Comments
Description
Transcript
Whole Genome Sequencing as a Diagnostic
Review Whole Genome Sequencing as a Diagnostic Test: Challenges and Opportunities Caitlin C. Chrystoja1,2 and Eleftherios P. Diamandis1,2,3,* Author Affiliations 1 Department of Laboratory Medicine and Pathobiology, University of Toronto, Toronto, ON, Canada; 2 Department of Pathology and Laboratory Medicine, Mount Sinai Hospital, Toronto, ON, Canada; 3 Department of Clinical Biochemistry, University Health Network, Toronto, ON, Canada. * Address correspondence to this author at: Department of Pathology and Laboratory Medicine, Mount Sinai Hospital, 6th Floor, Rm. 6-201, Box 32, 60 Murray S., Toronto, ON, Canada M57 3L9. Fax 416-619-5521; e-mail [email protected]. Clinical Chemistry 2014;60:724-33 診断検査としての全ゲノム配列決定:挑戦とその好機 概要 背景:DNA シークエンスの並外れた技術的進歩やコストの減少によって、全ゲノム配列決定 (WGS)は多くの臨床検査の可能性のある指標として使いやすくなった。最近では複雑な疾病の 原因究明や腫瘍・非腫瘍性の判別、また性や生殖に関する健康の様々な状況の治療法の決定の手 引きの確立において、WGS には多くの応用成功例がある。しかしながら、WGS の臨床的な実践 を増やすための、まだ克服できていない障害がいくつかある。その障害には、たとえば、高額な コスト、塩基配列決定と分析を取りまく問題点、品質保証や標準化されたプロトコール、倫理的 ジレンマ、結果の解釈の困難さが挙げられる。 内容:日常の臨床での WGS の広範囲な利用は、まだまだ先である。WGS のメリットが、もしフ ォローアップ検査や過剰診断、過剰治療の危険性、精神的苦痛に関わる、予想される実質的なコ ストに勝るのであれば、前向き試験を確立する必要があるだろう。 要約:WGS が特定の事例での患者の健康増進を実現するためは、臨床での注意深い実行が要求 される。障害を最小限にするために、臨床での実施の前にあらゆる WGS の使用理由を注意深く 評価しなければならない。 1 ヒトゲノム配列決定のプロジェクトは、およそ 30 億ドルの費用を費やして 2001 年に完了した。 これらの配列決定は、あらゆるヒトの疾病のメカニズムや治療への理解を変えるための大きな契 機となった。確かにその 12 年後、多くの疾病の病理学的な理解の加速にヒトゲノム配列が、主 要な役割を果たしてきたことは疑う余地がない。しかし出版物によって予測された、これらの臨 床のあらゆる面での変化は、予想以上に顕著に認められるまでには至っていない。現在、この技 術は選ばれた特定の診断のための臨床検討に使われているが、これらの使用は補償が認められる 特定の事例が詳述されているアメリカ医科遺伝学協会(ACMG)のガイドライン(4)によって制限 されている。2001 年からいくつかの壮大な技術的進歩によって、ゲノム塩基配列決定をより早く、 安く行うことが可能になった。それは第二、第三世代シークエンスとして知られているものであ る。これらの技術や、医学における応用例については、様々なところで概説されている(1-3)。も う一つ重要な発展は、商業的な普及である。これにより“消費者へ直接(Direct-to-Consumer; DTC) ” の遺伝子情報の提供が始まった。これは特にハイスル―プット塩基変異多型(SNP)分析、およ び将来に様々な疾病となる素質の予測をする試験である(4-5)。塩基配列決定技術の継続的な進歩 により、非常にリーズナブルなコスト(10,000 ドル未満、目標としては 1 ゲノム 1000 ドル)で、 数日のうちに遺伝子の配列が決まるという段階にまですでに到達している(2)。これらの並外れた 技術的進歩により、全ゲノム配列(WGS)はある遺伝的素因を持つ種々の疾病の診断の革新や、 多くの疾病の進展背景の背景にあるメカニズムについての理解をうながした。その結果として “テーラーメイド医療“という新しい用語による治療効果の革新を促すような、比較的分かりや すく、非常に接しやすい遺伝子検査になりうるかという議論が起きてきた (6)。確かに、すでに 難病の診断確立のための方法や(7,8)、がん患者の適切な治療を選択するための基盤 (9,10)、そし て新しい疾病に関連する新規変異を発見するための手段 (11) として、WGS が力を発揮してきた という最近の実例がある。したがって WGS が、いつ、どのようにして、予防、診断、予後予測、 予測的検査や診断モニタリングとしての標準的方法になるのかということに関する議論が、急速 に展開されているのは当然のことである(12)。 研究の中から選ばれた臨床応用で、WGS が実施されることについては重要であるが、現時点では まだ答えられていない問題点がある。WGS の技術的な、もしくは遺伝子型と表現型との関連に関 した偽陽性は何か、またはこれらを何が解決しうるのか?これらの偽陽性によって、どれくらい の患者が不要で、高価な、有害な可能性のある検査を受けるのか?疾病素因を知ることが疾患リ スクの回避(もし私たちがその様な戦略を持っていれば)、または一定の(そして有害となりそ うな)精神的苦痛に役立つのか?いくつかの定義されたエンドポイントからの視点で、WGS が最 終的に有益なものであるのか、有害なものであるのか、誰のためか、何を指標にするかなどを示 すために、長期の前向き試験が必要なのか?私たちが出来るという理由、または安いという理由、 または便利という理由で、 WGS を採用すべきか?診断的応用と平行してこれらの質問に答えるた めに、多くの研究拠点で検討が進行中である。 診断技術としての WGS の議論は、まさに始まったところである(表 1)。私たちは診断技術とし ての WGS に関係する問題点を分類し、 現在私たちが位置している状況を評価する。 私たちは WGS 2 が、現在有用な方法であるか否か、または人々の健康に良い影響を与えうるのかという質問に対 する答えを探している。 図1 臨床医学における WGS の多様な適用 表 1 WGS に関する現在の議論となっている問題点 コストの問題 3 現在ゲノムの塩基配列決定は、10,000 ドル以下の費用である。そして、塩基配列決定技術におけ る持続的な進歩によって、近い将来 1000 ドルまたはそれ以下で、1 つのゲノムの塩基配列決定が できる可能性が高まりそうだ。しかしながらこれらの中には、患者への有益な意味のある未判読 の配列に対する分析と、翻訳に要するさらに高額な費用を含んでいないため、ゲノム塩基配列決 定にかかる費用は誤解されている。 (表 2) 表 2 臨床使用のための WGS の実質的費用 インフォームドコンセントは、WGSが行われる前には必ず必要である。その過程は、臨床医か カウンセラーによる、全体で 6~8 時間の何度かの面談を必要とするかもしれない(11)。第一に、 これは臨床的に妥当な遺伝子変異の偶発所見から派生する結果について議論すべきである。それ ぞれのゲノムは、およそ 15,000 の新しい SNP を持つと予想されている(13) 。そのうち 250~350 は、遺伝子の決定的な変異となり、50~100 はヒトの疾病遺伝子における変異となり、20 は遺伝 子を不活化する変異となるだろう(14,15)。変異呼出(variant calling)(下記に詳述したような) を通じて、クラウドコンピュータ法でアライメントに要するバイオ・インフォマティクス過程の 費用は、SNP を識別するためにはわずか 120 ドルであり、その費用は更に大きな変異を識別する ためには増加する(16)。患者に結果を説明するには更に時間がかかり、ある施設での知見に拠れ ば、それには更に 5 時間の時間を要する(17) 。施設が WGS の経験をつみ、ガイドラインが練ら れ続けると、事前検査、事後検査のカウンセリングはより能率が上がり、それにより必要とされ る時間が短縮されるかもしれない。