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税務と経営ニュース 確定申告のポイント 1.譲渡所得の計算 不動産
2014.2 月 号 税務と経営ニュース № 345 上田悦弘税理士事務所 上田悦弘社会保険労務士事務所 ℡ 06(6941)3905 FAX06(6941)3909 http://www.kaikei-home.com/ueda-kaikei/ ☆☆☆☆☆ 確 定 申 告 の ポ イ ン ト ☆☆☆☆☆ いよいよ、今年も確定申告の時期となりました。不動産を売った人、マイホ-ムを買っ た人、医療費がかかった人、年金をもらっている人、商売をしている人等は、3月17日 までに「確定申告」をすることになります。そろそろ準備をはじめて下さい。 Ⅰ . 土 地 建 物 を 売 っ た 人 1.譲渡所得の計算 土地建物を売った人は、下記のような計算で譲渡所得の計算をして申告することになり ます。 不動産 売却代金 取得費 (購 入 費 用 ) 譲渡費用 (仲 介 手 数 料 等 ) 譲 渡 所 得 《取得費に含まれるもの》 1. 土 地 ・購入代金 ・仲介手数料 ・契約書の印紙代 ・登録免許税 ・不動産取得税 ・購入のための測量費用 ・古い建物の解体費用 ・土地の改良費 2. 建 物 ・建物の購入代金から減価償却費を引いた金額 建物の購入代金に含めてよい費用とは ・自分で建てた建物なら工事代金や設計料 ・工事確認申請料 ・建物の増改築費用 ・仲介手数料 3. そ の 他 ・土地建物の使用開始までに支払ったローンの利息、信用保証料 ・住宅ローンの公正証書作成費用や抵当権設定費用 《譲渡費用に含まれるもの》 ・仲介手数料 ・契約書の印紙代 ・売るための測量費、鑑定料 ・売るために居住者を立ち退かせるための立ち退き料 ・建物の取り壊し費用 - 1 - 2 . 居 住 用 財 産 を 売 却 し た 場 合 の 特 例 NO 譲渡資産は居住用財産ですか? YES NO 住宅取得特別控除の適用を受けていませんか? YES NO 所有期間が10年を超えていますか? YES NO 居住期間は30年 以上ですか? 居住期間は10年 以上ですか? NO YES YES NO 父母・祖父母からの 相続財産ですか? YES 買換資産の床面積は50㎡ 以上で、土地は500㎡以 下ですか?又、中古住宅で ある耐火建築物は築後25 年以内ですか? NO YES 3 0 0 0 万 円 特 別 控 除 (P4の 5参 照 ) ○ ○ ○ × 低率分離課税 ○ ○ × × (P3の 4.(2)参 照 ) 3 . 長 期 短 期 の 判 定 土地建物の所有期間により、税率が大きく変わります。その期間の判定は、譲渡のあ った年の「1月1日現在」で所有期間が5年を超えるものを譲渡した場合には長期譲渡 所 得 と な り ま す 。 し た が っ て 、 昨 年 2013年 度 で 売 却 し た 場 合 、 2 0 0 7 年 度 ( 平 成 1 9 年 ) 以 前 の 取 得 で な け れ ば 、 短 期 譲 渡 と な り ま す 。 - 2 - 4 . 税 額 計 算 (1)長期譲渡の税額計算 上記1により計算した譲渡所得金額から特別控除(居住用の3000万円控除) を引いた金額に下記の税率を乗じて計算する。 税目 所得税 住民税 合 計 課税所得 課税譲渡所得金額 15% 5% 20% (2)低率課税の税額計算 所有期間が、1 0 年 超 の 居 住 用 財 産 を 譲 渡 し た 場 合 の長期譲渡所得の税額計算は、上記1により計算した譲渡所得金額から、 3000万円特別控除を差し引いた金額に下記の税率を乗じて計算する。 税目 所得税 住民税 合 計 課税所得 6000万円以下の分 10% 4% 14% 6000万円超の分 15% 5% 20% (3)短期譲渡所得の税額計算 上記1により計算した譲渡所得金額に、下記の税率を乗じて計算する。 課税短期譲渡所得金額×39%(所得税30%、住民税9%) 5.居住用財産の特別控除 譲渡した土地建物が、自己の居住の用に供していた場合は、居住用財産の特別控除と して3 0 0 0 万 円 を譲渡所得から差し引くことができます。 また、本人が住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに 売ったときにも、この特別控除の適用が受けれます。 