Comments
Description
Transcript
ICTを活用した「『親の力』をまなびあう学習プログラム
ICTを活用した「『親の力』をまなびあう学習プログラム」 ファシリテーターへの活動支援について 広島県立生涯学習センター 主任 一本木 実香 1 はじめに 4 月に学校現場(中学校)から念願の社会教育現場に勤務することになった。分掌で は家庭教育支援担当になり,主な業務内容の一つとして「『親プロ』ファシリテーター の活動支援」を受け持ち,センターの情報提供手段であるホームページやメールマガジ ンを介して,ファシリテーターの方に役立つと思われる情報をお伝えしてきた。 ここでは,広島県立生涯学習センターの情報提供をふりかえり,特にICT ( Information and Communication Technology =情報コミュニティ技術)を活用した 「『親の力』をまなびあう学習プログラム」ファシリテーターへの活動支援について考 察する。 2 生涯学習におけるICTを活用した情報配信の必要性について (1)ICTとは ICTとは Information and Communication Technology の略である。 (注 1 )日本 語では, “情報通信技術”と訳される。一般にはIT( Information Technology )とい われる。ICTはコミュニケーションの重要性をより強調したいときに使われ,特に 社会教育・生涯学習領域では人々のコミュニケーションに教育的な意味があることか ら,ICTを使う場合が多いとされている。 ICTを使った情報提供の利点としては, 1 )大量の情報を扱うことができる, 2 ) 情報の更新が容易である,3 )学習者の要求により適した情報を提供しやすくなる,4 ) 文字情報のみならず画像,動画なども双方向で扱うことが可能である,などがあげら れる。(参考文献①) (2)国のICT政策の歴史と生涯学習におけるICTを活用した情報配信 1990 年代後半のIT革命以降,国は情報通信の法制度確立やインフラの整備を行っ てきた。平成 13 年からは「 e-Japan 戦略」(IT国家戦略。 5 年以内に世界最先端の IT国家になることを目標にした政策)がスタートし,平成 15 年頃には通信インフ ラの整備が重点的に行われるようになった。平成 18 年には,主に通信インフラの整 備・普及を主眼としていた「 e-Japan 構想」の実績を元に,ICTのさらなる利活用 を目指した「 u-Japan 政策」を開始, 「ユビキタスネット社会(いつでもどこからでも 様々なサービスが利用できるようになるネットワーク環境が整備されている社会)の 実現」・「ICT活用の高度化」・「情報セキュリティの拡充」を 3 つと柱とした政策が 展開されることになった。(注 1 ) 申 で提 示 された「人々が, 生涯のいつでも, 自由 に学習 機 会を 選択 して学 ぶ ことができ, そ の成 果 が社会におい て適 切 に 評価 されるような社会」と「ユビキタス社会の実現」と一 致 している。 (参考 文献 ② ) 平成 12 年の生涯学習審議会答 申 『新しい情報通信技術を活用した生涯学習の 推進 方策について』では,すでに,IT(ICT)化が念 頭 に 置 かれており,インターネ ットに 象徴 される情報通信技術を用いて, デ ジタル化にとどまらず,ネットワーク化 を行うとされている。また,平成 13 年の「IT 基 本法」にあるように,利用 機 会と 学習 機 会を社会的に整備する 必 要性も 説 いている。(参考文献 ③ ) 今 や,ITを使用した生涯学習情報(人々の生涯学習活動を支援するた め に役立つ 情報の 総称 )の提供は 幅 広く行われている。 