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肛門管の粘膜上皮の形態

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肛門管の粘膜上皮の形態
2006 年 9 月 肛門管の粘膜上皮の形態 17
(原著論文)
肛門管の粘膜上皮の形態
下髙原理恵 1)、島田和幸 1)、柴田興彦 2)、河野麻理 3)、島田達生 3)
1)
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
歯科応用解剖学分野、2)大分大学医学部名誉教授、
3)
大分大学医学部看護学科健康科学
(投稿:2006 年 7 月 3 日、採択:2006 年 8 月 2 日)
要旨
ヒトの肛門から直腸にかけての上皮の形態を光学顕微鏡、走査電子顕微鏡および透過電子顕微鏡を用いて調べた。
組織学的所見から、我々は肛門縁から肛門直腸結合部までを肛門管と定義し、その長さは約 4 cm であった。さらに、
肛門管を歯状線上部と歯状線下部に二分した。肛門と歯状線下部の上皮は角化重層扁平上皮からなり、歯状線下部に
おける角化の程度は肛門よりも弱かった。歯状線上部(肛門柱と肛門洞)は非角化重層扁平上皮からなっていた。肛
門管と直腸の境界は明瞭で、直腸は単層円柱上皮からなっていた。結果的に肛門管は物理的刺激に対して強く保護さ
れているが、直腸は形態学的に刺激に対して弱い構造であった。
キーワード
肛門管、直腸、重層扁平上皮、光学顕微鏡、電子顕微鏡
序文
これまで肛門から直腸にかけての解剖・組織学的研究
は少なく、肛門周囲の筋(内・外肛門括約筋)の分布状
態と神経支配、知覚神経の分布、およびリンパ管の分布
に関する報告1~8) が多数を占める。上皮の形態に関しては
詳細な報告はなく、その記載もあいまいである。また、
これまでの形態学的研究は光学顕微鏡のみ 9) で走査電子
顕微鏡や透過電子顕微鏡による報告はなく、上皮の厚さ
や角化の状態、毛細血管の分布などについての詳細な報
告もない。
そこで、本研究では光学顕微鏡、走査電子顕微鏡およ
び透過電子顕微鏡を用い、ヒト肛門から直腸にかけての
上皮の形態に焦点をあてて観察した。肛門管は直腸と肛
門を結ぶ管であるが、その定義は外科学と解剖学の間で
大きく異なっている。そこで本研究では肛門管の定義に
著者連絡先: 下高原 理恵
890-8544
鹿児島市桜ヶ丘 8 丁目 35-1
Tel:(099)275-6112
Fax:(099)275-6118
[email protected]
ついても検討した。
材料と方法
直腸がんで摘出した 4 例(32 歳 女性、68 歳 男性、
72 歳 男性、80 歳 女性)から肉眼的に正常である部位
の直腸から肛門までを縦断的に切り出した。実体顕微鏡
で内腔面を観察した後に下記の方法で試料を作製した。
なお材料に関しては、主治医と手術者に実験内容や目的
などを十分に説明し、患者の承諾を得たものを使用した。
1. 光学顕微鏡用試料
縦断された直腸から肛門までの試料を 10% ホルマリン
で固定した。2 時間以上浸漬、上昇アルコール系列で脱
水、パラフィン包埋し、厚さ 6 μm の切片をヘマトキシリ
ン・エオシン(HE)染色し、光学顕微鏡(Nikon OPTIPHOT)
下で観察、撮影した。
2. 走査電子顕微鏡用試料
2.5% グルタールアルデヒド・2% パラホルムアルデヒド
/0.1M カコジル酸緩衝液 pH7.4(Karnovsky 固定液)で固
定した試料を 1%tween20 を含む生理的食塩水で充分に洗
浄した。その後、1%四酸化オスミウム溶液、1%タンニ
ン酸溶液、続いて 1%四酸化オスミウム溶液にそれぞれ 1
18 下高原理恵 他 4 名 形態・機能 第 5 巻第 1 号
図1
肛門の光学顕 微鏡像(HE 染色 )
a:肛門は角化 重層扁平上 皮からなる . P:乳頭
倍率×100
b:肛門管歯状 線下部. 上 皮は表層が わずかに 角化し、重 層扁平上 皮からなる. P:乳頭、L :リンパ管
倍率×100
c:肛門管歯状 線上部. 非 角化重層扁 平上皮か らなる. 倍 率×100
d:肛門管直腸 移行部. 肛 門柱と直腸 の境界( 矢印)は明 瞭である . 直腸膨大部の 粘膜上皮 は単層円柱 上皮である . AC:肛門 管、
R:直腸
倍率×100.
