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南山大学大学院社会科学研究科設置の趣旨等を記載した書類 目次

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南山大学大学院社会科学研究科設置の趣旨等を記載した書類 目次
南山大学大学院社会科学研究科設置の趣旨等を記載した書類
目次
はじめに
南山大学の建学の理念と教育研究の実践・・・・・・・・・・・・・・・・1
1.社会科学研究科設置の趣旨及び必要性
2.社会科学研究科の特色
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.1 経済学専攻の特色 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2.2 経営学専攻の特色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
2.3 総合政策学専攻の特色 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
3.社会科学研究科経済学専攻、経営学専攻及び総合政策学専攻の名称および学位の名称
について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
4.教育課程の編成の考え方および特色 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
4.1 研究科共通科目の編成の考え方と特色・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
4.2 専攻科目の編成の考え方と特色 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
4.2.1 経済学専攻の専攻科目の考え方および特色・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
4.2.2 経営学専攻の専攻科目の考え方および特色・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
4.2.3 総合政策学専攻の専攻科目の考え方および特色・・・・・・・・・・・・・・・ 10
4.3 研究指導科目の編成の考え方と特色 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
5.教員組織の編成の考え方及び特色
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
5.1 経済学専攻の教員組織の編成の考え方及び特色・・・・・・・・・・・・・・・ 14
5.2 経営学専攻の教員組織の編成の考え方及び特色・・・・・・・・・・・・・・・ 14
5.3 総合政策学専攻の教員組織の編成の考え方及び特色・・・・・・・・・・・・・ 15
6.教育方法、履修指導、研究指導の方法及び修了要件 ・・・・・・・・・・・・・・15
6.1 経済学専攻の教育方法、履修指導方法及び修了要件 ・・・・・・・・・・・・・16
6.2 経営学専攻の教育方法、履修指導方法及び修了要件 ・・・・・・・・・・・・・17
6.3 総合政策学専攻の教育方法、履修指導方法及び修了要件 ・・・・・・・・・・・17
7.施設、設備等
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
8.既設の学部との関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
9.入学者選抜の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
10. 大学院設置基準第 14 条による教育方法の実施・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
10.1 修業年限・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
10.2 履修指導および研究指導の方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
10.3 授業の実施方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
10.4 メディア教育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
10.5 教員の負担の程度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
11. 2 つ以上の校地において教育を行う場合の配慮について ・・・・・・・・・・・・22
12.学生確保の見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
13.管理運営
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
14.自己点検・評価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
15.情報の公表
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
16.教員の資質の維持向上の方策
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
はじめに
南山大学の建学の理念と教育研究の実践
南山大学を設置する南山学園は、カトリック神言修道会を設立母体とし、
「キリスト教世
界観に基づき学校教育を行う」ことを建学の理念とし、「人間の尊厳のために(Hominis
Dignitati)」を教育モットーとして掲げ、1932 年に創設された。1995 年には聖霊奉侍布教
修道女会を設立母体とする名古屋聖霊学園と法人合併を行い、現在の南山学園に至ってい
る。
南山大学では、この建学の理念を実現するために、学究的探求の精神、キリスト教精神
に基づく価値志向、普遍的価値を希求する国際性の涵養、地域社会への奉仕という 4 つの
教育信条を達成することを目標としてきた。1949 年の文学部開設とともに出発し、以後、
建学の理念に基づき、社会的使命を果たし、社会の要請に積極的に応え、人材を養成して
きた。この間、計画的に学部および大学院を増設し、現在では名古屋市と瀬戸市のキャン
パスに、人文学部、外国語学部、経済学部、経営学部、法学部、総合政策学部、情報理工
学部、短期大学部の 8 学部および人間文化研究科、国際地域文化研究科、経済学研究科、
ビジネス研究科、法務研究科(法科大学院)、総合政策研究科、理工学研究科(2015 年度
まで数理情報研究科も存続)の 7 研究科を擁するに至った。現在、文科系、理科系双方の
分野で、教育と研究を実践する総合大学となっている。
2007 年 3 月には本学の 20 年後の将来像を描いた「南山大学グランドデザイン」を策定
し、「個の力を、世界の力に。」というビジョン・キーフレーズを設定した。すなわち、世
界から選ばれ、世界に人材を輩出することができ、地域に根ざし、かつ世界に開かれた大
学となることを中期的な目標として掲げた。その実現に向けて、教育・研究の不断の改善・
充実をはかってきた。
1.社会科学研究科設置の趣旨及び必要性
経済学研究科は、1963 年に設置され社会に貢献できる倫理観を持った人材育成と学問研
究の発展を推進することを目指し、研究者養成を中心とした教育を行ってきた。今日の経
済環境の変化を受けて、社会情勢を的確に判断できる経済分析能力を備えた人材や、深い
学識と訓練された研究能力を備えた指導的役割を担える人材の社会的必要性の高まりから、
高度専門職業人や地域社会に貢献できる人材の育成が重要となった。この目的達成のため
に、経済学研究科は、研究者、高度専門職業人ならびに地域社会に貢献できる人材の育成
を目指している。
ビジネス研究科の前身は、経営学研究科であり、1972 年に修士課程を、1974 年に博士
後期課程を設置した日本で最も古い歴史をもつ研究科のひとつである。経営学専攻は、経
営学の基本的領域(経営組織・経営労務、財務会計・経営財務、マーケティング)を広範
に学んだ上で、経営倫理、研究倫理ならびに社会的責任を全うすることができ、本学の教
育モットーである「人間の尊厳のために」を体現した研究者を養成する。一方、ビジネス
専攻は専門職学位課程であり、国際社会において有効な企業経営を可能にする高度で専門
1
的な知識、スキル、発想および思考の枠組みを身につけ、本学の教育モットーである「人
間の尊厳のために」を自覚した企業人として、経営倫理の視点から社会的責任を果たし、
地域社会および国際社会の発展に寄与する人材を養成する。ビジネス専攻は専門職大学院
設置基準に基づき、これまでもビジネス研究科内で経営学専攻とは独立した教育カリキュ
ラムで構成されており、改組後もビジネス研究科ビジネス専攻として存続する。
総合政策研究科は、近年のグローバル化の進展に対応するため、2000 年度に新設された
総合政策学部を基礎とし、複雑化する社会問題に対応する能力と、多様な価値観を理解す
る能力を身につけた人材の育成を行うために、2004 年度に設置された。設置の目的は、本
学大学院の「高度にして専門的な学術の理論と応用を研究し、その深奥を究めるとともに
キリスト教的世界観に立ち、人格の尊厳と人類愛を自覚した社会人として、文化の進展と
人類の福祉に寄与しうる人物を養成する」という理念に基づき、21 世紀の人類が直面する
諸問題について、広い視野と専門知識をもち、政策立案にリーダーシップを発揮できる人
材の養成にある。
以上のように、これまでの三研究科においても社会の要請に応じて人材を輩出すべく、
教育内容を吟味しながら目標をもって進めてきた。しかし、それ以降も、日本を含む世界
の経済情勢や環境問題に関する様相は、急激に変化し続けている。とくに、今日、企業競
