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アリランのうた NEWS No.28 「ぬちがふぅ」韓国初公開 釜山平和映画祭大賞受賞! 今年 6 月 27 日から3日間開催された第 5 回釜山平和映画祭にて「ぬちがふぅ(命果報)-玉砕場 からの証言 -」(韓国題「玉砕-その真実」)は、大賞にあたる「夢見る平和賞」を受賞しました 残暑お見舞い申し上げます。 審査委員のチャン・ 戦争の足音が日々高まる今日この頃、皆様には リュル監督の作品上映 いかがお過ごしでいらっしゃいますか。病中の方 では、世界 3 大映画祭 には心よりお見舞い申し上げます。私は今年の正月 から受賞された「豆満 明けに脳梗塞で意識を失いました。幸いに後遺症も 江(2010 年製作)」を なくこの春無事に生還して参りました。 観て、私を追放してき 沖縄の金城実さんによれば「地獄の閻魔さんから た北の国を実に静かで パクスナムはややこしい女だと追い返されたのだ」 寡黙な作品に昇華して と高笑いされました。退院後、去年一年は車いすで おり涙がとまりませんでした。その北朝鮮には、 全国の上映会に飛び回っていた 2 本の足が、なんと 希望をたくして帰国した私の最愛の妹がこの半世 歩けるようになっていました。閻魔さんが追い返す 紀会うこともできないまま、います。 時に、これで帰れと足をくれたのでしょう。自分の 受賞のご挨拶で、私はこれまでの孤独な制作活 足で歩けるようになって何より嬉しく思います。 動を支援して下さった日本の皆様と、重い沈黙か 6 月には、韓国の釜山平和映画祭に招請され、参加 ら語り出して下さった沖縄人の皆様の勇気への感 してきました。半世紀もの間、分断された祖国の南 謝と、さらにこの戦場で犠牲になった兄や姉たち 北の国から、会うことをさえ妨げられてきた韓国の をはじめ全ての犠牲者への鎮魂の言葉を述べまし 若い人たちに招かれ、初めて私の作品を観ていただ た。あらためてこれまで長い年月にわたって支援 く機会を与えられたことに深い感慨と喜びを覚えま して下さった皆様に感謝と御礼を申し上げます。 した。孫のような若い世代たちが、どのように映画 9 月には北海道の「第 19 回 SHINTOKU 空想の森映 を観たのか、寄せられた感想文をぜひご一読下さい。 画祭」 (藤本幸久・影山あさ子監督主催 / 映画「笹 明け方まで、私は彼らの感想を読んで、これまでの の墓標」)に招待され参加します。藤本幸久監督は ウチナンチュ 「ぬちがふぅ ( 命果報 )」に続く新作完成のために 製作活動に最大の賛辞だとその日は眠れませんでし た。半世紀に及ぶ孤独の闘いが、韓国の若い世代の 「朴壽南さんの映画を完成させる応援団」を発起し 力に評価されたことに無上の喜びと幸せを感じまし て下さいました。呼びかけ文をご覧いただき、ぜ た。翌日の閉幕式では、思いもかけず「ぬちがふぅ ひ皆様のご賛同・ご協力をお願い申し上げます。 酷暑の中、皆様のご自愛をお祈り申し上げます。 ( 命果報 )」があまたの作品の中から選ばれ、大賞の 「夢見る平和賞」を授与されました。 審査委員 チャン・リュル監督 朴 壽南 コメント 2 0 数年という月日をかけ貴重な証言を記録して下 さった朴壽南監督に感謝と敬意を申し上げます。本当 に素晴らしい作品です。大変感動し、勉強にもなりま した。この作品はタイトルの通り「真実」を明らかに する映画です。そうした映画なのですが、その中にた くさんの「良心」があふれています。真実を明らかに するということの根本は良心の追及であるようです。 この世で人が良心を守るということを朴壽南監督はた いへん良く描いていると思います。 