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<対談>大塚貢さんvs小池政臣三島市長
平成21年度食育教育講演会記念(10/6市民文化会館にて)
食で変えませんか
健康な心と体に
小池市長
8
三島市では食育先進都市を目指
ている中で、成人病が増えること
▲小池政臣 三島市長
してさまざまな取り組みを行って
によって労働人口がさらに少なく
からできていなかったので、非行
います。その中の重要な柱として、
なり、そして莫大な医療費がかか
やいじめ、不登校が多かったです。
平成2
2年度の学校給食完全米飯化
るようになります。そうなると国
1200人の学校で校長をしていたと
に取り組んでいます。これは、平
も地方も健康に力を入れていかな
きには、不登校の生徒が6
0人から
成20年度まで週3回であった米飯
ければなりません。
70人いました。これは、無気力で
給食を平成2
1年度には週4回に、
小池市長
授業について行けなくなるからで、
平成2
2年度には週5回にするもの
米飯給食を行う上で、保護者や
この原因を調べてみると食事が肉
です。
業務に携わっている人たちの反対
食に偏っていることがわかりまし
大塚先生は旧真田町で全国に先
はどうでしたか。
た。PTAのみなさんにバランス
駆けて、完全米飯給食をはじめと
大塚先生
のいい食事を摂らせてほしいと話
した教育改革に取り組まれたこと
それはすごいものがありました。
をしたのですが、今の若いお父さ
で有名でいらっしゃいますが、そ
子どもが好きな食事は、ハンバー
んやお母さんたちもハンバーグや
の内容についてお聞かせください。
グであったりフライドチキンであ
フライドチキンなどの味の濃いも
大塚先生
ったり、ラーメン、ソフト麺、肉
のになれてしまっていて「野菜や
三島市でも完全米飯給食に取り
入りのハム、ソーセージ、アメリ
魚を中心にしたご飯の食事なんて
組まれるとのことですが、市長さ
カンドッグといったものです。結
とんでもない」といわれます。こ
んはすばらしいですね。厚生労働
局、学校給食もそういうものにな
れは今でも変わりません。カルシ
省の調査では、高校生は男子の
ってしまいます。そして家庭の食
ウムやマグネシウムを自然から摂
44%、女子の42%が成人病予備軍
事も肉を中心にしたものになって
るためには、魚はかかせません。
であり、大変な時代になっていま
います。このような食事の内容を
私は決して肉を食べてはいけない
す。それから、医療費がこれから
見るといわゆる血をきれいにして、
と言っているのではなく、偏って
は莫大にかかっていく、そして食
血管を柔らかくして、脳への血液
はいけないと言っているのです。
の偏りにより子どもたちが、凶悪
循環を良くする、さらさらの血に
そう言ってもあまりにも反対が
な犯罪を侵すようになっていく。
してくれるカルシウムとかマグネ
多いので、家庭での肉中心は仕方
そんな時代に市長さんは子どもた
シウムとか亜鉛とか鉄分のビタミ
がないと考え、カルシウム、マグ
ちの将来のことを考えて食の改革
ンなどを摂っていませんね。
ネシウムについては学校で摂るよ
に取り組んでいる。これはすばら
結局、事件を起こすような子供
うにしました。そのために魚中心
しいことだと思います。これだけ
は、イライラして切れやすいので、
の献立にしました。たとえば、当
食の安全が騒がれている中でも米
いじめをしたり、学習に無気力に
時「いわし」が安かったので、頭
飯給食に対する反発は大きいもの
なったりします。この原因は、食
から食べることができる「いわし
があります。先生たちやお母さん
生活にあるんですよ。
の甘露煮」を使い、そのほかの魚
たちの意識は、いまだに低いもの
先生たちの努力で解決できるこ
は、揚げたり焼いたりして給食に
があります。少子化の時代になっ
ともありましたが、心と体が食事
出すことにしました。それとごは
