきましたね。」
前ちゃんがしみじみといった。
「データや資料をみて皆で真剣に議論したり考えたり楽しかったわ。」
とまおさん。
「勉強になりました。」
と高橋。
「おいおい、みんな今日で終わりじゃないよ。むしろ今日がはじまりだ。
CARD 戦略ロードマップは、このような過程を経てほぼ出来上がったけど、
CARD 戦略ロードマップはマーケティング戦略書の一部になる。そして
今度はそれをベースに実際の実行プランを作っていくんだ。」
土田が慌てて言った。
「マーケティング戦略書って何ですか?」
前ちゃんが聞いた。
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「マーケティング戦略書はこれからのすべての戦略、アクションの基本に
なるもの。でも簡単に言うと今まで議論をしてきた内容のまとめさ。
実際の行動を起こす場合には、なぜ、何のために、誰が、いつ、どのよう
にしてアクションをとるのかを、レベルの違いはあるにせよ全ての社員に
理解してもらう必要がある。その為に作る必要があるんだ。
マーケティング戦略書に関しては後日、私がまとめて説明するけれど、
頄目は以下のような事が含まれる。」
土田がスライドを映す。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
マーケティング戦略書インデックス
●ミッション、ビジョン
●企業の目的・目標
●現状の把握からのアウトプット
●市場標的'セグメンテーションとターゲッティング(
●ポジショニング
●マーケティングミックスと戦略プログラム
●マーケティング目的・目標
●販売メディア
●ステイタス予測と CARD 目的別ロードマップ
●目的別マーケティング予算
●エグゼクティブサマリー
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「これぞ今までの集大成ですね。」
高橋は驚きを隠せないようだった。
「CARD 戦略ロードマップは戦略書に含まれるんですね。」
と前ちゃん。
「そう。この中の、ステイタス予測とマーコム目的別ロードマップの部分
で CARD 戦略ロードマップが使われるんだよ来期の活動のを大枠を
アクションベースで端的に表したのが CARD 戦略ロードマップさ。」
土田が戦略ロードマップを示しながら言う。
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「戦略を具合的な戦術に落し込むためのものでもありますよね。」
小林が付け加える。
「そういうこと。」
------------------------------------------------------------------【2】チェックポイント - 外部環境
------------------------------------------------------------------「CARD 戦略ロードマップは出来上がったけど、これが今後のすべての基本
になるから、もう一度きちんとしたものに仕上がっているか確認しよう。
基本的には先ほど説明したようにプロセスを踏んで完成させたものだから
大きな変更を必要とするものはないかとは思うけど。まずは外部環境から
見てみよう。小林さんお願いします。」
土田が小林にマーカーを手渡した。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
CARD 戦略ロードマップチェックポイント - 外部環境
戦略プログラムを抽出した時点から外部環境に大きな変化はないか?
●Remote Environment
経済変動、季節変動、政治、社会的情勢、政治、テクノロジーなどの変化
●産業
市場参入障壁、サプライヤー、仕入先、購買先などの変化
●Industry Environment
競合状況、顧客の状況の変化
●Globalization
国際市場、国際化による変化
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
土田から渡された小林が一息ついてから話し出した。
「はい、外部環境は現状分析のときにも見てきたと思いますけど、もしか
するとプログラムを抽出した時点と今とでは状況が変わってきているかも
しれませんね。例えば、主力商品で頼みにしていたサプライヤーが倒産
したとか、海外の大手安売り店が日本に上陸したとかですかね。」
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「最近の市場は動きが早いからね。」
土田がコメントした。
------------------------------------------------------------------【3】チェックポイント - 内部環境
------------------------------------------------------------------「次のチェックポイントは内部環境です。現状分析の時に SWOT 分析をやっ
たという事でしたけど、皆さん覚えていますか?」
小林の問いにまおさんが答える。
「もちろん、皆でミナクルの『機会』『脅威』『強み』『弱み』を考え
ホワイトボードに埋めていったんですよね。」
「あ、そうそう。」
「その SWOT での『強み』『弱み』の部分が内部環境です。例えば、こんな
ようなものが考えられえます。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
CARD 戦略ロードマップチェックポイント - 内部環境
戦略プログラムを抽出した時点から内部環境に大きな変化はないか?
●Marketing
商品やサービスの品質、評判、シェア、価格、流通の有効性等の変化
●Financial
資本、キャッシュフロー等の財務状況等の変化
●Production
設備、生産能力、技術力等の変化
●Organization
従業員、経営陣、リーダーシップ等の変化
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
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------------------------------------------------------------------【4】チェックポイント - 実効性
------------------------------------------------------------------「最後は実効性です。計画が良くても実際に実現可能でなければ意味があり
ません、外部環境や内部環境と重なる部分も大きいですがあえて実行可能か
効果的かという事で再度チェックしてみましょう。」
)))))<スライドの内容ここから>)))))
CARD 戦略ロードマップチェックポイント - 実効性
戦略プログラムはあらゆる点において実行可能か?
●キーメディアと連動を持っているか
●キーイベント'例えばチョコならバレンタイン等(を考慮しているか?
●優先度、重要度などの現状を把握して得た知見を反映しているか?
●ターゲット達成に必要なステイタス数が反映されているか?
●各プログラム、アクティビティは統一性をもって展開できるか?
●リソース的に実行可能か?
●コスト的に実行可能か
●経営陣や各部門の長などステークホルダーと話ができているか?