臨床的な重要性のある同定された変異は、サンガー法(それ ぞれの変異に対して約 200 ドルの費用)のような最適な基準法を使用して、その変異がゲノムの 中に必ず現れることと、それが塩基配列決定法に関連したエラーではないことを確認する必要が ある(18) 。今後数年で、技術的な精密度の改善がなされると、確認試験とそれに要する費用は 縮小することになるだろう。ゲノム中の変異の存在の確認試験の後、フォローアップ検査が行わ れる必要がある。それらの塩基配列決定後にかかる費用により、WGS の値段(1検査あたり約 4 24000 ドル)が劇的に増加する。そして患者との相談の中で、第一に偶発所見を処置するための 適正な計画として、どのように患者ゲノムの塩基配列が決定されるのか明らかにすることの重要 性を強調するべきである。 WGS が行われた後、その患者のゲノムは将来の評価のために保管することができる。新しい医学 的な疑問が生じたとき、そのゲノムデータは再解析することができる。ソフトウェアの改良や遺 伝型と表現型との相関についての絶え間ない理解の深まりに伴い、患者ゲノムを再評価すること が新しい相関関係を確立する手助けとなる。生殖細胞系のゲノムは基本的に一定のままであるの で、患者ゲノムの塩基配列決定および分析に要する費用は、患者の一生の間に償却することがで きる。しかしながら、精密度が改善された新しい塩基配列決定技術の急速な進歩に伴って、デー タの保管に関する費用とともに、より古く、より精密性の低い塩基配列決定法により以前に塩基 配列決定された遺伝子を再分析するよりも、患者の一生の間に複数回彼らの遺伝子を再塩基配列 決定することの方が、費用の効率は良いかもしれない。最終産物に加えて、予備のデータ(未判 読や未マッピングされていない結果)を保持するとしたら、患者のゲノムの保管にかかる費用は さらに増額されるかもしれない。 技術と質の問題 WGS はまだ初期段階にあるので、標準化についてはつい最近初めて行われた。アメリカ臨床病理 医協会(CAP)は最近、分子病理学チェックリストにおいて、次世代のシーケンス(NGS)に焦 点を当てた初の認定チェックリストを公表した。CAP のチェックリストは、メディケア・メディ ケイド・サービスセンターの要求を満たすための認定過程に使用されるが、それは臨床検査室に よるアメリカ合衆国のヒト臨床検査試験を規制しているため、遺伝子検査の品質管理のための重 要なステップである。ゲノムデータを分析可能なそれぞれの NGS 法と、バイオインフォマティ クスソフトウェアは(19)品質管理と標準化には不可欠である。この問題を解決するため CDC により、次世代シーケンス-臨床検査標準化会議が開催され、その結果が最近公表された(20)。 The Archon Genomics X 賞のコンペ(21)で大賞の 1000 万ドルは、100 ゲノムの WGS を対 象にして、100 ベースあたり 1 つのエラーの正確さや、98%の完全性や、挿入、削除、および再 構成の識別やゲノムあたり、1000 ドルでの完全なハプロタイプを成し遂げることができたチーム に与えられた。それらの基準は、凡そ世界で最初の医療用ゲノムとなるであろうものとして特徴 づけられる。WGS の分析のすべてのステップを通して、エラーの可能性を伴う医療用ゲノム解析 は、塩基配列決定されたゲノムの質の臨床的なスタンダードを担保し、これとの相同性と技術的 エラーレベルの最小化を伴わなければならない。彼ら、彼女らの遺伝子型(下記に述べられた現 在の方法を使用している)を決定するために、個人のゲノムの塩基配列を決定することに加えて、 ハプロタイプを識別する能力は、ゲノムの変異の状況を提示するのにもさらに重要である。最近 記述された長鎖断片を読む技術によって、コスト効率がよく、効率的なやり方で個々のハプロタ イプを解明することが可能になった(22)。これにより遺伝子多型の割り当てが親染色体に与え られ、この知見は遺伝子型ではできない臨床上重要な情報を提供することができる。 5 近年注目された、100 歳以上の長寿の人の寿命に関係する遺伝子変異を報告したゲノムワイドの 関連研究(23)の撤回が、品質管理の重要性を強調している。あの研究(24)の中で、エラーは 多数の遺伝子型のプラットフォームの統合データから発生している。様々な塩基配列決定プラッ トフォーム変異同定の能力によって異なり、これは同じゲノムの塩基配列決定のときでさえそう である(25-27)。稀な変異の検出の試みの中では、複数のプラットフォームによる両親のゲノム の塩基配列決定によって、更に可能性のある候補が同定されることの手助けとなりうるかもしれ ない。 患者のゲノムの塩基配列決定における初めての挑戦は、正確な Base call である。それはプラット フォームの光学センサーによって生成された、高密度データから塩基を識別する方法である。そ れぞれのプラットフォームは、ベンダーによって供給された独自の Base calling プログラムをもっ ている。一般的に代替第三者プログラムの利用が可能である(28)。そのエラーの割合は、カバ ーする部分を増やすために DNA サンプルの再塩基配列決定を行い、次により正確なコンセンサ ス配列の中にデータを組み合わせることによって減らすことが出来る。しかしこれは、費用を増 加させる(29) 。第三者 base-calling アルゴリズムによって正確さが増加し、必要なカバー範囲が 減少した。そしてそれは下流の解析を単純化し、計算構成に依存してベンダーによって提供され たものと等しいか、あるいはそれよりもさらに速い。 その読み取り結果は、参照ゲノムを基にアライメントをしなければならない。最近の NGS の技 術は、50 くらいの短さから 1000 塩基対までの異なる長さの塩基対を読み取る。何十億の短い読 み取り単位は、何十億の塩基対で構成された参照ゲノムとアライメントさせる必要があるために 問題が生じる。これまでに、非常に多くのアルゴリズムとパッケージソフトが、ユーザーのニー ズに対する独自のメリットのもとで、特に読み取り結果を整理するために開発されてきた(30) 。 比較的短い読み取り単位は、参照ゲノムのいずれの場所にもマッピングされないかもしれないか もしれず、それは現在のところ、比較的限られた個体数の編算や高度に繰り返しがあり、繰り返 し数が個人間で異なる領域(セントロメアやテロメア)の不完全性である。これは塩基配列決定 に基づくエラーや、参照ゲノムのギャップやアルゴリズムのランタイムの適切な分析感度のバラ ンスに起因する。より多くのゲノムが参照ゲノムに加えられると、塩基配列決定されたデータの 質と有用性は向上するだろう。異なるアルゴリズムの使用や、与えられたアルゴリズム内のパラ メーターを変更するとき整列した結果が異なるように、読み取り結果が正しくマッピングされた 時でさえ、短い読み取り結果の正確さは異なる(25-27)。よって、読み取る長さを増やした塩基 配列決定プラットフォームは、これらの問題を軽減することができた。塩基配列決定の会社であ るオクスフォードナノポアは、最近何万を超える長さの読み取り結果の塩基配列決定するための ナノ気孔塩基配列決定法を使用した技術を開発している。しかしながら、この技術はまだ完成し ておらず、実用化されていない(31) 。 変異呼出の分析感度には、他にも問題がある。ヒトゲノム計画によって出来た参照シーケンスと 6 比較すると、約 4 万の塩基配列変異が任意の単一の個人のゲノムにある(12)。そのうち、約 350 万は SNP で、また何千が挿入、削除、再構成およびコピー数の変異からなる構造上の変化である (32) 。様々なタイプの変異を同定するためのそれぞれのアルゴリズムの能力はアルゴリズムに よって異なり、その結果、研究者が複数のアルゴリズムを使用し、結果を統合することになった。 これらの問題を解決する為には、さらに洗練されたアルゴリズムが開発されることが必要である。 構造的変異の発見のための特に新しいツールは、ForestSV(33)だ。これは事実上、単一のゲノ ムの中の変異を効率的に見つけることができる。 最近では、60 億塩基対のヒトゲノムの塩基配列決定と分析は、最良のプラットフォームにおいて は、500kbp あたりたった1つの誤りの単一ヌクレオチドの変化の正確さにもかかわらず(34) 、 まだ 1 ゲノムあたり 12000 の驚くべき誤りを生じる。これらの技術的な偽陽性によって(もしか したら不要な検査で、被験者に余計な心配を与えることになるかもしれない)確認試験を求めら れるような臨床的に妥当な疾患関連、またはリスクを高める変異として誤った同定結果となる。 バイオインフォマティック分析パイプラインで処理する過程で、生成された巨大なデータファイ ルを、計算するためのインフラの構成要素とソフトウェア・プログラムの間を転送する必要があ り、その結果、組織内の情報技術のインフラのための投資を要求することになった。