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資3 活動の実績 - JICA報告書PDF版

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資3 活動の実績 - JICA報告書PDF版
資3 活動の実績
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
資料-3
活動の実績
3-1 成果 1 に対する活動
3-1-1 事業監督の体制強化
給水事業体の監督責任は郡にあるが、中間レビュー以前(2009 年 4 月)は、モデル給水事業体か
ら対象郡への定期報告や、郡から給水事業体への監督・指導などは、担当者の業務として認識さ
れていた。しかしながら、大規模な問題が生じた場合ですら、郡担当者は積極的に問題解決に関
与することはなかった。また、給水施設が長期間停止するような大きな障害が生じない限りにお
いては、給水事業体から問題が郡に伝えられることもなかった。但し、キレヘ郡は SNV の支援に
より、数回にわたり、給水事業体を報告のために郡に呼び、各給水事業体の状況・問題点等を口
頭できいていた。しかしながら、積極的に活動していた担当者が交代してから後は、このような
会合は止まってしまった。また、県による郡への関与は皆無で、これらの状況を改善するために、
中間レビュー以降、以下のとおり事業監督の体制強化のための活動を実施した。
東部県
Eastern Province

水セクター運営会議
 業務内容の整理
 業務管理と評価の実施
郡

郡から給水事業体へ
 定例運営会議の開催
 フィード・バックの実施
給水事業体から郡へ
 月例報告書の提出
 統一フォーマットの使用
District

給水事業体
Water Service Providers (WSP)
図 A3-1-1 プロジェクト支援内容
2009 年 8 月の時点において、対象郡のインフラ担当者とミーティングを行い、給水事業体によ
る月例(または定期)報告書の提出状況や統一された報告書フォーマットの有無、定例報告会な
どの実施状況を確認した。その結果、カヨンザ郡を除き、所定の報告書フォーマットを用いた定
期報告はなく、郡が主導した定例報告会も行われていないことが明らかになった。
(1) 給水事業体から郡への定例報告について
給水事業体からの報告書の定型書式がなかったため、プロジェクトで月例報告書のフォーマッ
ト(案)を作成した。郡関係者と内容につき整理し、最終化したフォーマットをキニアルワンダ
語に翻訳し、プロジェクトから 4 郡に導入の検討を依頼した。その結果、4 郡ではパイロットサ
イトのみならず、監理する全給水事業体に報告書フォーマットの導入を進めた。
月例報告書フォーマットの導入に際し、一部の給水事業体から、内容が複雑で記載することが
困難とのコメントが出された。このため、記載内容を簡単にした簡易バージョンの報告書フォー
マットを作成し、給水事業体がフォーマットを選択できるようにした。報告書作成が困難な給水
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【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
事業体でも、簡単な報告書を作成するところから始めることで、報告作成・提出の習慣をつける
ように努めた。
2009 年 10 月には、紹介されたフォーマットは 4 郡で導入され、一部の給水事業体で報告書提
出が開始された。報告書の提出は、カヨンザ郡とンゴマ郡で継続されたものの、ルワマガナ郡と
キレヘ郡では、郡の担当者や担当者の上司である E/S の交代などにより、中断することがあった。
ただし、適宜、プロジェクトがフォローして継続的なレポートの提出の維持に努めた。その結果、
プロジェクト終了時点において、4 郡の全パイロットサイトで報告書提出は継続されている。ル
ワマガナ郡、カヨンザ郡、ンゴマ郡では全給水事業体が月例レポートを提出している他、ルワマ
ガナ郡とンゴマ郡では、ほぼすべての給水事業体がプロジェクトで提案したフォーマットを活用
している。キレヘ郡においては、郡担当者の交代が相次いだものの、約半数の給水事業体は継続
してレポートを提出している他、新担当者により、月例報告提出の義務化と統一フォーマットの
普及を新年度より開始することが計画されている。
(2) 郡と給水事業体の定期会議
対象郡が主体となって、給水事業体との定例会議を開いているケースはあまりなかったため、
定例会議の実施を提案した。その結果、ンゴマ郡、カヨンザ郡、キレヘ郡では、定例会議の開催
が開始された。例えば、ンゴマ郡においては、郡の E/S と水担当が四半期毎に運営会議を企画・
開催する活動が定着しており、その場で給水事業体が抱える課題への対応策が協議されている。
ただし、定例会議が定着したのはンゴマ郡のみで、郡の担当者や担当者の上司である E/S の交
代、担当者が多忙なことや予算不足などもあって、定例会議の実施は十分に定着しなかった。こ
の課題を受けて、プロジェクトでは、2011 年 7 月より 2011/12 新年度が開始されることにともな
い、各郡担当者に定例会議の実施を業務計画として位置付けることを提案したところ、全郡から
定例会議の継続と再開についての回答があった。ンゴマ郡及びルワマガナ郡においては 7 月に第
1 回目の定例会議が開かれている他、キレヘ郡においても 8 月に定例会議が開催された。
(3) 郡から給水事業体へのフィード・バックについて
月例報告を受けた郡担当者が、給水事業体に対して適切なフィード・バックができるように、
プロジェクトでフィードバックシートを作成・提案した。フィードバックシートそのものは、業
務が煩雑になることを避けるために活用されていないものの、郡担当者は定例会議にて給水事業
体に対して口頭でフィード・バックを行い、その事項を協議議事録に記載し保管する体制を構築
するに至っている。加えて、協議議事録内での指示内容のフォローアップとして、必要に応じて、
口頭でのフィード・バックが行われている。
(4) 県から郡への事業監督の強化について
プロジェクトは、E/S 並びに郡担当者の度重なる交代による活動の中断に悩まされてきた。そ
こで、プロジェクトは県に対して、郡の E/S や担当者が交代したとしても、郡の業務が中止また
は中断されることなく継続されるようにモニタリングを実施することを提案し、県はこの提案に
合意した。県は郡の業務内容を明確化するとともに、郡の各担当者は、それら業務を自分たちの
業務計画として定めるべきであるとの方針をまとめた。2011 年 8 月に、県はこれを水セクター運
営会議にて発表するとともに、モニタリングを実施していくことを定めた。県はプロジェクト終
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【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
了後も、継続して水セクター運営会議を定期的に開催するとともに、プロジェクトが取り組んで
きた活動の定着と浸透に限らず、水セクター全体の課題に対して検討していくことを決定した。
3-1-2 維持管理ガイドライン作成・郡の技術者育成強化
(1) 維持管理ガイドラインの作成
無償資金協力で作成された運営維持管理マニュアル(維持管理編)は、無償資金協力事業で建
設されるすべての給水施設(動力系給水施設、重力系給水施設およびハンドポンプ)について記
述されている。このため、特に重要となる各ポンプ場での機器の操作について、簡易版となる操
作ガイドラインを施設毎に作成した。
実証サイトのポンプ・オペレーターの能力強化を目的とした維持管理ガイドラインの内容は、
無償案件で作成された維持管理マニュアルから日常メンテナンスに必要な部分を抜粋し、さらに
各サイトの施設状況に併せて模式図や表を追加するなど、より実用的なものとなるように改良し
た。屋外での扱いを考慮して、手軽に参照できるように A3 見開きタイプとし、ラミネート加工
を施して耐久性、耐水性のある仕様とした。
1)
管路系スキーム用ガイドライン(MKM, Nyankora)
MKM スキームのポンプ・オペレーター用として取水ポンプ場(ルワキボゴ)と 2 カ所の中継
ポンプ場(ムーリレ、ムニャガ)
、さらに Nyankora スキームポンプ技術者用として取水ポンプ場
の維持管理業務をまとめたガイドラインをそれぞれ作成した。内容は日常のオペレーションと定
期メンテナンス項目に絞り、作業手順の記述及び運転時のバルブ制御を表記した。ポンプ室内に
は多数のバルブが設置されているため、確認が容易となるように各ポンプ場の施設配置に合わせ
て配管系統図を併記した。
2)
ハンドポンプスキーム用ガイドライン(Murama)
Murama ハンドポンプスキーム用ガイドラインとして無償案件で作成されたハンドポンプ維持
管理マニュアルの内容を A3 見開きタイプに再構成し、屋外使用に耐えるようラミネート加工を
施した。同スキームに設置されているハンドポンプはすべて Afridev タイプであるが、Afridev ハ
ンドポンプはフットバルブ及びプランジャーの O リングと U シールが消耗品であり定期的な交換
が必須となり、それがメンテナンス作業の基本事項である。ガイドラインにはその交換手順を、
15 枚の挿絵を用いて示した。
表 A3-1-1 維持管理ガイドライン一覧
維持管理ガイドライン
RWAKIBOGO
ポンプ場
・
・
・
・
・
・
記載項目
水源(湧水)の解説
取水施設の機能とメンテナンス
受水槽の機能とメンテナンス
取水時及びメンテナンス時のバルブ操作
取水ポンプのオペレーション及びメンテナンス
日常業務の操業手順(運転記録、燃料管理等)
A-3-3
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
維持管理ガイドライン
MWULIRE
ポンプ場
MUNYAGA
ポンプ場
NYANKORA
ポンプ場
MURAMA
ハンドポンプ
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
記載項目
配水槽の設備構成、機能、バルブ操作、メンテナンス
送水時及びメンテナンス時のバルブ操作
送水ポンプのオペレーション及びメンテナンス
日常業務の操業手順(運転記録、燃料管理等)
配水槽の設備構成、機能、バルブ操作、メンテナンス
送水時及びメンテナンス時のバルブ操作
送水ポンプのオペレーション及びメンテナンス
日常業務の操業手順(運転記録、燃料管理等)
配水槽の設備構成、機能、バルブ操作、メンテナンス
送水時及びメンテナンス時のバルブ操作
送水ポンプのオペレーション及びメンテナンス
日常業務の操業手順(運転記録、燃料管理等)
Afridev ハンドポンプの構造
日常メンテナンス項目のチェックリスト
Afridev ハンドポンプのメンテナンス手順(下図)
マニュアルの参照を盛り込み改訂したガイドライン(施設毎)
図 A3-1-2
維持管理ガイドラインの例(Afridev ハンドポンプのメンテナンス手順)
A-3-4
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
3) MKM ポンプ・オペレーターへのポンプ運転・管理マニュアル類
MKM 給水施設については、今までポンプ運転を行っていた 3 カ所のポンプ小屋のポンプ・オ
ペレーターが 2010 年 4 月に離職し、新しいオペレーターに変更となった。このような状況から、
6 月初旬、MKM 水利用組合の職員より、新任技術者への操作トレーニングの依頼を受けた。
また、前任のポンプ技術者は、無償資金協力事業時にソフトコンポーネントおよび現場 OJT に
より操作訓練を受けており、発電機、ポンプの運転にかかる手順やトラブルの対応などの経験を
有していたが、これらの操作方法が新任者に引き継がれていないことが明らかとなった。
これらの状況に鑑み、MKM 給水施設とニャンコラ給水施設で発電機、ポンプの操作、メンテ
ナンスにかかる簡易マニュアルを追加作成した。マニュアルの種類は以下の通りである。
・ポンプコントロールマニュアル
・ポンプメンテナンスマニュアル
・発電機オペレーションマニュアル
・発電機メンテナンスマニュアル
・塩素注入器管理マニュアル
・トラブルシューティング
・一般注意事項
(2) 郡による給水事業体技術者育成能力の強化
1)
給水事業体技術者の研修計画の策定と予算の獲得
2011 年 1 月から 2 月にかけて、今まで本プロジェクトが実施してきた研修内容およびマニュア
ル・ガイドラインの内容をもとに、各郡担当者が作成する給水事業体への研修計画の作成を支援
した。
2)
研修計画予算の獲得と研修計画の最終化
2011 年 4 月中旬には、研修予算の獲得のために郡職員と共に各郡メイヤーと協議するなどの取
り組みを行った結果、カヨンザ郡を除く 3 郡で予算獲得の見込みが立った。また、新年度予算が
7 月末に決定されたことを受けて、8 月上旬には郡職員による詳細な研修計画の立案と各研修の予
算額の試算を支援すると共に、計画予算担当者やメイヤーとの計画協議を促進した。結果、各郡、
今年度 10 月から順次研修を実施していく実行計画が立てられた。
3)
郡を主体とした研修の実施
郡担当官による研修実施能力の向上を目的に、5 月下旬から 6 月上旬にかけて開催するための
会計研修の準備を郡が中心となって実施した。結果、計画通り 5 月末から 6 月初旬にかけて各郡
で会計研修が実施された。特にンゴマ郡およびキレヘ郡では、予算の折衝、参加者への連絡およ
び当日の研修準備が環境・水担当および水組合担当により積極的に実施された。
3-1-3 給水施設建設・リハビリ計画審査の研修
成果 1 の指標 4「郡が給水施設の建設・リハビリ計画を審査する。
」においての活動は、2009 年
中間評価後に設定されたものである。ただし、郡庁では、入札評価以外に給水施設の計画や設計
を審査する場面はなく、各ドナーや NGO が計画に沿って、入札後、施工監理や竣工検査などを
A-3-5
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
行っている。給水施設の技術的な審査についてはインフラ省が担当している。各郡とも入札評価
に関して問題なく実施している。
3 年次の 2 月より郡担当官の本活動に関わる状況を把握するため、アンケートを行った。アン
ケートは、郡担当官に対し、現在抱える給水案件と入札にかける給水案件、また、入札監理の経
験や技術審査についての実情を回答してもらった。
表 A3-1-2 アンケート調査概要(2010 年 2 月)
現在、計画している給水案件
入札予定の給水案件
インフラ担当官の入札立ち会いの経験
技術審査の経験
郡の入札委員会のメンバー
研修の同意
ルワガマナ郡
なし
1件
あり
あり
カヨンザ郡
2件
2件
あり
あり
ンゴマ郡
1件
1件
あり
あり
キレヘ郡
1件
1件
あり
あり
○
○
非常勤
○
あり
あり
あり
あり
この調査結果から、4 郡すべての担当官が入札の技術審査の経験を持ち、大きな問題もなく、
入札が行われている。郡インフラ担当者の現在担当案件(給水案件を含む)の数は以下の通りで
ある(本プロジェクトは除く)
。




