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省エネルギーを考慮した液晶テレビの画質改善

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省エネルギーを考慮した液晶テレビの画質改善
特集論文
省エネルギーを考慮した
液晶テレビの画質改善
中村芳知*
野本弘平**
Image Quality Improvement Technologies of LCD TV for Energy Savings
Yoshitomo Nakamura, Kohei Nomoto
要 旨
2008年8月,北海道の洞爺湖で主要国首脳会議(サミッ
テンツ条件から表示輝度や表示の色味を自動調整する機能
ト)が開催され,世界全体の温室効果ガスの排出量を2050
である。家庭環境の調査で,一般的な照明条件として画面
年までに50%削減するという長期目標を世界全体の目標と
照度が100lxであることがわかった。視覚特性評価から,
して共有し,採択するよう求めることを合意するなど,環
照明環境と視聴者によって,黒色の輝度要求,まぶしい明
境問題について話し合われた。身近なところでは,店頭で
るさ,適度な明るさは,照度とともに変化することを示し
エアコンや冷蔵庫など家電製品の年間消費電力量の表示が
た。また,高齢者の好ましい明るさと好ましい色温度に傾
行われており,家電製品の省エネルギー化に対する消費者
向を見つけた。
の関心は高くなっている。その中でもテレビは,エアコン,
今回,“MXW200シリーズ”の家庭画質モードは,高齢
冷蔵庫,照明器具に続き家庭内の電力消費量で4番目に多
者の好む明るさに対応した色味表示がなされ,より高齢者
く,テレビの省エネルギー化は重要な課題となっている。
が見やすい画質作りを実現している。また,“MZW200シ
三菱電機では,2006年から液晶テレビのまぶしさや黒再
リーズ”では,人の明るさ感を詳細に評価することで,よ
現を改善するために,視覚特性を考慮した明るさ制御“家
り高い省エネルギー効果を実現する明るさ制御を開発した。
庭画質モード”を搭載している。家庭画質モードは,テレ
また,MZW200シリーズは,家庭画質モードを基準とし
ビの視聴環境の実態調査,ユーザーの視覚特性の研究,表
て,主観評価結果を基にした画質作りがなされ,ユーザー
示デバイスの性能調査を基に,年齢や観視距離,表示コン
の嗜好(しこう)に即した画質も実現している。
黒再現
白(明るさ感)領域
表示輝度
まぶしい
明るい
適度
液晶テレビ REAL
MZW200シリーズ
家庭画質モード
省エネルギー
家庭画質モード
暗い
画質評価実験
かなり暗い
平均映像信号レベル
コンテンツ
平均輝度
照度
液晶テレビ REAL
MXW200シリーズ
人の視覚特性
データベース
・照明条件
・視距離
・年齢
・明るさ感
平均輝度
制御
照度 制御
家庭画質明るさ制御
省エネルギー家庭画質
明るさ制御
画質設定
明るさ制御搭載液晶テレビ“REAL MXW,MZWシリーズ”
液晶テレビ REALの2008年モデル MZW200シリーズの外観写真(上段左)とMXW200の外観写真(下段左)である。明るさ制御技術は,
人の視覚特性をデータベース化し,表示される絵の平均輝度レベルを基に人の明るさ感に合わせた無駄のない輝度制御を実現している(図中グ
ラフ)
。
12
(124)
*
先端技術総合研究所 **デザイン研究所
(工博)
三菱電機技報・Vol.83・No.2・2009
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