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北海道包括外部監査の結果報告書

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北海道包括外部監査の結果報告書
平成 22 年度
北海道包括外部監査の結果報告書
道税の賦課及び徴収事務について
北海道包括外部監査人
税理 士
岩本
敏美
−目
Ⅰ
次−
外部監査の概要
第1
外部監査の種類
・・・・・・・・・・・
1
第2
選定した特定の事件(監査のテーマ)
・・・・・・・・・・・
1
第3
特定の事件を選定した理由
・・・・・・・・・・・
1
第4
監査の対象年度
・・・・・・・・・・・
1
第5
監査の対象機関
・・・・・・・・・・・
1
第6
監査の着眼点
・・・・・・・・・・・
2
第7
主な監査手続き
・・・・・・・・・・・
2
第8
包括外部監査人及び補助者
・・・・・・・・・・・
3
第9
監査期間
・・・・・・・・・・・
3
第 10
外部監査の日程(実地監査)
・・・・・・・・・・・
3
第 11
利害関係
・・・・・・・・・・・
3
Ⅱ
道税の概要
第1
道の財政状況
・・・・・・・・・・・
4
第2
道税の種類
・・・・・・・・・・・
11
・・・・・・・・・・・
13
Ⅲ
外部監査の結果及び意見の要約
Ⅳ
外部監査の結果及び意見
第1
個人道民税
・・・・・・・・・・・
20
第2
法人道民税
・・・・・・・・・・・
35
第3
道民税利子割
・・・・・・・・・・・
51
第4
道民税配当割
・・・・・・・・・・・
57
第5
道民税株式等譲渡所得割
・・・・・・・・・・・
59
第6
個人事業税
・・・・・・・・・・・
61
第7
法人事業税
・・・・・・・・・・・
70
第8
不動産取得税
・・・・・・・・・・・
80
第9
自動車取得税
・・・・・・・・・・・
90
第 10
自動車税
・・・・・・・・・・・
99
第 11
鉱区税
・・・・・・・・・・・
119
第 12
道固定資産税
・・・・・・・・・・・
122
第 13
核燃料税
・・・・・・・・・・・
124
第 14
地方消費税
・・・・・・・・・・・
126
第 15
道たばこ税
・・・・・・・・・・・
129
第 16
ゴルフ場利用税
・・・・・・・・・・・
133
第 17
軽油引取税
・・・・・・・・・・・
139
第 18
狩猟税
・・・・・・・・・・・
156
第 19
循環資源利用促進税
・・・・・・・・・・・
160
第 20
滞納整理事務
・・・・・・・・・・・
165
第 21
組織・体制・研修
・・・・・・・・・・・
184
第 22
徴税費
・・・・・・・・・・・
195
第 23
システム
・・・・・・・・・・・
206
Ⅴ
おわりに
第1
今後の道の税務行政について
・・・・・・・・・・・
210
第2
今後の地方税制に望むこと
・・・・・・・・・・・
212
凡
例
◎報告書の文中引用の略称は次のとおりである。
略称
道
振興局等
道税システム
法
地令
正
名
称
北海道
北海道本庁及び振興局・総合振興局・道税事務所
道税総合情報処理システム
地方税法
地方税法施行令
法附則
地方税法附則
条例
北海道税条例
条例附則
式
北海道税条例附則
◎報告書における表及び図の金額等は、原則単位以下を切り捨てしているため、合
計額と一致していない場合がある。
Ⅰ
外部監査の概要
第1
外部監査の種類
地方自治法第252条の37第1項の規定に基づく包括外部監査
第2
選定した特定の事件(監査のテーマ)
道税の賦課及び徴収事務について
第3
特定の事件を選定した理由
平成23年度当初予算によれば、道税は歳入全体の19.6%を占め、また、
道税や諸収入など道自らの権能に基づき自主的に収入できる自主財源に限って
みると、うち最大の59.8%を占める重要な自主財源である。
このように重要な位置を占める道税収入であるが、北海道の経済状況の悪化
などにより、平成23年度当初予算では前年度当初予算から引き続き、5,0
00億円を下回ることが想定される非常に厳しい状況にあり、収入の確保に向
けた一層の努力が求められている。また、地方税については、国の三位一体改
革による税源移譲等によりその重要性が増大するに伴い、厳正・公正な執行が
これまで以上に必要とされている状況である。
このような中、道税の収入未済額(滞納額)については、国税として納めら
れていた所得税の一部を地方の個人住民税に移し替える税源移譲が平成19年
に行なわれた影響に加え、徴収率が低下したこともあり、平成20年度に過去
最高の221億円に達し、平成21年度も引き続き200億円を超えている状
況にあり、道議会においても、道民負担の公平性、道の財政運営・自主財源の
確保、なによりも制度としての信頼性の確保の観点から、累増する道税の滞納
解消に努めることとの指摘がなされているところである。
さらに、平成20年2月に道が取りまとめた「新たな行財政改革の取組み(改
訂版)」の中で示された「財政構造改革に向けた取組み」においても、「道税収
入の確保」が重要課題とされ、その取組みが求められているところである。
このような状況から、道税の賦課及び徴収事務が、適正かつ効率的に行われ、
課税の公平及び適法な執行が図られていることを検証することは重要であると
考え、特定の事件として選定した。
第4
監査の対象年度
原則として平成21年度としたが、必要に応じて他の年度についても監査対
象とした。
第5
監査の対象機関
北海道総務部
- 1 -
次の北海道総務部及び14の振興局等における、道税の賦課及び徴収事務を
対象とした。
空知総合振興局(深川道税事務所を含む)
石狩振興局
後志総合振興局(小樽道税事務所を含む)
胆振総合振興局(苫小牧道税事務所を含む)
日高振興局
渡島総合振興局
檜山振興局
上川総合振興局(名寄道税事務所を含む)
留萌振興局
宗谷総合振興局
オホーツク総合振興局(北見道税事務所・紋別道税事務所を含む)
十勝総合振興局
釧路総合振興局
根室振興局
北海道総務部財政局税務課(札幌道税事務所を含む)
第6
1
2
監査の着眼点
道税の賦課及び徴収事務が法令等に準拠して適正かつ公平に行われているか。
道税の賦課及び徴収事務が、地方自治法第2条第14項及び第15項の趣旨
に則り、経済的かつ効率的に行われているか。
3
組織・体制・研修が効率的に機能しているか。
4
徴税費の支出が適正かつ効率的に行われているか。
5
道税システムが効率的に機能しているか。
第7
主な監査手続き
1
関係法令、条例、規則等の根拠規定を確認した。
2
道税の収入状況及び事務手続き等についてヒアリングを実施した。
3
一定の基準により振興局等に実地監査し、賦課及び徴収事務が関係法令に基
づき適正かつ効率的に行われているかヒアリング及びサンプル調査を実施した。
4
滞納整理が関係法令等に基づき適正に行われているか、サンプル調査を実施
した。
- 2 -
5
6
徴税費の支出に関する書類を閲覧し、それについてヒアリングを実施した。
組織・体制・研修に関する書類を閲覧し、それについてヒアリングを実施し
た。
7
道税システムに関する書類を閲覧し、それについてヒアリングを実施した。
第8
包括外部監査人及び補助者
包括外部監査人
補助者
補助者
補助者
補助者
補助者
第9
岩本
溝江
上田
久保
大滝
名和
敏美
諭
恵一
英樹
裕子
幸雄
税理士
税理士
税理士・公認会計士
税理士
税理士
公認会計士
監査期間
平成22年9月24日から平成23年1月31日まで
第 10
外部監査の日程(実地監査)
平成20年度道税収入決算調書において、不納欠損額が1億円以上または、
収入未済額が10億円以上の振興局等で次の通り実施した。
第 11
監査日
平 成 22 年 9 月 24 日 札
監査対象機関
幌 道 税 事 務
所
監査従事者
岩本
他5名
平 成 22 年 10 月
平 成 22 年 10 月
振
川
局
局
岩本
岩本
他3名
他4名
平 成 22 年 10 月 7 日 札幌道税事務所自動車税部
平 成 22 年 10 月 12 日 渡 島 総 合 振 興 局
岩本
岩本
他1名
他4名
平 成 22 年 10 月 14 日 石
平 成 22 年 10 月 15 日 空
知
岩本
岩本
他4名
他3名
平 成 22 年 10 月 25 日 釧
平 成 22 年 10 月 26 日 十
平 成 22 年 11 月
4日 胆
5日 上
4日 札
総
総
狩
合
合
振
振
興
興
総
振
合
興
振
興
局
局
路
勝
総
総
合
合
振
振
興
興
局
局
岩本
岩本
他3名
他4名
幌
道
税
事
務
所
岩本
他5名
利害関係
包括外部監査の対象とした事件につき、地方自治法第252条の29の規定に
より記載すべき利害関係はない。
- 3 -
Ⅱ
道税の概要
第1
1
道の財政状況
歳入状況
《平成22年度一般会計歳入予算》
その他
5,791億円
(20.5%)
道税
4,807億円
(17.1%)
地方譲与税等
788億円(2.8%)
歳入
2 兆 8 ,18 1 億 円
国庫支出金
3,106億円
(11.0%)
地方交付税
6,810億円
(24.2%)
その他道債
4,579億円
(16.2%)
道債
6,879 億円(24.4%)
臨時財政対策債
2,300億円(8.2%)
《過去10年間の一般会計歳入における道税の占める割合》
(単位:千円)
年度
歳 入 総額
道税
割合
平 成 1 2 年 度
3,3 89 ,46 7, 257
588 ,4 95, 37 2
17. 4%
平 成 1 3 年 度
3,3 13 ,90 9, 415
564 ,3 10, 95 9
17. 0%
平 成 1 4 年 度
3,0 41 ,54 9, 117
524 ,1 25, 38 8
17. 2%
平 成 1 5 年 度
2,9 66 ,00 4, 452
506 ,6 25, 39 8
17. 1%
平 成 1 6 年 度
2,8 78 ,47 6, 837
509 ,3 34, 54 4
17. 7%
平 成 1 7 年 度
2,9 31 ,65 6, 498
509 ,2 25, 21 3
17. 4%
平 成 1 8 年 度
2,8 01 ,61 3, 335
539 ,9 04, 18 2
19. 3%
平 成 1 9 年 度
2,9 20 ,48 9, 601
606 ,6 61, 74 0
20. 8%
平 成 2 0 年 度
2,9 30 ,73 7, 709
585 ,6 82, 87 6
20. 0%
平 成 2 1 年 度
3,0 81 ,22 4, 820
523 ,6 28, 41 8
17. 0%
平 成 2 2 年 度
2,8 18 ,09 6, 350
480 ,7 02, 92 7
17. 1%
※平成22年度は当初予算額である。
- 4 -
道財政は、長期の不況と過去の国の景気・経済対策等に呼応して発行した多額
の道債の償還費などにより危機的な状況である。
このような状況の中、平成22年度の当初予算は、前年比2%減の2兆8,1
81億円を計上している。道税は歳入予算の17.1%の4,807億円である
が、前年に比べ3.8%減少している。平成19年に、三位一体改革による個人
所得税の一部が個人住民税に税源移譲する税制改革があり、歳入に占める道税の
割合は増加したが、平成21年度は世界同時不況等の影響もあり法人二税の減少
などにより税源移譲前の割合まで減少している。
2
道税収入の推移等
道 税収入額の推移
億円
7,000
6,000
5,885
5,643
5,241 5,066 5,093 5,092
5,399
6,067 5,857
5,237
5,000
4,807
4,000
3,000
2,000
1,000
0
12
13
14
15
16
17
18
19
20
年度
※道税の収入済額で億円未満を四捨五入している。
※平成22年度は当初予算額である。
- 5 -
21
22(※)
《過去5年間の税目別収入済額》
(単位:千円)
税
個 人 道
目
民 税
17 年度
18 年 度
1 9年 度
2 0年 度
80, 36 2,4 25
88 ,23 7, 068
156 ,7 93, 255
16 0,7 33, 16 6
15 7, 683 ,90 0
法 人 道
民 税
23, 12 4,0 74
25 ,87 8, 901
25 ,6 43, 246
2 3,5 85, 19 9
1 8, 564 ,43 6
道 民 税 利 子 割
5, 30 2,1 04
4 ,11 4, 500
5 ,2 64, 939
5,1 18, 95 5
4, 537 ,51 8
個 人 事
業 税
4, 71 0,4 68
4 ,55 9, 897
4 ,5 46, 244
4,4 17, 25 6
4, 064 ,04 0
法 人 事
業 税
1 03, 30 2,8 30
126 ,61 7, 265
126 ,2 30, 264
11 9,8 08, 26 0
8 0, 973 ,93 1
地 方 消
費 税
74, 38 3,8 87
80 ,76 4, 477
78 ,7 70, 090
7 8,9 67, 27 0
6 9, 292 ,26 5
不 動 産 取 得 税
19, 04 3,3 69
17 ,94 3, 921
18 ,4 53, 153
1 8,4 71, 38 8
1 5, 316 ,18 1
道 た ば
14, 60 6,0 13
14 ,74 0, 637
14 ,4 47, 576
1 3,6 18, 60 2
1 2, 951 ,90 3
こ 税
21年 度
ゴ ルフ 場 利用税
2, 74 8,6 71
2 ,56 9, 322
2 ,5 11, 404
2,4 07, 85 8
2, 148 ,18 3
自 動 車 取 得 税
17, 21 0,7 94
16 ,78 4, 924
15 ,9 96, 176
1 4,1 32, 00 7
9, 680 ,45 0
軽 油 引
自
動
取 税
車
74, 20 7,4 22
69 ,06 4, 056
69 ,9 28, 631
5 8,0 45, 99 0
6 2, 568 ,71 2
税
89, 73 9,3 87
88 ,01 0, 702
86 ,8 16, 364
8 4,8 17, 08 1
8 3, 209 ,55 2
鉱
区
税
3 0,0 55
2 8, 954
30, 556
31, 52 9
33 ,49 4
狩
猟
税
15 0,0 12
14 7, 438
1 41, 326
1 34, 44 2
128 ,40 6
税
30 3,5 96
33 8, 034
5 52, 446
6 45, 40 3
1, 739 ,66 8
10 4, 001
5 36, 062
7 48, 46 3
735 ,77 1
96
77
-
-
-
5 09, 22 5,2 13
539 ,90 4, 181
606 ,6 61, 740
58 5,6 82, 87 6
52 3, 628 ,41 8
核
燃
料
循 環 資 源利 用 促 進税
旧法 に
よる 税
特 別地 方 消 費税
合
計
個人道民税は、平成19年度の税源移譲の結果、倍増に近い税収になった。
法人二税は、平成20年度に発生した、世界同時不況以降の景気の低迷や税制
改正の影響もあり大幅に減少している。
自動車取得税、自動車税は車両登録台数の減少とともに年々減収となっている。
平成21年度には、エコカー減税の影響もあり、自動車取得税は大幅な減収とな
った。
- 6 -
《平成21年度税目別調定収入額等一覧》
(単位:千円)
調定額
税目
収入済額
収入率
予算現額
不納 欠損 額 収 入未 済額
現年課税分 滞納繰越分
個
人 道 民 税 158, 253, 598 159, 753, 437
法
12 ,653 ,250
計
現年課税分 滞納繰越分
17 2,40 6,68 7 15 4,4 31,8 91
計
3,2 52, 008
157, 683, 899
7 90,3 13 1 3,93 2,47 4
現年 課税 滞納 繰越
分
分
96. 7
25 .7
予 算現 額に
対 する収入
済額 の割 合
計
91.5
99.6
人 道 民 税
18, 401, 334
18, 626, 713
300 ,790
1 8,92 7,50 3
1 8,48 7,83 4
76,6 02
18, 564, 436
53,3 71
30 9,69 5
99. 3
25 .5
98.1
1 00.9
道 民 税 利 子 割
4, 358, 425
4, 537, 518
-
4,53 7,51 8
4,5 37,5 18
-
4, 537, 518
-
-
100. 0
-
10 0.0
1 04.1
個
人 事 業 税
4, 363, 397
4, 072, 122
352 ,335
4,42 4,45 7
3,9 73,0 03
91,0 36
4, 064, 039
29,1 76
33 1,24 0
97. 6
25 .8
91.9
93.1
法
人 事 業 税
80, 580, 041
81, 110, 625
669 ,809
8 1,78 0,43 4
8 0,83 6,37 6
1 37,5 55
80, 973, 931
1 34,9 78
67 1,52 3
99. 7
20 .5
99.0
1 00.5
地
方 消 費 税
68, 334, 633
69, 292, 265
-
6 9,29 2,26 5
6 9,29 2,26 5
-
69, 292, 265
-
-
100. 0
-
10 0.0
1 01.4
不 動 産 取 得 税
15, 072, 961
15, 359, 054
2 ,222 ,428
1 7,58 1,48 2
1 4,86 2,94 7
4 53,2 33
15, 316, 180
2 77,3 67
1,98 7,93 4
96. 8
20 .4
87.1
1 01.6
道
こ 税
12, 840, 249
12, 951, 903
-
1 2,95 1,90 3
1 2,95 1,90 3
-
12, 951, 903
-
-
100. 0
-
10 0.0
1 00.9
ゴ ルフ場利用税
2, 326, 326
2, 146, 856
55 ,059
2,20 1,91 5
2,1 38,6 59
9,5 24
2, 148, 183
7,6 21
4 6,11 0
99. 6
17 .3
97.6
92.3
た ば
自 動 車 取 得 税
軽
自
油 引 取 税
動
車
税
9, 488, 335
9, 678, 255
15 ,333
9,69 3,58 8
9,6 76,1 05
4,3 45
9, 680, 450
2,7 87
1 0,35 1
100. 0
28 .3
99.9
1 02.0
60, 573, 213
62, 119, 102
1 ,367 ,039
6 3,48 6,14 1
6 1,29 2,33 2
1,2 76, 379
62, 568, 711
16,6 17
90 0,81 2
98. 7
93 .4
98.6
1 03.3
83, 138, 574
83, 181, 533
4 ,147 ,821
8 7,32 9,35 4
8 2,07 8,24 4
1,1 31, 308
83, 209, 552
5 47,5 13
3,57 2,28 9
98. 7
27 .3
95.3
1 00.1
鉱
区
税
31, 157
34, 483
1 ,905
3 6,38 8
33,4 77
17
33, 494
-
2,89 4
97. 1
0 .9
92.0
1 07.5
狩
猟
税
126, 832
128, 406
-
12 8,40 6
12 8,4 06
-
128, 406
-
-
100. 0
-
10 0.0
1 01.2
税
1, 740, 442
1, 739, 668
-
1,73 9,66 8
1,7 39,6 68
-
1, 739, 668
-
-
100. 0
-
10 0.0
1 00.0
循 環 資 源 利 用 促 進税
750, 000
738, 666
2 ,123
74 0,78 9
73 3,6 48
2,1 23
735, 771
-
5,01 8
99. 3
100 .0
99.3
98.1
旧法によ 特別地方
る税
消費税
-
-
119
11 9
-
-
-
1 19
-
-
0 .0
0.0
-
520, 379, 517
525, 470, 613
21 ,788 ,016
54 7,25 8,62 9 51 7,1 94,2 83
6,4 34, 134
523, 628, 418
1,8 59,8 67 2 1,77 0,34 4
98. 4
29 .5
95.7
1 00.6
核
燃
料
合計
《平成21年度振興局等別調定収入額等一覧》
(単位:千円)
調定額
区
収入済額
分
現年課税分 滞納繰越分
計
現年課税分 滞納繰越分
収入率
計
不納欠損額 収入未済額
現年課税分 滞納繰越分
計
空 知 総 合振 興局
1 5 ,6 7 4,5 6 6
9 70 ,7 3 2
1 6 ,6 45 ,2 9 9
1 5, 39 3 ,1 21
21 5 ,5 68
15 ,6 0 8 ,68 9
8 0, 05 0
9 5 6,5 5 8
9 8 .2
2 2. 2
93 .8
石 狩 振 興 局
2 2 ,6 2 0,0 5 4
1 ,5 24 ,8 1 0
2 4 ,1 44 ,8 6 5
2 2, 10 1 ,6 03
37 4 ,5 69
22 ,4 7 6 ,17 2
8 4, 19 4
1 ,5 8 4,4 9 7
9 7 .7
2 4. 6
93 .1
後 志 総 合振 興局
1 2 ,7 2 9,5 0 9
7 04 ,7 7 2
1 3 ,4 34 ,2 8 2
1 2, 46 3 ,5 24
20 7 ,7 08
12 ,6 7 1 ,23 3
3 6, 47 6
7 2 6,5 7 2
9 7 .9
2 9. 5
94 .3
胆 振 総 合振 興局
2 8 ,5 2 6,3 8 1
1 ,3 43 ,6 0 1
2 9 ,8 69 ,9 8 2
2 8, 00 6 ,3 93
39 0 ,7 54
28 ,3 9 7 ,14 7
9 5, 43 5
1 ,3 7 7,3 9 8
9 8 .2
2 9. 1
95 .1
日 高 振 興 局
4 ,0 5 8,1 6 7
3 39 ,1 9 8
4 ,3 97 ,3 6 6
3, 92 3 ,5 86
8 3 ,4 36
4 ,0 0 7 ,02 2
1 4, 46 6
3 7 5,8 7 7
9 6 .7
2 4. 6
91 .1
渡 島 総 合振 興局
2 2 ,8 3 9,7 1 4
1 ,6 78 ,7 4 6
2 4 ,5 18 ,4 6 1
2 2, 22 1 ,3 50
42 6 ,6 06
22 ,6 4 7 ,95 7
1 2 6, 14 3
1 ,7 4 4,3 5 9
9 7 .3
2 5. 4
92 .4
檜 山 振 興 局
1 ,7 4 4,3 9 6
1 43 ,7 7 2
1 ,8 88 ,1 6 8
1, 70 5 ,7 36
2 6 ,7 01
1 ,7 3 2 ,43 8
7, 45 9
1 4 8,2 7 0
9 7 .8
1 8. 6
91 .8
上 川 総 合振 興局
3 1 ,9 1 0,8 7 2
1 ,7 72 ,4 1 9
3 3 ,6 83 ,2 9 1
3 1, 27 5 ,8 11
43 6 ,7 78
31 ,7 1 2 ,58 9
1 0 5, 94 2
1 ,8 6 4,7 5 8
9 8 .0
2 4. 6
94 .1
留 萌 振 興 局
2 ,9 8 1,5 7 8
1 14 ,7 2 4
3 ,0 96 ,3 0 2
2, 94 4 ,0 32
3 2 ,0 43
2 ,9 7 6 ,07 5
7, 63 9
1 1 2,5 8 8
9 8 .7
2 7. 9
96 .1
宗 谷 総 合振 興局
4 ,5 4 9,4 0 1
2 60 ,0 9 0
4 ,8 09 ,4 9 2
4, 48 0 ,9 52
5 3 ,4 08
4 ,5 3 4 ,36 1
7, 93 3
2 6 7,1 9 6
9 8 .5
2 0. 5
94 .3
オホ ーツ ク総 合 振 興局
1 8 ,6 9 3,2 5 7
8 87 ,9 0 3
1 9 ,5 81 ,1 6 0
1 8, 38 3 ,0 76
20 6 ,4 04
18 ,5 8 9 ,48 0
6 4, 26 0
9 2 7,4 2 0
9 8 .3
2 3. 2
94 .9
十 勝 総 合振 興局
2 4 ,6 3 6,4 0 7
1 ,1 89 ,6 7 0
2 5 ,8 26 ,0 7 8
2 4, 25 0 ,0 95
31 2 ,8 77
24 ,5 6 2 ,97 2
1 3 2, 43 0
1 ,1 3 0,6 7 4
9 8 .4
2 6. 3
95 .1
釧 路 総 合振 興局
1 5 ,2 0 7,3 2 2
1 ,3 26 ,6 4 0
1 6 ,5 33 ,9 6 2
1 4, 78 5 ,5 48
27 2 ,8 45
15 ,0 5 8 ,39 4
1 3 6, 70 4
1 ,3 3 8,8 6 4
9 7 .2
2 0. 6
91 .1
根 室 振 興 局
5 ,1 0 5,8 1 8
3 69 ,0 3 7
5 ,4 74 ,8 5 6
4, 99 8 ,8 67
9 7 ,4 73
5 ,0 9 6 ,34 0
1 6, 18 5
3 6 2,3 2 9
9 7 .9
2 6. 4
93 .1
3,2 9 6 ,9 58 2 42 ,5 2 5, 60 7
9 4 4, 54 3
8 ,8 5 2,9 7 5
9 8 .4
3 6. 0
96 .1
札 幌 道 税事 務所 24 3 ,1 6 1,2 3 0
総務 部財政局税 務課
合 計
7 1 ,0 3 1,9 3 3
52 5 ,4 7 0,6 1 3
9 ,1 61 ,8 9 6 2 5 2 ,3 23 ,1 2 6 2 3 9, 22 8 ,6 49
-
7 1 ,0 31 ,9 3 3
7 1, 03 1 ,9 33
2 1 ,7 88 ,0 1 6 5 4 7 ,2 58 ,6 2 9 5 1 7, 19 4 ,2 83
71 ,0 3 1 ,93 3
-
-
1 0 0. 0
-
1 0 0.0
6,4 3 4 ,1 34 5 23 ,6 2 8, 41 8
-
1 ,8 5 9, 86 7
2 1 ,7 7 0,3 4 4
9 8 .4
2 9. 5
95 .7
- 7 -
《過去5年間の税目別収入未済額の推移》
(単 位: 千円 )
税
目
17年 度
18年 度
19年 度
20年度
21年度
個
人
道
民
税
6,515,626
6,758,354
10,379,187
12,775,831
13,932,474
法
人
道
民
税
348,392
296,186
257,160
308,585
309,695
道
民
税
利
子
割
− − − − − 個
人
事
業
税
428,639
383,858
354,899
353,128
331,240
法
人
事
業
税
1,143,091
873,876
529,698
699,273
671,523
地
方
消
費
税
不
動
産
取
こ
税
− 1,987,934
場 利
用
税
82,010
63,659
49,158
55,059
46,110
自
動 車
税 取
得
税
24,197
24,431
19,236
15,512
10,351
軽
油
税
304,363
194,097
651,442
1,367,039
900,812
税
4,838,160
4,651,877
4,406,801
4,166,093
3,572,289
3,045
2,336
2,549
1,905
2,894
車
− 2,392,778
− ル フ
動
30
2,254,272
− ゴ
引
− 1,910,074
− た
取
税
2,120,219
− 道
自
ば
得
− − 鉱
区
税
狩
猟
税
− − − − − 税
− − − − − 循 環 資 源 利 用 促 進 税
− − − 核
燃
旧
法
に
よ
る
税
合
料
2,123
特 別地方消費税
3,207
377
275
119
計
15,810,955
15,159,160
18,904,682
22,137,450
5,018
− 21,770,344
(注) 1 収入未済額は、不納欠損額を差し引いた額である。
2「地方消費税」は、譲渡割及び貨物割の合計額である。
3 平成21年度の「自動車取得税」及び「軽油取引税」は、新法及び旧法の合計額である。
収入未済額の合計は、平成20年度に初めて200億円を超え過去最高となり、
道にとって深刻な状況である。
その主な原因は、個人道民税の急激な増加で、平成18年度と比較して平成2
1年度は、ほぼ倍増している。税源移譲による税額の増加に加え、世界同時不況
による景気の低迷の影響により収入率が低下したものと思われる。これにより、
自動車税の収入未済額が減少したにも係わらず、それを上回る大幅な増加は今後
の道財政に大きな影響を及ぼすと思われる。
- 8 -
3
道の健全化判断比率の状況
(1)概要
平成19年6月に地方公共団体の財政に関する法律(いわゆる地方公共団体
財政健全化法)が成立した。地方公共団体財政健全化法では、地方公共団体の
財務状況を4つの指標で分析を行い、その結果、一定の基準に達しない場合に
は、地方公共団体の財政状況について改善を求めることとなっている。その基
準は2段階からなっており、まず財政健全化に向けて早期是正を警告するため
の早期健全化基準、さらに悪化した場合には国が再建に関与して確実な再生を
図ることとする財政再生基準である。
4つの指標とは、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来
負担比率であり、それぞれの指標の定義は次のとおりである。
実 質 赤 字 比 率 一般会計等の実質赤字額の標準財政規模に対する比率
一般会計等の赤字の程度を示す。
連結実質赤字比率
実質公債費比率
公営事業を含め た自治体 全体の会計 における連 結実質赤字
額の標準財政規模に対する比率
自治体全体の赤字の程度を示す。
一般会計等が負担する公債費だけでなく、公営企業債の元利
償還金に対する 公債費に 準ずるもの や一部事務 組合の公債
費の負担等を含 めた実質 的な公債費 相当額の標 準財政規模
に対する比率
実質的な公債費 等がどの 程度の財政 負担となっ ているかを
示す。
将 来 負 担 比 率 一般会計等が将 来負担す べき実質的 な負債額の 標準財政規
模に対する比率
将来財政を圧迫する程度を示す。
(2)道の状況
道における過去3年間の健全化判断比率の状況は次のとおりである。
(単位:%)
分
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
早期健全 化基 準
財政再生基 準
実 質 赤 字 比 率
―
―
―
3 .75
5 .0 0
連結実質赤字比率
―
―
―
8 .75
25 .0 0
実 質 公 債 費 比率
21 .7
22 .3
24
25
35
将 来 負 担 比 率
335 .6
346 .0
3 50 .1
4 00
区
※年度は決算年度である。
※実質赤字比率及び連結実質赤字比率は会計において赤字となっていないため計上
されていない。
- 9 -
道の財政状況は年々悪化しており、実質公債費比率については、平成19
年度決算以降において全国都道府県で最も高い比率となっている。さらに平
成22年10月に公表された「実質公債費比率推移(試算)の概要」による
と、平成23年度の24.3%をピークとして低下するが、金利の状況によ
っては平成29年度には早期健全化基準を超えることも予想されている。
また、将来負担比率についても平成20年度決算で、兵庫県(360.1%)
に次ぎ都道府県ではワースト2であり、全国平均(219.3%)をも相当
上回っている。
財政的に自立した運営を行うためにも、早期にこの状況から脱却すること
が求められている。
《各年度の実質公債費比率の推移(試算)》
(単位:%)
年度
H22
H23
H24
H25
H26
H27
H28
H29
H30
H31
H32
H36
24.3
23.7
23.0
23.4
23.7
24.7
25.0
25.2
24.5
23.9
20.9
24.3
23.7
22.9
23.1
23.3
24.1
24.4
24.5
23.7
23.0
19.9
24.3
23.6
22.8
22.9
22.9
23.6
23.8
23.8
23.0
22.2
19.0
今 回 試算 A
(高 位 推 計)
今 回 試算 B
24.0
(中 位 推 計)
今 回 試算 C
(低 位 推 計)
※年度は算定年度である。
- 10 -
第2
道税の種類
税金には、国に納める「国税」と地方公共団体に納める「地方税」があり、
地方税はさらに、都道府県に納める「都道府県税」と市町村に納める「市町村
税」に分けられる。また、道税を使いみちと納める方法などによって分類する
と、次のようになる。
●法定税(法で税目が定められている税)
〈使いみちによる分類〉
普通税 :税収入の使いみちが特定されていないもの
狩猟税、循環資源利用促進税以外の道税
目的税 :税収入の使いみちが特定されているもの
・狩猟税は、道が鳥獣の保護及び狩猟に関する行政の実施に要する費用に充て
ることを目的として使い道を特定している。
・循環資源利用促進税は、産業廃棄物の排出抑制やリサイクルの促進などの施
策を推進するために要する経費に充てることを目的として使い道を特定して
いる。
〈納める方法による分類〉
直接税:税金を負担する人が、直接道に納める税で、個人・法人道民税、事業税、
不動産取得税、自動車取得税、自動車税等が該当する。
間接税 :税金を負担する人が、直接道に税を納めるものではなく、納税義務者た
る事業者等を通じて納めるもので、地方消費税、道たばこ税、ゴルフ場
利用税、軽油引取税が該当する。
●法定外税(法で税目が定められていない税)
法定外普通税 :法に定めのある以外の税目の地方税であり、かつ、税の使いみち
の特定されていない税であり、現在道では、核燃料税が法定外普
通税に該当する。
法定外目的税 :法に定めのある以外の税目の地方税であり、かつ、税の使いみち
が特定されている税であり、現在道では、循環資源利用促進税が
法定外目的税に該当する。
- 11 -
道税
普 通税
直接税
道民税
個人道民税
道内に住所のある個人にかかります。
法人道民税
道内に事務所・事業所のある法人にかかります。
道民税利子 割
金融機関から利子の支払を受けるときにかかります。
道民税配当 割
上場株式等の配当を受けるときにかかります。
道民税株式等譲渡所得割
上場株式等を譲渡したときにかかります。
事業税
間接税
目 的税
個人事業税
事業を営んでいる個人の所得にかかります。
法人事業税
事業を営んでいる法人の 所得、付加価値額、資本金等の
額又は収入全額にかかります。
不動産取 得税
土地や家屋を取得したときにかかります。
自動車取 得税
自動車を取得したときにかかります。
自動車 税
自動車の所有者にかかります。
鉱区税
鉱業権の所有者にかかります。
道固定資 産税
市町村でかかる固定資産税 (償 却資産)のうち一定の額を超え
るものにかかります。
核燃料 税
核燃料を発電用原子炉に挿 入し たときにかかります。(法定外
普通税)
地方消費 税
消費税が課税される取引に対して消費税と併せてかかります。
道たばこ 税
卸売販売業者等が小売販売 業者 に売り渡したたばこの本数に応
じてかかります。
ゴルフ場 利用税
ゴルフ場を利用したときにかかります。
軽油引取 税
軽油の引取りをしたときにかかります。
直接税
狩猟税
間接税
循環資源利用促進税
狩猟者の登録を受けるときにかかります。
産業廃棄物を焼却施設又は 最終 処分場に搬入したときにかかり
ます。(法定外目的税)
- 12 -
Ⅲ
外部監査の結果及び意見の要約
今回の包括外部監査により、道税の賦課及び徴収事務が法令等に準拠して適正か
つ公平に行われ、また事務処理が経済的かつ効率的に行われているかを検証したと
ころ、次に掲げる事項について改善または検討すべき点があった(全50件)。その
内容について、ここでは次に掲げる区分により要約を述べ、具体的内容は次の「Ⅳ
外部監査の結果及び意見」で述べる。
●【指摘】早急に是正または改善を求める指摘事項(17件)
●【意見】監査の結果に添えて提出する意見(33件)
(適法性、有効性、効率性、経済性の観点から検討の必要がある事項)
また、直ちに道において改善することを求めるものではないが、包括外部監査人
が今回の監査を通じて感じた点について、【所感】として記載した(8件)。将来的
な課題として、今後において検討されることを期待するものである。
第1
個人道民税
【意見
1】地域間の徴収率の格差の是正による公平性の確保を目指し、市町村と連
携して徴収対策を進めるため、
「 市町村別徴収成績向上対策分析表」や「市
町村別徴収成績向上対策検討表」の活用の徹底や、滞納整理の取り組み
状況の把握(消滅時効による不納欠損額や差押件数など)に着目した分
析表の改善を検討すべきである。
【意見
2】個人道民税の収入未済額の7割以上を占める主要都市との連携を一層強
化するため、
「市税及び道税の徴収対策検討会」の継続などの取り組みを
推進すべきである。
【意見
3】法第48条に基づく市町村からの徴収の引継による「直接徴収」を推進
するため、道が優先的に引継ぐ高額や悪質な滞納事案の基準を明確にす
るなど、市町村に対して道の支援方針を示すことにより、市町村の道に
対する引継協議の判断を容易にするなど、困難事案について道が市町村
を全面的にバックアップする姿勢を強化すべきである。また、公平性の
観点から、地域間格差の是正を図るため、徴収率の低い市町村からの引
継ぎを増やすことを目標として掲げ、本制度を推進すべきである。
【意見
4】法に基づく原則である事業者による給与からの特別徴収を拡大するため、
市町村と連携し、マスコミを通じた広報や、未実施事業者への訪問、パ
ンフレットの配布、税理士会等関係団体への協力要請など、全道での取
り組みの成果を共有し、積極的な対策を講ずるべきである。
【意見
5】個人道民税の徴収率を向上させる観点から、市町村の広域的な徴収組織
- 13 -
である滞納整理機構について、引き続き、設立の促進や、取り組みへの
助言や情報提供などの支援を行うべきである。
第2
法人道民税
【指摘
6】一部の振興局等において、法人税不符号法人調査書の進捗管理が適切で
はなく、多数の未処理が生じていたことから、今後、このような未処理
が生じないよう事務処理を徹底すべきである。
【指摘
7】一部の振興局等において、法人税不符合法人調査書への記載・押印に不
備があったことから、今後、このような不備が生じないよう事務処理を
徹底すべきである。
【意見
8】他都府県に本店がある法人を把握する調査(未届分割法人調査)につい
ては、全ての振興局等で実施すべきである。
【意見
9】法人道民税の減免申請書は自主的に提出されるべきものであり、課税の
公平及び事務の効率化の観点から、未提出者に対し何度も電話催促する
などの過度な事務対応については検討すべきである。
【意見10】2以上の道府県に事務所等を有する法人の法人道民税に係わる分割基準
(従業員数)が適正であることを確認するための調査について、運用方
法を定めた上で実施すべきである。
【意見11】事務の効率化及び納税者の利便性の向上の観点から、エルタックスを利
用した電子申告を促進するため、広報等による周知や、市町村など関係
機関との連携を図り、積極的な利用拡大を行うべきである。
第3
道民税利子割
【指摘12】実地監査した振興局等において、道民税利子割の申告書の精査や記載が
適正でなかった事案があった。また、現行の事務処理体制では、課税標
準額と税額のチェックが万全とはいえない。道税システムのエラー表示
の改定の検討を含めて、チェックリストを定めるなど、精査の体制を改
善すべきである。
第4
道民税配当割
特に指摘意見なし。
第5
道民税株式等譲渡所得割
特に指摘意見なし。
- 14 -
第6
個人事業税
【意見13】振興局等において独自に判定項目が定められている個人事業税不動産貸
付業・駐車場業判定調査カードについては、今後調査確認のための統一
的な手続及び基準を要領で定めるべきである。
【意見14】個人事業税不動産貸付業・駐車場業判定の事業規模の判定を行うにあた
っては、決算書等の添付がない場合には、納税者等へ電話や文書で確認
すべきである。
第7
法人事業税
【指摘15】一部の振興局等においては、自主課税法人所得調査カードの「調査結果
の概要」に記載がなかったことから、
「自主課税法人の調査の手引」に基
づき適切に記載すべきである。
【意見16】自主課税法人に関する現地調査については、調査が未実施の地域や法人
区分が生じないよう方針を定めた上で、実施すべきである。
【意見17】自主課税法人調査に係わる机上調査の省略について、より慎重に取り扱
う方向で、明確な考え方を定めるべきである。
第8
不動産取得税
【指摘18】一部の振興局等においては、承継取得に係わる課税客体について、市町
村からの通知に基づくデータ入力と税の調定手続きとの作業手順が適切
でなかったことから、今後は適正な事務処理を徹底すべきである。
【意見19】原始取得及び承継取得に関して、市町村長から通知された資料の一件別
処理に係わる管理方法が、振興局等の間で統一されていなかったことか
ら、本庁からの通達などにより、統一すべきである。
第9
自動車取得税
特に指摘意見なし。
第10
自動車税
【指摘20】一部の振興局等において、自動車を解体した場合における課税客体から
の除却について、納税義務の消滅日を自動車リサイクル法による証明書の
「引取日」ではなく、「前回の車検証の有効期限」として誤って処理して
いる事案があったことから、今後は適正な事務処理を徹底すべき で あ る 。
- 15 -
【意見21】身体障害者に係わる「自動車税課税免除現況回答書」について、実態確
認件数を増加すべきである。
【意見22】自動車税の課税について、定期保留(車検切れによる課税保留)件数を
縮減すべきである。
【意見23】自動車税の納税通知書の返戻に対応する業務が多大となっている現状を
改善するため、住民基本台帳ネットワークシステムを活用するなどの有
効な対策を講ずるべきである。
【意見24】新聞等マスメディアへの記事掲載の働きかけや、タイヤロックの予告な
ど、滞納への牽制効果を持つ幅広い方策を引き続き推進すべきである。
【意見25】自動車税の電話相談の繁忙期(納付書発送日から納期限までの期間であ
る5月)に係わる業務について、コールセンターなどによる民間開放や
業務の集約を検討すべきである。
【意見26】納税者の利便性の向上及び納期内納税率の向上の観点から、クレジット
納税の導入を検討すべきである。
第11
鉱区税
特に指摘意見なし。
第12
道固定資産税
特に指摘意見なし。
第13
核燃料税
【指摘27】課税標準の算定基礎である核燃料の購入単価については、現在、調査が
実施されていないが、他県の事案の調査、納税義務者への聞き取り、購
入契約書等の確認などの方法で調査を実施すべきである。
第14
地方消費税
特に指摘意見なし。
第15
道たばこ税
【指摘28】一部の振興局等において、
(財)地方自治情報センターに委託している「た
ばこ流通情報管理システム」の活用について、システムへの情報入力漏れ
や、不符合の確認等がなされていない事案があったことから、今後、適切
- 16 -
な事務処理となるよう指導を徹底すべきである。
第16
ゴルフ場利用税
【指摘29】特別徴収義務者に係わる利用料金等の表示義務について、指導を徹底す
べきである。
【意見30】課税標準に係わる実地調査は不十分であると思われるので、今後は、厳
格にかつ計画的に実施すべきである。
【意見31】特別徴収義務者の登録事項変更申請書については、事業年度途中におけ
る利用料金の改定に伴う等級変更の場合など、条例で義務付けられた提
出に関する振興局等の指導がまちまちであったことから、条例の趣旨を
徹底し、申請書の提出を指導すべきである。
第17
軽油引取税
【指摘32】一部の振興局等において、特別徴収義務者の実地調査が実施されていな
かったので、調査対象者の選定基準を全道的に統一することも検討し、
毎年実施すべきである。
【指摘33】一部の振興局等において、不正軽油の通報を受けてから調査着手までに、
長期間を要している事案があったことから、今後は、担当部署以外から
の応援態勢の整備や勤務時間の柔軟化など、迅速に調査着手できる体制
を整備すべきである。また、通報への対応や調査結果などを速やかにホ
ームページ等で公開し、道の強い姿勢と通報制度の存在意義を広く道民
へ周知すべきである。
【指摘34】一部の振興局等において、意図的な脱税事案に対する追跡調査の対象期
間について、半年間または1年間としていた事案があったことから、最
低でも過去3年間分は実施すべきである。
【指摘35】一部の振興局等においては、免税証の保管方法が明確ではなかった。免
税証は一種の金券と言えることから、保管に万全を期すべきである。
第18
狩猟税
特に指摘意見なし。
第19
循環資源利用促進税
特に指摘意見なし。
- 17 -
第20
滞納整理事務
○滞納票等の保管及び管理状況
【指摘36】滞納の管理が担当者の恣意的な判断とならないよう、「徴収事務の手引」
に基づき、管理職が定期的に滞納票を確認する手続きを徹底すべきであ
る。
○滞納事案
【指摘37】一部の振興局等において、預金等の差押えが迅速に行われていない事案
が散見された。預金等の差押えについて、より早期に着手できるよう、
「徴
収事務の手引」等において、より迅速な意志決定手続きを統一すべきで
ある。また、差押え解除の判断基準が緩いと思われるので、
「徴収事務の
手引」等において、より慎重な意志決定手続を統一すべきである。
【意見38】不動産取得税の高額滞納事案削減のため、特に不動産の転売において、
売却資金が事業資金に流用され、納税資金が確保されていない事案が多
いことから、転売前により迅速な対応ができるよう、納税通知書の送付
時期の見直しなどの体制を整えるべきである。また、高額な不動産取得
税が発生することを把握した時点で、不動産取得税の事前通知を行うこ
とを検討すべきである。
○換価猶予
【指摘39】一部の振興局等において、納付が一度もないにも係わらず換価猶予の延
長を行っていた事案があったが、徴収の公平の観点から適切ではないと
思われることから、
「徴収事務の手引」等において、換価猶予の延長に係
わる判断基準を、より厳格に統一すべきである。
【意見40】換価猶予に係わる決定や取消しの決定手続きについて、振興局等におい
て統一的な事務処理が行われていないことから、公平な滞納整理事務を
行うため「徴収事務の手引」等において統一すべきである。
○滞納処分の停止
【指摘41】一部の振興局等において、滞納処分停止決定書への添付が義務付けられ
ている「一人別滞納総括票」が添付されずに、経過の確認をすることな
く滞納処分の停止決定がなされていたことから、適切な事務処理につい
て、指導を徹底すべきである。
○延滞金
【意見42】徴収の公平の観点から、延滞金の徴収の状況について「税務統計」等に
おいて、広く道民に開示すべきである。
第21
組織・体制・研修
- 18 -
【意見43】特に滞納整理業務に係わる実務的な研修を充実させるとともに、全道的
な業務改善会議を開催すべきである。
【意見44】各振興局等で行われている収納管理事務等、納税者との面接がない文書
や電話応対及び電算処理などの内部事務については、行政サービスの維
持に配慮しながら、事務の効率化の観点から、全道集約すべきである。
この場合、今後増加が想定される税務職員の再任用職員の活用などによ
る、事務の効率化を検討すべきである。
【意見45】高額滞納整理組織の創設を検討すべきである。
【意見46】一般税の滞納整理については、徴収担当者個人の経験等に基づく判断や
事務処理能力に頼った現在の「地区担当制」を見直し、分業化などによ
る「組織的な滞納整理」の導入を検討すべきである。
第22
徴税費
【意見47】
(財)地方自治情報センターへの委託料については、その積算根拠が明確
でないことや、センターからの情報も必ずしも有効に活用できていない
事実もあることから、当該団体との協議や全国的な会議の場での問題提
起などを通じて、負担金額の削減など、その有効性を検証すべきである。
【意見48】道税総合情報処理システムの電算処理業務に係わる委託料については、
徴税費削減の観点から、業務を分離し一部を指名競争入札に移行する可
能性を検討すべきである。
【意見49】年間40万件発生し、多大なコストが生じている督促状の発付について、
納期内納税率の向上及び公平の観点とともに、現在の道財政の状況も考
慮し、督促手数料を徴収することを検討すべきである。
第23
システム
【意見50】道税総合情報処理システムについて、他都府県の事例の研究や民間企業
との共同研究などにより費用対効果等の検証を進め、システムの再構築
を検討すべきである。
- 19 -
Ⅳ
外部監査の結果及び意見
第1
1
個人道民税
概要
個人道民税は個人が均等に負担する均等割と所得に応じて負担する所得割があ
り、課税と徴収の事務は市町村が個人市町村民税と合わせて取り扱っている。個
人道民税と個人市町村民税を合わせて一般に個人住民税と言う。なお、現行の住
民税の税率は大幅な税源移譲が行われた平成18年度の税制改正後の税率である。
(1)非課税(法第24条の5、条例24条の2)
次に掲げる者は、個人住民税の均等割及び所得割は課税されない。ただし、
イに該当する場合には退職所得に係わる所得割については課税される。
ア 生活保護法の規定による生活扶助を受けている者
イ 障害者・未成年者・寡婦または寡夫で、前年の合計所得金額が125万円
以下の者
(2)納税義務者(法第24条、条例第24条)
区
分
1 月 1 日現在で道内に住所のある者
1 月 1 日現在で道内に事務所(事業所)や家屋敷
がある者で、それらがある市町村に住所がない者
均等割
所得割
○
○
○
×
(3)納税額(法第35条、法第38条、条例第26条、条例第28条)
区
分
個人住民税の税率
道
均
等
割
民 税
1,000 円
所
得
割
4%
市町村民税
3,000 円
計
4,000 円
6%
10%
(4)所得割の計算(法第32条、条例第25条、)
前年中の
所得金額
―
所得
控除額
×
税率
―
税額控除=
所
割
得
額
退職所得や土地建物などの譲渡による譲渡所得は、給与所得、事業所得など
とは区分して別な方法で計算し課税される。
- 20 -
(5)所得控除額(法第34条、条例第25条の2)
個人住民税の所得控除額と所得税(国税)の所得控除額を比較すると次のと
おりである。すべての項目で個人住民税の控除額のほうが所得税より少なくな
っている。これは社会的費用である住民税を地域住民に広く負担してもらうと
言う地方税法の応益負担の原則の考え方によるものである。なお、平成21年
度の税制改正によって平成23年6月から住民税の扶養控除の廃止・縮小が決
定している。
項
目
個人住民税
所得税(国税)
個人年金保険料控除を合わせて
最大 70,000 円まで
長期損害保険料控除を合わせて
最大 25,000 円まで
個人年金保険料控除を合わせて
最大 100,000 円まで
長期損害保険料控除を合わせて
最大 50,000 円まで
26 万円
特別障害者は 30 万円
26 万円
特別の寡婦は 30 万円
27 万円
特別障害者は 40 万円
27 万円
特別の寡婦は 35 万円
勤労学生控除
配偶者控除
26 万円
一般は 33 万円
上記で同居特別障害者 56 万円
70 歳以上 38 万円
上記で特別障害者 61 万円
27 万円
一般は 38 万円
上記で同居特別障害者 73 万円
70 歳以上 48 万円
上記で特別障害者 83 万円
配偶者特別控除
扶養控除
( 特 別 障 害 者は
同居の場合)
最大 33 万円
一般 33 万円
上記で同居特別障害者 56 万円
特定扶養親族 45 万円
上記で同居特別障害者 68 万円
一般老人扶養親族 38 万円
上記で同居特別障害者 61 万円
同居老親等 45 万円
上記で特別障害者 68 万円
最大 38 万円
一般 38 万円
上記で同居特別障害者 73 万円
特定扶養親族 63 万円
上記で同居特別障害者 98 万円
一般老人扶養親族 48 万円
上記で同居特別障害者 83 万円
同居老親等 58 万円
上記で特別障害者 93 万円
基礎控除
33 万円
38 万円
生命保険料控除
地震保険料控除
障害者控除
寡 婦 ( 寡 夫 )控
除
(6)申告と納税
ア
申告(法第41条、法第45条の2、条例第28条の3、条例第28条の
4)
毎年3月15日までに、前年1年間の所得を住所地の市町村に申告する。
但し、所得税の確定申告を行った者や給与所得のみの者は申告する必要はな
- 21 -
い。
イ
納税
①住民税の特別徴収制度(法第321条の3等)
給与所得者については、法第321条の3の規定及び各市町村の条例の規
定により給与支払者(源泉所得税徴収義務者である事業者)によって住民税
を6月から翌年5月までの12回に分けて毎月給与から差引かれ、給与支払
者を通じて市町村へ納付する。この制度を特別徴収制度といい、原則として
強制規定であるが、市町村の指定を受けた給与支払者については、特別徴収
の規定が免除される場合もある。なお、平成21年10月から年金受給者の
一定の公的年金からも住民税が特別徴収されている。
『所得税の源泉徴収制度と住民税の特別徴収制度の相違』
所得税の源泉徴収税額の計算はその源泉徴収される給与の額に応じてさ
れるのに対し、住民税の特別徴収税額の計算は前年の所得をベースに計算
される。よって所得税の源泉徴収税額は年間所得が確定する前に税負担を
求める前払い的性格を有するのに対し、住民税の特別徴収額は、確定した
所得に対する税額を分納させる点で大きく異なる。また、住民税の特別徴
収制度では給与以外の所得に係わる住民税について特別徴収を選択できる
点においても所得税の源泉徴収制度とは異なっている。
②住民税の普通徴収制度(法第319条等)
給与所得者以外の者は、市町村から送付される納税通知書により前年分の
所得に係わる住民税を6月、8月、10月、1月の年4回に分けて、市町村
へ納付する。
(7)住民税課税制度と税源移譲の関係
個人住民税は、地域の住民が地域の社会的費用を直接負担しあう税源として
地方自治体財政の根幹をなすものと考えられている。地方分権改革において、
地方自治体財政の自主性を高めるためには、地方税財源の増強が必要であるこ
とから三位一体改革による税源移譲が行われた。それが所得税から個人住民税
への税源移譲である。改正前の個人住民税所得割の税率は5%・10%・13%
の三段階の累進税率であったが、一律10%の比例税率へ改正し、合わせて所
得税の税率を10%から37%の累進構造を5%から40%の累進構造へ改正
し、個々の納税者の住民税・所得税の総額負担を変えることなく、国から地方
へ税収の移譲を進めたのである。
一律10%という分かりやすい所得割の比例税率化は一人当たり税収の比較
的 少ない 地域 では税 率5 %部分か ら10 %へ の引上 げ効果 が大 きく、 税率 1
3%部分から10%への引き下げ効果が小さいのに対し、高額所得者が多い地
- 22 -
域では13%部分から10%部分への引き下げによる影響が相対的に大きいこ
とから、結果として移譲により、税源の地域間格差が縮小される効果を生むと
考えられる。
(8)徴収対策
道としては平成17年度から個人道民税の徴収対策として、市町村との連携
を強化しており、その実施状況は次のとおりである。この結果、道とともに徴
収対策を実施する市町村は増加傾向にある。実施した徴収対策により収入率の
アップが図られた市町村もあった。
《徴収対策実施市町村の状況推移》
区
分
平 成 17 年 度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
重点 市 町 村選 定
27 市 町 村
共 同 催 告 実 施
90 市 町 村
88 市 町 村
105 市 町村
118 市 町村
126 市 町村
共
27 市 町 村
27 市 町 村
33 市 町 村
38 市 町 村
38 市 町 村
同
徴
収
徴 収 の 嘱 託
1市
徴 収 の 引 継 ぎ
24 市 町 村
21 市 町 村
29 市 町 村
28 市 町 村
42 市 町 村
道職 員 の 短期 併任
5 市町村
6 市町村
5 市町村
7 市町村
12 市 町 村
道職 員 の 長期 派遣
8 市 町村
12 市 町 村
9 市町村
11 市 町 村
12 市 町 村
広域 組織 の設 置状 況累 計
1 団体
1団体
5 団体
6団体
6 団体
《過去 5 年間の市町村における市町村税の収入未済額(国民健康保険税を除く)》
(単位:億円)
区
分
収 入 未済 額
うち個人市町村民税
平成 17 年度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
5 72
5 53
576
5 99
602
1 48
151
184
206
2 17
市町村においても市町村税の収入未済額が急増しており、滞納整理を早急に
行うことが必要な状況である。また、個人市町村民税も税源移譲に伴い、収入
未済額は大幅な増加傾向にある。
《道内各市町村における市町村税の不納欠損額(平成20年度)》
(単位:千円)
区
分
第 15 条の7第 4 項
不納欠 損 額
内訳の 割 合
同
第
5
項
第 18 条 第 1 項
合
計
784 ,3 65
3 ,45 1, 938
1,9 42 ,43 0
6,1 78 ,73 3
12. 6 %
55 .8 %
31. 4 %
1 00 .0 %
※法第 15 条の 7 第 4 項とは滞納処分執行停止 3 年継続基づく欠損額
※法第 17 条の7第 5 項とは滞納処分の執行停止に係わる即時消滅に基づく欠損額
※法第 18 条第 1 項とは地方税法の消滅時効に基づく欠損額
- 23 -
市町村の不納欠損額うち、第18条第1項の時効による欠損額割合は31.
