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今日の臨床サポート - IgA血管炎

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今日の臨床サポート - IgA血管炎
□ 薬剤の保険適⽤ ご確認のお願い
□ 「評価・治療例(詳細)」ページの薬剤に、保険適⽤表記を追記させていただきましたので、ご確認をお願いします。
□ 疾患に対して、記載されている薬剤処⽅は保険適⽤があるのかないのか、また、⽤量内なのかを読者が確認できるようにすることを⽬的としていま
す。
□ この保険適⽤情報は、エルゼビアの責任として、レセプトチェックソフトなどを参考に案を作成しておりますが、先⽣のコンテンツに掲載すること
から、違和感がないかなど、公開前に先⽣に内容をご確認いただけたらと考えております。
□ 添付⽂書記載の保険適⽤の内容が査定の現場の内容と異なることがあります。例えば、筋緊張型頭痛は、厳密にはロキソニンの保険適⽤外です。し
かし、慣習的に⽤いられており査定対象にならないことがあります。このような場合には、“筋緊張型頭痛は厳密にはロキソニンの適⽤外だが、査
定の対象とならないこともある”のような記載を付け加えられたらと考えています。このような記載が必要かどうかについて、先⽣の現場の感覚に
てご指導を御頂戴できたら幸いです。
注釈 「評価・治療例(詳細)」の下に、以下のような注釈を掲載
薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェックソフトなどで確認し
作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険適⽤外と判断されることを保証するもので
はありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。
疾患のコンテンツの例:⾚芽球癆
疾患のコンテンツについての表現⼀覧
記載(〇〇には病名が⼊ります)
[適⽤内/⽤量内/㊜○○]
[適⽤内/⽤量適宜増減2倍以下㊜
○○]
[適⽤内/⽤量適宜増減2倍超㊜
○○]
[○○では適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜
○○]
[○○では適⽤外/他適⽤⽤量適宜
増減2倍以下/㊜○○]
[○○では適⽤外/他適⽤⽤量適宜
増減2倍超/㊜○○]
2016/06/02
意味
薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量も範囲内
薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量は添付⽂書量を超えるが2倍以内で、添付⽂書の適宜増減の記載
により⽤量内になりえる
薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量は添付⽂書量の2倍超で、添付⽂書に適宜増減の記載はあるが、
⽤量外になる可能性あり
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⽤量は範囲内
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。⽤量は添付⽂書量を超えるが2倍以
内で、添付⽂書の適宜増減の記載により⽤量内になりえる
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。⽤量は添付⽂書量の2倍超で、添付
⽂書に適宜増減の記載はあるが、⽤量外になる可能性あり
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[適⽤内/⼩児⽤量内/㊜○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量も存在し、その範囲内
[適⽤内/⼩児⽤量外/㊜○○]
[適⽤内/⼩児⽤量記載無/㊜○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量は存在するが、その範囲外
薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量が存在せず、成⼈での⽤量範囲内
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⼩児⽤量が存在し、
その範囲内
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⼩児⽤量が存在し、
その範囲外
海外の薬剤など
[○○では適⽤外/他適⽤⼩児⽤
量内/㊜○○]
[○○では適⽤外/他適⽤⼩児⽤
量外/㊜○○]
[薬価未収載]
症状のコンテンツの例:全⾝浮腫
症状のコンテンツについての表現⼀覧
記載(〇〇には病名が⼊ります) 意味
[⽤量内/㊜××]
薬剤の⽤量が、病名××に対する⽤量として⽤量内である
薬剤の⽤量が、病名××に対する添付⽂書量を超えるが2倍以内である。添付⽂書に適宜増減などの記載
[⽤量適宜増減2倍以内/㊜××]
がある
薬剤の⽤量が、病名××に対する添付⽂書量の2倍超で、添付⽂書に適宜増減の記載はあるが、⽤量外に
[⽤量適宜増減2倍超/㊜××]
なる可能性ある
[⼩児⽤量内/㊜××]
薬剤の⽤量が、病名××に対する⼩児⽤量として⽤量内である
[⼩児⽤量外/㊜××]
薬剤の⽤量が、病名××に対する⼩児⽤量の範囲外である
[⼩児⽤量記載無/㊜××]
薬剤の⽤量が、病名××に対する成⼈での⽤量範囲内であり、⼩児⽤量は存在しない
[薬価未収載]
海外の薬剤など
2016/06/02
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■評価・治療例(詳細)
#1458
IgA⾎管炎
陳科榮
⽬⿊陳⽪膚科クリニック
初診時
対象患者・コメントを隠す/表⽰する
※下記は、⼀部を除き、執筆者が過去に診た20⼈の患者で2⼈以上に⾏った事を羅列して頂いています。実際の1⼈の患者に
⾏った内容は、下記の⼀部分であることを了解下さい。
評価⽅針
⽪疹の評価(紫斑の形態、分布)
関節痛、腎症状や消化管症状などの合併症の有無
発症年齢(20歳以下か、20歳以上の成⼈か)
アルゴリズム([ID0701])を参照
診 察
臨床所⾒全体像の確認
対象:
IgA⾎管炎を疑う患者(推奨度1)
コメント:
紫斑、腎臓、消化管、関節などの好発臓器病変以外に、まれに頭痛、脳内出⾎などの中枢神経症状や
肺出⾎、睾丸痛などの症状もみられる。
初診時の症状から①紫斑のみ、②紫斑、腹痛、③紫斑、腎症(⾎尿、蛋⽩尿)、④紫斑、腹痛、腎症
――と4つのグループに分けられるが、腎症や腹症状はそれぞれ数⽇後や数週後に現れることもあ
る。予後を左右する腎症状の再確認が⼤事である。
検体検査
CBC, CRP, ESR, BUN, Cr, AST, ALT, γ-GTP
対象:
IgA⾎管炎を疑う患者(推奨度1)
IgA, IgG, IgM, 抗核抗体[FA], RAテスト, C3, C4, ⾎清補体価, HBs抗原[CLIA], HBs抗体[PA], HCV抗体
[CLEIA], クリオグロブリン, MPO-ANCA, C-ANCA(PR3ANCA), ASO, 凝固因⼦活性検査第ⅩⅢ因⼦
〔F13〕
対象:
IgA⾎管炎を疑う患者(推奨度1)
尿⼀般
対象:
IgA⾎管炎を疑う患者(推奨度1)
コメント:
⾎尿、蛋⽩尿の有無。
腎症状は⾃覚症状がないので、必ず全員施⾏。
腎腫瘍、尿管や膀胱などの尿道疾患による⾎尿と区別するため、⾚⾎球の形態、円柱沈渣等の確認が
必要である。場合によって蓄尿による1⽇蛋⽩尿の定量測定も必要。
便潜⾎
対象:
紫斑と腹痛を伴う患者、または紫斑と腎症を伴う患者
⽪膚⽣検
対象:
特に20歳以上、紫斑を認める患者(推奨度1)
コメント:
⽣検のタイミングとコツ: 2カ所より⽣検を⾏う。
HE染⾊標本⽤:浸潤を触れる紫斑(palpable purpura)や⼩⾎疱直接蛍光抗体法検査⽤:初期の⽪疹
(紅斑や紫斑)
72時間以後の⽪疹には有意な⾎管炎所⾒や⾎管壁へのIgAの沈着([ID0608])の所⾒が得られない
ことが多い。
⽪膚⽣検による真⽪⼩⾎管炎の病理組織学的所⾒
点状や斑状紫斑:真⽪浅層から中層までの細静脈に核塵を伴う好中球浸潤を主体とした⾎管炎、いわ
ゆる⽩⾎球破砕性⾎管炎(leukocytoclastic vasculitis)である。[ID0602][ID0604]
⾎疱や浸潤の強い紫斑([ID0606]):真⽪全層におよぶ細静脈の⽩⾎球破砕性⾎管炎の像を呈す
る。[ID0607]
治療⽅針
治療と対策は臓器症状の重症度に応じた治療法を選択する。
腸重積、穿孔や⼤量出⾎の重症腸管合併例は外科⼿術の適応となる。
増悪因⼦の除去:上気道(扁桃、咽頭)の細菌感染があるとき抗菌薬の併⽤。下肢の負荷に
よる運動や⽴ち仕事の制限。極⼒安静を保つ。腫瘍随伴性や薬剤性のものは、それぞれ、腫
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瘍の治療、疑われる薬剤の中⽌が必要。
治 療
副腎⽪質ステロイド
プレドニゾロン錠「タケダ」 [5mg] 4錠 分1〜2 [適⽤内/⽤量内/㊜IgA⾎管炎](編集部注:本ページで想
定する適⽤病名「IgA⾎管炎」/2015年7⽉)
薬剤情報を⾒る
対象:
紫斑のみを認める患者(重度例)(推奨度2)
コメント:
安静のうえレクチゾールまたはプレドニゾロンを投与する。PSLとレクチゾールは併⽤はしない。⼀
般的に最初はレクチゾールを使⽤する。
抗菌薬(ハンセン病治療薬)
レクチゾール錠[25mg] 2〜3錠 分2〜3 [適⽤内/⽤量内/㊜IgA⾎管炎]
薬剤情報を⾒る
対象:
紫斑のみを認める患者(重度例)(推奨度2)
コメント:
安静のうえレクチゾールまたはプレドニゾロンを投与する。PSLとレクチゾールは併⽤はしない。⼀
般的に最初はレクチゾールを使⽤する。
NSAIDs(プロピオン酸系)
ロキソニン錠[60mg] [IgA⾎管炎は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜変形性関節症]
薬剤情報を⾒る
対象:
関節痛や軽度の腹痛のみられる患者(推奨度2)
コメント:
安静のうえロキソニンとレクチゾールを併⽤する。
抗菌薬(ハンセン病治療薬)
+
レクチゾール錠[25mg] 2〜3錠 分2〜3 [適⽤内/⽤量内/㊜IgA⾎管炎]
薬剤情報を⾒る
対象:
関節痛や軽度の腹痛のみられる患者(推奨度2)
コメント:
安静のうえロキソニンとレクチゾールを併⽤する。
副腎⽪質ステロイド
プレドニゾロン錠「タケダ」 [5mg] 1mg/kg/⽇ 1〜2週間で漸減 [適⽤内/⽤量内/㊜IgA⾎管炎]
薬剤情報を⾒る
対象:
激しい腹痛、消化管出⾎のみられる患者(推奨度2)
コメント:
プレドニンはいずれか1つを⽤いる。[ID0609]
⽔溶性プレドニン[50mg] 1mg/kg/⽇ 静注 1〜2週間で漸減
1〜2週間後、PSLステロイド後療法経⼝へ40mg//⽇より開始、徐々に減量、1週間ごと5〜10 mg//⽇減
量。 [適⽤内/⽤量内/㊜IgA⾎管炎]
薬剤情報を⾒る
対象:
激しい腹痛、消化管出⾎のみられる患者(推奨度2)
コメント:
プレドニンはいずれか1つを⽤いる。[ID0609]
⾎漿分画製剤
フィブロガミンP静注⽤ 12〜20ml/⽇ 3⽇連続点滴静注
薬剤情報を⾒る
対象:
⾎液第ⅩⅢ因⼦の低下例に伴う腹痛や関節痛のみられる患者(推奨度2)
抗⾎⼩板薬(ホスホジエステラーゼ阻害薬)
ペルサンチン錠[100mg] 5mg/kg/⽇、最⼤400mg/⽇ 分3〜4 [アナフィラクトイド紫斑は適⽤外/他適
⽤⽤量内/㊜ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群]
薬剤情報を⾒る
対象:
軽度の腎症(⾎尿のみ、または1g/⽇以下の蛋⽩尿)の患者(推奨度2)
その他
メチルプレドニゾロンパルス療法とステロイドの後療法、またはステロイドと免疫抑制剤(エンドキサン 50
〜100mg/⽇、イムラン 50〜100mg/⽇、ネオーラル 3mg/kg/⽇、ブレディニン 100〜150mg/⽇)との
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併⽤
対象:
重症の腎症(ネフローゼ症候群や半⽉板形成腎炎など)の患者(推奨度2)
コメント:
その他、⾎漿交換療法、免疫グロブリン⼤量療法や扁桃摘出も試みられている。
コンサルト
腎臓内科
対象:
⾁眼的⾎尿や⾼蛋⽩尿(蛋⽩尿が1⽇3.5g以上)を認める進⾏性腎症を認める患者(推奨度2)
コメント:
腎⽣検の適応になるのでただちに依頼する必要がある。
消化器内科
対象:
強い腹痛および⼤量下⾎を認める患者(推奨度1)
コメント:
当⽇早急に受診、腹部超⾳波や腹部CT検査や緊急内視鏡検査が必要。⼩児は腹部超⾳波や腹部CT検
査、成⼈は内視鏡検査が有⽤。
再診・⼊院の指⽰
症状改善後、6カ⽉まで⽉1回フォローアップ
対象:
IgA⾎管炎と診断された患者(推奨度2)
推奨度1:明らかに利益が害やコストよりも上回る。必ず⾏う必要があり得る⾏為。
推奨度2:害、コストよりも、利益が上回る可能性が⾼い。半数以上の状況で⾏われ得る⾏為。
推奨度3:利益よりも、害、コストが、上回る可能性が⾼い。半数以下の状況で⾏われ得る⾏為。
推奨度4:明らかに利益が害やコストよりも下回る。医学的に原則禁忌といわれている⾏為。
(詳細はこちら参照)
※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェッ
クソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険
適⽤外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬
剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
最終更新⽇ : 2016年6⽉2⽇
<<ページ末尾:#situationDetails6.aspx?DiseaseID=1458&situationno=1>>
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■評価・治療例(詳細)
#1458
IgA⾎管炎
陳科榮
⽬⿊陳⽪膚科クリニック
フォローアップ時
対象患者・コメントを隠す/表⽰する
※下記は、⼀部を除き、執筆者が過去に診た20⼈の患者で2⼈以上に⾏った事を羅列して頂いています。実際の1⼈の患者に
⾏った内容は、下記の⼀部分であることを了解下さい。
評価⽅針
⽪疹や関節痛、消化管症状の有無の確認:視診、問診、触診および検便。症状によって腹部
エコー、CTおよび内視鏡の導⼊も必要。