チャン・リュル監督(左)、パク・フンォン審査委員(右)とともに 1 アリランのうた NEWS 2014 年 8 月 15 日 第 28 号 韓国・釜山平和映画祭の感想 韓国初公開で寄せられた沢山の熱い反響、若い世代 の感想の一部をご紹介します。 ★沖縄と地域が持っている問題も慰安婦についての新 しい点についてよくわかりました。地域住民が証言す る部分は実感がわいてきて、彼らの人生がいかに悲惨 であったかを知ることができました。20 年間、丹念に 取材をしこの映画を作って下さった監督を心から尊敬 します。 「玉砕」の意味がどんなに惨忍なことであった か、 一つ一つ改めて知ることができました。 (40代女性) ★ 20 年という長い歳月の間私たちが忘れてしまった 歳月をこのように記録して下さいましたこと本当にあ りがとうございます。本来ならば個人ではなく、日本、 韓国の政府レベルが明らかにしなくてはないこのよう な問題を、このような「映画作品の声」として表現し なくてはならないという点が悲しくもあります。当時 も今も国家は同じだと思いました。沖縄人と朝鮮人を 玉砕させ殺すことを強要した日本と、過去の被害者た ちを踏みにじったまま未来につき進もうとする韓国 (政府)。20年の歳月の間真実をたいへんなインタ ビューをして記録して下さってきた間、何も私たちが 変わることができなくて本当に申し訳ないです。力が ない20代の弁明といってしまえば弁明です。「ごめ んなさい」という言葉自体もなにか包み隠したようで 言うことができません。しかし、いつも心の中にこの 映画をずっと刻んでいきたいです。私が持っている過 去に対する悔い、罪それを、今日考え直す機会を下 さったことに心から感謝します。 (20 代女性) 「夢見る平和賞」 <玉砕ーその真実> 朴壽南 上のものは 2014 年第 5 回釜山平和映画祭において 平和の意味を心に刻む意義深い作品として認めら れたことを讃え表彰します 2014 年 6 月 29 日 釜山平和映画祭 組織委員長 ク・チャシン ★「誰のための戦争なのか?」「何のための戦争なの か」映画を見ながら私の疑問がさらに大きくなりまし た、この怒りでいっぱいの疑問を決して忘れず大切に していきます。そして動き出します。このような映画 を作って下さって本当に有り難うございました。追 伸:この映画祭が終わった後もいろんな所でこの映画 を上映してほしいです。ウルサンでもぜひ上映して下 さい!(20 代女性) ★沖縄戦の実情を始めて知りました。韓国だけではなく 沖縄でも大きな被害があったということが分かりまし た。この映画をたくさんの韓国の若い世代に知らせて上 映してもらいたいです。日本の過去についてもっと知ら せてきちんと補償をしてもらわなければなりません。 ★沖縄の悲しみに共感します。それにもかかわらず玉砕 の命令に盲目的に従った住民たちについて完全に理解す ることができません。今までも天皇にきちんと責任をと らせていない日本が理解できません。長い時間貴重な資 料を集めてくれた監督に感謝します。 (30 代女性) 朝鮮新報 7 月 15 日 受賞報道 釜山平和映画祭(6 月 27 ~ 29 日)で朴壽南監督「ぬちが 南朝鮮で初公開となった本作は、沖縄・嘉数(かかず)に ふぅ(命果報)-玉砕場からの証言-」が、大賞にあたる「夢 見る平和賞」を受賞した。 配備された慰安所についての新たな証言を追加し、 2014年版 を再編集し公開したもの。観客からは 「 『玉砕』の意味とど 審査委員のジャン・リュル映画監督は「貴重な歴史的証言 を20数年もの長い年月をかけて収録し作品化したことに感 れほど惨忍なことが行われたか改めて知ることができた」 「当時も今も国家は同じだ。