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5月号
計画・交通研究会
目次
Opinion… ……………………………………… 1-2
「変わるもの」と「変わらぬもの」
News Letters… ………………………………… 3-6
事業報告・活動報告
Projects… ………………………………………… 7
プロジェクト紹介
Members…………………………………………… 9
会員紹介
Backyard…………………………………………… 9
事務局通信
Association for Planning and Transportation Studies
会報
2014-5
発行日:平成26年5月20日
発行元:(一社)計画・交通研究会
□ Opinion
「変わるもの」と「変わらぬもの」
木村洋行
大成建設株式会社
代表取締役副社長
1970年東京大学工学部
土木工学科卒
不安定な天候に見舞われながらも、今年も桜
学生諸君のこのような外形的な海外志向は、
の季節が訪れ、この国を最もこの国らしく感じ
マスコミ報道の影響もあって国内の建設界の状
させるときが来た。この時期になると、新入社
況に過剰な危機感を抱き、その結果として海外
員や学生諸君と接する機会が多くなり、今年も
に出口を見出したためのようにも思える。うわ
また、私なりに感じ考えさせられることがいく
ついた言葉に対しては、なるべく諭すようにし
つかあった。
ているが、緊張の面持ちの若者との短い時間で
の会話では、本音の会話はそう簡単ではない。
その一つとして、就職活動における学生諸君
の所作の微妙な変化がある。これまで以上に没
ところで、我が国の企業も個人も国際市場で
個性的あるいは画一的になってきた感がするの
の競争に晒されているのであるが、競争を十分
である。情報が行き届く社会におけるある種の
に戦えるかと言えば、解決すべき課題は山積さ
弊害と言えるかもしれない。特に最近は、
「エ
れている。ところが、その現実を当事者以外の
ントリーシート」の志望動機や抱負欄で「海外」
多くの日本人はあまり意識せず、危機として身
をキーワードにした文言が花盛りとなってい
近に捉えずに過ごしてきた。TPP が典型的な
る。海外志向を表明すれば「会社に受ける」と
事例である。TPP は米国との交渉で、農業・
勘違いしているのではないかと思わざるを得な
畜産と自動車の問題に絞られてきたが、見様に
い場面が度々ある。
よっては「平成の黒船」である。我が国の産業
実際、「開発途上国の貧しい人々のために、
構造から都市と地方の問題まで、否応なく変更
海外で活動したい」と真顔で言う若者が結構多
を促される可能性があるからである。
いのである。本心は分からない。中には、そう
都市と地方の問題について言えば、地方では
言う同じ学生が不動産会社や損害保険会社を併
人口流出は止まらず、地方圏における産業の自
願しているケースもあって、こちらの方が悩ん
立と魅力ある都市の形成は喫緊の課題となって
でしまう。海外のビッグプロジェクトも一つの
いるのだが、そこに黒船の来襲である。現状維
キーワードであるが、皆がみんなボスポラス海
持を唱えるだけでは、真の問題解決にならない。
峡横断トンネルのようなビッグプロジェクトに
個々の地方の歴史や現状に照らして、産業と文
行けるわけではなく、海外での仕事はそんなに
化の両面で国際競争力のある地方圏をどう作り
甘くはない。国内だって大きな工事ばかりでは
上げられるかが問われている。
ない。むしろ小さな工事の方が山ほどある。
これに対し、東京などの大都市圏では人口流
1
入が依然として続いている。居住環境や都市交
会議などを日本に招致して、自発的に海外の多
通の整備が進む一方で、人口集中に伴う災害危
種多様な学生との交流を試みるなど、グローバ
険度が途轍もなく増している。少子高齢化問題
ル化をめざす動きを活発化している。例えば東
は大都市圏でも顕在化しているが、地方ほど深
京大学では夏期休暇中に、世界中の大学から参
刻には認識されていない。増加する外国人居住
集した精鋭たちとの合同ワークショップ等を開
者や観光客を目にするだけで、国際化を遂げた
催し、大きな成果を上げていると聞く。このよ
ように錯覚する。だから大都市圏に住んでいる
うに国内の大学も学生も、
「海外」を日常化す
と、危機に対する感性が鈍りがちになる。国内
る努力を重ねている。私が入社した 44 年前と
でも、問題は山積である。
は大きな変わりようである。
そのような中で、この国では「ゆでガエル」
になってしまうと危機意識を持つ若者が増えた
話は変わるが、ロシアのソチで行われたオリ
ためであろうか、冒頭述べたマイナスのイメー
ンピック・パラリンピックでの日本選手団の活
ジとは裏腹に、本気になって活躍の場を海外に
