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(案)
多賀地区復興まちづくり計画
撮影:三八地域県民局地域整備部八戸港管理所(平成 22 年 2 月)
この計画は、東日本大震災の津波により、市内でもっとも大きな住
家被害を受けた市川町多賀地区において、今後想定される最大クラス
の津波から人命を守ることを最優先に、より安全で円滑な津波避難を
可能とするための総合的対策として、避難路や津波避難施設の整備、
およびソフト対策をまとめたものです。
計画の策定にあたっては、学識経験者や地元代表者等で構成する多
賀地区復興まちづくり計画検討委員会を設置し、4回の会議を開催する
とともに、地元の声を反映させるため、地区住民アンケートや関係団体
ヒアリング、地元説明会や意見交換会を実施しました。
平成 25 年 3 月
八
戸
市
【目 次】
1.多賀地区における津波避難対策の考え方
・・・
1
・・・
2
・・・
3
・・・
5
・・・
6
1)最大クラスの津波浸水想定を受けて
2)避難の考え方
3)対策の考え方
2.避難路の整備
1)整備方針
2)整備計画
3.津波避難施設の整備
1)整備方針
2)整備計画
4.ソフト対策の推進
1)ソフト対策の考え方
2)住民・地域によるソフト対策
3)行政によるソフト対策
5.計画の進め方
1)避難路および津波避難施設の整備
2)津波避難のルールづくり
3)関係機関との協議・要望事項
多賀地区復興まちづくり計画 図面
・・・ 7
【参考】検討機関・検討経過
・・・ 8
【参考】津波避難対策の考え方(国・県)
◎ 比較的発生頻度が高い津波(レベル1)に対しては、堤防等のハード整備に
よる対策で、人命や財産を守る
→
防波堤、防潮堤、河川堤防等の整備を実施中
◎ 発生頻度は低いが、大きな被害をもたらす最大クラスの津波(レベル2)に
対しては、避難対策等のソフト対策をあわせ、人命を守ることを最優先と
する
→
「多賀地区復興まちづくり計画」において検討するレベル
1.多賀地区における津波避難対策の考え方
1)最大クラスの津波浸水想定を受けて
平成 24 年 10 月、青森県は、最大クラスの津波浸水想定を公表しました。
多賀地区においては、地区全体を含む広い範囲での浸水や、市内他地区と比べ
ても、大きな浸水深(地上からの津波の高さ)が想定されています。
多賀台団地
多賀地区
桔梗野工業団地
青森県津波浸水想定図に従い作成
津波避難の原則は、徒歩により、海や川に近づかず、浸水のおそれの無い場所へ
避難することです。
しかし、多賀地区からの津波避難に当たり、浸水のおそれの無い場所は、地区周
辺の高台(多賀台団地、桔梗野工業団地)に限られることから、海側に近い地域ほ
ど、長距離かつ長時間の避難をする必要があり、津波の到達までに避難が間に合わ
ない可能性も考えられます。※1
一方で、多賀地区においては、一定の道路整備やソフト対策を講じることで、自
動車による避難が可能であると考えられます。
※1: 地区沖合における第一波(市沿岸部では、第一波が最大波)の到達は、地震発生約 51
分後と想定されていますが、市内他地区の状況を踏まえ、津波避難に当っては、地震発
生 45 分後までの避難完了を目指すこととして検討します。
2)避難の考え方
多賀地区においても、徒歩避難を原則としますが、今後の道路整備やソフト対策
の実施を前提に、次の避難者については、自動車での避難を容認することとします。
ア)津波の到達までに徒歩避難が困難と考えられる、海側の地域の住民※2
イ)自動車でなければ避難が困難と考えられる、災害時要援護者とその支援者
※2: 具体の範囲は、今後「津波避難計画」改訂の中で、検討します。
1
3)対策の考え方
本計画では、多賀地区において、最大クラスの津波から人命を守ることを最優先
に、よ り 安 全 で 円 滑 な 津 波 避 難 を 可 能 と す る た め の 総 合 的 対 策 と し て 、避
難路や津波避難施設の整備、およびソフト対策について整理します。
2.避難路の整備
1)整備方針
① 主要避難路の整備
浸水のおそれの無い地区周辺高台
まで、五戸川を越えずに避難する際、
多くの避難者の利用が考えられる主