ルワガマナ郡: 10案件以上
カヨンザ郡: 10案件
ンゴマ郡:
24案件
キレヘ郡:
8案件
これらは、急速に増えた人口に対する案件が多く、学校建設、ヘルスセンター建設、郡、セク
トゥールやセルの行政事務所建設、道路、マーケット建設、備品調達、給水等である。また、ン
ゴマ郡を除く,3郡でのインフラ担当者が郡のTender Committeeのメンバーになっており、自分の
担当する案件以外も含め、入札にかけられるすべての案件の入札管理や評価を行っている。
インフラ担当官の多忙な業務のなかで、技術審査の高さはそれほど期待されてはおらず、技術
的には、各ドナーやNGOなどが雇用した技術コンサルタントが設計を行っているため、ほとんど
がプロジェクト内容の確認となっている。したがって、各郡の担当官の業務内容を考慮すると、
ポンプの仕様や配管の径など、詳細な技術的知識より、給水計画の各段階(要請、調査、設計、
入札、施工、完工)でどのような項目のチェックが必要なのかを知ることが重要である。本活動
は、郡担当官が、給水施設の建設や改修が適切に計画され進んでいるかを審査できるようになる
ことであり、入札段階だけでは、既に間に合わなくなってしまうことやその後、施工時に起こる
ことなどに対応できない。
そこで本活動では、給水計画の手順と各段階(要請、調査、設計、入札、施工、完工)で、何
が必要であるか、簡単に分かる手順書とチェックリストを作成した。
A-3-6
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
チェックリスト
計 画
Planning
Request
実 施
Tendering
Construction
stage
1.対象地域
の基本情報
2-5.水源の
詳細確認
3-1.プロジェ
クト期間の確
認
4-1.工程管理
2-1.水源の
状況
2-6.電気イ
ンフラの状
況確認
3-2.仕様書の
確認
4-2.品質管理
2-2.水需要
の把握
2-7.材料調達
の確認
3-3.契約条件
の確認
4-3.安全管理
2-3.水質
データの
把握
2-8.貯水槽
の確認
3-4.予算の
確認
2-4.水量の
確認
2-9.
配水状況
の確認
3-5.建設会社
の能力
○年後,評価
After
construction
Check
5.引 渡 し
Mentenace
Sustainability
2-10.
予算の確認
図A3-1-3 給水計画の流れとチェック項目
担当官は、給水計画の流れを理解し、各段階でのチェック項目をチェックリストにより確認す
ることができる。郡の人事異動の現状を考えれば、頻繁に異動があり、新人が給水案件の流れを
把握するには、このような手順書、チェックリストは大変有効である。その後のアンケートでも、
すべての担当官がこのリストを利用すると回答した。
また、終了時評価でも成果の達成度は非常に高いという評価を得ている。
3-1-4 行政支援マニュアルの改良
(1) 行政支援マニュアルの最終化
中間レビュー以後、無償資金協力のソフトコンポーネント活動で作成された行政支援ガイドの
中身を精査し、改良するためのポイントをまとめる作業を開始した。当時の行政支援ガイドの内
容は非常にシンプルであったため、行政担当者の所掌業務を十分に説明できていなかった。この
ため、行政が担当する業務内容を再度整理し、マニュアルを全面的に作成し直すこととした。
まず、現在の給水事業に関連する行政機関と給水事業体の役割を明確にするために、MININFRA
や郡のカウンターパートから業務所掌につき聞き取りを行った。聞き取りの結果をもとに、地方
給水事業関係者の業務所掌案を作成し、プロジェクトが実施するプロジェクトのマネジメント会
議で内容を整理・最終化した。この業務所掌の内容に添った形で、地方給水事業の中心的役割を
担う郡とセクトゥール・セルの役割を整理した。ただし、行政支援マニュアルの中に各関係者の
所掌業務を細かく記載すると、膨大な量となることから、行政支援マニュアルには概論を記載し、
詳細はプロジェクトで作成する他のマニュアルを参照する構造とした。2010 年の 2 月にはマニュ
アル案が作成されたが、他のマニュアルの内容確定が遅れたこともあり、最終案は 2011 年 5 月に
作成された。
この最終案を活用し、行政官対象の行政支援研修を実施した(詳細は後述)
。この研修中に参加
A-3-7
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
者から得た情報を再度整理し、行政支援マニュアルを最終化した。最終化されたマニュアルは、
対象 4 郡長と県により承認され、今後の普及なども視野に入れて、MININFRA とも内容を共有し
た。
(2) 行政官に対する研修
郡のインフラまたは環境・水担当を集め、行政支援マニュアルの最終案を活用し、行政官に対
する研修を実施した。研修では、給水事業に関して郡が実施すべき業務を再確認し、参加者とと
もに行政支援マニュアルの内容についても確認・議論した。
表 A3-1-3 行政支援研修の内容
実施日時
2011年3月25日
場所
ルワマガナ郡
目的
(1) 給水事業関係者の責務の明確化
AVEGA
(2) それらの責務を果たすために必要な活動の明確化
(3) 上述の活動を行うために必要とされる能力とその向上策などの確認
(4) 今後の実施計画策定
参加者
郡のインフラ、環境水担当(ルワマガナ郡は当日参加できなかったので、3月29日に個
別研修を実施した)
研修内容