⾎液検査(CBC、CRP、⾎沈、BUN、Cr、肝機能⽣化学、ⅩⅢ因⼦)
検尿:病初期は腎⾃覚症状がなく、⼀般的に⾎尿を認める腎障害は紫斑の出現から3カ⽉ま
での間に出現することが多いので、 初診後も少なくとも6カ⽉間の検尿が必要である。
検体検査
CBC, CRP, ESR, BUN, Cr, AST, ALT, γ-GTP, 凝固因⼦活性検査第ⅩⅢ因⼦〔F13〕
対象:
IgA⾎管炎のフォローアップ時(推奨度1)
尿⼀般<尿>
対象:
IgA⾎管炎のフォローアップ時(推奨度1)
⽣理・画像検査
腹部エコー
対象:
IgA⾎管炎のフォローアップ時(推奨度3)
CT
対象:
IgA⾎管炎のフォローアップ時(推奨度3)
内視鏡
対象:
IgA⾎管炎のフォローアップ時(推奨度3)
治療⽅針
初診時の症状治療に準ずる。
推奨度1:明らかに利益が害やコストよりも上回る。必ず⾏う必要があり得る⾏為。
推奨度2:害、コストよりも、利益が上回る可能性が⾼い。半数以上の状況で⾏われ得る⾏為。
推奨度3:利益よりも、害、コストが、上回る可能性が⾼い。半数以下の状況で⾏われ得る⾏為。
推奨度4:明らかに利益が害やコストよりも下回る。医学的に原則禁忌といわれている⾏為。
(詳細はこちら参照)
※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェッ
クソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険
適⽤外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬
剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
最終更新⽇ : 2016年6⽉2⽇
<<ページ末尾:#situationDetails6.aspx?DiseaseID=1458&situationno=2>>
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■トップページ
IgA⾎管炎
#1458
監修:宮地良樹 滋賀県⽴成⼈病センター
陳科榮
⽬⿊陳⽪膚科クリニック
概要
疾患のポイント:
IgA⾎管炎(同義語:Henoch-Schönlein紫斑、アナフィラクトイド紫斑)とは下腿の紫斑を必
発とし、腎、消化管および関節症状を合併し、⾎管壁やメサンギウム領域にIgA沈着を認める
IgA免疫複合体⾎管炎である。
IgA⾎管炎は、⼩児や⻘少年に多いが、ときには成⼈にもみられる。
⼩児は上気道感染の先⾏、腹痛を伴うことが多い。⼀⽅、成⼈例は腎合併症が多く、しかも重
症になりやすいのが特徴である。
診断:[ID0011] [ID0701]
下腿の触知性紫斑を呈する症例で20歳以下、特に⼩児の場合は圧倒的にIgA⾎管炎が多い。
⼀⽅、成⼈例には他の⾎管炎も多いので、20歳以下の診断基準と分ける必要がある。20歳以上
の診断基準により、他の⾎管炎と区別することができる。
20歳以下はpalpable purpura (触知性紫斑)(必須基準:100%)以外に、下記の4項⽬の
うち、1項⽬以上があれば、IgA⾎管炎と診断する。
広範囲な腹痛(特に⾷後)ないし消化管出⾎(50〜65%)
⽪膚⽣検像:真⽪⼩⾎管炎像、または⾎管壁のIgA沈着像
関節痛(炎)(60〜75%)
腎障害(⾎尿and/or蛋⽩尿)(50%)
20歳以上(20歳含む)はpalpable purpura (触知性紫斑)を認める以外、下記の2項⽬を満た
す必要がある。 病理組織学的に真⽪⼩⾎管炎像[ID0602] [ID0604] [ID0607]
⽪膚の⾎管壁([ID0608] [ID0610]画像f)または⽷球体メサンギウムにIgAの沈着
([ID0613])
関節痛(主に膝や⾜関節)、腎症および消化管症状を合併するが、腎症や腹症状はそれぞれ紫
斑より数⽇後や数週後に現れることもある。
腎症は予後を左右するが、⾃覚症状がないので、初診後も少なくとも6カ⽉間の検尿が必要で
ある。
適切な⽪膚⽣検は正確な病理診断につながる:より浸潤を触れる紫斑病変部から⽣検を⾏う。
重症度・予後:[ID0013]
重症度:
軽症:紫斑のみ
中等症:軽度の腎症状や消化管症状を合併
重症:持続性⾎尿、蛋⽩尿、ネフローゼなどの腎症状
最重症(まれ):腸穿孔、⼤量出⾎などの重症消化管症状や肺胞出⾎、脳出⾎などの致命
的合併症
予後:
⼤半の症例は3〜4週間で軽快するが、再発は約1/3の症例にみられる。進⾏性腎不全や末
期の腎障害にならない限り、予後はよい。
治療:[ID0014] [ID0701]
治療や対策は臓器障害の重症度によって異なり、⽪疹と関節痛は安静や短期間のジアフェニル
スルホン(DDS)や⾮ステロイド抗炎症薬の投与でよいが、重症消化管症状は消化器内科や外
科、腎症は腎内科と連携して的確な診断のもとに治療に当たる必要がある。(診断と治療のア
ルゴリズム[ID0701]を参照)
専⾨医相談のタイミング:[ID0017]
持続性蛋⽩尿、⾎尿を伴う場合は腎内科、激しい腹痛、下⾎は消化器内科、腸重積や穿孔症例
は外科などの専⾨医への緊急受診が必要である。
臨床のポイント:
多くは上気道感染が先⾏するIgA 免疫複合体⾎管炎であり、腹痛・関節痛・腎障害を伴うこと
がある。
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臨床的に触知性紫斑が特徴であるが、⽪膚⽣検により⾎管炎や⾎管壁のIgAの沈着で確定診断
する。
腎障害や消化器症状に留意し、専⾨医と連携した診療が必要である。
※「臨床のポイント」は監修者による執筆です。
評価・治療の進め⽅
※選定されている評価・治療は⼀例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。
■初診時紫斑以外の腎症や消化管症状を評価するための検査例
⾃覚症状のない腎症を伴う場合が多いので腎機能の評価が必要である。
○ 尿検査は、⾎尿、蛋⽩尿の所⾒以外に、腎炎の所⾒を⽰す異常⾚⾎球形態の有無を確認する必要
がある。
1)尿⼀般
2)便潜⾎
■確定診断のための検査例
確定診断は⽪膚⽣検による病理組織学的に⾎管炎の確認と蛍光抗体法にて⾎管壁のIgA沈着所⾒が
必要
2カ所より⽪膚⽣検を⾏い、1カ所はHE染⾊標本⽤、もう1カ所は直接蛍光抗体法⽤(3mmトレ
パン⽣検でよい)
○ ⽪膚⽣検は可能な限り⽪疹出現48時間以内の新しい病変より採取する。
1)⽪膚⽣検
■治療例
臓器障害の重症度により治療対策が異なる。
⽪疹症状のみの場合は安静やDDSの短期投与、重症の腎症や消化管症状の場合はステロイドの投
与と腎臓内科、消化器内科との連携が必要。
○ 紫斑のみでは1)か2)、関節痛や軽度の腹痛では3)、激しい腹痛を認めたときは4)を⽤いる。
1)レクチゾール錠[25mg] 2〜3錠 分2〜3 [適⽤内/⽤量内/㊜IgA⾎管炎](編集部注:想
定する適⽤病名「IgA⾎管炎」/2015年7⽉)
薬剤情報を⾒る
2)プレドニゾロン錠「タケダ」 [5mg] 4錠 分1〜2 [適⽤内/⽤量内/㊜IgA⾎管炎]
薬剤情報を⾒る
3)ロキソニン錠[60mg] [IgA⾎管炎は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜変形性関節症]
薬剤情報を⾒る
+
3)レクチゾール錠[25mg] 2〜3錠 分2〜3 [適⽤内/⽤量内/㊜IgA⾎管炎]
薬剤情報を⾒る