争や国際競争の激化ともあいまって、より迅速かつ低コストで環境に優しいという厳しい
条件を満たした意思決定が企業レベルから国家レベルにおいても要求されており、その実
践や開発に貢献できる人材が求められている。このような人材は、グローバルな社会の変
容に柔軟に対処することが求められている。この社会的要請に応えるためには、特定の専
門的視点で社会現象をとらえるような解釈でなく、経済学、経営学、法律学を含む社会科
学の連携をさらに強化させ、これらを有機的に統合した視点から解釈する必要がある。特
に、経済学と経営学は、今日のグローバル社会では並列的に学習するよりも、それぞれが
それぞれを相互補完すべく、共通の知識と各専門の知識を効率的に習得することが望まし
い。
社会科学の中の法律学の重要性についても同様であるが、法律学研究者の育成において
は、法曹教育と表裏一体であり、法務研究科の枠組みで設置すべきであると考える。本研
究科では法律学は、社会科学の基礎科目という認識から必修の共通科目に含む形で位置づ
けるものとする。
グローバルな社会の急激な変化に柔軟に対処できる人材育成を目指すために、現在の三
研究科を発展的に改組し、経済学専攻、経営学専攻、総合政策学専攻の 3 専攻からなる社
会科学研究科を設置することで経済学、経営学に総合政策学専攻のカリキュラムにある法
律学、社会学、政治学、行政学などに関連する科目を加えることで社会科学を可能な限り
網羅的に学習できる研究科とすることで新たな研究環境を提供する。
社会科学研究科の博士前期課程では、高度な専門的知識・能力を持つ高度専門職業人の
養成と知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養のある人材の養成を目指す。
また、研究者となる人材への要請に加えて、米国をはじめとする諸外国では企業の実務
の中核を担う人材は博士の学位を取得しており、それらの企業と競争する日本の企業でも
徐々に博士の学位を持ち実務を担う人材に対する要請が増えつつある。これを受け、さら
に既設研究科博士後期課程での教育研究の発展的継承もはかり、2016年度には社会科学研
究科博士後期課程の設置を目指す。
2
社会科学研究科では、経済学、経営学、政治学、法律学等を基礎としながら広い視野で
俯瞰的な見地から問題を発見し、解釈・分析し、その結果を有機的に統合させながら提案
することで、グローバルな社会の変化に伴う環境の変化に対して柔軟に対処できる人材を
養成する。中部地区のみならず、日本の世界最高水準の企業にこれら優秀な人材を供給す
ることは、日本の産業発展に貢献するとともに、中部地区、ひいては我が国の競争力の強
化という社会的な必要性に十分に応えるものである。
10.で述べるように社会人学生の履修の便宜を図るために大学院設置基準第 14 条に規定
する教育方法の特例を実施する。また、総合政策学専攻では、社会人学生の通学の便宜を
図るために瀬戸キャンパスでの教育に加え、名古屋キャンパスにおいても授業が受けられ
る体制を整備する。
社会科学研究科で設定した各専攻の定員(経済学専攻、経営学専攻、総合政策学専攻と
も 7 名)は、以下の事実から充足できる見通しである。
過去 3 年間の経済学専攻、経営学専攻、総合政策専攻への入学者はそれぞれ、2010 年度
10 名、5 名、6 名、2011 年度 4 名、2 名、4 名、2012 年度 6 名、2 名、4 名である。志願者
の減少傾向が見られるもののほぼ横ばいと考えられる。今年度、経営学専攻が月に 1 回の
ペースで入学説明会を行っているが、数名ながらコンスタントに入学希望者を集めている
ことが確認されており、その中には社会人の比率が少なくない。社会人にも都合のよい交
通の便のよい会場で新研究科の入学説明会として、三専攻同時説明会を開催することによ
って各専攻 7 名の定員を上回る志願者が集まると考えられる。
<資料 1>社会科学研究科の概念図
2.社会科学研究科の特色
社会科学研究科では、グローバル化に伴う環境の変化に対して柔軟に対処できる人材の
養成を行う。このような人材には、新しい情報を短時間で収集し、その情報が示唆する事
柄の意味の把握や将来に発生するリスクなどへの即応が求められる。環境の変化に対して
柔軟に対処できるようになるためには、個々の情報そのものに振り回されず、様々な情報
間に共通する概念や知識、その分析手法などを理解したうえで、さらなる新しい枠組みと
しての概念でその事象をとらえることができるような技能が必要である。社会科学研究科
では、新たな問題解決の方法は、これまでの解決方法の抽象化と特定事象の知識・手法の
相互利用によって生み出されると考え、そのような人材を養成するために、従来の教育研
究資源を生かしつつ、新たな教育を行う。
社会科学研究とは、一般に、意思決定という抽象的な概念を取り扱う学問であるが、結
論に辿りつくまでの過程を理解・説明するための知識や情報入手、調査・分析のための手
法の習得が要求される。現在の独立している三研究科では領域横断的かつ学際的な研究教
育が機能しづらい状況にある。三研究科がそれぞれ専攻となり、新たな研究教育環境とし
て同一研究科内で知識と手法の教授と学際研究を遂行することで相互補完し、連携を強化
できるように、経済学専攻、経営学専攻、総合政策学専攻を設置する。すべての専攻にお
いて求められる社会科学の基礎(研究科必修共通科目)を教育したうえで、専攻間で共通
3
した基礎的科目(研究科選択共通科目)を教育する。研究指導においては、戦略策定や事
例研究など、特定事象に関する応用例を材料に研究・教育することで、講義で学んだ分析
手法や理論をより実践的に理解させる。
企業や政府などの戦略策定やその提案は、事の大小、意思決定の差異を超えた抽象化さ
れた思考や事例研究等の関係が特定的である状況の思考も必要である。社会科学研究科が
設置する 3 専攻は、双方の思考を生かしながら研究•教育を行うために、相互に補完する体
制を持つ。
社会科学研究科の教育は、この相互補完の関係の上で成り立ち、各専攻の専門教育に加
え、研究科選択共通科目を修めることで、新しい問題解決の本質的なあり方を学ぶことが
できる。さらに、3 専攻間に存在する幅広い基礎教育を行うことで、問題解決法の有機的
な統合について理解、実践することができる。このように各専攻がそれぞれの専門性に偏
ることなく、相互補完することにより、俯瞰的な研究・教育を提供する点が社会科学研究
科の特色である。
2.1
経済学専攻の特色
経済をとりまく環境は、グローバル・エコノミー、経済構造改革、資源エネルギー、あ
るいは持続的成長といわれるなかで急速に変化している。こうした経済環境の変化を受け
て、社会の情勢を的確に判断できる経済分析能力を備えた社会人や、深い学識と訓練され
た研究能力を備えた指導的役割を担える人材の必要性が一層高まっている。
経済学専攻では、このような人材育成という社会的要請を受けて、高い分析能力や専門
的知識を有する高度職業人をめざす人や社会人としてのキャリアアップをめざす人、博士
後期課程に進学し将来研究職につくことを希望している人、職業会計人をめざす人、ある
いは一層の知的向上を希望する社会人等を対象に、経済学の各領域における専門的な知識
や応用的研究能力を高め、職場や地域社会でより高く貢献できる人材を育成することを目
的とする。
今日の大学院教育においては、高度な知識や技術を学ぶだけではなく、修得した内容を
実社会のさまざまな場面において、具体的なかたちで活用できる応用力や想像力が求めら
れている。また、急速に変化し続ける現代社会では、それに対応するための柔軟性が必要
である。グローバル化し、複雑化した現代世界では、多様な価値観や考え方を理解し、か
つ多面的なものの見方のできる幅広く、また多角的な知識や思考枠組みをもつことも重要
となってきていると考えられる。
経済学専攻は、従来の経済学研究科が掲げてきた教育目標を踏襲する。ただし、社会科
学研究科のなかの一専攻としての、経済学専攻となることで、社会科学の共通科目を通じ
て学ぶ、社会科学全般に関する幅広い専門基礎知識の基盤のうえに、経済学理論や経済分
析の手法、それらを活用し、さらに経営学専攻の専門的分野である組織論や会計学、総合
政策学専攻の専門的分野である国際関係および、政策に関する知識を学生に修得させるこ
とになる。このことを通じて、経済学の専門知識をより幅広く着想できる想像力や発想力、
より具体性が高く、現実的な議論が展開できる応用力や研究力を涵養する。
経済学専攻では、社会科学研究科の共通科目および経済学の専門分野における基礎およ
び専門的知識に加えて、理論的・実証的な分析力、またそれらを応用する力を修得すると
4
ともに、最終試験に合格し、かつ次のいずれかの能力を身につけた人に、修士(経済学)
の学位を授与する。
(1)企業や行政機関が必要とする高い経済分析能力
(2)深い学識や研究能力が訓練され、企業等で指導的役割を担える能力
(3)将来、職業会計人や研究者をめざすことができる学術的な研究能力
これらの能力を身につけた人材が実際に活躍できる場は、専門知識と分析力を生かすべ
く、大学や各種研究機関などがある。また、会計士、税理士、コンサルタント等、企業の
経営指導や監査役等の職業ないしは、地域の社会経済状況を的確に捉え、地方公共団体、
一般企業、NPO等において調査分析、政策を立案し、提案するような職種である。
2.2
経営学専攻の特色
生産拠点の海外移転、経済活動のグローバル化とそれを可能にする情報通信ネットワー
クの急速な進歩などにより、企業を取り巻く環境は日々変化しているが、一過性の流行に
とらわれず、企業が直面する経営環境ならびに企業が行うさまざまな行動を理論的および
実践的に適切に理解するための能力を高めるためには、企業および企業のステークホルダ
ーの視点に立ち、企業環境および企業行動の観点から分析し・検討することが必要である。
社会科学研究科経営学専攻博士前期課程では、グローバル化・情報化にともなって複
雑になってきた企業活動において、経営に関する高い見識と高度な専門知識・技術を持つ
人材の育成、とりわけ、経営学に関する専門領域において学究的探求能力を身につけた、
国際社会・地域社会の発展に寄与する経営学の研究者を育成することを主たる目的とする。
