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第 第10 10 10回 回ビジネスデス ビジネスデスク ビジネスデスクレ

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第 第10 10 10回 回ビジネスデス ビジネスデスク ビジネスデスクレ
第10回
10回ビジネスデスクレポート
ミャンマー
~日系中小企業の
日系中小企業の進出先
進出先としての
としてのポテンシャルとリスク
ポテンシャルとリスク~
としてのポテンシャルとリスク~
2013 年 2 月 28 日
1.アジアのラスト・
アジアのラスト・フロンティア、
フロンティア、ミャンマー
ミャンマーが
が熱い!
近年
近年、
、中国の労働賃金上昇
中国 労働賃金上昇と
労働賃金上昇と領土問題
領土問題
領土問題でギクシ
でギクシ
ャクしている日中の
ャクしている日中
の外交関係
外交関係
外交関係の
の影響
影響で
で、
、中国
中国か
か
ら
ら生産基地
生産基地を
生産基地 を移転
移転または
または 分散させよう
または分散
させよう とする
させようとする
「
「China
China + 1」
1」の傾向
傾向が
傾向が、更に
更に加速
加速しています
しています
しています。
。
その
その「
「China
China + 1
1」
」の候補
候補として
候補として注目
として注目
注目を
を浴びて
びて
いるのが
いるのが、
、中国と
中国と陸続
陸続きで
きで隣接
きで隣接している
隣接しているメコン
しているメコン
地域
地域(
(インドシナ
インドシナ
インドシナ半島
半島
半島)の
のベトナム
ベトナム、
ベトナム、カンボジ
カンボジ
ア
ア、ラオス
ラオス、ミャンマーで
ラオス ミャンマーです
ミャンマーです。
。その
その中
中でも
でも
でも、と
と
りわけ
りわけ最近
最近日系企業
最近 日系企業の
日系企業 の注目
注目
注目の的
的になっている
になっている
のが
のが、
、「アジアのラスト・フロンティア
「アジアのラスト・フロンティア」と
と
〈ヤンゴンの
ヤンゴンの中心街
中心街〉
中心街〉
呼
呼ばれている
ばれている ミャンマーです
ばれている、ミャンマーです
ミャンマーです。
。
それぞれ
それぞれ総人口
総人口 10 億人を超
億人 超える
える巨大市場
える巨大市場
巨大市場の
の中国
中国とインドの
とインドの
とインドの間
間に
に位置
位置するミャンマーは
するミャンマーは
するミャンマーは、
6,200 万人の人口
万人 人口
人口、
、安価
安価で
で勤勉
勤勉 労働力、豊富
勤勉な労働力
労働力 豊富な
豊富な天然資源
天然資源
天然資源、
、そして
そして広大
そして広大で
で肥沃
肥沃
肥沃な
な国土
国土(
(日本
日本
の
の約
約 1.8 倍)を
倍 を有
有しており
しており、今や
しており、
や新
新たな
たな消費市場
消費市場
消費市場と生産基地
生産基地
生産基地として
として世界各国
として世界各国が
世界各国が競
競って
って投資
投資
投資機
会
会の発掘
発掘に取
発掘に
取り組
組んでい
んでい す。
んでいます
。つい
つい最近
最近までは
最近までは、
までは、数十年間
数十年間
数十年間に
に亘
亘る
る軍事
軍事独裁
独裁政権
独裁政権と欧米
政権 欧米から
欧米から
の
の経済制裁
経済制裁の
経済制裁の影響
影響で
で国際社会
国際社会
国際社会から
から孤立
から孤立した
した
した、
、アジアの
アジアの中
アジアの中で最
最も
も経済発展
経済発展
経済発展が
が遅
遅れた
れた最貧国
最貧国
最貧国で
した
した。
。しかし
しかし 2011 年 3 月
しかし、2011
月にテインセイン
テインセイン
テインセイン大統領
大統領が就任
大統領が
就任
就任し
し、国民
国民から
国民から「
「付
付いていけない
いていけない
いていけない」
と
と揶揄
揶揄される
されるほどの早
されるほどの
ほどの早いスピードで
いスピードで民主化
いスピードで民主化
民主化と
と経済改革
経済改革を
経済改革を進め
め始
始めてから
めてから
めてからは
は、
、世界
世界で
で「
「最
最も
熱
熱い国
国」
」と