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「前にもいいましたがマーケティングというものは、ある意味非常に
『現場的』なものです。いくら立派な戦略を立てても、販売やビジネスの
現場で顧客に適したアクションが取られなくては、まったく効果は上がり
ません。ここではそういう観点から実効性を取上げました。」
小林が土田を見た。
「さ、みんなひと通りチェックポイントを見たけど、来期のミナクル
ダイレクトの CARD 戦略ロードマップは完成という事でいいかな。
じゃあ、これで完成と思う人は起立してください。」
と土田がいうと皆がすぐに立ち上がった、と同時に誰からともなく拍手
が起こった。
ミナクルダイレクトのの CARD 戦略ロードマップはこうして完成した。
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今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
CARD 戦略ロードマップは戦略を戦術におとすためのインターフェイス
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
136
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第 38 話「カタログはセールスマン」
【1】販売メディアの決定
【2】紙カタログの良い点は?
【3】必要なエレメント
【4】発行時期とサイクル
------------------------------------------------------------------【1】販売メディアの決定
------------------------------------------------------------------「そういえば、土田さん、このまえお土産は後のお楽しみと言う事でって
言ってまだ、もらっていないですけど?」
「あ、そうだったね。ごめんごめん。これがアメリカからのお土産だよ。」
そうって土田が箱のなかから雑誌のようなものを取出した。
「なんですか、これ、カタログじゃないですか?」
10 数冊の中から 1 冊を取上げながら山ちゃんが言う。
「そう、通販の盛んなアメリカだからね。いろんなカタログがあるだろ。」
と土田。
「これがお土産ですか?」
ポッポは尐し不満げだ。
「まあまあ、お土産はね、これらのカタログから、1 人 1 点好きなものを買え
る権利を僕からプレゼントするってのはどう?」
「へえーいいんですか、土田さん太っ腹。」
「但し、購入するにあたっては、販売チャネルやカタログの構成、使い
勝手なんかを皆、よく考えて自分自身でオーダーしてほしいんだ。」
「お土産は手に入るし、カタログ研究はできるし一石二鳥って事ですね。」
山ちゃんは、早速商品選びに夢中だ。
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「そうさ、実際買ってみると結構いろんな事が分かると思うよ。」
「こういう研究って楽しいですね。カタログはダイレクト販売にとっては
セールスマンとも言える大事なメディアですものね。しっかり研究しな
くっちゃ。」
とカタログ制作を担当してきたまおさんがも商品選びに真剣だ。
「そう、CARD 戦略ロードマップを考える際にもまずはキーメディアのタイ
ミングを決めたよね。冊子であれ Web カタログであれカタログ発行はマー
ヶティングコミュニケーションプランにおいてコアなアクションとなるだ
ろう。それにコアメディアにコミュニケーションを集中する事は効率的で
もあるしね。」
------------------------------------------------------------------【2】紙カタログの良い点は?
------------------------------------------------------------------「最近は Web カタログをのみを発行している企業が多くなり紙のカタログは
なくなっていくんじゃないですか?」
ポッポが言った。
「私が以前いた会社でもそういう議論はあったわ。制作費用もかかるし
情報の更新や修正にも時間のかかる紙のカタログはもういらないんじゃな
いかって。事実そういう事から紙カタログの発行をやめた会社もあるわ。」
小林早紀が言った。
「その会社にとって紙カタログの発行をやめた事は正しかったんですか?」
まおさんが聞いた。
「その会社の場合には、正しかったとはいえなかったのだと思うわ。実際
また発行を再開しているのが証拠ね。私の以前の会社の調査では、紙カタ
ログの良さ、便利さは依然として健在ね。さすがに紙カタログだけを使っ
て商品選定から注文まですべてをする人は減ったけど、依然として紙カタ
ログを使っているっていう人が多いのね。注文は Web で行うけど選ぶのは
紙カタログでって使い分けをしている人がまだ結構多いのね。」
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「そういえば、いわゆるドットコムカンパニーが反対に紙カタログの発行
を始めたって例も聞いた事がありますよ。」
まおさんが言う。
「Web は確かに便利だけど、子育てしながら片手間にカタログをパラパラっ
て眺めるのには尐し不向きかもね。」
と小林が言った。
「紙のカタログは閲覧性に優れているんですね。今後、ずっと紙カタログ
が存在し続けるかはわからないにせよ。今の状況だとすぐになくなるって
事は当面なさそうだね。」
と土田が言った。
「そういえば以前 eBook って言うのがありましたよね。その事を聞いた時に
は本がどんどんなくなるのかと思いましたが、全然なくなりませんね。」
ポッポが eBook を検索しながらボソッと言った。
------------------------------------------------------------------【3】必要なエレメント
------------------------------------------------------------------「まおさん、紙カタログに絶対必要な要素ってなんでしょうか?」
とポッポ。
「聞いてくれてありがとう、ポッポさん。」
長年カタログ制作を担当してきたまおさんはポッポに返した。
「まずはカバーよね。表紙は会社のイメージをお客様に伝えるからとても
大切ね。カタログ自体だけじゃなく、カタログのイメージを雑誌や Web など
でも使用する事があるからターゲットの好みにあっているか、サービス
内容を端的に表現しているか等をクリエイティブテストをして決める必要
があるわね。」
「クリエイティブテストというと?」
