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「原子力・放射線部門」専門科目の解説(上)
新連載●技術士試験 「原子力・放射線部門」対策講座(1) 平成 18 年度技術士第一次試験 「原子力・放射線部門」専門科目の解説 (上) ―試験の概要とエネルギー分野 日本原子力学会 原子力教育・研究特別専門委員会 日本技術士会 原子力・放射線部会 表1 Ⅰ. はじめに 分野 専門科目の分野別設問数 平成 16 年度 平成 17 年度 平成 18 年度 昨年の体育の日、2006 年 10 月 9 日(月)に 3 回目の原子 原子力 12 問 14 問 14 問 力・放射線部門の技術士第一次試験が実施された。技術士 放射線 12 問 14 問 14 問 第一次試験は、例年通り、基礎、適性、共通、専門の 4 科 エネルギー 6問 7問 7問 目から構成され、すべて択一式問題であった。この試験の 計 30 問 35 問 35 問 内容は、共通科目については 4 年制大学の自然科学系学部 の教養教育程度、基礎科目及び専門科目については、同学 部の専門教育程度とされている1)。本稿では、これら 4 科 目のうちから専門科目 35 問について、今号と 4 月号、5 月 号の 3 回に分けて問題と解答の解説を掲載する。なお、誌 面の都合上、今月号で専門科目試験の後半に出題されたエ Ⅲ. 専門科目の出題傾向 1.原子力分野 ネルギー分野の 7 問 (設問Ⅳ−29 ∼Ⅳ−35) の解説を行い、4 原子力については、表 2 に示したように、炉物理 (7 問) 、 月号で原子力分野の 14 問(設問Ⅳ−1 ∼Ⅳ−14)、5 月号で 工学的安全性 (2 問) 、核燃料サイクル関連 (4 問:燃料製造、 放射線分野の 14 問 (設問Ⅳ−15 ∼Ⅳ−28) の解説を行う予定 再処理、放射性廃棄物、高速増殖炉) 、および法規 (1 問) か である。 ら出題された。17 年度に比べ、炉物理が 1 問増え、工学的 本号では、エネルギー分野の問題と解答の解説に加え、 専門科目全体の試験内容、出題傾向、対策等について、そ 安全性が 1 問減った以外はほぼ同じ出題傾向である。 炉物理の設問中いくつかは、原子炉の動特性に関する知 識を要求しており、安全性に関する知識を要求する設問も の概要を記述する。 ある。工学的安全性では、原子力発電所の耐震設計と運転・ Ⅱ. 専門科目の試験内容 保守に関して 2 問出題された。核燃サイクルでは、今年も 専門科目は 「当該技術部門に係る基礎知識及び専門知識を 1) 核燃料の製造から高レベル廃棄物地下処分施設の設計まで 問う問題」 とされている 。また、技術士法施行規則に基づ 広範囲の知識が要求された。また、昨年と同様に関連法規 く告示によれば、当該専門科目の出題範囲は、 「原子力、放 についての設問が 1 問あった。 2) 射線、エネルギー」 の 3 つの分野と規定されている 。平成 専門科目は学部専門教育程度とはなっていても、工学的 16 年度(30 問)、17 年度(35 問)および 18 年度(35 問)の設 安全性や核燃サイクルの分野は、大学の学部教育では教え 問数を前述の 3 分野に分けたものを表 1 に、18 年度の各設 ていないようなかなり広範囲の専門知識が要求されるので、 問の概要を表 2 にそれぞれ示す。 効率的な勉強が必要である。専門科目の基本書(例えば 「原 16 年度から 18 年度まで 3 年間の分野ごとにおける設問 4) 子力がひらく世紀」 など) を決め、それを中心にインターネ の割合は同一であり、原子力と放射線が同数で、エネルギ ットの検索サイトから周辺知識を吸収する方法が勧められ ーがその半分である。19 年度以降の試験においても、専門 る。 科目の分野別出題割合は大きく変わらないと予想される。 なお、原子力・放射線部門の専門科目では、2 時間の中で、 出題された 30 問または 35 問のうちから 25 問を任意に選 択して回答することが求められた。 60 2.