4)プレドニゾロン錠「タケダ」 [5mg] 1mg/kg/⽇ 1〜2週間で漸減 [適⽤内/⽤量内/
㊜IgA⾎管炎]
薬剤情報を⾒る
追加情報ページへのリンク
IgA⾎管炎に関する詳細情報
IgA⾎管炎に関する評価・治療例(詳細) (2件)
初診時
フォローアップ時
IgA⾎管炎に関する画像 (27件)
※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェッ
クソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険
適⽤外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬
剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
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著者のCOI(Conflicts of Interest)開⽰: 陳科榮:特に申告事項無し
監修:宮地良樹:特に申告事項無し
最終更新⽇ : 2016年6⽉2⽇
<<ページ末尾:#searchDetails4.aspx?DiseaseID=1458>>
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■詳細情報
#1458
IgA⾎管炎
陳科榮
⽬⿊陳⽪膚科クリニック
病態・疫学・診察
疾患情報(疫学・病態) [ID0001]
疫 学:
約75%の患者は3〜15歳の⼩児や少年であり、秋、冬期に多く、夏は少ない。年間発症率数は
17歳以下の⼈⼝10万⼈あたり15⼈である。
⽪膚、消化管、腎⽷球体腎炎および関節痛などの症状がみられ、これらの症状は数⽇から数週
の間隔をあけてみられる。
⼥児よりやや男児に多い傾向(1:1.4)があり、成⼈では⼀般に発病率は少なく性別差もな
い。
2歳以下の乳幼児の発症はまれだが、上気道感染後、顔⾯や上腕に⼀過性の浮腫と出⾎斑を呈
する乳幼児急性出⾎性浮腫(acute hemorrhagic edema of infancy)が特徴で、圧倒的に男
児に多い。[ID0612]
病 態:
IgA⾎管炎(同義語:Henoch-Schönlein紫斑、アナフィラクトイド紫斑[anaphylactoid
purpura、AP])は⽪膚、腎に蛍光抗体法にてIgA、C3の沈着がみられ、患者⾎中にIgA⾼値お
よびIgA免疫複合体陽性を認めるので、IgA(主にIgA1)免疫複合体⾎管炎であると考えられ
ている。
その発症機序はまだはっきりわからないが、免疫複合体が主に細静脈(⽑細⾎管や細動脈も)
の微⼩⾎管壁に沈着し、そのIgA1のhinge 部分が細菌やウイルスなどの作⽤によって⾼分⼦化
されることで、補体を活性化する。補体の活性は古典的経路を介さず、alternative 経路によ
り、その過程で⽣じたC3やC5が好中球を遊⾛、活性化させ、その好中球から出された細胞毒
性顆粒蛋⽩(特にエラスターゼ)や活性酸素が内⽪細胞をはじめとする⾎管壁の破壊を来し、
⾚⾎球や⾎漿成分を含む⾎管内成分が⾎管外へ漏出する病態である。
⾎管炎をもたらすと同時に、腎のメサンギウムのIgA受容体にも結合して、メサンギウム細胞
の増殖を促進する病態に関与すると考えられる。
⼩児患者の半数は上気道感染に続いて発症するので、溶連菌やパルボウイルスなどの感染病原
体、また成⼈例は悪性腫瘍や薬剤が関与する例もあるが、抗原を断定することは難しい。
予 後:
⼤半の症例は3〜4週間で軽快するが、再発は約1/3の症例にみられる。
進⾏性腎不全や末期の腎障害にならない限り、予後はよい。
ほぼ必発の⽪疹と腎炎の病勢の相関性は必ずしも⼀致しないが、躯幹まで及ぶ広範囲の⽪疹と
⾎疱を混じた症例には、腎症の合併が多い。
成⼈例は⼩児より腎症の頻度が⾼く、しかもより重症になる傾向がある。
腎疾患合併例は、未治療時、腎不全に⾄る可能性があるので、適切な治療と経過観察が必要で
ある。
問診・診察のポイント [ID0002]
問診:
初発か再発か、いつからか。
紫斑以外の症状:関節痛、腹痛や腹部不快感、倦怠感、発熱、⾷欲低下などの全⾝症状
既往歴:下腿の紫斑、関節痛、腹痛などの同様な臨床症状を呈するChurg-Strauss症候群など
の他の⾎管炎症候群や膠原病、感染性⼼内膜炎などの⼆次的⾎管炎とを区別するため、喘息
(Churg-Strauss症候群)、膠原病、⼼臓弁疾患などの既往歴の有無を確認する必要がある。
増悪因⼦:運動誘発、薬剤誘発の可能性(ACE阻害薬、アンピシリン、クラリスロマイシン、
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)、および1〜3週間前の上気道感染(扁桃痛、咽頭痛、咳)
の有無(特に半数以上の⼩児)、成⼈はまれに腫瘍随伴性例もある。
診察:
⽪疹:紫斑の形態(紫斑のみか、⾎疱を伴う)、分布(下腿限局か、躯幹、上肢、顔⾯まで
か)
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関節痛(炎):⾜と膝関節の腫脹を伴う疼痛や圧痛
消化管症状(軽症:嘔気、嘔吐、軽度腹痛。劇症:びまん性腹痛、疝痛、激しい嘔吐、下⾎)
腎症状(⾎尿、蛋⽩尿)
その他の合併症:発熱、⾎圧、眼結膜貧⾎の有無、倦怠感などの理学的所⾒の有無(まれに中
枢神経、肺、眼症状)
腎症と消化管症状の重症度は予後を左右する。
診断⽅針
0:想起 [ID0010]
下腿に紫斑の出現、同時またはその後に関節痛/炎、腹痛、または腎症(⾎尿・蛋⽩尿)を伴う
場合はIgA⾎管炎を想起する。
1:診断 [ID0011]
診断のポイント:
⽪疹(100%):下腿の浸潤を触れる触知性紫斑(palpable purpura)[ID0601] [ID0603]
[ID0605] [ID0606] [ID0610] [ID0611]では、圧迫される部位にケブネル現象を呈する線状
紫斑が特徴([ID0605])。最初の⽪疹は両下腿に対称的な紅斑や膨疹、次第に浸潤を触れる
点状や⼤⾖⼤(0.3mm~2cm⼤)までの紫斑、ときに紫斑が融合し、出⾎斑局⾯の形成や⽔
疱、⾎疱、潰瘍まで形成する。[ID0606] [ID0610]
⽪疹分布:下腿に多いが、前腕、⼤腿、殿部、顔⾯、まれに躯幹にまでみられる。躯幹まで広
範囲な⽪疹は⼩児に多いが([ID0611])、まれに成⼈にもみられる([ID0610])。2歳以下
の乳幼児では顔⾯と上肢に好発。[ID0612]
関節痛(60〜75%):膝と⾜関節部に好発、まれに指や⼿⾸関節も、浮腫と圧痛や⾃発疼痛
を呈するが関節破壊はない。
腹部症状(50〜65%):鋭く発作的な激痛が多いが、下痢性⾎便または腹痛のない潜⾎便も
ある。まれに腸重積(⼩児例)や腸穿孔、⼤量出⾎の症例は外科⼿術の適応になる。⼗⼆指腸
や⼩腸の病変が多いが、腸管の多発性潰瘍もある。
腎症状(50%):予後を左右するが、⾃覚症状はないので、検尿による⾎尿や蛋⽩尿の確認。
ネフローゼなどの腎症状があれば下腿の浮腫が強くなる。
⼩児は上気道感染の先⾏、腹痛を伴うことが多い。⼀⽅、成⼈例は腎合併症が多く、しかも重
症化しやすいのが特徴である。
適切な⽪膚⽣検は正確な病理診断につながる:より浸潤を触れる紫斑病変部から⽣検を⾏う。
診断:[ID0701]
診断基準:下腿の触知性紫斑を呈する症例で20歳以下、特に⼩児の場合は圧倒的にIgA⾎管
炎が多い。⼀⽅、成⼈例には他の⾎管炎も多いので、20歳以下の診断基準と分ける必要があ