本専攻は、前身となるビジネス研究科経営学専攻が 1972 年に設置されて以来、研究者
として活躍している学位授与者以外にも、社会人学生や専攻修了後に地元企業等で活躍す
る人材も数多く輩出しており、中部地区における起業者・専門職・管理職の全般にわたる
高度専門職業人養成の責務を果たしてきた。したがって、経営学を専門的かつ体系的に修
めることにより、実社会で培った多くの経験を本専攻で理論的に体系づけ、激化する国際
競争化の中で有効な企業経営を可能ならしめる知識、技術、発想を兼ね備えた高度専門職
業人を養成することが今後も本専攻の重要な使命である。
経営学専攻は、社会科学研究科の一専攻となることにより、専攻科目による教育だけで
なく、経済学専攻と総合政策学専攻との相互補完を通して、経営学の研究分野を取り巻く
学際的な領域についての理解を深め、企業をはじめとする組織体の経営が直面する様々な
問題に対応できる能力を強化する。相互補完によって、企業の経営環境および企業の経営
行動をより深く学ぶことができ、国際社会・地域社会の発展に寄与することが可能な専門
的な知識を幅広く学修することが可能となる。
経営学専攻では、次の能力を身につけた学生に対して修士(経営学)の学位を授与する。
•経営学に関する専門的な知識力と技術力
•企業ならびに組織の活動における資源や組織の効率的運用能力
•論証に必要な資料、文献、データを適切に収集・分析・処理し、研究論文を作成する能力
•国際社会・地域社会の発展に寄与する経営学研究者としての研究遂行能力
これらの能力を身につけた人材が実際に活躍できる場は、会計士、税理士、コンサルタ
ント等企業実務の監査や再建計画等を提案するような職業であったり、一般企業の国際・
5
海外部門、NGO、NPO等である。また、専門知識と分析力を生かすべく、大学や総合
研究所など研究者として活躍することをも考えられる。
2.3
総合政策学専攻の特色
20 世紀後半、わが国は急速な経済発展によって先進国の仲間入りを果たしたが、バブル
経済の崩壊以降、経済の低迷によって国や地方の財政が逼迫し、政治体制も混迷を極めて
いる。一方、世界に目を向けると、20 世紀末から構造転換が急激に進展し、世界経済の一
体化によって国際競争が激化している。こうしたグローバル化の趨勢は、従来のわが国の
政治、行政、経済、社会等のシステム変革を迫るものである。またわが国では、グローバ
ル化の進展とともに、国内的な社会構造の変化にも直面している。例えば人口減少社会の
到来によって、国内地域社会の衰退問題が深刻化している。今後、これら国内外の変化に
対応する強靭な国、地域を形成していく必要があり、そのためには、問題解決志向の新た
な領域・方向性の能力をもった人材が必要となる。
総合政策学専攻は、国際問題、国内問題および両者に共通する環境問題を踏まえ、持続
可能な社会の構築に向けて、社会科学の複合的な基礎学問を基に、これらの問題を解決す
る実践的な政策立案とその実行を果たす高度な専門職業人と、学際的研究能力を有した問
題解決志向型の研究者を養成することを目的とする。
近年、中国、韓国等近隣諸国の台頭によって、これまで中部地域を支えてきた製造業を
基軸とする産業基盤が揺らぎ始めている。さらに 2011 年 3 月の東日本大震災を機に、工
場や事業所の海外移転も進みつつあり、産業の空洞化と相まって国内地域の衰退が進んで
いる。また、資源、エネルギーの大量消費は、地球資源の枯渇、深刻な環境破壊、地球温
暖化等の環境問題をもたらしている。これらの課題に取り組む主役は、依然として各国政
府や国際機関等の公的な機関であるが、伝統的な国内政策、国家間・政府間の交渉や協定、
国際機関のみに頼ることはできず、企業を含む民間組織の幅広い関与、補完的役割が求め
られる。持続可能な社会経済の構築には、公的機関、民間組織の協調、連携が不可欠なの
である。
総合政策学専攻はこうした要請に応えるために、社会科学研究科の一専攻となることで、
経済学専攻、経営学専攻との連携強化により、学際的な政策志向をもって、国際政策、公
共政策の二領域と、その両者にかかる環境政策において、持続可能な社会経済の構築に向
けて指導的役割を果たす高度な専門職業人の養成を目指す。
このような観点から、総合政策学専攻が育成する人材は次のようになる。一つ目は、国
際的感覚と多様な文化及びその背景を理解し、国際ビジネス、国際協力、国際交流といっ
た場面でリーダーシップを発揮できる人材である。具体的には、国際機関、一般企業の国
際・海外部門、NGO、NPO等で活躍する人材、中央政府等で国際政策を担う人材であ
る。二つ目は、グローバル化とローカル化が進展する社会経済において、高度な政策立案
を担える職業人の育成である。地域公共政策、ソーシャルビジネス、国内企業の現場にお
いて、さまざまな形でリーダーシップを発揮できる人材を養成する。具体的には、地域の
社会経済状況を的確に捉え、地方公共団体、社会的企業、一般企業、シンクタンク・コン
サルティング企業、NPO等において調査分析、政策立案が実践できる人材を養成する。
総合政策学専攻では、以上のような能力を身につけた学生に対して修士(総合政策学)の
6
学位を授与する。
3.社会科学研究科経済学専攻、経営学専攻及び総合政策学専攻の名称および学位の名称
について
今日の日本を含む世界の経済情勢や環境問題に関する様相は、急激に変化し続けており、
特に、企業競争や国際競争の激化から、より迅速かつ低コストで環境に優しいという厳し
い条件を満たした意思決定が企業レベルから国家レベルにおいても要求されている。これ
らの実践や開発に貢献できる人材を養成するには、グローバルな社会の変容に柔軟に対処
することが求められている。本研究科ではこの社会的要請に応えるために、特定の専攻内
の専門的視点で社会現象をとらえるのではなく、三専攻の連携による幅広い社会科学を学
び、これらを有機的に統合した視点から解釈、提案できる人材に対してそれぞれの学位を
授与する。
本研究科は、既設の経済学研究科、ビジネス研究科、総合政策研究科を発展的に改組し
て統合し、基礎として幅広い社会科学を学ぶため、社会科学研究科[英訳名称:Graduate
School of Social Sciences]とする。博士前期課程で授与する学位の名称は、各専攻で定
める。経済学専攻は、主に経済学を幅広く学修する専攻であるので、経済学専攻[英訳名
称:Graduate Program in Economics]とし、学位の名称は修士(経済学)
[英訳名称:Master
of Economics]とする。経営学専攻では、主に経営学を体系的に学修する専攻であるので、
専攻名称は経営学専攻[英訳名称:Graduate Program in Management]とし、学位の名称
は、修士(経営学)[英訳名称:Master of Arts in Management]とする。総合政策学専攻
は、主に問題解決の政策立案を学修する専攻であるので、総合政策学専攻[英訳名称:
Graduate Program in Policy Studies]とし、学位の名称は修士(総合政策学)
[Master of
Policy Studies]とする。
4.教育課程の編成の考え方および特色
社会科学研究科は、各専攻が相互補完しながら、先進国および新興国・途上国における
企業と、行政や企業という主体が国際化していく状況で柔軟に対応する能力を経済学、経
営学、政治学、法律学等の知識を背景に教育をする。社会科学の知識は、3 つの専攻に共
通する基盤であり、各専攻が相互に他の専攻で研究教育する分析手法を取り入れ補完し合
う土台となることから、先進国および新興国・途上国における企業と、行政や企業という
主体が複雑化していく上で柔軟に対応するための知識を研究科必修共通科目として配置す
る。また、専攻間の相互補完を強化するために、2 つの専攻間で専門性が重なる選択科目
については研究科選択共通科目として配置する。研究科の共通科目で学ぶ知識や手法を前
提として、各専攻がその専門性に特化した高度な教育を行うために、専攻ごとに専攻科目
を配置する。研究指導では、研究の基礎的な素養を身につけたうえで、理論的な問題だけ
でなく、実践的な課題にも取り組み、理論的に問題を深く分析し、最終的に修士論文とし
てまとめるよう研究指導科目を配置する。
7
4.1 研究科共通科目の編成の考え方と特色
研究科必修共通科目では、各専攻の基礎となる社会科学に関する科目を学ぶ。すべての
専攻に共通する、
「社会科学研究 I(経済学研究概論)」
「社会科学研究 II(経営学研究概論)」
「社会科学研究 III(総合政策学研究概論)」を配置する。研究科必修共通科目の必修単位
数は 4 単位となっており、1 年次において所属する専攻以外の 2 科目を必修とする。例え
ば、経済学専攻であれば、社会科学研究 I(経済学研究概論)以外の社会科学研究 II(経
営学研究概論)と社会科学研究 III(総合政策学研究概論)が必修となる。
社会科学研究 I(経済学研究概論)は、ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学を、
社会科学研究 II(経営学研究概論)は、応用統計学、マーケティング、ファイナンスを、
社会科学研究 III(総合政策学研究概論)は、法学、政治学、行政学、社会学について学習
する。それぞれの科目は早期に習得できるように 1 年次前期に 2 科目、1 年次後期に 1 科
目が配置されている。
専攻間に共通する科目は、基礎的な素養を涵養するとともに相互補完の土台となること
から、2 つの専攻の間で共通する科目として研究科選択共通科目を配置する。経済学専攻
と総合政策学専攻との選択共通科目としては、
「国際政治経済研究」、
「開発経済学」を配置
し、国際的な政治経済に関わる内容や発展途上国の経済システムに関する知識等を教育す
る。総合政策学専攻と経営学専攻との選択共通科目としては「経営労務論」、「国際組織研
究」を配置し、経営労務の実践方法や国際的な組織に関する必要な基礎知識を教育する。
経営学専攻と経済学専攻の間には、相互に補完する関係が存在する。経済学専攻の限界効
用や効用理論を応用して経営に関する問題のモデル化や分析を行い、簿記や財務会計の知
識を養う。このことから、
