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企画特集 - Travel Journal Gateway

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企画特集 - Travel Journal Gateway
企画特集
∼2010年を乗り切る のアイデア∼
豪華な宮殿に世界遺産、芸術、街歩き。ヨーロッパ人気に押さ
れつつも、豊富な魅力で確実な存在感を放つロシア。しかし、そ
の旅行市場は、世界金融危機、輸入中古車への関税引き上げな
どと、決して恵まれた環境ではない。それでも、プラスαのアイデ
アで需要を摘み取る旅行会社は健在。同時に業界団体を通じた
課題解決への努力も惜しまない。企画・販売現場の声を聞きなが
ら、厳しい時代を乗り切る「売れるロシア旅行」のヒントを探る。
デザイン:㈱東美 内藤清美/文:高岸洋行
扉写真協力:ウラジオストク航空
(高山植物)
、ジャパン・エア・トラベル・マーケティング
(サハリン・コルサコフ港)
TRAVEL JOURNAL 2009.11.2
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仕入れ環境好転の今こそ
「企画」が生きる
バブルの鎮静化が観光にはプラス効果
世界同時不況の影響により、ロシア経済もバブル状態が沈静化。これに伴い、完全な売り手市場だったロ
シアのホテルやランドの手配環境も一変した。業務渡航需要は大打撃を受けているものの、観光需要には追
い風が吹いた格好だ。これまでは、とにかく部屋の確保に神経をすり減らしていた旅行会社にも、企画のア
イデアにエネルギーを注ぐ余力が生まれつつあるようだ。来年までは続きそうなこの好環境を、どこまでロ
シア観光需要の底上げにつなげられるか、旅行業界の力が試される。
業務渡航の激減を観光が補う
これに対して観 光 需 要は比 較 的 好 調をキープ。 新 型
インフルエンザの 影 響 はあったものの、6月以 降 は 回 復
昨 年のリーマンショックに端を発 する世 界 同 時 不 況の
し て おり、 ア エ ロフロ ート・ロシア 航 空( SU)によれ
影 響は、ロシア経 済も直 撃した。このため「 業 務 渡 航は
ば、 燃 油 サーチャージが 引き下 げられた7月からは、 観
かなり減 少している」
(インツーリスト・ジャパン)
、「イ
光性の旅客数は増加傾向にあるという。航空運賃の高さ
ンセンティブなど MICEはかなり厳しい状 況 」
(ジャパン・
がネックとされている極 東ロシアへ の 観 光 需 要も上 向き
エ ア・トラ ベ ル・ マ ー ケ ティング〔 JATM〕)と、 ビジネ
で、ウラジオストク航 空( XF)が 今 夏に成 田と関 空 から
スがらみの渡航需要が全般的に落ち込んだ。特に極東ロ
カムチャツカへ 飛 ばした チャーターフライトは、11本 が
シアへの需 要は激 減。 貿易額の8割を占めていたとさえ
いずれもほぼ満席となり、成功を収めた。
言われる中古 車 関 連ビジネスが、ロシアの関 税引き上げ
で壊 滅したため、日本と極 東ロシア間を往 来していたビ
ジネス客も激減した。
欧州ロシアの仕入れ環境は改善
また日本の経 済 環 境も好 転 せ ず企 業の経 費 抑 制が続
ロシア経済のバブル鎮静化は、これまで世界各国から
き、視察旅行需要なども減少。「今年は兵庫県とハバロフ
モスクワや サンクトペテルブルクに押し寄 せ ていたビジ
スクの姉妹提携40周年がらみの視察があった程度。見積
ネス需要にも冷や水を浴びせた。その結果、売り手市場
もり依 頼 はあっても、コスト面 で 韓 国などに勝 てずにご
で強 気 一 辺 倒だったホテルなども態 度を軟 化。「 昨 年ま
破算になった省庁関連の団体もあった」
( JATM)
という。
では値段の交渉は不可能だったが、今年は交渉の余地が
生まれた。 時にはホテル側 からスペシャルオファーの 提
案などもあった 」
(インツーリスト・ジャパンの 本 蔵 愛 里
営 業 企 画 課 長 )と驚くほどの変 化があった。 伸び 続ける
ビジネス需 要を当て込んで建 設された外 資 系ホテルが、