沖縄人と朝鮮人を玉砕させ、殺 謝する」と述べた。約 300 本におよぶ作品の中から劇映画、 ドキュメンタリー映画13本がコンペティションで上映され、 すことを強要した日本と、 過去の被害者たちを踏みにじった まま未来につき進もうとする韓国(政府) 。いつも心の中に 国内の作品をおさえて本作が大賞を受賞した。南朝鮮では 沖縄戦についてはほとんど知られておらず、沖縄の住民が この映画を刻んでいきたい」との感想が寄せられた。制作者 らは、 本作を日本各地の朝鮮学校でも上映したいと考えてい 語る「慰安婦」少女についての証言は大きな衝撃を与えた。 る。 (問い合わせ= TEL 090-6867-3843) 2 韓国・元慰安婦のハルモニを撮影 イ・オクソン 李玉先さん 87 歳。 15歳の時突然拉致され満州の慰安所へ。 ハルモニたちの支援の中心だった朴監督は、10年 李さんは 1994 年5月、15 人の慰安婦被害者ハル ぶりに今一人で暮らす李玉先さんに会い、現在の生 活や慰安所での体験をあらためて撮影。新作には、 モニたちと来日。永野法相(当時)の「慰安婦は公 「慰安婦」問題の総括として 15 人のハルモニたちの 娼」との発言は被害者たちの日本政府への不信を決 映像の記録と李玉先さんの現在の証言を発表する。 定的にしたのだった。李さんは「このままでは死ぬ に死にきれない」と政府への抗議行動、議員交渉、街 (詳細は 新作製作呼びかけ をご参照ください) 頭デモの先頭に立って四年間たたかい続けた。 韓国・京郷新聞 2014 年 5 月 27 日 在日同胞 朴壽南監督 “日本軍、韓国人に爆弾を背負わせ米軍戦車に体当たりを強要” ドキュメンタリー映画「玉砕、その真実」韓国初公開 太平洋戦争末期、日本の沖縄で悲惨な死を遂げた朝鮮人軍属と慰安婦についての証言を収めたドキュメンタ リー映画「玉砕、その真実」が来月国内で初めて公開される。 1990 年から 20 年の長期取材をかけドキュメンタリーを完成させた在日同胞 2 世朴壽南監督(79 歳)は 26 日、 京郷新聞のインタビューで「当時日本軍の朝鮮人軍属たちに爆弾を背負わせて米軍戦車に体当たりをさせ玉砕 を命じた」 「当時の朝鮮人が強いられた惨状を韓国人に知らせなくてはならない」と語った。 「玉砕、その真実」 は 6月27日から開催される釜山平和映画祭で公開される。1944年から沖縄には1000人を超える朝鮮人少女たち が慰安所に、そして若者たちは軍属として連行された。太平洋戦争の末期1945 年3月から沖縄地上戦が始まり、 日本軍は敗戦が濃くなると「天皇陛下の為に全員玉砕せよ」と命令。そして数万の沖縄住民と朝鮮人軍属、慰 安婦たちは無残な死を遂げた。映画には、当時「アリラン」を唄っていた慰安婦を記憶している老人や、軍属 として徴用されてきた朝鮮人など27人の証言を収めた。特に最大の激戦地となった嘉数高地の闘いで朝鮮人軍 属に爆雷を背負わせて米軍戦車に体当たりを強要させたという当時嘉数村長の伊波正栄さんの証言は、当時の 朝鮮人の惨状を伝える貴重な証言である。朴壽南監督は朝鮮人原爆被爆者を扱った「もうひとつのヒロシマ」 (1986 年)で在日同胞の実情を日本人社会に訴えた。今回の映画の完成について感想を聞くと「ようやくこの映 画で私の墓碑銘を書くことができました」と語った。< ソ・イドン記者 > 日本語翻訳 朴麻衣 3 アリランのうた NEWS 2014 年 8 月 15 日 第 28 号 <慰安婦の姉や兄達の“ハン”を晴らさなければ> 韓国ハンギョレ新聞 2014 年 5 月 26 日 80 歳という年齢で、生涯 3 本目 2012 年日本で公開された「玉砕、その真実」は、3 の映画を製作した。 「寡作」の監 作目の最新作である。