放射線分野 放射線では、表 2 に示したようにあえて分類すると、放 射線の基礎(10 問)、放射線利用(1 問)、保健物理(3 問)か 原子力eye 表2 平成 18 年度 「専門科目」 の設問分類と概要 設問 1 分類 原子力 (炉物理) 2 3 内容の概要 設問 分類 15 放射線 積や微視的吸収断面積などにより算出 16 (放射線の基礎、 14C と 22Na が壊変して生成する元素 原子炉の実効増倍率の公式に含まれる幾何学的バックリ 17 放射線物理) 各種放射線が示すエネルギースペクトルの違い ング、フェルミ年令、熱中性子の拡散距離などの理解 18 静電場を利用する粒子加速器に関する知識 原子炉の中性子エネルギースペクトルに関し、高速中 19 放射線の基礎知識(チェレンコフ光、ラザフォード散乱、 性子、中速中性子、熱中性子についての解釈 4 5 7 電子対生成、コンプトン散乱、光電効果) 20 永続平衡における親核種と娘核種の半減期と放射能 ペリオド、遅発中性子割合などについての知識 21 ポジトロン断層撮影法に用いられる同位体製造の知識 軽水炉の反応度効果に関し、実行増倍率、ドップラー 22 火成岩中カリウムが1半減期間で生成する 40Ar の原子 数を算出 原子炉の制御に重要な核分裂生成物に関し、135I と 135Xe 23 放射線 の働きなどについての知識 24 (放射線の基礎、放射線を溶液や固体に照射したときの反応に関する知 放射線化学) BWR と PWR の反応度制御に関し、冷却材中ホウ素濃度、 燃料ペレット濃縮度分布などについての知識 8 原子力 25 放射線 原子力発電所の運転・保守に関し、定期検査で見つか 12 体影響) 28 放射線 定) 収されるプルトニウムを再利用する炉数の算出 高レベル廃棄物地下処分場の計画に関し、50 年間で発 29 エネルギー 生する高レベル廃棄物を埋設するのに必要な占有面積 14 原子力 (法規) 鉛容器中 137Cs を L 型輸送物として運搬できる最大放射 (保健物理、測 能の算出 軽水炉のプルサーマル実施に関し、使用済燃料から回 13 放射線影響に関する知識(確率的影響、生物学的効果比、 (保健物理、人 倍加線量、放射線感受性、組織荷重係数) 使用済燃料中間貯蔵施設に関し、乾式貯蔵キャスクの 設計、外部電源喪失時の電源系などについての知識 個人被ばく管理に関する知識(実効線量、70 μm 線量 ばく管理) 27 放射線 (核燃サイクル) を得るために必要な天然ウランの重量算出 11 医療分野での放射線利用に関する知識 (保健物理、被 当量、バイオアッセイ法、空気中濃度計算法) ての知識 燃料の製造に関し、濃縮度 3.5 %のウラン製品 1 トン 識 射線利用) 26 放射線 ったひびの補修、国際原子力事象評価尺度などについ 10 原子力 放射化学分離に関し、90Sr と 90Y の分離についての知識 (保健物理、放 原子力発電所の耐震設計に関し、活断層、岩盤支持、 (工学的安全性) 免震構造、運転の自動停止などについての知識 9 軌道電子のエネルギー準位に関する知識 微小な反応度変化に関し、軽水炉の中性子寿命、安定 効果、余剰反応度、自己制御性などについての知識 6 内容の概要 ウラン中の熱中性子の平均自由行程を微視的散乱断面 天然資源とリサイクルにより製品を生産するのに投入 される総エネルギーの算出 の算出 30 化石燃料の炭素税に関する知識 原子力関連法規の知識(環境影響評価、原子炉設置許可、 31 京都議定書に関する知識 安全協定、原子力損害賠償、核物質防護) 32 原子力発電所の出力を増やすことにより火力発電所の 二酸化炭素排出量の削減量を算出 33 エネルギー基本法の第一条に関する知識 34 主要電源の発電電力量推移についての知識 35 熱機関を 2 台直列につないだ場合の総合熱効率を表す 式についての知識 ら出題された。17 年度に比べ、放射線の基礎が 3 問増え、 表示式に関する設問が出題された。 保健物理が 3 問減った。放射線の基礎では、放射線に関連 16 年度は 6 問中 4 問が計算問題であったが、17 年度と した原子核物理および放射線化学の基礎的事項の理解が問 18 年度の計算問題は 7 問中 2 問程度になり、知識を要求す われた。保健物理では、今年度の出題数が減少したが、被 る問題が多くなっている。この分野の勉強法としては、原 ばく管理、人体影響、測定から 1 問ずつ出題された。 4) 子力分野と同じように 「原子力がひらく世紀」 などを基点に 技術士第一次試験問題を第 1 種放射線取扱主任者試験問 題と比べると出題範囲は基礎的なものが多いので、第 1 種 放射線取扱主任者試験用に市販されている参考書や問題集 を利用することは有益である。 周辺知識を吸収するとよい。 Ⅳ. エネルギー分野の設問 [設問 29]枯渇性資源の有効利用のためには、使用済み製 品の効率的なリサイクルが不可欠である。天然資源 A から 3.エネルギー分野 金属 B を 1 トン生産するためのエネルギー消費量を x と エネルギーでは、リサイクルを考慮した投入エネルギー し、その金属 B から同重量の金属製品 C が、1 トン当たり 量の計算、化石燃料の炭素税、京都議定書、原子力発電に y のエネルギー投入により製造される。