e ラーニング・システム(ICTを活用 した学習, WB Tを活用した学習, 衛星 通信を活用した学習,C D-ROM 教 材 を活 用した学習, 電子ブ ックを活用した学習,テ レ ビ会議 等 システムを活用した学習 等 を いう),学習支援情報の提供システム,デ ジタル ア ー カ イ ブ の 作 成と そ の提供,インタ ーネット活用の 交流 会などがあげられる。(参考文献 ② ) また,インターネット 上 の「 Twitter 」や「 Face-book 」などの ソ ーシ ャ ル・ネット ワーキング・サービス( SNS )と 呼ば れる情報ネットワークの構 築 も, 今 後,活用 が 検討 される べ き学習方法とされている。(参考文献 ② ) このように,国のIT化に 沿 うように生涯学習もITを活用した学習情報の提供が 行われるなど, そ の 姿 を 変 えており, 今 や生涯学習情報はICTを利用して 配 信する 生涯学習も例外ではなく,平成 4 年の生涯学習審議会答 ものになっている。 (3)広島県の生涯学習におけるICTを活用した情報配信 広島県生涯学習審議会答 申「広島県におけるこれからの生涯学習の 振興 方策」 (平成 23 年 1 月 31 日)では,「社会や 地 域の 課題 に 関 する学習 機 会の提供」について,【 求 め られる方向性 】のうち,「学習 機 会に 関 する情報のネットワークの構 築 と利用」とし て, 「 関係機関・団体 は,学習 機 会に 関 する情報のネットワークを構 築 し,そ の情報を 利用して,学習プログラムの充実やより 効果 的な学習 機 会の提供に 努め ることが 必 要 である」とし,「 同士 のネットワークの構 築 と利用」として,「 関係機関 ・ 団体 は, 講 師 となる指 導 者が学習者におしえるという 形だ けでなく,ICT(情報通信技術) 等 を活用してネットワークを構 築 し,学習者 同士 が 相互 に教え合い,学び合える環境の 充実を 図 ることが 必 要である」ことを 挙 げている。(参考文献 ⑤ ) 広島県が提供する広島県生涯学習・社会教育情報提供システムとしては,県教育 委 員 会生涯学習 課 ホームページの「 ひろ しま・まなびネット」があり,広島県生涯学習 センターホームページの「 ぱ れっと ひろ しま」がある。また ,各市町 の生涯学習 課 のホ ームページでも生涯学習情報を 伺 い 知 ることができる。 3 広島県立生涯学習センターの情報配信の現状 (1)経緯 年 事 柄 昭和 57 年 10 月 広島県立社会教育センター開 所 昭和 58 年 7 月 学習情報 誌 「社会教育情報 ひろ しま」の 発 行( ~昭和 62 年) 隔月発行 学習 相談員 の 設置 パソ コンを 導入 , 視聴覚 教 材 の デ ータ ベ ース化に 着 手 昭和 60 年 2 月 広島県生涯学習 推進 会議「広島県生涯学習 推進 構想」を策 定 昭和 60 年 5 月 視聴覚 教 材 の デ ータ ベ ース化の 完 成 昭和 61 年 視聴覚 教 材 の 貸出 業務の パソ コン 処理 に 着 手 昭和 63 年 5 月 学習情報 誌 「生涯学習情報 ひろ しま」の 発 行( ~ 平成 2 年) 年 4回発 行 11 月 広島県社会教育 委員 の会議が「生涯学習情報システムの 在 り方 について」の報 告書 をまと め る 平成元年 4 月 広島県立生涯学習センターに 名称変 更 生涯学習 推進 の中 核 的 施設 であることを 明 確化 平成元年 生涯学習情報 デ ータ ベ ース『 LL-VANひろ しま』の開 発 に 着手 パソ コン実習 室設 備 平成 2 年 生涯学習情報提供システム整備 事 業 平成 2 年 11 月 生涯学習情報 デ ータ ベ ース『 LL-VANひろ しま』の開始 平成 3 年 6 月 学習情報 誌「まなび ね っと ひろ しま」の 発 行( ~ 平成 10 年) 平成 8 年 学習 相談員 が 2 名 となる 平成 8 年 施設 の 愛称 が 公募 により「 ぱ れっと ひろ しま」に 決定 平成 10 年 4 月 学習 相談員廃止 平成 