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要旨集PDF - 第 62回染色体学会年会

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要旨集PDF - 第 62回染色体学会年会
財団法人 染色体学会
第 62 回(2011 年度)年会
プログラム・要旨集
<会期>
2011 年 11 月 11 日(金)
・12 日(土)・13 日(日)
<会場>
神奈川大学湘南ひらつかキャンパス
神奈川県平塚市土屋 2946 TEL:0463-59-4111
平塚市中央公民館
平塚市追分1番 20 号 TEL:0463-34-2111
年 会 概 要
1.年会名称
財団法人 染色体学会第 62 回年会
2.会期
平成 23 年(2011 年)11 月 11 日(金)・12 日(土)・13 日(日)
3.会場
11 月 11 日・12 日:神奈川大学湘南ひらつかキャンパス
〒259-1293 神奈川県平塚市土屋 2946 TEL: 0463-59-4111
11 月 13 日:平塚市中央公民館
〒254-0047 平塚市追分 1 番 20 号 TEL: 0463-34-2111
4.年会準備委員
安積良隆(神奈川大学)
(年会長)
、内山 寛(日本大学)
、小野教夫(理化学研
究所)、菊池真司(千葉大学)
、金城康人(都立産業技術研究センター)
、久保田
宗一郎(東邦大学)
、木庭卓人(千葉大学)、田辺秀之(総合研究大学院大学)、
向井康比己(大阪教育大学)
相談役 池内達郎(染色体学会理事長)、福井希一(大阪大学大学院)
5.主催
財団法人 染色体学会
6.プログラム
学会賞受賞講演
市民公開講座
公開シンポジウム
一般講演(口頭発表・ポスター発表)
分科会
懇親会
7.学会関連行事
理事会・評議員会
総会
Chromosome Science 編集委員会
チャリティー学会特製カレンダー販売会
8.お問い合わせ先
〒259-1293 神奈川県平塚市土屋 2946
神奈川大学 理学部 生物科学科内
第 62 回染色体学会年会事務局
安積良隆
TEL:0463-59-4111 FAX: 0463-58-9684 E-mail:[email protected]
ー2ー
ご 挨 拶
財団法人 染色体学会第 62 回(2011 年度)年会にご参加頂き、誠に有難うござい
ます。今年、日本は東日本大震災という未曾有の大災害に見舞われました。被災され
た方々には心からお見舞い申し上げます。今年の年会は震災後、初めての年会になり
ます。本年会では参加者同士、互いの近況と研究成果を語らうことによって明日への
活力と研究意欲を養って頂きたいと考えております。私たち一人一人がより元気にな
ることが日本のより早い復興へ繋がるものと信じます。
本年会では、特別企画として市民公開講座「放射線を正しく怖がろう」(オーガナ
イザー:池内達郎、金城康人)と、復興支援のため売り上げの一部を寄付する学会特
製カレンダーのチャリティー販売会を開催します。会場となる神奈川大学も東日本大
震災には強い関心を持ち、「ボランティア駅伝」と称してボランティアを被災地に送
り続けるなど様々な復興支援活動を行っております。この共生による社会の発展を使
命とする神奈川大学のキャンパスにおいて全参加者が、「がんばろう日本!復活染色
体学会」を合言葉に、心を一つにして、日本の復興と染色体学会の今後の発展を誓い
たいと思います。
また、染色体研究の最近の展開とその社会への貢献をより多くの方々にご理解頂く
ため「染色体構造-形態と分子との対話-」(オーガナイザー:小野教夫、金城康人)
と「iPS 細胞がもたらす未来:染色体・体細胞リプログラミング技術の新展開」
(オー
ガナイザー:多田政子、田辺秀之)の 2 つの公開シンポジウムを企画しました。ご出
席頂いた皆様には、これらのシンポジウムを含め、各講演におきまして活発な議論を
展開されて、盛況な年会にして頂ければと思います。よろしくお願い致します。
財団法人染色体学会第 62 回年会
年会長 安積良隆
第 62 回(2011 年度)年会準備委員会
◆準備委員
安積良隆(神奈川大学・理学部) 内山 寛(日本大学・生物資源科学部)
小野教夫(理化学研究所・基幹研究所) 菊池真司(千葉大学・大学院園芸学研究科)
金城康人(都立産業技術研究センター・バイオ応用技術グループ)
久保田 宗一郎(東邦大学・理学部) 木庭卓人(千葉大学・大学院園芸学研究科)
田辺秀之(総合研究大学院大学・先導科学研究科)
向井康比己(大阪教育大学・教養学科)
◆相談役
池内達郎(財団法人染色体学会理事長) 福井希一(大阪大学・大学院工学研究科)
ー3ー
神奈川大学湘南ひらつかキャンパスの会場案内図
神奈川大学校舎前バス停付近の校
舎の配置図です。
A 会場
受付
A 会場
(11 号館 1 階サーカムホール)
B 会場
⇒学会賞受賞講演、シンポジウム講
演、口頭発表
A 会場前ロビー⇒受付、ポスター発
C,D 会場
表、展示会、学会カレンダー販売
B 会場(11 号館 2 階第2会議室)⇒
E 会場
クローク、休憩室
C 会場(1 号館 2 階 1-202 講義室)
⇒分科会
D 会場(1 号館 2 階 1-203 講義室)
⇒分科会
E 会場
(10 号館 1 階 10-101 演習室)
⇒ 理 事 会 ・ 評 議 委 員 会 ・
Chromosome Science 編集委員会
F 会場
F 会場(厚生棟 2 階第 2 食堂)⇒
懇親会
10 号館
厚生棟
↓入口
F 会場(第 2 食堂)
E 会場(10-101 演習室)
←入口
1階
2階
1階
ー4ー
11 号館
B 会場(第 2 会議室)
2階
A 会場
(サーカムホール)
1階
受付
←入口→
1 号館
D 会場(1-203 講義室)
C 会場(1-202 講義室)
2階
1階
←入口
ー5ー
年会参加者へのご案内
1.参加受付
参加受付は 11 月 11 日(金)は正午 12 時より午後 5 時 30 分まで、12 日(土)は午前 8 時 30
分より午後 5 時 30 分まで、11 号館 1 階サーカムホール入口にて、13 日(日)は午前 9 時 15 分
より午後 3 時まで平塚市中央公民館 4 階小ホール入口にて受け付けます。
事前登録されている方は参加章(名札)をお受け取り下さい。
事前参加登録されていない方は、下記の通り当日参加費をお支払いの上、参加賞をお受け
取り下さい。
受付にて参加費・懇親会費・お弁当・記念写真代の領収書をお渡ししますので、お受け取
り下さい。
当日受付で懇親会のみ参加の場合は、サーカムホール入口か、懇親会入り口の受付で懇親
会費をお支払い下さい。
参加の種別
年会参加費
懇親会費
染色体学会員
12,000 円
6,000 円
学部生・大学院生
0円
3,000 円
非会員 3 日間参加
12,000 円
6,000 円
非会員 2 日間参加
8,000 円
6,000 円
非会員 1 日間参加
5,000 円
6,000 円
記念写真代
1,000 円
注意:公開シンポジウム・公開市民講座への参加は無料です。
お荷物は 11 号館 2 階の第 2 会議室にて下表の時間帯にお預かりします。大きな荷物のみお
預かりします。貴重品や貴重品が入っているお荷物はお預かりできません。
お預かりする時間帯
11 月 11 日(金)
12 時~18 時
11 月 12 日(土)
8 時 45 分~18 時
2.会場
11 月 11 日(金)と 12 日(土)は神奈川大学湘南ひらつかキャンパスにて開催します。
受付:11 号館 1 階サーカムホール前ロビー
学会賞受賞講演:A 会場(11 号館 1 階サーカムホール)
公開シンポジウム1:A 会場
一般講演口頭発表:A 会場
一般講演ポスター発表:A 会場前ロビー
ー6ー
展示会:A 会場前ロビー
分科会:C 会場(1 号館 2 階 1-202 講義室)
、D 会場(1 号館 2 階 1-203 講義室)
懇親会:F 会場(厚生棟 2 階の第 2 食堂)
理事会:E 会場(10 号館 1 階 10-101 演習室)
評議委員会:E 会場
Chromosome Science 編集委員会:E 会場
休憩室:B 会場(11 号館 2 階第2会議室)
チャリティー学会特製カレンダー販売会:A 会場前ロビー
11 月 13 日(日)は平塚市中央公民館にて開催致します。
受付:4階小ホール前のロビー
公開シンポジウム2:4階小ホール
市民公開講座:4階小ホール
総会:4階小ホール
パネル展示:4階小ホール前のロビー
チャリティー学会特製カレンダー販売会:
4階小ホール前のロビー
控室:4A 会議室
平塚市中央公民会 4 階見取り図
3.記念写真撮影
11 月 12 日(土)の午前の口頭発表終了後、10 時 45 分から 11 号館前で撮影致します。お
申し込み頂いた方には後日、記念写真を郵送致します。また、染色体学会ホームページにも
掲載致します。
4.会場への交通のご案内
・神奈川大学湘南ひらつかキャンパス
JR 東海道線平塚駅からバス利用の場合 (380 円)
【平 37・38 系統】37 系統は約 45 分、38 系統は約 35 分かかります。
平塚駅北口の神奈川中央交通バス 11 番乗り場(午後 1 時まで)あるいは 1 番乗り場(午
後 1 時以降)から神奈川大学校舎前行きに乗車されて、神奈川大学校舎前で下車して下
さい。
【平 76 系統】 神奈川大学校舎前には停車しません。神奈川大学正門前で下車して少し
歩くことになります。
平塚駅北口の神奈川中央交通バス 2 番乗り場から中沢橋経由秦野南口行きに乗車されて、
神奈川大学前で下車して下さい。
小田急小田原線秦野駅からバス利用の場合(280 円)
【秦 38・39 系統】
ー7ー
秦野駅北口の神奈川中央交通バス 1 番乗り場から神奈川大学校舎前行きに乗車されて、
神奈川大学校舎前で下車して下さい(約 25 分)
11日と12日の夜には、湘南ひらつかキャンパス発、平塚駅行きの学会専用バスを手配す
る予定です。ホームページあるいは会場にて、ご確認下さい。
タクシーをご利用の場合
平塚駅からですと昼間で 4130 円ぐらいになります。
秦野駅からですと昼間で 2690 円ぐらいになります。
車でご来校の場合は、必ず正門警備室にて入校許可証をお受け取り下さい。
・平塚市中央公民館
JR 東海道線平塚駅西口から徒歩、約 10 分です。
(郵便局を目指して、歩かれれば簡単に辿り着けます。
)
バスをご利用の場合は、平塚駅北口の神奈川中央交通バス 4 番乗り場から平 62、平 63、平
65、平 68、平 86、平 97 系統のバスに乗車されて、江陽中学校前にて下車して下さい。
5.お食事のご案内
湘南ひらつかキャンパスの食堂の営業時間は午前 11 時から午後 2 時までで、夕食の時間帯は営
業しておりません。構内の購買(コンビニ)は、11 日(金)は午後 6 時45分まで、12 日(土)
は午後3時まで営業しています。構外では、正門のすぐ前に 24 時間営業のコンビニがあり、15
分程度歩いたところにガスト、なか卯、蕎麦屋(別紙参照)などがあります。
平塚市中央公民館は繁華街に近いので、近くの飲食店で食事をとることができます。平塚駅周
辺の飲食店のマップ(別紙)をご覧ください。
ご予約されたお弁当は、11 日夕食分と 12 日昼食分は湘南ひらつかキャンパス 11 号館前にて、
13 日昼食分は平塚市中央公民館 4 階小ホール前にてお渡しします。
ー8ー
講演者へのご案内
1.一般発表者へのご案内
一般講演には口頭発表とポスター発表の 2 つの形式があります。口頭発表・ポスター発表
ともに発表者は財団法人染色体学会の会員に限ります。発表予定者で入会を済まされていな
い方は、年会参加前に染色体学会入会の手続きをお願い致します。
1)一般講演口頭発表:一般講演の口頭発表の時間は一人 12 分間(発表時間 10 分、質疑応
答 2 分)です。Windows のパソコンを用意しますので、パワーポイントファイルを CD ある
いは USB メモリでお持ち下さい。受付会場にて動作確認を行います。Mac をご使用の方は
ノートパソコンをお持ち下さい。
2)ポスター発表:ポスターの展示期間は 11 月 11 日(金)12 時~12 日(土)18 時です。発表時
間帯は 12 日 10 時 45 分~12 時です。ポスターの大きさは縦 120cm 幅 80cm 以内にして下さ
い。ポスター番号は掲示板に記載し、枠外になります。
2.分科会での発表者へのご案内
一般口頭発表と同様に、発表のデータファイルをご準備頂くか、ノートパソコンをご持参下さ
い。発表時間は、オーガナイザーのご指示に従って下さい。
3.シンポジウム・市民公開講座の講演者へのご案内
一般口頭発表と同様に、発表のデータファイルをご準備下さい。各先生の発表時間は、シンポ
ジウム、公開講座のオーガナイザーのご指示に従って下さい。
4.Chromosome Science 掲載用英文抄録原稿の作成・提出について
学会賞受賞講演、一般口頭・ポスター発表、シンポジウム、公開講座の講演者は年会ホー
ムページ(http://www.sch2011.com/)より英文要旨記入用ファイルをダウンロードし、ファ
イル中の見本に従って要旨を作成して下さい。全ての英文要旨のフォーマットは同じです。
記入された英文要旨原稿は、2011 年度年会事務局の e-mail アドレス(chromosome-2011@
kanagawa-u.ac.jp)宛に電子メールの添付ファイルとしてお送りください。
ー9ー
第62回年会日程表
11月11日(金)
11月12日(土)
11月13日(日)
神奈川大学湘南ひらつかキャンパス
神奈川大学湘南ひらつかキャンパス
平塚市中央公民館
8:30
受付開始 8:30~
11号館サーカムホールロビー
9:00
口頭発表3 9:00~10:30
9:30
11号館サーカムホール
7題(O-17~O-23)
10:00
中央公民館4F 小ホール
「iPS 細胞がも たら す未来:染色
写真撮影11号館前10:30~10:45 体・体細胞リプログラミング技術
の新展開」
ポスター発表 10:45~12:00
10:30
11:00
11号館サーカムホールロビー
12題(P-1~P-12)
11:30
12:00 受付開始 12:00~
11号館サーカムホールロビー
編集委員会 12:00~13:00
講演者:多田政子、梅澤明弘、佐々木え
りか、房木ノエミ、押村光雄
オーガナイザー:多田政子、田辺秀之
10号館10-101演習室
12:30
総会 12:30~13:30
中央公民館4F 小ホール
13:00 口頭発表1 13:00~15:00
学会賞受賞講演 13:10~13:55
11号館サーカムホール
10題(O-01~O-10)
11号館サーカムホール
「哺乳類および鳥類における性染色体
と性決定機構の進化研究」黒岩麻里
13:30
受付開始 9:15~
公開シンポジウム2 9:30~12:30
14:00
公開シンポジウム1
14:00~17:30
14:30
市民公開講座14:00~16:45
中央公民館4F 小ホール
「放射線を正しく怖がろう」
「染色体構造̶形態と分子との
講演者:児玉喜明、吉田光明、数藤由美
対話̶」
11号館サーカムホール
15:00 休憩 15:00~15:10
口頭発表2 15:10~16:30
15:30 11号館サーカムホール
6題(O-11~O-16)
子、島田義也、田中公夫
講演者:松田洋一、高木昌俊、中山潤
一、牛木辰男、大山隆、白髭克彦
オーガナイザー:池内達郎、金城康人
16:00
オーガナイザー:小野教夫、金城康人
16:30 評議員会 16:30~17:15
10号館10-101演習室
17:00
理事会 17:15~18:00
17:30 10号館10-101演習室
18:00 分科会1,2 18:00~19:00
1号館2階1-202,203講義室
懇親会 18:00~20:00
厚生棟2階 第2食堂
18:30 1.技術講座3.「3D-FISH」
2.よろずコーナー
19:00 分科会3,4 19:00~20:00
1号館2階1-202,203講義室
19:30 3.学生研究発表会
4.シニア研究者のお知恵拝借
20:00
学会専用バス発車時刻 20:30 学会専用バス発車時刻 20:30
・チャリティー学会特製カレンダー販売は、11日と12日は神奈川大学湘南ひらつかキャンパスにて、
13日は平塚市中央公民館にて行います。
・iPS細胞に関するパネル展示を平塚市中央公民館にて9:30より14:00まで行います。
ー 10 ー
プログラム
第 1 日目
11 月 11 日(金)
神奈川大学湘南ひらつかキャンパス
12:00~
受付開始 11 号館 1 階サーカムホールロビー
13:00~15:00
口頭発表1 11 号館 1 階サーカムホール(A 会場)
座長(O-01~O-03):鶴崎展巨(鳥取大学)
O-01 「シンジュサンにおける染色体の同定と性染色体進化の解明」
吉戸敦生 1、安河内祐二 2、○佐原 健 1
1
北大大学院・農学研究院、2 生物資源研・昆虫ゲノム
O-02
「ササグモにおける 5S rDNA とヒストン遺伝子の分子進化」
○鈴木 岳、久保田宗一郎
東邦大学・理学部
O-03
「メクラウナギ目における偽 5S rDNA 反復配列の分子進化学的解析」
○松田真生子、吉本純子、佐々木隆史、高野淳一朗、山口 徹、藤川典子、
河野晴一、久保田宗一郎
東邦大学・理学部
座長(O-04~O-06):三浦郁夫(広島大学)
O-04 「ヴィクトリア湖産シクリッドのもつ B 染色体の性決定における機能獲得」
○吉田恒太1、寺井洋平1、溝入真治1、相原光人1、渡邉正勝1、西原秀典1、
黒岩麻里2、平井啓久3、平井百合子3、松田洋一4、 岡田典弘1
1
東工大・院生命理工学研究科、2北大・院理学研究院、3京大・霊長類研究所、
4
名大・院生命農学研究科
O-05
「スズキ目フエダイ科魚類ロクセンフエダイにおける X1X1X2X2/X1X2Y 型複合
性染色体分化」
○高井明徳 1、上野紘一 2
1
大阪信愛女学院短期大学、2 近畿大学・農学部
ー 11 ー
O-06 「無尾両生類における性染色体の起源とその進化に関する分子細胞遺伝学的研
究」
○宇野好宣 1、西田千鶴子 2、高木知世 3、井川 武 4、上野直人 3,5 、住田正幸 4、
松田洋一 1
1
名古屋大・院生命農学・動物遺伝制御、2 北海道大・院理・生物科学、3 基生
研・形態形成、4 広島大・理・両生類研、5 総研大・生命科学
座長(O-07~O-10):久保田宗一郎(東邦大学)
O-07 「生殖腺の性分化決定機構の進化-性ホルモン依存から非依存へ ‒ 」
○三浦郁夫 1、小泉雄紀 1、大谷浩己 1、尾形光昭 2
1
広島大・院理・両生類、2横浜市繁殖センター
O-08
「XY 型の性染色体を持つカメ類の性染色体の起源と分化過程の推定」
○川越大輝 1,2、西田千鶴子 3、松田洋一 1
1
名古屋大・院生命農学・動物遺伝制御、2 北海道大・院生命科学・生命シス
テム科学、3 北海道大・院理・生物科学
O-09
「鳥類における性染色体の分化と進化に関する分子細胞遺伝学的研究」
○高張剛太 1、西田千鶴子 2、松田洋一 1
1
名古屋大・院生命農学・動物遺伝制御、2 北海道大・院理・生物科学
O-10 「新世界ウズラの動原体へテロクロマチンを構成する反復配列の単離と分子細
胞遺伝学的解析」
○石下 聡 1、澁澤麻実 1、中村篤史 2、西田千鶴子 3、松田洋一 1
1
名古屋大・院生命農学・動物遺伝制御、2 北海道大・院生命科学・生命シス
テム科学、3 北海道大・院理・生物科学
15:00~15:10
休憩
15:10~16:30
口頭発表2 11 号館 1 階サーカムホール(A 会場)
座長(O-11~O-13):内山 寛(日本大学)
O-11 「単細胞鞭毛藻ミドリムシ(Euglena gracilis)における核分裂と染色体像の
特徴」
○澁澤麻実 1、後藤 健 2、松田洋一 1、渡辺正勝 3
1
名古屋大・院生命農学・動物遺伝制御、2 帯畜大・環境生態、3 光産業創成大・
光バイオ
ー 12 ー
O-12
「バイオ燃料植物ジャトロファの開花遺伝子の解析」
○牧ヶ野(井本)衣里 1、松永幸大 2、佐藤修正 3、田畑哲之 3、福井希一 4、近江
戸伸子 1
1
神戸大学大学院・人間発達環境学研究科、2 東京理科大学・理工学部応用生
物科学科、3 かずさ DNA 研究所、4 大阪大学大学院・工学研究科
O-13
「イネ動原体におけるユークロマティックなヒストン修飾」
Wu Y.1, ○Kikuchi S.1, Yan H.1, Zhang W.1, Rosenbaum H.2, Iniguez L.2,
Jiang J.1
1Department
of Horticulture, University of Wisconsin-Madison, 2Roche
NimbleGen Inc.