広報
みしま
プロフィール
大塚 貢(おおつか みつぐ)
昭和11年長野県生まれ。信州大学教育学部卒。
中学校教員を経て、都内のビル・マンション建設会社に就職。その後、長
野県に戻り、県教育委員会指導主事、中学校教頭を経て、平成4年から校
長。平成9年から旧真田町教育長。平成18年から合併後の上田市教育委員
長。平成19年に退任し、現在は教育・食育アドバイザーとして活躍中。
んですよね。ごはんでないと魚に
だから私は農家にお願いして、無、
は合いませんから。
農薬、低農薬のものにしてもらい
小池市長
ました。そして消毒がほとんどさ
そうですね。青魚は、EPAや
れていないものを中心にして仕入
▲大塚 貢 先生
DHAとかありますからね。カル
れてもらうようにしました。
皆さんにも地産地消の意義につい
シウムとか体にいい。それにビタ
小池市長
てなお一層啓発していきたいと思
ミンが豊富な野菜も大切ですね。
そうですか、それは地元の農協
います。 大塚先生
さんにお願いしましたか。
大塚先生
今の食事は、油が中心ですね。
大塚先生
一番大切なのは、地元に金が落
青魚は、頭もすべて食べることが
そうですね、米と野菜は農協に
ちることですね。長野も外国産が
できます。魚にはEPA、DHA
お願いしています。残念ですが長
多く入っていますが、なぜ地元に
が含まれていますね。これは、血
野県なので青魚はとれませんが、
いい野菜があるのに外国産を使う
管を柔らかくしたり、きれいにし
それにしても三島はうらやましい
のか、地元に金が落ちれば、また
たりします。肉の脂肪分の摂取が
ですね。新鮮な野菜や魚が手に入
地元で使ってくれますよね。輸入
増えるとコレステロールがたまり
って、私どもは仕方がないから魚
したものは、地元に金が落ちませ
ます。そうすると脳への血液循環
は近くの漁協から仕入れました。 ん。それで地元産の安全安心のも
が悪くなり、脳の活動が悪くなり
農協の皆さんには努力してもら
のを使って地元に金が落ちるよう
ます。これが、行動に悪影響をも
って、米、野菜、果物は地場産の
にしました。
たらします。それで私は、とにか
ものを約95%にしました。
小池市長
く血をきれいにして脳への血液循
小池市長
地産地消を推進して、お米も地
環を良くしたい。そのためには、
地元産をお米も入れて95%にし
元で取れたものを使って、すばら
EPA、DHAが必要なので、そ
ましたか、それはすばらしいです
しい子どもたちを育てていくこと
の成分が豊富な青魚を主流にしま
ね。ところで、米飯給食の拡大や
が重要です。先生は米飯給食だけ
した。調べましたが、野菜には、
和食メニューの充実は、地産地消
でなく授業の改善をして心の教育
多くの農薬が使われている場合が
にも結びついていると考えていま
もしています。そして子どもたち
ありますので、これを食べ続けて
す。地元のものを地元で消費する
を心身共に蘇らせました。
たら大変なことになります。やが
ということは、新鮮でおいしいの
今後も三島の教育のためにご指
て弊害がでてきます。
はもちろんですが、輸送の燃料な
導いただきたいと思いますので、
ども少なくなり環境の面からも大
よろしくお願いいたします。本日
切なことだと思っています。
はありがとうございました。
また、幸いなことに、ここ三島
大塚先生
ろく
▲対談する大塚先生と小池市長
では箱根西麓を中心に、市場で大
このような取り組みをしている
変評価の高いおいしい野菜が収穫
市長さんを全国に広めていかなけ
されます。
ればなりません。そして日本を地
これからも、安全でおいしい地
方から変えていかなければ日本が
元のお米や野菜を積極的に給食に
沈没してしまいます。本日は、ど
取り入れていくとともに、市民の、
うもありがとうございました。
2009.
11.1
9
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