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エルサルバドル体験記

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エルサルバドル体験記
エルサルバドル体験記
2012.03.25.
こんにちは、千村友輝です。
今年の1月から中米のエルサルバドルという国で青年海外協力隊員としてボランティア活
動をしています。
こちらに来て一ヶ月が過ぎました。日本との文化や習慣の違いに日々惑いながら、こちら
で一生懸命楽しもうと心に決めて生活しています。
エルサルバドルに着いてからの一ヶ月間は、スチトトという町で語学研修をして過ごしま
した。今回の体験記は、先回の体験記に続きこのスチトトという町での一ヶ月間の後半部
分での生活を通して感じたことを書きたいと思います。
先月号では『スチトトの町はとても美しく豊かな観光地です』と紹介したのですが、その
後この町を知っていくうちに、どんどんそのイメージは変わっていきました。まだ慣れな
い土地なので地元の人と共にスチトトの町を散策したのですが、今回僕が見たものは、以
前感じた豊かさとはかけ離れた、とても貧しい裏の一面でした。
☆スチトトの裏の顏☆
豊かな観光地から路地を抜け、数百メートル坂を降りた低い地域全体にそれは広がって
いた。そこに住む人たちの環境は上の観光地とはかけ離れてい
て、レンガで造った囲いに、ただトタンを屋根代わりに乗せた
だけのような小さな家々が立ち並んでいた。レンガが使われて
無い家もあった。至る所にできたゴミの山と下水の匂い。鶏や
犬もとても痩せていた。とても殺伐とした雰囲気で、その地域
に入りかけた時、一人では危険だと思ったので一度引き返し、
ラファエルさんというお土産物屋さんを経営する現地のおじ
さんに案内を頼んだ。
(ラファエルさん 左)
この地域は土地が低くなるほど、小道に入っていくほど、更
に貧しくなっていく。観光地から流れ出る生活用水でできた川
も、下流へ行くほどごみを沢山含んで汚れ、その匂いもきつく
なっていく。ラファエルさんの話だと、この汚水やゴミの山な
ど不衛生な環境がここに住む人たちが病気になる原因になって
いるという。また雨季にはここら辺一帯のゴミや汚水が一気に
近くの湖に流れ込むらしいので、湖の事を考えるとぞっとする。
観光地のすぐ近くにこんなにも
貧しい地域があることに、そし
てあまりの貧富の差があるこ
とにとても驚いた。
エルサルバドルでは家族の
うち一人でもアメリカに出稼
ぎに行くことができればその
仕送りで、家族全体が潤うよう
(この地域の犬はとても痩せ細って
だ。しかしビザを取得できるの いた。)
は「お金持ちでしっかりした
(トタンでできた小さな家 社会的信用や職を持つ人」と
溝には上からの汚水が流れ かなり条件が厳しく、一般の
る)
エルサルバドル人が合法的
にアメリカに行って働くこ
とはとても難しい事らしい。
昔は今の観光地がある地域に家を借りて住んでいた人も、 (屋根が飛ばないように石で重し
観光地化したことにより地価が上がり、家賃を支払えなく がしてある。ここにも人が住んでい
なってこの地域に移動してきたという人も多くいるとの る。)
ことだった。確かに観光地に住むいろいろな家族と話をし
たが、その多くが親族の誰かがアメリカにいると言っていたように思う。
この地域を歩いていて他に気になった事は、
木の切り株を沢山見つけたことだ。各家庭で
料理用の薪にしているのだという。木はどん
どん切られ環境破壊が進んでいる。ただここ
に住む人たちのあまりにも貧しい生活を目の
当たりにすると、生きるためにはしょうがな
(切り倒された木 料理用の薪として使われる)
いのかな、とも思え複雑な心境になった。そもそもスチトトにこのような地域があるとい
うことを知らなかったので、観光地だけをみて少し浮かれていた自分を情けなく思った。
貧困層の地域を歩いている時にサラという6歳の女の子と仲良くなり、家を見せてもら
った。訪れたときには全員はいなかったが、6畳2間ぐらいの家
に家族10人くらいで住んでいるらしく、着ている服や家の様子
を見ると容易にその貧しさが理解できた。
しかし印象に残っていることは、この姉弟たちが凄く仲良しで、
ずっと笑っていて優しくて、とても楽
しそうだったことだ。逆に元気をもら
った。
『貧しさ=不幸』ではないのだと
素直に思った。この子達は選んでこの
国のこの貧しい地域に生まれてきた
(サラと子猫)
わけではないだろう。幸せとか不幸せは、
その人が選択する価値観で決まるように思う。彼らはとても逞
しい。サラという女の子の泥だらけの屈託のない素敵な笑顔が
忘れられない。
(サラの兄弟)
ボランティアは自分の価値観の押しつけであってはならないと、強
く思った。
☆ ホストファミリー ☆
スチトトでこの一ヶ月間、色々な人と出会ったけど、一番お世話になったホストファミ
リーのことを書かずには終われない。
「ここはあなたの家だからいつでも帰っていらっしゃい。」そう言ってくれた。
僕がお腹を壊したときには、日本の同僚が作ってくれたお粥を真似て、その後毎食作って
くれたり、僕のきっと良く分からないスペイン語にも、毎
回辛抱づよく聞いて理解しようとしてくれたりと、他にも
本当に沢山の優しさをもらった。来たばかりで不安だった
僕だが、ホストファミリーのお陰でこちらの生活にもしっ
かり慣れることができたし、エルサルバドルのことがすご
く好きにもなれた。 別れ際には涙を流してくれた。
(愛しのホストファミリー)
言葉が通じなくとも、心を通わすことはできる。こんなにも相手のことを大切に思える関
係ができたことを凄く素敵に思う。世界の反対側に家族ができた。
別れが寂しくて、できればこのままスチトトにいられたらな、なんて思ってしまいそう
ですが、来週からはまた次のステップです。いよいよ二年間活動する任地のラ・ウニ
オン県(エルサルバドルの東)へ移動することになります。新しい職場や新しいホストフ
ァミリーとの出会いがあります。何が起きてもドンと来い!と心で受け入れ態勢を整えて、
向かいたいと思います。
読んでいただきありがとうございました。
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