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安全で安心して暮らせる社会づくり(PDF:1416KB)
第3章 2 第 節 重点的な施策・取組(実施計画編) Ⅰ 第 1 項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり ❶犯罪の起こりにくいまちづくりの推進 目標 犯罪の起こりにくい安全で安心な地域社会をつくります。 現状と課題 県内の刑法犯認知件数1)が、平成 15 年以降 7 年連続で減少するなど、治安が回復傾向に ある中で、空き巣やひったくり、自動車の盗難など県民の身近で発生する犯罪は依然高い水 準にあります。 さらに近年、インターネットの普及に伴う新たな形の犯罪も発生しており、凶悪犯罪をは じめとして多種・多様な犯罪の抑止と検挙に向けた強力な取組が求められています。 一方で、千葉県警察官一人当たりの人口負担率2)及び犯罪負担率3)は、全国でもワースト 上位の状況にあります。 また、だれもが安全で安心して暮らせる犯罪の起こりにくいまちづくりを推進するために は、県民一人ひとりの意識の高揚と主体的な取組も求められています。 取組の基本方向 犯罪に遭わない、犯罪を起こさせないまちづくりのため、県民と関係機関が一体となって、 防犯意識の醸成を図り、地域コミュニティの結束力を強めるとともに、犯罪の起こりにくい 環境を整備することにより、地域の防犯力をアップさせていきます。 さらに、子どもが犯罪被害に遭わないようにするためにも、 「犯罪に巻き込まれにくい人 づくり」 の視点での取組を進めます。 また、犯罪を抑止するため、警察活動の基盤を強化し、犯罪を徹底して検挙することによ り、県民の安全で安心できる生活を確保していきます。特に、急速に進む高齢化に対応して、 高齢者が安全と安心を体感できる対策を推進します。 あわせて、犯罪被害に遭った人が、早期に立ち直り、平穏な生活を営めるよう支援体制を 充実させます。 062 第3章 第 2 節 施策の内容 防犯パトロール 小学校での防犯教室 地域の犯罪防止に大きな役割を担う自主防犯活動を促進するため、人材育成などの取組を 支援します。 また、自主防犯団体の抱える様々な課題を解決するため、自主防犯団体間の連携を図り ます。 さらに、子どもたちの危険を予測する能力を高めるため、適切な指導の下、授業カリキュ ラムの中で 「地域安全マップ」作りの普及・推進を一層図るとともに、授業実践に当たって は、地域のボランティアなどとの連携を図り、地域の防犯意識や連帯感も高めていきます。 ○自主防犯団体の活動支援 ○防犯サミット開催による自主防犯活動のレベルアップ ○防犯に関する広報啓発活動 ○ちばっ子地域安全マップ作成 (再掲) 2 犯罪の起こりにくい環境整備 道路・公園などの生活空間での犯罪の機会を減らすため、住民・市町村・警察などとの現 地診断を行い、犯罪の防止に配慮した環境整備を推進します。 また、県民・地域団体・事業者などが連携して安全で安心なまちをつくるための体制を整 備します。 ○県・警察・市町村・住民等による合同防犯診断の実施 ○安全安心まちづくり推進協議会の開催 1)刑法犯認知件数:警察において、認知した事件の数のことです。 2)千葉県警察官一人当たりの人口負担率:住民基本台帳人口を基に、警察官の定員数で割り出した一人当たりの人口数です。 3)千葉県警察官一人当たりの犯罪負担率:刑法犯認知件数を基に、警察官の定員数で割り出した一人当たりの犯罪件数です。 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 063 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 主な取組 1 地域の防犯力のアップ 第3章 重点的な施策・取組(実施計画編) 移動交番車での相談 警察 「ふれあい」 フェスタの音楽隊パレード 主な取組 3 移動交番車の導入による防犯ネットワークの構築 移動交番車を活用して、機動力を生かした広域かつ弾力的な巡回パトロールや防犯指導、 住宅団地等の形成による人口増加地域及び事件・事故が多発している地域などに出向いた各 種相談・届出の受理等を推進するなど、交番・駐在所などから離れた地域に対する街頭活動 を強化し、警察力の不足を補います。 