「ターゲットに相当する人にまずは見せて、その人がそのような事をそこ
から感じるかを見極めてから実際の制作に移るプロセスよ。カタログの色や
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イメージやコピーはブランディングにも大きな影響を与えるから。」
ポッポはまおさんの説明に感心したようだ。
「その他に考えなくてはならない要素エレメントとしては・・・。」
まおさんが立ち上がってホワイトボードに書き出した。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
カタログ制作において考慮するべきエレメント
●ネーミングやキャッチコピー
●カバーデザイン'表紙、裏表紙、背表紙(
●ページ構成案'グルーピング(
●サービス概要とその価値'差別化のポイント、POD や POP)
)POD(Points-of-Difference)
その商品、サービス、企業に特有な価値。他企業にはないブランド差別化のポイント。
)POP(Points-of-Parity)
特にユニークではないが、そのマーケットに存在する為に必須なポイント。
●コンタクトポイント'URL/電話番号/FAX 番号(
●注文方法
●注文書
●カタログリクエスト請求フォーム、お客様紹介フォーム
●取引条件
●目次'グループ別、メーカー別、あいうえお項など(
●包装、パッケージ
●インサート各種
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「こんなところかしら。こうやってあげてみると結構いろいろな頄目
があるわよね。制作する立場だけではなく実際に自分で使ってみると、
意外に重要なポイントや頄目に気がつくかもしれないわ。」
「じゃあ、土田さんのお土産は 1 点だけじゃなくて、もっと頂いた方が
いいわね。」
小林がふざけていうと土田はすこし困ったような顔をした。
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------------------------------------------------------------------【4】発行時期、サイクル、プリファレンス
------------------------------------------------------------------「さっき紙カタログは当面なくならないって話もあったけど、紙カタログ
と Web カタログの連携はもっともっと強くなっていくんでしょうね。」
まおさんが続ける。
「そうね、その為にも実際にお客様が紙のカタログと Web のカタログをどう
使い分けているかという事を知る必要があるわね。それを考慮に入れて
紙カタログの発行時期とサイクルや部数と予算、ページ数や商品の
カテゴリ分けを行う事は重要ですよね。」
小林が同調する。
「そうですよね、Web カタログだけで十分っていう人に闇雲にカタログを送
ったり、同じ人に何回も送ったらお金の無駄になりますものね。」
ポッポが頷く。
「そう、その意味でもカタログ請求した人や Web でユーザー登録した人を
きちんとプロスペクトとしてデータベースにエントリーする事。カタログや
メディアのお客さまごとの好み、いわゆるプリファレンスを記録して効率的
にメディア送り分ける土台を固める事が必要ね。」
小林が答えた。
「そういう意味では、如何にメディアプランを組立てるかが通販において
基本且つキーといえる部分ですね。メディアプランが想定どおりに機能
しているかをカタログの利用状況から正確に判断する事も必要です。」
と土田が付け加える。
「ダイレクトマーケティングにおいてカタログの利用動向をつかむ事は、
Web であれ紙であれ非常に重要なんですね。」
と前ちゃん。
「その通り。紙のカタログの請求や小冊子の請求、Web のユーザー登録を
レスポンスとして受けプロスペクトとしてのプロファイルをデータで保存、
それによってアクションを行う分けですから、ダイレクトマーケティング
の基本中の基本ともいえる部分ですね。」
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気がつくと、机の上に並べられた各社のカタログを皆がそれぞれ手にとって
見ていた。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
紙カタログと Web カタログはそのように使い分けられているかを把握する
事が大切。カタログは大切なセールスマン。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 39 話「Web カタログ」
【1】販売メディアとしての Web
【2】Web の特徴
【3】Web カタログに必要なポイント
【4】更新サイクル
------------------------------------------------------------------【1】販売メディアとしての Web
------------------------------------------------------------------「当面紙カタログはなくならないと言う事でしたけど Web のカタログがこれ
から主たるメディアになっていく事は間違いないですよね。」
ポッポが土田に聞いた。
「紙のカタログと Web のカタログとのおおきな違いはなんだと思う?」
土田が逆に聞き返す。
「Web は紙と違って情報をある意味、無制限に追加できる、しかも比較的
安価でという事ですかねえ。」
とポッポ。
「以前はよく紙カタログとセールスマンを比較した事があったよ。」
「へえ、カタログとセールスマンですか?」
「ああ、お客様への到達率と情報の豊富さ説得力というポイントでね。
つまり、セールスマンの対面販売での説明は内容的に多く深く優れている。
でも一方でお客様への到達率、リーチという事に関して言えば紙カタログ
の方が圧倒的に有利といえる。なぜかといえばセールスマンを紙カタログ
と同じ数のお客様に配置するとなるととっても割高だからだ。つまり、
情報量ではセールスマンだけどリーチでは紙カタログが優位という事だ。
では、Web カタログはどうだろうか?」
土田がまた問いかける。
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「リーチは圧倒的ですよね。アクセスさえしてもらえれば無限ですから、
情報量の多さというとこれも理論的にはいくらでも追加可能ですね。」
ポッポが言う。
「そうなんだ、そこが Web カタログのすごい所さ、圧倒的なコンテンツで
広いターゲットに一度にリーチできる、しかも安価で。」
「うーん。」
皆が頷く。
「だから可能性は絶大さ。でも忘れてはいけないのは対面販売のように
