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ニュースレターNo.1 - 動的・多要素な生体分子ネットワークを理解するため
文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」平成23年度~27年度 動的・多要素な生体分子ネットワークを 理解するための合成生物学の基盤構築 Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks Newsletter No.1 2012 Contents 1 領域代表挨拶 岡本 正宏(九州大学大学院農学研究院) 2 研究班の構成 計画研究、公募研究 ・研究項目 A01(生物学班) ・研究項目 B01(工学班) ・研究項目 C01(情報学班) 4 研究代表者プロフィール 研究項目 A01 計画研究:花井、饗場、田川、柘植、 公募研究:鈴木、朝井、古田、納冨、野村、今西、上平、 末次、宮崎 研究項目 B01 計画研究:木賀、井上、Rondelez、陶山、庄田 公募研究:車、小川、野澤 研究項目 C01 計画研究:山村、伊庭 公募研究:荒木、松野、伊藤 19 これまでの活動 20 第3回 領域会議 概要 2012 年 5 月 16 日(水)~18 日(金) ハイアット・リージェンシー福岡 21 領域会議に参加して 畑 敬士(東京工業大学総合理工学研究科) Leon Palafox(東京大学大学院工学系研究科) 田附 常幸(九州大学大学院農学研究院) 領域代表挨拶 平成 23 年度に採択されました、文部科学省科学研究費補助金 新学術領域研究「動的・ 多要素な生体分子ネットワークを理解するための合成生物学の基盤構築」 (平成 23 年度~ 27 年度)(http://www.syn-biol.com/)の概要および最終目標を以下に述べさせていただき ます。 細胞を、多数の相互作用する生体分子ネットワークからなるシステムとして捉える「シ ステム生物学」と呼ばれる研究が行われているが、全てのネットワークが十分には理解さ れてはいないため、真の意味での「システム生物学」は完成しておらず、現状では、遺伝 子、mRNA、代謝物などの大量のデータを「眺めて解析する生物学」にとどまっています。 一方、このような生体分子ネットワークを「眺めて解析する生物学」から、 「創って解析 する・利用する生物学」を目指し、2000 年頃から米国で合成生物学という研究が行われて います。 「創って」と言っても「無から生物を創る」ことを指しているのではありません。 サイエンスの面では、同定済みの相互作用する生体分子を組み合わせた人工遺伝子回路を 設計して、振動やスイッチなどの特定の細胞内現象を再現させようとする試みがなされて います。また、応用面では、別の生物由来の酵素遺伝子を複数組み合わせた人工代謝経路 を設計し、その生物が本来生産できない物質を大量生産させる試みが行われています。し かしながら、人工遺伝子回路や人工代謝経路は小規模であり、試行錯誤で構築されている のが現状であり、合成生物学を展開するための技術基盤は未だ確立されていません。 本領域では、生体分子ネットワークをより深く理解し、利用するために、①人工遺伝子 回路や人工代謝経路の探索・設計を行う情報科学と、②無細胞系(in vitro)で回路・経路 構築を行う工学と、③細胞内(in vivo)へ回路・経路を導入する分子生物学の技術を結集し、 有機的に連携することで、世界に先駆けた合成生物学を展開するための技術基盤を構築す ることを最終目標としています。 私は、農学部農芸化学出身ですが、1974 年より、当時、国内ではほとんど手掛けていな かった、生化学反応系(特に酵素反応系)のシステム解析の研究をスタートさせ、1986 年に は、 ”Dynamic Analysis of Enzyme Systems: An Introduction (ed. K. Hayashi, N. Sakamoto、 Springer-Verlag (1986))”を出版し、実例を交えたシステム解析の手法の紹介を行いまし た(分担執筆)。化学反応系で、電気回路のような論理回路を実現できないかの動きは、1983 年に出版された”Synergetics: An Introduction (H. Haken, Springer-Verlag (1983))” の Chapter 9 Chemical and Biochemical Systems の中で言及されています(9.8 Chemical Networks)。この流れを受けて、領域代表者は、世界に先駆けて、神経素子としての記憶を 持ったスイッチ回路を酵素反応系を用いて設計、ハードウエア化に成功しており(Biol. Cybern.(1988), Physica D (1995)等)、Nature や PNAS でも紹介されました。その後、日本 では、バイオ素子、バイオコンピュータの研究が広まりましたが、理論・情報科学先行型 で、実験での実証ができないことから、遺伝子を含む生化学反応系を用いた回路設計の研 1 究は一時的なものに終わってしまいました。本領域の立ち上げにあたっては、この経験を 踏まえ、人工遺伝子回路や人工代謝経路の探索・設計を行う理論・情報科学系と in vitro(無 細胞系)で回路・経路構築を行う工学系と、in vivo(細胞内)へ回路・経路を導入する分子 生物学系の技術を結集し、有機的に連携することではじめて領域が推進できるとの思いを 強く持っています。 本領域の最大の特徴は、ドライ系(理論系)の情報科学的技術(C01)と細胞を扱う分子生物 学的技術(A01)の間に、無細胞系で回路・経路構築を行う工学的技術(B01)を取り入れ、3 つ を有機的に連携させることです。理論系で設計したものを、一旦、細胞を考慮しない無細 胞系で構築、機能評価し、その結果を踏まえて、細胞内に導入するストラテジーをとって います。第 2 の特徴は、構築し、細胞に導入した人工遺伝子回路や人工代謝経路を用いて 機能発現する過程をシステム解析することで、内在する生体分子ネットワークをより深く 理解する試みです。つまり、 「創って解析する・利用する生物学」の創成です。 合成生物学の技術基盤は、世界的に見ても未だ確立されておらず、計画研究にはない新 規で斬新なアイディア、技術を公募研究を通して発掘し、領域研究を深化させる必要があ ります。計画研究と公募研究の班員は、毎年の班会議のほかに、外部講師を加えて、 「合成 生物学の技術セミナー」を毎年企画し、開講するように計画しています。このセミナー等 を通して、合成生物学を研究する若手研究者の人材育成を行いたいと思っています。 平成 24 年度に採択されました 15 件の公募研究が加わり、すでにスタートしています 8 件の計画研究および総括班と合流することで、領域全体の研究体制が整ったことになりま す。なるべく多くの共同研究体制が結実するよう最大限の努力をいたすつもりですので、 今後ともご支援、ご鞭撻をよろしくお願い申しあげます。 領域代表 岡本 正宏(九州大学大学院農学研究院 主幹教授) e-mail: [email protected] 2 研究班の構成 領域代表 岡本 正宏 九州大学大学院農学研究院 【計画研究】 【公募研究】 ■ 研究項目A01(生物学班) ■ 研究項目A01(生物学班) 花井 泰三 九州大学大学院農学研究院 鈴木 石根 筑波大学生命環境系 饗場 浩文 名古屋大学大学院創薬科学研 朝井 計 究科 古田 芳一 東京大学大学院新領域創成科 田川 陽一 東京工業大学大学院生命理工 学研究科 学研究科 納富 拓也 東京医科歯科大学 GCOE 歯と 柘植 謙爾 慶應義塾大学先端生命科学研 骨の分子疾患科学の国際教育 究所 研究拠点 野村 渉 ■ 研究項目 B01(工学班) 木賀 大介 東京工業大学大学院総合理工 井上 丹 陶山 明 埼玉大学大学院理工学研究科 東京医科歯科大学生体材料工 学研究所 今西 未来 京都大学化学研究所 学研究科 上平 正道 九州大学大学院工学研究院 京都大学大学院 生命科学研 末次 正幸 九州大学大学院薬学研究院 究科 宮崎健太郎 独立行政法人産業技術総合研 東京大学大学院総合文化研究 究所 科 庄田耕一郎 東京大学大学院 総合文化研 究科 ■ 研究項目 B01(工学班) 車 兪澈 東京大学 大学院新領域創成科 学研究科 ■ 研究項目 C01(情報学班) 小川 敦司 愛媛大学上級研究員センター 山村 雅幸 東京工業大学大学院総合理工 野澤 彰 学研究科 愛媛大学無細胞生命科学工学 研究センター 伊庭 斉志 東京大学大学院情報理工学系 研究科 ■ 研究項目 C01(情報学班) 荒木 通啓 京都大学先端技術グローバル リーダー養成ユニット 松野 浩嗣 山口大学大学院理工学研究科 伊藤 浩史 九州大学大学院芸術工学研究 院 3 研究代表者のプロフィール ● 花井 泰三【はない 計画研究 研究項目A01(生物学班) たいぞう】 九州大学大学院農学研究院 生物機能制御学分野 准教授 〒812-8582 福岡市東区馬出 3-1-1 Email: [email protected] 研究課題名:細胞応答制御のための人工遺伝子回路の開発 研究概要とひとこと PR:2000 年以降に出版された合成生物学の論文を見て、自分のライ フワークはこれだ!と思い、テーマを大きく変更し、遺伝子組換えをするようになりまし た。