また、地域住民や防犯ボランティアなどと協働した活動を積極的に行い、防犯ネットワー クの構築を図ります。 ○移動交番車の効果的活用 4 身近な犯罪に強い社会構築の推進 県民が安全と安心を実感できる社会を構築するため、タイムリーな犯罪発生情報などの提 供と、犯罪の起こりにくいまちづくりのための環境整備の有効性やその手法を広く県民に普 及・啓発し、自主防犯意識を高めます。 あわせて、自治会及び事業者などが行う自主防犯組織の結成促進と活性化に向けた支援を 実施します。 さらに、引き続き、振り込め詐欺撲滅対策を進めるとともに、犯罪などの被害や警察活動 全般に関する相談のために設置されている相談サポートコーナー (短縮ダイヤル 「♯ 9110」 ) の周知を図ります。 また、県内の繁華街・歓楽街が、だれもが楽しめるよう安全で健全なまちづくりを推進し ます。 ○犯罪発生マップ等による情報の提供 ○警察 「ふれあい」 フェスタの開催 ○警察ホームページを活用した効果的な広報の推進 ○広報紙 (誌) の発行 ○歓楽街総合対策の推進 千葉県警察のシンボルマスコット シーポック 064 第3章 第 2 節 施策の内容 地域に密着したパトロール 地域生活の安全を守る交番 警察力強化のため、優秀な人材確保による体制の充実を図るとともに、若手警察官を中心 に現場を想定した実戦的総合訓練などを実施し、人的基盤の強化を図ります。 また、防犯・防災の拠点である警察庁舎と地域生活の安全を守るセンター機能を有する交 番及び駐在所の計画的な建て替え・整備を行い、地域防犯体制の一層の強化を図ります。 このほか、すべての交番及び駐在所において迅速な事件・事故処理などの対応や各種情報 の収集が可能となる、交番・駐在所ネットワークシステムの構築を図ります。 ○国に対する警察官増員の要求 ○交番相談員等の非常勤職員の計画的増員 ○訓練基盤の整備 ○警察署・交番・駐在所の計画的な整備 ○交番・駐在所ネットワークシステムの構築 6 凶悪・悪質化する犯罪の徹底検挙 安全で安心できる県民生活を確保するため、科学捜査をはじめとした捜査基盤の充実・強 化や優秀な捜査官の育成など、継続的かつ有効な犯罪対策を講じ、検挙により犯罪の抑止を 図ります。 また、女性に対する重大な人権侵害である人身取引対策を進め、その撲滅を図ります。 ○重要犯罪等捜査支援システムの充実・強化 ○初動捜査体制の充実・強化 ○ DNA 型鑑定用クリーンルームの整備 ○女性捜査員研修制度の推進 ○人身取引対策の推進 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 065 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 主な取組 5 警察基盤の整備 第3章 主な取組 重点的な施策・取組(実施計画編) 7 サイバー空間の安全確保 県民に対し、情報セキュリティ対策やサイバー犯罪4)対策を啓発していくとともに、官民 連携により不正アクセスやフィッシング5)などのサイバー犯罪を徹底的に取り締まることに より、県民が安心して安全にネットワークなどを利用することができる環境を醸成します。 ○サイバー犯罪対策の推進 8 犯罪被害者等の支援の充実 若年層から犯罪被害者の置かれた現状や支援についての意識を高めるため、県内大学・高 校などの授業に被害者遺族の講演等を取り入れるなど、社会全体で被害者を支える意識の醸 成を図ります。 また、被害者の相談に適切に対応するため、市町村や民間団体との連携を促進します。 ○社会全体で犯罪被害者を支える意識を醸成するための広報活動等の推進 ○民間被害者支援団体への相談業務委託 ○市町村・民間団体と連携した犯罪被害者等への支援 9 DV 6)防止・被害者支援対策 DV を防止するための県民一人ひとりへの意識啓発や若者を対象とした DV 予防教育を推 進します。 また、DV の被害者一人ひとりが、どこでも、安心して安全・平穏な生活を送ることがで きるよう、配偶者暴力相談支援センターの機能強化に取り組むとともに、DV 被害者の視点 に立った生活再建に向けた支援を行います。 ○暴力を許さない社会に向けた広報啓発とDV予防セミナーの実施 ○ DV 被害者相談及び一時保護 ○ DV 被害者の生活再建支援 4) サイバー犯罪:情報技術を利用した犯罪のことです。 5) フ ィッシング:銀行などの実在する企業を装って電子メールを送り、その企業のウェブサイトに見せかけて作成した偽の ウェブサイトを受信者が閲覧するよう誘導し、そこにクレジットカード番号、インターネット上で個人を識別するための ID、パスワードなどを入力させて、金融情報や個人情報を不正に入手する行為をいいます。また、その情報を基に金銭を だまし取る手口がフィッシング詐欺といわれています。 6) DV:ドメスティックバイオレンスの略で、配偶者などから受ける身体的・精神的・性的・経済的な暴力などのことです。 066 第3章 第 2 節 施策の内容 ❷災害に強い県づくりの推進 目標 地震や風水害など災害に強い体制づくりと防災基盤の整備を進め ます。 規模な地震が 70%の確率で発生すると予測しています。 平成 19 年度に県が実施した被害想定調査では、建物の倒壊や火災などの被害をはじめ、 それらに伴う死傷者の発生など甚大な被害を想定しています。 また、今後、地球温暖化などの影響により、台風が強大化するとともに、局地的な集中豪 雨の頻度が増大し、風水害や土砂災害が増加することが懸念されています。 県では、自然災害や大規模事故から県民の生命・財産を守り、被害を最小限にとどめるた め、早急に道路・河川・港湾・公園・下水道などの社会資本の整備を進めるとともに、関係 機関等と連携しながら、防災訓練や啓発活動など防災に関する施策を実施する責務を有して います。 取組の基本方向 だれもが安心して暮らせる災害に強い県づくりを進めるために、社会資本の整備や耐震化 など被害を未然に防止する取組を推進します。 また、避難訓練など日ごろの予防対策、発災時における迅速な救助、医療救護などの応急 対策、発災後のライフライン、道路、橋りょう等の早期の復旧・復興を図るための対策など、 総合的な防災対策を推進します。 あわせて、国や県、市町村、その他関係機関の役割を明確にし、県民と各機関が連携・協 力していく体制づくりを進めます。 1)南関東地域:千葉県・東京都・神奈川県・埼玉県東部・茨城県南部とその周辺地域を想定しています。 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 067 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 現状と課題 国では今後 30 年の間に千葉県を含む南関東地域1)において、マグニチュード 7 程度の大 第3章 重点的な施策・取組(実施計画編) 防災訓練を行う消防団 防災訓練を行う警察と医療チーム 主な取組 1 防災連携体制の確立 地震などの発災時に、迅速かつ的確な対応を図るための体制の構築を図るとともに、被害 を最小限にとどめるため、防災に関する条例の制定を通じて防災意識の高揚を図ります。 また、市町村や消防、電気やガス、通信といったライフライン事業者等の防災関係機関な どと連携し、防災訓練をはじめ、帰宅困難者対策や住宅用火災警報器の普及啓発など、各種 の防災対策を推進します。 ○(仮称) 防災基本条例の制定 ○九都県市2)合同防災訓練の実施 ○帰宅困難者・滞留者対策の推進 ○住宅用火災警報器の普及啓発 2 地域防災力の向上 日ごろからの予防対策や、いざというときに助け合える地域社会の形成を促進し、災害に よる被害を最小限にとどめるため、セミナーの開催やホームページなどを活用して防災に関 する知識や技術を身に付けられる機会を提供します。 また、自主防災組織3)を中心とした災害対応力の高い防災ネットワークの構築を図ります。 ○防災に関する広報・啓発の実施 ○災害対応力の高い防災ネットワークの構築 3 消防・救急救助体制の充実強化 地域の消防防災力の向上を図るため、消防の広域化や共同指令センター・消防救急無線の 整備、消防団員の確保や消防団の活性化に市町村と連携して取り組みます。 また、救急搬送時の受入医療機関の選定困難事案に対応するため、国のガイドラインに基 づいた実施基準の策定に取り組みます。 ○地域における消防力の強化 ○消防救急無線のデジタル化の推進 ○救急患者の搬送及び受入基準の策定 068 第3章 第 2 石油コンビナート地区は、ひとたび事故が発生すると、極めて大規模な災害に拡大するお それがあり、社会的にも経済的にも甚大な被害が懸念されます。 節 施策の内容 主な取組 4 石油コンビナート施策の推進 そのため、県では、関係消防機関や石油コンビナート事業所等と連携した各種訓練を実施 するほか、 「千葉県石油コンビナート等防災計画」 の見直しなど、石油コンビナート地区の防 災体制の強化を図ります。 ○石油コンビナート等防災訓練の実施 ○千葉県石油コンビナート等防災計画の見直し 地震時の道路ネットワークを確保するため、緊急輸送道路4)などの橋りょうの耐震補強や 道路法面の防災対策を推進します。 洪水などによる被害を防止するため 1 時間当たり 50mm 程度の降雨5)に対応した河川整 備を推進します。 高潮、波浪等による被害を防止するため、護岸、防潮堤等の海岸保全施設の整備を推進す るとともに養浜6)に取り組みます。 豪雨などによる土砂災害を防止するため、急傾斜地・砂防・地滑り箇所において、土砂災 害防止施設の整備を推進します。 災害時に緊急物資などを輸送できる耐震性が強化された岸壁や、災害時に避難地等として 機能する港湾緑地や県立都市公園の整備を推進します。 災害時においても、飲料水の確保と最低限の公衆衛生の確保、公共用水域の水質が維持さ れるよう、県水道施設と流域下水道施設の耐震化を推進します。 ○橋りょうの耐震補強・道路法面の防災対策の推進 ○河川・海岸整備の推進 ○土砂災害対策の推進 整備前 整備後 ○防災対策情報の提供 ○耐震強化岸壁の整備の推進 ○県立都市公園の整備の推進 (再掲) ➡ 〇流域下水道施設の耐震化の推進 〇県水道施設の耐震化の推進 河川拡幅による整備状況 (栗山川) 2)九都県市:埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県並びに横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市及び相模原市を指します(平 成 22 年 3 月までは、相模原市を除く「八都県市」 。 ) 。 3)自主防災組織:災害による被害を予防・軽減するため、地域住民が自主的に結成する任意の集団・組織です。 4)緊急輸送道路:大規模な地震が起きた場合における救助、物資の供給、諸施設の復旧など広範な応急対策活動を広域的に 実施するために指定する道路です。 5)1 時間当たり 50mm 程度の降雨:人の受けるイメージとしては、バケツをひっくり返したように降ることです。 6)養浜:砂浜の回復や維持を目的として、海浜へ人為的に砂を供給することです。侵食された海岸に養浜を行うことで、海 浜の安定化を図ります。 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 069 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 5 災害に強い社会資本整備 第3章 重点的な施策・取組(実施計画編) 耐震改修の必要性などについての個別相談会 土砂崩れ等を防ぐ施設 主な取組 6 建築物・宅地の地震対策の推進 地震による建築物の被害や人的被害を最小限にとどめるため、市町村と連携しながら、県 民への耐震改修などの必要性に関する啓発活動や、建築士を対象とした耐震診断・改修技術 の普及などの施策を推進します。 また、地震や豪雨などによる二次災害を防止するため、宅地や建築物の危険度を判定する 技術者の養成・登録や判定体制の整備を図ります。 ○被災宅地危険度判定士養成講習会の開催 ○「わが家の耐震相談会」 の開催 ○建築士を対象とした既存建築物耐震診断・改修講習会の開催 ○被災建築物応急危険度判定士認定講習会の開催 7 県有建築物の耐震化の推進 県の所有する庁舎・学校・文化施設などの様々な用途からなる公共建築物は、県民への行 政サービスの場として、また災害時の防災上重要な建築物としての役割を担っています。 利用者の安全確保だけでなく、災害時の防災拠点施設としての機能確保の観点から、計画 的かつ重点的な耐震化に取り組んでいきます。 ○庁舎・学校・文化施設等の耐震化の推進 8 農山漁村における自然災害対策の推進 大雨などの自然災害から農山漁村地域の被害を未然に防止するため、排水施設の新設・改 修、防災施設の設置、森林整備等を行います。また、林地開発行為の適正化に取り組み、開 発地の災害防止や森林再生を進めます。 これらにより、自然環境と共生した災害に強い農山漁村づくりを進めます。 ○農村におけるたん水防除7)や地滑り等の防止対策の実施 ○森林の整備や防災施設の設置による土砂崩れ等の防止 ○海岸を中心とした保安林の整備・管理 ○林地開発行為の適正化 7) た ん水防除:土地条件の変化により、農地や農道などが水に漬かる被害を生ずるおそれのある地域で、これを未然に防止 するための排水施設の新設・改修を行うことです。 070 第3章 第 2 節 施策の内容 ❸危機管理体制の確立 目標 様々な危機に迅速に対応できる体制づくりに取り組みます。 や武力攻撃事態、テロなど県民の安全を脅かす緊急事態が発生した場合には、迅速かつ、的 確な対応が不可欠です。 大規模地震などの発生に備え、あらかじめ優先して実施すべき業務を特定し、その執行体 制を確立するなど、県としての社会的な責任を果たしていくための危機管理体制の確立が求 められています。 また、海外から持ち込まれる感染症などによる健康危機の未然防止、健康被害の拡大防止 を図るため、健康危機管理体制の強化を図るとともに、現在、世界的に発生が危ぐされてい る病原性の強い新型インフルエンザ1)対策の強化が必要となっています。 取組の基本方向 国や市町村だけでなく、警察・病院など関係機関との連携を強化するとともに、職員一人 ひとりの危機管理に対する意識の向上を図ります。 また、大規模災害や新型インフルエンザ、テロといった県民の安全・安心な生活を脅かす 事態について、迅速かつ適切な対策を講じます。 1)病原性の強い新型インフルエンザ:新型インフルエンザとは、季節性のインフルエンザウイルスと抗原性が大きく異なる インフルエンザウイルスが原因で起こる疾病です。一般に、国民は免疫を獲得していないことから、感染が拡大し国民の 生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあります。新型インフルエンザウイルスの中には、遺伝子変異により強い病 原性を示す場合があると考えられています。 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 071 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 現状と課題 本県は、成田国際空港や千葉港、全国有数の石油コンビナートを有しており、大規模災害 第3章 重点的な施策・取組(実施計画編) 新型インフルエンザ対策の模擬訓練 主な取組 1 緊急時における危機管理対策の推進 職員の危機対応能力の向上を目的とした研修会の実施、関係機関との連携強化を図るため の国民保護訓練の開催、大規模災害時に、あらかじめ優先して実施すべき業務・職員の配備 及び応援体制を定める 「千葉県業務継続計画 ( 震災編 )」を策定・推進することにより、危機 管理体制の充実強化を図ります。 ○研修等による危機管理能力の向上 ○千葉県業務継続計画 (震災編) の推進 2 健康危機管理体制の充実・強化 健康危機を未然に防止し、さらに健康被害の拡大防止を図るためには、正しい情報の把握 と迅速かつ的確な初期対応が必要となります。 そこで、 「千葉県総合健康安全対策ネットワ-ク2)」及び健康福祉センター (保健所)に設置 した 「地域健康危機管理推進会議3)」などを通じて、市町村・警察・県医師会など健康危機関 連機関相互の連携を強化することで、県域及び各地域における健康危機管理体制の充実を図 ります。 また、県民の健康を脅かす感染症、食中毒などを未然に防止し、さらに拡大防止を図るた め、健康危機に対して迅速かつ的確な対応を行う拠点として、老朽化が進んでいる衛生研究 所の建て替えを行うとともに、県内の医療関係者などへの研修や訓練等を実施します。 ○県域及び各地域における健康危機管理体制の充実強化 ○県内の医療関係者等への研修や訓練等の実施 ○衛生研究所の建て替え 3 新型インフルエンザ対策の推進 ヒトが免疫を持っていない新型インフルエンザが発生すると、短期間に感染が拡大するこ とが想定されることから、県民に対し正しい情報や適切な医療を提供する体制が必要となり ます。県では、抗インフルエンザウイルス薬4)などの備蓄を行うとともに、医療機関・団体、 市町村などの協力を得ながら、医療提供体制の整備、模擬訓練の実施、正しい知識の普及及 び相談窓口の整備など、新型インフルエンザ対策を推進します。 ○医療提供体制の整備と抗インフルエンザウイルス薬の備蓄 ○正しい知識の普及及び相談窓口の整備 072 第3章 第 2 「テロ・ゲリラ」 は、社会的反響も大きく、県民の安全・安心なくらしを著しく侵害するも のです。こうした行為から、県民並びに空港をはじめとした関連施設を守るため、警備諸対 節 施策の内容 主な取組 4 「テロ・ゲリラ」 の防圧・検挙 策を効果的に推進し、 「テロ・ゲリラ」 を徹底的に防圧・検挙していきます。 ○警備対策の推進 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 2)千葉県総合健康安全対策ネットワ-ク:様々な健康危機事案に対して千葉大学・放射線医学総合研究所・県医師会・千葉市・ 船橋市・柏市・警察などの関係機関と県との組織横断的なネットワークを構築し、発生の予防や迅速な原因物質の特定と それに基づく適切な医療の提供などについての全県的な連携体制の強化を図るものです。 3) 地 域健康危機管理推進会議:地域の関係機関・団体相互の連携を強化するなど地域の健康危機管理体制の充実強化を図る ため、健康危機発生時の初動を担う地域保健の第一線機関である健康福祉センター (保健所) に設置したものです。 4) 抗 インフルエンザウイルス薬:インフルエンザの治療に用いられる医薬品であり、 「タミフル」や 「リレンザ」などが知られ ています。 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 073 第3章 重点的な施策・取組(実施計画編) ❹交通安全県ちばの確立 目標 交通安全に対する意識の向上や、道路や標識などの交通安全環境 の整備、交通指導・取締りの強化を図り、交通事故がない千葉県づ くりを進めます。 現状と課題 平成 21 年の千葉県の交通事故死者数は 197 人と、10 年連続して減少していますが、全 国ワースト 7 位と交通死亡事故が多発している状況です。 交通事故がない千葉県を実現するためには、歩行者や運転者の視点に立った、交通事故が 起こりにくい道路環境を整備するとともに、県民一人ひとりが交通事故防止を強く意識し、 行動するよう、関係機関・団体などが連携して取り組むことが必要です。 また、交通事故死者数の 4 割以上が高齢者であることや、自転車の関連する交通事故の割 合が増加していること、飲酒運転が根絶されていないことなどを踏まえた取組を重点的に推 進していくことが必要です。 取組の基本方向 県民一人ひとりが交通安全に対する意識 を高め、交通ルールを守り、交通マナーを 実践するよう、関係機関・団体などと協力 し、広報・啓発活動や交通安全教育を実施 します。 また、交通事故が多発している箇所にお 交通安全カメマーク いて関係機関などと共同して行う現地調査 等により、事故発生原因の分析を行い、道 路や標識などの整備・改善に取り組みます。 交通安全運動出動式 074 第3章 第 2 節 施策の内容 交通安全診断車「ちとらくん」 交通安全教育 春・夏・秋・冬の四大運動などを通じ、交通安全に対する意識を高めるとともに、自転車 の安全利用やシートベルトの全席着用など改正された交通法規の理解と実践を促進します。 特に、高齢者の関係する交通事故を防止するとともに、交通事故の大きな要因である飲酒 運転を根絶するため、重点的な広報・啓発活動を関係機関・団体などと連携して実施します。 ○四季の交通安全運動等の実施 ○警察ホームページ等による事故発生情報の提供 ○地域で行う高齢者の事故防止対策の支援及び交通事故防止のための広報啓発活動の推進 ○高齢者の運転免許の自主返納の促進 ○飲酒運転根絶対策の推進 2 交通安全教育の充実 県民一人ひとりが、交通ルールを守り、交通マナーを実践するよう、幼児から高齢者まで、 それぞれの年代に応じた実践的な交通安全教育を実施します。 