こちらから能動的に説得することはできないし、感情を込めて説得する
ことも難しい。前回話したように紙のカタログは閲覧製には優れているし
メディアにはそれぞれの利点があることも事実なんだ。」
「膨大な Web ページのどアを見てよいか分からないサイトもありますよね。
だからアクセッシビリティやユーザビリティが大切なんですよね。」
ポッポが今のミナクルのサイトを眺めながら言った。
------------------------------------------------------------------【2】Web の特徴
------------------------------------------------------------------「もうひとつ Web カタログには紙カタログにはない特徴があるんだけど、
何だと思う?」
「私わかった。」
まおさんが手を上げた。
「はい、まおさん。」
土田がまおさんを見て言った。
「Web は注文や販売、問合せのチャネルでもあるという事です。つまり紙
カタログなら注文は Fax するか、電話するか、それこそ Web で注文するけど
紙カタログだけで注文を完了する事はできませんから。」
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「その通り。言われると当たり前だと思うかもしれないけど、これも Web
のすごいところだ。カタログ部分とは別に注文を如何に便利にできるかと
いうのも Web では非常に重要になってくるね。」
「マーケティングプロモーション、コミュニケーションツールとしての
側面もあると思いいます。今までのテレビや新聞などのようにね。その上
見たページ、コンテンツをトレースしする事でお客様の購買行動や反応を
分析きるという事も協力ですよね。」
小林が土田の意見に付け足すように言った。
「だからダイレクトマーケティングの理論を応用すれば絶大な効果が期待
できるって言うわけさ。」
土田がホワイトボードに書いた。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
Web の特徴
●販売メディア、Web カタログとしての側面'リッチでリーチの高い(
●販売チャネル、注文、問合せ方法としての側面
●コミュニケーションメディアとしての側面'トレース分析が容易(
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
「こうやってみると Web が複合的なメディアだって事が良く分かりますね。
様々な Web の側面を良く考えてアクティビティを考えていくべきですね。」
小林が言った。
------------------------------------------------------------------【3】Web カタログに必要なポイント
------------------------------------------------------------------「次に Web カタログを考えるにあたってのポイントを考えてみよう。」
そう言って土田が今度はスライドを投影した。
)))))<ホワイトボードの内容ここから>)))))
Web カタログにおいて考慮するべきエレメント
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●サイト構成からみたエレメント
)商品サーチ機能
)ブラウジング機能
)サービスオファー
)商品情報ページ
)キャンペーン・プロモーションページ
)Call to action 電話番号
)会社概要(基本情報/PR/IR/企業情報/ミッションステートメント/CSR 等(
)ログイン、パーソナルページ'マイページ(
)初めての方のページ
)注文コマースページ
(注文/確認/キャンセル/返品/注文履歴/在庫確認/配送情報等(
)ユーザー登録
)FAQ、ヘルプ
●アクセッシビリティを考えるポイント
)ターゲットユーザー
)パソコン、インターネットの使用歴
)年齢や障害
)OS、ブラウザ
)推奨環境、ネットワーク環境、プロキシ
)アプリケーション'Flash/ストリーミング(
)W3C の標準規格にのっとった HTML と CSS での制作
)SEO
)SEM
)メディアミックス、クロスメディア
●ユーザービリティを考えるポイント
)ナビゲーションバー
)ヘッダー、フッター
)内部検索、シソーラス
)グルーピング、ブラウジング
)アクセスポイントの表示'電話番号等の問合せ先(
)パーソナライゼーション
)商品ページ構成
)))))<ホワイトボードの内容ここまで>)))))
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「以上は、大まかなポイントだけど考えるべき事はたくさんある。これら
を体系立てて考える事、またお客様のフィードバックを取り入れながら
常に機能向上を図っていく事が大切だね。」
------------------------------------------------------------------【4】更新サイクル
------------------------------------------------------------------「今日は Web メディアについていろいろと見てきたけど、最後に Web カタロ
グに期待されている事はなんだと思う。ポッポ?」
「やっぱり新しい情報ですかね、継続的な更新を期待されていると思い
ます。紙のようにスナップショットでないのが Web ですから。」
「そうだね、じゃあ今度から必ず 1 日に 1 回更新するかい?」
「それはすぐにはちょっと、それだけの人もいないし、コンテンツを更新
できても商品が間に合わなかったり。」
ポッポが困った顔をして言った。
「意地悪いってごめんごめん、いいたいのはポッポが言うように何でも新
しくすれば良いというものでもなくて、出荷や問合せなどもビジネスとし
てもきちんと対応できなくてはね。つまりいつでも更新できるからこそ
計画された更新サイクルとそれを支えるプロセスが大切という事さ。頼む
よポッポ。」
「はい、適正な更新頻度とそれを支えるしっかりしたプロセスを作りたいと
思います。まかせてください土田さん。」
ポッポがしっかりとした口調で答えた。
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
Web はカタログであり、販売チャネルであり、コミュニケーションの手段
でもある。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 40 話「どのカタログが必要ですか?」
【1】プリファレンス
【2】プロスペクト DB 登録