その製品 C はその よる二酸化炭素排出削減量の計算、エネルギー基本法の第 後、全量が廃棄され、その廃棄された製品 C から再び金属 一条、主要電源の発電電力量推移、および熱機関の熱効率 B が回収される。このとき金属 B を 1 トン回収するために Vol.53 No.3 (2007年 3月号) 61 消費されるエネルギーを 0.5x とし、製品 C からの金属 B できなくても、京都議定書の遵守を可能とする仕組みであ の回収率を 80 %とする。また、回収された金属 B はすべ る。 て製品 C の製造のために再利用されるものとする。年間の ⑤ 1990 年以降の新規の植林、再植林による二酸化炭素の 天然資源 A の消費量、および金属 B の生産量を一定とす 吸収量を、温室効果ガス排出削減量に含めることができる。 るとき、製品 C の 1 トンの生産のために投入される総エネ ルギー量(金属 B の生産と回収のためのエネルギー、およ [設問 32]原子力発電所と天然ガス火力発電所により、1 ヵ び製品 C の製造エネルギーの合計値) は、次のうちどれか。 月間、ある地域に電力を供給することを考える。原子力発 電所は、対象とする月の最小電力負荷[kW]に等しい出力 ① 0.8y + 0.5x ② 0.8y + 0.6x ④ y + 0.6x ⑤ y + 0.7x ③ y + 0.5x で運転し、それ以上の電力需要は天然ガス火力発電所によ り供給されるものとする。このとき原子力発電所の容量に 余裕があると、最小電力負荷が大きくなった場合に原子力 [設問 30]炭素税を、 「石炭、石油、天然ガスなどの化石燃 発電所の出力を増やすことができる。今、1 ヵ月間の総電 料に、その炭素の含有量に応じて課する税金」としたとき、 力需要を一定として、その期間の最小電力負荷が 10 万 kW この炭素税についての記述のうち、誤っているものはどれ 増加したときの二酸化炭素排出量の削減量に最も近い値は、 か。 次のうちどれか。天然ガス火力発電所の二酸化炭素排出量 を炭素換算で 0.13 kg/kWh とし、原子力発電所からの二酸 ①炭素税導入の目的の一つとして、化石燃料価格上昇によ 化炭素排出量は無視できるものとする。 る化石燃料消費抑制効果が期待されている。 ②炭素税の必要性は、第一次石油危機前にも世界中で広く ① 1,000 炭素換算トン ② 5,000 炭素換算トン 認識されていた。 ③ 10,000 炭素換算トン ④ 50,000 炭素換算トン ③ヨーロッパでは既に、炭素税に相当した税金を導入して ⑤ 100,000 炭素換算トン いる国がある。 ④炭素税が各種企業の年間総売上げに及ぼす影響は、企業 [設問 33]平成 14 年 6 月に施行された「エネルギー政策基 の活動内容によって異なる。 本法」 の第 1 条に、この法律の目的が示されている。この条 ⑤炭素税が太陽光発電や原子力発電の発電単価に及ぼす影 文において、(a)から(e)までに入る言葉として正しい組合 響は、石炭火力発電の発電単価に及ぼす影響よりも一般に せは①∼⑤のうちどれか。 小さくなる。 (目的) [設問 31]京都議定書に関する次の記述のうち、誤ってい 第一条 この法律は、エネルギーが (a) の安定向上並びに国 るものはどれか。 民経済の維持及び発展に欠くことができないものである とともに、その利用が(b)の環境に大きな影響を及ぼす ①日本は、2008 年から 2012 年の平均の年間温室効果ガス ことにかんがみ、エネルギーの(c)に関する施策に関し、 排出量を、1990 年の値に比べて 6 %削減することになって 基本方針を定め、並びに(d)の責務等を明らかにすると いる。 ともに、エネルギーの (c) に関する施策の基本となる事項 ②京都議定書で対象とされる温室効果ガスは、二酸化炭素 を定めることにより、エネルギーの (c) に関する施策を長 とメタンの 2 種類である。 期的、総合的かつ計画的に推進し、もって(b)の環境の ③日本で消費する財の生産のために海外で排出された温室 保全に寄与するとともにわが国及び世界の経済社会の (e) 効果ガスは、日本における温室効果ガス排出量には含めな に貢献することを目的とする。 い。 ④排出量取引などの京都メカニズムとは、たとえ日本国内 での温室効果ガス排出量を京都議定書記載のとおりに削減 62 ① a)国民の福祉 b)地球 c) 供給 d)企業及び地方公共団体 e) 持続的な発展 原子力eye ② ⑤ ηt = η21 +η22 a)文化的生活 b)地域 c) 消費 d) 地方公共団体 e) 適度な発展 ③ Ⅴ.