郡が給水事業を実施していくに当たり、期待されている責務についての講義

参加者が自分の責務の中で重要と思っている活動の確認

参加者が自分の仕事上、課題と感じている事項の確認

重要活動項目の詳細と課題の確認(マニュアルに記載されている内容の精査)

各郡が作成した給水事業体への研修計画のフォローアップ
研修を通じて、改めて郡の給水関連事業に従事するスタッフ数の少なさや施設の修理予算の不
足など、課題が浮き彫りになった。また、郡の関係者に求められている技能は、ピンポイントの
深い技術・知識ではなく、諸々の問題を的確に認識できる、広い範囲のマネジメントに関する知
識であることも再確認された。
研修では、行政支援マニュアルの内容は広範囲にわたるため、技術面や運営面での細かな業務
内容は、他のマニュアルを活用することが確認された。
3-1-5 実証サイトの好事例普及
(1) 好事例の選定と発表
各給水事業体から郡への報告内容、および専門家の活動結果をもとに、2010 年 3 月の時点にお
いて、自己発展性の観点から以下の対象サイトを好事例の対象として JCC にて発表した。
A-3-8
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-1-4 JCC での好事例発表
カテゴリー
対象
選考理由
技術面
ムラマ水利用組合
会計・財務面
ガトレ 2 水利用組合
組織面
ンゴマ郡
社会面
該当なし
水利用組合のハンドポンプ技術者の維持管理能力が向上し、
自分たちでハンドポンプを修復するようになったため。
水利用組合会計が PURA-SANI の支援した会計研修結果に基
づき会計業務を行っているため。
ンゴマ郡は郡内の水利用組合を管理するために、2009 年 10
月から専属に職員を雇用したため。(他郡はセクターリフォ
ームにより、職員を削減している)
給水事業体が地方行政機関(セクトゥール・セル・ウムドゥ
グドゥなど)と密に連絡を取り合い、問題の解決や防止に努
めている事例は確認できなかったため。
(2) 実証サイトにおける運営事例の共有
各給水事業体は、職員の役割や実施方法に若干の違いがあり、この要素として、各給水施設の
性質に依存していることのほかに、単に慣習的に行われていることがある。後者の場合、これを
より最適に改善することで給水事業体の運営をより強化することができる。この考えに基づき、
各給水事業体間での運営方法の共有のため、以下の活動を実施した。
a) 運営・維持管理の手法が給水事業体相互で情報共有できるよう、郡と給水事業体との定例
会合の中で、給水事業体から問題点を発表させるよう支援した。
b) 各郡の給水施設の運営の特長や問題点を現場で共有することを目的に、C/P との月例運営
会議の前に各郡の対象サイトにおいてサイト視察を実施した。
c) 2009 年 9 月に実施した会計研修の中で、給水事業者間で運営や料金徴収に関する事例の
交換を行った。
(3) 実証サイトから他の給水事業体への好事例の普及
2011 年 6 月から 7 月にかけて、各実証サイトでの好事例を他の給水事業体に波及すべく、演習
や実習を交えつつ好事例紹介を以下の日程で実施した。
表 A3-1-5 好事例紹介実施日程
実施日
2011 年
6月9日
2011 年
6 月 11 日
2011 年
6 月 22 日








好事例紹介テーマ
HP サイトにおける料金徴収制度と制
度化に向けた取組
HP 点検・修理のデモンストレーション
ポンプ運転記録
ポンプ連携運転
ポンプ運転管理
サービスレベル管理
施設案内
塩素滅菌器の利用
研修実施場所
ンゴマ郡
ムラマ・セクトゥール
ハンドポンプ 2 基
ルワマガナ郡
イカンベレ・
セミナールーム
ルワマガナ郡
MKM 給水施設
タンク MD1
A-3-9
参加組織
セクトゥール職員 2 名
4 給水事業体
ルワマガナ郡
2 給水事業体
ルワマガナ郡
2 給水事業体
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
実施日
2011 年
6 月 30 日
好事例紹介テーマ
講義

水セクターの体制

月例報告の統一書式
演習

報告書の記載方法

キャッシュフロー
意見交換

給水事業体が抱える課題への対策法
2011 年
7月6日
 PURA-SANI 成果品の紹介
 発電機修理好事例紹介
 点検・修理に関するサイトでの講義
2011 年
7 月 12 日
 啓発活動
2011 年
7 月 22 日
研修実施場所
ンゴマ郡
LWF セミナールーム
ルワマガナ郡庁舎
MKM 給水施設
ムニャガ・ポンプ室
講義