躍は記憶に新しいところだが、このような国を
求める若者が増えているのも確かである。
「近
背負っての競争は、よい意味で適度なナショナ
年の若者は内向きで国外を見ず、海外志向をし
リズムを発揚し、国民の一体感を醸成する。し
なくなった」とのマスコミ報道と相反する傾向
かし、プロサッカーの試合場に心無い横断幕が
なので、気になって調べてみたのであるが、想
張られて問題になったことやサポーターの乱暴
像以上に海外志向を強め、いろいろな形で行動
狼藉化などは、日本人が涵養してきた精神性や
を起こしている若者がいる。
品格を台無しにする、あってはならない行為で
情報と交通の力も大きいと思う。インター
あると思う。
ネットの飛躍的普及により、我々の生活は常に
国をとりまく厳しく難しい政治経済情勢は、
リアルタイムに世界とつながっている。企業活
相互理解の努力を忘れさせ、理解不能に映る相
動はいうまでもなく個人レベルにおいても、グ
手の行動に対し、攻撃的で排他的な応報という、
ローバルに情報を得ることができ、交換するこ
短絡的な考え方や行動に走らせがちであること
とができる。海外に対するアレルギーも無くな
は、世界の過去の歴史が教えるところである。
り、学生を含めて誰もが容易に海外に行けるよ
このところ、少しずつ日本人にこのような傾向
うになった。学生時代に旅行か研修で「海外」
が見られ始めた変化は残念である。どのような
を経験する者は圧倒的に増えている。
厳しい競争の中にあろうとも、日本人の矜恃と
このようなことから、内向きなどと評される
して、変えてはならぬものがあるということを
若者世代の中にも、高い目標を持って世界の第
改めて考えさせられた。
一線に飛び立とうとする者が輩出してきたのだ
変えてはならぬものといえば、土木の仕事は
と思う。例えば、高校を卒業した後、直接海外
いつの時代でも「世のため、人のため」である。
の名門大学へ進学を志望する学生が増えている
これが全ての根底に無くてはいけない。4 月は
そうだ。それどころか、中学・高校時代から海
その心意気を確かめる格好の機会でもあった。
外の学校で教育を受ける生徒も増えており、そ
のための専門の塾や生徒向け・保護者向けセミ
数日前には満開の花を咲かせた桜が、その花
ナーなども活況を呈しているのだという。国際
びらを雨や風に舞い散らせていく光景を目の当
経験豊かな親世代が増えてきたことも一つの理
たりにし、
「変わるもの」と「変わらぬもの」
由であろう。子供を海外に送り出すだけでなく、
をキーワードにして日頃感じていることを述べ
子供と一緒に海外に移住する家族さえ現れ始め
た。とりとめのない話になってしまったが、我々
ているとのことである。なかなかできることで
の将来を託す若い世代が、
「変わるべきもの」
はないと感心させられる。
と「変えてはならぬもの」をいつまでも正しく
他方、国内の学生も頑張っている。国際学生
選択してほしい。そんなことを最後に考えた。
2
事業報告・活動報告 □
□ ­­News Letters
■春の見学会
テーマ「東京オリンピック会場予定地の確認と
インフラ対比(1964→2020)による知見の発掘」
去る 4 月 2 日(水)、
「東京オリンピック会場
予定地の確認とインフラ対比(1964 → 2020)
による知見の発掘」をテーマに見学会を実施し
ました。当日は東京都様・独立行政法人都市再
生機構様・森ビル株式会社様・独立行政法人日
本スポーツ振興センター様に多大なご協力をい
ただき、約 40 名の参加者が大型バスにて移動
し各所の見学を行いました。当日は、天候にも
恵まれ終始和やかな雰囲気で開催されました。
【ウォーターフロント模型】
■ 13:30 都市再生機構晴海都市再生事務所
〜圧巻!迫力満点の模型〜
(晴海トリトンスクエア内)
別室にてオリンピック会場を俯瞰できる独立
東京都都市整備局福田企画担当部長のご挨拶
行政法人都市再生機構様の縮尺模型を見学。東
の後、東京都オリンピック・パラリンピック準
京の街並みが目の前に広がるその迫力に「お
備局大会準備部澤井選手村担当課長から、大会
おーっ」と感嘆の声が沸き起こりました。参加
の全体概要についてご説明をいただきました。
者は東京都澤井選手村担当課長の説明に耳を傾
本日の見学コースは、IOC の視察ルートの短縮
けながら、思い思いにカメラに収め、コンパク
版であるとの説明があり、参加者の期待感が一
トな街づくりというコンセプトを実感しました。
気に高まりました。
競技会場見学ルート
3
〜参加者の雑談〜
改修に加え 2 コートを増築の上、インドアコー
(^_^;)‌ジオラマ模型の真ん中に立ってウルトラマン気
トも整備し、完成後の観客席数は 2 万席を超え
分を味わいたい。その衝動を抑えるのに必死で
る予定です。これらの会場計画に伴う交通への
した!
