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⑤地域資源を活用した バイオマス循環利用システムの開発

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⑤地域資源を活用した バイオマス循環利用システムの開発
⑤地域資源を活用した
バイオマス循環利用システムの開発
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地域資源を活用したバイオマス循環利用システムの開発(中課題)
小課題の構成と関係
①バイオマス利活用の総合的
な設計・評価手法の開発
エネルギーと資材の地産地消
率等の算定方法、持続的なバイ
オマス利活用のためのプロジェ
クトサイクルマネジメント手法を
開発するとともに、ライフサイクル
アセスメント手法等を精緻化する。
1)地域バイオマス活用推進のた
めの計画策定及び運営支援手
法の開発(農工研)
2)ライフサイクルを考慮したバイ
オマス利用システムの総合的評
価手法の開発(中央農研)
3)寒冷地水田農業地域における
エネルギー生産型農業システム
の設計・評価手法の開発(東北
農研)
②地域特性に応じたバイオマス利用モデルの構築
1)寒地バイオマス資源のインベントリー構築(北農研)
2)寒冷地水田農業地域におけるバイオマス循環利用モデルの構築,作物
残さ等の高付加価値化技術の開発(東北農研)
3)温暖地におけるバイオマス循環利用モデルの構築(中央農研)
4)暖地におけるバイオマスのカスケード利用モデルの構築(九州沖縄農研)
5) 低投入型バイオマス利活用システムの構築(農工研)
情報提供
開発技術
の地域実
証提案
共同作業
情報提供
枠組提示
他の中課題
インベントリー
データ提供
新たな再
生資源に
関わる問
題の相談
③バイオマス由来再生資源の安全かつ環
境保全的な利活用技術の開発(農工研)
メタン発酵消化液などのバイオマス由
来再生資源の衛生・安全の確保法、地
域環境を保全するための適正な農地還
元方法、地球温暖化対策に貢献する利
活用技術の開発を行う。
目標:地域において、食料生産機能を維持しつつ、農業副産物、資源作物、畜産由来バイオマス等をエネルギーや資材
として総合的に利用する技術を開発する。これにより、本格的なバイオマスタウン構築につながる地域循環利用システムを
設計する。さらに、モニタリングに基づきバイオマス利活用技術の有効性の検証やエネルギー生産型農業・農村構築のた
めの条件解明を行い、地域資源管理と一体的な低投入型バイオマス利活用システムを提示する。
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「バイオマス利用モデルの構築・実証・評価」
[研究開発の内容]
地域活性化に資するよう、地域に賦存するバイオマスの特徴に応じ、バイオマスをエネルギー(エタノール、バイオ
ディーゼル燃料、メタンガス等)やマテリアルとして利活用する技術を適切に組み合わせたバイオマス利用モデルの構
築・実証を全国6つの地域を対象に実施する。また、それぞれの地域モデルを想定した環境影響評価手法を開発する。
中課題1「バイオマスのエネルギー変換とマテリアル変換とを効率的に組み合わせた
モデルの構築・実証・評価」
〔チーム十勝〕
中課題2「バイオマスの地域循環
利用を持続的に進めるための環
境影響評価手法の開発」
対象地域:北海道大規模畑作地域
主担当:北農研
〔チーム岐阜〕
対象地域:岐阜中山間地域
キーワード: 規格外小麦・テンサイ・
バレイショ,バイオエタノール生
産,高付加価値物質抽出
〔チーム環境影響評価〕
主担当:森林総研
キーワード: 木質バイオマス,林地
残材,小型ガス化,熱供給,工業
原料供給
〔チーム東北〕
◆ バイオ燃料生産とバイオマス
利用のためのライフサイクル・
インベントリ データベースの開発
対象地域:東北大規模水田地域
主担当:東北農研
〔チーム南九州〕
キーワード: 稲残渣,稲わらサイレージ,
ナタネ,軽油代替燃料,カ
スケード利用
対象地域:南九州畑作畜産地域
主担当:九州沖縄農研
キーワード: カンショ,バイオエタノール
生産,機能性成分抽出,
資源循環
◆ 温室効果ガス,エネルギー,
土壌の質,経済性等に関す
る影響評価
〔チーム関東〕
対象地域:関東都市近郊農業地域
主担当:農工研,中央農研
キーワード: バイオ燃料(メタンガス,BDF,
バイオエタノール),資源作物,
需要対応型バイオマスリファ
イナアリー,資源循環
〔チーム南西諸島〕
〔チーム地域モデル診断〕
対象地域:南西諸島
地域実証6チームが作成するバイオマス利用モ
デルを「バイオマスタウン設計・評価支援ツー
ル」を用いて診断する。
主担当:農工研
キーワード: バイオ燃料,サトウキビ,
エタノール廃液利用,地下水質
保全
◆ 地域活性化のための総合的
評価
主担当:中央農研,畜草研, 農工研
主担当:東大,農工研
目標:LCC,LC化石エネルギー使用量を20%削減できるシナリオの提示
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目標:環境影響評価の手法開発