水セクターの体制

月例報告の統一書式
演習

報告書の記載方法

キャッシュフロー
意見交換

給水事業体が抱える課題への対策法
参加組織
ルワマガナ郡給水事業体
2 団体
ンゴマ郡給水事業体
8 団体
ルワマガナ郡 1 給水事業体
カヨンザ郡 1 給水事業体
ンゴマ郡 4 給水事業体
キレヘ郡 1 給水事業体
ルワマガナ郡庁舎
MKM 給水施設
公共水栓 KG-03
ルワマガナ郡
2 給水事業体
キレヘ郡
新庁舎会議場
キレヘ郡
7 給水事業体
上記の好事例普及の結果、各郡で普及成果が確認できている。ンゴマ郡ではこれまで管理され
てこなかったルレンゲ・セクトゥールのハンドポンプ付深井戸給水施設にてセクトゥールの関与
により、水利用組合により料金徴収が再開された他、故障していたハンドポンプの修理も行われ
た。また、ルワマガナ郡 COGERWA では、全ての公共水栓から大腸菌が検出されていたため、塩
素滅菌が開始された他、公共水栓のサービスレベルチェックや水源能力のモニタリング、ポンプ
運転記録、啓発活動といった様々な活動が波及された。キレヘ郡では、給水事業体間の連合体を
設立し、意見をまとめて郡に要望できる体制を構築するなどの副次的な取り組みも確認されてい
る。
3-2 成果 2 に対する活動
3-2-1 対象地域の給水事業体の現状と課題の把握
(1) 対象地域の給水現況の確認
対象地域で利用されている飲用水源は、地下水(湧水を含む)及び表流水である。また、村落
給水施設は、自然流下または動力ポンプ(圧送式)による管路系給水施設、ハンドポンプ付深井
戸、保護湧水の 4 種類が見られる。この内、圧送式管路系給水施設の動力源として発電機と商用
電力の 2 パターンが存在し、また一部は各戸給水としている事例も散見される。安全な水にアク
セスできない住民は、遠方の給水施設又は未処理の表流水や汚染された水を利用している。
対象地域の世帯において水汲みを担当しているのは子供、成人女性、成人男性の順に多いもの
の性別、年齢の極端な差は無く、家族全員の仕事であると考えられている。一世帯が汲む生活用
水の量は一日あたり 60L から 80L、一人当りの水消費量は 13.3L から 16.0L である。また、給水
A-3-10
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
施設を利用した場合の水汲みに要する時間は、公共水栓からの距離により片道平均で 10 分から 3
時間までと報告されている。
給水施設は、水利用組合、民間事業体(協同組合または小規模な民間企業)
、RWASCO(現在は
EWSA となった)の何れかにより管理されている。料金徴収は、各戸給水は従量制、ハンドポン
プ施設の場合は定額制が施行されている。水料金は、公共水栓ではジェリカンと呼ばれるプラス
ティック容器、各戸給水では m3 を単位として計算されている。金額は給水施設と給水事業体の種
別により異なるが、郡やセクターと協議の上で設定されている。
(2) 対象地域の給水事業体の構成と動向の確認
対象地域の給水施設運営維持管理組として下表に示す 4 つの形態が存在している。
表 A3-2-1 対象地域の地方給水施設運営維持管理の概要(2011 年 8 月時点)
形態
郡
水利用組合・
民間企業体混合型
キレヘ
カヨンザ
民間委託型
ンゴマ
民間委託型・
ルワマガナ
水利用組合混合型
カヨンザ
RWASCO
による管理
ルワマガナ
ンゴマ
概要
1 つの巨大な水利用組合が郡の全給水施設を管理していたが、2008 年 3 月に細分化
され、1 セクトゥール毎に設置された水利用組合が、各セクトゥール内の全給水施設
の運営維持管理を行っている。2009 年から 2010 年にかけて水利用組合の協同組合化
が進んでいる。その結果、2011 年 8 月時点で 6 協同組合と 2 水利用組合が給水施設
を管理しているが、郡との間で委託契約は結ばれていない。
2007 年 11 月に、他郡に先駆けて競争入札方式による委託が開始され、2009 年時点
では、4 つの民間給水事業体により、複数のスキームが運営されていた。郡が設置し
た Water Board が給水事業体を監督している。2009 年から 2010 年にかけて郡による
監査が実施された結果、運営状況の悪い民間事業体との契約は打ち切られることと
なった。それら給水施設は運営状況のよい協同組合の管理下に置かれることとなっ
た。2011 年 8 月の時点では 2 つの協同組合が郡と委託契約を結んでいる。
7 つの水利用組合がそれぞれ 1 スキームの運営維持管理を行っていたが、2010 年よ
り民間委託が進んだ。2011 年 2 月までに全ての給水事業体が水利用組合から協同組
合(6 団体)または企業(1 団体)に変更されるとともに、郡は全ての民間事業体と
運転・維持管理についての委託契約を結んでいる。
4 つの民間給水事業体と 2 つの水利用組合が各 1 つの給水システムを管理している。
民間委託型が導入されたのは 2007 年~2008 年の事であるが、Water Board の設立は
行われていない。水利用組合の財政・運営状況を確認しつつ民間委託型の比率を増
やしていく予定である。
Kabarondo セクトゥールに給水されている。
Munyiginya、Gishari、Muhazi セクトゥール及び Kigabiro セクトゥールの一部に給水
されている。
Remera セクトゥール及び Kibungo セクトゥールの一部に給水されている。
上記のように、地域毎の給水施設の状況や経緯が反映され、様々な形態が存在する。
(3) 各組織形態の特徴と課題の整理
1)
水利用組合の体制と課題
水利用組合は、
「ル」国の政令により既存給水施設の所有が郡(当時の呼称はコミューン)へ委
譲された 1987 年に設立された組織形態であり、当時は行政の一部であった1。その後、2006 年 1
月に地方分権化及び行政組織改編が行われ、住民による独立採算制の組織となった2。現在の対象
1
2
The World Bank WSP : Mission to analyze the document, the delegated management of rural water supply systems, Final
report – Tome 1 (June 2009)
JICA : ルワンダ国地方給水計画基本設計調査報告書 平成 18 年(2006 年)6 月
A-3-11
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
地域を初め、東部県の給水施設維持管理体制の基礎であると言える。
a) 組織・体制
組合長・副組合長(無給)
雇用
職員(有給)
・ 会計員
・ 配管・ポンプ技術者
・ 検針員、警備員など
郡・セクトゥール
レベル
給水点管理者
(有給)
セル・ウムドゥクド
ゥ・給水点レベル
選出
給水点管理者
(有給)
選出
給水裨益者
給水裨益者
図 A3-2-1 水利用組合の組織概要図
水利用組合の最小組織単位は、各給水点の管理者と周辺裨益住民からなるグループであり、ス
キームの規模に応じセクトゥール又は郡レベルの上部組織を持つ。上部組織は下位のグループか
らの料金徴収や維持管理技術者の派遣を行う。水利用組合の代表は地域住民から選出され、セク
トゥールまたは郡承認を経て決定される。組織体制は、現在も水利用組合が存続するルワマガナ、
キレヘの各郡で共通している。
給水点管理者により徴収された水料金は会計員・検針員により最上位の水利用組合に集められ、
ここで運転費、維持管理資材費、職員の給与等の支出管理が行われる。赤字経営の場合には職員
の給料は未払いとなり、更にディーゼル燃料費や電気代などの運転費も捻出できない場合には行
政が補填する例も見られる。
b) 課題
運営維持管理能力は一般に乏しい上、組合長の多くは無給であるため、運営に伴う義務や責任
が少ない。このため、運営の成否は組合長の状況判断力、行動力、責任感等の個人的資質に負う
ところが大きい。また、セル長を兼任する場合、概して多忙のため組合長としての業務に専念す
ることが非常に困難である。
2)
民間企業体の特徴と課題
2004 年に世銀の WSP(Water and Sanitation Program)の中で、従来の水利用組合型管理より責任
を明確にすると共に一定の技術水準を保つ事を目的に民間給水事業体が導入された。
「ル」国政府
は 2012 年までに全体の 50%を民間委託型にすることを当面の目標としている。また、地元の民間
給水事業体を競争入札方式により選定する方式である。尚、民間委託型への転換は”Privatization”
と呼称されており、日本語では「民営化」となるが、水利用組合も民間組織であったため「委託
契約化」等が適訳となる。
A-3-12
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
a) 組織・体制
2004 年に世銀の WSP(Water and Sanitation Program)の中で、従来の水利用組合による管理より
責任を明確にすると共に一定の技術水準を保つ事を目的に民間給水事業体が導入された。地元の
民間給水事業体を競争入札方式により選定する。尚、民間委託型への転換は”Privatization”と呼称
されており、日本語では「民営化」となるが、水利用組合も民間組織であったため「委託契約化」
等が適訳となる。
民間給水事業体は共同出資による協同組合(Cooperative)と、個人出資による企業(Enterprise)
に区分され、それぞれ以下のような組織形態を持っている。
表 A3-2-2 民間給水事業体の組織形態及び運営の特徴
協同組合(Cooperative)
企業体(Enterprise)
理事会(Council)
顧問
組
組合長・副組合長
代表
副代表
会計監査員
顧問
職員
・会計員
・技術者
・検針員等
職員
・会計員
・技術者
・検針員等
織
図
会計監査員
公共水栓管理者
公共水栓管理者
最上部に出資者(メンバー)からなる理事会 代表が決定権を持ち、その下に職員が雇
摘
要
が位置し、その下で組合長の選出・職員の雇 用される。これらの組織体系と別に会計
用が行われる。職員は出資を行うことにより 監査員(Auditor)、顧問(Advisor)を雇
メンバーに加わることができ、出資額は組合 用し、業務内容の適正化を図っている例
により 10,000Frw~200,000Frw の幅がある。
が多い。
民間給水事業体と水利用組合との違いは、迅速な意思決定と予算の執行にある。
協同組合では、組合長、副組合長は出資者の互選により選出され、運営権限が与えられる。会
計監査員、顧問も出資者から選出され、業務の監査を実施する。組合長の運営能力が乏しい場合
には会計監査員・顧問からの指摘により罷免・再選出が行われる。理事会は通常年 3~4 回開催さ
れ、運営財務状況の確認が行われる。また、年次の決算結果により、出資者に 0~5%の配当授受
又は追加出資が決定される。
一方、企業体では代表に決定権があり、維持管理上の情報は代表に集約され、意思決定が行わ
れる。会計監査員(Auditor)、顧問(Advisor)は代表により雇用される
b) 課題
世銀、MININFRA により給水施設運営維持管理に関するワークショップが 2009 年 7 月に行わ
れ、導入された民間委託型のモニタリングの結果、日常的運営維持管理費用を捻出することは可
能であるが、将来の施設更新や拡張のための費用を貯蓄することは難しいという課題があること
が説明された。
A-3-13
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
3)
水利用組合及び民間企業体が抱える共通の課題
表 A3-2-3 課題一覧
項目