11 年 3 月 生涯学習情報 デ ータ ベ ース『 LL-VANひろ しま』事 業 終了 平成 11 年 4月 平成 11 年 平成 11 年 10 月 平成 12 年 平成 13 年 平成 15 年 4月 平成 16 年 平成 16 年 8月 平成 17 年 平成 18 年 4月 平成 18 年 5月 平成 21 年 4月 平成 23 年 1月 平成 23 年 3月 平成 24 年 4月 平成 24 年 11 月 ひろ しままなびネット」事 業開始 学習情報 誌 「 ぱ れっと ひろ しま」の 発 行( ~ 平成 16 年) 広島県で 全 国生涯学習フ ェ スティ バ ル開 催 学習情報 誌 「マ ナ ビィ ひろ しま」の 発 行( ~ 平成 14 年) 子 どもセンターホームページを開 設運営 ( ~ 平成 15 年) 生涯学習情報提供システム「 ひろ しままなびネット」の 管理 ・ 運営 開始(システムリニュー ア ル) 広 島 県 体験 活 動 ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 支 援 セ ン タ ー ホ ー ム ペ ー ジ 「やま ぶ しく ん センター」への情報提供及び 配 信 ( ~ 平成 16 年) 生涯学習情報 誌「マ ナ ビイ ひろ しま・ひろ しまマ ナ ビイ ~ っ 子 」 の 発 行( ~ 平成 20 年 3 月,平成 14 ,15 年は年 2 回 ,以降年 1 回 の 発 行) センターホームページ『 ぱ れっと ひろ しま』の 管理 ・ 運営 メールマガジンの 配 信開始( 毎 月 1 日 配 信)(現 在 に 至 る) 「 子 どもの 居 場 所づ くり支援センター」ホームページへの情報 配 信, 青 年の 地 域 貢 献活動ホームページの 管理 ・ 運営 ( ~ 平成 18 年) 情報 誌 『 ぱ れっと ひろ しま』年 1 回発 行( ~ 平成 20 年) センターホームページ『 ぱ れっと ひろ しま』のリニュー ア ル 県情報プラ ザ 内にセンターを 移転 ,役 割 ・ 機 能を特化 メールマガジン 誤送 信 事件 C MS(コンテン ツ マネージメントシステム)にホームページ をリニュー ア ル メールマガジンの内容を 精選 化 メールマガジン 第 100 号 を 配 信 現在に至る 生涯学習情報提供システム「 ① 学習情報提供方法の変化 経緯 から,「 面談・電話・紙媒体 による情報提供」→「 パソ コンによる 視聴覚 教 材 の デ ータ ベ ース化」 → 「ワープロ, パソ コンの 導入 」 → 「学習 相談員 の 廃止 」 → 「イン ターネットでの 配 信」 → 「ホームページの開 設 」 → 「メールマガジンの 配 信」 → 「 紙 媒体 での情報提供 廃止 」となっている。 紙媒体 を中 心 とした方法から,ICTを活用 した情報提供方法にシフトしたことが分かる。 平成 4 年の「 創 立 10 周 年 誌 」で, 坂東 元生涯学習センター 長 は「生涯学習センタ 市町村 とのネットワークの 必 要性」と「生涯学習センターの 機 能を 問 い 続 け」,「学 習情報が一 番 大 切 」であり, 「学習情報を提供することが大 切 」と思い,LL-VAN や パソ コン実習 室 の 稼 動に向けて整備したと 記 されている。(参考文献 ⑥ ) また,平成 14 年の「開 所 20 周 年によ せ て」で,当 時 の 常盤 教育 長 は,センターが 「 パソ コン通信やインターネットを活用した生涯学習情報提供システムを開 設 するな ど 積極 的な 取組 を 進め てきた」とともに, 「高 等 教育 機関 との 連携 による 青 年の 地 域 貢 献活動に 係 る情報の 収集 ・ 発 信や成 果 の 発表 の場」と 記 されており,生涯学習センタ ーが, 「成人のた め の教育・学習として だ けでなく,子 どもを 含め た県 全体 の教育を充 実さ せ る生涯学習の 拠 点として利用されてきた」とある。