昨 年あたりからオープンする一 方で、 不 況により客 足に
急ブレーキがかかった結 果、絶 対と思われていた売り手
優位の構図が崩れ去った。今年のホテルレートは最高値
だった 時 期 の7割 前 後まで 低 下。この 状 況はもうしばら
く続くと期 待され、「 2010年 の 仕 入 れレートはまだ 未 確
定だが、 今 年 のレートが ベースになりそうで、 昨 年まで
チャーターの成功で脚光を浴びるカムチャツカ。リピーター開拓にも期待が
かかる
(写真提供:ウラジオストク航空)
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TRAVEL JOURNAL 2009.11.2
と比べれば仕入れ環境は良い状態が続きそうだ」
(本蔵課
長 )とのことだ。さらにロシア経 済 の 減 速とともに円 高
※9月7∼31日の間、小誌ウェブサイト
「トラベルジャーナルゲートウェイ」などにおいて旅行会社の企画・販売担当者を対象としたアンケートを実施した。有効回答数は62。
/ルーブル安も進 行し、日本の旅 行 会 社にとっては為 替
りを持たせる、② 渋 滞は平日に発 生するのでバス移 動が
の面でも、仕入れコストを低減できるメリットがある。
土・日になるよう日程を調 整 する―― の2つ。 特 にモス
とはいえ、 ユーラスツアーズの 坂 田 恒 衛 社 長は、「ホ
クワ滞 在を土・日にす れば、ホテルの 宿 泊コストも抑 制
テルの改 装 工 事で客 室 供 給 量 が 減 少している局 面もあ
できるメリットがある。
り、環境が厳しいのは事実」との見方を示す。だからこそ、
シーズンとしては、日本 からの 需 要 がピークに達 する
「 旅 行 代 金 が 高めでも、ロシアの良さを十 分 理 解しても
7、8月は現 地の夏のバカンス時 期に当たり、モスクワの
らえるような企 画を盛り込んだ商 品の提 供 が 不 可 欠 」と
渋滞も緩和される。航空運賃が高い時期ではあるものの、
強調する。同社の取り扱い例のひとつに、日本のアマチュ
現 地のオペレーションは比 較 的やりやすい。 問 題は、モ
ア合 唱 団 がロシアに民 謡のルーツを訪ねるツアーがある
スクワに人が戻って渋滞が激化する一方、航空運賃はそ
が、 劇 場を借りてロシアの 合 唱 団とコンサ ートを行 い、
のままでランド が 高 騰 す る9月。この た めインツーリス
交 流を図るなど、ロシアならではの「目的とテーマ」の提
ト・ジャパンでは、「 航 空 運 賃は直 行 便 以 外を利 用 する
案が実績につながったという。
ことでコストを抑え、 渋 滞 回 避に関してはモスクワの土・
日滞在を徹底することでしのぐ」と工夫を凝らす。
交通渋滞回避にもアイデアと工夫
旅 行 会 社に対 する本 誌 のアンケートでも「 モスクワの
結果を出す新発想の商品
平日の交通渋滞は本当に疲れる」
「渋滞がひどい」と評判
これまでは「 モスクワ・サンクトペ テルブルク8日間 」
の悪い交通事情だが、渋滞回避の自衛策も取られつつあ
の 定 番 商 品 へ の 一 極 集 中で、よく言えばゴールデンパ
る。インツーリスト・ジャパンによれ ば 渋 滞 回 避 の 基 本
ターン、 悪く言えば マンネリパターンが 出 来 上 がってし
は、① 企 画 段 階でスケジュールを詰め込みすぎず、ゆと
まっていた欧州ロシア商品だが、今年は変化の兆しが見
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えている。JTB が モスクワを含まない サンクトペテルブ
本 誌のアンケートでは、「 現 状のパッケージツアーは魅
ルクの モノデ スティネーション5日間 商 品 をメディア 商
力的な内 容だと思うか?」の質 問に全 体の64.5%が「 魅 力
品として 販 売。ロシアとは 距 離を置 いてきたエイチ・ア
的だと思う」と回答。「効率的に見どころを集約している」
イ・エス( HIS)も、 下 期 から同 様の商 品を発 売し、いず
「料金的にも安価」といった理由で既存の商品を支持して
れも好 調な売れ 行きだ。 従 来の定 番 パターンと大きく異
いる。 一 方で「 欧 州 各 国と比 較して売りづらいと思う点 」
