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事業の概況 - 土佐あき農業協同組合
事業の概況(平成 27 年度) 国内経済はアベノミクスによる円安と株高で一時的には好転が見られたが、 日銀の再三に亘る物価目標の先送りに見られるように日本経済は低迷を続け ています。デフレ脱却による企業業績の改善、賃金の上昇、消費拡大による2% の物価目標達成の景気回復シナリオの実現には疑問の声強まっています。 地方経済や農業関係においても依然として厳しい状態が続いています。 TPP 交渉は参加国による協定文書に署名した後、各国で条約を承認する「国 会批准」が行われ、発効に至る流れとなりますが、米大統領選挙の動向も不透 明で予断を許せない状況にあります。今後の国会審議を注視し、影響調査を踏 まえた国内対策の実現に向けて取り組んでいくことになります。 また、改正農協法が 4 月 1 日に施行されました。総合農協の解体を狙った准組 合員への利用制限の導入や、全農の株式会社化、全国農協中央会の一般社団法 人化など、組合員の意志、自主・自立の協同組合理念を無視した暴挙でありま す。 JA グループは昨年開催された第 33 回高知県 JA 大会において、TPP 対策運動 の継続、JA 改革の推進、県域 1JA 構想の実現に全力で取り組むことを決議し ました。 今後 3 年間が JA グループの生き残りをかけた取り組みの正念場となります。 一方、管内の農業は園芸野菜は台風の影響も少なくおおむね順調に推移しま した。昨年に引き続き高知なすは厳寒期の集荷量が減少し、市場の要請量を満 たすことが出来ず今後に課題を残しました。 中山間の基幹作物である柚子は、青果は病害虫の発生が多く出荷量は前年を 下回りました。加工品については販売戦略チームの拡販努力もあり販売額が増 加しました。近年消費需要の増加により原料確保に苦労しました。また、本年 より念願の一元化にも取り組みました。 本年度の収支は、組合員・利用者の皆様の深いご理解とご協力より、当期剰 余金 183,379 千円を挙げる事が出来ました。以下、各部門の事業報告・実績は 次のとおりとなっております。 ◇ 営農指導事業 平成 27 年度は気象の大きな自然災害もなく比較的順調に推移しましたが、 季節を問わず干ばつと長雨に見舞われたため、日照時間が大きく増減し作物の 生育に大きな影響を与えました。年内は暖冬で、年明け後、大寒波の襲来もあ りましたが、施設栽培では重油単価の値下げによりハウス内温度を例年より確 保できた 施設が多くみられました。 施設園芸においては、新施設園芸システム加速化事業に 72 名の生産者が参 加し、環境測定機器と炭酸ガス発生装置の導入による高品質多収技術の取得に 取り組みました。ユズでは、各支部で栽培している母樹候補 2 系統のピッティ ング調査及び果実品質調査を行い、強毒ウィルスに感染のない母樹の選抜を行 いました。また、各部員に供給する苗木育成の為、母樹から穂木の採取を実施 しました。花卉では、花卉部の各支部で市場訪問を行い、市場担当者との意見 交換の場で情勢報告や消費者ニーズの把握に努めました。 無料職業紹介所アグリ・サポートでは、農家の高齢化による労働不足と規模 拡大農家をサポートするため求職者の募集を行いました。結果、求人登録農家 38 戸 76 名、求職登録者名、契約実績 31 件(農家 20 戸へ 31 人が就職)とな りました。 ◇ 信用事業 地域の金融機関として、組合員・利用者の立場に立った金融サービスや商品 の提供と、全職員による地域密着型渉外活動を展開し、夏・冬の貯金キャン ペーンや 3 月のJA土佐あき春の貯金キャンペーン、また年金相談会やJA カードの推進を実施いたしました。融資につきましては、経済部門と連携し、 ハウスや農家を訪問しての農業資金のPRや相談の受付、また住宅ローンを 中心に各種ローンのキャンペーンや相談会を実施いたしました。 この結果、貯金は約 21 億円増加し、年度末貯金残高は 1,052 億円となりま した。 貸付金は、主力である農業資金・住宅ローンをはじめ、個人向け貸付金残 高の伸長に努めて参りましたが、個人向け貸付金及び地方公共団体向け貸付 金の減少により、約 7 億円減少し、年度末残高は 120 億円となりました。 有価証券は、余裕金の運用のバランスと安全性に重点を置いて運用を行い、 計画を上回る収益を出すことができ、年度末残高は約 14 億円増加し、89 億 円となりました。 ◇ 共済事業 平成 27 年度は、農業協同組合が理念とする「相互扶助(助け合い)」を事 業活動の原点とし、組合員・利用者の皆様の立場に立って考え、多様化するニ ーズに応える為、3Q訪問活動による加入内容の説明を基本とした世帯内保障 点検の徹底と、地域特性や保障提供状況を踏まえた効果的な推進活動(エリア 戦略)を実践してまいりました。 結果、生存保障(計画比 130.5%)は達成となりましたが、建更保障(計 画比 90.4%)万一保障(計画比 78.8%)と未達成に終わり、全共連登録目標 390 億円(実績 377.8 億円)においても達成に至りませんでした。 また、経営挑戦目標については、長期共済新契約目標 410 億円に対し 398. 4 億円(計画比 97.2%)と達成は出来ませんでしたが、年金共済は 4 億円の 目標に対し 6 億 1,380 万円(計画比 153.5%)、医療系共済については目標 件数 1,500 件に対し 1,958 件(計画比 130.5%)と達成する事が出来ました。又、 短期共済(自動車共済・自賠責共済・火災共済・傷害共済)の伸長は、件数で は微増(20 件増)となり又、短期共済全体の付加収入高では、1 億 5,022 万 円(前年比 101.9%)の実績となりました。 ◇ 経済事業 平成 27 年度の経済事業は、年内の暖冬と厳寒期に燃料価格の下落により、 ヒートポンプから加温機への切り替えもあり、重油供給量は若干微増となり ましたが、購買品供給高は 50 億 7,275 万円と計画対比 93.9%となりました。 また、延滞購買未収金は弁済契約締結等、管理徹底と回収により残高は減 少致しましたが更なる取組みが必要となっております。 ◇ 園芸・販売事業 平成 27 年度の出荷品は天候に左右され作柄の前進化と豊凶を繰り返した 年となりました。園芸部門では、「土佐あき地域園芸戦略会議」を中心に園 芸連・関係機関と連携して、ブランド集約を行い出荷品の取扱シェアの拡大 を図り、安全・安心・健康な農産物の拠点販売を実施して有利販売に取り組 み、販売部門ではゆず部会と協力して安定供給・安定販売・品質向上を図り、 花卉部門では市場と産地の交流を積極的に行い、販売高の上伸に努めた結果、 加工事業も含めた総販売・売上金額は 110 億 4,444 万円(前年対比 105.3%)、 内受託販売金額は 104 億 7,725 万円(前年対比 104.3%)となりました。