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低炭素社会実現に向けた 植物研究の推進のための基盤整備
資料4-6 低炭素社会実現に向けた 植物研究の推進のための基盤整備 理化学研究所 植物科学研究センター 篠崎一雄 1 グリーンバイオテクノロジーが切り拓く低炭素循環型社会 ・持続型社会を構築するためには、CO2を排出する化石資源の依存度を減らすことが急務。 ・植物バイオマスを原料として燃料や新材料を製造する技術は、低炭素社会のための革新技術。 ・バイオテクノロジーを活用した革新的バイオプロセスの確立による、新産業の創出が必要。 化石資源利用型 CO2 原油 化学 製品 素材 20世紀 消費型社会 バイオプロセス エネルギー CO2増加 温暖化 CO2 オイル等 エネルギー 新産業の創出 抽出 石油化学プロセス 革新技術 の開発 糖 類 ガソリン 灯 油 軽 油 重 油 ナ フサ 分留 CO2 糖化 再生可能な 資源の活用 植物 ガス 化 合成ガス CO2 バイオマス利用型 化石資源 の枯渇 化学 製品 バイオ 素材 21世紀 持続型社会 ~ カーボンニュートラル ~ 2 植物科学が果たすべき役割 −光合成によるCO2の資源化が重要− 新たに付け加 わった課題 これまでの、そして これからの課題 バイオマス生産 食料生産 + 新素材生産 植物に食料だけでなくエネルギーや素材を生産させる 3 植物機能研究から日本の成長戦略への貢献 太陽光 CO2吸収 光合成によるCO2の資源化 食料生産 生長制御や環境応答の最適 化により、食用作物の生産性 向上を図る。 食料の質と量の向上 ホルモン、環境耐性育種、代謝制 御による2度目の世界的食料増産 (30%増) バイオマス生産 CO2固定反応の改良や光化学系の改 良により、光合成能力の向上を図る。 光合成機能、CO2固定量向上 CO2排出量の削減(1990年比5.2%)。 陸上植物の生産性の向上、藻類のバイオマ ス燃料による削減効果など 新素材生産 代謝機能強化により、油脂・デン プン・アルカロイド等の医薬品・ 色素などの有用物質の生産性 向上を図る。 有用物質生産 CO2の有機資源利用により有用化合 物の生産量向上 予想市場規模 5兆円 グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略 『50兆円超の環境関連新規市場』、『140万人の環境分野の新規雇用』、『2020年に温室効果ガス を1990年比で25%削減』 (2020年までの目標) 4 既存の研究基盤による植物科学の大きな成果 日本の植物科学は世界のトプクラス(論文引用度等の評価、サイエンスマップ2006) 既存の研究基盤から多くの研究成果が生まれ、食料・環境・エネルギー問題に資する新たな植物、作物の開発に貢献 シロイヌナズナ、イネ研究で世界をリード 新たな植物開発へ トップ研究リーダーと若手研究者の協力 ゲノム解読 植物の形作り 生産力 環境応答 5 拠点の連携強化と基盤研究の推進 ・既存の大学や理研等の個別の地域拠点が連携・強化し、更にはグリーンイノベーションに向け結集し、植物の多様な機能をメタボローム統合解析基盤 で解析し、形質転換した植物の形質評価をすることで、光合成機能やバイオマス生産の向上に資する一気通貫型の基盤を構築。 ・最先端研究基盤のノウハウと設備を提供し、若手・女性研究者がアクセスしやすい連携拠点として、研究と頭脳循環を加速 多様な植物の 未知機能を利用 バイオマス増産 CO2固定化・資源化 新素材・植物工場 形質評価 ストレス耐性評価 (岡山大) バイオマス特性評価 (東北大) 高CO2・乾燥ストレ スなど劣化環境に おける植物の生育 を調査・解析 器官、細胞解析 (名古屋大・東京大) 事務局(理研) 形質転換 組換え植物育成 (筑波大) 組換え技術の高度化、 生命倫理/規制対応支援 により有用遺伝子の活 用を加速 世界の計測拠点 海外、アジア連携 若手の自立と連携 メタボローム などの統合解析 アクセスしやすい 地域拠点の構築 各拠点が得意とする植物オ ミックス基盤を高度化、連携さ せて、多様な植物のシステム の理解、有用遺伝子探索を 加速 メタボローム解析(理研) プロテオーム(奈良先端大・京都大 ゲノム解析(基生研)) 6 新たな植物科学:モデル植物の知的基盤と新たな連携基盤を利用した実用植物研究 環境の変化・食糧不足・バイオマス利用の需要などの多様な要求に応えるため、従来のモデル植物(シロイヌナズナ)の理解から 多様な植物の機能理解へと進み、実際の育成環境への実用化やCO2の固定化・資源化が促進。 