なる「 サンクトペテルブルクの モノデス5日間 」という商
を尋 ねたところ、 最も多 い 指 摘 が「 パッケージの 種 類・
品は、当初は売れ行きを疑 問 視する見 方もあったが、フ
多 様 性に欠ける」だった。 今 回の「サンクトペテルブルク
タを開ければ、そんな疑問を吹き飛ばす結果となった。
のモノデス5日間 」の 予 想 以 上 のヒットは、パッケージの
マンネリ化を打破するきっかけとなるかもしれない。
高 価 格 帯の商 品に動きが出てきたのも新たな傾 向だ。
ツアーの 骨 格は売 れ 筋 のモスクワ/ サンクトペテルブル
ク周遊型だが、特別な味付けを施して50万円を超える商
品を企 画・手 配したインツーリスト・ジャパンでは、 予
想を上 回る集 客に成 功。しかも「 大 部 分 がビジネスクラ
ス利用の150万円以上のコースへの申し込みだった」。
極 東ロシアでも新たな動きがある。これまで極 東ロシ
アは、近い割には航 空 運 賃に割 高 感があり、パッケージ
ツアーの 販 売は盛り上 がりに欠ける面 があった。しかし
昨年9月からXF が新潟/ハバロフスクに就航し、以前か
貸し切りでさまざまな用途に使えるエルミタージュ劇場
日露観光交流の促進に動き
JATA や新潟県、課題解決や需要創造へ意欲
ロシア観光の可能性に着目した
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ことを決め、9月18日に旅行博の
員 の7社・8人 が 参 加 し た。
「これ
動きが活発化している。政府間協
会場でミーティングを行った。日
までロシアを訪れたことがない旅
議の枠組みである「日露観光交流促
本側は地域ごとに抽出した課題を
行会社の担当者に、実際の極東ロ
進協議会」の民間版として発足した
事前にロシア側に伝え、これをも
シアを見てもらい、旅行の可能性
「日露観光交流意見交換会」が、昨
とに意見交換が行われることを期
を認識してもらう」
(新潟県交通政
年3月にモスクワで第1回会合を開
待したが、実際のミーティングで
策局空港課)との目的で実施した
催。交流促進に向けた課題の克服
はロシア側が地域ごとのプロモー
が、「旧ソ連時代のイメージを持つ
に努力することを申し合わせた。
ションに終始した。今回は日本側
年代の参加者は、実際に訪れて印
これを受けて「日露観光交流意見交
が望んだ活発な意見交換に発展す
象が変わったとの感想。若い年代
換会」のメンバーである JATA(日本
ることはなく、今後も紆余曲折が
の参加者はすんなりと間近にある
旅行業協会)は事務局として、ロシ
予想されるが、日露観光交流促進
ヨーロッパを評価してくれた」
(同)
アを観光特性の異なる3地域(欧州
に向けたステップが踏み出された
と反応は良かったとのこと。実際、
ロシア/中央ロシア・シベリア/
ことは間違いない。
新潟発着便を利用するロシア旅行
極東ロシア)に分けて課題を抽出。
***
の利便性に注目する旅行会社も増
昨年12月には「日露観光交流促進
一方、極東ロシアへの玄関口と
えてきており、たとえばユーラス
協議会・3つの地域別分科会」を設
なっている新潟県も、観光交流促
ツアーズでは、「商品造成を促進し
けて課題の解決に当たる方針を決
進に向けた取り組みを強化してい
て販売強化していく」
(営業部の出
めた。その後、世界的な経済危機
る。10月初旬には ANTA(全国旅行
充課長)考え。同社では、熟年層
などの影響で活動が停滞したが、
業協会)北信越地方協議会・新潟
に人気の高いシベリア鉄道を組み
JATA 世 界 旅 行 博 に ロ シ ア 側 関 係
県支部の協力を得て、極東ロシア
込んだツアーなどで、新潟から旅
者が来日する機会に意見交換する
へ の 研 修 旅 行 を 実 施 し、ANTA 会
行者を送客している。
TRAVEL JOURNAL 2009.11.2
ら運 航している新 潟 /ウラジオストクを組 み 合わ せるこ
績のある旅行会社に
とで、 新 潟 / ハバロフスク/ウラジオストク/ 新 潟をす
商品造成を働きかけ
べ てXF で つなぐことが 可 能 になり、 パッケージツアー
た。その結果、同じ
を造 成しや すくなった。「 そ れまでと比 較してコスト的
秘 境 デ ス ティネ ー