いくつかの 計算のためのインフラの必要条件と、分析のためのコストを相殺する見込みのあるオプションと して、クラウドコンピュータがある。クラウドコンピューティングは、あるアクセスが簡単な場 所で分析パイプラインを提供できる可能性を秘めている。重要なのはコンピュータによる集中的 なステップが、いろいろな他のコンピュータを超えてそのクラウドでリンクして分布することが でき、処理時間を減少させるということである。WGS にクラウドを使用した完璧なデータ解析パ イプラインがうまく記載されている(16) 。 解釈と倫理的問題 WGS が行われた理由と無関係な変異の偶発的発見には、患者の望まない情報が含まれている可能 性がある。その情報は、患者に彼らの親族および(または)子孫にとって、臨床的に重要なもの かもしれない。最近の Ayuso らの報告には(35) 、インフォームドコンセントの実行と、WGS に 関する専門家の意見の包括的レビューに基づく、偶発的発見の公開に関する明確な臨床的志向の 勧告が記載されている。彼らは、現在あるいは将来の変異や、その発症、浸透、キャリア状態の 影響に関連した遺伝情報を区分するための分類システムを提案している(表 3) 。6 つのカテゴリ ーは、 (a)検査が行われた理由に関係がある所見、 (b)臨床的に関連のある、治療法が利用可能 かまたは不可能な変異、 (c)将来メンデル型遺伝病を引き起こす危険性が高い変異。 (d)再生の 生命決定に影響を与えうるキャリア状態(e)将来の疾病の可変的リスクを持つ変異(f)重要性 が分からない変異、である。 7 表 3 全ゲノム配列決定(WGS)によって識別された遺伝的変異の分類(Ayusoc ら(35) ) すべての遺伝子検査と同様に、診断前カウンセリングと一般的な情報は、WGS のためのインフォ ームドコンセントの形式の中に含まれるべきである。偶発的所見の公開や、遺伝情報の保管につ いての問題は解決されるべきである。加えて、検査を実施する理由に関連づけられなかった時で さえ、臨床的に関連性の考えられる患者、またはそれらの親戚および(または)彼らの子孫に影 響する遺伝子情報は、リンチ症候群、早発性乳がん 1(BRCA1)や早発性乳がん 2(BRCA2)と いった癌関連遺伝子予防や治療が出来る疾患のために、常に開示されるべきである。ある一つの 研究は、患者は予防が可能か、治療が可能な疾病のための WGS 結果を受け取り、キャリア・ス テータスを決定することに最も興味をもっていた(36)。将来の疾病に対する危険性についての 情報は、予防できない、あるいは治療できないハンティングトン病や(アルツハイマー病に関係 している)アポリポタンパク質 E(APOE)遺伝子の変異型の APOE4 といった疾患で、事前の承諾 が得られたときのみ公開されるべきだ。WGS が未成年に行われる場合、予防できない、治療でき ない将来の疾病の危険に関する情報は、同意用の法定年齢に達するまで、または情報に基づいて 自分自身で決定ができるまで、延期されるべきである。遺伝情報を知っていたくない人のために、 情報を保管するか破棄するかどちらかを選ぶことができる。もし保管すれば、情報は一般的に将 来公開される。しかし、特に発症に影響する新しい情報が発見された時に、その情報に対して対 応することに患者や臨床医が責任を持つかどうかについての問題が提起される。 公開された偶発的所見のために、検査後のカウンセリングにはフォローアップ検査の議論が含ま れるべきだ。疾患リスクへの影響の科学的根拠がある変異でさえ、元々関係のある集団内よりも、 無症候性集団内で異なるリスクになるかもしれないので、偶発的所見の解釈は複雑である。疾病 に関連のある変異の判別でさえ、個人がその病気を持っているということを必ずしも意味しない (37) 。そのような偽陽性偶発的所見のためのフォローアップの研究は、一般的に高価で、侵襲 性のあるものであり、また患者に対して過度の苦痛を引き起こすかもしれない。 8 さらにそれらは、危害を加えないための医学的指示に背くことがある。最近 ACMG が、臨床的 exomes と WGS における偶発所見の報告に関して勧告を公表した(38)。この委員会は、このよ うな臨床的な塩基配列決定に参加していた研究所が、疾病に関連していると知られている遺伝子 のグループとして、具体的に明記された突然変異について探索し、報告することを推奨している。 (そのリストは 24 の疾病や症候群に関わる、57 の遺伝子を含んでいる)。それらの勧告は、年齢 に関係無く、全て正常と異常の検体に適応されるが、胎児のサンプルは除外されている。その委 員会は偶発的所見を「シーケンス検査が命じられた診断結果とは明らかに関係なさそうな、病原 性または病原性の可能性の高い遺伝子変異の慎重な探索の結果」と定義している。委員会は、患 者に対して包括的な検査前後のカウンセリングを提供することは、臨床医の責任だと感じると明 言することは重要だとしている(38) 。ACMG の勧告は賛否両論あり、同意する権利を妨害する かもしれないため、最近は論争を引き起こしている(39)。ガイドラインの利点や不利点は、何 処か他の場所で議論されてきた(40)。そのガイドラインは今後も年に一回、レビューされ改訂 されるだろう。 いかなる患者の塩基配列決定されたゲノム内でも、フォローアップのために同定された膨大な量 の変異を伴っている場合、これらを優先させることは重要だ。最近は優先的な変異へのアルゴリ ズムによって、同じデータを用いた時でさえ、共通の突然変異の影響について様々な予想ができ る(41)。予測された結果に基づいて、未知の疾病に関連づけた変異を優先させることはより困 難になるだろう。新しい技術は一つの試験中に何百、何千の突然変異の影響をはっきりさせるた めに、世代をこえたウイルスや酵母の成長を利用している(42,43) 。 この異なる実験システムの選択による結果の導入により、多数の実験のシステム(たとえば試験 管内での機能的分析や、ゼブラフィッシュとハツカネズミのようなモデル生物)は、変異の機能 上の意味を研究するために必要となるだろう。実証研究にくわえて統計遺伝学や計算上の予測は、 特徴付けが弱い変異の考えられる影響を識別するための手助けとなり、アルゴリズムのより正確 にフォローアップのためにそれらを優先することができるだろう(44) 。 フ ォ ロ ー ア ッ プ の た め に 変 異 を 優 先 さ せ る た め の 最 近 の ツ ー ル で あ る GET-Evidence (Genome-Environment-Trait-Evidence)システムは、表現型の情報の取り込みによって変異一致さ せるための同様の製品の要素を含んでいる(37) 。これは Personal Genome Project(個人ゲノム計 画)の最初の 10 の塩基配列に基づいており、それは 100000 人以内のゲノムの塩基配列決定する ことと、表現型や他の生物学的なデータを完全に集約させることを目的としている(45)。目下 で進行中、もしくは間もなく始まる 12000NGS プロジェクトがリストにある Genomes Online Database (ゲノムオンラインデータベース)(46)の様な、他の大きな研究プロジェクトが変異 の推定上の機能を割り当てる手助けとなっている。 生産された莫大な量の情報を対処するための一つのアプローチとしては、アプリケーションに応 9 じて変異の管理の違うアプローチを使うことである。症状のある人の中の病因を同定する過程で、 変異に優先順位をつけるアルゴリズムは、その時の治療的介入を指揮しうる証明され、かつ臨床 的に妥当な表現型の決定により変異だけを識別するために調整されるべきだ。もし決定的な病因 を得られないならば、患者の症状に関連した予測された効果のわかる変異は、研究背景として診 察を優先することができるだろう。予防できる疾病に対する高いリスクをもった自覚症状のない 個人の同定において、変異は予防できる疾病との関係の強力な科学的証拠の基礎として優先され るべきであり、そしてそれにより患者のカウンセリングによってリスクを最小限にすることが可 能となる。目的とした応用法の基盤のもとで、変異に優先順位をつけることによって、タイムリ ーでコスト効率のよい方法で、最も臨床的に重要な変異が発見されたり、患者のカウンセリング や治療の手引きとなったりすることが可能となる。 WGS から得られた結果の解釈は、民族性の影響によってさらに複雑になる。短い時間内での母集 団人口の指数関数的な増加のなかで、何千年以上に渡って自然淘汰にさらされていない、まれな 変異の過剰状態が生じている(47) 。疾病を引き起こす対立遺伝子は、民族系統(26)に沿って 分布していることから、変異の重要性を解釈する場合、コントロールは民族性のもとに確立され なければならない。例えばある変異がその集団に特有的であり、必ずしも病気を引き起こさない かもしれない。民族性の影響の浸透度や、表現型の重大性を試験するためのより多くの研究が、 多様な民族集団に必要とされる。