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ILCにおけるトップ対生成閾値領域での研究 (M1 小澤清明)
2015年7月21日 東北大学 修士1年 小澤清明 1 標準模型の中で一番重い素粒子。次の性質を持つ。 Ø エネルギースケールが大きいため漸近自由性から摂動計算 が可能である。 Ø 寿命が短くハドロン化前に弱い相互作用によって崩壊する。 u 他のクォークと違い裸のクォークの性質を検証できる e− * t トップ対生成反応 e+ _ t 2 トップ閾値領域で決められるパラメーターは 次の4つ。 ü ü ü ü トップの質量(mt) 湯川結合(yt) トップの崩壊幅(Γt、正確にはVtb) 強い相互作用の結合定数(αs) これらのパラメーターから新物理の探索ができる。 特にトップの質量は理論的にwell-definedな質量を得ること ができるので、ヒッグス質量と共に真空の安定性に言及できる。 3 トップから検証するパラメーターはトップの閾値付近での測定に よって求めることができる。ILCでトップの閾値の検証から以下 の方法を用いパラメーターを求める。 l l 断面積測定→mt, Γt, yt トップ対生成の前後非対称性→Γt, αs この2つのシミュレーション研究はILCの環境で行われている。 新たに u トップの運動量測定→Γt, αs 上記の三つの測定を組み合わせて四つのパラメーターを正確 に決定する。 4 トップ対生成の断面積はトップの質量、崩壊幅、湯川 結合、強い相互作用の結合定数等に依存する。 σ= N0 −NB dσtt ϵL dPt mt 12π Q2 (33−nf ) ln( Λ QCD σtt ∝ f (mt , Γt , yt , αs ) Γt ) 5 e− * t h e+ _ t 対生成されたトップ対の間 でヒッグスが交換され断面 積が上昇する。 ヒッグスの交換が起きない断 面積からの上昇幅を測るこ とで湯川結合を計測する。 6 閾値付近ではトップ対がS共鳴と P共鳴の状態を取り得て、それら の共鳴の幅はΓtとαsに寄る。 崩壊の際にS共鳴とP共鳴の干渉 が起こり、前後非対称性が生じる。 干渉の大きさは共鳴状態の overlapに寄るため、Γtとαsに敏 感である。 共鳴の間隔:αs 干渉の大きさ:Γt 7 √ −NB dσtt s σ 運動量と の依存性をグラフにしてΓ = N0ϵL dPt σtt ∝ (mt , Γt , yt , αs ) tとαsを求める。 運動量を測定することで以下のグラフが作れると予想される。 αs グラフの幅:Γtの関数 ピーク位置:αsの関数 Γt この測定と他の測定の数値を合わせて精度を上げたい 8 崩壊分岐比 トップはほぼ100%bクォークとWボソンに崩 壊する。 Wボソンの崩壊過程の中で確立の高い2つ をシミュレーションで再構成して検証する。 b 6-jet t 45% 4-jet 44% 2-jet 11% b 4-jet q W 6-jet l=e,μ t W _ t W l q _ t q W q q q b b 9 u u 運動量の大きい荷電ト ラックの周りにコーンを作 り、そのコーン中のエネ ルギーの大きさによって 孤立レプトンかどうか識 別する。 コーンエネルギーはシャ ワーを起こしやすい粒子 由来であれば大きくなる。 よって孤立レプトン由来 であればコーンエネル ギーは小さくなる。 ジェット由来 孤立レプトン由来 10 ニュートリノは透過性が 高く、検出器で捉える ことが難しい。 既知であるe-e+の四元 b b 運動量からニュートリノ 以外の粒子の運動量 を引いてニュートリノの エネルギーを求める。 b e− W t + e _ t l q W q b Pν= Pe++Pe− − (Pb+Pb+Pq+Pq+Pl) 11 ボトムクォークとWボゾンの再構成からトップ クォークを再構成する。 u もっともよいジェットの組み合わせを選ぶため にχ2を次のように定義してχ2が最小になる √ 組み合わせを探す √ √ N −N dσ x sσ= σtt ∝ f ( s, mt , Γt , yt , αs , mh ) u τ χ26−Jet χ24−Jet 0 B ϵL = (mt −m3jet )2 2 σm t = (mt −m3jet )2 2 σm t αs (Q2 ) = tt dPt + (mt −m3jet′ )2 2 σm t + (mt −mj+l+ν )2 2 σm t 12π 2 (33−nf ) ln( Λ Q QCD + (mw −m2jet )2 2 σm w + + (mw −m2jet′ )2 2 σm w (mw −m2jet )2 2 σm w ) 12 u トップ運動量のシミュレーション研究からΓtとαsを 得る。 ビームの広がりによる系統誤差が支配的なので、 系統誤差の見積もり u 各測定結果を合わせることで精度よくパラメーター の数値を求める。 u 13 14 √ √ τ x sσ= αs (Q2 ) = N0 −NB dσtt ϵL dPt 12π Q2 (33−nf ) ln( Λ QCD ) σtt ∝ (mt , Γt , yt , α Q:運動量 nf:フレーバー数 ΛQCDはαsが発散するエネルギースケール。摂動計算 はαsで展開するので、エネルギースケールがΛQCDより 充分大きいとαsが小さくなり、摂動計算が可能になる。 15 X=mw/mt f1L:Wと左巻き粒子の相互作用 f1R:Wと右巻き粒子の相互作用 f2L:新粒子と左巻き粒子の結合、SMで禁止された結合 f2R:新粒子と右巻き粒子の結合、SMで禁止された結合 SMではf1L=1、f1R=f2L=f2R=0 16 √ √ τ x sσ= χ26−Jet = N0 −NB dσtt ϵL dPt (mt −m3jet )2 2 σm t + √ σtt ∝ f ( s, mt , Γt , y (mt −m3jet′ )2 2 σm t + (mw −m2j 2 σm w (mt −mj+l+ν )2 (mt −m3jet )2 (mw −m 2 以下の式が最小になる組み合わせを同じ粒子由来としてみなす χ4−Jet = + + 2 2 2 σm σm σm t Yij = w t 2min(Ei ,Ej )(1−cosθij ) 2 Evis Ei,Ej:粒子i,jのエネルギー αs (Q2 ) = θij :粒子i,jの成す角 Evis :可視エネルギー 12π 2 (33−nf ) ln( Λ Q QCD ) 17 主な背景事象は以下の3つ q e− q Z* q Z e+ e− q h e q e− e+ q Z* W W q + e q q q 18