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2014年「納品明細書」と「オフライン 受注の出荷データ」を

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2014年「納品明細書」と「オフライン 受注の出荷データ」を
座談会
2014年
「納品明細書」
と
「オフライン
受注の出荷データ」
を標準化へ
2013年、流通BMSの導入企業が中小規模の企業にまで広がり、すそ野が拡大しつつある。そうした中、課題も顕在化
し、流通BMSのガイドラインの修正も必要になってきた。今回はその点にスポットを当てて、情報志向型卸売業研究会
(卸研)
研究委員会座長の高波圭介氏
(国分㈱情報システム部長)
、日本スーパーマーケット協会 事務局長の江口法
生氏、同協会 情報システム委員会委員長の神藤信弘氏
(㈱ヤオコー営業企画部システム管理担当部長)
にお話を聞
いた。
(司会 同協会 情報システムアドバイザー 篠原豊氏)
1年たっても思ったように普及しませ
5社がスーパーマーケットです。当協
んでした。調べてみると、現状で取引
会の情報システム委員会参加企業では
が成り立っている中、新たなEDIの
8割が導入済みです。
篠原 最初に江口さんから、日本スー
構築に投資をする余力がないというの
篠原 今年の6月末時点で、卸・メー
パーマーケット協会(JSA)が流通
が大きな要因でした。
カーの流通BMS接続企業数が5,700
BMSの普及にどのような形で関わっ
篠原 それで流通BMSを低投資で導
社以上に増えているとうかがっていま
てきたのかを、簡単にお話しいただき
入できる方法を検討し始めたのですね。 す。
たいと思います。
江口 当協会が関与することで導入コ
高波 弊社においては、接続企業は
江口 業界全体の効率化めざし、情報
ストを引き下げることができないだろ
2008年の1社目から始まり、2012年
システムと物流システムの標準化の普
うかと考え、システム関連の企業に提
で43企業、2013年11月末の段階で
及・推進に取り組んできました。物流
案を求めました。その中で、クラウド
83社になりました。当初は、全国規
システムについては、クレートの標準
型のスマクラという仕組みなら中小規
模で店舗展開している小売業様が中心
化を推進し、情報システムについては、 模の企業も導入しやすいことが明確に
でしたが、2013年に入ってリージョ
05年から流通BMSの標準化に協力し、 なり推奨を決めました。そして、食品
ナルチェーン様との接続が増えました。
09年には生鮮メッセージを取り込ん
スーパーを会員としているオール日本
スマクラとの接続も多く、流通4団体
だバージョンができました。これで一
スーパーマーケット協会、新日本スー
推奨のスマクラで流通BMSのすそ野
気に普及すると意気込んだのですが、
パーマーケット協会、日本ボランタリ
が広がったと感じています。
ーチェーン協会にも賛同いただき流通
篠原 接続数が増えたのは、卸側の働
4団体で協力して、流通BMSの普及
きかけもあると思います。
活動に取り組んできました。
高波 卸研としても、卸から積極的に
篠原 各地で説明会を開催されました
普及推進するためにどのような提案が
ね。
できるかを考え、
「流通BMSの標準運
江口 2012年は、流通BMSとスマ
用への提案と啓蒙」を研究課題として
クラを認知してもらうことに主眼をお
取り上げてきました。
業界4団体での
スマクラ推奨が導入を促進
January 2014
神藤信弘 氏
日本スーパーマーケット協会 情報システム委員会委員長
(㈱ヤオコー営業企画部システム管理担当部長)
2
いて、全国で説明会を開き、できるだ
け多くの小売業に声を掛けて参加して
いただきました。その結果、スーパー
発注データ不在の
オフライン発注による取引が問題
マーケットでは普及が進み、現在、流
篠原 流通BMSの普及が進むにつれ
通BMSを導入している、あるいは導
て、新たな課題が顕在化しました。
入を決めている小売業147社中11
高波 卸研では、卸各社に流通BMS
[リテール IT イノベーション]
流通BMSの制定経緯
業界主導の標準化を経済産業省が支援。業種・業態横断の標準化を実現
流通サプライチェーン
全体最適化促進事業
流通システム標準化事業
2003年度∼2005年度