遺伝子検査の急成長に対応することが出来る、熟練した遺伝学 者および遺伝学的相談員が不足している。臨床医は遺伝子検査のカウンセリングを提供するため にトレーニングされてきておらず、加えて時間と必要な資源がない。医学校は将来の臨床医を育 てるための、正規のカリキュラムを開発している(48)。一般市民も WGS の本質について、教育 されていない。試験結果の報告や、解釈と勧告の詳細な記載を一緒にすることにより、臨床医と 一般の人々に対する教育プランは、知識のすき間を埋める手助けとなるだろう。 民族的な問題もまた、さらに大規模に生じる。遺伝子変異は、行動特性や精神疾患(統合失調症 (49) 、うつ病(50)、双極性障害(51))に大きく関連しているので、もし潜在的に危険な行動 特性や精神疾患との特性のつながりが確認されたなら、情報は権利者とともに共有されるべきか どうかという点で、不確実性が存在している。遺伝学者は、アダムランザがコネチカット州の小 学校で発砲行為を行った彼の行動を説明する遺伝的素因を探すために、アダムランザの遺伝子を 検査している(52) 。しかしながら、彼の行動を説明するとして同定されたいずれの遺伝的変異 も、非遺伝的な要因の決定的な影響を無視している(53) 。 WGS のデータの秘密や、プライバシーを確実に守ることは重要である。アメリカの学会によって 作られた HIPAA (the Health Insurance Portability and Accountability Act)は、患者のデータのプライバ シー問題を解決したが、それは他の法や規則もだが、WGS のもつ複雑性や感度を熟考するため、 最新化されなければならない。生命倫理問題の研究のための、大統領が統括する委員会によって 出された最近のレポートである『全ゲノム塩基配列決定におけるプライバシーと進歩」(54)が 公表され、プライバシーの保証やデータのセキュリティに関する推奨を示している。一方で、研 10 究の発展を手助けするためにデータをシェアする機会の重要性についても言及している。 有効性の科学的証拠 WGS の使用における公衆領域での興味の一つは、無症候の人の疾病リスクを予知する能力である。 主に疾病のリスクを推定するために、100 対の SNP を評価する遺伝子決定パネルを使用する DTC 遺伝子検査によって、意味のある結果を供給する困難さが示された。DTC ベンター間のリスク予 測を評価する研究は、強い予測値 (たとえばセリアック病用の SNP) を示した限られた SNP 以 外は、本質的な変化が推定しやすいことを見出した(55,56)。様々な予測モデルは、リスク評価 の精密度を変えることができ、例えば文献を基盤にした評価は共変数と結びつけられるのかどう か、またはどのように共変数と組み合わせるかといったものである。さらに検査された SNP の大 半は、個人のリスク評価に対してほんのわずかな変化のみを示し、結果への非遺伝的な要因(ラ イフスタイル)の影響は、ほとんどの検査された SNP において未知である。ロバートら(57)が 24 の一般的な疾患について、一卵性双生児の間での罹患率や一致率を調査した。WGS の潜在的 な臨床的有用性を最大限に評価する最善のシナリオでは、大多数の人は臨床的に意味のある対立 遺伝子を、少なくとも一つの疾病としてもっているだろう。しかしながら、残りの大多数の疾病 において、患者は進展しつつある疾病のための予測されたリスクを有意に減少させることはでき ないという、無意味な結果を受け取ることになるだろう。健康状態を改める際に、疾病リスクの 予測の有効性を評価するために、前向き研究が行われるべきである。現在、遺伝子検査のリスク 予測に対する情報を確実に供給する能力は、信頼性に欠けている。 WGS の臨床での即時アプリケーションは、複雑な疾病の迅速病因究明に用いられる。WGS は単 一遺伝子塩基配列決定や、既知変異型のジェノタイピングより有効である。なぜならそれは全ゲ ノム中のすべての変異を識別でき、ひょっとすると 1 つの検査のみで行われるので、受診管理の スピードを上げているかもしれない(9) 。エキソーム(全ゲノムのサイズのうち約 1%)を分析 する全エキソンシーケンス(WGS)は、塩基配列決定と分析を実質的により少ない時間で行うこ とができ、WGS は実質的により低コストで行うことができる。ほかの検査では診断法を確立する ことが出来なかった、子供の重症の炎症性腸疾患の原因を WES によって同定でき、よい治療が 出来るようになった(6) 。急性肝不全の幼児では、WES は劣性異常を引き起こす変異を同定する ことにより、治療の意思決定を向上させ、その結果、両親は自分たちの幼児が肝移植適用予備軍 ではないだろうというカウンセリングに行くようになる(58) 。WGS は、バーター症候群(8)と 予測診断された患者の先天性クロール下痢症の診断のために使用された。他にも WGS は、未知 の症候群の責任遺伝子を見つけるために使用されてきた(59)。似たような成功例は、現在報告 が急増しており、より詳細な情報はこのレビューの範囲を超えている。 遺伝子薬理学は、薬理学的治療や適切な投薬を手引きするために、主に腫瘍学や血液学的な疾病、 さらに心臓病や肺、リウマチ、感染症の患者に対して、遺伝子変異の知識を提供する(60)。こ れは、遺伝子検査としてはもっとも早い臨床での実施であり、そして WGS は臨床的に適切な情 11 報を供給する場であり続ける。既知の遺伝薬理学の情報が載った薬のリストが、別記されている (61) 。たとえば、鳥類の赤芽球の白血病ウイルス腫瘍遺伝子同族体(ERBB2、以前は HER2/Neu) の V-erb-b2 の状態の評価は、トラスツマブに反応しそうな肺がん患者の集団とクラス分けするこ とができる。標的治療は、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌および肺がんの体細胞変異に基づいて 利用が可能である(61) 。WGS は、隠れた融合がん遺伝子を同定し、かつ急性前骨髄性白血病の 患者の治療計画に使用された (9) 。 舌腺癌患者では、 WGS は体細胞ドライバー変異を同定したり、 変異の抑制のための治療を指示したりするために臨床的に使用された(10) 。WGS は非腫瘍性疾 患治療決定のために、ワルファリンへの感受性や投薬ガイドを与える生殖細胞系列多型を同定す るために使用することもできる(62) 。もう一つの事例は、WGS がドーパ反応失調と診断された 双子の治療を手引きするために使用された(63)。現在、同様の例が加速度的なペースで報告さ れている。 性と生殖に関する健康のために、WGS は予測キャリアのスクリーニング、健康な胎児を選択する ための着床前診断、出生前診断検査、および、新生児のスクリーニングに使用することができる。 以前は乳児疾病と幼児死亡率(65)の一因に関与する、メンデル型遺伝病のような 3500 以上の 既知の遺伝的基礎(64)に対する利用可能なマルチプレックステストのような検査法が求められ たが、WGS はすべての遺伝子変異を同定することができる。胎児に危険をもたらす現在の侵襲性 の出生前スクリーニングで選択されるもの(羊水穿刺および絨毛膜絨毛サンプリング)とは対照 的に、WGS は妊婦の血漿中の親のハプロタイプを数えることによって、胎児の遺伝子の非侵襲性 な塩基配列決定するために使用することができる(66)。任意の疾病の同定により、より適切な 出生前のカウンセリングや、 治療や出生直後のケアが与えられるだろう。 WGS のストラテジーと、 ダウン症のための現在普及している母体血清スクリーニングのプロトコールの比較により、WGS の高い診断感度と特異度が確認された(67)。出生前サンプルの全ゲノム“Jumping libraries”によ り、現在のスクリーニング技術では同定できない、クロモドメインヘリカーゼ DNA 結合タンパ ク質 7(CHD7)、チャージ症候群(目の欠損、心臓欠損、後鼻腔の閉鎖症、成長遅延、および/ または発達遅延、生殖器および/または泌尿器の異常、耳の異常や聴覚障害)の破綻による翻訳ブ レークポイントが同定され、この知見により出生前カウンセリングの手助けとなった(68)。新 生児の兆候が明らかになる前の、子宮内でのフェニルケトン尿症、ガラクトース血症、メープル シロップ尿症、および重症複合型免疫不全のような状態を検出することによって、出生の後ただ ちに治療を行うことが可能となった(66)。新生児集中治療部で WGS は、新生児の遺伝病や治療 ガイドをより早く確立するために使用することができる(69) 。 特許の問題 WGS を行う施設の重要な懸念は、ゲノム中の非常に多くの塩基配列の変異の臨床的な重要性を保 護する何百もの特許を侵害するかもしれず、その結果、特許侵害責任に直面している。