4%を占める。また、平成20年度において、欠損額処理を時効のみで行って
いる市町村が30市町村あった。時効による不納欠損額となるのは、その間、
何ら滞納整理を進めることができなかった結果であり、滞納整理の推進に問題
を抱えた市町村と思われることから、道が重点的に支援していくべき対象とす
べきであると考える。
《各市町村の滞納処分における財産差押状況》
年
度
財 産 差押 件 数 (合 計 ) う ち 国 税 還 付 金 差 押 件 数
う ち 預 金 差 押 件 数
平 成 1 9 年度
18, 50 2
5,9 26
7,0 00
平 成 2 0 年度
2 4,4 12
6,3 21
11, 19 3
一方で、 市町村における市町村税についての差押件数は平成19年度に比べ
平成20年度は、約1.3倍となっている。最も差押しやすい財産としては国
税還付金と思われるが、その件数は余り増加していない。一方で預金差押件数
は約4千件以上増加しており、差押財産の調査を積極的に行っている市町村が
あることが伺える。
市町村においても全体的に税金の収入未済額が増加傾向にあり、その対応が
課題であるが、滞納額の収入率を向上させるための差押え等の徴収努力の結果
が今後現れてくるものと予想される。
しかし、今後個人道民税の増収にその徴収努力の効果が影響されないことも
懸念される。なぜなら、市町村において各種市町村税のなかで滞納整理を行う
場合の優先順位として、徴収成績向上の観点からは、市町村に全額収納される
市町村税(例えば固定資産税や国民健康保険税)を優先的に徴収し、道税(個
人道民税)が合算される個人市町村民税の滞納整理については、あまり積極的
な動機が働かないことも考えられるからである。
市町村においても自らの財源である市町村税についての滞納整理に追われて
いる状況のなかで、本庁税務課においては、本庁市町村課の協力を得ながら各
市町村の個人住民税の滞納整理の取り組みについて詳細に把握しなければなら
ない状況である。
- 24 -
2
調定額等の状況
(1)過去 5 年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平成 20 年度
平 成 21 年 度
額
87, 63 0,3 94
95, 68 2,0 22
167 ,8 79, 52 5
174 ,2 95, 91 3
172 ,4 06, 68 8
(うち現年課税分)
(81,056,202)
(89,191,116)
(161,111,358)
(164,067,009)
(159,753,437)
(うち滞納繰越分)
(6,574,192)
(6,490,905)
(6,768,167)
(10,228,903)
(12,653,250)
収 入 済 額
80, 36 2,4 25
88, 23 7,0 68
156 ,7 93, 25 5
160 ,7 33, 16 6
157 ,6 83, 90 0
(うち現年課税分)
(78,939,771)
(86,760,181)
(155,158,071)
(158,030,382)
(154,431,891)
(うち滞納繰越分)
(1,422,654)
(1,476,886)
(1,635,183)
(2,707,783)
(3,252,008)
不納 欠 損 額
752 ,3 42
686 ,6 00
707 ,0 82
786 ,9 16
790 ,3 13
収入 未 済 額
6,5 15 ,62 6
6,7 58 ,35 4
10, 37 9,1 87
12, 77 5,8 31
13, 93 2,4 74
91. 7%
92 .2%
93. 4%
9 2.2 %
9 1. 5%
(うち現年課税分)
(9 7.4 %)
(9 7.3 %)
( 96. 3% )
( 96. 3% )
(96 .7 %)
(うち滞納繰越分)
(2 1.6 %)
(2 2.8 %)
( 24. 2% )
( 26. 4% )
(25 .7 %)
(現年課税分)
97. 7 %
97. 7 %
97. 0 %
9 7.0 %
97. 0 %
北海道の全国順位
43 位
44 位
46 位
46 位
43 位
(滞納繰越分)
20. 0 %
21. 3 %
22. 7 %
26. 0 %
24. 5 %
北海道の全国順位
6位
7位
10 位
17 位
13 位
(現滞合計分)
91. 4%
92. 3%
94. 2%
93. 4%
92. 5%
北海道の全国順位
30 位
31 位
40 位
41 位
39 位
調
収
定
入
率
全国平均収入率
全国平均収入率
全国平均収入率
税源移譲の影響により、平成19年度の収入額は、平成18年度に比較し、
約1.8倍に増加している。同時に収入未済額も1.5倍に増加している。そ
の後、税源移譲が平年度化した平成20年度以降も収入未済額は増加している。
収入率については、平成19年度をピークに低下傾向となっている。その理
由は、税源移譲により現年課税分が著しく増加した平成19年度は相対的に収
入率が上昇したものの、滞納額についても大幅に増加したことから、滞納繰越
分のウエイトが増え、全体の収入率を押し下げるとともに、滞納繰越分の収入
率も低下しているためである。
これは、滞納額については、早期に徴収しないと徴収が難しくなることを如
実に物語っている。また、全国レベルと比較しても、北海道の順位は下位に位
置しており、道としても、さらなる取り組みの強化が求められている。
- 25 -
(2)平成21年度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
分
空 知 総 合 振 興 局
調
定
額
収
入
額
不
欠
損
納
収
額
未
入
済
額
収 入 率
8,1 94 ,30 2
7,5 70 ,04 6
33, 96 3
590 ,2 92
92. 4%
局
12, 72 8,4 45
11, 66 6,2 57
40, 05 3
1,0 22 ,13 4
91 .7 %
後 志 総 合 振 興 局
6,0 02 ,96 9
5,5 19 ,03 5
17 ,76 5
466 ,1 68
91 .9 %
胆 振 総 合 振 興 局
12, 61 1,1 88
11, 72 2,1 99
28, 24 3
860 ,7 45
93. 0%
局
2,2 03 ,82 3
1,9 13 ,92 8
9,3 87
280 ,5 08
86 .8 %
渡 島 総 合 振 興 局
12, 06 6,1 93
10, 73 4,6 89
62 ,08 1
1,2 69 ,42 2
89 .0 %
局
1,0 25 ,83 1
895 ,9 87
5 ,12 5
124 ,7 18
87 .3 %
上 川 総 合 振 興 局
14, 38 1,6 08
13, 07 0,4 42
47 ,38 1
1, 26 3,7 84
90 .9 %
局
1,4 90 ,61 9
1,4 09 ,54 5
3 ,74 3
7 7,3 30
94 .6 %
宗 谷 総 合 振 興 局
2,2 59 ,88 6
2,0 94 ,05 1
5 ,80 6
16 0,0 29
92 .7 %
オホ ーツ ク 総合 振興局
9,1 45 ,67 3
8, 47 6,8 18
31 ,04 1
63 7,8 13
92. 7%
十 勝 総 合 振 興 局
10, 87 2,6 67
10, 07 1,9 73
80 ,49 2
72 0,2 02
92. 6%
釧 路 総 合 振 興 局
7,4 53 ,29 7
6, 53 3,6 43
67 ,43 0
85 2,2 23
87. 7%
根
局
2,6 89 ,81 2
2, 44 6,8 82
7 ,17 0
23 5,7 58
91. 0%
札 幌 道 税 事 務 所
69, 28 0,3 67
63, 55 8,4 00
3 50 ,62 6
5, 37 1,3 40
91. 7%
172 ,4 06, 68 8
157 ,6 83, 90 0
790 ,3 13
13, 93 2,4 74
91. 5%
石
日
檜
留
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
合
計
個人道民税の収入率については地域格差が生じているといわれる。上記の振
興局等の状況を見ても、最も高い収入率の留萌振興局と最も低い収入率の日高
振興局の差は、7.8%となっている。
《平成21年度市町村別収入率(現年課税分)》
収入率階層別内訳
市 町 村 数
構 成 割 合
累 計 割 合
99% 以 上
28
15. 6%
15. 6 %
98 % 以上 9 9 % 未満
58
32. 4%
48. 0 %
97 % 以上 9 8 % 未満
39
21. 7%
69. 7 %
96 % 以上 9 7 % 未満
27
15. 0%
84. 7%
96 % 未満
27
15. 0%
100 .0 %
179
100 %
100 .0 %
合
計
市町村別における個人道民税の現年課税分の最高収入率は99.89%であ
り、最低収入率は92.52%である。市町村の約7割が97%以上である。
全道合計の収入率96.7%を超えている市町村が全市町村の半数以上あるこ
とになる。しかし、個人道民税の調定額が大きい札幌市を含む大都市が97%
未満に含まれているため、結果として道の収入率を引き下げている。
- 26 -
《平成21年度市町村別収入率(繰越滞納分)》
収 入 率階 層 別 内 訳
市 町 村数
50% 以 上
構 成 割合
累 計 割合
8
4.4 %
4.4 %
40 % 以上 5 0 % 未満
13
7.2 %
11. 6%
30 % 以上 4 0 % 未満
30
16. 7%
28. 3%
20 % 以上 3 0 % 未満
88
49. 1%
77. 4%
20 % 未満
40
22. 3%
100 .0 %
17 9
100 %
100 %
合
計
市町村別における個人道民税の滞納繰越分の最高収入率は71.3%となって
おり、最低収入率は6.87%となっている。
全道合計の滞納繰越分の収入率は25.7%であり、全市町村数の7割が2
0%以上の収入率となっている。ただ20%未満の市町村数も40件あり、滞納
整理状況の市町村の格差が生じている。
3
課税徴収、事務フロー
個人道民税の賦課徴収事務は、個人の市町村民税の徴収とともに市町村が行っ
ている。市町村は賦課徴収の状況について、各振興局等へ報告する。各振興局等
では、市町村から提出された報告書の内容に間違いや不明な点がないか検討した
後、調定を行う。振興局等の収入、滞納繰越の調定事務は次のとおりである。
市町村の事務の流れ
(前年度の事務)
振興局等における調定事務の流れ
当該年度において翌年年度分
の特別徴収の調定
課税状況報告及び納付納入状
況報告書提出
当該年度において翌 年度分の
特別徴収分を調定
各市町村からの報告
課税総額報告書提出前の
退職所得についての報告
納付納入状況報告書提出
課税総額報告書の提 出前にお
ける退職所得に係わ る分離課
税分等の払込額を納 付納入状
況報告書により調定(A)
(当年度の事務)
- 27 -
各市町村からの報告
当初課税
課税総額報告書
当年度 6 月 30 日までに提出
課税総額報告書による調定
上記(A)を差引いた金額
報告内容について検討
各市町村からの報告
当初課税後における賦課
課税総額変更報告書
当年度末後 4 月 30 日までに提出
課税総額変更報告書 による調
定(既往の調定額との差額)
報告内容について検討
完 納 と なっ た場 合 の修 正
処理(1 円減額)
出納整理期間末日で処理
(収入事務)
各市町村からの入金事務
納付納入状況報告書提出
毎月報告
(欠損処理事務)
不納欠損処理の報告
不納欠損額報告書
当年度末後 4 月 10 日までに提出
不納欠損額内訳書
当年度末後 5 月 20 日までに提出
振興局へ入金
収入
振興局で毎月事務
徴収金整理簿作成
不納欠損処分
収入済額(決算)の算出
調 定 額 か ら収 入 済 額及 び 不 納
欠損処分額を控除
(翌年度の事務)
各市町村から滞納状況報告書
翌年度 5 月 31 日現在の状況
翌年度 6 月 30 日までに提出
(徴収取扱費の交付事務)
各市町村からの報告
徴収取扱費計算書提出
(毎年度 6 月、9 月、12 月、3 月)
滞納繰越額について調定
報告内容について市町村へ照会
検討
徴収取扱費計算書の受理
内容を検討後、各市町村へ交付
- 28 -
4
監査手続
監査手続きとしては、各振興局等が個人道民税事務取扱要領に基づき事務が適
正に行なわれているか、及び徴収対策が効率的かつ効果的に行われているかをサ
ンプル調査及び聞き取り調査を行った。その内容は次のとおりである。
サンプル調査では、個人道民税事務取扱要領に基づく報告書の作成がどのよう
に行われているかを検証した。各種の報告書の作成については本庁税務課が作成
したソフト(エクセル)を各市町村及び各振興局等へ配布している。その入力状
況や提出過程についての検証を行った。
聞き取り調査は市町村から提出された報告書について、検討や確認を行ってい
るかなどの検証を行った。
(1)指摘意見
サンプル調査及び聞き取り調査の結果、次に掲げる事項を除きいずれも適正
に処理されていた。
【意見
1】地域間の徴収率の格差の是正による公平性の確保を目指し、市町村と
連携して徴収対策を進めるため、「市町村別徴収成績向上対策分析表」
や「市町村別徴収成績向上対策検討表」の活用の徹底や、滞納整理の
取り組み状況の把握(消滅時効による不納欠損額や差押件数など)に
着目した分析表の改善を検討すべきである。
個人道民税は、法律上その賦課徴収は市町村が個人市町村民税と併せて行うこ
ととなっており、市町村から滞納徴収の要請があった場合を除き、道は一切の滞
納徴収事務を行うことができない仕組みとなっている。この中で、個人道民税の
滞納額は、 平成2 1年度 には過去 最高の 約139 億円( 道税の滞 納額全 体の6
4%)、同様に個人市町村税の滞納額も全道で過去最高の217億円に上っている
一方、その徴収率は全国で40位程度と低迷しており、道及び道内市町村の喫緊
の課題である。個人住民税は地方自治の根幹をなす財源であるが、現状では地域
間の格差も大きいことから、道と市町村が連携を図りながら、公平性を確保して
いくことが求められている。
道においては市町村との連携を強化するため、
「道税及び市町村税の徴収成績向
上対策推進について」
(平成17年4月28日付け税務第128号総務部長、企画
振興部長通知)により、振興局等の納税担当課と地域政策課が市町村の徴収実績、
滞納処分の実施状況等を分析して、市町村ごとに講ずるべき徴収対策を協議する
こととなっており、この取り組みは市町村を支援していく上で重要であると考え
られる。
分析・対策のための資料として「市町村別徴収成績向上対策分析表」及び「市
町村別徴収成績向上対策検討表」を作成することとしているが、振興局等におい
て分析の程度や分析表の活用に差があるように見受けられた。市町村の徴収成績
向上対策を検討する上で、市町村の税務事務の実態を把握、分析することは重要
であることから、上記通知の趣旨を踏まえ、個人道民税を所管する税務担当課と、
- 29 -
市町村税を所管する地域政策課が分析表などの資料を有効に活用し、市町村との
打合せへの同行やPDCAサイクル(注)の観点からの定期的な意見交換の実施
など、より連携して市町村ごとの徴収成績向上対策支援に努めるべきである。
本庁税務課は本庁市町村課との連携を図りながら、徴収成績向上対策を振興局
等に任せきりにすることなく、全道の地域間格差の是正の観点からも全道の状況
を把握・分析し、有効な事例の提供や助言を行い、振興局等へのフィードバック
を図るほか、市町村ごとの滞納整理の取り組み状況の把握(消滅時効による不納
欠損額や差押件数など)や、市町村との打ち合わせ状況の把握などに着目した分
析表・対策検討表の見直しなど、市町村とも連携しながら、本通達の取り組みに
ついて継続的に改善を検討していく役割を推進すべきである。
(注)計画→実行→評価→改善の4段階を繰り返すことにより、業務を継続的に
改善する手法。
【意見
2】個人道民税の収入未済額の7割以上を占める主要都市との連携を一層
強化するため、
「市税及び道税の徴収対策検討会」の継続などの取り組
みを推進すべきである。
道においては、個人道民税の収入未済額の7割以上を占める主要都市との連携
を図り、徴収対策を進めており、平成22年には、これら11市と「市税及び道
税の徴収対策検討会」を開催し、道と11市が連携した全道的な徴収対策の協議
が行われた。
この中で、道は11市と連携して、平成22年度から2年間で、現年課税分の
収入率を平成18年度の水準に引き上げることを目標に、
「共同催告書等の一斉発
送」、「所管区域外転出者に係わる滞納整理」や「直接徴収、短期併任や長期派遣
による困難事案の整理」による滞納整理の促進に取り組んでいる。この目標が達
成できれば、平成21年度の調定額ベースで、当該11市に約8億6千万円(注)
の税収増をもたらすものであり、11市側にも積極的な連携を期待したい。現年
課税分の収入率(全国43位)の向上を目標としている点は、滞納繰越額の削減
にも寄与するものであり、個人道民税全体の向上を図る上で適切な戦略であると
考える。
個人道民税の徴収成績向上のためには、単に住民税のみならず市町村税全体の
底上げが必要と思われ、税源が集中する都市との連携は非常に重要であることか
ら、今後とも、都市側のメリットも十分に説明し理解を得ながら、検討会の継続
をはじめ、都市部との連携を一層強化すべきである。
(注)平成21年度における個人住民税の現年課税分の調定額約1,681億を
ベースに、収入率が96.65%(H21結果)から97.16%(H2
3目標)に向上した場合の推計額
【意見
3】法第48条に基づく市町村からの徴収の引継ぎによる「直接徴収」を
推進するため、道が優先的に引継ぐ高額や悪質な滞納事案の基準を明
確にするなど、市町村に対して道の支援方針を示すことにより、市町
村の道に対する引継協議の判断を容易にするなど、困難事案について
- 30 -
道が市町村を全面的にバックアップする姿勢を強化すべきである。ま
た、公平性の観点から、地域間格差の是正を図るため、徴収率の低い
市町村からの引継ぎを増やすことを目標として掲げ、本制度を推進す
べきである。
道は、法第48条による「直接徴収」に取り組んでおり、実施市町村数も年々
増加している。この取り組みは市町村における個人道民税の徴収が困難な事例を
道が市町村に代わって徴収する取り組みであり、この取り組みによる全道での収
入率は、過去3年(平成19年度から平成21年度)平均で39.6%と全道の
個人道民税の過去3年の収入率の平均25.4%を大きく上回る実績を挙げてい
る。
この取り組みを行うには、市町村の同意のほか、対応する道の税務職員のマン
パワーが必要であるが、個人道民税のみならず個人市町村民税の徴収対策として
も有効な対策である。道においては、実施要領を定め、市町村の取る手続きを明
確にしているところであるが、さらに道が優先的に引継ぐ滞納事案の基準を明確
にするなど支援方針を示して市町村の引継判断を容易にするほか、
「高額滞納整理
組織」
(【意見45】)の活用の検討などにより、困難事案について道が市町村を全
面的に支援する姿勢を強化すべきである。
また、道が本制度を推進する目的は、前記通知(平成17年税務第128号)
に記載されているように、道税及び市町村税の収入確保と税負担の公平性の確保
である。ここで、地域間における公平性の観点から言うと、本来、収入率の低い
市町村に重点的に展開していくべきものと考えられる。しかし、平成21年度の
状況を見ると必ずしもそのようにはなっていない。道が直接徴収を実施した全4
2市町村のうち、現年課税分の徴収率が全道平均を下回っている市町村は13団
体のみ(3割程度)である。つまり、残りの7割については、収入率が平均以上
の市町村について、道がさらに重点的な支援を行っていることになる。結果とし
て、収入率の地域間格差を拡大させてしまうことも考えられる。直接徴収の実施
には市町村の同意が必要であり、道の意向で実施できるものではなく、また、道
が直接徴収を担う困難な事案は、必ずしも徴収率の低い市町村にあるものでもな
いことから、市町村の実施意欲を踏まえると、このような状況になることも理解
はできる。しかし、今後は、公平性の確保の観点も重要視し、収入率の低い市町
村の実施割合を高めることを目標のひとつとして掲げて意識を集中し、収入率が
低いにも係わらず、実施意欲の低い市町村の意欲を高める策を検討すべきである。
【意見1】の市町村ごとの状況分析に基づく支援や、上記のような引継事案の基
準の明確化などの支援策が市町村の意欲の向上に有効であると考え、意見するも
のである。
【意見
4】法に基づく原則である事業者による給与からの特別徴収を拡大するた
め、市町村と連携し、マスコミを通じた広報や、未実施事業者への訪
問、パンフレットの配布、税理士会等関係団体への協力要請など、全
道での取り組みの成果を共有し、積極的な対策を講ずるべきである。
個人住民税には、納税者が市町村に直接納付する「普通徴収」と、事業者(給
- 31 -
与支払者)が給与から天引きして納税者(従業員)に代わって市町村に納入する
「特別徴収」の2つの方法がある。給与所得者については、法及び市町村の税条
例に基づき、事業者の特別徴収によることが原則とされている。
しかしながら、全道の特別徴収者数割合は7割に留まっている。市町村は所得
税の年末調整時に特別徴収をしていない事業者には、給与支払報告書の総括表に
おいて、普通徴収か特別徴収かの選択を確認しているが、特別徴収を原則とする
法の趣旨からは疑問がある。個人住民税の特別徴収が徹底されていない状況は、
他県においても問題とされており、市町村と連携して法の原則に則った事業者に
おける特別徴収の徹底を強化している。兵庫県では市町村と連携した合同指導も
行っている。
道はこれまで、市町村と連携して、事業所に協力をお願いする姿勢を取ってい
るが、法の趣旨を踏まえれば、より強制力を持って、兵庫県のように事業所を指
導徹底していく姿勢を取るべきではないかと考えられる。この点は、法の趣旨や
市町村毎の条例整備の状況も確認しながら、検討していくべきである。
道も市町村任せとせず、市町村と連携し積極的に給与支払事務所でありながら
特別徴収をしていない特別徴収義務者のところへ赴き、法の趣旨も踏まえ、積極
的に勧奨すべきである。特別徴収は給与支払者が給与から直接徴収するため市町
村ではコストも削減され、不納欠損の発生を抑えることができる。一方、納税者
(給与所得者)にとっても、金融機関等へ出向く納税の手間が省けることや1回
当たりの負担額の軽減(納期が普通徴収は年4回、特別徴収は毎月)など利便性
が向上するメリットがある。
個人道民税の現年課税分の調定額および収入済額、不納欠損額を北海道税務統
計から抽出すると下記のとおりになる。各年度の収入率は下降傾向にあり、平成
21年度の収入率は90%である。
《過去5年間の個人道民税の現年課税分調定額等の推移》
(単位:千円)
区
平成 17 年 度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
現年課税分額
26, 84 9,4 54
31, 56 3,2 45
58, 24 7,2 47
56, 84 2,5 64
53, 53 6,1 19
う ち 収入 未 済 額
2,0 99 ,73 6
2,4 17 ,53 7
5,9 13 ,21 2
5,9 94 ,82 2
5,2 74 ,02 5
う ち 不納 欠 損 額
1 6,6 93
1 3,3 97
4 0,0 73
41, 80 5
47, 52 1
差引収入済額
24, 73 3,0 25
29, 13 2,3 11
52, 29 3,9 62
50, 80 5,9 37
48, 19 4,5 73
9 2.1 %
9 2.2 %
8 9. 7%
89. 3 %
90. 0%
収
分
入
率
上記のとおり個人道民税の収入率は減少傾向にあり、この状況を改善するため
には、積極的に特別徴収割合の増加を推進することが重要である。特別徴収義務
者数の推移は次のとおりである。なお、平成21年10月から公的年金において
も特別徴収が実施されている。
- 32 -
《個人道民税納税義務者の推移》
(単位:人)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
納税義務 者 数
2,3 48 ,83 4
2,4 94 ,38 7
2,4 93 ,06 1
2,4 80 ,15 0
2,4 72 ,36 1
うち給与所得者数A
1,8 44 ,17 7
1,8 41 ,57 7
1,8 37 ,50 4
1,8 28 ,10 2
1,7 87 ,25 7
特別徴収者数B
1,2 81 ,73 6
1,2 77 ,72 3
1,2 74 ,75 3
1,2 78 ,81 9
1,2 77 ,64 3
特別 徴収 者数 割 合(B/A )
69. 5%
69. 3%
69. 3%
69. 9 %
71. 4%
全
70. 1%
69. 6%
69. 5%
69. 9%
69. 6%
国
平
均
特別徴収割合増加のための施策を行っている振興局等での取り組み状況を見る
と、例えば、ある振興局等と管内の市町村とが一体となり、特別徴収促進運動を
行っている。具体的には、管内の市町村と連携して、文書送付や事業者等への訪
問等による働きかけや、地元新聞による広報活動を行い成果を出している。
また、ある振興局等では個人道民税の担当者が地道に市町村を回り、特別徴収
促進に努めている。
上記表のように、このような取り組みが成果を上げており、全国平均と比べて
も高い割合を達成しており、一定の評価はできる。しかし、道内における地域間
格差や、より高い割合を達成している自治体の事例もあり、なお向上の余地はあ
るものと考えられる。
本庁税務課は本庁市町村課と連携して、前記のような振興局等での取り組みに
ついて積極的に他の振興局等へ提供することなどにより、このような特別徴収促
進の取り組みを全道で行えるように支援するほか、事業所への訪問数(率)を目
標とするとともに、事務運営方針の重点実施事項とするなどして、各振興局等に
おける取り組みの実施を確保すべきである。さらには、ホームページでの普及啓
発、パンフレットの配布、税理士会等の事業者関係団体への協力要請などの積極
的な対策も講ずるべきである。
【意見
5】個人道民税の徴収率を向上させる観点から、市町村の広域的な徴収組
織である滞納整理機構について、引き続き、設立の促進や、取り組み
への助言や情報提供などの支援を行うべきである。
道内において広域的に一括して滞納整理を行うための滞納整理機構を設立して
いる市町村があり、その運営には道も職員派遣を行いそれらの機構と協力関係が
構築されている。
《滞納整理機構の設立数と北海道の支援状況》
区
分
平 成 16 ∼1 8 年度
平 成 1 9 ∼ 20 年 度
1
5
6
1 振 興局 管 内
7 振 興局 管 内
8 振 興局 管 内
参 加 市 町 村 数
12町
2 市 57 町 9 村
2 市 67 町 9 村
道 職 員 の 派遣 状 況
機 構 に1 名 派 遣
各 機 構に 1 名 派 遣
各 機 構に 1 名 派 遣
滞 納 整 理 機 構
所
管
区
域
- 33 -
平 成
2 1
年 度 ∼
過去3年間で6つの滞納整理機構が設立されている。また、平成21年度にお
ける各整理機構における滞納整理状況は次のとおりである。
(単位:千円、%)
区
分
整理機構名
引 受 状況
件
数
税
額
収 入 額
①
②
納 税 誓
約
等
収 入 率
事前 予 告
②/ ①
効 果 額
負 担 金
渡島・檜山
300
308 ,9 70
107 ,2 82
11, 37 7
34. 7
105 ,6 05
39, 65 0
後 志 広 域
149
164 ,3 12
58, 25 9
11, 18 2
35. 5
31, 42 6
20, 27 0
日 高 地 方
248
288 ,4 40
106 ,6 57
37, 44 3
37. 0
56, 94 3
32, 09 0
十勝市町村
421
363 ,4 93
87, 68 8
197 ,3 89
24. 1
103 ,6 98
40, 79 2
釧路・根室
268
361 ,6 21
125 ,7 52
173 ,6 54
34. 8
91, 04 1
39, 96 0
上 川 広 域
190
173 ,4 13
45, 29 8
39, 84 9
26. 1
10, 84 8
18, 91 2
計
1,5 76
1,6 60 ,24 9
530 ,9 36
470 ,8 94
32. 0
399 ,5 61
191 ,6 74
度
1,3 55
1,5 47 ,15 3
435 ,1 86
469 ,5 48
28. 1
603 ,9 47
178 ,7 92
合
前
年
※渡島・檜山は「渡島・檜山地方税滞納整理機構」、後志広域は「後志広域連合」
、日高
地方は「日高管内地方税滞納整理機構」、
十勝市町村は
「十勝市町村税滞納整理機構」
、
釧路・根室は「釧路・根室広域地方税滞納整理機構」
、上川広域は「上川広域滞納整
理機構」の略
※納税誓約等とは納税することについて誓約を交わした滞納額
※事前予告効果額は滞納整理機構へ引継ぐとの通知だけで進んで納付に応じた滞納額
※負担金は整理機構運営上の費用
整理機構合計の収入率をみると32.0%で個人道民税の滞納繰越分の収入率
の25.7%を大きく上回っており、収入率アップの効果ははっきりと現れてい
る。また、納税意識の向上に繋がる事前予告効果による収入額も多い。滞納整理
機構の設立により、市町村にとっては、①地域のしがらみがなく滞納整理が行え
る。②専門的な徴収機関なので、市町村の対応が困難である滞納整理も対応でき
る。③市町村の職員を滞納整理機構に派遣することにより滞納整理事務の実務研
修となる。④滞納整理機構の広報を行うことで滞納行為への牽制効果がある。等
のメリットもあると思われる。
個人道民税の徴収率を向上させる観点から、市町村の広域的な徴収組織である
滞納整理機構について、引き続き、市町村への設立の働きかけや、設立された機
構の取り組みへの助言や情報提供などの支援を行うべきである。
- 34 -
第2
1
法人道民税
概要
法人道民税は、道内に事務所・事業所などを有している法人に対して課す税で
ある。これは、住民としてその地方公共団体の経費を等しく分担することを目的
とするものである。法人道民税は、資本金等の額に応じて課する均等割と所得に
応じて課する法人税割とから成る。
(1)納税義務者等(法第24条、条例第24条)
区
分
均 等 割 法 人 税割
道 内 に事 務 所 ( 事 業所 ) が あ る 法人
○
○
道 内 に事 務 所 ( 事 業所 ) は な い が、 寮 ・ 宿 泊 所・ ク ラ ブ な どが あ る 法 人
○
×
道 内 に事 務 所 ( 事業 所 )・ 寮 ・ 宿 泊 所・ ク ラ
収益事業を行っていない場合
×
×
ブ な どが あ る 法 人 でな い 社 団 ま たは 財 団
収 益 事業 を 行 っ て いる 場 合
○
○
(2)納税額
ア
均等割(法第52条、条例第34条)
区
分
税率
資 本 金等 の 額 を 有 する 法 人 で 資 本金 等 の 額が 1, 000 万 円 以 下で あ る も の 、公
共 法 人、 公 益 法 人 等
資 本 金等 の 額 を 有 する 法 人 で 資 本金 等 の 額 が 1, 000 万 円 を 超え 1 億 円 以 下 で
あ る もの
資 本 金等 の 額 を 有 する 法 人 で 資 本金 等 の 額 が 1 億 円 を 超 え 1 0 億円 以 下 で あ
るもの
資 本 金等 の 額 を 有 する 法 人 で 資 本金 等 の 額 が 10 億 円 を 超え 50 億円 以 下 で あ
るもの
資 本 金等 の 額 を 有 する 法 人 で 資 本金 等 の 額が 50 億 円 を超 え る も の
イ
年額
2 万円
年額
5 万円
年 額 13 万 円
年 額 54 万 円
年 額 80 万 円
法人税割(法第51条第1項、条例第33条、条例附則第14条および第
15条)
・ 法人税割の計算
法人税額 × 税率 = 法人税割
区
分
資 本 金の 額 ま た は 出資 金 の 額が 1 億 円 を 超 え る法 人・保 険 業 法に 規 定 す る 相
互会社
税率
5.8 %
資本金の額または出資金の額が
法 人 税額 が 年 1 ,00 0 万 円 を 超 え ると き
5.8 %
1 億 円 以下 の 法 人
法 人 税額 が 年 1 ,00 0 万 円 以 下 の とき
5.0 %
- 35 -
(3)申告と納税(法第53条、条例第35条)
申 告 の種 類
納税額
事業年度が 6 ヶ月を超
え、法 人 税 の中 間 申 告 額
が 1 0 万 円 を超 え る 法 人
中間
が 行 う。前 事業 年 度 の 実
申告
○ 予 定申 告
前事業年度の
法人税割額
6
× 前 事 業年 +
度 の 月数
績 によ る 予 定申 告 と 仮
○ 仮 決算 に よ る 中 間申 告
決 算に よ る 中間 申 告 と
法人税の中
が あ る。
間 申 告税 額
確
定
申
告
申 告 と納 税 の 期 限
均等
事業年度開始の日
割額
以後 6 ヶ 月 を 経過
し た 日か ら 2 ヶ月
以内
× 税 率 + 均 等 割額
(法 人 税 額× 税 率 + 均等 割 額) − 中 間
事業年度終了の日
申告額
から 2 ヶ 月 以 内
不 足 額ま た は 還 付 過大 額
早急に
法人税額× 税率− 既に納 付した 法 人
増加した法人税額
税割額
を 納 付す べ き 日
均 等 割額
4 月 30 日
提 出し た 申 告書 の 税 額
に 不足 額 が ある と き ま
た は還 付 金 の額 が 過 大
修正
で あ ると き に 行 う 。
申告
法 人税 に つ いて 修 正 申
告 をし た と きま た は 更
正 を 受け た と き に 行う 。
均等割
申告
公 益 法人 等 で、法 人 税 の
課 され な い もの な ど が
行う。
・確定申告書の提出期限の特例
法人税において、会計監査人の監査を受けなければならない等の理由によ
り、申告書の提出期限の延長が認められた法人については、法人道民税にお
いても、申告書の提出期限の延長が認められる。この場合、知事に対し、法
人税の申告書の提出期限が延長された旨の届出をしなければならない。
(4)連結納税制度
完全支配関係にある企業グループを一つの納税単位として申告納税する連結
納税制度が法人税に導入されているが、法人道民税と法人事業税については、
従来と同様に個々の法人を納税単位として申告納付する。
(5)分割基準(法第57条)
二以上の都道府県において事務所等を有する法人は、法人税額を関係都道府
県に分割し、その分割した額を課税標準として、関係都道府県ごとの法人税割
額を算定し、均等割を加算した額を申告納付する。
なお、このとき分割に用いる基準を「分割基準」といい、従業者の数により
行う。
- 36 -
(6)法人道民税の減免(法第61条、条例第37条)
天災その他特別の事情がある場合において、減免を必要とすると認められる者
その他特別の事情がある者に限り、条例の定めるところにより減免することがで
きる。
区
分
要
件
必 要 な手 続
地域住 民の 福祉の 増進 を主 たる目 的
① 住民 の 会 議ま た は集 会
減免を受 けよう
とする 一般 社団法 人も しく は一般 財
の用 に 供 する 施 設を 設
とする事 業年度
団法人(いずれも非営利型法人に該当
置・管 理・運 営 し てい る
の法人道 民税の
するものに限る)または公益社団法人
② 収 益 事業 を 行 わ な い
も し くは 公 益 財 団 法人
認 可 地縁 団 体
特 定 非営 利 活 動 法 人( N P O 法 人)
申告書の 提出期
限までに 申請書
収 益 事業 を 行 わ な い
- 37 -
および必 要書類
を 提 出。
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
額
23, 50 5,3 69
26, 24 3,8 55
25, 93 1,8 54
23, 93 0,8 05
18, 92 7,5 03
( うち 現年 課 税 分)
(23,227,472)
(25,898,114)
(25,656,744)
(23,678,262)
(18,626,713)
( うち 滞納 繰 越 分)
(277,897)
(345,741)
(275,109)
(252,542)
(300,790)
調
定
収 入 済 額
23, 12 4,0 74
25, 87 8,9 01
25, 64 3,2 46
23, 58 5,1 99
18, 56 4,4 36
( うち 現年 課 税 分)
(23,047,932)
(25,792,629)
(25,527,987)
(23,521,781)
(18,487,834)
( うち 滞納 繰 越 分)
(76,141)
(86,272)
(115,259)
(63,417)
(76,602)
不納欠損額
32, 90 2
68, 76 7
31, 44 7
37, 02 0
53, 37 1
収入未済額
348 ,3 92
296 ,1 86
257 ,1 60
308 ,5 85
309 ,6 95
98. 4%
98. 6%
98. 9%
98. 6%
98. 1%
( うち 現年 課 税 分)
(99 .2 %)
(99 .6 %)
(99 .5 %)
(99 .3 %)
(99 .3 %)
( うち 滞納 繰 越 分)
(27 .4 %)
(25 .0 %)
(41 .9 %)
(25 .1 %)
(25 .5 %)
収
入
率
【過去5年間の調定額等の推移】
百万円
35,000
98.4%
98.6%
98.9%
98.6%
30,000
98.1%
100.0%
98.0%
25,000
20,000
96.0%
15,000
94.0%
調定額
収入済額
収入率
10,000
92.0%
5,000
0
90.0%
H17
H18
H19
H20
H21
調定額は、近年減少傾向にある。サブプライムローン問題を契機とした米国での
住宅バブル崩壊に端を発し、平成20年9月に米国投資銀行リーマンブラザーズが
破綻、世界的な金融不安に陥り、我が国法人の所得も減少した。この影響もあって、
平成20年度の調定額は前年比7.7%減、平成21年度の調定額は前年比20.9%
減となっている。平成21年度は、道外に本店を設置する法人を中心に大きく減少
している。
- 38 -
(2)平成21年度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
分
調定額
収入額
不 納 欠損 額
収 入 未済 額
収入率
空 知 総 合 振 興 局
367 ,7 03
358 ,9 56
708
8,0 37
97. 6%
石
局
474 ,1 25
461 ,1 89
2,4 27
10, 50 7
97. 3%
後 志 総 合 振 興 局
293 ,2 68
280 ,4 52
1,3 97
11, 41 8
95. 6%
胆 振 総 合 振 興 局
889 ,7 37
873 ,0 84
2,8 17
13, 83 4
98. 1%
日
局
120 ,8 26
116 ,7 55
78
3,9 93
96. 6%
渡 島 総 合 振 興 局
549 ,2 57
533 ,7 02
2,3 61
13, 19 3
97. 2%
局
37, 53 6
36, 68 8
264
583
97. 7%
上 川 総 合 振 興 局
719 ,0 07
691 ,1 19
2,1 21
25, 76 6
96. 1%
局
65, 80 7
64, 86 8
199
740
98. 6%
宗 谷 総 合 振 興 局
110 ,2 65
107 ,5 65
34
2,6 65
97. 6%
オホ ーツ ク 総合 振興局
421 ,2 52
411 ,5 50
1,1 31
8,5 69
97. 7%
十 勝 総 合 振 興 局
831 ,7 11
822 ,9 15
799
7,9 97
98. 9%
釧 路 総 合 振 興 局
334 ,7 39
321 ,6 49
767
12, 32 2
96. 1%
根
局
146 ,0 17
142 ,7 71
729
2,5 16
97. 8%
札 幌 道 税 事 務 所
13, 56 6,2 46
13, 34 1,1 66
37, 53 0
187 ,5 49
98. 3%
合
18, 92 7,5 03
18, 56 4,4 36
53, 37 1
309 ,6 95
98. 1%
檜
留
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
計
上 川 総 合振興局
4%
十 勝 総 合振興局
4%
【調定額の構成割合】
その他
15%
胆 振 総 合振興局
5%
札 幌 道 税事務所
72%
北海道経済の中心地である札幌市及び道外(本店所在地が道外にあり、道内に支
店等を有する法人)を管轄とする札幌道税事務所で、法人道民税調定額の約7割を
占めている。
- 39 -
3
課税の事務フロー
(1)客体把握および調定等の事務
客 体 の把 握
法 人 設 立 ・ 設 置 届 出書 ま た は 各 種調 査 等 に よ り把 握 す る 。
客 体 の入 力
届 出 書 の 内 容 等 を シス テ ム に 記 録す る 。
届 出 書等 の 決 裁
申 告 書等 の 送 付
申 告 書の 収 受
お よ び精 査 検 算
プ レ プ リ ン ト 申 告 書お よ び 必 要 書類 を 送 付 す る。
申 告 書 に 収 受 印 を 押印 す る 。申 告 書と 付 属 書 類 の精 査 検 算 お
よ び シ ス テ ム ( 既 納税 額 等 ) と 照合 す る 。
申 告 内容 の 誤 り
申 告 内 容 に 誤 り が ある 場 合 、法 人 に連 絡 し 誤
謬訂正す るとと もに、 誤謬通 知書を 送付す
る。
申 告 書入 力
調 定 決定
申 告 書 等 の 記 載 内 容を シ ス テ ム に入 力 す る 。
調 定 決 定 書 に 関 係 書類 を 添 付 し 、決 裁 を 受 け る。
関 係 書類 整 理 保 存
申 告 の 種 類 ご と に 編纂 す る 。
不 申 告法 人 の 把 握
申告期限までに 申告書の提 出がない法 人の一覧表 がシステ
ムから出力される。
不 申 告法 人 の 督 励
申 告 督 励 を 行 い、 申 告 が あっ た 場 合 に は上 記 「 申告 書 の 収 受
お よ び 精 査 検 算」 に 従 っ て処 理 す る。 申 告 書 の 提出 が な い 場
合 、 税 務 署 等 の 調 査の 上 、 決 定 を行 う 。
- 40 -
(2)調定後の事務
システム登録さ れている課 税標準額と 国税情報と の照合を
国 税 情報 と の 照 合
行 う ( シ ス テ ム 上 での 自 動 照 合 )
。
不一致
一致
是認
不 符 合法 人 調 査 書
の出力
税 務 署の 閲 覧 調 査
調 査 額の 入 力
調 定 ・更 正 等 決 定
更 正 等の 通 知
4
シ ス テ ム か ら 不 符 合法 人 調 査 書 が出 力 さ れ る 。
不 符 合 法 人 調 査 書 に基 づ き 閲 覧 調査 を 行 う 。
調 査 の 結 果 に 基 づ き課 税 標 準 額 等を 入 力 す る 。
調 定 決 定 書 に 関 係 書類 を 添 付 し 、決 裁 を 受 け る。
更 正 ・ 決 定 ・ 加 算 金決 定 通 知 書 を送 付 す る 。
監査手続
法人道民税に関する課税事務のうち、課税の公平性の観点、また、税収確保の
観点から、①課税客体の捕捉、②不申告法人への対応、③法人道民税の減免、④
税額に係わる調査、に焦点を充てて監査を実施した。
5
指摘意見
【指摘
6】一部の振興局等において、法人税不符号法人調査書の進捗管理が適切
ではなく、多数の未処理が生じていたことから、今後、このような未
処理が生じないよう事務処理を徹底すべきである。
「3 事務フロー」の「(2)調定後の事務」に記載のとおり、法人道民税及び
法人事業税(以下「法人二税」と言う。
)のシステム登録情報(以下「法人二税マ
スタ」と言う。)に登録されている課税標準額等のデータと、国税から送付される
データとの照合が行われる(システム上での自動照合)。照合の結果、不一致項目
があれば法人税不符合法人調査書が出力され、不一致原因の調査が行われる。こ
の調査を、法人税不符合法人調査書に係わる調査と言う。
法人税不符合法人調査書に係わる調査には、法人税申告書と法人道民税申告書
または法人事業税申告書との間の意図的・非意図的な差異を解消し、適正な納税
- 41 -
に導くという機能がある。また、課税客体捕捉の補完、不申告法人の処理漏れ防
止、法人道民税減免対象法人の収益事業有無のチェック等の機能もあり、当該調
査は、非常に重要な調査と位置付けられている。
法人税不符合法人調査書に係わる調査は、各振興局等で実施されている。法人
税不符合法人調査書は毎月出力される。出力された調査書の不一致原因の調査は、
道職員が税務署に赴き、国税に係わる決議書や法人税の申告書の閲覧を行うこと
等により行われる。この調査結果により、法人道民税の更正決定、課税保留、課
税除却等の処理が行われることとなる。
主な調査対象に、不申告法人に係わるものがある。不申告法人の場合、国税へ
申告書が提出されていれば、国税から課税標準額等のデータが送られてきて、法
人税不符合法人調査書が出力されることとなる。しかし、道へ申告書未提出の法
人は、国税へも申告書未提出の場合が多い。この場合、法人道民税法人税割の課
税標準である法人税額の決定権限は国税にあり、かつ、法第24条より法人道民
税については法人税割と均等割の合算額にて課税することとされていることから、
道が均等割のみを先行決定することができず、国税の法人税額に係わる決定を待
たなければならない。国税で法人税額の決定もしくは所得なしとの決定(無所得
決定)がなされると、送付されてくる国税データに当該法人の記録が登載され、
法人税不符合法人調査書が出力されることとなる。
法人税額の決定があった場合、及び無所得決定がなされた場合で法人の活動実
態があると認められる場合には、法人道民税の決定が行われる。無所得決定がな
された場合で法人の活動実態があると認められない場合には、課税保留となる。
その他、修正申告書が国税には提出されているが道には提出されていない場合、
課税保留中の法人に代表者変更が生じた場合(この場合、国税では改めて無所得
決定がなされるために、送付されてくる国税データに当該法人の記録が再登載さ
れ、課税保留となっている法人二税マスタ上の当該法人の記録との間に齟齬が生
じることとなる)等に、法人税不符合法人調査書が出力される。
直近3年間の調査実施法人数及び更正決定件数は、以下のとおりであった。
区
分
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
調 査 実 施 回 数
276
295
298
調 査 実 施 法 人 数
18, 08 7
17, 76 4
18, 20 2
税務署ごとに月1回程度の調査が行われるため、調査実施回数は延べ300回
近くとなる。調査実施法人数は、毎年18,000程度となっている。
法人税不符合法人調査書に係わる調査及びその後の処理については、
「法人税調
査書処理状況進度表」にて進捗管理がなされている。平成21年度の法人税調査
書処理進度表を閲覧したところ、年度末の平成22年3月31日時点で多数の未
処理が残されている振興局等(次表のA振興局等)があった。
- 42 -
区
分
A 振興局
B 振興局
平成 20 年 度 以 前 に 受 理 し た もの の う ち 未 処 理
139 件
2件
平 成 21 年度 中に 受理 し たも のの うち 未処 理
438 件
31 件
未
577 件
33 件
処
理
合
計
上記表におけるA振興局とB振興局は、法人税不符合法人調査書受理件数及び
担当係人員数がほぼ同じである。B振興局と比べて、A振興局の未処理件数は明
らかに多い。
多数の未処理が残されている理由については、マンパワー不足のためとの説明
であったが、実地監査を行った平成22年10月時点でも、A振興局の未処理件
数は、平成21年度末と変わらない水準の未処理件数が残されていた。
まずは、A振興局の未処理が多く残されている状況を早急に解消する必要があ
る。重要な調査と位置付けられている本調査において、今後、このような多数の
未処理が生じないよう、適正な事務処理の徹底を図るべきである。
【指摘
7】一部の振興局等において、法人税不符合法人調査書への記載・押印に
不備があったことから、今後、このような不備が生じないよう事務処
理を徹底すべきである。
法人税不符合法人調査書は、調査年月日の記載及び調査員の押印がなされる様
式となっている。しかし、ある振興局等において、当該記載及び押印がなされて
いない調査書が散見された。それらは、調査の責任の所在を明らかにする事項で
あるので、確実に記載及び押印がなされるべきである。
また、法人税不符合法人調査書には、調査項目・内容を記載する欄が設けられ
ている。しかし、当該欄への記載がない、もしくは、不明瞭な調査書が散見され
た。実施した調査の過程を明らかにする事項であるので、明瞭な記載がなされる
べきである。
調査書は、実施した調査の説明根拠になると同時に、決定等の判断根拠となる
重要な書類である。したがって、その記載等を確実・明瞭に行うことが肝要であ
ると考える。今後、このような不備が生じないよう、適正な事務処理の徹底を図
るべきである。
【意見
8】他都府県に本店がある法人を把握する調査(未届分割法人調査)につ
いては、全ての振興局等で実施すべきである。
課税客体とは、道税を納付すべき法人等を意味する。課税の公平、また、税収
確保の観点からは、課税客体を漏れなく捕捉することが重要である。
法人を設立した場合、あるいは、法人が道内に新たに支店等を設置した場合、
道に「法人設立・設置届出書」を提出しなければならない。道は、この届出をも
って課税客体を捕捉する。しかし、当該届出書の提出がなされない場合がある。
そこで、課税客体を漏れなく捕捉するために、振興局等にて課税客体捕捉のた
めの各種調査を行うこととなっている。法人道民税及び法人事業税に関する事務
- 43 -
処理について定められた「法人道民税・事業税事務処理要領」によれば、法務局
調査、税務署調査、市町村調査、未届分割法人調査、を行うことになっている。
未届分割法人調査については、当該要領に加えて、
「分割法人(他県本店)に係わ
る実態調査実施要領」にて調査実施につき定められている。
法務局調査とは、法務局に赴き商業登記簿・登記申請書等を閲覧する調査であ
る。
税務署調査とは、税務署に赴き法人名簿等を閲覧する調査である。
市町村調査とは、市町村に赴き法人名簿等を閲覧する調査である。
未届分割法人調査とは、他都府県に本店がある法人で道内に事務所等を有する
法人を把握する目的の調査である。
未届分割法人調査には、市町村の法人課税台帳等を閲覧する等の関係機関調査、
電話帳による調査、不動産取得税の課税資料等の内部で入手できる資料による調
査を行うこととなっており、これら調査を補完するものとして、新聞広告・チラ
シ等の資料の調査を行うこととなっている。
法務局調査等の各調査で把握した課税客体情報は、道の法人二税に係わる法人
二税マスタと照合される。ここで未登録の法人が捕捉されれば、当該法人に「法
人設立・設置届出書」の提出を督励する。これによっても届出がなされないとき
は、商業登記簿謄本等の情報を基礎として、法人二税マスタへの登録を行うこと
となる。
各調査の直近3年間の実施状況は次のとおりであった。
区
分
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
実 施 回数
把 握 件数
実 施 回数
把 握 件数
実 施 回数
把 握 件数
法 務 局 調 査
123 回
210 件
126 回
225 件
126 回
203 件
税 務 署 調 査
230 回
1,0 96 件
240 回
748 件
246 回
777 件
市 町 村 調 査
1回
0件
1回
0件
1回
0件
未届分 割法人 調 査
16 回
3件
16 回
3件
20 回
3件
振興局等で、法務局調査または税務署調査を実施していないところはなかった。
管轄地域にある各法務局または各税務署に、月1回程度赴き、調査を行っている。
市町村調査については、1ヶ所の振興局等で年1回行われているのみであった。
これは、ほとんどの市町村の課税客体捕捉方法が、道の実施した法務局調査あ
るいは税務署調査の結果を受けて、これをもとに客体を捕捉するのを基本として
いるため、とのことである。また、市町村との税に関する事務連絡等のやりとり
の中で、課税客体に関する情報を確認している振興局等もあった。
未届分割法人調査については、直近3年度で1回も実施していない振興局等が
12ヶ所あった。理由としては、実施しても課税客体の捕捉があまり期待されな
いため、とのことであった。道は、過去に未届分割法人調査を重点実施項目とし
たことがあったが、その際も、未届分割法人の把握はあまりなされなかったとの
ことである。しかし、上記の表からもわかるとおり、調査を実施した結果、課税
客体は捕捉されている。支店登記がなされない場合には、登記事項の調査から分
- 44 -
割法人の捕捉はできない。調査を全く行わない振興局等があるということは、道
内地域間で課税の公平性が損なわれることにもなるため、課税の公平の観点から、
未届分割法人については、全ての振興局等で実施すべきである。
【意見
9】法人道民税の減免申請書は自主的に提出されるべきものであり、課税
の公平及び事務の効率化の観点から、未提出者に対し何度も電話催促
するなどの過度な事務対応については検討すべきである。
「1 概要」の「(6)法人道民税の減免」に記載のとおり、法人道民税の均等
割が減免されることがある。課税の公平の観点からは、減免に関する事務の適切
な執行が必要とされる。
法人道民税の減免に係わる事務フローは下記のとおりである。
申 告 書お よ び
申 請 書の 送 付
減 免 申 請 書 を 申 告 書に 同 封 し て 送付 す る 。
申 告 書お よ び
申 請 書の 受 理
内 容 精査
申 告 書 ・ 減 免申 請 書 ・決 算 書 等 添 付書 類 と 法 人 二税 マ ス タ と
を 照 合 す る 。収 益 事 業 の 有無 に つ い て は、 税 務 署で 別 途 確 認
する。
減 免 決定
減 免 通知 書 の
作 成 およ び 通 知
法人道民税均等割の減免対象となるものは、①地域住民の福祉の増進を主たる
目的とする一般社団法人(非営利型法人に該当するものに限る)もしくは一般財
団法人(非営利型法人に該当するものに限る)または公益社団法人もしくは公益
財団法人、②地方自治法第260条の2第7項に規定する認可地縁団体または特
定非営利活動促進法第2条第2項に規定する特定非営利活動法人(NPO法人)
で、次の要件を満たすもの。
①
該当するものが減免を受けるためには、
「住民の会議または集会の用に供す
る施設を設置し、または管理し、及び運営しているもの」で、かつ「収益事
業を行わないもの」であることを要する(条例第37条第1項)。
② 該当するものが減免を受けるためには、「収益事業を行わないもの」である
- 45 -
ことを要する(条例第37条第2項)。
①又は②に該当するもので減免を受けようとするものは、当該年度の法人道民
税の申告書提出期限までに、減免申請書及び必要な添付書類を提出しなければな
らない(条例第37条第3項)。
減免対象の法人が、条例第37条第1項または同条第2項の要件を具備してい
るか等の現状を把握する目的で、毎年2月頃、減免申請書送付前に、認可地縁団
体については市町村に認可状況を照会し、NPO法人については道の環境生活部
のホームページを確認している。一般社団法人もしくは一般財団法人または公益
社団法人もしくは公益財団法人については、減免申請書に添付される決算書等を
確認することで、事後的に法人の状況を把握している。
減免を受ける上で特に注意が必要となる収益事業については、国税の収益事業
申告義務の有無で判断を行っている。このため、収益事業の有無については、税
務署への収益事業開始あるいは実施等の有無の照会、法人税不符合法人調査書に
係わる調査(道に収益事業開始等の届出がなく、税務署に収益事業に係わる納税
が行われている場合、法人税不符合法人調査書が出力される)にて確認される形
となっている。
直近3年間の法人道民税の均等割の減免状況は、次のとおりであった。
(単位:千円)
区
平成 19 年 度
分
件数
平成 20 年 度
減免額
件数
平成 21 年 度
減免額
件数
減免額
社 団 法 人お よ び 財 団 法 人
18 件
360
19 件
380
17 件
340
認 可 地 縁 団 体
737 件
14, 51 1
755 件
14, 86 7
771 件
15, 31 4
N P O
法 人
798 件
13, 93 0
857 件
16, 11 2
926 件
17, 71 1
計
1,5 53 件
28, 80 1
1,6 31 件
31, 36 0
1,7 14 件
33, 36 5
合
直近3年間、NPO法人の増加により、減免額総額が増加している。
減免申請書および減免に係わる決定書を閲覧したところ、提出期限後に提出さ
れた減免申請書について減免決定を行っているものが散見された。中には、3事
業年度分をまとめて減免決定しているケースもあった。
また、提出期限を過ぎても減免申請書の提出がないものに対しては、電話で提
出を促す等の事務を行っていた。
条例第37条第3項は、法人道民税の申告書提出期限までに減免申請書を提出
しなければならないと規定している。しかし、減免申請書が提出期限後提出され
た場合に、減免が受けられなくなることを規定した法令等はなく、法第17条の
5第2項の規定により、法定納期限の翌日から起算して5年を経過する日までは
減免を認めることになる、との説明であった。
道は、提出期限を過ぎても減免申請書を提出しないものに対して、電話で提出
を促す等の事務を行っている。提出期限後の減免申請であっても、減免を却下で
- 46 -
きないことがやむを得ないことだと理解できても、減免申請書の提出を督促する
ことは必要であろうか。減免は、減免を受けようとするものが自主的に申請書を
提出するものであって、この努力を怠ったものは減免を受けることができなくな
る、というのが一般的な考え方であると考える。
行政サービスの一環であるとしても、課税の公平及び事務の効率化の観点から
は、減免申請書未提出者に対し何度も電話督促するなどの過度な事務対応を行っ
ている現状は改善すべきである。
【意見10】2以上の道府県に事務所等を有する法人の法人道民税に係わる分割基
準(従業員数)が適正であることを確認するための調査について、運
用方法を定めた上で実施すべきである。
「1 概要」の「(5)分割基準」に記載のとおり、2以上の都道府県において
事務所等を有する法人は、法人税額を関係都道府県に分割し、その分割した額を課
税標準として、関係都道府県ごとの法人税割額を算定し、均等割を加算した額を申
告納付することとなっている。この分割に用いる基準を「分割基準」といい、法人
道民税では従業者の数が分割基準となる(法人事業税についても、別途、分割基準
がある。これについては、
「第7 法人事業税」の「1 概要」の「(4)分割基準」
を参照)。
より具体的には、関係都道府県ごとに、法人税額等の課税標準の算定期間中にお
いて有する法人の事務所等について、当該法人の法人税額等を当該算定期間の末日
現在における従業者の数に按分して行う(法第57条第2項)
。
分割基準については、主たる事務所等の所在地の都道府県知事にその修正もしく
は決定の権限があり、
当該都道府県知事が調査を行う(法第72条の49第3項)。
他の関係都道府県知事は、分割基準に修正または決定の必要があると認めるときは、
主たる事務所等の所在地の都道府県知事に対し、分割基準の修正または決定を請求
することができる(法第72条の49第5項)。
分割基準が適切なものであり課税標準額等の分割が適切になされているかどう
かを確認するための分割基準の調査については、平成21年度に、法人事業税の自
主課税法人調査(これについては、
「第5 法人事業税」を参照)と同時に6件行
っている。それ以前においても、調査実績はあるとのことであった。しかし、分割
基準の調査については、上記「(1)課税客体の捕捉について」にある各調査や、
上記(4)の法人税不符合法人調査書に係わる調査ように、明確な方針は定められ
ておらず、要領等規程もない。
分割基準の調査は、既に把握されている課税客体が国税に申告した法人税額等が
適切に関係都道府県に分割されているかの確認であり、費用対効果の観点からは、
多大な労力を割く必要がある調査とはいえないとも思われるが、不適切な分割基準
を用いている法人が存在し、道が収入すべき法人道民税があるべき額より少なくま
たは多くなっている可能性はある。また、法も、分割基準の調査を実施することを
想定している(法第72条の49第3項)。分割基準の調査についても、一定の方
針を確立することが必要と思われる。例えば、費用対効果を勘案した調査方法とし
て、上記の実例にあった自主課税法人調査に併せて調査を実施した場合のように、
他の調査を行うときは、必ず同時に分割法人の調査を併せて行う、ということが考
- 47 -
えられる。課税の公平の観点からも、今後、運用方針を定めた上で、実施すべきで
ある。
【意見11】事務の効率化及び納税者の利便性の向上の観点から、エルタックスを
利用した電子申告を促進するため、広報等による周知や、市町村など
関係機関との連携を図り、積極的な利用拡大を行うべきである。
地方税電子申告システム(エルタックス:eLTAX、以下エルタックス)とは、地
方税における申告等の手続きをインターネットを利用して電子的に行うシステム
である。㈳地方税電子化協議会が管理・運営を行っている。道も当協議会の構成員
となっている。
地方税の申告、申請、納税等の手続きは、各地方公共団体の窓口で行う必要があ
ったが、地方公共団体が共同でシステムを運営することにより、電子的な一つの窓
口からそれぞれの地方公共団体に手続きすることが可能となった。
電子申告のサービス自体は、無料で利用することができる。ただし、利用するに
あたり、パソコン環境やインターネット接続環境、必要に応じて電子証明書などを
事前に準備する必要がある。これらの準備には費用が必要なものもある。
これまでの紙による申告等の手続きは、申告時期ともなると窓口の混雑のため、
不便な思いをすることもあったが、エルタックスは、インターネットを利用するた
め、自宅やオフィスなどから手続きを行うことができる。
エルタックスのシステムの概要は、以下のとおりである。
《エルタックスのシステム概要》
北海道
ポータル セン ター
イ
ン
タ
ネ
ッ
ト
ー
ー
納税者の
パソコン
申
告
デ
ー
申
告
デ
タ
ポータル
システム
受付
システム
審査
システム
タ
審査
システム
道税
システム
エルタックスのサービス提供状況については、都道府県は47団体すべてがサー
ビス提供を開始しており、提供率は100%となっている。
市町村および東京23区については、次のとおりである。
- 48 -
《市町村および東京23区のエルタックスのサービス提供状況》
区
分
全
国
1,7 50
1,0 42
59. 5%
道
179
39
21. 8%
北
海
団 体 の総 数
提 供 済の 団 体 数
提供率
※エルタックスのホームページより(平成22年12月17日更新分)
全国のエルタックスサービスの提供率は約6割となっているのに対し、道内の市
