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利用者からみた金融制度改革問題についての一考察
利用者からみた金融制度改革問題 についての一考察 一制度間題についてのウォッチャーの立場から− 村本 孜 (成城大学教授) はじめに 1.金融制度改革の推移と課題 [1−1]議論の推移 [1−2]検討の視点と若干の評価 [1−3]引受け業務(アンダーライティング)と売買業務(ブ ローカレッジ)についての理論的考察 一貸出債権の 流動化問題− [1−4]利用者利便:制度見直しのもたらす利用者利便(金利報 告付論) [1−5]暫定的評価 2.利用者からみた金融制度について 一金融制度改革の展望の一つ として [2−1]利用者(情報劣位者)にとっての金融制度 [2−2]家計・個人の金融行動:高齢化、ストック化 [2−3]生命保険の機能への期待 −1− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 はじめに 金融制度改革についての各種審議会の報告が、相次いで公表されて いる。審議の過程ですでに予想されていたように、業態別子会社方式 を中心とした業態間の垣根を低くし、あるいは除去し、業態間の相互 乗り入れを実現して、競争をできるだけ促進する方向が提示されてい る。 とくに、金融制度調査会の「新しい金融制度について」報告は、本 体による広範囲な相互乗り入れを軸に、証券業・保険業については子 会社方式による参入を認めたものである。これは、従来の日本の縦割 り行政から大きく方向転換したもので、今後の制度改革のグランドデ ザインとでもいうべき姿を提示したものと評価されよう。 しかし、制度が連続したものであることから、そして白紙に新たに あるべき姿を描くものではないことから、報告ではそのあるべき将来 像、近未来の姿、当面の改革がいわば混在している感がある。そのた め、制度改革イコール業態間の利害調整、水争いといった評価も多 い。 また、グランド・デザインが、競争促進による市場メカニズムの活 用という資源配分と所得分配の効率性を意図しているため、エンド・ ユーザーにとってのメリットが見えてこないとの批判もある。このた め、金制報告は「制度見直しのもたらす利用者利便」について付論を 付けているが、もっぱら供給サイドないし供給オリエンテッドな議論 であるため、必ずしも利用者利便に応えていないとの批判もある。こ の点はむしろ、需要オリエンテッドな議論を展開すべきであったと思 われる。 いずれにせよ、6年間とも9年間ともいわれる金融制度改革の議論 −2− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 が煮詰まった状況で、この間題をウォッチャーとして追い続けた立場 からの評価をしておきたい。 1.金融制度改革の推移と課題 [1−1]議論の推移 今回の金融制度改革論議は、1985年6月の金融制度調査会答申 「金融自由化の進展とその環境整備」および同年7月の臨時行政改革 推進審議会の「行政改革の推進方策に関する答申」を踏まえ、同年9 月から金融制度調査会で制度改革審議がスタートした。調査会に「専 門金融機関制度をめぐる諸問題研究のための専門委月会(制度問題研 究会)」が設置され、戦後日本の金融制度を支えた縦割りの垣根に よって業務が区分された専門金融機関制度の検討を開始したのであ る。 1987年10月14日に、朝日新聞が「大蔵省が「投資銀行」構想」 の見出し記事で、金融制度改革の方向を、別間研報告(同年12月) に先立って特ダネにして以来、制度改革は論議沸騰の状況に突入し た。今回の制度論議の展開は、この記事で示されたように、子会社方 式による相互参入が議論の前提になって展開したことでもある。この ことは、議論の方向を示す点で効果的であったが、それをめぐる綱引 きに終始する懸念も含んでいたといえよう。 1987年12月金融制度調査会制度問題研究会報告「専門金融機関制 度のあり方について」が発表され、金融制度改革の方向が、戦後日本 の制度の根幹であった専門金融機関制度の見直しの方向、競争促進と 縦割りの業態間の垣根の縮小の方向で固まった。具体的な相互参入の 方式は明示されなかったが、外国の事例に語らしめるという形で、子 会社方式がインプライされていた。 −3− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 制間研報告では、専門金融機関制度のうち長信銀、為専、信託銀 行、相互銀行についての検討がなされたが、協同組織金融機関の検討 がなかったので、その後金融制度調査会に設置された第一委員会で協 同組織金融機関の問題が検討され、1989年6月金利第一委員会報告 「協同組織金融機関のあり方について」が公表された。この中では、 協同組織金融機関の今日的存在意義が確認され、今後とも金融制度の 中で存立することの重要性が論じられた。この間、相互銀行は89年 に普通銀行に一斉転換したが、これは87年制問研報告を受けたもの で、最終的制度改革の青写真を待たずに、「産み落とし」方式によっ て実現したのである。 相互参入問題を検討した金利第二委員会は、89年6月に報告「新 しい金融制度について」を答申し、いわゆる制度改革の5方式を提示 した。この中で、残された課題として、保険の問題、地域金融の問題 が示され、保険は保険審議会に、地域金融は第一委員会に委ねられた (当初、政策金融問題も残された課題であったといわれる)。 1990年7月に金制第一委員会は「地域金融のあり方について」報 告をまとめ、地域金融を金利の場ではじめて取りまとめた。この報告 では、地域金融の担い手としての地方銀行、協同組織金融機関を明示 し、地域金融の必要性と本体での他の金融業務参入の可能性を示し た。