なお、この特例は確定申告が要件ですので、税額がでない場合でも住民票を添付して 確定申告をしなければなりません。 - 3 - Ⅱ . マ イ ホ - ム を 買 っ た 人 1.【住宅借入金等特別控除額の控除額】 居住年 H19年 居 住 どちらか 選択 期 間 10年 間 控除額及び最高控除額合計 ( 1年 目 ~ 6年 目 ) 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2500万 円 限 度 ) × 1 % ( 7年 目 ~ 10年 目 ) 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2500万 円 限 度 ) × 0.5% 15年 間 ( 1年 目 ~ 10年 目 ) 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2500万 円 限 度 ) × 0.6% ( 10年 目 ~ 15年 目 ) 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2500万 円 限 度 ) × 0.4% どちらも 通 算 最 高 控 除 額 合 計 200万 円 H 20年 居 住 10年 間 ( 1年 目 ~ 6年 目 ) どちらか 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2000万 円 限 度 ) × 1 % 選択 ( 7年 目 ~ 10年 目 ) 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2000万 円 限 度 ) × 0.5% 15年 間 ( 1年 目 ~ 10年 目 ) 選択制 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2000万 円 限 度 ) × 0.6% ( 10年 目 ~ 15年 目 ) 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2000万 円 限 度 ) × 0.4% どちらも 通 算 最 高 控 除 額 合 計 160万 円 H21年 、H22年 10年 間 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 5000万 円 限 度 ) × 1 % 通 算 最 高 控 除 額 合 計 500万 円 H23年 10年 間 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 4000万 円 限 度 ) × 1 % 通 算 最 高 控 除 額 合 計 400万 円 H24年 10年 間 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 3000万 円 限 度 ) × 1 % 通 算 最 高 控 除 額 合 計 300万 円 H25年 10年 間 住 宅 借 入 金 等 年 末 残 高 合 計 額 ( 2000万 円 限 度 ) × 1 % 通 算 最 高 控 除 額 合 計 200万 円 ※認定住宅の特例が別途あります。 ※住宅ローン等には、家屋の新築や購入とともにその敷地等の購入にかかるローン等で 一定のものが含まれます。 ※敷地等の購入に係る住宅借入金等の年末残高があっても、家屋の新築や購入に係る住 宅ローン等の年末残高がない場合には、住宅借入金等特別控除の対象とはなりません。 <控除を受けるための要件> (1)新築住宅 ①住宅取得後6ヶ月以内に入居し、引き続き居住していること ②家屋の床面積が50㎡以上 ③床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住の用に供されるもの ④控除を受ける年の所得金額が3000万円以下 ⑤民間の金融機関や住宅金融支援機構などの住宅ローンを利用していること ⑥住宅ローン等の返済期間が10年以上で、月賦のように分割して返済すること (2)中古住宅 ①上記1の要件に当てはまること ②その家屋の取得の日以前20年以内(マンション等の耐火建築物は25年以 内)に建築されたもの - 4 - ③建築後使用されたことがある家屋 (3)所得税から住宅ローン控除を引ききれなかった方 所得税の住宅ローンの控除を受けている方で、所得税から控除しきれなかった 額がある場合は、翌年度の住民税から控除できます。 2.