1
施設の状態


2
料金支払い状況



3.
給水事業体の運
営体制


4
バンダリズム

4)
現状
老朽化した施設が多く、それらの施設では例外なく配管からの漏水がある。改修するだけの費
用がなく漏水が放置されている。
また、一部の施設で、水源(湧水)の水量が減少し需要を満たせなくなっているものがある。
水道メーターが設置された施設では従量制料金徴収が行われているが、メーターが故障して修
理できないまま放置されるケースもある。メーターがないところでは定額制の料金システムで
ある。メーターのない施設を管理している給水事業体も将来的には水道メーターによる従量制
料金システムへの移行を望んでいる。
施設に問題があるところでは住民の不満が多く、適正な料金徴収を困難にしている。そのため
給水事業体の収入が常に不足し、改修費用の捻出もままならない。委託契約後に施設の改修が
進まず給水サービスが停止してしまったところもある。逆に、近年新設されたものや改修工事
が実施された施設においては、給水サービスの質も高く運営がスムーズに進められている。
多くの給水事業体が挙げた問題点が、住民が料金支払いに応じないというものであった。
「水は
無料」という意識が根強く、適正な運営を実現するためには早急な住民啓発が必要になってい
る。また、施設の老朽化が激しく安定した給水が行われないことも、住民の支払い意思を低下
させる原因となっている。
契約している給水事業体のほとんどは、住民啓蒙活動を実施するだけのキャパシティがなく、
郡やセクトゥールからのサポートが必要である。実際に住民啓発を郡に提案して実施され、料
金徴収率が改善したケースもある(ニャマシェケ郡)
。
資金力や技術力が足りず、運営が適切に行なえい給水事業体が見られる。雇用した技術者にも
給料の支払いができない、あるいは、大規模な施設に対し 2 名程度しかスタッフを置けず、管
理不能になっているなどの問題が散見される。
事務所を構え、スペアパーツ類をいくらかでも常備している給水事業体はわずかである。多く
は、必要なときに町の資材店あるいは首都キガリで購入している。料金徴収が適正に行われて
いない施設では当然ながら修理費用のお金がなく、故障が放置されるケースが多い。その結果
安定な水供給に支障をきたし、さらに料金徴収を困難にするという悪循環となっている。
ほとんどの給水事業体が移動手段(自動車、バイク等)を所有していないため管理施設への移
動は徒歩が基本となる。契約対象施設が配管延長 70km を超す広大な範囲におよぶものもあり、
人員も不十分なことから、施設管理のための巡回作業が困難である。また、
「ル」国の地形的特
徴として、急な斜面に建設された施設が多く、これも徒歩による巡回管理を困難にしている。
いくつかの施設において、住民による破壊行為(バンダリズム)が問題として挙げられている。
これはメーターや配管などの資材を盗むことよりも、破壊行為そのものを目的としているケー
スが多い。周辺国でも見られるこの行為は対策が難しく、適正な水道運営を妨げる大きな要因
になっている。
ニャマシェケ郡の施設で、バンダリズム対策として、郡から住民へ通達を出したケースがあっ
た。もし破壊行為が行われた場合は、その施設を利用している住民全員により修理費用を負担
させるというものである。
RWASCO による運営維持管理
おおむね各郡に 1 つの支店を持ち、給水担当部署および電力供給担当部署の 2 部門があり、概
ね 20 人程の従業員が雇用されている。給水配管技術者は常時 3~4 名月次契約で雇用され、漏水
の補修、各戸給水用の配管接続、取り外し等の維持管理業務を行っている。
職員は十分な運営能力・技術力を有しており、また車輌・バイク等の移動手段や資機材も保有
していることから、緊急事態にも対処可能である。補修用資材はキガリの本部で一括購入され、
各支店に配送される。
A-3-14
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
3-2-2 給水事業体の抱える課題への対策の検討と郡への情報提供
上記の整理から民間委託契約済給水施設において適正な運営を妨げる主な原因となっているも
のは以下の 3 点に集約できる。

住民に水料金を支払う意思がない

施設の老朽化が激しく安定した水供給ができず改修の費用もない

契約している給水事業体の多くは資金力や技術力などが十分ではない
従って、民間委託型の維持管理システムを適切に導入し持続的に機能させるためには、対象と
する施設や選定される給水事業体について、以下の点が満たされているかどうかを事前に確認す
ることが重要である。

給水対象住民が水料金の支払いについて理解している

対象とする施設に重大な故障や不具合がない

委託給水事業体が一定の技術力を持ちマネジメントの経験を有している
住民に対する水料金支払いの意識化は、郡やセクトゥールが主導となって意識化活動を行うこ
とが求められる。住民に対する啓蒙・普及活動の経験のある現地コンサルタントあるいは NGO、
ドナー等の協力を要請することも有効である。
施設の適正な稼働も、民間委託による維持管理業務実施には重要な要件であり、老朽化した施
設の場合は可能な限り改修予算の取得に努めるべきである。施設の状態が良ければ給水事業の採
算性が向上し、より多くの給水事業体が入札への参加意欲を高めることにつながる。
さらに、契約後は郡・セクトゥールが委託給水事業体の業務状況の把握に努め、問題が生じて
いる場合には適切なアドバイスや支援を行えるキャパシティを持つ必要がある。また、各戸給水
栓の普及推進は、水料金徴収率の向上とバンダリズム対策として有効な手段のひとつであると考
えられる。
3-2-3 連絡体制強化
プロジェクトは、2.2.2「事業監督の体制強化」に記載の通り、給水事業体による月例報告の提
出を通して、連絡体制強化について取り組んできた。2011 年 6 月の調査の結果、給水事業体から
郡への月例報告は、4 郡の各実証サイトのみならず他の一部の給水事業体においても定着してい
ることが確認された。ただし、各給水事業体の月例報告書の記載項目は統一されておらず、運転・
維持管理についての状況が記載されていないなどの課題があることが分かった。その結果を受け
て、プロジェクトは、2011 年 6 月及び 7 月に記載項目の統一とレポーティング技術の向上を目的
としたトレーニングを以下の日程で実施した。
A-3-15
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-2-4 月例報告トレーニングの概要
実施日
2011 年
6 月 30 日
2011 年
7 月 22 日
トレーニングの内容
講義

