...

講演資料 - 日本機械学会

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

講演資料 - 日本機械学会
2014年11月12日(水)
東京ビッグサイト 西館アトリウム
ものづくりNEXT↑2014 生産システム見える化展「工場まるごと連携コーナー」
ボーダレスに広がる生産システム技術の新展開
生産技術の医療分野への応用について
成田浩久
名城大学
理工学部 機械工学科
日本人の人口推移
日本人の人口推移
高齢者の割合が
23%(2010年)→39.9%(2060年)
になると予想されている.
国立社会保障・人口問題研
究所「日本の将来推計人口
(平成24年1月推計)
医療機器産業の動向
医療機器の国内市場規模の推移
厚生労働省医政局,平成24年薬事工業生産動態統
計年報,2013.
医療機器産業の動向
医療機器の輸出額と輸入額の推移
厚生労働省医政局,平成
24年薬事工業生産動態
統計年報,2013.
医療機器産業の動向
平成24年の輸出額
厚生労働省医政局,平成
24年薬事工業生産動態
統計年報,2013.
医療機器産業の動向
平成24年の輸入額
厚生労働省医政局,平成
24年薬事工業生産動態
統計年報,2013.
医療機器産業の動向
もう少し詳細な医療機器の国内生産額で見ると,
・血管用チューブ及びカテーテル(約1577億円)
・採血・輸血用器具(約951億円)
・臨床化学自動分析装置の(約774億円)
・透析器(約754億円)
・電子内視鏡(約736億円)
・全身用X線CT装置(約673億円)
となっている.
医療機器の都道府県別上位は,以下のとおり.
静岡,栃木,東京,福島,埼玉
関東エリアが優位であると予想される.ものづくり技術が発達してい
るのは関東エリアだけでなく日本の各地にあり,更なる発展の可能性
を秘めていると考えることができる
医療機器のイノベーションに最先端の製造・生
産技術が期待されている!
- 小型化,長期使用,メンテナンス性,製作方法
- 患者に合ったデバイスの設計,手術手法
要素技術
・切削加工,塑性加工,放電加工,積層造形,金型技術
・生産システム,ライフサイクルエンジニアリング
・設計技術
臨床工学技師
人工呼吸器
CE
人工心肺装置
臨床工学技士
血液浄化
各種医療機器
のメンテナンス
医療分野での取り組み紹介
da Vinci(ダヴィンチ
ダヴィンチ)
ダヴィンチ
コンソールと呼ばれる装
置を操作し,内視鏡と鉗
子を遠隔操作して手術を
行う.
藤田保健衛生大学での手術の様子
・腹腔鏡下手術
・咽頭がん外科手術
・冠動脈バイパス手術
・すい臓移植での使用
など応用範囲を広げている.
ロボット手術が必ずしも全て受け入れられていくわけではない.
例えば,人工関節の手術に使用するロボット
利点
・医師の負担を軽減
・正確に骨切り(削り出し)が可能
欠点
・大きく切開が必要
・座標の基準点を出すための労力(時間増)
→失血や合併症のリスクが増えたり,筋肉・血管・神経の損傷により術
後にトラブルを起こしたりした.現在は改善がなされてきているものの,
治療機器の開発では,患者への負担や医師の負担などを総合的に考
慮する必要がある.
NEDO: 内視鏡下手術支援システムプロジェクト(H19-H23)
研究事例紹介
人工股関節の術前計画支援システム
術者が削り易く,かつ髄腔を削り取る量が最小になる
ステム挿入位置の決定を支援する
ステムの軸
ステム
大腿骨
CT画像からリーミングにより
髄空内を削り取る量を計算
*CT値の2乗が,骨の圧縮強度に比例するため
その和を評価関数とする.
決定されたステム挿入位置
人工股関節の術前計画支援システム
CT値の2乗の総和が最小になる
角度を求めることができた.
求められた角度
人工股関節の摩耗試験システム
最小膜厚さ
カップ
R2
R1
表面突起にかかる荷重
骨頭
h0
ステム
弾性変形と潤滑を考慮
潤滑膜にかかる荷重
弾性潤滑理論を基に潤滑膜厚さを計算
表面突起と潤滑膜にかかる荷重を計算
表面突起にかかる荷重と摺動速度から摩耗を予測
人工股関節の摩耗予測システム
人工股関節の摩耗予測システム
荷重と潤滑膜厚さ
境界潤滑が支配的
摩耗量の変化
1年分の摩耗を計算す
ると5µm
関節の動き
約5µm/年と言われて
股関節角度
おり妥当な結果がでて
いる.(Metal-on Metal
type)
脱臼しにくい日本人に適した人工関節パラメータ
ステム前捻角
後
前
カップ前捻角
骨頭直径
カップ外転角
インピンジメント
の評価
ステム頸体角
脱臼しにくい日本人に適した人工関節パラメータ
脱臼判定の流れ
股関節
回転中心の推定