アメリカ の最高裁判所の分子病理学協会(AMP)と、Myriad Genetics の長期間にわたる単離された DNA の特許の資格についての件での最近の判決によって、ゲノム特許によって妨害されている WGS 12 についての懸念に終止符が打たれた(70) 。Myriad Genetics は、BRCA と呼ばれる乳房や卵巣の腫 瘍感受性遺伝子と、そしてそれらのがんに対する危険性が増加した女性を鑑別する方法の特許を 保持している遺伝子検査の会社である。そのケースの初期段階では、米国連邦巡回控訴院裁判所 は患者の癌のリスクを同定するために、BRCA の塩基配列変異を比較する Myriad の診断方法の特 許請求項が、根拠薄弱であるとするとするアメリカ地方裁判所の判決を支持した(71)。アメリ カの最高裁判所は、分離された DNA は自然産物であり、発明によるものではないとの理由で、 特許へは適応されないとした。Myriad Genetics はその特許権を用いて、ほかの遺伝子検査会社や 学術研究機関から BRCA 検査が提供されたり、研究に従事したりするのを防ぐために使用した。 今では他の機関が訴訟の恐れ瑠ことなく、検査や研究に従事することが可能で、その結果、市場 競争の増加や検査の低費用化が起こった。最高裁判所の決定の日に、いくつかの会社と大学研究 所は、Myriad より低いコストでの BRCA 変異検査を提供していたと発表した。しかしながら Myriad は、彼らが残りの特許権を侵害しているとして訴えた(72) 。 アメリカ最高裁判所は、cDNA についてはイントロンが除去され、その結果、DNA から新しい別 個の DNA が作られた別のものであるという理由で、特許の適用下にあるとした裁定を下した。 Mayo と Prometheus のイントロンの除去は、科学的に日常的なことであるので、科学的日常活動 (Thiopurine 薬の服用を調節するために代謝物質濃度を測定すること)と、自然摂理(個人が薬 を異なって代謝する)を組み合わせることは、特許の適用下ではないとした裁判所の決定は、前 判決とは対比をなすものである(73)。最高裁判所の一番最近の決定が、前の決定にどのように 影響を与えるのか、今のところは不明なままである。AMP 対 Myriad の事例の知的財産の保護や ゲノム発見の推奨への影響は、まだ不確かである。 結 論 WGS は様々な重要な臨床的有用性を備えた、非常に強力な検査である。それにもかかわらず、 WGS の過剰な臨床的実施を防いでいる多数の挑戦がある。これはたとえば、高いシーケンスのコ スト、NGS のプラットフォームや分析アルゴリズムの正確さ、品質保証、意味深長に結果を解釈 する能力、偶発的所見についての倫理に懸命にとりくむ必要性、訓練された臨床医の不足といっ たものである(Fig.2)。標的となる応用としては、複雑な疾病、遺伝子薬理学、治療のパーソナ ル化、生殖に関する健康の遺伝的基盤の同定といった過程に関係する。そして、WGS は、現在治 療や患者の予後を改善するための臨床的応用において成功しており、そこで拡大された使用法が 臨床的に著しい利点をもたらすだろう。無症候の集団の中での疾病のリスクを予測するといった、 標準的な臨床応用として WGS を実施するためのより広い適用は、診療所に行き届くまでにはま だ多くの時間がかかるだろう。そのような適用については、誰のために、その WGS の利益がフ ォローアップ検査、過剰診断や過剰治療に関連した本質的なコストの問題や、それに関連した精 神的な苦痛にも勝るものであるか示すために、前向き試験を実施すべきである。そのような障害 を乗り越えることができるまで、持続的かつ拡張した臨床的な方法で患者への危害を最小限にし 13 つつ、利益を最大視しながら選択した診断でのみ、慎重に WGS を試みるべきである。 図2 WGS を日常臨床使用に持ち込むために解決すべき障害 Footnotes 4 Nonstandard abbreviations: ACMG, American College of Medical Genetics; DTC, direct-to-consumer; SNP, single-nucleotide polymorphism; WGS, whole genome sequencing; CAP, College of American Pathologists; NGS, next generation sequencing; WES, whole exome sequencing; AMP, Association of Molecular Pathology. 5 Human genes: BRCA1, breast cancer 1, early onset; BRCA2, breast cancer 2, early onset; 14 APOE, apolipoprotein E; ERBB2 (formerly HER2/Neu), v-erb-b2 avian erythroblastic leukemia viral oncogene homolog 2; CHD7, chromodomain helicase DNA binding protein 7. Author Contributions: All authors confirmed they have contributed to the intellectual content of this paper and have met the following 3 requirements: (a) significant contributions to the conception and design, acquisition of data, or analysis and interpretation of data; (b) drafting or revising the article for intellectual content; and (c) final approval of the published article. Authors' Disclosures or Potential Conflicts of Interest: Upon manuscript submission, all authors completed the author disclosure form. Disclosures and/or potential conflicts of interest: Employment or Leadership: E.P. Diamandis, Clinical Chemistry, AACC. Consultant or Advisory Role: None declared. Stock Ownership: None declared. Honoraria: None declared. Research Funding: None declared. Expert Testimony: None declared. Patents: None declared. Received for publication April 30, 2013. Accepted for publication October 21, 2013. © 2014 The American Association for Clinical Chemistry References 1. Pasche B, Absher D. Whole-genome sequencing: a step closer to personalized medicine. JAMA 2011;305:1596–7. 15 2. Diamandis EP. Next-generation sequencing: a new revolution in molecular diagnostics? Clin Chem 2009;55:2088–92. 3. Voelkerding KV, Dames SA, Durtschi JD. Next-generation sequencing: from basic research to diagnostics. Clin Chem 2009;55:641–58. 4. Bloss CS, Darst BF, Topol EJ, Schork NJ. Direct-to-consumer personalized genomic testing. Hum Mol Genet 2011;20:R132–41. 5. Bellcross CA, Page PZ, Meaney-Delman D. Direct-to-consumer personal genome testing and cancer risk prediction. Cancer J 2012;18:293–302. 