座長(O-14~O-16):近江戸伸子(神戸大学)
O-14 「ネギ動原体特異的ヒストン H3 と動原体 DNA の単離」
○長岐清孝1、山本真紀 2、向井康比己 3、村田 稔1
1
岡山大・資源植物科学研究所、2関西福祉科学大・健康福祉学部、3大阪教育
大・教養学科
O-15
「シロイヌナズナ環状ミニ染色体の構造と安定性」
横田悦子 1,2、柴田 洋 1、長岐清孝 1、○村田 稔 1
1
岡山大・資源植物科学研究所、2 岡山大・自然科学研究科
O-16
「キヌガサソウの染色体組成と種形成に関する研究」
○福田一郎
東京女子大学・アジア生態進化研
16:30~17:15
評議員会 10 号館 1 階 10-101 演習室(E 会場)
17:15~18:00
理事会 10 号館 1 階 10-101 演習室(E 会場)
17:30~
夕食のお弁当をご予約された方には 11 号館前にてお渡し致します。
18:00~19:00
分科会1 1 号館 2 階 1-202 講義室(C 会場) 進行役:菊池真司(千葉大学)
技術講座3.「3D-FISH」
ー 13 ー
若生俊行
農業生物資源研究所・主任研究員
分科会2 1 号館 2 階 1-203 講義室(D 会場) 進行役:鈴木 剛(大阪教育大学)
よろずコーナー~リサーチサロン~
「インドの染色体研究の現状」
M.S. Bisht
North-Eastern Hill University, India, 教授
「ACC5 への招待」*ビデオ講演
H.K. Chaudhary
CSK HP Agricultural University, India, 教授
19:00~20:00
分科会3 1 号館 2 階 202 講義室(C 会場) 進行役:菊池真司(千葉大学)
学生研究発表会
「ムギ類とパールミレットの雑種胚細胞内部での CENH3 の挙動」
石井孝佳 鳥取大学乾燥地研究センター
「三倍体ビワ「希房」の不完全な不棯性についての細胞遺伝学的研究」
小堀亜弥 千葉大学園芸学部
分科会4 1 号館 2 階 203 講義室(D 会場) 進行役:向井康比己(大阪教育大学)
シニア研究者のお知恵拝借
「エンレイソウ染色体研究50年」
福田一郎
東京女子大名誉教授
20:30
学会専用バス(神奈川大学湘南ひらつかキャンパス発・平塚駅行き)発車
2 日目
11 月 12 日(土)
神奈川大学湘南ひらつかキャンパス
8:30~
受付開始 11 号館 1 階サーカムホールロビー
9:00~10:30
口頭発表3
11 号館 1 階サーカムホール(A 会場)
座長(O-17~O-20):佐藤 均(東京大学)
O-17 「げっ歯類の種間雑種に見られる不妊現象の遺伝的制御機構に関する研究」
○坪井一真、石下 聡、松田洋一
名古屋大・院生命農学・動物遺伝制御
ー 14 ー
O-18
「XO 型トゲネズミにおける元 Y 連鎖遺伝子の網羅的解析」
○高本美智 1、村田知慧 2、黒木陽子 3、山田文雄 4、河内紀浩 5、阿部愼太郎 6、
黒岩麻里 1,7
1
北大・生命科学、2 徳大・HBS、3 理研・RCAI、4 森林総研、5 八千代エンジニヤ
リング、6 環境省・那覇、7 北大・理
O-19
「マウスの脾臓リンパ球染色体異常頻度を指標とした低線量率域の線量率効
果」
香田 淳 1、○田中公夫 1、一戸一晃1、佐藤健一 2
1
(財)環境研・生物、2 広島大・原医研・計量生物
O-20
「ATR-X 症候群患者由来細胞核における染色体テリトリーの核内配置解析」
○田辺秀之 1、和田敬仁 2
1
総研大・先導科学、2 神奈川県立こども医療センター・神経内科
座長(O-20~O-23):長岐清孝(岡山大学)
O-21 「チンパンジーにあってヒトにない染色体端部ゲノム不毛地帯:存在様式変異
から推測される非相同染色体間末端組換え」
○平井啓久 1、平井百合子 1、古賀章彦 1、鵜殿俊史 2
1
京大・霊長研、2 京大・熊本サンクチュアリ
O-22 「FIB/SEM を用いたヒト染色体スキャフォールドタンパク質の三次元局在解析」
○濱野 徹 1、森井健一 1、Lee Mei Hann1、林 麟晏2、Christian THOMAS3, Andreas
SCHERTEL3、Peter GNAUK3、内山 進 1、福井希一 1
1
大阪大・工・生命先端、2 大阪大・超高圧電子顕微鏡センター、3Carl Zeiss NTS
GmbH
O-23
「コンデンシンⅡは複製された姉妹染色分体を S 期のうちに分割する」
○小野教夫、平野達也
理研・ASI・平野染色体ダイナミクス
10:30~10:45
記念写真撮影 11 号館前
10:45~12:00
ポスター発表 11 号館 1 階サーカムホールロビー
ー 15 ー
P-01
「染色体体倍加がシロイヌナズナ根端成長に及ぼす影響の解析」
○岩元明敏 1、近藤衣里 1、杉山宗隆 2
1
東京学芸大・教育学部、2 東京大・院・理・植物園
P-02
「新規複 2 倍体の Brassica napus の形質不安定性と染色体挙動」
○近江戸伸子 1、藤井宏栄 2
1
神戸大学大学院・人間発達環境学研究科、2 山口県農林総合技術センター農
業技術部
P-03
「日本産スミレ属の核型」
○寺岡亜沙美、岩坪美兼、大野美波
富山大・院・理工学教育部
P-04
「滋賀県におけるアカサビザトウムシの染色体数と色斑の地理的分化」
○鶴崎展巨、岸田 薫
鳥取大・地域・生物
P-05
「ヴィクトリア湖産シクリッドにおける B 染色体上の配列とその構成の解析」
○鈴木 南 1、寺井洋平 1、吉田恒太 1、黒岩麻里 2、岡田典弘 1
1
東京工業大・生命理工学部、 2 北海道大・理学部
P-06
「円口類における縦列型反復配列 Sr1 の分子細胞遺伝学的解析」
○鈴木久美子、石橋 剛、山口 徹、齋藤雄大、西川江里奈、藤川典子、
河野晴一、久保田宗一郎
東邦大学・理学部
P-07
「凍結乾燥精子の高温耐性獲得と染色体異常の誘発抑制」
○日下部博一、立野裕幸
旭川医大・生物
P-08
「樹立幹細胞株の染色体に関する一考察」
○佐藤 均 1、横見 出 2,3
1
東大・院・新領域・メディカルゲノム専攻病態医療科学分野、2 聖マリアン
ナ医大・薬理学、3(株)アニマルケア
P-09
「Spatial and functional relationships between Ki-67 antigen and
condensins」
○Yuko Nishiyama1, 2, Masatoshi Takagi1, Takao Ono1, Tatsuya Hirano1, Naoko
ー 16 ー
Imamoto1, 2
1
Riken Advanced Science Institute, 2Yokohama City Univ.
P-10
「染色体タンパク質 RBMX 相互作用機構の解析」
○阪下有沙 1、水澤絵里 1、内山 進 1、松永幸大 2、福井希一 1
1
大阪大・工・生命先端、2 東京理科大・理工・応用生物
P-11
「ヒト異常核型を分析するための学習ソフトウェア開発」
○関澤浩一 1、加藤誠久 1、黒澤健司 2、田辺秀之 3、岸 邦和 1
1
杏林大学・保健学部、2 神奈川県立こども医療センター・遺伝科、
3
総合研究大学院大学・先導科学研究科
P-12
「RNAi 法を用いた染色体タンパク質 HP1-BP74 の機能解析」
○内山 進、和田洋輔、林原加代子、黒木宏高、松永幸大、福井希一
大阪大学 工学研究科 生命先端工学専攻
12:00~13:00
編集員会 10 号館 10-101 演習室(E 会場)
昼食のお弁当をご予約された方には 11 号館前にてお渡し致します。
13:10~13:55
学会賞受賞講演 11 号館 1 階サーカムホール(A 会場)
「哺乳類および鳥類における性染色体と性決定機構の進化研究」
黒岩麻里
北海道大学・理学院・動物染色体
14:00~17:30
公開シンポジウム1 11 号館 1 階サーカムホール(A 会場)
「染色体構造-形態と分子との対話-」
オーガナイザー:
小野教夫(理化学研究所 基幹研究所)
金城康人(都立産業技術研究センター バイオ応用技術グループ)
S1-01
「核型進化が語るもの-マイクロ染色体とゲノム構造の区画化-」
松田洋一
名古屋大学大学院 生命農学研究科
ー 17 ー
S1-02
「Ki67 抗原は分裂期染色体の表層で何をしているのか」
高木昌俊
理化学研究所 基幹研究所
S1-03
「高次クロマチン構造の形成と維持の分子機構」
中山潤一
理化学研究所 発生・再生科学研究センター
S1-04 「形態学から見た染色体の高次構造 -走査電子顕微鏡と走査プローブ顕微鏡
によるアプローチから-」
牛木辰男
新潟大学 医学部
S1-05
「ゲノム収納の原理と染色体構造」
大山 隆
早稲田大学 教育・総合科学学術院
S1-06
「Hdac8 欠損型コヒーシン病に見られるコヒーシン代謝異常
-コヒーシンアセチル化制御とその意義-」
白髭克彦
東京大学 分子細胞生物学研究所
17:30~18:00
ポスター撤去
18:00~20:00
懇親会 厚生棟 2 階第 2 食堂(F 会場)
20:30
学会専用バス(神奈川大学湘南ひらつかキャンパス発・平塚駅行き)発車
3 日目
9:15~
受付開始
11 月 13 日(日)
平塚市中央公民館
平塚市中央公民館 4 階
小ホールロビー
ー 18 ー
9:30~12:30
公開シンポジウム2 平塚市中央公民館 4 階 小ホール
「iPS 細胞がもたらす未来:染色体・体細胞リプログラミング技術の新展開」
オーガナイザー:
多田政子(鳥取大学
染色体工学研究センター)
田辺秀之(総合研究大学院大学
S2-01
先導科学研究科)
「ヒトiPS細胞と産業応用を目指した染色体加工」
多田政子
鳥取大学
S2-02
染色体工学研究センター
「ヒトiPS細胞と再生医療」
梅澤明弘
国立成育医療センター
S2-03
再生医療センター
「霊長類iPS細胞株樹立と染色体安定性」
佐々木えりか
公益財団法人
S2-04
実験動物中央研究所
応用発生学研究部
「センダイウイルスを用いた染色体を傷つけない安全なiPS細胞の作製」
房木ノエミ
ディナベック株式会社・JSTさきがけ
S2-05
「ヒト人工染色体を用いた安全な治療用iPS細胞の作製を目指して」
押村光雄
鳥取大学大学院
医学系研究科
12:30~
お弁当をご予約された方には4階小ホールロビーにてお弁当をお渡し致します。
12:30~13:30
総会
平塚市中央公民館4階
小ホール
ー 19 ー
14:00~16:45
市民公開講座
平塚市中央公民館4階
小ホール
「放射線を正しく怖がろう」
オーガナイザー:
池内達郎(染色体学会 理事長)
金城康人(都立産業技術研究センター
開会のご挨拶
中島三千男
神奈川大学
L-01
学長
「原爆被爆者の染色体異常」
児玉喜明
放射線影響研究所
L-02
遺伝学部
「放射線と染色体異常、線量評価の観点から」
吉田光明
弘前大学
L-03
被ばく医療総合研究所
「被ばく事故調査における染色体分析」
数藤由美子
放射線医学総合研究所
L-04
緊急被ばく医療研究センター
「放射線の人体影響、線量と被ばく時年齢について考える」
島田義也
放射線医学総合研究所
L-05
バイオ応用技術グループ)
発達期被ばく影響研究グループ
「福島原子力発電所事故後の環境放射線量と健康影響」
田中公夫
環境科学技術研究所
生物影響研究部
閉会のご挨拶
池内達郎(染色体学会 理事長)
金城康人(都立産業技術研究センター
ー 20 ー
バイオ応用技術グループ)
学会賞受賞講演
日時: 2011 年 11 月 12 日(土)午後1時 10 分~1時 55 分
場所: 神奈川大学湘南ひらつかキャンパス 11 号館 1 階サーカムホール(A 会場)
哺乳類および鳥類における性染色体と性決定機構の進化研究
○黒岩麻里 北海道大学 理学院 動物染色体
哺乳類は XX/XY 型の性染色体をもつ。性染色体は元々、一対の常染色体であった。しかし、組換え
の抑制に伴い、有害配列の蓄積と欠失によるそれらの除去が繰り返され、長い進化の年月を経て、X
と Y 染色体間で高度な分化が生じた。Y 染色体には、哺乳類の性決定遺伝子とよばれる SRY 遺伝子が
存在する。SRY 遺伝子は、未分化生殖腺において発現することにより精巣分化を導く。また、Y 染色
体には SRY 遺伝子以外にも、精巣形成や精子形成など、オスに必須な機能を担う遺伝子が獲得されて
いる。私は、哺乳類の性染色体進化に強い興味を抱き、哺乳類でありながら Y 染色体をもたず、SRY
遺伝子も消失してしまったトゲネズミ属を研究対象として、トゲネズミ属における Y 染色体消失や性
決定遺伝子の進化過程について調べてきた。
鳥類も、哺乳類と同様に高度に分化した性染色体をもつが、哺乳類と異なり、メスへテロの ZZ/ZW
型の性染色体をもつ。よって古くから、遺伝的に性が決定されることは知られているが、性決定機構
については未解明な部分が多く残されている。私は鳥類の性決定機構とその進化過程の解明をめざし、
ニワトリ初期胚を用いた研究も行っている。本講演では、研究背景と最近の研究成果についての概要
をお話ししたい。
ー 22 ー
市民公開講座
放射線を正しく怖がろう
日時: 2011 年 11 月 13 日(日)
午後 2 時 00 分~ 5 時 00 分 場所: 平塚市中央公民館 4 階小ホール
オーガナイザー:
池内達郎(染色体学会 理事長)
金城康人(都立産業技術研究センター バイオ応用技術グループ)
開会のご挨拶
中島 三千男(神奈川大学 学長)
講演
L-01. 原爆被爆者の染色体異常
児玉喜明(放射線影響研究所 遺伝学部)
L-02.放射線と染色体異常、線量評価の観点から
吉田光明(弘前大学 被ばく医療総合研究所)
L-03.被ばく事故調査における染色体分析
数藤由美子(放射線医学総合研究所 緊急被ばく医療研究センター)
L-04. 放射線の人体影響、線量と被ばく時年齢について考える
島田義也(放射線医学総合研究所 発達期被ばく影響研究グループ)
L-05.福島原子力発電所事故後の環境放射線量と健康影響
田中公夫(環境科学技術研究所 生物影響研究部)
閉会のご挨拶
池内達郎、金城康人
L-01
原爆被爆者の染色体異常
○児玉喜明
放射線影響研究所 遺伝学部
血液細胞における染色体異常頻度は放射線被曝の程度を知る有効な生物学的指標としてよく知られ
ている。原爆放射線による人体への影響を調べるため、放射線影響研究所(放影研)では 1960 年代
後半から原爆被爆者のリンパ球を用いた染色体調査を行ってきた。しかし、調査が開始された時点で
すでに被爆後 20 年以上を経過していたため、二動原体染色体 (dic) や環染色体 (r) といった検出の容
易な不安定型染色体異常はすでに失われており、原爆被爆者の調査には利用できなかった。結局、長
時間体内に残るが、ギムザ染色法では検出にかなりの熟練を要する、転座や逆位などの安定型染色体
異常による線量評価が行われた。3,000 名以上の被爆者に対する調査の結果、安定型染色体異常をも
つ細胞の頻度は被曝線量の増加に伴い増加することが明らかになった。この調査は、その後 1980 年
代に開発された FISH 法による調査に引き継がれている。
一方、原爆放射線の遺伝的影響は放影研のこれまでの調査では認められていない。この調査の中に
は染色体検査も含まれており、その結果も含め、原爆被爆者および被爆二世における染色体調査につ
いてこれまで明らかになっていることを紹介したい。
ー 24 ー
L-02
放射線と染色体異常、線量評価の観点から
○吉田光明
弘前大学 被ばく医療総合研究所
放射線被ばく事故における被ばく者の被ばく線量を推定する事は、障害の程度を予測し、治療や障
害予防に役立てる 上で極めて重要とされている。線量評価には機器による計測や事故の状況を再現し
て評価する物理学的方法や被ばく者の臨床症状や血球数を算定する手法、末梢血リンパ球における染
色体異常を解析する生物学的評価法が有る。生物学的線量評価法の中でも特に染色体異常、とりわけ
二動原体染色体 (dic : dicentric chromosome) の出現頻度を指標とした線量評価法は ”Gold Standard”
と呼ばれ、現在、最も信頼度が高い手法とされている。染色体解析による線量評価法は解析の対象と