る。20歳以上の診断基準により、他の⾎管炎と区別することができる。
20歳以下はpalpable purpura (触知性紫斑)(必須基準)以外に、下記の4項⽬のう
ち、1項⽬以上があれば、IgA⾎管炎と診断する。
広範囲な腹痛(特に⾷後)ないし消化管出⾎
⽪膚⽣検像:真⽪⼩⾎管炎像、または⾎管壁のIgA沈着像
関節痛(炎)
腎障害(⾎尿and/or蛋⽩尿)
20歳以上(20歳含む)はpalpable purpura(触知性紫斑)を認める以外、下記の2項⽬
を満たす必要がある。 病理組織学的に真⽪⼩⾎管炎像[ID0602] [ID0604] [ID0607]
⽪膚の⾎管壁([ID0608] [ID0610]画像f)または⽷球体メサンギウムにIgAの沈着
([ID0613])
2:疾患の除外 [ID0012]
ポイント:
2歳以上のIgA⾎管炎には下腿の紫斑を必ず認める。それを認めない場合、IgA⾎管炎は除外さ
れる。
鑑別疾患:
触知性紫斑(palpable purpura)はIgA⾎管炎をはじめ、真⽪⼩⾎管炎を呈する多くの⾎管炎
疾患に共通の所⾒である。特に、全⾝症状はないが下腿の紫斑を呈する⽪膚アレルギー性⾎管
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炎の症例([ID0614])、またはChurg-Strauss症候群([ID0616])、顕微鏡的多発⾎管炎な
どのANCA関連⾎管炎や感染性⼼内膜炎[ID0618]、慢性C型肝炎([ID0617])などの感染症、
および関節リウマチ[ID0615]や全⾝性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病にみられる下腿
紫斑の症例は、同様の紫斑、関節痛、腹痛、⽷球体腎炎など共通の臨床症状を呈するため、⽪
膚の病理組織所⾒のみでは鑑別できない。IgA⾎管炎には喘息、好酸球⾎症、末梢単神経炎、
MPO-ANCA陽性、膠原病を⽰唆する抗体等の諸所⾒がない点、および真⽪⾎管壁や腎⽷球体に
IgA沈着像の特徴的な所⾒が鑑別点となる。
またIgA⾎管炎は、ときに特発性⾊素性紫斑([ID3603])、電撃性紫斑([ID3604])、特発
性⾎⼩板減少性紫斑([ID3605])などの⾮⾎管炎疾患のようなはっきりとした紫斑を触れな
いこともあるので、⽣検像や関節痛、腹痛、腎炎などの臨床と検査所⾒を併せて鑑別する必要
がある。
治療⽅針
3:原因疾患・合併疾患 [ID0022]
上気道の細菌感染、特に⼩児が多いので扁桃、咽頭粘膜の病原菌同定が必要。
⼤⼈はまれに薬剤や肺癌などの固形癌が原因疾患の場合があり、それらについての検索も必
要。
4:重症度・予後 [ID0013]
軽症:紫斑のみ
中等症:軽度の腎症状や消化管症状を合併
重症:持続性⾎尿、蛋⽩尿、ネフローゼなどの腎症状
最重症(まれ):腸穿孔、⼤量出⾎などの重症消化管症状や肺胞出⾎、脳出⾎などの致命的合
併症
5:治療 [ID0014]
重症度による治療の決定
軽症は安静のみまたはジアフェニルスルホン(DDS)の投与。腸管穿孔、⼤量出⾎などの最重
症は開腹⼿術も必要。アルゴリズム([ID0701])を参照。
6:⼿術適応・⼿術の選択 [ID0021]
腸重積、腸穿孔、消化管⼤量出⾎などの緊急重症消化管合併症
7:フォローアップ⽅針 [ID0015]
治療期間の⽬安は軽症例2週間、プレドニゾロン(PSL) 1mg/kg/⽇投与を要する重症例は3
カ⽉間。
数週間〜数カ⽉以内に再発することが多いので、⽉1回のフォローアップ、経過に合わせて半
年まで延⻑する。
8:治療の中⽌ [ID0016]
寛解後、いったん治療を中⽌するが、半年間のフォローアップが必要。
9:⼊院適応 [ID0018]
安静が保たれない軽症例、および中〜重症例以上は⼊院が必要。
10:専⾨医相談のタイミング [ID0017]
持続性蛋⽩尿、⾎尿を伴う場合は腎内科、激しい腹痛、下⾎は消化器内科、腸重積や穿孔症例
は外科などの専⾨医への緊急受診が必要。
イメージ
[ID0601]
IgA⾎管炎(軽症)
2016/06/02
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67歳⼥性。腹痛、腎症なし。運動後に⽣じた下腿の浸潤を触れる紫斑、安静にて軽快(診断と治
療法はアルゴリズムを参照[ID0701])。
紫斑の⽣検像は真⽪浅層⼩⾎管の⾎管炎([ID0602]参照)、蛍光抗体法にて⾎管壁IgA 沈着。
a:下肢に⽣じた紫斑
b:紫斑の拡⼤図
1: 著者提供
[ID0602]
IgA⾎管炎(軽症)⽣検像
腹痛、腎症なし。真⽪浅層⼩⾎管の⾎管炎、蛍光抗体法にて⾎管壁IgA 沈着。
1: 著者提供
[ID0603]
IgA⾎管炎(軽症)
2016/06/02
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腹痛、腎症なし。⼊院安静のみにて軽快(診断と治療法はアルゴリズムを参照[ID0701])。
病理組織像真⽪浅層の⼩⾎管炎(図[ID0604]参照)、蛍光抗体法にて⾎管壁IgA 沈着。 a:下腿の触知性紫斑
b:紫斑の拡⼤図
1: 著者提供
[ID0604]
IgA⾎管炎(軽症)の病理組織像
腹痛、腎症なし。真⽪浅層の⼩⾎管炎、蛍光抗体法にて⾎管壁IgA 沈着。
1: 著者提供
[ID0605]
IgA⾎管炎(重症)
2016/06/02
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63歳⼥性。腹痛、⾎尿(+++)、蛋⽩尿(1.9g/⽇)。下腿の紫斑の⽣検後、テープの圧迫部位
に⽣じた線状紫斑(ケブネル現象)。
ステロイドパルスとステロイド後療法にて軽快(治療法はアルゴリズムを参照[ID0701])。
a:テープの圧迫部位に⽣じた線状紫斑
b:aの拡⼤図
1: 著者提供
[ID0606]
IgA⾎管炎(重症)
25歳男性、両下腿の⾎疱(拡⼤図)を伴う紫斑、消化管出⾎、ネフローゼ症候群を合併。ステロ
イドパルス療法後、腎症以外の腹痛、紫斑は素早く軽快した(診断と治療法はアルゴリズムを参照
[ID0701])。
a:下腿の⾎疱を伴う紫斑
b:⾎疱を伴う紫斑の拡⼤図
1: 著者提供
[ID0607]
IgA⾎管炎(重症)
2016/06/02
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a:⽣検像、真⽪全層の⼩⾎管炎
b:aの拡⼤像
1: 著者提供
[ID0608]
IgA⾎管炎(重症)
蛍光抗体法にて真⽪乳頭層⾎管壁のIgA沈着像を認めた症例。
1: 著者提供
[ID0609]
IgA⾎管炎(重症)
S状結腸出⾎を認めた症例。
1: 著者提供
2016/06/02
Page 16 of 53
[ID0610]
IgA⾎管炎(重症例)
61歳男性、腹痛、⾎尿(+++)、蛋⽩尿(9.8g/⽇)、ネフローゼ症候群合併。
紫斑は下肢に著明であるが、顔⾯(d)、腹部(e)を含み、ほぼ全⾝に認めた。
ステロイドパルス投与後、腎症以外は軽快、ステロイド後療法にて経過観察(診断と治療法はアル
2016/06/02
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ゴリズムを参照[ID0701])。
a〜e:IgA⾎管炎(重症)
f:蛍光抗体法にて真⽪⾎管にIgA沈着
1: 著者提供
[ID0611]
⼩児のIgA⾎管炎