町村のサービス提供率は2割強と全国の3分の1であり、著しく低い水準となって
いる。
エルタックスは、振興局等の税の窓口に赴くことなく、また、郵送することもな
く、自宅やオフィスのパソコンから申告等の手続きを行うことができる。エルタッ
クスは、納税者の利便性向上に資するものである。エルタックスの利用を促進する
ことは、まず何よりも納税者の利益となる。
エルタックスの利用率が高まれば、紙ベースで申告書を受理した場合に費やして
いた申告書管理に係わる人手・時間・場所の省力化に貢献するものと思われる。ま
た、エルタックス利用者には、紙ベースで申告する者に行っていたプレプリント申
告書等の郵送が不要となり、紙(消耗品)の削減、郵送代の削減にもつながる。さ
らに、申告遅滞・不申告等の低減につながる可能性もあり、申告督励等の手続が減
少することも考えられる。エルタックスの利用を促進することは、事務の効率化を
図り、また、徴税費削減にも繋がることとなる。
上記の表のとおり、道内市町村のエルタックスサービス提供状況は、全国に比べ
て著しく低い状況となっている。道も市町村と連携し、道内にエルタックスサービ
ス提供を促進させるべきである。エルタックスを利用できる環境になければ、エル
タックス利用促進は図れない。
エルタックス利用促進のため、税理士会等の協力を仰ぐことも有用であり、道
も行っている。国税にもイータックス(e-Tax)と呼ばれる電子申告・納税システ
ムがあるが、その利用促進の目的で、税務署職員等が管轄地区の税理士等に対して
利用促進の働きかけを税理士事務所を訪問するなど、道以上に積極的に行っている。
また、エルタックスは、イータックスに比べて使い勝手が悪いという意見もある。
具体的には、パソコンのOS(基本ソフトウエア)に関して、最新のOSの発売か
ら1年近く経過した後でやっとエルタックスが対応可能になったことなどが挙げ
られる。現在のインターネットの普及状況を考えると、電子申告はさらに増加して
いくと思われる。上記課題等は税理士会から道税務課へ要望事項として提案してい
るが、道は自ら、エルタックスの利用促進を推進するために、その改善に向けての
働きかけを行うべきである。
事務の効率化及び納税者の利便性の向上の観点から、エルタックスを利用した
電子申告を促進するため、広報等による周知や、市町村など関係機関との連携を図
り、積極的な利用拡大を図るべきである。
【所
感】不申告法人に対し、一度目の申告督励後に早期のフォローを行うことが
望まれる。
- 49 -
不申告法人とは、申告納税期限までに申告納税がなされていない法人のことを言
う。不申告法人が、いつまでも正当な理由なく申告納税を行わないことは、課税の
公平性を害し、また、税収確保を損ねることとなる。このため、不申告法人に対す
る適切な措置は、重要な事務となる。
「3 事務フロー」の「(1)客体把握および調定等の事務」にも記載があると
おり、不申告法人に対しては、申告書を提出するよう催告を行う。具体的には、申
告期限の翌月に不申告法人の一覧表がシステムから出力され、その中から既に申告
済みのものや休業等の連絡を受けているものを除き、申告期限の概ね翌々月に申告
書提出の催告文書を発送する(一度目の申告督励)。当該督励にも係わらず、なお
申告書の提出がない法人については、翌年度の6月頃に再度不申告法人の一覧表に
登載されることとなり、二度目の申告督励を行う。それでもなお申告書の提出がな
されない場合には、法人税不符合法人調査書に係わる調査にて実態調査が行われ、
課税額の決定、あるいは、課税の保留となる。
直近3年間の不申告法人数、申告督励数、督励による申告件数の各数値は、以下
のとおりであった。
区
分
不 申 告 法 人 数
申
申
告
告
督
励
件
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
9,3 09 法人
9,4 21 法人
9,8 54 法人
数
3,7 61 件
6,0 58 件
4,9 91 件
数
977 件
1,1 84 件
927 件
平成19年度に札幌道税事務所の統合(札幌中央、札幌北、札幌南の3事務所の
統合)があり、同年度に行うべき申告督励の一部が翌20年度に繰り越されたため、
平成19年度の申告督励数は相対的に少なく、平成20年度の申告督励数は相対的
に多くなっている。年平均4,000程度の申告督励が行われている。
申告期限の翌々月に一度目の申告督励が行われた後、特にフォローは行われてい
ない。二度目の申告督励、及び法人税不符合法人調査書に係わる調査の実施により、
不申告法人がいつまでも放置されたままという事態には至らない形となってはい
るものの、課税の決定及び税金の納付が、申告納税期限後相当の時間を経てからの
こととなる。このことは、適切に申告納税している法人に比べ、不申告法人に不当
に納税猶予の時間を与えていることを意味する。また、課税の遅滞により、徴収の
可能性が低くなることも考えられる。
不申告法人に対しては、一度目の申告督励後に、早期のフォローを行うことが望
まれる。フォローの方法としては、電話催告や現地訪問等が考えられる。税収確保
の観点からは、早めの対応が肝要である。また、フォローの実施により、早期に休
業法人等の活動実態のない法人を捕捉することができ、二度目の申告督励数の低減、
法人税不符合法人調査書に係わる調査や課税保留を行うための実態調査の省力化
に資すると考えられる。
- 50 -
第3
1
道民税利子割
概要
金融機関等を通じて、支払いを受ける利子等に課税されるものである。
利子等とは、次の表に記載する預貯金等や公社債の利子、投資信託の配当など
である。
所得区分
利
子
等
の
種
類
預貯金(普通預金、定額貯金、勤務先預金など)の利子
公社債(国債、地方債など)の利子
利子所得
合同運用信託(貸付信託、金銭信託など)の収益の分配
公社債投資信託(中期国債ファンドなど)の収益の分配
公募公社債等運用投資信託の収益の分配
国外公社債等の利子等
財形貯蓄保険契約等の差益
私募公社債等運用投資信託の収益の分配
配当所得
社債的受益証券の収益の分配
国外私募公社債等運用投資信託等の収益の分配
懸賞金付預貯金等の懸賞金等
定期積金の給付補てん金、掛金の給付補てん金
雑所得等
抵当証券の利息
金貯蓄(投資)口座の利益
外貨建預貯金の為替差益
一時払い養老保険の差益、一時払いの損害保険等の差益
(1)納税義務者(法第24条①五)
利子等の支払いまたはその取り扱いをする者(銀行等の金融機関等)の営業
所等で道内に所在するものを通じて利子等の支払いを受けるもの
(2)課税標準(法第71条の5)
支払いを受けるべき利子等の額
(3)税率(法第71条の6)
100分の5
- 51 -
(4)非課税(法第23条他)
非
課
税
の
種
類
限度額
身 体障 害者 や寡 婦年金 受給 者 少額貯蓄非課税制度(マル優)
などに対する非課税(注)
少額公債非課税制度(特別マル優)
350 万円
350 万円
勤 労者 が行 う財 産形成 貯蓄 に 勤労者財産形成住宅貯蓄非課税制度
対する非課税
勤労者財産形成年金貯蓄非課税制度
合わせて
550 万円
納税準備預金や納税貯蓄組合預金の利子
全 額
注:平成19年9月以前に預け入れた非課税の郵便貯金については、預入期間等
が経過するまでの間は、郵便貯金非課税制度が適用となる。
(限度額350万円)
(5)徴収方法(法第71条の9)
特別徴収の方法による。
利子割の特別徴収義務者は、利子等の支払いまたはその取り扱いをする者で
道内に営業所等を有するものである。
(6)申告納税
特別徴収義務者は、利子等の支払いの際、その利子等について利子割を徴収
し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、納入申告書を提出し、その
納入書によって、指定金融機関または出納員に納入する。
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額、収入額の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
額
5,3 02 ,10 4
4,1 14 ,50 0
5,2 64 ,93 9
5,1 18 ,95 5
4,5 37 ,51 8
収 入 済 額
5,3 02 ,10 4
4,1 14 ,50 0
5,2 64 ,93 9
5,1 18 ,95 5
4,5 37 ,51 8
調
定
収入未済額はない。
- 52 -
(2)平成21年度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
額
収 入 済 額
不納欠損額
収入未済額
収入 歩 合
空知 総合 振 興局
193 ,8 31
193 ,8 31
0
0
100 %
石
局
145 ,0 97
145 ,0 97
0
0
100 %
後志 総合 振 興局
748 ,7 65
748 ,7 65
0
0
100 %
胆振 総合 振 興局
167 ,6 49
167 ,6 49
0
0
100 %
局
39, 20 8
39, 20 8
0
0
100 %
渡島 総合 振 興局
168 ,7 28
168 ,7 28
0
0
100 %
局
18, 13 5
18, 13 5
0
0
100 %
上川 総合 振 興局
310 ,2 59
310 ,2 59
0
0
100 %
局
34, 91 3
34, 91 3
0
0
100 %
宗谷 総合 振 興局
53, 14 1
53, 14 1
0
0
100 %
オホーツク総合振興局
195 ,3 94
195 ,3 94
0
0
100 %
十勝 総合 振 興局
223 ,6 78
223 ,6 78
0
0
100 %
釧路 総合 振 興局
127 ,1 78
127 ,1 78
0
0
100 %
局
52, 10 0
52, 10 0
0
0
100 %
札幌 道税 事 務所
2,0 59 ,43 5
2,0 59 ,43 5
0
0
100 %
合
4,5 37 ,51 8
4,5 37 ,51 8
0
0
100 %
日
桧
留
根
分
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
調
計
定
後志総合振興局の調定額・収入額が多額であるのは、ゆうちょ銀行の道内分
の取扱いを行う小樽貯金事務センターが小樽市に所在する為である。
3
課税・徴収の事務フロー
【申告書の処理】
申告書の回付
納入済通知書
とあわせて提出
申告書 の受理
収受印 の押印
記載内容
の精査
加算金の計算
不備の場合、
特別徴収義務
者に連絡
申告書 デー タ一覧表
と照合(北 洋)
申告書の
並び替 え
エラー分の確認
及 び修正入 力
通知書 等送付
更正・決定・加算 金決定
通知書
通知 書等の封入封 緘
- 53 -
調定内 訳書の
出力
調 定内訳書と申
告 書の照合
調定
管理担当係へ 回付
道民税利子割の申告書は4枚複写となっている。
一枚目は申告書、二枚目は納入済通知書としてデータ入力の原紙となり、三枚
目が指定金融機関の控え、四枚目が特別徴収義務者の領収証書となっている。
データ入力の際、税額が利子等の5%を超えた場合にエラー表示される。
4
監査手続
実地監査した振興局等で下記の事項に関してサンプル調査を行った。
(1)申告書の記載内容及び税額の整合性について検証した。
(2)更正に関する請求書及び添付書類並びに更正決定関係書類の整合性について
検証した。
5
指摘意見
道民税利子割の税務署調査について、ヒアリングしたところ、制度が導入された
当初から3年に1回程度、税務署調査により、申告内容の確認をしていたが、道民
税利子割の特別徴収義務者が、主に金融機関及び証券会社であり、誤りがあった場
合も速やかに連絡があったため、税務署調査の中で申告漏れを把握することはなか
った。そのため、平成10年頃より定期的に行う税務署調査は実施されていないと
のことである。現状では、特別徴収義務者の連絡後に提出される書類で確認できな
い場合にのみ税務署調査を行っている。
【指摘12】実地監査した振興局等において、道民税利子割の申告書の精査や記載
が適正でなかった事案があった。また、現行の事務処理体制では、課
税標準額と税額のチェックが万全とはいえない。道税システムのエラ
ー表示の改定の検討を含めて、チェックリストを定めるなど、精査の
体制を改善すべきである。
「道民税利子割事務処理要領」では、受理した申告書の記載内容を精査し、不
備がある場合特別徴収義務者に連絡することとされている。今回、実地監査した
振興局等の事務担当者から精査をどのように行っているか質問したところ、記載
内容の精査をほとんど行っていない振興局等もあれば、記載内容を詳細に検討し、
税率5%に相当する税額に誤りがないかの精査を行っている振興局等もあった。
このように振興局等によって、申告書の精査に対する姿勢が大きく異なっている
実態があった。
また申告書の記載内容についてサンプル調査したところ、全ての振興局等で正
しい記載がされていない申告書が散見された。例えば、申告書の利子等の支払金
額欄には、「利子割が課される利子等の支払金額」を記載すべきところ、「非課税
に係わる利子割等の支払金額」を含めて記載している申告書が多数見受けられた。
これは、担当者が道税システムから出力される税額のみを確認しており、支払金
額と税額の検算を怠っていたためである。中には利子等の支払金額に対する税率
は5%(一円未満端数切り捨てのため、5%にはならない場合が多い。)であるが、
サンプル調査したある申告書の場合、税額と利子等の支払金額から逆算して税率
- 54 -
を算出したところ、約1.4%と明らかに間違いと思われる申告があった。この
申告に関して担当者から納税義務者に確認してもらったところ、課税標準額の記
入間違いと判明したが、過少申告の可能性もあった。現行の道税システムでは、
利子割額が支払金額に対し5%を超過した場合のみエラー表示され、逆に5%を
大きく下回ってもエラー表示はされないため、税額が支払金額の5%を大きく下
回った場合、たとえば4.5%以下でエラー表示されるようなシステム上の改善
も必要である。
実地調査を省略している現状では、申告書の精査体制を改善すべきである。
【所
感】定期預金の中間利払い分の利子割還付に係わる減額更正の事務処理を簡
素化するよう国に提言することが望まれる。
道民税利子割については、毎年度、減額更正の請求が多数発生している。その
大部分は、中間利払いのある定期預金について中間利払い後に中途解約が発生し、
期限前解約利息が既に支払った中間利息額より少なくなったことにより、預金者
からその利息の返還を受けたために発生したためである。
更正の請求とは、納税者が申告書に記載した課税標準若しくは税額等の計算が
過大であった場合、過大であった税額の還付を請求することができる制度(法第
20条の9の3)であり、特別徴収義務者から更正の請求を受けた場合、道は請
求内容を関係資料等で事実を確認し、その請求が適正なものであれば減額更正を
行い過大分の税額を還付する。
次の表のとおり中間利払い定期預金の中途解約により減額更正(以下、
「中途解
約による減額更正」と言う。)の件数は減額更正全体の内約9割を占めているが、
低金利時代を反映し1件当たりの平均還付金額が345円と非常に少額である。
これらの事実にも係わらず、減額更正決定のための事務処理は煩雑なものとなっ
ておりさらに、還付金の振込処理も行わなければならない。一方更正の請求をす
る金融機関等も、還付金より請求書の郵送費が還付税額を上回り、この手続きに
関しては損失を生じている場合もある。
減額更正は税金を還付するため、本来厳格な事務処理を行わなければならない
が、定期預金の中途解約による減額更正に基づく還付についてはより効率性を重
視し、事務処理の簡素化も検討することが望まれる。例えば、
「利子割特別徴収税
額計算書」において、減額更正する課税標準や税額を相殺可能な形式で記載し、
毎月の申告納付の際に処理することにより、更正の請求やそれに対する決定のた
めの事務処理、さらには還付金の振込を不要とすることが可能ではないか。これ
により、特別徴収義務者及び道の双方に事務処理の軽減とコストの軽減が図られ
るのではないか。
なお、更正の請求は地方税法に規定されているため、道独自の改正は難しいと
思われるが、上記事務処理に関しては、全国的にも同じ状況と思われることから、
国に対して提言することが望まれる。
- 55 -
《平成21年度道民税利子割減額更正件数等》
区
分
空 知 総 合 振 興 局
石
狩
振
興
局
後 志 総 合 振 興 局
胆 振 総 合 振 興 局
日
高
振
興
局
渡 島 総 合 振 興 局
檜
山
振
興
局
上 川 総 合 振 興 局
留
萌
振
興
局
宗 谷 総 合 振 興 局
オホーツク総合振 興局
十 勝 総 合 振 興 局
釧 路 総 合 振 興 局
根
室
振
興
局
札 幌 道 税 事 務 所
計
減額更正件数
減額更正の合計金額
うち中間利払い関係
37
29
129
128
53
2
2
2
24
23
82
81
0
0
64
45
14
14
8
8
26
19
381
378
15
13
4
4
543
459
1,382
1,205
- 56 -
うち中間利払い関係
16,001
7,021
16,874
15,469
20,069
4
303
303
4,068
3,793
90,412
68,291
0
0
129,419
46,015
5,159
5,159
324
324
13,679
10,524
50,122
48,901
17,897
15,433
619
619
228,156
194,115
593,102
415,971
(単位:件、円)
1件当たりの平均額
うち中間利払い関係
432
242
131
121
379
2
152
152
170
165
1,103
843
0
0
2,022
1,023
369
369
41
41
526
554
132
129
1,193
1,187
155
155
420
423
429
345
第4
1
道民税配当割
概要
支払いを受ける特定配当等について課税されるもので、配当等の支払いをする
上場企業等が所得税と合わせて納める。
(1)納税義務者(法第24条①六)
道内に住所を有する個人で、特定配当等の支払いを受ける人
(2)課税標準(法第71条の29)
下記の配当等
ア 一定の上場株式等の配当等
イ 公募公社債投資信託以外の公募証券投資信託の収益の配当等
ウ 国外公募公社債投資信託以外の国外公募証券投資信託の配当等
エ 特定投資法人の投資口の配当等
(3)税率(法第71条の28)
特定配当等の額の3%
ただし、平成24年1月1日以降の税率については5%となる。
(4)徴収の方法(法第71条の30)
特別徴収の方法による。
(5)申告と納税
特別徴収義務者が、その配当等について配当割を徴収の日の属する月の翌月
10日までに、納入申告書に計算書を添付して提出し、納入書によって、指定
金融機関又は出納員に納入する。ただし「源泉徴収選択口座内配当等に係わる
配当割」に関しては、1年分をまとめて、翌年の1月10日に申告納入する。
(6)他都府県との情報交換
特別徴収義務者の納入申告額に係わる情報について、都府県との間で、明細
書等を通知する、または調査書により調査を実施するなどの情報交換を行う。
- 57 -
2
調定額の状況
過去5年間の調定額の推移は下記の通りである。
(単位:千円)
区
調
3
定
分
平 成 17 年 度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
額
1,2 74 ,28 7
1,9 47 ,02 6
2,4 09 ,89 1
875 ,9 76
779 ,7 36
課税・徴収の事務フロー
申告書の 回付
納入済通 知書
とあわせ て提出
される
申告書 の受理
収受印 の押印
記載内 容
の精査
加算 金の計算
エラ ー分 の確及び修
正入力
不 備の場合 、
特 別徴収義 務者
に連絡
申告 書の
並び替え
申告書データ 一覧表と
照合(北洋 )
パッチ処理
を要するも
のもある。
通 知書等送 付
更 正・決定・加算金 決定通
調定内訳 書
の出力
調定内訳 書と
申告書の 照合
調定
通知 書等の封 入封緘
4
監査手続
道においては、道民税配当割の事務処理は全て札幌道税事務所で行われている。
札幌道税事務所において、特別徴収義務者からの道民税配当割納入申告書をサ
ンプル調査し、記載内容、課税標準額、税額をチェックした。また、他県へ提出
している「道府県民税配当割・株式等譲渡所得割特別徴収義務者等報告書」に関
しても、同じく、記載内容他を確認した。
5
指摘意見
収入未済額もなく、特に指摘意見はない。
- 58 -
第5
1
道民税株式等譲渡所得割
概要
支払いを受ける一定の特定口座における上場株式等の譲渡の対価等について課
税されるもので、証券会社、銀行などが所得税と合わせて納める。
(1)納税義務者(法第24条①七)
北海道内に住所を有する個人で、上場株式等の譲渡の対価等の支払いを受け
る人
(2)課税標準(法第71条の48)
特定株式等譲渡所得金額
(3)税率(法第71条の49)
特定口座内における株式等譲渡所得金額の3%
ただし、平成24年1月1日以降の税率については5%
(4)徴収の方法(法第71条の50・51)
特別徴収の方法による。
(5)申告と納税
証券会社、金融機関等の特別徴収義務者が、1年分をまとめて翌年の1月1
0日までに申告納入する。
2
調定額等の状況
過去5年間の調定額の推移は下記のとおりである。
(単位:千円)
区
分
調 定
額
平成 17 年 度
1,5 86 ,30 9
平成 18 年 度
1,4 01 ,19 4
平成 19 年 度
1,3 85 ,22 3
- 59 -
平成 20 年 度
672 ,9 01
平成 21 年 度
344 ,2 73
3
課税・徴収の事務フロー
申告書の 回付
申告 書の受理
記載 内容の
納入済通 知書と
あわせ て提出 さ
れる
収受 印の押印
精査
加算金の 計算
申告書データ 一覧表
と照合(北洋 )
エラー分の確及 び修
不備の場 合、
正入 力
特別徴収 義務者に
連絡
申 告書の並
び替え
パッチ処理
を要するも
のもある。
通 知書等送付 更正・決定・
加 算金決定通 知書
調定内 訳書
の出力
調 定内訳書 と申
告 書の照合
調定
通知書等 の封入封 緘
4
監査手続
道民税株式等譲渡所得割申告書をサンプル調査し、記載内容、支払金額、税額
を検証した。
5
指摘意見
収入未済額もなく、申告書についても特に指摘意見はない。
- 60 -
第6
1
個人事業税
概要
個人事業者は、その収益活動を行うに際し、道路、港湾などの各種公共施設を
利用するなどさまざまな行政サービスを受けている。その経費の一部負担の目的
として個人事業税が課せられる。
(1)納税義務者(法第72条の2)
道内に事務所(事業所)があり、事業を行っている個人
(2)税率(法第72条の49の13、条例第43条の2)
事 業 区分
具 体 的事 業 内 容
税率
第 一 種 事 業
物品販売業、不動産貸付業、運送業、駐車場業、請負業、飲
5%
食 業 、そ の 他 の 事 業
第二種事業※
畜 産 業、 水 産 業 、 薪炭 製 造 業
4%
第 三 種 事 業
医 業、 歯 科 医 業、 弁 護 士 業 、コ ン サ ル タ ント 業 、 デ ザ イン 業 、
5%
理 ・ 美容 業 、 ク リ ーニ ン グ 業 、 その 他 自 由 業 、
あ ん 摩・ は り ・ 柔 道整 復 等 の 業 、装 蹄 師 業
3%
※主として自家労力を用いて行うものを除く。
(3)課税標準及び税額計算(法第72条の49の7、法第72条の49の8等、
条例第43条の2)
事業
所得
事業の
事業の
総収入金額−必要経費
事業主
―控除額
×
税率
=
青色事業専従者給与額
−又は事業専従者控除額−
損失の
繰越控除額
税額
(4)申告と納税
ア
申告(法第72条の55、条例第43条の3、条例43条の3の2)
申告書の提出期限は3月15日であるが、所得税の確定申告書または住民
税の申告書を提出した者は、個人事業税の申告をしたことになり、改めて申
告する必要はない。
年の途中で事業を廃業した者は、廃業した日から1ヶ月以内(納税義務者
が死亡した場合には4ヶ月以内)に個人事業税の申告が必要となる。
- 61 -
イ
納税(法第72条の51、条例43条の2の2、条例43条の2の3)
納税は納税通知書により、8月と11月の2回に分けて納付する(年額が
1万円以下の場合は8月の納期に全額を納付する)。
年の途中で廃業した者は、納税通知書により別に指定した納期限までに納
付しなければならない。
(5)各種控除
《控除一覧(法第72条の49の8、法第72条の49の10)》
区
分
損失の繰越控 除
控
除
の
内
容
青色申告者は、事業による所得が赤字(損失)となった場合に
は、翌年以降3年以内に生じた所得からその損失額を差引くこ
とが出来る。
被 災 事 業 用 資 産 震災、風水害、火災などによって生じた事業用資産の損失の金
の 損 失 の 繰 越 控 額で、その事業による所得の計算上、控除されなかった金額は、
除
翌年以降3年以 内に生じ た所得から その損失額 を控除す るこ
とが出来る。
事 業 用 資 産 の 譲 事業に使用していた機械、車輌などを譲渡したため生じた損失
渡損失控除・譲渡 は、その年の事業による所得から控除することが出来る。なお、
損失の繰越控除
青色申告者は翌 年以降3 年以内に生 じた所得か らその損 失額
を控除することが出来る。
事業専従者控除
事業主控除
事業を行う者と 生計を一 にする15 歳以上の親 族でもっ ぱら
その事業に従事 する者が いる場合に は次の金額 が必要経 費と
なる。
青色申告者 青色事業専従者に支払われた適正な給与額
白色申告者 事業専従者一人につき次のいずれか少ない額
① 50 万円(事業専従者が配偶者のときは 86 万円)
② 事業専従者控除前の所得金額÷(事業専従者+1)
年間 290 万円(事業の期間が1年に満たない場合は月割計算)
(6)減免
次のような場合には申請により減免される(法第72条の62、条例第43
条の7)。
減
免
の
対
象
減
免
額
災害により、資産に被害を受けた人で、事業主控
除をした後の所得金額(その他の所得ある場合に
は合算額)が 700 万円以下のとき
障害者、年齢 65 歳以上の人、寡婦又は寡夫で、事
業主控除をする前の所得金額(その他の所得があ
る場合には合算額)が 310 万円以下のとき
- 62 -
被 害の 程度に 応じて 、税 額の
12.5%∼100%が減免される。
税額から最高 7,500 円が控除
される。
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年度
平成 19 年度
平成 20 年度
平成 21 年度
額
5,2 56 ,81 7
5,0 12 ,82 1
4,9 54 ,10 8
4,8 06 ,93 3
4,4 24 ,45 7
(うち現年課税分)
(4, 71 8,9 99 )
(4, 58 5,2 28 )
(4, 57 0,4 29 )
(4, 45 3,0 01 )
(4, 07 2,1 22 )
(うち滞納繰越分)
(53 7, 817 )
(42 7, 592 )
(38 3, 679 )
(35 3, 931 )
(35 2, 335 )
収 入 済 額
4,7 10 ,46 8
4,5 59 ,89 7
4,5 46 ,24 4
4,4 17 ,25 6
4,0 64 ,04 0
(うち現年課税分)
(4, 59 9,7 46 )
(4, 46 5,0 18 )
(4, 45 2,4 36 )
(4, 32 9,1 51 )
(3, 97 3,0 03 )
(うち滞納繰越分)
(11 0, 722 )
(94 ,8 78)
(93 ,8 08)
(88 ,1 04)
(91 ,0 36)
不納 欠損 額
11 7, 709
69 ,0 66
52 ,9 64
36 ,54 8
2 9, 176
収入 未済 額
4 28 ,63 9
3 83 ,85 8
3 54 ,89 9
353 ,1 28
3 31 ,24 0
還付 未済 額
10 6
16 4
56 1
127
769
率
89. 6%
91. 0%
91. 8%
9 1.9 %
9 1.9 %
(うち現年課税分)
(9 7.5 %)
(9 7.4 %)
( 97. 4% )
( 97. 2% )
(97 .6 %)
(うち滞納繰越分)
(2 0.6 %)
(2 2.2 %)
( 24. 4% )
( 24. 9% )
(25 .8 %)
調
収
定
入
個人事業税の税収は、その時々の経済状況に大きく左右される。昨今の不況に
より、平成21年度は5年前の平成17年度比84%程度と大きく減収となった。
しかし、不納欠損額や収入未済額は減少傾向にあり、収入率も横ばいである。
(2)平成21年度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
分
調
定
額
収
入
額
不納 欠 損 額
収入 未 済 額
収
入
率
空知総合振 興局
138 ,0 12
118 ,2 23
1,1 65
18, 62 3
85 .7%
石 狩 振 興 局
193 ,3 19
177 ,6 13
275
15, 43 0
91 .9%
後志総合振 興局
130 ,2 72
116 ,8 03
133
13, 33 6
89 .7%
胆振総合振 興局
264 ,6 80
236 ,3 39
2 34
28, 10 6
89 .3%
日 高 振 興 局
74, 95 0
72, 16 3
60
2,7 26
96 .3%
渡島総合振 興局
329 ,3 07
299 ,7 00
2, 31 8
27, 28 7
91 .0%
檜 山 振 興 局
13, 23 4
12, 87 9
0
35 5
97 .3%
上川総合振 興局
311 ,2 53
274 ,1 29
2,5 99
34, 52 3
88 .1%
留 萌 振 興 局
28, 76 6
27 ,5 88
15 6
1, 02 2
95 .9%
宗谷総合振 興局
41, 06 9
38 ,2 67
0
2,8 01
93 .2%
オホーツク総合振興局
228 ,8 01
213 ,2 52
4 24
15, 12 4
93 .2%
十勝総合振 興局
262 ,3 30
246 ,5 05
1, 87 1
13, 95 3
94 .0%
釧路総合振 興局
160 ,2 08
139 ,4 11
9 77
19, 81 9
87 .0%
根 室 振 興 局
73, 51 3
68, 14 9
4 66
4, 89 7
92 .7%
札幌道税事 務所
2,1 74 ,73 7
2,0 23 ,01 2
18, 49 2
133 ,2 33
93 .0%
合
4,4 24 ,45 7
4,0 64 ,04 0
29, 17 6
331 ,2 40
91. 9%
計
- 63 -
振興局単位の収入率の格差が著しいものとなっている。事業者数の違いがあるに
しても最高収入率の檜山振興局の97.3%と最低収入率の空知総合振興局の85.
7%では約12%差となっている。
(3)振興局別納税義務者数
個人事業税の納税義務者数は次のとおりである。納税義務者数を振興局別に
みると札幌道税事務所における納税義務者数が全体の4割を占めており、都市
部に集中している状況にある。
《平成21年度振興局別納税義務者数》
(単位:人)
区
分
納 税 義 務 者 数
区
分
納 税 義 務 者 数
空 知 総 合 振 興 局
1,1 03
留
局
17 7
石
局
1,5 47
宗 谷 総 合 振 興 局
2 93
後 志 総 合 振 興 局
96 9
オホーツク 総合振興局
1,5 37
胆 振 総 合 振 興 局
1,8 34
十 勝 総 合 振 興 局
1 ,7 56
局
3 91
釧 路 総 合 振 興 局
9 29
渡 島 総 合 振 興 局
2,2 30
根
局
4 24
札 幌 道 税 事 務 所
1 0,0 09
合
2 5,4 02
日
檜
狩
高
山
振
振
振
興
興
興
局
13 9
上 川 総 合 振 興 局
2, 06 4
萌
室
振
振
興
興
計
(4)減免の状況
平成20年度、平成21年度は、災害による減免はなかった。平成20年度
と比較して減免件数はほぼ横ばいとなっている。また、障害者、老年者、寡婦
(夫)に該当するかどうかの減免対象者の人的要件についての確認を、各振興
局等では所得税確定申告書を基に行っている。
- 64 -
《平成21年度個人事業税の減免件数》
(単位:件)
区
分
障
害
老
年
寡婦(夫)
合
計
空 知 総 合 振 興 局
1
13
4
18
石
局
0
19
2
21
後 志 総 合 振 興 局
3
12
4
19
胆 振 総 合 振 興 局
1
12
2
15
日
局
0
4
2
6
渡 島 総 合 振 興 局
8
20
11
39
檜
局
0
0
1
1
上 川 総 合 振 興 局
3
24
2
29
留
局
0
3
0
3
宗 谷 総 合 振 興 局
0
2
0
2
オホーツ ク総合 振興局
4
32
5
41
十 勝 総 合 振 興 局
5
17
3
25
釧 路 総 合 振 興 局
0
11
1
12
根
局
0
8
1
9
札 幌 道 税 事 務 所
7
69
18
94
32
2 46
56
3 34
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
合
計
《平成21年度個人事業税の減免金額》
(単位:円)
区
分
年
寡婦(夫)
4,5 00
57, 50 0
17, 60 0
79, 60 0
局
0
86, 70 0
7,7 00
944 ,0 0
後 志 総 合 振 興 局
6,1 00
51, 50 0
16, 10 0
73, 70 0
胆 振 総 合 振 興 局
3,9 00
48, 90 0
9,1 00
61, 90 0
局
0
21, 10 0
8,4 00
29, 50 0
渡 島 総 合 振 興 局
35, 80 0
89, 80 0
36, 00 0
1,6 16 ,00
局
0
0
7,5 00
7,5 00
上 川 総 合 振 興 局
8,7 00
112 ,8 00
10, 30 0
131 ,8 00
局
0
14, 20 0
0
14, 20 0
宗 谷 総 合 振 興 局
0
9,3 00
0
9,3 00
オホーツク総合振興局
21, 80 0
153 ,6 00
19, 30 0
194 ,7 00
十 勝 総 合 振 興 局
27, 40 0
69, 80 0
21, 40 0
118 ,6 00
釧 路 総 合 振 興 局
0
53, 10 0
1,5 00
54, 60 0
根
局
0
39, 10 0
6,1 00
45, 20 0
札 幌 道 税 事 務 所
34, 50 0
335 ,2 00
75, 90 0
445 ,6 00
142 ,7 00
1,1 42 ,60 0
236 ,9 00
1,5 22 ,20 0
空 知 総 合 振 興 局
石
日
檜
留
合
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
計
障
害
老
- 65 -
合
計
3
課税徴収、事務フロー
個人事業税の申告は、大部分が所得税の確定申告を通じて行われている。よっ
て各振興局等では、確定申告時から個人事業税の定時課税の納付書発行時期とさ
れる 8 月まで集中的に各税務署へ赴き、確定申告書および所得内訳、決算書の写
しをとり、それを持ち帰って申告内容や事業分類の確認した後、道税システムへ
入力し、納付書の発行や納税者管理等の事務を行っている。またその後、修正申
告書の提出状況などの確認のため、最低 1 ヶ月に一度程度は各税務署へ赴き確認
作業している。具体的な事務は個人事業税事務処理要領に基づき、納税義務者の
登録から事業規模、非課税の判定および納付書の発行についてまで行われている。
具体的な事務フローは次のとおりである。
確定申告書の閲覧
課税対象の選定
申告書の転記
申告書の整理並び替え
税 務署 へ再 確認 など の
作業がある
業種判定・税額計算
課税マスタとの突合・入力
定 期課 税用 確認 カー ド
作成エラーの修正
処理一覧表の出力
処理結果確認
処理一覧と申告書チェック
調
定
納税通知書の送付
- 66 -
4
監査手続
監査手続きとしては個人事業税事務処理要領(以下「要領」と言う。
)に基づく
処理がされているか、また課税及び非課税の判定方法や課税客体の把握について
サンプル調査及び聞き取り調査を行った。
サンプル調査では、道税システムから出力される課税資料の利用状況や、担当
者が保存している書類についてサンプル的に抽出して作成状況を確認した。具体
的には道税システムの利用状況に関するものとしてデータ入力の仕方やそのチェ
ックシステムの状況、システムから出力される資料の利用状況、また振興局にお
いての資料の保管状況などの検証を行った。
事務内容についての聞き取り調査では、個人事業税における課税客体の把握状
況について確認した。所得税確定申告書をもとに大部分の客体が把握は行われて
はいるが、その資料収集のための事務においてはコスト意識をもって効率的、効
果的でなければならない。税務署から情報収集が効率的に行われているかについ
て聞き取り調査を行った。また、課税対象となるかの判定の調査を原則、毎年行
うことになっており、その方法についても聞き取り調査を行った。
5
指摘意見
個人事業税について、サンプル調査及び聞き取り調査を実施した結果、次に掲
げる事項を除き、いずれも適正に処理が行われていた。
【意見13】振興局等において独自に判定項目が定められている個人事業税不動産
貸付業・駐車場業判定調査カードについては、今後調査確認のための
統一的な手続及び基準を要領で定めるべきである。
個人事業税は、課税対象となるかの判定を行う必要があり、そのため毎年調査
を行うことになっているが、道が平成21年度に行った個人事業税の課税判定の
所得調査の状況は次のとおりである。
これらの判定の調査に際し、医療事業の場合は収入明細表の提出を納税者に求
めて判定を行い、その他の者については所得税確定申告書及び収支明細書及び決
算書を参考に判定が行われている。基本的に机上調査によって内容を判定し、必
要に応じて納税者へ電話等の確認を行っている。その中で調査件数が最も多い不
動産貸付業・駐車場業の事業判定事務について聞き取り調査を行った。
- 67 -
《課税判定件数の内訳》
(単位:件)
区
分
林業事業の
医療事業にお
個人事業税申
畜産、水産業
不動産または
非課税判定
ける課税・非
告書受理によ
等の自家労力
駐車場業の課
件数
課税判定件数
る所得調査件数
の判定件数
税判定件数
空
知
0
1
4
552
深
川
0
0
3
37
石
狩
0
0
2
5 66
後
志
0
0
53
126
小
樽
0
6
26
356
胆
振
0
0
83
43 1
牧
0
1
88
35 6
日
高
0
37
0
233
23 9
渡
島
0
2 81
0
4 55
1, 436
檜
山
0
17
0
15
52
上
川
0
0
6
1, 563
名
寄
0
0
0
113
留
萌
0
31
0
60
76
宗
谷
0
29
0
736
10 9
オ ホ ー ツ ク
1
1
287
22 4
北
見
0
0
186
40 3
紋
別
1
0
573
20 1
十
勝
0
20 8
0
3
88 8
釧
路
0
11 7
0
68
43 3
根
室
0
30
0
4 25
19 7
札
幌
0
1,3 15
0
0
8 ,0 02
合
計
2
3, 22 0
9
3, 306
1 6, 360
苫
小
171
1 79
155
187
310
153
個人事業税における不動産貸付業・駐車場業の事業に該当するかの判定基準は次
のとおりである。この基準を満たしたものが個人事業税の課税対象となる。
貸
家
土
屋
地
付
等
住宅
の
種
類
判
一戸建
10 棟 以 上
一 戸 建以 外
10 室 以 上
住宅
独 立 のも の
5 棟以上
以外
上 記 以外 の も の
10 室 以 上
定
基
住宅用
10 件 ま た は 2, 000 ㎡ 以 上
住 宅 用以 外
10 件 以 上
異 な る種 類 の 不 動 産
10 以 上
家 屋 の貸 付 け に 係 わる 収 入 金 額
1000 万 円 以 上
駐車場
建築物
建 築 物が 有 る か 無 いか
建 築 物以 外
10 台 以 上
- 68 -
準
要領では、確認方法を分類するための記載欄についての規定はない。各振興局
等では判定調査カードに判定確認方法の分類欄を作成している。このカードには
実施した確認方法を記録するための分類欄があり、その欄は①決算書②前年度参
考③文書④税理士⑤その他に分けられている。
実際の事業判定にあたっては、これらのうちどの方法によるのか、また、どの
ような資料を基に判定を行うのかは振興局等に任せられている。その際に重要な
ことは、課税の公平のため、その判定が恣意的であってはならないことである。
課税の公平の観点から、振興局等において独自に判定項目が定められている個
人事業税不動産貸付業・駐車場業判定調査カードについては、今後調査確認のた
めの統一的な手続及び基準を要領で定めるべきである。
【意見14】個人事業税不動産貸付業・駐車場業判定の事業規模の判定を行うにあ
たっては、決算書等の添付がない場合には、納税者等へ電話や文書で
確認すべきである。
実地監査した振興局等では、上記の判定調査カードの判定項目の中に前年度参
考という項目があり、申告書に決算書等が添付されていない納税者について、前
年度以前に写しを取得した決算書を基に判定し、前年度参考という欄にチェック
マークをつけていた事案があった。例えば、水産業における自家労力の判定時に
決算書等で不明な点がある場合には、納税者等に電話で賃金の支払状況などを確
認しているが、不動産貸付業・駐車場業判定の場合には大量の納税者の処理を行
うために、随時納税者等へ電話または文書で確認していない状況であった。多数
の判定を行わなければならない事務作業であることは理解できるが、確認方法に
ついて決算書を確認できない場合に、安易に前年度参考ということでは、公平な
課税が行われないため、個人事業税不動産貸付業・駐車場業判定の事業規模の判
定を行うにあたっては、決算書等の添付がない場合には、納税者等へ電話や文書
で確認すべきである。
- 69 -
第7
1
法人事業税
概要
法人事業税は、道内に事務所または事業所などを有している法人に対して課す
税である。これは、法人が事業を行うにあたって道路や港湾等の道の施設を利用
し、各種行政サービスを受けていることから、それら施設の設置維持や行政サー
ビスに係わる経費について応分の負担を求めるものである。
なお、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、税収の安
定的確保等の観点から、平成16年4月1日以後開始する事業年度より、資本金
の額1億円超の法人を対象として、外形標準課税が導入されている。
(1)納税義務者(法第72条の2)
① 道内に事務所または事業所(以下、事務所等)があり、事業を行っている法人
② 人でない社団または財団で、収益事業を行っているもの
(2)納税額(法第72条の12、法第72条の24の7、条例第39条、条例附
則第13条)
電気供給業、ガス供給業及び保険業を事業とするものは、各事業年度の収入金
額を課税標準とする。これ以外を事業とするものは、外形標準課税対象法人、す
なわち、資本金の額または出資金の額が1億円を超える普通法人(人格のない社
団等は除く)については、各事業年度の付加価値額、資本金等の額及び所得を課
税標準とし、外形標準課税対象法人以外については、各事業年度の所得を課税標
準とする。
《外形課税対象法人の場合》
法人の種類
︵ 所 得割 ︶
資 本 金等 の 額 が 1
億 円 を超 え る 普 通
所得区分等
税率
所 得 のう ち 年 4 00 万円 を 超 え 80 0 万 円 以 下 の 金額
1.5%
2.2%
所 得 のう ち 年 8 00 万円 を 超 え る 金額
2.9%
清 算 所得 ( 注 )
2.9%
所 得 のう ち 年 4 00 万円 以 下 の 金 額
法 人( 人格 の な い 社
資 本 金の 額 ま た は 出資 金 の 額が 1, 000 万 円 以 上で 、3 以
団 等 は除 く )
上 の 都道 府 県 に 事 務所 ま た は 事 業所 の あ る 法 人の 所 得
2.9%
( 付 加価 値 割 ) 付 加価 値 額
0.48%
( 資 本割 ) 資 本 金 等の 額
0.2%
( 注 )平 成2 2 年 1 0 月 1日 以 降 に 解 散す る 法 人 に つい て は 、通 常 の 法 人所 得 課 税 と なる 。
▶ 税額の計算
・所得割
所得割 + 付加価値割 + 資本割 = 事業税額
所得割 = 所得 × 税率
- 70 -
付加価値割 = 付加価値額(*1) ×0.48%
・付加価値割
(*1 )
付 加価 値 額 = 収益 配 分 額( *2 ) ± 単 年度 損 益 (*6 )
(*2 )
収 益配 分 額 = 報酬 給 与 額( *3 ) + 純 支 払 利 子(* 4) + 純 支払 賃 借 料( *5 )
(*3 )
報 酬給 与 額 = 給 料 、 賞 与、 手 当 、 退 職金 等 の 合 計 額
※ 報 酬給 与 額 の う ち 収益 配 分 額 の 7 割を 超 え る 部 分は 、 雇 用 安 定 控除 と し
て 、 付加 価 値 額 か ら控 除 す る 。
(*4 )
純 支払 利 子 = 支 払 利 子 から 受 取 利 子 を控 除 し た 額(マ イ ナ ス の 場合 は ゼ ロ)
(*5 )
純 支払 賃 借 料 = 土 地・建 物 に 係 わ る 支払 賃 借 料 か ら受 取 賃 借 料 を控 除 し た
額 ( マイ ナ ス の 場 合は ゼ ロ )
(*6 )
・資本割
単 年度 損 益 = 繰 越 欠 損 金控 除 前 の 所 得
資本割 = 資本金等の額 ×0.2%
※ 資 本金 等 の 額が 1, 000 億 円 を 超え る 部 分 に つい て は 、一 定の 算 入 率 を 乗じ て 圧 縮
す る (資 本 割 の 課 税標 準 の 圧 縮 特例 )。
※ 一 定の 持 株 会 社( 発 行済 株 式 総 数の 50 %超 を 保 有 す る子 会 社 の 株 式の 価 額 が 、総
資 産 の額 の 5 0% を 超 え る法 人 )に つ い て は 、総資 産 に 占 め る子 会 社 株 式 の割 合 に
相 当 する 額 を「 資本 金 等 の 額」か ら 控 除 する( 持 株 会社 に 係 わ る 資本 圧 縮 特 例)。
(外形課税対象法人以外の場合)
法人の種類
普 通 法人
一 般 の 法 人 、法 人 で ない
社団または財団
所得区分等
税率
所 得 のう ち 年 4 00 万円 以 下 の 金 額
所 得 のう ち 年 4 00 万円 を 超 え 80 0 万 円 以 下 の 金額
2.7%
4.0%
所 得 のう ち 年 8 00 万円 を 超 え る 金額
5.3%
清 算 所得 ( 注 )
5.3%
資 本 金の 額 ま た は 出資 金 の 額が 1, 000 万 円 以 上で 、3 以
上 の 都道 府 県 に 事 務所 ま た は 事 業所 の あ る 法 人の 所 得
5.3%
所 得 のう ち 年 4 00 万円 以 下 の 金 額
2.7%
所 得 のう ち 年 4 00 万円 を 超 え る 金額
3.6%
協 同 組 合 、信用 金 庫 、医
清 算 所得 ( 注 )
3.6%
療法人等
出 資 金の 額 等 が 1, 000 万 円 以 上 で 、3 以 上の 都 道 府 県 に
特 別 法人
事 務 所ま た は 事 業 所の あ る 法 人 の所 得
3.6%
収 入 金額 課 税 法 人
電 気 ・ガ ス 供 給 業、 生 命 ・
0.7%
収 入 金額
損 害 保 険 業 を 行 う もの
( 注 )平 成 2 2 年 10 月 1 日 以 降に 解 散 す る 法人 に つ い て は、 通 常 の 法 人所 得 課 税 と なる 。
- 71 -
▶ 税額の計算
所得等 × 税率 = 事業税額
(3)申告と納税(法第72条の24の12、法第72条の25、法第72条の2
6、法第72条の28、法第72条の29、法第72条の30、法第72条の
33、条例第41条)
申告の種類
納
税
額
申告と納税の期限
中 間 申告
仮決算に基づく中間申告
前事業年
× 6
各 割 の税 額
度の月数
仮決算の各割の課税標準 × 税率
事 業年度開 始の日 以
後 6 ヶ月を経過した
日から 2 ヶ月以内
確
各 割 の課 税 標 準× 税 率 − 中間 申 告 額
事 業年度終 了の日 か
ら 2 ヶ月以内
前 事 業年 度 の
予定申告
定
申
告
÷
修 正 申告
提出した申告書の所
得(収入)金額に不
足額があったとき
各割の課税標準×税率
早急に
−既に納付した事業税額
申告した後に税務署
の更正を受けたとき
各割の課税標準×税率
税務署が更正の通知を
−既に納付した事業税額 し た 日か ら 1 ヶ 月 以内
▶ 確定申告書の提出期限の特例
会計監査人の監査を受けなければならないなどの理由で決算が確定しないため、
納期限までに申告納付することができないと認められる法人については、知事の承
認を受けて、原則として事業年度終了の日から3ヶ月(連結納税を適用する法人に
あっては4ヶ月)を限度としてその申告書の提出期限を延長することができる。
(4)分割基準(法第72条の48)
法人の事務所等が2以上の都道府県にあるとき、税額算出の基礎となる所得
などの課税標準を一定の基準で事務所等の所在する都道府県に分割する。この
分割に用いる基準を「分割基準」と言う。
事
業
製造業
電 気 供給 業
分
基
準
従 業 者数( 資本 金 の 額 等が 1 億 円 以 上 の法 人 の 工 場 の従 業 者 数 は、
そ の 従業 者 の 数 に その 数 の 2 分の 1 を 加 え た 数に よ り 算 定 する )
課 税 標準 額 の 4 分の 3 を 発 電 所 の用 に 供 す る 固定 資 産 の 価 額、 課
税 標 準額 の 4 分の 1 を 固 定 資 産 の価 額
ガス供給業 及び倉 庫業
固 定 資産 の 価 額
鉄道事業及 び軌道 事業
軌 道 の延 長 キ ロ メ ート ル 数
そ の 他の 事 業
割
課 税 標準 額 の 2 分の 1 を 事 務 所 数、 課 税 標 準 額の 2 分 の 1 を従 業
者数
- 72 -
(5)地方法人特別税(国税)
平成20年10月1日以後に開始する事業年度から地方法人特別税が課税さ
れている。
この税金は、法人事業税(所得割または収入割)の納税義務者に対して課税さ
れる国税であるが、賦課徴収は法人事業税と併せて、都道府県が行う。
また、地方法人特別税の創設に伴い、地方法人特別税の税収の全額を人口等一
定の基準により都道府県へ譲与する地方法人特別譲与税が創設された。
▶ 対象法人
法人事業税(所得割または収入割)の納税義務者
▶ 納税額
法人事業税額(所得割額または収入割額)×下記税率
法
人
の
種
類
税率
付加価値割額、 資本割額及 び所得割額 の合算額に よって法人 事業税を課 される法 人
所 得 割額 に よ っ て 法人 事 業 税 を 課税 さ れ る 法 人( 資 本金 1 億 円 以 下の 普 通 法 人、
特 別 法人 、 公 益 法 人等 )
収 入 割 額 に よ っ て 法 人 事 業 税 を 課 税 さ れ る 法 人 ( 電 気 供 給業 、 ガ ス 供 給 業 、 生
命 保 険業 、 損 害 保 険業 )
148 %
81%
81%
▶ 申告と納税
地方法人特別税の申告と納税は、法人事業税と併せて行う。
申告の種類
納
中間申告
前事業年度の地方
予定申告
法人特別税額
仮決算に基づく中間
申告
確
税
額
前事業年
÷
× 6
度の月数
仮 決 算の 法 人 事 業 税額
( 所 得割 ま た は 収 入割 )
定
申
告
×
税率
申告と納税の期限
事業年度開始の日
以後 6 ヶ月を経過
し た 日か ら 2 ヶ 月
以内
法 人 事業 税 額 ( 所 得割 ま た は 収 入割 )
事業年度終了の日
×税 率 − 中 間申 告 額
から 2 ヶ 月 以 内
修正申告
申 告 し た 税 額 に不
不足額
足額があったとき
早急に
申告した後に税務署 法 人 事業 税 額( 所得 割 ま た は 収入 割 )×
の更正を受けたとき 税 率 −既 に 納 付 し た地 方 法 人 特 別税 額
- 73 -
税 務 署が 更 正 の 通
知 を し た 日 から 1
ヶ 月 以内
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
額
104 ,4 89, 69 2
127 ,7 27, 67 8
126 ,8 27, 75 1
120 ,5 75, 54 0
81, 78 0,4 34
(うち現年課税分)
(103,669,945)
(126,596,494)
(126,183,980) (120,070,277)
(うち滞納繰越分)
(819,747)
(1,131,184)
調
定
(643,771)
(81,110,625)
(505,262)
収 入 済 額
103 ,3 02, 83 0
126 ,6 17, 26 5
126 ,2 30, 26 4
(うち現年課税分)
(103,106,175)
(126,391,746)
(125,925,031) (119,679,887)
(うち滞納繰越分)
(196,655)
(225,519)
(305,232)
(128,372)
(137,555)
不納欠損額
43, 77 0
236 ,5 36
67, 78 8
68, 00 6
134 ,9 78
収入未済額
1,1 43 ,09 1
873 ,8 76
529 ,6 98
699 ,2 73
671 ,5 23
98. 9%
99. 1%
99. 5%
99. 4%
99. 0%
(うち現年課税分)
(99 .5 %)
(99 .8 %)
(99 .8 %)
(99 .7 %)
(99 .7 %)
(うち滞納繰越分)
(24 .0 %)
(19 .9 %)
(47 .4 %)
(25 .4 %)
(20 .5 %)
収
入
率
119 ,8 08, 26 0
(669,809)
80, 97 3,9 31
(80,836,376)
【過去5年間の調定額等の推移】
百万円
180,000
98.9%
99.1%
99.5%
99.4%
99.0%
150,000
100.0%
98.0%
120,000
96.0%
90,000
94.0%
60,000
30,000
92.0%
0
90.0%
H17
H18
H19
H20
調定額
収入済額
収入率
H21
調定額は、近年減少傾向にある。サブプライムローン問題を契機とした米国で
の住宅バブル崩壊に端を発し、平成20年9月に米国投資銀行リーマンブラザー
ズが破綻、世界的な金融不安に陥り、我が国法人の所得も減少した。この影響も
あって、平成20年度の調定額は対前年比4.9%減、平成21年度の調定額は
対前年比32.2%減となっている。平成21年度は、地方法人特別税の導入に
より税率が変更(減少)となったことも、調定額減少の要因となっている(地方
法人特別税については、
「1 概要」の「(5)地方法人特別税(国税)」を参照)
。
なお、平成18年度で対前年比22.2%増と大幅に増加しているのは、分割基
準改正の影響である。
収入率は、ここ5年は99%強程度で推移している。平成19年度に1件15
- 74 -
0,364千円の高額滞納事案が収入となったため、同年度の滞納繰越分の収入
率が高くなっている。
不納欠損額は、高額脱税滞納事案に係わる即時消滅などがあると多額となる。
平成18年度および平成21年度の不納欠損額が多額となっているのはこの影
響がある。
(2)平成21年度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
分
空 知 総 合 振 興 局
調定額
収入額
不 納 欠損 額
収 入 未済 額
収入率
817 ,7 48
811 ,5 68
79
6,1 00
99. 2%
局
1,2 25 ,57 0
1,1 91 ,46 8
9,3 38
24, 76 3
97. 2%
後 志 総 合 振 興 局
736 ,1 62
724 ,5 72
58
11, 53 0
98. 4%
胆 振 総 合 振 興 局
2,9 72 ,92 2
2,9 60 ,65 2
638
11, 63 1
99. 6%
局
303 ,2 14
294 ,0 69
7
9,1 37
97. 0%
渡 島 総 合 振 興 局
1,4 37 ,16 1
1,4 11 ,64 5
2,5 53
22, 96 2
98. 2%
局
75, 32 3
75, 21 0
-
112
99. 9%
上 川 総 合 振 興 局
1,9 54 ,01 1
1,9 08 ,94 9
1,9 66
43, 09 4
97. 7%
局
158 ,6 07
158 ,2 88
-
318
99. 8%
宗 谷 総 合 振 興 局
376 ,1 41
323 ,5 57
-
52, 58 3
86. 0%
オホ ー ツク 総 合 振興 局
1,1 65 ,94 7
1,1 47 ,49 7
187
18, 26 2
98. 4%
十 勝 総 合 振 興 局
2,8 54 ,76 7
2,8 41 ,55 5
846
12, 36 4
99. 5%
釧 路 総 合 振 興 局
880 ,6 44
856 ,9 29
142
23, 57 1
97. 3%
根
局
426 ,3 99
425 ,8 59
32
508
99. 9%
札 幌 道 税 事 務 所
66, 39 5,8 12
65, 84 2,1 05
119 ,1 26
434 ,5 80
99. 2%
合
81, 78 0,4 34
80, 97 3,9 31
134 ,9 78
671 ,5 23
99. 0%
石
日
檜
留
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
計
【調定額の構成割合】
十 勝 総 合振興局
3%
胆 振 総 合振興局
4%
その他
12%
札 幌 道 税事務所
81%
北海道経済の中心地である札幌市及び道外(本店所在地が道外にあり、道内に
支所等有する法人)を管轄とする札幌道税事務所のみで、法人事業税調定額の約
8割を占めている。宗谷総合振興局の収入率が他に比べて低くなっているのは、
- 75 -
1件で52,661千円の高額滞納案件があるためである。
3
事務フロー
法人事業税に係わる事務フローは、法人道民税に係わる事務フローと同じとな
るため、「第 2 法人道民税」の「3 事務フロー」を参照のこと。
4
監査手続
法人事業税に関する課税事務のうち、課税の公平性の観点、また、税収確保の
観点から、①課税客体の捕捉、②不申告法人への対応、③税額に係わる調査、の
項目に焦点を充てて監査を実施した。
5
指摘意見
上記「4 監査手続」で示した監査項目のうち、
「①課税客体の捕捉」、
「②不申
告法人への対応」及び「③税額に係わる調査」の一部(法人税不符合法人調査書
に係わる調査、分割基準調査)については、法人道民税の記載内容と重複するこ
とから、ここでの記載を省略している。当該項目については、
「 第2 法人道民税」
の「5 指摘意見」を参照のこと。
ここでは、法人事業税のみに係わる「③税額に係わる調査」について記載する。
具体的には、
「法人事業税外形標準課税調査」と「自主課税法人調査」について記
載する。
(1)法人事業税外形標準調査
平成16年4月1日以後開始する事業年度より、資本金の額1億円超の法人を
対象として、法人事業税外形標準課税(以下、外形標準課税)が導入されている。
外形標準課税の付加価値額と資本金等の額については、法第72条の41の2に
より、道府県知事に決定権限があり、道府県知事がその調査を行うこととなって
いる。この調査を、法人事業税外形標準課税調査(以下、「外形標準課税調査」
と言う)。
外形標準課税調査については、「法人事業税外形標準課税調査要領」にて調査
方法等が定められている。調査は、本庁税務課税務調査グループが行っている。
調査方法には、提出された申告書の書面調査を行う机上調査と、実際に法人に赴
き調査を行う実地調査とがある。机上調査は、申告額を是認する法人と実地調査
が必要と認められる法人とを選別するために行う調査と位置付けられている。実
地調査の対象となる法人は、以下のとおりである。
①新たに外形標準課税の対象となった法人
②付加価値額等内訳明細関連書類の提出がない法人
③前事業年度の申告内容と比較して付加価値額が著しく増減している法人
- 76 -
④上記①から③までに掲げるもののほか、机上調査の結果、実地調査が必要と
認められる法人
直近3年間の外形標準課税の対象法人数及び各調査実施件数は、次のとおりで
あった。
平成 19 年 度
法人数
747
実 地 調査 机 上 調査
401
平成 20 年 度
法人数
754
平成 21 年 度
実 地 調査 机 上 調査
252
51
法人数
743
実 地 調査 机 上 調査
25
375
平成16年度から導入された新しい税制であることもあり、指導的な意味合い
も込めて、全ての外形標準課税対象法人に対して実地調査を行ってきた。これが
ほぼ一巡したこともあり、平成21年度の実地調査件数は大幅に減少している。
また、平成20年度から机上調査を導入しており、平成21年度の机上調査件数
は大幅に増加している。
監査の結果、法人事業税外形標準調査に関して、特に指摘意見はない。
(2)自主課税法人調査
【指摘15】一部の振興局等においては、自主課税法人所得調査カードの「調査結
果の概要」に記載がなかったことから、「自主課税法人の調査の手引」
に基づき適切に記載すべきである。
法人事業税の課税標準である所得の算定方法は、原則として、法人税の課税標準
である所得の計算の例によることとされている。しかし、特定の事業を行う法人に
ついては、道府県知事が自らの調査によって把握した課税標準をもって課税するこ
ととされている。これに該当する法人を、自主課税法人と言う。
特定の事業を行う法人とは、収入金額を課税標準とする法人、及び、事業税の課
税事業と非課税事業とを併せて行う法人、または、所得等課税事業(非課税事業及
び収入金課税事業以外の事業を言う。以下同じ)と収入金課税事業とを併せて行う
法人であり、次のものがこれに該当する。
①
②
③
④
⑤
電気供給業、ガス供給業及び保険業を行う法人(収入金額を課税標準とする)
医療法人または医療施設に係わる事業を行う農業協同組合連合会または医療
保険業を行う公益法人等(人格のない社団等を含む)で社会保険診療を行う
もの(社会保険診療に係わる所得を除外する)
内国法人で外国に事務所等を設けて事業を行うもの(内国分について課税標
準を算定する)
法人税を課されない外国法人で事業税が課されるもの(事業税の課税標準の
基準となる法人税の課税標準が生じない)
事業税の課税事業と非課税事業を行う法人(課税事業についてのみ課税標準
- 77 -
を算定する)
自主課税法人については、道府県知事に課税標準の決定権限があり、道府県知
事が課税標準額の調査を行う。この課税標準額の調査を、自主課税法人調査と言
う。
自主課税法人調査に係わる調査方法等を示した「自主課税法人の調査の手引」
によれば、調査結果等を「自主課税法人所得調査カード」に記載し、上席者の承
認を受けることになっている。自主課税法人所得調査カードには、実施した調査
の内容等を記載するための「調査結果の概要」があるが、ある振興局等において、
この部分の記載がなされていないものが見受けられた。
自主課税法人所得調査カードは、実施した調査内容を明らかにするものであり、
調査結果の判断の根拠ともなる重要な書類である。したがって、その記載は確実