私は、設計者の意図通り動作する微生物を作りたいと考えております。この目的を達 成するためには、さまざまな分野のエキスパートの助けなしでは達成できません。共同研 究等も積極的に行いたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。 代表的な論文: 1.Souma Y et al. Direct isopropanol production from cellobiose by engineered Escherichia coli using a synthetic pathway and a cell surface display system. J Biosci. Bioeng. 114: 80-85. (2012) 2.Inokuma K et al. Improvement of isopropanol production by metabolically engineered Escherichia coli using gas stripping. J Biosci. Bioeng. 110: 696-701. (2010) 3.Atsumi S et al. Non-fermentative pathways for synthesis of branched-chain higher alcohols as biofuels. Nature. 451: 86-89. (2008) 饗場 浩文【あいば ひろふみ】 名古屋大学大学院創薬科学研究科 分子微生物学分野 教授 〒464-8601 名古屋市千種区不老町 E-mail: [email protected] 研究課題名:細胞応答制御のための人工遺伝子回路の開発 研究概要とひとこと PR:大腸菌、シアノバクテリア、分裂酵母の2成分制御系を対象に、 ヒスチジンキナーゼによる環境のセンシング機構を研究しています。本領域研究では、大 腸菌に 望みの振る舞いをさせるために、ON/OFF スイッチとして機能するヒスチジンキナー ゼの開発を担当します。ストレス応答研究の経験をもとに、近年は寿 命・老化の機構にも 興味を持ち、分裂酵母を対象として経時寿命に関連する因子の解析も進めています。2012 年度から新設研究科に移籍し、新たに研究をス タートしました。皆さま、よろしくお願い します。 代表的な論文: 1.Ohtsuka H et al.Chronological lifespan extension by Ecl1 family proteins depends 4 on Prr1 response regulator in fission yeast. Genes to Cells. 17: 39-52. (2012) 2.Ito H et al. Pma1, a P-type proton ATPase, is a determinant of chronological lifespan in fission yeast. J. Biol. Chem. 285: 34616-34620. (2010) 3.Yamamoto K et al. Functional characterization in vitro of all two-component signal transduction systems from Escherichia coli. J. Biol. Chem. 280:1448-1456. (2005) 田川 陽一【たがわ よういち】 東京工業大学大学院生命理工学研究科 准教授 〒226-8501 横浜市緑区長津田町4259 B-51 E-mail:[email protected] 研究課題名:人工遺伝子回路による人工肝組織モデルの構築 研究概要とひとこと PR:これまでは目的の細胞に遺伝子を導入して分化誘導することが 主流であった。しかし、本研究では、ES細胞から肝細胞へ分化する際にES細胞に遺伝 子回路を導入するのではなく、分化をサポートする細胞に遺伝子回路を導入し、ES細胞 と共に肝組織を構築する。生命の中心は代謝にあり、代謝の中心は肝臓である。将来的に は、さらに他の代謝関連組織も in vitro 構築して、in vitro 代謝回路を作出して新しい 生命工学分野へ発展させたいと思っている。 代表的な論文: 1.Toyoda Y et al. Acetoaminophen-induced hepatotoxicity in a liver tissue model consisting of primary hepatocytes assembling around an endothelial cell network. Drug Metab. Dispos. 40: 169-177. (2012) 2.Tsutsui M et al. Characterization of cytochrome P450 expression in murine embryonic stem cell-derived hepatic tissue system.Drug Metab. Dispos. 34: 696-701. (2006) 3.Ogawa S et al. Crucial roles of mesodermal cell lineages in a murine embryonic stem cell-derived in vitro liver organogenesis system. Stem Cells. 23: 903-913. (2005) 柘植 謙爾【つげ けんじ】 慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任講師 〒997-0017 山形県鶴岡市大宝寺字日本国403-1 E-mail: [email protected] 研究課題名:多要素からなる人工代謝経路の構築 研究概要とひとこと PR:多数の酵素からなる代謝経路をデザインする際に、どのように 遺伝子を連結すれば上手く代謝経路を動かすことがきるのかを研究しています。 将来的に は、これを拡張して有用物質を生産するバクテリアゲノムを丸ごと設計できるようにする ことが目標です。研究は必ずしもうまく行くことばかりではありませんが、そんな時は近 5 くの海に釣りに出かけて気分をリフレッシュしています。 代表的な論文: 1.Itaya M et al. Bottom-up genome assembly using the Bacillus subtilis genome vector. Nat. methods. 5: 41-43. (2008) 2.Itaya M et al. Combining two genomes in one cell: Stable cloning of the Synechocystis PCC6803 genome in the Bacillus subtilis 168 genome. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 102: 15971-15976. (2005) 3.Tsuge K et al. One step assembly of multiple DNA fragments with a designed order and orientation in Bacillus subtilis plasmid. Nucleic Acids Res. 31: e133. (2003) ● 公募研究 研究項目A01(生物学班) 鈴木 石根【すずき いわね】 筑波大学生命環境系 教授 〒305-8577 茨城県つくば市天王台1−1−1 E-mail:[email protected] 研究課題名:藻類ファージの生活史をまねた多元代謝経路によるアルカン高生産系の構築 研究概要とひとこと PR:微細藻類を利用したバイオマス生産は、持続的社会の実現に必 須な技術である。しかし、現在の大量培養技術では生産量が十分とはいえず、藻類細胞の 回収・産物の抽出のコスト、培養の必須元素(窒素・リン酸など)と大量の清浄水獲得の コストがかかる問題点を抱えている。本研究は、これらの問題点を解決するため、ラン藻 細胞に導入した複数の代謝系をファージに倣って時系列的に誘導制御することにより、有 用バイオマスであるアルカン/アルケンの高生産系を構築する。 代表的な論文: 1.Shimura Y et al. Characterization of the Subdomains in the Amino-terminal Region of Histidine Kinase Hik33 in the Cyanobacterium Synechocystis sp. PCC 6803. Plant Cell Physiol. 53: 1255-1266.(2012) 2.Sakayori T et al. A Synechocystis homolog of SipA protein, Ssl3451, enhances the activity of the histidine kinase Hik33. Plant Cell Physiol. 