要避難路について、徒歩および自動車
による円滑な避難を実現するため、道
路拡幅や歩道設置、徒歩専用避難路の
整備を行います。
道路拡幅
歩道と車道の分離
② 集落内避難路の整備
集落内の細街路で、主要避難路に接
続する避難路として利用されると考
えられるものについて、その狭い区間
を解消します。
狭い区間の解消
2)整備計画
① 主要避難路の整備(整備予定箇所については、7ページの図面をご覧ください)
【五戸川の北側】
№
路線名
整備内容
(1) 市道 市川後高屋敷線ほか
車道拡幅による二車線化等
(2) 県道橋向五戸線の北側に並行
する道路※3
二車線車道と歩道の設置
(具体の位置は、実施段階で決定)
(3) 県道 橋向五戸線(実施中)
歩道の拡幅および未整備箇所への設置
※3: (仮称)多賀地区多目的運動場の施設配置や、多賀台団地側の道路との接続などを
踏まえて検討します。
2
【五戸川の南側】
№
路線名
整備内容
(4) 市道 橋向尻引線
歩道の拡幅および未整備箇所への設置
(5) 市道 向谷地堤下線
車道拡幅による二車線化と歩道の設置
(6) 徒歩専用避難路※4
舗装整備(具体の位置は、実施段階で決定)
※4:
五戸川の南側の地域から、桔梗野工業団地の浸水のおそれの無い場所に、なるべ
く短い距離でたどり着けるよう、既存農道の舗装整備などを検討します。
② 集落内避難路の整備
地元意見等を踏まえ、避難路として利用されると考えられる細街路のうち、
現道において狭い区間を解消します。
③ その他
東日本大震災の津波避難時の課題を踏まえ、次の事項について、道路管理者
である県と協議を行います。
ア)主要地方道八戸百石線(産業道路)における、徒歩避難者の安全かつ
円滑な横断対策
イ)県道橋向五戸線における一部未設置区間への歩道設置
3.津波避難施設の整備
1)整備方針
① 津波避難施設の位置付け
万が一逃げ遅れた避難者が、最大クラスの津波からの被災を免れることを
目的とした一時避難施設です。
② 収容人数の考え方
収容人数は、周辺高台からの距離が長く、かつ人口の集中する、主要地方
道八戸百石線(産業道路)より海側の地域に居住する地区住民人口の5%相
当とします。
③ 避難スペースの考え方
津波避難施設に関する国等の指針を参考に、次のとおりとします。
◎ 高さ:想定される浸水深と、津波のせり上がりを考慮の上で、安全性
が確保される高さ※5
◎ 面積:収容人数一人当たり 1.0 ㎡ (居室避難)
※5:
次ページに示す各施設の避難スペースの高さについては、今後、設計等までの段
階で、せり上がりを考慮の上で安全性を確保できる詳細な基準等が示された場合に
は、これに基づいた高さとします。
④ 避難施設の配置・形態
主要地方道八戸百石線(産業道路)より海側の住宅地との近接性を考慮の
上、五戸川を挟んで、地区の南北に次のとおり整備します。
◎ 五戸川の北側:津波避難複合施設
◎ 五戸川の南側:津波避難タワー※6
※6: 最大クラスの津波の想定浸水深と津波のせり上がりを考慮すると、当初想定していた
3
多賀小学校の活用が困難となるため、五戸川の南側においては、津波避難タワーを整備
するものです(校舎屋上の高さ:約11m、校舎周辺の想定浸水深:約9~10m)
。
2)整備計画
(整備候補地については、7ページの図面をご覧ください)
①【五戸川の北側】津波避難複合施設の整備
「(仮称)多賀地区多目的運動場」の「管理棟」と一体的に整備を行います。
施設機能
一時避難スペース(備蓄倉庫含む)に加え、次のような日常
機能を有する施設とします。※7
ア)コミュニティセンター(地区集会施設)約 300 ㎡程度
(会議室、調理室、ホール)
イ)多目的スペース
約 120 ㎡程度
(災害資料展示、防災情報提供のほか、直売所等にも利用可能)
一時避難
スペース
管理方式
施設の上階部分
高さ:約 12~13m(候補地周辺の想定浸水深:約8~9m)
収容人数:30 人程度 (対象地区住民約 600 人の5%相当)
コミュニティセンター部分については、市内の既存施設同
様、地元負担による管理を基本としますが、市が管理すること
となる(仮称)多賀地区多目的運動場の管理棟の整備内容等を
踏まえ、今後調整を図ります。