かつ明瞭に行われるべきである。特に、
「調査結果の概要」は、調査の過程及び判
断の基礎となる部分であることから、適切に記載すべきである。
【意見16】自主課税法人に関する現地調査については、調査が未実施の地域や法
人区分が生じないよう方針を定めた上で、実施すべきである。
自主課税法人調査については、
「自主課税法人の調査の手引」にて調査方法等が
定められている。調査は、各振興局等が行っている。調査方法には、提出された
申告書の書面調査を行う机上調査と、実際に法人に赴き調査を行う現地調査とが
ある。直近3年間の自主課税法人数及び各調査実施件数は、次のとおりであった。
区
平成 19 年 度
分
平成 20 年 度
法人数 現地調査 机上調査 法人数
平成 21 年 度
現地調査 机上調査
法人数 現地調査 机上調査
電 気供 給 業
23
0
11
23
0
13
21
6
10
ガ ス供 給 業
9
0
4
9
0
4
9
0
4
保
業
0
0
0
0
0
0
1
0
0
医 療法 人 等
2,2 67
0
703
2,2 56
0
702
2,2 64
0
554
2
0
1
2
0
1
3
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
109
0
69
107
0
67
109
0
53
2,4 10
0
788
2,3 97
0
787
2,4 07
6
622
険
内 国法 人 で
外 国に 事 業
所 等を 設 け
て 事業 を 行
う
も
の
法 人税 を 課
さ れな い 外
国 法人 で 事
業 税が 課 さ
れ る も の
課 税事 業 ・
非 課税 事 業
を 行う 法 人
合
計
- 78 -
現地調査は、平成21年度に、電気供給業を行う1法人について6事業年度分の
調査が行われたのみであり、過去に一度も現地調査を行ったことのない振興局等も
ある。机上調査は、毎年度、調査対象法人の3割程度が対象となる。
現地調査がほとんど行われていない理由としては、添付される資料(付表等)で
申告書数値の整合性について確認できるため、税務署における調査との重複を避け
るため、また、現地調査を行うのに必要な詳細なマニュアルやノウハウがないため、
等とのことであった。
自主課税法人については、毎年度一定の机上調査は実施されている。添付される
資料等にて数値の整合性等は確認でき、また、法人の顧問税理士に直接照会を行っ
ていたりもしており、
課税標準に対する一定水準以上の調査は行われていると理解
することはできる。
しかし、過去に1度も現地調査が行われていない地域があることや、自主課税法
人のうち相当数を占める医療法人等に過去3事業年度で1度も現地調査が行われ
ていないというのは、課税標準に対する調査としては不十分であると思われる。
もちろん、机上調査でかなりの程度の課税標準額の適正性が保たれているのであ
れば、過度に事務負担となるような現地調査を行う必要はないともいえる。しかし、
現地調査の実施には、
課税客体全般に対して適切な納税を行わせる牽制効果がある
と考えられ、また、現地調査を実施することで今まで想定してこなかった事実に気
づくこともある。
課税の公平及び牽制効果の観点から、自主課税法人調査に対する現地調査につい
ては、方針を定めた上で実施すべきである。
【意見17】自主課税法人調査に係わる机上調査の省略について、より慎重に取り
扱う方向で、明確な考え方を定めるべきである。
自主課税法人調査に係わる調査方法等を示した「自主課税法人の調査の手引」
によれば、医療法人等のように、法人税の課税所得を事業税課税所得と事業税非
課税所得とに分離する自主課税法人については、事業税課税所得金額と事業税非
課税所得金額との合計額が、国税から提供を受けた法人税課税所得と一致する場
合には、設立後最初の事業年度を除いて、自主課税法人調査を省略できることと
なっている。
事務の効率化の観点から調査省略規定を定めることは理解できる。しかし、課税
の公平性の観点、税収確保の観点からすれば、調査省略することについては慎重で
あるべきである。税務署では、非課税所得が適正かどうかまでのチェックは行って
いない。事業税課税所得金額と事業税非課税所得金額との合計額が、国税から提供
を受けた法人税課税所得と一致していても、調査対象年度の法人税課税所得に占め
る事業税課税所得金額の割合が、前期の当該割合に比べて著しく変動している場合
にも、調査を省略することは常に許容されるのであろうか。調査省略を行える場合
については、明確な考え方・根拠が必要であると考える。
課税の公平の観点から、自主課税法人調査に係わる机上調査の省略について、よ
り慎重により取り扱う方向で、明確な考え方を定めるべきである。
- 79 -
第8
1
不動産取得税
概要
不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産所在の都道府県において当
該不動産の取得者に課する税金であり、不動産の取得という行為には一般的にそ
の背後に担税力があるものと考えられ、このような担税力に着目して課税される
もので、その性格は、一種の流通税である。
流通税は、財貨の移転という事実に基づいて課される租税であり、不動産取得
税のほか登録免許税、印紙税などが該当する。
このように流通税たる不動産取得税は、不動産の取得者が実質的に完全な内容
の所有権を取得するか否かには関係なく、所有権移転の形式による不動産の取得
すべてが対象となる。
(1)課税主体について(法73条の2)
取得に係わる不動産所在の都道府県が課税するとされる。
(2)課税客体について(法73条の2)
不動産である土地及び家屋の所有権を取得することが対象になるが、土地に
定着した工作物(石垣など)、立木等は対象外である。
また、登記の有無、有償か無償を問わずに、売買、贈与、建築(新築、増築、
改築)などが該当し、改築の場合は家屋の価格が増加した場合のみ、増加分が
取得とみなされる。
不動産の所有権の取得方法としては、
「原始取得(建物の建築にかかる取得を
いう)」と「承継取得(建物の建築以外の不動産の取得である、売買・交換・贈
与・寄附等をいう)
」とに分けられる。
(3)免税点(第73条の15の2)
課税標準額が次の金額未満の場合は、課税されない。
・土地の取得…10万円
・家屋の原始取得…23万円
・家屋の承継取得…12万円
(4)非課税(法第73条の3∼7)
非課税の主なものは次のとおりである。
・国、都道府県、市町村等が不動産を取得した場合
・相続により不動産を取得した場合
・法人の合併又は一定の要件を満たす法人の分割により不動産を取得した場合
・一定の信託の受託による不動産の取得
- 80 -
(5)納税義務者(法第73条の2)
不動産の取得者に課する。
(6)納税方法(法第73条の17)
各振興局等から納税者に納税通知書が送付され、それに基づいて納付する普
通徴収による。
(7)納期限(法第73条の16)
道府県の条例で定められることとされており、道税条例施行規則第11条に
おいて、
「納期限は納税通知書を発する日から20日以内において定めなければ
ならない」ものとされている。
(8)税額の計算(法第73条の13,同15、同21)
課税標準額(取得した不動産の価格)(注1)
×
税率(注2)
=
税
額
(注1)課税標準額は、実際の売買価格や建築価格ではなく、不動産を取得した
時における次の価格である。
■ 家屋を建築した時のように新たな不動産を取得した場合
→固定資産評価基準により評価した価格
■ 土地や家屋を売買、贈与、交換などにより取得した場合
→原則として市町村の固定資産課税台帳の登録価格であるが、宅地を平成
24年3月31日までに取得した場合は、宅地の価格が2分の1に軽減
される。
(注2)税率は次のとおりである。
家
屋
不動産の取得日(注3)
土
地
住
宅
住宅以外
平成15年4月1日∼平成18年3月31日
3%
3%
3%
平成18年4月1日∼平成20年3月31日
平成20年4月1日∼平成24年3月31日
3%
3%
3%
3%
3.5%
4%
(注3)不動産の取得日とは、登記した日や登記上の取得日に係わらず、売買契
約等から総合的に判断して現実に不動産の所有権を取得したと認められ
る日である。
(9)主な軽減措置(法第73条の14,同24)
ア
新築住宅とその敷地を取得した場合(新築未使用の建売住宅または分譲マ
ンションの購入を含む)
- 81 -
(ア)
住宅の軽減措置
要
件
軽減される額
延べ床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
一戸につき価格から
(一戸建以外の貸家住宅は、一戸につき4 0㎡以上240㎡
1,200万円
以下であること。)
※ 延べ床面積には、物置、車庫などを含む。また、分譲マンションについては、
共有部分も含む。
※ 平成21年6月4日から平成24年3月31日までの間に取得された「長期優
良住宅の普及の促進に関する法律」に規定する「認定長期優良住宅」であって
上記の要件を満たすものについては、1,200万円に代わり、1,300万
円が軽減される。
(イ) 住宅用土地の軽減措置
取得者及び取得時期のいずれの要件にも当てはまる場合、税が軽減される。
区
分
取得者に関する要件
取得時期に関する要件
軽減される額
土 地 を取 得し てか ら住 宅 が
新 築 され るま で土 地を 継 続
所有していること。(誰が住 新 築 され た住 宅が 住宅 控
除の要件に該当し、土地の
住宅が新築 宅を新築しても良い。)
取 得 が住 宅新 築前 3年 以
された場合 住 宅 が新 築さ れる 前に 土 地
内か、住宅新築後1年以内 次のいずれか
を譲渡している場合は、譲渡 であること。
大きい方の額
人 か ら土 地を 譲り 受け た 者
が住宅を新築していること。
①45,000円
購 入 した 住宅 に購 入者 自
身が居住するときは、その ② 住宅 の延 べ
住 宅 が住 宅控 除の 要件 に 床 面積 の2 倍
該当し、土地の取得が住宅 (200 ㎡ 限 度 )
新築未使用
購 入 前後 1年 以内 であ る に 相当 する 土
の建売住宅
又は分譲マ 土 地 と住 宅の 取得 者が 同 じ こと。
地 の 価 格×
ンションを であること。
購 入 した 住宅 に購 入者 自 1/2×3%
購入した場
身が居住しないときは、そ
合
の 住 宅が 住宅 控除 の要 件
に該当し、住宅の購入と土
地 の 取得 が住 宅新 築後 1
年以内であること。
イ
中古住宅とその敷地を取得した場合
(ア) 住宅の軽減措置
次の(1)から(3)の要件に全て該当する場合、新築年月日によって価格か
ら次の額が控除される。
- 82 -
要
件
新築された年月日
控除額
(1)取得者が自ら居住すること。
昭和51年7月1日∼
350万円
(2)延べ床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
昭和56年6月30日
(3)次のいずれかの要件に該当すること。
昭和56年7月1日∼
420万円
①木造・軽量鉄骨造の住宅は、新築から20年以
昭和60年6月30日
内に取得
昭和60年7月1日∼
450万円
②木造・軽量鉄骨造以外の住宅は、新築から25
平成元年3月31日
年以内に取得
昭和元年4月1日∼
③昭和57年1月1日以後に新築されたもの。
1,000万円
平成9年3月31日
④新耐震基準 に適合し ていること が証明され
た住宅(取得 した日の前 2年以内 に調査が終
平成9年4月1日以後 1,200万円
了し、又は評価されたものに限る。)
※(3)の③及び④の要件については、平成17年3月31日以前に取得した中古住宅
に対しては適用されない。
(イ)
住宅用土地の軽減措置
要
件
軽減される額
土 地 の 上 に ある 住 宅 が住 宅 次のいずれか大きい方の額
控除の要件に該当し、土地の ①45,000 円
取 得 が 住 宅 取得 前 後 1年 以 ②住宅の延べ床面積の 2 倍(200 ㎡限度)に相当する
内であること。
土地の価格×1/2×3%
※ この減額は住宅と土地の取得者が異なる場合には受けられない。
ウ
公共事業のために土地、家屋を譲渡したときの軽減措置
道路の拡張、都市計画事業などのために不動産を譲渡した場合や移転補
償金を受けた場合などで、2年以内に代わりの不動産を取得したときなど
は、申請により軽減される場合がある。
(10)減免(法第73条の31)
所有していた不動産が火災や地震などの災害により損壊した場合で、2年以
内に代わりの不動産を取得したときや、国又は地方公共団体から補助金の交付
を受けて不動産を取得したときなど特別な事情がある場合において、不動産取
得税の減免を必要とすると認める者は、不動産取得税を減免することができる。
(11)住宅用土地の納税の猶予(法第73条の25)
次の場合には納税が猶予される。
要
件
土地を取得して3年以内にその土 地の上に住宅が新築さ れる予定
がある場合
土地を取得して1年以内にその土 地の上にある中古住宅 を取得す
る予定がある場合
- 83 -
猶予期間
3年以内
1年以内
ただし、納税の猶予を受けるためには、申告または申請が必要となる。
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
調
定
分
平 成1 7年 度
平 成1 8年 度
平 成1 9年 度
平 成2 0年 度
平 成2 1年 度
額
21, 35 3,2 13
20, 02 1,2 42
20, 84 2,9 44
21, 07 3,0 20
17, 58 1,4 83
(うち現年課税額)
(19 ,4 31, 31 1) (18 ,1 37, 55 9) (19 ,1 62, 76 0) (19 ,0 02, 06 6) (15 ,3 59, 05 4)
(うち滞納繰越分)
(1, 92 1,9 01 )
(1, 83 3,6 82 )
(1, 68 0,1 84 )
(2, 07 0,9 54 )
(2, 22 2,4 28 )
収
19, 04 3,3 69
17, 94 3,9 21
18, 45 3,1 53
18, 47 1,3 88
15, 31 6,1 81
入
済
額
(うち現年課税額)
(うち滞納繰越分)
(18 ,5 80, 01 4) (17 ,4 67, 23 1) (18 ,1 78, 89 2) (18 ,1 28, 58 0) (14 ,8 62, 94 7)
(46 3, 355 )
(47 6, 690 )
(27 4, 261 )
(34 2, 807 )
(45 3, 233 )
不 納 欠 損 額
189 ,6 24
167 ,2 46
135 ,5 18
208 ,8 53
277 ,3 67
収 入 未 済 額
2,1 20 ,21 9
1,9 10 ,07 4
2,2 54 ,27 2
2,3 92 ,77 8
1,9 87 ,93 4
89. 2%
89. 6%
88. 5%
87. 7%
87. 1%
(うち現年課税額)
(95 .6 %)
(96 .3 %)
(94 .9 %)
(95 .4 %)
(96 .8 %)
(うち滞納繰越分)
(24 .1 %)
(25 .3 %)
(16 .3 %)
(16 .6 %)
(20 .4 %)
収
入
率
【過去5年間の調定額等の推移】
百万円
30,000
89.2%
89.6%
90.0%
88.5%
87.7%
25,000
87.1%
20,000
88.0%
86.0%
15,000
84.0%
10,000
5,000
82.0%
0
80.0%
H17
H18
H19
H20
調定額
収入済額
収入率
H21
調定額は平成20年度までは各年度200億円を超えていたが、リーマンシ
ョック等の影響により不動産売買及び建設物件が減少した結果、平成21年度
は200億円を大幅に下回り約176億円となり、平成20年度比では約35
億円の減少となっている。
収入率は各年度90%以下であり決して高いとは言えない状態が続いており、
特に平成19年度以降は年々下落傾向が顕著になっている。
- 84 -
(2)平成21年度振興局等別調定額等
(単位:千円)
区
分 調
空知総合振興局
定
額 収
入
額 不 納 欠 損 額収 入 未 済 額収
入
率
682 ,0 39
533 ,8 09
3,5 24
144 ,7 04
78. 3%
興 局
1,2 25 ,96 7
1,1 33 ,06 5
8,5 87
84, 31 3
92. 4%
後志総合振興局
744 ,2 40
630 ,4 49
5,2 17
108 ,5 73
84. 7%
胆振総合振興局
1,2 53 ,60 6
1,0 73 ,38 8
22, 51 3
157 ,7 05
85. 6%
興 局
105 ,4 56
91, 36 8
510
13, 57 7
86. 6%
渡島総合振興局
1,3 02 ,51 6
1,1 67 ,09 6
15, 71 1
119 ,7 08
89. 6%
興 局
54, 32 1
42, 89 3
−
11, 42 8
79. 0%
上川総合振興局
1,0 05 ,70 7
862 ,2 82
7,1 47
136 ,2 78
85. 7%
興 局
91, 78 0
74, 30 9
88
17, 38 2
81. 0%
宗谷総合振興局
114 ,0 22
91, 24 5
37
22, 73 8
80. 0%
オホーツク総合振興局
652 ,6 37
568 ,9 90
8,9 65
74, 67 9
87. 2%
十勝総合振興局
921 ,2 17
806 ,1 59
712
114 ,3 45
87. 5%
釧路総合振興局
810 ,4 58
617 ,3 70
40, 43 5
152 ,6 51
76. 2%
根 室
興 局
215 ,4 67
165 ,7 64
712
48, 99 0
76. 9%
札幌道税事務所
8,4 02 ,04 4
7,4 57 ,98 8
163 ,2 00
780 ,8 56
88. 8%
17, 58 1,4 83
15, 31 6,1 81
277 ,3 67
1,9 87 ,93 4
87. 1%
石 狩
日 高
檜 山
留 萌
合
振
振
振
振
振
計
(3)調定額の振興局等別構成割合
【調定額の構成割合】
釧 路 総 合振興局
5%
十 勝 総 合振興局
5%
上 川 総 合振興局
6%
その他
15%
札 幌 道 税事務所
48%
胆 振 総 合振興局
7%
渡 島 総 合振興局
7%
石 狩 振 興局
7%
札幌道税事務所の調定額が道全体の約過半数を占めており、他の振興局等は全て
一桁台を占めるのみである。
- 85 -
(4)道全体の調定額に係わる収入額・不納欠損金・収入未済額の割合
【収入額等の割合】
不 納 欠 損額
2%
収 入 未 済額
11%
収入額
87%
特に札幌道税事務所の収入未済額780百万円が大きいために、収入未済額の比
率が全体の11%を占めている。
( 5 ) 各振 興 局に お ける 調 定額 と 収入 額 及び 収 入率 を 基に 算 定し た 平均 収 入率
(平均収入率83.97%)
調定額
百万円
9,000
92.4%
収入済額
89.6%
84.7% 85.6% 86.6%
8,000
7,000
6,000
88.8%
87.2% 87.5%
85.7%
90.0%
80.0%
81.0% 80.0%
79.0%
78.3%
収入率
76.2% 76.9%
70.0%
5,000
60.0%
4,000
50.0%
3,000
40.0%
2,000
札幌
根室
釧路
十勝
オホーツク
宗谷
留萌
上川
檜山
渡島
日高
胆振
後志
20.0%
石狩
30.0%
0
空知
1,000
収入率が最も高いのは石狩振興局の92.4%であり、逆に低いのは釧路総
合振興局の76.2%、根室振興局の76.9%、空知総合振興局の78.3%、
檜山振興局の79.0%となっており、4振興局等が70%台である。
他の振興局等は80%台で推移している。
- 86 -
3
課税の事務フロー
通常の課税処理についてフロー図を示すと、次のとおりとなる。
客体把握
↓
一人別調査票
作成
↓
客体入力
↓
パンチ処理
結果表
↓
調定決定
↓
納税通知書
送付
4
・各種調査等により課税客体を把握して、客体調査進度表に把握
件数を記載する。
・把握した客体について、一人別調査票(原始取得については原
票)を作成する。
・一人別調査票に客体入力内容や決定価格を記載し、入力票送付
書に添付して本庁(センタ)に送付する。
・センタ出力されるパンチ処理結果表により入力内容をチェック
し、内容に誤りがあるものは修正入力を行う。
・調定決定書と調定一覧表がセンタ出力されるので、内容を確認
し調定決定する。また、客体調査進度表に調定件数を記載する 。
・作成された納税通知書は調定日に送付する。
監査手続
実地監査した振興局等において、下記事務処理についてのヒアリングとサンプ
ル調査を行った。
①
原始取得について、市町村長からの通知、建築確認申請閲覧記録、職員によ
る実態調査、新聞記事等により建築状況調査表(原票)が作成され、自主評価
客体管理簿に記載(課税が見込まれないもの、市町村で評価するものは除く。)
されているかを「建築状況調査票(原票)」
「自主評価客体管理簿」で調査して、
課税客体の把握に漏れがないかを検証した。
② 年度において未処理となった客体が翌年度の自主評価客体管理簿に客体とし
て記載(建築が中止されたものを除く。)されているかを、「自主評価客体管理
簿」「不動産取得税客体(原始)調査進度表」で検証した。
③ 承継取得について、市町村長からの通知により、承継取得一人別調査票が作
成されているかを「承継取得に係わる各種客体管理簿」及び「不動産取得税客
体(承継)調査推進表」で調査して、課税客体の把握に漏れがないかを検証し
た。
④ 法務局調査の実施方法等について、担当者へ質問して「登記事項調査表」で
調査して、登記済不動産の調査が適切にされているかを検証した。
⑤ 固定資産税に係わる土地及び家屋補充課税台帳の閲覧等により不動産の取得
のうち登記されていないものに関し、客体を把握し課税を行っているかを「中
間登記省略客体管理簿」及び「未登記家屋客体管理簿」で調査して、登記され
ていない不動産の取得(中間登記省略及び未登記家屋)の調査が適切にされて
- 87 -
いるかを検証した。
⑥ 申請書受理月日と評価月日を、
「自主評価客体管理簿」で調査して、課税の著
しい遅れがないかを検証した。
⑦ 市町村長から受けた通知について、振興局等がこれを受理した月日と、この
通知分にかかる調定決議月日を「不動産取得調書」で調査して、調定の著しい
遅れがないかを検証した。
⑧ 不動産取得申告書(原始取得)、または、申告書に添付されている工事見積書
に記載されている工事金額と家屋評価調書の評価額を比較して、評価額(家屋
評価調書)が著しく低いものまたは高いものがある場合は、理由を聴取して、
評価額の算定が妥当かを検証した。
⑨ 各種の減額・減免・免除の申請から処理まで著しく期間を経過していないか
を調定決定書に添付されている申請書の受付月日から、決議までの期間を検証
した。
また、未処理となっているもの、または申請書が提出されないため滞納とな
っているものがないかを「家屋評価調書」「徴収原簿」「滞納票」で調査して、
減額・減免・免除・控除等の処理に誤りがないかを検証した。
⑩ 土地を取得した者が3年以内に住宅を新築することを条件に徴収猶予の適用
を受けるために減額予定申告のあったものについて、条件に該当するか否かを
「不動産取得税減額予定申告書」
「徴収猶予(不承認)決定書」で調査して、減
額予定申告に誤りがないかを検証した。
⑪ 調定決定書について、これに添付された減免申請書等及び関係書類で調査し
て、減免等の計算に誤りがないかを検証した。
(主な減免等の例)
・ 天災等により滅失し、または損かいした不動産の所有者が、被災の日から
2年以内に復旧、またはこれに代わる不動産を取得したとき、課税すべき税
額から次の金額を減免する。
被害不動産の {(被害直前の価格)−(被害直後の価格)}×税率=減ずる額
・ 国または地方公共団体から補助金の交付を受けて不動産の取得をしたとき、
課税すべき税額から次の金額を減免する。
(不動産の価格× 補助金の額 / 取得価額)×税率=減ずる額
・ 不動産の取得について、その取得の目的及び目的たる事業等の履行の期間
を定めて、不動産取得税の徴収を猶予しておき、事業の完了を待って免除の
処理をするもので、主なものは次のとおりである。
・譲渡担保財産の取得に係わる納税義務の免除
譲渡担保財産の設定の日から2年以内の移転に限る。
・農地保有合理化促進事業に係わる農地の取得に係わる納税義務の免除
取得の日から5年以内に売渡しまたは交換したものに限る。
・過疎地域内の不動産の取得に係わる課税免除
⑫ 原始取得に係わるものについては、自主評価客体管理簿を通査し、調定決定
書に付されている「家屋評価調書」または市町村長からの通知にかかる取得調
書の控除額を調査して、特例控除の処理・計算に誤りがないかを検証した。
⑬ 承継取得に係わるものについては、調定決定書及びこれに付されている「承
継取得一人別調査票」の控除額を調査して、特例控除の処理・計算に誤りがな
- 88 -
いかを検証した。
5
指摘意見
不動産取得税の各種サンプル調査をした結果、課税客体及び通知についての漏
れ等はなく、すべて適正に処理されていた。
しかし、次に掲げる事項については是正または改善すべきである。
【指摘18】一部の振興局等においては、承継取得に係わる課税客体について、市
町村からの通知に基づくデータ入力と税の調定手続きとの作業手順が
適切でなかったことから、今後は適正な事務処理を徹底すべきである。
承継取得分については、市町村長からの通知に基づいて必要データを適時・適
切に道税システムの「未処理一覧(承継取得)」に全て入力していかなければなら
ないが、ある振興局等においては、一部データが道税システムに入力されなかっ
たために、「未処理一覧(承継取得)」と「不動産取得税客体(承継)調査進度表
の平成21年度末未処理の件数」が不一致となっていた事例が見受けられたので、
今後は適正な事務処理を徹底すべきである。
【意見19】原始取得及び承継取得に関して、市町村長から通知された資料の一件
別処理に係わる管理方法が、振興局等の間で統一されていなかったこ
とから、本庁からの通達などにより、統一すべきである。
新築等により不動産を取得した場合(原始取得)及び新たに所有権を取得した
が登記に至っていない場合並びに売買等により取得した場合(承継取得)に、市
町村長から通知に基づく客体の一件別の内容・処理日・処理件数・未処理件数の
管理方法が振興局等によってまちまちである。
・A振興局…登記済通知書受払管理簿(手書きの管理表)で市町村長から通知さ
れた 受理日別毎・件数ごとの処理を管理している
・B振興局…Excel シートでの管理表(総括としての措置状況、月別の一人別管理
状況表と措置状況進度表等)で市町村長から通知された受理日別ご
と・件数ごとの処理を管理している
・C振興局…平成22年8月より「不動産取得税客体承継調査進度表補助簿」を
作成し進捗管理を始めた
・D振興局…受理後にトータルシステムにその都度データを入力することになっ
ているので、未処理一覧表でのみ管理をしており、受理日ごとの作業
進捗管理は特段行っていない
原始取得及び承継取得に関して、市町村長から通知された資料の一件別処理に
係わる管理方法が、振興局等ごとにまちまちであることから本庁からの通達など
により、統一化を図るべきである。
- 89 -
第9
1
自動車取得税
概要
自動車取得税は自動車の取得を課税客体とし、その所有者に課税する。この税
は自動車を取得したという事実に担税力(税を負担できる経済力)を見いだし、
それを課税の根拠とするもので、取得した自動車の主たる定置場所在の道府県が
その自動車の取得者に課税する。
自動車取得税は1968年(昭和43年)に目的税として創設された。その目
的は、地方道路、特に市町村道を整備するための財源を調達するためであった。
道路網は、幹線道路としての国道とそれにつながる地方道路が整備されて初めて
全体として機能する。そのため、地方道路の整備を行うための財源が必要とされ、
この税が創設された。
なお、現在では、この目的は一応達せられたとして、平成21年4月1日から
は普通税とされ、使途についての制限が撤廃されている。
自動車取得税の平成21年度の現年課税分の調定額は約96億円であり、道税
の全税収の約2%を占めている。
●市町村への交付(法第143条、地令第42の8)
道に納められた自動車取得税のうち一部は、市町村道の面積の割合などに応じ
て政令指定都市である札幌市と道内のその他の市町村に交付することとされ、平
成21年度は札幌市へ12億3千8百万円、その他の市町村へ56億3千5百万
円を交付した。調定額に対する交付割合は70.9%に達している。
・自動車取得税における「自動車」
次の○印のものをいう(法第113条第2項)。
◎道路運送車両 自動車
○(道路運送車両法第2条第2項)
原動機付自転車
×(
〃
〃 第3項)
軽車両
×(
〃
〃 第4項)
◎自動車の種別 普通型自動車
○
小型自動車
○(二輪のものを除く)
軽自動車
○(二輪のものを除く)
大型特殊自動車
×
小型特殊自動車
×
自動車取得税の課税客体である「自動車の取得」とは、自動車の所有権を取得
することをいう。
(取扱通知第14 章第1節2(1)
)その際、有償であるか無償
であるかは問わない。また、自動車の新規登録、移転登録、自動車検査証の交付、
軽自動車の使用の届出がされた場合には、自動車の取得があったものと推定され
る。(取扱通知第 14 章第1節2(2))
これは、自動車を公道で走らせるためには登録または届出が必要となるので、
その登録または届出のときに納税を完了させることが課税庁及び納税者の双方に
- 90 -
とって都合が良いと考えられたためである。ただし、取得のすべてが課税客体と
なるわけではなく、道路の使用と直接関係がない次の場合は課税客体から除かれ
ている(法第118条第2項)。
①自動車製造業者の製造による自動車の取得
②自動車販売業者の販売のための自動車の取得
③その他政令で定める自動車の取得
(1)納税義務者
自動車取得税は、自動車の取得者に対して課税する(法第113条第1項)。
なお、割賦販売などで買主に所有権がない場合でも買主を自動車の所有者とみ
なして、自動車取得税を課税する(法第114条)
。これは、実質的な取得者に
対して課税するためである。
(2)課税標準
自動車取得税の課税標準は、自動車の取得価額である(法第118条第1項)。
取得価額がない場合や取得価額を課税標準とすることが適当でない特別の事情
がある場合には、通常の取引価額を取得価額とみなす(法第 118条第2項)
。
なお、具体的な取扱いについては、
「自動車取得税の課税標準額及び税額一覧
表」によって取扱われる。
(3)税率、税額及び免税点
ア 税率
税率は、以下のように 100分の3(法第119条)、または100分の
5(法附則第32条第2項)とされている。
区
分
税率
営業用自動車(車検証に事業用と記載されているもの。)
軽自動車
3%
自家用自動車(軽自動車を除く。)
5%
イ
税額
税額は次の計算式により算定される。
取 得 価 額 ( 注 1)
×
税 率
=
税
額
( 注 1 )車 両 本 体 価 格 のほ か 、付 属 品 の うち 車 両 本 体 と一 体 と な り 着脱 が 困 難 な カー ナ ビ 、カ ー ス テ
レ オ 、 エ ア コン 、 フ ォグ ラ ン プ な どの 価 額 が 含 まれ る 。 しか し 、 それ 以 外 の フ ロア マ ッ ト、 標
準 工 具 、 ス ペ ア タ イヤ な ど の 価 額は 含 ま れ な い。
ウ
免税点
取得価額が50万円以下であるときは、自動車取得税を課税できない(法
第120条、法附則第12条の2の4)。
エ
グリーン化税制による主な特例措置(平成24年3月31日までの取得)
- 91 -
電気自動車やハイブリッド自動車などの低公害車または一定の基準に適合
する低燃費自動車、排出ガス規制適合車を取得した場合には減税される特例
措置がある。
軽
区
減
要
件
軽
減
措
置
分
排 出 ガ ス 性 能
燃 費 性 能
新規登録(新車 )
左
記
以
外
税 率 か ら 2. 7%
電
気
自
動
車
非
課
税
を控除
天
然
ガ
ス
自
動
車
平 成 1 7 年 天 然 ガス 軽 量 車
車 両 総重 量 3. 5 ㌧ 以下
基 準 7 5% 低 減 達成 車
税 率 か ら 2. 7%
非
課
税
を控除
平 成 1 7 年 天 然 ガス 重 量 車
車 両 総重 量 3. 5 ㌧ 超
基 準 1 0% 低 減 達成 車
プラグイン ハイブ リット自
税 率 か ら 2. 4%
非
課
税
動車
を控除
ハ イ ブ リ ッ ド
乗
用
自 動 車
車
平 成 1 7 年 特定 軽 量 車
燃 費 基準
税 率 か ら 1. 6%
非
車 両 総重 量 3. 5 ㌧ 以下
基 準 7 5% 低 減 達成 車
+2 5 %以 上 達 成 車
バ ス ・ト ラ ッ ク
平 成 1 7 年 特定 軽 量 車
燃 費 基準
車 両 総重 量 3. 5 ㌧ 以下
基 準 7 5% 低 減 達成 車
+2 5 %以 上 達 成 車
デ
平 成 1 7 年 特 定 重量 車 基 準
平成 27 年度
車 両 総重 量 3. 5 ㌧ 超
NO x 又 は PM 10 % 低減 達 成 車
燃 費 基準 達 成 車
ィ
−
ゼ
乗
用
車
ル
自
動
税
を控除
税 率 か ら 2. 7%
非
バ ス ・ト ラ ッ ク
課
課
税
を控除
車
平 成 2 1 年 排出 ガ ス 規 制
税 率 か ら 0. 5%
非
車 両 総重 量 3. 5 ㌧ 以下
適合車
バ ス ・ トラ ッ ク 等 車 両 総 重 量
平 成 2 1 年 軽油 軽 量 車 基 準
平成 27 年度
2.5 ㌧ 超 3. 5 ㌧以 下
適合車
燃 費 基準 達 成 車
平 成 2 1 年 重量 車 排 出
平成 27 年度
ガ ス 規制 適 合 車
燃 費 基準 達 成 車
課
税
を 控 除( 注 1)
税 率 の 7 5%
を軽減
大 型 ディ ー ゼ ル 車
税 率 か ら 1. 0%
を 控 除( 注 1)
税 率 か ら 2. 0%
税 率 の 7 5%
車 両 総重 量 3 .5 ㌧超 12
を 控 除(1 .0 %控
を軽減
㌧以下
除( 注 2) )
大 型 ディ ー ゼ ル 車
平 成 2 1 年 重量 車 排 出
平成 27 年度
車 両 総重 量 12 ㌧ 超
ガ ス 規制 適 合 車
燃 費 基準 達 成 車
大 型 ディ ー ゼ ル 車
平 成 1 7 年 排出 ガ ス 基 準
平成 27 年度
車 両 総重 量 3. 5 ㌧ 超
NOx 又 は PM 10% 低 減 達 成 車
燃 費 基準 達 成 車
平 成 1 7 年 排出 ガ ス 基 準
燃 費 基準
75% 低 減 達 成車
+2 5% 以 上 達成 車
平 成 1 7 年 排出 ガ ス 基 準
燃 費 基準
75% 低 減 達 成車
+1 5% 以 上 達成 車
税 率 の 7 5%
を軽減
税 率 か ら 1. 0%
を 控 除( 注 1)
税 率 の 5 0%
軽 減 措置 な し
低
燃
費
を軽減
税 率 の 7 5%
を軽減
取 得 価額 か ら
30 万 円 を控 除
車
税 率 の 5 0%
を軽減
取 得 価額 か ら
15 万 円 を控 除
注 1 :平 成 2 3 年 8月 3 1 日 の 取得 を も っ て 軽減 措 置 は 終 了。
注 2:平 成 22 年 1 0 月 1日 以 降 に 取 得 した 場 合 の 軽 減措 置 で 、平 成 2 3 年 8月 3 1 日 の 取
得 を もっ て 軽 減 措 置は 終 了 。
- 92 -
(4)その他の課税上の特例
一般的には、次のように非課税、納税義務の免除、減免の措置がある。
区
非
分
課
要
税
件
相 続 によ る 自 動 車 の取 得
法 人 の合 併 等 に よ る自 動 車 の 取 得
自 動 車 販売 業 者 か ら 自 動 車を 取 得 し た 場 合 で、 自 動 車 の 性 能 が良 好 で な い
納税 義 務 の免 除
こ と な どの 理 由 で 、 取 得 の日 か ら 1 ヶ 月 以 内に そ の 自 動 車 販 売業 者 に 返 還
し た とき ( こ の 場 合は 申 請 が 必 要と な る 。 )
身 体 など に 一 定 の 障が い が あ る 人が 利 用 す る ため の 自 動 車 の取 得
減
免
( 詳 しく は 、 自 動 車税 の と こ ろ を参 照 。 )
震 災 、 風水 害 、 落 雷 、 火 災な ど の 災 害 ( 交 通災 害 は 除 く 。 ) によ り 、 自 動
車 を 取得 し て か ら 1ヶ 月 以 内 に 損壊 し た も の
(5)徴収の方法及び報告書の提出
ア
徴収方法
自動車取得税の徴収は、申告納付の方法によらなければならない(法第12
1条)。
イ
申告納付
納税義務者は、課税標準額及び税額その他必要な事項を記載した申告書を都
道府県知事に提出するとともに、その申告した税額をその都道府県に納付しな
ければならない(法第122条第1項)。
ウ
報告書の提出
納税義務者以外の者で自動車を取得した者は、その取得の事実に関し必要な
事項を記載した報告書を提出しなければならない(法第122条第2項)。
エ
申告納付(報告)期限
自動車取得税の申告納付(報告)期限は登録等を基準に定められている(法
第121条第1項)
。主な期限は次のとおりである。
- 93 -
自 動 車の 取 得 の 区 分
申 告 納付 ( 報 告 ) 期限
① 新 規 登 録 、 新 規 検 査 又 は 使 用 の届 出
そ の 登 録 、 検 査 又 は 届 出 の 時( 第 1号)
が さ れ る 自動 車の 取得
② 移転 登 録を 受 ける べ き 自 動車 の取得
その登録を受けるべき事由があった日から
15 日 を 経 過す る 日( その 日 前 に そ の登 録 を
受 け たと き は 、 そ の登 録 の 時)( 第 2 号)
③ 上 記 以 外 の自 動 車 の 取 得 で 自 動 車検
その記入を受けるべき事由があった日から
査 証 の 記 入又 は 軽 自 動 車 届 出済 証 の
15 日 を 経 過す る 日( その 日 前 に そ の記 入 を
記 入 を 受 け る べ き 自 動 車 の取 得
受 け たと き は 、 そ の記 入 の 時)( 第 3 号)
④ 上記以 外の 自動車 の取 得
そ の 自動 車 の 取 得 の日 か ら1 5 日 を経 過 す る
日 ( 第4 号 )
(6)納付の方法
ア
証紙による納付
自動車取得税額(延滞金額を含む。)を納付する場合には、申告書または修正
申告書に都道府県が発行する証紙を貼ってしなければならない(法第124条
第1項)。
イ
証紙代金収納計器の表示による納付
都道府県は、条例で定めることにより、証紙による納付に代えて自動車取得
税額(延滞金額を含む。)に相当する金額を証紙代金収納計器で表示させる納付
の方法をとることができる(法第124条ただし書)。
ウ
現金による納付
道府県は、納税義務者が自動車取得税額(延滞金額を含む。)を納付する場合
に、証紙に代えて、その自動車取得税に相当する現金を納付することができる
(法第 124条第2項、条例第 55条第2項)
。
(7)更正、決定等
ア
更正
申告書または修正申告書の提出があった場合に、その申告書または修正申告
書に係る課税標準額または税額が、調査した結果と異なるときは、これを更正
する(法第129 条第1項)。
- 94 -
イ
決定
申告書を提出すべき者が、その申告書を提出しなかった場合には、調査によ
って、申告すべき課税標準額及び税額を決定する(法第129条第2項)。
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平 成 17 年 度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
額
17, 23 8,7 24
16, 81 1,4 54
16, 01 6,7 10
14, 15 0,9 90
9,6 93 ,58 9
収 入 済 額
17, 21 0,7 94
16, 78 4,9 24
15, 99 6,1 76
14, 13 2,0 07
9,6 80 ,45 0
99. 8%
99. 8%
99. 9%
99. 8%
99. 8%
不納欠損額
3,7 31
2,0 99
1,2 97
3,4 70
2,7 87
収入未済額
24, 19 7
24, 43 1
19, 23 6
15, 51 2
10, 35 1
調
収
定
入
率
過去5年間の調定額をみると年々税収が減少し、特に平成21年度は前年度
に比べ44億5千万円も減少した。平成20年度までの減少要因は自動車登録
台数の減少によるものである。しかし、平成21年度は登録台数が189,4
59台と前年度の171,034台より10%ほど増加したにも係わらず、大
幅な税収減となった。その原因は、グリーン化税制によるエコカー減税の範囲
が大きく拡大されたためである。
前記の表をさらに「現年課税分」と「滞納繰越分」に区分すると次のとおり
である。
(2)過去5年間の調定額等の推移(現年課税分)
(単位:千円)
区
分
平 成 1 7 年度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
額
17, 21 5,6 75
16, 78 8,0 86
15, 99 3,2 46
14, 13 2,6 61
9,6 78 ,25 5
収 入 済 額
17, 20 7,0 46
16, 78 1,1 41
15, 98 7,1 23
14, 12 7,8 73
9,6 76 ,10 5
率
99. 9%
99. 9%
99. 9%
99. 9%
99. 9%
不納欠損額
501
収入未済額
8,1 27
調
収
定
入
−
−
6,9 45
6,1 23
−
4,7 88
−
2,1 50
現年課税分ではわずかな収入未済があるものの、ほぼ100%に近い収入率
となっている。また、不納欠損額は平成18年度以後発生していない。
- 95 -
(3)過去5年間の調定額等の推移(滞納繰越分)
(単位:千 円 )
区
分
平 成 17 年 度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平成 21 年度
額
23, 04 8
23, 36 8
23, 46 3
18, 32 8
15, 33 3
収 入 済 額
3,7 48
3,7 83
9,0 52
4,1 34
4,3 45
収
率
16. 2%
16. 1%
38. 5%
22. 5%
28. 3%
不納欠損額
3,2 29
2,0 99
1,2 97
3,4 70
2,7 87
収入未済額
16, 07 0
17, 48 5
13, 11 3
10, 72 3
8.2 01
調
定
入
滞納繰越分の収入率は過去5年間の平均で24.3%しかなく、不納欠損額
も毎年度数百万円が処理されている。
(4)平成21年度の各振興局等の調定額等
(単位:千円)
区
分
額
収 入 済 額
収 入 率
不納 欠損 額
収入 未済 額
胆振総合振興局
92 9,7 75
92 9,3 20
99. 9%
1 04
3 50
渡島総合振興局
78 7,6 45
78 6,9 48
99. 9%
2 40
4 56
上川総合振興局
1, 13 9,0 59
1, 13 7,8 90
99. 8%
1 83
9 85
オホーツク総合振興局
54 4,6 27
54 4,6 27
100 %
−
−
十勝総合振興局
61 5,4 22
61 4,0 21
99. 7%
2 71
1 ,1 28
釧路総合振興局
58 3,0 96
58 2,7 17
99. 9%
46
3 33
札幌道税事務所
5,0 93 ,96 2
5,0 84 ,92 5
99. 8%
1,9 41
7,0 95
合
9,6 93 ,58 9
9,6 80 ,45 0
99. 9%
2,7 87
10, 35 1
計
調
定
いずれの振興局等でも収入率は100%あるいはそれに極めて近い数値とな
っている。なお、不納欠損額はいずれも滞納繰越分に係わるものである。
3
課税の事務フロー
課税に係わる主な事務の流れは以下の通りである。
(1)申告
納税義務者(または代行者)からの申告
書の提出
申告書の受理
内容の審査
- 96 -
電算処理
調定
(2)課税減免
納税義務者(または代行者)からの減免
申請書の提出
申請書の受理
内容の審査
減免の決定
端末入力
調定
(3)不申告処理
不申告該当者リスト出力
10日
1回目の督励
(発付日から2週間後)
指定期 限 後 2 週間
収入確認
2回目の督励
(発付日から2週間後)
指定期 限 後 2 週間
収入確認
決定処理
- 97 -
決定入力
約7日
週次処理
10日
決定通知書発付
4
監査手続
不申告の場合の処理が適正になされているか検証するために、実地監査した振
興局等において、自動車税・自動車取得税不申告該当者リストと自動車税・自動
車取得税決定調査書をサンプル調査し、内容を確認した。
また。収入率が100%に達していない原因を把握するため、実地監査した振
興局等のそれぞれの担当者に対し、その原因について質問した。
なお、身体障害者に係わる課税の減免の監査に関しては、自動車税の監査と同
時に行なったため、本報告書の自動車税の箇所を参考にしてもらいたい。
5
指摘意見
監査の結果、自動車取得税に関し、特に指摘意見はないが、収入率100%を
目指すためには以下の点を徹底することが求められる。
【所
感】
自動車取得税の現年課税分の完全徴収が望まれる。
自動車取得税は原則として新規または移転登録時に申告納付することとされ、
大多数の自動車販売店では登録や税の申告を納税者に代わって行っている。この
ため高い収入率となっている。しかし、それでも現年課税分の収入率は100%
に達していないため、収入率100%の完全徴収を目指すべきである。
中古自動車を取得したものの未だ申告していない者に対しては、申告督励の際
に、不申告の場合の不申告加算金、延滞金の金額を具体的に提示し、これらの出
費がいかに無駄なものであるかという点を訴求することにより、早急な申告と納
税を促すことも必要とされる。また、自動車販売店への啓蒙活動もこれまで同様
根気よく行うことが大切である。
なお将来的には、運輸支局での移転登録時に、自動車取得税申告書控の添付を
義務化するよう道路運送車両法の改正も望まれる。
- 98 -
第10
1
自動車税
概要
自動車税は自動車を課税客体とし、その所有者に課税する。この税は自動車を
所有しているという事実に担税力(税を負担できる経済力)を見いだし、それを
課税の根拠とするものであり、1950年(昭和25年)7月に創設された。自
動車税は不動産や償却資産に対して課税する固定資産税と同様に資産に対して課
税するものであるとともに、次の道路損傷負担金の性格を持っている。
○道路損傷負担金
自動車の使用は道路を損傷させるため、その原因者である自動車所有者に
対して応分の負担を求める原因者課税の税ともいわれる。
自動車税の平成21年度の現年課税分の調定額は約831億円であり、道
税の全税収の約16%を占めている。
(1)納税義務者
自動車税は、道内に主たる定置場を有する自動車の所有者に対して課税する
(法第145条第1項)。なお、売主が自動車の所有権を留保している場合は、
買主が所有者とみなされる(法第145条第2項)。これは、自動車の実質的な
所有者に対して課税するためである。
(2)納税義務の発生及び消滅
ア
賦課期日
(ア) 意義
自動車税の定期課税の賦課期日(注)は4月1日である(法第148 条 )。
(注)賦課期日
地方税の課税客体、課税団体、納税義務者、課税標準等の課税要件を確
定させる日をいう。自動車税は、賦課期日の毎年4月1日における自動車
の所有者に対し、主たる定置場の所在する道府県が4月1日現在に適用す
べき年税額の全額を課す税である。
(イ) 賦課期日後
賦課期日後に自動車を所有することとなった者に対しては、月割計算によ
り課税される。
イ
納期
定期課税の場合は5月15日から5月31日までである(条例第65条第1
項)。また、賦課期日後に納税義務が発生した自動車税で普通徴収の方法により
- 99 -
徴収するものの納期は知事が定める(条例第65条第2項)。
(3)税額(税率)
自動車税の税率は、自動車の種類、用途、排気量、最大積載量などの区分ご
とに標準税率が定められている(法第147条第1項、第2項)。
平成22年度の主な税額は次のとおりである。
区
用
途
営業用
乗 用 車
普 通 型
トラック
自家用
営業用
自家用
軽
分
総 排 気 量 又
最 大
積 載
は
量
1 ㍑ 超 1 .5 ㍑ 以 下
1 ㍑ 超 1 .5 ㍑ 以 下
1 .5 ㍑ 超 2 ㍑ 以 下
2 ㍑ 超 2 .5 ㍑ 以 下
4㌧超5㌧以下
4㌧超5㌧以下
標
準
8,5 00
34, 500
39, 500
45, 000
18, 500
25, 500
重
円
円
円
円
円
円
課
9,3 00
37, 900
43, 400
49, 500
20, 300
28, 000
円
円
円
円
円
円
課
約50%
約25%
4,5 00
17, 500
20, 000
22, 500
9,5 00
13, 000
6,5 00
26, 000
30, 000
34, 000
14, 000
19, 500
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
自動車の取得等により賦課期日後に納税義務が発生した者に対しては、その
発生した月の翌月から、月割で課税する(法第150条第1項)。
自動車の譲渡、滅失、解体等により賦課期日後に納税義務が消滅した者に対
しては、その消滅した月まで、月割で課税する(法第150条第2項)。
なお、平成14年度からは、地方税における自動車環境対策として、グリー
ン化税制(注)が導入され、次のようになっている。
( 注 ) 自 動 車 税 の グリ ー ン 化
排 ガ ス 及 び 燃 費 性 能 の 優 れた 環 境 負 荷 の 小 さい 自 動 車 に つ い ては そ の 性 能 に 応 じて 減 税 し 、 新 車 新
規 登 録 か ら 一 定 の 年数 を 経 過 し た環 境 負 荷 の 大き い 自 動 車 につ い て は 重 税す る 特 例 措 置で あ る 。
▼ 環境負荷の小さい自動車に対する税率の軽減(減税)
平成 21 年 4 月 1 日
新 車 新 規 登 録 の 時 期
特
例
対
象
車
∼ 平成 22 年 3 月 3 1 日
電 気 自 動 車 等( ※ )
かつ
→
平 成 22 年 度 の 自 動車 税 の 税 率
「 燃 費基 準 +2 5 % 達成 車 」 →
を 概 ね5 0 % 軽 減
「 燃 費基 準 +2 0 % 達成 車 」 →
平 成 22 年 度 の 自 動車 税 の 税 率
「 燃 費基 準 +1 5 % 達成 車 」 →
を 概 ね2 5 % 軽 減
( ※ )電気自動車等・・・電気自動車及び天然ガス自動車
▼ 環境負荷の大きい自動車に対する税率の上乗せ(重税)
適用対象
税
率
対 象 外
賦 課 期日 ( 4月 1 日 )現 在 、 新
デ ィ ーゼ ル 車・ ・・・ ・・ 1 1 年を 超 え る も の
車 と して の 新 規 登 録後
ガ ソ リン 車 及 び LP G 車・・1 3 年 を 超 え る も の
対 象 自動 車 の 税 率 を 約 10 % 上乗 せ
電 気 自 動 車 、 メ タ ノー ル 自 動 車 、天 然 ガ ス 自 動車 、 一 般 乗 合用 バ ス 、 被 けん 引 自 動 車
- 100 -
(4) 課税上の特例
ア
非課税
(ア) 国、非課税独立行政法人及び国公立大学法人等ならびに地方団体等が所有
する自動車は、その種類、用途を問わずすべて非課税である(法第146条
第1項)。
(イ) 日本赤十字社が所有する自動車で、直接その本来の事業の用に供されてい
る救急自動車、巡回診療車、患者輸送車、血液事業の用に供する自動車など
は、非課税である(法第146条第2項、条例第63条第2項)。
イ
課税免除
自動車税の性格や自動車の用途からみて自動車税を課税することが適当で
ない自動車については課税免除とし(法第6条第1項)
、条例で次のように定
めている(条例第63条第1項)
。
(ア) 自動車の販売業者が販売の用に供する目的で所有し、かつ、運行の用に
供していない「商品で使用しない自動車」
(イ) 民間企業や民間病院等が所有する消防専用自動車、救急専用自動車、レ
ントゲン専用自動車
(ウ) 専ら学生、生徒の教育練習の用に供する私立学校所有の自動車
(エ) 身体などに一定の障害がある方のために使用する自動車のうち、一定の
要件に当てはまるものとして知事が認めたもの →この場合には、「自動車
取得税の減免」も受けることができる。
○次の自動車が、課税免除等の対象となる。
① も っぱ ら そ の 身 体障 害 者 の 方 が運 転 す る 自 動車
身体障害者 の方が 所有
( 取 得)
② その身体障害者の方と生計を同じくする方がもっぱらその身体障害
者のために運転する自動 車
身体障害者の方と生計を同じ
③ もっぱらその身体障害者の方が運転する自動車
くする方がその身体障害者の
ために所有(取得)
④ その身体障害者の方と生計を同じくする方がもっぱらその身体障
害者のために運転する自動車
身 体 障害 者 等 の 方 だけ で
構 成 され る 世 帯 の 身体 障
害 者 等の 方 が 所 有 (取 得 )
⑤ 身体障害者の方を介護する方がもっぱらその 身 体 障 害 者 の た
め に 運転 す る 自 動 車
⑥ 社 会 福 祉施 設 等 が 所 有 す る 自 動 車で も っ ぱ ら 施 設 の 入 居 者や 通 所 者 の 通 所 ・ 通 院 の
用 に 供す る 自 動 車
⑦ 構 造上 、 身 体 障 害者 の 方 が 利 用す る た め の 自動 車
- 101 -
身体 障害 者の 方
の通 院、 通学 、
通所 また は生 業
のた めに 、そ の
身体 障害 者の 方
を自 動車 に乗 せ
て( また はそ の
身体 障害 者の 方
が自 動車 を運 転
して )、 おお む
ね週 1日 以上 使
用す るこ とを 継
続的 に行 う場 合
に 限 る。
ウ
減免
(ア) 災害減免
納税者が震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する災害により被
害を受けた場合で、必要があると認めるときは、自動車税を減免する(条
例第67条の3)。
(イ) 中古商品自動車に係わる減免
中古自動車販売業者の所有する自動車のうち、4月1日現在において商
品として所有し、かつ、展示している一定の要件を満たす自動車は、自動
車税の税額から12分の3を減免する(条例第68条)。
(5)課税保留制度
次の場合には、一時的に課税を保留している。
(事務処理要領(平成9年7月
22日付け税務第697号総務部長通達))
ア
定期保留
賦課期日の4月1日において、自動車検査証の有効期限が既に満了してい
るもの(賦課期日現在において、使用の意志があることを確認済のものを除
く。)
イ
譲渡先不明保留
自動車を譲渡した後、移転等の登録がされず、その譲受人の所在、自動車
の所在がともに不明なもの
ウ
盗難保留
盗難、詐欺または横領により自動車の所在が不明であるもの
(6)課税保留を復活し、課税処理をする場合
次の場合は、課税関係が復活されて改めて本来の全額が課税される。
① 継続検査等のため納付の申し出があった場合
② 継続検査が行われた場合
③ 不明となっていた自動車の譲受人または自動車の所在が判明した場合
また、次の場合は、発見日の属する月の翌月から課税される。
④ 盗難等の自動車が発見された場合
(7) 徴収方法及び申告または納税
- 102 -
ア
普通徴収
自動車税の徴収は、普通徴収によることを原則とする(法第151条第1
項)。
(ア) 普通徴収の意義と納税通知書の交付
徴税吏員が納税通知書を当該納税者に交付することによって地方税を徴
収することをいう(法第1条第1項第7号)。なお、納税通知書は、遅くと
も納期限の10日前までに納税者に交付しなければならない(法第151
条第2項)。
(イ) 普通徴収の方法により徴収するもの
① 賦課期日に所有する自動車に係わる自動車税の徴収(定期課税)
② 自動車税の申告書または報告書の提出がなかったことにより、証紙徴
収の方法によって徴収することができない場合の自動車税の徴収(法第
151条第7項)
③ その他の随時課税分
イ
証紙徴収
道路運送車両法に基づく新規登録または移転登録の申請のあった自動車に
ついては、賦課期日後翌年の2月末日までの間に納税義務の発生した場合に
限り、証紙徴収の方法によらなければならない(法第151条第3項)。
(ア) 証紙徴収の意義
地方団体が納税通知書を交付しないでその発行する証紙をもって地方税
を払い込ませることをいう(法第1条第1項第13号)。
ウ
申告または報告
自動車税の納税義務が発生した者または消滅した者は、道府県の条例の定
めるところにより自動車税の賦課徴収に関し必要事項を記載した申告書また
は報告書を提出しなければならない(法第152条)とされている(条例第
66条)。
(ア) 申告すべき場合
① 自動車の登録申請をした場合(新規登録・変更登録・移転登録)
② 前記①以外で納税義務が発生または消滅した場合
(イ) 申告書の提出期限
① 納税義務の発生または消滅の場合
その日から10日以内(10日以内に登録申請をするときは、その申
- 103 -
②
2
請をした際)
申告した事項に異動があった場合
その日から5日以内
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平 成 1 8 年度
平 成 19 年 度
平成 20 年 度
平 成 21 年 度
額
95, 14 1,3 44
93, 22 4,2 53
91, 83 1,1 21
89, 45 5,3 86
87, 32 9,3 54
収 入 済 額
89, 73 9,3 87
88, 01 0,7 02
86, 81 6,3 64
84, 81 7,0 81
83, 20 9,5 52
率
94. 3%
94. 4%
94. 5%
94. 8%
95. 2%
不納欠損額
563 ,7 95
561 ,6 73
607 ,9 56
472 ,2 11
547 ,5 13
収入未済額
4,8 38 ,16 0
4,6 51 ,87 7
4,4 06 ,80 1
4,1 66 ,09 3
3,5 72 ,28 9
調
収
定
入
過去5年間の調定額をみると、年々税収が減少し、平成21年度は平成17
年度に比べ8.2%減少し、金額では78億円も減少している。その原因は自
動車の登録総台数の減少による。なお、収入率は平成17年度の94.3%か
ら一貫して上昇し、平成21年度では95.2%に達した。これは、道が各種
の徴収対策を積極的に行なってきた成果と考えられる。
前記の表をさらに「現年課税分」と「滞納繰越分」に区分すると次のとおり
である。
(2)過去5年間の調定額等の推移(現年課税分)
(単位:千円)
区
分
平 成 17 年 度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
額
90, 23 3,2 34
88, 41 0,1 51
87, 19 9,9 89
85, 09 6,5 85
83, 18 1,5 33
収 入 済 額
88, 26 7,1 52
86, 62 4,8 14
85, 58 8,7 07
83, 67 5,7 54
82, 07 8,2 44
率
97. 8%
97. 9%
98. 1%
98. 3%
98. 6%
不納 欠損 額
5,3 71
6,1 25
3,4 62
3,0 06
4,2 40
収入 未済 額
1,9 60 ,70 9
1,7 79 ,21 1
1,6 07 ,81 9
1,4 17 ,82 4
1,0 99 ,04 8
調
収
定
入
現年課税分の収入率は平成17年度以後一貫して上昇している。また、不納
欠損額も低い水準にある。しかし、それでもなお、収入未済額は10億円を超
えている。
- 104 -
(3)過去5年間の調定額等の推移(滞納繰越分)
(単位:千円)
区
分
平 成 1 7 年度
平 成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年度
平 成 2 1 年度
額
4,9 08 ,11 0
4,8 14 ,10 1
4,6 31 ,13 2
4,3 58 ,80 1
4,1 47 ,82 1
収 入 済 額
1,4 72 ,23 4
1,3 85 ,88 7
1,2 27 ,65 6
1,1 41 ,32 6
1,1 31 ,30 8
率
29. 9%
28. 7%
26. 5%
26. 1%
27. 2%
不納欠損額
558 ,4 24
555 ,5 47
604 ,4 93
469 ,2 04
543 ,2 72
収入未済額
2,8 77 ,45 1
2,8 72 ,66 6
2,7 98 ,98 2
2,7 48 ,26 9
2,4 73 ,24 0
調
収
定
入
滞納繰越分の収入済額は毎年度減少し、収入率は30%にも届いていない。
また、毎年度5億円前後も不納欠損額として処理されている。これらの数値が
示すことは、一度滞納になったものは回収が難しいということである。
(4)平成21年度の各振興局等の調定額等
(単位:千円)
区
額
収 入 済 額
収 入 率
不納欠損額
収入未済額
空知 総 合振 興 局
5,2 22 ,12 5
4,9 98 ,88 0
95. 7%
40, 60 8
182 ,6 36
石
局
6,7 94 ,62 3
6,3 93 ,90 1
94. 1%
23, 44 6
377 ,2 75
後志 総 合振 興 局
3, 18 1,9 34
3, 06 6,7 21
96. 3%
1 1, 904
1 03 ,30 8
胆振 総 合振 興 局
7, 48 5,0 77
7, 17 8,1 93
95. 9%
2 6, 089
2 80 ,79 5
日
局
1, 33 3,2 51
1, 26 4,7 97
94. 8%
4, 421
64 ,03 2
渡島 総 合振 興 局
6, 17 8,8 79
5, 86 5,4 21
94. 9%
3 3, 951
2 79 ,50 6
局
60 4,0 87
59 0,9 47
97. 8%
2, 069
11 ,07 0
上川 総 合振 興 局
8, 64 6,9 30
8, 24 2,1 54
95. 3%
4 4, 541
3 60 ,23 4
局
88 8,5 83
86 9,8 90
97. 8%
3, 451
15 ,24 1
宗谷 総 合振 興 局
1, 16 1,5 98
1, 13 3,5 15
97. 5%
2, 054
26 ,02 8
オホー ツク 総合 振興 局
5, 54 6,7 44
5, 37 6,3 41
96. 9%
22 ,5 07
1 47 ,89 6
十勝 総 合振 興 局
6, 90 8,7 91
6, 60 0,6 72
95. 5%
4 7, 436
2 60 ,68 3
釧路 総 合振 興 局
4, 58 4,7 05
4, 33 9,9 94
94. 6%
2 5, 681
2 19 ,03 0
根
局
1, 63 0,6 12
1, 55 7,8 64
95. 5%
7, 074
65 ,67 3
札幌 道 税事 務 所
27, 16 1,4 06
25, 73 0,2 55
94. 7%
25 2, 274
1,1 78 ,87 6
合
87, 32 9,3 54
83, 20 9,5 52
95. 2%
547 ,5 13
3,5 72 ,28 9
檜
留
分