として
して変
変わりつつあります
わりつつあります。
わりつつあります。
ミャンマーにおける取り組
ミャンマーにおける取
組みに
みに最も積極的
みに最
積極的
積極的な国
国が
が日本
日本です
日本です。
。JETRO
JETRO ヤンゴン
ヤンゴン事務所
事務所
事務所により
により
ますと
ますと、
、ミャンマーを
ミャンマーを
ミャンマーを訪問
訪問するビジネスパーソンの
するビジネスパーソンの
するビジネスパーソンの半数以上
半数以上
半数以上が
が日本企業
日本企業
日本企業からの
からの出張者とさ
からの出張者
出張者とさ
れ
れ、JETRO
JETRO ヤンゴン事務所
ヤンゴン事務所
事務所は
は世界
世界で
で最
最も訪問者数
訪問者数 多い
訪問者数が多
い事務所
事務所になり
事務所になり
になり、やむを
やむを ず「
やむを得ず
「1
1社
当
当たり
たり 30 分以下
分以下
以下」
」と面談時間
面談時間
面談時間を
を制限
制限
制限しています
しています
しています。日本経団連
日本経団連
日本経団連、
、日本商工会議所
日本商工会議所 、関西
日本商工会議所他、
関西
関西や
九州
九州地
地方
方の
の経済団体
経済団体も、
経済団体も
、次々
々とミャンマーに
とミャンマーに
とミャンマーに経済
経済ミッションを
ミッションを
ミッションを派遣
派遣
派遣しています
しています 日本の
しています。日本
日本の新
聞各社
聞各社も
も毎日数本
毎日数本
毎日数本のミャンマー
のミャンマー
のミャンマー関連記事
関連記事を掲載
関連記事を
掲載しており
しており
しており、ミャンマー
ミャンマー
ミャンマー関連
関連セミナーは
関連セミナーは参加
セミナーは参加
申
申し込
込みが
みが殺到
みが殺到し
し締切
締切
締切りを
りを前倒
前倒しするケースも
前倒しするケースも
しするケースも少
少なくありません
なくありません。かかる
なくありません。
かかる状況下
かかる状況下、
状況下、日本政
日本政
府
府も日系企業
日系企業のミャンマー進出
日系企業のミャンマー
のミャンマー進出を
進出を後押
後押しするため
しするため
しするため、
、円借款
円借款
円借款に
に関
関わる
わる約
約 5,000
5,000 億円の
億円の滞
滞留
留債
権
権の内
内、
、約
約 3,000
,000 億円
億円の
の債権
権を
を放棄
放棄し
し、
、更
更に
に 500 億円の
億円の新規円借款
新規円借款
新規円借款の供与
供与方針
供与方針を発表
方針 発表して
発表して
います。
次に、日本企業や日本政府をここまで熱狂させているミャンマーの持つポテンシャルとリ
スクについて、整理してみます。
2.ミャンマーのポテンシャル
① 消費市場としてのポテンシャル
消費市場としてのポテンシャル
6千万人以上の人口を抱えるミャンマーは、巨大な未開拓
消費市場として期待されています。一人当たり GDP は約
850 ドル(2011 年、IMF 推計)とアジア諸国の中でも最も
低い水準ですが、ミャンマー人で賑わうヤンゴン市内の豪
華ショッピングモールや無数の車で渋滞している道路を見
ていると「本当に一人当たり GDP は 850 ドルなの?」と
首を傾げる程、溢れる活気を感じます。統計上には出てい
ませんが、約 500 万人に及ぶと言われるタイ、シンガポー
ル、マレーシアなどの近隣諸国への出稼ぎ労働者が、祖国
の家族に送金しているお金の規模が、国家予算に匹敵する
との見方もあり、ヤンゴンやマンダレーなどの主要都市で
は、一人当たり GDP は恐らく 3,000 ドルを超えている
〈ヤンゴン市内
ヤンゴン市内のスーパーマーケット
市内のスーパーマーケット〉
のスーパーマーケット〉
との専門家の見解もあります。長年の欧米の経済制裁に苦しんできたミャンマーに、米国
文化の象徴とも言えるコカ・コーラが 15 年ぶりに販売を再開したのも、同国の消費市場と
しての潜在力を裏付けます。
潜在消費力に加え注目すべきポイントは、同国の親日性です。日本の教育を受けた独立運
動家(アウンサン・スーチー女史の父親アウンサン将軍を含む)により、イギリスから独
立した歴史的な背景もあり、昔からミャンマーは世界一親日性の強い国の一つとして知ら
れています。現在も乗用車の約 9 割は日本の中古車で、日本製品に対し絶対的な信頼が寄