10歳⼥児の殿部にまでみられた紫斑。
1: 著者提供
[ID0612]
乳幼児急性出⾎性浮腫
1歳1カ⽉の男児に⽣じた顔⾯と上肢を中⼼とした紫斑(a、b)。1週間後⾃然軽快(c、d)。
2016/06/02
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1: 川名誠司:Henoch-Schonlein紫斑. 川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;
111
[ID0613]
IgA⾎管炎における腎⽷球体、直接蛍光抗体法所⾒
腎⽷球体メサンギウム領域⼀致したところにIgA沈着像
1: 著者提供
[ID0614]
(鑑別診断):⽪膚アレルギー性⾎管炎(⽪膚⽩⾎球破砕性⾎管炎)
下腿に触知性紫斑を呈する症例(66歳⼥性、⾎管壁IgA沈着(-)、腹痛、腎症もない)。
1: 著者提供
2016/06/02
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[ID0615]
(鑑別診断):関節リウマチに伴う⽪膚⾎管炎
下腿に⽣じた触知性紫斑(59歳⼥性)、⾎管壁にIgM沈着像。
a:右下腿の線状紫斑を呈するケブネル現象を認める両下腿の触知性紫斑
b:真⽪浅層⾎管壁にIgMの沈着像(直接蛍光抗体法)
1: 陳 科榮:膠原病に伴う⽪膚⾎管炎.川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;265269.
[ID0616]
(鑑別診断):Churg-Strauss症候群
2016/06/02
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下腿に触知性紫斑を認める症例(50歳男性)
1: 著者提供
[ID0617]
(鑑別診断):C型肝炎に伴うクリオグロブリン⾎症性紫斑(77歳⼥性)
2016/06/02
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両下腿の触知性紫斑
1: 著者提供
[ID0618]
(鑑別診断):溶連菌感染性⼼内膜炎
⼼室中隔⽋損症の既往、下腿に⽣じた触知性紫斑(44歳⼥性)。
1: 陳 科榮:感染性⾎管炎の鑑別疾患.川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;251.
[ID0619]
(鑑別診断):薬剤性⾎管炎
2016/06/02
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ゾメタ(ビスホスホネート製剤)投与後、下腿に⽣じた紫斑(70歳男性)。
1: 著者提供
[ID3601]
(鑑別診断):⾎管炎を伴わない薬剤性(ザイロリック)下腿の紫斑
⾎管炎の像はなく、⾎管周囲性著明な出⾎像。
a:下腿の点状紫斑
b:紫斑の⽣検像
1: 著者提供
[ID3602]
(鑑別診断):⾼γグロブリン⾎症性紫斑
2016/06/02
Page 23 of 53
下腿の紫斑を認めたアルコール性肝炎の合併例(65歳男性)。
1: 著者提供
[ID3603]
(鑑別診断):特発性⾊素性紫斑
真⽪浅層に⾎管炎像はなく、⾎管周囲の出⾎像が特徴(73歳⼥性)。
a:下腿の紫斑
b:紫斑の⽣検像
1: 著者提供
[ID3604]
(鑑別診断):電撃性紫斑
2016/06/02
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左下肢に⽣じた急速に融合した広範囲の紫斑(79歳⼥性)。
1: 著者提供
[ID3605]
(鑑別診断):特発性⾎⼩板減少性紫斑
⾎管炎像はなく、⾎管周囲の出⾎像(66歳男性、⾎⼩板8,000/mm3)。
a:下腿に⽣じた点状紫斑
b:点状紫斑の⽣検像
1: 著者提供
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アルゴリズム
[ID0701]
IgA⾎管炎の治療と診断のアルゴリズム
2016/06/02
Page 25 of 53
[ID0608]1:IgA⾎管炎(重症)
[ID0610]2:IgA⾎管炎(重症例)画像f
[ID0613]3:IgA⾎管炎における腎⽷球体メサンギウムのIgA沈着(蛍光抗体法)
DDS:dapsone,レクチゾール
1: 川名誠司:Henoch-Schönlein紫斑. 川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;118.
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鑑別疾患
下腿に紫斑を呈する⾎管炎疾患および⾮⾎管炎疾患:
⽪膚⽩⾎球破砕性⾎管炎(⽪膚アレルギー性⾎管炎)[ID0614]
関節リウマチ、全⾝性エリテマトーデス(SLE)、Sjögren症候群などの膠原病に伴う紫斑
[ID0615]
Churg-Strauss症候群と顕微鏡的多発⾎管炎などのANCA関連⾎管炎[ID0616]
C型肝炎や溶連菌性⼼内膜炎などの感染症に伴う紫斑 [ID0617] [ID0618]
薬剤性⾎管炎や⾎管炎を伴わない薬剤性紫斑[ID0619] [ID3601]
⾼γグロブリン⾎症性紫斑、クリオグロブリン⾎症性紫斑[ID3602]
炎症性腸疾患:潰瘍性⼤腸炎、Crohn病
特発性⾊素性紫斑[ID3603]
電撃性紫斑[ID3604]
特発性⾎⼩板減少性紫斑 [ID3605]
播種性⾎管内凝固症
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ガイドライン
⾎管炎・⾎管障害ガイドライン。⽇⽪会誌。2008;118:2095-2187
2016/06/02
Page 26 of 53
Ozen S,Ruperto N,Dillon MT,et al. EULAR/PReS endorsed consensus criteria for the
classification of childhood vasculitides. Ann Rheum Dis 2006;65:936-941. PMID:16322081
症例検索
[https://clinicalsup.jp/jpoc/SearchExternal.aspx?
s=%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%A4
症例くん]での検索(アナフィラクトイド紫斑)
(「症例くん」は⽇本内科学会地⽅会の症例報告の検索システムです。⽇本内科学会のID、パ
スワードにてアクセスしてください。)
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1: 川名誠司:Henoch-Schönlein紫斑. 川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;111.
2: 陳 科榮:膠原病に伴う⽪膚⾎管炎.川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;265-269.
3: 陳 科榮:薬剤性、感染性、腫瘍随伴性⾎管炎. ⽇⽪会誌 2012;122:3243-3247.
4: 陳 科榮:腫瘍随伴性⾎管炎の鑑別疾患.川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;289.