水セクターの体制

月例報告の統一書式
演習

報告書の記載方法

キャッシュフロー
意見交換

給水事業体が抱える
課題への対策法
研修実施場所
ンゴマ郡
LWF セミナールーム
キレヘ郡
新庁舎会議場
対象給水事業体
ルワマガナ郡給水事業体 2 団体
ンゴマ郡給水事業体 8 団体
キレヘ郡給水事業体 7 団体
演習では、実際に月例報告書を作成する場面を再現するとともに、参加者達の議論を通して意
見を整理し、報告書にまとめる作業を行った。その際、プロジェクト専門家は、給水事業体や郡
が施設を管理しやすくなるよう、活動や問題をできる限り数値化するための助言を与えた。
このトレーニングの結果、各郡において書式の統一化が進んでおり、定例会議では、郡職員に
より引き続き統一フォーマットの定着が指導されている。この他、ンゴマ郡ハンドポンプ付深井
戸給水施設を維持管理する KODUMU では、料金支払率を数値化して月例報告書にて郡に報告し
た。また、ルワマガナ郡 MKM 管路系給水施設を管理する UBUZIMA BWIZA 水利用組合では、料
金徴収率に加え、無収水率、水源能力、貯水槽清掃活動などを数値化して郡に報告している。こ
うした活動やその試みは実証サイトに限らず、他の給水事業体でも確認されている。
問題の数値化や問題の明確化に取り組んだ結果、ンゴマ郡やルワマガナ郡では給水事業体から
の報告に基づいて助言を与える以外にも、郡によるサイト視察や衛生普及活動の指導といった具
体的な対策が導き出されている。
3-2-4 維持管理ガイドライン・マニュアルを利用した給水事業体技術者に対する研修の実施
本プロジェクトで作成、改良された各マニュアル、ガイドライン等を用いて、実証サイトの各
給水施設の技術者やポンプ管理者等への研修を以下の通り実施した。
(1) ルワマガナ郡:MKM 管路系給水施設でのポンプ・オペレーターの能力強化
1)
基礎トレーニング
2010 年 4 月から 5 月にかけて、無償案件で育成されたポンプ・オペレーターは、より条件の良
い職を求めて全員交代することとなった。そのため、改めて下表 A3-2-5 に記載する研修を実施す
ることとなった。
A-3-16
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-2-5 MKM 給水施設の研修内容
対象給水施設
MKM ポンプ場
(3 箇所)
実施時期
2010 年 6 月
ポンプ技術者への施設維持管理 OJT
Mwulire 公共水栓
2010 年 9 月
研修対象者
1)Rwakibogo 取 水 ポ ン
プ場ポンプ
2)Mwulire 中継ポンプ場
ポンプ・オペレーター
3)Munyaga 中継ポンプ
場ポンプ
の各オペレーター
研修内容
MKM 給 水 施 設 で 3 カ 所 の ポ ン プ 場
(Rwakibogo, Munyaga, Mwulire)の新任ポ
ンプ技術者に対し、維持管理ガイドライ
ン、掲示マニュアルを用いて操作指導を実
施した。指導に当たっては、前任のポン
プ・オペレーターに協力を要請し、給水施
設概要、操作方法、運転記録、設備機器メ
ンテナンス方法の説明と OJT を行った。
Mwulire 中継ポンプ場
ポンプ・オペレーター
ムーリレポンプ場で塩素滅菌が再開され
たことを受けて、ポンプ技術者に対しガイ
ドラインを用いて塩素滅菌の必要性を再
度説明した。さらに配水槽と公共水栓から
水を採取し、プロジェクトで調達した残留
塩素計を用いた残留塩素測定手順の OJT を
行った。
残留塩素測定 OJT
2)
発展トレーニング
上記の研修効果を確認するためにモニタリング調査(2010 年 12 月)を実施した。その結果、
ポンプ・オペレーターは機器の操作方法を理解できていたものの、水源能力、ポンプ能力、貯水
槽容量と需要量の 4 項目のバランスが悪いため、非常に複雑なポンプの運転を強いられているこ
とが明らかになった。これら各項目に関する情報を数値化し、問題に対処するために、以下の 4
つの活動を実施した。
表 A3-2-6 ポンプ連携運転体制構築のための複合的取り組み
対応個所
水源能力
ポンプ
貯水槽
給水サービス
レベルチェッ
ク
活動内容
定期的な水源能力のモニタリングを実施し、3種類
のポンプ運転指針の選択と分配水量を決定する
頻度
週2回:
月・木曜日
ポンプ運転指針に基づいた3台のポンプの連携運
転を実施する
毎日
ポンプ運転終了後(第1ターム)に貯水槽水量を確
認し、ポンプの運転時間(第2ターム)を調整する
各系統で、ポンプの運転の影響により水を得られ
ない可能性の最も高い公共水栓にて給水サービス
を午前と午後に記録用紙にチェックし、ポンプ運
転の質を評価する
毎日
毎日
実施個所
ルワキボゴ・ポンプ
場
ルワキボゴ・ポンプ
場、MD1ポンプ場、
D5ポンプ場
タンクMD1、D1、D6
D1系統:公共水栓
MW
D6系統:公共水栓MY
上記のバランスを正確に理解しておらず、その対策も講じられていなかった。プロジェクトで
は、2011 年の 4 月から 7 月にかけてポンプの効率的な連携運転体制の確立を目指して、「ポンプ
運転指針案」を作成するとともに、現場においての利便性を確かめながら、修正を繰り返し、7
月末に雨期、乾期(需要増)
、乾期(需要増・水源能力減)の 3 種類の「ポンプ運転指針」を作成
した。その際、上記 4 項目に配慮して、単なる連携に留まらない、給水サービスのモニタリング
とその向上が可能な仕組みを構築した。
A-3-17
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(2) ルワマガナ郡:MKM 管路系給水施設での給水施設技術者の能力強化
1) 発電機メンテナンス・基礎ワークショップ
2010 年 11 月 19 日に発生した MKM 給水施設の Mwulire ポンプ室の発電機停止おいて、MKM 給
水事業体技術者のみによる問題解決が出来ず、邦人専門家の支援が必要であった。この課題を受
けて、1)トラブルシューティングの説明と指導、2)メンテナンスの迅速化を目的とした時系列分
析ワークショップを実施した。給水施設技術者は、どのような行動をとれば最も早く課題を解決
できたのかを学ぶことが出来た。
トラブルシューティング
に関わる指導
メンテナンスの時系列分析
時系列分析結果
図 A3-2-2 修理作業のメンテナンス・ワークショップ
2) 発電機メンテナンス・発展ワークショップ
PURA-SANI では、対象4サイトにおいて、技術者とポンプテクニシャンを対象にしたメンテナ
ンスガイドを作成しており、メンテナンスガイドの活用について指導してきた。ルワマガナ郡
MKM 管路系給水施設では 3 棟のポンプ室があり、各ポンプ室でポンプ・オペレーターが勤務し
ている。2010 年 11 月と 2011 年 4 月に発電機の故障があったが、プロジェクトの支援を受けつつ
MKM に勤務する技術者とポンプ・オペレーターによって修理がなされた。プロジェクトの支援
なしに、これら問題に対処するためには、MKM の技術者とポンプ・オペレーターが取扱説明書
を使いこなすだけの知識が必要になっていた。
そのため、さらなる知識向上を目的に首都の大手自動車販売・整備会社であり、MKM で使用
している発電機のスペアパーツの正規販売代理店であるルワンダモーターの電気機械シニア技師
を招いて、マニュアルに記載されている全 22 項目の点検・修理項目について、現場で講義を行っ
た。22 項目は、各給水施設の技術者が実施できる項目と専門の技師が実施すべき項目に分かれて
いる。
給水事業体の技術者が実施できる項目については、作業方法について具体的に説明した。専門
の技師が専用の工具や機材を用いて作業すべき項目については、作業内容と該当する箇所につい
て説明を行った。
原理や構造について補足説明すると共に、対話形式で疑問を一つ一つ解消しながら講義を進め
た。また、参加者は、各給水事業体で抱えている発電機に関する疑問や過去に起こった問題の有
効な解決策について、講師に相談するなど学習意欲は非常に高く、また、講師側にも、参加者の
疑問に回答する十分な能力を有していたため、参加者の満足度は非常に高かった。
A-3-18
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-2-7 発電機研修実施概要
実施日
2011 年
7月6日
研修内容
研修実施場所
 PURA-SANI 成果品の紹介
 発電機修理好事例紹介
 点検・修理に関するサイトでの講義
ルワマガナ郡庁舎
MKM 給水施設
ムニャガ・ポンプ室
電気機械工の専門技師から 22 項目にわたる発電機の
点検とメンテナンスについて説明した
参加団体
ルワマガナ郡 1 給水事業体
カヨンザ郡 1 給水事業体
ンゴマ郡 4 給水事業体
キレヘ郡 1 給水事業体
エアクリーナーを用いて、スペアパーツの発注に必要
なパーツの参照番号について説明しているところ
3) 配管補修支援
MKM 施設で最大径である DN160(U-PVC)と DN140(U-PVC)を管径切り替える部分にて漏
水が発見された。その位置は、タンク MD1-タンク D2-タンク D4 への 3 分岐地点で、やや複雑な
配管地点であった。まず MKM の技術者によって 7 月 19 日に漏水個所の確認が行われ、過去に
MKM で勤めていた職員の手で補修されたであろう補修跡が確認された。20 日に改めて MKM 職
員および技術者とともに対策を検討した。資材購入、資材加工、設置、通水テスト、埋め戻しの
各作業について MKM 技術者を支援した。
(3) カヨンザ郡;ニャンコラ管路系給水施設におけるメンテナンス体制の強化
協同組合 COGEPRENA が管理するニャンコラ管路系給水施設では、施設構成は単純であったた
め、ポンプの運転や料金回収は非常に良好な状態にあったものの、水栓や水道メーターの故障が
放置されるなどメンテナンス面に大きな欠点があった。この現状を再確認するために、プロジェ
クトは 2011 年 4 月 15 日に施設の点検を行い、問題のある個所についてプロジェクトでは何度も
メンテナンスを依頼してきた。プロジェクトは、改めて 2011 年 7 月 28 日、29 日に COGEPRENA
のメンテナンス体制を評価と給水施設の点検を実施した。その結果、COGEPRENA のメンテナン
ス体制は非常に脆弱であることが明らかになった。そのため、プロジェクトと COGEPRENA は、
メンテナンス体制の構築を目的として、まず施設状況について共有すると共に、修理のための具
体的な体制の構築と活動の実施について協議した(2011 年 8 月 5 日)
。事前の協議でプロジェク
トと組合は配管工の外注について合意しており、地元配管工も招集された。協議の結果、地元配
管工による施設の再点検を実施するとともに修理費用の見積もりを同時に行い、8 月末までに施
設の修繕を完了することが計画された。また、施設の不具合が生じた際の連絡体制についても見
直され、将来的な修繕に対する対策が講じられた。
加えて、塩素滅菌器の活用体制を整えるべく、COGEPRENA と協議を行った。その結果、これ
まで活用されてこなかった塩素滅菌器に対して、8 月上旬から、緊急時における活用体制が構築
された。
A-3-19
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(4) ンゴマ郡:ハンドポンプ付深井戸給水施設のメンテナンス能力強化
1)
継続的な修理への立ち会い
2010 年 9 月に水利用組合(WUA)によるハンドポンプ施設の改修作業に立会い OJT の成果を
確認した。改修箇所は、摩耗により破損していた U シールのスペアパーツ交換と、ライザーパイ
プ(揚水管)の補修であるが、いずれも適切な方法で行われた。作業は WUA 委員長とハンドポ
ンプ技術者 2 名が主導し、村落住民の協力を得て揚水管の井戸内挿入と Afridev ハンドポンプの設
置が行われた。プロジェクトチームは一連の作業に立ち会い、これまでに技術指導を行ってきた
ハンドポンプ技術者の技術移転成果を確認した。作業は非常にスムーズに進み、約 2 時間で完了、
ハンドポンプによる揚水が確認された。
補修された揚水管
揚水管挿入作業
Afridev ハンドポンプの設置
図 A3-2-3 ポンプ技術者の業務状況(2010 年 9 月)
2011 年 11 月 24 日に稼働していない 2 カ所のハンドポンプのうち、1 カ所のハンドポンプにつ
いて、ハンドポンプ技術者の原因判断と補修に立ち会い、技術支援を行った。補修は、途中で必
要となる工具を新たに購入する必要が生じたため、延期することとなった。ハンドポンプ技術者
へは正しい補修方法と、標準修理工具の準備について支援を行った。
図 A3-2-4 ハンドポンプの修理状況 (2010 年 11 月 24 日)
2)
修理研修
過去にプロジェクトでは、修理の立ち会いを行ってきたが、修理技術は未熟であり、修理した
はずのポンプが数カ月後には再度故障するという現象に陥っていた。この事態を受けて、国際
NGO リビング・ウォーター・インターナショナルに勤務するルワンダ人技術者を講師として招き、
正しい修理技術の指導研修を実施した。
A-3-20
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-2-8 研修概要
実施日
2011 年
6月9日