には数 万円安くでき、 今 年からは極 東ロシアを本 格 的に
ションとして 積 極 的
商 品 化 する動きも出てきた」
( JATM 営 業 本 部の滝 澤さ
に商 品 化してもらえ
おり副本部長)
という。
た。 来 年はより早い
段 階 から声をかけ、
最 近では若年層を中心に雑 貨が人気 上昇
中。バレエや音楽とともに女性にアピールで
きるテーマだ
カギ握るチャーター活用
アプローチする旅行会社も増やしていきたい」
(営業本部
今後のロシア旅行の需要動向のカギを握る要素のひと
JATM はさらに、地 方 発 チャーターに 関してもこれま
つが、チャーター便の活 用だ。XFを中 心に今 年も数 多
での 極 東ロシア方 面に加えて、 欧 州ロシアへ のチャー
くのチャーター便 利 用 商 品を仕 掛けてきたJATMは、 地
ターを強 化 する方 針だ。 特にロシア航 空( FV)を使 用し
方 発 のウラジオストクや ハ バロフスクへ のチャーターだ
た サンクトペ テルブルクへ の チャーターに 期 待を寄 せ
けでなく、 首 都 圏 や 関 西 圏とカムチャツカや ユジノサハ
る。「 FV が 新たにB767を導 入したことで、日本 からサン
リンスクを結 ぶチャーターも成 功させ、 極 東ロシアへ の
クトペテルブルクへ の 直 行 チャーターが 可 能 になった。
旅行需要喚起に新たな可能性を示してみせた。JATMは、
サンクト以 遠をFV の 定 期 便 でつなぐことまで 視 野に入
「 今 年 初 めて試 みたユジノサハリンスクへ のチャーター
については、 すでにカムチャツカのチャーターなどで 実
航空営業部の斉藤暁部長)
と意欲満々だ。
れれば、欧州主要都市も組み込んだ商品企画も実現でき、
可能性がさらに広がる」
(斉藤部長)
と構想を膨らませる。
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観光庁長官登録旅行業第1796号/日本旅行業協会(JATA)正会員/IATA公認代理店
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東京都港区愛宕1-1-10 ナカタ・マック虎ノ門ビル4F http://www.jatm.co.jp
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TJ09.11.02 ロシア特集
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レジャーに追い風、モスクワでは新ターミナルも
世界同時不況と新型インフルエンザのダブルパンチに見舞
われてビジネス旅客需要が激減する一方で、ロシアへのレ
ジャー需要が上向いている。ビジネス志向だった欧州ロシア
線もレジャー需要の重要性が増し、ビジネス旅客が激減の極
東ロシア線ではレジャー需要の重要性は一段と高い。航空会
社の関心はビジネスからレジャーに向きつつあり、旅行会社
にとってはロシア市場を拡大するチャンス到来だ。
48
ウラジオストク/モスクワ間に就航するXF の A330-300 型機
■ 極東ロシアはチャーターに活路
年 よりロ ードファク
「景気後退も手伝ってビジネス旅客需要が激減した」
ターはやや下がって
ウラジオストク航 空( XF)の 花 岡 健 治 旅 客 営 業 部 部 長
いるが、全 体として
は、業 務 渡 航 市 場の厳しい現 状をこう語る。 極 東ロシア
さほど 大きな落ち込
では、日本との貿 易 額の8割を占めていた中 古 車ビジネ
みはない」
(大城成二
スが関 税の引き上げで壊 滅した。だが、そうしたなかで
日本地区営業部長)
もレジャー 需 要 が 対 象 のチャーターは 好 調 で、 今 年 は
と今 年を振り返る。ロードファクターの 低 下 は、ロシア
XF が 成 田、 松 本、 出 雲、 関 空とウラジオストク・ハ バ
からの旅客減が主な原因で、景気低迷と新型インフルエ
ロフスクや 岡 山 / ユジノサ ハリンスクなど 年 間150本を
ンザ の 二 重 苦 だった5月ごろまでの 影 響 が 大きかった。
実 施。なかでも成 田と関 空 からカムチャツカまで飛 ばし