※7: 市川生活館の一部を使用している消防団市川分団第二班屯所については、津波避
難複合施設への移転合築を望む地元意見もあるため、
(仮称)多賀地区多目的運動場
の進捗にあわせ、合築または地区内の別の場所への移転の両面から検討します。
②【五戸川の南側】津波避難タワーの整備
施設機能
一時避難スペース(備蓄倉庫含む)
なお、タワーの日常的な活用策については、地元意見等を踏
まえ、今後検討します。
一時避難
スペース
管理方式
タワー上部の避難用居室
高さ:約 13~14m(候補地周辺の想定浸水深:約9~10m)
収容人数:80 人程度 (対象地区住民約 1,600 人の5%相当)
一時避難スペースについては、市による管理を基本としま
す。なお、日常機能が付加される場合には、地元等と調整を図
ります。
立面イメージ
▽約 13~14m(避難スペース高さ)
▽約 9~10m(想定浸水深)
建築面積 約 150 ㎡ 程度
敷地面積 約 250 ㎡ 程度
4
4.ソフト対策の推進
1)ソフト対策の考え方
最大クラスの津波からの円滑な避難を実現するためには、避難路や津波避難施設等
のハード整備に加え、自助(住民)・共助(地域)・公助(行政)の連携のもと、以
下に示すようなソフト対策について、できることから取り組んでいく必要があります。
2)住民・地域によるソフト対策
① 迅速かつ確実な避難行動の徹底
ア)複数の手段(防災行政無線、ラジオ、携帯電話、地域の声掛け等)によ
る確実な情報収集
イ)徒歩や自動車による避難ルール(海側に向かわない、できるだけ乗り合
いで避難する等)の順守
ウ)日常からの避難路や避難場所の把握とあわせた、家庭内でのルールづく
り(安否確認の方法や避難時の集合場所等)
など
② 災害時要援護者等の共助の促進
ア)避難支援の必要な災害時要援護者の把握と、必要な支援内容の共有
イ)学校等における避難ルールや地域との協力体制の整備
など
③ 自主防災組織活動の推進
ア)様々な時間帯を想定した実践的な避難
訓練の実施と住民参加の促進
イ)避難誘導や避難支援を行う者の被災を
回避するための、退避の判断基準等の
ルールづくり
など
避難訓練
3)行政によるソフト対策
① 主要地方道八戸百石線(産業道路)における車両流入抑止・避難誘導対策
ア)通過車両に対する避難誘導標識(津波避難サイン)等の設置
イ)信号機の無停電化の実施や災害時対応の信号制御の導入
など
② 主要避難路への避難誘導標識(津波避難サ
イン)の設置(夜間対策含む)
③ 住民に分かりやすい津波避難計画の改訂・
周知
ア)最大クラスの津波および最大クラス以
外の津波の両方への対応の検討
イ)住民一人ひとりがとるべき避難方法(徒
歩、自動車)や、避難路、高台におけ
る避難場所などをわかりやすく周知
など
5
避難誘導標識(津波避難サイン)の事例
左)交差点等の分岐路への配置事例
右)人通りの多い場所への配置事例
5.計画の進め方
1)避難路および津波避難施設の整備
平成 25 年度より、国の復興予算等を有効に活用し、調査、設計、工事等の段階
を踏んで、避難路および津波避難施設の早期整備を目指します。
2)津波避難のルールづくり
今後、市が全市的に津波避難計画を改訂していく中で、次のような事項について、
市、自主防災組織、学校等との適切な役割分担のもと、津波避難のルールづくりを
行います。
ア)自動車避難を容認する地域の具体的な範囲
イ)高台へ避難した後に向うべき避難場所
ウ)児童・園児等の避難方策
エ)災害時要援護者の支援方法
オ)最大クラス以外の津波に対しての、多賀小学校の避難場所としての活用策
および必要な整備
カ)津波警報レベルが上がる等、災害時の状況変化への対応策
など
3)関係機関との協議・要望事項
想定される最大クラスの津波からの円滑な避難を実現するために必要となる、次
のような事項について、今後、関係機関と協議を行い、必要に応じて要望し、実現
を目指します。
ア)主要地方道八戸百石線(産業道路)における、徒歩避難者の安全かつ円
滑な横断対策
・五戸川を挟んだ地区の南北の主要避難路上への歩道橋設置
など
イ)主要地方道八戸百石線(産業道路)における、災害時の車両流入抑止・
避難誘導対策
・通過車両に対する避難誘導標識等の設置
・信号機の無停電化の実施や災害時対応の信号制御の導入