50: 1439-1448. (2009) 3.Kimura S et al. Function of the N-terminal region of the phosphate-sensing histidine kinase, SphS, in Synechocystis sp. PCC 6803. Microbiology. 155: 2256-2264. (2009) 朝井 計【あさい けい】 埼玉大学大学院理工学研究科 生命科学部門 分子生物学領域 准教授 〒338-8570 埼玉県さいたま市桜区下大久保 255 6 E-mail:[email protected] 研究課題名:蛋白質間相互作用原理に基づく多数遺伝子の逐次的オン・オフ転写制御系の 開発 研究概要とひとこと PR:細菌には多種多様な遺伝子転写スイッチがあり、本研究で扱う 装置は受信とスイッチ両蛋白質の相互作用を作動原理とした とても単純なものです。この 装置を組み合わせて、多数の遺伝子の転写をデザイン通りに制御するスイッチ系の構築を 試みています。扱いやすい細菌だからこそ の利点を最大限に活かした、最先端の研究を目 指しています。 代表的な論文: 1.Yano K et al. Heterologous expression of the Oceanobacillus iheyensis SigW and its anti-protein RsiW in Bacillus subtilis. Biosci. Biotechnol. Biochem. 75: 966-975. (2011) 2.Asai K et al. A viable Bacillus subtilis strain without functional extracytoplasmic function sigma genes, J. Bacteriol. 190: 2633-2636. (2008) 3.Asai K et al. Regulatory role of RsgI in sigI expression in Bacillus subtilis, Microbiology. 153: 92-101. (2007) 古田 芳一【ふるた よしかず】 東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカルゲノム専攻 特任助教 〒108-8639 港区白金台 4-6-1 2 号館 2 階西側 E-mail: [email protected] 研究課題名:配列特異的DNAメチル化酵素によるエピゲノム工学:合成生物学・ゲノム 工学の拡張へ 研究概要とひとこと PR:バクテリアのゲノム比較解析から見つかった認識配列の多様性 の高いメチル化酵素を、合成生物学に応用するための基礎研究 を行っています。様々なオ ーミクス解析手法を組み合わせ、エピゲノムの機能・進化の理解を目指しています。 代表的な論文: 1.Furuta Y et al. Domain movement within a gene: a novel evolutionary mechanism for protein diversification. PLoS ONE. 6(4): e18819. (2011) 2.Furuta Y Kawai M et al. Birth and death of genes linked to chromosomal inversion. Proc. Nat. Acad. Sci. USA. 108: 1501-1506. (2011) 3.Furuta Y et al. Genome comparison and context analysis reveals putative mobile forms of restriction-modification systems and related rearrangements. Nucleic Acids Res. 38: 2428-2443. (2010) 納富 拓也【のうとみ たくや】 7 東京医科歯科大学 GCOE 歯と骨の分子疾患科学の国際教育研究拠点 特任講師 〒113-8510 東京都文京区湯島 1-5-45 M&D タワー24F E-mail: [email protected] 研究課題名:膜電位操作回路による生体骨構築のための基盤研究 研究概要とひとこと PR:膜電位の役割は興奮性細胞である神経・心筋細胞において古く から検討されてきましたが、骨の細胞を含む非興奮性細胞における重要性はほとんど明ら かになっていません。われわれは、光活性化型のイオンチャネル・ポンプを用いて、膜電 位を光照射により操作することで、骨芽細胞・破骨細胞の細胞機能を制御することに成功 しました。この確立した方法を用いて、光照射により生体内で骨を構築することを目指し ます。合成生物学は急速に発展している分野ですが、それに乗り遅れないよう、生物モデ ル(シミュレーション)の知識を身に着けるよう努力しているところです。 代表的な論文: 1.Hanyu et al. Anabolic action of parathyroid hormone regulated by the beta2-adrenergic receptor. Proc Natl Acad Sci U S A. 109: 19: 7433-7438. (2012) 2.Nagao et al. Sympathetic control of bone mass regulated by osteopontin. Proc Natl Acad Sci U S A. 108(43):17767-72. (2011) 3.Lorincz et al. Polarized and Compartment-Dependent Distribution of HCN1 in Pyramidal Cell Dendrites. Nature Neuroscience. 5(11): 1185-93. (2002) 野村 渉【のむら わたる】 東京医科歯科大学生体材料工学研究所 メディシナルケミストリー分野 講師 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台 2-3-10 E-mail: [email protected] 研究課題名:新規トランスジェニック細胞樹立の基盤技術確立と合成生物学への応用 研究概要とひとこと PR:ジンクフィンガー酵素(DNA 切断酵素や DNA 組換え酵素)を利用 した遺伝子ノックアウト法の技術基盤の構築とそれを利用したトランスジェニック細胞の 樹立から合成生物学へのアプローチを試みています。新しい研究領域に挑戦する楽しさを 感じつつネガティブデータと格闘する日々を送っています。 代表的な論文: 1.Nomura W et al. Effects of DNA binding of the zinc finger and linkers for domain fusion on the catalytic activity of sequence-specific chimeric recombinases determined by a facile fluorescent system. Biochemistry. 51: 1510-1507. (2012) 2.Nomura W and Barbas CF. In vivo site-specific DNA methylation with a designed sequence-enabled DNA methylase. J. Am. Chem. Soc. 129: 8676-8677. (2007) 8 3.Nomura W and sugiura Y. Design and synthesis of artificial zinc finger proteins. Methods Mol. Biol. 352: 83-93. (2007) 今西 未来【いまにし みき】 京都大学化学研究所 生体機能化学研究系生体機能設計化学研究領域 助教 〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄 E-mail: [email protected] 研究課題名:細胞時計を模倣した周期的遺伝子発現システムの構築 研究概要とひとこと PR:細胞の分子時計の同調、発振、出力機構を人為的に制御し、ま た人工的に創り出すことによって、そのメカニズムにせまりたいと思います。分子ツール としては、これまで携わってきましたジンクフィンガーなどをもとに、人工タンパク質を デザインします。どうぞよろしくお願いいたします。 代表的な論文: 1.Imanishi M et al. Control of Circadian Phase by an Artificial Zinc Finger Transcription Regulator. Angew. Chem. Int. Ed. 50: 9396-9399. (2011) 2.Imanishi M et al. Met al:-Stimulated Regulation of Transcription by an Artificial Zinc-Finger Protein. Chembiochem. 11: 1653-1655. (2010) 3.Morisaki T et al. Rapid Transcriptional Activity in Vivo and Slow DNA Binding in Vitro by an Artificial Multi-Zinc Finger Protein. Biochemistry. 