最終更新⽇ : 2016年6⽉2⽇
<<ページ末尾:#actionDetails4.aspx?DiseaseID=1458>>
2016/06/02
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■エビデンス・解説
#1458
IgA⾎管炎
陳科榮
⽬⿊陳⽪膚科クリニック
最終更新⽇ : 2016年6⽉2⽇
<<ページ末尾:#evidenceDetails4.aspx?DiseaseID=1458>>
2016/06/02
Page 28 of 53
■画像⼀覧
#1458
出典欄記述⽅法
※「作図にあたって参考にした⽂献」「さらに詳しく知るための参考資料」の場合は、出典と区別するために「参考⽂
献:」とご記述いただけましたら幸いです。
※画像出典表記についてご了承のお願い
先⽣に元図をご提供いただき、それを元に弊社にてイラストを描き起こしている場合は、エルゼビア作成のイラストとし
て、出典を割愛させていただいている場合があります。その点ご了承のほどお願いいたします。
※他社出版社発⾏物からの転載は、⾼額の場合や許諾が下りない場合は、掲載できない場合がありますので、ご了承くだ
さい。
※説明、出典のご記載を頂いている場合は空欄で結構です
①ガイドライン
【編者名】編:【ガイドライン名】【策定年度】年版、p【掲載】or【図版番号】、【発⾏元】、【出版年】
②雑誌
著者名:表題. 雑誌名 発⾏年(⻄暦);巻(号):⾴-⾴.
〔例1〕⼭⽥⼀郎:中枢神経の構造的特徴.脳と神経 1998;45(7):12-15.
〔例2〕参考⽂献:Hauenstein EJ, Marvin RS, Snyder AL, et al.: Stress in parents of children with diabetes
mellitus. Diabetes Care 1989; 12(1): 18-23. PMID: 2714163
③単⾏本
著者名: 表題. 編者名. 書名. 発⾏所所在地(⽇本の出版社の場合は不要):発⾏所,発⾏年(⻄暦);掲載⾴.
〔例1〕⼭⽥⼀郎: 脳と脊髄への⾎液供給. 吉⽥次郎編. 神経科学.エルゼビア・ジャパン, 2003;125.
〔例2〕参考⽂献:Kettenmann H, Ranson BR: Neuroglia. New York: Oxford University Press,1955; 154.
④その他
「××⼤学●●先⽣よりご提供」等、明記してください。
IgA⾎管炎
陳科榮
⽬⿊陳⽪膚科クリニック
[ID0601]
IgA⾎管炎(軽症)
67歳⼥性。腹痛、腎症なし。運動後に⽣じた下腿の浸潤を触れる紫斑、安静にて軽快(診断と治
療法はアルゴリズムを参照[ID0701])。
紫斑の⽣検像は真⽪浅層⼩⾎管の⾎管炎([ID0602]参照)、蛍光抗体法にて⾎管壁IgA 沈着。
a:下肢に⽣じた紫斑
b:紫斑の拡⼤図
1: 著者提供
※説明、出典のご記載を頂いている場合は空欄で結構です
画像の
説明
2016/06/02
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□著者提供
出典
[ID0602]
IgA⾎管炎(軽症)⽣検像
腹痛、腎症なし。真⽪浅層⼩⾎管の⾎管炎、蛍光抗体法にて⾎管壁IgA 沈着。
1: 著者提供
※説明、出典のご記載を頂いている場合は空欄で結構です
画像の
説明
□著者提供
出典
[ID0603]
IgA⾎管炎(軽症)
2016/06/02
Page 30 of 53
腹痛、腎症なし。⼊院安静のみにて軽快(診断と治療法はアルゴリズムを参照[ID0701])。
病理組織像真⽪浅層の⼩⾎管炎(図[ID0604]参照)、蛍光抗体法にて⾎管壁IgA 沈着。 a:下腿の触知性紫斑
b:紫斑の拡⼤図
1: 著者提供
※説明、出典のご記載を頂いている場合は空欄で結構です
画像の
説明
□著者提供
出典
[ID0604]
IgA⾎管炎(軽症)の病理組織像
腹痛、腎症なし。真⽪浅層の⼩⾎管炎、蛍光抗体法にて⾎管壁IgA 沈着。
1: 著者提供
2016/06/02
Page 31 of 53
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[ID0605]
IgA⾎管炎(重症)
63歳⼥性。腹痛、⾎尿(+++)、蛋⽩尿(1.9g/⽇)。下腿の紫斑の⽣検後、テープの圧迫部位
に⽣じた線状紫斑(ケブネル現象)。
ステロイドパルスとステロイド後療法にて軽快(治療法はアルゴリズムを参照[ID0701])。
a:テープの圧迫部位に⽣じた線状紫斑
b:aの拡⼤図
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[ID0606]
IgA⾎管炎(重症)
2016/06/02
Page 32 of 53
25歳男性、両下腿の⾎疱(拡⼤図)を伴う紫斑、消化管出⾎、ネフローゼ症候群を合併。ステロ
イドパルス療法後、腎症以外の腹痛、紫斑は素早く軽快した(診断と治療法はアルゴリズムを参照
[ID0701])。
a:下腿の⾎疱を伴う紫斑
b:⾎疱を伴う紫斑の拡⼤図
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[ID0607]
IgA⾎管炎(重症)
a:⽣検像、真⽪全層の⼩⾎管炎
b:aの拡⼤像
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2016/06/02
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[ID0608]
IgA⾎管炎(重症)
蛍光抗体法にて真⽪乳頭層⾎管壁のIgA沈着像を認めた症例。
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[ID0609]
IgA⾎管炎(重症)
2016/06/02
Page 34 of 53
S状結腸出⾎を認めた症例。
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[ID0610]
IgA⾎管炎(重症例)
2016/06/02
Page 35 of 53
61歳男性、腹痛、⾎尿(+++)、蛋⽩尿(9.8g/⽇)、ネフローゼ症候群合併。
紫斑は下肢に著明であるが、顔⾯(d)、腹部(e)を含み、ほぼ全⾝に認めた。
ステロイドパルス投与後、腎症以外は軽快、ステロイド後療法にて経過観察(診断と治療法はアル
ゴリズムを参照[ID0701])。
a〜e:IgA⾎管炎(重症)
f:蛍光抗体法にて真⽪⾎管にIgA沈着
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2016/06/02
Page 36 of 53
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[ID0611]
⼩児のIgA⾎管炎
10歳⼥児の殿部にまでみられた紫斑。
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[ID0612]
乳幼児急性出⾎性浮腫
2016/06/02
Page 37 of 53
1歳1カ⽉の男児に⽣じた顔⾯と上肢を中⼼とした紫斑(a、b)。1週間後⾃然軽快(c、d)。
1: 川名誠司:Henoch-Schonlein紫斑. 川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;
111
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[ID0613]
IgA⾎管炎における腎⽷球体、直接蛍光抗体法所⾒
2016/06/02
Page 38 of 53
腎⽷球体メサンギウム領域⼀致したところにIgA沈着像
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[ID0614]
(鑑別診断):⽪膚アレルギー性⾎管炎(⽪膚⽩⾎球破砕性⾎管炎)
下腿に触知性紫斑を呈する症例(66歳⼥性、⾎管壁IgA沈着(-)、腹痛、腎症もない)。
1: 著者提供
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2016/06/02
Page 39 of 53
[ID0615]
(鑑別診断):関節リウマチに伴う⽪膚⾎管炎
下腿に⽣じた触知性紫斑(59歳⼥性)、⾎管壁にIgM沈着像。
a:右下腿の線状紫斑を呈するケブネル現象を認める両下腿の触知性紫斑
b:真⽪浅層⾎管壁にIgMの沈着像(直接蛍光抗体法)
1: 陳 科榮:膠原病に伴う⽪膚⾎管炎.川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;265269.