ウ)県道橋向五戸線の一部未設置区間への歩道設置(五戸川の南側)
6
など
多賀地区復興まちづくり計画図面
凡例
(1) 市道 市川後高屋敷線ほか
・多目的運動場の管理棟部分と
一体的に整備
・五戸川以北の逃げ遅れ避難者
の収容を想定
・車道拡幅による二車線化等
浸水想定域外への主要避難路
[
(仮称)
多賀地区多目的
運動場 候補地
線
屋敷
後高 揚線
市川 川後下
市道 ・市
(2) 二車線避難路
(具体の位置は、実施段階で決定)
・二車線車道と歩道設置
徒歩専用避難路(具体の位置
は、実施段階で決定)
中平町内
(3) 県道 橋向五戸線(実施中)
多賀台団地
(五戸川以北の避難先)
うち、具体の位置を実施
段階で決定するもの
[
① 津波避難複合施設 候補地
整備を予定する箇所
・歩道の拡幅および未整備箇所への設置
関係機関との協議・要望事項
橋向北町内
市川上町内
道
市
市川下町内
賀
多
橋向南町内
古館町内
② 津波避難タワー 候補地
尻
引
道
県
戸
五
向
橋
戸
川
道
橋
向
・五戸川以南の逃げ遅れ避難者の
収容を想定
市
国道
五
◎ 県道橋向五戸線の一部未設置区間への歩道設置
※ 道路管理者
(県)
との協議・要望事項
多賀小学校
線
線
線
号
1
最大クラス津波の想定浸水域
大谷地町内
号
45
関係機関との協議・要望事項
(6) 徒歩専用避難路
(具体の位置は、実施段階で決定)
線
状
・既存農道の舗装整備
環
戸
道
方
地
要
主
八
道
地方
主要
・歩道の拡幅および未整備箇所への設置
地堤下線
市道 向谷
(4) 市道 橋向尻引線
◎ 主要地方道八戸百石線における徒歩避難者の安全かつ円滑な
横断対策
・ 五戸川を挟んだ地区南北への歩道橋設置 等
線
百石
八戸
(5) 市道 向谷地堤下線
・車道拡幅による二車線化と歩道の設置
桔梗野工業団地
(五戸川以南の避難先)
7
◎ 主要地方道八戸百石線における災害時の車両流入抑止・避難
誘導対策
・ 通過車両に対する避難誘導標識等の設置
・ 信号機の無停電化の実施や災害時対応の信号制御の導入 等
※ 道路管理者
(県)
・警察との協議・要望事項
[
[
主要避難路の整備予定箇所
および 津波避難施設の建設候補地
【参考】検討機関・検討経過
1)検討機関
多賀地区復興まちづくり計画検討委員会
氏
名
所属・職名等
佐々木
幹夫
八戸工業大学大学院土木工学専攻
音喜多
市助
多賀連合町内会
会長 (委員長職務代理者)
八戸苺生産組合
組合長
石田
和弘
石田
シミ子
木村
清吾
市川漁業協同組合
木村
征隆
多賀地区民生児童委員協議会
筒井
清二
三八地域県民局
前田
英規
八戸市立多賀小学校
教授 (委員長)
市川上町内見守りネットワーク委員
(社会福祉法人寿栄会トータルコーディネーション室長)
代表理事組合長
会長
地域整備部長
校長
2)検討経過
年月日
内容等
H24 05 月 21 日
第1回 多賀地区復興まちづくり計画 検討委員会
06 月上中旬
地区住民アンケート実施(対象 890 世帯、回答率 36.7%)
06 月 11 日
地元説明会(場所:橋向生活館。参加:約 50 名)
06 月~7 月
関係団体ヒアリング
(自主防災会、民生委員、八戸苺生産組合、市川漁業協同組合)
07 月 24 日
第2回 多賀地区復興まちづくり計画 検討委員会
10 月 02 日
津波浸水想定(最大クラス)の公表(青森県)
H25 02 月 22 日
第3回 多賀地区復興まちづくり計画 検討委員会
03 月 04 日
地元意見交換会(場所:橋向生活館。参加:約 60 名)
03 月 18 日
第4回 多賀地区復興まちづくり計画 検討委員会(最終)
03 月 21 日
多賀地区復興まちづくり計画(案)の市長への提出
03 月
多賀地区復興まちづくり計画 策定
日
8
多賀地区復興まちづくり計画
■ 発 行
平成 25 年3月
八 戸 市
〒031-8686 青森県八戸市内丸一丁目1番1号
TEL.0178-43-2111 FAX.0178-47-1485
■ 編 集
八戸市 総合政策部 政策推進課 震災復興推進室
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