朴壽南監督は「沖縄住民たち 督と言えるかもしれない。しか と当時朝鮮人の軍属たちの沈黙がとても深く、彼ら し在日同胞 2 世、朴壽南監督(79 の証言を聞き出すことだけで 20 年がかかった」と話 歳)にとって、一本一本の作品 す。そして「信頼を築きあげるのに 20 年がかかって の制作は「真実を掘り起こす革 いる」と加えた。玉砕とは「玉のように砕けよ」と 命」であったと言っても過言で いう意味を持ち、当時日本軍の命令として作られた はない。処女作として韓国人原 言葉である。この命令によって当時沖縄の人口の 4 分 爆被爆者の存在を初めてこの世 の 1 に当たる約 3 万人(注:数字誤記)の沖縄住民た に訴えた『もうひとつのヒロシ ちや、朝鮮人軍属たちが戦車に体当たりを強要され マ - アリランのうた』 (1986 年)は 1965 年から広島、長 るなどして亡くなった。彼女は 27 人から証言を聞き 崎を歩き証言と資料を集め作られ、 日本国内で大きな反 取り映画を完成させた。朴監督は最近第 2 部の撮影の 響をえた。2 本目の作品は「慰安婦」問題だった。自ら ため韓国を訪れた。第 2 部は慰安婦被害者たちについ 体を売った娼婦ではなく、 日本軍の性奴隷であったと初 ても取り上げる。彼女は「慰安婦被害者たちを“姉” めて名乗りをあげた故ペ・ポンギさんの告発を聞いて衝 と呼び、軍属たちを“兄”と呼ぶ。同じ民族のひと 撃を受けた朴壽南監督は 『アリランのうた-オキナワか つの家族であると考えているのだ。彼女たちの”ハ らの証言―』 (1991年)を制作した。当時、ドキュメンタ ン”を晴らさなくてはならない」と尽きる事のない リー映画としては異例の 20 万人を動員した。あれから 創作へのエネルギーを語った。 20年が経ったが、今でも日本では映画『アリランのうた 「玉砕、その真実」は 6 月 27 日から開催される釜山 -オキナワからの証言―』 を通して性奴隷という問題に 平和映画祭で公開される。<パク・スジ記者> ついて理解する人々が少なくないという。 日本語翻訳:朴麻衣 新たに証言が追加された 「ぬちがふぅ(命果報)- 玉砕場からの証言 -」 2014 年版 ★自主上映団体を募集しています★ DVD 又はブルーレイ再生プレーヤー、プロジェクター、スクリーン、音響設備があれば、 どなたでも上映していただけます。 ■上映料 少人数での上映会も開催しやすくなりました。 21,000円 (上映のための保証料金です) 31 人目からお一人 700 円 アリランのうた NEWS 第 28 号 2014 年 8 月 15 日 〈発行〉 ■子どもたちの平和学習に 学校上映 一人 300 円× 鑑賞人数 アリランのうた製作委員会 事務局 朴麻衣 〒 253-0082 神奈川県茅ケ崎市香川 2-26-8 ■上映権付き DVD も販売開始しました! 電話 : 090-6867-3843 (学校・公共団体による無料上映用)50.000 円 email: [email protected] DTP: ピーエスビー・リサーチ 三上かおり 貸出上映素材 2014 年版「ぬちがふぅ(命果報) 郵便振替口座 00210―7―56091 - 玉砕場からの証言 -」 「アリランのうた制作委員会」 < 138 分 ブルーレイ・DVD> 「ぬちがふぅ(命果報)-玉砕場からの証言-」 ◆英語版字幕版 <132 分ブルーレイ・DVD> ◆韓国語字幕版 <138 分 > お申込み・お問合わせは、右記事務局まで。 4 www.nutigafu.com 今年3月、座間味島の玉砕の証言者である小嶺ツル子さんが、 第2部の完成を待ちわびながら、永眠されました。 謹んでご冥福をお祈り申しあげます。 朴壽南