特に、高校生をはじめとする若者などの自転車ルールの遵守とマナーの向上等のため「ス マート・サイクルちば」 を推進します。 また、地域における交通安全教育指導者の育成に取り組みます。 ○地域のふれあいを通じた交通安全教育 ○高校生に対する自転車安全利用の教育 ○子供自転車免許証モデル事業の推進 ○「自転車マナーアップ隊1)」 の活動の推進 ○高齢者の交通安全リーダー育成研修 ○幼児教育指導者に向けた交通安全教育 1)自転車マナーアップ隊:自転車の安全利用意識を向上させ、自転車事故の減少を図ることを目的に、高校生自らが街頭に おいてルール遵守とマナー向上の指導をするもので、県下の全高校で、各校おおむね 5 名ずつ選出された広報・啓発隊です。 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 075 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 主な取組 1 県民総参加による交通安全運動の推進 第3章 主な取組 重点的な施策・取組(実施計画編) 3 交通安全環境の整備 県民からの情報・意見とともに、県・市町村などの道路管理者や警察・関係団体等が協力 して実施する交通事故多発箇所の現地調査などを生かし、交差点改良、歩道整備、見やすい 標識の設置など道路環境の整備・改善を進めます。 ○交通事故多発地点における共同現地診断の実施 ○事故調査委員会の開催 ○交通安全施設の整備 ○道路環境の整備と改善 4 交通事故相談の充実 交通事故による被害者などの精神的負担や経済的負担に適切に対応するため、交通事故相 談所において、被害者などの心情や状況に配慮したきめ細かい相談業務を実施します。 ○交通事故被害者等に対する相談 5 交通指導取締りの強化 無免許運転、飲酒運転、最高速度違反、放置駐車違反など悪質性、危険性及び迷惑性の高 い違反を重点的に取り締まるとともに、多角的な交通事故分析に基づき時間、路線などを選 定した上で、事故防止に有効な交通指導取締りを行います。 また、悪質な放置駐車違反金未納者に対しては徹底した徴収を行います。 ○交通取締用装備資機材の整備・拡充と効果的な交通取締りの推進 ○違法駐車対策の推進 6 効果的かつ科学的な交通事故事件捜査の推進 交通事故多発交差点での交通事故自動記録装置の活用や、事故現場では綿密な交通鑑識活 動を展開するほか、専門家に対して交通事故の鑑定依頼を積極的に行うなど、事故原因の徹 底究明を図り、迅速かつ適正な交通事故事件の捜査を推進します。 ○交通鑑識資機材の充実 ○交通事故鑑定の積極的な依頼 交通検問 076 第3章 第 2 節 施策の内容 ❺消費生活の安定と向上 目標 県民が安全で、安心な消費生活を送ることができる社会づくりを 進めます。 入方法の多様化や、商品の質の向上、価格の低下などをもたらしています。 しかし、その一方で、生産者や売り手の顔が見えないことや、商品・サービスの内容が分 かりにくいことなどにより、消費者が、 「もの」 の良し悪しや安全性の判断ができにくい状況 が生じています。 こうした中、平成 20 年度に、県・市町村に寄せられた消費生活の相談件数は、ここ数年 減少傾向にあるものの、46,184 件と依然多い状況にあり、近年では、架空請求や住宅リ フォーム詐欺など高齢者や若者を標的とした消費者トラブルや、生命に危害が及ぶような食 品・製品の事件及び事故が後を絶ちません。 このため、国・市町村・消費者・消費者団体・事業者・事業者団体などと連携した取組を 推進し、消費者の安全・安心を確保することが求められています。 取組の基本方向 だれもが、どこでも、安心して消費生活を送ることができるよう、市町村と連携して、相 談体制の強化、相談窓口の周知を推進します。 また、消費者が、経済行為の主体としての認識を持ち、自立し、考え、行動できるよう、 消費者学習や情報提供などを推進します。 さらに、悪質事業者に対する取締りを強化するとともに、事業者が行う消費者志向の経営 に向けた取組を支援します。 あわせて、県内で生産又は流通する食品の安全性を確保します。 