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[ID0616]
(鑑別診断):Churg-Strauss症候群
2016/06/02
Page 40 of 53
下腿に触知性紫斑を認める症例(50歳男性)
1: 著者提供
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[ID0617]
(鑑別診断):C型肝炎に伴うクリオグロブリン⾎症性紫斑(77歳⼥性)
2016/06/02
Page 41 of 53
両下腿の触知性紫斑
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[ID0618]
(鑑別診断):溶連菌感染性⼼内膜炎
2016/06/02
Page 42 of 53
⼼室中隔⽋損症の既往、下腿に⽣じた触知性紫斑(44歳⼥性)。
1: 陳 科榮:感染性⾎管炎の鑑別疾患.川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;251.
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[ID0619]
(鑑別診断):薬剤性⾎管炎
2016/06/02
Page 43 of 53
ゾメタ(ビスホスホネート製剤)投与後、下腿に⽣じた紫斑(70歳男性)。
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[ID0671]
IgA⾎管炎(軽症)
2016/06/02
Page 44 of 53
67歳⼥性。腹痛、腎症はなく、下腿に⽣じた触知性紫斑、安静にて軽快。
1: 著者提供
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[ID0672]
IgA⾎管炎(重症)
2016/06/02
Page 45 of 53
25歳男性。消化管出⾎、ネフローゼ腎症を合併し、両下腿に⾎疱を伴う紫斑。
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[ID0701]
IgA⾎管炎の治療と診断のアルゴリズム
2016/06/02
Page 46 of 53
[ID0608]1:IgA⾎管炎(重症)
[ID0610]2:IgA⾎管炎(重症例)画像f
[ID0613]3:IgA⾎管炎における腎⽷球体メサンギウムのIgA沈着(蛍光抗体法)
DDS:dapsone,レクチゾール
1: 川名誠司:Henoch-Schönlein紫斑. 川名誠司、陳 科榮:⽪膚⾎管炎.医学書院、2013;
118.
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[ID3601]
(鑑別診断):⾎管炎を伴わない薬剤性(ザイロリック)下腿の紫斑
2016/06/02
Page 47 of 53
⾎管炎の像はなく、⾎管周囲性著明な出⾎像。
a:下腿の点状紫斑
b:紫斑の⽣検像
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[ID3602]
(鑑別診断):⾼γグロブリン⾎症性紫斑
2016/06/02
Page 48 of 53
下腿の紫斑を認めたアルコール性肝炎の合併例(65歳男性)。
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[ID3603]
(鑑別診断):特発性⾊素性紫斑
2016/06/02
Page 49 of 53
真⽪浅層に⾎管炎像はなく、⾎管周囲の出⾎像が特徴(73歳⼥性)。
a:下腿の紫斑
b:紫斑の⽣検像
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[ID3604]
(鑑別診断):電撃性紫斑
左下肢に⽣じた急速に融合した広範囲の紫斑(79歳⼥性)。
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2016/06/02
Page 50 of 53
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[ID3605]
(鑑別診断):特発性⾎⼩板減少性紫斑
⾎管炎像はなく、⾎管周囲の出⾎像(66歳男性、⾎⼩板8,000/mm3)。
a:下腿に⽣じた点状紫斑
b:点状紫斑の⽣検像
1: 著者提供
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最終更新⽇ : 2016年6⽉2⽇
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2016/06/02
Page 51 of 53
アナフィラクトイド紫斑
アナフィラクトイド紫斑は、シェーンライン・ヘ
ノッホ紫斑ともいいます。紫斑が下肢や臀
部に現れ、さらに腎臓や消化管に出血し
て、激しい腹痛を伴ったり、関節内やその
周辺に出血して痛みを伴ったりします。
小児に多くみられますが、成人にもみられ
ます。成人は心機能が低下する腎症の頻
度が高く、小児より重症になる傾向があり
ます。
通常は4~6週間で治癒し、一般に予後は
よく、80%以上に再発がみられません。
しかし、20%以下の患者さんでは、1回~5
回以上の紫斑や腹痛、関節痛などの再発
がみられます。再発しても腎炎の合併がな
い限りは、最終的には治癒します。
治療法は臓器障害、特に腎障害と消化管障害の重症度によって異なります。
皮膚症状が主で、軽度の腹部症状はあるが、血尿や蛋白尿などの腎障害が認められない場合
は軽症で、自宅安静と外来通院で治療します。場合によっては、体内の必要な部分にだけ薬を
送るDDSの投与が行われます。外来通院は月1回、最低でも6カ月の経過観察が必要です。
強い関節痛による歩行困難、強い腹痛、水分の摂取困難、大量消化管出血、腎機能障害を伴
う場合は入院して治療します。
腎機能が重症化すると、長期入院が必要になり、大量ステロイド療法と強い免疫抑制剤の投与
を行います。
2016/06/02
Page 52 of 53
執筆者ご紹介
陳科榮
⽬⿊陳⽪膚科クリニック
2016/06/02
執筆者
陳科榮
専⾨分野
専⾨分野:⽪膚⾎管炎、⽪膚病理組織学
専⾨医
⽪膚科専⾨医
所属学会
所属学会:
⽇本⽪膚科学会
⽇本⽪膚病組織学会
アジア⽪膚科学会
国際⽪膚病理学会
学会活動:
国際⽪膚病理学会 (The International Society of Dermatopathology)
執⾏委員(Executive Committee)(2001年〜2003年)
⽪膚脈管膠原病研究会世話⼈(2007年〜)
受賞歴:
1993年度 第52回⽶国⽪膚科学会総会 Dermatology Foundation
Fellowship Award
経歴
陳 科榮 (ちん かえい) (Chen Ko-Ron)
東京都済⽣会中央病院⽪膚科部⻑
1985年慶應義塾⼤学医学部卒業後、同⼤学⽪膚科教室⼊局と同時に⼤学
院医学研究科博⼠課程⼊学、1990年医学博⼠、1991年から2年間⽶国メ
イヨークリニック⽪膚科研究員、北⾥⼤学医学部客員教授、医療法⼈財
団荻窪病院⽪膚科部⻑を経て、2007年より現職
主要著書:
⽪膚⾎管炎(川名誠司、陳 科榮), pp1-348, 医学書院, 2013.02
「⽪膚⾎管炎のすべて」(編者, 全⽇本病院出版会, 2009)
「⽪膚科臨床セット5: ⽪膚の⾎管炎・⾎⾏障害」 (分担,中⼭書店,
2011)
「⽪膚科臨床セット9:エキスパートに学ぶ⽪膚病理診断学」(分担,中⼭
書店, 2012)
治療アドバイス
薦めの書籍と雑誌
1.⽪膚⾎管炎(川名誠司、陳 科榮), pp1-348, 医学書院, 2013.02
特にHenoch-Schönlein 紫斑:pp.107~120
2. Jennette JC, Falk RJ, Bacon PA, et al. 2012 revised International
Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides.
Arthritis Rheum. 2013 Jan;65(1):1-11.4
メッセージ
IgA⾎管炎は初診時の症状から①紫斑のみ、②紫斑、腹痛、③紫斑、腎
症、④紫斑、腹痛、腎症と4つのグループに分けられるが、腎症や腹症状
はそれぞれ数⽇後や数週後に現れることもある。
治療や対策は臓器障害の重症度によって異なり、⽪疹と関節痛は安静や
短期間のDDSや⾮ステロイド抗炎症剤の投与でよいが、消化管症状は消
化器内科、腎症は腎内科と連携して適確な診断と治療にあたる必要があ
る。
腎症は予後を左右するが、⾃覚症状がないので、初診後も少なくとも
6カ⽉間の検尿が必要である。
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