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第 24 回 緑風舎コンサート 宮下直子 デュオ・リサイタルシリーズ vol.1 ピアノとフルートのコラボレーション 野津 臣貴博を迎えて 緑風舎 自由空間 Naoko Miyashita piano Mikihiro Nozu Sat. Mar. 22, 2014 6p.m. 緑風舎音楽ホール flute Today’s Program シューベルト 「萎める花」の主題による序奏と変奏 ホ短調 D.802 この変奏曲は1824年、シューベルト27歳の年に、当時の名フルート奏者フェ ルディナント・ボーグナーのために作曲されました。1823年にシューベルト はヴィルヘルム・ミュラーの「修業の旅に出た粉職人の若者が、美しい水車小 屋の娘に恋をするが、狩人が現れて彼女を奪っていき、悲しく立ち去る若者 は小川に語りかけ、永遠の眠りにつく」というロマン的な詩を題材にした全 20曲からなる歌曲集「美しき水車小屋の娘」を作曲しました。その第18曲 「萎める花」の、恋に破れた青年が「彼女のくれた花を、私と一緒に棺に入 れておくれ」と切々と歌う旋律が、この変奏曲の主題となっています。 ボルヌ 作曲者フランソワ・ボルヌは、トゥールーズで活躍したフランスのフルーテ ィストです。ビゼー作曲のオペラ『カルメン』は世界的にも1、2を争う人 気のオペラです。 『カルメン幻想曲』はその名旋律を使ったもので、ボルヌに とって現存する唯一のフルート作品です。曲の構成は、歌劇「カルメン」の 中から「カルメン登場の音楽」 「カルメン、まだお前が好きだ」 「運命の動機」 「行ってきておくれ、セビリアの街へ」 「ハバネラ」 「ジプシーの歌」 「闘牛士 の歌」となっており、まさにオペラのハイライトをこの1曲で楽しめてしま います。ボルヌ自身が改良した新しい方式のフルートのために書かれた作品 でもあります。それゆえに、楽器自体の性能をアピールするためもあって、 かなり技巧的で、華やかな曲に仕上がっています。 カルメン幻想曲 シューベルト 休 憩 アルペジョーネソナタ イ短調 D.821 アルペジョーネはウィーンのギター製造者により発明された6弦の弦楽器で、 チェロとギターの特徴を併せ持ち、 「ギター・チェロ」という別名でも呼ばれ ていました。「アルペジョーネ・ソナタ」は、1824年、シューベルトによっ て、まさしくアルペジョーネのために作曲されたソナタでしたが、曲が出版 された1871年にはすでにアルペジョーネは忘れられた楽器になっていました。 シューベルトの最晩年に作曲されたこの音楽には、美しい叙情性に彩られた シューベルトならではの世界のなかに色濃く「死の影」が刻み込まれていて、 その「悲劇性」もまた多く人々の心を捉える一因となっています。こんにち この作品はもっぱらチェロやヴィオラで演奏されていますが、ギター、フル ートなどでの演奏も多く聴かれます。 プロコフィエフ フルートソナタ ニ長調 Op.94 フルートソナタ作品94は、独ソ戦のためプロコフィエフがモスクワを離れて 疎開していた時期に作曲されました。1942年から1944年にかけて作曲され た 「フルート・ソナタ」 はモスクワでハリコフスキーのフルート、スヴャト スラフ・リヒテルのピアノによって初演されました。初演を聴いたダヴィー ド・オイストラフの提案で 「ヴァイオリン・ソナタ」 にも改編され、「ヴァ イオリン・ソナタ第2番」 としても有名です。1970年代にゴールウェイとア ルゲリッチによる録音が話題を呼んで以後、フルート・ソナタとしても演奏 ・録音される機会が増えています。 ♬ピアノ:STEINWAY HAMBURG製 宮下直子 Naoko Miyashita : piano 和歌山県出身。第 25 回全日本学生音楽コンクール西日本大会小学校の 部第 1 位入賞。東京藝術大学音楽学部卒業。在学中、安宅賞を受賞。 1983∼88 年ロンドンに留学し、マリア・クルチョ女史に師事。在英中、 オックスフォード大学ジャパニーズソサエティに招聘され、85、86 年 にリサイタル出演するほか、英国各地にて演奏。 帰国後、90 年和歌山市民会館、東京品川グローリアチャペル、93 年大 阪いずみホールにてデビューリサイタルを開催。以後、日本各地にて、 多くのリサイタル、オーケストラとの協演、室内楽、ドイツリート伴奏、 オーケストラの鍵盤楽器演奏、現代音楽新作初演等、多彩な活動を行い、 NHK-FM「クラシックコンサート」 「名曲リサイタル」他に出演、著名 なアーティストとの共演を重ねている。 また、 和歌山では、 90 年以来「冬の旅」 「シューベルティアーデ」 「サタデー アフターヌーンコンサート」等、独自の企画によるコンサートシリーズ を開催、近年では、和歌山放送クラシック音楽番組「音楽の散歩道」を 担当、同名のコンサートを展開。 98 年和歌山県文化奨励賞、2007 年和歌山市文化奨励賞を受賞。 出口美智子、小林仁、井口秋子の諸氏に師事。 現在、相愛高校・相愛大学音楽学部講師。 野津 臣貴博 Mikihiro Nozu : flute 静岡県沼津市出身。桐朋学園大学、英国王立音楽院を最高位賞 (Dip.RAM) を得て卒業。その後アメリカ・エール大学大学院に奨学金を授与され入学。 1990 年から 5 年間フィンランド・ラッペーンランタ市交響楽団首席奏 者を務め現在、大阪フィルハーモニー交響楽団首席フルート奏者。ワシ ントン D.C. での NFA フルート・コンクール第 2 位受賞をはじめ、内外 の国際コンクールに入賞。ソリストとしてこれまでにフィンランド、イ ギリス、アメリカ、ポーランド、イタリア、ドイツ、ルーマニア、中国、 等に招かれ 2004 年、 「尾高尚忠フルート協奏曲」をフィンランド初演。 NHK-FM「フレッシュ・コンサート」 「名曲リサイタル」他、出演多数。 143 年前にパリで製作された銘器『ルイ・ロット ( エスプリ )』を駆使す る稀な名手。その音色と音楽性、テクニックは各紙でも高い評価を得て いる。また、指揮者としての活動も多い。相愛大学、大阪国際滝井高校、 大分高校、ドルチェ・ミュージック・アカデミー各講師。 2007 年イギリス・ストラットフォード国際フルート音楽祭招聘講師。全 日本学生音楽コンクール、日本フルート・コンヴェンション・コンクー ル審査員。アジア・フルート連盟、日本フルート協会理事。 2010 年、ロ ン ド ン の 英 国 王 立 音 楽 院 か ら Associate of the Royal Academy of Music(ARAM)の称号を授与された。 《使用楽器:Louis Lot No.3342 Silver 1882 年 パリ製作 》