2006年度∼2008年度
2004年度
XML-EDIの実証
2005年度
次世代EDI
標準化ワーキング
グループ
2004年度
イオンとその取引先
7社が参加
普及拡大期
普及拡大に伴う課題の解消
2009年度∼2012年度
2006年度
標準メッセージ策定と共同実証
スーパー(グロサリー)
2012年末
イオングループ
全面流通BMS化
2007年度
スーパー業界で実用化商材の拡大
スーパー(アパレル・食肉)
2012年流通4団体
スーパーマーケットVAN
スマクラ推奨活動開始
2008年度
対象業態・業種・業務の拡大
スーパー(青果)
・ドラッグストア・
ホームセンター・百貨店等
2012年末
卸メーカー導入企業数
5,200社以上
2013年度∼
2013年4月
ネットスーパー商品画像
運用ルール標準化
2014年5月
出荷開始型メッセージと
納品明細書レイアウトの
標準化へ
ろわなければ、流通BMSを広げてい
くことはできません。小売業様と一緒
になって対策を考え、障壁を取り除い
て解決すべきだというところで、意見
がまとまりました。
篠原 オフライン発注そのものについ
ては、小売の立場から神藤さんはどう
日本スーパーマーケット協会
日本チェーンストア協会の協働
2007年4月
次世代標準EDIを
『流通ビジネスメッセージ標準』
と命名 Ver.1.0発表
した。しかし、私たち卸の足並みがそ
お考えですか。
2009年10月
基本メッセージに生鮮版統合のVer1.3リリース
神藤 基本的には、発注処理のサイク
ルを踏まえて発注業務を全てデータで
の課題点をアンケート調査したところ、 削減の協力を行う方向性で合意形成を
お渡しすべきなのですが、競合対策で
現在の流通BMSで標準化されていな
おこなってきました。
急な特売を企画する、欠品や客注対応
いために個別仕様になっている、
「納
篠原 卸がデータを作るケースは多い
など、イレギュラーな発注はどうして
品明細書」と「オフライン受注分の出
のですか。
も発生します。今後も無くすというの
荷データ項目」の二つの課題が浮かび
高波 オフライン発注が発生している
は非常に難しい。流通BMSを生鮮に
上がってきました。
企業のうちの2割は、卸側でデータを
広げていけば、数量確保が不安定とな
一つめの「納品明細書」は、当初ペ
作ってお返ししています。しかし、小
ることが多いなどオフライン発注が増
ーパレス推進の観点から、標準化され
売業様によって物流形態や情報化の要
える可能性があります。
なかった帳票です。しかし、流通
求項目が異なり、流通BMSをひとつ
BMS導入後の取引でも45%の小売業
繋げるごとに、卸側が、その企業に対
様において、納品時に納品明細などの
応したフォーマットを開発し小売業様
紙の帳票が使われていました。さらに
別のマスターを管理しなければなりま
篠原 すると、オフライン発注の存在
標準化されていないため小売業様各社
せん。
を前提に、新たなガイドラインを考え
の個別帳票となり、卸側に大きな負担
篠原 それは卸側にとってかなりの負
るということですね。
となっていました。
担ですね。どう解決されていこうとお
高波 そうです。オフライン発注を無
考えですか。
くすより、データ化の作業を簡素化す
る、いわゆるオフライン発注に対する
高波 小売業様側で、当フォーマット
ることの方が現実的です。オフライン
対応です。流通BMSは本来、発注か
を採用いただき、私たち卸側で、小売
ら債権債務に繋がる一連の商取引の全
業様共通仕様のプログラムでデータ化
てを、電子データを交換するシステム
しようと考えています。
です。しかし、実際には、流通BMS
篠原 オフラインの発注でも小売側が
導入後もオフライン発注が存在し、一
データ化するというのが、流通BMS
部の取引では、新たに出荷データを作
の考え方です。標準化されたフォーマ
成して、流通BMSで小売業様にお返
ットを使うにせよ、卸側でデータ化す
ししなければならない状況です(出荷
ることに、卸企業各社のお考えはいか
始まりのEDI形態)
。卸研では、事実
がなのでしょう。
は事実と受け止め、流通BMSの普及
高波 出荷データを返すことを受容し
促進のため、電話・FAXによるオフ
た企業と、データ化はせず、これまで
ライン発注に関して標準フォーマット
通り伝票で対応するという企業に二分
を決め、小売業の仕入計上の登録業務
されというのが2012年までの状況で