時間浸し、導電染色した。続いて、それらを上昇アルコー
ル系列で脱水し、t- ブチルアルコールを用いて凍結乾燥
した。金のスパッタ蒸着後、肛門から直腸までの内腔面
を走査電子顕微鏡(日立 S-800)で観察、写真撮影した。
3. 透過電子顕微鏡用試料
肛門、肛門管および直腸を含む組織小塊を Karnovsky
固定液で 4 ℃、2時間前固定し、2% 四酸化オスミウム /
カコジル酸緩衝液(pH7.4)で 4 ℃、2時間後固定した。
そしてそれらを上昇アルコール系列で脱水、エポン包埋
した。厚さ 0.07 μm の超薄切片をウランとクエン酸鉛で
二重染色し、透過電子顕微鏡(JEOL-100CX)で観察、写
真撮影した。
結果
1.光学顕微鏡所見
肛門縁から肛門管直腸接合部(anorectal junction)
までは 3.5 cm ∼ 4.5 cm であった。肛門の上皮は表皮と
同様に角化重層扁平上皮からなっていた(図 1a)。上皮
の基底面は凹凸がかなり激しかった。肛門縁から歯状線
までの歯状線下部の上皮は表層がわずかに角化した角化
重層扁平上皮からなり、細胞の層は 15 ∼ 30 層であった
(図 1b)。上皮の基底面は凹凸が激しいが、その程度は肛
門よりも小さい。
歯状線上部の肛門柱や肛門洞は非角化重層扁平上皮か
らなり,その層は歯状線下部(肛門櫛部)よりも厚く,
30 ∼ 40 層の細胞からなっていた(図 1c)。上皮の中層か
ら表層が扁平細胞からなり、深層の細胞は立方形または
円柱形であった。直腸に近づくに連れて上皮の厚さは薄
くなっており、直腸との境界部の重層扁平上皮は5∼6層
で、上皮細胞は表層のみが扁平形で、他は立方形または
円柱形であった。今回検索した 1 例において開口部付近
の上皮の 1 部が円柱上皮からなる試料が見られた。肛門
柱の上皮の基底面はゆるやかな波状を呈し、比較的平坦
であった。肛門管直腸接合部(anorectal junction)を
境界とし肛門管側と直腸膨大部では上皮の形態が大きく
異なり、両者の間には明瞭な境界が認められた(図 1d)。
直腸膨大部の粘膜上皮は単層円柱上皮で、吸収上皮細胞
と杯細胞からなっていた。
2.走査電子顕微鏡所見
肛門、肛門管の歯状線下部、歯状線上部(肛門柱と肛
2006 年 9 月 肛門管の粘膜上皮の形態 19
図2
肛門管内面の 走査電子顕 微鏡像
a:低倍像。歯 状線は浅い 溝として同 定でき、 その上部は 横ヒダ、 下部は縦ヒダが ある.矢印 :歯状線、 S:歯状線 上部、
I:歯状線下部
b:歯状線下部 の角化重層 扁平上皮.
c:歯状線上部 の非角化重 層扁平上皮 .