同年6月金制第二委員会も「新しい金融制度について(第2 次)」報告を示し、子会社方式の可能性を示した。同じ時期に、証取 審基本問題研究会第一部会報告「金融の証券化」に対応した法制の整 備等について」、同第二部会報告「匡l際的な資本市場の構築をめざし て」、保険審議会総合部会報告「保険事業の役割について」も発表さ れた。 1991年4月保険審議会総合部会経過報告「保険会社の業務範囲の −4− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 在り方について」報告が発表され、保険会社も他の業務に参入する必 要性があることが示された。 同年6月の金利制度問題専門委員会報告「新しい金融制度につい て」は、先のような内容を提示した。同年5月の証取審報告「証券取 引に係る基本的制度の在り方について」も金利とほぼ同じ方向である が、.参入にはより傾重である。1992年春に保険審の制度報告が行な われて、子会社方式による参入が示されよう。 業務の自由化と並んで、金利自由化は1993年までに定期性預金完 全自由化、流動性預金自由化が進行する予定である。アメリカの制度 改革も財務省案に即して審議中である。また、EC市場統合が、1992 年12月までに行なわれるスケジュールになっている。このように、 海外の動向も日本の制度改革と軌を一にしている。 [1−2]検討の視点と若干の評価 今回の制度改革の検討の視点は、利用者の立場、国際性、金融秩序 の維持(金融制度の安定性、公平性)、そして地域の活性化、の4つ である。利用者の立場が明示的に導入されたことは、金利の歴史でも 稀なことである(初めてか)。いずれにせよ、金融自由化の進展・グ ローバル化の影響・証券化などによる市場の統合化から、制度の共通 の土俵作りの必要性が生じ、さらにジャノヾンマネーのプレゼンス問題 を解決する必要から制度改革に取り掛かったといえよう。 そして、改革の方式として、いわゆる5方式が議論され、子会社方 式が落とし処とされてきた。子会社方式には、ホールセールに限定す る投資銀行の特例法方式と、業態別子会社方式が考えられ、当初特例 法子会社方式が有力視されたが、ホールセールに限定するとしてもそ の範囲の決定が困難なこと、制度改革において「特例法会社」という −5− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 新たな業態を作ることは困難であるという認識から排除された。結 局、業態別子会社方式が残ったのである。 今回の諸報告をみると、改革のグランドデザインとしての方向付け は評価できる。金融制度全体を視野にいれ、ノンバンク、保険業、政 府系金融機関にも言及している。縦割り規制を低くするのがポイント である。とくに、業態別子会社方式と相互乗り入れ方式が取り入れら れたが、相互乗り入れ方式は当面私募債・証券化商品に限定される が、普通銀行業務、長期信用銀行業務、信託業務については本体で併 せ行なうことがよいとされていることは、将来的には証券・保険との 参入のみに業態別子会社方式が用いられるといえよう。 もっとも、今回の報告の限りでは、信託銀行以外が作る信託銀行子 会社には貸付信託、年金信託等金銭の信託等は行なうことはできな い。その意味で、信託のコア業務には手付かずである。 また、ファイアウォール(業務隔壁)についても、金利と証取審で 対立がある。証取春は、ファイアウォールを法令化すべきとしたが、 金制は必要黄小限の措置とした。とくに、銀行の証券子会社について 金制はフルライン証券業務を原則としていたが、証取春は発行市場業 務を可とし、流通市場業務は制限した。株式の発行業務のみ(引受販 売)に限定された。 金利報告をみると、第3章の「金融制度見直しに当たっての基本的 考え方」には、戦前からの銀行の業務についての歴史的経緯の記述が なされ、戦前期に銀行が公社債の引受け・売買業務を行なっており、 公社債の引受け業務は銀行が元引受けであったこと、また銀行が株式 担保融資を行なっており、株式の引受けに代る企業金融機能を果たし ていたことなどが示されている。とくに、銀行は戦前の一定期間を除 いて、公社債の引受け等の証券業務を行なってきたことが示されてい 一一6− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 ることは、注目してよい。アプリオリに、銀行の業務に制限を設ける 必要はないとのスタンスが出ているといえよう。 地域金融機関(地銀、協同組織金融機関)は、本体参入と子会社方 式の選択となったが、信託業務についての本体参入は、土地信託、公 益信託等に限定された。 保険については、金制・証取審の後とされたが、制度間題としては 生損保間題の解決が先との認識もあるといえよう。 表1予想される銀行の証券業務参入の範囲 公募証券業 務 (子会社方式) 普通社債 CB ・WB 株 式 証券化 商品 発 行 市場 ◎ ○ ○ ◎ 流 通市 場 △ △ × △ 私募証券 ( 本体参 入) C D ・C P な ど 社 債 な ど 証券化商品 短期金融取 引 発 行市 場 ◎ ◎ ◎ 流通 市 場 ◎ × △ ◎:当初から参入可。○:当初から参入有力(報告では不明) △:将来可能性あり(報告では不明)。×:当面参入不可。 [1−3]引受け業務(アンダーライティング)と売買業務(ブローカ レッジ)についての理論的考察一貸出債権の流動化問題一 金制報告には、日本でも戦前に銀行が公社債の引受け業務(アン ダーライティング)と売買業務(ブローカレッジ)を行なっていたこ −7− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 とが、強調されている。