長期優良住宅の新築等をした場合の投資型減税制度 住宅ローンを組まないで、自己資金で住宅等を取得する者など、住宅ローン控除 制 度 の 対 象 と な ら な い 者 で も 、 平 成 25年 ま で の 間 に 長 期 優 良 住 宅 を 新 築 又 は 取 得 し た 場 合 に 、 通 常 の 住 宅 よ り も 上 乗 せ し て 係 る 費 用 ( 上 限 650万 円 ) の 1 0 % に 相 当 する額を所得税額から控除できる投資減税措置が創設されました。 3.省エネ・バリアフリー等改修工事をした場合の投資型減税制度 平 成 21年 4月 か ら 平 成 25年 12月 31日 ま で の 間 に 、 既 存 住 宅 の 質 の 向 上 に 資 す る リ フ ォーム(一定のバリアフリー等改修工事、一定の省エネ改修工事及び一定の耐震改 修 工 事 ) を 行 っ た 場 合 に 、 工 事 に 要 し た 費 用 ( 上 限 200万 円 ) の 1 0 % に 相 当 す る 額 を所得税額から控除できる投資減税措置が創設されました。 Ⅲ . 年 金 を も ら っ て い る 人 厚生年金や、国民年金などの公的年金をもらっている場合は、下記の表の公的年金等 控除額を引いた金額が、雑所得となります。 その所得が、38万円以下であれば申告する必要がありませんし、また扶養親族の対 象となります。したがって、親に年金収入がある場合でも、65才以上(昭和23年1 月1日以前生)なら158万円以下、65才未満なら108万円以下の年金収入ならば、 扶養親族になります。 な お 、 公 的 年 金 等 の 収 入 額 が 400万 円 以 下 で 、 他 の 所 得 が 20万 円 以 下 で あ る 場 合 は 、 確定申告の必要はありません。ただし、住民税の申告は必要です。 所得金額=(公的年金等の収入金額)-(公的年金等の控除額) <公的年金控除額> 公 的 年 金 等 の 収 入 金 額 ( A) 65 330万 円 以 下 歳 330万 円 超 410万 円 以 下 以 410万 円 超 770万 円 以 下 上 770万 円 超 65 130万 円 以 下 歳 130万 円 超 410万 円 以 下 未 410万 円 超 770万 円 以 下 満 770万 円 超 控除額 120万 円 37.5万 円 + (A)× 25/100 78.5万 円 + (A)× 15/100 155.5万 円 + (A)× 5/100 70万 円 37.5万 円 + (A)× 25/100 78.5万 円 + (A)× 15/100 155.5万 円 + (A)× 5/100 - 5 - Ⅳ . 医 療 費 が 年 間 1 0 万 円 を 超 え る 人 医 療 費 控 除 は 、 1 年 間 に 支 払 っ た 医 療 費 関 連 の 支 出 が 1 0 万 円 ( 所 得 200万 円 未 満 の 人 は所得の5%)を超えていないと受けられません。 この金額を超える額が所得から控除されます(限度200万円)。ですから、今年支 払った医療費関連のうち、控除の対象になる医療費をモレなく集めることが1番のポイ ントになります。 まず、控除の対象になる医療費は、「生計を一にしている親族のために支出した医療 費」です。これは、本人はもちろん、一緒に暮らしている奥さんや子供など家族の分も まとめて控除できるということです。したがって、扶養親族でなくても(収入がある) まとめることができます。 《医療費控除の対象となるものの範囲》 ① ② ③ ④ ⑤ 対象となるもの 医師、歯科医に支払った診療費 通院のための電車、バス代 治療のための風邪薬、胃腸薬など 出産のための入院費 寝たきり老人のおむつ代 (「おむつ使用証明書」要) ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 対象とならないもの 通 院 の た め の 自 家 用 車 の ガソリン代 等 通常の健康診断 医師や看護婦への謝礼 里帰り出産のための帰省費 通常の近視や遠視のめがね代 美容目的の歯列矯正費用 診断書の作成費 《医療費から控除しなければならない保険金等》 1.社会保険等からの給付金 ①療養費 ②移送費 ③出産育児一時金(配偶者含)④高額療養費 2.生命保険会社等からの給付金 ①傷害費用保険金 ②医療保険金 ③入院給付金等 以上不明な点がございましたら、当事務所までお問い合わせ下さい。 - 6 -