資源の地産地消に資するメタン発酵
システムの実証(山田バイオマスプラント、香取市・和郷園)
乳牛ふん尿と野菜残さが原料のメタン発酵消化液を液肥として農地利用す
るとともに、バイオガスを精製した後に車両燃料等として使う「メタン発酵シス
テム」を設計・運用し、実証しました。
実証の舞台は、バイオマス
利活用の都市近郊農畜産業地
域モデルとして研究開発用に
設計・試作・設置したバイオ
マス変換プラント群である
「山田バイオマスプラント」
です。メタン発酵部分は、
2005年7月に運転を開始して
以来、原料の調達、変換、生
成物の近隣地域での利用、保
守などの日常管理、利用でき
ないものの適正処分など、バ
イオマス利活用の全プロセス
を実行しています。
(プラント内で利用) 電気
野菜残さ
乳牛ふん尿
0.5~2t/d
コジェネレーション設備
熱 (加温用)
3~5t/d
60%CH 4
+
40%CO 2
98%CH 4
CH4
3.5m 3/h
120 m 3/d
メタン発酵槽
CH 4
メタン精製装置(PSA)
炭化装置
吸着式メタン貯蔵装置
CH 4
消化液
液肥として農地で利用
定置式メタン充填設備
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消化液の液肥利用が環境に及ぼす影響
消化液の液肥利用に伴う環境影響
(黒ボク土畑に施用した場合)
(消化液施用圃場での環境影響,液肥利用に伴う温室効果ガス排出量)
畑地施用後の消化液,硫安由来窒素の動態
消化液由来窒素
N 2O
消化液の散布
消化液・散布機の輸送
窒素の溶脱
消化液を施用した畑地
における環境影響
温室効果ガス排出量の算定範囲
温室効果ガス排出量(kg-CO2eq./消化液1t)
液肥利用に伴う温室効果ガス排出量
N2O
液
2t
バ
消化液施用圃場 1.輸送車両からの排出
からの亜酸化
の割合が高いため,排
窒素発生
出量削減のためには,
近傍圃場への散布量
液肥散布車
を増やし,圃場までの
由来の排出
輸送距離を短縮するこ
とが有効である.
2tトラック
2.輸送距離を1km短縮す
由来の排出
るごとに,消化液1tあ
たり約0.42 kg-CO2eq
バキューム車
削減できる.
由来の排出
亜酸化窒素
として発生
0.41%
作物吸収
27%
硫安由来窒素
亜酸化窒素
として発生
0.11%
作物吸収
32%
土壌蓄積等
29%
土壌蓄積等
22%
溶脱
44%
溶脱
46%
1.消化液を液肥利用した場合,化学肥料
を用いた場合と同様の窒素の溶脱特
性を示す.化学肥料を用いた場合と比
較して地下水の硝酸態窒素汚染を助
長する恐れは少ないといえる.
2.消化液を施用した場合、硫安を施用し
た場合に比べて温室効果ガスである
亜酸化窒素の発生量はやや多い.
3.消化液は、硫安に近い速効性肥料とし
て利用できる.
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本格的なバイオマスタウンとは
(目指すべきものはそれぞれでよい)
① Vision-Scenario-Programが描かれている。
②地域活性化(子どもたちの歓声,協働による達成感)。
③地域経済への貢献。
④基盤整備や原料生産(農業)とリンクされている。
⑤循環型社会形成。
⑥地域環境保全+温暖化抑制の効果。
⑦エネルギーの地産地消。
⑧物質・エネルギー収支の持続性の成立。
⑨創意工夫で成長し続ける。
⑩地域ブランドと結びついている(6次産業化)。
⑪システム化の効果が発揮されている。
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必要な施策の方向性
・ライフスタイルの変革は不可欠で,ふるさとや居住地の人、自然、
歴史、文化への愛から始める心構え
・人材(コーディネータ)養成と言われるが,まずは我々が行動(ただ
し、バイオマス利用の全てを網羅できる専門家はいない。得意分野
をもつ専門家が連携協力すること、行政やStakeholderが本物を見
分ける目が必要)
・社会インフラの多重投資を回避するため,そろそろ,採用する技術
の選定が必要
・小規模分散自律型高効率バイオマス変換技術の構築(大規模化
の非効率性と過剰投資の問題:バイオマスは広く薄く存在する)
・他施策とのコラボによる相乗効果の発揮(リスクマネジメント,環境
保全,食育,教育,福祉,医療など)
・バイオマス変換によって生成される資材(モノ)を間接エネルギーと
位置づけて,適切に評価することが必要(メタン発酵消化液,堆肥
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など)
本成果は、主に、農林水産省委託プロ
ジェクト研究「 21世紀を目指した農山漁
村におけるエコシステム創出に関する
技術開発(エコシステム)」プロジェクト、
「農林水産バイオリサイクル」プロジェク
ト、および「地域活性化のためのバイオ
マス利用技術の開発」プロジェクトで得
られたものである。
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