影響を精査しているとのことでした。
(+o+)先輩の場合どちらかと言うとゴジラでしょ。
水泳会場となる辰巳地区には、既存施設とし
て東京辰巳国際水泳場がありますが、オリン
ピックアクアティクスセンターが新設されま
す。オリンピック基準では、観客席数だけでな
く世界のメディアに発信する放送車スペースの
確保も規定されており、既存施設ではこれらの
基準を満たせないとの説明がありました。また、
大会後は観客席を 2 万席から 5 千席に減築し利
用されるとのことでした。
〜参加者の雑談〜
(^_^;)2 万席でイス取りゲームをやってみたいなー
(+o+)5 千席になってからにしましょ。
(^_^;)どっちもきついでしょ
■ 14:15 〜 競技会場各所を見学
【夢の島(下車)
】〜進む整備構想〜
バスに乗り込みいざ出発。東京都オリンピッ
ク・パラリンピック準備局大会準備部澤井選手
バスから下車し、バドミントンやバスケット
村担当課長、松島輸送担当課長、齋藤施設輸送
ボール会場として新設される夢の島ユース・プ
計画課主任が同乗され、各計画地における施設
の概要や特徴などについて、エピソードも交え
ご説明いただきました。
【晴海・選手村予定地(車中)
】
〜生まれ変わる街並みに期待〜
開催期間中、17,000 人もの選手が滞在する
選手村には、選手がリラックスできる環境づく
りとともにコンディション調整を最大限考慮
し、室内ジムやプールをはじめ 400m トラック
の整備はさることながら、宿泊施設内の選手の
移動時間にも配慮した階層指定(2 階〜 14 階)
がなされているとの説明がありました。
現地では高潮対策として盛土工事が計画され
ているとともに、アクセスルートとして首都高
の延伸も計画されているとのことでした。
【有明・辰巳(車中)
】
〜世界最大のイベントに求められるもの〜
選手村から約 6km 圏内に位置する有明地区
には、バレーボール会場となる有明アリーナや
自転車(BMX)コース、体操競技場が新たに整
備されます。また、有明テニスの森は既存施設
4
ラザ・アリーナ予定地を見学。東京都齋藤施設
今後も新橋・虎ノ門の街づくりに邁進していき
輸送計画課主任から会場整備の構想をご説明い
たい」との力強い決意をうかがいました。
ただくとともに、アクセスや建物機能など参
【国立競技場(下車)
】
加者からの多岐に亘る質問にご回答いただき
〜感動!国立競技場トラックに入場〜
ました。
続いて、国立競技場へ向かう車中では、現在
【若洲・海の森(車中)
】
の街並みとの対比の観点から、1964 年東京オ
〜安定した水域の確保に向けて〜
リンピック・マラソン競技の DVD を鑑賞しま
再びバスに乗り込み、海の森水上競技場・ク
した。当時の鉄道や道路などの様子に懐かしそ
ロスカントリーコースなどが整備される若洲・
うに見入り、思い出話に花が咲きました。国立
海の森エリアへと進みました。ボート・カヌー
競技場に到着すると、独立行政法人日本スポー
競技の会場となる水上競技場予定地を東京ゲー
ツ振興センター新国立競技場設置本部総務部運
トブリッジから見学。都内において直線で 2km
営調整課高崎課長のご案内で、この夏に解体工
を確保できる水域は当地のみであり、期間中は
事を控えた競技場内に入らせていただくという
潮の満干による影響を考慮し水域が閉鎖されま
サプライズがありました。
すが、計画に当たっては工法やセキュリティ面
全員でトラックを 1 周し、思い思いのスポッ
における検討が必要との説明がありました。
トで記念撮影をするなど、たいへん貴重な体験
期間中、大会バス専用となる予定のレイン
をさせていただきました。
〜参加者の雑談〜
ボーブリッジからトライアスロン・ビーチバ
レー会場となるお台場エリアを見学しながら、
(^_^;)‌最初は AKB の DVD を観たいなと思ってたけど、
3,000 台を超えるバスや運転手および駐車場の
オリンピックの DVD よかったですね
確保、都心への車両流入抑制など今後の検討課
(+o+)競技場で予定されていたライブも中止になった
ばかりの時期でしたからね。でも中に入れても
題が多くある実情をお聞かせいただきました。
らった途端、まさにマックスハイテンション♪
安心・確実な大会運営を目指し着々と進めら
になりましたよ!