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
計
調
定
このうち、97%以上の高い収入率を上げているのは、調定額が最少3位ま
での檜山、留萌、宗谷の3振興局等だけであり、逆に95%以下の低い収入率
を記録したのは、札幌道税事務所の他、石狩、渡島、日高、釧路の各振興局等
である。
また、不納欠損額が調定額に占める割合を計算してみると、札幌道税事務所
が0.92%と他の振興局等に比べ突出している。
- 105 -
3
課税の事務フロー
課税に係わる主な事務の流れは以下の通りである。
(1)定期課税
最 新 翌 期 マ ス タ 及 び 現年 度 マ ス タ か
ら 、 新年 度 マ ス タ を作 成
納 税 通知 書 、 各 種 一覧 表 、
調 定 集計 表 等 を 印 字
調定
納 税 通知 書 の 封 入 封緘
納 税 通知 書 等 の 発 付( 5 月 上 旬 )
(2)申告(新規登録、移転登録)
納税義務者(または代行者)から
の 申 告書 の 提 出
申 告 書の 受 理
内 容 の審 査
電 算 処理
調定
- 106 -
(3)納税通知書の返戻処理
納 税 通知 書 等 の 発 付( 5 月 上 旬 )
納 税 通知 書 等 の 返 戻( 5 月 末 日 )
返 戻 情報 入 力
各 種 帳票 の 受 領 ( 6月 上 旬 )
・ 住 民票 の 写 し 交 付請 求 書
・ 所 在不 明 者 名 寄 せ市 町 村 別 一 覧表
住 民 票等 の 交 付 請 求( 6 ∼ 7 月 )
住所等判明
住 民 票等 の 受 理 ( 7∼ 8 月 )
納税 通 知 書の
再 作 成と 発 付
住所等不明
各 種 調査 の 実 施 ( 9月 ∼ )
・ 所 有権 留 保 付 自 動車 現 況 照 会 書
住所等判明
・ 自 動車 税 マ ス タ 電話 番 号 へ の 確認
納税 通 知 書の
再 作 成と 発 付
・ 市 町村 へ の 照 会
・ 現 地調 査
調査未了
住所等不明
調 定 取消 又 は 随 時 課税 の 入 力 ( 翌年 4 月 )
(4)身体障害者の現況確認
現 況 確認 書 等 の 作 成・ 送 付
( 車 検証 有 効 期 限 の3 月 前 )
20 日 間
現 況 回答 書 の 受 理
内 容 の審 査
1 週間
電 算 処理
納 税 証明 書 の 作 成 ・送 付
- 107 -
公 示 送達
( 翌 年3 月 )
4
監査手続
実地監査した振興局等において、次の事項に関する内容を確認するため、これ
らの書類のサンプル調査を実施した。
① 身体障害者に係わる自動車税課税免除・自動車取得税減免決定書の添付書類
② 自動車税課税保留等事実確認書、自動車税課税保留整理簿
③ 自動車税課税復活事実確認書
④ 自動車税課税除却事実確認書
また、次の事項に関する内容を把握するため、実地監査した振興局等のそれぞ
れの担当者に対し、これらについて質問した。
① 納税通知書の返戻から公示送達までの流れとそれぞれの件数等
② 身体障害者に係わる継続審査の方法とその後の実態確認の件数、対象者の抽
出法、確認後取消に至った件数等
③ 課税保留のうち、定期保留の件数、課税復活の割合等
④ 収入未済額削減のため実施した徴収対策
⑤ 外部へ支払った管理徴収コストの内容と金額
⑥ 納期限前後における納税者からの電話受理件数とその内容等
5
指摘意見
各種のサンプル調査に関する事項については、次のものを除き、いずれも適正
に処理されていた。
【指摘20】一部の振興局等において、自動車を解体した場合における課税客体か
らの除却について、納税義務の消滅日を自動車リサイクル法による証
明書の「引取日」ではなく、「前回の車検証の有効期限」として誤って
処理している事案があったことから、今後は適正な事務処理を徹底す
べきである。
自動車が滅失し、もしくは解体した場合または使用不能の状態で放置されてい
る場合は、課税客体から除却することとされている。このうち、解体した場合に
おいて、所有者から自動車滅失等事実申立書の提出があり、その事実確認資料と
して自動車リサイクル法による「使用済自動車引渡証明書」の写しの提出があっ
たときは、その証明書に記載されている「引取日」において自動車税の納税義務
が消滅するものとされ(総務部税務課企画税制グループからの「事務連絡」平成
17年1月6日)、引取日が属する月までは課税対象期間に含まれ、前回の車検
証の有効期限からその月までの税額を徴収することが義務付けられている。
しかし、この場合において、納税義務の消滅日を「引取日」ではなく、「前回
の車検証の有効期限」として誤って処理している事案があった。このため、前回
の車検証の有効期限の翌日から引取日までの期間が課税対象期間とされず、その
間の課税漏れが発生していたこととなる。これは前記の「事務連絡」が各関係部
署に徹底されていなかったことを意味し、その金額は僅少かも知れないが貴重な
税収を道が自ら放棄していたこととなる。今後は適正な事務処理の徹底を図るべ
- 108 -
きである。
【意見21】身体障害者に係わる「自動車税課税免除現況回答書」について、実態
確認件数を増加すべきである。
身体障害者に係わる課税免除の決定を受けた納税義務者に対して、車検有効期
限日の属する月の3月前に、自動車税課税免除現況回答書(以下「現況回答書」
と言う。)を送付し、回答記入後のものを回収し、これに基づき、課税免除の継
続またはその取消しを決定している。
現況回答書は、課税免除の決定を受けた納税義務者に対して、前回の課税免除
決定後、申請内容に変更がないかを確認するためのもので、「変更なし」欄にチ
ェックがあると課税免除を継続し、「変更あり」欄にチェックがされた場合には
さらに詳細な確認をし、その内容により課税免除の適否を判断している。なお、
回答者が現況回答書を返送する際には回答に関する証拠書類の添付は不要とされ
ている。この制度は平成19年4月に事務の効率化のために導入された。
その後、回収した現況回答書が適正なものか検証するため、平成21年度から
実態確認が行なわれるようになった。平成21年度には全道で221件の実態確
認が実施され、そのうちの17件は現況回答書と実際の事実が相違し、それが取
消原因に該当するとして課税免除が取消されている。取消とされた原因は、①本
人が既に死亡していたものが3件、②課税免除の対象となる自動車が身体障害者
のために使用されていないというものが14件であった。実態確認件数に対する
取消件数の割合は7.69%と極めて高い数値を示している。
一方、平成20年度の課税免除決定数16,492件に対する実態確認件数の
割合は僅か1.34%であり、先の高い取消割合を考慮すると確認件数が少なす
ぎると思われる。課税の公平の観点から、実態確認件数の増加を図るべきである。
平成21年度は現況回答書導入後初めての実態確認であったため、やむを得な
い面もあったと思われるが、今後はより効率的な確認を行うために、対象者を何
らかの基準で絞り込んだ上で、実態確認件数の増加を図るべきである。なお、そ
の場合の基準として、例えば次のようなものが考えられる。
①
②
③
更新回数が多い者
・・・状況が変化している確率が高い
視覚障害者、高齢障害者・・・運転に支障をきたす確率が高い
運転者が障害者以外の家族の者・・・家族構成等により調査対象を絞り込む
【意見22】自動車税の課税について、定期保留(車検切れによる課税保留)件数
を縮減すべきである。
課税保留とされる原因は次の3つである。
① 定期保留・・・賦課期日の4月1日前に自動車検査証の有効期間が満了して
いる場合
② 盗難等 ・・・盗難、詐欺または横領により自動車の所在が不明の場合
③ 譲渡先不明・・譲受人の所在、自動車の所在がともに不明の場合
- 109 -
このうち、②、③は納税者からの申し出による課税保留であるのに対し、①の
定期保留は課税団体が一定の基準により課税を保留するためのものであり、その
主体者および手順に大きな違いがある。
過去3年間の課税保留の原因別の件数及びその構成比は次のとおりである。
《課税保留の原因別の件数及びその構成比の推移》
区
分
定 期 保 留
平成 19 年 度
件
数
構
平成 20 年 度
成
比
件
数
構
平成 21 年 度
成
比
件
数
構
成
比
53, 85 6件
99. 51 %
47, 29 7件
99. 70 %
42, 90 2件
99. 76 %
等
40 件
0.0 7%
36 件
0.0 8%
36 件
0.0 8%
譲渡先不明
22 6件
0.4 2%
10 8件
0.2 2%
69 件
0.1 6%
54, 12 2件
100 %
47, 44 1件
100 %
43, 00 7件
100 %
盗
難
合
計
このように毎年多発する課税保留のうち、その大部分(99.5%以上)は定
期保留が占めている。過去3年間の定期保留の件数と金額及び保留率は次のとお
りである。
《定期保留の件数、金額、保留率の推移》
区
分
件
数
53, 85 6件
47, 29 7件
42, 90 2件
金
額
1,9 72 ,40 3 千円
1,6 18 ,41 6 千円
1,5 60 ,02 6 千円
率
2 .21 %
1 .86 %
1.8 4 %
保
留
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
※ 保 留率 は 調 定 額 に保 留 額 を 足 した 総 額 に 対 する 保 留 額 の 割合
定期保留とされた自動車とは車検切れの自動車のことであるが、その車が再び
車検を取るためには自動車税の納税証明書が必要となる。そのため、定期保留と
なった自動車の半数近くはその後納税者からの申し出等により課税復活の手続き
がとられている。なお、その場合には課税保留自体がなかったものとして全額が
課税されることとなる。過去3年間の課税復活のうち定期保留分の件数と金額及
び前年度の保留額に対する復活割合は次のとおりである。
《定期保留分の課税復活状況の推移》
区
分
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
件
数
27, 39 8件
26, 10 6件
23, 17 4件
金
額
929 ,2 93 千 円
880 ,7 82 千 円
777 ,8 43 千 円
復 活 割 合
45. 08 %
44. 65 %
48 .0 6%
このような実態を考慮すると、定期保留そのものの縮減を図るべきであると思
われる。例えば、賦課期日前2ヶ月間に車検切れとなった自動車については定期
- 110 -
保留とせずに、通常に課税するのである。これにより、収入率は若干下がるかも
知れないが、キャッシュフローである税収自体は増加し、道の財政改善に少しで
も貢献できるであろう。
【意見23】自動車税の納税通知書の返戻に対応する業務が多大となっている現状
を改善するため、住民基本台帳ネットワークシステムを活用するなど
の有効な対策を講ずるべきである。
定期課税のため送付した自動車税の納税通知書の返戻数が約3万件にも達して
おり、その後の再送付さらには再々送付のために多大な労力と費用を要している。
全道での過去3年間の課税件数、返戻件数等の状況は次のとおりである。
《納税通知書の課税件数、返戻件数等の推移》
区
定 期 課税
当 初 返戻
件数
税 額 (千 円 )
件数
分
再送付
件数
公 示 送達 未 着 保留
件数
件数
平 成1 9年 度
2,3 51 ,04 4
87, 03 6,8 66
26, 71 7
2 4, 727
491
1,4 99
平 成2 0年 度
2,2 96 ,40 5
85, 18 3,9 69
30, 49 4
28, 70 1
519
1,2 74
平 成2 1年 度
2 ,2 34, 53 9
8 3, 019 ,6 71
30, 18 7
2 8, 612
523
1 ,0 52
各振興局等の平成21年度の返戻状況は次のとおりである。
《各振興局等における納税通知書の課税件数、返戻件数等》
定 期 課税
区
分
件数
返
戻
札幌
1,0 52 ,14 2
件数
15 ,1 34
割 合%
1 .4 3
渡島
胆振
1 75, 53 7
2 24, 52 2
2 ,1 24
2 ,9 05
1 .2 1
1 .2 9
十勝
1 81, 44 2
2 ,4 60
1 .3 5
釧路
1 57, 96 6
1 ,8 83
1 .1 9
北見
1 46, 53 4
1 ,8 50
1 .2 6
上川
2 96, 39 6
3 ,8 31
1 .2 9
合計
2 ,2 34, 53 9
30 ,1 87
1 .3 5
返戻の原因は納税義務者である自動車所有者または使用者の住所移転等による
住所の不明である。そのため、広報などをより積極的に行うなど返戻を減らす努
力をするとともに返戻となったものの処理について、住民基本台帳ネットワーク
システム(以下「住基ネット」と言う。)を活用すべきである。
住基ネットに関しては、「知事は、条例で定める事務を遂行するときに本人確
認情報を利用できる(住民基本台帳法第30条の8)」と定められているので、
- 111 -
情報利用を可能にする条例を道において整備することにより、返戻となったもの
と住基ネットとの機械的なデータ突合が可能となる。
なお、道ではこのための条例整備を準備中とのことであるが、平成23年1月
現在、まだ成立には至っていない。この条例は、税の賦課徴収に関する事務以外
にも各種申請・届出に関する事務、各種給付に関する事務など広い範囲の行政事
務の合理化に資するとともに住民の利便性の向上にも役立つものになると思われ
るので速やかな成立が望まれる。
【意見24】新聞等マスメディアへの記事掲載の働きかけや、タイヤロックの予告
など、滞納への牽制効果を持つ幅広い方策を引き続き推進すべきであ
る。
全体の徴収率の向上を目指すためには、現年課税分の徴収率を上げ、未然に滞
納額を少しでも減らすことが重要である。そのためには納税者に対し、滞納に関
する牽制効果を向上させる次のような対策も積極的に検討すべきである。
①
新聞記事掲載への働きかけ
平成21年10月2日、北海道新聞の朝刊一面に、滞納者に対する「差押強
化」の記事が掲載された。掲載直後には滞納自動車税の収入が著しく増加し、
この記事の反響の大きさが証明された。道内には、地元紙がいろいろあるので、
これらの新聞社へ「差押強化」、「動産差押の拡大」、「差押の仕組み」、「高
くつく滞納」等(以下、「差押強化」等と言う。)のインパクトある情報を提
供し、道は滞納者に対し厳しい姿勢で望んでいることを強く打ち出し、記事と
して取り上げてもらえるような工夫をより積極的に行うべきである。もちろん、
全国紙道内版への掲載も照準に置き、積極的な情報提供も必要と思われる。
②
テレビやラジオなどへの働きかけ
新聞と同様に、情報の伝達媒体であるテレビやラジオ(特に地域FM局)を
活用することも大切である。これらの放送局へ「差押強化」等のインパクトあ
る情報を提供することも大切である。
③
ユーチューブ等の投稿動画の活用
ユーチューブやニコニコ動画等の無料投稿動画サイトの活用もぜひ検討すべ
きである。製作コストを安く上げるためには動画ではなく、写真のスライドシ
ョーの技法を活用し、そこにストーリー性、意外性、ユニークさを持たすと有
効な広報手段となる可能性が出てくる。
④
町内回覧板の活用
各家庭に回覧される町内回覧板制度の活用も考えるべきである。道や各市町
村の広報誌や高額な新聞広告に比べ、回覧板の記事は道民に閲覧される確率が
はるかに高い。そこで、ここに「差押強化」等のチラシを入れ、各家庭に回覧
すると滞納に関する牽制効果を向上させることができる。
- 112 -
なお、マンション等では回覧板制度が機能していないところもある。そのよ
うなところでは、入居者用の掲示板等にチラシを掲示してもらうように、町内
会を通してマンション等所有者へ依頼することも必要である。
⑤
タイヤロックの予告
督促状の発付は、原則として納期限後30日以内に行われ、それでも納税に
応じない滞納者に対しては文書、電話、呼出し、臨戸などの方法により期日を
指定した上で納税の履行を求めている。この場合、催告書には預金や給与の差
押の予告以外にも、「タイヤロック」の予告を大きな色文字で印字し、滞納者
に対する厳しい姿勢を打ち出すべきである。タイヤロックの実施にはいろいろ
な制約があり実施は容易ではないが、予告自体には滞納に対する十分な牽制効
果が期待できる。
⑥
催告封筒の表に「重要」と表示
催告書は滞納者が見なければ意味がない。ある振興局等では、催告封筒の表
面に注目を引く色や書体で「重要」と表示することにより、開封率を上げる工
夫をしている。僅かなコストで実行可能なこのような地道な対策も徴収率アッ
プのためには欠かせないため、道職員全員からこのようなアイデアを公募する
ことも検討すべきである。
【意見25】自動車税の電話相談の繁忙期(納付書発送日から納期限までの期間で
ある5月)に係わる業務について、コールセンターなどによる民間開
放や業務の集約を検討すべきである。
○電話相談の繁忙期対策
5月初旬の納税通知書発付日から5月31日の納期限までの期間は自動車税に
関する納税者からの電話相談が急増する。この間の電話受理件数及びそのうちの
苦情件数と苦情内容は次のとおりである。
- 113 -
《繁忙期の電話受理件数とそのうちの苦情件数と苦情内容の推移》
電 話 受理
年
度
平 成1 9年 度
平 成2 0年 度
平 成2 1年 度
区分
件数
札幌
渡島
胆振
十勝
釧路
北見
上川
計
札幌
渡島
胆振
十勝
釧路
北見
上川
計
札幌
渡島
胆振
十勝
釧路
北見
上川
計
30 ,10 3
5 ,09 0
4 ,83 8
4 ,89 8
3 ,72 7
2 ,97 9
6 ,84 6
58 ,48 1
28 ,17 7
5 ,20 5
4 ,19 1
3 ,31 0
4 ,52 2
2 ,59 0
7 ,23 0
55 ,25 5
29 ,31 1
4 ,69 1
3 ,24 5
3 ,92 5
4 ,66 9
3 ,04 0
6 ,77 3
55 ,65 4
苦
件数
情
被 け ん引 車 グ リ ーン 化 コ ン ビ ニ 納 税
2
2
1
0
1
0
0
6
1
0
0
0
14
0
0
15
0
0
2
0
5
0
24
31
1
1
その他
1
1
1
1
0
3
1
11
1
11
1
2
1
2
0
3
1
1
5
0
21
21
1
3
9
※ 苦情 件 数 に つ いて は 、 報 告 書と し て 記 録 を残 し た も の の件 数
以上のように、受理した件数のうち、苦情に関するものは僅かであり、そのほ
とんどが何らかの相談である。これら多数の電話相談に対して、各振興局等では
人海戦術による臨戦体制で備えているのが実情である。
なお、札幌道税事務所自動車税部を例にとると、平成22年5月6日から6月
4日までの実働22日間における電話受理件数は33,646件(一日あたり1,
529件)であり、そのうち分割納税や口座振替などの納税関係は12,144
件(一日あたり552件)と全体の36%を占めていた。
そこで、これを緩和し事務の効率化を図るとともに電話してきた納税者に対し、
より的確、迅速な対応が望まれる。そのための対策として、①税務経験者である
退職者等を活用しこの時期だけのコールセンターを設置したり、②道全体の事務
の効率化のため、コールセンターを民間委託により設置し、その中でこの相談業
務の一部を吸収することを検討すべきである。
【意見26】納税者の利便性の向上及び納期内納税率の向上の観点から、クレジッ
ト納税の導入を検討すべきである。
- 114 -
自動車税の過去5年間の収入率と収入未済額の推移は次のとおりである。
年
度
収
入
率
収 入
未 済
額
平 成1 7年 度
94. 3 %
4,8 38 ,16 0 千円
平 成1 8年 度
94. 4 %
4,6 51 ,87 7 千円
平 成1 9年 度
94. 6 %
4,4 06 ,80 1 千円
平 成2 0年 度
94. 8 %
4,1 66 ,09 3 千円
平 成2 1年 度
95. 2 %
3,5 72 ,28 9 千円
道税全体では平成21年度に収入未済額が過去最高を記録したが、自動車税に
関しては次に掲げる積極的な徴収対策を実施したことにより、この10年間で「最
高の収入率」と「最少の収入未済額」を実現した。
平成21年度
納期内納
税の取組
臨戸及び
電話催告
の集中実
施
自
各
種
税 滞納処分
の強化
収
対
策
● 企 業 訪 問 【 全 道 統一 】
●ポスターの掲示
・ 実 施 期 間 : 4 月 2 0 日∼ 6 月 1 日
● リ ー フ レ ッ ト の 職場 回 覧
● コ ン ビ ニ 納 税 の 利用 促 進
・ 訪 問 企 業 等 : 1 ,2 6 6 社
・ 納 期 内 コ ン ビ ニ 利用 率 : 15.6 % ( 0.5%増 )
● 臨 戸 及 び 電 話 催 告の 集 中 実 施
・ 納 期 内 納 税 率 : 66.1 % ( 1.8% 増 )
・ 実施期間:6月∼7月
● 管 理 職 員 に よ る 直接 徴 収 の 実 施
・ 対 象 滞 納 戸 数 : 1 0 ,5 4 3 戸
・ 収 入 金 額 : 4 ,5 3 0 万 円 (7月 末 現 在 )
・ 実 施 期 間 : 7 月 1 日 ∼1 4 日
●訪問徴収等
・ 管理職員数:164名
● 預 貯 金 ・ 給 与 の 徹底 し た 差 押 え
・ 対 象 滞 納 戸 数 : 3 ,4 7 5 戸
・ 収 入 金 額 : 9 ,5 2 0 万 円 (12月 末 現 在 )
・ 差 押 滞 納 者 数 : 2 0 ,9 8 0 人
・ 幹部職員数:62名
動
車
徴
● 高 額 ・ 悪 質 滞 納 者へ の 滞 納 処 分、
9 月 を 「 動 産 差 押 強化 月 間 」
● イ ン タ ー ネ ッ ト 公売 の 効 果 的 な
実施
・ 収入金額: 3億39 3万円
・ 集中実施期間:9月
・ 自 動 車 差 押 : 1 5 6 ( う ち 車輪 止 め : 2人 )
・ 動産差押:12人
・ 収 入 金 額 : 4 7 0 万 円( 12月 末 現 在)
・ 実施回数:5回
・ 売却件数:185件
・ 売却金額:227万円
- 115 -
また平成22年度については、次の徴収対策を計画し実施している。
平成22年度
納期内納
税の取組
各
種
● 企 業 訪 問 【 全 道 統一 】
●ポスターの掲示
● 臨 戸 及 び 電 話 催 告 の 集中 実 施 7 月
臨 戸及 び
電 話 催 告【全道統一】
の 集中 実
● 管 理 職 員 に よ る 直接 徴 収 の 実 施
施
滞納処分
の強化
収
対
策
・税 務 の 管 理 職 員 が 、過 去 に 給 与 照 会を 行 っ た
企 業 な ど 、納 期 内 納 税率 の 向 上 に 効果 が あ る
と 思 わ れ る 企 業・団 体等 を 訪 問 し 、納 期 内 納
税 に つ い て 従 業 員 への 周 知 を 依 頼。
● リ ー フ レ ッ ト の 職場 回 覧
自
動
車
税
徴
・滞 納 繰 越 分 に 対 し て、臨 戸 及 び 電 話に よ る 催
告 を 7 月 に 集 中 し て実 施 。
・ 管 理 職 員 に よ る 直接 徴 収 を 7 月に 実 施 。
● 預 貯 金 の 徹 底 し た差 押 え
・8 月 及 び 1 2 月 に 預金 調 査 を 行 い 、徹 底 し た
預金差押を実施。
● 給 与 等 の 徹 底 し た差 押 え
・差 押 可 能 な 預 金 の ない こ と が 判 明 した 滞 納 者
に つ い て 、 給 与 等 の差 押 え を 徹 底し て 実 施 。
● 高 額 ・ 悪 質 滞 納 者へ の 滞 納 処 分
9 月 を 「 動 産 差 押 強化 月 間 」
● インタ ーネッ ト公 売の効 果的 な
実施
・動 産 等 の 集 中 差 押 期間 を 設 け 、職 場を あ げ て
捜 索 の 取 組 体 制 を 構築 す る 。
・ 一 定 程 度 の 出 品 数に よ る 広 報 効果 を ふ ま え 、
年5回実施する。
自動車税に関してはコンビニ納税制度を導入することにより納期内納税率が向
上した。その理由は、全国に広く点在するコンビニエンス・ストアでいつでも納
税できるという地理的、時間的なメリットを納税者に提供したためである。そう
であるならば、納税者に対し、利便性の向上を提供するその他の納税方法を導入
することにより納期内納税率をさらに高めることも効果的である。
また、向上しているとはいえ、道内の自動車税納期内納税率は、例年全国平均
を大きく下回っており、平成21年度の全国平均71.9%に対し、道は66.
1%で、47都道府県中42位である。このような状況を改善するためにも、新
たな対策を講ずる必要があると思われる。
そのひとつの方法に、クレジットカード決済による納税、すなわち、クレジッ
ト納税の導入がある。クレジット納税により納税者は次のメリットを受けること
ができる。
①
②
現行の振替納税の場合より口座からの引落時期が遅くなる。
分割払い、ボーナス払いやリボルビング払いなど予算に合わせた支払方法を
選択できる。
③ カードの特典であるマイレージやポイントを増加させることができる。
一方、課税団体である道からみると、次のメリットがある。
① 収入率の向上を図ることができる。
② 納期内納税扱いにより一括で徴収でき、個々の徴収事務も不要となる。
③ 本人が分割払いやボーナス払い等を選択しても利息の負担はクレジットカー
ド会社(以下、「カード会社」と言う。)へ対するものであるため、道で延滞
金を計算する必要がなく、ここでも徴収事務を省力化できる。
④ 分割払いや納税遅延に関する相談件数が減少する。
⑤ 道庁の電子化の推進に寄与する。
- 116 -
このように、クレジット納税は納税者と道の双方に数々のメリットを提供する
ものであるが、その実施に当たっては次の問題点が考えられる。
①
マイレージやポイントの付与は他の支払方法による納税者との間に不公平を
もたらす。
② 税の納期限とカード会社からの入金日との調整が必要となる。
③ 道税システムのプログラム修正に多額の費用が発生する。
④ 1件ごとの取扱手数料が現行の口座振替等の手数料より高額となる。
これらの問題点について検討すると、次のようになる。
①
マイレージやポイントの付与については、これらの特典を付与する主体はカ
ード会社であり、地方自治体ではない。それにも係わらず、これらの付与を納
税者間の不公平問題と捉えること自体が不合理である。
② 納期限とカード会社からの入金日の調整については、平成18年5月の地方
自治法の一部改正により、カード会社が「指定代理納付者」となることが認め
られたことにより解決した。
③ ④のプログラム修正費用と取扱手数料の問題については、先行事例である宮
崎県の場合が参考となる。
宮崎県は平成19年度より全国に先駆けてクレジットカード納付を実施した。
その導入に当たっては、ヤフー㈱と共同でクレジット納付システムを構築する
こととし、実際の作業をヤフー㈱にアウトソーシングすることにより、僅か7
50万円でこのシステムを完成させている。平成23年3月現在では、10県
が自動車税の納付にこのヤフー(株)のシステムを活用し、クレジット納付を導
入している。
指定代理納付者
立替払い
加 盟 店手 数 料
課税情報
宮崎県
ヤフー(株)
納付情報
決済情報
カード会社
手数料 105 円
納税情報
決済情報
手数料 315 円
納税者
クレジット収納のスキーム図(参考資料:宮崎県)
取扱手数料については、納税者の一部負担制を導入することにより県の負担増
加を軽減している。
また、これまで納期限内納付していた納税者の大多数が一挙にクレジット納税
- 117 -
に切り変えるのではないかと危惧するところもあるが、その恐れは少ないと思われ
る。なぜなら、クレジット納税を利用しようとする者は手数料の一部を自己負担し
てでも前記のメリットを享受したいと願う者に限られ、納期限納付していた大多数
の者は支出増となる手数料負担を嫌うと考えられるからである。
クレジット納税による取扱手数料は、現行の口座振替手数料10円、コンビニ
納付手数料57円、ゆうちょ銀行指定様式による納付手数料30円に比べるとかな
り高額なものとなりそうである。しかし、この問題についても、クレジット納税の
導入により、①未納者減少による「税収増大」、②分割納付納税者や未納者に対す
る督促状・催告書・分納納付書の印刷・配送料、電話相談や分割納付に係わる人件
費などの「徴税コスト減少」により、取扱手数料の増加を十分吸収できると思われ
る。
それでもなお、道の財政健全化のためにはクレジット納税の取扱手数料をでき
るだけ低く抑えることが必要とされる。そのためには、①札幌市やその他の道内市
町村との連携、②他の都府県との連携を推進し、カード会社に対して、クレジット
カードによる納税や料金収納の仕組みについての提案を行政側から積極的に行う
必要がある。
なお、金融機関での納税やコンビニ納税との棲み分け効果については、宮崎県
の分析が参考になる。
利用時間別に見ると、クレジット納付利用者の76.4%が金融機関の営業時
間外に利用している。また、コンビニ納税の最多利用時間帯が午前9時から午後
7時までであるのに比べて、クレジット納付では全体の約4割が午後7時から午
前0時までに利用しており、利用者のライフスタイルに合わせた納税を可能にし
たとの分析がなされている。
また、アンケート調査においても、92.2%という高い満足度(非常に満足、
満足、どちらかと言えば満足の合計)を得ているとのことである。
以上のように納税者と道の双方に数々のメリットをもたらし、道庁の電子化も
推進することとなるクレジット納税の導入を検討すべきである。
- 118 -
第11
1
鉱区税
概要
鉱区税は、地下の埋蔵鉱物を採掘するという権利(鉱業権)が与えられている
ことに対して課税されるものである。
(1)納税義務者(法第178条)
道内に石炭、硫黄、石油、天然ガスなどの鉱区をもっている鉱業権者
(2)税率(法第180条)
鉱区税の税率は、次の各号に掲げる鉱区について、それぞれ当該各号に定め
る額とする。
区
分
砂 鉱を 目的と しな い鉱 区
税
採掘鉱区
面積百アールごとに年額400円
試掘鉱区
面積百アールごとに年額200円
砂 鉱 を 目 的 とす る 鉱 区
石油または可燃性天然ガ
スを目的とする鉱区
率
面積百アールごとに年額200円
採掘鉱区
面積百アールごとに年額400円×2/3
試掘鉱区
面積百アールごとに年額200円×2/3
(3)鉱区税の減免(法第194条)
知事は、鉱区税の納税者が震災、風水害、落雷、火災その他これらに類する
災害により被害を受けた者である場合において、必要があると認めるときは、
鉱区税を減免する。
(4)申告
鉱業権の設定や変更などの登録をしたときは、その登録の日から10日以内
に申告する。申告内容に異動が生じた場合は異動が生じた日から5日以内に、
申告しなければならない。
(5)納税(法第182条)
納税通知書により5月15日から31日までの期間に納税する。
年の中途で鉱業権を設定したときは、納税通知書により別に指定した納期限
までに納税する。
- 119 -
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
額
33, 90 6
32, 61 2
33, 57 6
34, 31 8
36, 38 9
(うち現年 課税分)
(30 ,4 80)
(29 ,5 67)
(31 ,2 40)
(31 ,7 69)
(34 ,4 83)
(うち滞納 繰越分)
(3, 42 5)
(3, 04 5)
(2, 33 6)
(2, 54 9)
(1, 90 5)
額
30, 05 5
28, 95 4
30, 55 6
31, 52 9
33, 49 4
(うち現年 課税分)
(29 ,8 26)
(28 ,8 35)
(30 ,2 43)
(30 ,9 33)
(33 ,4 77)
(うち滞納 繰越分)
(22 8)
(11 9)
(31 3)
(59 5)
(17 )
不 納 欠 損 額
805
1,3 21
470
883
0
収 入 未 済 額
3,0 45
2,3 36
2,5 49
1,9 05
2,8 94
収
率
88. 6%
88. 8%
91. 0%
91. 9%
92. 0%
(うち現年 課税分)
(97 .9 %)
(97 .5 %)
(96 .8 %)
(97 .4 %)
(97 .1 %)
(うち滞納 繰越分)
(6. 7 %)
(3. 9 %)
(13 .4 %)
(23 .4 %)
(0. 9 %)
調
収
3
定
入
済
入
課税・徴収の事務フロー
(札幌道 税事務 所のみ)
○ 定期課 税
※本庁 税務課で照 会を行っている
経済産業局へ鉱業
原簿の照会
鉱区一覧表出力
鉱区一覧表と鉱業
原簿を照合
納税通知書
送付
調 定
不符合
納税通知書の封入封緘
内容確認
処理結果確認
道税ト ータルシ ステ
ム鉱区税マス タへ
入力
(札 幌道税事 務所の み)
○ 随時課 税
登録済
通知書
受理
内容
確認
道税ト ータ
ルシ ステ
ム鉱区税
マスタとの
照合
道税トータ
ルシステ
ム鉱区税
マスタへ
の入力
処理結
果確認
調定内訳
書等と登
録済通知
書の照合
通知書等の封入封緘
- 120 -
調
定
納税通知
書送付
4
監査手続
鉱区税の所管は札幌道税事務所である。実地監査により、鉱区一覧表と調定内
訳書に記載された鉱業権の種類及び面積並びに適用税率を照合した。
5
指摘意見
札幌道税事務所においては、経済産業局の鉱業原簿と道税システムから出力さ
れる鉱区一覧表と照合し納税義務者を確認している。
鉱区税は特殊な税であり、納税義務者の異動も少なく、また、毎年の税額に大
きな変動なども発生しない税である。鉱区税の納税義務者は道外の者も多く、鉱
区税の性格上、将来的に埋蔵物を発掘するなどの可能性が不明であっても、鉱区
を保有することで毎年発生する税であることから、滞納事案が目立ったが、その
他特に指摘意見はない。
- 121 -
第12
1
道固定資産税
概要
固定資産税は市町村税であるが、大規模償却資産に係わる固定資産税に関して
は、市町村の財政上の均衡を図る見地から、法律で定める一定限度以上の償却資
産に対して道が課税するものである。
(1)納税義務者(法第740条他)
納税義務者は賦課期日である1月1日現在において道内に大規模償却資産を
所有する者である。
(2)課税標準(法第740条他)
一の納税義務者が所有する償却資産の価額の合計額のうち、所在する市町村
の人口等に応じて、市町村が課することが出来る固定資産税の課税標準となる
べき金額を超過した部分の金額に対して課税する。
(3)税率(法第741条)
課税標準に対し1.4%
(4)賦課期日
毎年1月1日
(5)申告と納付の手続き
大規模償却資産を保有する者は、賦課期日である1月1日現在における大規
模の償却資産の取得価額を毎年1月31日までに、償却資産の所在する市町村
に申告する。ただし所在が複数の市町村にまたがるときは、道に申告する。納
付は年4回に分けて4月、7月、12月、2月の各月に道より送付された納税
通知書により納付するものとする。
2
調定額等の状況
過去5年間において、課税対象となる償却資産はなかった。平成21年度にお
いても調定額はない。
3
監査手続
道固定資産税の所轄である本庁税務課に、現状と今後の見込みについてヒアリ
- 122 -
ングを行った。
4
指摘意見
現在課税の対象となる大規模な償却資産がないため、指摘意見はない。
今後の課税状況として、平成21年に完成した発電用の大規模資産の完成に伴
い、平成22年度では約19億3千万円の予算が計上されている。
- 123 -
第13
1
核燃料税
概要
核燃料税は、道が総務大臣の同意を得て、昭和63年9月1日に施行された、
北海道核燃料税条例により、独自に課税している法定外普通税である。発電用原
子炉への核燃料の挿入に対して課税され、5年ごとに更新している。また、この
税は、原子力発電所周辺地域の住民の安全対策のほか、農業・水産業の振興や道
路整備などに利用されている。
(1)納税義務者(道核燃料条例第3条)
発電用原子炉の設置者
(2)税率(道核燃料条例第5条)
発電用原子炉に挿入された核燃料の価額の12%
(3)申告・納税(道核燃料条例第7条)
発電用原子炉の設置者が、核燃料を挿入した日から起算して2月を経過する
日の属する月の末日までに申告して納税する。
(4)申告と納税(道核燃料条例第6条)
核燃料税の徴収は、申告納付の方法による。
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
額
303 ,5 96
338 ,0 34
552 ,4 46
645 ,4 03
1,7 39 ,66 8
収 入 済 額
303 ,5 96
338 ,0 34
552 ,4 46
645 ,4 03
1,7 39 ,66 8
調
定
核燃料税の納税義務者は、道においては北海道電力1社であり、収入未済額
はない。
- 124 -
課税期間(第1期∼第5期)ごとの税収実績(見込)額は次のとおりである。
(単位:億円)
区
分
期
間
第1期
第2期
第3期
第4期
第5期
S63 .9 .1 ∼
H 5 .9 .1 ∼
H10 .9 .1 ∼
H15 .9 .1 ∼
H20 .9 .1 ∼
H 5 .8 .31
H10 .8 .31
H15 .8 .31
H20 .8 .31
H25 .8 .31
税収実績 (見込み額)
35
32
22
21
69
税
7%
7%
10%
10%
12%
率
第5期に税収見込み額が大きく増額しているのは、第5期より税率を10%
から12%の増加したこと、及び、泊原子力発電所の3号機が平成20年から
の試運転を経て、平成22年12月22日から稼働を開始したため増収となっ
ている。
3
監査手続
所管である本庁総務部税務課において、平成21年度分の申告書等を閲覧し、
申告期限を確認した。また申告書の記載内容を検算し、添付書類に不備がないか
を確認した。
4
指摘意見
核燃料関係税は北海道の他、原子力発電所が立地されている12県で課税され
ている。
核燃料税の納税義務者は北海道においては1社であり、泊原子力発電所の発電
用原子炉への核燃料の挿入に対して課税されている。
核燃料税に関し、道は予算作成の際に納税義務者と挿入時期に関しての事前確
認を行っている。しかし、課税標準である核の購入価額自体が、核を製造する際
の各原料の価格の変動、または核の購入時の為替相場の変動により、大きく価格
に差異が生じるため、予算計上額と調定金額とずれを生じる可能性がある。
【指摘27】課税標準の算定基礎である核燃料の購入単価については、現在、調査
が実施されていないが、他県の事案の調査、納税義務者への聞き取り、
購入契約書等の確認などの方法で調査を実施すべきである。
納税義務者の提出した申告書の内容において、課税標準を算定する基礎である
核燃料の単価の調査と検証がされていなかった。現在納税義務者は1社で、納税
額も多額になることから、挿入された核燃料の価格が適正な金額であるかの確認
は必要である。核燃料の価格に関しては、他県の核燃料の価格の調査、納税義務
者への聞き取りや実際の核燃料の購入価格に関する契約書または帳簿を確認する
などの方法で調査を実施すべきである。
- 125 -
第14
1
地方消費税
概要
地方分権の推進、地域福祉の充実等のために地方財源の充実を図る観点から、
税制改革の一環として、創設されたものである。
国の消費税と同様に、商品の販売やサービスの提供などに対して課税される。
(1)納税義務者(法第72条の78)
区
国に消費税を納める義務のあるものが、消費税の納税義務者となるが、最終
的には、商品やサービスに上乗せされているため、消費者が地方消費税を負担
している。納税義務者は下記の二つの区分に分かれる。
分
納
税
義
務
者
国内取引(譲渡割) 商品・サービスの提供を行った事業者
・基準期間(注1)の売上高が1千万円を超える事業者
・課税事業者選択届出書を提出した事業者
国外取引(貨物割) 外国貨物を保税地域(注2)∼引き取る者(消費者である個
人を含みます。)
(注1)個人の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度をいう。
(注2)保税地域とは、外国から日本に運び込んだ貨物を置いていても、関税(国
税)の支払いが猶予される場所をいう。
(2)課税標準
ア
譲渡割
イ
貨物割
課税資産の譲渡等に係わる消費税額から仕入れ等に係わる消費税
額控除した後の消費税額
課税貨物に係わる消費税額
(3)税率(法第72条の83)
地方消費税の税率は、消費税額の100分の25とする。
(4)徴収の方法(法第72条の86・100)
譲渡割の徴収については、申告納付の方法による。
貨物割の賦課徴収は、国が、消費税の賦課徴収の例により、消費税の賦課徴
収と併せて行うものとする。
(5)申告納付の手続き(法第72条の88他)
納税義務者は、消費税の申告書に課税標準額、譲渡割額または貨物割額を記
- 126 -
載し、消費税の申告と合わせて、譲渡割については税務署長へ、貨物割につい
ては税関長へ申告書を提出し、消費税と合わせて納付するものとする。
譲渡割の賦課徴収に関して本来は知事が行うことになっているが、納税義務
者の事務負担軽減を考慮し、当分の間、国が行うこととしている。
2
調定額等の状況
過去5年間の調定額・収入額の推移は、次のとおりである。
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
額
74, 38 3,8 87
収 入 済 額
74, 38 3,8 87
調
定
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
80, 76 4,4 77
78, 77 0,0 90
78, 96 7,2 70
69, 29 2,2 65
80, 76 4,4 77
78, 77 0,0 90
78, 96 7,2 70
69, 29 2,2 65
国からの払い込みに基づき調定するため、収入未済額は発生していない。
3
地方消費税の仕組み
財・サービスの流れ
資金の流れ
(生産者)
A事業者
売上100万円
売上100×4%
×25/1 00
=10,00 0円
納 税
( X税務署)
払 込
(小売業者)
B事業者
仕入100万円 売上30 0万円
(売上300×4 %
納 税
−仕入1 00×
4%)×25/ 100
(Y税務署)
=20,00 0円
払 込
Y県の
消費者
負担する地方消費税
30 0万円×4 %×25 /100
=3 0,000円
清 算
X 県
Y 県
10,0 00円
1/ 2
X県内の
市町村
①
②
③
④
⑤
1/2 15,00 0円
Y県内の
市町村
都道府県が課税。(当分の間、国(税務署)が消費税と併せて賦課徴収)
事業者は、国(税務署)に申告書を提出して納税。
国は、委託をした都道府県に地方消費税を払い込む。
各都道府県は、その税収を消費関連の基準により各都道府県間で清算する
各都道府県は、清算後の収入の 1/2 を市町村へ交付する。
- 127 -
4
都道府県間の清算
都道府県は、国から払い込まれた地方消費税額に相当する額(国に支払う徴収
取扱費を減額した額)について、消費に関連した基準によって都道府県間におい
て清算を行う。
《地方消費税清算金の仕組みと清算方法》
東京都
北海道
4.470%
223,500 北海道へ
1 3.813%
690,650 東京都分
清算
4. 470%
青森県
清算
4.470%
4,47 0 北海道へ
13.813%
13,813 東京都へ
1.057%
1,05 7 青森県分
13. 813%
44, 700 北海道分
138, 130 東京都へ
(道)収入
85,3 70
1.057%
1. 057%
52,850 青森県へ
10, 570 青森県へ
(道)支出
6,1 00
806, 600 他府県へ
4, 033,000 他府県へ
80,660 他府県へ
100,00 0
地方消費税
東京及び青森県からの清算金収入
東京及び青森県への清算金支出
1,000, 000
5, 000,000
1,000, 000
227, 970
148, 700
各製品の最終消費地を個々に確認することが不可能なことから、人口、商業統
計等から各都道府県のシェアを定め、清算している。
道の場合、そのシェアが4.470%なので、残り95.530%を他都道府
県に支出することとなる。
(平成23年1月現在)
例:北海道のシェア: 4.470
青森県のシェア: 1.057
東京都のシェア:13.813
5
監査手続
地方消費税については、道には課税及び徴収実務は生じないので、地方消費税
の仕組みに関してのヒアリングを行ったところ、特に指摘意見はない。
- 128 -
第15
1
道たばこ税
概要
(1)納税義務者(法第74条の2①)
道たばこ税は、製造たばこの製造者、特定販売業者または卸売販売業者が製
造たばこを小売販売業者に売り渡す場合(当該小売販売業者が卸売販売業者等
である場合においては、その卸売販売業者等に卸売販売用として売り渡す場合
を除く。)において、当該売り渡しに係わる製造たばこに対し、当該売渡しを行
う卸売販売業者等または、卸売販売業者等が製造たばこにつき、卸売販売業者
等及び小売販売業者以外の者(消費者等)に売渡しをし、または消費その他の処
分をする場合においては、当該売り渡しまたは消費等に係わる製造たばこに対
する卸売業者等が納税義務者となる。
(2)課税標準(法第74条の4)
製造たばこの本数とする。喫煙用の紙巻きたばこに対し、製造たばこの本数
の算定は下記表によるものとする。
区
1
分
重
量
喫 煙 用の 製 造 た ば こ
ア
パイ プ た ば こ
1 グラム
イ
葉巻 た ば こ
1 グラム
ウ
刻み た ば こ
2 グラム
2
か み 用 の製 造 た ば こ
2 グラム
3
か ぎ 用 の製 造 た ば こ
2 グラム
(3)税率(法第74条の5)
区
分
平成 22 年 9 月 30 日ま で
平成 22 年 10 月 1 日以 降
一 般 の紙 巻 き た ば こ等
1,0 00 本に つ き 1 ,0 74 円
1,0 00 本に つ き 1 ,5 04 円
旧 3 級品 の 紙 巻 き たば こ
1,0 00 本に つ き
1,0 00 本に つ き
5 11 円
7 16 円
※旧3級品の紙巻きたばこは、エコー・わかば・しんせい・ゴールデンバット・ウ
ルマ・バイオレットの6銘柄である。
(4)課税の免除(法第74条の6)
①
製造たばこの本邦からの輸出または輸出の目的で行われる輸出業者に対す
る売り渡し
② 本邦と外国の間を往来する本邦の船舶(これに準ずる遠洋漁業船その他の
船舶)又は航空機に船用品または機用品として積み込むための製造たばこ
③ 品質が悪変し、または包装が破損し、若しくは汚染した製造たばこその他
- 129 -
販売に適しないと認められる製造たばこの廃棄
④ すでにたばこ税を課された製造たばこの売り渡しまたは消費等
(5)徴収の方法
申告納付の方法による。
(6)申告と納税(法第74条の10)
道たばこ税を申告納付すべき者は、毎月月末までに、前月の初日から末日ま
での間における売渡し等に係わる製造たばこの課税標準数量、税額等を記載し
た申告書を知事に提出し、その申告書により納付すべき税額を道に納付する。
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
額
14, 60 6,0 13
14, 74 0,6 70
14, 44 7,5 77
13, 61 8,6 02
12, 95 1,9 03
(うち現年課税分)
(14,606,013)
(14,740,670)
(14,447,547)
(13,618,602)
(12,951,903)
(うち滞納繰越分)
(0)
(0)
(30)
(0)
(0)
調
定
収 入 済 額
14, 60 6,0 13
14, 74 0,6 37
14, 44 7,5 76
13, 61 8,6 02
12, 95 1,9 03
(うち現年課税分)
(14,606,013)
(14,740,637)
(14,447,576)
(13,618,602)
(12,951,903)
(うち滞納繰越分)
(0)
(0)
(29)
(0)
(0)
不 納欠 損 額
0
2
1
0
0
収 入未 済 額
0
30
0
0
0
率
100 %
100 %
100 %
100 %
100 %
(うち現年課税分)
(10 0 %)
(10 0 %)
(10 0 %)
(10 0 %)
(10 0 %)
収
入
(うち滞納繰越分)
-
-
- 130 -
96%
-
-
(2)平成21年度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
分
調定額
収入額
不納 欠 損 額
収入 未 済 額
収 入 歩合
空 知 総 合 振 興 局
0
0
0
0
―
石
局
0
0
0
0
―
後 志 総 合 振 興 局
0
0
0
0
―
胆 振 総 合 振 興 局
0
0
0
0
―
日
局
0
0
0
0
―
渡 島 総 合 振 興 局
0
0
0
0
―
桧
局
0
0
0
0
―
上 川 総 合 振 興 局
0
0
0
0
―
留
局
0
0
0
0
―
宗 谷 総 合 振 興 局
0
0
0
0
―
オホー ツク総 合振 興局
0
0
0
0
―
十 勝 総 合 振 興 局
18
18
0
0
100 .0 %
釧 路 総 合 振 興 局
0
0
0
0
―
根
局
0
0
0
0
―
札 幌 道 税 事 務 所
12, 95 1,8 85
12, 95 1,8 85
0
0
100 .0 %
合
12, 95 1,9 03
12, 95 1,9 03
0
0
100 .0 %
3
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
計
課税・徴収の事務フロー
納税義務者(卸売販売業者等)から
申告書等提出
申告書等受理
申告書等を申告書と入力票に分離
申告書等内容審査
申告書をもとに申告年月日、課税
標準数量、税額等を入力
入力票を本庁へ送付(申告期限の
翌月7日まで)
処理結果一覧表出力し、申告書の
内容と照合
本庁からたばこ流通情報管理システ
ムの業務委託業者(財)地方自治情報
センター)へ入力票を送付
調定決定書出力、調定決定
- 131 -
4
監査手続
実地監査した振興局等において、事務処理の状況をヒアリングするとともに、
下記の事項についてサンプル調査を実施した。
① 道府県たばこ税の申告書の内容を検証した。
② たばこ税・全国都道府県別・事業者別申告・報告本数突合一覧表を閲覧した。
③ 道たばこ税零申告分集計表・還付決定書を検証した。
④ 輸出申告書付表の記載内容を検証した。
5
指摘意見
道では、(財)地方自治情報センター(以下「センター」と言う。)の「たばこ
流通情報管理システム」(以下「システム」と言う。)でたばこの数量等の流通情
報を照会し、課税漏れをチェックしている。センターでは全国の納税者から提出
された明細書の数量データ等に基づいて事業者間の受渡数量の集計を行うことに
より、課税漏れを防止している。
【指摘28】一部の振興局等において、
(財)地方自治情報センターに委託している
「たばこ流通情報管理システム」の活用について、システムへの情報入
力漏れや、不符合の確認等がなされていない事案があったことから、今
後、適切な事務処理となるよう指導を徹底すべきである。
道たばこ税においては輸出等による課税免除の適用を受けるためには、知事に
免税要件に該当することを証する書類(総務省令第8条の4)を提出することが
義務付けられている(条例第45条の2の4)。実地監査した振興局等において
課税状況を確認したところ、ある振興局等において、上記免税たばこの申告に関
し、システムへの入力を行っていない事例があった。この場合システムの情報が
完全ではないことになる。
またこのシステムは買受け及び売り渡しした事業者双方の数量等の情報が符合
すれば問題ないが、不符合の場合でもエラー処理とはならず、片方の情報がない
場合は片方が空欄で出力される。今回の実地監査において、空欄で出力されてい
た事案があったが精査されていなかった。それではシステムが十分に活用されて
いないことになる。
上記のような事務処理は、「たばこ流通情報管理システム」が全国の課税情報
を完全に網羅できないシステムとなるため、今後、適正な事務処理の徹底を図る
べきである。
- 132 -
第16
1
ゴルフ場利用税
概要
ゴルフ場利用税は、ゴルフ場を利用したときに、利用の日ごとに定額によって、
そのゴルフ場利用者に対して課税される。税収の7割は、ゴルフ場所在の市町村
等に、ゴルフ場利用税市町村交付金として交付される。平成21年度は約15億
円交付している。
(1)納税義務者(法第75条)
ゴルフ場を利用した人
(2)税率(法第76条)
利用者一人につき一日400円∼1,200円
ホール数や利用料金によって定められている。
利用料金
10,000
5,000
4,500
4,100
3,700
3,400
3,100
2,700
2,400
2,100
2,100
円以上
円以上 10,000 円未満
円以上
5,000 円未満
円以上
4,500 円未満
円以上
4,100 円未満
円以上
3,700 円未満
円以上
3,400 円未満
円以上
3,100 円未満
円以上
2,700 円未満
円以上
2,400 円未満
円未満
ホール数
18以上 18未満
1級
8級
2級
8級
3級
8級
4級
9級
5級
9級
6級
9級
7級
10級
8級
10級
9級
11級
10級
11級
11級
11級
税率
等級
1級
2級
3級
4級
5級
6級
7級
8級
9級
10級
11級
税率
1,200 円
1,120 円
1,040 円
960 円
880 円
800 円
720 円
640 円
560 円
480 円
400 円
(3)課税上の特例(法第75条の2・3)
次のいずれかに該当する場合はゴルフ場利用税が非課税となる。
該当する場合は、
「ゴルフ場非課税該当届出書」と共に、本人確認証明書の提
出と提示が必要である。
①
18歳未満の者、年齢70歳以上の者及び障害者のゴルフ場の利用(これ
らの者に該当する旨をその者が証明する場合に限る。)
② 国民体育大会のゴルフ競技に参加する選手が当該ゴルフ競技として行うゴ
ルフ場の利用(都道府県知事または都道府県の教育委員会がその旨を証明す
る場合に限る。)
③ 学生、生徒若しくは児童またはこれらの者を引率する教員が学校の教育活
- 133 -
動として行うゴルフ場の利用(学長または校長がその旨を証明する場合に限
る。)
(4)申告と納税(法第82条)
ゴルフ場の経営者が特別徴収義務者として、毎月分をまとめて、翌月15日
までに申告して納付する。
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
調
分
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
額
2,8 32 ,63 0
2,6 52 ,94 6
2,5 70 ,00 5
2,4 64 ,23 0
2,2 01 ,91 5
(うち現年課税分)
(2, 75 4,4 42 )
(2, 57 0,9 35 )
(2, 50 6,3 45 )
(2, 41 5,0 71 )
(2, 14 6,8 56 )
(うち滞納繰越分)
(78 ,1 87)
(82 ,0 10)
(63 ,6 59)
(49 ,1 58)
(55 ,0 59)
収 入 済 額
2,7 48 ,67 1
2,5 69 ,32 2
2,5 11 ,40 4
2,4 07 ,85 8
2,1 48 ,18 3
(うち現年課税分)
(2, 74 1,4 38 )
(2, 55 6,1 44 )
(2, 49 5,3 74 )
(2, 40 0,6 15 )
(2, 13 8,6 59 )
(うち滞納繰越分)
(7, 23 2)
(13 ,1 77)
(16 ,0 30)
(7, 24 3)
(9, 52 4)
不納欠 損 額
1,9 48
19, 96 5
9,4 42
1,3 12
7,6 21
収入未 済 額
82, 01 0
63, 65 9
49, 15 8
55, 05 9
46, 11 0
率
97. 0%
96. 8%
97. 7%
97. 7%
97. 6%
(うち現年課税分)
(99 .5 %)
(99 .4 %)
(99 .6 %)
(99 .4 %)
(99 .6 %)
(うち滞納繰越分)
(9. 3 %)
(16 .1 %)
(25 .2 %)
(14 .7 %)
(17 .3 %)
収
定
平成 17 年 度
入
調定額が年々減少しているのは、ゴルフ人口の減少、ゴルフ料金の値下げ等
が原因と思われる。また収入未済額の発生原因はゴルフ場の倒産が相次いだこ
とによる。
- 134 -
(2)平成21年度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
調 定
額
収
入
額
不納欠損額
収入未済額
収入歩合
空 知 総 合 振 興 局
194 ,7 84
193 ,9 28
0
856
99. 5 %
石
局
740 ,8 81
701 ,8 43
0
39, 03 8
94. 7 %
後 志 総 合 振 興 局
110 ,0 12
110 ,0 12
0
0
100 .0 %
胆 振 総 合 振 興 局
468 ,1 62
460 ,0 06
7,6 21
534
98. 3 %
局
7,9 87
7,9 87
0
0
100 .0 %
渡 島 総 合 振 興 局
123 ,7 26
122 ,5 35
0
1,1 91
99. 0 %
局
0
0
0
0
上 川 総 合 振 興 局
118 ,8 16
118 ,8 16
0
0
100 .0 %
局
5,2 44
4,6 91
0
552
89. 5 %
宗 谷 総 合 振 興 局
14, 49 6
14, 49 6
0
0
100 .0 %
オホ ーツ ク総 合振 興局
44, 90 2
44, 83 5
0
67
99. 8 %
十 勝 総 合 振 興 局
133 ,5 53
133 ,5 53
0
100 .0 %
釧 路 総 合 振 興 局
53, 80 7
52, 06 7
0
1,7 40
96. 8 %
局
6,0 54
6,0 54
0
0
100 .0 %
札 幌 道 税 事 務 所
179 ,4 85
177 ,3 55
0
2,1 29
98. 8 %
2,2 01 ,91 5
2,1 48 ,18 3
7,6 21
46, 11 0
97. 6 %
日
檜
留
根
合
3
分
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
計
課税・徴収の事務フロー
特別徴収義務者から申告書提出
申告書受理
申告書内容審査
申告書をもとに申告年月日、等
級、利用人員等を入力
処理結果一覧表を出力し、申告書
の内容と照合
調定決定書及び調定内訳書を出
力、調定決定
- 135 -
―
4
監査手続
実地監査した振興局等において、下記事務処理についてのヒアリングを実施し
た。
①
②
③
等級決定と変更について
滞納状況について
ゴルフ場利用税の特別徴収義務者の利用料金等の表示の義務について
次の事項に関してサンプル調査を実施した。
①
②
ゴルフ場利用税等級決定調書の等級の整合性について検証した。
ゴルフ場利用税特別徴収義務者登録事項変更申請書の記載内容と提出状況に
ついて検証した。
③ ゴルフ場利用税調定状況調の作成状況を検証した。
また、実地監査した振興局等が実地調査により作成した全てのゴルフ場利用税
調査書(課税標準等調査用)の内容を検証した。
5
指摘意見
ゴルフ場利用税の税率決定の基礎となる、利用料金による等級の決定について
は、ゴルフ場利用税等級決定調書をサンプル調査したところ、すべて適正に決定
されていた。しかし次に掲げる事項については是正または改善すべきである。
【指摘29】特別徴収義務者に係わる利用料金等の表示義務について、指導を徹底
すべきである。
ゴルフ場利用税の特別徴収義務者は、当該ゴルフ場の公衆の見やすい個所に、
その特別徴収すべきゴルフ場利用税及び利用料金の金額を表示しなければならな
いとされている(条例第46条の5)。さらに、上記の表示義務に違反した場合、
6月以下の懲役または10万円以下の罰金に処されると規定されている(条例第
46条の9)。
この表示義務の指導に関してゴルフ場を有する振興局等の担当者に質問したと
ころ、多くの振興局等では、十分な指導を行っておらず、実地調査に際してもほ
とんど指摘していないとのことであった。監査人がいくつかのゴルフ場に赴き実
際に確認したが、そのすべてのゴルフ場において、この義務が履行されていなか
った。罰則まで設けられている条例であることから、今後指導を徹底すべきであ
る。
- 136 -
【意見30】課税標準に係わる実地調査は不十分であると思われるので、今後は、
厳格にかつ計画的に実施すべきである。
実地調査については、次の表のとおり実施している振興局等と、全く実施して
いない振興局等があり、実地調査に対する姿勢が振興局等により大きく異なって
いた。
しかし、実地調査を実施していた振興局等においてもゴルフ場利用税調査書(課
税標準等調査用)の記載内容を確認したところ、実地調査が形骸化していると思
われる事例があった。例えば、ある実地調査で特定の日の利用人数に関して、ゴ
ルフ場の関係帳簿と申告書の基礎データを突合した際に、不合していたにも係わ
らず、単なるミスとして、その他の日を調査することなく是認していた。たまた
まサンプル調査した日が不合していた場合、申告事務が適正に行われていない可
能性があるため、他の日も調査し一日だけの単なるミスかは確認すべきである。
実地調査を形式的に行うのであれば、調査する意味はない。今後の実地調査は厳
格に行うべきである。
また、実地調査に訪問した際に、過去の申告に関して調査前に修正申告を提出
されたケースがあった。これは、実地調査が行われることを事前通知されたため、
特別徴収義務者が事前に修正申告をしたが、実地調査がなければ自ら修正申告を
しなかったことも考えられる。このように、実地調査には、適正な申告実現のた
めの牽制としての効果があるため厳格に実施し、かつゴルフ場の数も少ないため
全てを網羅するよう計画的に実施すべきである。
《各振興局等の過去の5年間の調査件数及びゴルフ場の数》
区
空
石
後
胆
日
渡
檜
上
留
宗
分 平成 17 年度 平 成1 8年 度 平 成 19年 度 平成 20 年度 平 成2 1年 度
局
3
1 (1 )
局
2 ( 1)
1
2
局
1
1 (1 )
1
局
2 (1)
1 (1 )
1 (1)
1 (1 )
局
1 ( 1)
1
1 (1 )
局
6 (1)
3
2
2
2
局
局
1 (1)
局
局
オホーツ ク総合振 興局
2
2
1
1 (1)
十 勝 総 合 振 興 局
1
1
1
1
釧 路 総 合 振 興 局
1
1 ( 1)
1
根 室 振 興 局
1
1
1 (1)
札 幌 道 税 事 務 所
2
計
1 4 (3)
8 (2 )
9 ( 3)
1 1 (3)
10 (3 )
知 総
狩
志 総
振 総
高
島 総
山
川 総
萌
谷 総
合
振
合
合
振
合
振
合
振
合
ゴルフ場の数
振 興
興
振 興
振 興
興
振 興
興
振 興
興
振 興
※調 査件数 は、調 査を行 った特 別徴収 義務者 の数。 総合振 興局道 税事務 所分は 総合振 興局分 に含む 。
※ゴ ルフ場 の数は 、21年 度3月末の 特別徴 収義務 者数
※( 調査の 際の更 正・修 正の件 数を内 書)
- 137 -
23
34
13
29
2
13
0
16
2
4
9
10
7
2
10
16 4
【意見31】特別徴収義務者の登録事項変更申請書については、事業年度途中にお
ける利用料金の改定に伴う等級変更の場合など、条例で義務付けられ
た提出に関する振興局等の指導がまちまちであったことから、条例の
趣旨を徹底し、申請書の提出を指導すべきである。
事業年度の中途で利用料金の変更があった場合は、特別徴収義務者はその事実
