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頭頸部がん治療薬として「アービタックス」

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頭頸部がん治療薬として「アービタックス」
News Release
2012 年 7 月 25 日
報道関係各位
頭頸部がん治療薬として「アービタックス®」を
厚生労働省が優先審査品目に指定
メルクセローノ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:パリス・パナヨトプロス、以下、メ
ルクセローノ)は、頭頸部がんを新たな効能・効果として申請を行った「アービタックス ® 注射液
100mg」(一般名:セツキシマブ/遺伝子組換え)が、6 月 26 日付で優先審査品目に指定されたこ
とを発表しました。
アービタックスの頭頸部がんの適応拡大は、局所進行頭頸部扁平上皮がん(LA-SCCHN)1 と再
発転移性頭頸部扁平上皮がんに対する日本国内で実施した第 II 相臨床試験の 2 つの臨床試験
成績と、海外で実施した 2 つの第 III 臨床試験(Bonner 試験及び EXTREME 試験)の主要な臨
床試験成績として申請されました。
Bonner 試験
2,3
は、モノクローナル抗体薬を導入し、局所進行性の頭頸部扁平上皮がんを対象と
した臨床試験です。アービタックスと放射線療法の併用群では、放射線療法のみの群と比較して、
1 年後の局所病勢コントロール期間(LRC)の中央値が 9.5 ヵ月延長することが示されました
(LRC 中央値: 24.4 ヵ月 vs. 14.9 ヵ月)。また、全生存期間(OS)の中央値は約 20 ヵ月延長し
(OS 中央値: 49.0 ヵ月 vs. 29.3 ヵ月)、局所病勢進行または死亡リスクが 27%減少することが示
されました(ハザード比 0.73、 p=0.018)。安全性プロファイルは、アービタックスと放射線療法そ
れぞれの単独療法で確認されたものと一貫性のあるものでした。
EXTREME 試験
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は、再発・転移性の頭頸部扁平上皮がん患者の生存期間を延長させるレジメ
ンとして認識された第 III 相臨床試験です。再発・転移性の頭頸部扁平上皮がんを対象とし、標準
治療である 2 剤併用化学療法(シスプラチン又はカルボプラチンに 5-FU を併用)とアービタックス
の併用群では、病勢進行または死亡リスクが 20%減少することが示され(ハザード比 0.80、
p=0.036)、また、全生存期間の中央値は化学療法のみの群と比較して 2.7 ヵ月延長しました
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News Release
(OS 中央値: 10.1 ヵ月 vs. 7.4 ヵ月)。安全性プロファイルは、アービタックスと 2 剤併用化学療法
のそれぞれの療法で確認されたものと一貫性のあるものでした。
メルクセローノ代表取締役社長パリス・パナヨトプロスは、「アービタックスが、頭頸部がんの患者
様に対する高いアンメットニーズを満たす可能性がある薬剤として、優先審査品目に指定されたこ
とを嬉しく思います。」と述べています。
メルクセローノ本社グローバル研究開発/メディカル統括バイスプレジデントのアナリサ・ジェンキン
スは、「頭頸部がんの治療、特に放射線療法もしくは化学療法の選択肢は決して十分とは言えま
せん。審査が迅速に行われることにより、頭頸部がんと闘っている患者様に抗体薬という新たな
治療選択肢をいち早く提供できることを望んでいます。」と述べています。
参考文献
1. European Journal of Cancer 2011; 47(Suppl 1):S564-5.
2. Bonner JA et al., Lancet Oncol 2010; 11: 21–28.
3. Bonner JA, et al. New Engl J Med 2006; 354:567-78.
4. Vermorken JB, et al. New Engl J Med 2008; 359:1116-27
5. Bourhis J and Pinto H. Redefining ‘State of the Art’ in Head and Neck Cancer. Oral presentation, 6th
6. International Conference on Head and Neck Cancer 7-11 August 2004.
7. Forastiere A, et al. N Engl J Med 2001:345(26), 1890-1900.
8. Ferlay J, et al. Int J Cancer2010; 127: 2893-917.
9. 日本臨床腫瘍学会編集、新臨床腫瘍学改訂第 2 版、2009、頭頸部がん: 416-426.
