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(地域支援員だより)2015春号(PDF形式 604KB)
さ い き日和 特集 空き家、どうする? 春 2015 地域支援員だより ます んでい し 楽 を し 暮ら さいきの 写真は、3年前に佐伯地域に移住してきた方のお宅。大家さんに、 『好きにリフォームしていいよ』 と言って いただき、薪ストーブを取り付けたり、床を張り替えたりされたそうです。大家さんの思い出のある家を大切に したいと語られていました。 photo by oka mari 福島第一原発事故の被災 者の保養を受け入れるため 元牛小屋が集いの場に。 に古民家を利用している方 友達を呼んでパーティーし もいらっしゃいます。 たり、奥にはドラムセット を置いて音楽スタジオを作 りました。 ロケットストーブを土間 に設置した方のお宅。 暖かさだけでなく、お茶の 時間も豊かに楽しんでいま す。 廿日市市から定住対策というミッション (使命)を与えられた地域支援員。 空き家を移住者に提供するには幾つも の課題があります。家に残してある仏壇や 荷物、親族や近隣住民の方々の理解、思い 出のある家を他人に貸すことへの不安・・・。 空き家を貸すのも解体するのも時間と 労力が必要です。そこで、問題を解決する 糸口になればと思い、今回の特集を組ん でみました。 特集 空き家、どうする? 大家さん インタビュー ━━━まず家を貸すことになったきっかけを 教えてください。 斎藤 親父が亡くなった後、ここ(大虫)に帰る と決めていたんですよ。大虫の僕の家のすぐとな りに、僕より7つか8つ上の人がいて、「大虫住 もうよ、大虫帰ろうね」と言っていたんですよ。 家の周りはほとんど人がいないから、家の周りを フェンスで囲んで、中にシェパードを 2 匹飼って と考えていたんです。その夢もいつの間にか消え てしまったけどね。急におふくろが亡くなって、 家が大きいだけにね、一人で泊まった時に、寒い しものすごく寂しかったんですよ。 「もう、とても住むことできない」と思い、兄弟 で申し合わせをして(空き家になった)家を10 年ほど現状維持しようということになったんで す。 10年が過ぎたころ、大虫の家に定期的に帰っ て草刈りしたり、家の周りを掃除するのが苦にな っていて、どうしようかなと思いながら仕方なし にやっていたわけです。 「あの家が崩れていく姿は、やっぱり人前にさら したくない。」 そういう毎日が続く中で、人を通じて「借りた いという人がいる」という話があったんです。 ━━━家にある荷物はどうされましたか? 斎藤 両親が亡くなってから、2 年くらい放って おいた。欲しいものがあったら持って帰れと兄弟 に言ったんです。そしたらね、ほとんど持って帰 りませんよ。それで僕が整理するのに 5 年くらい かかりましたよ。 ━━━楠田さんと会われて、どのような契約を 交わされましたか? 斎藤 契約書はないです。僕はもう自分のお金 を家に投資するつもりはない、その代わり格安に して貸してあげるよということです。 1990年代の初頭、バブルが崩壊し、仕事のストレス、経済的な理由などで都市で生活するこ とに限界、疑問を感じた人たちが地方に移住し始めました。 阪神淡路大震災、東日本大震災以降、その傾向はさらに強まり「移住したい」「移住してほしい」 というニーズがあり、地域、行政、ともに解決策を模索しているところです。 一方で、すでに移住者に空き家を貸し出しているパイオニア的な存在の大家さんもいらっしゃい ます。栃木県から大虫に移住してこられた楠田家の大家さん、斎藤昭司さん(70歳)にどのよう な過程を経て家を貸し出すことになったのか、また問題点などを、お聞きしました。 ―横井・上田支援員取材― いよいよ貸す段になって井戸の水が出なかった んです。じゃあ思いきって掘ろうって話になった んですね。支払いは、一部を楠田君が出して。簡 単な契約書はいるかもしれない。ある程度自由が きく契約書というか、お互いが協議して決めると いうかたちになると思う。 ━━━実際、貸してみて心配されていることは ありますか? 斎藤 冬の厳しさと交通、病院や小学校のことで す。それに仕事ね。どうやって収入を得るのかと いう・・・楠田君たちは近くに職場があるけど本 当はもう少し便利なところに住んだ方がいいので はと思う。 楠田君みたいな家族が、大虫にあと2家族くら いあったら、全然違いますよ。助け合えるから。 ━━貸して良かったと思うことはありますか? 斎藤 誰も住んでないはずの家に人がいる、しか も子どもがいる。 冬は大虫に行かんけど、夏は2週間に1回くら い行く。その時に楠田君家族がいて、子どももよ くなついてくれて、嬉しいことです。 時には厳しく、時には笑顔で熱く語っていただ きました。斎藤さん、ご協力ありがとうございま た!! り 大虫さくらまつ 開催! 日 4 月 17 ∼ 19 貸したいけれど・・・ いろいろ事情がある空き家 楠田さん家族が住んでいる大虫の斎藤邸 全国的に空き家問題が課題となっている日本。都 心部でさえも新築で建てたマンションが売れ残って 余っていると言われています。 