(参考文献⑦) 平成 13 年の 公 立学校 完全週 5 日制に 伴 い,県 民 にリ ア ルタイムに 子 どものた め の 地 域活動情報を提供するた め に「 子 どもセンターホームページ」の 管理 ・ 運営 を 同じ ーと く平成 13 年から行っていた。 時 代をリー ド する」立場として(参考文献 ⑧ ),社会の要 請 にあ わ せ ,生涯学習センターが主 導 して 市町村 や 県民に生涯学習情報を提供してきたと 考えられる。 ② 情報提供対象者の変化 かつて, 紙媒体 でのセンターの情報 配 信 対象 は,国県 市町村 行政,教育 機関 , 公民 館等 社会教育 施設 ,小・中・高 各単位P T A ,社会教育 関係団体等 であった。(参考文 献 ⑨ )なお,現 在 ,メールマガジンでも そ の 配 信 対象 者は 変 わっていない。センター の 機 能が特化されても,ホームページは一般の人も 閲覧 することができることから, 求 め れ ば いつでも 応じ て情報提供を 配 信することができるようになったと考えられる。 (2)現在のセンターの情報配信について 「生涯学習センターの 機 能と 事 業」の「情報提供」では, 「生涯学習・社会教育 関係 職員 ,指 導 者に役立つ情報を 配 信します」とあり,「当センターホームページでの指 導 者用サイト 運営 」 (県内生涯学習・社会教育 関係職員等 の 事 業 企 画,研修等 に役立つ情 報の提供)と「指 導 者用 研修資料作 成・提供」 (生涯学習・社会教育 関係職員等 の 研修 に役立つ 資料 の 作 成・提供)が 挙 げられており,ホームページを利用した情報提供が 主に行われている。ちなみに,一 ヶ 月の 間 (平成 25 年 1 月 6 日 ~ 2 月 6 日),センタ ーホームページのトップ画 面閲覧件数 は 1,204 件 であり, 土 日の 閲覧数 が 少 ない。 そ の 他 ,月 1 回 のメールマガジンでは,「指 導 者・支援者向け情報」(県内の生涯学 習 振興・社会教育 関係職員 や 地 域で活 躍 する指 導 者・支援者の活動に役立つ情報) 「地 域の教育力向 上 」 ( 地 域の教育力向 上 に向けて 取 り 組ん でいる「 放課 後 子 ども教 室 」等 の 関係事 業についての 案 内)「家庭教育支援」(家庭の教育力向 上 に向けて 取 り 組ん で いる「家庭教育支援」の 関係事 業についての 案 内)を 3 本柱として, 2,119 件 に情報 を 配 信している(平成 25 年 2 月現 在 )。 まさに,「生涯学習 ば ,「家庭教育支援 事 業」であれ ば ,「『親の力』をまなびあう学習プログラム」 (通 称「親プロ」)講座 実 施 の 案 内, 「親プロ」ファシリテーターの活動 紹 介, 「親プロ」 講座 の様 子 が 挙 げられる。なお,メールマガジンはセンターホームページからも 閲覧 例え することができる。 なお,当センターのメールマガジンについては,平成 23 年 3 月 1 日にメール アド レ スを「 B CC」に 入 力す べ きとこ ろ , 誤 って「CC」に 入 力して 送 信し,受信者の メール アドレ スが 他 の受信者から 見 える 形 でのメール 送 信( 誤送 信)となり,当 該 メ ールを受信された方に 再 度メールを 送 信して,お 詫 びと 誤送 信したメールの 削除 を 依 頼 するという 事案 を 発 生さ せ ている。以降,外 部 の 複数名 に 対 して 電子 メールを 送 信 する 際 には, 宛 先を「 B CC」とし, 複数 の 職員 による 送 信 前 の チェ ックを 徹底 して メールマガジンを 配 信することとした。 今 後とも, 細心 の注意をはらい, 誤送 信の 再 発防止 に 努め るとともに情報 管理 の 徹底 を 図 っていかなけれ ば ならない。 