アービタックス(Erbitux)について
Erbitux は画期的新薬(ファーストインクラス)であり、EGFR を標的とする IgG1 モノクローナル抗体です。Erbitux
の作用機序は、EGFR に対して特異的に結合するという点で従来の標準的な化学療法とは明確に異なります。こ
の結合によって受容体の活性とそれ以降のシグナル伝達が抑制され、正常組織への腫瘍細胞の増殖、浸潤と新
しい部位への転移が抑えられます。また、化学療法や放射線療法によって引き起こされた損傷を修復する腫瘍細
胞の活性を抑制し、腫瘍内での血管新生を抑制するとも考えられており、それによって腫瘍の成長を全体的に抑
えるとされています。
Erbitux の最も多い副作用はざ瘡様皮疹であり、皮疹の程度(グレード)と治療効果は相関があると報告されてい
ます。また、患者のおおよそ 5%に過敏反応(hypersensitivity reactions)が発生する可能性があり、このうちの約
半数が重度な症状を示す可能性があります。
Erbitux は 92 カ国で市販承認を取得しており、大腸がんの治療薬としても 92 カ国で承認されています。また、局
所進行の頭頸部扁平上皮がんの治療薬として、89 カ国で承認を受けています。独メルクは 1988 年、イーライリリ
ーの 100%子会社であるイムクロンから米国、カナダ以外での Erbitux の販売権をライセンス供与されました。日
本では、イムクロン、ブリストル・マイヤーズスクイブ、およびメルクセローノ株式会社が共同で Erbitux の開発と実
用化を進めており、ブリストル・マイヤーズ株式会社とメルクセローノ株式会社が販売提携をしています。独メルク
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はがん治療の進展に引き続き尽力しており、現在は大腸がんや頭頸部扁平上皮がん、非小細胞肺がんにおける
Erbitux の使用など、対象領域における新規治療法の研究に取り組んでいます。また切除不能再発大腸がんの
一次治療薬として、フォリン酸と併用投与される経口抗がん薬 UFT®(テガフール・ウラシル配合)の権利も獲得し
ました。
頭頸部がんについて
頭頸部がんには口腔、舌、唾液腺、咽頭、喉頭、副鼻腔とその他の部位の腫瘍が含まれます。頭頸部がんの
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90%は、扁平上皮がんであり 、ほぼ全てが細胞増殖に重要な EGFR を発現しています 。化学療法や外科的手
技は著しく改善されているが、多くの病変は進行しているため頭頸部がんは特に治療困難であり、二次性の腫瘍
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や他の合併症を伴う患者さんもいます 。世界ではがんによる死亡は約 30 万人で頭頸部がんは 4%以上を占め
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、日本では 2007 年に 7879 人が頭頸部がんで死亡したと報告されています 。
2, 3
Bonner 試験について
局所進行頭頸部扁平上皮がん(LA-SCCHN)患者を対象とした海外第 III 相試験。セツキシマブと放射線療法
(RT)併用療法群と RT 単独群における局所病勢コントロール(LRC)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間
(PFS)、最良総合効果、急性または遅延性の毒性、QOL, EGFR の発現を検討しました。LRC 期間中央値は、セ
ツキシマブと RT 併用療法群で 24.4 ヵ月であり、RT 単独群の 14.9 ヵ月と比較して有意な延長が認められました。
追加解析の結果では、 生存期間中央値(MST)でセツキシマブと RT 併用療法群で生存期間の有意な延長が認
められ、セツキシマブと RT 併用療法群で 49.0 ヵ月、RT 単独群で 29.3 ヵ月であった。セツキシマブと RT 併用療
法群における主な有害事象(グレード 3/4)として粘膜炎(51.9%)、嚥下障害(26.0%)、放射線性皮膚損傷
(22.6%)などが報告されています。
EXTREME 試験について 4
Erbitux in first-line Treatment of REcurrent or MEtastatic head and neck cancer
再発転移性頭頸部扁平上皮がん(R/M-SCCHN)患者を対象とした第 III 相試験。セツキシマブと化学療法(シス
プラチン又はカルボプラチン+5-FU)(CT)併用療法群と CT 単独療法群における、全生存期間(OS)、無増悪生
存期間(PFS)、最良総合効果、病勢コントロール率、奏効期間、治療成功期間(TTF)、安全性、QOL を検討しまし
た。OS 中央値ではセツキシマブと CT 併用療法群で 10.1 カ月であり、CT 単独療法群の 7.4 ヵ月と比較して 2.7
か月の延長が認められ、統計学的に有意に改善しました。PFS、TTF もセツキシマブと CT 併用療法群で統計学
的に有意に改善しました。セツキシマブと CT 併用療法群における主な有害事象(グレード 3/4)として好中球減少
症(22.4%)、貧血(13.2%)、血小板減少症(11.0%)などが報告されています。
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News Release
メルクセローノ株式会社について
メルクセローノ株式会社は、ドイツに本社を置くメルク(Merck KGaA)のバイオ医薬品事業部門の日本法人です。
2007 年 10 月 1 日より、がんと不妊治療領域を重点領域とし日本での事業を開始しました。また、メルクセローノ
株式会社の本社はスイス、ジュネーブ市にあり、同年 1 月に設立されました。なお、メルクセローノ社の子会社は、
米国とカナダでは、EMD セローノ(EMD Serono)として事業展開しております。
メルクセローノ株式会社についての詳細は www.merckserono.co.jp をご覧ください。
メルクについて
メルク(Merck KGaA)はドイツのダルムシュタットに本社を置く世界的な医薬品・化学品会社です。会社としての起
源は 1668 年まで遡り、現在は世界 67 カ国で事業を展開しています。グループ従業員総数は約 40,000 人に上
り、起業家精神あふれる社員のイノベーションによって成功を収めてきました。2011 年総売上高は約 103 億ユー
ロでした。Merck KGaA の株式は全体の 30%が市場で取り引きされており、残りの 70%はメルクファミリーが合
資会社を通じて保有しています。なお、1917 年に当時の米国子会社 Merck & Co.の資産が接収された後、同社
はメルクグループから完全に独立しています。
メルクセローノ本社についての詳細は www.merckserono.com もしくは www.merckgroup.com をご覧ください。
本件に関する問い合わせ先
メルクセローノ株式会社
コーポレートコミュニケーション
正木 あつ子
Tel: 03-5424-8737
Email: [email protected]
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