6. Diamandis M, White NM, Yousef GM. Personalized medicine: marking a new epoch in cancer patient management. Mol Cancer Res 2010;8:1175–87. 7. Worthey EA, Mayer AN, Syverson GD, Helbling D, Bonacci BB, Decker B, et al. Making a definitive diagnosis: successful clinical application of whole exome sequencing in a child with intractable inflammatory bowel disease. Genet Med 2011;13:255–62. 8. Choi M, Scholl UI, Ji W, Liu T, Tikhonova IR, Zumbo P, et al. Genetic diagnosis by whole exome capture and massively parallel DNA sequencing. Proc Natl Acad Sci USA 2009;106:19096–101. 9. Welch JS, Westervelt P, Ding L, Larson DE, Klco JM, Kulkarni S, et al. Use of whole-genome sequencing to diagnose a cryptic fusion oncogene. JAMA 2011;305:1577–84. 10. Jones SJ, Laskin J, Li YY, Griffith OL, An J, Bilenky M, et al. Evolution of an adenocarcinoma in response to selection by targeted kinase inhibitors. Genome Biol 2010;11:R82. 11. Bick D, Dimmock D. Whole exome and whole genome sequencing. Curr Opin Pediatr 2011;23:594–600. 12. Drmanac R. Medicine. The ultimate genetic test. Science 2012;336:1110–2. 13. Pelak K, Shianna KV, Ge D, Maia JM, Zhu M, Smith JP, et al. The characterization of twenty sequenced human genomes. PLoS Genet 2010;6:e1001111. 14. Abecasis GR, Altshuler D, Auton A, Brooks LD, Durbin RM, et al1000 Genomes Project Consortium, Abecasis GR, Altshuler D, Auton A, Brooks LD, Durbin RM, et al. A map of human genome variation from population-scale sequencing. Nature 2010;467:1061–73. 15. MacArthur DG, Balasubramanian S, Frankish A, Huang N, Morris J, Walter K, et al. A systematic 16 survey of loss-of-function variants in human protein-coding genes. Science 2012;335:823–8. 16. Zhao S, Prenger K, Smith L, Messina T, Fan H, Jaeger E, Stephens S. Rainbow: a tool for large-scale whole-genome sequencing data analysis using cloud computing. BMC Genomics 2013;14:425. 17. Ormond KE, Wheeler MT, Hudgins L, Klein TE, Butte AJ, Altman RB, et al. Challenges in the clinical application of whole-genome sequencing. Lancet 2010;375:1749–51. 18. Prevention Genetics. Clinical DNA testing http://preventiongenetics.com/files/4613/8333/9106/PricelistByDisease_10-15-13.pdf price list. (Accessed March 2013). 19. SEQanswers. Software list. http://seqanswers.com/wiki/Software/list (Accessed March 2013). 20. Gargis AS, Kalman L, Berry MW, Bick DP, Dimmock DP, Hambuch T, et al. Assuring the quality of next-generation sequencing in clinical laboratory practice. Nat Biotechnol 2012;30:1033–6. 21. Kedes L, Campany G. The new date, new format, new goals and new sponsor of the Archon Genomics X PRIZE competition. Nat Genet 2011;43:1055–8. 22. Peters BA, Kermani BG, Sparks AB, Alferov O, Hong P, Alexeev A, et al. Accurate whole-genome sequencing and haplotyping from 10 to 20 human cells. Nature 2012;487:190–5. 23. Sebastiani P, Solovieff N, Puca A, Hartley SW, Melista E, Andersen S, et al. Retraction. Science 2011;333:404. 24. Sebastiani P, Solovieff N, Puca A, Hartley SW, Melista E, Andersen S, et al. Genetic signatures of exceptional longevity in humans. Science 2010;2010. 25. Nothnagel M, Herrmann A, Wolf A, Schreiber S, Platzer M, Siebert R, et al. Technology-specific error signatures in the 1000 Genomes Project data. Hum Genet 2011;130:505–16. 26. Moore B, Hu H, Singleton M, De La Vega FM, Reese MG, Yandell M. Global analysis of disease-related DNA sequence variation in 10 healthy individuals: implications for whole genome-based clinical diagnostics. Genet Med 2011;13:210–7. 27. Rieber N, Zapatka M, Lasitschka B, Jones D, Northcott P, Hutter B, et al. Coverage bias and sensitivity of variant calling for four whole-genome sequencing technologies. PLoS One 2013;8:e66621. 17 28. Ledergerber C, Dessimoz C. Base-calling for next-generation sequencing platforms. Brief Bioinform 2011;12:489–97. 29. Huang X, Madan A. CAP3: a DNA sequence assembly program. Genome Res 1999;9:868–77. 