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2009年受賞一覧
主催 環境ビジネスウィメン/環境省/総務省/日本政策投資銀行/三井住友銀行
eco japan cup 総合運営事務局
eco japan cup について ◇ eco japan cup のコンセプト
「エコビジネスの芽を見つけ、育てる」
一大エコプロジェクト
地 球 温 暖 化を抑 止し、人 類 が 住 み続けられる地 球を
守り、持続可能な社会を形成するには、経済そのものが今
官庁
までと違う価値観を持つことが重要です。豊かな経済が環
境を良くする社会、環境を良くする企業が経済を得る社会。
環境省・総務省
他
そんな
「環境と経済の好循環社会・日本」の実現を目指し、
官民協働事業として、
“エコビジネスの芽を見つけ、育てる”
コンテストが「eco japan cup」
です。
「eco japan cup」では、経済を支える「企業(ビジネ
ス)」
「 市民(ライフスタイル)」、それをつなぐ
「文化(カル
チャー)」の3つのカテゴリーを設け、経済活動に関わる
産業界
民間
日本政策投資銀行
三井住友銀行 他
環境ビジネスウィメン
他
すべてのステークホルダーを対象に、ecoをテーマとした
コンテストを実施。各部門で企業のニーズに合わせた賞を
設け、提供企業と受賞者が
“Win-Win”
となる企業賞を
提供しています。さらに、多数の大学と連携し、大学との
共同研究にふさわしいビジネスアイデアがあれば研究助成
を行うなど、産学官協働プロジェクトとしても、規模・内容
ともに他には類のない一大エコプロジェクトへと発展して
います。
グランプリを選出することが
目的ではないコンテスト
単なるコンテストではとどまらない。それが、
「eco japan
cup」の最大の特徴です。
〈主 催〉
一般社団法人 環境ビジネスウィメン
環境省
総務省
株式会社日本政策投資銀行
株式会社三井住友銀行
たとえば、ビジネス部 門の「 環 境ビジネス・ベンチャー
オープン」
では、一次審査を通過したビジネスプランには、
各方面の専門家によって、より充実したプランに発展する
〈eco japan cup 2009 実行委員会〉
よう、経営面、技術面、マーケティングなどについてのコン
委員長
山本良一
東京大学教授
サルティングアドバイスを行っています。受賞者にはビジネ
副委員長
木内 孝
サステナビリティ日本フォーラム会長
副委員長
崎田裕子
環境ビジネスウィメン代表理事
委 員
奥 真美
首都大学東京 都市教養学部
都市政策コース教授
ように大手広告代理店や専門のプロデューサーがバック
委 員
鈴木淳史
横浜国立大学大学院 環境情報研究院
人工環境と情報部門 教授
アップをする体制が整えられています。
委 員
佐藤耕司
三井住友銀行経営企画部CSR室長
委 員
前田正尚
日本政策投資銀行設備投資研究所
地球温暖化研究センター主任研究員
委 員
石飛博之
環境省総合環境政策局環境経済課長
委 員
黒田武一郎
総務省地域力創造グループ地域政策課長
委 員
市川雅一
内閣官房地域活性化統合事務局次長
委 員
大塚 洋
国土交通省総合政策局環境生活課長
委 員
西郷正道
農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課長
委 員
村田 有
経済産業省環境政策課環境調和産業推進室長
委 員
盛田明彦
日本経済新聞社イベント事業本部長
スマッチングの機会も提供されます。また、カルチャー部
門、ライフスタイル部門においても、荒削りでも可能性を
秘めた作品・アイデアについては、今後のビジネスにつながる
つまり、
「eco japan cup」は、賞を争うだけの単なる
コンテストで終わるものではありません。エントリー者のみ
ならず、ここに集う企業や団体を含めた、すべての参加者
の
“出会いの場”
となり、相互に連携し、影響し合うことで、
エコビジネスの芽を大きく育てていく。そして、そこから
新たな経済価値を創り出し、日本発、世界の経済をエコ化
する!それが、
「eco japan cup」の目的なのです。
実行委員長のご挨拶
2009年7月、
イタリアのラクイラ・サミットで世界の指導者は科学者が提唱する世界の平均気温
の上昇を2℃以下に抑える、いわゆる「2℃ターゲット」を明確に認識し、実質的に合意しました。
これは世界は100年で、先進国は50〜60年でゼロ・カーボン・エコノミーを目指すことを意味す
る画期的なものであります。
鳩山総理は9月の国連演説でこの国際潮流をリードする1990年比25%減の日本の新たな中
期目標を発表しました。時代は低炭素社会へ向けて大転換を遂げつつあり
「eco japan cup」
が今年も飛躍、発展しつつあることは喜びにたえません。
eco japan cup 2009 実行委員長
東京大学教授
山本良一
主催者からのご挨拶
「eco japan cup 2009」が盛大な表彰式を迎えられましたことに、心よりお慶び申し上げます。
本年9月22日に行われた国連気候変動首脳会合では、鳩山総理は、科学が要請する水準に基づ
くものとして、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組み及び意欲的な目標への合意
を前提として、2020年までに温室効果ガスを90年比25%削減するとの野心的な目標を発表しました。
そして、
この目標を達成するための取り組みを「チャレンジ25」
と名付け、鳩山総理のリーダーシッ
プの下、あらゆる政策を動員して、推進しています。
この「チャレンジ25」は、
国民の皆様や産業界に「ガマン」
を強いるものでは決してありません。
今より快
適で住みやすい暮らしを実現し、
地域を元気にするとともに、
日本のエコ産業の躍進を目指すものです。
今や、
これまでの「価格」による競争に加え、
「環境」
というファクターによる競争の時代が来てい
環境大臣
小沢鋭仁
ます。環境対策をコストの増加ととらえるのではなく、むしろ、
ビジネスチャンスととらえている企業経
営者は増えています。
過去にも、石油ショックの時に産業界は本当に苦しい状況に陥りました。
また、公害問題が激しく
なり、厳しい排ガス規制も導入されました。
しかし、各企業が頑張って省エネ技術を磨き、乗り越える
ことで、それが今日の日本の経済・産業の強みになっています。
気候変動問題への取り組みを進め、
日本経済を発展に導くためには、マーケットを環境ビジネスで
変えていくことが必要です。そのための取り組みの一つとして、環境省は、総務省、環境ビジネスウィ
メン、
日本政策投資銀行、三井住友銀行と一緒になって「eco japan cup」を主催しています。
この事業により幅広い分野で環境保全に役立つ新たなビジネスが次々に生まれ、気候変動問題
の解決に向けた大きな力となることを願っております。
関係各位の今後益々のご活躍を期待しております。
地球温暖化は人類と地球上のあらゆる生物の生存に関わる脅威であり、我が国は世界の先頭に
立って、
その解決に向けた道筋を切り拓くことが求められています。
鳩山内閣は、温室効果ガスを2020年に1990年比で25%削減する目標を掲げました。
総務省としてもICTを最大限利活用することで大幅なCO2排出量削減を目指す取り組みを推進
します。
また、鳩山内閣の重要政策である「地域主権改革」を実現するため、地方が森林、水等の
豊かな自然環境、地域において生産される食料、再生可能なエネルギー、
あるいは歴史文化資産
総務大臣
等の地域資源を最大限活用する「緑の分権改革」を推進し、地域の自由と自給力を高める地域主
原口一博
権型社会の構築を進めたいと考えています。
このように「緑の分権改革」は、
それぞれの地域がこれ以上地球環境を損なうことなく、新たな価
値観の下で地域の「絆」を再生し自立することを目指すもので、持続可能な社会の実現の観点から
も積極的に取り組んでまいります。
産官民協働で環境と経済の好循環を目指す「eco japan cup」の活動は、地球環境を守る上で
注目すべきものです。今回応募された皆様の活動が、環境共生・循環型社会の早期実現に寄与さ
れるものと心から期待しております。
1
主催者からのご挨拶
「eco japan cup」
も第4回を数えるようになりました。
ここ数年で、企業、個人、団体の環境
意識が格段に高まった現実に、
「 eco japan cup」が果たした役割は決して小さなものではご
ざいません。
ご協力を賜っております関係者のご労苦と熱意に、主催者の一人として心から
の敬意と謝意を表したく存じます。
少資源の島国・日本にとりまして、環境保全はもとより、低炭素社会の構築は国家の安全保
障上も、不可欠な要素といえましょう。つまりチョイスではなく、必然というべきなのです。
そのためには企業を柱とする技術革新とともに、
この国を自ら守っていこうとの意思を持っ
た個人の環境意識が最大のエネルギーとなります。伝統的に「もったいない」の「心」を有し、
省エネ技術などの「技」、そして温室効果ガス25%削減を実現するための制度、つまり
「体」
環境ビジネスウィメン顧問/
衆議院議員
小池百合子
と、今こそ日本のもてる力を総合した「環境力」に磨きをかけねばなりません。
新技術、新発想のインキュベータとしての「eco japan cup 2009」の成功を確信しながら、
真の環境立国への道筋を確かなものにしてまいりたく存じます。
産業公害対策、2度に亘るオイルショック対策としての省エネ・エネルギー転換に始まり、気
候変動対策、
リサイクルの推進、健全な水循環の確保、そして生物多様性問題への対応と、
環境対策は時代を超えて常にわが国の経済社会の大きな課題となっています。そして、
この
問題に対する果敢な挑戦の積み重ねが、
日本企業の社会的責任(CSR)の基調を成してい
るのは今更申し上げるまでもありません。
「eco japan cup」は、
こうした環境対策の長い歴史を踏まえ、
「 本業を通じて環境対策に
貢献したい」
という思いの発露である環境ビジネスを多面的に支援する企画です。産業公害
対策融資に始まり、最近では環境格付融資など、長きに亘り日本の環境対策を金融面からサ
ポートし、環境金融の拡大に取り組んでいる日本政策投資銀行の経験が本企画の成功に少
日本政策投資銀行
代表取締役社長
室伏 稔
しでもお役に立てばと考えております。
7月のラクイラ・サミットで先進国全体として2050年までに温室効果ガス排出量を80%削減
するとの目標が支持されるなど、環境問題は世界が解決すべき最優先の課題として常に議
論の場にあがっております。弊行は環境問題に対する取り組みを、本業を通じビジネスとして
成立させていくことに大きな意義があり、
その解決に新しい道が拓けると考えております。
4回目となる「eco japan cup」はまさに「環境と経済の好循環社会・日本」の実現を目指し
た産・学・官・民連携による協働事業であり、
その社会的な意義は極めて高いものがあります。
今回も環境ビジネスに注力しているさまざまな企業のご参画を受け、昨年に増して一層素晴
らしい環境アイデアが寄せられ、1,300件を超える応募がありました。
三井住友銀行としても引き続き、環境ビジネスを発掘・育成する取り組みを継続してまいりま
す。
キーワードは「サステナビリティ」です。
この「eco japan cup」が環境ベンチャーの登竜門
を目指して一層意義あるイベントとなっていくことを大いに期待しております。
2
三井住友銀行
頭 取
奥 正之
eco japan cup 2009 受賞者
ビジネス部門
ロールモデルというべき環境ビジネスに成功した企業を選定し表彰
環境ビジネスアワード
環境ビジネスアワード 2009
『地熱バイナリー発電』
九州電力株式会社
九州は地熱資源に恵まれており、国内最大規模の八丁原発電所(110MW)
をはじめ、九州電力
株式会社の地熱発電設備容量は約210MWと全国の地熱発電設備容量の約2割を占めています。
2006年4月には、八丁原発電所構内において、地熱バイナリー発電方式としては国内初となる八
丁原バイナリー発電所(2MW)