しかし、今回の金利報告では、株式の流通市 場への参入は否定されている。社債についての記述は明確でないが、 将来は社債についてはブローカレッジ業務が認められるといえよう。 引受け業務(アンダーライティング)と売買業務(ブローカレッ の の違いは、証券化とくに貸付債権の流動化で銀行の貸出業務・仲 介業務のアンバンドリング(unbundling)と関わりが出てくる。ア ンバンドリングというのは、貸出債権の流動化に伴って、銀行は借り 手の情報生産を行なって、貸出のオリジネートはするが、貸出の実施 と長期資金の供給を行なう一方(資産変換機能)、危険負担機能に基 づく貸出に伴って負担する信用リスクを、貸出債権の売却を通じて市 場に転嫁するので、情報生産・貸出・リスク負担というパッケージさ れた仲介機能を、情報生産と資産変換・危険負担に分解(アンバンド ル)して、情報生産機能に特化するのである。 社債の引受け(アンダーライティング)というのも、この貸出のオ リジネーションと同じである。社債を引受けた金融機関が、流通市場 で売却すれば(ブローカレッジ)、これは貸出債権の流動化と同じで ある。つまり、貸出債権の流動化は、社債の引受け(アンダーライ ティング)と売買(ブローカレッの と同じである。社債の代りに、 株式を用いても同様である。社債と株式は、デット(debt)かエクイ ティ(equity)の差である。 金融自由化・証券化によって、貸出債権の流動化が進んだが、この プロセスで業務の同質化が進行している。 [1−4]利用者利便:制度見直しのもたらす利用者利便(金制報告 付論) 金利報告の付論には、先に述べたように「制度見直しのもたらす利 −8− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 用者利便」が付けられた。本来、本文中に盛られたといわれるが、異 質との指摘で付論になったものである。中長期預金の供給、変動金利 預金の供給などの指摘があり、♯争促進・参入自由が効率性向上・公 平性確保とサービス向上に資するとの観点から、利用者・消費者の選 択拡大がもたらされるとしている。もともと、規制により競争・参入 が低いのでパレート非効率・所得分配の不公平が発生していたわけ で、これらの問題除去が必要であったことは、十分理解できる。 付論の商品性向上の指摘などは、この程度であれば現状でもあまり 変らないのではといえよう。付論で示された商品性向上は、供給サイ ドの観点、供給オリエンテッドなものである。必要な視点は、利用者 にとっていかなる利便性が重要か、という基本的視点である。いわ ば、需要オリエンテッドな指摘である。 家計・個人にとっては、高齢化・ストック化・成熟化における金融 的対応が関心事である。いわゆる、生涯生活設計に即したオール・イ ン・ワン・パッケージのような商品設計であろう。さらに、あらゆる 業務・商品が1カ所でできるという、ワンストップ・バンキングがベ ストであろう。 業態別子会社方式は、利用者にとって繁雑になるマイナスが懸念さ れる。複数の窓口との対応を迫られるだけ、との指摘もありえよう。 ユニバーサル・バンキングか、リテールのフルラインの特例法子会社 も検討されてよいであろう。 表2 「付論」の利便性向上について 1.利便性向上の例 ① 預入期間4年といった多様な預入期間の預金が可能にな る。これによって、普通銀行の調達連用のミスマッチが軽 −9− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 減され、住宅ローンなどの長期資金が供給可能になるの で、住宅ローンへの取り組みを積極化する。住宅ローンの 供給増加は、貸出金利の低下を促す一因となる。 ② 社債引受市場への銀行の参入が、同市場の費争を促進さ せ、プライス・メカニズムを一層反映した発行諸条件の設 定が期待される。社債の商品性の見直しから、企業の資金 調達の機動性が高まり、私募の見直しは中小企業等の資金 調達の多様化に資する。 ③ 予想利回りではなく、実績配当型の信託商品等の供給が 可能になる。 ④ 証券化商品の開発が可能になる。 2.利便の向上 利用者の利便は、次の3点である。 ① 金融商品の多様化のメリット 中長期預金、実績配当型信託商品、様々な証券化関連商 品等の新規導入。既存の証券化関連商品等の、小口化、販 売対象の拡大等、利用者のニーズに合致した商品性の改 善。複数の業態にまたがる組合せ商品の開発の促進。 ② 競争促進等による価格面等のメリット 競争促進と金融機関の複数商品・サービスの同時生産に ともなう生産性上昇のもたらす、各種手数料の引き下げ、 預金金利の引き上げ、貸出金利の引き下げ、サービスの向 上。ただし、分野によっては、手数料等の上昇もありう る。 ③ 金融機関の多様化によるメリット 金融機関の個性化の促進によって、利用者は自己のニー ー10− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 ズにマッチした金融機関を選択できる。ただし、選択の自 由が広がることは、その結果に対しても責任が伴うこと に、利用者も留意すべきである。 [1−5]暫定的評価 今回の制度論議は、業態間の垣根論争いわば業界エゴ、水争いに終 始し、業態間の利害調整に終始したという評価もありえよう(近藤 (1991)、高原(1991))。「利用者の利便性の向上」を「検討の視点」 に据えたわりには、利用者の利便性は喪失されたともいえよう。その 意味で、「改革」から「見直し」に終ったともいえよう。今回の制度 改革は利用者の利便性向上というのは、御題目化したともいえるが、 もともと制間研報告以来、利用者・国民の方には向いていなかったと l) の指摘もある(麻島昭一(1989))。