47: 10171-10177. (2008) 上平 正道【かみひら 九州大学大学院工学研究院 まさみち】 化学工学部門 教授 〒819-0395 福岡市西区元岡 744 E-mail: [email protected] 研究課題名:機能モジュールライブラリーから構築した環境応答型合成プロモーターシ ステムの開発 研究概要とひとこと PR:遺伝子治療、物質生産のための細胞構築、人工臓器・組織作製 へ応用を目指して、細胞機能の調節や遺伝子発現の調節のための新たな合成生物学的手法 の開発を進めていきたいと考えております。皆様との討議を通して、合成生物学を利用し た社会に役立つシステムを構築できればと思っております。 代表的な論文: 1.Huang S et al. Adeno-associated virus Rep-mediated targeting of integrase-defective retroviral vector DNA circles into human chromosome 19. Biochem. Biophys. Res. Commun. 417: 78-83. (2012) 2.Yamamoto H et al. Enhanced liver functions in mouse hepatoma cells by 9 induced overexpression of liver-enriched transcription factors. Biochem. Eng. J. 60: 67-73. (2012) 3.Kameyama Y et al. An accumulative site-specific gene integration system using Cre recombinase-mediated cassette exchange. Biotechnol. Bioeng. 105: 1106-1114. (2010) 末次 正幸【すえつぐ 九州大学大学院薬学研究院 まさゆき】 分子生物薬学分野 助教 〒812-8582 福岡市東区馬出 3-1-1 E-mail: [email protected] 研究課題名:枯草菌細胞内への細胞周期回路の人工合成 研究概要とひとこと PR:大腸菌と枯草菌をモデルにして、染色体 DNA 複製とその制御に 関する研究を行っています。「試験管内再構成系」と「生きている菌の中身のふるまい」 に興味があります。増えていく菌たちを顕微鏡でじっと眺めていると、感情移入しそうに なります。 代表的な論文: 1.Su'etsugu M and Errington J. The replicase sliding clamp dynamically accumulates behind progressing replication forks in Bacillus subtilis cells. Mol. Cell. 41: 720-732. (2011) 2.Su'etsugu M et al. Hda monomerization by ADP binding promotes replicase clamp-mediated DnaA-ATP hydrolysis. J. Biol. Chem. 283: 36118-36131. (2008) 3.Su'etsugu M et al. Protein Associations in DnaA-ATP Hydrolysis Mediated by the Replicase Clamp-Hda Complex. J. Biol. Chem. 280: 6528-6536. (2005) 宮崎 健太郎【みやざき けんたろう】 独立行政法人産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 合成生物工学研究グループ 研究グループ長 〒062-8517 北海道札幌市豊平区月寒東二条 17-4-1 E-mail: [email protected] 研究課題名:翻訳システム改変による人工細胞創成 研究概要とひとこと PR:生物の多様性を遺伝子の進化の視点で捉え、有用遺伝子の探索 から酵素や生物システムの機能改変を行っています。本領域では少数の遺伝子パーツの改 変でもたらされる生物機能の多様化技術の開発とその利用を目指し、翻訳システムに着目 した研究を進めています。 代表的な論文: 10 1.Kitahara K and Miyazaki K. Specific inhibition of bacterial RNase T2 by helix 41 of 16S ribosomal RNA.Nat Commun. 2:549. doi: 10.1038/ncomms1553. (2011) 2.Uchiyama T and Miyazaki K. Functional metagenomics for enzyme discovery:challenges to efficient screening. Curr Opin Biotechnol. 20(6):616-622. (2009) 3.Suenaga H et al. Novel organization of aromatic degradation pathway genes in a microbial community as revealed by metagenomic analysis. ISME J. 3(12):1335-1348. (2009) ● 木賀 大介【きが 計画研究 研究項目 B01(工学班) だいずけ】 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 知能システム科学専攻 准教授 〒226-8502 横浜市緑区長津田町 4259 J2-1806 mbox J2-55 E-mail: [email protected] 研究課題名:人工遺伝子回路の機能向上のための進化分子工学による生体分子の改良 研究概要とひとこと PR:本領域の目指す合成生物学の基盤構築に対して、私自身の長期 的な興味である「ありえた生命のかたち」をつくりだす研究の一環として、皆様のシステ ム構築での部品として使っていただくことができるタンパク質や核酸を作成しています。 代表的な論文: 1.Ayukawa S et al. Aptazyme-based molecular device that converts a small-molecule input to an RNA output. Chemical Communications. 48: 7556-58. (2012) 2.Sekine R et al. Tunable synthetic phenotypic diversification on Waddington's landscape through autonomous signaling. PNAS. 108: 17969-73. (2011) 3.Kiga D et al. An engineered Escherichia coli tyrosyl–tRNA synthetase for site-specific incorporation of an unnatural amino acid into proteins in eukaryotic translation and its application in a wheat germ cell-free system. PNAS. 99: 9715-9720. (2002) 井上 丹 【いのうえ たん】 京都大学大学院 生命科学研究科 教授 〒606-8502 京都市左京区北白川追分町 E-mail:[email protected] 研究課題名:ヒト細胞内遺伝子回路を制御する技術の進化分子工学的手法による開発・高 度化と細胞運命制御への応用 11 研究概要とひとこと PR:天然また進化工学的手法により得られる RNA-protein 相互作用 を基盤とした新しい研究をすすめております。最近、スイスの研究グループの参入が報告 され、より独自性の高い方向へとさらに研究を進めたいと思います。 代表的な論文: 1.Ohno H et al. Synthetic RNA-protein complex shaped like an equilateral triangle. Nature Nanotechnology. 6: 116-20. (2011) 2.Saito H et al. Synthetic human cell fate regulation by protein-driven RNA switches. Nature Communications. 2: 160. doi:10.1038/ncomms1157. (2011) 3.Saito H et al. Synthetic Translational Regulation by an L7Ae-Kink-turn RNP Switch. Nature Chemical Biology. 