の営業運転を開始しました。
「地熱バイナリー発電」
とは、従来の発電方式では利用できなかった低温の地熱エネルギーを、低
沸点媒体との熱交換で回収し、得られた低沸点媒体蒸気により発電する方式です。本方式の普及に
よって、貴重な純国産エネルギーである地熱をより有効に活用できると考えています。
地熱発電は、他の再生可能エネルギーに比べ、年間・昼夜を通じて安定した電気を供給できます。
今後も引き続き、地熱資源の有望地点における現地状況など新たな開発に向けた調査・情報収集を
行ってまいります。
事業用地熱バイナリー発電としては国内初の八丁原バイナリー
発電所
環境ビジネスアワード 2009
『NAS電池事業』
日本ガイシ株式会社
「電力は貯められない」
という従来の常識を覆し、大容量の電力貯蔵を実現したNAS(ナトリウム硫
黄)電池。高出力・大容量(数百メガワット、6時間以上)、高エネルギー密度(鉛蓄電池の約3倍)、高
速応答性(2ミリ秒)
などの特長があります。
1984年から東京電力と共同で開発に取り組み、独自の高度なセラミック技術を駆使して世界で初
めて実用化に成功。2003年から量産を開始し、
これまでの納入実績は国内外で200カ所以上、累計
出力で300メガワットを超えています。
そのアプリケーションは電力需要家での負荷平準によるエネルギーコストの削減に始まり、風力・太
陽光発電などの再生可能エネルギーの出力安定化、電力負荷の平準化による発電所の運転効率化
などに拡大し、CO2排出抑制による地球温暖化防止に貢献しています。
いま話題の「スマートグリッド
(次世代送電網)」の構築にも不可欠な技術とされ、世界中から注目を
集めています。
日本ガイシ本社工場で稼働しているNAS電池システム
【ビジネス部門】環境ビジネスアワード
[審査員代表コメント] 敬称略
木俣信行 鳥取環境大学 教授
今回のビジネスアワードは特に、危機的
状況が迫る地球温暖化に真正面から取り
組むわが国の産業の実態を社会にアピー
ルしたいという狙いから、温暖化対応の取
り組みに重点を置いて評価を行った。審査
の過程で、夫々の産業分野での地球温暖
化に関する緩和策や適応策にかかわるさ
まざまな取り組みが進められている姿を見
ることができたことは、環境立国を標榜する
わが国にとって心強く感じられるものであっ
た。結果的に今回の二つの取り組みを表
彰することになったが、そこで感じられたこ
とは次のとおりであった。
太陽光発電や風力発電の技術的資源
量は、世界全体の一次エネルギー消費量
の5倍に達すると考えられている。
しかしな
がらその出力が大きく変動することから、
こ
れらの再生可能エネルギーの有効な活用
には出力の安定化が常に求められる。
日
本ガイシのNAS電池事業は、電力出力の
安定化の中核となる大容量のナトリウム硫
黄電池を供給するものであるが、
その電解
質部分に同社が永年培ってきセラミックス
の技術を活用して自己放電を除き高い蓄
電効率を実現したことは、再生可能エネル
ギーの安定性を高め、脱炭素社会構築へ
貢献するという面は勿論だが、企業のコア
コンピタンスを活かし競争優位を築くという
わが国の戦略技術経営推進の意味でも、
大変に意義のある取り組みであると考えら
れた。
一方、再生可能エネルギーによる発電
の中でわが国の地熱発電は90年の歴史
があるものの、発電量としては国内の0.3%
にとどまっている。
しかしながら地熱発電を
マクロな技術的資源量でみると、太陽光
発電に対しわが国でも2~3割程度に達
し、世界的では3倍にもなると見られてい
るのである。更に、マグマ発電が可能とな
ればわが国の潜在資源量は6,000GW、
全電力需要の3倍近くになると推定されて
いる。
このように将来の大きな可能性を含
む地熱発電に九州電力はこれまで地道に
取り組んできているが、今回はその取り組
みの中で、バイナリー発電により地熱の効
な行動が問われている。そのための取り組
率的利用を図ることで、
わが国における地
みは、広範であり多様である。
このさまざま
熱発電の可能性を大いにアピールするこ
な分野、
レベルで展開される環境問題への
とが出来ると考えられる。
取り組みを掘り起こし社会に伝え、萌芽状
これらの技術は、
「2050年までに先進国
態の取り組みを励まし育て世界に広げる
のCO2削減80%」を達成することにとって
仕組みをしっかり築き運用することもまた、
必要不可欠かつ中核になる取り組みであ
環境対策として不可欠である。
る。何れも技術の普遍性は高いものであり、
この「eco japan cup」は、その重要な
これらを更に発展させ進化させると共に世
役割の一端を担っている。今後も、迫り来
界に広げてゆくことで、
2050年の目標達成
る人類の危機を克服するための世界を
は勿論、最終的に世界を脱炭素社会に導
挙げての取り組みが、
より本質的かつ積
くのに大いに貢献するものと期待される。
極的に進められるよう、
この「eco japan
また、産業分野は異なるものの、何れも
cup」が大いにその役割を果たしてゆくこ
夫々の事業の歴史の中でコアコンピタンス
とを期待したい。
を磨きあげて、今日求められるゼロカーボン
〈審査員〉
社会の実現に不可欠の技術に発展させて
環境ビジネスウィメン顧問/
いることは、将来ともども
「ものづくり」、
「技
衆議院議員
小池百合子
術」に産業のサステナビリティを懸けている
わが国にとって、大いに勇気づけられる取
東京大学教授
山本良一
ecojapan cup 2009実行委員長
り組みであると、審査を通じて思われた。
白石順一 環境省総合環境政策局長
今日、地球環境問題、取分け世界の喫
緊の課題である地球温暖化を緩和しこれ
日本政策投資銀行設備投資研究所
前田正尚
に適応するには、人類の英知の活用、適切
地球温暖化研究センター主任研究員
3
個人事業者・NPO を含む中小企業・ベンチャー企業から環境ビジネスプランを募集
ビジネス部門 環境ビジネス・ベンチャー オープン
大 賞 賞金300万円
『耕作放棄地を減らして環境理解の場「体験農園マイファーム」へ!』
株式会社マイファーム
現在、農業従事者の高齢化と後継者不足に伴い、耕
作を放棄された農地「耕作放棄地」が日本全体で約40万
ヘクタールも存在すると言われ、年々増加の一途を辿って
いる。一度開墾された農地は簡単には自然に還らず、荒廃
した農地は地域の景観を損なうだけでなく、害虫の温床や
産業廃棄物の投棄場所となるなど、地域全体の環境にも悪影響を与えてい
る。
一方で、食に対する不安やスローライフ志向などを背景に、消費者の食
への安心・安全や自給自足生活への興味から農業への関心が高まりをみせ
ているが、実際に農業に触れられる機会は少ない。
こうした状況を踏まえ、耕作放棄地を農地として再生し、就農希望者に農
業の知識・技術を伝える場所として、
あるいは消費者に農業を楽しんで学ん
でもらう場所として活用する管理人付き体験農園「マイファーム」
を考案。現
在、全国36農園を運営している。
「マイファーム」では、
リメイクした農園を一般消費者が利用する
「農園利
用方式」
を採用し、利用者に対する農業の指導や作物の管理を代行してい
る。また、定期イベントや収穫作物の買い取りなどを実施するほか、食の安全
を確かなものとするため「 無農薬 」
「 無汚染 」
を掲げ、立命館大学との産学
連携によって「土壌調査診断」
を実施している。
今後は、
「生産する農業」のトレーニングを通して耕作放棄地解消人とな
る就農希望者の育成を図るとともに、作物の販路保証や農地提供など、サ
ポート体制の充実化を目指す。
敢闘賞 賞金100万円
『新規微細藻類による二酸化炭素吸収、バイオマス固形燃料発電事業』
株式会社日本バイオマス研究所
火力発電、原子力発電をはじめ、
日本はエネルギー源の大部分を海外から
の燃料輸入に依存している。また、
日本国内の電力会社10社による2008
年度の二酸化炭素排出量の合計は39,500万トンで、排出枠を購入して
6,400万トンを相殺している。
「新規微細藻類による二酸化炭素吸収、バイオマス固形燃料発電事業」
では、二酸化炭素吸収能力が高く、糖類を代謝する新規微細藻類を培養・乾
燥させて高熱量固形燃料を製造する技術を開発。火力発電所から排出される
二酸化炭素を新規微細藻類で吸収し、生成した藻類から高熱量固形バイオ
マスを製造。それをバイオマス発電所に利用することで、発電所から発生する
二酸化炭素の削減を実現している。
現在、大規模な二酸化炭素削減方法として注目されている二酸化炭素地
中貯留は設置箇所が限定されることに加え、付加価値がない。二酸化炭素
排出枠の購入も、途上国での排出需要が増えているため、将来的に取引価
格の高騰が危惧されている。
こうした現状に対して、藻類バイオマス発電所は、設置場所を選ばず二酸
化炭素排出量を削減することができるうえ、海外からの燃料輸入を必要とせ
ず、
自国内でのエネルギー生産を可能とする技術であり、
エネルギー自給率の
向上とともに低炭素化社会の実現に寄与することが期待されている。
【ビジネス部門】環境ビジネスベンチャー
[審査員コメント]敬称略
北野 大 明治大学大学院 教授
奥 真美 首都大学東京 都市教養学部都市政策コース 教授/
eco japan cup 2009実行委員
鈴木淳史
横浜国立大学大学院 環境情報研究院 人工環境と情報
部門 教授 /eco japan cup 2009 実行委員
今年目立ったのは若い人が参加して
年々質 的にレベルが上がり、益々多
起業家の多彩なプレゼンに熱意を感
くれたことです。皆さん一生懸命で自信
様なアイデアが増えてきました。特に地 じました。特に、農 業、生 物 多 様 性 、未
を持っており、環境のためになるんだと 域 密 着 型で地に足の着いた( 株 )マイ 利 用資 源の活 用などの重 要 課 題を取
いう強い信念を感じました。特に大賞の ファームの休 耕 地を利用した発 想と志 り上げたテーマが多く、若い方や地 域
( 株 )マイファームは環 境 教 育 や 地 産
は、全国展開できるプランですし、
( 株) 発のグローカルな活動も印象深く感じま
地消という視点だけではなく、高年齢化
ア・ダンセは社会的な貢献やグローバル した。今 後のベンチャーオープンは、温
社会を迎える日本において環境以上の な連携を目的としたプランでとても印象
暖 化 防 止のためのC O 2 削 減の中期目
大きな意 味 がある事 業だと思います 。 に残りました。今 後は目から鱗のプラン 標を達成するための環境技術、そのた
今 後は「 環 境 」という生 活 者の問 題を を期待するのはもちろんですが、環境と めのエコイノべーションの中でも、従 来
いかにビジネスに結びつけることも大事 ビジネスは両立する…というよりは一体
の枠にはまらない画期的・革新的な「エ
ですが、環境活動につながる広い意味 となりうることを世の中に実 証 するアイ コビジネスの新しい芽を見 つけ、育て
で人間の生き甲斐などの視野をふまえ デアを期 待 すると同 時に、
日本の技 術
る」
という
「eco japan cup」独自のコン
たベンチャーや審査員をうならせるよう やノウハウ、文 化 、価 値 観を世 界に発
セプトに沿ったプランに期待したいと思
なアイデアをさらに期待しています。
この
信する大きなきっかけになるような事業
います。
「eco japan cup」が環境ビジネスの を期待しています。
登竜門になるような、そして社会的に信
用される制度が位置づけられればと思
います。
4
國領二郎
慶應義塾大学 インキュベーションセンター所長 総合政策学部長
非常に真剣で多彩な素晴らしい取り
組 みがたくさんあり、選 考は非 常に悩
みました。
まだ新しい事業からすでに広
く本 格 的に展 開されているものまで質
の高い内容でした。
( 株)
ア・ダンセは壮
大なスケールで、
また(株)
日本バイオマ
ス研究所は世界規模で展開しており、
これから大変なことがたくさんあると思
いますが頑張って大きく育ってほしいと
思いました。今年の応募内容の特徴は
エコという観点だけではなく社会システ
ムの中でソーシャルビジネスの色 合い
が強いものが多く、今後もぜひ大きなス