れるインフラ・会場整備の構想をご説明いただ
き、オリンピック開催にあたっての厳しいレ
ギュレーションや交通・セキュリティ面など多
方面に亘る課題を認識しました。
【虎ノ門ヒルズ・環状第 2 号線建設地(下車)
】
〜期待が膨らむ街づくり〜
3 月 29 日に開通した環状第 2 号線(新橋〜
虎ノ門)を通り虎の門ヒルズに到着。工事中の
ため近傍の事務所において森ビル株式会社虎の
門ヒルズ開業準備室開発事業企画グループ長尾
課長から、建物の地下 1 階部分に道路を設ける
ための工法や 1,200 基を超える制振装置、帰
■18:00〜 日本青年館【セミナー・懇親会】
宅困難者を想定した都市防災機能など、建物お
よび工事概要について詳細にご紹介いただきま
青山学院大学井口教授にご登壇いただき「東
した。参加者からも技術的な所見から今後の街
京オリンピックで得るものと失うもの」をテー
づくりに至る、幅広い質疑応答がありました。
マにご講演いただきました。井口教授が携わっ
最後に、
「この環状第 2 号線と虎ノ門ヒルズの
てこられた渋谷・原宿・青山のまちづくりや
開発はきっかけであり、地元の方々と一緒に、
1964 年東京オリンピックの目覚しい街並み変
5
化によって得たもの、失ったものをご紹介いた
だきました。最後に、「2 度目の開催にあたっ
て求められているのは、“日本の価値観がどう
変わったか”を世界へメッセージとして発信す
ることである」との提言をいただきました。井
口教授の鋭い視点とウィットに富んだ話術でセ
ミナーは笑いに包まれながら進み、最後に懇親
を深め非常に意義深い 1 日となりました。
(文責:松本剛史(㈱奥村組)
)
■第 5 回通常総会、講演会および懇親会のご報告
実することで、法人会員や女性会員の拡張も引
さる 4 月 22 日 ( 火 )18:00 より、霞が関ビ
き続き進めることが表明されました。
ル 35 階富士の間において第 5 回通常総会、講
演会が開催されました。
総 会 に 引 き 続 い て 開 催 さ れ た 講 演 会 で は、
『パッケージ型海外インフラ事業の今後のあり
新年度の事業計画にあたっての基本的な考え
方を問う』の演題で、千代田化工建設㈱南部泰
方として、交通・都市・国土というものを識り、
治様、三菱商事㈱森脇祥一郎様からご講演をい
それを良いものにしていくという運営趣旨に基
ただき、
約 90 名の会員が聴講されました。なお、
づき、企業会員および個人会員から関心を得ら
講演会の詳細については次号の会報で報告する
れる事業を重点化した昨年度の方向性をさらに
予定です。
増進させていくこととした。例えば、会員間の
意見交換を活発にできる講演会(イヴニングセ
懇親会は隣接ビル内のレストランを貸切って
ミナー)および懇親会を増やし、この講演会が
開催され、特別顧問の中村英夫、黒川洸の先生
春・秋の見学会と連動するようなテーマ性を持
方もご参加いただき、和やかな雰囲気のなかで
たせる等である。このような会員サービスを充
交流の輪、情報交換の輪が広がりました。
6
プロジェクト紹介
□ Projects
羽田空港国際線エプロン PFI 事業
ご存じのように、羽田空港は 2010 年に 32
年ぶりに本格的に国際化され、BTO 型 PFI 事
業の形で 2006 年度に整備が始まった国際線エ
プロンが供用開始されて、国際定期便に割り当
てられた昼間 3 万回/深夜早朝 3 万回の合計 6
万回 / 年の発着枠に対応してきました。2012
年には、政府の新成長戦略に基づき国際線 9 万
回への増枠に対応するため、国際線機能拡充整
備事業が始まりました。そして、いよいよこの
2014 年 3 月 30 日には、国際線昼間発着枠が
3 万回増便され(合計 9 万回)、旅客ターミナ
ル北エプロン部の増設部分が営業開始を迎えた
ところです。航空会社の定期便新増設が TV や
ポスターで賑やかに宣伝されているのを目にす