の生じた日から5日以内に登録事項変更申請書を提出しなければならない(条例
第46条の7)。
実地監査した振興局等において、この件に関して質問し、さらにサンプル調査
を実施したところ、厳密に利用料金の変更の都度提出するよう指導しているケー
ス、変更の予定を年度初めにまとめて提出させているケース、全く指導していな
いケース等事務処理がまちまちであった。現在北海道では季節料金を設定してい
るゴルフ場が多い。そのため、場合によっては年度の中途に等級が変わり税率が
変更になるケースもある。ある振興局等のサンプル調査で、変更申請書の提出が
ないゴルフ場について、ホームページで確認したところ季節料金の設定により料
金の変更があった。この場合、税率に変更はなかったが条例違反である。今後は
条例の趣旨を徹底し、申請書の提出を指導すべきである。
- 138 -
第17
1
軽油引取税
概要
軽 油引取税の 課税客体は 軽油の流通 であり、納 税義務者は原 則として最 終需
要家または軽油の販売業者である。軽油引取税相当額は、流通過程において軽油
価格に転嫁され、「最終的には消費者が実質的に負担する」ことを予定しており、
たばこ税や酒税と同じく個別間接税として位置付けられる。軽油引取税は195
6年(昭和31年)6月に目的税として創設された。その目的は、都道府県及び
指定市(道の場合は札幌市)の道路費用を整備するための財源を調達するためで
あった。
なお現在では、本来の目的は一応達せられたとして、平成21年4月1日より、
自動車取得税と共に目的税から普通税に改められ、使途についての制限が撤廃さ
れている。
軽油引取税の平成21年度の現年課税分の調定額は約621億円であり、道税
の全税収の約12%を占めている。
●指定市への交付(法第144条の60第1項、令第43の20)
道に納められた軽油引取税のうち一部は、一般国道等の面積の割合に応じて
札幌市に交付することとされており、平成21年度は年3回(8,12,3月)
にわたって総額77億1千8百万円を交付した。調定額に対する交付割合は1
2.1%となっている。
・軽油とは
軽油引取税では、課税対象とする軽油を一般に市販されている自動車用軽油
とするため、炭化水素油(注)のうち一定範囲のものを軽油と規定している。
軽油引取税での軽油とは、次に掲げる規格のすべてに該当する炭化水素油を
いう(法第144条、政令第43条)。
比
重
分留性状90%留出温度
残留炭素分
引火点
温度 15 度において 0.8017 を超え 0.8762 まで
267 度を超え 400 度まで
90%を留出した後の 10%に相当する残油中に含まれ
ている炭素分の重量が残油総重量の 0.2%以下
130 度以下
(注)炭化水素油
炭素と水素のみからなる各種の炭化水素化合物を主成分とする混合物で、常
温(温度15度)、常圧(水銀柱760ミリメートル)で油状をなしているも
のをいう。
・賦課形態
軽油引取税の賦課形態は、次のように多岐にわたるが、平成21年度では、①
の「引取課税」による税収が約617億円で全体の99.4%以上を占めている。
- 139 -
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
引取課税(法第144条の2第1項)
特別徴収義務者課税(法第144条の2第3項)
販売業者課税(法第144条の2第4項)
保有者課税(法第144条の2第5項)
所有者課税(法第144条の2第6項)
みなす課税(法第144条の3)
免税証の不正受給等に対する課税(法第144条の22第4項)
免税証の譲渡に対する課税(法第144条の25第5項)
その他(法第144条の4ほか)
(1) 課税客体・納税義務者等
ア
引取課税
特約業者または元売業者からの軽油の引取りで現実の納入を伴うものに対
し、その数量を課税標準として、納入地所在の都道府県がその引取りを行う
者に軽油引取税を課税する(法第144条の2第1項)。この課税方式を「引
取課税」という。
(ア) 課税客体
引取課税の課税客体は、特約業者または元売業者からの軽油の引取りで
現実の納入を伴うものである。ただし、特約業者の元売業者からの引取り
及び元売業者の他の元売業者からの引取りについては、課税客体から除か
れている。
(イ) 納税義務者
引取課税の納税義務者は、特約業者または元売業者からの現実の納入を
伴う軽油の引取りを行う者である。
(ウ) 徴収の方法
軽油引取税の徴収の方法には、特別徴収、申告納付及び普通徴収の3種
類の方法があるが、引取課税については、特別徴収の方法により徴収する。
(エ) 申告納入
特別徴収義 務者は 、毎月 末日まで に、前 月の初 日から末 日まで の間に
徴収すべき 軽油引取 税に係る 課税標準 量、税額 、課税 対象とな らない引
取りに係る 軽油の数 量その他 必要な事 項を記載 した軽 油引取税 納入申告
書(以下「 納入申告 書」と言 う。)を 軽油の納 入地所 在の都道 府県知事
に提出し、納 入する義 務を負う (法第1 44号の1 4第2項 )。
(オ) 引取課税の主な類型等と特別徴収義務者、納税義務者は次のようになる。
イ
引取り以外の行為に対する課税
- 140 -
租税負担回避を防止するため、軽油の引取り以外の行為についても、次の
(ア)∼(オ)に該当する場合には「申告納付」の方法により課税が行われる。
(ア) 特別徴収義務者課税
軽油引取税の特別徴収義務者である特約業者または元売業者が、燃料炭
化水素油を自動車の内燃機関の燃料として販売した場合(法144条の2
第3項)。
(イ) 販売業者課税
特約業者または元売業者以外の石油製品の販売業者(以下「販売業者」
と言う。)が、次に掲げる販売を行った場合(法144条の2第4項)。
① 軽油に軽油以外の炭化水素油を混和しもしくは軽油以外の炭化水素油
と軽油以外の炭化水素油を混和して製造された軽油(以下「混和軽油」
と言う。)を販売した場合。
② 燃料炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として販売した場合。
(ウ) 保有者課税
自動車の保有者が、炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として消費し
た場合。(既に課税されている部分を除く。法144条の2第5項)
(エ) 所有者課税
軽油引取税の特別徴収義務者が、その特別徴収の義務が消滅した時に軽
油を所有している場合(法144条の2第6項)
。
(オ) みなす課税
次の場合には、軽油の引取りがあったものとみなして軽油引取税を課す
る(法144条の3第1項第3号)。
① 特約業者又は元売業者が軽油を自ら消費した場合
② 免税軽油使用者が他の者に免税軽油を譲渡した場合
③ 免税軽油使用者が免税用途以外の用途に免税軽油を消費した場合
④ 特約業者及び元売業者以外の者が軽油を製造し、当該製造に係わる軽
油を自ら消費し又は他の者に譲渡した場合
⑤ 特約業者及び元売業者以外の者が軽油を輸入した場合
ウ
免税証の不正受給等に対する課税
次の場合には、その免税証を交付した都道府県は、免税証に記載された免
税軽油の数量を課税標準として、直ちに、
「普通徴収」の方法により軽油引取
税を徴収する(法第144条の22第4項、5項)。
(ア) 免税証の不正受給に対する課税
偽りその他不正行為によって免税証の交付を受け、免税軽油の引取りを
- 141 -
行った場合。
(イ) 免税証の譲渡に対する課税
免税証の譲渡禁止(法第144条の24)の規定に違反して免税証を譲
り受け、免税軽油の引取りを行った場合。
エ
軽油の引取りの報告等
元売業者、特約業者及び軽油製造業者等は、毎月末日までに、前月の初日
から末日までの間に行った軽油の引取り、引渡し、納入、製造及び輸入に関
する事実並びにその数量、前月の末日における軽油の在庫数量その他の省令
で定める事項を、省令で定める都道府県知事に報告しなければならない(法
第144条の35の5第1項)。
また、元売業者、特約業者及び軽油製造業者等以外の者は、軽油の製造を
した場合には、その製造をした日から30日以内に軽油の製造に関する事実
及びその数量その他の省令で定める事項を、省令で定める都道府県知事に報
告しなければならない(同条第2項)。
なお、報告した事項に異動を生じた場合には、遅滞なく、その旨を都道府
県知事に報告しなければならない。
(同条第3項)なお、その報告事項につい
て、都道府県知事は速やかに関係都道府県知事に通知するものとされ(同条
第4項)、その通知は、軽油流通情報管理システムに入力することにより行な
われる。
(2) 課税免除
ア
概要
軽油引取税は流通税的性格を有することや特段の政策的配慮等の観点から、
次の3種の課税免除の規定が設けられている。
① 輸出のための課税免除(法第144条の5第 1 項第1号)
② 二重課税を回避するための課税免除(法第144条の5第 1 項第2号)
③ 用途による課税免除(法第144条の6)
以上のうち、多大な労力を割かざるを得ない状況に置かれている③につい
て、以下に説明する。
イ
用途による課税免除
(ア) 趣旨
軽油引取税は、政策的配慮等により課税しないことが適当であると認め
られる特定の用途に供される軽油については、課税を免除する(法第14
4条の6)。
- 142 -
(イ) 用途による課税免除の種類
化学工業、石油製品製造業を営む者や、船舶、鉄道用車両、農林水産業、
鉱物の掘採事業など、法令で定める用途に使用される軽油は免税とされて
いる。
○課税免除の特例措置の適用期限
なお、平成21年度税制改正により、軽油引取税が目的税から普通税に
移行され、旧法で規定されていた課税免除については、化学工業、石油製
品製造業を営む者の場合を除き、平成24年3月31日引取り分までの特
例措置となっている。
(ウ) 用途による課税免除の手続等
ⅰ
免税軽油使用者証の交付申請
① 免税証の交付を受けようとする免税軽油使用者は、あらかじめ、免
税証の交付を受けようとする都道府県知事に免税軽油使用者証交付申
請書を提出して、免税軽油使用者証の交付を受けておかなければなら
ない(法第144条の21第2項前段)。
② 免税軽油使用者証の有効期間は、都道府県知事が免税軽油使用者ご
とに、免税軽油使用者証を交付した日から3年を超えない範囲内にお
いて定める(政令第43条の15第4項)。
ⅱ
免税証の交付申請
① 免税証の交付を受けようとする免税軽油使用者は、免税軽油の使用
に係わる事務所または事業所所在地の都道府県知事に、その都道府県
知事から交付を受けた免税軽油使用者証を提示するとともに、免税証
交付申請書を提出しなければならない(法第144条の21第1項本
文)。
② 免税証の有効期間は、都道府県知事が免税軽油使用者ごとに、免税
証を交付した日から1年を超えない範囲内において定める(政令第4
3条の15第10項)。
道の場合、免税証の有効期間は次のとおりである。
・航路標識の電源の用途等又は使用者が国もしくは地方公共団体の場
合 … 12月
・上記以外の場合 … 6月(作業工程が6月を超える等の場合は、1
年を超えない範囲内で別に定める期間)
③ 都道府県知事は、免税証の交付申請があった場合において、免税軽
油使用者が引取りを行おうとする軽油の数量がその用途及び使用期間
に照らし、適当でないと認めるときその他政令で定めるときを除き、
免税証を交付しなければならない(法第144条の21第6項)。
ⅲ
免税軽油の引取り
- 143 -
免税軽油使用者は、免税軽油を引き取る場合には、免税証をその免税
証の交付を行った都道府県に係る特別徴収義務者に提出しなければなら
ない(法第144条の21第7項)。
ⅳ
免税軽油の引取り等の報告義務
免税軽油使用者は、毎月末日までに、前月の初日から末日までの間に
行った免税軽油の引取り等に係る報告書(以下「免税軽油の引取り等の
報告」と言う。)を、免税軽油使用者証を交付した道府県知事に提出しな
ければならない(法第144条の27第1項)。
《免税軽油の引取りと免税証の流れ》
(3)税率
軽油引取税の本来の税率は、1キロリットルにつき、15,000円(1リ
ットルあたり15円)である(法第144条の10)。
しかし、現在は、当分の間、1キロリットルにつき、32,100円(1リ
ットルあたり32.1円)とされている(法附則第12条の2の8)。
なお、この税率は一定税率であり、都道府県は、条例でこれと異なる税率を
定めることはできない。
- 144 -
《これまでの税率の変遷 (軽油1リットルあたりに換算)》
1956 年(昭和 31 年) 6 月
6.0 円
1957 年(昭和 32 年) 4 月
8.0 円
1959 年(昭和 34 年) 4 月
10.4 円
1961 年(昭和 36 年) 5 月
12.5 円
1964 年(昭和 39 年) 4 月
15.0 円
1976 年(昭和 51 年) 4 月
19.5 円
1979 年(昭和 54 年) 6 月
24.3 円 (暫定税率。本則は 15.0 円)
1993 年(平成 5 年) 12 月
32.1 円 (暫定税率。本則は 15.0 円)
2008 年(平成 20 年) 4 月
15.0 円 ← この1ヶ月間のみ暫定税率廃止
2008 年(平成 20 年) 5 月
32.1 円 (暫定税率。本則は 15.0 円)
(4)調査
ア
調査の種類と調査対象者による分類
都道府県の徴税吏員は、軽油引取税の賦課徴収に関する調査を行うことが
できる。調査には任意調査(「質問検査権」、法第144条の11第1項)と
犯則調査(法第144条の54)がある。
調査対象者によって分類すると次のように分かれる。
① 特別徴収義務者調査(軽油引取税事務処理要領第11−2)
② 販売業者調査
(同 第11−3)
③ 免税軽油使用者調査(同 第11−4)
④ 自動車保有者調査 (同 第11−5)
イ
主な調査手法
(ア) クマリン分析調査
ⅰ 路上抜取調査等
道路や公共工事現場等で運行しているディーゼル車の燃料タンクから
燃料を抜取り、クマリン(注)分析方法と比重測定により混和の有無を調
査する。
ⅱ 販売店調査等
特別徴収義務者、販売業者、免税軽油使用者、自動車保有者等が所有
している軽油の貯蔵タンクや機械等から燃料を抜取り、クマリン分析方
法と比重測定により混和の有無を調査する。
(注)クマリン
軽油引取税の脱税防止のために、A重油や灯油を混ぜた不正軽油と
識別するため、軽油には「クマリン」という軽油識別剤が添加されて
いる。クマリンは石油元売業者が製油所から軽油を出荷する際に添加
される。
- 145 -
(イ) 帳簿調査
特別徴収義務者、販売業者、免税軽油使用者、自動車保有者等について、
軽油とそれ以外の油の仕入、販売数量等を伝票や帳簿により精査し、それ
ぞれの数量や流通経路などの実態を確認する調査である。
(5)不正軽油の撲滅
軽油引取税の課税を逃れるための不正軽油(知事の承認を受けず、軽油に灯
油を混和または灯油と重油を混和するなどして不正に製造された軽油)は、そ
の製造過程で精製される「硫酸ピッチ」の不法投棄は環境汚染として社会問題
とされてきた。そこで、道では、平成13年度に不正軽油撲滅宣言を出し、不
正軽油を「①売らない②買わない③使わない」運動を進めるとともに、関係団
体と「北海道不正軽油防止対策協議会」を設置し、不正軽油に対する取締りを
強化している。
また、本庁に「不正軽油ストップ110番」を設置して、道のホームページ
や各振興局等の担当部署におけるポスター掲示等により、道民に対し次のよう
な情報提供を呼びかけている。
・ 著しく安い価格の軽油を売り込んでいる業者がいる 。
・ 灯油や重油をトラックなどの燃料に使っているようだ。
・ 不審な施設(場所)にタンクローリーが出入りしている。
- 146 -
過去3年間の各振興局等における不正軽油に関する通報受理件数、調査済件
数、調査による更正決定件数とその税額、加算金額は次のとおりである。
(単位:千円)
通 報 受理 件 数
年度
振興 局
19
計①
②
件数
税額
繰越
①- ②
加算金額
6
2
8
5
0
0
0
3
石狩
4
3
7
5
0
0
0
2
胆振
2
0
2
2
0
0
0
0
渡島
1
1
2
2
0
0
0
0
上川
9
0
9
9
1
2,9 72
444
0
釧路
2
0
2
2
0
0
0
0
十勝
2
0
2
0
0
0
0
2
26
6
32
25
1
2,9 72
444
7
空知
7
2
9
7
0
0
0
2
石狩
1
1
2
1
1
597
85
1
胆振
1
0
1
1
0
0
0
0
渡島
1
0
1
1
0
0
0
0
上川
3
3
6
3
0
0
0
3
釧路
3
2
5
3
2
550
53
2
十勝
2
0
2
2
0
0
0
0
18
8
26
18
3
1,1 47
138
8
空知
3
0
3
2
0
0
0
1
石狩
1
1
2
2
1
1,8 13
271
0
胆振
1
0
1
1
0
0
0
0
渡島
0
0
0
0
0
0
0
0
上川
4
1
5
4
1
32
0
1
釧路
1
0
1
1
0
0
0
0
十勝
4
0
4
4
0
0
0
0
14
2
16
14
2
1,8 45
271
2
計
21
本庁
先のうち更正決定となったもの
空知
計
20
調査済
区分
計
- 147 -
また、毎年7月に「不正軽油防止強化月間」として様々な取り組みを行う他、
毎年10月の「全国不正軽油撲滅強化月間」には全国一斉の路上抜取調査を実
施している。
過去3年間の各振興局等における抜取調査の本数、調査による更正決定件数
とその税額、加算金額は次のとおりである。
(単位:千円)
左記 の うち 更 正 決定 と なっ た も の
年度
19
区分
21
件数
税
額
加 算 金額
空知
77
0
0
0
石狩
161
0
0
0
胆振
139
0
0
0
渡島
152
0
0
0
上川
301
0
0
0
釧路
198
1
3,3 31
509
十勝
248
2
660
96
1,2 76
3
3,9 91
605
空知
87
0
0
0
石狩
169
1
250
29
胆振
86
0
0
0
渡島
183
0
0
0
上川
213
0
0
0
釧路
111
1
1,7 15
180
十勝
142
0
0
0
計
991
2
1,9 65
209
空知
97
0
0
0
石狩
180
0
0
0
胆振
99
0
0
0
渡島
215
0
0
0
上川
152
1
27
3
釧路
163
0
0
0
十勝
145
3
2,2 42
308
1,0 51
4
2,2 69
311
計
20
抜 取 本数
計
(6)特別徴収義務者に対する交付金制度
特別徴収義務者が納期内(法第144条の29第1項の規定により徴収猶予
された期間内を含む。)に申告納入した税額の2.5%を年に一度、毎年8月に
各特別徴収義務者に対し、軽油引取税特別徴収義務者交付金として支払ってい
る。その趣旨は特別徴収義務者に対する事務経費の一部補助であると言われて
いる。平成21年度は402件の特別徴収義務者に対し、総14億6千万円の
交付金を支払った。
- 148 -
2 調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:千円)
区
調
分
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
額
74, 80 2,7 01
69, 36 2,7 98
70, 58 5,5 57
59, 44 5,3 54
63, 48 6,1 41
収 入 済 額
74, 20 7,4 22
69, 06 4,0 56
69, 92 8,6 31
58, 04 5,9 90
62, 56 8,7 12
率
99. 2%
99. 5%
99. 0%
97. 6%
98. 5%
不納 欠損 額
290 ,9 15
104 ,6 45
5,4 83
32, 32 4
16, 61 7
収入 未済 額
304 ,3 63
194 ,0 97
651 ,4 42
1,3 67 ,03 9
900 ,8 12
収
定
平成 17 年 度
入
調定額をみると、年度によって増減のばらつきがあるが、長期的には減少傾
向にある。平成21年度は平成17年度に比べ84.8%の水準まで落ち込み、
税額では113億円も減少した。その主たる原因は、公共工事の減少及び景気
の低迷に伴う軽油使用量の落ち込み及び一時的な暫定税率廃止によるものと推
測される。
(2)過去5年間の調定額等の推移(現年課税分)
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
額
74, 32 1,2 74
69, 05 8,4 19
70, 39 0,7 17
58, 79 3,9 11
62, 11 9,1 02
収 入 済 額
74, 09 6,4 55
68, 97 4,4 10
69, 86 5,6 00
57, 51 4,1 37
61, 29 2,3 32
率
99. 6%
99. 8%
99. 2%
97. 8%
98. 6%
不納欠損額
1 03 ,72 0
−
収入未済額
121 ,0 97
84, 00 9
調
収
定
入
−
525 ,1 17
−
−
1,2 79 ,77 4
826 ,7 69
現年課税分は平成19年度までは、ほぼ100%に近い収入率となっていた
が、平成20年度、21年度は99%を割り込み、収入未済額が増加している。
なお、不納欠損額は平成18年度以後発生していない。
(3)過去5年度の調定額等の推移(滞納繰越分)
(単位:千円)
区
分
平成 17 年 度
平 成 18 年 度
平 成 19 年 度
平 成 20 年 度
平 成 21 年 度
額
481 ,4 27
304 ,3 79
194 ,8 40
651 ,4 42
1,3 67 ,03 9
収 入 済 額
110 ,9 67
89, 64 6
63, 03 1
531 ,8 52
1,2 76 ,37 9
率
23. 0%
29. 4%
32. 3%
81. 6%
93. 3%
不納 欠損 額
187 ,1 94
104 ,6 45
5,4 83
32 ,3 24
16, 61 7
収入 未済 額
183 ,2 65
110 ,0 87
126 ,3 25
87, 26 4
74, 04 2
調
収
定
入
滞納繰越分の収入率は平成17年度から平成19年度の3年間の平均が28.
2%であるのに対し、平成20年度、平成21年度では80%を超えている。
- 149 -
これは、各年度とも5月末日が休日であったことから、3月末申告の徴収猶予
分の納入(納入期限5月末日)が一部出納期間閉鎖後の収入となったためであ
る。不納欠損額は年度によってばらつきがあるが平成19年度以後の3年度は
それ以前に比べ、激減している。
(4)平成21年度の各振興局等別調定額・収入率等
(単位:千円)
区
分
額
収 入 済 額
収 入 率
不納欠損額
収入未済額
空知総合振興局
75 5,5 71
75 0,2 65
99. 2%
−
5 ,30 5
石 狩 振 興 局
49 2,8 20
48 1,7 21
97. 7%
64
11 ,03 5
後志総合振興局
1, 43 3,1 33
1, 42 0,8 95
99. 1%
−
12 ,23 7
胆振総合振興局
2,5 66 ,86 2
2, 53 6,1 14
98. 8%
7 ,05 2
23 ,69 4
日 高 振 興 局
20 2,3 83
20 0,4 82
99. 0%
−
1 ,90 0
渡島総合振興局
1, 55 2,4 15
1, 53 4,8 58
98. 8%
6 ,92 5
10 ,63 0
檜 山 振 興 局
4 9,7 79
4 9,7 79
100 %
−
−
上川総合振興局
5, 00 4,2 41
5,0 04 ,14 8
99. 9%
−
92
留 萌 振 興 局
32 6,2 00
32 6,2 00
100 %
−
−
宗谷総合振興局
65 9,4 11
65 9,0 60
99. 9%
−
35 0
オホーツク総合振興局
1, 57 2,0 55
1, 55 0,0 16
98. 5%
−
22 ,03 8
十勝総合振興局
2, 16 2,4 43
2, 16 2,4 43
100 %
−
−
釧路総合振興局
1, 50 3,4 31
1, 44 7,0 86
96. 2%
1 ,22 2
55 ,12 2
根 室 振 興 局
22 3,8 96
21 9,9 11
98. 2%
−
3 ,98 4
札幌道税事務所
44, 98 1,4 96
44, 22 5,7 26
98. 3%
1 ,35 1
7 54 ,41 8
合
63, 48 6,1 41
62, 56 8,7 12
98. 6%
16, 61 7
900 ,8 12
計
調
定
収入率が99%を下回っているのは、札幌道税事務所の他、石狩、渡島、オホ
ーツク、胆振、釧路、十勝の各振興局であり、振興局等の約半数を占めている。
特に、釧路総合振興局は96.2%と97%を割り込んでいる。
- 150 -
3
課税の事務フロー
(1) 納付申告書に係わる事務処理の流れは、概ね 次の とお りであ る。
申告 書の 受理
・納 付申 告書 の記 載漏 れ、添 付書 類の 不備 等の 確認
↓
申告審 査等
・記 載事 項の 確認 、表 間突合 等
↓
申告 情報 の入 力
・道 税シ ステ ムへ の入 力(燃 料単 価水 素油 の
販売 数量 等) 処理 結果 一覧表 との 照合 によ る入 力内 容の 確認
↓
調 定決 定
・軽 油引 取税 調定 決定 書(要 領別 記第 17 号様 式 以下 「調定
決定 書( 申告 分) 」と いう) の決 裁( 納付 申告 書を 添付 )
↓
調 定決 定書 の回 付 ・軽 油引 取税 調定 決定 書を管 理担 当係 に回 付
↓
調 定決 定書 の保 管 ・調 定決 定書 を調 定番 号順に 保管
(2) 報告書に係わる事務処理の流れは、概ね次のとおりである。
報告書 の受 理
・ 報告書 の記 載漏れ 、添付 書類 の不備 等の 確認
↓
内容 審査
・ 記載事 項の 確認、 表間突 合等
↓
入力票 の作 成
・ 報告書 に事 業者コ ード等 を記 入し、 提出 用と入 力用に 分離
↓
入力票 の送 付
・ 入力票 送付 書に報 告書( 入力 用)を 添付 して本 庁へ送 付
↓
報告 書整 理保管
4
・ 報告書 (提 出用) を整理 保管 し、調 査資 料とし て活用
監査手続
実地監査した振興局等において、次の事項に関する内容を確認するため、これ
らの書類調査を実施した。
① 年間調査計画決定書及び毎月作成するべき実施計画、実際の調査状況を集計
した間税事務進行管理表等
② 特別徴収義務者調査を実施している場合は、その調査書
③ 販売業者調査を実施している場合は、その調査書
④ 免税軽油使用者調査を実施している場合は、その調査書
⑤ 自動車保有者調査を実施している場合は、その調査書
⑥ 不正軽油調査整理票
⑦ 不正軽油調査件数管理表
- 151 -
また、次の事項に関する内容を把握するため、実地監査した振興局等のそれぞ
れの担当者に対し、次に掲げる事項について質問した。
① 調査対象者(特別徴収義務者、販売業者、免税軽油使用者、自動車保有者)
ごとの件数、調査計画件数、調査実施件数、調査実施割合、調査結果に因る更
正額・決定額
② 軽油引取税の担当人員数と構成
③ 軽油流通情報管理システムの活用状況
④ 免税証交付状況(業種ごとの免税軽油使用者数、免税軽油使用量、免税証の
各月ごとの交付枚数等)
⑤ 免税証回収の仕組み
⑥ 免税証不正使用の実態
⑦ 不正軽油摘発の対策
⑧ 特別徴収義務者に対する交付金
5
指摘意見
調査計画の決定、調査の実施、調査書の作成等の「調査」に関する事項につい
ては、ほとんどの振興局等では限られた人員数にも係わらず適正に処理されてい
たが、一部の振興局等では次の事項について改善すべきである。
【指摘32】一部の振興局等において、特別徴収義務者の実地調査が実施されてい
なかったので、調査対象者の選定基準を全道的に統一することも検討
し、毎年実施すべきである。
特別徴収義務者調査は特別徴収義務者である特約業者または元売業者の申告が
適正であるか確認するための実地調査であるが、これを実施していない振興局が
あった。不正軽油の流通を阻止し、適正な流通を確保するためには適正申告の推
進が求められる。そのためには特別徴収義務者への調査も毎年継続して実施すべ
きである。年間調査計画の中に特別徴収義務者調査を必ず組み込み、その計画に
基づいて確実に調査を毎年実施すべきである。
なお、調査対象者の選定基準については全道的に統一されていないようである
が、例えば次のような統一選定基準を作成し、この中から優先順位を付けて選定
するという方法も考えられる。
① 新たに特約業者の指定を受けた特別徴収義務者
② 特約業者になってから一度も調査歴のない特別徴収義務者
③ 10年以上調査を行っていない特別徴収義務者
④ 申告書別表等に誤りの多い特別徴収義務者
⑤ 課税済み軽油の取り扱いが多い特別徴収義務者
【指摘33】一部の振興局等において、不正軽油の通報を受けてから調査着手まで
に、長期間を要している事案があったことから、今後は、担当部署以
外からの応援態勢の整備や勤務時間の柔軟化など、迅速に調査着手で
- 152 -
きる体制を整備すべきである。また、通報への対応や調査結果などを
速やかにホームページ等で公開し、道の強い姿勢と通報制度の存在意
義を広く道民へ周知すべきである。
道では不正軽油の情報を入手するために、各振興局等の担当部署の他にも本庁
に「不正軽油ストップ110番」を設け、道のホームページや新聞、ポスターな
どで不正軽油に関する情報提供を呼びかけている。それは不正軽油撲滅のためで
あり、不正軽油の情報提供が軽油引取税の脱税事件へ発展するケースが多いから
である。しかし、監査の結果、不正軽油の通報を受けたにも係わらず、実際の調
査着手までに長期間要している事案が数件見受けられた。
これらの事案の「不正軽油調査整理票」によると通報後調査着手までの間は内
偵調査等の内部事務を行っていたようであるが、ある事案では、調査対象法人の
代表者等と直に面談し、実際の調査に着手するまでに9ヶ月以上も経過していた。
不正軽油の通報後これだけの期間が空くと証拠隠滅の恐れがある。実際、別の事
案では通報後9ヶ月目に抜取り調査の実施が行われたがクマリン反応は検出され
ず、調査終了となっている。
限られた時間と人員で対処せざるを得ないという現実があるものの今後は迅速
に調査に着手するための対応が求められる。そのためには担当部署以外からの応
援体制の整備を考慮すべきである。さらに、通報事案については現在ホームペー
ジにおいて通報数のみが掲載されているが、今後はホームページや広報誌等にお
いて各通報に対する対応や調査結果等を速やかに公開し、不正軽油撲滅に対する
道としての強い姿勢と通報制度の存在意義を道民へ広く知らせるべきでる。
【指摘34】一部の振興局等において、意図的な脱税事案に対する追跡調査の対象
期間について、半年間または1年間としていた事案があったことから、
最低でも過去3年間分は実施すべきである。
自動車保有者調査における不正軽油の意図的使用や免税軽油使用者調査におけ
る免税軽油の意図的不正使用が明らかとなった場合、すなわち、軽油引取税の意
図的な脱税が明らかになった場合には、その保有者または使用者に対する調査対
象期間は特別な事情がない限り、国税の場合と同様に最低でも過去3年間とすべ
きものと思われる。ここで、特別な事情とは不正の開始時期が証拠によって確定
でき、その開始時期から現在まで3年に満たない場合である。
今回監査の対象としたほとんどの事案ではこのような場合、適正に過去3年間
を調査対象期間としていたが、ある振興局等においては、半年間または1年間だ
けしか対象期間としていない事案も数件見受けられた。
例えば、ある事案では、過去1年間の調査対象期間に税額で5,345千円の不
正軽油の使用が明らかになったにも係わらず、過去3年間まで遡ることなく調査
完了とされていた。また、別な事案では、過去1年間の調査対象期間に税額で 4 ,
137千円の不正軽油の使用が明らかになったにも係わらず、同様に過去3年間
まで遡ることなく調査完了とされていた。さらに、免税証の不正使用の事案では、
免税使用者証更新後の半年間の調査対象期間に税額で1,812千円の不正使用
が明らかになったにも係わらず、これも過去3年間まで遡ることなく調査完了と
- 153 -
されていた。
これでは、脱税の「やり得」を助長することとなり、まじめに納税している者
との間の課税の公平に支障を来たすこととなる。今後はこのような意図的な脱税
事案については、課税の公平を期するため、その使用者または保有者に対して、
調査対象期間を最低でも過去3年間、悪質な場合は過去7年間遡ることとし、こ
れを各振興局等に徹底すべきである。
【指摘35】一部の振興局等においては、免税証の保管方法が明確ではなかった。
免税証は一種の金券と言えることから、保管に万全を期すべきである。
免税証には、①免税内容の印字前のものと、②免税内容が既に印字され免税軽
油使用者へ交付前のものとがあるが、これらをどのように保管しているのか質問
したところ、全ての振興局等で鍵付きのキャビネット等に保管しているとのこと
であった。次に、その鍵の保管責任者は特定されているかどうか質問したところ、
一部の振興局では明確に特定されていないとのことであった。免税軽油使用者は
給油時に免税証を販売業者に引き渡すことにより軽油引取税の分だけ軽油を安く
購入することができる。すなわち、免税証は一種の金券といえる。それにも係わ
らず、鍵の保管責任者が特定されていないという。免税証が金券であるという点
を再認識し、鍵の保管責任者を特定し、保管には万全を期すべきである。
【所
感】今後、特別徴収義務者に対する交付金の削減の検討が望まれる。
現在、特別徴収義務者に対して、経費の一部補助として軽油引取税特別徴収義
務者交付金が毎年8月末に支払われている。過去3年間のその件数と金額は次の
とおりである。
(単位:千円)
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
件数
金 額
件数
金 額
件数
金 額
434
1,7 08 ,62 6
420
1,6 62 ,93 9
402
1,4 60 ,28 8
その算定方法は、特別徴収義務者の納期限内申告納入税額の2.5%となって
いるが、道が置かれている厳しい財政状態の中で果たしてこれだけ多額の徴税コ
ストを負担する必要があるのだろうか。
例えば、源泉徴収所得税の徴収や納付、さらには年末調整とその結果に基づく
所得税の徴収や還付の作業は一般企業にとってはかなりの時間的・経済的負担と
なっているが、法によって義務化されているため、これに従わざるを得ないのが
実情である。また、消費税の課税事業者は取引の都度、法に従って消費税に関し
て記録し、その集計結果に基づいて申告することが義務付けられているが、この
作業も課税事業者にとっては重い負担となっている。しかし、これらの者に対す
るその経費補助のための交付金制度などは存在しない。課税の公平の実現を目指
すのであれば、理論的には、これらの者に対しても経費補助としての交付金を支
給すべきこととなる。
- 154 -
このように考えると軽油引取税特別徴収義務者交付金の引下げの検討が望まれ
る。現在の2.5%という算定比率は全国の都道府県で一律に適用されており、
道だけがこの率を引下げようとしても多くの特別徴収義務者から反発を買うこと
になるだろう。だが、全国の都道府県が一丸となって引下げを求めるならばそれ
が実現する可能性はある。多くの道府県は厳しい財政状態に置かれているのであ
るから、全国知事会等で採り上げ、引下げを検討すべきである。その際、特別徴
収義務者の反対が予想されるので、彼らの申告に係わる事務量の削減も併せて提
案することが必要になるだろう。例えば、申告回数の削減である。現行は毎月申
告とされており年12回の申告が必要であるが、これを四半期ごとの年4回また
は半期ごとの年2回の申告とする。なお、その場合でも年12回の納税回数は変
えずに、予定納税と確定納税を組み合わせることも可能である。
なお、この交付金制度は旧自治省の指導に依拠したものであり、根拠法令等が
存在しないという問題もある。交付金制度を継続するのであれば、根拠法令また
は根拠条例を至急整備することも望まれるが、その際には、①そもそも道にとっ
て真に必要不可欠な制度なのかどうか、②必要な制度ならば適正水準はどの程度
なのか、③同じ効果をもたらす効果的な代替方法はないかなど、制度そのものの
内容を十分に検証する必要がある。
- 155 -
第18
1
狩猟税
概要
狩猟税は、狩猟者の登録を受けることによって、狩猟ができる資格を得ること
に対して課税されるもので、鳥獣の保護や狩猟に関する費用に充てられる目的税
である。
(1)納税義務者(法第700条の51)
狩猟者の登録を受ける者
(2)税率(法第700条の52)
(単位:円)
区
分
税
率
一 種 銃 猟免 許 に 係 わ る 狩
個 人 道民 税 の 所 得 割額 を 納 め る 人
猟 者 の登 録 を 受 け る人
上 記 以外 の 人( 控 除 対 象 配偶 者 、扶 養 親 族を 除 く 。) 年額 11 ,00 0
網 猟 免 許に 係 わ る 狩 猟 者
個 人 道民 税 の 所 得 割額 を 納 め る 人
の 登 録を 受 け る 人
上 記 以外 の 人( 控 除 対 象 配偶 者 、扶 養 親 族を 除 く 。) 年 額 5,5 00
わ な 猟 免許 に 係 わ る 狩 猟
個 人 道民 税 の 所 得 割額 を 納 め る 人
者 の 登録 を 受 け る 人
上 記 以外 の 人( 控 除 対 象 配偶 者 、扶 養 親 族を 除 く 。) 年 額 5,5 00
第 二 種銃 猟 免 許 に 係わ る 狩 猟 者 の登 録 を 受 け る人
年額 16 ,50 0
年 額 8,2 00
年 額 8,2 00
年 額 5,5 00
放鳥獣猟区のみに係わる狩猟者の登録は上記税率の2分の1、狩猟者の登録
を受けている者が受ける放鳥獣猟区及び放鳥獣猟区以外の場所に係わる狩猟者
の登録は4分の3
(3)課税上の特例(法附則第32条)
平成20年4月1日から平成25年3月31日までの間に受ける狩猟者の登
録で対象鳥獣捕獲員に係わる狩猟者の登録は2分の1の税率
(4)申告と納税(法第700条の53他)
賦課期日は、狩猟者の登録を受ける日であり、証紙徴収の方法で納税する。
- 156 -
2
調定額等の状況
(1)過去5年間の調定額等の推移
(単位:円)
区
分
平成 17 年 度
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
額
150 ,0 12, 50 0
147 ,4 38, 50 0
141 ,3 26, 30 0
134 ,4 42, 50 0
128 ,4 06, 40 0
収 入 済 額
150 ,0 12, 50 0
147 ,4 38, 50 0
141 ,3 26, 30 0
134 ,4 42, 50 0
128 ,4 06, 40 0
調
定
過去5年間の調定額をみると、年々税収が減少している。特に平成18年度
以降は、毎年約5%の減収が続いているが、これは、狩猟人口の減少が起因し
ていると考えられる
(2)平成21度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
分
調
定
額
収
入
額
不納欠損額
収入未済額
収入 歩 合
空 知総 合 振 興局
7,5 17
7,5 17
0
0
100 %
石 狩 振 興 局
51, 60 4
51, 60 4
0
0
100 %
後 志総 合 振 興局
3,3 73
3,3 73
0
0
100 %
胆 振総 合 振 興局
4,9 58
4,9 58
0
0
100 %
日 高 振 興 局
4,9 98
4,9 98
0
0
100 %
渡 島総 合 振 興局
4,6 11
4,6 11
0
0
100 %
檜 山 振 興 局
1,7 21
1,7 21
0
0
100 %
上 川総 合 振 興局
9,4 69
9,4 69
0
0
100 %
留 萌 振 興 局
1,9 05
1,9 05
0
0
100 %
宗 谷総 合 振 興局
2,3 50
2,3 50
0
0
100 %
オホーツク総合振興局
11, 81 3
11, 81 3
0
0
100 %
十 勝総 合 振 興局
13, 45 8
13, 45 8
0
0
100 %
釧 路総 合 振 興局
7,3 48
7,3 48
0
0
100 %
根 室 振 興 局
3,2 74
3,2 74
0
0
100 %
札 幌道 税 事 務所
0
0
0
0
―
128 ,4 06
128 ,4 06
0
0
100 %
合
計
狩猟税は、納税することで狩猟者登録が可能となるため、収入歩合は100%
であり、収入未済額はない。
- 157 -
(3)平成21年度狩猟税課税人員調
第 一 種 銃 猟 免 許 に 係 る 網 猟 免 許 又 は わ な 猟 免 許に
狩 猟 者 の 登 録 を 受 け る 者 係 る 狩 猟 者 の 登 録 を 受 け る者 第 二 種銃 猟 免許
道 民 税の 所 得
道 民 税の 所 得 に 係 る狩 猟 者の
2 号 以外 の 者 割 額 の納 付 を 4 号以 外 の者 割 額 の納 付 を 登 録 を受 け る者
要 しな い 者
要 し ない 者
( 1号 )
(2 号 )
(3 号 )
(4 号 )
( 5号 )
区
分
空
石
知
狩
409
2,973
58
194
14
44
3
2
8
484
3,221
後
志
183
41
15
4
1
244
胆
日
振
高
300
285
20
69
18
8
1
10
338
373
渡
檜
島
山
256
82
22
31
13
3
5
2
2
-
298
118
上
留
川
萌
518
97
62
23
24
5
5
2
3
-
612
127
宗
谷
127
15
11
-
-
153
網
十
走
勝
663
723
79
100
28
80
3
16
3
11
776
930
釧
根
路
室
412
196
40
13
16
2
3
-
12
1
483
212
-
-
-
-
-
-
2,736
332
166
29
30
3,293
札 幌道 税
事 務 所
合
計
計
道外からの狩猟者の登録に関しては石狩振興局で全ての処理を担っている。
3
課税・徴収の事務フロー
狩猟者登録申請者からの申し出
(注1)
狩猟者登録申請書の記載内容及び添
付書類を確認のうえ、狩猟税の税率
を判定
納税担当者
納付書により、税額相当の現金を納
付させ、登録申請書上部欄外に納税
済印を押印 (注2)
領収済通知書等を課税担当係に回付
収入年月日ごとに調定決定
課税担当者
(注1)登録申請書の提出は、大多数が各地の猟友会で、猟をする前にまとめて提
- 158 -
出されている。
(注2)実務上狩猟税の納付に関しては、証紙徴収の方法によることになっている
が、具体的な徴収方法については、条例第123条の2前段(「又は」以降の
部分に限る。)の規定に基づき、証紙の額面金額に相当する現金の納付を受け
て納税済印を押印することになっている。
4
監査手続
実地監査した振興局等で次のサンプル調査を実施した。
① 登録申請書により、狩猟免許の種類を審査し、税率が適正か検証した。
② 軽減税率を適用している者について、登録申請書と道民税に関する証明書を
検証した。
5
指摘意見
狩猟税の徴収については、登録申請の際に納付書の添付がなければ登録出来な
いことから、収入未済は発生しない。そのため、課税が適正に行われているかを
サンプル調査により検証したが、税率と軽減税率の適用は適正に行われていたた
め、指摘意見はない。
- 159 -
第19
1
循環資源利用促進税
概要
産業廃棄物の排出抑制やリサイクルの促進などの施策を推進するために要する
経費に充てられる法定外目的税である。
(1)納税義務者(北海道循環資源利用促進税条例(以下「循環税条例」と言う。)
第3条)
産業廃棄物を排出する事業者
①
委託処分の場合は、最終処分業者が処分料金と一緒に税金を受け取り、四
半期ごとに取りまとめて道に納入する。
② 自己処分の場合は、排出事業者が、四半期ごとに、直接、道に納入する。
(2)課税標準(循環税条例第4条)
最終処分場へ搬入される産業廃棄物の重量とする。ただし、産業廃棄物の重
量の計測が困難な場合は、容量を計測し、規則で定めるところにより換算して
得た重量を当該産業廃棄物の重量とする。
(3)税率(循環税条例第5条)
1トンにつき1,000円
(4)徴収の方法(循環税条例第6条)
特別徴収の方法による。ただし、排出事業者が自ら設置する最終処分場にお
いてその処分を行うための産業廃棄物の搬入に対して課税する場合は、申告納
付の方法による。
(5)申告と納税(循環税条例第8条)
特別徴収義務者は次の表に定めるところにより当該右欄の期日までに、北海
道循環資源利用促進税条例施行規則で定めるところにより、課税標準、税額、
その他必要な事項を記載した納入申告書を提出し、納入書によって指定金融機
関または出納員に納入しなければならない。
- 160 -
1 月 1 日 か ら 3 月 3 1 日 ま で
4
月
末
日
4 月 1 日 か ら 6 月 3 0 日 ま で
7
月
末
日
7 月 1 日 か ら 9 月 3 0 日 ま で
1
1 0 月 1 日 か ら 1 2 月 3 1 日 ま で
1
0
月
月
末
日
末
日
(6)徴収猶予(循環税条例第10条)
産業廃棄物の埋め立て処分に係わる料金及び循環資源利用促進税の全部また
は一部を期限までに受け取ることが出来なかったことにより、その納入するこ
とができないと認められる金額を限度として、2月以内の期間を限ってその徴
収を猶予するものとする。
2
調定額等の状況
(1)過去4年間の調定額等の推移
(単位:円)
区
分
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
額
104 ,0 01, 44 7
536 ,0 62, 43 3
750 ,5 86, 85 9
740 ,7 89, 37 5
収 入 済 額
104 ,0 01, 44 7
536 ,0 62, 43 3
748 ,4 63, 62 9
735 ,7 71, 35 2
収入未済額
0
0
2,1 23 ,23 0
5,0 18 ,02 3
収 入 歩 合
100 .0 %
100 .0 %
99. 7%
99. 3%
調
定
平成 21 年 度
(2)平成21年度振興局別調定額等
(単位:千円)
区
分
調
定
額
収
入
額
不納欠損額
収 入 未 済額
収 入 歩 合
空知総合振興局
71, 66 1
71, 66 1
0
0
100 %
石
局
72, 40 8
72, 40 8
0
0
100 %
後志総合振興局
50, 15 0
50, 15 0
0
0
100 %
胆振総合振興局
255 ,2 40
255 ,2 40
0
0
100 %
局
1,2 62
1,2 62
0
0
100 %
渡島総合振興局
18, 01 9
18, 01 9
0
0
100 %
局
8,1 96
8,1 96
0
0
100 %
上川総合振興局
82, 92 6
82, 92 6
0
0
100 %
局
3,8 74
3,8 74
0
0
100 %
宗谷総合振興局
17, 10 8
17, 10 8
0
0
100 %
オホーツク総合振興局
51, 30 9
48, 34 0
0
2,9 68
94%
十勝総合振興局
26, 01 8
26, 01 8
0
0
100 %
釧路総合振興局
35, 04 6
32, 99 6
0
2,0 49
94%
局
7,7 08
7,7 08
0
0
100 %
札幌道税事務所
39, 85 5
39, 85 5
0
100 %
740 ,7 80
735 ,7 71
5,0 18
99. 3%
日
狩
高
檜 山
留
根
合
萌
室
振 興
振 興
振 興
振 興
振 興
計
- 161 -
0
3
循環資源利用促進税事務処理フロー
最終処分業者等による申告書提出
受理(課税標準となる産業廃棄物の重量と税額
を確認し受付印押印)
端末入力
調定
4
監査手続
実地監査した振興局等で、サンプル調査により、申告書、徴収猶予申請書の記
載内容、申告額、添付書類を検証した。
5
指摘意見
サンプル調査等では、特に指摘意見はないが、目的税としての活用について、
検討が望まれる。
【所
感】北海道循環資源利用促進税の活用について見直しを行い、循環資源利用
促進税事業の促進を図るための施策の検討が望まれる。
表1
循環資源利用促進税
区
分
税収等とその活用状況の変遷
平成 18 年
平成 19 年
平成 20 年
(単位:千円)
平成 21 年
平成 22 年
税収額
A
102 ,8 83
533 ,8 45
746 ,3 26
744 ,3 68
707 ,0 00
徴 税 経費
B
25, 47 4
55, 27 2
69, 78 7
45, 86 5
43, 74 9
31, 22 0
310 ,0 40
174 ,1 17
182 ,0 39
624 ,7 33
12, 51 0
3,3 81
18, 23 9
93, 31 5
27, 22 9
26, 97 5
31, 79 2
24, 24 1
546 ,2 49
C
58, 44 9
349 ,5 28
209 ,2 90
224 ,5 19
1,2 64 ,29 7
A- B - C
18, 96 0
129 ,0 46
467 ,2 49
473 ,9 84
▲6 01 ,04 6
18, 96 0
148 ,0 06
615 ,2 55
1,0 89 ,23 9
488 ,1 93
活用
施 設 設備
研 究 開発
その他
合計
基 金 保留
基 金 残高
※基金残高は基金留保額の累計である。
※平成22年は見込み額である。
※活用「その他」は不法投棄監視や普及啓発など。
※平成22年は研究基金の造成5億円を含む。
- 162 -
表2
税事業活用状況(H18∼H21)
事業区分
循環資源施設
設備整備費補
助事業
リサイクル技術
研究開発補助
事業
リサイクル産業
創出事業費補
助事業
循環資源・リサ
イクル製品情報
ネットワーク支
援事業
中小企業リサイ
クルアドバイ
ザー派遣事業
循環資源利用
促進税適正運
用対策事業
項目
事業費
補助件数
補助対象と
なった主な
産業廃棄物
事業費
補助件数
補助対象と
なった主な
産業廃棄物
事業費
補助件数
補助対象と
なった主な
産業廃棄物
事業費
実績等
事業費
実績等
事業費
実績等
18年度
31,220
6件
19年度
310,040
6件
20年度
174,117
11件
21年度
182,039
12件
累計
697,416
35件
3,381
1件
18,239
5件
34,133
10件
1,877
2件
3,738
3件
12,363
9件
20,375
15,738
76,441
734
870
2,588
3,895
18,845
汚泥10件、木くず7件、 廃プラ6件、廃石膏ボード3件他
─
─
12,513
4件
燃え殻3件、動植物性残渣4件他
1,076
1件
5,672
3件
動植物性残渣3件、木くず2件他
26,153
14,175
H21年度末会員数 325
H21年度末ア クセス数累計 約47万
─
984
派遣実績累計 50件(内訳:登録アドバイザー16件、職員34件)
リサイクル事業人材育成セミナー受講者数 延べ120名
─
6,144
8,806
H21年度末通報協定締結数 5団体
H21年度末初動対応件数累計 101件
循環資源利用促進税は平成18年に新たに法定外目的税として創設された税で
ある。しかし、その基金の運用状況は芳しくなく、平成21年においては基金残
高に約11億円が積み立てられたままとなっている。循環資源利用促進税が法定
外目的税であることを考慮したうえで、当該税のさらなる活用の検討が望まれる。
上記表1「税収等とその活用状況」を分析すると、平成20年と平成21年に
おける活用の落ち込みは、平成20年に始まるリーマンショックを契機とした景
気低迷による事業者の設備投資意欲の低下による申請数の減少や事業の周知不足
によるものである。また、平成22年においては、新聞報道による周知や事業の
掘り起こし、また事業者の設備投資の持ち直し等もあり、現在の見込みとしては
税収分に近い程度の事業の応募がある。
平成20年と平成21年の事業の落ち込み等によって、活用されなかった約1
1億円の基金残高の活用策等について、議会等からも指摘を受けている。また、
最終処分量(埋立量)は減少しているが、リサイクル率はほぼ横ばいの状況であ
る。
循環条例の附則9において、知事は、この条例の施行後5年を目途として、産
業廃棄物の排出抑制及び循環資源の循環的な利用の推進状況、社会経済情勢の推
移等を勘案し、この条例の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な
措置を講ずることと規定されている。道では、平成18年の施行から5年目とな
- 163 -
る平成23年を迎えるにあたって見直しを検討中のようである。主な見直し事項
としては、補助率の見直しとして施設整備に対して現行3分の1の補助率を2分
の1に変更、補助限度額に関しても現行の1億円を3億円に増額、研究開発基金
への補助等を検討中のようであるが、ただ活用基準を緩和するだけではなく、将
来のリサイクル事業の育成を考慮した活用施策の検討も望まれる。また、広報に
も力を入れ活用を促進し、道民の生活環境を守ることに寄与することを期待する。
- 164 -
第20
1
滞納整理事務
概要
(1)納付または納入義務の確定
「賦課課税」については、納税通知書を送達する方法で納税を告知することに
より、また「申告納税」については納税者または特別徴収義務者の申告書の提出
により、納税義務が確定する。
(2)督促
納税者または特別徴収義務者が納期限までに徴収金を完納しない場合は、納
期限後30日以内に督促状の発付を行う(条例第21条、ただし地方税法では
20日以内)。
(3)滞納票の作成
納期限までに徴収金が完納されず、督促状を発付した者については、管理担
当者が、滞納票を作成し徴収担当者に交付する。
徴収担当者は、交付を受けた滞納票・一人別滞納総括票に徴収金の異動(収
入、減額等)の状況、催告の内容、納税折衝の内容、財産調査の内容、滞納処
分の内容などを簡潔に記載し、処理の経過を明確にする。
(4)納税の催告
徴収担当者は、納税に応じない滞納者に対して文書、電話、呼出し、臨戸な
どの方法により期日を指定した上で納税の履行を求める。履行しない場合は、
差押処分を行うことになる旨を併せて通知する。
(5)滞納整理の方向付け
滞納原因の把握、滞納票等に記載されている処理経過の分析により、差押え、
公売、徴収緩和措置などの方向付けを行う。
(6)財産調査
納税者が自主的に納税しない場合やそのおそれがある場合には、滞納処分に
備えるために、財産調査を行う。
(7)差押予告
財産調査、納税折衝の結果、差押えが適当と判断された者については、事後
- 165 -
の無用なトラブルを避けるため、事前に文書により、
「指定期日までに納税しな
ければ滞納処分を執行する」という内容の差押予告を行う。
(8)滞納処分
差押予告しても納税がない場合は、差押え、交付要求、参加差押など国税徴
収法第5章に規定された国その他地方公共団体が自力執行として行う強制換価
手続を行う。
・差押え :滞納者の特定の財産の処分を制限し、換価することができる状態
に置く処分
・交付要求:既に強制換価手続が開始されている場合などに、その手続に参加
して、公売代金等から配当を求める処分
・参加差押:滞納者の財産について、既に滞納処分による差押えがされている
場合に、交付要求書に代えて、参加差押調書を滞納処分をした行
政機関等に交付することにより、先行する処分に加わって行う処
分
(9)公売予告
滞納者の財産を公売するときは、公売処分の対象を絞り込むとともに換価に
伴って生じやすいトラブルを未然に防止するため、文書により事前に「指定期
日まで納税しなければ公売処分を執行する」という内容の予告を滞納者に対し
て行う。
(10)公売
滞納している税に充てるために差押さえた滞納者の財産を売却するため、公
売通知、見積価額の公告等の手続を経て差押財産の権利を買受人に移転させる。
(11)徴収緩和の措置
納税者等が納税することができないやむを得ない理由があると認められると
きは、徴収猶予、換価猶予、滞納処分の停止のような徴収緩和措置を講ずる。
・徴収猶予:災害、病気、事業の休廃止などにより一度に納税することができ
ない場合、納税者等の申請に基づき、1年以内の期限に限って徴
収を猶予すること
・換価猶予:換価することで事業の継続または生活の維持を困難にする、ある
いは換価することに比べて換価を猶予することが徴収上有利であ
ると認められる場合で、滞納者が納税について誠実な意思を有す
ると認められるときは、職権により1年以内の期限に限って換価
を猶予すること
・滞納処分の停止:滞納処分をすることができる財産がないとき、滞納処分を
- 166 -
することによって生活を著しく窮迫させるおそれがあると
き、滞納者の住所及び滞納処分をことができる財産がとも
に不明であるときのいずれかに該当する場合に、滞納処分
を停止すること
(12)納税義務の消滅
徴収権を行使しないで5年を経過したときか、滞納処分の停止が3年間継続
したときかいずれか早いときに納税義務が消滅する。
- 167 -
2
滞納整理事務の流れ
督促
(法 165①等)
催告
所内調査
納付申出
全額納付
収納
分割納付
財産調査
徴収の猶予
(法 15 等)
換価の猶予
(法 15 の 5 等)
臨戸
質
検
捜
問(徴 141)
査(徴 141)
索(徴 142)
差押(法 167①等)
動産有価証券(徴 56)
債
権(徴 62)
不 動 産 等 (徴 68)
自 動 車 等 (徴 71)
無体財産権 (徴 72)
電話加入権等(徴 73)
官公庁調査
執 行 機関 の 強 制 換 価手 続
参加差押
(法 167⑤等)
滞調法による差押
(滞 21∼36 の 14)
執 行 機関 の
担 保 の徴 取
納付委託
(法 16 )
(法 16 の 2)
交付要求
(法 167
④等)
配当金受入
差 押 解除
換価
無財産等
猶予の取消
担保物処分のための
差押(法 16 の 5)
3
完結
差押の解除
(徴 79)
滞納処分の停止
(法 15 の 7)
差押の解除
(法 15 の 7③)
滞納票等の保管及び管理状況
(1)監査手続き
実地監査した振興局等において、滞納票の保管状況及び管理状況を確認した。
- 168 -
(2)指摘意見
「徴収事務の手引」によると、滞納票の保管はすべての担当者が統一した方法
で保管しなければならないことになっている。実地監査した全ての振興局等に
おいて、保管状況を確認したところ、全て担当者の机の横のキャビネットに地
域別、五十音順に整然と保管されていた。また全ての振興局等で、高額及び大
口滞納票は別途高額徴収担当者が同様に保管していた。
また、処分停止及び不納欠損となった滞納票は綴られ、別の大型キャビネッ
ト及び保管庫に保管されていた。
【指摘36】滞納の管理が担当者の恣意的な判断とならないよう、
「徴収事務の手引」
に基づき、管理職が定期的に滞納票を確認する手続きを徹底すべきで
ある。
実地監査した振興局等の滞納票及び一人別滞納総括票についてサンプル調査し
たところ、ほとんどの振興局等では一人別滞納総括票に滞納事案の処理状況を記
載し、また滞納票及び関係書類を添付し、係長等の上司の決裁印を受けていた。
しかし、下記に掲げるような事案も散見されたため、今後改善すべきである。
手引では、毎月初めに管理職により滞納票の決裁を受けなければならないが、
毎月必ず決裁された一人別滞納総括票は多くなかった。中には次のような事案が
あった。
ある振興局等の一人別滞納総括票において、担当者が途中から交代していたが、
前担当者分については処理状況の記載はあるものの決裁印の押印がほとんどなく、
後任の担当者の記載については全て決裁印が押印してあった。これでは、担当者
が全ての滞納事案について決裁を受けているかどうかを上司が把握していないと
推測された。
手引では、税額等(調定額、収入額)の異動については、年月日、原因、金額
などを漏れなく滞納票に記載することとされているが、サンプル調査した滞納票
に収入額の記載漏れや滞納残高が連続していないものがあった。これらについて
も内容を上司が細かく把握していないと推測された。
振興局等のある担当者について、処理状況が半年ぐらい記載されていない一人
別滞納総括票が数件あった。理由を聞くと、転勤で着任時に処理状況を把握する
ために時間を要したとのことであった。処理状況を確認するために半年かかるの
は異常であり、上司が毎月管理していれば、滞納整理事務は進んでいたと思われ
る。
サンプル調査では、多くの一人別滞納総括票に毎月ではなくても、処理状況を
記載し上司の決裁印が押印されていたが、上記のような事例もあることから徴収
の公平を図るためにも、また担当者の恣意的な判断とならないよう、管理職が定
期的に滞納票を確認する手続きを徹底すべきである。
4
年間事務処理計画書等
- 169 -
手引では、各振興局等は計画的な滞納整理を行うため、年度当初に実態に応じ
て具体的な重点実施事項を検討し、
「月別に」、
「何を」、
「どのような方法で」実施
するかを定めた年間事務処理計画書を作成することになっている。
(1)監査手続
実地監査した振興局等の道税事務実施計画を閲覧した。
(2)指摘意見
すべての振興局等が、本庁の道税事務運営方針に基づき具体的な実施計画を
作成していた。またその計画の適正な進行管理と検証も行われており、最終的
に事務評価書も作成しているため、特に指摘意見はない。
5
滞納事案
(1)監査手続
実地監査した振興局等において、高額滞納案件を中心に滞納票及び一人別滞
納総括表をサンプル調査した。
(2)指摘意見
高額滞納事案については、振興局等において別途管理している。振興局等に
よって、高額滞納事案または大口滞納事案の名称で区分し、金額の基準は案件
の件数等を考慮して独自の基準を設けている。それらについては、役職者が管
理するケースが多い。
【指摘37】一部の振興局等において、預金等の差押えが迅速に行われていない事
案が散見された。預金等の差押えについて、より早期に着手できるよ
う、
「徴収事務の手引」等において、より迅速な意志決定手続きを統一
すべきである。また、差押え解除の判断基準が緩いと思われるので、
「徴
収事務の手引」等において、より慎重な意志決定手続を統一すべきで
ある。
滞納事案についてのサンプル調査で、預金等の差押えが迅速に行われていない
事案が散見された。それらも相当期間経過後に差押えを行ったが、その時にはほ
とんど財産もなく差押えの効果はなかった。本来税は担税力がある場合に課せら
れている。納税者の担税力は場合によって、収入状況等により低下することもあ
るため、差押えを早期に着手できるよう手引において、より迅速な意志決定手続
きを統一すべきである。
また、差押えの解除について、ある振興局等では高額滞納の納税者に懇願され、
差押えした不動産について売却後に納税する約束で差押えを解除したにも係わら
- 170 -
ず、納付されずに今日を迎えている事案があった。また、差押えを解除した直後
に国税に差押えされた事案もあった。不動産の差押えの解除に関しても、手引等
において、より慎重な意志決定手続きを統一すべきである。
【意見38】不動産取得税の高額滞納事案削減のため、特に不動産の転売において、
売却資金が事業資金に流用され、納税資金が確保されていない事案が
多いことから、転売前により迅速な対応ができるよう、納税通知書の
送付時期の見直しなどの体制を整えるべきである。また、高額な不動
産取得税が発生することを把握した時点で、不動産取得税の事前通知
を行うことを検討すべきである。
高額滞納事案では、不動産取得税に関する事案が多い。例えば平成22年9月
末の札幌道税事務所の高額滞納者(1,000万円以上)の内訳をみると、納税
者の内68.4%が不動産取得税に係わる滞納であり、滞納税額も合計額の68.