30. Hatem A, Bozdağ D, Toland AE, Çatalyürek ÜV. Benchmarking short sequence mapping tools. BMC Bioinformatics 2013;14:184. 31. Loman NJ, Constantinidou C, Chan JZ, Halachev M, Sergeant M, Penn CW, et al. High-throughput bacterial genome sequencing: an embarrassment of choice, a world of opportunity. Nat Rev Microbiol 2012;10:599–606. 32. Pang AW, MacDonald JR, Pinto D, Wei J, Rafiq MA, Conrad DF, et al. Towards a comprehensive structural variation map of an individual human genome. Genome Biol 2010;11:R52. 33. Michaelson JJ, Sebat J. forestSV: structural variant discovery through statistical learning. Nat Methods 2012;9:819–21. 34. Roach JC, Glusman G, Hubley R, Montsaroff SZ, Holloway AK, Mauldin DE, et al. Chromosomal haplotypes by genetic phasing of human families. Am J Hum Genet 2011;89:382–97. 35. Ayuso C, Millán JM, Mancheño M, Dal-Ré R. Informed consent for whole-genome sequencing studies in the clinical setting. Proposed recommendations on essential content and process. Eur J Hum Genet 2013;21:1054–9. 36. Facio FM, Eidem H, Fisher T, Brooks S, Linn A, Kaphingst KA, et al. Intentions to receive individual results from whole-genome sequencing among participants in the ClinSeq study. Eur J Hum Genet 2013;21:261–5. 37. Ball MP, Thakuria JV, Zaranek AW, Clegg T, Rosenbaum AM, Wu X, et al. A public resource facilitating clinical use of genomes. Proc Natl Acad USA 2012;109:11920–7. 38. Green RC, Berg JS, Grody WW, Kalia SS, Korf BR, Martin CL, et al. ACMG recommendations for reporting of incidental findings in clinical exome and genome sequencing. Genet Med 2013;15:565–74. 39. Wolf SM, Annas GJ, Elias S. Point-counterpoint. Patient autonomy and incidental findings in clinical genomics. Science 2013;340:1049–50. 40. McGuire AL, Joffe S, Koenig BA, Biesecker BB, McCullough LB, Blumenthal-Barby JS, et al. Point-counterpoint. Ethics and genomic incidental findings. Science 2013;340:1047–8. 18 41. Hicks S, Wheeler DA, Plon SE, Kimmel M. Prediction of missense mutation functionality depends on both the algorithm and sequence alignment employed. Hum Mutat 2011;32:661–8. 42. Fowler DM, Araya CL, Fleishman SJ, Kellogg EH, Stephany JJ, Baker D, Fields S. High-resolution mapping of protein sequence-function relationships. Nat Methods 2010;7:741–6. 43. Hietpas RT, Jensen JD, Bolon DN. Experimental illumination of a fitness landscape. Proc Natl Acad Sci USA 2011;108:7896–901. 44. Sunyaev SR. Inferring causality and functional significance of human coding DNA variants. Hum Mol Genet 2012;21:R10–7. 45. Jones B. Genomics: personal genome project. Nat Rev Genet 2012;13:599. 46. Pagani I, Liolios K, Jansson J, Chen IM, Smirnova T, Nosrat B, et al. The Genomes OnLine Database (GOLD) v.4: status of genomic and metagenomic projects and their associated metadata. Nucleic Acids Res 2012;40:D571–9. 47. Tennessen JA, Bigham AW, O'Connor TD, Fu W, Kenny EE, Gravel S, et al. Evolution and functional impact of rare coding variation from deep sequencing of human exomes. Science 2012;337:64–9. 48. Walt DR, Kuhlik A, Epstein SK, Demmer LA, Knight M, Chelmow D, et al. Lessons learned from the introduction of personalized genotyping into a medical school curriculum. Genet Med 2011;13:63–6. 49. Mühleisen TW, Kirsch P, et al, Rietschel M, Mattheisen M, Degenhardt F; Genetic Risk and Outcome in Psychosis (GROUP Investigators), Mühleisen TW, Kirsch P, et al. Association between genetic variation in a region on chromosome 11 and schizophrenia in large samples from Europe. Mol Psychiatry 2012;17:906–17. 50. Schosser A, Butler AW, Ising M, Perroud N, Uher R, Ng MY, et al. Genomewide association scan of suicidal thoughts and behaviour in major depression. PLoS One 2011;6:e20690. 51.Wellcome Trust Case Control Consortium. Genome-wide association study of 14,000 cases of seven common diseases and 3,000 shared controls. Nature 2007;447:661–78. 