モデル植物の知的基盤 植物共通機能の理解 シロイヌナズナ 穀物機能の理解 イネ 環境・バイオマス利用、食糧問題解決に向けた開発研究 植物それぞれの機能の理解とそれぞれの出口 藻類 脂質代謝・蓄 積システム バイオディーゼル ムギ類 イネ科草本 ストレス耐性 微生物応答 草本セル ロース 草地バイオマス利用 食糧増産 樹木 木質化 リグニン 木質バイオマス 利用 マメ科植物 窒素同化 微生物間 相互作用 トマト 代謝システム 物質輸送 有用物質生産 コケ 元素吸収・蓄 積システム 環境浄化・ 資源回収 グリーンイノベーションに必要な、多様な植物機能の解明と利用に対応する多様な植物の新たな基盤整備 メタボロームなどの統合解析、形質転換、形質評価の各基盤の高度化と連携強化 企業 国内の環境・食糧・バイオ製品関 連企業への橋渡し研究の推進 海外 イネ、コムギ、トウモロコシ、ダイズなど主要 穀物の育種研究機関との連携 製紙会社や海外樹木育種機関との連携 国内の作物・樹木育種研究の連 携の強化(大学、研究機関) 7 拠点整備によって可能になるCO2資源化効率の飛躍的向上 代謝改変・形質転換・評価を担う拠点が連携・整備の強化を行うこで、C3型光 合成植物の代謝システムを理解し、C4型に改変することで光合成によるCO2 固定能とバイオマス生産性の高い植物の開発を進める。 光合成機能が向上し、バイオマスの 生産性を上げた植物の作出。 現状 個別の専門拠点 メタボ ローム 連携によるマイルストーン C4 型 C3 形質転換による 代謝改変 葉器官や葉緑体の 可視化と機能解析 光 陽 CO 太 2吸 収 葉緑体の機能向上 型 連携と基盤強化で CO2資源化の開発研 究を推進 効率 それぞれが突出している がスループットと解像度の 向上、連携が必要 光合成に関わる葉緑体の代 謝ネットワークの解明と機能 向上を目指す。 光合成 メタボロームなどの 統合解析 光合成や葉緑体機能 に関わる代謝制解析 源化 形質 転換 炭素固定能増強の 評価 CO 2資 形質評 価 代謝工学による バイオマス増産と CO2資源化 8 国際的な植物研究連携 これまでは各拠点毎に国際連携研究を推進していた。 最先端の研究基盤整備により、拠点設備と人材をワンストップショップ化し、 世界の作物育種研究センターに対し、最先端の植物研究のアジア拠点としての役割を果たす。 【既存の連携体制】 これまでの個別拠点毎の国際連携研究 世界の作物育種研究センター(CGIAR)との国際連携 9国際コムギ・トウモロコシ改良センターCIMMYT(メキシコ) ストレス耐性コムギの野外実証試験 9国際イネ研究所IRRI(ヒィリピン) ストレス耐性イネの野外実証試験 多様な作物の応用展開を目指した国際連携 9ブラジル作物開発センターEmbrapa ダイズの生産性向上とバイオエタノール生産 9キャッサバ研究連携 CIAT(コロンビア)、マヒドール大(タイ) キャッサバの生産性向上とバイオマス増産 アジア連携で推進する木質バイオマス増産によるCO2資源化 9スーパー樹木研究連携 南京林業大(中国)、森林研究所(ベトナム) ストレス耐性とバイオマス生産性を 合わせたスーパー樹木(ポプラ)の野外試験 9 国際的な植物研究連携 これまでは各拠点毎に国際連携研究を推進していた。 最先端の研究基盤整備により、拠点設備と人材をワンストップショップ化し、 世界の作物育種研究センターに対し、最先端の植物研究のアジア拠点としての役割を果たす。 