もう一つは、電話やファックスによ
オフラインを否定せず
修正したガイドラインで対応
高波圭介 氏
情報志向型卸売業界研究
(卸研)
委員会座長
(国分㈱システム部長)
January 2014
3
ます。
篠原 オフライン取引について卸側が
データ化するという提案について、神
発注の場合は、出荷始まりという形で、 高まります。卸としては是非とも受領
藤さんはどうお考えですか。
出荷の段階で卸がデータ化をしますの
データを送信いただきたいと考えてお
神藤 卸様でデータ化していただけれ
で、小売業様は、標準化されたフォー
ります。
ば、小売側の各店舗や社内での業務の
マットで返していただくということで
神藤 現在、受領データの返送はどの
効率化が図れます。非常にありがたい
す。もちろん、現状できちんとできて
程度あるのでしょう。
と思っています。
いるところは従来のままで問題ありま
高波 一部の集計結果の数字では、流
せん。
通BMS導入小売業様の26%からは受
篠原 いつ頃実現するのでしょう。
領データが戻ってきておりません。又、
高波 年末に流通BMS協議会に対し
オフライン発注に対し卸が出荷データ
篠原 今後の普及促進についてお伺い
て、<『出荷開始型』モデルの追加バ
を送信している小売業様においては
したいと思います。
リエーションとしての流通BMSのメ
75%が受領データを返してくれてい
神藤 JSAの加盟企業に関していえば、
ッセージ利用、及びその項目の標準化
ないのが現状です。
年商1000億円以上の企業の90%以上
と、帳票レイアウトを定義した『納品
神藤 我々小売業の昔からの商習慣か
は導入済みです。今後は規模が小さい
明細書』の標準化>を提案し、運用ガ
ら来るものかもしれませんが、せっか
ところが対象になるので、低コストで
イドラインの修正をお願いしました。
くのデータの流れが途中で途切れてし
導入できるスマクラを推奨し、よりき
その後討議され、早ければ2014年春
まっては、流通BMSのメリットがで
め細かなサポートをしていきたいと思
にはガイドラインの修正が実現するの
ません。そこは小売側が意識を変えな
っています。
ではないでしょうか。
ければいけませんね。
高波 加工食品卸では、約8割の企業
篠原 卸としては、送った出荷メッセ
篠原 神藤さんは、流通BMS準備段
が流通BMSをアウトソーシングして
ージに対して、小売からの受領メッセ
階から関わっていらっしゃいますが、
い ま す。JCA手 順 と 並 行 で、 流 通
ージの返しは求めるのでしょうか。
オフライン発注に対する懸念は当初か
BMSへの切り替えを実施する小売企
高波 流通BMSの基本的な考え方に
らあったのでしょうか。
業様も、スマクラのようなクラウドで
基づけば、受領メッセージの返送は必
神藤 初めに、取引のパターンを精査
利用できるシステムを活用すれば導入
須ですし、出荷データと受領データを
しようということで、取引の流れを追
しやすいですね。
照合することで、債権債務の明確性が
いながら、オンラインとそれ以外の業
江口 小売各社はこれまで、自社内の
務フローを整理しました。オフライン
みで効率化を図ってきましたが、業界
発注についてはEDI化の話しも出た
全体で効率化を図っていく段階に入り
のですが、発生要素も内容も多岐にわ
ました。小売業は製・配・販を繋ぎ合
たり、どこから手を付けたらいいのか
せる重要な役目を担っています。効率
January 2014
江口法生 氏
日本スーパーマーケット協会 事務局長
4
クラウド型スマクラで
中小企業への普及をめざす
分からないというのが正直なところで、 化とコスト削減が図れる流通BMSの
まず、データ化できる部分から標準化
普及は重要で、今回、卸様と協力して
を進め、流通BMSがある程度普及し
取り組めたことは非常に意義があると
た段階で、オフラインの取引について
感じています。
再度検討しようということにしました。 神藤 流通BMSは小売業にとって非
卸様も普及のためにいろいろ取り組
常にメリットが多い。卸様の協力を得
んで下さり、運用の中で、卸起点で今
ながら、協会の情報システム委員長と
回の課題が浮き彫りになってきました。 して、小売業界をまとめる一翼を担っ
改めて検討する時が来たなと感じてい
ていきたいと考えています。
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