測定
Squat
Sp
Sf
人工股関節
パラメータ
•骨頭直径
•カップ前捻角
•ステム前捻角
•カップ外転角
•ステム外転角
(a) Sensors
人工股関節
モデル
Pelvis
Sitting on
a chair
Femur
Kneeling
on one’s
knees
Sensors
HJC
脱臼判定
結果
n
vhg
Cup
p
vhg
p0
Stem neck
Stem head
脱臼しにくい日本人に適した人工関節パラメータ
日本人の日常動作
あぐら
センサ固定位置
(3次元磁気センサ:6自由度
計測可能)
正座
かがむ
しゃがむ
椅子に座る 足を組む
西洋人の日常動作
体育すわり
脱臼しにくい日本人に適した人工関節パラメータ
• 日本人の日常動作をした場合,人工股関節のパラメータ
を以下の数値に設定する事で,脱臼発生を回避する可能
性があると示唆される.
カップ外転角 :50°~70°
カップ前捻角 :30°~40°
ステム前捻角:50°~60°
ステム頸体角:110°~120°
骨頭直径 :34mm~
• また,日本人の前捻角が大きい理由が,日本人の日常動
作でないことも推測された.
脳外科用術前計画支援システム
T
術具など
θ
Z
φ
X
Y
:干渉を避ける重要部位
(接触不可領域)
脳外科用術前計画支援システム
φ=π/2
接触不可領域
接触不可領域
θ
φ
φ=π
φ=0
接触可能領域
(サイレントエリア接触)
接触不可領域
φ=3π/2
2次元Configuration-space
多軸加工での姿勢制
御で使用される技術
脳外科用術前計画支援システム
干渉可能角度エリア
接触不可領域
Y
X
腫瘍
干渉不可
角度エリア
脳外科用術前計画支援システム
Detected maximum
circumscribed circle
Scanning line
Detected circumscribed
circle center
C-Spaceを縦に分割し,
各範囲で危険部位と干渉
しない範囲の最大値と
その中点を求める
その中で最大になる
距離が最大内接円
の半径となる
細胞の立体培養を行う足場作成
3Dプリンタ
・MakerBot Replicator 2
→PLA樹脂を使用
井桁型1
(部材幅100µm,部材直径500µm)
高さ4.5mm
底面積2.25mm²
正方形
井桁型2
(部材幅300µm ,部材直径500µm)
高さ4.5mm
底面積2.25mm²
正方形
細胞の立体培養を行う足場作成
細胞:
・MDCK(イヌ腎臓尿細管上皮細胞)
培養液等:
・D-MEM(ダルベッコ・フォークト変法イーグル最小必須培地)
・PBS(リン酸緩衝生理食塩水)
・0.05%トリプシン
・コラーゲン(Cellmatrix Type I-A)
細胞の立体培養を行う足場作成
光学顕微鏡による観察の結果
直後
井桁型1
井桁型2
細
胞
翌日
細胞はどちらの足場にも張り付いていなかった.
細
胞
細胞の立体培養を行う足場作成
・大きさの比較
足場の部材幅300µm・100µm > MDCK細胞の大きさ60µm
細胞は樹脂の間を通り抜けてシャーレ上に落ちた
・比重の比較
細胞 > 培養液 > 足場
シャーレ上に落ちた細胞は足場に付着できなかった
細胞の立体培養を行う足場作成
器型
高さ5.5mm
外径15.4mm
内径13.4mm
井桁型1
(部材幅100µm)
高さ1mm
直径15.4mm
井桁型2
(部材幅300µm)
高さ1mm
直径15.4mm
コラーゲン塗布
31
細胞の立体培養を行う足場作成
実体顕微鏡による観察の結果
1週間後
器型
井桁型1
井桁型2
部材
部材
細胞
細胞塊
部材幅100µm
部材幅
製作した全ての足場で細胞が観察できた
細胞塊
部材幅300µm
部材幅
細胞の立体培養を行う足場作成
実体顕微鏡による観察の結果
1週間後
井桁型1(断面)
井桁型2(断面)
細胞塊
細胞
塊
部材
部材
部材幅100µm
足場表面のみに細胞の付着を確認できた
部材幅300µm
ラットのヘッドポジショナーの開発
MRI画像を撮影し,脳の構造の位置情報や役割を記したアトラスと比較
することで賦活領域を正確に把握するためには,ラットを固定して動かない
ようにしなければならない。
・撮影に時間がかかる。(最低20分以上)
・麻酔を使っても寝息程度で画像にズレ,ノイズが発生する。
<現在使用されている固定具>
・十分に固定できない
・壊れやすい
・耐熱性が低く、耐薬品性が弱い
まとめ
医療分野の産業動向について概説し,製造・生産技術が既に応
用されている医療機器や,研究で取り組んでいる内容について紹
介した.
Fly UP