ることも多いと思います。
今号のプロジェクト紹介では、この国際線エ
プロン PFI 事業のうち、既設の北エプロン部改
造及び 3 スポット増設・航空保安施設整備等か
羽田空港国際線地区全景
(図と写真:国土交通省関東地方整備局提供)
らなる拡充整備事業にスポットをあて、事業を
行う特別目的会社(SPC)に取材をして参りま
した。
今回の拡充整備事業は、PFI 事業契約の変更
に基づくという大きな特徴を有しています。
当初より要求性能に基づく発注で整備されて
きたエプロン等施設ですが、発着枠の拡大に伴
う交通量増加や新型旅客機による脚荷重の増大
という、拡充整備事業に際した難しい与条件(要
求性能)の下、契約変更に伴う多くの実務上の
スリップフォームペーバ方式によるコンクリート舗装の打設
(写真:国土交通省関東地方整備局提供)
課題を一つずつ解決するとともに、設計・施工・
維持管理上の最新技術を駆使して、営業中の北
エプロン内で常に最低 2 スポット
(全 10 スポッ
ト中)の供用を確保しながら舗装の新設や勾配
修正を行うという難しい工事を、発注者(国)
・
SPC・設計施工維持管理 JV の一糸乱れぬ協働
により、安全・品質・工程すべての面で見事に
成功させています。
工期が約 18 ヶ月と限られ、さらにエプロン
関連以外の工事、すなわち旅客ターミナルビル
拡張エプロン(新設工事)全景
(写真:国土交通省関東地方整備局提供)
増築工事(旅客ターミナル PFI)
・航空機燃料
7
る航空需要の増大や最新鋭旅客機荷重などへの
対応要望もあわせて生じることも考えられます
が、 今 回 の 拡 充 整 備 事 業 で の 経 験 を も と に、
PFI 事業における工事のハード面も契約等のソ
フト面も、今後の我が国土木分野における大型
PFI の模範モデルとして完成度を高め、ますま
す進化を続けていくことでしょう。
拡張エプロン(新設工事)全景
(写真:国土交通省関東地方整備局提供)
夏休みを利用して羽田から海外に出かける予
配管工事・動力供給設備工事などの、多数の事
定の読者のかたも多数いらっしゃることと思い
業者による工事が同時に実施されるという厳し
ます。空港ではつい旅客ターミナル内の諸施設
い条件があったことや、エプロン全てを閉鎖し
にばかり目を奪われがちですが、離陸を待つ機
て工事を行うわけにはいかないために、発注者
内ですぐにお休みモードに入る前に、足元の国
に制限区域を随時変更してもらいながら、複雑
際線エプロン PFI 事業の厚さ 460mm の高強度
な施工工程を安全に確実に消化していく必要が
コンクリート舗装のことなどもちょっと思い出
あったことなど、すべての関係者のみなさんの
してください。
ご苦労は想像に難くありません。
最後に、忙しい中、取材にご協力下さった羽
前述のように、国際線エプロン PFI 事業では、
田空港国際線エプロン PFI 株式会社関係者のみ
リスク管理と経済合理性の観点から性能照査型
なさまに厚くお礼申し上げます。どうもありが
設計を活用しており、特にエプロン舗装におい
とうございました。
ては我が国初となるフル対応型信頼性設計の手
(文責:編集委員 多田 勝
(大成建設㈱))
法が用いられています。また、地盤の液状化を
許容し変形照査を行って地盤改良範囲を決定し
たり、不同沈下や既設重要構造物への影響低減
のために各種の軽量盛土材を使い分けたり、難
しい掘削のリバウンド管理に直面しながら営業
中の京浜急行地下トンネル直上での地盤改良工
事を実施するなど、種々の技術や考え方が積極
的に導入されています。当然ながら今後 2035
年までの SPC による維持管理期間の中では、
エプロン供用下での舗装等重要施設の改良や補
SPCの安間副総括代理人(左)・ 設計施工JV大塚所長
(中)・ 多田編集委員(右)<撮影;同鳩山編集委員>
修の作業が発生することになりますし、さらな
8
会員紹介 □
□ ­­Members