研修テーマ
HP サイトにおける料金徴収制度と
制度化に向けた取組
HP 点検・修理の実演
パイプ接合部分における漏水の確認
研修実施場所
ンゴマ郡
ムラマ・セクトゥール
ハンドポンプ 2 基
参加組織
セクトゥール職員 2 名
4 給水事業体
漏水補修のための適切なパイプ接続
修理においては、修理トレーナーと説明を補足する説明係を設け、PURA-SANI で作成した資料
を用いて、一つ一つのパーツの名前からどういう目的を持ったパーツであるのかといった細かい
説明を設けながら修理を進めた。点検の結果、ハンドポンプの故障は、パイプ接合部からの漏水、
プランジャーの破損、U-シールの破損など複合的な原因によるものであることが明らかになると
ともに、参加者達は、様々な故障例への対処を学習することができた。修理の対象となった 2 台
のハンドポンプは、KODAMU で雇用されている修理人 3 名の知識では対応不可能であることが
大きな原因となって放棄されていたものであった。そのため、今回の修理トレーニングによって、
参加者達はより高いレベルのメンテナンス能力を身につけることができた。
(5) キレヘ郡:ガトレ 2 管路系給水施設の配管技術者への能力強化
ガトレ 2 では、赤十字によるポンプの改修が行われ、6 月末から給水事業体による給水が再開
されているものの、配管内に空気が溜まっていることや、小石などの詰まりが原因となって 11 基
中 3 基の公共水栓のみでの給水が再開されている状態が 3 週間程続いていた。また、送水管の接
合部分に亀裂が走り、漏水が発生した。これらの状況を解決するために、郡の許可を得て給水事
業体の職員とともに問題の解決に取り組んだ。
配管は埋設されており見ることはできないが、地形の特性や昨年度まで稼働していたことを考
えれば、エアーポケットが存在しているとは考えられず、時間をかければ抜くことはできると考
えられた。ただし、配管内に異物が詰まっていた場合、その場所を特定し改修することは難しい
が、可能性としてその異物が公共水栓に設置されているバルブや量水器まで到達している場合が
あり、それらを取り除くことは可能であると考えられた。実際、公共水栓では、小石、ビー玉、
ボールペンのリフィルや紙が詰まっており、それを取り除くことで稼働できる状態に至った。こ
のように、プロジェクトでは、問題解決方法を理解するのに難しい個所を中心に支援するととも
に、問題解決のやさしい個所については、給水事業体の自助努力を促した。
その結果、7 月末の段階で、9 基の公共水栓が稼働できる状態に修繕された。残り 2 か所の修繕
についても給水事業体を支援した。また、引き続き、軽微な補修の必要な個所について給水事業
体自らが補修を行っていく計画を立てるに至った。
A-3-21
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
3-2-5 会計指導マニュアルの改良と指導
(1) 維持管理マニュアル(会計編)の改良
無償資金協力事業「ルワンダ国地方給水計画」では、施設建設時に設立された、あるいは存在
していた給水事業体を対象としたマニュアルが作成されている。しかし実際には、施設供用後に
給水事業体の組織や運営方法が変化していることから、マニュアルの内容の見直しと改良を行っ
た。
マニュアルの改良に際しては、給水事業体の組織構造や運営方法の変化の他に、第三者による
会計監査の重要性を考慮した。改良の要点は以下の通りである。
a) MKM 等で共同水栓の他に各戸給水接続が増加していることから、各戸給水接続にも対応で
きる料金徴収表の改訂
b) ハンドポンプに代表される定額料金徴収のための料金徴収表の追加
c) 会計監査方法の追加
d) 会計の健全度を測るチェックリストの追加
(2) 改良された維持管理マニュアル(会計編)に基づく実証サイトの給水事業体への会計処理研
修の実施
上記の維持管理マニュアル(会計編)の改良版を用いて各郡の実証サイト給水事業体の会計担
当者への研修を以下の通り行った。研修に際しては、郡担当者へのマニュアルの手交と説明を行
い、郡担当者が講師となって実施した。
表 A3-2-9 研修実施日程
郡名
キレヘ郡
カヨンザ郡
ンゴマ郡
ルワマガナ郡
合
計
月日
2009年
7月28日
2009年
9月25日
2009年
10月20日
10月22日
10月27日
2009年
10月29日
6回
参加者
参加者給水事業体数
7名
Gatore 2水利用組合
8名
3給水事業体
13名
7給水事業体
6名
3給水事業体
34名
15給水事業体
(3) 会計能力強化研修(基礎編)
上記の維持管理マニュアル(会計編)を用いた実証サイト給水事業体の代表および会計担当者
への更なる強化研修を以下の通り行った。会計研修は郡担当者からの要望が高く、能力の定着が
求められていた。なお、この研修は郡職員の能力向上を目的とした OJT の一環として企画された
「モデル研修」であり、郡担当者の主導で、ローカルコンサルタントを雇用して行われた。
A-3-22
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-2-10 研修実施日程
郡名
キレヘ郡
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
ンゴマ郡
月日
2011年5月16日
2011年5月17日
2011年6月2日
2011年6月3日
参加者
15名
7名
13名
9名
給水事業体数
8
1
3
7
(4) 会計能力強化研修(発展編)
上記研修後、会計担当者の発展的な研修として、
「連絡体制強化」に記載した月例報告トレーニ
ングの一部として、各給水事業体の会計担当者を対象に 2011 年 6 月と 7 月にキャッシュフローの
作成演習を実施した。一部の給水事業体は、会計帳簿をそのまま記載していたが、その場合、郡
の担当者が管理するには煩雑であった。そのため、各郡担当者は、キャッシュフローを月例報告
書の統一書式の一項目として定め、それを支援するためにプロジェクトは、会計担当者に対して、
能力向上のためのトレーニングを実施した。トレーニングの結果、ルワマガナ郡、ンゴマ郡、キ
レヘ郡の各給水事業体はキャッシュフロー作成の活動を開始している。
表 A3-2-11 研修実施日程
郡名
ルワマガナ郡
ンゴマ郡
キレヘ郡
月日
2011年6月30日
2011年7月22日
給水事業体
ルワマガナ郡給水事業体2団体
ンゴマ郡給水事業体8団体
給水事業体7団体
3-2-6 水質検査マニュアルの改良と実施体制の構築
(1) 「ル」国における水源管理の状況調査
「ル」国では、河川、湖沼についての管理規定が Water Policy に盛り込まれている。しかし、
湧水源、ハンドポンプサイトにかかる水源管理の項目は確認できない。対象地域においては、ハ
ンドポンプ施設の周辺を石垣や植樹で囲っているものが確認できたが、老朽化や破損しているな
ど、水源保護が不十分であるものも多い。保護湧水施設については、施設の直上流部を垣根によ
って保護しているものがいくつか見られるが、湧水の集水域内では農耕・牧畜が行われている箇
所が多く、肥料や家畜の糞尿による汚染が懸念される。湧水源の集水域全体を保護している例は
確認できなかった。
「ル」国では WHO の飲料水水質ガイドラインに準拠した水質管理を実施している。
「ル」国内
の水質試験所はキガリに 1 機関、およびルワンダ国立大学内に存在する。対象地域の既存給水施
設において、定期的に水質分析・検査を行っているところはない。
(2) 対象地域における水質管理体制の確認
2007 年 5 月のプロジェクト開始時には、
「ル」国では地方給水施設の水質検査を実施するシス
テムはなく、給水施設を建設するドナー機関が水源の水質検査を自主的に実施する状況であった。