6: 71–78. (2010) Yannick Rondelez 東京大学生産技術研究所 特任准教授 〒153-8505 東京都目黒区駒場 4-6-1 E-mail:[email protected] 研究課題名:人工遺伝子回路の機能評価のためのマイクロ流体プラットフォームの開発 研究概要とひとこと PR:Biological organisms perform complicated calculations which are necessary for their survival. In simple organisms, this is exclusively done by large assemblies of chemical reactions within cells. This system integration is responsible for the emergence of temporal order and computational ability, from an amorphous chemical substrate. We reproduce these architectures using a small set of simple reactions. This has already allowed us to construct chemical clocks, or chemical memories. These systems can be used to construct intelligent molecular systems. They also help our understanding of biological organization. We also develop microfluidic devices to evaluate various types of artificial reaction networks. For example, a microfluidic device that consists of a microchamber array part to hold modified E. coli and a microchannel part to supply reagents to the chamber array.By using microfluidic technology, we can perform high-throughput analysis of the artificial gene networks with well-controlled inputs. 代表的な論文: 1.Padirac A et al. Quencher-free multiplexed monitoring of DNA reaction circuits. Nucleic Acids Research. 1–7. doi:10.1093/nar/gks621.(2012) 2.Rondelez Y. Competition for Catalytic Resources Alters Biological Network Dynamics. Phys Rev Lett. 108. (2012). 12 3.Montagne K et al. Programming an in vitro DNA oscillator using a molecular networking strategy. Mol Syst Biol. 7: 4660. (2011) 陶山 明【すやま あきら】 東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻生命環境科学系 教授 〒153-8902 東京都目黒区駒場 3-8-1 E-mail: [email protected] 研究課題名:無細胞タンパク質合成系で動作する人工遺伝子回路の構築 研究概要とひとこと PR:無細胞タンパク質合成系を用いて多要素からなる複雑な人工遺 伝子回路の動作機構の解明と合理的な構築を可能にする手法の開発を行っています。生命 体は DNA 配列で書かれた遺伝情報プログラムを分子反応で実行して複製自己を出力する DNA コンピュータと見なすことができます。したがって、DNA コンピュータと合成生物学は極め て近いところにあります。生命体という DNA コンピュータの動作の解析・制御に DNA コン ピュータの技術を利用することは極自然な発想といえます。 代表的な論文: 1.Gotoh O et al. Multiplex cDNA quantification method that facilitates the standardization of gene expression data. Nucleic Acids Res. 39: e70. (2011) 2.Shohda K et al. Compartment size dependence of performance of polymerase chain reaction inside giant vesicles. Soft Matter. 7: 3750-3753. (2011) 3.Takinoue M et al. Experiments and simulation models of a basic computation element of an autonomous molecular computing system. Phys. Rev. E. 78: 041921. (2008) 庄田 耕一郎【しょうだ こういちろう】 東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系 助教 〒152-8902 東京都目黒区駒場 3-8-1 16 号館 329B 室 E-mail:[email protected] 研究課題名:人工遺伝子回路の in vitro での動作確認手法の開発 研究概要とひとこと PR:in silico 班で設計された人工遺伝子回路を細胞に組み込む前に、 細胞と同じサイズの小胞内で回路の動作を事前確認するプラットフォームの開発を行いま す。in silico 班と in vivo 班の橋渡しという重要な役割を担います。 [PR]素性のよく分かった分子を組み合わせ、ボトムアップ的に人工細胞を合成することが 夢です。 代表的な論文: 1.Shohda K et al. Compartment size dependence of performance of polymerase chain reaction inside giant vesicles. Soft Matter. 7: 3750-3753. (2011) 13 2. Kurihara K et al. Self-reproduction of supramolecular giant vesicles combined with theamplification of encapsulated DNA. Nature Chemistry. 3: 775-781. (2011) 3. Tagawa M et al. Stabilization of DNA nanostructures by photo-cross-linking. Soft Matter . 7:10931-10934. (2011) ● 車 兪澈【くるま 公募研究 研究項目 B01(工学班) ゆうてつ】 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 メディカルゲノム専攻 特任助教 〒277-8562 千葉県柏市柏の葉 5-1-5 東京大学 新領域 生命棟 401 E-mail:[email protected] 研究課題名:無細胞膜タンパク質 合成による脂質代謝系の再構築 研究概要とひとこと PR:リン脂質の生合成プロセスに関わる膜タンパク質酵素を、無細 胞系と呼ばれる試験管内システムを使って人工的に合成し ています。これによりリン脂質 代謝系を構築・再現し、自己複製可能な人工細胞構築のための足がかりとする研究を行っ ています。究極的には無細 胞系と脂質膜小胞をもちいて、プラモデルを造る感覚で細胞を 創ろうと考えています。Nothing Is Impossible の気持ちで頑張ります。 代表的な論文: 1.Kuruma Y et al. Functional analysis of membranous Fo-a subunit of F1Fo-ATP synthase by in vitro protein synthesis. Biochem J. 442: 631-8. (2012) 2.Kuruma Y et al. A synthetic biology approach to the construction of membrane proteins in semi-synthetic minimal cells. Biochim. Biophys. Acta. 1788: 567-74. (2009) 3.Ozaki Y et al. UncI protein can mediate ring-assembly of c-subunits of FoF1-ATP synthase in vitro. Biochem. Biophys. Res. Commun. 