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講義資料[PDF:1.59MB]
観光経営論 観光とマーケティング 2015年11月23日 1 講義内容 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 2 マーケティングの対象 観光業とマーケティングの接点 消費者行動から考える観光 マーケティング戦略から考える観光 サービスとしての観光 サービスのマーケティング・ミックス サービスの海外進出 上原 渉 1.マーケティングの対象 • 製品 • サービス • イベント • 経験 •人 3 1.マーケティングの対象 • 場所 • 資産 • 組織 • 情報 • アイディア 4 2.観光業とマーケティングの接点 場所のマーケティング 農産品のマーケティング サービスのマーケティング 経験作りのマーケティング 観光業は形がないものだけに、マーケティングの果たす 役割が大きい 価値を創り、伝え、届けないと、消費者は分からない 観光は一企業のみで完結できないので、外部との関係 作りという点でも、マーケティングは重要 地域振興、地域ブランド 5 2.企業のマーケティングとの違い マーケティングを行う主体の問題 企業は組織として目的を共有しやすいが、観光地は多様な主体の 集合体 観光地間の競争と観光地内の競争 観光地という主体はない だれがマーケティングを行うのか? 多くの場合、自治体や観光協会 リーダーが誕生する場合も・・・ 目玉となる観光資源にただ乗りをする場合も 誰が資金を負担するのか? ただ乗りを防ぐ仕組みはないのか? 6 B級グルメのブーム 2.観光産業の魅力 デジタル化不能 コピーができない=模倣困難 モノの価値が徐々に低下する環境では、重要な要素 ロイヤリティを作れば、繰り返し購買してくれる 周辺産業への波及効果 輸送産業、ホテル産業、飲食業、エンターテイメント産業・・・ 雇用創出 機械化が難しい コスト競争になりにくい 7 3.消費者行動の立場から 旅行に行くときに、どのような思考プロセスをたどります か? 消費者の意思決定プロセスを知ることは、マーケティン グを考える基礎となります 8 理性的な意思決定と感情的な意思決定 予算制約 想起集合、カテゴリの定義と競合 3.思考プロセス きっかけ:休みである、何かの記念 旅行、家でごろごろ、食事 ・・・ 目的地の決定 観光地で選ぶ(北海道、九州、ハワイ・・・) 観光資源で選ぶ(温泉、山、海・・・) レジャー施設で選ぶ(ディズニーリゾート、USJ・・・) 食べたいもので選ぶ 宿で選ぶ 移動手段で選ぶ 行動の決定 宿泊先の決定 9 3.どの順番で決定しているのか? 当該施設に行きたい その地域に行くならば、必ず行く 中程度のロイヤリティ たまたま近くにあったから 高いロイヤリティ 低いロイヤリティ 顧客の想起集合に入る努力 10 連想の強さ 連想の多様性 連想の独自性 3.どうやって決めるか? 情報探索 広告による認知率向上 ex. ハトヤ ネット等の口コミ なぜ口コミの影響が強いのか? サービス評価の難しさ 体験しないと分からない 11 3.ブランディングの重要性 温泉ランキング(じゃらん温泉ランキング) 箱根 草津 湯布院 別府 登別 泉質が良いから? 温泉の質を評価できますか? 12 「掛け流し」、「町並み」 4.マーケティング戦略と観光:STP セグメンテーション ターゲティング Geographic, Demographic, Psychographic, Behavioral マス、差別化、集中 ポジショニング 差別化、同質化 13 Figure 8-1 Steps in Segmentation, targeting and positioning. ターゲティング ターゲティングの重要性 すべての人を満足させようとすると、だれも満足できない 地理的な制約 デモグラフィクスによる違い ライフスタイル/ライフステージを強く反映 予算制約の違い ファミリー、大人のみ。地域資源と提供価値との相互作用 新規か、リピートか 14 変化はリピート客が離れるきっかけになる場合も Taking Care of those Who Take Care of Customers “You serve, but you are not servants.” “We are ladies and gentlemen serving ladies and gentlemen.” 15 ポジショニング 顧客にどのように認識されたいのか? 価格軸+α 知覚マップをかく 観光地のポジショニングと、 自分の施設のポジショニング 16 沖縄か、星野リゾートか 5.サービスとしての観光業 Figure 2-1 Four service characteristics. 17 サービスの特徴と対策 無形性:モノがない 形があるものを評価する。形がないものを保証する。 従業員のサービスよりも、施設 最低限のサービスを保証 外部団体の評価 同時性(不可分性):サービス提供者と一体 18 大量生産できない 需要と供給のバランスを取るのが難しい 消費者と生産者が同時に、同じ場所にいる必要がある サービスの特徴と対策 変動性:サービス品質が安定しない 従業員の教育 システム化、マニュアル化 チェック体制の整備 消滅性:サービスは保存できない 需要と供給のバランス 繁忙期に合わせて供給体制を作ると、コスト高 需要を調整するプライシング Ex. 空室をなくすマネジメント 19 6.サービスの7P Product:提供するサービス Price:消費者が負担するコスト Place:販売チャネル Promotion:広告・広報、コミュニケーション、ブランド管理 People:従業員のマネジメント Process:サービスが提供される過程 要求に応える、共感する 標準化vs.カスタマイズ、消費者の参加 Physical Evidence:物理的な証拠 20 経験の一部、品質評価の手がかり インターナル・マーケティング Figure 2-3 Three types of marketing in service industries. 21 星野リゾートの人材マネジメント ホテルや旅館の従業員は、一般的に専門化する傾向 従業員の多能工化 部屋係、清掃係、配膳係、広告・広報係・・・ セクショナリズムと、経営人材の育成に問題 組織を顧客に最適化する なんでもやる従業員 コストの削減と、顧客ニーズの把握 人材育成スピードの向上 フラットな組織 22 ユニット・ディレクターは、希望者から 7.サービスの海外進出 加賀屋 「おもてなし」というキーワードで、必ず出てくる旅館 大規模旅館:部屋数は232室、最大1400人 プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選 35年連続1位 おもてなしのノウハウを台湾に 日勝生加賀屋国際温泉飯店 23 サービスの解釈 特定の客室係が、部屋でお茶を入れてくれたり、食事の 準備をしてくれたり・・・。 たくさんの宿泊客に対して立派な建物で迎える おもてなし プライバシーがない 高級感 マス向け 台湾の人はどちらに感じるでしょう? 24 ターゲット顧客のギャップ 部屋係は日本語を話す、台湾人 日本人向け? 台湾で日本旅館に泊まりたいセグメントは? コスト増 現地化と標準化 25 日本で提供する「おもてなし」と、台湾で提供する「おもてなし」 は同じか? 提供するのは製品(サービス)か、価値か?