する異常 ( 二動原体染色体、染色体転座、環状染色体 ) によって主に 3 種類の手法が有る。二動原体
染色体を用いた手法は急性外部被ばく ( 全身被ばく ) の線量評価に、また、染色体転座は過去の被ば
く事例あるいは長期間にわたる慢性被ばくの場合の線量推定に用いられている。また、致死量を超え
る高線量被ばくの場合には染色体異常を観察する事が困難になることから化学物質を用いて核 DNA を
強制的に凝縮させ、環状染色体を対象として線量評価を行う方法を用いる。被ばく者の線量評価を正
確に行うためには被ばく事故の状況や被ばく者の臨床症状を的確に判断し、どの手法を用いて線量評
価を用いるかを考えていかなければならない。
ー 25 ー
L-03
被ばく事故調査における染色体分析
○数藤由美子
放射線医学研究所 緊急被ばく医療研究センター
放射線(電離放射線)が生体にとって危険だと言われる一つの理由は、遺伝物質の本体である DNA
に傷を与える作用があるからです。強い放射線に当たると、DNA が折りたたまれた染色体の構造に異
常を生じさせます。当たった線量と生成された染色体構造異常の頻度との間に一定の特徴的な線量効
果関係があることを利用して、被ばく線量の推定に使われます。私が従事する緊急被ばく医療施設に
おいても、染色体分析に基づく線量評価が、被ばく事故時などで重要な役割を果たしています。
原子力施設で事故が起こって放射線や放射性物質が放出されたり、放射線業務で誤った作業を行っ
たりなどで、被ばく者が発生すると、緊急被ばく医療が必要になります。被ばく患者には急性障害が
現れます。前駆期、潜伏期、発症期、回復期(あるいは重症化)をたどるのですが、被ばく線量が高
いほど症状は早く現れ、重くなります。重症化が予測される場合は、骨髄移植をはじめとする医療体
制の準備をしなければなりません。緊急時には、適切な医療措置のため、事故後のできるだけ早い段
階で被ばく線量を推定し、患者の重症度の予測に基づく振り分け(トリアージ)と治療計画の立案が
急務となります。
患者ひとりひとりの被ばく線量は、臨床症状とその発現時期からある程度推定できますが、個人差
があり、症状が現れるまでに時間がかかることがあります。また、誰もが常に個人線量計を身に着け
ているわけではないので、それによる線量推定は困難なことがあります。そこで、被ばくによる身体
への生物学的効果をもとに放射線量を推定することになります。これを生物線量測定法(バイオドシ
メトリ)と呼びます。放射線により切断され誤って2個の染色体が融合した二動原体染色体の生成頻
度を指標とした方法が、代表的なバイオドシメトリです。二動原体染色体の出現頻度と被ばく線量と
の間に成立する特徴的な関係式にもとづき、あらかじめ実験による検量曲線を作製しておきます。そ
して被ばく事故患者の染色体異常頻度を調べてこの曲線に当てはめ、線量を推定します。
実は日常生活でもわずかながら自然環境や医療で被ばくしています。放射線以外の変異原により誘
発されたものも 1000-2000 細胞に 1 個は存在します。身近な例で言うと、喫煙によっても染色体異
常が生じることが知られています。したがって、異常染色体の頻度から統計的に信頼できる推定線量
値を引き出すには、被ばく線量が低いほどたくさんの細胞を調べる必要があります。現在では自動検
出機器も開発され、高速で分析を進めることができるようになっています。
ここでは緊急被ばくにおける線量評価の立場から、私たちの施設で行っている染色体分析の実際と
過去の被ばく事故例を紹介します。
ー 26 ー
L-04
放射線の人体影響、線量と被ばく時年齢について考える
○島田義也、西村まゆみ、石田有香、高畠貴志、尚奕、柿沼志津子
放射線医学総合研究所 発達期被ばく影響研究グループ
放射線による影響で関心が高いのは、妊婦(胎児)
、こどもの被ばくである。生物学的に胎児期は、
着床前期・着床期(受精から 2 週)、器官形成期(3 − 8 週)
、胎児期(8 週以降)に分かれる。着床
前の胚は、被ばくによって胚死亡の増加がおこる。個々の臓器の原基が形成され、細胞が活発に増殖
する器官形成期の被ばくでは、発達異常の増加の可能性がある。ヒトの被ばくの場合、小頭症が主で
ある。8 週以降は脳の神経細胞の数が増加しているときで、被ばくによって重度精神発達遅滞や知能
指数 (IQ) の低下がおこる。これらの影響は、
一定数の細胞が死滅することによる確定的影響に分類され、
100mSv 未満では増加しない。
一般に子どもの被ばくは放射線による発がんリスクが高いことが知られている。組織の細胞が活発
に分裂していて、放射線による傷の修復間違いが多く、また、発生した突然変異細胞のクローンが拡
大するチャンスが大きいこと、また、被ばく後も長い年月を生きるので、変異細胞にさらに他の発が
ん物質による傷が蓄積し、悪性化する機会も多くなることが考えられる。小児がんの場合は、発が
んに関わるステップ(遺伝子の数)が少ないことも理由であろう。最近、我々は、発がん感受性が高
い時期の消化管や肝臓の細胞は、被ばく後の増殖停止やアポトーシス誘発がおこりにくいことを見つ
けた。DNA 損傷を感知し、シグナルを伝達する能力が低いのかもしれない。遺伝的要因も重要であ
る。脳腫瘍を自然発生する ptc1 欠損マウスは、出生前後の被ばくでのみ腫瘍の発生率は増加するが、
遺伝的な背景によって、放射線被ばくによって発がん率の増加が 3Gy でもみられなかったり、逆に
50mGy でも増加することがある。「被ばく時の年齢」のみならず「遺伝的背景」さらに「がん抑制遺
伝子の変異」などの条件が重なることが、がんリスクの要因として重要である。
こどもの被ばくでがんリスクを下げる方策についてもコメントする。
ー 27 ー
L-05
福島原子力発電所事故後の環境放射線量と健康影響
○田中 公夫
( 財 ) 環境科学技術研究所 生物影響研究部 事故の現状と低線量率放射線影響研究の重要性を説明をする。(1) 福島原子力発電所事故で出てくる
被ばく線量限度 (2) 放射線事故非常時の暫定規制値、(3) 低線量率・低線量放射線被ばくのリスクと
線量限度値、(4) 低線量放射線被ばく(100 mSv 以下)によるヒトの健康調査、(5)チェルノブイリ
原子力発電所事故の健康調査、(6) 住民、子供、幼児、妊婦の健康影響調査、環境影響調査、除染作業、(6)
( 財 ) 環境研では寿命、発がん頻度と機構、がん以外の疾患頻度と発生機構、細胞・組織応答、継世代
遺伝、染色体異常頻度、ゲノム異常について調査・研究を行っている。所有する照射装置を用い低線
量率(0.05 mGy/ 日=年約 20mSv =福島事故で住民避難のために暫定的に定めた緊急時被ばく線量
限度)でマウスに長期間照射した場合の生物影響に関する各種データ(寿命、死因等)は非照射の場
合と差がないことを明らかにした。ヒトでは喫煙などの影響も加わり低線量率長期被ばくの影響調査
は容易ではない。マウスでの成果は低線量放射線のリスク評価に寄与するのみでなく福島県民の健康
影響を評価する上でも重要な知見となる。本報告の一部は青森県からの受託事業により得られた成果
である。
ー 28 ー
公開シンポジウム1
染色体構造-形態と分子との対話-
日時: 2011 年 11 月 12 日(土)
午後 2 時 00 分~ 5 時 30 分
場所: 神奈川大学湘南ひらつかキャンパス 11 号館 1 階サーカムホール(A 会場)
オーガナイザー:
小野教夫(理化学研究所 基幹研究所)
金城康人(都立産業技術研究センター バイオ応用技術グループ)
S1-01. 核型進化が語るもの−マイクロ染色体とゲノム構造の区画化—
松田洋一 ( 名古屋大学大学院 生命農学研究科 )
S1-02. Ki67 抗原は分裂期染色体の表層で何をしているのか
高木昌俊(理化学研究所 基幹研究所)
S1-03. 高次クロマチン構造の形成と維持の分子機構
中山潤一 ( 理化学研究所 発生・再生科学研究センター )
S1-04. 形態学から見た染色体の高次構造
—走査電子顕微鏡と走査プローブ顕微鏡によるアプローチから—
牛木辰男(新潟大学 医学部)
S1-05. ゲノム収納の原理と染色体構造
大山隆(早稲田大学 教育・総合科学学術院)
S1-06.
Hdac8 欠損型コヒーシン病に見られるコヒーシン代謝異常
—コヒーシンアセチル化制御とその意義—
白髭克彦(東京大学 分子細胞生物学研究所)
S1-01
核型進化が語るもの – マイクロ染色体とゲノム構造の区画化 –
○松田洋一 1、宇野好宣 1、松原和純 2、西田千鶴子 3
1)名古屋大 院生命農学 動物遺伝制御
2)名古屋市立大 院システム自然科学
3)北海道大 院理 生物科学
多くの鳥類と爬虫類の核型は、主に、サイズが大きく異なるマクロ染色体とマイクロ染色体から構
成される。ニワトリの全ゲノム配列の解読により、鳥類がもつマイクロ染色体は、遺伝子密度、GC 含
量、反復配列の種類と量、組換え頻度などでマクロ染色体とは構造的に大きく異なることが判明して
いる。しかし、脊椎動物がもつマイクロ染色体の起源や、ゲノム構造の区画化がいつ生じたかについ
ては、まだ不明な点が多い。私たちは、爬虫類 3 種(スッポン、シャムワニ、シマヘビ)とネッタイ
ツメガエルを用いて、機能遺伝子の高精度染色体地図を作成し、四肢動物と羊膜類の祖先核型とそれ
らの核型進化過程を推定することを試みた。その結果、多くのマイクロ染色体が祖先型の四肢動物に
すでに存在し、鳥類と爬虫類の核型は四肢動物の祖先核型からほとんど変化せずに保存されてきたこ
とが推定された。また、スッポンとシマヘビのマクロとマイクロ染色体に連鎖する遺伝子の第 3 コド
ンの GC 含量(GC3)の比較から、マクロ – マイクロ染色体間の構造の区画化は、少なくとも両生類か
ら爬虫類への進化過程で生じたことが示唆された。これらの結果に基づき、脊椎動物におけるゲノム
構造の区画化とマイクロ染色体の進化およびその存在意義について考察した。
ー 30 ー
S1-02
Ki67 抗原は分裂期染色体の表層で何をしているのか
○高木昌俊
理化学研究所 基幹研究所 今本細胞核機能研究室
Ki67 抗原は増殖細胞でのみ発現する性質をもち、細胞の増殖や癌化のマーカーとして古くから汎用
されている因子である。マーカーとしての認知度が非常に高い一方で、その具体的な細胞機能につい
ては殆ど理解されていなかった。そこで私たちは、Ki67 抗原の有袋類ホモログである chmadrin を同
定したこと (Takagi et al., 1999) を端緒に、Ki67 抗原の細胞機能の理解を目指す研究を独自に進めて
きた。Ki67 抗原が分裂期染色体の表層を縁取るように局在することに特に注目し、分裂期染色体の表
層領域における細胞機能に焦点を当てた。
ヒト由来の培養細胞から RNA 干渉法により Ki67 抗原を除去すると、間期クロマチンの分裂期染色
体への変換(凝縮)は一見正常になされるものの、分裂期染色体の動態に異常が認められた(殆どの
染色体が速やかに分裂面へと整列するのに対し、数対の染色体の整列に長時間を要した)
。同時に分裂
期紡錘体の形態やポジショニングの異常も認められた。何故このようなことが起こるのか(Ki67 抗原
の作用点はどこなのか)を明らかにするため、Ki67 抗原と相互作用する因子の探索を行い、二つの因
子(キネシン様モータータンパク質である Hklp2 および脱リン酸化酵素 PP1 γ)との特異的な相互作
用を見いだした。Ki67 抗原はこれら因子の局在パターンを制御し、紡錘体やキネトコアの機能を微調
整することで正常な染色体動態に寄与しているものと考えられた (Vanneste, Takagi et al., 2009;未発
表 )。
以上と並行して私たちは、Ki67 抗原の C 末領域を間期細胞において過剰発現するとクロマチン全域
にわたる過凝縮が導かれること (Takagi et al., 1999) や、同じ領域が高次クロマチン構造構築におい
て重要な HP1 タンパク質と直接相互作用すること (Kametaka, Takagi et al., 2002) を見いだした。つ
づいてこれらを論拠に、Ki67 抗原が分裂期染色体構造の構築に直接的に関与している可能性を再検討
した。ヒト培養細胞から Ki67 抗原とコンデンシン複合体を同時に除去すると、
(どちらか一方の除去
では観察されないような)重篤な染色体構造異常がおきることを新たに見いだした。Ki67 抗原とコン
デンシン複合体は、異なる局在性を示す(前者は染色体の表層、後者は染色体の内側)にも関わらず、
染色体構築において相補的に機能するものと思われた。また、分裂期染色体構造が外側からも支持さ
れている可能性が始めて示された。
本会では以上の知見を中心に紹介し、Ki67 抗原が染色体表層領域で果たす多様な機能について議論
したい。
ー 31 ー
S1-03
高次クロマチン構造の形成と維持の分子機構
○中山潤一
理化学研究所 発生再生センター
染色体が染色体としての機能を果たすためには、正確な分配を保証するセントロメアや、末端の保
護に働くテロメアなどの機能ドメインが必須である。多くの生物種において、これらの領域には単純
な反復配列や転移因子芽存在し、ヘテロクロマチンと呼ばれる高次のクロマチン構造が形成されてい
る。ヘテロクロマチンは染色体の機能に重要な役割を果たしており、実際にヘテロクロマチンを構成
する因子の欠損によってこの構造が破綻すると、染色体の脱落や染色体融合など様々な異常が起きる
ことが知られている。近年の研究から、ヘテロクロマチンがどのように形成されるのか、その分子構
造が明らかにされてきた。ヘテロクロマチンが形成される領域は、ヒストン H3 の特徴的なメチル化
修飾によってマークされており、このメチル化マークを認識して HP1 と呼ばれるヘテロクロマチンタ
ンパク質がクロマチンに結合することで、ヘテロクロマチンに特徴的な高次クロマチン構造が形成さ
れる。また、凝縮したヘテロクロマチンの外観から、この領域からの転写は抑制されていると長い間
考えられてきた。しかし最近の解析から、実際にはヘテロクロマチン領域にも弱い転写活性が存在し、
しかもその転写された RNA を分解する過程が、抑制的なクロマチン構造を維持するのに必要なことが
示唆されつつある。本講演では、染色体機能に必須なヘテロクロマチンとよばれる高次クロマチン構
造が、どのように形成されまた維持されているのか、その分子機構に関しての最新の知見を紹介する
とともに、染色体機能との密接な関連について議論したい。
ー 32 ー
S1-04
形態学から見た染色体の高次構造
―走査電子顕微鏡と走査プローブ顕微鏡によるアプローチから―
○牛木辰男、中島真人、小針良久
新潟大学 院 医歯学系
染色体の高次構造については、これまで主に透過電子顕微鏡(透過電顕)と走査電子顕微鏡(走査電顕)
により解析が行われ、いくつかのモデルが提唱されてきた。しかし、これらのモデルではなお説明で
きない点も多いのではないかと思われる。そこで、私たちは、従来の顕微鏡観察法と共に、走査プロー
ブ顕微鏡という新しい顕微鏡を用いて染色体の高次構造についての解析を行ってきた。この顕微鏡は
レンズの代わりに探針を備え、それにより試料表面を走査し、表面立体形状を解析するユニークな顕
微鏡である。また、走査電顕のような金属コーティングが不要なこと、液中での解析が可能なことな
どの利点があることから、従来の顕微鏡法との組み合わせにより、中期染色体のより詳しい構造の解
析が期待される。本講演では従来の走査電顕法と走査プローブ顕微鏡法を比較しながら、ヒトやムン
チャックの染色体の高次構造について解析した結果を紹介する。特に中期染色体の染色分体の腕は一
様な構造ではなく、Gバンドに一致した凝縮の強い部位と弱い部位が交互に存在すること、さらに分
体間のクロマチン線維のからまりの強い部位と弱い部位が存在することなどを示し、その意味を考え
る。
ー 33 ー
S1-05
THE GENOME FOLDING PRINCIPLE AND DEDUCED INTERPHASE CHROMOSOME
STRUCTURES
*T. Ohyama, H. Kimura, J. Nishikawa, Y. Shimooka, and O. Miura.