各設問の解答と解説 a)国民生活 b)自然 c) 需給 ■ [設問 29] の解答と解説 d) 企業 e) 適度な発展 ④ ⑤ a)国民の福祉 b)全世界 c)消費 正解は④。 d) 国民一人一人 e) 恒久的な発展 製品 C のリサイクル生産が定常状態になると、天然資源 a)国民生活 b)地域及び地球 c) 需給 A から 0.2 トン/年、製品 C から 0.8 トン/年、製品 B が d) 国及び地方公共団体 e)持続的な発展 製造される。天然資源 A から製品 B を 0.2 トン製造するの に必要なエネルギー量は 0.2x である。製品 C から製品 B [設問 34]下表は日本における 1980 年度から 2000 年度ま を 0.8 トン製造するのに必要なエネルギー量は 0.8 × 0.5x での、一般電気事業用として報告されている主要な電源の である。製品 B から製品 C を製造するのに必要なエネルギ 発電電力量の推移を示したものである。この表における a ー量は y である。したがって、製品 C を 1 トン生産するた ∼ e の電源の組合せで正しいものは①∼⑤のうちどれか。 めに投入される総エネルギー量は、 y +(0.2x + 0.8 × 0.5x) = y + 0.6x (単位 億 kWh) 1980 年度 1985 年度 1990 年度 1995 年度 2000 年度 a 820 1,590 2,014 2,911 3,219 b 747 1,267 1,639 1,918 2,479 c 219 572 719 1,172 1,732 d 954 807 881 854 904 e 2,089 1,448 1,951 1,510 868 (資源エネルギー庁(編) エネルギー 2004((株) エネルギーフォーラム)267 ペ ージのデータより作成) となる。 ■ [設問 30] の解答と解説 正解は②。 1973 年 10 月の第四次中東戦争をきっかに始まった第一 次石油危機前に、炭素税は未だ世界中で広く認識されてい なかった。二酸化炭素排出削減を目的とした炭素税は、1990 年前後より欧州を中心に導入されてきた。 ① a)原子力 b) 石油 c)LNG d) 石炭 e)水力 ①正しい。炭素税を付加することで消費が抑制される。 ② a)LNG b) 石炭 c)原子力 d) 石油 e)水力 ③正しい。既にデンマーク、フィンランド、ノルウェー、 ③ a)原子力 b) LNG c)水力 d) 石油 e)石炭 スウェーデン、オランダ、ドイツで導入されている。 ④ a)LNG b) 原子力 c)水力 d) 石炭 e)石油 ④正しい。鉄鋼、セメントの企業が影響を受けやすい。 ⑤ a)原子力 b) LNG d) 水力 e)石油 ⑤正しい。太陽光発電や原子力発電は化石燃料を使用しな c)石炭 いので炭素税の影響は小さい。 [設問 35] タービンなどの熱機関を直列につないで熱効率を 向上させる手段があり、これを活用したものが、ガス火力 ■ [設問 31] の解答と解説 発電などのコンバインドサイクルシステムである。η1、η2 正解は②。 の熱効率をもつ熱機関を 2 台直列につないだ場合の総合熱 京都議定書では、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)以外 効率ηt を表す式として正しいものは次のうちどれか。な に、一酸化二窒素 (N2O) 、フロン類 (HFCs、PFCs、SF6) の お、熱効率は、注入された熱量と排出された熱量の差を、 6 つの地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減義 注入された熱量で割った値で定義される。 務などを定めた。 ①正しい。しかし、2002 年度の国内排出量は 7.6 %増えて ① ηt =η1 +η2 −η1 ×η2 おり、このままでは目標達成が困難な状況である。 ② ηt =η1 +η2 ③正しい。温室効果ガスの排出権取引の一部分である。 ③ ηt = 1 −η1 ×η2 ④正しい。京都メカニズムとは、温室効果ガス削減のため 2 1 2 2 ④ ηt =η +η −η1 ×η2 Vol.53 No.3 (2007年 3月号) に行う植林活動などのほか、他国の排出権を購入したり、 63 より削減コストの低い国へ資金提供や投資を行い、その排 ■[設問 35]の解答と解説 出削減量を自国の削減量に還元することができるという世 正解は①。 