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第3講:博物館の組織と協会 - 東京農業大学オホーツクキャンパス
理系のための博物館経営論6月21日 第3講:博物館の組織と協会 1.設置者 ○○立の○○が設置者。博物館は大きな組織の一部門・一機関であることが多い 職員の所属や人事も大きな組織(=上部組織)に位置付けされている 博物館は独立した機関なので、本来、上部組織との職階による上下関係にはない 1)国 博物館法にとって国立の博物館は対象外 1999年以降は「独立行政法人」法により、理念としては財務と運営の独立性を明確化 (独立行政法人通則法:1999年、独法化実施は科博・国立博物館とも2001年) 実情は、中期目標の設定や評価、人事などをとおして主務官庁の影響力が残る ・国立科学博物館 旧制度:国>文部省>国立科学博物館(文部省設置法) 新制度:国>独立行政法人国立科学博物館(主務府省:文部科学省生涯学習政策局社会教育課) ・国立博物館(狭義:東京、京都、奈良、九州)および国立美術館 旧制度:国>文部省>文化庁>国立博物館(文化財保護法) 新制度:国>独立行政法人国立博物館→独立行政法人国立文化財機構 2)地方公共団体(=公立館、地方公共団体は国を含まない/公立に国立は含まない) 北海道>北海道教育庁>生涯学習部>生涯学習推進局>生涯学習課>北方民族博物館グループ 3)財団法人 名古屋鉄道株式会社>(財)明治村>博物館明治村 4)その他 類似施設では会社、個人、官公庁などさまざま ・産業技術記念館:トヨタグループ13社の共同事業として設立 2.運営者 1)直営:網走市立郷土博物館のように、設置者と職員の所属が同一(設置者が職員を雇用) 2)委託:設置者と職員の所属が異なる ・指定管理者 地方自治法の改正により、自治体設置の特定の法人以外にも施設運営の機会を与えたもの 北海道立北方民族博物館 釧路市こども遊学館 設置者:北海道、運営者:(財)北方文化振興財団(指定管理者) 設置者:釧路市、運営者:(財)釧路市民文化振興財団・(特)こども遊学館市民 ステージの2法人による共同運営(=コンソーシアム) 運営者の業務範囲は個別事例により異なる ・業務委託 受付のみの外注、飼育の外注など、業務内容ごとに受託者が異なる場合もある ・独立行政法人 3.館内の組織 1)館長 学芸員か事務職員か 常勤か非常勤か 本来の仕事は、旗振り・全体管理・資金調達 2)学芸部門(学芸員) ・学芸員 配置人数により仕事の範囲が大きく異なる。日本では、研究と教育の両方を担当 1人 全宇宙の事象すべて 2人 理系と文系 3人以上 多人数 いちおうの専門分化、動物・植物・人文 専門研究が可能。 ・博物館専門職 欧米では、学芸員だけでなく、さまざまな職種の専門職員が配置、たとえば 教育:curator of education, museum teacher, educator 資料: collection manager, registrar 保存修理:conservator, restorer 展示:designer ・学芸員が国家資格なのは日本や韓国など一部の国に限られる ・アメリカでは、所属や予算が異なるスタッフが共同して博物館を支える場合も多い 3)管理部門(事務部門) 経理、人事、施設管理 来館者や学芸員からすれば「縁の下の力持ち」的存在 アメリカでは、資金調達部 development office があり、パーティーを主催し財界人との社交など重要な役割 4.協議会・評議会、理事会 似た印象の言葉だが、それぞれの意味は異なる。テレビドラマのイメージで十分か?言葉の意味をちゃん と理解すること。日本語の辞書だけでなく、英和辞典・和英辞典も使うとわかりやすい 1)協議会 法定:博物館法第20条に「公立博物館に(中略)置くことができる」と明記 委員:学校教育、社会教育、家庭教育、学識関係者から設置教育委員会が任命する(21条) 規則:条例で定めなければならない 機能:住民(=サービス対象者)の代表として、館長に対して事業報告と事業案への意見する 設置者(=首長)や教育長に対してではない 協議 集まって相談すること(大辞泉) 協議会:a conference, a council 2)評議会/評議員会 私立館・国立館の「協議会」=対館長 (独)国立文化財機構では「各博物館の運営に関する重要事項について審議を行うとともに、館長に助言い ただくため各博物館ごとにそれぞれ設置されています。Board of trustees」 評議 意見を出し合って相談すること(大辞泉) 評議会:a council, a confference 3)運営委員会 独立行政法人(国立館)の「協議会」 (独)国立文化財機構では「独立行政法人国立文化財機構の運営について各界からご意見を伺うべく、外部 有識者による運営委員会を設置しています。運営委員会は、国立文化財機構の管理運営に関する重要事項に ついて、審議を行うとともに理事長に助言することを任務としています。Board of special advisors」 4)理事会(独立行政法人:役員会、会社:取締役会) a board of directors 法人の意志決定機関。最高の意志決定機関は総会であることが普通だが、開催が年1回程度で形式的。理 事会は頻度が高く、実質的な方針決定を行う。 5.友の会と支援組織 設置者の組織や機構だけでは対応できない分野を担う。制約(法律や規則上できない/めんどう)の多い 公立館ではとくに重要。 1)友の会 博物館とは別の組織 単独あるいは学芸員と共同で行事や展示を企画運営 任意団体(=法人格を持たない団体)が多いが、法人や法人が運営する場合もある ・国立民族学博物館友の会 運営主体:(財)千里文化財団 事業内容:講演会、雑誌「季刊民族学」の発行 ・大阪市立自然史博物館友の会 運営主体:おなじ(任意団体) 事業内容:機関誌、書籍の発行、(特)大阪自然史センターの設立 特典:ハイキングや合宿などイベントの参加、無料入館日、ミュージアムショップの割引 2)協力会 博物館の資金援助、労務提供(ボランティア)、物販代行、事業協力など 資金源は会費、競争型研究・教育資金など ・斜里町立知床博物館協力会、北網圏北見文化センター博物部門協力会(現・NPO法人オホーツク文化協会) ・山梨県立博物館協力会、山梨県立考古博物館協力会 6.業界組織 1)全国組織 ・(社)日本博物館協会 「博物館研究」の発行(毎月)、博物館大会の開催 ・ICOM日本委員会事務局 2)地域組織 ・北海道博物館協会 ・網走管内博物館連絡協議会 3)国際組織 ・ICOM(国際博物館会議) 「国際博物館の日」5月18日 4)館種別組織 ・日本動物園水族館協会 ・日本植物園協会 ・全国美術館会議 ・全国科学博物館協議会 ・全国文学館協議会 ・全国歴史資料保存利用機関連絡協議会 ・日本プラネタリウム協議会 ・大学博物館等協議会(国立大学の博物館設置大学が中心) ・全国大学博物館学講座協議会(私立大学の学芸員課程設置大学が大半) 5)学会 ・日本ミュージアム・マネージメント学会 スポンサー企業(=事務局):(株)文化環境研究所<乃村工藝社 ・全日本博物館学会 大学の博物館学研究者の発表の場 ・展示学会 スポンサー企業:(株)文化総合研究所<(株)トータルメディア開発研究所<凸版印刷株式会社 ・アート・ドキュメンテーション学会 6)支援組織 ・西日本自然史系博物館ネットワーク ・北海道自然史研究会