それ 以 降は、日本 からのレジャー需 要 が 持ち直し、「 燃
た11本 のチャーターと、 成 田 / ユジノサハリンスクで 週
油 サーチャージが 下 がった7月からは前 年 以 上の伸び 」
2010 年 初 頭 にお目見え予 定のモスクワ・
シェレメチェボ空港第3ターミナル
2便 のペースで実 施したチャーターが 成 功し、い ずれも
( 大 城 部 長 )となり、パッケージツアー客 が、いずれも順
90%以 上 のロードファクターを達 成している。XF は 来
調に座 席を埋 めているという。レジャー需 要 の 高まりを
年のチャーター展開について、「今年の150本以上を目指
受けてチャーターの要望も複数の旅行会社から寄せられ
して おり、ウラジオストクまでをチャーター 利 用 で、 そ
て おり、SUとしてもチャーターに 積 極 的 に 取り組 んで
こからサンクトペテルブルクまでを定 期 便 利 用といった
いく方 針 だ。また、2010年 初 頭 にはモスクワ・シェレメ
ツアー造 成なども働きかけていきたい」
( 花 岡 部 長 )と意
チェボ空 港で、SU の新 拠 点となる第3ターミナルが 完 成
欲を示している。
予定。新ターミナルは国内・国際線の両方が発着し、乗
■ 値頃感のあるツアー好調
り継ぎの 利 便 性も大 幅 に 向 上 する。また SUとともにス
一 方、 成 田 /モスクワ間をデイリー運 航し、日本と欧
カイチーム加 盟 航 空 会 社も同ターミナルに集 結。 空の旅
州ロシアを結ぶアエロフロート・ロシア航 空( SU)は、「 昨
がより快適になること間違いなしだ。
TRAVEL JOURNAL 2009.11.2
TJ09.11.02 ロシア特集
企画・販売に効くプラスα情報
∼プロが選んだ魅力の素材はコレ∼
太平洋からバルト海までにわたって横たわるユーラシア大陸の多くを占めるロシア。日本の45倍の面積
を誇る広大なロシアは、大きく分けても極東ロシア、中央ロシア、欧州ロシアの3地域からなり、それぞれ
異なる魅力と素材が豊富にある。現在、日本で紹介され商品化されている素材は、そのほんの一部でしかな
い。さらに手つかずの大自然、ロシア帝国時代を物語る歴史遺産、郷愁を誘うシベリア鉄道と、素材の種類
や内容も幅広い。膨大な選択肢の中から、プロが勧める魅力の素材をピックアップした。
もっと売れるサハリンへのトライアル
●ジャパン・エア・トラベル・マーケティング
ジャパン・エア・トラベル・マーケティング( JATM)は、ユジノサハリンスクの
可能性に注目している。今年スタートしたウラジオストク航空(XF)の成田/ユジ
ノサハリンスクの ITC(週2便)がビジネス客を中心に好成績を確保。下期の継続も
決まり、
「年間を通じて安定した座席確保が可能になったことで、パッケージツアー
も造成しやすくなる」
( JATM 営業本部航空営業部の斉藤暁部長)からだ。そもそも
お勧めのサハリン州立郷土博物館
ユジノサハリンスクは日本領で、訪問を希望するニーズは一定程度あるものの、ア は、日本統治時代の豊原の代表
(写真提供:JATM)
クセスの問題もあり需要が顕在化してこなかった。また今年のチャーター開始にあ 的な日本建築
たっては「ゼロからのスタートということもあり、関東市場へのアプローチが十分
でなかった」
(斉藤部長)と反省する。もともと大自然の宝庫であるユジノサハリン
トゥナイチャ湖周辺に咲く高山植物は、6月中旬
から7月下旬にかけて楽しめる
(写真提供:JATM)
スクは、アウトドア系のツアーの舞台として大きな可能性を秘める。川や湖でのフィッシング、あるいはバードウォッチングに
最適な場所が数多くある。熟年に人気の観光素材となる高山植物も、トゥナイチャ湖周辺など絶好の観察スポットがある。
また成田/ユジノサハリンスクのチャーターフライトを利用するだけでなく、稚内/ユジノサハリンスク(コルサコフ港)間の
フェリーとの組み合わせも可能。成田から空路ユジノサハリンスクに向かい、宿泊観光の後はコルサコフ港からフェリーで稚内
へ移動。国内線で東京へ戻るという、ツアーパターンも変化に富んだ旅行となる。JATM は今後、巨大な関東市場へのアプローチ
を強化し、サハリン需要の掘り起こしを強化していく方針だ。
深くて熱いロシア体験で高い満足度