せられています。笑い話ですが、このような親日性を利用し、一部のローカル家電メーカ
ーは、「Sakura」「Fuji」と言った日本の固有名詞をブランド名として使っています。この
ような潜在消費力と親日性をベースに、ローソン、ミニストップなどのコンビニ各社と伊
藤園などの消費財メーカーも次々と進出決定を発表しています。
② 生産拠点としてのポテンシャル
生産拠点としてのポテンシャル
ミャンマーの一般ワーカーの月給は約 95 ドル(2011 年基準、JETRO)で、タイの約 5 分
の 1、ベトナムの約半分の安価で豊富な労働力を有していること、またミャンマー人が日本
と同じ仏教徒の価値観を持つ勤勉で温厚な性格であることを理由に、新たな生産基地とし
ても注目が集まっています。現在、ミャンマーを代表する製造業は、CMP(Cutting, Making
and Packing)という縫製委託加工ビジネスで、同国の縫製産業にとって最大の輸出先は日
本
本です
です 昨年、
です。昨年
昨年、日本企業
日本企業として
日本企業としては
としては 9 年ぶりの
年ぶりの新規
ぶりの新規
投資
投資を
を決
決めたの
めたの
めたのは
は、婦人服製造
婦人服製造
婦人服製造・
・小売
小売り大手
小売 大手のハ
大手のハ
ニーズ
ニーズ(
(本社
本社:
:福島県
福島県)でした
福島県)
でした。
でした。
従来
従来の
の縫製産業
縫製産業
縫製産業に
に加
加え、
、IT
IT のオフショア
のオフショア開発
開発
開発に
も 大 和 総 研 、 富 士 通 、 KDDI 、 NTT
Communication
Communicationss などの日系企業
などの 日系企業
日系企業の進出
進出
進出が
が目立
目立
つようになりました
つようになりました。
。日系
日系 IT 企業
企業が
が進出
進出してい
してい
る
る理由
理由の一つは
理由の
つは
つは、
、ミャンマー
ミャンマー人
人の
の日本語
日本語コミュニ
日本語コミュニ
〈ヤンゴン近郊
ヤンゴン近郊の
近郊の縫製工場
縫製工場〉
〉
ケーション
ケーション能力
能力
能力の
の高さにあると
さにあると
さにあると言
言われています
われています
われています。
ミャンマー語は、
ミャンマー語
、日本語
日本語と
と語順
語順 似ていて
語順が似
ていて、
ていて、日本語に
日本語に堪能
堪能
堪能なミャンマー
なミャンマー
なミャンマー人
人が
が多
多いようです
いようです
いようです。
また
また、
、ミャンマーは
ミャンマーは食料基地
ミャンマーは食料基地
食料基地として
としての
としての発展
発展
発展可能性
可能性も高
可能性も
高い
いと見
見られており
られており
られており、
、食料
食料・食品
食料 食品ビジ
食品ビジ
ネスにおいては、味
ネスにおいては、
味の
の素
素が製造販売
製造販売の
製造販売の再開
再開
再開、
、三井物産
三井物産が
三井物産が精米事業
精米事業への
精米事業への進出
進出を
進出を発表
発表していま
していま
す
す。
③ 社会インフラ
インフラ輸
輸出先
出先としてのポテンシャル
としてのポテンシャル
社会インフラ
もう
もう一
一つの
つのポテンシャル
つのポテンシャル分野
ポテンシャル分野は
は、
、やはり
やはり社会
やはり社会インフラの
社会インフラの
インフラの構築分野
構築分野で
構築分野で、日系企業
日系企業 動向が
日系企業の動向
動向が近
年一番目立ちます
年一番目立ちます
ちます。
。日本政府
日本政府
日本政府、
、大手総合商社
大手総合商社、重工業
重工業メーカー
重工業メーカーが
メーカーが文字通
文字通り「Team
文字通り
Team Japan
Japan」
を
を組み
み、
、軍事政権下
軍事政権下で放置
軍事政権下で
放置されてきた
されてきた
されてきた通信
通信
通信、
、電力
電力、
、鉄道
鉄道
鉄道、上下水道
上下水道
上下水道などの
などの社会
などの社会インフラ
社会インフラ
インフラ構
築
築事業
事業の
の受注
受注 に取り
受注に
り組
組んで
んで
んでいます
います。
います 。同国
同国は
は、
、2013
2013 年 12 月に東南
月 東南
東南アジア
アジア競技大会