会員紹介、今回は㈱ベクトル総研代表取締役の末松孝司さんです。末松さんは私
と東急グループ入社同期で、元々は東急建設の土木職だったようですが、その後、
米国でMBA取得、東急総研等のキャリアを積みつつ実力を蓄え、独立、現在は特
に人や車の流動システム開発・解析に強みを発揮している会社経営の傍ら、東工大
の連携教授や「安全・安心マイプラン」というNPOの副理事長も務め、精力的に
活動されています。末松さんの強みは、「場」を仕切る卓越した能力にあると思いま
す。一見、茫洋としているようですが、芯は強く、機転鋭く、故に多種多様なネットワークを駆使して幾多
のプロジェクトを創造してくる、今まさに計画交通研究会のような交流・創造組織が求める人材であると確
信します。ご参加いただいたイブニングセミナーや見学会では、一見目立たないふりをしていたようですが、
皆様、次にお会いしたときには是非お声がけしてみてください。新しい世界の始まりかもしれませんよ!!!
(太田 雅文(東京急行電鉄㈱)
事務局通信
□ Backyard
□入会法人のお知らせ
このたび、五洋建設㈱様、西松建設㈱様が法人賛助会員としてご入会いただきました。
また、東日本旅客鉄道㈱様には法人賛助会員から法人正会員に資格変更していただきました。
□平成26年度 第2回 イブニングセミナーのお知らせ
7 月 25 日に下記内容で平成 26 年度 第 2 回 イブニングセミナーを開催します。
テーマ
気候変動交渉の現状と、そのインパクト
趣 旨‌京都議定書 (1997、COP3) 以来、日本で世界で関心が高まっていた気候
変動問題は、3.11 以降、災害からの復興・電力エネルギー問題への対応
に焦点が集まる中で、反対に関心が弱まっているかに見える。しかしなが
ら、電力・エネルギー対策と気候変動対策は表裏一体のものである。今回
のセミナーでは、地球温暖化と京都議定書改定交渉の現状と、その交渉が
我が国の、及び地球規模の経済活動に及ぼすインパクトについて議論する。
話題提供者
電力中央研究所 主任研究員 上野 貴弘 様
東京大学 公共政策大学院 特任教授 本部 和彦 様
ファシリテーター 大成建設㈱ 大嶋 匡博 様
大成建設㈱ 龍 尊子 様
日 時
7 月 25 日(金) 18:00 より
場 所
新宿センタービル 52 階プレゼンテーションルーム
東京都新宿区西新宿 1-25-1 TEL:03-5381-5116
懇 親 会
Y’S(ワイズ)エステック情報ビル店
東京都新宿区西新宿 1-24-1 エステック情報ビル 4 階
TEL:03-5322-3545
9
□平成26年度 第3回 イブニングセミナー、秋の見学会のお知らせ
現在、
「トランジット・メトロポリス東京の再構築(仮題)」のテーマで9月に第3回 イブニングセミ
ナーを、また、このテーマに関連した見学会を10月に開催することを検討しています。ご期待ください。
一般社団法人 計画・交通研究会
〒 100-6005
東京都千代田区霞が関 3-2-5 霞が関ビル 5F-28
TEL: 03-4334-8157 FAX: 03-4334-8158
E-Mail: [email protected]
Homepage: http://www.keikaku-kotsu.org/
理事会
代表理事・会長
理事・副会長
理事・副会長
理事・幹事長
理事
家田 仁
石田 東生
屋井 鉄雄
岩倉 成志
水野 高信
企画委員会
委 員
委 員
委 員
委 員
雨宮 克也
太田 雅文
大嶋 匡博
中山 等
10
会報編集委員会
編集委員長
幹事長
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
日比野 直彦
王尾 英明
井料 青海
白根 哲也
多田 勝
鳩山 紀一郎
平田 輝満
松本 剛史
事務局長
髙橋 祐治
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