Biology, Waseda University, 2-2 Wakamatsu-cho, Shinjuku-ku, Tokyo 162-8480, Japan.
Various studies have been performed to clarify the geometry of nuclear chromatin and several plausible
models have been presented. However, none has successfully explained how the overall structure of
chromatin is determined. Here, we present two topics regarding this issue.
As our first topic, we suggest that the main frame of the interphase chromosome is essentially
structured solely by the physical properties of the genomic DNA and the size of the nucleus. We deduced
the spatial expanses of all (~53,000) linker DNAs of S. cerevisiae chromatin, and modelled the threedimensional paths of nucleosomal arrays of all 16 interphase chromosomes. Regarding the spatial
distance between two given loci in any interphase chromosome, the predictions by the model agreed well
with all experimental data reported to date.
The second topic concerns whether nucleosomes with identical DNA sequences have the property
of self-assembly. To examine this, tetranucleosomes were reconstituted onto DNA fragments that are
comprised of the 601 nucleosome positioning sequence (NPS) or the 603 NPS, or combination of these
sequences. The resulting tetranucleosomes were subjected to AFM observations. Interestingly, we
found that the nucleosomes with identical sequences tended to assemble together in the presence of
physiological concentrations of Mg2+. This phenomenon was observed even when the NPS arrangement
was altered. The attractive force causing nucleosome self-assembly may be involved in not only chromatin
construction but also several important biological processes, such as synapsis in meiosis and homologous
recombination.
In this symposium, I discuss the physical properties of genomic DNA and the selective interaction
between nucleosomes as the key parameters in the genome folding mechanism.
ー 34 ー
S1-06
コヒーシン脱アセチル化酵素 Hdac8 による染色体機能制御 S
○白髭克彦 東京大学 分子細胞生物学研究所
コヒーシンは、真核生物間で高度に保存された4つのタンパク質(Smc1, Smc3, Rad21, SA1)から
なる複合体で、リング状の特徴的な構造をとり、DNA 複製後の姉妹染色分体を束ねる(コヒージョン
形成)という細胞の増殖に必須な役割を担っている。一方で、ヒト、マウスでは、染色体上でインシュ
レーター因子 CTCF と共局在し、転写制御に機能している。重度の発生分化異常を伴うヒトの疾病で
ある CdLS(コルネリアデランゲ症候群)の7割はコヒーシンの構成サブユニット、
およびそのローダー
に起こる変異が原因であることが判明しており、これら患者の細胞では染色体分配そのものは正常で
あることから、コヒーシンの転写機能が損なわれたことが原因であると考えられている。最近、コヒー
シンのサブユニット SMC3 のアセチル化がコヒージョン形成に必須であることが明らかにされた。ヒ
トではアセチル化転移酵素は二種類(Esco1 と Esco2)知られており、Esco2 は重度の発生分化異常
を伴う疾患であるロバーツ症候群の原因遺伝子である。したがって、コヒーシンのアセチル化はコ
ヒージョン形成のみならず転写制御にも重要な役割を担っていると考えられる。我々は、コヒーシン
のアセチル化修飾の生理的意義を明らかにするためにアセチル化 SMC3 に対する特異的なモノクロー
ナル抗体を作製し、その動態解析を行っている。まず、同調した HeLa 細胞を用いて、細胞周期での
SMC3 のアセチル化を観察した。その結果、SMC3 は、細胞周期を通じてアセチル化され、このアセ
チル化レベルは、S 期後半に高くなることが明らかとなった。さらに、RNAi による ESCO1 と ESCO2
のノックダウン実験を行ったところ、ESCO1 は、細胞周期を通じて働いていること、ESCO2 は S 期
にのみ SMC3 をアセチル化していることが明らかとなった。興味深いことに SMC3 のアセチル化は、
細胞周期で増減が認められ、分裂期においてアセチル化が消去されることが示唆された。このことか
ら、SMC3 を脱アセチル化する酵素の存在が考えられたため、既知の HDAC ファミリー、SIRT ファミ
リー全てについて、RNAi により Smc3 の脱アセチル化酵素を探索した。その結果、Class I Hdac ファ
ミリーに属する HDAC8 を唯一の Smc3 脱アセチル化酵素として同定できた。HDAC8RNAi や HDAC8
阻害剤で細胞を処理すると、SMC3 のアセチル化の明らかな亢進が認められ、弱いコヒージョン欠損
が誘導された。さらに、原因遺伝子が特定できていない CdLS 患者由来の DNA のスクリーニングから、
Hdac8 が新たな CdLS 原因遺伝子として特定できたことから、コヒーシンの脱アセチル化も転写制御
に重要な役割を演じていることが明らかとなった。今回 Hdac8 に変異が同定された CdLS 患者由来の
B 細胞の一つでは完全に Hdac8 タンパクが消失しており、それに伴ってコヒーシンのアセチル化が亢
進していた。面白いことに、この患者の細胞では通常 M 期に染色体から取り除かれるはずのコヒーシ
ンの分解途中の産物が染色体上に蓄積しており、さらに、コヒーシンの結合部位が健康なヒト由来の
細胞に比してゲノム全体で3割失われていた。同様の現象は Hdac8 をノックダウンした HeLa 細胞で
も観察された。これらの結果は少なくとも Hdac8 がコヒーシンの効率的な分解ー再利用に寄与してい
ること、また、アセチル化によりコヒーシン複合体がより安定に染色体に結合できることを示している。
コヒーシンサブユニットのアセチル化制御の生物学的意義について議論する。
ー 35 ー
公開シンポジウム2
iPS 細胞がもたらす未来:
染色体・体細胞リプログラミング技術の新展開
日時: 2011 年 11 月 13 日(日)
午前 9 時 30 分~ 12 時 30 分
場所: 平塚市中央公民館 4 階小ホール
オーガナイザー:
多田政子(鳥取大学 染色体工学研究センター)
田辺秀之(総合研究大学院大学 先導科学研究科)
S2-01. ヒト iPS 細胞と産業応用を目指した染色体加工
多田政子(鳥取大学 染色体工学研究センター)
S2-02. ヒト iPS 細胞と再生医療
梅澤明弘(国立成育医療センター 再生医療センター)
S2-03. 霊長類 iPS 細胞株樹立と染色体安定性
佐々木えりか(公益財団法人 実験動物中央研究所 応用発生学研究部)
S2-04. センダイウイルスを用いた染色体を傷つけない安全な iPS 細胞の作製
房木ノエミ(ディナベック株式会社・JST さきがけ)
S2-05. ヒト人工染色体を用いた安全な治療用 iPS 細胞の作製を目指して
押村光雄(鳥取大学大学院 医学系研究科)
S2-01
ヒト iPS 細胞と産業応用を目指した染色体加工
○多田政子
鳥取大学 染色体工学研究センター
DNA はヒストンタンパク質を巻き込みヌクレオソーム構造をとり、それが更に折畳まれクロマチン
構造、更には、染色体を形成する。この染色体の中から特定の遺伝情報を読み出す、または、抑制す
るには、部分的なクロマチン構造のリモデリングが必要である。しかしながら、受精後間もなくと生
殖細胞の元となる始原生殖細胞が生殖巣の原基に移入する時期には、遺伝子の活性状態非依存的なゲ
ノム全体のクロマチン構造の活性化がおきる。この初期胚発生過程のリプログラミング現象をたった
4 種の遺伝子 (Oct3/4, Sox2, Klf4, cMyc) の発現で引き起こすことができることが明らかになり、体細
胞から容易に未分化細胞である iPS 細胞を作り出せるようになった。近年には、体細胞を多能性幹細
胞まで引き戻すフルリプログラミングに対し、入手が容易な組織細胞から所望の組織細胞に直接作り
変えるダイレクトリプログラミングも可能になってきた。こうしたリプログラミングを利用した再生
医療や創薬開発の安全性試験開発が加速的に発展した主な要因は、これまでのマウスおよびヒト ES 細
胞による幹細胞研究の蓄積に依存していると言わねばならない。ヒト ES 細胞や iPS 細胞由来組織細胞
を用いた細胞毒性試験を実用化する上で解決しなければならない課題は、分化誘導した組織細胞の機
能が一般に未熟であるということ、多くの組織は複数種の細胞が単位となって機能を発揮しているこ
と、分化程度が不均一であることが挙げられる。
本講演では、iPS 細胞を巡る近年の知見を総括すると共に、ヒト ES 細胞やヒト iPS 細胞由来心筋細
胞を用いた心筋毒性試験法の実用化を目指し、ペースメーカー細胞と心室筋を併せ持つ心筋コロニー
の成熟化培養法とエピジェネティクス制御により心筋毒性試験のハイスループット化の障害となって
いたコロニー間の質を均質化する課題を克服した例ついて紹介する。
ー 38 ー
S2-02
ヒト iPS 細胞と再生医療
○梅澤 明弘
国立成育医療センター 再生医療センター
ヒト人工多能性幹(iPS)細胞を含む多能性幹細胞の再生医療利用への期待が高まっている。
ヒト iPS 細胞はヒト ES 細胞の代替物として、また倫理問題を回避できる多能性幹細胞として利用価値
が高い。薬事上の観点から、iPS 細胞の特性解析のひとつとしてエピジェネティック・プロファイリ
ングが重要な役割を担うと期待できる。網羅的 DNA メチル化解析により、
「エピジェネティック・プ
ロファイリング」という切り口を導入することで、ヒト iPS 細胞の特性解析を行い、未分化機構の解
明を目指すと同時に、再生医療利用における多能性幹細胞の品質管理、安全性確認に利用するエピゲ
ノムプロファイリングの確立を行った。自ら樹立を行っている利点を生かし多数のヒト iPS 細胞と長
期培養した際の経時的なサンプルを得ることが可能であり、独自のバイオインフォマティクス手法に
よる解析を行い、ヒト iPS 細胞におけるリプログラミング機構の一端を明らかにした (Nishino et al.,
PLoS Genetics, 7:e1002085, 2011; Nishino et al., PLoS One, 5:e13017, 2010) 。また、iPS 細胞を用い
た再生医療の現在のパイプラインを示し、エピゲノムとの連関についての考えを紹介したい。
ー 39 ー
S2-03
霊長類 iPS 細胞株樹立と染色体安定性
○佐々木えりか 1,2
1)公益財団法人 実験動物中央研究所 応用発生学研究部
2)慶應義塾大学 ヒト代謝システム生物学研究センター
人工多能性幹 (iPS) 細胞は、分化能を失った体細胞から種々の細胞への分化能力を獲得することから、
免疫拒絶のない再生医療の細胞ソースとして期待されている。iPS 細胞を用いた再生医療の実現化に
は、その有効性と安全性を立証する前臨床研究が重要である。
コモンマーモセットは、ヒトに生理学的、解剖学的に近く、霊長類で唯一、導入遺伝子が次世代に
伝わる事が可能な遺伝子改変動物が作製可能などバイオメディカル研究の実験動物として様々な利点
を持っている。
我々は、再生医療の前臨床研究モデルの確立を目指し、様々な細胞種、遺伝子導入法によるコモン
マーモセットの iPS 細胞樹立を試みた。その結果、コモンマーモセット胎児肝由来の細胞へ山中4因
子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)に Thomson 等が報告した Nanog, Lin28 を加えた 6 因子をレトロウ
イルスベクターにより導入することにより、コモンマーモセット iPS 細胞が樹立される事を見出した。
更に、正常な核型を持つ iPS 細胞の樹立には、出現したコロニーの選択時期が重要であることを見出
した。
今後、これらの知見と供にヒト疾患モデル動物を用いた前臨床研究により、安全且つ有効な iPS 細
胞を用いた再生医療実現化を目指したい。
ー 40 ー
S2-04
センダイウイルスベクターを用いた染色体を傷つけない安全な iPS 細胞の作製
○ 房木ノエミ 1, 2、伴 浩志 1、長谷川 護 1
1)ディナベック株式会社
2)JST さきがけ
センダイウイルス (SeV) ベクターは、細胞質増殖型・染色体非組み込みを特徴とする、広い宿主域
と外来遺伝子高発現能力を持つ純国産ウイルスベクターです。ヒトを含む霊長類に病原性を示さない
ことから、遺伝子治療やワクチンなどにも応用研究がなされている安全性の高いベクターです。一方、
人工多能性幹 (iPS) 細胞は、ヒトの体細胞に初期化因子を導入することで万能細胞を作り出す画期的な
技術であり、新しい薬剤スクリーニングや毒性試験、個別化医療や細胞移植など将来の臨床応用へ向
けて期待されています。しかしながら従来の作製方法では、使用されるレトロウイルスベクターでは
細胞の染色体に外来遺伝子がランダムに組み込まれ、予期せぬがん化のリスクや、出来た iPS 細胞が
実験ごとに異なる遺伝的背景を持つなどの問題がありました。今回は、私たちの安全なセンダイウイ
ルスベクターを用いることにより、上記問題を解決し、安全な iPS 細胞を高効率に作製可能となった
こと、また除去容易なベクターを開発することによりさらに安全性を高め、将来の再生医療の実現を
早める可能性に結びつく研究結果について報告いたします。
ー 41 ー
S2-05
ヒト人工染色体を用いた安全な治療用 iPS 細胞の作製を目指して
○押村 光雄 1, 2
1)鳥取大学大学院 医学系研究科
2)鳥取大学 染色体工学研究センター
遺伝病や細胞治療のための一つの方法は、自己の iPS 細胞や体性幹細胞を体外培養してそれを治療
し、患者本人に移植することです。しかし、治療しようとして正常の遺伝子を導入しようとすると、
本来正常であった遺伝子が壊れたり、せっかく正常となった細胞が癌になってしまうと大変困ります。
したがって、治療用の理想的な iPS 細胞樹立には下記の要件が必要です。
1)iPS 細胞の効率的誘導・純化する
2)正常遺伝子を導入した細胞の染色体へ外来遺伝子が挿入されない
3)未分化細胞の除去をする
4)特定分化細胞への効率的分化・純化
5)腫瘍形成時の安全対策を細胞にほどこす
本講演では、筋ジストロフィーの治療を目指した研究を主な例として、ヒト人工染色体を利用した新
技術の紹介をします。
ー 42 ー
一般講演
口頭発表
日時: 2011 年 11 月 11 日(金)午後1時 00 分~ 12 日(土)午前 10 時 30 分
場所: 神奈川大学湘南ひらつかキャンパス 11 号館 1 階サーカムホール(A 会場)
O-01
O-02
シンジュサンにおける染色体の同定と性
染色体進化の解明
ササグモにおける 5S rDNA とヒストン遺
伝子の分子進化
吉戸敦生 1、安河内祐二 2、○佐原 健 1
○鈴木岳、久保田宗一郎
1)北大大学院・農学研究院
東邦大学 理学部
2)生物資源研・昆虫ゲノム
5S rDNA は一般にゲノム内で縦列に反復する
多重遺伝子族として知られ、約 120 bp の遺伝
シンジュサンはでシンジュやクロガネモチな
子領域並びに非転写スペーサー(NTS)領域か
どを食草とするヤママユガ科に属するガの一種
ら構成されている。近年様々な節足動物におい
である。日本に分布するシンジュサンの性染色
て、この NTS 領域に他の多重遺伝子族の連鎖が
体構成は WZ/ZZ(豊田個体群)、neo-Wneo-Z/
報告されている。徘徊性クモ類であるササグモ
neoZneo-Z( 札 幌 個 体 群 ) お よ び WZ1Z2/
Z1Z1Z2Z2( 長 野 個 体 群 ) が 知 ら れ る。 ま た、
Oxyopes sertatus でも、ヒストン H2B 様遺伝子配
列が 5S rDNA と連鎖し、2対の常染色体の長腕
東南アジアに広く分布するしヒマを食草とする
端部と、1対の常染色体の長腕間質性領域に局
亜種のエリサンは Z0/ZZ の性染色体構成を有す
在していることが明らかにされている。本研究
る。本研究では札幌個体群のゲノムから構築し
では、この連鎖を詳細に解析し、その起源と進
たフォスミドクローンをプローブとした FISH に
より各個体群/亜種間の染色体対応関係を明ら
かにした。
これら染色体を同定するプローブを用いて性
染色体構成の変化を追跡したところ、WZ/ZZ の
構成から第 13 染色体と性染色体の付着により
化を考察するため、本種における 5S rDNA 非連
鎖型ヒストンクラスターの検出を試みた。その
結果、ヒストン H2A、H2B、H3、H4、H1 遺伝
子を含む約 6 kbp の 5S rDNA クラスターと、こ
れらの遺伝子のうちいくつかが欠失した多様な
クラスターを検出した。さらに、前者で検出さ
れた 5S rRNA 遺伝子配列はこれまで報告されて
札幌個体群の性染色体構成が、さらに neo-W に
いる配列と異なっていた。分子系統解析の結果、
のみ第 12 染色体が付着することにより長野個
約 6 kbp のクラスター内の 5S rDNA がこの種
体群の性染色体構成が step-by-step に進化した
の本来の配列で、他のクラスター内の配列は派
と考えられた。
生型である可能性が示唆された。これらの解析、
並びに FISH 解析の結果から、本種における 5S
rDNA とヒストン遺伝子の分子進化について考
察する。
ー 44 ー
O-03
O-04
メクラウナギ目における偽 5S rDNA 反復配
列の分子進化学的解析
ヴィクトリア湖産シクリッドのもつ B 染
色体の性決定における機能獲得
○松田真生子、吉本純子、佐々木隆史、高野淳一朗、
○吉田恒太1、寺井 洋平1、溝入真治1、相原 光人1、
山口徹、藤川典子、河野晴一、久保田宗一郎
渡邉正勝1、西原秀典1、黒岩麻里2、平井啓久3、
平井百合子3、松田洋一4、岡田 典弘1
東邦大学 理学部
1)東工大 院生命理工学研究科
円口類メクラウナギ目8種において、発生初期
2)北大 院理学研究院
に始原体細胞が染色体(DNA)の一部を失って
3)京大 霊長類研究所
体細胞へ分化する、いわゆる染色体放出を行うこ
4)名大 院生命農学研究科
とが知られている。分子生物学的解析により、こ
の仲間の生殖細胞特異的な染色体は多様な高頻度
B 染色体は通常の染色体セットに対して過剰
反復配列により構成され、ヌタウナギ(Eptatretus
に存在する染色体であり、真核生物の多くの種
burgeri)においては、これまでに 11 種類の反復
で報告されている。しかしながら、その多くは、
配列、並びに生殖細胞ゲノムに特異的な生殖細
機能が明らかになっておらず、一般的に生物個
胞型 5S rDNA が検出されている。EEEb3 は生殖
体に寄生する「利己的な遺伝因子」として考え
細胞型 5S rDNA の一部(遺伝子領域 65 bp 及び
られてきた。本研究では、短期間の適応放散に
NTS 領域 32 bp)を含む全長約 420 bp の生殖細
より生じたヴィクトリア湖産シクリッドにおけ
胞特異的な縦列型反復配列として 2004 年の本
る B 染色体の遺伝動態と配列を解析し、B 染色
学会で報告した。今回、新たにヌタウナギの体
体が機能を持つことを示すいくつかの証拠を得
細胞ゲノムから EEEb3 内の 5S rDNA 非相同領域
た。ヴィクトリア湖産シクリッドの一種では交
(288 bp)のみ、並びに EEEb3 全長の数反復を
雑実験により、B 染色体が性比を雌に偏らせる
検出したため、5S rDNA 非相同領域のより詳細
機能をもつことが示された。その B 染色体の
な解析を試みた。その結果、この領域は散在型反
DNA を含んだ BAC クローンの配列解析により、
復配列の SINE と相同性が高いことが判明した。
B 染色体では初めて 100 kb を超える配列の解
更にメクラウナギ目の複数種からの EEEb3 の検
読に成功した。その結果、B 染色体は予想に反
出を試み、上述とは異なる生殖細胞型 5S rDNA
し、遺伝子に富んでいることが明らかになった。
の NTS 領域を含む新たなタイプの EEEb3 を検
本研究により、B 染色体は多くの遺伝子を含み、
出、EEEb3 の起源と分子進化について考察を試
その変異により、機能を獲得することができる
みた。
可能性が示された。
ー 45 ー
O-05
O-06
スズキ目フエダイ科魚類ロクセンフエダイに
おける X1X1X2X2/X1X2Y 型複合性染色体分化
無尾両生類における性染色体の起源とその
進化に関する分子細胞遺伝学的研究
○高井 明徳 1、上野紘一 2
○宇野好宣 1、西田千鶴子 2、高木知世 3、井川武 4、
上野直人 3, 5、住田正幸 4、松田洋一 1
1)大阪信愛女学院短期大学
1)名古屋大 院生命農学 動物遺伝制御
2)近畿大学農学部
2) 北海道大 院理 生物科学
魚類では、形態的に分化した性染色体が認め
3) 基生研 形態形成
られるのは 3% 程度で、さまざまなタイプの性染
4) 広島大 理 両生類研
色体構成が認められている。我々は最近フエダ
5)総研大 生命科学
イ科のロクセンフエダイ Lutjanus quinquelineatus.