ケールで、そして技術的に優れたもの、
ビジネスの組み立てが革新的、地域や
社 会 的な構 造の中で構 築 する……な
どなどいろいろな方に応募してほしいと
思います。
応募総数94件
三井住友銀行賞
賞金50万円
『設備電源自動遮断装置』
有限会社仲田種苗園
工場等で幅広く使用されている産業用設備の電源の遮断は、
メインブ
レーカーを人手で遮断する方法が一般的であるため、電力コストや省エネ
の観点から問題があった。この点に着目し、生産計画に合わせた定時遮
断 機 能 、生 産 状 況に合わせた自動 運 転 後 遮 断 機 能 、無 動 作 検出遮 断
機能など搭載し、設定状況に応じて設備の電源を自動で確実に遮断する
「 設 備 電 源自動 遮 断 装 置 」を開 発 。本 装 置は、一 度 設 定すれば自動で
確実に設備の電源を遮断するため、手間や切り忘れがなく、電源をこまめ
に遮断することを実現。産業用設備の無駄な待機電力を抑止することで
電力コストを削減すると同時に、節電によるCO2排出削減を促進させる
ことで、未来の地球に貢献することを目指す。
環境ビジネスウィメン賞
賞金10万円
『ブルキナファソにおける住民森林管理グループ生産
のシアバター使用石鹸販売事業』
株式会社ア・ダンセ
世界最貧国のひとつであるとともに、深刻な砂漠化と著しい森林消失が
進む西アフリカ・ブルキナファソにおいて、HIV/AIDSや貧困に苦しむ女性
たちを支援する現地AIDS対策市民組織の石鹸研修所と協力。当該石鹸
研修所にて、JICA住民参加型持続的森林管理プロジェクトが支援する住
民森林管理組織が生産するシアバターを原料とした石鹸事業を開始した。
日本の老舗石鹸製造所「丸菱石鹸」の技術協力と検査体制を提供するこ
とでものづくり技術を支援するとともに、販路開拓をサポート。一過性にな
りがちな慈善事業としてではなく、持続的な収益事業として成長させること
で、森林保全、AIDS対策、貧困削減などの問題に対して、安定して貢献で
きる事業となることに期待が寄せられている。
株式会社環境ビジネスエージェンシー代表取締役/ NPO 法人
環境リレーションズ研究所理事長/環境ビジネスウィメン理事
これまでは環境側面からみたベネフィット
のみを訴求した応募案件が圧倒的に多かっ
たが、今年はしっかり事業性を訴求した質の
高いものが多かったように思います。大賞の
(株)マイファームは同じようなビジネスモデル
は他にもあると思うが、上流から下流までトー
タルに捉えて、
リピーター獲得や有機野菜の
販売ルート構築までをしっかり考えて展開され
ているのが素晴らしかったです。主催者であ
る環境ビジネスウィメンとしては、紅一点で輝
いていた(株)ア・ダンセを選びました。環境問
題のみならず、エイズ、貧困、ジェンダーなどさ
まざまな社会問題をすべて見据えた国際活
動の延長線上でのビジネス展開を考えている
女性創業者の、並々ならぬパワーに圧倒され
ました。今後は「環境とICTの融合」がテーマ
のエントリーがもう少し増えてほしいですね。
こ
の分野が増えないと環境ビジネスのボリュー
ム感が出ないのではないかと考えております。
賞金50万円
『地域性種子を活用した都市の生物多様性の復元』
清和工業
鈴木敦子
JP 地域共存ビジネス賞
中谷隆之
日本政策投資銀行事業開発部次長
日本における起業精神の底力を実感した
審 査 会でした。大 賞、敢 闘 賞も素 晴らし
かったのですが、
( 株)HYPER DRIVE
様の波力発電には感銘しました。特にヨー
ロッパでの活動が中心とされておりますが
日本への展開も期待したいと思います。今
後は省炭素化社会を目指す困難さはある
と思いますが、無理したエコではなく、新し
いビジネスチャンスに向け前向きに取り組
む環境活動や、来年の名古屋での生物多
様性条約COP10に着目したものにも期待し
ます。環境ムーブメントとビジネスの融合を
応援するこの「eco japan cup」が更に大
きく広がってほしいと思います。
佐藤耕司
三井住友銀行経営企画部CSR室長/
eco japan cup 2009実行委員
今回はソーシャルビジネスプランや生態
系 保 全に言 及したプランなどテーマが
多 岐に渡っていることが印 象 的でした。
現在、都心部では屋上緑化や壁面緑化の推進などによって緑化面積
自体は増 加しているが、コスト面から単 調な緑 化 資 材が多 用されている
のが現状であり、生物多様性の復元までを視野に入れた事業はまだ少な
い。世界的に「生物多様性」への取り組みが注目されている現在、本プロ
ジェクトでは、地域性種子のシードバンクを利用して在来の野草種を寄せ
植えし、50種程度の植生の復元を可能とした植生マットを開発。
さらに地
域の植生区域に沿ったオリジナルの植生マットの開発を推進することで、
生物多様性の拡大を目指している。また、都市近郊はもちろん、地方にお
いても激減傾向にある在来野草種の保存・繁殖という点からも、
ビジネス
拡大に期待されている。
技術審査員
(GE)特別賞
賞金10万円
『世界初! 高効率・低コストの波力発電システム
「人工筋肉波力発電」
』
株式会社HYPER DRIVE
欧米を中心に、海洋エネルギーを利用した波力発電システムが注目され
ているが、現在の発電システムは効率が悪いうえ、建設やメンテナンスにコ
ストがかかるため実用化には至っていない。これに対し、
「人工筋肉」
と呼
ばれるゴム状の素材を利用し、波のようなゆっくりとした運動からダイレクト
に電気エネルギーを取り出す「 EPAM(人工筋肉)波力発電機 」
を開発。
高効率・低コストの発電システムを実現した。これまで電力ニーズがあったも
のの設置が難しかった水産養殖用途等に対する小型発電システムを展開
することも可能となった。
さらに大型発電システムへの活用も視野に入れ、
波力発電市場におけるスタンダード技術として世界的に認知されることを目
指している。
SMBC賞を受賞された清和工業様は、産
業 用設 備の自動 的な省エネを推 進 する
点が評価され、環境ビジネスに必要とされ
る横展開も今後期待されます。
また、
ア・ダ
ンセ様のようなアフリカの砂漠化を防ぐと
いう壮大なプランも印象に残りました。
「ヒ
ト・モノ・カネ」全てがグリーンに染まってい
くこの時代、
「eco japan cup」の理念で
ある「日本発、世界の経済をエコ化する!」
の実現のために、個人及び企業のコラボ
レーションやグローバル化に一 層 期 待し
たいと思います。
〈技術審査員〉
GEグローバルリサーチセンター
ジュリアナ シェイ 日本代表
「テクノロジーで環境問題を解決し、成
長を可能にする」ためには、利益性のある
ビジネスが鍵となります。
また、他の技術と
のパートナーシップなど、オープンイノベー
ションの視点も欠かせません。本年度はグ
ローバルでの実用化を視野に、優れたイ
ノベーションを持つ企業が数社見られまし
〈団体審査員〉
(株)
日本政策投資銀行/(株)三井住友銀行/(株)
日本総合研究所/環境ビジネスウィメンメンバー
た。今後の「eco japan cup」には、世界
の環境問題を解決するために、
日本の技
術と知恵、頭脳を集約し、
さらなるビジョンと
リーダーシップを期待します。
日本郵政グループ
「JP地 域 共 存ビジネス賞 」は 、全 国
津々浦々まで、地域に根ざした事業を展
開する日本郵政(JP)グループが提供する
にふさわしい賞ということで、
「地域に根ざ
した環境保全事業」及び「地域既存の生
物との共存を意識した事業」を対象として
います。今回の(有)仲田種苗園さんは、
4 0 年 間 地 域にこだわった事 業 理 念を貫
き、
また、そこで涵養された取り組みが地
元石川町のまちづくりにも活かされている
ということが、賞のコンセプトにぴったり合
致したことから選定いたしました。今後は、
これまでの取り組みを活かした環境分野
での取り組みの幅の広がりや、次世代育
成にかかわる取り組みの継続が見られれ
ばさらに素晴らしいと思います。
5
eco japan cup 2009 受賞者
持続可能な社会を促進するための製品デザイン、CM などの商用・実用デザインを募集
カルチャー部門
エコデザイン
応募総数124件
賞金100万円
グランプリ 100PG(2)柳沼 広紀 / 小田 兼弘
『Tef-Tef Garden』
受賞作品 花壇や菜園は人間のためだけでなく、他の生き物たちにとっても最高に
素敵な楽園にしたい。そんな思いから、野菜や花の種を植えるという行為を
ユーザーの楽しさを失うことなく、蝶の視点から見直した作品。
水溶性の再生紙に蝶や植物のグラフィックを施し、蝶の食草となる植物
の種子を挟み込んで作られたシートは、庭や花壇などに敷くだけで、難しいと
される蝶を育てる環境を、誰でも手軽に作り出すことを可能としている。
準グランプリ
榎本 文夫
賞金50万円
有限会社 榎本文夫アトリエ代表 /
駒沢女子大学人文学部空間造形学科教授
『竹のイス』
受賞作品 里山の荒廃を引き起こすなどの問題を持つ竹を再び日本人の生活道
具の素材として活用し、里山保全と地球温暖化に貢献するいう発想から
デザインされた作品。身近な素材である竹を活かすことで、家具用材の不
法伐採や海外からの輸送に掛かるエネルギーコスト、およびそれに伴う二
酸化炭素削減にも効果があると考えられる。
審査員応援賞 久保井 たけし
『ハンカチバッグ』
受賞作品 「ハンカチがバッグにもなれば便利ではない
か」
という発想から考案。いつでも携帯できる
軽くてコンパクトなエコバッグとして、ハンカチと
同じ感覚で常に持ち歩き使い続けることで、
レ
ジ袋の削減に
繋げることを目
的としている作
品 。ハンカチ同
様にさまざまなカ
ラーやパターン
の バリエーショ
ン展 開も考えら
れ、その可 能 性
に期待される。
6
渡邊 宇顕
『えんジョイ!』
受賞作品 「えんジョイ!」は、何通りもの形が子どもの手
によって創り出される、玩具のような鉛筆立て。
室内で散らかした鉛筆を、楽しく片付けられる。
バナナ生産国で年間10億トンも大量破棄され
ているバナナの茎から抽出されるバナナ繊維を
活用することで、子ども達にecoを根付かせると
ともに、バナナ原 産 国の雇 用 促 進にも繋がる
可能性を持った作品。
賞金各10万円
Kim do yeop
『Sympathy water tab』
受賞作品 水 資 源の節
約 は 世 界 にお
いて重要なテー
マ の 一 つ であ
り、多くの 努 力
が 行 わ れてい
る。
しかし、節約
のための 行 動
とその 製 品 に
対する適応はそ
れ自体がストレ
スになっている
のも事実だ。こ
のようなレベルを超えて、人間が持っている行動
心理(無意識的な本能)
の中で
“同情心”
に訴え
て
“節約”
を意識することで水資源の節約の方法
を提案する。
カルチャー部門 グランプリ
エココミュニケーション
応募総68件
賞金100万円
該当なし
準グランプリ 板橋区立志村第二中学校
総合科学部
『成金キングダム』
受賞作品 ペットボトルの水槽に水と藻を入れた水槽「 成金 」に棲むたくさ
んの生き物から発想された、微生物や藻を使ってバトルするカード
ゲーム。自分のカードのCO2を減らしたほうが勝つ。カードの種類
を増やすことで、環境を変えるバリエーションも増えていく仕組みと
なっている。カードに使用している微生物の写真、
またビデオ作品
の映像やBGMも部員が撮影した。自然の大切さと環境について、
楽しみながら学べるゲームとなっている。
審査員応援賞 影山 友章
『gomino-kimochi』
受賞作品 資源を吸い上げられ、
ゴミとして捨てられていく、地球の悲鳴を表現
した「悲しい表情」
を、地域指定のゴミ袋にプリント。当たり前のように
“ゴミを生み出し、
ゴミを捨てる”
という行為が繰り返されている現代に
おいて、人々に「
“ゴミを捨てる”
ということの本質に気付かせる」
ことを
コンセプトとした作品。
“悲しい表情”
のグラフィックによってゴミ袋のネガティブさを強調
することで、人々の地球の資源保全とゴミ削減への意識付けを図っ
ていく。
末森 憲義
『イモリ谷のわらの家』