界を巻き込んだ社会的な仕組みを意味する。 1 台目の熱機関に入る熱量を Q、1 台目から出る熱量を ⑤正しい。京都議定書では 「樹木による吸収 CO2 吸収分」 を X1、直列につないだ 2 台目から出る熱量を X2 とすれば、 削減目標の達成に活用できるとしている。 Q − X1 =η1 Q ■ [設問 32] の解答と解説 ∴ X1 = Q(1−η1) 正解は③。 5 1 トン= 1,000 kg、10 万 kW = 10 kW、1 ヵ月間= 24 × 30 = 720 h なので二酸化炭素排出量の削減量は、 1 0.13 × × 105 × 720 = 9,360 10,000 炭素換算トン 1,000 になる。 X1 − X2 =η2 X1 ∴ X2 = X1(1−η2)= Q(1−η1) (1−η2) Q−X2 Q−Q(1−η1) (1−η2) ηt = = = 1− (1−η1( )1−η2) Q Q ∴ηt =η1 +η2 −η1 ×η2 ■ [設問 33] の解答と解説 正解は⑤。 エネルギー政策基本法は平成 14 年 (2002 年)6 月 14 日に Ⅵ.おわりに 平成 19 年 8 月に実施される技術士第二次試験の改正案 公布、即日施行された。本法は、エネルギーの需給施策に では、一般的専門知識を問う五肢択一式出題が廃止される。 関し、「安定供給の確保」、 「環境への適合」、及びこれらを 一方、10 月に実施される第一次試験は、従来どおり五肢択 十分に考慮したうえでの 「市場原理の活用」の三項目を基本 一式で出題されるが、第二次試験改正の影響を受けて問題 方針として定め、国・地方公共団体、事業者等の責務、エ の難易度や傾向が変わる可能性がある。第一次試験受験予 ネルギーの需給施策の基本事項を定めることにより、施策 定者は、過去に出題された第一次試験問題6)に加えて第二次 を長期的、総合的かつ計画的に推進するものである。基本 試験の択一式問題7)にも目を通しておくことが有効であると 法は企業に対する具体的かつ個別的な規制事項は定められ 考える。 ていないが、 「事業者の責務」 として (1) エネルギーの効率的 な利用、(2)エネルギーの安定的な供給、 (3)地域、地球の 環境保全に配慮したエネルギーの利用、 (4) 国、地方公共団 体のエネルギー需給施策への協力があげられている5)。 ■ [設問 34] の解答と解説 正解は⑤。 わが国は 1973 年と 1979 年の二度の石油危機を経て、電 力の長期安定供給を確保するための基盤整備として石油代 替エネルギーへの転換に努めてきた5)。石油代替エネルギー として原子力発電所の建設を進め、近年では原子力が全電 参考文献 1)文部科学省 科学技術・学術審議会 技術士分科会資料「平成 18 年度技術 士第一次試験実施大綱」 http://www.engineer.or.jp/examination_center/application_guidance/ 2006taikou1.PDF 2)文部科学省告示第 136 号 「技術士法施行規則の規定に基づき、第 1 次試験 の専門科目の範囲及び第 2 次試験の選択科目の内容を定める件の全部を改 正する件」平成 15 年 8 月 18 日 3)日本技術士会 HP 平成 18 年度技術士第一次試験問題の正答 http://www.engineer.or.jp/examination_center/correct_answer/first/ 2006/4_20.pdf 4) 「原子力がひらく世紀」、日本原子力学会編、1998 5)原子力百科事典 ATOMICA 6)「原子力 eye」2006 年 4−6 月号:平成 17 年度技術士第一次試験「原子力・ 放射線部門」 専門科目の解説(上) 、(中) 、(下) 7)「原子力 eye」2006 年 1−2 月号:平成 17 年度技術士第二次試験「原子力・ 放射線部門」 必須科目(択一式)の解説 (上) 、 (下) 力量の 1/3 に達している。このことから a) が原子力である ことが分かる。次に石油危機直後の 1980 年度に発電電力 量が最も多かった電源は石油であったはずなので、e)が石 油であることが分かる。したがって、a) が原子力、e)が石 油であることから、正しいのは⑤であることが分かる。念 のため、⑤は d)を水力としており、20 年間に電力量の推 移が小さいことから、正解であることが確認できる。 64 執筆担当;栗原良一(くりはら・りょういち) (独)日本原子力研究開発機構 原子力研修センター 技術士 (原子力・放射線、総合技術監理) 原子力eye