に X1X1X2X2/X1X2Y 型 に 複 合 性 染 色 体 を 見 出
哺乳類と鳥類は、それぞれ XX/XY 型、ZZ/ZW
し た。 ロ ク セ ン フ エ ダ イ は 雌 で は 染 色 体 数 は
型の性染色体構成をもち、爬虫類、両生類、魚類
2n=48 で、すべてアクロセントリック染色体で
ではこれら二型が混在する。これまでに、羊膜類
構成される。一方、雄は 2n=47 で 46 本のアク
(爬虫類、鳥類、哺乳類)における性染色体連鎖
ロセントリック染色体に加え 1 本の大型のメタ
遺伝子の比較染色体マッピングによって、羊膜類
セントリック染色体を有す。雄の減数分裂の観
の性染色体の起源は非常に多様であることが判明
察では第 1 分裂で 3 価染色体が認められ、一部
している。しかし、両生類の性染色体に関しては、
キアズマが認められた。C-band では性染色体に
一部の種において性染色体連鎖遺伝子が同定され
特徴的なヘテロクロマチンは見出されなかった。
ているが、性染色体の起源とその分化過程は不明
近縁種の DNA 量はほぼ同じで、性染色体が認め
であった。
られていない。このことから大型の染色体はロ
本研究では、昨年度の大会で報告したネッタイ
バートソン型の融合により形成された Y 染色体
ツメガエルにおける 140 個の機能遺伝子からな
で、本種は X1X1X2X2/X1X2Y 型複合性染色体を
る染色体地図の情報をもとに、4種の無尾両生類
有し、それは性染色体分化の初期段階であるこ
(アフリカツメガエル、ネッタイツメガエル、ツ
とが示唆された。魚類では X1X1X2X2/X1X2Y 型
チガエル、カジカガエル)を対象として、性染色
は約 20 種で認められているが、それらは系統的
体連鎖遺伝子の比較染色体マッピングを行うこと
な関連は無く、その多くはロバートソン型の融
で、無尾両生類における性染色体の起源とその進
合により形成されている。魚類の複合性染色体
化過程について考察する。
の多くは独立して形成され、分化の初期段階の
ものであると考えられる。
ー 46 ー
O-07
O-08
生殖腺の性分化決定機構の進化 −性ホルモン依存から非依存へ −
XY 型の性染色体を持つカメ類の性染色体
の起源と分化過程の推定
○三浦郁夫 1、小泉雄紀 1、大谷浩己 1、尾形光昭 2
○川越大輝 1,2、西田千鶴子 3、松田洋一 1
1)広島大・院理・両生類
1)名古屋大 院生命農学 動物遺伝制御
2)横浜市繁殖センター
2)北海道大 院生命科学 生命システム科学
3)北海道大 院理 生物科学
多くの脊椎動物では、性ホルモン投与によって
生殖腺の遺伝的な性が転換する。有袋類の XY 胎
遺伝的性決定を示すカメ類が持つ性染色体の
児は、エストラジオールによって精巣決定遺伝子
起源や進化過程についての報告はほとんどなく、
SRY の発現が抑制され、卵巣構造を分化させる。
特に XY 型のカメ類の性染色体の進化過程につ
また、鳥類の ZZ オスはエストラジオールで卵精
いては全く不明である。本研究では、XY 型の
巣を形成し、ZW メスはアロマターゼ (Cyp19) 阻
性染色体を持つホオジロクロガメ (Siebenrockiella
害剤によって完全なオスの表現型へと分化する。
crassicollis) と ス ジ オ オ ニ オ イ ガ メ (Staurotypus
これらはすなわち、第二次性徴のみならず、生殖
triporcatus) を用いて、染色体ペインティングと遺
腺の性分化決定が性ホルモンの制御下にあること
伝子マッピングによって性染色体の遺伝連鎖群
を意味する。しかし、一方で、真獣類のように性
を同定しその起源を明らかにするとともに、X-Y
決定が性ホルモンから完全に独立した動物が存在
染色体間に生じた構造変化を調べた。その結果、
し、下等脊椎動物でも種によって、その感受性に
ホオジロクロガメの性染色体はニワトリ 5 番染
は著しい多様性が見られる。
色体と高い相同性をもち、Y 染色体において動
本研究では、XY 型と ZW 型、性染色体の分化
原体の再配置が生じている可能性が示唆された。
と未分化を地域集団に有するツチガエルを用い
また、スジオオニオイガメの性染色体は鳥類の Z
て、性ホルモンに対する生殖腺性分化の感受性
染色体と相同であり、X-Y 間には構造変化は見ら
を調べた。さらに雌雄差発現を示す4つの遺伝
れず、性染色体連鎖遺伝子のオーダーはニワト
子、Cyp17, Cyp19, Dmrt1, Foxl2 と性転換の関連
リよりも現生鳥類の中で原始的なグループに属
に着目した。その結果、Cyp19 遺伝子の発現が性
するダチョウのものに近かった。これらの結果
転換と強く連鎖しており、性転換しない集団では
は、カメ目内における性染色体の起源が多様で
Cyp19 遺伝子の構成的な発現の誘導および抑制が
あることを示し、スジオオニオイガメと鳥類の
保証されていた。
性染色体は共通祖先の同一の常染色体対に由来
し、それぞれの系統で独立に分化したことが推
定された。
ー 47 ー
O-09
O-10
鳥類における性染色体の分化と進化に関す
る分子細胞遺伝学的研究
新世界ウズラの動原体へテロクロマチンを構成
する反復配列の単離と分子細胞遺伝学的解析
○高張剛太 1、西田千鶴子 2、松田洋一 1
○石下聡 1、澁澤麻実 1、中村篤史 2、西田千鶴子 3、
松田洋一 1
1)名古屋大・院生命農学・動物遺伝制御
2)北海道大・院理・生物科学
1)名古屋大 院生命農学 動物遺伝制御
2)北海道大 院生命科学 生命システム科学
タ カ 目 タ カ 科 に 属 す る ク マ タ カ(Nisaetus
nipalensis, 2n=66)の W 染色体は矮小化とヘテロ
3)北海道大 院理 生物科学
クロマチン化が進んでおり、一見 Z 染色体との
キジ目およびダチョウ目に属するいくつかの
相同性は低いように見える。しかし、ニワトリ
種で動原体へテロクマチンを構成する反復配列
(Gallus gallus, 2n = 78) の Z 染色体特異的 DNA に
が多数単離されている。これらはマクロ染色体
よってクマタカ W 染色体の広い領域がペイント
かマイクロ染色体のいずれかに分布する傾向が
されることから、クマタカの Z-W 染色体間には
あり、この分布の偏りの形成には染色体サイズ
塩基配列レベルで高い相同性が存在する可能性
依存的なゲノム構造の区画化が関与すると考え
が示唆されている。本研究では、クマタカの性
られている。本研究ではキジ目ナンベイウズラ
染色体の分化過程を明らかにするため、Z 染色体
科に属するカンムリウズラ(Callipepla californica)
連鎖遺伝子の比較染色体マッピングを行い、Z-W
染色体間の相同領域を特定した。また、鳥類の
とコリンウズラ(Colinus virginianus)を用いて、
動原体へテロクロマチンを構成する反復配列を
祖先核型を持ち、Z 染色体の遺伝子オーダーが爬
単離し、FISH 法によって染色体上の分布を調べ
虫類の相同染色体と同じであるダチョウ(Struthio
た。
camelus, 2n=80)と比較することで、クマタカの
カンムリウズラから単離した配列のう
進化過程に生じた Z 染色体の構造変化のプロセ
ち、CCA-Hae Ⅲ -120 は 新 規 で あ り、CCA-
スについても考察した。
BamHI-600 はその相同配列がコリンウズラで過
また、カモ目カモ科のオオハクチョウ(Cygnus
去に報告されている。これらはマクロ染色体と
cygnus, 2n=78)でもクマタカと同様の研究を行っ
マイクロ染色体両方の動原体部位に分布した。
たので、その結果についても報告する。
コリンウズラでは、これらの反復配列は W 染色
体とマイクロ染色体の動原体部位に分布し、共
在を示した。これらの結果に基づいて、今回単
離した 2 種類の反復配列の進化過程について考
察する。
ー 48 ー
O-11
O-12
単細胞鞭毛藻ミドリムシ(Euglena gracilis)
における核分裂と染色体像の特徴
バイオ燃料植物ジャトロファの開花遺伝子
の解析
○澁澤麻実 1、後藤 健 2、松田洋一 1、渡辺正勝 3
○牧ヶ野 ( 井本 ) 衣里 1、松永幸大 2、佐藤修正 3、
田畑哲之 3、福井希一 4、近江戸伸子 1
1) 名古屋大 院生命農学 動物遺伝制御
2) 帯畜大 環境生態
1) 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科
3) 光産業創成大 光バイオ
2) 東京理科大学 理工学部応用生物科学科
3) かずさ DNA 研究所
近 年、 二 次 共 生 に よ る 進 化 の 観 点 な ど か ら
4) 大阪大学大学院 工学研究科
進化系統学的に注目されている単細胞鞭毛藻
Euglena gracilis は核相的には有性生殖の有無が不
熱帯原産の低木ジャトロファ (Jatropha curcas L.)
体数が多いことから核型や倍数性に関する知見
テル等の毒性を含むため食糧とならない。さら
は 1950 年代後半より進展が見られない。そこで
に他の作物が育たない荒地でも育ち、環境に適
我々は E. gracilis Z 株の同調培養を行うことによっ
応したディーゼル燃料用の植物として期待され
て、染色体観察に適したステージを効率よく捉
ている。しかし、実用化には高油含量品種や早
え、Euglena の生理的特徴を利用した核内膨潤処
期開花品種のような高い生産性を持つ品種が必
理や細胞外皮・核膜破壊処理を行い、エアドラ
要とされている。品種改良にあたって、ゲノム
イ法により良好な染色体像を得ることができた。
解析がなされていないことが大きな課題となっ
また FISH 法によってテロメアリピートが全ての
ていた。そこで、8つの花成関連遺伝子 JcCO、
明であり、分裂中に核膜が消失せず、また染色
染色体両末端に検出され、2D イメージングだけ
は種子に約 30% の油分を含み、、ホルボールエス
JcFD、JcFT、JcLFY、JcSOC1、JcAP2、JcAP3、JcPI
でなく共焦点レーザー顕微鏡を用いた 3D イメー
に関しての配列解析と機能推定を行った。JcCO
ジングでも Euglena の染色体が観察できたことか
以外の遺伝子は同じトウダイグサ科のトウゴマ
ら、Euglena の染色体地図の作成やゲノム・染色
など、木本植物と近縁であることが示されたが、
体進化の研究、また染色体の3次元配置や核の
JcCO に関しては双子葉植物と単子葉植物両方に
高次構造、染色体分配機構の研究などへの応用
が期待できる。これらの手法や知見は、Euglena
の核分裂と同様の特徴を示す他の藻類(渦鞭毛
藻など)にも応用することが可能となるであろ
う。
属さないという結果が得られた。このことから、
JcCO は日長に対して他と異なる性質を持つ可能
性があることが示された。この解析結果を基に、
FT (FLOWERING LOCUS T ) 遺伝子で導入する
ことで、早期開花組換え体の作出を目指す。
ー 49 ー
O-13
O-14
イネ動原体におけるユークロマティックな
ヒストン修飾
ネギ動原体特異的ヒストン H3 と動原体 DNA
の単離
Wu Y. 1,
○長岐清孝1、山本真紀 2、向井康比己 3、村田稔1
○ Kikuchi S. 1, Yan H. 1, Zhang W. 1,
Rosenbaum H.2, Iniguez L.2, Jiang J.1
1)岡山大 資源植物科学研究所
2)関西福祉科学大 健康福祉学部
1) Department of Horticulture, University of
3)大阪教育大 教養学科
Wisconsin-Madison
2) Roche NimbleGen Inc.