アジア 競技大会(SEA
競技大会 (SEA
Game
Games))開催
開催、
、2014
2014 年
年に
に ASEAN 首脳会議開催
首脳会議開催、
、2015
2015 年
年に
に大統領選挙
大統領選挙
大統領選挙とビックイベントが
とビックイベントが
目白押
目白押しであり
しであり、現政権
しであり、
現政権はインフラ整備
現政権はインフラ
はインフラ整備を
整備を最優先課題
最優先課題と
最優先課題と認識
認識し
し、
、先進諸国
先進諸国からの
先進諸国からの支援
からの支援を
支援を要
請
請しています
しています インフラの中
しています。インフラの
インフラの中でも
でも特に
でも に日系企業
日系企業
日系企業と
と日本政府
日本政府
日本政府が
が注力
注力している
注力している分野
している分野が、
分野 、発電設
発電設
備
備と工業団地
工業団地です。
工業団地です
。同国
同国は
は、
、電力
電力の
の 70%以上
70%以上を
を水力発電
水力発電に
水力発電に依存
依存していますが、
依存していますが
していますが、毎年
毎年 10 月
月か
ら 2 月までの
月までの乾季
までの乾季には
には
には降水量
降水量
降水量が
が少
少なく
なく、
、停電
停電が頻繁
停電が
頻繁に
に発生
発生するため
発生するため
するため、各工場
各工場
各工場や
や商業
商業ビルに
ビルに
は
は必ず
ず自家発電機
自家発電機
自家発電機を
を常備
常備しなければ
常備しなければなり
しなければなりません
なりません。
ません。また
また、
また、日系企業
日系企業が
日系企業が操業
操業できる
できる水準の
できる水準
の工業
工業
団地
団地も
も殆
殆どないため
どないため、日本政府
どないため、
日本政府
日本政府と
と総合商社連合
総合商社連合
総合商社連合が
が F/S(Feasibility Study)
Study)を
を実施中
実施中のティラ
実施中のティラ
ワ
ワ工業団地
工業団地(
工業団地(ヤンゴン
ヤンゴン
ヤンゴン中心市街地
中心市街地から南
中心市街地から
南へ
へ約
約 23Km)
23Km)開発
開発に
に関心
関心が
関心が集まっています
まっています
まっています。
。しか
しか
し
し、社会
社会インフラ
社会インフラ
インフラ分野
分野
分野では
では、
、日本
日本だけではなく
日本だけではなく
だけではなく、
、中国
中国、
中国、韓国
韓国、
、タイ
タイ
タイ、シンガポール
シンガポール
シンガポールなどア
などア
ジア
ジア諸国
諸国に加
諸国に
加え、
、欧米諸国
欧米諸国も取
欧米諸国も
取り
り組みを
みを開始
みを開始して
開始しており
おり、
おり、競争
競争が
が激化
激化
激化しています
しています 例えば
しています。例
えば
えば、
今年 2 月に
に発表
発表
発表された
された
された携帯電話事業
携帯電話事業
携帯電話事業の追加
追加
追加ライセンス
ライセンス供与計画
ライセンス供与計画に
供与計画に対
対しては
しては、
しては、全世界
全世界
全世界の
の携帯
携帯
事業
事業会社
会社の中
会社の
中から
から、
、90
90 社以上
社以上が
が関心表明
関心表明をしています
関心表明を
しています。
しています。
3.ミャンマー市場進出
ミャンマー市場進出
市場進出リスク
リスク
一方
一方、
、日系企業
日系企業のミャンマー
日系企業の
ミャンマー
ミャンマー市場進出
市場進出
市場進出にあたり
にあたり
にあたりまだ
まだリスク
まだリスク
リスクが
が多
多いこと
いこと
いことも
も否定
否定
否定できません
できません
できません。
最近
最近は
は、
、このリスクに
このリスクに
このリスクに焦点
焦点を
を当
当てた
てた「
「過熱
過熱
過熱するミャンマー
するミャンマー
するミャンマー」
」などのタイトルの
などのタイトルの記事も
などのタイトルの記事
も少
少な
からずありますので、以下
からずありますので、
以下にミャンマーの
にミャンマーの
にミャンマーのリスク
リスクについて
リスクについて
について整理
整理してみます。
整理してみます
してみます
① 欧米の
欧米の経済制裁に
経済制裁に関わるリスク
ミャンマー関連記事の中には、欧米諸国が経済制裁を「解除」したと表現する記事もあり