そ の 他 ,センターからの情報 配 信で 留 意す べ きこととして,「情報の 鮮 度」と「情報 が手に 入 りにくい人への 配慮 」が考えられる。 「す べ ての人がインターネットを使える 環境や技術 レベ ルにあるとは 限 らない」ので, 「インターネットと 紙媒体 方法を 併 用す る ハ イ ブ リッ ド な情報 配 信が,こうした 時 代 だ からあえて 必 要」とある。 (参考文献 ⑩ ) 今 後は,スマートフ ォ ン以 上 のリ ア ルタイムな通信が可能なICTを活用した情報 提供にシフトしていくと考えられるが,ファシリテーターの方々は一般の方が多いた め ,ICTのみに 偏 らない情報 配 信(例え ば研修 会での 口頭 における情報提供, 紙媒 体 での 研修 成 果物配布 など)を 心 がける 必 要があると思われる。 4 ICTを活用した「親プロ」ファシリテーターへの活動支援にむけた課題 (1)ICTを活用した先進事例 P T A の活動に 地 域メ デ ィ ア を活用し,学校,会 員 ,役 員 双方向のコミュニケーシ ョンに役立てた 愛知 県 東郷町諸輪小 学校 P T A 会 長加藤久登 さ ん(当 時 )が,平成 19 年に「 ウエブ サイトは そ れ ほ ど利用していない …携帯電話 はこれからもっと利用 形態 が 変 わる」「 パソ コンに代わり,インターネット端 末 として 急速 に普及する」「 携帯 を 基 本としたメ デ ィ ア コンテン ツ を考えて 有効 に活用」すると語っていたように(参考 文献 ⑪ ), 今 や,スマートフ ォ ンの 出荷台数 は パソ コンを 上回 り, 市 場 予測 では平成 26 年度 末 には, 携帯電話 の 過 半 数 がスマートフ ォ ンユー ザ ーになると 言 われている。 パソ コンと 同じ ようにインターネット 上 のあら ゆ るサービスに ア クセスできるスマー トフ ォ ンは 不 可 欠 になっている。(参考文献 ⑫ ) 家庭教育支援に 関 して, 佐賀 県では,平成 22 年度から「 協働 提 案型 家庭教育支援 ネットワーク 推進事 業」子 育て・家庭教育支援 関係 の 市民 社会 組織(「C SO 」)の「こ エ ン パ ワメントさが」と 佐賀 県文化・ス ポ ー ツ部 まなび 課 と 協働 で 事 業を 推進 し ており,平成 23 年度からはICT(フ ェ イス ブ ック)活用と オ フライン活動を 組 み 合わ せ たネットワーク構 築 に 取 り 組ん でいる。特 徴 としては,①ICT(フ ェ イス ブ ック)で,いつでも,どこでも,情報 交換 ,情報提供,意 見交換 することができる。 お 互 いの 取組 を 知 り, 応 援し合うことができる。また,情報を 得 ることで, 興 味をも った 取組 に実 際 に参 加 するケースもある, ② 参 加 者 同士 が 直接 会って,ミーティング や 研修 会, 交流 会を持つことで, 継続 可能なネットワークを構 築 している。 交流 会で の情報 交換 がきっかけで,新しい活動につながるケースもあることの 2 点が 挙 げられ ている。(参考文献 ⑬ ) また,文 部科 学 省 では,平成 20 年からの 2 年 間 ,ITを活用した家庭教育支援方 策の一つとして,「 地 域 SNS ( ソ ーシ ャ ルネットワークサービス)」を活用し,家庭 教育に 関 するコミュニティを 設 け,親 同士 の 交流 を 促進 したり,学習 機 会への参 加 の 呼 びかけ, 相談等 を行う 取組 を実 施 するなど, SNS を活用した家庭教育支援 事 業を 推進 している。 このよう に, SNS を利用した 家庭教 育支援は国をは じめ 行 われている。し かし , 当センターでは,家庭教育支援 事 業は SNS を利用しては行わず,ホームページ 上 で 行っている。 