367: 663-6. (2008) 小川 敦司【おがわ あつし】 愛媛大学 上級研究員センター 講師 〒790-8577 松山市文京町 3 Email: [email protected] 研究課題名:真核系無細胞翻訳システムを利用した shunting 基盤人工リボスイッチの開発 研究概要とひとこと PR:mRNA 上において特定の分子に応答して下流遺伝子の発現を抑制 あるいは促進するシステム、すなわち「リボスイッチ」を合理的に設計する方法を開発し ています。人工リボスイッチの研究以外にも、無細胞システムを中心に、核酸工学、ナノ 工学、タンパク質工学関連の研究を行っています。 PI になって(愛媛に来て)4 年目に入りましたが、まだまだ研究室運営に悪戦苦闘してい ます。プライベートでは、家族(家内と小1の娘)とともに長閑な生活を満喫しています。 14 代表的な論文: 1.Ogawa A. Rational Design of Artificial Riboswitches Based on Ligand-Dependent Modulation of Internal Ribosome Entry in Wheat Germ Extractand Their Applications as Label-Free Biosensors. RNA. 17: 478-488. (2011) 2.Ogawa A. Multiple-Catalytic Sensing of Nucleic Acid Sequences by Utilising aDNA-RNA-DNA Chimeric Antisense Probe and RNase H with a Eukaryotic Cell-FreeTranslation System. ChemBioChem. 12: 881-885. (2011) 3.Ogawa A. Biofunction-Assisted Sensors Based on a New Method for Converting Aptazyme Activity into Reporter Protein Expression with High Efficiency inWheat Germ Extract. ChemBioChem. 10: 2465-2468. (2009). 野澤 彰【のざわ あきら】 愛媛大学無細胞生命科学工学研究センター 講師 〒790-8577 愛媛県松山市文京町 3 E-mail: [email protected] 研究課題名:人工細胞内の代謝を制御する膜輸送系の構築 研究概要とひとこと PR:コムギ無細胞タンパク質合成系を用いて機能を保持した膜輸送 体タンパク質を合成する技術の開発とその応用研究を行っています。今年度は精製膜タン パク質のリポソーム膜上への再構成系を構築したいと思います。よろしくお願いいたしま す。 代表的な論文: 1.Nozawa A et al. Cell-free synthesis, reconstitution, and characterization of a mitochondrial dicarboxylate-dicarboxylate carrier of Plasmodium falciparum. Biochem. Biophys. Res. Commun. 414: 612-617. (2011) 2.Nozawa A et al. Production and partial purification of membrane proteins using a liposome-supplemented wheat cell-free translation system. BMC Biotechnol. 11: 35. (2011) 3.Nozawa A et al. A cell-free translation and proteoliposome reconstitution system for functional analysis of plant solute transporters. Plant Cell Physiol. 48: 1815-1820. (2007) ● 計画研究 研究項目 C01(情報学班) 山村 雅幸【やまむら まさゆき】 東京工業大学 大学院総合理工学研究科 教授 〒226-8502 神奈川県横浜市緑区長津田町 4259 メールボックス J2-51 15 Email: [email protected] 研究課題名:数理モデルを用いた動的な人工遺伝子回路の設計と解析 研究概要とひとこと PR:人工遺伝子回路、細胞内代謝、細胞集団の動的挙動などさまざ まなレベルの現象のさまざまな数理モデルとシミュレーションを手掛けています。この手 の複雑系のモデリングは、あまりリアルに現象の再現ばかり追求してしまうと、出来上が ったモデルが現物同様にわからなってしまうというジレンマがあり、程よい抽象度を見つ けるにはある種の勘が必要となります。この領域では生物・情報・工学の各領域の通訳的 な役割を自任しています。 代表的な論文: 1.山村雅幸. 進化型計算の DNA 実装とその応用. 電気学会誌 Vol. 132. No.4: 221-224. (2012) 2.Akama S et al. A Multiphysics Model of In Vitro Transcription Coupling Enzymatic Reaction and Precipitation Formation, Biophysical Journal, Volume 102, Issue 2, 221-230, 18 January 2012 doi:10.1016/j.bpj.2011.12.014 3.Arai H et al. A new modeling method in feature construction for the HSQC spectra screening problem, Bioinformatics 25(7):948-953 (2009) 伊庭 斉志【いば ひとし】 東京大学大学院 情報理工学系研究科 電子情報学専攻 教授 〒113-8656 東京都文京区本郷 7-3-1 Email:[email protected] 研究課題名:多要素人工遺伝子回路のデザインオートメーション 研究概要とひとこと PR:進化計算を応用した遺伝子回路デザインや実験パラ メータ最適化の研究を行い、そのための各種ツールの開発を目指しています。進化計算は さまざまな分野に応用されており、まったく違う分野の方々とのコラボレーションがいつ も楽しみです。研究においても多様性と共進化の考えが重要だと思っています。 代表的な論文: 1.Paul T.K and Iba H. Prediction of Cancer Class with Majority VotingGenetic Programming Classifier Using Gene Expression Data. IEEE/ACMTrans. Comput. Biology Bioinform. vol.6, no.2:353-367. (2009) 2.Kabir M et al. Reverse engineering gene regulatorynetwork from microarray data using linear time-variant model. BMCBioinformatics. vol.11(Suppl 1): S56. doi: 10.1186/ 1471-2105-11-S1-S56. (2010) 3.Iba H and Noman N. New Frontiers in Evolutionary Algorithms: Theoryand Applications. World Scientific Publishing Company .ISBN-10: 1848166818. (2011) 16 ● 公募研究 研究項目 C01(情報学班) 荒木 通啓【あらき みちひろ】 京都大学 先端技術グローバルリーダー養成ユニット 特定准教授 〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町 46-29 E-mail: [email protected] 研究課題名:人工代謝経路の設計基盤の構築 研究概要とひとこと PR:合成生物学的な考え方をもとに、情報科学・代謝工学的アプロ ーチにより、物質生産に向けた人工代謝経路の設計基盤の研究開発を行っています。 「よ り 早く、より多く、より良く」を研究開発の目標として、多くの方に設計ツールを利用いた だくことで、研究領域の底上げに貢献できればと考えており ます。異分野の境界領域にて 創発されてくる四方山話に興味がありますので、酒宴も含めまして様々な交流できればと 思います。 代表的な論文: 1.Araki M et al. A Computational Method for Exploring Extensive Biosynthetic Pathways. Metabolic Engineering IX. (2012) 2.Kanehisa M et al. KEGG for linking genomes to life and the environment. Nucleic Acids Research. 