利用者の利便性向上が、制度改革 論議の業界エゴに対して、「錦の御旗」的に使われた懸念なしとしな い。 とはいえ、制度改革が制度の連続性の下にある以上、業務の争いに なるという側面は無視することはできない。白紙の上に、新しい地図 を描くわけではないからである。 自民党は独自の制度改革案を構想し、それによれば金制報告は保 険、ノンバンクの位置付けが不十分であり、利用者の利便性・利用者 保護の重視が強調されている。さらに、政府系金融機関の統廃合、金 融庁構想(3局統合)も盛られているが、この点の先行きは不透明で ある。 最後に、金融制度全般をカバーするという今回の議論におけるノン バンクについて、触れておきたい。ノンバンクが、制度改革の議論に −11− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 登場したことは、大蔵省免許に関わる金融業と限定していた従来のス タンスからすれば、大きな進歩である。ノンバンクが、融資規模で大 きいことだけでなく、多種多様な金融サービスを提供することによっ て、質的にも経済に深く関わっていることを認識したものといえよ う。ただし、今後大蔵省免許とするのかなどは不明である。 注1)麻島氏によれは、「今度の金融制度の改革論議で、‥・理念か不明確である・ 。金融機関の役割は国民と企業の利益の向上だと言っているけれども、これはあ くまで抽象的な言い方であって、‥・企業の事はいっぱい書いてあるけれども国 民というスタンスは議論されておりません。・・・企業はどうも暗に大企業をいみ しているような、・・・。我々庶民やあるいは中小企業・・・の利便というものを 考えた議論はあまり載っかっておりません。[「・・・」は筆者による中略]」(麻 島昭一(1989)「日本金融制度再編一分業主義のゆくえー」『成城大学経済研究所年 報』第2号、p41)。 2.利用者からみた金融制度について−金融制度改革の展望 の一つとして [2−1]利用者(情報劣位者)にとっての金融制度 金融仲介機関とは、情報生産・提供によって貸手と借手の間の情報 の非対称性を取り除くことにより信用供与を可能にする機能をもつ。 いわゆる、情報生産機能である。 金融自由化・証券化により、大企業は資金調達手段を多様化してい る。とくに、資本市場へのアクセスが容易になっている。さらに、銀 行との交渉力も上昇しており、資金運用も有利になっている。自由化 の恩恵は、大企業には大きく、競争の促進でも同様の効果が生じる。 −12− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 しかし、競争促進でも情報の非対称性は残ることが知られている。 いわゆる、市場の失敗である。とくに、情報劣位者への対応は不可欠 である。たとえば、金利自由化による金融仲介機関のコスト上昇・規 制上の負担は金融的弱者(中小企業など)に転嫁されがちである。中 小企業は、大企業のように資本市場にアクセスすることは容易ではな いからである。 中′ト企業・個人のような情報劣位者は、有利な運用・調達手段への アクセスも困難である。有利な資金運用に必要な専門のノウハウが不 足し、金融機関等からの情報提供機会が不足し、運用のロットが大き いから利用困難になるからである。 [2−2]家計・個人の金融行動:高齢化、ストノク化 家計・個人の金融行動とは、貯蓄および借入を含むトータルなもの である。現在および将来の行動を含むもの、いわゆる異時点間の金融 行動である。これを生涯生活設計にまで応用すれば、ライフプランニ ングになる。したがって、金利選好のみが家計・個人の金融行動では なかろう。制度改革による金融商品改善はあたかも金利選好充足型の ような印象を受ける。 高齢化とストック化はライフサイクルを通した金融行動の必要性を 迫る。ストック化は、労働所得以外の利子・配当所得への注目度を上 昇させる。たとえば、子孫へのストックの移転の願望(遺産動機)の 高まりや、ライフサイクルに対応した金融ニーズの高まり、さらに金 融プラス非金融的ニーズの高まり(税務問題・介護問題など)など、 コンサルティング機能の要請が高まってくる。 この点で、ストノク化と高齢化の下では、ストックのフロー化の必 要性も生じる。いわゆる、住宅担保年金制度(リバース・モーゲジ) −13− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 の必要性であり、実物資産をフロー化する必要性の増大である。すな わち、実物資産保有・借入行動も含んだライフサイクル行動への対応 が金融機関に求められている。 また、金融手法の高度化も求められており、たとえばエンドーメン ト・モーゲージのような商品も重要である。この商品は、住宅ローン の返済方法を工夫したものである。元利均等返済は、借入期間中の利 子を計算し、元本に加えて月別の返済額を求める方式であるのに対 し、このエンドーメント・モーゲージは、住宅ローン契約時に契約者 が養老保険に入り、元本は据え置きとして満期に満期保険金で支払い (死亡時には死亡保険金で支払う)、月々の返済は、保険料と利息分の みとするものである。この手法を使えば、満期保険金を大きくするこ とで、住宅ローンの返済だけでなく老後資金の用意、が同時達成でき る可能性もある。 家計にとってのメインバンクの役割が求められているが、金融機関 に求められるのは、単なる収益部門としての家計でなく、生涯生活設 計の担い手としての金融機関への期待があるはずである。これは、金 融機関本来の情報の生産および供給の機能に帰着しょう。少なくとも 多くの窓口へ出向くことが利便性向上ではなかろう。 [2−3]生命保険の機能への期待 生命保険の機能に期待されるものは、次のようなものである。 (彰 生命保険のストノク所得のヘッジ機能 生命保険は、元来フロー所得のヘッジ手段として機能してき たが、ストノクのフロー化への積極的対応が望まれる。リバー ス・モーゲジの本格的導入、とくに保険の原理を活かした制度 2) を導入すべきである。 −14− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 ② 総合金融サービスの期待 単なる生命保険にとどまらず、オール・イン・ワン・ノヾッ ケージ商品が必要で、その場合決済機能も含むことが重要であ る。先に述べたように、「水争い」からは総合金融サービスは 生まれないといえよう。とくに、オーダーメイドの総合金融 サービスを供給することを生命保険会社に期待したい。 (診 高齢化社会における生命保険の機能 高齢化社会における生命保険の機能は議論されてきたが、問 題はポスト高齢化社会への展望を持つことである。 ④ フルライン・リテールというコンセプトの必要性 家計・個人の対象とする生命保険全社は、リテール業務をす べて行なうというフル・リテール業務によるエコノミーズ・オ ブ・スコープの実現が期待される。 ⑤ 生命保険会社も金融仲介機関 「保険審経過報告」で明確化されたように、生命保険会社も 金融仲介機関である。したがって、間接金融のシステムの中 で、証券兼営問題よりも先に解決されるべきであるともいえよ う。総合金融機関としては、決済が不可欠であることは、すで に本誌でも指摘してきたことである。 注2)この点については、リバースモーゲイジ研究会(安田総合研究所)『資産のフロー 化に関する研究事業報告書』(シルバーサービス振興会)、1991年3月参照。 −15− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 (参考表) 各国の金融制度と制度改革 (1)銀行制度の国際比較 ア 免許制 の有無 (法 律 名 称 ) 免許付 与主体 メ 。19。。相 リ 品 カ ] 法 ) 。注 1 ) ! 通 貨 監 督 官 (O C C ) (荏 2 ) 】 ィ ギ 。 ス (19 87豊 品 行 法 ) ィ ン グ ラ ン ド銀 行 上 記法律 上の 規 定の概 要 を 付 与 しな け れ ば な ら な い 。 で き る。 (第 24 条 ) ○ 銀行以 外の者か 預金の 受入れ を 行 うことはで きない。 (第 378条 ) : :及 び 範 囲 に つ い て は 規 定 して ; しい な い 。 業務範 囲 O 「銀 行 業 を 遂 行 す る上 で 必 要 な [○ 業 務 範 囲 に 係 る 規 定 な し。 業務 」 囲 雷乱 雲慧 芸議 詣 誓 一 (1) 法 律 上 の 例 示 業 務 (第 24条 ) ①約束 手形 、為替手形 等の割 引、 譲渡 再 1 完 議 姦 ㌫ 芸左、 ご一 】 ②預金 の受入 れ ③ 為 替 、 コ イ ン、 金 地 金 の 売 買 : l助 言 業 務 、割 賦 販 売 、リ ー ス、 : ④ 個 人 保 証 を 担 保 とす る 金 銭 の 貸 付 等 (2 )O C C 解 釈 通 達 上 認 め られ て い る業 務 ① リー ス ② デ ー タ 処 理 ( 諺 ク レ ジ ッ トカ ー ドの 発 行 業 務 ; て い る。 等 (3 ) O C C の 個 別 認 可 に よ り認 め ら l れて いる業務 ① 証 券 業 務 (公 共 債 業 務 、 私 募 債 業 務 、 子持 柄 ト1 0−柚 ッノ ) ② 信 託 業 務 (特 別 の 許 可 必 要 ) ③投 資顧問業 務 ( 参ファ クタ リング l ( 9 住宅 抵当金 融 ( 砂信 用 保 険 の 引 受 ・販 売 等 ○ 証 券 (公 共 債 を 除 く) の 引 受 、 デ ィー リ ン グ業 務 は 明 文 で 禁 止 。 (注1)州法銀行については各州銀行法による。 (注2)州法銀行については州当局。 (注3)銀行以外で預金の受入れを行う機関として、ファイナンス ・ハウス(割賦金融等を行う)などか挙げられる。 −16− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 フ ラ ン ス ド イ ツ ス イ ス あり ‘ l ぁり 】 ぁり (1984年銀行法) (1961年信用組織法) 金融機関委員会 l 連邦銀行監督局 ○金融機関とは、銀行業務を営む 法人をいう。(第1条) 「銀行業務を営む」とは、下 記の「銀行業務」のいずれか を営む場合をいう。 ○金融機関でない者は、銀行業務 を行ってはならない。(第10条) ○金融機関は、官業を実施する前 に、金融機関委貞全の交付する免 許を受けなければならない。 (第15条) 〇銀行業務(第1条) ①一般からの預金受入 ②信用供与 ③決済手段の提供・管理 C付随業務(第5条) ①外為業務 ②証券業務 ③金・貴金属に係る業務 ④財産管理に係る相談・援助 ⑤財務管理に係る相談・援助 (◎リース業者への動産等の貸付 (争企業への出資 ○銀行規制委員会か定めるもの以 外は禁止(第7条) 「銀行規制委員会か定めたもの として例えば、不動産業務、 保険販売(但し10%の収入制 限あり)かあり、これらは本 体で行うことか可能であるか、 通常は子会社で行われている。 上記のほか、保険引受、リー ス、ヘンチャーキャピタル等 が子会社を通して行われてい (1934年連邦銀行法) 連邦銀行委員会 ○金融機関とは、商業組織で銀行】○銀行は、 業務を営むに先立っ 業務を営む企業をいう。 て、連邦銀行委員会より免許を得 なければならない。(第3条) (第1条1項) ○銀行業務を営もうとする者は、 連邦銀行監督局の許可を要する。 (第32条) (喜葉壷写譜綜浣顎 ..ふ.