昨 年度,ICTを活用した 研修 について,センターが 試 行的に実 施 した とこ ろ , 個 人プライ バ シー 保護上 の 問題 ( 無料 サイト使用 ゆ えのセキュリティーの 弱 さ)と,広島県としてふさわしくない内容の広 告 が 掲載 される 恐 れがあることから, ICTを活用した情報提供は,ホームページ 上 で行うことになっている(平成 24 年 4 月 16 日広島県立生涯学習センター「生涯学習 振興 ・社会教育 関係職員等研修 におけ るホームページの使用について」)。このた め ,ファシリテーターへの活動支援(情報 配 信)も,ホームページ 上 で行うことになっている。 (2)ネットワーク化(双方向化)にむけた課題 前述 のとおり,センターは,ICT(ホームページ)で情報を 配 信しているが,I CTのCの 部 分(コミュニケーション),双方向通信ができない点が 課題 である。 ICTを活用して,「 見 える化=可 視 化」を 進め ることで,「人のネットワーク」= 「信 頼 と 連携 」を強化し, 「情報化を通して人が 繋 がる」ことが活性化を生 む と考えら れるが(参考文献 ⑭ ),ホームページ だ けであると,人と人のつながりが意 識 できにく く,ファシリテーター 同士 のつながりを意 識 しにくい。 県としては,先 述 の 佐賀 県のように,家庭教育支援情報提供以外にも, 交流 会を持 つなどして,できる だ け会って 接 する 機 会の提供を行うことも 必 要 だ と思われる。 (3)ICTを活用した「親プロ」ファシリテーターへの活動支援の課題 現 在 ,ICTを活用したファシリテーターへの活動支援方法は,①ホームページ 「ファシリテーター活動支援(お役立ち情報)のページ」,②希望 者へのメールマガジ ども 配 信, ③ 家庭教育支援のホームページ更新 時 のメール 連絡 の 3 つである。 なお,一 ヶ 月 間 (平成 25 年 1 月 6 日 ~ 2 月 6 日)に,ホームページ「ファシリテ ーター活動支援(お役立ち情報)のページ」の 閲覧回数 は 110 件 で,平成 25 年 2 月 1 日現 在 ,メールマガジン 配 信 希望 者は 27 名 (平成 23 年度の県内ファシリテーター 登録 者 数 は 367 名 )である。 広島県では,広報課が,ツイッター・フェイスブックを利用した広報活動を行 っている。これらを活用することによって,県政情報の伝 達範囲 を広げ,情報が 口 コ ミ的に広がっていくことが目指されている。なお,広島県の ツ イッターのフ ォ ロワー は 約 11,000 人,フ ェ イス ブ ックは 約 2,500 人が「いい ね! 」をしている。 ツ イッタ ーやフ ェ イス ブ ックで 配 信したいネタがあれ ば ,生涯学習 課 の広報担当を通 じ て,広 報 課 へ提供する 必 要がある。 そ こで,ICT( SNS )を活用したお役立ち情報として, ツ イッターの情報量と 同じ く, 140 字に エ ッセンスを 載せ て,ホームページの「お役立ち情報」の ア クセス 数 を 増 やすた め に, 短 文でも 興 味を 引 くように情報 配 信をした場合,どのような 投稿 文が考えられるか 下 に 挙 げてみた。 ①ステップ ア ップ 研修 開 催 のお 知 ら せ ファシリテーターの 皆 さ ん必見!今 年度もやります ! ステップ ア ップ 研修! み ん なで「 寄 って」「 話 して」「 気づ き」まし ょ う ! (リンク) ②新規開発教材の案内 ★ 新 規 開 発 教 材★ ワーク・ライフ ・バ ランスの教 材 です !子 育てしながら 働 ける社会 を支えてみま せん か ? 教 材 はコ チ ラ → ( デ ータ) ③各市町 での 取組 ○○市 での「親プロ」 講座☆幼少児パパ ママ向け 講座 ,メインとサ ブ ファシリテー ターの役 割ほ か, ア イス ブレ イクも 楽 しさいっ ぱ い ♪ (リンク) ンの 5 おわりに 諭 す」立場(学校教育)から,「学習を支え,指 導 ,助言 する」立場(社会 教育)になって 10 ヶ 月が 経過 した。 