36: D480-484. (2008) 3.Minowa Y et al. Comprehensive Analysis of Distinctive Polyketide and Nonribosomal Peptide Structural Motifs Encoded in Microbial Genomes. Journal of Molecular Biology. 368: 1500-1517. (2007) 松野 浩嗣【まつの ひろし】 山口大学大学院理工学研究科自然科学基盤系学域 教授 〒753-8512 山口市吉田 1677-1 E-mail: [email protected] 研究課題名: 大腸菌グリコーゲン機構をモデルとした転写・酵素・代謝物相互作用ネット ワークの理解 研究概要とひとこと PR:ハイブリッドペトリネットを使ってこれまでに E.coli,Drosophila, Xenopus, mouse 等のシグナル伝達経路、代謝経路、遺伝子制御等のモ デル化とシミュレーションを約 15 年に渡って続けてきました。この新学術領域研究に加わ ったことを契機に、これまでのシステム生物学の経験を活かして、合成生物学への展開に 取り組みたいと思っています。大学の管理的業務の仕事の割合も多くなってきましたが、 うまくバランスを取って、まだまだ現役として研究活動を続けていくつもりです。 代表的な論文: 1.Matsuno H et al. Hybrid Petri net representation of gene regulatory network, Proc. 17 Pacific Symposium on Biocomputing 2000. 341-352 (2000). 2.Matsuno H et al. Biopathways representation and simulation on hybrid functional Petri net. In Silico Biology. 3(3): 389-404. (2003) 3.松野浩嗣. シミュレーションによる細胞内未同定分子作用の予測.計測と制御.49(8): 549-552. (2010) 伊藤 浩史【いとう ひろし】 九州大学大学院芸術工学研究院 助教 〒815-8540 福岡市南区塩原 4-9-1 Email: [email protected] 研究課題名:試験管内概日リズム同期現象のモデル化 研究概要とひとこと PR:試験管に再構築された KaiC リン酸化リズムというおもちゃでい ろいろ遊んで、論文を書いたり学位を頂いたりしてきました。数年前に発見したリン酸化 リズムの同期に関して数理モデルを使ってもう少し遊んでみようと考えています。最近福 岡に異動しました。この地の素晴らしい魚、肉、お酒、温泉などが研究生活を阻害するの ではと少々心配しています。 代表的な論文: 1.Ito H et al. Cyanobacterial daily life with Kai-based circadian and diurnal genome-wide transcriptional control in Synechococcus elongatus. PNAS 106. 14168-14173. (2009) 2.Yoshida T et al. Non-parametric entrainment of the in vitro circadian phosphorylation rhythm of cyanobacterial KaiC by temperature cycle. PNAS 106.1648-1653. (2009) 3.Ito H et al. Autonomous synchronization of the circadian KaiC phosphorylation rhythm. Nat. Struct. Mol. Biol. 14: 1084-1088. (2007) 18 これまでの活動 2011 年 07.25 文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究(研究領域提案型)」に採択決定 08.18 第 1 回領域全体会議(東京) 08.22 第 63 回日本生物工学会大会(東京)にて ワークショップ「合成生物学の挑戦と将来」を企画し、本領域の計画研究発表 11.13-14 第 2 回領域全体会議(山形) 2012 年 05.16-18 第 3 回領域全体会議(福岡) 09.18 15th International Biotechnology Symposium and Exhibition (IBS2012・韓国) にて、ワークショップ 1st Korea-Japan Synthetic Biology Symposium を共同企画 し、本領域の計画究代表者 4 名が発表。 09.20 化学工学会第 44 回秋季大会(仙台)にて ワークショップ「合成生物学が拓くバイオプロセス開発へのインパクト」を企画・ 協賛し、本領域の計画研究代表者 3 名、公募研究代表者 1 名が発表。 19 第3回 領域会議 概要 日時:2012 年 5 月 16 日(水)~18 日(金) 場所:ハイアット・リージェンシー福岡(福岡県福岡市博多区博多駅東 2-14-1) 5 月 16 日(水) 13:15-13:30 領域代表挨拶 ○セッション 1 ○セッション 4 13:30-13:55 花井 泰三 13:30-13:55 Yannick Rondelez 13:55-14:20 柘植 謙爾 13:55-14:20 陶山 明 14:20-14:45 田川 陽一 14:20-14:45 井上 丹 14:45-15:10 鈴木 石根 14:45-15:10 木賀 大介 ○セッション 2 ○セッション 5 15:40-16:05 上平 正道 15:40-16:05 車 愈徹 16:05-16:30 古田 芳一 16:05-16:30 小川 敦司 16:30-16:55 小林 一三 16:30-16:55 野澤 彰 5 月 17 日(木) ○セッション 3 5 月 18 日(金) ○セッション 6 9:00- 9:25 納冨 拓也 9:00- 9:25 伊庭 斉志 9:25- 9:50 野村 渉 9:25- 9:50 山村 雅幸 9:50-10:15 今西 未来 9:50-10:15 荒木 通啓 10:15-10:40 朝井 計 10:15-10:40 松野 浩嗣 10:40-11:05 末次 正幸 10:40-11:05 伊藤 浩史 11:05-11:30 宮崎健太郎 11:05-11:15 総討論・総括解散 10:15-10:40 朝井 計 20 領域会議に参加して 東京工業大学 総合理工学研究科 知能システム科学専攻 大学院生 畑 敬士 2012 年 5 月 16~18 日にハイアット・リージェンシー・福岡で開催された第三回領域全体 会議(動的・多要素な生体分子ネットワークを理解するための合成生物学の基盤構築)に、 当専攻から山村、小長谷、木賀、小宮、関根、畑の6名が参加させていただきました。合 成生物学は、複合領域であり、いろいろな分野(当領域では大きく 3 つ、生物学、工学、情 報科学)の方が集まっている領域です。当領域会議に参加させていただき、合成生物学の発 展、 「眺めて解析する生物学」から「創って解析する・利用する生物学」へのパラダイムシ フトを起こすためには、このような異分野融合的な全体会議において意見をぶつけ合い、 答えに最も近いものを絞り出していくことが重要なことであると学べました。 当領域会議に参加して真っ先に感じたのが、研究テーマの多様性です。生物班からは、 細胞内人工遺伝子回路、人工代謝経路、人工肝組織、バイオリアクターなど、工学班から は、試験管内人工遺伝子回路、無細胞タンパク質合成、人工リボスッチなど、また、情報 科学班においては、生物班、工学班でのテーマに対しての幅広い数理モデルやシミュレー ションについて取り上げておられて、正直、話しについていくのがたいへんでした。しか し、その分、吸収できるものは非常に多様で、新しい視点を学ぶことができました。また、 これだけ多様な分野の方が集まっているので、合成生物学における共通認識、言葉の定義 を少しずつでも全体で定めていこうという動きにその通りだなと必要性を感じました。こ れだけ多様な分野から集まっているのだから、意見の衝突は当然起こると思いますが、そ うやって議論を深めていく中で互いの意見がいい意味で混ざり合い、最も妥当な、答えに 近いものが得られていくのではないかと感じました。たいへん多くを学べる 3 日間でした。 領域会議終了後の懇親会では、美味しい魚とお酒をいただきながら、普段、話す機会の ない先生方と話す場を頂き、情報交換、また、将来についての相談などにものっていただ け、非常に有意義であり、このような場がますます増えていくことを期待いたします。 最後にこの領域会議の準備をして下さった岡本先生、花井先生をはじめとした先生方に 感謝したいと思います。本当に有難うございました。また、各食で堪能したラーメン、魚、 もつ、どれもおいしかったです!!シンポジウム、来年の領域会議にも参加させていただ ければとても嬉しいです。 