【基盤強化後の連携体制】 植物研究のアジア拠点 最先端研究基盤 最先端研究基盤 のワンストップショップ のワンストップショップ 先端技術提供による 外交基盤拡大 世界の植物研究者との 人材交流 これまでの個別拠点毎の国際連携研究 世界の作物育種研究センター(CGIAR)との国際連携 9国際コムギ・トウモロコシ改良センターCIMMYT(メキシコ) ストレス耐性コムギの野外実証試験 9国際イネ研究所IRRI(ヒィリピン) ストレス耐性イネの野外実証試験 →日本の先端基盤から見いだされた有用遺伝子が世界の穀物育種に直接貢献 多様な作物の応用展開を目指した国際連携 9ブラジル作物開発センターEmbrapa ダイズの生産性向上とバイオエタノール生産 9キャッサバ研究連携 CIAT(コロンビア)、マヒドール大(タイ) キャッサバの生産性向上とバイオマス増産 →日本の多様な先端基盤が多様なエネルギー作物の応用研究を加速 アジア連携で推進する木質バイオマス増産によるCO2資源化 9スーパー樹木研究連携 南京林業大(中国)、森林研究所(ベトナム) ストレス耐性とバイオマス生産性を 合わせたスーパー樹木(ポプラ)の野外試験 →スーパー樹木開発によるCO2資源化技術に基づくアジア連携、外交基盤形成 10 次世代の植物科学研究を担う国際的な若手研究者の支援と育成 世界のトップリーダーが推進する日本にしかない連携型最先端基盤(メタボロームなどの代謝解析から評価まで) に国内外の若手、女性研究者が集う機会を提供する。技術提供、自立支援により次世代のリーダーの育成。 【既存の支援体制】 名古屋大学 グローバルCOEプログラム ・次世代の生命科学を担い国際的に活躍出 来る若手人材の育成。 ・農業的に有用な生物と自然環境との間の ネットワークの解析。 ・科学的アプローチが困難な複雑な生命機 能の解明を目指す。 奈良先端大学 グローバルCOEプログラム ・生物の環境適応に係わる研究の推進。 ・CAS‐IGDB(中国)とUCD‐DBS(米)と協力体制を構築 し、国際推進委員会を設立。 ・国際社会で活躍する自立した研究者の養成。 理化学研究所 組織的な若手研究者等 海外派遣プログラム ・統合オミクス解析技術と実用植物への展開 を重点に置き、組織的・戦略的に若手研究 者を海外に派遣。 ・海外の研究機関と統合オミクス解析、バイオ テクノロジー、作物育種等に関する科学技 術交流を促進。 ・研究ネットワークを形成。 基礎生物学研究所 全国共同利用機関 ・EMBL(EU)、マックスプランク研究所(独)、プリンス トン大学(米)との国際連携プログラム ・合同シンポジウムを開催し、生物学及び分子生物 学に関する学術、教育及び技術交流を促進 ・国際トレーニングコースを開催し、情報交換や、若 手研究者や大学院生の交流を促進 11 次世代の植物科学研究を担う国際的な若手研究者の支援と育成 世界のトップリーダーが推進する日本にしかない連携型最先端基盤(メタボロームなどの代謝解析から評価まで) に国内外の若手、女性研究者が集う機会を提供する。技術提供、自立支援により次世代のリーダーの育成。 【基盤強化後の支援体制】 理化学研究所 組織的な若手研究者等 海外派遣プログラム 名古屋大学 グローバルCOEプログラム ・統合オミクス解析技術と実用植物への展開 を重点に置き、組織的・戦略的に若手研究 者を海外に派遣。 ・海外の研究機関と統合オミクス解析、バイオ テクノロジー、作物育種等に関する科学技 術交流を促進。 ・研究ネットワークを形成。 ・次世代の生命科学を担い国際的に活躍出 来る若手人材の育成。 ・農業的に有用な生物と自然環境との間の ネットワークの解析。 ・科学的アプローチが困難な複雑な生命機 能の解明を目指す。 奈良先端大学 グローバルCOEプログラム ・生物の環境適応に係わる研究の推進。 ・CAS‐IGDB(中国)とUCD‐DBS(米)と協力体制を構築 し、国際推進委員会を設立。 ・国際社会で活躍する自立した研究者の養成。 