受賞作品 納豆屋を営む若いご夫婦からの依頼で設計した「わらの家 」。地元で
身近な素材「わら」
をブロック状にした
“わらブロック”
を活用し、地域に根差
し、
日常的に継承できる家づくりの実現を目指した。
主な材料に農業用のわらのブロックを使用することで、一般住宅の5倍
の断熱性能を有する住宅を、10分の1の建設費で作ることを実現した。
賞金各50万円
賞金各10万円
小田原 健 神奈川県建具協同組合
デザイン:
佐久間 和男 神奈川県建具協同組合
事業者:牧島 信一 NPO水源列車プロジェクト
製
作:
『間伐素材による水源列車』
受賞作品 水源の森林より間伐された杉の木材を使用して、
“ 水源列車”
と名付けた
二人乗り動力車と四人乗り客車を企画制作。各種環境イベント等に貸し出
すことで、見て触って水と森林の大切さを感じてもらうとともに、杉の木材が
建築物や各種の生活用品にたくさん使われていることを人々に広めていくこ
とを基本コンセプトとし
た作品。
7
カルチャー部門 エココミュニケーション
審査員応援賞 長田敏希/関翔吾/北川礼生/磯田雄三
丸山 晶崇
『レジ袋イメージダウンプロジェクト』
『KIRIFUDA』
受賞作品 受賞作品 互いの捕食関係だけでなく、複雑な生態系のバランスの上に成り立つ
生き物の世界を表現したポスターは、生き物の種類によって一枚一枚を切
り取れるトランプとなって
おり、
「切り取る」
という行
為によって、
さまざまな理
由で多くの生物が姿を消
している現 状も表 現 。ポ
スターでもあり、玩具(トラ
ンプ)
でもある新しい形の
ツール。
審査員応援賞 レジ袋の削減を図るための
逆転の発想から
「レジ袋のイ
メージダウン」
を企画。
「持ちた
くないレジ袋 」
をデザインする
ことで、
「 生活者がレジ袋を受
け取るのを断る」→「 CO2の
排出量の削減に繋がり」かつ
「 生 活に密 着したアイテムを
使うことにより、身近から環境
問題を考えるきっかけを作る」
というメッセージを発信する。
織咲 誠
『will bag―包装プラゴミの
ストック・スカルプチャー』
受賞作品 賞金各10万円
商 品の外装や小分けにされ
た「包装ゴミ」
を焼却処分せず、
家庭で木を育てるように内部に
備蓄する彫刻型ストッカー。
CO2やダイオキシンなどを発
生させる焼却処理ではなく、
それ
ぞれの家庭でプラスチック資源
として備蓄し、技術開発が進ん
だ将 来 、油 化プロジェクトや再
生素材として活用するという発
想から生まれた作品。
賞金各10万円
市原 裕之
『都市の汀(みぎわ)』
受賞作品 都市部の車道と歩道との境(=汀(み
ぎわ))に、緑の植栽の固まりを建て、朝
は遮音と人を排ガスから守る
「緑の壁」
と
なり、昼は陽射しを遮り気化熱によって
温暖化を防ぐ「 緑の壁 」の屋根となり、
夜は人々の憩いの場となる
「緑の壁」の
床として機能させる。時間軸でさまざまな
様相を持たせることで、人々のエコに対
する意識を促す提案。
【カルチャー部門】 エコデザイン
・エココミュニケーション
[審査員コメント] 敬称略
石田秀輝
菊池武夫
マエキタミヤコ
永井一史
益田文和
小黒一三
東北大学大学院
環境科学研究科 教授
クリエイティブディレクター
サステナ代表
株式会社HAKUHODO DESIGN
代表取締役社長/アートディレクター
東京造形大学デザイン学科 教授
月刊ソトコト編集長
今 回 は 奇をてらうもの
ではなく、
ライフスタイルと
地 球 環 境を真 剣 に 考え
ている意 識の高いものが
多かったように思います。
地 球 環 境 問 題は、ゴミや
温 暖 化だけではなく生 物
多 様 性 や 資 源 、水 や 食
物 や 人 口 問 題 、気 候 変
動などさまざまな切り口が
あります 。その切り口と人
間が心豊かに暮らすかと
いうことを掛け合わせて、
どのように新しいソリュー
ションを生み出していくか
…… 。そこに 新しいアイ
デアのデザインやコミュニ
ケーションが生まれるので
はと思いますので、来年も
大 いに期 待をしておりま
す。
年々作品に具体性が出
てきたような感じがします。
デザインでは「Tef-Tef Garden」が夢や現実感、
そして素 晴らしい世 界 観
と人間性があり、エコの趣
旨にも合っていて良かった
と思います。
「Sympathy
water tab」はデザインの
元になっている基 礎があ
りました。コミュニケーショ
ンの「 成 金キングダム」は
審 査 員 全 員 一 致の受 賞
で、若 い 人 のエネルギー
を感じました 。環 境 問 題
は実際にドンドン具現化し
なければならない 問 題 。
全世界的にきらめくアイデ
アが望まれているので英
知を出してもらいたいと思
います。
ずいぶんエコ情報が普
及したなあと裾 野の広が
りを感じました。特にグラン
プリの「 成 金キングダム」
は生物多様性とCO2の問
題を一 緒に考えた 点と、
藻やプランクトンなど小さ
な生き物の力の可視化が
新 鮮で楽しかった。賞 外
に虫の力を通じて自然の
力を見直す作品もあり、
自
然資本の利用はこれから
のエココミュニケーション
のテーマとして大きいと感
じました。年々作 品もレベ
ルアップし、
さらに環 境の
意識啓発を含めてエコシ
フトが 実 現している世 の
中で、既成概念を覆すよう
な時 代を引っ張るデザイ
ン、
コミュニケーション作品
を待っています。
例 年の学 生、一 般の方の
応募に加えて、プロの方の応
募もふえ、応募総数、質ともさ
らに上がったのが今年は特に
印象に残りました。
コミュニケー
ションの方では「レジ袋イメー
ジダウンプロジェクト」は面白
かった。エコバッグを作るので
はなくレジ袋を悪者にするとい
う逆転の発想にオリジナリティ
がありました。デザインでは「ハ
ンカチバッグ」が好きです。普
段持っているハンカチに二つ
の機能を持たせてエコバッグ
にする発想が面白いし、実際
あったら僕は買います。今後は
アイデアだけでなく、
アイデアを
形にして世の中に定着させる
ことや、思いついたものをどう
やってチャーミングな形にして
いくのか……が審査の視点に
なってくるのではと思います。
いい提案が着実に増えてき
ていて見応えがありました。選
外ですがコミュニケーションの
「おうちエコシリーズ」はもっと
たくさんアイデアがあると受賞
したのでは。デザインではこれ
も選外ですが千島笹を使った
ウォーキング用のストックがあり
ました。身近にあるものを活用
して実用的なものを作るとい
うのはサステナブルデザインだ
と思いますので、
これからも頑
張ってほしいと思います。環境
問題をテーマに扱うということ
は、そのデザインが本当に効
果的か、実際にちゃんと役に
立つものなのかが大事です。
受賞はひとつのきっかけです
からデザインをどんどん発展
させて実際に世の中に出して
役立つようなものに育ててほし
い。我々も注目しています。
8
いろいろなエココンテスト
を審査してきましたが、
このコ
ンテストは年 齢 層 が中学 生
から70歳代まで幅広くレベル
も高いと思いました。驚いた
のはエココミュニケーションの
『gomino-kimochi』です。単
純なデザインやアイデア次第
でまだまだ環境問題が改善さ
れるのではと思いました。若い
人が環境を音楽やファッション
と同様に暮らしを彩るスパイス
のようなとらえ方をしているの
は感心しました。エコはまず楽
しくないと続きません。
アイデア
を思いついたらまず自分が楽
しく出来るかどうかを考えてみ
てください。来年の応募への
ヒントにもなるかと思いますが、
自分たちのごく身近な暮らし
の中にテーマを見つけられれ
ばいいのではと思います。
エコロジーという領域の “ 芸術 ” を募集
カルチャー部門 エコアート
グランプリ
応募総数103件
賞金100万円
該当なし
準グランプリ 賞金50万円
高島 亮三
『0円均一』
受賞作品 各家庭内の不用品を容易に他者へ提供、
または自分自身が受容するための機会づくり
として、
「 0円均一 どうぞご自由にお持ちください」
と記載した商標チラシを制作。限られた
鑑賞者への一方的な自己主張に終わる作品ではなく、
この「商標チラシ」
を手に取った不
特定多数の人々が、各自のスタンスで「0円均一」に取り組む行為そのものを
“作品”
として、
「0円均一」
を介して地域全体でのリユースの輪を拡げていく。
審査員応援賞 矢後 直規
河野 耕平
『power』
『もぐらのいえさがし』
受賞作品 森下 征治
受賞作品
人間の環境破壊によって野生動物たちが生
きる場所を失っていることを、自分の家に飽きた
もぐらが新しい家を探す旅を通して描いた絵本
作品。アートの力で世界中で苦しんでいる動物
や人々を救いたい、
という15歳の高校生による
メッセージが込められた作品となっている。
エコに興味がある人
やエコ活動を実践して
いる人たちを集め、
「た
わし」
「ほうき」
「モップ」
「はたき」の 形に見せ
た作品。電力を使用し
ない掃除用具をテーマ
にすることで、人 間自
体が持つパワーを表現
した。
賞金各10万円
『地球のことを
言うならば_01』
受賞作品 「宇宙から見た地球は美しい。そんな地球で争
いなんかするのは馬鹿馬鹿しいことだ」
を作品の
コンセプトとして、立体に投射された立方体の映
像が、立ち位置を変えて視点をずらすと変形する
というインスタレーション的な性質を持つ作品。絶
妙な均衡で成り立っている地球を表現した。
【カルチャー部門】 エコアート
[審査員コメント] 敬称略 日比野克彦
竹内宏彰
中谷日出
藤 浩志
山本豊津
アーティスト
株式会社シンク 取締役/
エグゼクティブプロデューサー
NHK解説委員/
BS2デジタルスタジアム ナビゲーター
美術家
株式会社東京画廊 代表取締役社長
エコという社会のブーム的なも
のと、
アートという普遍的なもの、
二つの融合する公募展ですの
で、応募する方も迷っているし
メディアもレベルも種々あり審査
する方も迷いました。エコアート
という考え方の創世記にあるの
で、応募者も主催者も手探りの
審査会だったように思います。
作品全体にいえるのはもうひと
つ形とかストーリーへのこだわり
が審査会に伝わるような写真の
撮り方とかプレゼンシートの作り
方など、
プロセスを大事にしてほ
しいということです。答えだけ完
成するものだけではなく制作の
過程も伝える努力をすると伝わ
ると思います。形が成り立つ課
程を含めたものが作品であり、
そのほうが活動とか姿勢とか考
え方が伝わりエコアート的である
と思います。
今 年は新しい発 想やパワー
今年は素材やテーマ、映像や
があるもの、
また映像作品も少
VTRなど作品に幅があったと
なかったのが残念でした。準グ
思います。
そして年齢も。印象に
ランプリの「0円均一」は、言葉
残ったのは13歳の少女が作っ
の発 想とP D Fの普 及がアート たペットボトルにゴミを入れたホッ
をコミュニケーションとして実践
キョクグマの作品です。作者が
させており、評価につながりまし メディアで見た情報に心を痛め
た。
「もぐらのいえさがし」は環
て作ったと思うのですが、哀しみ
境を真剣に考えていることが伝 と怒りが込められた良い作品だ
わり、年 齢に関 係なく素 晴らし なと思いました。現代は何を作る
かったです。社会にエコロジー にしてもエコを念頭にしないと作
という言葉が定着してきた分、 れないというところまで社会が来
エコアートという言 葉にとらわ
ています。その中で他人が考え
れると難しく感じると思います
ていないエコという問題提起を
が、
だからこそ日常の中にあるも いかにアートという枠の中で表
の、気がついた映像などを駆使
現していくか……が今後の課題
して、印象として力をもった作品 となります。環境問題で世界は
を発 信してほしいと思います。 後世に残る方向性を見せてい
webやデジタルアート、実際に
かなればいけない時期ですの
手で触れられる作 品などの斬
で、来年はさらにたくさんの人に
新な発想も期待しています。
たくさんの作品を応募してほし
いと考えています。
今年は難しかった。
もっとガツ
ンとした作品がほしかった。
もう
少し皆さん頑 張ってください!