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 077 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 現状と課題 インターネットの普及や国際化の進展など社会・経済状況の変化は、商品・サービスの購 第3章 主な取組 重点的な施策・取組(実施計画編) 1 だれもが、どこでも安心して相談できる体制づくり 県民にとって身近な市町村における消費生活の相談体制の充実・強化に向けた取組の支援 と相談窓口の周知を推進するとともに、消費生活相談員を養成します。 また、市町村に対する助言や広域的な事案に係る調整、被害防止に向けた調査・研究など を担う千葉県消費者センターの中核的な機能を強化します。 ○市町村における消費生活相談体制等の充実・強化に対する助成 ○消費生活相談を担う人材の養成 ○県消費者センターの中核的機能の強化 ○県消費者センターの運営 2 「自立し、考え、行動する消費者」 となるための学習機会の確保と情報提供 消費者学習が活発に、また効果的に行われるよう、地域における消費者学習の担い手を養 成するとともに、消費生活関連情報の発信や調査研究を推進します。 また、住民自らが行う消費者被害の防止に対する取組を支援するため、市町村と連携した ネットワークの構築を促進します。 ○消費者問題等に関する広報・啓発及び調査・研究の強化 ○消費生活関連情報の管理及び発信機能の強化 ○市町村や関係団体等とのネットワークの構築・強化 (件) 100,000 千葉県の消費生活相談件数の推移 95,563 80,000 60,000 69,775 55,169 40,000 48,266 46,184 49,824 20,000 消費者センター 相談員の活動 0 H15 16 17 18 19 20(年度) 資料:千葉県 078 第3章 第 2 節 施策の内容 主な取組 3 悪質事業者の指導・取締りの強化 ヤミ金融や悪質商法については、被害の拡大を防止するため関係機 関・団体と連携を強化するとともに、積極的な取締りを行います。 また、不当な取引行為を行う事業者に対する指導体制を強化します。 ○ヤミ金融事犯対策の推進 ○悪質商法事犯対策の推進 ○事業者指導体制の強化 悪質商法被害防止の キャンペーンキャラクター 「カモかも」 と 「サギだもん」 ○事業者指導の実施 事業者や事業者団体自らが、消費者志向の経営に向けた取組を進めるよう、苦情処理体制 の整備や自主行動基準の作成を促進します。 ○消費者志向経営に向けた事業者の自主的な取組の促進 5 食の安全・安心の確保 県民の健康を最優先し、食品の生産から消費に至る総合的な安全対策及び食品の安全性に 関するリスクコミュニケーション1)を推進します。 また、食品営業者などの効果的な監視指導や食品検査を実施します。 さらに、農産物の農薬適正使用や水産物の鮮度管理など、安全・安心な生産及び流通を確 保するとともに、消費者が適切に食品選択できるよう、食品販売店等に対し、原産地や名称 などの適正表示を指導します。 ○リスクコミュニケーションの開催 ○食品等営業施設の監視指導 ○検査機器等の整備及び精度管理の徹底 ○県内で製造・生産・流通する食品等の 検査 ○ JAS 法2)に基づく食品表示の検査及び 指導 ○農薬取扱者に対する立入検査及び管理 指導士の認定 ○水産物の安全・安心の確保 県の機関による食品の細菌検査 1)リスクコミュニケーション:食品などの安全・安心の確保に関する関係者相互間の情報及び意見の交換、食品等の安全 ・ 安心の確保に関する情報の提供や意見を述べる機会の確保などの情報及び意見の交換の促進を図るために必要な取組をい います。 2)JAS 法:正式には「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」といいます。この法律は、飲食料品等が一定の 品質や特別な生産方法で作られていることを保証する 「JAS 規格制度 (任意の制度) 」と、原材料、原産地など品質に関する 一定の表示を義務付ける「品質表示基準制度」からなっています。 第 3 章▶第 2 節▶第Ⅰ項 079 第Ⅰ項 安全で豊かなくらしの実現 安全で安心して暮らせる社会づくり 4 消費者の安心と信頼を高める事業経営の応援