望ん でやって 来 た社会教育ではあるが,以 前 の 立場から 抜 け 出せ ず,社会教育に通 じ る力量が 欲 しいと 痛感 する 毎 日である。 ICTは,いつでもどこでも 必 要な情報を 入 手できて,い ろ い ろ な人と 交流 できる 良 さがある。しかし,いかにICTや情報通信技術が 発 展しても, 相 手の 顔 が 見 えな けれ ば , 単 なる情報に 終 わり,生きた 熱 を持たない。人 づ くりができないと思う。 人 づ くりを行うた め に, 必 要なことは,人と人の 交流 を生 む こと,例え ば 県が主 催 するステップ ア ップ 研修 はもち ろん , 各市町 でファシリテーター 同士 の 交流 会が 自発 「教えて 市町 を 超 えて, 悩 みや考え,手法, 取組 を 共有 できるようなつながりを 生 む ことである。そ のた め に, 「 困 った 時 に役に立つ」 「新たな 気付 き,ヒ ントになる」 「 自 分の立ち 位置 を確 認 する」,そ して 何 よりも, 「力が 出 る」 「やる 気 になる」情報を ファシリテーターにお 届 けすることが大 切だ と思う。人と人の 交流 やつながりを意 識 でき, 「 あの人も 頑張 っているから 私 も 頑張ろ う ! 」と思える情報を 配 信していきたい。 ファシリテーターがど ん な情報を 欲 しがっているのか, 研修等 で 出 会った 際 ,会 話 の中から 聞 くことも大 切だ と思う。情報の内容によって 配 信手段をかえてもよい。 そ のた め にも,県内のファシリテーターの方々と信 頼関係 や 協 調 関係 を 築 いていけるよ うに 私自身努 力していきたいと思う。 的に行われ, 参考・引用文献および参考URL ① 山 本 恒夫 , 蛭田道春 , 浅井経子 , 山 本 和 人 編 『社会教育 計 画』文 憲堂 ,平成 19 年。 ②佐 々 木正治編著 『生涯学習社会の構 築 』 福村出版 ,平成 19 年。 ③国立教育政策研究所社会教育実践教育センター「新訂生涯学習概論ハンドブック」平成 21 年。 ④鈴木眞理,山本珠美,熊谷愼之輔(編著)『社会教育計画の基礎 新版』学文社,平成 24 年。 ⑤ 広島県生涯学習審議会答 申 「広島県におけるこれからの生涯学習の 振興 方策について」 ⑥ 県立生涯学習センター『 創 立 10 周 年 記 念 誌 』平成 4 年。 ⑦ 県立生涯学習センター『開 所 20 周 年 誌 新しい学びの 姿 を求 め て』平成 14 年。 ⑧ 「まなび ね っと」平成 3 年 6 月。 ⑨ 広島県立生涯学習センター要 覧 平成 5 年 ~ 平成 20 年。 ⑩財団 法人社会通信教育 協 会「生涯学習支援実 践講座 生涯学習コー デ ィネーター 研修 テキ スト Ⅱ 地 域学習情報活用の 理解 と技術 第 2 章 地 域学習情報の 収集 ,整 理 , 発 信の 技術」平成 21 年。 ⑪財団 法人 全 日本社会教育 連 合会「月 刊 社会教育」平成 19 年 2 月 号 。 ⑫公益 社 団 法人日本広報 協 会「月 刊 広報」平成 24 年 2 月 号 。 ⑬株式 会社国政情報センター「月 刊 生涯学習」 p.34~ p.35,平成 24 年 11 月 号 。 ⑭財団 法人 全 日本社会教育 連 合会「月 刊 社会教育」平成 24 年 6 月 号 。 ⑮白石克己,廣瀬敏夫,金藤ふゆ子編『ITで広がる学びの世界』ぎょうせい,平成 13 年。 ⑯財団 法人 全 日本社会教育 連 合会『社会教育』平成 19 年 2 月 号 。 ⑰公益 社 団 法人日本広報 協 会「月 刊 広報」平成 23 年 1 月 号 。 ⑱公益 社 団 法人日本広報 協 会「月 刊 広報」平成 23 年 3 月 号 。 注 1: http://www.toha-search.com/