最先端研究基盤 最先端研究基盤 基礎生物学研究所 全国共同利用機関 ・EMBL(EU)、マックスプランク研究所(独)、プリンス トン大学(米)との国際連携プログラム ・合同シンポジウムを開催し、生物学及び分子生物 学に関する学術、教育及び技術交流を促進 ・国際トレーニングコースを開催し、情報交換や、若 手研究者や大学院生の交流を促進 ○上記プログラムをもとに、国内外の若手研究者に最先端研究基盤 のノウハウと設備を提供。 ○幅広い研究の多様なアプローチに対して、若手研究者が広い視野 を持つ機会を組織的に支援。 ○若手研究者の活動の場が増える国際的な連携ネットワークを構築 ○国際社会で活躍しプロジェクトを担う、若手研究者の自立支援 12 植物科学研究基盤ネットワークの実施体制 国内外の若手・女性研究者が、世界トップレベルの研究者が担う最先端研究基盤を活用し、 植物の光合成機能やバイオマス生産性向上に関する優れた研究成果を生みだすシステムを構築。 【既存の実施体制】 運営委員会 ・シンポジウム等広報活動の企画 ・各拠点間の事業推進に関する協議調整 ・他省庁や産業界との連携を推進 9技術講習会、ワークショップなど を進めて新世代の研究手法を広げ る仕組みを作成。 9各拠点間の事業推進に関する協 議調整。 形質評価 形質転換 個別の地域拠点 メタボローム などの統合解析 器官、細胞解析 13 植物科学研究基盤ネットワークの実施体制 国内外の若手・女性研究者が、世界トップレベルの研究者が担う最先端研究基盤を活用し、 植物の光合成機能やバイオマス生産性向上に関する優れた研究成果を生みだすシステムを構築。 【基盤強化後の実施体制】 運営委員会 9各拠点間の事業推進に関する協 議調整。 9若手、女性、地域などの個別研 究者の基盤利用を支援 9人材養成を積極的に推進 ・シンポジウム等広報活動の企画 ・各拠点間の事業推進に関する協議調整 ・他省庁や産業界との連携を推進 ・プロジェクト全体の基本方針や全体計画の策定 ・必要に応じ目的別WGの設置 形質評価 メタボローム などの統合解析 器官、細胞解析 推進委員会 ・外部有識者で構成 ・外部からの助言、指導 9技術講習会、ワークショップなど を進めて新世代の研究手法を広げ る仕組みを作成。 9次世代の研究ポテンシャルのグ リーンイノベーションに向けた活用 を促進。 事務局(理研) 形質転換 若手、女性 の参加促進 ・プロジェクト全体のサポート ・推進委員会、評価委員会等に関わる事務 ・HP作成、シンポジウム開催、広報活動 ・技術講習会、ワークショップの開催支援 ・若手への支援や情報窓口 若手・女性研究者からの連携基盤を活用する優れた 研究提案をサポートするシステムを検討 海外研究者 の参加促進 14 低炭素社会実現に向けた 植物研究推進のための基盤整備 ○植物機能活用によるCO2資源化に向けて、多様な有用植物を対象にメタボロミクスを中心 にゲノム統合解析などの基盤を利用して光合成や代謝に関わる有用機能の解明と利用を 進め、次世代の研究開発を推進する。 ○世界トップレベルの研究者と先端計測基盤ネットワークを構築し、国内外の若手、女性研究 者の研究の推進とリーダーの育成、国際的な人材の交流、技術の交流を促進するととも に、農水省、経産省、環境省等と協力し、オールジャパンでの研究体制でのグリーンイノベ ーションを進める。 【実施体制】 (1)プロジェクト全体の全体計画の策定や、各研究基盤の事業推進を図るため、 事務局・運営委員会・推進委員会を設置してオールジャパンで推進する。 (2)各拠点間の事業推進に関する協議調整や、必要に応じ目的別WGを設置。 (3)若手、女性、地域などの個別研究者の基盤利用を支援するとともに、研究リーダーなどの 人材養成を積極的に進める。 (4)技術講習会、ワークショップなどを進めて新世代の研究手法や情報処理などを広げる仕 組みを作り、さらに共同研究により研究基盤の活用促進。 (5)海外との研究交流の拠点としての役割。国際的な人事交流を進める。 15 参考資料 16 我が国の植物科学は世界のトップレベル 論文の引用度調査(ISI Thomson)に見られるように植 物科学における日本の水準は 極めて高いものがある。 ・理研:論文引用度で世界第2位 ・名古屋大:イネ研究で世界一 ・奈良先端大:大学評価で日本一 ・篠崎一雄:論文引用数で世界一 ・シロイヌナズナ、イネゲノム研究 で国際貢献 しかし、バイオバイオテクノロ ジーなど、産業界への取り組み は弱い。 今後の食料、エネルギー、環境問 題の重要性・緊急性を考えると、重 点的支援が必要 (科学技術・研究開発の国際比較 2008年版、CRDS) (科学技術政策研究所、 サイエンスマップ2006) 17 低炭素社会実現に向けた遺伝子研究 木質バイオマスの生産性向上 太 陽 非食用バイオマス 光 CO2削減 樹木 草本 石油代替品 再生可能エネルギー 食料の非食部 バイオ材料 研究体制 19 ・木質形成を制御する遺伝子の発見 ・植物のサイズを大きくする遺伝子の発見 ・樹木の形を決める遺伝子の発見 ・環境ストレス耐性遺伝子の発見 バイオマス増大のスーパー樹木開発 乾燥耐性のスーパー樹木の開発 理研、奈良先端大、森林総 研、王子製紙、南京林業大 学 他 Kubo et al. Genes Dev 2005 18 環境ストレス耐性に関わる遺伝子の利用 モデル植物シロイヌナズナの乾燥、低温などによって誘導される植物遺伝子 の働きを解析して遺伝子組み換えにより乾燥耐性の作物へ応用展開 制御プロモーター 乾燥ストレス関連遺伝子 ゲノム情報の利用 植物への遺伝子導入 Pellegrineshi et al. Genome 2004 Kasuga et al. Nature Biotech 1999 野生型 GolS2過剰発現植物 遺伝子導入による乾燥耐性 S8 S29 研究体制 国際農研、理研、国際作物研究機関 他 コムギの乾燥耐性の付与に利用 CYMMITとの共同研究、圃場試験へ 19 発展途上国の農業被害を軽減 植物ホルモン “ストリゴラクトン”と根寄生植物“ストライガ” 菌根菌が植物の養分 吸収を助ける 枝分かれ数は花や種子の数 と質に大きく影響する アーバスキュラー菌根菌 根寄生植物は宿主植 物の栄養を奪う 根寄生植物 (ストライガなど) 宿主 養分 ストリゴラクトンの生理機 能 (1)枝分かれ抑制ホルモン O O O ストリゴラクトンは枝分かれ抑制ホルモン O O として働くとともに、根から分泌され根圏 でアーバスキュラー菌根菌との アーバスキュラー 菌根菌 (2) 共生 ・タバコやキクなど枝分かれの 制御が収穫量・観賞価値を左 右する農業や園芸に貢献 物質として働く。 O O O 根寄生植物の種子は、地中で植物の根 O O を見つけるのに ストリゴラクトンを 根寄生植物種子 (3) 寄生 21 コミュニケーション ・アフリカの研究者と協力し、 アフリカの食糧問題の解決へ 研究体制 理研、東大農学、大阪府立大、 宇都宮大 他 利用している。 Umehara et al. Nature 2008 20 開花ホルモンの同定と開花調節 花咲か爺さんの灰に相当するフロリゲンを発見 Hd3aタンパク質(緑) 茎の先端 花芽誘導 花を咲かせる植物ホルモン「フロリゲン」の実体は イネのHd3a、シロイヌナズナFTタンパク質である。 → Hd3a, FTの制御で開花時期を制御 フロリゲン (Hd3aタンパク質) 花、作物の開花制御 開花促進による育種、 開花遅延によるバイオマスの増産 奈良先端大 島本功、京都大学 荒木崇 Tamaki et al. Science 2007 21 遺伝子改変で粒数増加 450 405 350 穂の粒数 5150 250 200 150 100 50 Gn1a (OsCKX2) 遺伝子に変異が入ると粒数が増加 164 5150 ハバタキ 300 コシヒカリ コシヒカリ 306 ハバタキ N o. o f g rain p er p anicle 400 0 Koshihikari Habataki - 研究体制 名大、理研、ホンダの協力でコ シヒカリの収量を20%上げる ことに成功した。 小さいおにぎり 大きなおにぎりへ Ashikari, Sakakibara et al. Science 2005 22