【3】リードを取れ
【4】クロスメディア
------------------------------------------------------------------【1】プリファレンス
------------------------------------------------------------------「次はカタログのプリファレンスについて話をしよう。」
「プリファレンス???」
土田の言っている意味が山ちゃんには分からなかった。
「プリファレンスというのは直訳すると好み、選択という事になるかな。
つまり、簡単に言えば紙のカタログを必要とする人、Web のカタログを必要
とする人を区別して好みを情報として管理する事さ。」
「紙のカタログをいる人といらない人を区別するのは紙のカタログの発行
部数を減らす為ですか?」
とまおさんが聞いた。
「確かにそういう点もあるわね。紙のカタログは閲覧に優れているけど Web
と比べて部数が多ければ、多いほど制作コストが大きくなるものね。でも
それだけではなくお客様の為にもなる。誰にでも紙カタログを送りつける
事は企業にとってコスト増の要因だけど、お客様にとっても邪魔だし迷惑
って事もあるわ。反対に Web でのみ利用しているお客様でも実は紙カタログ
を利用したいと思っている人もいるかもしれないしね。」
小林が返事をした。
「そうなんだ。だからダイレクトマーケティングでは、カタログをいきなり
送りつけるのではなく、まずはカタログを請求してもらう、あるいは Web の
ユーザー登録をしてもらうという手項を踏んでから実際にカタログを送る
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という事をする必要があるんだ。ダイレクトマーケティングではリードを
とるというような言い方をする事もあるね。」
と土田言った。
「具体的に、例えば雑誌をみてカタログを請求してきたお客様からプリ
ファレンスを聞かないといけないということですか?」
とまおさん。
「そう、電話でのカタログ請求ならその場でコミュニケーターが聞く、
郵送なら返信ハガキに選択する頄目を設ける、Web ならプルダウンで選ん
でもらうような仕組が必要なんだ。Web カタログを使う人は紙カタログを
必要としないと決めてかかってはいけない。実際に Web で紙のカタログや
資料を請求してくる人は結構いるんだよ。」
と土田。
「Web でユーザー登録をしてくれたお客様には必ずメールやカタログを送
って良いかの許可を求めるようにする事も必要ね。送っても良いという
許可をもっていれば、新しい商品を出したとき時にことらからプッシュ型
のアプローチをする事もできるから。」
小林が付け加えた。
「パーミッションですね。最近はなんでもスパムとみなされますからね。」
ポッポがボソッと言った。
------------------------------------------------------------------【2】プロスペクト DB 登録
------------------------------------------------------------------「カタログ請求やユーザー登録があった場合に、それをプロスペクトとし
て DB に登録をする。その際にはプリファレンスをきちんと持つ事が重要
だと言う事ですよね。」
前ちゃんが PC を叩きながら言う。
「昔は DM や新聞広告などによってカタログの請求を促し、それに反応して
きた人のみをプロスペクトとして DB にセットアップするという事をしてき
たけど、今は Web のユーザー登録はカタログ請求と同様にプロスペクト登録
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のトリガーと考えて良いと思うわ。」
と小林。
「紙カタログや資料請求、そして Web のユーザー登録をしてきた人の情報を
しっかり DB に保存する。そして、その情報であるプリファレンスを元にして
紙のカタログの発行や送り分けを行って行くわけですよね。」
とまおさん。
「そう、プリファレンスをきちっと聞き情報を保管する事、それによって
メディアを送り分ける事は効果にもコストにも大きく影響するから大切な
ポイントよね。」
小林が頷いた。
------------------------------------------------------------------【3】リードを取れ
------------------------------------------------------------------「プロスペクトつまり、紙カタログや資料請求、Web のユーザー登録を増
やす為にはどうしたらいいんですか?」
まおさんが思い立ったように聞いた。
「それは顧客獲得の 3 つのルートのユニバースからのコンバートですね。」
「あ、そうか小林さんに教わったわね。」
「そう、カタログ請求やユーザー登録を促すにはその行動を起こしてもら
うようなアプローチ。ターゲット、オファー、クリエイティブなどを慎重
に考えてアクティビティを行うこと事ですね。Web サイトを用意して検索
エンジン連動型広告をすればよいという待ちだけでは駄目。適切な
メディアでタイミングよく告知をしていかなければならないわね。」
「メディアにはどのようなものがあるんですか?」
「後でも詳しく話す機会があるけど、すべてのメディアは個々に番号を
つけてソースを追いかけるのね。これをソースコードというけれども
そのコードには例えば以下のようなものがあるわ。」
小林がスライドを示した。
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)))))<スライドの内容ここから>)))))
リードをとる為のメディア、ソース
●ADV テレビ CM
●ADR ラジオ CM
●ADN 新聞広告
●ADT
雑誌広告
●DML ダイレクトメール
●EML E メール
●MGM お客様紹介
●EXE 展示会
●DIS メーカー販売店からの紹介
●PUB Publicity & PR
●SAL Sales の訪問
●TEL Tel Sales からの電話
●SEO Web サーチエンジン
●SEM Web 検索連動型広告、バナー、テキスト等の Web 広告
●WEB CGM、Web その他(SNS、コミュニティ(
●MBL 携帯広告
●UNK Unknown(不明)
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「ソースコードはお客様がカタログや資料の請求、ユーザー登録をした
ソースを明確にし、その効果を分析することによって最大効果、最大効率
の適切なメディアをリードとして選択する為にあるのよ。」