動原体特異的ヒストン H3(CENH3)を含むヒ
ストン複合体は、動原体 DNA 配列と共に動原体
動原体クロマチンはユークロマティックな
特異的なヌクレオソームを形成している。この特
特 徴 を 持 つ こ と、 動 物 の 動 原 体 で は、 と く に
徴を利用して、抗 CENH3 抗体を用いたクロマチ
H3K4me2 が動原体クロマチンに特異的に、ユビ
ン免疫沈降(ChIP)により多くの動原体 DNA 配
キタスに局在するヒストン修飾であることが最
列が同定されてきた。本研究では、動原体タン
近、報告されている。そこで本研究は、DNA 配
列が完全に決定されているイネ動原体において、
ユークロマティックなヒストン修飾をこれまで
た。方法は、イネ動原体 DNA からゲノミック・
なう手法を用いた。結果、動原体コア領域に存
在する4種類のユークロマティックなヒストン
修飾のほとんどが、H3 サブドメインに座乗する
遺伝子上に検出された。また、動物の動原体と
は異なり、H3K4me2 は、イネの動原体クロマチ
ンにおいて、ユビキタスなヒストン修飾ではな
かった。これら動原体コア領域における CENH3
と H3 サブドメインのヒストン修飾の厳密な違
いは CENH3 の挿入や維持への重要なエピジェネ
ティックなマークになると考えられた。
構成要素を明らかにするために、ネギを材料に
CENH3 および動原体 DNA の単離を試みた。初め
以上に、詳細に調査することを目的におこなっ
タイリングアレイを開発し、ChIP-chip 解析を行
パク質および DNA が未知のネギ属植物の動原体
に、RACE 法によりネギおよびタマネギ cDNA プー
ルよりネギ CENH3 の完全長 cDNA 配列を増幅し、
その塩基配列を決定した。決定した塩基配列から
推定したアミノ酸配列をもとに、抗ネギ CENH3
(AfiCENH3)抗体を作製した。作製した抗体は、
ネギおよび類似配列をもつタマネギの動原体を特
異的に認識した。この抗体を用いた ChIP により
ネギから単離した AfiCENH3 と共在する DNA を
クローン化し、蛍光 in situ ハイブリダイゼーショ
ン(FISH)のプローブに用いた。5個のクローン
が動原体特異的 FISH シグナルを示した。また、
これらの塩基配列は新規の配列であった。
ー 50 ー
O-15
O-16
シロイヌナズナ環状ミニ染色体の構造と安
定性
キヌガサソウの染色体組成と種形成に関す
る研究
横田悦子 1,2、柴田洋 1、長岐清孝 1、○村田稔 1
○福田一郎
1)岡山大 資源植物科学研究所
東京女子大学 アジア生態進化研
2)岡山大 自然科学研究科
キヌガサソウは本州北部の 2000 m以上の山岳
環状染色体は、酵母から動植物に至るまで広
地帯に分布する日本固有の植物である。その染
く見つかっている。一般的な環状染色体は、奇
色体組成は異質八倍体(8n=40)で、その
数回の組換えにより、二動原体化することから、
種形成には、ミヤマエンレイソウ(4n= 20)
細胞分裂の際、染色体切断が起きやすく、不安
と ダイスワ・ポリヒラ(4n= 20)の交雑に
定となることが知られている。しかし、我々は
よって成立したことが染色体の上から認定され、
最近、シロイヌナズナの形質転換体に、比較的
外部形態の比較でも、この祖先種の特徴を有し
安定な環状ミニ染色体δ(デルタ)を発見した。
ていることが確認された。
このミニδは、二動原体化しているにもかかわ
らず安定で、減数分裂を経て次代に伝達される。
今回、このミニδを保持する植物体の後代に、
より小型の環状ミニ染色体(ミニδ 1 とミニδ
1-1)を発見した。ミニδ 1 は二動原体型であり
ミニδと同様に、安定に伝達されたが、ミニδ
1-1 は一動原体型であることが多く不安定で、有
糸分裂でも数の増減が見られた。これらの原因
について考察する。
ー 51 ー
O-17
O-18
げっ歯類の種間雑種に見られる不妊現象の
遺伝的制御機構に関する研究
XO 型トゲネズミにおける元 Y 連鎖遺伝子の
網羅的解析
○坪井一真、石下 聡、松田洋一
○高本美智 1、村田知慧 2、黒木陽子 3、山田文雄 4、
河内紀浩 5、阿部愼太郎 6、黒岩麻里 1,7
名古屋大 院生命農学 動物遺伝制御
1) 北大 生命科学
異なる種や属間の雑種では、多くの場合、不
2) 徳大 HBS
妊や発育不全などの現象が見られ、これらは、
3) 理研 RCAI、
種を保持するための生殖隔離機構の一つと考え
4) 森林総研
られている。一般に哺乳類では、雑種不妊は雄
5) 八千代エンジニヤリング
に見られ、精母細胞における減数分裂の停止、
6) 環境省 那覇
精子数の減少や奇形精子などの異常が知られて
7) 北大 理
いる。しかし、雑種不妊の遺伝的メカニズムや
その分子基盤は未だ不明な点が多く、その解明
トゲネズミ属は 3 種から成り、そのうち 2 種
にはさらに多くの知見が必要である。
は Y 染色体を消失し、雌雄ともに XO 型である。
Phodopus 属 に 属 す る キ ャ ン ベ ル ハ ム ス タ ー
我々の先行研究において、Y 染色体の一部の領域
(P. campbelli)とジャンガリアンハムスター(P.
が X 染色体に転座していることが確認され、元
sungorus)は、交配が可能で、雑種の雄は不妊で
Y 連鎖遺伝子には、ゲノム中に存続するものと、
と P. sungorus(♂)の交配から得られる雑種の雄
ることが明らかになった。本研究では、網羅的
P. campbelli(♀)
あり、
雌には妊性がある。我々は、
Y 染色体の消失とともに失われたものとに分かれ
を用いて、精巣重量、精巣の組織切片、精母細
な元 Y 連鎖遺伝子のスクリ—ニングによる Y 染
胞のパキテン期と MI 期における染色体対合、精
色体消失過程の解明を目的とし、以下の研究を
子の形態などを観察することによって、雑種雄
行った。11 種類のマウス Y 連鎖遺伝子の cDNA
性不妊を引き起こす遺伝的要因を明らかにする
クローンをプローブとし、トゲネズミ 3 種のゲ
ことを試みた。
ノム DNA を用いてサザンハイブリダイゼーショ
その結果、Phodopus 属種間雑種の雄性不妊の主
ンを行った。9 種類の遺伝子が XY 型トゲネズ
な要因は、精母細胞のパキテン期における X-Y
ミにおいてオス特異的なバンドパターンを示し、
染色体間の対合異常によって引き起こされる第
トゲネズミ祖先種の Y 染色体に存在したと考え
一減数分裂中期(MI 期)の細胞死であり、MI
られた。また、8 種類の遺伝子が XO 型トゲネズ
期を通過して形成された精子には奇形がともな
ミ 2 種の雌雄のゲノム中に存在した。さらに各
うことが判明した。
遺伝子の染色体上の位置を FISH 法により確認し
た。現在は、転座した元 Y 領域についてゲノム
レベルでの解析を行うため、XO 型トゲネズミオ
スの BAC ライブラリーを作製し、スクリーニン
グを進めている。
ー 52 ー
O-19
O-20
マウスの脾臓リンパ球染色体異常頻度を指
標とした低線量率域の線量率効果
ATR-X 症候群患者由来細胞核における染色
体テリトリーの核内配置解析
香田 淳 1、○田中公夫 1、一戸一晃1、佐藤健一 2
○田辺秀之 1、和田敬仁 2
1)
(財)環境研 生物
1)総研大 先導科学
2)広島大 原医研 計量生物
2)神奈川県立こども医療センター 神経内科
高線量域から中線量率域での、染色体異常頻
ATR-X(X 連鎖αサラセミア・精神遅滞)症候
度、突然変異頻度に関した線量率効果について
群は、X 染色体上に局在する ATRX 遺伝子の変
異により発症する奇形症候群の一つである。そ
の報告はいくらかあるが、低線量率域の放射線
長期被ばく時に生じる線量率効果関係は全くわ
の病態は ATRX タンパク質のエピジェネティク
かっていない。本研究では低線量率ガンマ線長
ス制御の破綻によって引き起こされていると考
期照射をマウスに行い、二動原体染色体と転座
えられているが、詳細は不明である。
の頻度と線量率との関係を調べた。C3H 雌マウ
本研究では、ATR-X 症候群の発症における細
スに 8 週齢 (56 日齢 ) から低線量率 [1 mGy/day,
胞核高次構造や染色体配置の関与を検討するた
20 mGy/day] を Cs- ガンマ線を最大 700 日間連
めに、3D-FISH 法により次の 3 つの染色体腕特
続照射した。他に、中線量率(200 mGy/day と
異的領域の空間配置の特性を調べた。1)ATRX
400 mGy/day)と高線量率 (890 mGy/min) の照
遺伝子が存在する Xq、2)αサラセミアを引き
射も行った。脾臓リンパ球の二動原体染色体異
起こす原因となるαグロビン遺伝子が存在する
常は centromere FISH 法で転座型異常は M-FISH
16p、3)βグロビン遺伝子が存在する 11p(対照)。
法にて観察した。染色体異常頻度は 400 mGy/
ATR-X 症候群患者由来及び健常人由来の培養繊
day から 1 mGy/day まで有意に低下した。この
維芽細胞より細胞核スライドを調整し、DNA プ
ことより観察対象とした低線量率域には正の線
ローブをハイブリダイズされ、共焦点レーザー
量率効果が存在し、線量・線量率効果係数 (DDREF)
スキャン顕微鏡により染色体テリトリー相対核
は総線量が 100 mGy にて 4.5 で、転座型異常頻
内配置解析を行った。
度を指標とすると 2.3 であることがわかった。こ
そ の 結 果、ATR-X 症 候 群 患 者 由 来 細 胞 核 で
れらの成果は低線量放射線のリスク評価上重要
は Xq と 16p、及び 11p と 16p が高頻度に隣接
である。本研究は、青森県からの委託事業によ
(chromosome kissing)する現象が観察された(そ
れぞれ 34%、36%;健常人では 20%、18%)。
り得られた成果の一部である。
ATR-X 症候群の発症には染色体・遺伝子空間配
置が何らかの関与、影響を及ぼしている可能性
が示唆された。
ー 53 ー
O-21
O-22
チンパンジーにあってヒトにない染色体端
部ゲノム不毛地帯:存在様式変異から推測
される非相同染色体間末端組換え
○ 平井啓久
FIB/SEM を用いたヒト染色体スキャフォー
ルドタンパク質の三次元局在解析
○濱野徹 1、森井健一 1、Lee Mei Hann1、
林 麟 晏 2、Christian THOMAS 3、Andreas
1、平井百合子 1、古賀章彦 1、
鵜殿俊史 2
SCHERTEL 3、Peter GNAUK 3、内山進 1、
福井希一 1
1)京大 霊長研
2)京大 熊本サンクチュアリ
1) 大阪大 工 生命先端
2) 大阪大 超高圧電子顕微鏡センター
チンパンジーの染色体の 75% (18/24 対 ) は、
3) Carl Zeiss NTS GmbH
端部にヘテロクロマチン領域をもつ。長さの総
計がゲノムの 0.1% に相当するほどの大きな構
染色体動態および高次構造の形成に関わる因
造物である。ボノボとゴリラも同様である。こ
子として、陽イオンおよび染色体タンパク質が
れに相当する構造物はヒトにはみられず、ヒト
知られている。中でも Condensin は染色体中軸
とチンパンジーが分岐した後にヒトの系統で消
上に局在し、重要な働きをすることが知られて
失したものと、我々は考えている。この領域の
いる。本研究では、FIB/SEM を用いて単離染色
DNAの主たる成分のひとつに、32 bp を単位
体内部における Condensin の詳細な局在を三次
とする縦列反復配列があり、StSat (subterminal
元的に明らかにすることを目的とした。FIB/SEM
satellite) 反復配列と呼ばれる。挿入メカニズム
と は Focused ion beam に よ る 加 工 技 術 と SEM
はまだ不明だが、ゲノム内の分散は減数分裂の
による観察技術を組み合わせた電子顕微鏡で、
ブーケステージの染色体末端対合における、非
加工と観察を同時に行うことが出来る。これを
相同染色体間の組換えによるものが、メカニズ
用いて単離染色体を切断しその断面を観察でき、
ムのひとつと推測している。
染色体内部における Condensin の局在を電子顕
その推測を検証する目的で、先ず、染色体上
微鏡レベルの分解能で直接観察した。その結果、
の存在様式を明らかにした。解析した個体間比
Condensin は従来の報告同様、姉妹染色分体の
較において、StSat の存在様式に幾つかの異なる
中軸に局在し、その局在は断続的であることが
分布パタンが観察された。これは、減数分裂の
わかった。さらに染色体内部にはいくつもの不
パキテン期までに生じる「非相同染色体間末端
連続な空洞があることが明らかとなった。
組換え」の結果派生した変異であると推定され
る。検出した変異の態様とゲノム内分布機構の
仮説を示す。
ー 54 ー
O-23
コンデンシンⅡは複製された姉妹染色分体
を S 期のうちに分割する
○小野教夫、平野達也
理研・ASI・平野染色体ダイナミクス
分裂期において正確に分離・分配される染色
体の構築には、複製された姉妹染色分体が適切
に分割・凝縮する必要がある。この染色体凝縮
の過程では、コンデンシン I と II と呼ばれるタ
ンパク質複合体が中心的な役割を果たしており、
真核生物に広く保存されている。面白いことに、
コンデンシン II は細胞周期を通じて核に局在す
ることから、分裂期以外にも何らかの役割を持っ
ていることが予想されてきた。
これまでに我々は HeLa 細胞をもちいて、コ
ンデンシン II は S 期のうちにクロマチンとの結
合を開始するが、DNA 複製そのものには大きく
関与していないことを明らかにしてきた。そこ
で今回は、複製された姉妹染色分体の挙動 S 期
の核内で調べる目的で、BAC クローンを用いた
FISH 解析を行った。単一の染色体部位にマップ
される BAC のシグナルは複製前に単一のドット
で観察されるが、複製後にはダブルドットとな
る。この対となるドット間の距離を測定したと
ころ、コンデンシン II を除去した細胞ではコン
トロールと比較して、その距離が小さくなった。
コンデンシン II の除去に加えて複製を弱く攪乱
したところ、この距離はさらに小さくなり、分
裂中期における姉妹染色分体の分割と凝縮、そ
れに続く後期での分離に大きな異常が引き起こ
された。これらの結果から、コンデンシン II は
複製された姉妹染色分体を S 期のうちに分割す
る役割を持ち、分裂期における分割・凝縮の準
備に貢献していると考えられた。
ー 55 ー
一般講演
ポスター発表
日時: 2011 年 11 月 11 日(金)午後 1 時 00 分~ 12 日(土)午後 6 時 00 分
場所: 神奈川大学湘南ひらつかキャンパス 11 号館 1 階サーカムホールロビー
P-01
P-02
染色体倍加がシロイヌナズナ根端成長に
及ぼす影響の解析
新規複 2 倍体の Brassica napus の形質
不安定性と染色体挙動
○岩元明敏 1、近藤衣里 1、杉山宗隆 2
○近江戸伸子 1、藤井宏栄 2
1)東京学芸大学 教育学部
1) 神戸大学大学院 人間発達環境学研究科
2)東京大学 院 理 植物園
2) 山口県農林総合技術センター 農業技術部
染色体倍加がシロイヌナズナの根端成長に与
合成 Brassica napus(2n=38)、
「はなっこりー」は、
B. rapa (AA, 2n=20) と、B. oleracea (CC, 2n=18) の
える影響の詳細を明らかにするために、シロイ
交配とコルヒチンによる人工複2倍体化によっ
ヌナズナの 4、6、8 倍体を作出し、その根端成
長について細胞レベルでの定量的な解析(細胞
て山口県で育成された新しい野菜である。後代
動力学的解析)を行った。
を獲得するため採種を続けると、異形株が多数
4 倍体では根の静止中心(先端)から離れた位
発生し、形質が不安定となる。そこで、本研究
置では 2 倍体に比べて細胞体積と体積増大速度
では、形質が不安定となる現象を解明するため
が向上し、体積増大域も拡大していたが、細胞
に、はなっこりーに関連して、形態、花粉稔性、
増殖率と増殖域には大きな差がなかった。また、
染色体構成と挙動を調査した。形態型は5型に
4 倍体については複数系統を独立して作出し、そ
分類された。染色体数、花粉稔性、体細胞染色
れぞれについて細胞動力学的解析を行った。そ
体の FISH の結果から、異形株は花粉稔性が低く、
の結果、上述した倍数化による影響の傾向は同
染色体数が 36-42 であった。更に染色体の構成
じだったが、体積増大の向上の程度については
が異常である個体や、異常な染色体断片を持つ
作出した 4 倍体間で差が見られた。セントロメ
個体も観察された。
アをプローブとした FISH の結果から、この差に
減数分裂では異形株の分裂は正常株に比べ、
ついては染色体の動態が関連している可能性も
切断を生じた異常細胞が多かった。しかし、正
考えられる。
常、異常とも共通して、複糸期では多価染色体
また、6 倍体では 4 倍体に比べて細胞体積と
が観察された。2n=38 に個体であっても、この
体積増大速度でのさらなる亢進が見られた。一
ような減数分裂における異常のために、合成 B.
方で、8 倍体になると細胞体積は 6 倍体とほぼ
同じ大きさを維持したが、体積増大速度は大幅
napus は後代で形質が不安定であると考えられる。
つまり、安定した種子生産のためには、表現型
に低下して 2 倍体と同程度になった。また、6
が正常で、減数分裂異常が少ない株を選抜して、
倍体までは細胞増殖率には大きな変化はなかっ
採種することが重要と結論付ける。
たが、8 倍体になると大きく低下した。
ー 58 ー
P-03
P-04
日本産スミレ属の核型
滋賀県におけるアカサビザトウムシの染
色体数と色斑の地理的分化
○寺岡亜沙美、岩坪美兼、大野美波
○鶴崎展巨、岸田 薫
富山大学 院 理工学教育部
鳥取大学 地域 生物
スミレ科(Violaceae)は世界に 16 属 850 種
アカサビザトウムシ Gagrellula ferruginea ( カワ
存在し、その大部分の属は熱帯に分布する低木
ザトウムシ科フシザトウムシ亜科 ) は本州・四国・
または高木性の植物である。我が国には草本性
九州の山地森林に生息する普通種である。本種
のスミレ属(Viola)のみが分布し、40 種約 200
は体の色斑に地理的分化が著しく,11 ほどの地
分類群が存在する(浜栄助、1975)
。染色体の
理型が区別される。いっぽう染色体数も 2n=10
数や核型を明らかにすることは、スミレ属の分
− 24 の幅で地理的に激しく分化する。本種の
類や系統関係をより理解に寄与する。日本産ス
染色体数の分化については中国地方~近畿地方
ミレ属の染色体基本数は x=6,10,11,12,13 であ
北部と長野県・静岡県では比較的よく調査され
り、染色体研究は主に Miyaji(1929)によって
ているが,両者をつなぐ滋賀・福井・岐阜など
行われた。しかしながら、核型の報告は一部の
の一帯は調査不十分のまま残されている。この
種のみの報告だけであり、未だに多くの分類群
地域での染色体数の変異パターンの把握のため,
で明らかにされていない。本研究は、日本産ス
昨年から調査を進めている。滋賀県では昨年琵
ミレ属の詳細な核型分析を行うことを目的とし、
琶湖を一周する 21 集団 55 個体について調査し
体細胞分裂中期の染色体を観察した。その結果、
たところ,染色体数は琵琶湖東岸側の伊吹山地
初めてコスミレ(V. japonica)において、小型の
や鈴鹿山地沿いでは 2n=12,琵琶湖西岸では一
染色体が 1 本少ない 2n=47 の異数体が観察され
部に 14/15/16 の多型集団があるものの,おお
た。また、スミレサイシン節(sect. Vaginatae)
む ね 2n=16 で あ っ た。2n=16 と 2n=12 の 分 布
の 2 種 の 核 型 は、 シ コ ク ス ミ レ(V. shikokiana)
域は北部の余呉湖付近で近接しており,この付
2n=24=2M+16m+6sm、ヒメスミレサイシン(V.