「ミクロ経済学」、
「会計学」を配置し、相互の補完関係を強化す
る。各専攻の専門内容の基礎となる研究科選択共通科目は、専攻ごとにその専門性や研究
分野の指向に合わせて履修を指導する。
4.2
専攻科目の編成の考え方と特色
各専攻には、高度な専門分野を網羅するよう必要かつ十分な科目を配置する。各専攻の
中でも細分化される研究分野に合わせて科目を自由に選択できる。他専攻の科目も履修可
能にしているため、自身が指向する研究分野における応用となる科目や、より深く学ぶ科
目を選択することができ、学生が自分の研究分野や修了後の進路に合わせて最適な科目を
履修することができる。また、研究科共通科目及び専攻科目で学んだ知識を深く理解する
ために、研究指導科目を配置し、各専攻の専門内容と結びつけながら研究指導を行う。研
究指導は必修とし、それ以外の専攻科目は選択科目とすることで、専攻科目から各研究分
野に合わせて選択できるようにする。これにより、自専攻に閉じず、基礎面や応用面の強
化も図り、技術の変容にも柔軟に対処できるようにする。そのため、必修共通科目 4 単位
と、選択共通科目 4 単位を越える必修共通科目 2 単位と選択共通科目 6 単位の合計単位を
8 単位まで認めることとする。各専攻における科目の配置の考え方とその特色は以下の通
りである。
<資料 2>社会科学研究科のカリキュラム概念図
8
4.2.1 経済学専攻の専攻科目の考え方および特色
経済学専攻は、経済学の高度な専門教育をおこなうと同時に、経済学の専門知識を幅広
くかつ柔軟に活用し、実社会に貢献できる、発想の柔軟性や想像力、応用力を身につけら
れるよう、1年次において研究科共通科目を修得させる。
経済学専攻は、社会科学研究科の研究科必修共通科目である社会科学研究 I(経済学研
究概論), 社会科学研究 II(経営学研究概論), 社会科学研究 III(総合政策学研究概論)
のうちから 4 単位以上を、研究科選択共通科目のうちから 4 単位以上を履修させる。また、
研究科共通科目とは別に、経済学専攻の教育課程には、「専攻科目」と「研究指導科目」
が設置されている。
「専攻科目」には,学生の専門領域の科目や幅広い関連科目において、専門的な理論的
研究のみならず実社会を科学的に考究する応用的研究能力の育成や,コンピュータを用い
た経済分析手法の修得を目的とした経済学の専門分野の科目がある。分析手法の科目とし
て「計量経済分析」「データ解析」「経済統計の実際」「経済統計論」を配置する。従来
からの基礎的な専門科目として、「マクロ経済学」「理論経済学」「財政学」「金融論」
「労働経済学」「社会保障研究」などを開設する。さらに,学生が自ら関心を寄せる特定
の経済問題やトピックスに焦点を当てて,知識の修得や拡充のみならず,理解を深化させ,
経済問題を自分で考える能力を育成したり,分析力を高めたりするための科目として「消
費社会論」「日本・アジア経済関係論」「労働政策論」「年金改革論」を配置する。これ
により,高度な専門的業務へ貢献できるための考察力や知識、分析力を身につけることが
できる。
専攻科目は,講義科目ではあるが,学生参加を重視した調査・報告とディスカッション
を中心に進められており,学生の研究力向上を目指している。また,社会人学生も多く,
一般学生と相互に刺激を与えながら,多様な考え方や見方を身につけることができる。
講義は、昼間授業時間帯のみならず、夜間や週末にも開講している。また、毎週1回の
講義形式以外に、週末の 1 日に数回の連続講義を行う形式での講義もあり、フレキシビリ
ティを持った教育体制となっている。
4.2.2 経営学専攻の専攻科目の考え方および特色
経営学専攻では、経営学全般を広く修めて国際社会・地域社会の発展に寄与する人材を
育成するため、研究科必修共通科目と研究科選択共通科目と専攻科目、研究指導科目を設
定している。
また、経営学の主要分野であり、かつ他専攻学生にとっても学修ニーズの高い領域であ
る「会計学」
「経営労務論」を研究科選択共通科目として配置している。
経営学の主要分野に関する専攻科目として、
「経営組織論」
「ファイナンス論A・B」
「マ
ーケティング論A・B」
「財務会計論」などを配置する。
さらに、主要分野に関連する領域について、企業経営を取り巻く企業の内部および外部
9
環境ならびに企業行動の観点からより高度な専門的知識・技術を修得するための専攻科目
として、
「産業・組織心理学」
「Corporate FinanceA・B」「投資論」
「マーケティング・リ
サーチ」
「流通システム論」
「会計監査論」
「管理会計論」
「キャッシュフローの分析」
「国際
会計論」
「連結会計論」
「経営戦略論」
「経営史」などを配置する。これらの科目は、企業経
営を企業および企業のステークホルダーの視点に立って企業環境および企業行動の側面か
ら理論的、実践的に分析・検討することを可能とするものである。
一方、個別の専門分野の深さだけでなく、経営学に関連する分野についても幅広い知識・
スキルを身につけるため、学際領域的な科目として、
「資源と環境の経済学」、
「環境の経済
評価」、「企業と法の経済学」、「オペレーションズ・リサーチ」、「Business English」を配
置する。
このように、研究科必修共通科目、研究科選択共通科目、専攻科目、研究指導科目を適
切に配置し、それらを有機的に結合することで、基礎的知識および専門的知識ならびにこ
れらの応用と実践をバランスよく学修できることが経営学専攻の科目配置の特色である。
4.2.3 総合政策学専攻の専攻科目の考え方および特色
総合政策学専攻の教育理念は、政策主体としての政府や民間の組織体の行動様式を、そ
れを取り巻く国内・国際システムなどの「場」の変容およびこれとの相互作用という視点
から考察することである。
「場」の変容とは、伝統的諸価値に基づく既存のシステムと、全
人類に共通する普遍的規範の形成を志向する、新たなグローバル・シェアリング・システ
ムの間に展開される、ダイナミックな運動として捉えられる。このダイナミックな「場」
で、さまざまな問題群に実践的かつ効果的に関わるための専門能力の養成には、既存の社
会科学の学問領域ないし学問体系に存する垣根を取り払い、柔軟な学際的思考によって、
領域の共存化、総合化を図ることが不可欠である。
総合政策学専攻では、現実に生じている様々な国際・国内問題に対して、その問題解決
を図るリーダー的人材を養成するため、まず社会科学の諸分野を総合的に理解する研究科
必修共通科目を修得させたうえで、国際、公共、環境の各政策領域における主要な諸問題
の構造とその解決策を学ぶ各専攻科目を配置する。但し、現実の問題に対応していく実践
的なリーダーを養成するためには、国際政策に関心のある学生は国や地域の文化・歴史観
の違いを理解し、社会人ではない一般学生は実際に現場で生じているリアルタイムな問題
を理解することが必要になる。そこで専攻基礎科目として、国際社会の多様な世界観を深
めるための「西洋文明史研究」
「東洋文明史研究」
、実務経験のある専任教員と国際、国内、
環境の各分野における非常勤の実務教員による「総合政策の課題と方法」を配置する。こ
れらの基礎科目を履修した上で各種問題とその解決方法に関するより深い理解ができるよ
うに、研究科選択共通科目と発展応用科目としての専攻科目が配置される。
発展応用科目としての専攻科目については、国際政策領域から国内・地域政策領域まで
幅広く設定し、さらに実践的な応用の方法を学ばせることを目的とする。これらは、国際
政策領域、公共政策領域、環境政策領域に大別されるが、第一の国際政策領域では、グロ
ーバル、リージョナル、ナショナルのマルチレベルのガバナンスを高めるため、各政府お
10
よび非政府主体の間の動態的な相互作用、異なった歴史的・文化的バックグラウンドを有
する、異質で多様なアクター間の合意形成が可能な政策の構想、そして民族紛争、地球環
境、途上国の開発、人間の貧困や安全保障等、複数の問題についての解決策の立案と提言
が目指され、「グローバルガバナンス研究」「民族紛争研究」「国際援助政策研究」「アジア
政策研究」「国際経済研究」「開発経済政策研究」の国際諸問題に係る分野によって構成さ
れる。
第二の公共政策領域では、主に国内・地域問題としての財政問題、経済の低成長と雇用
問題、少子高齢化と社会保障問題などの諸問題に対処するために行財政運営の理念を根本
的に転換し、公共部門への市場原理の導入等ニュー・パブリック・マネジメントの実践を
目指す。そのため、「行政機構研究」「社会福祉行政研究」「地方財政研究」「比較産業社会
研究」「公会計制度研究」
「経営管理研究」「雇用政策研究」を置く。
国際・国内及び地域において共有の問題として環境問題がある。環境問題の解決のため
には、環境問題を取り巻く社会経済のシステム全体の理解を深め、個人・NPO・企業・教育
機関・地方公共団体・国家等、あらゆる組織における行動および合意形成と効果的施策の
探求が求められる。このため環境政策領域では、環境問題を的確に理解するための「地球
環境システム研究」
「生態系保全研究」を配置しつつ、経済社会システムの理解に基づく効
果的な政策立案を可能にするため、
「環境政策評価研究」
「環境経済研究」
「環境社会心理研
究」を配置する。 以上により、現実に生じている各種問題、政策課題の深い理解を得て、
より実践的な政策立案を可能とし、現実社会と向き合った研究課題に取り組むことにより、
新しいタイプの大学院に対する社会的要請に応える科目配置となっていることが本専攻の
特色である。
4.3 研究指導科目の編成の考え方と特色
研究指導科目では、自ら問題の発見や分析を行い、問題解決を行う能力を養うために、
すべての専攻に「研究指導 I」、「研究指導 II」、
「研究指導 III」、「研究指導 IV」の 4 科目
を配置する。
「研究指導 I」では、各専攻における研究を進めるうえで必要な分析手法の習
熟と、研究科共通科目で学んだ社会科学の知識を前提に研究分野に関する既存技術や課題
の調査を行う。「研究指導 II」では、修士論文として取り組む研究分野の分析手法を深く
理解するとともに課題を考察する。
「研究指導 III」では、各専攻では先進国および新興国・