「ここがダイレクトマーケティングのすごいところですね。」
前ちゃんが目を見 J いた。
「そう、でも今の時代はお客様が自分自身で情報を集め、比較して行動
する世の中だから、1つのメディアだけではなくてクロスメディアで考え
ないと駄目ね。」
小林が言った。
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------------------------------------------------------------------【4】クロスメディア
------------------------------------------------------------------「クロスメディアって何ですか?」
山ちゃんが小林に聞いた。
「クロスメディアはあるアクティビティを行う際に、例えば DM、例えば
雑誌、例えばEメールといった多数のメディアをそれぞれのメディアの
特徴を補うような形で展開する事よ。」
「例えば??」
「そうね、例えばある新商品の発表を雑誌広告すると同時に、専用サイトを
用意して雑誌にはこのサイトの URL を記載する事で誘導する。同時にイベント
も開催してイベント会場での抽選会を専用サイトで中継する。イベントは
携帯サイトも行い QL コードでリードするなんていうな、メディアが複合的に
相乗効果をよぶようにアクティビティを構成していくことね。」
「その為には、生活者がどのような行動をとるかをきっちり分析していく
事が必要なんですね。」
土田が立ち上がっていった。
「そうなんだよ、みんな。今のダイレクトマーケティングは昔のような
平面的なものではない、Web マーケティングも含んだクロスメディアを
最大に活かす方法なんだよ。でも、それに気がついていないマーケッター
が多いんだ。」
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
クロスメディアでリードを取ってプロスペクトの情報を DB に保管する。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 41 話「適正な予算」
【1】適正なマーケティング予算
【2】CARD 別に予算を把握
【3】戦略プログラム別に予算を把握
【4】メディア別に予算を把握
------------------------------------------------------------------【1】適正なマーケティング予算
------------------------------------------------------------------今日のザ・マーコムプランは土田の話からはじまった。
「CARD 目的別ロードマップでメディアの発行とアクティビティの大枠は決
まりましたから、最後にもう一度予算を確認してマーケティング戦略書を
つくりましょう。ところで私がミナクルに来てから現状把握をする中で、
マーケティング費用の使い方は?という話をしたけど、皆覚えてるかな。」
まおさんがさっと手をあげた。
「覚えてます。確か適正な予算を組む為に売上げ高と比較してマーケテ
ィング費用の適正値を考える必要があるという話をしたと思います。
つまり% of Sales と CPC を見る。それと予算は後できちんと費用対効果を
測定できるように管理しなくてはならないと話しました。特に目的別 CARD
とメディア別に管理しておく事が必要だと。」
「さすがまおさん満点の答えだね。% of Sales は会社全体の中でのマーケ
ティング予算のバランスを、CPC はマーケティング活動全体の効率を見る
指標の一つですね。また目的別に把握しておく事で予算を顧客獲得にどの
程度使い結果は出ているかというような事が理解できるし、メディア別に
把握する事でコミュニケーションをとるメディアを適正に選べているかを
判断する材料にする事ができるわけですね。」
「今までプランしてきた来期のマーケティング活動の予算はいくらにな
っているんですか。」
前ちゃんが土田に聞く。
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「来期の目標はすでに皆さんと話したとおりですから、売上げは今期 10 億
5 千万から 13 億 2 千万へ 25%の成長をもくろんでいます。マーケティング費用
は今期1億 5 百万を 1 億 5 千万にしますから 40%強の増加になりますね。」
「でも土田さん、それじゃあ% of sales は 10%から 11%に上がってしまうん
ですね。」
まおさんが電卓を叩きながら言った。
「今のやり方でずるずると予算を削減してもジリ貧ですものね。」
小林も数字を見ながら言った。
「確かにマーケティング予算はそうとう増える事になる。来期は皆で考え
た戦略プログラムを実施し土台を作り直す年、チャレンジの年だね。
だから確かに来期の% of sales は上昇するけど 3 ヵ年計画では売上げ規模は
22 億で現在の 2 倍、マーケティング費用は来期の 1 億 5 千万をキープする。
そうすると% of sales は 6.7%まで下げる。将来的には以前話したように 5%
程度まで下げたいと思っている。」
「そうか、来期はチャレンジですね。」
前ちゃんがしみじみ言う。
「でも、私たちには現状分析からきちっと作り上げた戦略プログラムがあ
るわ。それに 40%の成長を目指すんだから予算も初めは大きくしないとね。
このままじゃいづれ駄目になるから。」
とまおさん。
「そうそう、まおさんの言うとおり。投資するだけの価値は十分ある。」
ポッポの言葉は自信に満ちていた。
------------------------------------------------------------------【2】CARD 別に予算を把握
------------------------------------------------------------------「次に CARD 別だけど、どうして目的別に予算を把握する必要があるのでし
ょう?これも前にお話しましたが。」
土田が PC を開いた。
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「認知、顧客獲得、育成、維持が予定通りに行われプロスペクト、カス
タマーの目標数が達成できているかを確認する為です。」
「そうだね、ありがとう前ちゃん。復習しよう。」
前ちゃんにそういうと、土田がスライドをスクリーンに映した。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
目的別の広告費-どんな目的にどれだけ使われて効果をあげているか
●Name Recognition にかかる費用
目的→認知の向上
ターゲット→何%アップ?