門洞)、および直腸の自由表面はそれぞれが特徴的な表面
形態をもっていることが明らかとなった。肛門は角化重
層扁平上皮からなり、その最表層は細胞境界が不明瞭な
不定形の細胞からなり、細胞の表面は比較的平坦であっ
た。
歯状線は走査電子顕微鏡でも浅い溝として同定できた
(図 2a)。歯状線より上部は縦走する浅いヒダをつくり、
下部の肛門櫛は横走するヒダを形成していた(図 2b、c)
。
わずかに角化した重層扁平上皮からなる肛門櫛部表面の
扁平上皮細胞は四角形又は五角形を呈していた。歯状線
より上部の肛門柱や肛門洞は非角化重層扁平上皮からな
り、最表層の扁平上皮細胞は不規則な四角形、五角形、
または六角形を呈し、細胞境界は直線的でやや隆起して
いた。
直腸と肛門管(歯状線上部)の境界は浅い直線的な溝
によって隔てられ、両者の表面構造に大きな差がみられ
た(図 3a)。直腸は陰窩を中心とした細胞集団であり、陰
窩の周囲は多くの杯細胞が存在し、陰窩から離れるにつ
れて吸収上皮細胞が主体となっていた(図 3b)。
3.透過電子顕微鏡所見
ヒト肛門管歯状線上部の上皮に関する報告はあいまい
であることから、本研究では透過電子顕微鏡観察もあわ
せて行った。直腸に近い肛門柱の表面は扁平な細胞が
3 ∼ 4 層の厚さをつくり、歯状線上部は明らかに重層扁
平上皮細胞からなっていた(図 5)。最表面の扁平細胞は
明調で、2層目の細胞から剥離している細胞であること
がわかった。上皮の中層より深層の細胞は短い突起を多
く有し、隣の細胞とデスモゾームをもって強固に結合し
ていた。肛門櫛部の上皮は表層の 8 ∼ 10 層が扁平細胞か
らなり,中層から下部は立方形の細胞から構成されてい
た。特に表層の細胞は著しく萎縮しているようにみえた。
考察
1.肛門管の上皮の形態
これまで肛門管の上皮の形態に関していくつかの報告は
あるがそれらは光学顕
微鏡観察だけであり 9)、歯状線上部(移行部ともいわれ
る)は重層円柱上皮からなるとの記述の論文や成書が
ある11, 12) などその記載もあいまいである。また角化に関
しては Nakano13) がマウスの角化過程を検索しているが、
ヒトによるものは見当たらない。
今回の研究で、肛門と肛門管は重層扁平上皮からなり、
肛門管直腸移行部(anorectal junction)から上部の直
腸は単層円柱上皮からなっていた。肛門管は歯状線に
よって上部(肛門柱と肛門洞)と下部(肛門櫛)に二分
され、上皮の様相も異なっていた。歯状線下部の上皮は
15 ∼ 30 層で軽度に角化しており、一方歯状線上部は
30 ∼ 40 層の非角化重層扁平上皮であった。重層扁平上
皮は保護作用を有することが知られており、肛門管は物
理的刺激に対して比較的強い構造を有していることが明
らかとなった。また、歯状線下部はわずかに角化してい
ることから歯状線下部のほうがより強い保護作用を有し
ていることが推察される。これらの所見は Nakano らのマ
ウスによる報告 14) とも一致している。
今回の所見のうちでもっとも注目すべき点は、肛門管
の重層扁平上皮から急に直腸の単層円柱上皮に移行する
ことであり、このような形態的様相は噴門(食道から胃)
に類似している。これらのことから肛門管直腸接合部
(anorectal junction)を境界とし、その上部と下部とで
はその機能が大きく異なることが推察される。また、走
査電子顕微鏡観察において肛門管の重層扁平上皮の最表
面と直腸の単層円柱上皮が同じ高さの平面状にあった。
このことも注目に値する。現在、臨床の場ではグリセリ
ン浣腸による出血の報告は数多くある。今回の結果はカ
20 下高原理恵 他 4 名 形態・機能 第 5 巻第 1 号
図3
肛門直腸移行部。
a:低倍像。肛門管上部(AC)と直腸(R)の境界は直線的な溝がある。
b:直腸内面の拡大像。直腸は陰窩を中心とした細胞集団で、陰窩の周囲には多くの杯細胞が存在する。c:陰窩、G:杯細胞
テーテルを挿入した場合、たとえまっすぐに挿入してい
ても急激に出血しやすい形態へ移行することを示してお
り、グリセリン浣腸施行時はこのようなことを十分に把
握した上で行うことが重要であると思われる。
さらに、今回観察された 1 例のみにおいて歯状線上部
(肛門柱)に重層円柱上皮からなる領域がみられたが、他
の大部分の領域は重層扁平上皮からなっていた。肛門管
の歯状線上部は基本的に重層扁平上皮からなるが、何ら
かの原因によって一部が重層円柱上皮になったものであ
り、今後の課題として残る。
図4
肛門管(歯状線上部)の透過電子顕微鏡像。表面は平坦な
細胞が 3∼4 層の層をつくり明らかに重層扁平上皮細胞からなっ
ている。矢印:最内層
2.肛門管の定義
「肛門管」とは肛門と直腸をむすぶ管であり、解剖学ま
た外科学を初めとする多くの成書にその言葉は記載され
ている。また近年、高齢化社会にともない肛門機能回復
訓練や肛門内圧検査などさまざまな排便に関する検査お
よび治療が行われるようになり、
「肛門管」という言葉は
多くみられるようになった15~17)。しかしながら、その定
義は外科学と解剖学また病理学の間で異なっている。
一般に肛門管は「外科学的肛門管」と「解剖学的肛門管」
に分けられ、外科学的肛門管はどの成書や論文でも定義
はほぼ一致しており、肛門管は大腸癌取扱い規約 10) に記
載されているように「恥骨直腸筋付着部上縁より肛門縁
までの管状部をいう。」と定義されている。病理学におい
て、Claus9) は外科学と同様に定義しており、さらに肛門
管 を colon-rectal zone、transitional zone お よ び
