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分娩・産褥の異常

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分娩・産褥の異常
分娩・産褥の異常
前期破水 premature rupture of the membranes(PROM)
概念
陣痛発来前に卵膜が破綻し、羊水が子宮外に流出する場合
※ 早期破水:分娩中、子宮口が全開大になる前に破水(=卵膜の破綻)すること
疫学 全妊娠の 5~10%
原因
分類
卵膜の脆弱化(炎症などによる)、腹圧の上昇(咳嗽、重荷の挙上 etc.)、絨毛膜羊膜炎 CAM、
切迫早産、頸管縫縮術後、双胎、羊水過多症 etc.
妊娠 37 週以降の前期破水(term PROM)
妊娠 37 週未満の前期破水(preterm PROM)
羊水の流出。多くの場合、半日以内に陣痛が 羊水の流出。週数が少ないほど、自然に陣痛
症状 発来
発来することは少ない。一般に産科合併症を
伴うことが多い(多胎、骨盤位、胎児仮死 etc.)
・妊娠 35 週以降であれば、自然の陣痛発来を
待ち、陣痛発来がなければ分娩誘発を行う
・多くの場合、経過観察で O.K.
・1 日経過しても陣痛発来がない場合、PG E2
などで陣痛誘発
・妊娠 35 週未満の場合、塩酸リトドリンや硫
治療
酸マグネシウムで子宮収縮を抑制
・子宮内感染所見があれば、頸管内細菌培養
+抗生物質投与+速やかな分娩の終了
・子宮内感染所見や胎児仮死所見があれば、
分娩を誘発
臍帯下垂、臍帯脱出 ptosis of umbilical cord, prolapse of umbilical cord
臍帯下垂
臍帯脱出
破水前に臍帯が児の先進部を超えるか、また 破水後に臍帯が児の先進部を超えるか、また
はその近傍まで臍帯が下降している状態
はその近傍まで臍帯が下降している状態。臍
概念
帯は子宮内にとどまることはなく、膣内さら
には膣外に脱出する場合もある
胎位胎勢の異常:骨盤位、横位 etc.
誘因 産科異常:過長臍帯、羊水過多症、早産、前期破水、多胎妊娠、児頭骨盤不適合などによる
胎児先進部下降不良 etc.
⇒いずれも子宮下部に隙間を生じやすい病態
症状 臍帯下垂だけでは胎児には症状なし
臍帯の圧迫による血行障害から胎児仮死
検査 経腟エコー、内診
経腟エコー、胎児心拍数図、内診
治療 帝王切開
緊急帝王切開 or 急速遂娩術
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分娩・産褥の異常
子宮破裂 uterine rupture
概念 子宮体部 or 子宮下部の裂傷。主として分娩時に起こる
疫学 全分娩の 0.1%にみられる。初産婦よりも経産婦に多いが、特に帝王切開後の急速分娩に多い
・外傷性破裂:腹部打撲、陣痛促進剤の不適切投与、産科手術などによる
分類 ・自然破裂:順調な分娩時でも起こりうる。多産婦に多い
・子宮瘢痕部破裂:帝王切開後、子宮筋腫核出術などの既往のある産婦で起こる
破裂前…不安、呼吸促迫、頻脈、過強陣痛 or 痙攣性の陣痛、収縮輪の上昇(Bandl 病的収縮輪)、
子宮下部圧痛、胎児心音の悪化
症状
破裂後…突然の激しい腹痛、大量の内出血によるショック症状(顔面蒼白・チアノーゼ・頻脈・
血圧低下 etc.)、(陣痛停止時には)腹痛軽減、少量の外出血。合併症として DIC、MOF、羊
水塞栓症 etc.
※子宮下部横切開の手術瘢痕の破裂では無症候性に破裂が起こることがある
分娩時胎児仮死がみられる場合や、子宮出血が持続する場合、また頸管裂傷が存在する場合
診断 には、必ず本疾患を念頭におかなければならない。鑑別診断として、常位胎盤早期剥離、前
置胎盤、頸管損傷、弛緩出血、羊水塞栓症など
治療
破裂前…陣痛抑制薬の投与。場合によっては帝王切開
破裂後…血管確保、急速輸液、輸血準備、開腹止血
予後 診断・治療が遅れると母児ともに致命的となりうる産科救急疾患である
子宮内反 inversion of the uterus
概念 子宮体部が一部 or 全部反転した状態。高度の場合は、子宮内腔が腟外に脱出することもある
疫学
経腟分娩 2,000~15,000 回に 1 例程度発生する。まれに粘膜下筋腫などを有する非妊娠子宮
に発生することもある
誘因
堕落産など急速に進行した経腟分娩、Kristeller 胎児娩出法、胎児剥離前の臍帯の過度の牽引、
Crede 胎盤圧出法、癒着胎盤、臍帯過短、多胎妊娠、羊水過多 etc.
症状 分娩 3 期~産褥期初期に、突然強い下腹部痛、性器出血、ショック症状(血圧低下 etc.)など
診断 双合診により診断される。鑑別診断として、筋腫分娩、腟壁血腫 etc.
ショック・出血に対する対症療法(輸液、輸血 etc.)+用手的子宮整復(全麻下で行うと容易)
治療
※用手的整復が不可能な場合には、手術による整復が行われる
※整復後に、子宮収縮と止血を行うために子宮収縮剤を投与する(整復前の使用は禁忌!!)
予後
対応を誤ると、大量出血と血圧下降ショックにより重篤な状態になりうる。十分に注意深い
管理が行われれば、次回の分娩時に再発することはない
産褥性血栓性静脈炎 puerperal thrombophlebitis
概念 産褥期に起こる血栓性静脈炎
誘因
帝王切開が誘因として大きいが、産褥期はただでさえ血流のうっ滞がみられるため、産科手
術の既往のない人にもみられることがある
症状 発熱、鼠径部リンパ節腫脹、下肢の疼痛・浮腫
治療
安静、臥床、下肢の挙上、弾性ストッキングの着用、薬物療法(抗生物質、抗凝血薬、血栓溶
解薬 etc.)
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