ますが、正確には「凍結」であり、完全になくなったわけではありません。特に米国にお
いては、ミャンマーへの経済制裁が大統領令と法律で複雑に規定されており、完全に解除
するためには、関連の法律を国会で廃止決議するなどの手続きが必要です。更に、米国の
財務省が経済制裁対象を規定している SDN List(Specially Designated Nationals List)に
は、殆どのミャンマーの大手企業がまだ登載されており、ミャンマーで JV を組む有力・有
望な現地パートナーを探すのは、極めて難しい状況です。
②
社会インフラと
社会インフラと法律
インフラと法律の
法律の未整備
電力不足と工業団地不足については前述しましたが、それ以外にもオフィスや住宅の不足
も問題になっています。急なミャンマーブームで、日本のビジネスパーソンでも使えるレ
ベルのホテルは、常に満室状態になっており、この 2 年間で宿泊料が 3 倍以上に跳ね上が
りました。駐在員事務所を開設するオフィスも争奪戦になっており、ヤンゴン市内の中心
地ではオフィスを借りることができず、ヤンゴン郊外に駐在員事務所を構えている日系企
業もあります。更に、日本人駐在員に適したマンションでは、入居希望者が数百人待ちの
状況になっています。
もっと深刻な問題は、各種法制の未整備です。2011 年末から「間もなく発表される」とミ
ャンマーの高官が主張していた外国投資法は 2012 年 11 月に、その施行細則は今年 1 月末
に発表され、漸く日系企業各社が本格的に進出を検討できる最低条件は整ったと思われま
すが、外国投資法だけで進出を決定する訳にはいきません。まだ「経済特区法」「中小企業
法」「商標法」「通信法」などの業法は、改定を検討中か国会で審議中のため、進出する業
種に関わる法律の改定方針と日程を確認する必要があります。
③ 2015 年以降の
年以降の政治リスク
政治リスク
ミャンマーでは、2011 年 3 月に成功裏に民政移管が行われ、現在は政治的に安定していま
す。元の軍事政権に逆戻りする可能性も小さいとされています。しかし、現在のテインセ
イン大統領の任期が終わる 2015 年末以降の政治状況においては、少なからずリスクが残っ
ています。周知の通り、アウンサン・スーチー女史は国民的な英雄であり、2015 年の総選
挙では、彼女が率いる第一野党、NLD(National League for Democracy)が圧勝することが
確実とされています。その場合でも、外国国籍を持つ家族がいるアウンサン・スーチー女
史は、憲法によって大統領にはなれません。今後、この憲法の改正をめぐって与・野党が
対立する可能性があります。仮に、アウンサン・スーチー女史が大統領になるとしても、
彼女と NLD には国政運営の能力がないとの評価が一般的です。また、現政府の要職には、
かつての軍事政権でテインセイン大統領より軍序列で上位だった人物も残っており、2015
年の選挙に彼らがどのような行動に出るのかもまだ予想できません。
4.まとめ
以上、日系企業全般の進出先としてのミャンマーのポテンシャルとリスクについて整理し
てみました。長期的には、ミャンマーが巨大な消費市場として、また「China + 1」の生産
基地として成長していくことは間違いありませんが、現時点では、まだ日系大手企業の現
地生産が進展していないこと、ミャンマー側での主要企業が経済制裁対象に挙げられてい
ること、またミャンマー中小企業であっても外貨保有の面で与信供与が難しい等、中小企
業にとってはまだまだ相当高いハードルが存在していると言えます。従い、中小企業が現
地市場開拓のための輸出・現地生産を検討する場合には、上記の様々なリスクを考えた上
で、慎重に意思決定を行う必要があります。特に、製造業に関しては、安定的な電力供給
と良質の工業団地が確保できない現状では、縫製業と IT オフショア開発などの労働集約的
業種を除く分野に中小企業が進出するのは、かなり厳しい状況です。先ずは日本の官民連
携によりインフラが整備され、ミャンマー政府により各業法が整備されてから、日系企業
の進出が進んで行くのが望ましいと考えます。
(ビジネスデスク
住友商事株式会社)
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