52. abc News. School shooter's DNA to be studied. http://news.yahoo.com/school-shooters-dna-studied-214930321--abc-news-topstories.html (Accessed March 2013). 19 53. No easy answer. Nature 2013;493:133. 54. Presidential Commission for the Study of Bioethical Issues. Privacy and progress in whole genome sequencing. http://bioethics.gov/cms/node/764 (Accessed March 2013). 55. Zehnbauer B. Direct-to-consumer genetics testing—fair comparisons? Clin Chem 2011;57:369–71. 56. Imai K, Kricka LJ, Fortina P. Concordance study of 3 direct-to-consumer genetic-testing services. Clin Chem 2011;57:518–21. 57. Roberts NJ, Vogelstein JT, Parmigiani G, Kinzler KW, Vogelstein B, Velculescu VE. The predictive capacity of personal genome sequencing. Sci Transl Med 2012;4:133ra58. 58. Goh V, Helbling D, Biank V, Jarzembowski J, Dimmock D. Next-generation sequencing facilitates the diagnosis in a child with twinkle mutations causing cholestatic liver failure. J Pediatr Gastroenterol Nutr 2012;54:291–4. 59. Mendel's Pod. Father/scientist finds gene responsible for daughter's unknown syndrome: Hugh Rienhoff talks personal genomics. http://www.mendelspod.com/podcast/father-scientist-finds-gene-responsible-for-daughters-unknown-s yndrome-hugh-rienhoff-talks-personal-genomics(Accessed March 2013). 60. U.S. Food and Drug Administration. Table of pharmacogenomic biomarkers in drug labeling. http://www.fda.gov/Drugs/ScienceResearch/ResearchAreas/Pharmacogenetics/ucm083378.htm (Accessed March 2014). 61. Gullapalli RR, Desai KV, Santana-Santos L, Kant JA, Becich MJ. Next generation sequencing in clinical medicine: challenges and lessons for pathology and biomedical informatics. J Pathol Inform 2012;3:40. 62. Ashley EA, Butte AJ, Wheeler MT, Chen R, Klein TE, Dewey FE, et al. Clinical assessment incorporating a personal genome. Lancet 2010;375:1525–35. 63. Bainbridge MN, Wiszniewski W, Murdock DR, Friedman J, Gonzaga-Jauregui C, Newsham I, et al. Whole-genome sequencing for optimized patient management. Sci Transl Med 2011;3:87re3. 64. Amberger J, Bocchini CA, Scott AF, Hamosh A. McKusick's Online Mendelian Inheritance in Man (OMIM). Nucleic Acids Res 2009;37:D793–6. 65. Bell CJ, Dinwiddie DL, Miller NA, Hateley SL, Ganusova EE, Mudge J, et al. Carrier testing for 20 severe childhood recessive diseases by next-generation sequencing. Sci Transl Med 2011;3:65ra4. 66. Fan HC, Gu W, Wang J, Blumenfeld YJ, El-Sayed YY, Quake SR. Non-invasive prenatal measurement of the fetal genome. Nature 2012;487:320–4. 67. Palomaki GE, Kloza EM, Lambert-Messerlian GM, Haddow JE, Neveux LM, Ehrich M, et al. DNA sequencing of maternal plasma to detect Down syndrome: an international clinical validation study. Genet Med 2011;13:913–20. 68. Talkowski ME, Ordulu Z, Pillalamarri V, Benson CB, Blumenthal I, Connolly S, et al. Clinical diagnosis by whole-genome sequencing of a prenatal sample. N Engl J Med 2012;367:2226–32. 69. Saunders CJ, Miller NA, Soden SE, Dinwiddie DL, Noll A, Alnadi NA, et al. Rapid whole-genome sequencing for genetic disease diagnosis in neonatal intensive care units. Sci Transl Med 2012;4:154ra135. 70. Kesselheim AS, Cook-Deegan RM, Winickoff DE, Mello MM. Gene patenting—the Supreme Court finally speaks. N Engl J Med 2013;369:869–75. 71. Association for Molecular Pathology v. United States Patent and Trademark office and Myriad Genetics, Inc., 689 F. 3d 1303 Fed. Cir. (2012). 72. New York Times. 2 Competitors sued by genetics company for patent infringement. http://www.nytimes.com/2013/07/11/business/2-competitors-sued-by-genetics-company-for-patent-infri ngement.html?_r=0 (Accessed July 2013). 73. Mayo Collaborative Services v. Prometheus Laboratories, Inc., 566 U.S., 132 S. Ct. 1289 (2012). 74. The University of Texas at Austin. Illumina's historical list prices. https://wikis.utexas.edu/display/GSAF/Illumina's+historical+list+prices(Accessed August 2013). 21