売上げ貢献→結果どの程度貢献するか。
●Acquisition にかかる費用
目的→カスタマー獲得
ターゲット→いくら使って何人獲得するか?CPR/CPC
売上げ貢献→結果どの程度貢献するか。
●Development にかかる費用
目的→カスタマー育成
ターゲット→いくら使って、既存客の AOF や AOV を上げるか
売上げ貢献→結果どの程度貢献するか。
●Retention にかかる費用
目的→カスタマー休眠防止
ターゲット→休眠をどの程度防げたか?Attrition rate の抑制
売上げ貢献→結果どの程度貢献するか。
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「来期は新しいブランドのもとで、お客様のライフサイクルに密着した
商品ラインナップとサービスを展開する。その為に新規顧客の獲得に力を
注ぎ、同時に CRM をきちんと展開する事で顧客の育成、維持、水漏れをなく
す事にも注力する。」
「土田さん、もし思ったとおりに行かなかったらどうするんですか?」
「その時は何が原因かをデータとお客様の反応から判断して必要な軌道
修正をするのさ。でも心配する事はないよ。」
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「どうしてですか?」
前ちゃんが尐し不思議そうな顔をした。
「だって、今までは何が原因かも分からなかったんだから。その前に
分かろうとしていなかったし、理解する方法もなかったというべきかな。
これからは道を示すダイレクトマーケティングがあるんだからね。」
「そういえば、今までは問題自体を認識してなかったんですね。」
前ちゃんが笑った。
------------------------------------------------------------------【3】戦略プログラム別に予算を把握
------------------------------------------------------------------「戦略プログラムもきちっとレビューしよう。」
)))))<スライドの内容ここから>)))))
来期実行する戦略プログラム
〔1〕 ライフサイクル密着商品レンジ開発プログラム
〔2〕 選びやすさ向上プログラム
〔3〕 商品情報充実プログラム
〔4〕 アンテナショッププログラム
〔5〕 ダイレクトマーケティング強化プログラム
〔6〕 CI・ブランドプログラム
〔7〕 顧客獲得、育成、維持のプログラム
〔8〕 お客様の声の抽出と利用促進プログラム
プログラムの効果、効率を見る為の数字や指標
'新規顧客獲得プログラムの場合(
●目的とターゲット'数値、この場合獲得カスタマー数(
●使用メディアとコミュニケーション Mix'DM、展示会、SEM etc)
●全てのメディアコミュニケーションの回数、ボリューム
●かかった費用のすべて
●結果'この場合、獲得カスタマー数や CPC(
●ターゲットに対する達成率
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)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「戦略ポイントをしっかりとレビューして成功したポイントと改善の
必要なポイントを把握してプログラムを向上させていく事が大切なんだ。
はじめから全てが 100%上手くいくことなんてありえない。
きちんとレビューし経験を活かす事がダイレクトマーケティングを上手く
作用させるポイントなんだ。」
------------------------------------------------------------------【4】メディア別に予算を把握
------------------------------------------------------------------「目的別の予算、戦略プログラムのターゲットを理解したら、メディア、
媒体別の予算割りも把握しておこう。」
「メディア、コミュニケーションミックスの比率と媒体効率をみる事が
必要という事ですよね。」
前ちゃんが土田の示したスライドを見ながら言った。
)))))<スライドの内容ここから>)))))
メディアの反応や効果、効率を見る為の数字や指標
●媒体別の費用の割合'例、TV○○%、新聞○○%、SEM○○% etc)
●サーキュレーション=メディアの配布数や配信数、来場者数
●掲載回数
●サーキュレーション合計
●単価
●トータルコスト
●獲得 Prospect 数=媒体でのオファーに反応したコンタクトの数
●RR(レスポンスレート(
●CPR'シーピーアール(
●獲得 Customer 数
●CR'コンバージョンレート(
●CPC'シーピーシー(
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
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「費用対効果を測定できるのがダイレクトマーケティング。すべてを
きっちり数字で押さえるんだ。だから目的に応じた計測ができるように
予算の管理が重要なんだよ。」
「ところで来期の CPC はいくらですか?」
まおさんが土田に聞いた。
「来期は 1 万 5 千 6 百円、そこから 3 ヵ年計画で 1 万 3 千 8 百円にする。」
「明快ですね。」
「それがダイレクトマーケティングだからね。」
今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
全てのアクティビティの費用対効果を測定できるのがダイレクトマーケテ
ィング。但し不必要に数字を並べて溺れない様に。見るポイントが重要。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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第 42 話「マーケティング戦略書の策定」
【1】マーケティング戦略書
【2】マーケティング戦略書の内容
【3】ポイント
【4】経営陣と共有化
------------------------------------------------------------------【1】マーケティング戦略書
------------------------------------------------------------------「さていよいよマーケティング戦略書を作ろう。」
「土田さん、マーケティング戦略書は来期の全ての戦略、アクションの基
本になるものですね。」
「そうだよ、前ちゃん。僕が言おうとする事が良く分かったね。」
「ええ、前に同じ質問しましたから。」
「そうだったかな。」
「今まで数ヶ月にわたって練り上げてきたプランの総決算ですね。」
ポッポが言った。
「そう、この戦略書にそって全てのマーケティングアクティビティは展開
される。だから纏めた書類は経営陣と各部門のリーダーに配布し説明して
しっかりと皆の理解、方向性の共有を行う必要があるんだ。」
「内容はどういうものなんですか。」
うん、今回は今までののザ・マーコムプランでの議論とアウトプットを
中心に僕と小林さんで纏めたから、早速内容を見ていこうか。ここからは
小林さん、お願いできますか。」
土田に促されて小林が前に出てきた。スライドが映される。