途上国における企業と、行政や企業という意思決定主体が複雑化していく際に直面する問
題の研究に取り組むことで既存の文献や理論を理解するとともに、実践における課題やそ
の解決策を考察する。「研究指導 IV」では、課題の解決策の評価や検証を行い修士論文と
してまとめ、最終審査で発表を行う。
<資料 3>科目配置表
<資料 4>履修モデル
11
総合政策専攻の科目体系
基礎科目
【必修共通科目】
社会科学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ
【専攻科目】
・西洋文明史
・東洋文明史
発展
・国際政治経済研究
・国際組織研究
・開発経済学
・総合政策の課題と方法
【選択共通科目】
・ミクロ経済学
・会計学
・経営労務論
・行政機構研究
・グローバルガバナンス研究
・社会福祉行政研究
・民族紛争研究
【専攻科目】
・国際援助政策研究
研究指導科目
・ 応用科目
(公共政策領域)
(国際政策領域)
・地方財政研究
・アジア政策研究
・比較産業社会研究
・国際経済研究
・公会計制度研究
・開発経済政策研究
・経営管理研究
・雇用政策研究
(環境政策領域)
・環境経済研究
・環境政策評価研究
・生態系保全研究
・環境社会心理研究
・地球環境システム研究
国際ビジネス・国際協力・国際交流等場で
リーダーシップを発揮できる人材
地域公共政策・SB・シンクタンク等で
リーダーシップを発揮できる人材
履修モデル
社会科学研究科総合政策学専攻
履修モデル
(1)国際機関、一般企業の国際・海外部門、NGO、NPO等で活躍する人材、国の中
央政府等で国際政策を担う人材
【研究科必修共通科目】
4 単位
社会科学研究 I(経済学研究概論)
社会科学研究 II(経営学研究概論)
【研究科選択共通科目】
4 単位
国際政治経済研究
国際組織研究
【専攻科目】
14 単位
西洋文明史
12
グローバル・ガバナンス研究
国際援助政策研究
アジア政策研究
国際経済研究
開発経済政策研究
地球環境システム研究
【研究指導科目】
8 単位
研究指導Ⅰ
研究指導Ⅱ
研究指導Ⅲ
研究指導Ⅳ
(2)地方公共団体、社会的企業、一般企業、シンクタンク・コンサルティング企業、N
PO等において調査分析、政策立案が実践できる人材を養成する。
【研究科必修共通科目】
4 単位
社会科学研究 I(経済学研究概論)
社会科学研究 II(経営学研究概論)
【研究科選択共通科目】
4 単位
経営労務論
国際政治経済研究
【専攻科目】
14 単位
総合政策の課題と方法
公会計制度研究
社会福祉行政研究
地方財政研究
雇用政策研究
経営管理論
環境政策評価研究
【研究指導科目】
8 単位
研究指導Ⅰ
研究指導Ⅱ
研究指導Ⅲ
研究指導Ⅳ
13
5.教員組織の編成の考え方及び特色
教員組織の編成においては、研究科の教育課程の編成を実現するために、各専攻で重要
と考えられる科目について、教育経験豊富で研究業績もある教員を配置する。共通科目の
教育を行う教員は、その主な専門分野によって専攻に所属し、各専攻の教育課程の編成を
実現するともに、研究科共通科目を担当する。教員組織の特色は、各専攻に、各専攻の専
攻科目、研究科共通科目を教育する教員をその主な専門分野によって配置し、それらの教
員が共通科目の教育も行うことで、研究科の教育課程の編成、各専攻の教育課程の編成を
実現していることである。各科目の担当者は関連分野の博士の学位を持つか、関連分野で
それと同等の研究業績を持つ教授、准教授、講師である。
<資料 5>南山大学就業規則(抜粋)<資料 6>南山大学職員規則(抜粋)
5.1 経済学専攻の教員組織の編成の考え方及び特色
研究指導には教育経験豊富で研究業績もある教員を配置する。講義担当教員は、研究指
導担当教員の他、活発な研究活動をおこなっている若手教員や、教育経験の豊富な教員に
よって構成されている。
経済学専攻の教育課程の編成を実現するため、ミクロ経済学やマクロ経済学といった重
要科目および研究指導科目には、教育経験豊富で研究業績もあり、学位をもつ教員を配置
する。講義科目についても、担当教員のほぼ全員が学位をもち、それぞれの分野での研究
活動を活発におこなっている教員を配置している。
教員総数は 9 名で、教授 6 名、准教授 3 名からなる。学位取得者は博士号 8 名、修士号
1 名である。教員組織編成の考え方としては、50 歳以下の教員については博士号をもつ者、
50 歳より上の教員については、修士課程の研究指導あるいは講義の担当に十分な研究業績
や教育経験を有する者を配置している。教員の年齢構成(2014 年 4 月 1 日現在)は、60 歳代
2 名、50 歳代 4 名、40 歳代 3 名であり、十分な教育経験と研究業績をもつ年代が中心とな
っている。
5.2 経営学専攻の教員組織の編成の考え方及び特色
経営学専攻の教職員の編成は、専攻の教育課程の編成を実現するために、経営学の主要
分野である経営組織・経営労務、財務会計・経営財務、マーケティングに関する科目に加
えて、企業とそのステークホルダーの立場から企業の環境および企業行動を学ぶ科目、経
営学およびその関連分野を学ぶための基礎的分析力を高めるための選択の共通科目、そし
て、高度な専門分野を網羅的に学習できる必修の共通科目に、それぞれ教育経験があり研
究業績もある教員を配置するという考え方による。
経営学専攻の教員編成の特色は、専攻科目、研究科共通科目のいずれもそれぞれの分野
における十分な研究業績を有し、また、教育経験も豊富な教員を配置して、専攻の教育課
程の編成を実現していることである。
経営学専攻の研究指導科目は教育課程のなかでとくに重要な役割を果たしているので、
担当する教員は経済学、経営学もしくは関連分野で学位を持つか、それに相当する十分な
14
業績を持ち、研究活動を行っている教員を配置する。教員総数は 16 名で、教授 10 名、准
教授 6 名からなる。これら教員は、経営の社会的ニーズや国際的な学会での研究成果など
を取り入れ、実践的な能力を養成する教育を行う。教員の年齢構成(2014 年 4 月 1 日現
在)については、60 歳代 3 名、50 歳代 5 名、40 歳代 6 名、30 歳代 2 名であり、十分な
教育・研究経験と今後のさらなる進展が期待される年代が中心になる。
5.3 総合政策学専攻の教員組織の編成の考え方及び特色
総合政策学専攻の教員組織の編成は、専攻の教育課程の編成を実現するために、国際政
策、公共政策、環境政策に関する十分な研究業績があり、これらの政策領域に関する教育
経験もしくは実務経験がある教員を配置するという考え方による。
総合政策学専攻の教員編成の特色は、社会科学の多様な学問分野である法学、政治学、
行政学、国際関係論、経済学、経営学、社会学、社会心理学等を基礎としつつも、学際的
研究志向がある教員、現実の問題や政策課題に対して十分な理解と実践的政策立案を行っ
た経験がある教員を配置して、専攻の教育課程の編成を実現していることである。
総合政策学専攻の研究指導科目は教育課程の中でも特に重要であるので、担当する教員
は、国際政策、公共政策、環境政策に関する十分な研究業績があり、かつ研究活動を活発
に行っている教員を配置する。教員総数は 18 名で、教授 14 名、准教授 2 名、講師 2 名か
らなる。これらの教員は、各分野で今後の社会的な動向、国際・国内学会での研究成果な
どを取り入れ、かつ実践能力を養成する教育を行う。教員の年齢構成(2014 年 4 月 1 日現
在)については、60 歳代 4 名、50 歳代 5 名、40 歳代 6 名、30 歳代 3 名となっており、教
育経験も積み、多くの研究業績を持つ年代の教員によって構成される。
6.教育方法、履修指導、研究指導の方法及び修了要件
本学では、2 学期制をとり、前期にあたる 4 月~9 月 15 日までを春学期、後期にあたる
9 月 16 日~3 月までを秋学期と称する。研究科の教育課程の編成の考え方に従い、1 年次
春学期と秋学期で研究科の教育の基礎となる社会科学の手法と各専攻の基礎科目を教育す
る。各年次に専攻科目を履修することで各専攻の専門について教育する。研究指導は、研
究指導科目によって、1 年次春学期から研究に必要な基礎的な分析手法を教育し、2 年次春
学期には、実践的な問題発見や解決方法を研究・教育し、2 年次秋学期には修士論文の作
成の研究指導を行う。具体的には、1 年次春学期と秋学期に各専攻の基礎となる研究科必
修共通科目と研究科選択共通科目を配置し、1 年次春学期から、各専攻の専門を学ぶ専攻
科目と他専攻の知識や手法と組み合わせた応用的な専攻科目を配置する。1 年次春学期は、
学生は希望する研究分野に合わせて指導教員を 1 名選択する。担当教員は、学生の希望と
研究計画によって決定する。研究指導科目は、1 年次春学期に「研究指導I」、1 年次秋学
期に「研究指導 II」、2 年次春学期に「研究指導 III」、2 年次秋学期に「研究指導 IV」を
配置する。研究指導科目では、「研究指導 I・II」では研究活動の基礎である文献の探索、
講読などによって分析手法を教育する。2 年次春学期には、
「研究指導 III」として、さら
に深く事例研究を行ったり、習得した分析手法の応用力を養成する。2 年次秋学期には、
「研
15
究指導 IV」において、「研究指導 I・II」で学んだ分析手法を用い、「研究指導 III」での
研究成果を発展させて、修士論文としてまとめる。
「研究指導 IV」では、2 年次秋学期半ばに、研究の成果である修士論文の中間審査を行
い、そこで、複数の教員が修士論文について助言する。研究指導を担当する教員は、研究
にさらに加えるべき点、また研究の方向性について助言し、それらの助言をもとに研究内
容を修正する。修士論文の審査は、研究科委員会で選出された博士前期課程研究指導担当
教員 3 名以上の学位審査委員で構成される学位審査委員会で行う。その際、指導教員は学
位審査委員になれるが、審査委員長にはなれない。審査委員には、必要に応じてその研究
分野に精通した専門家を調査委員として加えることができる。研究指導は担当教員が単独
で行うが、複数の教員からなる学位審査委員会を 2 年次秋学期までに構成し、研究内容に
ついて点検と助言を行う。それによって、研究内容の水準を一定以上に保つようにする。