!
準グランプリの「0円均一」は新
しい仕組みを世の中に作ろうと
いう取り組みとして可能性があ
ると思いました。ただ手法として
は面白いけれども、
コミュニケー
ションや 関 係 性 のあり方 の 工
夫や価 値 観の転 換などもう一
工夫ほしかった。今後の作品に
は、
もう少し自分の内面に向か
い合いながら、違 和 感を必 死
に表現する…そういうアートな
態 度を期 待します。エコという
カテゴリーに惑わされずにもっ
と自分の思っていること、時 代
やエコロジーに対する違 和 感
やずれなどをもっと自由に大胆
に表 現してください。自由な発
想で面白くて深くてスゴイモノ
を是非!見たいと思います。
すべての出品作品に関して、
日
常的なものを非日常なものに転化
するアートの作業がかなり弱かっ
たように思います。面白い可能性
をはらみながらもツメが甘く、
メッ
セージ性を加えることによって完
成度を高められる作品もありまし
た。
メッセージ性を高めるためには
アートの歴史的経緯を勉強してく
ださい。
アートは歴史的資産です
から歴史を勉強しないと新しい展
開ができません。たとえばピカソが
ゴミとなった新聞紙をコラージュに
使い、近代社会を代表する作品
を生み出したことを知っています
か?アートを志す人にピカソのよう
な思い切った飛躍を期待してい
ます。エコロジーが、資産の保存
と蓄積を前提として消費された残
存物を新しい価値に転換すること
ならば、
アート的発想力は必要不
可欠であると思います。
9
こどもたちが考える「エコな未来」をイラストで募集
カルチャー部門 キッズ・エコアート
低学年の部
【グランプリ】
富田 颯樹
『地上のくらしと地中のくらし
~昔の地球をとりもどせ~ 』
【三井住友銀行賞】川添 日南子
応募総数399件
高学年の部
【グランプリ】
坂部 有香
『アイガモといっしょに作る畑 』
『「丸めて土にうえると
木にもどる紙」のはつめい』
【準グランプリ】山本 就久
三井住友銀行&キッザニア
第 3 回 こどもイラストコンクール
【準グランプリ】晴城 琴葉
『とりとしぜんとソーラーパワー 』
【キッザニア賞】松浦 祐太郎
【準グランプリ】多胡 和真
【準グランプリ】康乗 弘雅
『氷が戻った北極 』
『ECO SCHOOL 』
『はしれ!エコトラック』
『宇宙にも緑を』
【三井住友銀行賞】平山 夢人
『いつか住みたいエコ田舎二丁目 』
【キッザニア賞】須藤 瑠璃子
【審査員応援賞】茨木 洸哉
【審査員応援賞】岡野 光
【審査員応援賞】中川 裕香
【審査員応援賞】高山 理菜
『自給自足の家』
『気球で大空通学』
『イカ発電 』
『コンクリートでも育つ植物の研究者 』
『カミナリ集めてエコ電気 』
【その他入選】86 名
【カルチャー部門】 キッズ
・エコアート[審査員コメント] 敬称略
大塚いちお イラストレーター/アートディレクター
自分たちの常識やルールを、子どもた
ちの絵は簡単に打ち破ってくれるので
刺 激 的で楽しい審 査でした。子どもた
ち自身が 楽しんで絵を描いただろうな
と思う作 品 が 受 賞されましたが 、その
気持ちを忘れずにこれからも絵を描い
てほしいと思います 。また受 賞 外です
が自分の家 族や田舎の風 景を素 直に
描いたものなども印象に残りました。人
間として表現したいというプリミティブな
要求を子どもたちが環境をテーマに楽
しんで描けるか、
ということは今の環境
を計るバロメーターです。
これからも子
どもたちが楽しんで素直に絵を描いて
いってほしいと願います。
10
松本真由美 フリーアナウンサー/
東京大学先端科学技術研究
センター特任研究員
になったらどんな仕事に就いているのか
など10年後20年後を想像した作品も見て
みたいです。
アートと環境を組み合わせる
とより多く人の心に響くメッセージが伝わり
ます。その輪が広がり、既成概念にとらわ
れず発想豊かにダイナミックに行動するこ
とが大事だと思います。
考えが伝わりましたし、
『「丸めて土にうえ
ると木にもどる紙」のはつめい』や「コンク
リートでも育つ植物の研究者」など、子ど
もならではの発想力に触れる機会も多く
ありました。本コンクールが、子どもたちが
環境についてより深く考えるきっかけとな
れば幸いです。
どの作品も色目がきれいで、近くで見る
とメッセージがビジビシ伝わるエネルギッ
シュな作品が多く、
とても審査が楽しかっ
たです。
どれも印象深かったですが、
「イ
カ発電」はタイトルが面白いですし、
「氷
が戻った北極」は、地球温暖化で氷が後
〈審査員〉
株式会社三井住友銀行・
退し戸惑うシロクマをイメージした作品は
見たことがありましたが、氷が戻ってきて
株式会社キッズシティージャパン 日比野克彦 アーティスト
喜ぶシロクマの姿を描き、未来に向けてみ
株式会社シンク 取締役/
竹内宏彰 エグゼクティブ・プロデューサー
子どもたちの描いたエコな未来は、想
んなが努力してこうなったらいいな、
と願う
作者のメッセージが伝わってきて、
とてもよ 像以上にクリエイティブで、かつ具体的
中谷日出 NHK解説委員
なアイデアに富んだ内容でした。例えば
かったと思います。
「ECO SCHOOL」は
学校の中で循環型社会ができている子ど 「ECO SCHOOL」や「はしれ! エコトラッ 藤 浩志 美術家
もらしい作品でした。今後は小学生の皆 ク」などは非常に細かい部分までよく描
株式会社東京画廊
山本豊津 代表取締役社長
かれており、エコな未来に対する想いや
さんがどんな未来になっているのか、大人
〈団体審査員〉
( 株)三井住友銀行/(株)
キッズシティージャパン/(株)
読売広告社
エコロジーという領域の “ 音楽 ” を募集
カルチャー部門 エコミュージック
グランプリ 応募総数362件
ののララ
『エコ・ボサ(ちょっぴりエコ)』
受賞作品 言 葉をリズムに乗せて、頭に刷り込めることが
「音楽」の利点。老若男女が思わず口ずさみ、頭の
中でループするイメージで楽曲を創作。ボサノバを
基調とした口ずさみやすい作品を2世代間バンドが
楽しく歌う。エコロジーへの注意喚起をテーマに、
「エ
コを身近に感じて! 簡単なとこから始めよう! 子ど
もたちが普通に住める未来を残すのだ!」
というメッ
セージが込められている。
準グランプリ ♪エコ・ボサ(ちょっぴりエコ)
エコエコ エコエコ
森が消えてゆく この星が茹だる前に
僕だけが乗ったクルマ
電車にしよう ちょっぴりエコ
エコエコ エコエコ
水がよごれてく 魚がいなくなる前に
食べ残した おみそ汁
流すのよそう ちょっぴりエコ
エコエコ エコエコ
石油がなくなる 電気がなくなる前に
怖くてつけた灯り 消して回ろう
ちょっぴりエコ
エコエコ エコエコ
僕たちの地球 勝手に生きてる僕ら
子供たちが大きくなっても
笑っていられる そのために Wow Wow
エコエコ エコエコ……
メロディーキャンバス
賞金100万円
賞金50万円
♪ Luverth
『Luvearth』
受賞作品 壊れて溶けて枯れていく星の痛みは…
僕らを責める大きな叫びは… どこ?