近に交雑帯の存在が予想される。いっぽう,滋
yazawana)2n=20=2M+12m+6sm で あ り、1 ~
賀県南部では 14/15/16 の多型集団がかなり広
7 対までは極めて類似していた。これらの結果か
域(約 30-40 km 幅)に分布していることがわかっ
ら、スミレ属の染色体基本数の進化には短い染
た。これらの結果について報告する。
色体の変化が深く関係していると考えられた。
ー 59 ー
P-05
P-06
ヴィクトリア湖産シクリッドにおける B
染色体上の配列とその構成の解析
円口類における縦列型反復配列 Sr1 の分
子細胞遺伝学的解析
○鈴木南 1、寺井洋平 1、吉田恒太 1、黒岩麻里 2、
○鈴木久美子、石橋剛、山口徹、齋藤雄大、西
岡田典弘
川江里奈、藤川典子、河野晴一、久保田宗一郎
1
東邦大学 理学部
1)東京工業大 生命理工学部
2)北海道大 理学部
円口類メクラウナギ目8種は、発生初期に始
B 染色体とは、通常存在する基本の染色体に
原体細胞が染色体(DNA)の一部を失って体細
対して、過剰に存在する染色体である。これま
胞へ分化する、いわゆる染色体放出を行うこと
で、B 染色体は宿主に対して機能を持たないと考
が知られている。近年の分子生物学的な解析に
えられてきた。しかし、最近の研究においてヴィ
より、この仲間の生殖細胞特異的な染色体は多
クトリア湖産シクリッドの一部の種において B
様な高頻度反復配列のモザイクであることが示
染色体が性決定に関与していることが明らかに
された。一方 Sr1(Somatic repeat 1)は約 180
なった。本研究では、シクリッドにおける B 染
bp(または 150 bp)を 1 単位とし、上述の配列
色体の構成について解析した。まず、B 染色体上
とは対照的に生殖細胞特異的な染色体ではなく
に存在することが知られている5つの遺伝子に
体細胞ゲノムに局在、またメクラウナギ目のみ
ついて、定量 PCR を用いて B 染色体と常染色体
ならずヤツメウナギ目にも分布する円口類共通
における各遺伝子のコピー数の違い調べた。そ
の縦列型高頻度反復配列として、2007 年の本学
の結果、各遺伝子はいずれも、常染色体上と比
会で報告した。今回、頭索類ヒガシナメクジウ
較して B 染色体上に多数のコピーが存在してい
オ(Branchiostoma japonicum)からも新たに Sr1 を
検出、塩基配列を決定した。その結果、この種
ることが分かった。また、B 染色体は一番染色体
の短腕由来であることが知られている。これら
においても Sr1 は円口類各種の Sr1 と同様に塩
のこのことから、B 染色体は常染色体の一部から
基置換が少なく、種を越えた高い保存性を有し
生じ、反復単位を形成しているのではないかと
ていることが明らかとなった。広い系統に分布
考えられる。現在、性決定領域の決定、他の湖
しかつ極めて分子進化速度が遅いことから、Sr1
産のシクリッドとの配列比較などを行っており、
は分子進化上何らかの機能的な制約を受けてい
B 染色体の起源や B 染色体と性決定の関連性に
る可能性が強く示唆された。分子系統解析に加
ついて解析を行っている。
え、Sr1 をプローブとした FISH 解析の結果等も
併せて報告する。
ー 60 ー
P-07
P-08
凍結乾燥精子の高温耐性獲得と染色体異
常の誘発抑制
樹立幹細胞株の染色体に関する一考察
○日下部博一、立野裕幸
○佐藤均 1、横見出 2, 3
旭川医大 生物
1)東京大学 院 新領域 メディカルゲノム専
攻病態医療科学分野
哺乳類の精子や細胞を、非凍結条件で室温永
2)聖マリアンナ医大 薬理学
久保存するための方法として、凍結乾燥法が期
3)(株)アニマルケア
待できる。しかし現状では、凍結乾燥した精子
で さ え、 室 温(25 ℃) で 保 存 す る と、 保 存 開
昨年度の本年会で、臍帯血由来間葉系幹細胞
始から1カ月以内で構造的染色体異常が増加す
株5株の染色体安定性について報告した。今回
る。本研究ではマウスとヒトの精子を二糖類の
は、過去に経験したカニクイザル ES 細胞株1
トレハロースまたは多糖類のスターチ(可溶性
株とヒト iPS 細胞株1株における核型分析デー
デンプン)で処理し、凍結乾燥後に高温ストレ
タを示し、幹細胞株の染色体安定性と核型分析
ス(50℃、3 ~ 7 日間)を与えた。次に、単一
の有用性について再考察してみたい。近年、再
細胞ゲル電気泳動法(コメットアッセイ)によ
生医学領域において実用化を見据えた幹細胞
り DNA 傷害のレベルを調べ、または卵細胞質内
の 臨 床 応 用 研 究 が 加 速 し て い る が、 そ の 一 方
精子注入(ICSI)法により未受精卵に精子を注入
で、リプログラミング因子がもたらす細胞初期
し、第一卵割中期で染色体分析を行った。その
化現象の発生学的な分子メカニズムはまだ充分
結果、糖を加えない凍結乾燥精子では DNA 傷害
明らかにされていない。このような現状におい
のレベルが有意に高くなり、室温ストレスのマー
て、細胞表面分化マーカーや三胚葉への分化能
カーとみなされる染色分体交換が増加した。一
力による幹細胞株の評価は充分であるとは言え
方、マウスおよびヒト凍結乾燥精子ともに、ト
ず、アレイ CGH や SNP アレイなどの Molecular
レハロース(処理濃度:1 mol/L)とスターチ(処
karyotyping に加えて、樹立後早期から継続的に
理濃度:1%, w/v)が高温ストレスによる DNA
核型分析を組み合わせてゲノム安定性を評価す
傷害を効果的に抑えることがわかった。つまり、
ることが幹細胞株の品質を保証する上で求めら
上記の糖で処理したマウス精子やヒト精子は、
れる。
凍結乾燥後に室温で保存しても染色体異常が蓄
積しにくいことが示唆された。
ー 61 ー
P-09
P-10
Spatial and functional relationships between
Ki-67 antigen and condensins.
染色体タンパク質 RBMX 相互作用機構の
解析
*Yuko Nishiyama1,2, Masatoshi Takagi1, Takao Ono1,
○阪下有沙 1、水澤絵里 1、内山進 1、松永幸大 2、
Tatsuya Hirano1, Naoko Imamoto1,2
福井希一 1
1) Riken Advanced Science Institute
1)大阪大学 工 生命先端
2) Yokohama City Univ.
2)東京理科大 理工 応用生物
Proper assembly of mitotic chromosomes is an
細胞分裂時の染色体形成はゲノム情報を娘細
essential process for their faithful segregation in
胞へ安全かつ均等に分配するために非常に重要
dividing cells. Although it is evident that condensin
な過程である。しかしながら、染色体の高次構
complexes, referred to hereafter simply as
造構築機構は未だ解明されていない。RBMX は
"condensins", are the chief factors for this process,
当研究室で行ったヒト染色体プロテオーム解析
an additional factor(s) might also contribute
により同定された新規染色体タンパク質である。
to the assembly of mitotic chromosomes, as a
我々の研究から、RBMX を発現抑制すると染色
substantial level of chromosome "compaction"
分体間の接着が弱くなること、RBMX はコヒー
can be observed even in cells depleted of
シンと in vivo において相互作用していること、
condensins. The Ki-67 antigen (Ki-67), a well-
が分かってきた。これらの結果より RBMX はコ
known cell proliferation marker protein, decorates
ヒーシンとの相互作用を通じて、染色分体の接
the surface of chromosomes during mitosis, and
着に関与していると考えられる。
possesses an activity to change the conformation
現在、我々は RBMX による染色体接着制御機
of chromosomes. When Ki-67 and condensins
構を分子レベルで明らかにするため、RBMX と
are co-depleted from HeLa cells, severer defects
コヒーシンサブユニット、さらにはコヒーシン
in chromosome morphology are observed (our
関連タンパク質の相互作用について、in vitro 転
unpublished observation), raising a possibility that
Ki-67 might complement the action of condensins
and help support the full assembly of mitotic
chromosomes. To test this possibility further, we
have investigated spatial relationships between Ki-
写 / 翻訳システムを用いた解析をすすめた。
本 年 会 で は、in vitro 転 写 / 翻 訳 シ ス テ ム を 用
いた RBMX とコヒーシンを構成する Scc1 の in
vitro での相互作用について、コヒーシン関連タ
ンパク質との関係も含めて報告する。
67 and condensins on metaphase chromosome
spreads prepared from unperturbed and either Ki67 or condensins-depleted HeLa cells. Remarkably,
we noticed that Ki-67 was apparently re-localized
from the surface of chromosomes to their cores
when the level of condensins was lowered. Taken
together, our results suggest that, while Ki-67 and
condensins display distinct localization patterns,
they might have complementary roles in assembling
and shaping metaphase chromosomes in somatic
cells.
ー 62 ー
P-11
P-12
ヒト異常核型を分析するための学習ソフ
トウェア開発
RNAi 法を用いた染色体タンパク質 HP1BP74 の機能解析
○関澤浩一 1、加藤誠久 1、黒澤健司 2、田辺秀之 3、
○内山進、和田洋輔、林原加代子、黒木宏高、
岸 邦和
松永幸大、福井希一
1
大阪大学 工学研究科 生命先端工学専攻
1) 杏林大学 保健学部
2) 神奈川県立こども医療センター 遺伝科
高等真核生物のゲノム DNA は核内においてタ
3) 総合研究大学院大学 先導科学研究科
ンパク質と複合体を形成し、クロマチンとして
存在している。細胞分裂期においてクロマチン
演者らは、核型分析が自己学習できるソフト
は高度に凝縮した染色体構造を形成することが
ウェアの開発を行っている。今回、正常のヒト
知られている。当研究室では、ヒト分裂中期染
核型分析を学習できる機能に加え、構造異常や
色体のプロテオーム解析を行い同定した約 200
数の異常を伴った核型分析についても自己学習
種類のタンパク質について染色体上での存在量
できるソフトウェアの開発を試みた。
や局在、機能に基づいて分類した。これにより、
学 習 ソ フ ト ウ ェ ア は Visual Basic 6.0
染色体構造タンパク質のひとつとして同定され
(Microsoft) を用いて作製した。異常核型として
たのが本研究で解析対象とした Heterochromatin
用いた染色体中期G - 分染画像は、正常核型から
Protein 1-Binding Protein 74 (HP1-BP74) で あ
Adobe Photoshop (Adobe Systems) を 使 っ て 画
る。当研究室では RNAi 法を用いて in vivo にお
像処理により作製した。t(X;1)、t(2;21)、inv(1)、
ける HP1-BP74 の機能解析を進めてきた。RNAi
inv(2)、+13、+18、+21、rob(13;21),+21、
法により HP1-BP74 の発現を抑制すると、染色
t(2;7;5) などの異常核型を、同一の正常核型から
体が中期板に正常に整列しない異常な表現型を
作製した。核型分析後に、異常を伴う染色体を
示す細胞の増加が見られた。そこで本研究では、
示すため、矢印を画面上に表示できるようにし
HP1-BP74 の染色体整列における役割の解明を
た。また、構造異常の染色体について、切断点
目的とし解析を進めた。HP-BP74 の発現抑制に
を決定するため、イディオグラムを画面上に表
より、Hec1 と HP1 の動原体への局在の程度が
示できる機能を加えた。学習者のレベルに合わ
低下していた。これらの結果は、HP1-BP74 が
せて学習できるように、パスワードを設定した
動原体タンパク質との相互作用を通じて、動原
ことによって、難易度の異なる学習プログラム
体領域の構造構築に関与している可能性を示唆
を実施できるようになった。
している。
今後より専門性の高いソフトウェアの開発を
試みたい。
ー 63 ー
分科会1
技術講座3
3D-FISH
分科会 2
よろずコーナー
~リサーチサロン~
分科会3
学生研究発表会
分科会4
シニア研究者の
お知恵拝借
染色体学会 第 62 回(2011 年度)年会 参加者名簿
氏 名
所
B: 分科会、L: 市民公開講座、O: 口頭、P: ポスター、
S1: 公開シンポジウム 1、S2: 公開シンポジウム2
属
O-04
相原 光人
東京工業大学院生命理工学研究科
秋元 真宏
沼津工業高等専門学校
安積 良隆
神奈川大学理学部
阿部 周一
北海道大学大学院水産科学研究院
阿部 愼太郎
環境省那覇自然環境事務所
O-18
井川 武
広島大学理学部
O-06
池内 達郎
染色体学会理事長
L オーガナイザー
石井 孝佳
鳥取大学乾燥地研究センター
石下 聡
名古屋大学大学院生命農学研究科
O-10, O-17
石田 有香
放射線医学総合研究所発達期被ばく影響研究グループ
L-04
石橋 剛
東邦大学理学部
P-06
一戸 一晃
( 財)環境科学技術研究所生物影響
O-19
稲賀 すみれ
鳥取大学医学部ゲノム形態学分野
岩坪 美兼
富山大学理学部
P-03
岩元 明敏
東京学芸大学自然科学系生命科学分野
P-01
岩本 耕太郎
沼津工業高等専門学校
上野
紘一
近畿大学農学部
O-05
上野
直人
基礎生物学研究所総合研究大学院大学
O-06
牛木
辰男
新潟大学医学部
S1-4
内山 進
大阪大学大学院工学研究科
O-22, P-10, P-12, 座長(O-11 ~ 13)
鵜殿 俊史
京都大学熊本サンクチュアリ
O-21
宇野 好宣
名古屋大学大学院生命農学研究科
O-06, S1-01
梅澤 明弘
国立成育医療センター再生医療センター
S2-2
大谷 浩己
広島大学大学院理学研究科
O-07
大野 美波
富山大学大学院理工学教育部
P-03
近江戸 伸子
神戸大学大学院人間発達科学研究科
O-12, P-02, 座長(O-14 ~ 16)
大山 隆
早稲田大学教育・総合科学学術院
S1-5
岡田 典弘
東京工業大学院生命理工学研究科
O-04, P-05
尾形 光昭
横浜市繁殖センター
O-07
奥村 誠一
北里大学海洋生命科学部
押村 光雄
鳥取大学大学院医学系研究科
S2-5
小野 教夫
理化学研究所基幹研究所
S1 オーガナイザー , O-23, P-09
柿沼 志津子
放射線医学総合研究所発達期被ばく影響研究グループ
L-04
加藤 成二
山梨県総合農業技術センター
加藤 誠久
杏林大学保健学部
P-11
河内 紀浩
八千代エンジニヤリング
O-18
川越 大輝
北海道大学大学院生命科学院
O-08
菊池 真司
千葉大学大学院園芸学研究科
O-13, B 世話役 , B-1,B-3 進行役
岸田 薫
鳥取大学地域学部
P-04
岸
杏林大学保健学部
P-11
木村 元
早稲田大学教育・総合科学学術院
S1-05
金城 康人
東京都立産業技術研究センター
L, S1 オーガナイザー
日下部 博一
旭川医科大学生物学教室
P-07
久保田 宗一郎
東邦大学理学部生物学科
O-02, O-03, P-06, 座長(O-07 ~ 10)
邦和
演題発表番号の下線は講演者を示す。
ー 73 ー
染色体学会 第 62 回(2011 年度)年会 参加者名簿
氏 名
所
B: 分科会、L: 市民公開講座、O: 口頭、P: ポスター、
S1: 公開シンポジウム 1、S2: 公開シンポジウム2
属
黒岩 麻里
北海道大学大学院理学研究院
受賞講演 , O-04, O-18, P-05
黒木 宏高
大阪大学大学院工学研究科
P-12
黒木 陽子
理化学研究所 RCAI
O-18
黒澤 健司
神奈川県立こども医療センター遺伝科
P-11
小泉 雄紀
広島大学大学院理学研究科
O-07
香田 淳
( 財)環境科学技術研究所、生物影響
O-19
河野 晴一
東邦大学理学部
O-03, P-06
高本 美智
北海道大学大学院生命科学院
O-18
古賀 章彦
京都大学霊長類研究所
O-21
児玉 喜明
放射線影響研究所遺伝
L-1
後藤
帯広畜産大学環境生態
O-11
健
木庭 卓人
千葉大学大学院園芸学研究科
小針 良久
新潟大学大学院医師学系
S1-04
近藤 衣里
東京学芸大学自然科学系生命科学分野
P-01
近藤 郁美子
沼津工業高等専門学校
齋藤 雄大
東邦大学理学部
P-06
坂下 有沙
大阪大学大学院工学研究科
P-10
佐々木 えりか
公益財団法人実験動物中央研究所
S2-3
佐々木 隆史
東邦大学理学部
O-03
佐藤
健一
広島大学原爆放射線医科学研究所
O-19
佐藤
修正
かずさ DNA 研究所
O-12
佐藤 均
東京大学大学院新領域創成科学研究科
P-08, 座長(O-17 ~ 20)
佐原 健
北海道大学大学院農学研究院
O-01
柴田 洋
岡山大学資源植物科学研究所
O-15
澁澤 麻実
名古屋大学大学院生命農学研究科
O-10, O-11
島田 隆道
愛知医療学院短期大学
島田 義也
放射線医学総合研究所発達期被ばく影響研究グループ
L-4
下岡 保俊
早稲田大学教育・総合科学学術院
S1-05
尚 奕
放射線医学総合研究所発達期被ばく影響研究グループ
L-04
白髭 克彦
東京大学分子細胞生物学研究所
S1-6
数藤 由美子
放射線医学総合研究所緊急被ばく医療研究センター
L-3