‥告ニ:言言 ○銀行以外の者か預金の受入れを 行うことはできない。(第15条) ○銀行業務(第1条1項) ①頭金受入れ ②貸付 ③手形割引 ④証券の引受・ブローカレソシ (9寄託業務 ⑥保証業務 ⑦決済業務 等 ⊂)銀行業務 (銀行法施行令第2a条) (9一般大衆から預金を勧誘し、 不特定多数に自らの名で資金 供給を行う業務 ②複数の銀行から多額のリファ イナンスを行い、不特定多数 に自らの名で資金供給を行う 業務 ③有価証券等の引受を行い、そ れを発行市場で一般大衆に販 売する業務 を富む場合をいう。 ○銀行業務以外の業務を行うには 届出か必要とされているか、下記 の業務は政令により届出か免除さ れている。 ①証券ディーリング業務 ②外国為替業務 等 ○他業禁止規定なし ○他業禁止規定なし。 [警監昌芸這妄孟誓孟宗要義 (引受・販売)、不動産業務、 リース、コンサルタント業務 等が行われている。 −17− 実態的には、ブローカレソシ 保護預り、リース等か行われ ている。 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 (2)銀行の業務範囲に関する国際比較 日 銀金 行融 の業 長務 期 本 】 ァ メ リ カ ! ・長 期 信 用 銀 行 は 、 設 ・銀 行 は 、 銀 行 法 に よ 備 資 金 又 は 長 期 運 転 資 .る 免 許 に 基 づ き 短 期 金 金 の融 資を主 たる業務 融な らびに長期金 融 に と し、 短 期 融 資 等 に は 従 事 で き る。 制 限か ある。 ・ 長 期 信用 銀 行法 に 基】 つ き長期 信用銀 行は金 j 融 債を 発行で きる。 】 イ ギ ・同 左 l 期 間 : 1、 5制 年 】芸 ・ ・ 発 行 限 度 規 : 自 己 】 l1 i 債 l 1 l l 銀 行 の 信 託 業 務 資 本 の 30倍 】 l l (・普 通 銀 行 は 現 在 、 (・一 般 法 に 基 つ く社 (・同 左 ) 転 換社債 の発 行のみを l 債の 発行は可能 ) l ]行 って い る) 】 ・普 通 銀 行 ・長 期 信 用 ・銀 行 は 銀 行 法 に 基 っ 銀 行 か 信 託 業 務 を 富 む く信 託 ため には 「 普通 銀行 ノ 信託業 信 託 業 務 ノ兼 営 等 二 関 [ (銀 行 ス ル 法 律 」 に よ り、 大 !定 義 規 : ・銀 行 は 、 証 券 取 引 痢 ・銀 行 か 信 託 業 務 を 行 免 許 を得 た 上 で う こ と は 禁 止 さ れ て い 務か行 える。 な い。 法上信託 業請の (銀 行 法 上 信 託 業 務 の !定 義 規定 はないか、信 定は ないか、信 託業務 として、遺言執 行、遺 言 による財産管 理、投 資一任 業務、投 資信託 等か 行われて い る。 ) ・銀 行 本 体 は 原 則 と L l ・銀 行 法 上 、 銀 行 か 証 上 、 原 則 と し て 、 証 券 [て 証 券 業 務 に 従 事 で さ 業 務 を 行 う こ と を 禁 止 な い。 但 し 、 公 共 債 業 さ れ て い る。 務 、 社 債 ・株 式 の ブ ロ 銀 行 の 孟 正 券 業 務 リ ス 券業務 を兼 を 禁 止 して ・但 し、 証 ー カ レ ノシ業 務 、 私 募 う場 合 は 金 債発 行斡旋業 務は可能 。法上 の認可 l 〔禁 止 の 例 外 〕 ・公 共 債 に 係 る 業 務 。 ・銀 行 持 株 全 社 の 子 全 規 制 団 体 へ ・顧 客 か ら書 面 に よ る 杜 を 通 して C P 、 モ ー か 必 要 。 注 文 を 受 け て 顧 客 の 計 ゲ ー ン 担 保 証 券 、 社 債 算 で 行 う有 価 証 券 の 売 等 の 引 受 ・売 買 業 務 を 買 。 行 うことが可能 。更 に、 ・投 資 目 的 で の 有 価 言 正 株 式 の 引 受 ・売 買 業 請 券の売 買。 も認 め られ て い る 。 ・信 託 銀 行 が 信 託 契 約 ・但 し、 上 言己業 務 に つ に 基 つ い て 信 託 を な す い て は 、 収 入 制 限 等 の 者 の 計 算 に お い て な す 制 約 か あ る。 有価証 券の売 買。 −18− 業す ること は い な い。 券業務を 行 融サー ビス (公 認 自主 の加入等 ) 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 フ ラ ン ス ・同 左 ド イ ツ ・同 左 カ ナ ダ E C ・同 左 ・同 左 】 l I l l ll 。.同 左) ・抵 当銀 行法等 によ り l抵 当銀 行等は抵 当貸付 上 自治体 貸付等 を行 う ,に降 し、抵当債 券、 自 治体債 券等を発 行で き る。 ・期間 . 5、6− 10、 15年。50 年以上 あ り。 ・発行限度 規制 :抵当 債 券及 び自治体債 券の 合計か 自己資本 の60倍 (・同 左) l l ・同 左 ∴ 同 左 ・銀行 法に基つ き、銀 】 行 は銀 行債を発 行で き 1 一 る。 ・償還 期限 は 5 年以上 ・発 行限度規制 :資本 勘定の半 額 I 】 l (・一 般法に基 つ く杜 l 白責の発 行は不可 ) ll 1 ・銀行法 上、銀 行か 信 ・第二次銀 行指令 によ 託業務 を営む ことは禁 り、銀行 は、本国 よ り 止 され てい る。 認可 を受 ければ 、いず (銀行法 上信託業務 の (信用組織 法上信託 業 ・1990年 9 月、子 会社 】れ の域内国 にお いて も、 !