「普通に話して伝えるよりも、
“ 歌”
という最も人間
の心を動かす芸術で、環境問題に対する意識を高
める」
ことをコンセプトとした作品。
「地球は声を出せ
ない。だから痛みも感じない。
しかし、地球は私たち
の母親であり、最も大切にされるべきもの」
という思
いが、歌詞の中に込められている。
窓から手を 夜空に手を
さしのべても何もつかめない
何一つ変わらない
ルールララー水の星
時を経て 確かに汚れた
荒れた月照らして
僕らの罪を響かせながら
まわる 生命をのせて
僕らの旅の 行き着く先に
渇く月のような星がないように
一つのその手を 明日に重ねていこう
ルールララー水の星
時を経て 緑が溢れる
空と海抱えて
僕らの日々を進ませながら
まわる 生命をのせて
生命のせて
捧げて あなたのとめどない愛を
【カルチャー部門】 エコミュージック
[審査員コメント] 敬称略
阿部義晴
ミュージシャン/音楽プロデューサー
川崎龍彦
(株)NHKエンタープライズ エグゼクティブ・プロデューサー
この 審 査も3 年目となり、そろそろある程 度 エコ
今 年の結 果にはどなたもびっくりされるのではない
ミュージックというものへの何らかの結果を出したい、 でしょうか 。今までも素晴らしい楽曲がありましたが、
僕たちも成 長したい……という危 機 感を持って審 査
今 年は大 胆な選 択をしたように思います 。音 楽 的な
に臨みましたが、
これまでとはまた違う実のある結 果
水 準・表 現 力を何よりも優 先して重 視するのか、ある
になったと思います 。グランプリの「ののララ」の皆さ いはエコ活 動という世 間 へ の 影 響 力を重 視 するの
んおめでとう
!個人的に気張っていないところが、気に
かという分かれ 道をどう踏み出すのか、今 年の審 査
入っています 。エコって言うと小 難しいイメージがあ
は変 革という意 味で実に大きな一 歩となりました。来
るんですが、それがあまりまじめすぎるとかえって恥
年はさらに心がこもった、エコへの願いが詰まってい
ずかしくなってしまうもので、そこのところがちょうど良 る楽曲が出てくることを期待しています。
かったように思います。
小久保 隆
環境音楽家
毎年審査を楽しみにしていますが、今年は応募数も
多く作品性も高くてうれしい悲鳴です。最近のアマチュ
アのレベルの高さにもびっくりしております。特にグランプ
リにはまいったな!という感じで、
これは大事にしていか
なくてはと思える作品です。準グランプリの作品はボー
カルの力もありアレンジも素晴らしくこれからが楽しみな
アーティストです。今年はエコに対しての本気度が高い
ように思います。音楽に環境の要素をくっつけただけの
ものではなく、
エコをベースに音楽を作った作品が多くな
りました。エコへの思いとアーティストとしての本気度が
ないと今後は残ってこられないなと強く思いました。
塚本ヒロアキ
中島信也
溝口 肇
クリエイティブ・ディレクター/CHIKYU RECORDSプロデューサー
株式会社東北新社 専務取締役/CMディレクター
チェリスト/作曲家
この部門の募集が始まった当初、エコミュージックへ
の応募といっても作品が本当に集まるのか…と本気で
心配したものですが、3年目の今回、才能のある人たち
がこれだけ集まったことに正直ホッとして、
またびっくりし
ております。私の審査のテーマは、作品の展開力とエコ
から逃げないということ。
そういう意味で今回のグランプ
リはまさに、覚えやすくて展開力がありストレートでわか
りやすい楽曲が選ばれました。癒し系に走りがちなエコ
ミュージックではなく、歌のうまさというよりは楽曲の良さ
と伝わる力が大きい曲だと思います。
この曲がどんどん
広まってほしいですし、来年もまた違う才能が集まること
を楽しみにしています。
今 年 は 予 選を通 過した 楽 曲 のレベルの 高さが
印 象 的 でした 。音もきれ い 、歌も上 手 でこの「 e c o
japan cup」がさらに広がりを見せてることに驚きま
した。特にグランプリ
「ののララ」の楽曲は、聞いたと
きからメロディーがずっと耳に残っており、受 賞 発 表
前なのにうっかり口ずさみそうになるほどの呪 術 的
な強さで飛び 抜けており、
これからの「 e c o j a p a n
cup」をスケールアップしてくれるような力を持ってい
る作 品だと思います。準グランプリの方はパフォーマ
ンス力が 強くアーティストとして魅 力 的で、エコに対
するまじめな取り組みが感じられました。
受賞者の皆さんおめでとうございます。応募される
曲が何倍にもふくらんでいくことは、審査員としてこの
活 動自体が浸 透していることを感じられとても嬉しく
思います。それぞれの楽曲のクオリティーが高くなって
いることも感じますが、聞いただけで曲の持つ力が増
してきていることがわかります。そういう意味で今年の
グランプリの曲は審査員の心をつかみました。
これか
らに期待したいことは、歌詞がついた曲でエコを伝え
るのはもちろん大事ですが、
インストルメンタルのエコ
な曲も聞きたいと思いますので、是非書いて応募して
ほしいと思います。
〈団体審査員〉MTV Japan Inc. 〈カルチャー部門エコミュージック連携〉CHIKYU RECORDS http://www.chikyurecords.net/
11
eco japan cup 2009 受賞者
持続可能な社会へ向けての活動や、環境に配慮したライフスタイルの実践に取り組む著名人を選定し表彰
ライフスタイル部門
エコセレブ・オブザイヤー
エコセレブ・オブザイヤー 2009 該当なし
坂本 龍一/ SAKAMOTO Ryuichi
〈選定理由〉
世界的に高名な音楽家であるだけでなく、国内外で、エコ活動を展開するセレブリティとしてもっと
も影響力がある存在。とりわけ海外でも評価が高いエコセレブとしては、群を抜いている。 環境問
題に関する社会的メッセージを発するエコセレブがまだ日本では多くないのが現状だが、信念を持っ
て環境問題に取り組んでおり、ライフスタイルにおいてもニューヨークの自宅は風力発電を導入する
など、音楽活動とエコロジー活動とが完全に一体化している点を評価した。
〈受賞コメント〉
「特別なことをしているつもりはなく、
ただ我が身と我が子可愛さからしていることで
あります。いつまでも、おいしい空気、おいしい食べ物、おいしい水を飲みたいし、我
が子や我が孫たちにもそうしてもらいたいと願うのみです」
〈Profile〉
音 楽 家。1 9 5 2 年 生まれ。7 8 年『千 のナイフ』でデ
ビュー、同年YMO(イエロー・マジック・オーケスト
ラ)に参加。
YMO散開後、数々の映画音楽を手がけ、作曲家とし
てアカデミー賞を受賞するなど世界的な評価を得
ながら常に革新的なサウンドを追求している。1999
年制作のオペラ「LIFE」以降、環境・平和・社会問題
に言及することも多く、9・11同時多発テロをきっか
けに、論考集「非戦」を監修。自然エネルギー利用
促進を提唱するアーティスト団体「artists' power」
を創 始した。2 0 0 6 年 六ヶ所 村 核 燃 料 再 処 理 施 設
稼働反対を表明し「stop-rokkasho.org」を開始、
2007年7月には有限責任中間法人「more trees」
の設立を発表し、温暖化防止についての啓発や植
樹活動を行うなど活動は多岐にわたっている。ま
た、06年新たな音楽コミュニティの創出を目指し
「commmons」を設立。2009年には音楽活動の現
〈主な活動実績〉
1999年 「地球環境、愛、共生」をテーマにオペラ『LIFE』を制作、発表。地球環境保全や生物多様性の
重要性と、万物との共生を公共に広く 訴えかけた。
2001年 故・筑紫哲也氏と共同し「地雷ゼロ」キャンペーンを展開。
坂本龍一の呼びかけにより、国内外のアーティストがキャンペーンのテーマソングを共同制
作、
この楽曲のCD販売の収益、番組やホームページなどを通じて、一 般・企業からの寄付
などが集められた。
この寄付を「地雷ゼロキャンペーン委員会」が国際的な地雷除去組織「ヘ
イロー・トラスト」
「MAG」などに地雷の除去作業を委託。除去面積や除去個数などプロジェ
クトの成果を、番組やホームページなどを通して公開するなど、日本国内では初めてといっ
ていいチャリティーキャンペーンは大きな成功を納めた。地雷除去活動の報告などはいまも
ホームページ上で開示されており、透明性をもった活動、運営方法も高く評価された。
2003年
小林武史氏、櫻井和寿氏らとともに自然エネルギーをはじめ、環境に関するさまざまなプロ
ジェクトに融資を行う非営利組織ap bankを創設。
2006年
エコロジカルな視点をもつ日本初のグリーン・レーベル「commmons」を設立。
レーベル活
動のほぼ全てを自然エネルギーで運営し、発表する作品は全てカーボンオフセット商品とす
るなど、社会・文化貢献を基本にしたより新しい音楽コミュニティーとしてアーティスト、
クリ
エーター、音楽産業、ユーザーとの新たな関係を作ることを目的としている。
2006年
六ヶ所村核燃料再処理施設稼働反対を表明するプロジェクト
「stop-rokkasho.org」を開始。
趣旨に賛同する内外のクリエーターから放射能汚染の危険性を訴えるための作品を提供し
てもらい、ポッドキャスティングや公式サイトで作品を無償配布。
これらを世界中の人々が自
由に再配布・加工することで、
より多くの人々にこの問題を周知することを目指している。
2007年
単なる募金や植林を促すだけの組織を目指すのではなく、各界の専門家、エキスパートが
参加する評議会を擁し、プロジェクトの実効性や持続可能性、危機管理能力およびCO2吸
収量算定結果の検証を行う
「確かな基準」に基づいた「健全な森づくり」を行う団体「more
trees」を設立。団体が自らの力で基金を集め、森林保全や森作りを進めていく活動は、アー
ティストが呼びかけるものとしては世界に例を見ない。2009年9月には、ルイ・ヴィトンと手
を組み、長野県小諸市にある森林を保全し育てる「ルイ・ヴィトンの森」を誕生させるなど、現
在、国内外に5カ所の「more trees」の森がある。
場における積極的な環境配慮への取り組みに対し
て国連環境計画が世界環境デーの一環として実施
するECHO Festivalにおいて「Echo Music Award」
を受賞、また同年7月にはフランス共和国文化省よ
り芸 術 文 化 勲 章オフィシエを受 勲 するなど、活 動
全般において世界各国で高い評価を受けている。
1990年より米国、ニューヨーク州在住。
12
同年、ブラジル人ミュージシャンと結成したユニット
「Morelenbaum2+Sakamoto」日本国
内で実施されたツアーにおいて、各コンサート会場で自然エネルギーを導入。
会場で使用された電力の15%を小型風力発電、太陽光パネルなどの装置により賄った。
エコロジカルなくらしの工夫やアイデアを広く募集
ライフスタイル部門 エコチャレンジ!
応募総数84件
エコチャレンジ! 大賞 賞金30万円
該当なし
エコチャレンジ! 賞
大島 武志
『ペットボトルを使った温水器』
受賞作品 屋外のビニールホースに溜まった水が太陽熱によって温水になることに
着目し、ペットボトルを利用した温水器を製作。実際にお風呂に利用した結
果、
1月中旬から2月上旬までの2週間で約13ℓの軽油の節約に成功。1
年間で220ℓ以上の節約となる計算となった。また、使用済みのペットボト
ルを使用することで、廃棄物の再利用化を促進するほか、単純構造のた
め、家族で製作を楽しむことができ、設置も簡単。
さらにメンテナンスがしや
すいなどのメリットが報告された。
エコアイデア大賞
賞金各15万円
島田 敏 / 智子 / 泰地 / 拓実 / 知青
『「ソーラーカーテン」でCO2削減!!