6%を占めている。不動産取得税は、課税標準の算定の基礎となる不動産の評価
の算定等に時間を要するため、取得してから納税通知を行うまでに時間を要する。
そのため、忘れたころに納税通知を受けてもすでに納税資金を用意していないケ
ースもあるが、高額滞納事案の多くは不動産業者が取得不動産を転売し、売却資
金を事業資金等に流用し納税資金を用意していない事例である。そのため、不動
産取得税の高額滞納事案については、転売される前に迅速な対応を行う必要があ
る。そのため、納税通知書の送付時期の見直し等の体制を整えることも必要であ
る。
また振興局等は高額の不動産取得税が発生することを把握した時点で、事前通
知を行うことにより、納税者に納税資金の確保をお願いすることを検討してはど
うか。
滞納事案が発生した場合においても、不動産取得税は不動産の取得により発生
するため、納税者は差押えの対象となる不動産を所有している。納税者に誠意あ
る対応が見られない場合には迅速に不動産の差押えや公売等を実施すべきである。
6
換価猶予
(1)概要
換価猶予とは、滞納者に一定の事由がある場合は、租税の徴収確保と滞納者
の事業の継続などの両立を図るため、職権をもって差押財産の換価を猶予する
ことである。
換価猶予の要件は、滞納者が次のいずれかに該当する場合において、その者
が納税について誠実な意思を有すると認められるときは、1年以内の期間に限
り(やむを得ない理由があると認められるときは、最長2年)、財産の換価を猶
予することができる。
・ 直ちに財産の換価をすることにより、その事業の継続または生活の維持を
困難にするおそれがあるとき。
・ 財産の換価を猶予することが直ちに換価することに比して滞納に係わる徴
- 171 -
収金及び最近において納付すべきこととなる他の徴収金の徴収上有利である
とき。
換価猶予期間中の延滞金については、2分の1を免除する義務的免除と全額
を免除する裁量的免除がある。
《平成21年度振興局別換価猶予内訳》
(単位:円)
区
分
現
件
年
課
数
税
税
分
滞
額
件
納
繰
数
税
越
分
額
空 知 総 合 振 興 局
1
1,6 39 ,70 0
-
-
石
局
6
3,9 02 ,60 0
3
126 ,9 00
後 志 総 合 振 興 局
10
610 ,2 00
8
397 ,8 00
胆 振 総 合 振 興 局
31
4,5 75 ,30 0
22
1,8 23 ,47 7
日
局
12
4,9 82 ,66 8
-
-
渡 島 総 合 振 興 局
32
4,5 80 ,80 0
40
5,7 68 ,69 5
局
-
-
-
-
上 川 総 合 振 興 局
21
2,4 04 ,50 0
12
31, 67 1,2 00
局
2
176 ,0 00
-
-
宗 谷 総 合 振 興 局
2
1,9 70 ,60 0
-
-
オ ホ ー ツク 総 合 振 興 局
40
13, 20 9,2 49
24
3,7 08 ,34 1
十 勝 総 合 振 興 局
3
1,2 76 ,21 0
-
-
釧 路 総 合 振 興 局
20
1,0 78 ,60 0
9
6,8 21 ,01 4
局
-
-
-
-
札 幌 道 税 事 務 所
60
52, 90 9,3 00
75
72, 42 9,1 63
240
93, 31 5,7 27
193
122 ,7 46, 59 0
檜
留
根
狩
高
山
萌
室
振
振
振
振
振
興
興
興
興
興
合
計
(2)監査手続き
実地監査した振興局等で、換価猶予関係調書を閲覧し、適正な事務処理がな
されているか検証した。
(3)指摘意見
【指摘39】一部の振興局等において、納付が一度もないにも係わらず換価猶予の
延長を行っていた事案があったが、徴収の公平の観点から適切ではな
いと思われることから、
「徴収事務の手引」等において、換価猶予の延
長に係わる判断基準を、より厳格に統一すべきである。
ある振興局等において、納付が一度もないにも係わらず換価猶予の延長をして
いる事案があった。やむを得ない理由があると認められた場合には、既に決定し
ている換価猶予期間と合わせて2年間まで換価猶予の期間を延長できるが、やむ
- 172 -
を得ない理由があるとしても、納付が一度もないということは、滞納者が納税に
誠実な意思を有するとは思われず、それにも係わらず延長することは適切ではな
いと思われることから、手引等において換価猶予延長に係わる判断基準を、より
厳格に統一すべきである。
【意見40】換価猶予に係わる決定や取消しの決定手続きについて、振興局等にお
いて統一的な事務処理が行われていないことから、公平な滞納整理事
務を行うため「徴収事務の手引」等において統一すべきである。
実地監査した各振興局等の換価猶予の決定の手続きにおいて、決定書の様式及
び添付資料についてばらつきがあり、統一的な事務手続きが行われていなかった。
例えば、二つの振興局等では次のような実態があった。
区
分
平 成2 1年 度
換価猶予件数
A
3件
B
20件
換価猶予決定書添付書類
保証書(保証人がいる場合)
・誓約
書(分割納付を誓約するもの)・印
鑑証明書 換価猶予適否検討表
説明資料なし。(決定書に調査内容
の記載があるが、定形的文言)
誓約書・保証書等は別管理
平成 2 1 年度 滞 納
繰 越 分の 収 入 率
26.3%
20.6%
上記A振興局では、換価猶予の決定に際しても添付書類や内容の確認を行い、
換価猶予を厳格に行っているとの所感を得たが、B振興局では道税の調定額がA
振興局より少ないにも係わらず、換価猶予の通知件数が非常に多かった。決定書
の添付資料等もほとんどなく、形式的に換価猶予が決定されているように推測さ
れた。それが上記表にあるとおり、滞納繰越分の収入歩合にも影響しているので
はないか。換価猶予は徴収確保と滞納者の事業や生活の維持を目的としているが、
延滞金免除の適用もあることから厳格に行われるべきである。
手引には、換価猶予の決定に係わる具体的な事務手続きについて記載されてい
ないため、各振興局等または担当者が独自に事務手続きを行っている。厳格に行
うためには、換価猶予を行わなければならないことを検討するに十分な資料の添
付は必要であり、少なくとも実態調査書または適否検討表は作成し、決定の判断
材料とすべきである。判断材料となる資料が添付されていない場合は、換価猶予
の決定が事実確認することなく形式的に行われた可能性もある。換価猶予の決定
に係わるプロセスが振興局等ごとに統一されていなければ公平な徴収とはならな
い。
また、振興局等は換価猶予を受けた者が分割して納付することを認めた徴収金
をその期限までに納付しないときは、換価猶予の取消しをすることができるが、
期限までに納付しなかった場合でも、取消しの手続きをほとんど行っていなかっ
た。
換価猶予の取消しは強制規定ではないが、滞納処分を緩和したにも係わらず誓
- 173 -
約を守らない納税者には厳格に対応すべきではないか。取消しの事由に該当した
場合は統一的に強制適用しなければ公平性が失われる。
換価猶予の決定手続き等については、手引等において、統一すべきである。
7
滞納処分執行の停止
(1)概要
地方団体の長は、滞納者につき次の各号の一に該当する事実があると認める
ときは、滞納処分の執行を停止することができる(法第15条の7第1項)
。
①
②
滞納処分をすることができる財産がないとき
滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがある
とき
③ その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であるとき
ア
滞納処分執行停止までの手続きについて
道税が滞納となった場合、自動車税については、滞納管理システムでその
後の状況を管理し、自動車税以外の税目については、道税システムから個人
別滞納票が出力され、これを各担当者が個別に管理することになる。
滞納者の実地及び財産調査が開始されると、その折衝経緯等を滞納票に裏
書きする。なお、滞納票が複数枚となっている者については、手書きの「一
人別滞納総括票」を作成して、滞納者との徴収に向けた折衝経緯が記載され
ることになる。
滞納処分執行停止の手続きとしては、
「一人別滞納総括票」等必要書類を添
付し、滞納処分停止決定書により決済を受けた後、道税システムに入力され
滞納処分停止整理簿が作成される。
また、
「道税に係る滞納処分の停止事務処理要領」
(平成20年10月1日)
には、滞納処分執行停止後の事後調査として、滞納額が10万円以上の滞納
者の状態については年 1 度必ず調査することになっており、滞納額10万円
未満の滞納者については調査を省略できるとされている。
イ
滞納処分執行停止後の手続きについて
法第15条の7第4項では、
「第 1 項の規定により滞納処分の執行を停止し
た地方団体の徴収金を納付し、または納入する義務は、その執行の停止が3
年間継続したときは、消滅する。
」とされている。
つまり、3年後には不納欠損になることになり、滞納税金が納付されるこ
とは、ほぼ不可能となる。
実際に、平成18年度以前の滞納処分執行停止分は全て不納欠損処理され
ていた。
そして、滞納処分執行停止になると納税の催促は出来なくなり、かつ法第
- 174 -
15条の7第2項には、
「滞納処分の執行停止をしたときは、その旨を滞納者
に通知しなければならない」とされている。
《平成21年度税目別滞納処分の停止件数及び税額》
(単位:千円)
区
分
現
件
年
課
数
−
17
−
12
−
−
2
−
−
−
−
898
1
−
−
−
−
930
個
人
住
民
税
個
人
道
民
税
道 民 税 利 子 割
個
人
事
業
税
法
人
事
業
税
地
方
消
費
税
不 動 産 取 得 税
道
た
ば
こ
税
ゴ ル フ 場 利 用 税
自 動 車 取 得 税
軽
油
引
取
税
自
動
車
税
鉱
区
税
狩
猟
税
核
燃
料
税
循 環 資 源 利 用 税
特 別 地 方 消 費 税
合
計
分
滞
額
−
404
−
906
−
−
132
−
−
−
−
27, 79 2
38
−
−
−
−
29, 27 4
件
税
税
納
繰
数
−
1,1 61
−
1,0 25
308
−
712
−
−
94
9
40, 71 9
46
−
−
−
−
44, 07 4
越
税
分
額
−
64, 02 8
−
69, 45 6
165 ,7 62
−
151 ,0 48
−
−
4,5 72
2,9 57
1,4 55 ,51 6
1,8 23
−
−
−
−
1,9 15 ,16 4
滞納処分停止においては、件数及び税額は自動車税が大部分を占めている。
《平成21年度振興局別滞納処分の停止件数及び税額》
(単位:千円)
区
分
空 知 総 合 振 興 局
石 狩 振 興 局
後 志 総 合 振 興 局
胆 振 総 合 振 興 局
日 高 振 興 局
渡 島 総 合 振 興 局
檜 山 振 興 局
上 川 総 合 振 興 局
留 萌 振 興 局
宗 谷 総 合 振 興 局
オホ ーツ ク総 合振 興局
十 勝 総 合 振 興 局
釧 路 総 合 振 興 局
根 室 振 興 局
札 幌 道 税 事 務 所
合
計
現
件
年
課
数
36
22
14
47
45
60
3
55
3
1
11
61
35
15
522
930
税
分
滞
額
1,0 87
699
352
1,7 41
1,4 83
2,1 45
100
1,5 62
105
51
304
1,5 75
1,5 34
428
16, 10 1
29, 27 4
件
税
- 175 -
納
数
1,8 32
3,2 22
681
2,5 46
795
2,7 39
84
3,3 52
182
134
1,5 47
2,6 05
2,7 15
1,0 76
20, 56 4
44, 07 4
繰
越
税
分
額
68, 48 5
126 ,8 44
33, 00 6
98, 91 5
28, 22 7
112 ,6 88
3,0 75
124 ,5 32
6,6 36
6,7 82
56, 05 8
99, 01 1
98, 20 5
37, 96 3
1,0 14 ,73 1
1,9 15 ,16 4
振興局別の滞納処分に関しては、自動車登録台数の多い札幌道税事務所が突
出している。
(2)監査手続
実地監査した振興局等において、下記事務処理についてのヒアリングとサン
プル調査を実施した。
①
道税システムから出力された滞納処分停止整理簿を通査して、発生年度が
古いものが残置されていないかを検証した。
② 「一人別滞納総括票」の内容を通査して、滞納処分停止に至るまでの経過
を検証した。
(3)指摘意見
各種サンプル調査した結果、滞納処分執行の停止については、次に掲げる事
項を除きすべて適正に処理されていた。
【指摘41】一部の振興局等において、滞納処分停止決定書への添付が義務付けら
れている「一人別滞納総括票」が添付されずに、経過の確認をするこ
となく滞納処分の停止決定がなされていたことから、適切な事務処理
について、指導を徹底すべきである。
ある振興局等において、滞納処分停止決定書に添付が求められている「一人別
滞納総括票」
(滞納者との収納交渉過程が詳細に記載されたもの)が添付されない
ままに滞納処分停止決定が行われており、
「一人別滞納総括票」のみが別保管され
ていた事案があった。
「道税に係る滞納処分の停止事務処理要領」では、停止決定書には滞納票及び
調査に際し収集した資料等を添付する」と規定されているので、
「一人別滞納総括
票」は必ず滞納処分停止決定書に添付すべきであることから、適切な事務処理に
ついて、指導を徹底すべきである。
【所
感】徴収コストと収納予測額のバランスを考慮して、滞納処分執行停止を速
やかに行える体制を整備することが望まれる。
次のように、滞納発生または最終収納から相当期間経過後に滞納処分停止して
いる事例が見受けられた。
・平成22年3月26日に「生活を著しく困窮させる恐れある」との理由で滞納
処分停止した事案では、平成16年度の不動産取得税(本税)の合計149,
348円の滞納について、平成19年3月13日に預金差押をして配当金15,
552円を収納したのが最後であるが、その後3年間担当者が継続的に財産状
- 176 -
況の調査をしていた。
・平成22年3月16日に処分停止した事案では、平成12年度から平成14年
度の個人事業税(延滞税)及び不動産取得税(本税)の合計156,362円
の滞納について、平成18年4月7日に6,338円を収納したのが最後であ
るが、その後約4年間担当者が継続的に財産状況の調査をしていた。
・平成22年3月29日に滞納処分停止した事案では、平成13年度の個人事業
税341,372円から滞納が始まり、平成19年度の自動車税56,100
円まで、合計751,072円を滞納していた。平成20年度になって居住の
市から生活保護を受けていることが判明し、その後、預金等の有無の確認等を
実施したが、収納できる財産がなかった。滞納発生から約10年の間、かつ預
金の確認後2年間担当者が継続的に財産状況の調査をしていた。
このように、振興局等の担当職員は、滞納者の財産調査と現状調査を徹底的に
行い、それでも徴収できない事実が判明して初めて処分執行停止を行っている。
納税時効が5年となっているので、滞納者が分納しており収納金額が見込める
案件は特段の問題はないと思われるが、収納の見込みが定かではない案件の場合
は、徴収コストと収納予測額のバランスを考慮することも必要と考える。
そのためには、道から滞納処分執行停止要件の実務上の取扱に関する通達等を
出し、それを拠り所として上司の課長及び係長等が滞納処分執行停止に関して適
切な判断や指示を出せる体制を取って、滞納発生・最後収納から相当の日数を経
ずして滞納処分停止が速やかに行えるようにすべきである。
通達等には、例えば一定の基準(発生年度が古い、最後収納日から相当の期間
が経っている、滞納金額が小額等)を設けて、係長及び課長が定期的に「一人別
滞納総括票」の内容を通査して自らが積極的に滞納処分執行停止に関与すること
も必要と考える。
そして、徴収コストと収納予測額のバランスを考慮した一定の基準値以下に対
する滞納処分執行停止を迅速に行い、担当者をより高額な滞納者への収納にシフ
トさせることで収入率のアップを図ることも考えるべきである。
8
不納欠損
(1)概要
不納欠損とは、企業会計における貸倒損失に相当するもので,地方団体にと
っては税の徴収権が消滅したことを意味し、納税者にとっては納付義務が消滅
したことを意味する。不納欠損の処理基準(以下、「処理基準」と言う。)には
次の3種がある。
ア
滞納処分執行停止後の納税義務の消滅
滞納処分執行の停止が3年間継続したときは滞納者の納税義務が消滅する
- 177 -
(以下、「停止期間満了による消滅」と言う。法第15条の7第4項)。
イ
納税義務の即時消滅
滞納処分執行を停止した場合(法第15条の7第1項第1号のものに限る。)
において、その徴収金を徴収することができないことが明らかであるときは、
地方団体の長は、滞納者の納税義務を直ちに消滅させることができる(以下、
「即時消滅」と言う。法第15条の7第5項)。
ウ
時効による徴収権の消滅
法定納期限の翌日から起算して5年間徴収権を行使しないときは、徴収権
は時効により消滅する。(以下、「時効消滅」と言う。法第18 条)なお、時
効消滅には①停止期間中の時効消滅と②その他の時効消滅の2つがある。
停止期間中の時効消滅とは、滞納処分の執行停止期間中は時効が中断され
ないため、その間にこの5年間が経過したときは、停止期間満了による消滅
を待たずに、時効消滅とされるものである。
(2)不納欠損額
《過去5年間の全道税の調定額等に対する不納欠損率の推移》
(単位:千円)
区
分
調 定 額
収 入 済 額
収 入 率
不納欠 損 額
不納欠 損 率
平成 17 年度
52 7, 051 ,8 53
509 ,2 25, 21 3
96. 61 %
2,0 15 ,68 4
0.3 8%
平 成 18 年 度
556 ,9 84, 01 8
539 ,9 04, 18 1
96. 93 %
1,9 20 ,67 5
0.3 4%
平 成 19 年 度
627 ,1 85, 97 7
606 ,6 61, 74 0
96. 72 %
1,6 19 ,55 4
0.2 5%
平 成 20 年 度
609 ,4 68, 02 9
585 ,6 82, 87 6
96. 09 %
1,6 47 ,70 2
0.2 7%
平 成 21 年 度
547 ,2 58, 62 9
523 ,6 28, 41 8
95. 68 %
1,8 59 ,86 7
0.3 3%
過去5年間の不納欠損額は16億円からおよそ20億円の範囲内で推移して
いる。また、調定額に対する不納欠損率は0.25%から0.38%の範囲内
で推移している。
《 平成21年度処理基準別不納欠損額 》
(単位:千円)
区
分
件
数
構 成 比
不 納 欠損 額
構 成 比
停 止 期間 満 了
停 止 期間 中 の
に よ る消 滅
13, 967 件
21 .2%
340 ,6 17
18. 3%
時 効 消滅
16, 010 件
24. 3%
403 ,8 58
21. 7%
即 時 消滅
20, 541 件
31. 2%
951 ,0 17
51. 1%
そ の 他の
時 効 消滅
15, 142 件
23. 0%
164 ,3 74
8.8 %
合
計
65, 660 件
100 .0 %
1,8 59 ,86 7
100 .0 %
件数、金額とも即時消滅の構成比が高い。これは滞納金額が大きい法人の解
散、廃業が多いためと推測される。
- 178 -
なお、その他の時効消滅に分類されたものはすべて個人道民税である。これ
は個人道民税の徴収権は市町村にあり、市町村が個人市町村民税を時効消滅と
したときは自動的に個人道民税においても時効消滅となるためである。
《地方税法の不納欠損処理額》
・法第 15 条の 7 第 4 項(滞納処分の執行停止3年継続)に基づくもの
区
分
都 道 府県 分
市 町 村分
15 年 度
222
306
16 年 度
17 年 度
216
300
186
298
18 年 度
111
286
(単 位 : 億円 )
19 年 度
20 年 度
131
258
・法第 15 条の 7 第 5 項(即時消滅)に基づくもの
区
分
都 道 府県 分
市 町 村分
15 年 度
327
650
16 年 度
356
679
17 年 度
339
669
18 年 度
377
549
19 年 度
245
534
(単位 : 億 円 )
20 年 度
312
495
18 年 度
1 28
19 年 度
1 23
(単位 : 億 円 )
20 年 度
1 10
・法第 18 条(地方税の消滅時効)に基づくもの
区
分
都 道 府県 分
市 町 村分
15 年 度
1 32
5 23
16 年 度
1 31
17 年 度
1 27
5 66
5 71
5 24
5 04
・不納欠損処理額合計
区
分
都 道 府県 分
市 町 村分
地 方 税計
税収 に 対 する 割 合
(注) 1
2
3
4
120
265
4 63
(単位 : 億 円 )
15 年 度
6 81
16 年 度
7 03
17 年 度
6 51
18 年 度
6 16
19 年 度
5 00
20 年 度
5 42
1,4 79
2,1 60
0.6 6 %
1,5 44
2,2 48
0.6 7 %
1,5 38
2,1 89
0.6 3 %
1,3 60
1,9 76
0.5 4%
1,2 96
1,7 95
0.4 5%
1,2 23
1,7 65
0. 45 %
不 納 欠 損処 理 額 の 内 訳が 不 明 な 場 合、 不 明 分 以 外の 比 率 で 按 分し て い る 。
本 税 分 の み の 額で あ り 、 延 滞金 、 加 算 金 等は 含 ま な い 。
国 民 健 康 保 険 税分 は 含 ま な い。
各 項 目 ご と に 四捨 五 入 し て いる た め 、 合 計が 一 致 し な い場 合 が あ る 。
最後の表の平成17年度以後の不納欠損処理額合計の「税収入に対する割合」
と道の「不納欠損率」を比較すると次のようになる。
年
平成
平成
平成
平成
17
18
19
20
度 全
国 北 海 道
年度
0.63%
0.38%
年度
0.54%
0.34%
年度
0.45%
0.25%
年度
0.45%
0.27%
ホ ゚ イ ン ト差
−0.25
−0.20
−0.20
−0.18
いずれの年度においても道の方が全国平均より下回っている。
- 179 -
平成21年度の各税目別の調定額等に対する不納欠損率は次のとおりである。
(単位:千円)
税
目
個
人
道
民
税
法
人
道
民
税
道 民 税 利 子 割
個
人
事
業
税
法
人
事
業
税
地
方
消
費
税
不 動 産 取 得 税
道
た
ば
こ
税
ゴ ル フ 場 利 用 税
自 動 車 取 得 税
軽
油
引
取
税
自
動
車
税
鉱
区
税
狩
猟
税
核
燃
料
税
循環資源利用促進税
特 別 地 方 消 費 税
合
計
調
定
額
172 ,4 06, 68 8
18, 92 7,5 03
4,5 37 ,51 8
4,4 25 ,45 7
81, 78 0,4 34
69, 29 2,2 65
17, 58 1,4 83
12, 95 1,9 03
2,2 01 ,91 5
9,6 93 ,58 9
63, 48 6,1 41
87, 32 9,3 54
36, 38 9
128 ,4 06
1,7 39 ,66 8
740 ,7 89
119
547 ,2 58, 62 9
件
数
47, 40 8
1,4 69
−
477
295
−
570
−
8
53
84
15, 27 9
−
−
−
−
17
65, 66 0
不 納 欠 損 額
790 ,3 13
53, 37 1
−
29, 17 6
134 ,9 78
−
277 ,3 67
−
7,6 21
2,7 87
16, 61 7
547 ,5 13
−
−
−
−
119
1,8 59 ,86 7
不 納 欠 損 率
0.4 5%
0.2 8%
−
0.6 5%
0.1 6%
−
1.5 7%
−
0.3 4%
0.0 2%
0.0 2%
0.6 2%
−
−
−
−
100 .0 0%
0.3 3%
金額では個人道民税、自動車税、不動産取得税、法人事業税の順で不納欠損
が多く、不納欠損率では不動産取得税が1.57%と突出している。なお、特
別地方消費税はかつて飲食店などでの飲食、遊興に課された税金であり、これ
までに繰越された金額がここで全額不納欠損として処理された。
平成21年度の各振興局等の調定額等に対する不納欠損率、収入未済額は次
のとおりである。
(単位:千円)
区
分
空知総合 振興局
石 狩 振 興 局
後志総合 振興局
胆振総合 振興局
日 高 振 興 局
渡島総合 振興局
檜 山 振 興 局
上川総合 振興局
留 萌 振 興 局
宗谷総合 振興局
オホーツク総合振興局
十勝総合 振興局
釧路総合 振興局
根 室 振 興 局
札幌道税 事務所
合
計
調定額
16, 64 5,2 99
24, 14 4,8 65
13, 43 4,2 82
29, 86 9,9 82
4,3 97 ,36 6
24, 51 8,4 61
1,8 88 ,16 8
33, 68 3,2 91
3,0 96 ,30 2
4,8 09 ,49 2
19, 58 1,1 60
25, 82 6,0 78
16, 53 3,9 62
5,4 74 ,85 6
252 ,3 23, 12 6
547 ,2 58, 62 9
収 入 済額
15, 60 8,6 89
22, 47 6,1 72
12, 67 1,2 33
28, 39 7,1 47
4,0 07 ,02 2
22, 64 7,9 57
1,7 32 ,43 8
31, 71 2,5 89
2,9 76 ,07 5
4,5 34 ,36 1
18, 58 9,4 80
24, 56 2,9 72
15, 05 8,3 94
5,0 96 ,34 0
242 ,5 25, 60 7
523 ,6 28, 41 8
不納欠損 額
80, 05 0
84, 19 4
36, 47 6
95, 43 5
14, 46 6
126 ,1 43
7,4 59
105 ,9 42
7,6 39
7,9 33
64, 26 0
132 ,4 30
136 ,7 04
16, 18 5
944 ,5 43
1,8 59 ,86 7
不納欠損 率
0.4 8%
0.3 4%
0.2 7%
0.3 1%
0.3 2%
0.5 1%
0.3 9%
0.3 1%
0.2 4%
0.1 6%
0.3 2%
0.5 1%
0.8 2%
0.2 9%
0.3 7%
0.3 3%
収 入 未済 額
956 ,5 58
1,5 84 ,49 7
726 ,5 72
1,3 77 ,39 8
375 ,8 77
1,7 44 ,35 9
148 ,2 70
1,8 64 ,75 8
112 ,5 88
267 ,1 96
927 ,4 20
1,1 30 ,67 4
1,3 38 ,86 4
362 ,3 29
8,8 52 ,97 5
21, 77 0,3 44
不納欠損率が高いのは、釧路(0.82%)、渡島(0.51%)、十勝(0.
- 180 -
51%)、空知(0.48%)であり、その他の振興局等では0.4%未満とな
っている。
(3)監査手続
実地監査した振興局等において、不納欠損決定書及びそれに係わる滞納票そ
の他の添付書類のサンプル調査を実施した。
(4)指摘意見
初めに不納欠損決定書で即時消滅とされたものの中から金額が大きいものを
サンプル抽出し、その滞納票その他の添付書類の中身を確認したがいずれも適
正に処理されていた。次に、即時消滅以外のものの中から金額が大きいものを
サンプル抽出し、その滞納票その他の添付書類の中身を確認したが、その際、
一部の滞納票に記載漏れや上司の決裁印漏れが見つかった。しかし、この件に
関しては「(3)滞納票等の保管及び管理状況」で別途指摘するため、重複を避け
るためここでは取り上げない。なお、他のものについてはいずれも適正に処理
されていた。
9
延滞金
(1)概要
延滞金とは、地方税を納期限までに納付されない場合に課される徴収金であ
る。
①
延滞金の計算
延滞金はその基礎となる税額に延滞金の割合及び納期限の翌日から納付の
日までの日数を乗じて算出する。
税額×延滞金の割合×日数=延滞金
※延滞金の計算の基礎となる税額に1,000円未満の端数がある場合は、
その端数は切り捨てる。また、その基礎となる税額が2,000円未満で
あるときは延滞金はかからない。
②
延滞金の割合
区
分
平 成 21 年 中
納 期 限の 翌 日 か ら 1か 月 を 経 過 する 日 ま で の 期間 は( ※ ) 年
納 期 限の 翌 日 か ら 1か 月 を 経 過 した 日 以 後 は
4. 5 %
年 1 4. 6 %
平 成 22 年 中
年
4. 3 %
年 1 4. 6 %
※上記延滞金額の割合については、
「年7.3%」と「前年の11月30日の
- 181 -
商業手形の基準割引率+年4%」のいずれか低い割合が適用され、平成21
年度中は年4.5%、平成22年中は年4.3%である。
・算出された延滞金に100円未満の端数があるときは、その端数を切り捨
てる。また、その延滞金の金額が1,000円未満であるときには延滞金
はかからない。
・更正、決定があった場合などは、計算方法が異なる。
③
延滞金の減免(法第72条53等)
知事は、納税者が納期限までに税金を納付しなかったことにつきやむを得
ない事情があると認められる場合は、延滞金を減免することができる。
④
延滞金の免除(法第15条の9,第20条の9第5項)
知事は、地方公共天災その他やむを得ない理由によって納税の猶予をした
場合、滞納処分の執行の停止をした場合等、延滞金の納付が困難な理由があ
るときにおいて、その全部または一部を免除することができる。
(2)延滞金の徴収状況等
①
平成21年度
延滞金の税目別徴収状況調
(単位:円)
区分
収入 済額
減免 額
仮調 定繰 越額
個人 道 民税
13 2,45 5,9 55
-
11 ,20 0
法人 道 民税
3 1,98 7,2 27
2 ,83 6,52 7
40, 492 ,704
道民 税 利子 割
17 3,1 00
-
-
個人 事 業税
1 8,41 0,8 36
4 ,73 4,64 6
46, 529 ,257
法人 事 業税
11 7,25 4,1 01
11 ,32 5,10 0
127 ,289 ,384
-
-
-
地方 消 費税 譲渡 割
地方 消 費税 貨物 割
不動 産 取得 税
-
-
-
5 9,01 1,8 32
14 ,76 9,02 9
86, 737 ,705
-
-
-
1,17 9,1 00
26 8,30 0
15, 268 ,000
8 8,6 00
-
7 ,000
道た ば こ税
ゴル フ 場利 用税
自動 車 取得 税
軽油 引 取税
11 5,4 00
1 2,00 0
-
59 0,30 2,7 66
5 ,25 6,25 7
162 ,967 ,918
4 5,3 00
-
18 ,90 0
道固 定 資産 税
-
-
-
狩猟 税
-
-
-
自動 車 税
鉱区 税
核燃 料 税
循環 資 源利 用促 進
-
-
-
28 1,5 00
-
571 ,600
-
-
93 ,40 0
62 2,5 00
30 5,90 0
357 ,100
4,00 3,9 53
1 ,61 8,50 0
30, 235 ,915
-
-
515 ,300
95 5,93 2,1 70
41 ,12 6,25 9
511 ,095 ,383
旧法 に よる 税
特 別地 方消 費税
自 動車 取得 税
軽 油引 取税
料 理飲 食等 消費 税
合 計
- 182 -
②
平成21年度
区 分
延滞金の道税・振興局等別徴収状況調
(単位:円)
収入済額
減 免額
仮調定繰越 額
空
知
34,471,5 34
1,4 98,900
10,463, 991
深
石
川
狩
3,203,36 1
75,696,8 27
75,000
976, 471
42,314, 112
後
志
9,313,99 1
-
3,722,4 59
小
胆
樽
振
21,158,1 47
29,763,3 71
5,0 60,375
2,0 77,166
14,455, 748
18,828, 314
苫
牧
42,207,5 15
1,0 21,900
35,062, 713
日
渡
小
高
島
17,596,2 15
71,415,1 37
991,460
587,400
8,124,4 55
37,166, 818
檜
上
山
川
4,123,09 3
87,000,7 09
117,500
8,7 50,372
939, 445
31,462, 796
名
寄
5,422,34 9
6,100
3,159,4 67
留
宗
萌
谷
4,857,04 0
10,403,6 26
229,885
117,700
1,383,4 65
17,221, 720
オホーツク
15,215,7 18
-
5,038,6 44
北
紋
見
別
22,170,2 36
6,462,11 6
460,300
61,626
5,598,3 27
2,545,7 55
十
勝
57,033,1 83
1,3 04,742
23,689, 712
釧
根
路
室
56,731,9 20
19,284,9 32
2,8 92,552
3,600
35,166, 495
8,417,7 60
札 幌 管 理
札 幌 自 動
177,656,1 84
184,744,9 66
15, 145,900
723,781
162,243, 193
43,113, 523
合
955,932,1 70
41, 126,259
511,095, 383
計
(3)監査手続き
本庁税務課において、平成21年度延滞金の徴収状況調等の関係書類を閲覧
し、事務手続き等のヒアリングを行った。
(4)指摘意見
【意見42】徴収の公平の観点から、延滞金の徴収の状況について「税務統計」等
において、広く道民に開示すべきである。
延滞金については、納期限経過後に本税の納付が完了すると、道税システムに
より延滞金を計算し納税義務者に納付書を送付し徴収する。延滞金を計上した時
点で仮調定とし、その延滞金が収入して初めて調定される。そのため、延滞金に
ついて収入未済額は発生せず、また不納欠損も発生しない。
仮調定された延滞金の内、収入済みとなった金額が税附帯収入として調定され、
開示されているが、時効等により徴収不能となった金額の情報等は開示されてい
ない。
延滞金を、税を滞納した納税義務者に課したペナルティとして適正に徴収して
いるかなどの状況について、
「税務統計」等において広く道民に開示すべきである。
- 183 -
第21
1
組織・体制・研修
税務機構図
(平成22年10月1日現在)
本
庁
現員 53
総 務 部 財 政 局
税
務
課
担
主
名
当
課
策 部
課
課
納
納
納
収
主
係
係
係
係
査
4
4
4
5
2
深 川 道 税 事 務 所
所
長
課
納
課
事
業
税
主 査 ( 調 整
不 動産 取 得税
主 査 ( 評 価
間
税
係
)
係
)
係
5
1
8
1
3
納
納
納
収
主
係
係
係
係
査
4
4
4
5
3
課
納 税 管 理 係
課
税
係
主査 (軽油引 取税)
納
税
係
主査 (個人道 民税)
4
5
1
4
1
課
事 業 税 間 税 係
主 査 ( 調 整 )
不 動産 取 得税 係
主査 (軽油引 取税)
4
1
4
1
税
納
課
主
長
税
狩
振
興
局
地 域 政
長
幹
税
課
現員 41
課
長
策 部
名
納
税
課
主
税
地 域 政
課
長
幹
務
課
後 志 総 合 振 興 局
長
課
税
課
長
小樽 道税 事 務所
所 長
納
税
課
主
課
税
納
第
第
第
管
一
二
三
理
税
税
税
税
税
納
第
第
第
管
係 4
係 4
一
二
三
理
税
課
5
1
6
5
3
課
納
納
収
主
一 係
二 係
理 係
査
4
6
3
2
課
事 業 税 間 税 係
主 査 ( 調 整 )
主査 (軽油引 取税)
不 動産 取 得税 係
5
1
1
5
課
納
納
収
主
5
5
4
2
長
苫小牧道 税事務所
所
長
納
税
課
主
- 184 -
長
幹
一 係 5
二 係 4
理 係 3
査 2
係
)
係
係
係
長
幹
税
税 第
税 第
納 管
事
業
税
主 査 ( 調 整
不 動産 取 得税
自 動 車 税
間
税
現員 70 名
課
納
納
収
主
課
長
課
主
策 部
課
長
幹
課
地 域 政
税
税
税
納
策 部
現員 44 名
胆 振 総 合 振 興 局
9
9
8
12
4
6
1
6
1
4
現員 49 名
石
管 理電算グ ループ
税 制企画グ ループ
納 税推進グ ループ
課 税対策グ ループ
税 務調査グ ループ
係
)
係
)
係
課
地 域 政
長
長 2
幹 8
事
業
税
主 査 ( 調 整
不 動産 取 得税
主 査 ( 評 価
間
税
課
空 知 総 合 振 興 局
課
税 第
税 第
納 管
税 第
税 第
納 管
一 係
二 係
理 係
査
日
高
振
興
局
地 域 政 策 部
税
務
課
課
長
現員 17 名
課
渡島 総 合 振 興 局
8
1
7
1
6
4
納
納
納
納
収
主
係
係
係
係
係
査
5
6
5
4
6
3
長
納 税 管 理 係
課
税
係
主査(軽油引取税)
納
税
係
主査(個人道民税)
4
3
1
3
1
長
事 業
税 係
主 査 ( 調 整 )
不動産 取得税係
主 査 ( 評 価 )
自動車 税第一係
自動車 税第二係
間
税
係
7
1
8
1
5
4
5
納
納
納
納
収
主
4
5
5
4
6
3
課
長
地 域 政 策 部
現員 59 名
納
税
課
主
檜
山
振
興
局
地 域 政 策 部
税
課
長
幹
務
課
課
現員 13 名
課
税
課
上川 総 合 振 興 局
地 域 政 策 部
納
課
税
課
主
現員 74 名
課
長
幹
名 寄 道 税 事 務 所
所
長
留
萌
振
興
局
地 域 政 策 部
税
務
課
課
長
現員 15 名
宗谷 総 合 振 興 局
4
5
1
5
1
事 業
税 係
主 査 ( 調 整 )
不動産 取得税係
主 査 ( 評 価 )
自 動 車 税 係
間
税
係
税
課
納 税 管 理 係
課
税
係
主査(軽油引取税)
納
税
係
主査(個人道民税)
地 域 政 策 部
税
務
課
現員 15 名
- 185 -
課
長
課
納
税
税
税
税
納
税
税
税
税
納
第
第
第
第
管
第
第
第
第
管
税
税
一
二
三
四
理
一
二
三
四
理
係
係
係
係
係
査
係 6
係 6
納 税 管 理 係
課
税
係
主査(軽油引取税)
納
税
係
主査(個人道民税)
4
3
1
5
1
納 税 管 理 係
課
税
係
主査(軽油引取税)
納
税
係
主査(個人道民税)
3
4
1
5
1
オホーツク総合振興局
現員 66 名
地 域 政 策 部
税
務
課
課
課
長
税
課
課
長
北 見道 税 事 務 所
所
長
納
税
課
主
課
長
幹
紋 別 道 税 事 務 所
所
長
課
税
課
十勝総 合振興局
3
4
3
1
課
納
係 6
係 6
税
税
係
係
係
係
査
5
4
4
5
3
事 業 税 係
主 査( 調 整 )
不 動産 取 得 税 係
主 査( 評 価 )
自 動 車 税 係
間
税
係
5
1
5
1
5
4
課
納
納
納
収
主
係
係
係
係
査
5
4
4
4
3
課
納 税 管 理 係
課
税
係
主査(軽油引取税)
納
税
係
主査(個人道民税)
5
5
1
5
1
課
長
幹
税
課
課
長
税
税
税
納
第
第
第
管
一
二
三
理
地 域 政 策 部
現員 44 名
納
税
課
主
興 局
納 税 第 一 係
納 税 第 二 係
収 納 管 理 係
主
査
納
納
納
収
主
課
税
課
振
5
1
1
4
5
7
1
7
1
6
4
長
課
主
室
事 業税 間 税 係
主 査( 調 整 )
主査(軽油引取税)
不 動産 取 得 税 係
自 動 車 税 係
地 域 政 策 部
納
根
5
5
1
3
6
1
事 業 税 係
主 査( 調 整 )
不 動産 取 得 税 係
主 査( 評 価 )
自 動 車 税 係
間
税
係
現員 50 名
釧路総 合振興局
納 税 管 理 係
事 業税 間 税 係
主査(軽油引取税)
不 動産 取 得 税 係
納
税
係
主査(個人道民税)
地 域 政 策 部
税
務
課
現員 18 名
- 186 -
長
幹
長
税
税
税
納
第
第
第
管
一
二
三
理
事 業 税 第 一 グ ル ー プ 11
課
税
課
主
第
一 課
長
幹 2
事 業 税 第 二 グ ル ー プ 18
不動産取得税第一グループ 18
税 務 管 理 部
部
長
課
税
課
主
第
二 課
長
幹 3
不動産取得税第二グループ 12
間 税 グ ル ー プ 12
納税第一グループ 8
札幌 道 税事 務所
納
所
長
税
課
主
現員 217 名
課
長
幹 4
納 税 第 二 グ ル ー プ 10
徴収対策グループ 8
収 納 管 理 グ ル ー プ 11
自動 車 税 第 一 グル ー プ 12
自 動 車 税 課 税 課
課
長
主
幹 2
自 動 車 税 部
部
長
自動 車 税 第 二 グル ー プ 14
納税第一グループ 9
納 税 第 二 グ ル ー プ 10
自 動 車 税 納 税 課
課
長
担 当 課 長
主
幹 6
納 税 第 三 グ ル ー プ 11
納 税 第 四 グ ル ー プ 10
徴収対策グループ 5
収 納 管 理 グ ル ー プ 12
- 187 -
2
税務職員配置状況
税 務 職 員 配 置 状 況
(平成22年10月1日現在)
現 員
振 興 局等
管 理 職
係 長 職
一 般 職
再 任 用
計
非
常
勤
合
計
空
知
4
13
30
2
49
−
49
石
狩
3
12
25
1
41
−
41
後
志
5
14
25
−
44
−
44
胆
振
7
19
43
1
70
2
72
日
高
1
5
11
−
17
−
17
渡
島
3
14
42
−
59
1
60
檜
山
1
5
7
−
13
−
13
上
川
4
17
53
−
74
2
76
留
萌
1
5
9
−
15
−
15
宗
谷
1
5
9
−
15
−
15
オ ホ ー ツク
6
17
43
−
66
1
67
十
勝
3
13
33
1
50
1
51
釧
路
3
13
28
−
44
1
45
根
室
1
5
12
−
18
−
18
札 幌 道税
事 務 所
26
51
132
8
21 7
10
227
本
庁
11
19
23
−
53
−
53
合
計
80
227
5 25
13
845
18
863
本庁、札幌道税事務所を除き、管理職が4名以上と、他の振興局等よりも多く配置され
ているところがあるが(後志など5振興局)、これは、振興局等の出先機関である道税事務
所を有しているからであり、このため職員数も他の振興局より比較的多くなっている。
- 188 -
税務職員年齢別人員定例報告書
(平成22年10月1日現在)全道合計
区分
∼19
20∼24 25∼29 30∼34 35∼39 40∼44 45∼49 50∼54 55∼59
60∼
計
平均年齢
空知
0
0
0
1
4
6
11
14
10
4
50
49.8
石狩
0
0
0
1
7
6
8
7
11
2
42
48.6
後志
0
0
1
3
3
4
9
13
10
1
44
47.8
胆振
0
1
3
3
7
12
13
16
14
1
70
46.7
日高
0
0
1
1
3
1
6
3
2
0
17
45.1
渡島
0
3
3
4
12
6
8
16
7
0
59
43.8
檜山
0
1
0
3
0
6
1
1
1
0
13
40.3
上川
1
4
3
6
16
11
9
14
10
0
74
42.5
留萌
0
0
3
0
2
2
4
2
2
0
15
43
宗谷
0
1
2
2
4
2
1
1
2
0
15
39.1
オホーツク
1
3
3
5
14
12
13
6
9
0
66
42.2
十勝
1
0
0
2
7
10
12
8
9
2
51
46.7
釧路
0
3
4
3
6
9
7
7
5
0
44
41.7
根室
1
6
1
1
1
5
0
3
0
0
18
33.9
札幌
0
0
3
12
36
28
31
38
57
19
224
48.1
計
4
22
27
47
122
120
133
149
149
29
802
45.6
税務課
0
0
1
7
14
7
11
7
6
0
53
43.2
合計
4
22
28
54
136
127
144
156
155
29
855
45.4
構成比
前年度
0.5
2.6
3
3.3
27
32
6.3
66
15.9
148
14.9
138
※内女性211人(24.7%)
※非常勤職員は含まれていない。
※再任用職員は実人数で計上している。
- 189 -
16.8
144
18.2
179
18.1
132
3.4
33
100.0
902
43.0
3
改正年度
税務職員定数の推移
職員定数(人)
58
1,135
2
1,035
改
都 市 化 に 対 応 す る ため の 見 直 し
正
・ 支 庁 及 び 道 税 事 務所 の 定 員 見 直し ( 支 庁 △ 27
平 成 元 年 度 税 制 改 正に 伴 う 組 織 機構 改 正
1,035
4
1,020
容
道 税 2 7)
△ 10 0 名
・ 料 理 飲 食 等 消 費税 → 特 別 地 方消 費 税
3
内
±0
・ 軽油 引 取 税 の 課税 地 改 正 等
平 成 3 年 度 税 制 改 正に 伴 う 組 織 機構 改 正
△1 5 名
・ 特 別 地 方 消 費 税の 免 税 点 引 き上 げ
5
1,025
6
1,025
電 算 開 発 に 係 る 本 庁の 事 務 見 直 しに よ る 定 数 増
7
1 ,0 1 0 (13) 道 税 総 合 情 報 処 理 シス テ ム の 全 面稼 働 に よ る 事務 見 直 し
・ 自 動 車 税 徴 収 事務 の 分 散
5名
△1 5
・個 人 道 民 税 担当 主 査 の 配 置
・ 3 年 間 の 斬 減 措 置( 7 年 度 △2 名 、 8 年 度 △ 6 名 、 9 年度 △ 7 名 )
8
1 , 0 1 0 (7)
暫 定 措 置 解 消 7 年 度改 正 分
9
1,009
本庁税務課主幹
10
1,009
11
1,007
△1 名
本庁の事務見直し
△ 6名
暫 定 措置 解 消 7 年 度改 正 分
△2
・ 電 算 担 当 主 幹 の廃 止
△1名
・ 税 務 電 算第 二 係 の 定 数減
12
9 6 3 (3)
13
9 6 3 (5)
平 成 1 1 年 度 税 制 改正 に 伴 う 組 織機 構 改 正
14
9 6 3 (4)
東 京 事 務 所 廃 止 に 伴う 執 行 体 制 の整 備
15
9 5 5 (3)
支 庁 税 務 係 の 廃 止 に伴 う 執 行 体 制の 整 備
16
9 5 5 (1)
17
9 4 0 (1)
・ 特 別 地 方 消 費 税の 廃 止
18
9 3 4 (2)
△ 7名
△1名
△4 4 名
・ 自動 車 税 徴 収 事務 の 分 散 化 (在 札 )
東 京 △1 1 名
△8
職 員 数 適 正 化 計 画 への 対 応 等 に 伴う 組 織 機 構 改正
・ 納 税 証 明 自 動 発 行機 の 導 入
△
・課税事務の均衡化
1
本 庁+ 7 名
札 中+ 4 名
※ 本 庁 にグ ル ー プ 制 導入
△15
・本庁再編
△6
△25
・ 外 形 調 査 (本 庁 3 、 札 中3 )
+6
・都市部の徴収強化
+11
・ 深 川 課 税 係暫 定 措 置
+1
・ 本 庁 課 税 G 暫 定 措置 解 消
△
△6
1
本 庁 税 務 課 の 執 行 体制 の 見 直 し 等
△6
・ 本 庁 税 務 課 の 執 行体 制 の 見 直 し
△6
・ 支 庁 6 税 務部 長 の 廃 止
・ 循 環 税 導 入 に 伴 う執 行 体 制 の 確立
+6
・ 深 川 道 税 事務 所 暫 定 措 置の 解 消 △ 1
・ 暫 定 配 置 ( 本 庁 参事 1 名 、 札 南副 所 長 1 名 )+ 2
19
8 9 8 (1)
札 幌 3 道 税 事 務 所 の集 約 化 等
△36
※ 札 幌 道 税 にグ ル ー プ 制 導入
・ 札 幌 3 道 税 事 務 所の 集 約 化
△32
・ 本 庁 税 務 課の 執 行 体 制 の見 直 し △ 4
・ 暫 定 措 置 の 解 消 (札 南 副 所 長 )
20
8 9 3 (1)
21
8 7 0 (1)
△1
委 託 業 務 の 導 入 に よる 事 務 の 軽 減化 ( 市 場 化 テス ト で 実 施 )△ 5
・ 札 幌 道 税 事 務 所 にお け る 法 人 二税 の 申 告 情 報入 力 等 で 実 施
22
8 3 8 (2)
職 員 数 適 正 化 計 画 への 対 応 等 に 伴う 組 織 機 構 改正
・ 本 庁 税 務 課 の 執 行体 制 の 見 直 し
△3
・ 支庁 等 不 動 産 取得 税 係 等 の 減
・ 札 幌 道 税 事 務 所 外形 調 査 の 移 管
△3
・ 支庁 等 収 納 管 理係 の 減
・ 札 幌 道 税 事 務 所 南支 所 の 廃 止
△3
・ ビル ド ( 本 2 ・後 1 ・ 空 1 ・留 1 ) + 5
・ 暫 定 配 置 の 解 消 (本 庁 参 事 )
△1
職 員 数 適 正 化 計 画 への 対 応 等 に 伴う 組 織 機 構 改正
・ 銀 行 預 金 調 査 の MT化
対比
※(
△5
△23
△12
△7
△32
△ 1 2 ・ 総務 業 務 の 本 庁集 約 化
△13
・ 軽 油 引 取 税 の 調 査体 制 の 見 直 し
△4
・本 庁 税 務 課 の執 行 体 制 の 見直 し
△3
・ビルドの見直し
△1
・ビ ル ド ( 空 1)
+1
平 成 2 2 年 度 − 昭和 5 8 年 度
△ 2 9 7 名 (△ 2 6 . 2 %)
平 成 2 2 年 度 − 平成 1 7 年 度
△ 1 0 2 名 (△ 1 0 . 9 %)
) は 暫 定 処 置の 人 員 を 外 書き し た も の であ る 。
- 190 -
4
研修の実施状況
平 成 21 年 度 各 部 研修 実 施 総 括 表( 税 務 課 所 管分 )
研修名
新
対 象 職員
実 施 場所
研 修 時間
研 修 日程
人
数
任
職
員
新 任 税務 職 員
課
税
実
務
課 税 実務
(
間
税
)
(不 動 産 取 得税 )
徴 収 実務
軽 油 引取 税
不 動 産取 得 税
課 税 事務 担 当 者
課 税 事務 担 当 者
道庁 別館 西棟 5 階
道庁 別館 西棟 5 階
か で る2 ・ 7
か で る2 ・ 7
会 議室 10
会 議室 10
920 会 議室
1050 会 議 室
18 時 間
18 時 間
25 時 間
25 時 間
9 月 1 日( 火 )
合計
徴 収 事務 担 当 者
7 月 6 日( 月 )
6 月 24 日 ( 水 )
9 月 8 日( 火 )
∼7 月 8 日 ( 水 )
∼6 月 26 日( 金) ∼9 月 4 日 ( 金 ) ∼9 月 11 日( 金)
86 時 間
4 講座
3 日間
3 日間
4 日間
4 日間
14 日 間
19 名
19 名
14 名
34 名
86 名
道では、毎年度「道税事務運営方針」の研修計画に基づき、税務に関する研修
を実施している。平成21年度も、計画通りに研修が実施された。
5
監査手続き
関係書類を閲覧し、ヒアリングを行った。
6
指摘意見
【意見43】特に滞納整理業務に係わる実務的な研修を充実させるとともに、全道
的な業務改善会議を開催すべきである。
今回振興局等を実地監査して、一部の税務職員の事務知識について統一性がな
く、また専門知識が不足していることを感じた。原因として考えられるのは、道
庁職員が異動により同じ部署に長期間在職しないことが考えられる。仕事に慣れ
たころ異動になりまた新たな部署で新たな業務を覚えなければならない。この制
度は職員の公平性や不正防止の観点から必要と考えられるが、新たな部署で統一
的かつ専門的知識及び事務手続きの習得には研修が重要である。平成22年度の
「道税事務運営方針」による研修計画では年4回実施する予定であるが、全道の
税務職員の業務知識を高めるとともに統一的かつ効率的な業務を行うには少ない
と感じた。特に滞納整理業務においては実務的な研修を重点的に実施する必要が
あると思われる。専門的知識を習得することも重要であることから、例えば法律
的な知識を弁護士に外部講師として依頼する等も必要と考える。
また、今回振興局等により事務処理様式等が相違している事例が多くあった。
例えば滞納整理のある決定書について様々な様式が使用されており、ある税目の
事務処理については、全く統一性がなく行われていた。ある振興局等でどうして
この様式を使用するのか質問したところ、本庁の基本様式より自分が作成または
- 191 -
改定した様式の方が利便性が高く効率的であるとの返答があった。それならばそ
の様式の改善を提案すべきではないかと質問したところ、そのような機会と場が
ないとの認識であった。有用な事務処理現場の意見は事務改善の見地から重要で
あり、年に一度は全道的な事務改善会議を開催し、事務改善提案の発表の場を作
るとともに、早急に改善案の実現化を検討し事務処理の効率性を高めるべきであ
る。
【意見44】各振興局等で行われている収納管理事務等、納税者との面接がない文
書や電話応対及び電算処理などの内部事務については、行政サービス
の維持に配慮しながら、事務の効率化の観点から、全道集約すべきで
ある。この場合、今後増加が想定される税務職員の再任用職員の活用
などによる、事務の効率化を検討すべきである。
現在、各振興局等では5名程度の納税管理係が、金融機関等から送付される領
収済通知書等と本庁から送付される電子データとの突合を主とする歳入事務、過
誤納金等の処理に関する還付事務及び決算事務等の収納管理業務を行っている。
これらの業務は、納税者との面接がない文書や電話での対応や、道税システム
を操作して処理を行う内部事務がその多くを占めることから、全道分を一元的に
集約することにより、効率的に事務を処理することが可能と考えられるので、検
討すべきである。
なお、この場合においても、地域の納税者の利便性を考慮し、現金の領収など
の窓口業務は振興局等に残す必要がある。
この収納管理業務の一元化については、それらが定型的・機械的・大量発生的
な業務であることを考慮すると、一元化した業務を民間に開放する手法や、今後
増加することが想定される再任用制度(注)の活用により、さらに効率性を高め
ることが可能と考えられるので、併せて検討すべきである。
(注)本格的な高齢社会を迎え、公務部門においても、高齢職員の長年培った能
力・経験を発揮することができる体制整備を図る必要性があることから、
道が平成14年4月に導入した、60歳代前半に公務内で働く意欲と能力