だだし、研究指導の時期については、9 月修了等の修了時期や修了年限が特別な場合につ
いては個別に研究科委員会の承認により定めるものとする。
履修指導は、指導教員と各専攻の主任が中心となって行う。履修指導は、入学時の履修
ガイダンスで行うとともに、指導教員がつねに学生の相談に応じる態勢を維持する。1 年
次春学期より、指導教員が、学生が履修相談しやすいように配慮する。指導教員は、学生
に対して、研究の方法、テーマの設定など研究に必要な指導と助言を与える。
指導教員制度は学生生活や教務関係など学生が直面する様々な問題について、教員が学
生に助言する制度であり、南山大学で 30 年以上の実績がある。指導教員には、学位を持ち、
かつ研究業績があるか、それと同等の研究業績がある、教育にも熱心な教員を配置する。
入学時にすでに修得していた大学院の単位および入学後他の大学院で修得した単位は、
教育上有益と認められる場合は、学生からの申請と所定の手続きを経て、合わせて 10 単位
まで修了単位数として認める。また、各専攻で適当と認めたときには、本学の他研究科・
他専攻において修得した単位は 8 単位を限度として修了単位数として認める。
各科目のクラス人数は、各専攻の博士前期課程では、研究科共通科目について、必修科
目は、20 名程度の学生数で行う。研究科共通科目の選択の共通科目は 10 名程度の学生数
で行う。これは、各専攻の教育に必要十分な科目を配置し、教員の講義負担を適切な水準
にすることを考慮して決定している。
修了要件は、研究科必修共通科目は 4 単位以上、研究科選択共通科目 4 単位以上、研
究指導科目 8 単位、専攻科目から 10 単位以上、合計で 30 以上の単位を修得し、修士論
文の審査に合格することである。研究科共通科目に 8 単位以上を充当しているのは、専
攻の教育課程の編成の考え方に従い、柔軟性や想像力、応用力を身につけるための基礎
学力を重視しているためである。
なお、社会科学研究科内の専攻を優秀な成績をおさめて修了した学生がさらに研究科内
の他の専攻に入学した場合、1年間で現在所属している専攻の修士論文を作成し、審査に
合格することにより、当該専攻を修了することができる。
<資料 7>修了までのスケジュール
6.1 経済学専攻の教育方法、履修指導方法及び修了要件
経済学専攻では、専攻の教育課程の編成の考え方に従い、1年次において、研究科共通
16
科目により、社会科学の基礎的な考え方や理論の枠組みを教育する。学生は経済学だけで
はなく、隣接諸科学の基礎知識や考え方の学びを通じて、経済学をさまざまな分野に応用
するための柔軟性や発想を得るような教育をおこなう。
また、研究科共通科目と並行するかたちでマクロ経済学などの基礎理論およびそれらを
理解するための「経済分析のための数学」や「データ解析」などを同時に修得し、各学生
の関心に即した専門知識や技術を修得するようにする。
1年次においては、各学生の指導教員が各学生の研究内容に即した履修指導および教育
を、各研究指導を通じておこなっていく。2年次においては、同じく各学生の指導教員が、
研究指導を通じて、学生が修士論文を完成させることができるよう履修および論文作成の
指導をおこなっていく。
6.2 経営学専攻の教育方法、履修指導方法及び修了要件
経営学専攻では、専攻の教育課程の編成の考え方に従い、研究科の必修の共通科目によ
って社会科学研究の各専門分野を網羅的に学ぶと同時に経営学専攻の主要分野についての
教育を行う。経営の主要分野で使われる分析手法について、研究科の共通科目で学び、専
攻科目では、経営学の専門的な内容を学修する科目により専攻の専門について教育する。
専攻には研究指導科目を配置し、研究科の必修および選択の共通科目ならびに専攻科目
で学んだ内容の応用力を養成する。専攻科目の中で、学際的な科目および企業の環境と戦
略に関する科目によって、経営の特定分野の応用を教育する。1年次の研究指導科目では
研究に必要な基礎的な分析能力を教育する。2年次の研究指導科目では、講義科目で学ん
だ内容について、企業と企業のステークホルダーの行動およびそれらを取り巻く環境につ
いてより深く分析することによって、最新の理論や成果に基づいた実践的な能力を養成す
る。この成果を修士論文にまとめることで、専攻の教育課程の考え方を実現する。
学生の履修指導は、学生の研究内容を考慮し、複数の履修モデルを基本としながら、指
導教員と専攻主任によって行う。1年次より、研究指導科目を担当する教員が指導教員と
なり、研究内容に即した履修指導を行う。
6.3 総合政策学専攻の教育方法、履修指導方法及び修了要件
総合政策学専攻では、専攻の教育課程の編成の考え方に従い、研究科共通科目により研
究科の基礎となる社会科学の手法と専攻の基礎を教育する。専攻科目では、さらに総合政
策で扱う問題の範囲と複眼的理解、学際的研究の手法を学ぶ基礎的な科目を配置すると共
に、国際政策、公共政策、環境政策に関する科目群により専攻科目について教育する。
問題解決志向型の総合政策学専攻では、国際、公共、環境の各政策分野の発展・応用科
目を履修する上で必要となる基礎を要請する人材像に合わせて教育する。例えば、国際的
な現場においてその文化・歴史の理解の十分な理解が必要なとする学生には文明史科目を、
社会科学の基本的な考え方の理解が必要な学生や、現場経験が無くリアルタイムな政策課
題の理解が必要な一般学生には「総合政策の課題と方法」を履修させ、その教育を行う。
そのような基礎を学びつつ、各学生の関心のある各分野のテーマを履修させ、国際および
17
国内の政策現場でリーダーシップを発揮できる人材を養成する。また研究指導の上では、
基本的な基礎学問分野の修得が必要となるため、研究科と専攻で配置される選択科目から
必要な基礎科目を履修するよう指導する。
1年次の研究指導科目では研究科共通科目で学修した既存の社会科学における各学問分
野から基礎的理論と手法を選択及び組み合わせて、設定する政策課題を分析、研究する基
礎的な手法を教育する。特に基本的な文献講読、実習の実行に必要とされるリサーチス
キルの習得を目指した指導を行う。さらに2年次では、学修した様々な政策課題と構造
の理解を基に、各学生が問題設定を行い、政策立案に資する研究を行う。修士論文あるい
は特定課題研究(特定の課題についての研究)の指導が中心となり、学生の進捗状況
に応じて、論文の作成や特定課題研究の推進のために必要な文献収集法、調査分析法、
論文構成法および課題研究の発表方法等について、常時個別に指導・助言を行う。これ
により、最新の理論や成果に基づいた実践的な能力を養成し、さらに修士論文として研究
成果をまとめることで、専攻の教育課程の編成の考え方を実現する。
本専攻では、課程の目的に応じて適当と認められるときは、特定課題研究の成果を
もって修士論文に代えることができる。本専攻の学問上、一般的な修士論文だけでは
なく、特定の地域に入り込んだ情報収集・整理・レポートが非常に貴重な研究成果で
ある場合も多く、特定課題研究の内容が修士論文と同等と評価された場合に限り、修
士論文の場合と同様に、審査委員会がその内容を評価し、口頭試問を中心とした最終
試験を課す。
7.施設、設備等
大学院学生が教育研究に従事する施設は、名古屋キャンパスと瀬戸キャンパスに存在し、
学部学生と共用する施設と大学院学生専用の施設である。名古屋キャンパスは経済学専攻
と経営学専攻が主に使用し、瀬戸キャンパスは総合政策学専攻が主に使用する。
名古屋キャンパス
1.講義施設(研究科共用)
(1)小教室 [20 人規模](10 室)
通常の授業は主にこれを利用する。
(2)中教室 [40~60 人収容](2 室)
研究科が企画するセミナーや報告会などに利用する。
2.大学院学生研究室
大学院学生には、個々に研究を行なうためのスペースを提供する。各学生研究室には情
報コンセントが配置され、随時ネットワークに接続することが可能となっている。
3.図書館(全学共用)
教育研究に必要な資料は、主に全学共用の大学図書館(名古屋図書館)に所蔵されてい
る。大学図書館には図書約684,000 冊、逐次刊行物約15,000冊が収容されている他、当該
分野に関する複数の電子ジャーナルやデジタルデータベースの利用が可能である。館内に
は、閲覧席として約840 席を備える他、レファレンスカウンター、複写機器、情報検索の
ための端末、マルチメディア資料を閲覧できる機器を配置し、授業終了後も利用できるよ
うに平日は午後10 時、土曜日は午後8 時まで開館し、学生の教育に支障がないよう配慮し
18
ている。図書館の蔵書検索や、一部の電子ジャーナル・デジタルデータベースは、学内ネ
ットワークやインターネットを利用して図書館外や学外からの利用も可能である。また学
内の図書館、図書室の資料の予約、取り寄せも可能である。図書館間協力も積極的に行な
っており、近隣大学図書館との相互利用をはじめ、国立情報学研究所をはじめとするOCLC
等海外との相互文献貸借、文献複写のサービスも利用可能である。
今後も当該分野に関する資料の系統的収集に努める他、電子ジャーナルやデジタルデー
タベースの導入・利用を促進していく計画である。
瀬戸キャンパス
1.講義施設(研究科共用)
(1)小教室(8 室:学部と共用)
研究指導に使用する。
(2)中教室(3 室:学部と共用)
研究科が企画する、セミナーや報告会に使用する。
2.大学院学生研究室
大学院学生には、個々に教育研究の拠点となるスペースを提供するするとともに、各学
生研究室には情報コンセントが配置され、随時ネットワークに接続することが可能になっ
ている。また自由に利用できる自習室や食堂にも、各自のノートパソコンをネットワーク
に接続するための情報コンセントが設置されており、いつでも国内外の情報源(他31大学、
教育研究機関等)へのアクセスが可能である。なお、学生研究室は、届出により、24 時間
利用することが可能である。
3.図書館(全学共用)
教育研究に必要な資料は、全学共用の大学図書館(瀬戸図書館・名古屋図書館)に所蔵
されている。瀬戸図書館には当該分野に直接関係する図書約91,000 冊、逐次刊行物約2000
冊が収容されている他、当該分野に関する複数の電子ジャーナルやデジタルデータベース