受賞作品 10万円でエコチャレンジ、
我が家がソーラーハウスに大変身』
既存の住宅でも簡単かつ実用的な断熱改修手法として、透明ビニール
カーテンを利用した『ソーラーカーテン』
を考案。ベランダいっぱいに取り付
けた透明ビニールカーテンが温かい太陽光を室内に採り入れる一方で、外
気温が低い時には窓からの熱の放出を軽減。暖房費の削減に繫がった。
今後、ペットボトルのリサイクル素材を活用することで資源の循環につな
げられるなどの可能性もあり、
ソーラーカーテンが各家庭に普及することに
よって、大幅なCO2削減の実現に期待が膨らむ。
賞金30万円
該当なし
広げるエコ賞
賞金15万円
加藤 祐一
『3Rに繋がる袋や箱がすぐ作れる
「カトー折り」と「練習シート」の考案』
受賞作品 不要な紙を利用して、紙袋や紙箱などにすぐに折って使える作り方をレ
クチャーする練習シートを考案。シートの指示通りに作っているうちに作り
方を覚えることができ、完成した瞬間の感動が次の人に伝えたくなるエネル
ギーを生み出す。それが脳内活性化につながり、
自然とエコ意識を高揚させ
るというアイデア。
エコチャレンジ! 電通賞
賞金5万円
三宅 信行
『エコカータクシー乗り場』
受賞作品 タクシーは大型と小型で乗り場が分けられているケースはあるが、ハイブ
リッド車(エコカー)
を選択して乗ることは難しい。そこで、
エコカー専用の乗
り場を作ることで、環境に配慮したい利用者のニーズに応えるとともに、
タク
シーのエコカー促進を応援できるというアイデア。
【ライフスタイル部門】エコチャレンジ
! [審査員コメント] 敬称略 枝廣淳子 皆川孝徳 毒島由哲 久川桃子
環境ジャーナリスト
株式会社ソニー・マガジンズ
編集1部部長
sa
i
t
a 副編集長
日経BP社
ecomom(エコマム)
プロデューサー
今回の応募作品は、圧倒的に
惹かれるアイデアはなかったの
ですが、普段の暮らしの中で実
践できそうな小さなアイデアが多
かったなあ、
という印象です。
ま
た、
この部門の審査では「誰もが
自分で簡単にできる」
という評価
コンセプトがありますが、そこか
ら外れてしまう企業への提案も
かなりあり、選外になったのが残
念です。今後そのようなアイデア
を生かせる体制をつくることが、
課題ですね。受賞作品は、実は
昔からあるアイデアなのだけれど
も、
その効果が格段にアップして
いたり、見栄えがグンと良くなっ
ていたりと、
ブラッシュアップされ
ていたことに意味があり、
その点
が評価を得たのだと思います。
皆さん大きなことから小さな
ことまで、幅 広く日頃の生 活の
中で環境に優しいことをコツコ
ツとやってらっしゃることに感心
しました。環 境 問 題は正 解 が
ありません。今置かれている現
実を見据えてまず気づくことか
ら、そして状況を考えながら未
来を見据えていくことが大事だ
と思 います 。ライフスタイル部
門は我 慢や節 約にかたよりが
ちです が、前 向きに積 極 的に
何 かを変えていこうとか 素 敵
に明るくなるようなアイデアを
待っています。
今回の作品はエコが社会の
今 回はピリッとしたものに出
主流になってきたせいだと思い
会えなかったなというの が 正
ますが、すごいものよりも日常的
直な印 象 です 。
もうすでに世
なものが多かったように思いま の中にいろいろなアイデアが
す。特に日本の伝統の折り紙を 溢れているので、生 活の中の
生かして箱を作った作品が印
身 近な新しいアイデアのハー
象的でした。
またそれをいろいろ ドルが 上 がっているの かなと
な人にやりやすく広げるところま も思います 。受 賞 外です がお
でのアイデアが評価につながり 一人でたくさんのアイデアを提
ました。
これからは、単にこうなっ 案してくれた方もいて、
日々の
たらいいな…ではなくて政府や
その努 力というか熱 意に敬 服
企業を変えるためのアイデア、 いたしました 。今 後 の 作 品に
他人任せではなくて自分が主体
期待することは、毎年言ってい
的にチャレンジしていくというアイ るので す が 、携 帯 や パソコン
デアを待っています。
いかに望ま 回りのデジタル的な考えなど
しい行動をとりたくなるか、特別
時 代に沿ったアイデアもぜひ
な人ではなくて誰もがやると得と お待ちしています。
かカッコイイとかそういうアイデア
が大事だと思います。
株式会社電通
ライフスタイル部門ということ
で生活に根ざした広い提案が
素 晴らしいと思いました。こち
らでは思いつかない主 婦の目
線、一般の方々のアイデアがと
ても勉 強になりました。自分 一
人ではなくて社会を巻き込んで
やっていこうというまさにチャレ
ンジ!に結びつくようなアイデア
もありましたし、個 人レベルの
身近なものにも面白いものが多
いと感じました。今 後はレベル
が高くなっていくのでなかなか
難しいかもしれませんが、
もっと
チャレンジングな、
目からウロコ
のアイデアで審 査 員を驚かせ
てほしいと思います。
13
環境活動で地域を活性化している市民グループ活動を募集
市民が創る環境のまち 元気大賞
ライフスタイル部門 2009
応募総数42件
元気大賞 NPO法人 WE21ジャパン
(神奈川県)
主にアジア地域の女性の自立支援を助成することを目的とし市民から寄付された
衣類や雑貨を販売する
「WEショップ」には、年間約500トン以上の衣類が寄せられて
いる。だが、売れ残った古着は故繊維業者を介して海外に渡っている。これを見直し、
「もったいない」精神と地域内で循環型社会を創るために、売れ残った古着に新た
な価値をつけることを考案。
リメイク品づくりや若手芸術家とのコラボレーションによっ
て、芸術品としての創作へと発展させることに取り組んでいる。
『循環型地域社会をつくるために
古着に新たな価値をつくる事業』
奨励賞 賞金30万円
賞金10万円
特別賞 賞金5万円
兵庫県立三木北高等学校環境研究部 ECO-P(兵庫県)
NPO法人 生活工房
(埼玉県)
「つばさ・游」
『「地域の力」を活かした30世紀につながる持続可能なまちづくり』
『地球を守る高校生戦士! 環境戦隊えこぴいファイブ』
「食」
「農」
「地域資源」
「エネルギー」
をテーマとして、里地里山の地域
資源を生かした有機農業の先駆者や1300年の伝統を受け継ぐ手漉き
和紙職人、地域特性を生かした酒蔵などの地域の各主体を繋ぎ、地域に
暮らす人々の相互扶助のネットワークを構築。30世紀に繫がる環境負荷
の少ない持続可能なまちづくりを協働により実現。
エコと地域の活性化を連動させたプロジェクトを企画運営し、地域の
人々と連携しながら環境意識啓発とともに、
「まちのにぎわいづくり」
を仕
掛けている。
「環境戦隊えこぴいファイブ」
としてのショーやイベント、自ら
講師となって子どもたちへの出張事業、地域と一体となって割り箸回収
活動、夏の冷房抑制キャンペーンなどの取り組みを実施している。
審査員応援賞 賞金各3万円
おひさま進歩エネルギー株式会社(長野県)
『地域ぐるみの市民共同おひさま発電所・
省エネ設備設置プロジェクト』
全国初となる市民出資による太陽光発電事
業、省エネ診断を通して顧客の要望に最適なコ
スト削減案を提案する「省エネ事業」、間伐材
を利用したボイラー、太陽光温水、木質ストーブ
等の自然エネルギー利用設備の導入を提案す
る
「グリーン熱供給事業」
など、地域と密接にか
かわりながら、持続可能な循環型社会の実現を
目指す。
NPO法人地域環境デザイン研究所
ecotone(京都府)
『2R(リデュース/リユース)型
飲料販売システムの構築』
従来のペットボトルやアルミ、紙パックなどは、
回収・リサイクルの際に新たなエネルギー資源を
必要とする。そこでコンビニエンスストアなどで、
飲料の中身のみ販売する2R型流通モデルを構
築。新たな商品形態のスタンダードモデルとして、
マイボトルや水筒の利用率を促進し、市民のライ
フスタイルの変革に繋げていく。
元気大賞電通賞 賞金5万円
NPO法人
スローウェーブすんく村(北海道)
『おむかえまるしぇ』
保育所や幼稚園のおむかえの時間に開催さ
れる
「おむかえまるしぇ」は、地元の有機栽培農家
による直売市場。
「新鮮で安全な野菜を子どもに
食べさせたいけど、直売所まで行く時間がない」
と
いうお母さんたちのリクエストに応え、地産地消、
子どもたちへの安心安全な食材の提供、
そして
生産者と消費者の信頼関係を築くことを目的とし
て取り組まれている。
【ライフスタイル部門】市民が創る環境のまち 元気大賞2009[審査員コメント]敬称略
木内 孝
サステナビリティ日本フォーラム会長/
eco japan cup 2009副実行委員長
小澤紀美子
東京学芸大学 名誉教授
崎田裕子
一般社団法人環境ビジネスウィメン代表理事/
eco japan cup 2009副実行委員長
元 気 大 賞は今 年で9 回目になります 。確
元気大賞は年々レベルが上がっており、
「元気大賞」は、地域の素晴らしい個性を生
実に内 容 全 体のレベルが上がっている感
いろいろな方がお互い双方交流しながら、 かしながら多くの人たちが連携・協働し快適なま
がいたします。今 年は4 2 件の応 募があり、 地域づくり・社会システムの芽をつくり、それ
ちづくりをすることを応援するプロジェクトです。
今まで全国でトータル500を超える取り組み
が地域のモデルになって実践されているこ 今回もまさにそのような活動の応募がたくさんあ
が集まりました。日本各地でこんなことが行 とが印象に残りました。学校関係の応募も り、審査をしていて元気になりました! 全て素晴
われているんだなあということを皆さんがお
あり、将来的に次世代が育つことを考えると らしい取り組みですが、特に大賞のNPO法人
互いに知る、知らせることがまさに元 気 大 とても良いことだと思います。市民、事業者、 WE21ジャパンの取り組みは、身近な発想から
賞の取り組みであり非常に大切なのです。 行政がお互いより経済的にwinwinの関係
多くの人たちへと広がって世界につながってい
ひとつひとつの現場の暮らし方や生活の等
になる視点でのアイデアを期待しています。 く視点が素晴らしいと思いました。地域の問題
身大の取り組みがいかに大切かということ 活動が、空間的な関係性が広がり、海外に を解決しながらそれを定着させるためには、経
を心に刻んで、元 気のない日本ではありま も目を向けられるなど、いろいろな角度から 済的な仕組みづくりによる「環境と経済の好循
すが、その元気大賞の取り組みを声高々に
の視点が多角的な実績につながっていけ
環」
という視点が重要になってきます。
これからも
世界に発信したいと思っております。
ば素晴らしいと思います。
「元気大賞」が人づくり、地域づくり、そして持
続可能な国づくりに貢献できればと思います。
椎川 忍
総務省地域力創造審議官
総務省が推進する「緑の分権改革」は、再
生可能な地域の自然、食料、エネルギーなどの
資源を最大限活用し、地域の自由と自給力を高
めようとするものです。審査員応援賞を受賞した
おひさま進歩エネルギー(株)の市民出資の太
陽光発電の取り組みは、
まさに「緑の分権改革」
にぴったりで印象深いものでした。私たちは、日
本の文化の基盤である森、里、海という水の循
環や農村文明の上にたって都市文明を考えて
いくことにも取り組んでおりますので、これからも
元気大賞と連携していきたいと考えています。
14
内閣府原子力委員会委員/
松田美夜子 元富士常葉大学教授
国際NGOナチュラル・ステップ・
高見幸子 イ
ンターナショナル日本支部代表
大道寺柳子
東京大学私設研究員
環境デザインコンサルタント
さまざまな地域に多様な取り組みがあり、非
常に勉強になりました。特にリデュース、
リユース
型飲料販売システムのアイデアは、誰もが手軽
に参加でき、
「無理なく」という点が評価され、他
の職場にも広がってほしいです。環境問題への
取り組みは上からの押しつけではなく、
自らが参
加するという自発性が鍵となります。各団体が
独自のアイデアを出して実践し、
トライ&エラーに
よる改善で効果を上げ、その結果が地方から
全国へ発信されていくことが、地方活性化にも
繋がり、国民全体の環境への意識向上にも役
立つことでしょう。全国、そして将来はドイツのフ
ライブルグのような世界の「お手本」になるよう
な活動の発信を今後も期待しております。
株式会社電通
今回応募していただいた皆さん、ありが
今 回の元 気 大 賞は、日本での環 境 対
今回で3回目の審査会でしたが、いろ