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------------------------------------------------------------------【2】マーケティング戦略書の内容
------------------------------------------------------------------「それではマーケティング戦略書について説明します。まずは内容ですが、
以下がマーケティング戦略書の目次、インテックスになります。」
)))))<スライドの内容ここから>)))))
マーケティング戦略書インデックス
●ミッション、ビジョン
●企業の目的・目標
●現状の把握からのアウトプット
●市場標的'セグメンテーションとターゲッティング(
●ポジショニング
●マーケティングミックスと戦略プログラム
●マーケティング目的・目標
●販売メディア
●ステイタス予測と CARD 目的別ロードマップ
●目的別マーケティング予算
●エグゼクティブサマリー
)))))<スライドの内容ここまで>)))))
「確かに今まで議論してきた内容ね。」
まおさんが言う。
「ミッションは『家族の楽しい人生を創造する』、ビジョンは『顧客満足
No.1 ダイレクト通販』でした。」
高橋が久しぶりに発言した。
「なんだか、ずいぶん前のことみたいで懐かしいなあ。」
山ちゃんが反応する。
「来期目標は 13 億 2 千万'25%増(、3 ヵ年計画での売上げ規模 22 億'現在の
2 倍(でした。」
またも高橋が発言する。
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「あら、高橋さんすごい暗記してるんですかあ?」
と山ちゃんがまたまた反応する。
「高橋さんのようにターゲットを明確に理解する事は大切だよ。」
土田が高橋をほめると高橋は尐し得意げだった。
------------------------------------------------------------------【3】ポイント
------------------------------------------------------------------「現状の把握からのアウトプットとしては・・・
例えば市場規模と動向の把握ができていないとか、獲得した顧客が定着し
ないとか、継続購入がないとか、売上の成長がとまった原因・理由が分か
らないのが問題であるとか、正しい認知度がわからない、良く購入するの
はベビー用品であるとか、Web サイトで使いにくい、口コミが購入動機との
声が多いなどなどさまざまな事が現状を分析する事から見えてきました。」
小林がその時の課題を上げながら説明する。
「そうそう、今思えば分からない事だらけだったなあ。」
前ちゃんが腕組みをしている。
「次に今まで不明確だった市場標的をきめて、その中から特にターゲット
を決めました。デモグラフィックでは『出産を控えた、もしくは 5 歳までの
子供がいる 20 から 50 歳までの既婚女性』です。」
小林が淡々と説明を続ける。
「その次はポジショニングですよね。ライフサイクルに密着する事によっ
て競合他社との差別化を図ってミナクルダイレクトライフのブランドを
育てていくって事でしたよね。」
前ちゃんが思い出すように言った。
「そうそう、そこからマーケティングミックスに照らし合わせながら戦略
プログラムを抽出して、皆でプロジェクトのなかで議論したね。」
「辛かったけど楽しかったような。」
「マーケティング目的・目標はもっと企業の目標から更に突っ込んで新規
カスタマー数やラプスト数、AOF などまで落とし込んだ目標だね。」
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「そして販売メディア、CARD 目的別ロードマップ、マーケティング予算と
続いていくのか。」
皆が今までのザ・マーコムプランを振返るようにどんどん話していく。
「皆が今までやってきたから理解がしやすいと思うよ。」
皆が積極的に会話をする様子を見て土田は嬉しかった。
------------------------------------------------------------------【4】経営陣と共有化
------------------------------------------------------------------「土田さん、この後マーケティング戦略書はどうするんですか?」
前ちゃんが聞いた。
「前にも言ったように、これは来期の全ての戦略、アクションの基本であ
りバイブルのようなものだ。だから我々もそうだけど経営陣や各部門の
リーダーにはしっかりと理解してもらいたい。まずは経営会議で話したい
と思う、そこで確認をしてから各部門のリーダーを集めて説明会をしたい
と思っている。」
「そうですよね。経営陣には十分かっていただかないと。」
「ミナクルはそんなに大きな会社じゃないから分かっているよう一応、
分かっていると思うけど。」
「分かっていると思ってもきちんと説明する事が大切なんだよ。
あ、そうだ、皆も協力してくれるかい。説明会では各パートをもって皆で
説明しようか。」
「土田さん、それいいと思います。」
小林は大賛成だ。
「僕もいいと思います。」
「ザ・マーコムプランの中ではぐくんできた皆の戦略ですものね。」
ザ・マーコムプランの皆の気持ちはすでに一つになっていた。
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今日のポイント○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
マーケティング戦略書は来期の全ての戦略、アクションの基本。経営陣
にはしっかりと説明をし内容を確認しあおう。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
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あとがき
実行が伴わない机上の空論の戦略だけではダメ、戦略が伴わない骨なしの行き当たりばっ
たりクリエイティブやメディアプランはダメなのです。
ダイレクトマーケティングをあなたの言葉で理解し、あなたの会社に適合するようにカスタマイズ
すれば、それが、あなたの"最大効果最大効率の戦略的マーケテティング"となります。
あなたが現状を把握し、市場を捉え、戦略をつくり、論理的に展開する、戦略的ダイレクトマ
ーケッターとして活躍するための手助けになります。最後まで読んでいただいて、ありがとうござ
いました。皆さんの、今後のご活躍をお祈りしています。
ご意見・ご感想・ご相談等お気軽にどうぞ。
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物語の原点はここです。
経営戦略としての最大効果最大効率の戦略的マーケティングコミュニケーションをプランする
力が継続的な成長には必須です。
すべてのマーケティング活動を計測し、レスポンスに基づいて総合的に相乗効果を発揮させ
るように組み上げていく。ネット時代の最大効果最大効率のダイレクトマーケティングをプラン
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