中山間部で家を貸す場合は、家の中だけでなく、 家のまわりや地域の共有財産の管理など複雑な事情 が関わってきます。 都市部と中山間部では、生活習慣が違うため、草 刈りや地域行事の参加など、貸主が当たり前と思っ ていても、借主に伝えないとわからないこともあり ます。 「貸したいけれど、荷物がたくさんで片付けに気が 遠くなりそう」「年に一・二度の墓参りのために家は 残しておく」という声はよく聞かれます。 荷物や仏壇については、借主との話し合いをもち、 片付けてもらったり、お盆に参らせてもらうことを 条件に契約することもあるそうです。処分する場合 は信頼できるお寺などに相談するとよいでしょう。 家を貸すには「不動産業者を仲介する」「空き家 バンクを利用する」「個人で契約する」などの方法が ありますが、どの方法をとるにしても、貸主借主が しっかり話し合い、信頼関係を築くことがとても大 切です。 東京・大阪でも 佐伯をPRしています 廿日市市のブースを設けて相談を受けています 地域支援員は、年に数回東京や大阪で行われ る「移住・定住」のための「定住フェア」や 「U・I ターン相談会」に定住政策担当の職員と同 行しています。その中で多い相談をご紹介しま す。 1 位 転職先について 就職先が決まらないと、引っ越してくるわけ にはいかない。具体的な情報が手に入りにくい ことや、勤務地に関しても土地勘がないので、 なかなか見当をつけにくいことは相談されます。 都市部に比べて給料が安いことも「これでは生 活していけない」「その上、車も買わないと生活 できないなんて無理」との声が聞かれました。 2 位 住居について 移住すれば家賃の安いところに住めると思っていたのに 車の要らない沿岸部の鉄道が利用できるところに住まいを 構えると、東京や大阪とそれほどかわらない家賃に諦めム ードに。「どんなに古くてもいいから、家族 4 人で住めて 一万円くらいだったら!」という具体的な声もありました。 他の市町の中山間部では三千円ほどで契約するケースも多 くあるようです。 3 位 食の安全について 「地元産の食材が手に入りますか?」という質問は多く あります。佐伯では無人販売で野菜を買ったり、農家さん から直接お米を買ったりできることを伝えると喜ばれま す。特に子育て世代の関心は高いです。 地域支援員を 紹介します! 早川幸江(佐伯地域担当) 横井美奈(浅原地区担当) 上田晴彦(玖島地区担当) 地域支援員は、佐伯地域で、地域の皆さんと協力して地域おこしの取り組みや 地域行事、 コミュニティ活動の応援、生活支援の検討などを行っています! 平成26年12月7日、浅原で 「もちつっきー大会」が開催されま した。 浅原地区に住む若い世代から「子 どもを集めてもちつきしたい!!」 「花を植えたい!!」という声があ がりました。 「それでは、もちつき大会の利 益で花の苗を買おう!!」「いいね ∼!!」ということで開催された もちつっきー大会。 き∼大会 浅原もちつっ まちづくりミーティングを月に一度佐伯 支所3階で行っています。 佐伯地域をテーマで切り取りながら、あ れこれ語り合う会です。メンバーは決まっ ていません。普段はなかなか話せない、私 たちの町のことを語り合い、自分の半径数 メートルほどを再び想う。そんな会です。 まちづくりに興味のある人はどなたでも 参加できます。参加希望の方は佐伯支所地 域づくりグループまでお問合せください。 支援員3人もお手伝いさせてい ただきました。地域の方々のご協 力もあり、子どもたちと一緒に楽 しい一日を過ごすことができまし た!! 2月24日に修道大学で「ひろみら FES2014」が開催されました。 ティング まちづくりミー 玖島の支援員として初仕事は看板 の設置でした。11月22日にコミ ュニティの方と古い看板を新しいも のに付け替えました。 事 初めてのお仕 ひろみら FES とは、2014年度に 修道大の学生さんが地域貢献を目的と して廿日市市や広島市で活動した成果 の報告会です。廿日市市では玖島・浅原・ 吉和などで活動をされています。午前 中はポスターセッションで、学生と受 け入れ側の市町ブースが設けられまし た。午後からは学生の発表がありまし た。 学生さんが場慣れした感じで堂々と 発表されることに感心。 来年度も玖島、浅原で活動をされる 予定です。 玖島地区の誇りである、八田家長 屋門・勁操園・大峰登山口・太田洋 子の墓・佐伯歴史民俗資料館等の案 内です。この他に小さい看板もある ので大変分かりやすくなりました。 編 集 後 記 初めての広報誌を悪戦苦闘しながら完成させました。どんな風に 手にとってもらえるかとドキドキです。 今回は「空き家」をテーマに取材させていただきました。斎藤さ んとの話の中で印象に残っているのが「楠田君は僕の家を見て姿が いいなあと。それに惹かれたんよ。そりゃあいいですよ。親父がい いように作ったんじゃけん」という言葉です。移住者と地元の方、 価値観や暮らし方は違っても、同じ夢を見ているように感じました。 14 ひろみら20 編集・発行 地域支援員 早川幸江 横井美奈 上田晴彦 〒738-0292 広島県廿日市市津田 1989 廿日市市佐伯支所地域づくりグループ ℡0829-72-1111