の利用が可能である。また、蔵書検索システムは名古屋図書館と共通であり、予約、取り
寄せ機能により、名古屋図書館が所蔵する関連資料が自由に利用できるほか、キャンパス
間シャトルバスを運行し、直接利用の便宜を図っている。
瀬戸図書館内には、約 390 席の閲覧席、レファレンスカウンター、複写機器、情報検索
のための端末、マルチメディア資料を閲覧できる機器等を配置し、授業終了後も利用でき
るように閉館時間を平日・土曜日とも21 時に設定し、学生の教育研究に支障がないよう配
慮しているほか、日曜開館(10 時~17 時)も実施している。また図書館の蔵書検索や、
一部の電子ジャーナル・デジタルデータベースは、学内ネットワークやインターネットを
利用して図書館外や学外からの利用も可能である。図書館間協力も積極的に行なっており、
近隣大学図書館との相互利用をはじめ、国立情報学研究所をはじめとするOCLC 等海外と
の相互文献貸借、文献複写のサービスを利用可能である。
今後も当該分野に関する資料の系統的収集に努める他、電子ジャーナルやデジタルデー
タベースの導入・利用を促進していく計画である。
19
8.既設の学部との関係
社会科学研究科は、経済学部、経営学部、総合政策学部を基礎とした研究科である。社
会科学研究科の経済学専攻、経営学専攻、総合政策学専攻の 3 つの専攻は、その 3 学科に
対応している。カリキュラムは学部と大学院とは独立しているものの、大学院の講義の内
容は、学部で学んだことの発展となっている。研究科共通科目では、南山大学以外の大学、
もしくは、南山大学経済学部、経営学部、総合政策学部から、異なる専攻の大学院に進学
する学生にも配慮し基礎的な内容から始め、徐々に高度な内容を講義する。
<資料 8>既設の学部との関係
9.入学者選抜の概要
入学者の選抜は、専攻ごとに実施する。経済学、経営学、総合政策学の基礎的な学力を
持ち、社会科学全般の幅広い専門知識を有し、社会に貢献する意志のある学生を受け入れ
る。そのために以下のような入学者選抜を実施する。一般入試の筆記試験の科目は、専攻
ごとに上記の基礎的な学力を問う問題を出題する。
【博士前期課程】(各専攻共通)
種別
一般入学審査
試験の内容
対象
筆記試験+口述試問 大学を卒業した者及び当該年度
卒業見込み者等
社会人入学審査
書類審査+口述試問 2 年以上の実務経験を有する者
(但し、経済学専攻
のみ小論文試験が課
される)
推薦入学審査
書類審査+口述試問 南山大学の学部卒業見込み者で、
当該学部から推薦された者
外国人留学生別科推薦入試審査
書類審査+口述試問
南山大学社会科学研究科他専攻推 書類審査+口述試問
薦入学審査
社会人受け入れに際しては、2 年以上の実務経験を有する者に受験資格を与え、書類審
査と面接(経済学専攻の場合は、これに加えて小論文)で基礎的な学力の有無とその適性を
審査する。社会人は多様な経歴を持つことが想定されるので、基礎的な学力とともに、そ
れらの多様な経歴も評価の対象とする。例えば、会計士、税理士等、実務経験に携わった
などの経歴は高く評価する。
また、社会人はその勤務上の制約から、まず科目等履修生、もしくは研修生として大学
での講義や研究活動に携わりたいと考えるものも多い。そのような社会人に対しては、面
接でその適性を確認した上で、科目等履修生、もしくは研修生として受け入れる。
10. 大学院設置基準第 14 条による教育方法の実施
グローバル社会の変化に伴う環境の変化に対して柔軟に対処できる人材を確保すること
20
は、産業界にとって急務であり、社会科学研究科は、企業や公官庁等で日夜、生産活動に
従事する人材に就学の機会を与えることで、産業界ならびに地方自治体からの要請に応え
る。前身となる三研究科では、社会人が大学院で新たな知識や技術を身につけ、より高度
なレベルで社会に貢献することは、わが国の発展のために必須であるとの認識に立ち、継
続的に社会人を受け入れ、有能な人材の養成に努めてきた。また、多様な開発経験を持つ
社会人と、大学を卒業して大学院に進学してきた学生がともに学ぶことは双方にとって有
用な経験となり、大学院全体の活性化にもつながってきた。社会科学研究科では、これま
での三研究科での社会人教育を継続し、産業界ならびに地方自治体からの要請に応える。
とくに、社会科学研究科が重視する基礎科目を幅広く学ばせることで、産業の現場や公官
庁の業務で培った技術の整理・再定義をする能力を涵養し、コスト削減や顧客満足に貢献
するだけでなく、新しい枠組みを提案することで産業界、地方自治体を牽引する人材を養
成する。なお、対象となる社会人は「2 年以上の就業経験を有する者」と定義し、現在就
業に就いているか否かは問わないこととする。
以上の通り、産業界、公官庁からの要請に応え、職業を有する社会人学生の履修上の便
宜を図るために、大学院設置基準第 14 条に規定する教育方法の特例の規程を適用する。
10.1
修業年限
社会科学究科の博士前期課程の標準修業年限は 2 年を原則とするが、社会人学生につい
ては、各自の実情に応じて柔軟に考える。とくに優れた業績を上げた学生および社会科学
研究科の他専攻で博士前期課程を修了した学生については、1 年以上在学すれば足りるも
のとする。
10.2
履修指導および研究指導の方法
社会科学の概論および各専攻に必要なスキル・手法に関する共通科目を学ぶことにより、
先進国および新興国・途上国における企業と行政という主体が複雑化していく状況で柔軟
に対応する能力を高めるため、個々の学生ニーズに合わせた専攻科目をきめ細かく履修指
導をする。経済、経営、総合政策の広範な学問領域を効率的に学ぶため、学生のニーズに
合わせた、きめ細かい科目履修ガイダンスおよび研究指導を 1 年次から所属する研究室の
指導教員を中心に実施する。とくに、社会人学生とのコミュニケーションはインターネッ
トなどを通じて密に行うことで学生からの履修上の相談にきめ細かく対応する。
10.3
授業の実施方法
授業は名古屋キャンパスまたは瀬戸キャンパスで開講されるため、昼間だけではなく、
学生の利便性を考えて夜間や土曜日にも開講することがある。開講キャンパスまで移動が
できず直接受講できない学生の利便性を確保するため、同時中継による別キャンパスでの
受講を認めることとする。
21
10.4
メディア教育
2 キャンパスで効率的な授業を行うためにメディアを使用した授業を行う予定である。
名古屋キャンパスと瀬戸キャンパスを繋いだ回線を利用して、同時に 2 カ所で授業が可能
である。授業科目が重ならないように調整しながら、効率的な授業運営を行う。
10.5
教員の負担の程度
社会科学研究科の専任教員はすべて学部と兼務するため、16 で述べるように、既設の学
部と授業担当時間数の調整を行い、社会科学研究科と既設の学部の講義負担とあわせて半
期 28 時間(7 科目 14 単位)程度とし、過度の負担にならないよう配慮する。
11.2 つ以上の校地において教育を行う場合の配慮について
本研究科の専任教員は、名古屋キャンパスと瀬戸キャンパスに配置されているが、名古
屋キャンパスは、瀬戸キャンパスから大学が運行するシャトルバスを利用して約 60 分で移
動でき、大学院を担当する教員の移動等を考慮しても研究・教育上支障のない距離である。
名古屋キャンパスは経済学専攻と経営学専攻が主に授業を行い、瀬戸キャンパスは総合政
策学専攻が主に授業を行う。なお、名古屋キャンパスでは、6 限(18:40~20:10)7 限(20:
20~21:50)に開講し、社会人に対応する。瀬戸、名古屋の両キャンパスとも、充実した
学生支援体制を整備している。学生は、社会人、一般学生を問わず、両キャンパスのサー
ビスをすべて利用できる。
瀬戸、名古屋の両キャンパスとも、充実した施設設備を整備しており、名古屋キャンパ
スでの講義の開講、研究指導は、瀬戸キャンパスと同じ環境の教室にて行う。
12.学生確保の見通し
社会科学研究科で設定した各専攻の定員(経済学専攻、経営学専攻、総合政策学専攻と
も 7 名)は、以下の事実から充足できる見通しである。
過去 5 年間の経済学研究科経済学専攻、ビジネス研究科経営学専攻、総合政策研究科総
合政策専攻への入学者合計(順に経済学専攻、経営学専攻、総合政策専攻)はそれぞれ 2009
年度 23 名(14 名、1 名、8 名)、2010 年度 20 名(10 名、5 名、5 名)、2011 年度 10 名(4
名、2 名、4 名)、2012 年度 12 名(6 名、2 名、4 名)、2013 年度 8 名(2 名、3 名、3 名)
である。2009 年度、2010 年度に比べ 2011 年度以降 3 年間は志願者がやや減少している。
今後の志願者の動向を探るために、潜在的な志願者である各学部の学生に対して新研究科
に対するアンケート調査を実施した。
経済学部、経営学部、総合政策学部の全年次に対してアンケート調査を実施(有効回答数
2425、内訳は経済学部 796、経営学部 782、総合政策学部 847)したところ、21%(経済学
部 17%、経営学部 15%、総合政策学部 31%)が「進学したいと思いますか」の質問に対して
「そう思う」と回答した。同回答を年次別に見ると 1 年次生の 21%(経済学部 21%、経営
22
学部 17%、総合政策学部 26%)、2 年次生の 19%(経済学部 14%、経営学部 10%、総合政策学
部 36%)、3 年次生の 20%(経済学部 16%、経営学部 12%、総合政策学部 28%)、4 年次生の
うち 26%(経済学部 14%、経営学部 22%、総合政策学部 36%)が進学の希望を持っていると
回答した。各学年の少なくとも 19%以上の潜在的な進学希望者が存在することを踏まえる
と、適切な進学指導を行えば各学年で進学を希望する学生は定員を上回ると考えられる。
13.管理運営
研究科の管理運営は大学院学則に基づき設置される社会科学研究科委員会による。研究
科委員会は社会科学研究科委員会規程に基づき、本研究科の博士前期課程の研究指導担当
者で構成される。講義担当者はオブザーバーとして研究科委員会に参加できる。研究科委
員会は少なくとも毎月 1 回以上開催し、在学生の身分に関する問題、教務関係、教員人事、