squamous zone の 3 領域に分類している。
一方,解剖学的肛門管に関しては多様な記載で統一さ
れていないのが現状である。分担解剖学 18) では肛門管は
「直腸の下部で肛門に開くすぐうえのところ」と記載して
いるにすぎない。高野 11) は歯状線より上部を移行部とし
歯状線から肛門縁までを肛門管として定義している。
ネッター解剖学アトラス 19) や外科学的論文では肛門管は
「歯状線から始まり肛門縁まで」
、また Wendell-Smith ら 20)
は肛門管を「Anorectal ring から始まり肛門縁まで」と
それぞれ定義している。これは外科学的肛門管と一致す
る。そして肛門管を anorectal ring から dentate line
までの supradentate part と dentate line から肛門縁まで
2006 年 9 月 肛門管の粘膜上皮の形態 21
の infradentate part に分けている。彼はまた anorectal
junction から肛門縁までを組織学的肛門管と定義づけて
いる。
今回の肉眼と顕微鏡による研究において、上皮の形態
は anorectal junction を境界として明らかに異なり、上
部(直腸側)は単層円柱上皮、下部(肛門側)は重層扁
平上皮であった。このように外科学的肛門管は直腸の下
部を含んでいた。
肉眼レベルで命名された歯状線は走査電子顕微鏡レベ
ルでも小さな溝として明瞭に同定できた。歯状線より上
部は横ヒダがあり、非角化重層扁平上皮からなり、一方
下部は縦ヒダがありわずかに角化した重層扁平上皮から
なっていた。このような所見から Wendell-Smith のいう
組織学的肛門管を肛門管に統一すべきであろう。特に看
護の場においては浣腸、摘便といった内腔の粘膜面にか
かわる行為が非常に多いことからもこの定義が望ましい
のではないかと思われる。
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22 下高原理恵 他 4 名 形態・機能 第 5 巻第 1 号
Morphology of the Mucosal Epithelium in the Human Anal Canal
Rie Shimotakahara1), Kazuyuki Shimada1), Okihiko Shibata 2), Mari Kawano3),Tatsuo Shimada 3)
1)
Department of Neurology Gross Anatomy Section, Graduate School of Medical and Dental Science,
Kagoshima University, 2)An emeritus professor, Faculty of Medicine, Oita University, 3) Department
Health of Science, School of Nursing, Faculty of Medicine, Oita University
Key words
anal canal, rectum, stratified squamous epithelium, light microscopy, electro microscopy
Abstract
The epithelium and the lamina propria of the human anal canal were investigated by light microscopy, scanning
and transmission electron microscopy.
Based on histological findings, we defined the anal canal as follows. It was a canal situated between the the
anorectal junction and anal margin, ranging from 3.5 cm to 4.0cm. The anal canal was divided into the supradentate
part and the infradentate part. The anus and the infradentate part consisted of the keratinized stratified squamous
epithelium, and keratinization of the epithelium apperared to be a less degree in the infradentate part. The
supradentate part consisted of the non-keratinized stratified squamous epithelium. In contrast with the anal canal,
the rectum consisted of the simple columnar epithelium. It was concluded that the anal canal was strongly from
mechanical stimulation but there was considerable risk of damaging in the rectum.
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