21 東京大学大学院 工学系研究科電気系工学専攻 博士課程 Leon Palafox On May 16th, I went with the Iba laboratory group to the Synthetic Biology meeting in Fukuoka. The meeting was in a downtown hotel, the Hyatt Regency. The place was rather large, and it had a gorgeous event room were most of the presentations were held. Our group consisted of 2 Postdocs, Takashi Goda and Nasimul Noman, and 2 PhD students, Dinh Quang Huy and myself, along with Professor Hitoshi Iba. The sessions consisted in different presentations done by the diverse groups that consist the Synthetic Biology research team. Since our background consists mainly of computer science, sometimes we had trouble grasping the full importance of some of the presentations. Yet, we could appreciate the gravitas and eloquence of the speakers while they presented their research. The goal most of the researchers, who work in experimental biology, mentioned in their presentations is to construct a large-scale synthetic genetic circuit, while the specific functions they aim to realize are different from each other. It seems to me that much engineering or computational method can be commonly used for these works, although we may sometimes need a tailor-made method for a specific use. From this view, mutual understanding between those who works in experimental biology, engineering, and information science, might be quite important and I expect a regularly-scheduled meeting to be held in order to bridge the gap between the three groups and get feedback from various experts. As a representative of our research group, Prof. Hitoshi Iba presented the current state of affairs in our laboratory, where we have worked doing inference on Gene Regulatory Networks using Evolutionary Computation, as well as some interesting work creating synthetic networks to find oscillations. We also looked forward to interact closely with other groups that could find some use to optimization algorithms as well as the use of computer science techniques to solve some of their problems. We also presented some joint work we have done with Prof. Yannick Rondelez, to find oscillations in chemical networks using evolutionary computation. Trying to find the best set of parameters such that a target network oscillates. 22 During the end of the first day, all of us enjoyed an evening with good food and great talk with other researchers, and discussed on paths toward the future and extensive cooperation. We also could, over the days, to enjoy the fine dishes that Fukuoka has to offer, as well as our hosts' hospitality. Both the organizers and the city itself. Overall, the trip to Kyushu was very instructive, and I hope that meetings like this help keep the cooperation between the different groups very active and reach good results in the project. 23 九州大学大学院 農学研究院 生命機能科学部門 システム生物学講座 生物機能制御学分野 特任助教 田附 常幸 2012 年 5 月 16 日から 18 日の 3 日間、福岡にて開催された第三回領域全体会議に九 州大学生物機能制御学研究室からは会議の運営や補助として領域代表の岡本教授、計画班 代表の花井准教授をはじめとした研究室のメンバー全員で参加させて頂きました。私は今 年の 3 月に博士号を取得し、4 月より当研究室に学術研究員として参加しています。私は もともと基礎的な昆虫分子遺伝学の研究を行なっていたため合成生物学研究については 0 からのスタートでしたが、合成生物学の研究を開始する時期にこのような会議に参加でき たことは幸運でした。 会議に参加されている先生方の発表を聞かせて頂いて、その研究分野の広さから、この 会議は大規模な学会の縮小版のように思えました。会議に参加する以前より、この研究領 域には情報科学、工学、生物の 3 つの研究グループがある事は知っていたのですが、実際 に参加して合成生物学研究のカバーする範囲の広さを再認識しました。私は生物系の花井 班で研究を行なっているのですが、この領域の生物系の発表だけでも人工遺伝子回路や人 工代謝経路の構築などのいかにも合成生物学といった内容から、ES 細胞を用いた臓器構築 などの再生・発生学的な内容、概日リズムや DNA 複製系などの基礎生物学的な内容、遺伝 子組換えや転写制御などの技術的な内容の研究など、この領域が内包する興味の範囲は広 く、演題だけを見ていると何の会議なのか分からないくらいに多様性に富んだ研究領域で あると感じました。言い方は良くないのかもしれませんが、この雑多な状態が合成生物学 研究の現在を表しているのではないかと思います。合成生物学的手法は細分化した各分野 で個別に活用されはじめてはいるものの、「合成生物学」の学問的枠組みや共通認識などの 基盤部分がまだ確立していない状態であり、本領域には技術基盤構築の他にパラダイムの 確立という役割も期待されていると感じました。 また、討論や懇親会の際に他の研究室の先生方に直接質問や話をする機会が頂け、合成 生物学分野に入ったばかりの私にとっては貴重な情報交換と刺激の場でした。次回以降も、 より気軽に発言できる活発な議論の機会が更に増えることを期待しています。最後になり ましたが、会議の運営・準備をして下さった皆様、大変興味深い発表を聞かせて頂いた先 生方、本当にありがとうございました。今後のシンポジウムやセミナーで皆様にお会いで きることを期待しております。 24 新学術領域研究「動的・多要素な生体分子ネットワークを 理解するための合成生物学の基盤構築」 http://www.syn-biol.com/index.html 事務局 〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1-1九州大学病院地区ウエストウイング8階804室 電話(092)-642-6751 E-mail: [email protected]