●ユーラスツアーズ
「ロシアには、自然も歴史も現地の人々との
サハリンやカムチャツカ
チャーターの活用を
●ウラジオストク航空
交流も、とにかく本物がある。だから旅行者
ウラジオストク航空( XF)は今年、成田
をガッカリさせることは少ない」というユー
と関空から実施したカムチャツカチャー
ラスツアーズの坂田恒衛社長は、ロシアの素
ターの成功で、カムチャツカへの潜在需
材の魅力には絶対の自信を持っているとい
要の大きさに自信を深めた。「新型インフ
う。そんな坂田社長のお勧め素材が、ロシア
ルエンザがあったにもかかわらずキャン
版の田舎暮らしと家庭菜園をミックスさせた
セルが全くなかったのは画期的だった」
手作りのため、それぞれ趣の異なるダー
チャ。人々との触れ合いや家庭料理が 醍
(写真提供:ユーラスツアーズ)
「ダーチャ」
。豊かになった都市住民の間では、 醐味
(旅客営業部の花岡健治部長)と今年を振
週末になると田舎のセカンドハウスに滞在して、家庭菜園の収穫物でロシアバー
り返り、来年は今年以上にチャーター本
ベキューを楽しむダーチャ・ライフが定着しているが、
新素材として商品化を検討する
アムール川クルーズ。さまざまな
民族を訪ねることも
(写真提供:ユーラスツアーズ)
数を増やしたい考えだ。成田/ユジノサ
これを旅行の素材に取り入れるアイデアだ。「とっつき
ハリンスクのチャーターも好調で、さら
は悪いが親しくなればこれほど温かい民族はないとい
なる需要掘り起こしのため、
「稚内とユ
うくらいの、ロシア人の本当の姿に触れられるのが魅
ジノサハリンスク(コルサコフ港)を結ぶ
力」
(坂田社長)である。鉄道の旅情を楽しめるシベリア
ハートランドフェリーと共同で、フライ
鉄道も、「列車の設備も良くなったし、日本の旅行者に
&クルーズ企画の実現を旅行会社へ働き
は根強い人気があるので期待できる」
(同)と見ている。
掛けていきたい」
(花岡部長)としている。
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企画に付加価値をもたらす“プライベート感”
●インツーリスト・ジャパン
定番中の定番となっているモスクワ・サンクトペテルブルク商品だが、
新たな付加価値を工夫する余地はあるというのはインツーリスト・ジャパ
ン。ツアーに不可欠な素材となっているエカテリーナ宮殿観光にも、まだ
新鮮な切り口が提供できる。たとえば、エカテリーナ宮殿の広大な敷地の
中にある池の活用。池には島があるが、島内のパビリオンの修復作業が昨
年完了。現在ではバンケット施設として利用できる。夕暮れ時に中世風の
渡し船で島に渡り、ディナーと白夜を楽しむ企画は、欧米のインセンティ
ブツアーなどではすでに人気を集めている。
「ほかにも、現地での交渉力
工夫次第でさまざまな演出ができるプライベートコンサート。旅
行者にも人気
(写真提供:インツーリスト・ジャパン)
があるインツーリストだからこそ実現できる仕掛けはいろいろと考えられる」
(本蔵愛里営業企画課長)。
プライベート感や特別感を提供できる素材はほかにもある。インツーリスト・ジャパンはイ
サック寺院(サンクトペテルブルク)でのプライベートコンサートも勧める。単純に閉館後の貸
し切りコンサートにはせず、閉館直前のまだ一般客が残る時間帯からプライベートコンサート
を始めることで特別感を引き立たせ、演出効果を高めるといったアイデアも用意できるという。
訪問地として期待されるのは、2010年に建都1000年を迎えるヤロスラブリ。ロシア有数の
古都ながらアクセスが良くなかったが、急行列車の運行が始まりモスクワから3時間で行ける
ようになった。また「黄金の環」の他の古都と組み合わせてバスによる古都巡りに仕立てること
エカテリーナ宮殿の庭園に流れる静か
も可能。インツーリスト・ジャパンは今後、パッケージツアーや団体旅行用の素材として積極
な時間の中、小舟でバンケットに渡る
(写真提供:インツーリスト・ジャパン) 的に紹介していく方針だ。
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TJ09.11.02 ロシア特集
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