定 義規定 はないか 、投 1務 の定義規 定 はないか 、形態 ( 信 託全社の設 立)一部 の信託 業務 ( 投資 ;資一任業 務、保管 ・菅 管 理信託 、担保信 託、 での銀行 等の信託 業務 一任 業務 、証券の保 管 、 理 業務、 カス トテ ィー 投 資信託 、遺言執 行業 (遺産管理 、年金 信託、 カス トデ ィー業務 )を 業 務、投 資信託等が 行 務 等が行わ れて いる。) 証 券代 行業務、 等)参 行 うことか で きる。 わ れて いる。) 入を認 めた金融制度 改 革 法案の 概要を発表。 ∴ 銀行法 上、銀行 は本 1 .同 左 体 で有価証 券の引受 、 売 買、 ブローカ レ ッジ 等 の証券業 務を行 うこ とかで きる。 i jl ・銀行法 上、銀行 は、 ・銀 行は 、本国で の認 公共債の 引受け ・売捌 可か あれば 、本体 で有 き、顧客 の証券売買 庄 価証 券の 引受 、売 買、 文の ブローカーへの取 ブロー カ レッジ等 の証 次 ぎ、既 発公共債の デ 券業 務を 、全ての域 内 イー リング、私募債 の 国 において 、行 うこと 取扱 い等 を行 うことか かで き る。 で き、一 方、株式の売 買 、社債 の引受 け、投 】 資顧 問業務 等は行 うこ とかで きない。 1 ・1987年 の法律改正 に よ り、銀 行によ る証 券 子 会社の保 有か可能 と な った。 ・19 90年の金 融制度改 革法 案の概 要によ ると、 銀行 本体で の投資顧問 業務 を認 める予定。 ー19一 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 (3)各国の金融制度改革の動向 [ 日 本 ア ,・外国 為 替 及 び 外国 貿 易 管理 法 ; の 改 正 (79 /12 ) 19 7 5 ∼ ‖ l l 1 9 80 i l ・銀 行 / 去 改 正 (8 1 /6 ) l£ ・ 大口 制ー の規 法定 制の 化 : ② デ ィ信 ス用 ク供 ロ与 ー規 シャ 創設 l ③ 銀 行 の証 券 業 務 の 制度 的 明 l 確化 198ト : ④ 重 要 な行 19 8 5 l l ・金 融 機 関 の 且 長 期国 債 ′ 4) ② 中 期国 債 「 l 政 指 導 の磋 制 化 証 券 業 務 の 多様 化 等 の 窓 販 開 始 (8 3 の 妥 販 開始 リ カ /5 ) ・金 融 制 度 改 革 ① 預金 金 利 の (6 年 間 ) ② 準備 預 金 制 大 ③ 各種 金 融 機 大 イ (7 5 ギ [ ・英 国 初 の 銀 ①預金受入 免許制を ② イ ン グラ 行の監督 度 の運 用 範 囲 拡 ③預金保険 年 2 月か 関 の 業務 範 蹄 拡 法 ( 8 0′3 ) 段 階 的 自 由化 リ ス 行法 制 定 業務 につ 導入 ン ド銀 行 体制 の 整 制度 の 設 ら実 施 ) (7 9/4 ) いて二重 に よ る銀 備 立 (19 8 2 ・預 金 取 扱 金 融 機 関 法 (ガ ー ン 】 ・セ ン ト シ ヤ ー メ イ ン 法 ) (82 /10 ) (訪新 睡 預 金 (M M D A 、 ス ー [ パ ー N O W ) の認 可 ② F D I C 、 F S L I C に対 し異 種 ・州 際 合 併 の 認 可 権 l 及 び資 金 援助 権 を付 与 ③ 貯 蓄 金 融 機 関の 業 稗 を 商 業 銀 行 と同 質 化 (8 3 l (8 4 ノ6 ) [ ・相 互 銀 行 5 2 行 か 普 通 銀 行 転 換 (8 9 /2 ) ! (現 在 ま で 6 7 行 か 転 換 ) 19 8 6 ∼ メ 受 託 手 数 料 の 自 由化 10 ) 聖 共債 テ ィ ̄ リ ングの 開 始 】 ・金 融 先 物 取 引 店 、 証 券 取 引 法 改 正 法 成 立 (8 8 /5) : 路 ・金 融 機 関 に よ る 債 券 先 物 取 引 の 取 次 業 務 開 始 (8 9 /5 ) j ・F R B か 銀 行 持 株 全 社 の 非 銀 行 子 会 社 に 対 し、 C P 等 の 引 受 、 売 買 業 稀 を 認 可 。 (8 7/4 ) ・競 争 条 件 平 等 化 銀 行 法 (8 7 /8 ) ① ノ ン バ ン ク ・ハ ン ク の 新 設 禁止 ② 法 改 正 を 含め た 金 融 制 度 見 直 しを 行 う ため 新 規 業 務参 入に の 認 可 を 19 8 8 年 で 一 時凍 結 ・G S 法 改正 法 案 か を 通 過 。 (8 8 /3 ) ① 銀 行持 株 会 社 を と証券 会 社 の 系 ll 通 した. 銀行 列 化 を認 め ② フ ァイ ア ー ウ ォー ル の設 ( 郭大 規模 系 列 化 の 禁 止 ・F R B か 銀 行 持 株 会 杜 の非 行 子 会社 に対 し、 社 債 の引 売 買業 務 の 開 始 を 認 可。 (89 /6 7 ) ・F R B か 銀 行 持 株 全 社の 非 行 子会 社 に 対 し、 株式 の 引 売 買業 務 の 開 始 を 認可 。 (90 /9 ) ・G S 法 改 正 を 含 む 財 務 省 作 の包 括 的 な 金 融 制度 改 革 法 の 提 出 。 (9 1 /3 ) (資料)大蔵省銀行局 −20− 限 を 撤 廃 。 (8 6 /3 ) ・ ピ ソ グ ・バ ン 実 施 (8 6 /1 0 ) ① 最 低 委託 手 数 料 の廃 止 ② 単一 資 格 制 度 の廃 止 に、銀行の 対 す る 当 局 j ・建 築 組 合 法 改 3 月 1日ま ・ ( ∋建築 組 合 の Eコ ② 建築 組 合 の 上 院 本 会議 資家 保 護 の る 】 ・証 券 取 引 所 か 法 人 会 員 制 を 導 入 、 全 員会 社 に 対 す る 出資 制 正 (8 6 ′ ノ7 ) 業 務拡 大 健 全性 確 保 、 投 た めの 制 度 整 備 ・金 融 サ ー ヒ ス 法 成 立 (8 6 /1 1 ) ① 自主 規 制 を 基盤 と した 投 資 家保 護 制 度 の構 築 置 (診 規 制 対 象 の 「証 券 」 か ら 「投 資 物 件 」 へ の 拡 大 銀 (診 イ ン サ イ ダ ー 取 引 規 制 の 強 受 、− 化 ④ 相 互 主 義 条項 の 導 入 銀 ・銀 行 法 改 正 (8 7 /5 ) 受 、 (彰銀 行 免 許 の 一 元 化 (訝 イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 監 督 権 限の強化 成 ③ 預 金 保 険制 度 の 拡 充 案 ④ 相 互 主 義条 項 の 導 入 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 ト フ ラ ン ス イ ツ ・信用組級 去 ( 銀行法)改正 宗禁 融資制 の凱 ! ヵ ナ ダ E C [・1980年銀行法制定 ( 80/11) 】 ①賢 の設立か嗣 制となっ ・第一次銀行指令採択 ( 77/12) ①銀行免許の法制化 ②免許の最低資格要件の法制 ②銀行監督 吊の権限強化 ( 随 i ② 外穀の現法形態に よる進出 l 化 時立ち入り検査の実施等) [ の認可 ③個人銀行の新設禁止 : ③銀 行の1001子会社による リ ース、フ ァクタリング業務 の認可 ④銀行による社債引受の禁止 l ・銀行36行か国有化 ( 82/2) ・信用組織法の再改正 ( 85/ ′ 1) :・オンクリオ州で証券手数料の ①子会社 との比例連結貸借対 自由化 (83!4 ) ・新銀行7去制定 ( 84/ ′ 1) 照表作成の義務つけ ①通用対象 となる金融機関を ②融資総領職制 等同法上の諸 l 拡大 し、 6 形管に分類。 規制を連結へー スで運用 ②監督機関の整備 , ③一債務者あた りの最高限度 l ③預金者保護の強化 額規制を自己資本の75 0。か ら5000へ引 き下げ ・証券市場改革 ( 85′5∼9) 3 起債手数料の自由化 ②大口売買手数料の 自由化等 l ・金融先物取引か開始 ( 86 ′ ′ 2) ・株式上場基準緩和磋 ( 86ノ ノ 10):・大蔵省か r金融部門の新 たな 証券取引所に上場基準を緩和 l 方向。を発表 ・国有企業の民営化/ 主の制定 した第二部市場を創設 . ・ 3 銀行、信託、保険、証券の [ 各業態間で、持株 会社形態 ( 86/7) ・トイツ先物取引所の創設 もしくは子会社形態 による ・証券取引所改革法制定 (フう , (90ノ ‘ l) 他業態の所有を認 める。 ンス版 ヒノグ ・バ ン)( 881′ 1) ②本体の業精範囲を一部拡大 ①公認仲買人の独占取引特権 l ③商業資本と金融機関の結び の廃止 l 】 付 きを排除 ②個人会員制か ら法人会彫 師 へ移行 r・「 金融機関の関係法律を改正 ③会員 全社への資本参加の 白 , ! す る法律」制定 ( 87/6) 由化 l 牒 藍 瀞 による ・金融先物市場 (M A T I F ) ! と商品先物市場とか統合 ( 88/2 ) l ’悪霊㌍介手数料の自由化 [ [ !・オ ンクリオ州証取 去改正 l l ・喜窯葉菜等 l i l [ ( 87′ ′ 6) 証券市域の 自由化 i 1 [ l 1 1 1 票 票 雲芸 銀行・信託、保険の相互参入 −21− ・第二次銀行指 令採択 ( 89/12) ( 9 単一免許制の導入 ( ∋本国監督主義の導入 ③ユニバーサルバ ンキ ングの 想定 ④銀行の免許 ・監督に関す る 最低限の共通基準の設定 ⑤ いわゆる相互主義条項の導 人 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 [参考文献] 麻島 昭一「日本金融制度再編一分業主義のゆくえー」『成城大学経 済研究所年報』第2号、1989年4月。 近藤 鉄雄「金融制度改革は誰のために行なわれるのか −既得権益 の調整に終った政府報告」『ェコノミスト』1991年7月 15日号。 高原須美子「タンカを切ったと言われても‥・−ひたすら小口利用 者の立場で発言−」『ェコノミスト』1991年7月15日 号。 村田 博「消費者と金融機関(1)∼(4)」『日経金融新聞』1991年9 月6日∼27日。 リバースモーゲイジ研究会(安田総合研究所)『資産のフロー化に関 する研究事業報告書』(シルバーサービス振興会)、1991 年3月。 金融制度調査会制度問題研究会報告「専門金融機関制度のあり方につ いて」1987年12月。 −第一委員会報告「協同組織金融機関のあり方について」1989 年6月。 −第二委員会報告「新しい金融制度について」1989年6月。 −第一委員会報告「地域金融のあり方について」1990年7月。 −第二委員会報告「新しい金融制度について(第2次)」1990 年7月。 −制度問題専門委員会報告「新しい金融制度について」1991年6 月。 証券取引審議会基本問題研究会第一部会報告「「金融の証券化」に対応 した法制の整備等について」1990年6月。 −22− 利用者からみた金融制度改革問題について一考察 第二部会報告「国際的な資本市場の構築をめざして」1990年6 月。 報告「証券取引に係る基本的制度の在り方について」1991年5 月。 保険審議会総合部会報告「保険事業の役割について」1990年5月。 経過報告「保険会社の業務範囲の在り方について」1991年4 月。 (付記)本稿は、貴研究所の特別研究助成(1990年)の研究成果で ある。 −23一