のある職員を最長65歳まであらためて再任用することができる制度。
【意見45】高額滞納整理組織の創設を検討すべきである。
現在の道税に関する大きな課題として、増大した収入未済額の解消がある。今
回実地監査した振興局等の滞納整理の状況を見ても、あまり効率的に徴収されて
いないと感じた。大きな原因の一つとして考えられるのは滞納整理についての経
験不足である。特に高額な滞納事案の解消には専門的知識も必要であり、また過
去の経験が参考になるが、税務職員の異動等によりそれらを充分に収得すること
は現在の組織体系では困難と思われる。
そこで、高額滞納整理事案担当として専門組織を創設し、広域的に道税の滞納
整理を担当させてはどうか。原則異動のない組織とし、専門知識の収得を図ると
- 192 -
同時に、滞納整理のノウハウを蓄積しスペシャリストとして活動するこにより、
より収入率の向上を図れるのではないか。税の実務家である税理士から見て、国
税では国税専門官として採用された職員は、専門職として、一貫して厳しい徴収
事務を行っている。道においても、滞納者への牽制となることから、少なくとも
高額滞納整理事案担当の少数精鋭組織の創設を検討すべきである。
【意見46】一般税の滞納整理については、徴収担当者個人の経験等に基づく判断
や事務処理能力に頼った現在の「地区担当制」を見直し、分業化など
による「組織的な滞納整理」の導入を検討すべきである。
自動車税以外の一般税については、基本的に徴収担当者の各々が担当地区を持
って一連の流れを処理する「地区担当制」を取っているが、この方法では、担当
者の経験や資質に基づく判断や事務処理能力の差により、滞納整理の進捗のばら
つきが生じ、滞納整理が公平に行われないことも考えられる。(【指摘36】、【指
摘37】、【指摘39】参照)
そこで、「組織的な滞納整理」への移行を検討すべきと考える。
ここでは、2つの手法を提案する。
1つ目は、成果を上げている道自動車税と同様に、滞納整理を催告、調査、差
押え、換価等の段階ごとにまとめて対応する方法である(「一斉処理方式」)
。
2つ目は、東京都で導入しているような、初動・交渉・処理の段階ごとに担当
班を設けて対応する方法である(
「分業化」)。
これらにより、統一的な対応と効率的な進め方で、公平な滞納整理を行うこと
ができると考える。
【所
感】事務処理の効率化・省力化のため、道税事務所の統合、事務量の多い自
動車二税等の課税事務の全道集約、事務処理の機械化などの検討が望ま
れる。
道は平成18年2月に「新たな行財政改革の取組み」を策定し、道職員数の適
正化を図ったが、一層厳しさを増す道財政の現状から、平成21年3月の「職員
数適正化計画」
【改訂版】により、平成17年から平成26年までの10年間に職
員数を35%削減するという努力目標を策定した。その目標により、税務職員も
今後さらなる削減が求められている。そのため、今後事務処理の効率化・省力化
が必要となる。
そこで、過去に税務職員数が大量に減少した要因を分析すると次のとおりであ
る。
① 税制改正による組織機構の改正
平成 2年 料理飲食等消費税から特別地方消費税
平成 3年 特別地方消費税の免税点引き上げ
平成12年 特別地方消費税の廃止
② 札幌3道税事務所の統合
③ 道税総合情報処理システムの全面稼働による事務見直し
④ 振興局等の不動産取得税係等課税事務の見直しによる組織機構改正
- 193 -
⑤
⑥
⑦
総務業務の本庁集約化
銀行預金調査のMT化
東京事務所の廃止
上記の要因のうち、税制改正による組織機構改正があった場合に職員の削減数
が一番多いが、地方税法等の改正であるため、道独自に実施できることではない。
そこで、その他の要因を参考にすると次の要因が考えられる。
○道税事務所の統合
平成19年に実施された札幌3道税事務所の統合により36名の削減となっ
ている。このように道税事務所の統合は職員削減の大きな要因となる。今後エ
ルタックスなどのITの普及も想定されることから、道税事務所の統合を今か
ら検討することが必要である。具体的には、札幌圏の執行体制については、納
税者の利便性からは問題ないと思われるので統合の検討が望まれる。
○事務量の多い自動車二税等の全道集約
総務業務の本庁集約化により、13名の削減となっている。道税全体の事務
の効率化・省力化という観点からは、事務処理の全道集約も検討課題である。
事務量の多い自動車二税等の課税事務の全道集約や、将来的には指揮命令系統
を一元化するため、振興局等税務課と地方道税事務所の本庁出先機関化も検討
課題となると思われる。
○事務処理の機械化
銀行預金調査のMT化により、12人の削減となったことから、いままで人
の手で行っていた業務をシステムやネットワークを使い事務量を削減する検討
も必要である。
- 194 -
第22
1
徴税費
徴税費の推移
区 分
道
除
徴
収
費
平成 17年 度
職
員
費
い た 徴 税
を
費
税 務管 理 費
賦 課徴 収 費
道 税事 務 所費
道
職
員
費
計
道
税
税 収入 に対す
る 徴税 費の割
合
税
務
税務 職員1 人当
た り徴 税費の
額
収
入
額
千円
10,284,273
平成 18年 度
千円
10,580,731
平成 19年 度
平成 20年度
千円
16,204,932
平成 21年度
千円
16,103,384
千円
12,346,526
9,061
6,937
0
0
0
10,275,212
0
10,573,794
0
16,204,932
0
16,103,384
0
12,346,526
0
7,077,332
17 ,3 61 ,6 05
6,339,751
16 ,9 20 ,4 82
6,216,500
22 ,4 21 ,4 32
6,373,902
22 ,4 77 ,2 86
6,158,363
18 ,5 04 ,8 89
千円
509,225,213
千円
539,904,182
千円
606,661,740
千円
585,682,876
千円
523,628,418
%
%
%
%
%
道 職員 費を
除 いた 徴 税費
2.02
1.96
2.67
2.75
2.36
道 職 員 費
計
1.39
3. 41
1.17
3. 13
1.02
3. 70
1.09
3. 84
1.18
3. 53
人
922
人
929
人
902
人
893
人
870
職
員
数
円
円
円
円
円
道 職員 費を
除 いた 徴 税費
11,154,309
11,389,377
17,965,557
18,032,905
14,191,409
道 職 員 数
計
7,676,065
18 ,8 30 ,3 74
6,824,274
18 ,2 13 ,6 51
6,891,907
24 ,8 57 ,4 63
7,137,628
25 ,1 70 ,5 33
7,078,578
21 ,2 69 ,9 87
徴税費は平成21年度においては、平成20年度と比較しておよそ40億円減
少している。減少した大きな要因は道職員数を除いた徴税費の内、個人道民税徴
収取扱交付金と軽油引取税特別徴収義務者交付金の減少である。
税収入に対する徴税費の割合は、平成20年度では全国都道府県中33位と高
い。全国平均は2.7%であり、それによると道は100円の税収に対し、全国
平均より1円14銭多く徴税費を負担している。
- 195 -
2 徴税費決算状況
《過去3年間の人件費を除いた徴税費決算状況》
( 単 位: 千 円 )
款 項
目
徴税費
賦課徴収費
節
内 容
支 払 先 等
報 酬 一般職非常勤職員
共 済 費 労働保険料等(一般職非常勤職員及び臨時職員)
賃 金 臨時職員
報 償 費 全道中学生税をテーマとしたポスター展副賞等購入経費
旅 費 賦課徴収業務等に係る旅行費用
需 用 費 印刷製本費、消耗品費、修繕費等
役 務 費 証紙取扱手数料
㈳日本自動車販売協会連合会
平成 20年 度
平成 21年度
66,201
73,195
8,441
9,855
74,539
9,935
28,632
24,649
21,753
1,268
1,403
1,352
66,383
31,343
26,447
225,138
198,741
186,486
115,612
103,393
88,084
コンビニ収納代行業務手数料
㈱セディナ
15,548
17,180
19,525
預金取引調査手数料
各金融機関
2,895
3,425
3,857
インターネット公売に係るシステム利用料
㈱ヤフー
421
461
72
公金口座振替手数料
㈱北 洋銀行(北洋 を経由し て支払)
3,384
3,264
3,111
ゆうちょ銀行公金取扱手数料
㈱北 洋銀行(北洋 を経由し て支払)
39,916
803
727
道税広報(広告料-新聞)
広告代理店
通信運搬費(納税通知書等郵送料等)、保険料等
役務費 計
委 託 料 道税総合情報処理システムに係る電算処理業務 ㈱HBA
5,535
−
−
369,556
331,186
319,408
552,867
459,712
434,784
860,625
940,495
868,202
道税に係る収納磁気テープの作成業務
㈱北洋銀行
28,270
29,377
30,630
軽油流通情報管理システム運用業務
(財)地方自治情報センター
24,133
23,281
23,554
自動車税分配情報作成業務
(財)地方自治情報センター
28,669
27,281
25,202
たばこ流通情報管理システム運用業務
(財)地方自治情報センター
6,583
6,519
6,462
地方消費税都道府県間清算システム運用業務
(財)地方自治情報センター
494
494
494
「全国町・字ファイル」保守等運用業務
(財)地方自治情報センター
340
340
340
利子割還付調整システム運用業務
(財)地方自治情報センター
387
387
387
法人税関係データ作成業務
国(札幌国税局長)
32
32
23
法人二税業務委託料
NTT北海道テレマート㈱・㈱HBA
15,239
18,385
道税広報(広告料-新聞・ラジオ等)
広告代理店
11,955
8,264
6,743
7,889
6,995
4,072
969,377
1,058,704
984,494
208,132
207,497
209,764
4,477
5,084
5,084
11,482
11,387
7,720
224,091
223,968
222,568
札幌道税 事務所自 動車税部 等庁舎維 持(清 掃、警備等)
委託料 計
使用料及び
賃借料
支 出済 額
平 成19 年度
道税総合情報処理システムに係る端末機等賃借料 ㈱HBA
北海道税収入証紙表示計器賃借料
日立キャピタル㈱
その他(複写機等機器借上、リース車借上料等)
使用料及び賃借料 計
−
工事請負費 庁舎改修等に伴う工事費
10,689
137
0
備品購入費 徴税用備品(自動車等)更新・購入経費
15,173
6,158
7,314
公 課 費 重量税(徴税用自動車)
負 担 金 、 補 OSS負担金
助及び 交付
会費及び負担金
金
OSS都道府県税協議会
㈳地方税電子化協議会
796
899
697
12,018
11,866
11,813
30,160
30,540
32,735
11,922,293
11,942,336
8,518,039
308,295
304,815
290,337
1,992
10,761
14,013
特別徴収義務者
44,791
43,663
41,632
軽油引取税特別徴収義務者交付金
特別徴収義務者
1,708,627
1,662,939
1,460,288
軽油引取税納税協力団体交付金
北海道石油業(協組連)
4,000
4,000
3,600
狩猟税交付金
㈳北海道猟友会
3,700
3,700
3,700
14,035,876
14,014,620
10,376,157
個人道民税徴収取扱交付金
道内市町村
地方消費税徴収取扱費
国(函館税関長、国税庁長官)
循環資源利用促進税特別徴収義務者交付金
特別徴収義務者
ゴルフ場利用税特別徴収義務者交付金
小 計 道民税利子割市町村交付金
道内市町村
2,833,735
2,773,228
2,469,275
ゴルフ場利用税市町村交付金
道内市町村
1,760,962
1,685,345
1,500,572
自動車取得税市町村交付金
道内市町村
11,383,693
9,105,571
6,874,289
軽油引取税指定市交付金
指定市(札幌市)
8,493,491
7,541,334
7,718,159
地方消費税市町村交付金
道内市町村
60,166,263
55,699,369
56,913,305
道民税配当割市町村交付金
道内市町村
1,497,609
539,954
465,895
道民税株式等譲渡所得割市町村交付金
道内市町村
823,298
400,220
204,411
86,959,051
77,745,021
76,145,906
小 計(市町村交付金)
100,994,927
91,759,641
86,522,063
徴税費合計 103,163,983
93,848,405
88,492,432
徴税費合計(市町村交付金を除く)※
16,204,932
16,103,384
12,346,526
負担金、補助及び交付金 計
※税務統計「賦課徴収費」と徴税費決算額との乖離については、税務統計では徴税費決算額のうち市町村に交付する交付金を除いているためである。
- 196 -
(1)役務費
・
証紙取扱手数料は自動車税及び自動車取得税の証紙徴収に係わる税証紙の
売りさばき業務に対する手数料であり、
(社)日本自動車販売協会連合会への
支出である。近年自動車の保有台数と取得台数の減少により、税収の減収に
伴い、取扱手数料も減少している。
・ コンビニ収納代行業務手数料は、自動車税を納税者がコンビニで納付した
際に、道がコンビニ収納代行業者対する徴収手数料等の支出である。コンビ
ニ納付が増加していることに伴い、手数料も増加傾向にあり、今後も増加す
ると思われる。
・ 通信運搬費(納税通知書等郵送料等)及び保険料は、納税通知書、納付書等
の発送の際の切手代他の郵送料であり、役務費の約7割を占める。
(2)委託料
・
道税システムに係わる電算処理業務の運用、稼働、入力代行業務等を㈱H
BAに委託し、支出している費用が委託料の約9割を占めている。
・ (財)地方自治情報センターに対する運用業務費用は、全国的な課税に関
する情報を入手することにより、適正な課税を行うために支出する費用であ
る。例えば、自動車税分配情報作成業務において、自動車税を電算処理する
際に必要な自動車税分配情報は、国土交通省の自動車登録ファイルに記載さ
れている自動車の登録情報のうち、自動車税の課税に必要な情報について、
総務省と国土交通省との協議により(財)地方自治情報センターにおいて自
動車登録ファイルから全都道府県分を一括して抽出し、各都道府県毎に分割
の上、配布することとされており、当該システムはこれらの情報を管理・配
布するシステムである。
(3)使用料及び賃借料
道税システムの端末機、サーバの賃借料が主で、年間2億強の支出がある。
(4)負担金、補助及び交付金
・
OSS負担金は、都道府県の相互協力により自動車税及び自動車取得税に
係わる自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)の円滑な導
入を推進し、安定的に運営する事を目的として、平成16年6月に「OSS
都道府県税協議会」が設立され、本道も当協議会の構成員となっていること
から、支出している負担金である。
・ 個人道民税徴収取扱交付金は、市町村による個人道民税の賦課徴収費用を
補填するため、道が市町村に交付するものである。平成21年度においては、
1納税義務者に対し3,300円を徴収取扱費とし、年間交付額として85億
円を道は市町村に交付している。ちなみに平成19年度と平成20年度は1
納税義務者に対し4,000円、年間交付額は平成19年度、平成20年度共
- 197 -
に119億円である。平成21年度の徴収取扱交付金の減額の理由としては、
平成19年度と平成20年度においては税源移譲に伴うシステムの改訂、納
税者からの問い合わせの対応を考慮して算定したが、2年経過したことによ
り減額されている。
・ 地方消費税徴収取扱費は、都道府県税である地方消費税(貨物割及び譲渡
割)の賦課徴収を国が消費税と併せて行っている事に対し、その賦課徴収に
関する事務を行うための費用を補償するため、法第72条の113の規定に
基づき国に対し支払っているものである。徴収取扱費の算定方法は、地方消
費税法施行例第35条の17において、貨物割に対して100分の0.55
と定め、また地例第6条の11においては、譲渡割に対して100分の0.
35と定めている。徴収取扱費の支払いに関しては、清算額を計算するに当
たり、徴収取扱費を相殺して道に振り込まれている。平成21年度における
地方消費税徴収取扱費の負担額は、およそ2億9千万円である。
・ 取扱交付金及び特別徴収義務者交付金は、法令等に基づき本税の賦課徴収、
特別徴収の円滑な運営及び納期限内納入の促進を図るため、特別徴収義務者
に対し、毎年度支出する交付金である。例えばゴルフ場に係わるゴルフ場利
用税については、特別徴収制度によることとされているが、最近における当
該特別徴収事務に要する人件費、事務費の負担増にかんがみ、ゴルフ場の特
別徴収義務者に対し、毎年度、予算の範囲内において交付金を交付し、もっ
て本税の円滑な運営及び納期限内納入の促進を図るものである。
・ 個人道民税特別徴収取扱交付金は景気低迷による道税収入の減少に伴い交
付金も減少している。また軽油引取税特別徴収義務者交付金においても、自
動車保有台数の減少等により軽油引取税の減少と共に交付金も減少傾向にあ
る。
・ 市町村交付金は、税目ごとに地方税法で定めたところにより、政令で定め
る率等を用いて計算した額を、さらに税目ごとに定める按分方法により按分
して市町村へ交付する交付金のことである。例えばゴルフ場利用税市町村交
付金の場合は、ゴルフ場の所在する市町村に対し、8月、12月、3月の3
回にゴルフ場利用税の額の10分の7の額の額をゴルフ場利用税市町村交付
金として交付している。
《平成21年度直接徴税費》
(単位:千円)
税
自
目
車
定
額
委
託
直
接
徴
費
交
付
税
87, 32 9,3 54
25, 20 2
地 方 消 費 税
69, 29 2,2 65
494
道 た ば こ 税
12, 95 1,9 03
6,4 62
ゴ ル フ場 利 用 税
2,2 01 ,91 5
軽 油 引 取 税
63, 48 6,1 41
狩
動
調
猟
税
23, 55 4
128 ,4 06
※市町村交付金を除く。
- 198 -
税
費
費
合
計
割
合
25, 20 2
0.0 3%
290 ,8 31
0.4 0%
6,4 62
0.0 5%
41, 63 2
41, 63 2
1.9 0%
1,4 63 ,88 8
1,4 87 ,44 2
2.3 0%
3,7 00
3,7 00
2.9 0%
290 ,3 37
3
監査手続き
関係資料を閲覧し、ヒアリングを行った。
4
指摘意見
【意見47】
(財)地方自治情報センターへの委託料については、その積算根拠が明
確でないことや、センターからの情報も必ずしも有効に活用できてい
ない事実もあることから、当該団体との協議や全国的な会議の場での
問題提起などを通じて、負担金額の削減など、その有効性を検証すべ
きである。
(財)地方自治情報センター(以下「センター」と言う。)は、地方自治体のコ
ンピュータの有効利用を促進する目的で、昭和45年に設立された公益法人であ
る。
道はセンターに対し、道税について、次に掲げる業務を委託し、平成21年度
では総額56,439千円の委託料を支出している。
《道税における(財)地方自治情報センター関係経費について》
区
分
利 子 割還 付 調 整 シ ステ ム
平 成 21 年 度 実 績
387 千 円
業 務 内容 等
利子割額の 控除又 は還付に 係わ
る 都 道府 県 間 の 精 算事 務
た ば こ流 通 情 報 管 理シ ス テ ム
6,4 62 千円
全国のたば この流 通量を一 元管
理 し 、脱 税 防 止 を 図る も の
軽 油 流通 情 報 管 理 シス テ ム
23, 554 千 円
全国の軽油 の流通 量を一元 管理
し 、 脱税 の 防 止 を 図る も の
自 動 車税 分 配 情 報
25, 202 千 円
自動車税に 係わる 各種登録 情報
の取得
地方消 費税 都道府 県間 清算シ ス
494 千 円
テム
地方消費税 の都道 府県間清 算事
務
「 全 国町・字 フ ァ イ ル 」保 守及 び
340 千 円
メ ン テナ ン ス
道税総合情 報処理 システム にお
け る 住所 コ ー ド の メン テ ナ ン ス
計
56, 439 千 円
※ 標 記シ ス テ ム 等 は全 都 道 府 県 にお い て 共 同 で運 用 し て い るも の で あ る 。
委託契約は随意契約により行われており、その選定理由はセンターのみがシス
テムを保有していることから、契約の目的物の代替性がないためである。
主な委託費の算定根拠は、センターからの次に掲げる積算に基づく見積書等で
あり、その見積金額の請求どおり支出している。
- 199 -
・たばこ流通情報管理システム ①+②
①基本運営費 センターのシステムの運営経費の20%を都道府県で均等割り
する。
②比例運営費 都道府県における道府県たばこ税収入決算額により算定
・軽油流通情報管理システム ①+②
①基本運営費 センターのシステムの運営経費の20%を都道府県で均等割り
②比例運営費 都道府県における軽油引取税収入決算額により算定
・自動車税分配情報
情報1件当たりの単価により算定
これら運営費及び単価の積算は、センターの算出した運営費及び単価内訳を基
に行われており、それが適正な額かは道では把握できない状況である。センター
の運営費については、平成22年に行われた国の事業仕分けで問題視されている。
道たばこ税での【意見28】で、たばこ流通情報システムの活用の問題点を指
摘したが、軽油引取税での軽油流通情報管理システムにおいても次のような問題
がある。
センターの事業報告によると、「軽油流通情報管理システムは、 軽油引取税の
課税の適正化に資するため、地方税法の規定に基づく元売、特約指定等の都道府
県間通知に係わる情報及び受払い報告書等の都道府県への通知に係わる情報を、
全国レベルで管理し、処理するものとされている。すなわち、軽油の流通情報を
一元的に管理し、軽油引取税に関する必要な情報を関係都道府県間に相互提供す
ることにより、軽油引取税の課税の適正化に資することを目的としている」とあ
る。
このシステムでは、軽油引取税に係わる事務のうち以下の3種類の管理ができ
るとされている。
①事業者管理
元売業者、特約業者、大口需要者等の情報の登録
②申告・報告書管理
各都道府県から送付した申告書及び報告書によるデータ作成
③数量突合管理
上記申告データに基づき、事業者間の数量の整合性を検査
このうち、最も重要なものは③の「数量突合管理」と思われる。これにより、
軽油の「出荷元である元売業者からの報告数量」と「特別徴収義務者の納入申告
数量」の整合性をチェックし、不整合データが見つかれば、それについてのみ検
証作業を行えばよく、軽油引取税に係わる事務が飛躍的に効率化するはずのもの
である。
この不整合データは「納入地別納入数量不一致リスト」(以下、「不一致リス
ト」と言う。)という名称で、システムから毎月かなりの量が出力されているに
も係わらず、残念ながら実際には活用されていないのが現状だという。その理由
として、不一致リストにはいくつかの大きな問題があるようである。その問題点
について、ある担当部署の文書に次のような記載がある。
- 200 -
『不一致リストの問題点』
① 事務所及び事業所等の新設番号が直ちに反映されないため、その場合には
不一致リストが出力される。
② 経由の流通が「元売業者→特約業者→販売店」という基本的な流れから少
しでも外れると全て不一致リストが出力される。
③ 元売業者から特約業者の給油所(地下貯蔵所)に直送された場合、元売業
者が提出する「納入数量明細書」と元売業者が提出する「納入先別納入数量
報告書」との突合であり、特約業者が提出する「納入数量明細書」とは突合
の対象となっていない。
④ 特約業者の貯蔵施設(地下貯蔵所等)からの出荷分は全て不一致リストが
出力される。
⑤ 元売業者及び特約業者の両者で不明コードを記載した場合には一致扱いと
され、不一致リストが出力されない。
このように「不一致リスト」は業者間の数量の不適合以外の原因によっても出
力されるため、あまり活用していないとのことであった。
さらに、道で正しいデータを入力したとしても他のすべての都府県が誤りなく
正しいデータを入力しない限り、蓄積されたデータは信頼性に劣り、各都道府県
が相互利用できる仕組みとはなっていないとのことである。
このような活用実態にも係わらず、各都府県を初め、道でもこのシステムを利
用するために毎年度多大なコストを負担し続けている。
当該システムは、地方税法に規定された申告情報等の他都府県への通知事務の
省力化には寄与しているものの、データが必ずしも有効に活用できていない事実
もある。それらのデータに対してもただ言いなりで委託料を支出することは、問
題である。道の財政も逼迫しているが、全国の都府県も厳しい財政状態である。
そのため、従来のように言われたまま負担するのではなく、当該団体との協議や
前述のOSS負担金のように、全国的な会議の場での問題提起などを通して、負
担金額の削減など、その有効性を検証すべきである。
【意見48】道税総合情報処理システムの電算処理業務に係わる委託料については、
徴税費削減の観点から、業務を分離し一部を指名競争入札に移行する
可能性を検討すべきである。
道税システムに係わる電算処理業務に対する支出は、委託料の約9割を占め、
民間企業へ支出する徴税費の中では最大である。この委託業務は、導入した平成
6年度から現在まで随意契約により行われており、業務内容は次に掲げる道税総
合情報処理システムにかかる業務である。
①オンライン業務
②センター処理業務
③コンピュータの入力媒体作成業務
④コンピュータにより作成した納税通知書等を封かん及び封入・封かんする業務
⑤出力された帳票を帳合いし、裁断する業務
⑥コンピュータに保存されているデータのCD−ROM作成業務
- 201 -
⑦コンピュータに係わるプログラム作成等の業務
平成22年度の委託契約書によると、業務委託料は、①及び②の業務について、
年間6億9,25万8,240円であり、③から⑦の業務については次に掲げる単
価により計算される。
入力媒体作成業務
ANK1字あたり
0.39 円
漢字1字あたり
1.41 円
入力媒体料1件あたり
0.3 円
シーリング業務
封かん1件あたり
3.5 円
封入・封かん1件あたり
3.5 円
コレートアンドデ ィタッチャー処理業務
1件あたり
14.0 円
CD−ROM作成 業務
マスタ1枚あたり
15,200 円
コピー1枚あたり
2,100 円
プログラム作成業 務
1人工あたり
562,000 円
この委託契約については、平成18年度の包括外部監査『随意契約について』
において監査対象とされており、その報告書の[随意契約によることの妥当性]
の中で委託先選定理由である、
「当該システムは道税の各種業務を常に行っており、
委託先を変更する場合は移行するためのシステムを停止することになるので業務
に著しく支障をきたす。」について、データ移行のためシステムを停止する場合の
支障の内容が具体的に検証されず、抽象的な「著しい支障」が記録上記されてい
るだけで、過去の理由書の記載を見ても、前年度の抽象的な内容をそのまま踏襲
し、その理由について具体的な検証をしていないと論じられている。それに対す
る提案事項の中に「特命随契の方法を選択したプロセスの妥当性・公平性・透明
性について、後日、検証が可能となるように、どのような資料に基づき例外用件
をクリアしたのか記録として残すべきである。」と提案している。また、[委託料
算定根拠の妥当性]の中では、積算における人員数が実態に合致しているのか不
明とし、提案事項として「積算プロセスを明示し、積算根拠の妥当性を裏付ける
資料を準備し、検証できる形で記録に残すようにすべきである。」と提案している。
これらの提案事項に対し、道は是正措置として提案を実行し、委託料の算定に
ついては、積算根拠の妥当性を裏付けるため、積算を明確にするとしたが、過去
3年間の調査資料によると、ほぼ同じ内容の人件費算定における人員数の検証の
みであった。
徴税費の削減という観点からは、随意契約によることの妥当性だけではなく、
指名競争入札の可能性も検討すべきである。例えば、業務を分離し一部を指名競
- 202 -
争入札に移行する可能性である。少なくとも委託業務の④と⑤は分離の可能性が
あるのではないか。千葉県では長年に渡って、自動車税の納税通知書印字業務を
システム開発業者でなければできないものと位置づけ、その開発業者との随意契
約によっていたが、印刷技術の向上やソフトウエアの技術革新の結果、競争入札
可能な環境が整ったとして、平成18年度からは配達業務も含めて指名競争入札
を採用し、システム開発業者以外の者と従前より低い金額で契約を締結している。
道も随意契約に拘泥せず、少なくとも業務を分離し指名競争入札に移行する可能
性を検討すべきである
【意見49】年間40万件発生し、多大なコストが生じている督促状の発付につい
て、納期内納税率の向上及び公平の観点とともに、現在の道財政の状
況も考慮し、督促手数料を徴収することを検討すべきである。
昭和38年の税制改正により、地方税法の督促手数料の規定が改正され、条例
の定めるところにより徴収が義務付けられていたものが、条例の定めるところに
より徴収することができるものとなり、地方団体の判断に任されたのを機に、道
では、督促手数料を徴収していないが、優良な納税者との公平性、納期内納税率
の向上及び道財政の状況の改善の観点から、導入を検討すべきである。
①
②
③
優良な納税者との公平性を保つため、督促手数料を徴収すべきである。
納期内納税率の向上のため、督促手数料を徴収すべきである。
道財政が厳しいことから、督促に係わる費用を滞納者に負担してもらうべき
である。
①について
優良納税者の視点から見ると、税金を期限内に納めず、督促状の送付があっ
てから納めているのは、滞納者本人の失念や怠慢、あるいは個人の経済事情が
要因であるから、それにかかる経費を優良納税者が納めた税金から支出するの
ではなく、滞納者本人から負担してもらうべきだと考えることは妥当である。
②について
期限後納税の罰則として延滞金の制度があるが、延滞金は1,000円まで
かからず、3万円の本税であれば、3か月間ほどかからないことになり、「夏の
賞与までもう少しだし、1、2か月くらいなら遅れても延滞金かからないから」
という軽い気持ちで滞納する者も多いのではないか。そのような滞納者に対し
ては、100∼200円と少額ではあるが、納期内に納めようという動機にな
ると考えられる。
③について
年間40万件(自動車税35万件、一般税5万件)の督促状について、現在
の発送方法等から勘案すると、郵便料金だけで年間2,000万円程度の徴税
コストを相殺できる。
道内においても、67の市町村が督促手数料を徴収しており(平成20年度)、
- 203 -
財政状況が厳しい道としても、同様に滞納者に対して手数料の負担を求めるべ
きと考える。
徴収料金の額としては、郵便料金だけで80円の実費が生じているとともに、
印刷費や電算処理費等を考慮すると、200円を徴収することも適当ではない
かと考える。(由仁町では条例で200円と定めている。)
督促手数料を200円とした場合、年間8,000万円の収入増が見込まれ、
その効果は極めて大きい。
○導入に当たっての問題点とその対策
導入に当たっての問題点として、少額の手数料を課して、これを徴収しよう
とすると、収入以上に経費がかかり、経済的に損失が生じるのではないかとい
う懸念もあるが、この点については、次のように分析する。
督促状は、平成9年度から納付書兼用となっているから、督促状と督促手数
料の通知書を兼務し、手数料金額を上乗せした金額を表示するだけでよく、新
たに別途通知書を送付する必要はない。
その後、必ず本税と一緒に督促手数料を徴収すれば、新たな経費は発生しな
い。
ただし、督促状送付後に、納税者が督促状兼納付書を使わずに、定期納税通
知書を使って納付すると、督促手数料を払わずに本税を納付することが可能で
ある。この場合に少額の督促手数料が単体で未納となることはあり得る。
この対策としては、まず、督促状送付時のお知らせ文に「必ず、督促手数料
を含めたこの納付書で納めてください。督促手数料が未納の場合、翌年年度以
降の自動車税の納税証明書(車検取得時に必要です)が交付されませんので注
意してください。
」と注意を促し、督促手数料が単体で未納にならないよう取り
組む必要がある。
次に、督促手数料が単体で未納となった場合の徴収事務であるが、この督促
手数料のみで、催告を行うと経費がかかるので、単独の催告は見合わせ、翌年
度の自動車税や他の税を徴収するときに併せて徴収することが適当である。
督促状の大部分を占める自動車税の場合、延滞金のみの未納と同様に、前年
度以前の督促手数料が未納の場合、翌年度の自動車税の定期納税通知書に添付
されている納税証明書欄(領収印の押印で有効な証明書となる)を「×」表示
とし、車検を取る場合に、督促手数料を納付しないと納税証明書が交付されな
いように取り扱えば、督促手数料の未納を防止することができると考える。
車検を取らないで廃車にしてしまう場合には、上記の防止策は有効に働かな
いが、その場合、催告などの経費に見合った収入が得られないので、積極的に
は徴収すべきではないと考える。ただし、時効成立までに新たな他の税金が発
生した場合は一緒に徴収事務を行うべきである。
その他、初期投資として、電算システムのプログラム修正があると考えられ
る。修正が多岐に渡る場合、多額の修正費用がかかることも考えられるので、
導入に当たっては、費用対効果を検証する必要があるが、少なくとも年間2,
000万円の郵便コストを相殺できることから、十分に費用対効果は発生する
- 204 -
のではないかと考える。
【所
感】負担金については、その効果等を慎重に検討し支出することが望まれる。
OSS負担金は、平成17年度より毎年度約1,200万をOSS都道府県税
協議会に支出している負担金である。OSSとは自動車保有関連手続きのワンス
トップサービスの略で、自動車を保有するために必要な多くの手続き(検査・登
録、保管場所証明、自動車諸税の納税等)をオンラインで一括して行うことがで
きるシステムの運営を国土交通省と都道府県が半額ずつ負担している。
しかし、現在OSSシステムを導入しているのは10都府県で、道は導入して
いない。導入している10都府県の利用率は年々増加しているが、平成21年5
月現在の利用率は7.25%と低く、低利用率と高コストのため多くの県が導入
を見送っているのが現状である。
この負担金について、平成22年4月6日の全国知事会において大分県知事か
ら、ほとんどの県が実際上システムを稼働していないのに負担金を支出している
状況を議会からも指摘されているので、検討してほしいとの意見があり、その後
検討が行われ、機器更新によるコスト縮減等の見直しを行ったことや導入済み都
府県への負担割合を増加したため、未導入道府県の負担が減少し、平成23年度
の予算見込みでは年835千円と平成22年度予算の約7%となる予定である。
道のOSS負担金支出に関する平成22年6月15日の決定書において、支出
理由は次のように記載されている。
[支出の理由]
都道府県の相互協力により自動車及び自動車取得税に係わる自動車保有関係
手続のワンストップサービス(OSS)の円滑な導入を推進し、安定的に運営
することを目的に、平成16年6月にOSS都道府県税協議会が設立され、本
道も会員として当協議会の構成員となっていることから、負担金を支出するも
のである。
上記の理由からは、この負担金の現状及び将来の効果についての検討をするこ
とはなく、協議会の構成員だから支出しているのではないかとの疑問が生じる。
現在道は大変厳しい財政状態であることをふまえて、ただ請求があるから負担
するのではなく、その効果及びコストパフォーマンスを考慮し、慎重に支出すべ
きである。
《OSS都道府県税協議会負担金の推移》
(単位:千円)
区分
平成 18 年 度
平成 19 年 度
平成 20 年 度
平成 21 年 度
平成 22 年 度
事 務 経費
500
500
500
500
500
共 有 経費
11, 50 7
11, 51 8
11, 36 6
11, 31 3
11, 25 9
計
12, 00 7
12, 01 8
11, 86 6
11, 81 3
11, 75 9
- 205 -
第23
1
システム
概要(現状)
(1)道税に関係する情報システム
《システム名とシステム概要》
システム名
道 税総合 情報処理 システ
ム
システムの概要
道税の総合的な電算処理を行うシステム(下記「(2)道
税情報処理システム」を参照)
。
軽 油流通 情報管理 システ
ム
軽油引取税の脱税防止と都道府県間における流通量の管
理事務の効率化を図るため、軽油の流通情報等を管理す
るシステム。全都道府県を会員として、㈶地方自治情報
センターが管理・運営を行っている。
たばこ税の脱税防止と都道府県間における流通量の管理
事務の効率化を図るため、たばこの流通情報等を管理す
るシステム。全都道府県を会員として、㈶地方自治情報
センターが管理・運営を行っている。
た ばこ流 通情報管 理シス
テム
自 動車税 分配情報 システ
ム
地方税電子申告システム
(エルタックス:eLTAX)
自動車税を電算処理する際に必要な自動車税分配情報を
管理・配布するシステム。㈶地方自治情報センターが管
理・運営を行っている。
地方税における申告等の手続きをインターネットを利用
して電子的に行うシステム。㈳地方税電子化協議会が管
理・運営を行っている。なお、道も当協議会の構成員と
なっている。
(2)道税総合情報処理システム
ア
開発の経緯
道税事務の電算化は、昭和43年の自動車税の課税・収納管理業務をはじ
めとして、昭和45年に個人事業税の課税事務、昭和58年に法人二税の課
税事務、昭和62年に収入管理業務の電算化を行ってきた。
しかし、これらの開発が、それぞれ個別に行われてきたため、税目間に統
一性、データの連動性がなく、情報の有効利用が図られない状況にあった。
このことから、全税目について課税から収入管理業務まで、一連の事務処
理を統一的に処理するトータルシステムの構築を目指し、平成2年度に基本
計画を作成、平成3年度から4カ年をかけて道税システムを開発した。
- 206 -
《システム開発スケジュール》
開発
区分
開 発 対象 税 目 等
あ て 名管 理
平成 3 年度
平成 4 年度
平成 5 年度
平成 6 年度
平成 7 年度
( 第 1 年 次) ( 第 2 年 次) ( 第 3 年 次) ( 第 4 年 次) ( 第 5 年 次)
概 要 設計
詳 細 設計
第 1 次開 発
プログラム 設計 第 1 次 開 発
道税総 合情
法 人 二税 課 税
プログラム 作成 分 本 稼働
報処理システム
道民税 利子割 課 税
テスト・研 修
全面稼働
個 人 事業 税 課 税
鉱 区 税課 税
徴収
徴 収 管理
第 2 次開 発
オンラ イン ( 共 通部 )
間 税 四税 課 税
詳 細 設計
プログラム 設計
不動産 取得税 課 税
プログラム 作成
自 動 車二 税 課 税
テスト・研 修
計 数 管理
平成6年度の1次稼働を経て、平成7年4月に全面稼働した。以後、平成
11年度に「自動車税滞納管理システム」を構築、平成17年度からの「自
動車税納税証明書自動発行機 (*1) 」の導入、平成18年1月の「地方税電子申
告システム(エルタックス:eLTAX)」導入に伴う同システムとの接続(*2) 等の
修正を行っており、効率的かつ省力化された道税の賦課徴収事務を行うのに
不可欠なシステムとして活用されている。
平成23年1月からは、国税庁より㈳地方税電子化協議会を通じて各地方
公共団体に所得税確定申告書等のデータが送信されることとなり、この申告
書等のデータを、道税総合情報処理システムにおいて取り込んでいる。
(*1 )
自 動 車 税 納 税証 明 書( 継 続 検 査 用 )の交 付 事 務 の 軽減 を 図 り 、関 連 職 員の 削
減 を 行う た め 、自 動 車税 納 税 証 明 書の 発 行 枚 数 が多 い 振 興 局 等に 対 し 、納 税 証
明 書 自動 発 行 機 が 導入 さ れ て い る 。平 成1 7 年 度 に 2台 、平 成 1 9 年 度 に1 台 、
平 成 21 年 度 に 7 台と 、 全 道 で 合計 1 0 台 導 入さ れ て い る 。
(*2 )
地 方 税 電子 申 告 シ ス テ ム ( エ ル タ ッ ク ス :e LTA X ) を 導 入 し て 、 法 人 二税 に
係 わ る申 告 書 等 を オン ラ イ ン で 受付 し て お り 、道 税総 合 処 理 シ ステ ム に 申 告 デ
ー タ を取 り 込 ん で いる 。
- 207 -
イ
システム構成
汎用機
センターサーバ群
・滞納管理サーバ
・電子帳票サーバ
・電子申告サーバ
・税務イントラサーバ
・高速プリンタ
・事後処理機
納税証明書自動発行機
L2 L
専用回線
・納税証明書発行
サーバ
【 Windows2 00 3Se rver】
【 Win dowsXP】
端末# 01
端末#0 2
・ 課税情報入力
・ 納税情報確認
・ 収納管理業務
・ 滞納処分業務
など
・道税総合情報処理シ ステム
・自動車税滞納管理シ ステム
・電子申告シ ステム
・電子帳票シ ステム
・税務イント ラネ ット
プリンタ
・ 各種帳票出力
・ 納税通知書等作成
など
納税証明書
自動発行機
・納税証明書発行
現在導入されているサーバやパソコン、プリンタ、ネットワーク機器等は、
平成17年9月に締結したリース契約に基づき使用している。このリース契
約は、平成22年8月に終了したため、パソコンについては、更新年度が3
年延長されたことから、平成25年8月まで再リースによる使用が延長され
ている。
また、サーバ等については機器更新を行い、平成27年10月までリース
契約が締結されている。
2
監査手続
道税システム等に係わる各種資料を閲覧するとともに、必要に応じて関係者へ
の質問を実施した。なお、情報システムの品質等の信頼性、不正アクセス行為か
らの保護等の安全性、等のシステム監査は実施していない。
3
指摘意見
【意見50】道税システムについて、他都府県の事例の研究や民間企業との共同研
究などにより費用対効果等の検証を進め、システムの再構築を検討す
べきである。
- 208 -
現在使用している道税システムは、今から15年ほど前の平成7年度に全面稼
働したものである。全面稼働後も、システムの追加・修正等が行われているとは
いえ、システム構築から相当長い年数が経っている。IT技術の進歩が著しい昨
今、道税システムも見直す時期にきているのではないか。今後のシステムのあり
方について、早めに検討を行うべきである。
システムの再構築については、汎用機(ホストコンピュータ)の小型化、シス
テムのオープン化等の検討が、国税や他府県で検討ないし実践されている。国税
では、平成16年度から「国税関係業務の業務・システム最適化計画」が進行中
である。岡山県では、平成22年から「汎用機システム再構築事業」が開始され
ており、税務システム開発プロジェクトもその中に含まれている。山形県では、
既に汎用機システムの再構築を実施済みで、県税システムをWeb(サーブレッ
ト)方式のオープンシステムとし、平成22年4月から稼働を開始している。
道も、IT推進本部の中に「庁内全体最適化ワーキンググループ」を設置して
おり、この中で、道税システム等の大型汎用機に係わる電算処理のあり方につい
て検討されている。
最近では、クラウドコンピューティング(注)等が話題となっており、自治体
でも、庁内サーバの統合・仮想化といった「プライベートクラウド」、市町村との
システム共同利用を実現する「自治体クラウド」が注目されている。
「自治体クラ
ウド」については、その開発実証事業が本格的に動き出している。
道も、
「自治体クラウド」を試験的に導入しており、公有財産の管理等で道内市
町村とシステムの共同運用を行っている。
このような環境の下、道税システムの再構築についても検討することが必要と
思われる。
汎用機の小型化、システムのオープン化、クラウドコンピューティング等は、
業務の効率化やコスト削減の観点から行われるものであり、道税システムの再構
築を検討するにあたっては、業務手順見直しや事務の集中についても当然に検討
することとなろう。本報告書の他の箇所に記載された業務効率化・コスト軽減化
のための意見についても、併せて検討されることが望まれる。
業務効率化・コスト削減のためには、二次元コードの利用等の新技術の利用も
有益である。また、アウトソーシングの活用も必要な視点であろう。これらにつ
いても、システム再構築検討の際に、検討項目に加わるものと思われる。
システム再構築について、民間企業等と共同研究を実施するのも一考に値する
であろう。佐賀県では、実際に、汎用機で稼働しているシステムをオープン系シ
ステムへ移行させるために、その移行方法や実施体制について、民間企業と共同
研究を行っている。民間の知恵・創意・工夫を取り入れることは、より良いシス
テム再構築に資するものと思われる。
財政状況の厳しさが耳に入る近年、費用対効果の高いシステムへの再構築が必
要であり、道税システムの再構築について検討すべきである。
(注)クラウドコンピューティング・・・インターネット等のネットワークを利
用し、コンピュータ処理をネットワーク経由で行うこと。
- 209 -
Ⅴ
おわりに
包括外部監査人として、今回の監査を通じ感じたことを、総括して述べたい。
第1
今後の道の税務行政について
今回の監査において指摘した事務処理上の問題がある個別事案については早
急に改善を求めるとともに、今後の道の税務行政について、次の点を述べたい。
現在、道の財政状態は厳しく、将来的にも大幅な好転の見通しもない。さら
に重要な自主財源である道税においても、当初予算収入が2年連続して5,0
00億円を下回り、収入未済額は200億円を超えている状況である。税収は
法律の改正等がない限り、その時の社会情勢や経済状況に左右される。今後の
道の社会情勢を考えると少子高齢化により、人口の減少、特に勤労所得者であ
る納税者の減少が進み、税収の減少は避けられない。さらに、経済状況も主要
な基幹産業のない道としては、今後も景気の低迷は続くと思われ、経済状況の
好転による大幅な税収の増加は期待できないと思われる。
この厳しい財政状況において、課税の公平や適法な執行を確保するために、
今後の道の税務行政に特に求められるのは、徴収機能の強化、事務処理の効率
化、徴税費の削減であると思われる。
1
徴収機能の強化
今後税収が減少した場合、道税を確実に徴収することが重要となる。そのた
め、納税者にとって利便性のある納付方法の開発も必要である。指摘意見で提
言したクレジット納付はもちろん、今国税が推進している電子納税のエルタッ
クスでの推進、さらにはインターネットの普及によるマルチペイメントネット
ワークの活用等も今後検討することが望まれる。
課税漏れを防止するために、課税客体の把握を強化する調査は、課税の公平
の観点からも重要である。実地調査は不正申告や不申告に対し牽制効果がある
ため、全道で統一的に、かつ限られた時間や人員で実施しなければならないこ
とから、計画的に実施することが望まれる。
滞納整理については、現在も税務の管理職員が臨戸し直接徴収するなど大変
な努力をしているが、多額の収入未済額を解消するためには抜本的な改革も必
要と思われる。指摘意見で提言したように、収入未済額が多い個人道民税につ
いては、市町村と連携を強化することや滞納整理機構の設立推進等により、重
点的に検討することが望まれる。さらに、滞納整理を効率的かつ迅速に対応で
きる組織体制への構築も必要と思われ、指摘意見で提言した徴収体制の改革と
して、高額滞納整理組織の創設や滞納整理の分業化等も検討されることが望ま
れる。
また、滞納を牽制する手段として、広報も重要である。道の徴収強化の姿勢
を納税者に新聞等でアピールしたことにより、滞納が減少した事例もあること
から、今後は税収確保のため、あらゆる広報手段により滞納を牽制する方策を
検討することが望まれる。
- 210 -
2
事務処理の効率化
今回振興局等を実地監査して感じたことは、一部の事務処理について、統一
性がなく行われていたことである。その理由の一つとして挙げられたのは事務
処理の手引書の内容が古く、実態に合っていないことであった。また、道税シ
ステムが古く、機能的に現在の事務処理に必要な資料の出力やデータの作成が
出来ない部分があることであった。そのため、税務担当者は事務処理について
独自の手法を考案したり、自分のパソコンで資料を作成したりしている。この
ような状況では、道税における事務処理が、効率的に行われず、また課税や徴
収が公平に行われない可能性もある。
そのため道は、事務処理の手引書をその時の実態に合うよう適正に作成する
とともに、時代に合った事務処理やより効率的な事務処理の方法に改定できる
態勢を整えることが望まれる。また道税システムについては、機能の改定や効
率化のための再構築が必要と思われるが、それだけではなくコスト面も考慮し、
汎用機の小型化・オープン化に向けた調査研究を民間及び他の都府県と共同で
行うことも至急検討することが望まれる。
今後の職員の減少に対応するためには、抜本的な組織再編を検討することも
必要である。指摘意見で提言したとおり、特定の業務については全道集約や民
間開放等により効率化をさらに推進することを検討すべきであり、さらに将来
的には組織の統合等も検討することが望まれる。
3
徴税費の削減
徴税費は税を徴収するために必要とする費用と考えられる。今後税収の減少
が継続した場合、徴税費を削減しなければ自主財源の実質的な減少となる。徴
税費には、交付金のように税収に対応して変動する費用もあれば、人件費や委
託料のように固定している費用もある。
交付金については、一部の税目において、法令又は通達等により特別徴収義
務者や納税協力団体に交付されている。それらの交付金の発生した理由の多く
は、事務処理費用の一部を負担するためである。これらの交付金については、
全国ほぼ一律に交付しているため、道が単独で減額することは難しいと思われ
るが、すべての税目に交付金がある訳ではないため公平性の観点から疑問があ
ることや地方の財政状況の悪化を考慮し、減額を働きかけることは可能ではな
いか。財政状況の厳しい道が率先してこれらの交付金の削減を提言し、全国の
地方財政に貢献することが望まれる。
委託料などの固定費についても、削減の努力が必要である。今回委託料や負
担金の支出決定書の支出理由を検証したが、多くが毎年委託先の提示した額の
精査がなされずに支出されていた。道は、財政状況が厳しさを増す中、無駄な
費用を支出しないよう最善の注意と検討を行わなければならない。今後、徴税
費については形式的に検討し、漫然と支出するのではなく、コストパフォーマ
ンスを考慮し決定することが望まれる。
また徴税費については、削減の検討だけではなく、指摘意見で提言した督促
- 211 -
手数料のように、滞納した納税者がその事務費の一部を負担することも課税の
公平の見地から検討することが望まれる。
第2
今後の地方税制に望むこと
国の三位一体改革により、地方分権の推進が図られ、税源移譲のように地方
の税収確保については改革されているが、地方税の制度自体の改革は進んでい
ない。
ただ、「平成23年度税制改正大綱」(平成22年12月16日・閣議決定)
において、地方税の充実として、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方
税制体系を構築するとして、地方消費税の充実を例に挙げている。今後、地方
財政に貢献する地方税体系の改革が行われることが望まれる。
また上記大綱では、
「租税教育の充実」において、国民が租税教育により、社
会のあり方を主体的に考えることは、納税に対する納得感の醸成と民主国家の
維持・発展にとって重要とし、租税教育の充実に向けた各種の支援を実施する
としている。
これらを踏まえて今後の地方税制に関し、包括外部監査人が望むことを述べ
たい。
1
国税と地方税の徴収一元化
地方税制改革において、課税体系の改革も必要であるが、課税システムの改
革も合わせて構築すべきである。納税者の申告や徴収の利便性を考慮した改革
も必要である。そこで方策のひとつとして、所得税と個人住民税、法人税と法
人住民税及び法人事業税のような税目の課税方式を一元化する方法が考えられ
る。個人と法人の所得等を課税標準とするこれらの税目については、申告と徴
収を一元化することは可能と考える。それにより、納税者の申告や納税を簡素
化できると同時に徴税コストの削減にもなる。徴税コストを考えると、現在道
の税目で徴税費の負担が少ないのは地方消費税である。地方消費税は申告と徴
収が国に一元化されているため、道全体の人件費を含めた徴税費割合が約3%
に対し、地方消費税の徴税費割合は国に負担する約0.4%と非常に低い。し
かし一元化には課税時期の相違や一元化した実務を国と地方のどちらが行うか
など課題も多い。早急な実現は無理と思われるが、地方税の事務処理の効率化
と徴税費削減の観点から今後検討が望まれる。
2
租税教育の制度化
現在、納税は憲法で定められた国民の義務でありながら、租税について、国
民に義務教育等では教えられていない。そのため、多くの国民は税についての
理解が不足している。
今回の監査において、道民が道税を理解していれば、事務の効率化を図れ、
かつ徴税費が削減されると思われる事例が散見された。例えば、不動産取得税
は賦課課税であるが、条例第44条の4の第1項で、「不動産を取得した者は、
- 212 -
不動産取得の日から30日以内に必要事項を記載した申告書を当該不動産所在
地の市町村を経由して、知事に提出しなければならない」と規定されている。
ただその規定をほとんどの道民が知らないため申告書の提出は多くない。その
ため、道は不動産の取得の事実を調査し課税している。もし道民が義務として
申告書を提出しなければならないことを理解し提出していれば、調査等の事務
も軽減され、それに伴い徴税費も削減できるのではないか。
また、納税の重要性も教育することにより、滞納整理事務の軽減にも繋がる
と思われる。これは、国税に関しても同じことが言える。
そのため租税教育を制度化すべきである。現在、北海道税理士会は学生に対
する租税教育に取り組んでいるが、道全体を網羅するのは不可能である。国ま
たは道が、制度として租税教育を導入することが望まれる。
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