とうございました。賞を受けられた皆さん、 策を海 外 援 助に発 展されている点がす
いろなご意見を聞けて有意義な時間で
おめでとうございます。これからは皆さんと ばらしいと思いました。そのような世 界と した。電通賞の「おむかえまるしぇ」は少
連 携してさらに日本の国の素 敵な元 気な のつながりがこれから持続可能な日本の
子化時代における問題を地域密着で環
仲 間を広 げていきたいと思います 。
「eco
社会を築く上で今後益々重要な要素とな
境にも配 慮されたアイデアで、
これを全
j a p a n c u p 」は市 民と企 業と官 公 庁が一
ると思います。新しい道を作るパイオニア
国に広げていけたら素晴らしいと思いま
緒になって日本 の 国を良くしたいというコ として頑張っていただきたいと思います。 す。全国では地域発のさまざまな活動を
ンテストですので益々盛んになると思いま その他の団 体の活 動もユニークな活 動 している方もたくさんいらっしゃいます。
こ
す 。日本 が 世 界のお手 本になっていくよう が多々あり、ボトムアップの活動のすばら の元気大賞に応募いただくことでさらに
に、楽しみながら活動をご一緒に続けてい しさと多様性に審査をするたびに感動し
環境活動が活発になっていくのではと期
きましょう。
ております。
待しています。
連携団体(実施事務局):NPO 法人 持続可能な社会をつくる元気ネット http://www.genki-net.jp/index.html
eco japan cup 2009 受賞者
「環境と経済の好循環」を推進する具体的な政策の提案を募集
環境ニューディール政策提言
ポリシー部門
グリーン・ニューディール 優秀提言
応募総数51件
サステナビリティ 準優秀提言
東京大学エネルギークラブ gーEnesis(ジェネシス)
『地域におけるソーラーパネル設置促進
のためのマッチング事業』
【政策の目的】本施策の目的は、住宅やその他建築物におけるソー
ラーパネルの数量を増加させ、大気中への二酸化炭素排出量を削
減することである。具体的には、地方自治体がソーラーパネル設置の
ための場所の提供者と資金の提供者をつなぐ役割を果たし、設置を
支援・促進する。
グリーン・ニューディール 準優秀提言 財団法人 日本生産性本部
『家庭エネルギー百葉箱の設置と市民主導の標準化戦略』
【政策の目的】家庭におけるエネルギー百葉箱の匿名設置(ビデオ
リサーチ視聴率のエネルギー版)と給電システムのグリーン化によ
り、住宅改修を必要としない低炭素型家庭の構築を行い、
ライフスタ
イル変容に拠らずとも地球温暖化対策を実現するとともに、地域市
民主導による家電製品などの標準化戦略を構築する。また同時に、
地域市民自らの行動変容や地域特性等の関連情報を含めたデータ
の家電製品等のメーカーへのフィードバックにより、環境保全と経済
成長・地域活性化を両立させうる持続可能な社会統合システム構
築に資することを目的とする。
NPO法人 銀座農業環境イニシアティブ 『有機農業による、生物多様性および自然環境の保全』
【政策の目的】生産者を含めたすべての消費者が、
「自分や家族の健康の為
だけでなく、生物多様性や自然環境を守るために有機農産物を食べる」
ことに
気付き、
また、
それを望むことで、農業の現場でも消費者の要望により、有機農
業が広まり、結果として農薬による自然破壊を防ぎ、生物多様性を保全する。
日本古紙リサイクル研究会
『地球温暖化防止対策時代の紙のリサイクルのあり方について』
【政策の目的】 一般家庭等からの古紙回収に、
『 上質系古紙、雑紙(ザツガ
ミ)系古紙の分別項目を新設する』
と共に、
『 紙製造の原理・原点に基づく紙
のリサイクルシステムを構築し』上質系古紙の回収利用を大幅に向上させ、
国産LBKPの節減による製紙用木材チップの輸入、及び輸入LBKPの大幅
節減を図り、海外植林地を他の環境対策に転用を可能にすることによる環
境対策の実施と共に、国産古紙資源の利用率の向上を図り、循環型社会の
構築を目指す。尚同様な古紙問題を有する他の国にも適用可能と考える。
株式会社プロトハウス事務局
『ふるさとの家がふるさとの人と森を結ぶ
「ふるさと家づくり支援策」
』
【政策の目的】日本の家づくりの仕組みを、本来在るべき適材適所の地域共
同体デザイン活動として再確立し、
それによって地域交流を促進。その結果、
地域活性化と環境保全を実現。この新しい家づくりの仕組み構築によって内
需拡大を具体的に推進するとともに、
自律循環型社会構築を推進する。
【ポリシー部門】環境ニューディール政策提言
[審査員コメント]敬称略
廣野良吉
成蹊大学名誉教授/
政策研究大学院客員教授
大久保 規子
大阪大学大学院 法学研究科教授
加藤秀樹
構想日本代表 東京財団会長
政策を考える場合の選択基準は、先駆性があるか、
どの政 策 提 言も熱 意にあふれるものでしたが、今
循 環 型 社 会 の 構 築 のための 3 R 、地 球 温 暖 化 防
有効性があるか、現状を認識しているか、緊急性があ
年 初めてとあって、提 言の完 成 度はさまざまでした。 止対策のための省エネ対策から森林保全や環境教
るか、時代性があるか、パートナーシップ性があるか、
な その中でも、今まで続けてきた活 動に根ざした提 言
育まで幅広い提言が届きました。そのような多数の取
どが重要です。環境問題は幅広い問題ですが、人間の
は、荒削りなものであっても迫力があり、大変刺激にな り組 みのなかで、目を引いたのは、環 境 問 題を地 域
健康維持・保健という個人の視点、生活の質や住む街 りました。
また、提言の中には、現在、
自治体等で実際
の経済や福祉とつなげるといった複数の視点で考え
を、住民皆で良くするという地域共同体の視点、経済成
に検討している施策と類似のものも多く見受けられま た事例が見られたことです。環境問題は経済や社会
長・完全雇用の確保を通じた政治社会の安定という国 した。提 言を練る際 、その問 題に関 する自治 体の対 と密接に結びついた問題です。今後の「eco japan
民国家的視点、そして自然との共生という意味で地球
応 等を調 べてみると、具 体 的な課 題がより明 確に把
cup」では、単なる出口対策に留まらず、社会全体の
上のあらゆる生命・多様性を大切にする全地球的視点、 握でき、提言のブラッシュ・アップに役立つのではない システムの問 題として、望ましくはより具 体 的な行 動・
この4つに焦点を当てて考えてほしい。
ポリシー部門は
かと思います。今年の経験を活かし、来年の提言がよ 取り組みの提案が集まることを期待しています。
経験が大事な分野ですが、今後はより若い人にも関心 り充実したものとなることを期待しています。
を持ってもらい、多くの提案をしていただきたい。
崎田裕子
一般社団法人環境ビジネスウィメン代表理事/
eco japan cup 2009 副実行委員長
今回初めてのポリシー部門ですが51件の応募を嬉し
く思った半面、
まだアイデア段階のもの、
ご自分の事業プ
ロジェクト提案の段階のものがかなり多く、
もう少し環境
政策提案ということに真剣に向き合っていただければ、
よ
り多くの方に紹介できるのではと思いました。全体に、大
きく分ければCO2削減という課題に取り組んだものと、
自
然生態系の再生に取り組んだ2つの視点の提案がありま
した。特に生態系の問題でいえば、単に荒れている森林
を守ろうという提案ではなくて、食糧問題を見据えて有
機農業を発展させて生物多様性や地域の環境保全を
実現するなど、明確に社会が抱えている大きな課題に対
して真剣に取り組んでいる提案が印象に残りました。
友野典男
明治大学 情報コミュニケーション学部教授
吉田徳久
早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科教授
政策提言は難しいものがあります。今回の応募作に
私が感心した提言は、
自治体が、土地を提供する人と
は、政策というより製品の販売促進策と思えるものや、 資金を提供する人の中継ぎをして、
ソーラーパネルの普
アイデアは面白いのですが、政策としての実現可能性
及を促進するというものでした。いわゆるクリアリング・ハ
に疑問が残るもの、政策として実施するより民間の事 ウス方式といいますが、環境の世界ではこのような触媒
業として展開すべきものが多かったのが残念でした。
し
的な役割を果たすことが重要です。
テーマもとてもタイム
かし、受賞された提言はアイデアや創意が見られ、是 リーでしたので、
みごとに受賞されました。政策提案という
非実現してほしいものだと感じました。今後は政策とし と、
とかく全国展開を視野に入れたものをと考えがちです
ての完成度の高い提言に期待しています、
また、今回
が、地元の良さや特徴を生かした地域発の提案があっ
は告知・募集期間が短かったために、十分構想を練る てもいいのではないかと思います。特定の地域で導入さ
時間がなかったのではないかと思います、
この点の改
れ、最終的には全国への波及を狙う…そういう作戦が面
善も期待します。
白いと思います。
「eco japan cup」のポリシー部門が、実
際の政策に通じる登竜門に育ってくれればと思います。
15
協力団体一覧(順不同)
〈後 援〉
外務省/経済産業省/国土交通省/内閣府/農林水産省/文部科学省/文化庁
朝日新聞社/産経新聞社/東京新聞/日本経済新聞社/毎日新聞社
読売新聞社/日経BP社/NPO法人 環境経営学会/
(社)
経済同友会/東京商工会議所/
(社)
日本インテリアデザイナー協会
(社)
日本グラフィックデザイナー協会/
(社)
日本経済団体連合会/日本商工会議所/
(社)
日本青年会議所
(社)
日本パッケージデザイン協会/日本ベンチャーキャピタル協会/日本貿易振興機構
(ジェトロ)
/低炭素都市推進協議会
北海道/青森県/岩手県/宮城県/秋田県/山形県/福島県/茨城県/栃木県/群馬県/埼玉県/千葉県
東京都/神奈川県/新潟県/富山県/石川県/福井県/山梨県/長野県/岐阜県/静岡県/愛知県/三重県
滋賀県/京都府/大阪府/兵庫県/奈良県/和歌山県/鳥取県/島根県/岡山県/広島県/山口県/徳島県
香川県/愛媛県/高知県/福岡県/佐賀県/長崎県/熊本県/大分県/宮崎県/鹿児島県/沖縄県
〈企業賞提供団体〉
日本郵政グループ/株式会社電通/株式会社キッズシティージャパン
〈一般協賛団体〉
〈連携団体〉
株式会社五十嵐商会
ライフスタイル部門連携:NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット
株式会社NTTドコモ
カルチャー部門連携:CHIKYU RECORDS
株式会社環境経営戦略総研
〈協力〉
佐川急便株式会社
深瀬記念視覚芸術保存基金
積水ハウス株式会社
MTV Japan Inc.
大和ハウス工業株式会社
東京ガス株式会社
東京電力株式会社
日本GE株式会社
富国生命保険相互会社
三井住友ファイナンス&リース株式会社
三井不動産株式会社
muzie
株式会社クレコ・ラボ
〈ロゴマークデザイン〉
永井一史
● eco japan cup 2009 に関するお問い合わせ
eco japan cup 総合運営事務局
一般社団法人 環境ビジネスウィメン
〒121-0816 東京都足立区梅島3-3-19 ECO DD FACTORY 1F E-mail: [email protected] 「練馬の大地 」でガーデニングを
Ⓡ
「練馬の大地」は東京都練馬区立小・中学校等の給食の残菜や残飯を
リサイクルして作られた肥料です。
静岡のお茶畑、福岡のニラ、山形のサクランボなど、
各地の特産品に使用されています。
ガーデニングにも最適です。
人々が安心して生活できる安全で快適な
環境作
貢献
総合ビルメンテナンス
(株)五十嵐商会
東京都練馬区三原台2-1-27
外 張 り 断 熱 の 家
ジーヴォ
by
ダイワハウス
※1 新省エネルギー基準適合住宅の場合(Q 値 =4.2W/ ㎡ K) ※2 xevo(Q 値 =2.1W/ ㎡ K)の場合。〔試算条件〕当社モデルプランにおける試算値。当社独自のシュレーション結果をもとに算出。
〔建設地〕大阪府〔ご家族〕4 名〔給湯〕ガス湯沸器〔調理〕ガスレンジ〔空調〕電気エアコン ※3 ブナの木 1 本、1 年あたりの CO2 吸収量は 11kg(独立行政法人森林総合研究所試算 )。
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