入学審査関係の諸問題、研究科の将来構想などについて審議し、研究科としての意思決定
を行う。研究科の自治を尊重しつつ、学長のリーダーシップによる全学的な大学の方針に
も沿った方向で運営が行われている。
各専攻の管理運営は必要に応じて開催される専攻会議による。専攻会議では、専攻個別
の問題について、専攻で研究指導、講義を担当する教員全員によって意思決定を行う。
大学院学則に基づき、研究科間の連絡調整や諸規程の制定改廃などを審議する大学院委
員会が設置されているほか、時間割編成や履修登録、試験の実施など大学院全体の教務に
関する事項を円滑に実施するための大学院教務委員会が設置されており、各研究科委員会
との緊密な連携のもとに運営がなされている。
研究科委員会において管理運営の中心を担う研究科長は、社会科学研究科長候補者選挙
規程に基づき、研究科委員会構成員の選挙(単記無記名投票)によって決定される。選出
された研究科長候補者は、大学評議会を経て、学園理事会において最終的に研究科長とし
て決定される。
14.自己点検・評価
南山大学では、1991 年度に全学機関として、教学担当副学長を委員長とする「南山大学
自己点検・評価委員会」を設置して以来、組織的・継続的に自己点検・評価を実施してい
る。委員会委員である学部長・研究科長等は、それぞれ所管する部局(学部、研究科、研
究センター等)において毎年自己点検・評価を実施し、その結果を報告書にまとめている。
そこでは、研究教育の面で優れている点や欠点を指摘し、欠点に関しては、その改善点を
記述している。改組前の経済学研究科、ビジネス研究科、総合政策研究科でも、この自己
点検・評価報告書にしたがって、毎年改善を行ってきている。
今後、社会科学研究科でも同様の方法で自己点検評価を行うとともに、教育面での改善
を期末の講義の中のアンケート調査を利用して行っていく。
23
15.情報の公表
社 会 科 学 研 究 科 や 大 学 全 体 に 関 わ る 情 報 は 大 学 の 公 式 Web ペ ー ジ
(http://www.nanzan-u.ac.jp/grad/index.html)や大学案内等の出版物、大学院説明会など
の大学行事や各種の広報活動、高校訪問などの機会を通じて受験生や広く社会一般に公開
しており、社会科学研究科でもこれを継続する。
情報提供の中心である公式 Web ページを利用して具体的に提供している教育研究活動の
状況に関する情報には、以下のようなものがある。
①大学の教育研究上の目的に関すること
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/rinen/index.html
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/koho/catholic/index.html
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/torikumi/grand/index.html
②教育研究上の基本組織に関すること
http://www.nanzan-u.ac.jp/Dept/index.html
http://www.nanzan-u.ac.jp/grad/index.html
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/kenkyu/ic/index.html
③教員組織、教員の数並びに各教員が有する学位及び業績に関すること
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/kokai/shokuin.html#01
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/kyoin.html
https://porta.nanzan-u.ac.jp/research/
④入学者に関する受け入れ方針及び入学者の数、収容定員及び在学する学生の数、卒業
または修了した者の数並びに進学者数及び就職者数その他進学及び就職等の状況に関
すること
http://www.nanzan-u.ac.jp/Dept/policy.html
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/kokai/zaiseki.html
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/kokai/gakui.html
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/CAREER/siryou/syusyoku_2011.html
⑤授業科目,授業の方法及び内容並びに年間の授業の計画に関すること
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/KYOUMU/INFO/kyomu_index_nagoya.htm
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/KYOUMU/INFO/kyomu_rishu.htm
⑥学修の成果に係る評価及び卒業又は修了の認定に当たっての基準に関すること
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/kokai/pdf/d1010.pdf
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/kokai/pdf/d1020.pdf
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⑦校地・校舎等の施設及び設備その他の学生の教育研究環境に関すること
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/GAKUSEI/kagai/index.html
⑧授業料,入学料その他の大学が徴収する費用に関すること
http://www.nanzan-u.ac.jp/admission/campuslife/gakuhi.html
⑨大学が行う学生の修学,進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/CAREER/index.html
http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/GAKUSEI/index.html#hokenshitu
⑩その他(教育上の目的に応じ学生が修得すべき知識及び能力に関する情報,学則等各
種規程,設置認可申請書,設置届出書,設置計画履行状況等報告書,自己点検・評価
報告書,認証評価の結果 等)
http://www.nanzan-u.ac.jp/Menu/kokai/index.html
16.教員の資質の維持向上の方策
FD 活動は、従来自己点検・評価委員会の活動の一部として実施してきたが、FD 活動の重
要性に鑑み、2005 年度より南山大学ファカルティ・ディベロップメント(FD)委員会を新
たに設置し、建学の理念に基づく教育活動の質的向上を目指している。そして、2008 年 4
月の大学設置基準の改正による FD の義務化「教育力向上のための必要な措置」としての「授
業の内容および方法の改善を図るための組織的な研修および研究の実施」を受けて、ます
ます活発な活動と、教員の専門分野や担当科目の性質に合致した、学部・学科等独自の取
り組みへの働きかけを強めているところである。
講演会や研修会以外に FD 委員会が全学的に継続的に実施している取り組みとしては、
「学生による授業評価」(1999 年度~)や、事前アンケートにより見学を了承した教員の
授業を参観する「日常的授業参観」
(2003 年度~)がある。また、FD 活動に関する情報を
広く教員に提供するため、FD 活動に関する Web ページを開設し、委員会や学部・学科の取
り組みを紹介するとともに、教育活動支援情報として、学内外で開催される FD 関連の研究
会や研修会、教育力の向上に役立つ書籍や視聴覚資料、学内授業 GP の授業研究会の記録な
どを紹介している。あわせて図書館(名古屋・瀬戸キャンパスとも)に FD 関連指定図書コ
ーナーを設置し、Web ページで紹介した資料をすぐに閲覧できる体制を整備している。
経済学研究科、ビジネス研究科、総合政策研究科では、期末アンケートの結果をもとに
授業の改善を図っている。教員には明確な学修目標の提示と、学修目標に沿った講義を展
開することを求めている。FD 活動としては、学部内の FD 委員が実施する講演会や毎年度、
期末アンケートで指摘された講義の内容等について学部の全教員に対して学生からの意見
をフィードバックする機会をとり、教員の資質の維持向上を図っている。社会科学研究科
でもこれを継続する。
教員の講義負担は経済学研究科、ビジネス研究科、総合政策研究科での講義・研究指導
と、基礎となる学部である経済学部、経営学部、総合政策学部での講義・演習を合わせて、
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半期 2 時間を 2 単位として、平均して半期 14 単位程度である。社会科学研究科でも同様の
講義負担である。瀬戸キャンパスにある総合政策研究科では、社会人に対する講義を名古
屋キャンパスで開講している。開講場所は、大学が運行するシャトルバスを利用して約 60
分で移動できる。担当者の移動負担は、少なからず存在するので研究科として、教員の講
義負担が過度にならないように配慮を行う。これは、講義の質の低下を防ぎ、また、教員
の研究活動に支障が出ないようにするためである。
研究活動の活性化は、講義内容の充実に不可欠との考えから、教員の留学制度、研究休暇
制度、短期海外出張制度を利用して、教員の研究活動を活性化している。研究科の教員の
うち、毎年数人の教員が留学している。研究休暇制度は申請すれば、毎年度 1 名が利用で
きる。
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