杉山
東京大学大学院理学研究科
P-01
鈴木 岳
東邦大学大学院理学研究科
O-02
鈴木 久美子
東邦大学大学院理学研究科
P-06
鈴木 剛
大阪教育大学
B-2 進行役
鈴木 南
東京工業大学院生命理工学研究科
P-05
住田
広島大学理学部
O-06
関澤 浩一
杏林大学保健学部
P-11
祖父尼 俊雄
実験動物中央研究所 ICLAS モニタリングセンター
高井 明徳
大阪信愛女学院短期大学
O-05
高木 知世
基礎生物学研究所形態形成
O-06
高木 昌俊
理化学研究所基幹研究所
S1-2, P-09
高野 淳一郎
東邦大学理学部
O-03
高橋 映莉乃
沼津工業高等専門学校
宗隆
正幸
演題発表番号の下線は講演者を示す。
ー 74 ー
染色体学会 第 62 回(2011 年度)年会 参加者名簿
氏 名
所
B: 分科会、L: 市民公開講座、O: 口頭、P: ポスター、
S1: 公開シンポジウム 1、S2: 公開シンポジウム2
属
高畠 貴志
放射線医学総合研究所発達期被ばく影響研究グループ
L-04
高張 剛太
名古屋大学大学院生命農学研究科
O-09
多田 政子
鳥取大学染色体工学研究センター
S2-1, S2 オーガナイザー
立野 裕幸
旭川医科大学生物学教室
P-07
田中 公夫
( 財)環境科学技術研究所
L-5, O-19
田辺 秀之
総合研究大学院大学先導科学研究科
O-20, P-11, S2 オーガナイザー
田畑 哲之
かずさ DNA 研究所
O-12
辻本 壽
鳥取大学乾燥地研究センター
坪井 一真
名古屋大学大学院生命農学研究科
O-17
鶴崎 展巨
鳥取大学地域学部
P-04, 座長(O-01 ~ 03)
寺井 洋平
東京工業大学院生命理工学研究科
O-04, P-05
寺岡 亜沙美
富山大学大学院理工学教育部
P-03
長岐 清孝
岡山大学資源植物科学研究所
O-14, O-15, 座長(O-21 ~ 23)
中島 真人
新潟大学大学院医師学系
S1-04
中村 篤史
北海道大学大学院生命科学院
O-10
中山 潤一
理化学研究所発生・再生科学研究センター
S1-3
西川 江里奈
東邦大学理学部
P-06
西川 純一
早稲田大学教育・総合科学学術院
S1-05
西田 千鶴子
北海道大学大学院理学研究院
S1-01, O-06, O-08, O-09, O-10
西原 秀典
東京工業大学院生命理工学研究科
O-04
西村 まゆみ
放射線医学総合研究所発達期被ばく影響研究グループ
L-04
西山 祐子
横浜市立大学大学院・理化学研究所基幹研究所
P-09
長谷川 護
ディナベック株式会社
S2-04
濱野 徹
大阪大学大学院工学研究科
O-22
林原 加代子
大阪大学大学院工学研究科
P-12
伴 浩志
ディナベック株式会社
S2-04
平井 啓久
京都大学霊長類研究所
O-21, O-04
平井 百合子
京都大学霊長類研究所
O-04, O-21
平野 達也
理化学研究所基幹研究所
O-23, P-09
福井 希一
大阪大学大学院工学研究科
O-12, O-22, P-10, P-12
福田 一郎
東京女子大学
O-16, B-4
房木 ノエミ
ディナベック株式会社・JST さきがけ
S2-4
藤井 宏栄
山口県農林総合技術研究センター農業技術部
P-02
藤川 典子
東邦大学理学部
O-03, P-06
古川 一実
沼津工業高等専門学校
牧ヶ野 衣里
神戸大学大学院人間発達環境学研究科
O-12
松田 洋一
名古屋大学大学院生命農学研究科
S1-1, O-04, O-06, O-08, O-09,
O-10, O-11, O-17
松田 真生子
東邦大学大学院理学研究科
O-03
松永 幸大
東京理科大学理工学部
O-12, P-10, P-12
松原 和純
名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科
S1-01
松本 彩霞
鳥取大学乾燥地研究センター
丸田 泰史
鳥取大学乾燥地研究センター
三浦 郁夫
広島大学
O-07, 座長(O-04 ~ O-06)
演題発表番号の下線は講演者を示す。
ー 75 ー
染色体学会 第 62 回(2011 年度)年会 参加者名簿
氏 名
所
B: 分科会、L: 市民公開講座、O: 口頭、P: ポスター、
S1: 公開シンポジウム 1、S2: 公開シンポジウム2
属
三浦 理
早稲田大学教育・総合科学学術院
S1-05
水澤 絵里
大阪大学大学院工学研究科
P-10
溝入 真治
東京工業大学院生命理工学研究科
O-04
向井 康比己
大阪教育大学
O-14, B 世話役 , B-4 進行役
向井 裕幸
福山臨床検査センター
村田 稔
岡山大学資源植物科学研究所
O-14, O-15
村田 知慧
徳島大学 HBS
O-18
森井 健一
大阪大学大学院工学研究科
O-22
安河内 祐二
生物資源研究所昆虫ゲノム
O-01
山口 徹
東邦大学理学部
O-03, P-06
山田 文雄
森林総合研究所
O-18
山本 真紀
関西福祉科学大学健康福祉学部
O-14
横田 悦子
岡山大学資源植物科学研究所・岡山大学自然科学研究科
O-15
横見 出
聖マリアンナ医科大学・
(株)アニマルケア
P-08
吉田 恒太
東京工業大学大学院生命理工学研究科
O-04, P-05
吉田 光明
弘前大学被ばく医療総合研究所
L-2
吉戸 敦生
北海道大学大学院農学研究院
O-01
吉本 純子
東邦大学理学部
O-03
林 麟晏
大阪大学超高圧電子顕微鏡センター
O-22
若生 俊行
農業生物資源研究所
B-1
和田 敬仁
神奈川県立こども医療センター神経内科
O-20
渡邊 正勝
東京工業大学院生命理工学研究科
O-04
渡辺 正勝
光産業創成大学院大学光バイオ
O-11
和田 洋輔
大阪大学大学院工学研究科
P-12
Bisht M. S.
North-Eastern Hill University
B-2
Chaudhary H. K.
CSK HP Agricultural University
B-2
GNAUK P.
Carl Zeiss NTS GmbH
O-22
Iniguez L.
Roche NimbleGen Inc.
O-13
Jiang J.
University of Wisconsin-Madison
O-13
Lee M. H.
大阪大学大学院工学研究科
O-22
Rosenbaum H.
Roche NimbleGen Inc.
O-13
SCHERTEL A.
Carl Zeiss NTS GmbH
O-22
THOMAS C.
Carl Zeiss NTS GmbH
O-22
Wu Y.
University of Wisconsin-Madison
O-13
Yan H.
University of Wisconsin-Madison
O-13
Zhang W.
University of Wisconsin-Madison
O-13
演題発表番号の下線は講演者を示す。
ー 76 ー
財団法人 染色体学会年会史
回数
開催日
開催地
会場
主催
第1回
1950年10月17日
東京都
東京大学
東大・理
第2回
1951年10月15日
大阪市
大阪大学
阪大・医
第3回
1952年10月9日
新潟市
新潟大学
新潟大・理
第4回
1953年11月8日
三島市
国立遺伝学研究所
国立遺伝研
第5回
1954年10月30日
京都市
京都大学
京大
第6回
1955年10月16日~17日
岡山市
岡山大学
岡山大
第7回
1956年10月7日
富山市
富山市公会堂
富山大
第8回
1957年9月4日
札幌市
北海道大学
北大
第9回
1958年10月17日
名古屋市
名古屋大学
名大
第10回 1959年11月6日
大阪市
朝日新聞社大阪支社
阪大・医
第11回 1960年10月30日
福岡市
九州大学
九大
第12回 1961年9月4日
仙台市
東北大学
東北大
第13回 1962年10月20日
三島市
婦人青少年会館
国立遺伝研
第14回 1963年10月10日
東京都
東京大学
東大・教養
第15回 1964年7月28日~30日
東京都
日本大学
日大・獣医
第16回 1965年10月22日~23日
三島市
国立遺伝学研究所
国立遺伝研
第17回 1966年8月12日~13日
北大・教養
第19回 1968年9月3日
札幌市
北海道大学
西宮市・神
関西学院大学・神戸大学
戸市
東京都
国際基督教大学
第20回 1969年8月26日~27日
東京都
東京農業大学
東京農大
第21回 1970年11月26日~27日
三島市
婦人青少年会館
国立遺伝研
第22回 1971年10月6日~7日
福島市
吾妻荘
福島医大
第23回 1972年10月16日~17日
富山市
呉羽ハイツ
富山大
第24回 1973年10月3日~6日
浦和市・秩 埼玉会館ホール・中央公
父市
民館ホール
埼玉大・教養
第25回 1974年9月7日~8日
札幌市
ムトウビル
北大
第26回 1975年10月29日~30日
松山市
シャトウテル松山
愛媛大
第27回 1976年10月11日~12日
米子市
鳥取大学
鳥取大・医
第28回 1977年9月25日~26日
弘前市
弘前大学
弘前大・理
第29回 1978年10月13日~14日
千葉市
放射線医学総合研究所
放医研
第30回 1979年10月5日~6日
広島市
広島シティホテル
広島大・理
第31回 1980年9月30日~10月1日 横浜市
教育文化センター
木原生研
第32回 1981年10月16日~17日
名古屋市
愛知厚生年金会館
愛知がんセンター
第33回 1982年11月1日~2日
神戸市
神戸国際会議場
関学大・理
第34回 1983年10月13日~14日
伊豆長岡町 伊豆長岡富士見ハイツ
第18回 1967年10月11日~12日
ー 77 ー
関学大、神戸大
国際基督教大
国立遺伝研
財団法人 染色体学会年会史
第35回
1984年11月13日~14日
回数
開催日
第36回
1985年9月17日~18日
第1回 1950年10月17日
第37回
第2回 1986年10月13日~14日
1951年10月15日
東京都
開催地
仙台市
東京都
東京農業大学
会場
東北学院大学
東京大学
東京農大・農
主催
東北学院大・農
東大・理
東京都
大阪市
札幌市
新潟市
東京医科大学
大阪大学
北海道大学
新潟大学
東京医科大
阪大・医
北大・理
新潟大・理
弘前市
三島市
吹田市
京都市
弘前大学
国立遺伝学研究所
吹田・メイシアター
京都大学
弘前大・理
国立遺伝研
大阪学院大
京大
東広島市
岡山市
東広島市・平安閣
岡山大学
第7回 1991年10月20日~21日
1956年10月7日
第42回
富山市
長崎市
富山市公会堂
長崎県総合福祉センター
第8回
第43回
第9回
第44回
1957年9月4日
1992年10月2日~3日
1958年10月17日
1993年9月22日~23日
札幌市
松江市
名古屋市
千葉市
北海道大学
島根大学
名古屋大学
幕張メッセ・国際会議場
角谷医学研究所
岡山大
長崎大・教養、長崎放
富山大
影研
北大
島根大・教育
名大
東邦大・理
第10回
第45回
第11回
第46回
1959年11月6日
1994年11月4日~6日
1960年10月30日
1995年11月3日~5日
大阪市
高知市
福岡市
岡山市
朝日新聞社大阪支社
高知新聞放送会館
九州大学
岡山国際交流センター
阪大・医
高知医科大
九大
重井医学研究所
第12回
第47回
第13回
第48回
1961年9月4日
1996年11月8日~10日
1962年10月20日
1997年9月20日~21日
仙台市
熊本市
三島市
札幌市
東北大学
熊本市国際交流会館
婦人青少年会館
北海道大学
東北大
九州東海大・農
国立遺伝研
北大・理
第14回
第49回
第15回
第50回
1963年10月10日
1998年11月28日~29日
1964年7月28日~30日
1999年11月20日~21日
東京都
広島市
東京都
西宮市
東京大学
広島国際会議場
日本大学
武庫川女子大学
東大・教養
広島大・理
日大・獣医
武庫川女子大
国立遺伝学研究所
国立遺伝研
横浜市立大学・木原生物
横浜市立大学・木原生
学研究所
物学研究所
北海道大学
北大・教養
米子コンベンションセン
関西学院大学・神戸大学 鳥取大・医
関学大、神戸大
ター
近畿大学
国際基督教大学
国立科学博物館新宿分館
東京農業大学
近畿大・農
国際基督教大
科博・筑波実験植物園
東京農大
岡山大・教育
国立遺伝研
弘前大・農学生命
福島医大
第38回
第3回
第39回
第4回
1987年9月25日~26日
1952年10月9日
1988年9月28日~29日
1953年11月8日
第40回
第5回
第41回
第6回
1989年11月13日~14日
1954年10月30日
1990年10月11日~12日
1955年10月16日~17日
第16回 1965年10月22日~23日
第51回 2000年10月13日~15日
第17回 1966年8月12日~13日
第53回
第19回
第54回
第20回
2002年10月12日~13日
1968年9月3日
2003年10月11日~12日
1969年8月26日~27日
三島市
横浜市
札幌市
西宮市・神
米子市
戸市
奈良市
東京都
東京都
東京都
第55回
第21回
第56回
第22回
2004年11月2日~3日
1970年11月26日~27日
2005年10月9日~10日
1971年10月6日~7日
岡山市
三島市
弘前市
福島市
岡山大学
婦人青少年会館
弘前大学
吾妻荘
富山市
千葉市
浦和市・秩
父市
葉山町・湘
千葉大学けやき会館・幕張
呉羽ハイツ
富山大
北大・理、千葉大・園芸
OVTA
埼玉会館ホール・中央公
埼玉大・教養
民館ホール
総合研究大学院大学
総研大・先導研
湘南国際村センターホテル
ムトウビル
北大
第52回
第18回 2001年11月2日~4日
1967年10月11日~12日
第23回 2006年11月24日~25日
1972年10月16日~17日
第57回
第24回 1973年10月3日~6日
第58回 2007年11月26日~28日
第25回 1974年9月7日~8日
第26回
第59回
第27回
第60回
第28回
第61回
第29回
南国際村
札幌市
1975年10月29日~30日
2008年12月1日~4日
1976年10月11日~12日
2009年11月12日~14日
1977年9月25日~26日
2010年11月5日~7日
1978年10月13日~14日
松山市
吹田市
米子市
松江市
弘前市
船橋市
千葉市
愛媛大
ACC実行委員会
鳥取大・医
島根大・教育
弘前大・理
東邦大・理
放医研
第31回 1980年9月30日~10月1日 横浜市
シャトウテル松山
大阪大学コンベンションセ
ンター
鳥取大学
松江くにびきメッセ
弘前大学
東邦大学
放射線医学総合研究所
神奈川大学湘南ひらつか
広島シティホテル
キャンパス・平塚市中央公
民館
教育文化センター
第30回 2011年11月11日~13日
1979年10月5日~6日
第62回
広島市
平塚市
第32回 1981年10月16日~17日
名古屋市
愛知厚生年金会館
愛知がんセンター
第33回 1982年11月1日~2日
神戸市
神戸国際会議場
関学大・理
第34回 1983年10月13日~14日
伊豆長岡町 伊豆長岡富士見ハイツ
ー 78 ー
広島大・理
神奈川大・理
木原生研
国立遺伝研
謝辞
財団法人 染色体学会 第 62 回(2011 年度)年会
年会長 安積良隆
本年会を開催するにあたり、下記の企業・団体より多大なご賛助ならびにご協力を
賜りました。ここに記して厚く御礼申し上げます。
アクティブ・モティーフ 株式会社
株式会社 アブカム
株式会社 池田理化
株式会社 エーディーエステック
尾崎理化株式会社
オリンパス 株式会社
カールツアイスマイクロスコピー株式会社
株式会社 佐久間製作所
タイテック 株式会社
八洲薬品 株式会社
ライカマイクロシステムズ 株式会社
神奈川大学・理学部
神奈川大学・総合理学研究所
加えて、本年会を開催するにあたり、上記以外でも神奈川大学湘南ひらつかキャン
パスの多くの皆様にご協力頂きました。ここに厚く御礼申し上げます。
ー 79 ー
アクティブ・モティフ社の
エピジェネティクス解析製品
DNAメチル化解析
ヒストン修飾解析
ウエスタンブロッティング
• 修飾ヒストン特異的抗体
クロマチン再構築
メチル化DNA濃縮
ヒストン単離
• Histone Purification Kit
• Chromatin Assembly Kit
• MethylCollector™ Ultra
New • MeDIP Kit
• hMeDIP Kit
クロマチン免疫沈降
• ChIP-IT ® シリーズ
• 修飾ヒストン特異的抗体(ChIP用)
• RNA ChIP-IT ®
• Chromatin IP DNA Purification Kit
非メチル化DNA単離
• UnMethylCollector™
in vitro 転写
in vitro HAT
in vitro ChIP
アセチル化
Bisulfiteによる塩基変換
• HAT Assay Kit
• Recombinant Acethylated Histone
• MethylDetector™
DNAメチル化酵素解析
脱アセチル化
• DNMT Assay
• DNAメチル化関連抗体
New • DNAメチル化解析酵素
PvuRts1Ⅰ/β-Glucosyltransferase
• HDAC Assay Kit
メチル化
• Histone Modification ELISA
• Recombinant Methylated Histones
脱メチル化
• Histone Demethylase Assay
リン酸化
• Histone Modification ELISA
メチル化ヒストン - タンパク質相互作用
• MODified™ Histone Peptide Array
• Universal Magnetic Co-IP Kit
• HiLite™
End-point PCR
Real-time PCR
DNA増幅
• GenoMatrix™ Whole Genome Amplification Kit
ヒストン修飾マップポスター
配布中
高速シーケンス
マイクロアレイ
共通で用いる解析方法
アクティブ•モティフ株式会社 〒 162-0824 東京都新宿区揚場町 2-21
製品詳細は下記からご覧頂けます。
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e-mail: [email protected] Tel: 03-5225-3638 Fax: 03-5261-8733 www.activemotif.jp
ー 80 ー
ー 81 ー
ー 82 ー
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株式会社 佐久間製作所
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TEL: (03)3733-9751 FAX: (03)3731-1257
URL http://www.sakumajp.com
E-Mail [email protected]
ー 83 ー
ー 84 ー
ー 85 ー
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