また、給水公社(ELECTROGAZ)は浄水場に水質分析室を持っていたが、独自の浄水場以外の飲
料水を計測することは行われていなかった。
この背景を受けて、無償資金協力事業では維持管理機材として、郡が自主的に水質検査を行う
A-3-23
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
方針のもと、対象 4 郡に簡易水質分析器(HACH DR2800)が 2008 年 2 月に供与された。地方分
権化政策によって郡にユニット制がしかれていた 2008 年当時は、この分析器は郡のインフラユニ
ット長(本プロジェクトのカウンターパート)が管理責任者となっており、盗難防止や機器のメ
ンテナンス、試薬の管理などを担当するとともに、定期検査の実施を指揮することとなっていた。
2009 年には本技プロで、
供与機器の使用方法を定めた初版の水質試験マニュアルが作成されたが、
簡易水質分析機器の使用は当時の担当官にとって時間的、能力的に困難であったことから、簡易
水質分析器を用いた定期検査は実施されていなかった。
この状況を受けて、2010 年 5 月の終了時評価後、無償資金協力で納入された機器を使用すると
いう方針から離れ、必要最低限の計測項目と計測時期を設定し、郡が管理するという仕組みの転
換がなされ、それに伴い水質マニュアルもより具体性の高いものに改訂された。
2010 年 10 月にはインフラ省が給水公社(RWASCO)へ全国の水源の一斉調査を発注・実施し、地
方給水施設の水質を国家が管理する土台が形成されつつある。
(3) 水質試験マニュアルの作成
実証サイトにおける適切な水質管理の実施のため、2009 年度に水質試験マニュアルの作成を行
った。2009 年時点では MKM 給水施設のみの適用であったが、3 年次からカヨンザ郡、キレヘ郡
の実証サイトが追加されたため、新規に実証サイトとなった施設に対しても適用できるよう、内
容に配慮した。
初版の水質試験マニュアルでは、無償資金協力で供与された機材が郡担当者に使用されること
を前提に、水質検査の重要性と試験機器の使用方法が主な構成内容であった。
(4) 水質管理マニュアルの改訂
水質管理マニュアルは、2010 年 5 月の終了時評価により、より具体性を持たせることが必要で
あると評価されたため、給水施設のタイプでの対応方法を記述するよう項目を追加し、2010 年 6
月に給水事業体に対する維持管理研修の一環として実施した。また、JICA 現地事務所より「ル」
国の全ての給水施設に対し汎用性を持たせたいとの観点から、マニュアルに関するコメントが
2010 年 10 月に寄せられた。このコメントを受けて、マニュアルの前半部分に地方給水における
全般的な水質管理の項目を追加し、従来の具体的な計測項目や機器の使用方法を添付資料とする
改訂を行った。この改訂された水質マニュアルは、2011 年 3 月 1 日に 4 郡担当者を集めたワーク
ショップにおいて担当者間で合意された。これを受け、2011 年 3 月 21 日の JCC で「ル」国側に
承認された。
(5) 水質試験機器の使用方法についての指導
2010 年 7 月に 4 郡に納入された pH, EC, 残留塩素測定計を使用して現場での OJT による計測指
導を実施した。実施に先立ち、2010 年 9 月 17 日に行われた現地視察(Gatore 2)で水質検査方法
を専門家が実演すると共に、月例運営会議で上記実施方針の説明を行った。実施した OJT の内容
は以下の通りである。
A-3-24
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-2-12 水質検査 OJT 内容
郡
ルワマガナ
カヨンザ
ンゴマ
郡職員
インフラ担当休暇の為
実施できず
2010 年 9 月 21 日に郡水
担当へ導入研修を実施
(カヨンザ郡庁)
2010 年 9 月 23 日に郡
WUA 担当へ導入研修
を実施(ンゴマ郡庁)
給水事
業体
9 月 27 日に
21 日実施予定であった
COGEPRENA の
が、天候不順の為延期。
Nyankora の公共水栓
その後担当技術者病気
RW-12 で給水技術者へ
のため実施できず
実施
9 月 29 日に Murama セ
クトゥールのハンドポ
ンプ 3 カ所で郡 WUA
担当を通し水利用組合
長へ実施
キレヘ
2010 年 9 月 28 日に郡環
境・水・森林担当へ導
入研修を実施(キレヘ
郡庁)
未実施
OJT の結果は以下の通りだった。
a)カヨンザ郡
水担当は月例運営会議などでも水質検査を買って出るなど、以前から水質の計測に興味を示し
ていた。しかし、Nyankora での WSP 技術者への研修を依頼したところ、業務の多忙を理由に断
られた。
対象サイトの Nyankora は郡事務所から約 20km と遠く、バイクでの移動手段が不可欠である。
このことから、継続的に水質検査を実施する仕組みを作るには、今後役割分担などにつきさらな
る協議が必要と考えられる。
b)ンゴマ郡
WUA 担当は水質検査を自分の業務として認識しており、計測結果にどのような意味があるかに
ついて、OJT で多くの質問を受けた。今後、郡内の各水利用組合を回る際、併せて水源の水質検
査実施を検討したいとのことである。上記(A)に関しても自分で(郡で)実施することを考えてい
るようである。
c)キレヘ郡
環境・水・森林担当は興味を示しているが、現場での OJT が出来なかったため、具体的な運用
方法については今後議論していくこととなった。
(6) 水質管理マニュアルの実施に向けた講習会の開催
プロジェクトで作成した水質管理マニュアルに基づく各郡での水質検査の実施にあたり、WSPs
を対象とした説明会が実施された。この説明会は各郡が主催し、2011 年 4 月 20 日にルワマガナ
郡、21 日にンゴマ郡、5 月 12 日にカヨンザ郡、5 月 13 日にキレヘ郡で開催された。
水質管理マニュアルには、4 半期に一度 WSPs が水質の測定を実施して結果を郡に伝え、郡は
郡内の給水施設の水質を管理する役割が示されている。水質の測定のためには、各 WSP が電気伝
導度計や pH 計などの機材の扱い方を理解し、検査の目的や検査項目について理解する必要があ
った。
説明会に先立って、邦人専門家から郡担当者に対してマニュアルを用いた水質管理の方法の説
明があり、本技プロで調達された水質検査機材(EC、pH、残留塩素)の使用方法についての説明
が再度行われた。
A-3-25
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
説明会は、郡の担当者が主体となって、現地語化されたマニュアルの要約版を用いて、1)水質
検査の必要性、2)WSPs による検査体制、3)水質検査項目、4)機材の使用方法、5)検査日程につい
て説明が行われた。また、サイトに移動して実際に水質を測定した。
WSPs は、今後実際に行っていく水質検査を邦人専門家の立ち会いの下であるが、主体的に検
査を行った。これにより、WSP が測定し、郡に伝えるという水質管理体制が整ったと言える。郡
担当者は、各 WSPs に対して、今後の水質検査実施の日程を伝えている。
表 A3-2-13 講習会の実施概要
実施日
研修実施場所
参加団体
2011 年 4 月 20 日
ルワマガナ郡庁舎セミナールーム
2 給水事業体
2011 年 4 月 21 日
ンゴマ郡 LWF セミナールーム
8 給水事業体
2011 年 5 月 12 日
カヨンザ郡庁隣レストラン
2 給水事業体
2011 年 5 月 13 日
キレヘ郡庁舎大会議室
7 給水事業体
(7) 水質管理マニュアルに基づく検査の実施状況
カヨンザ郡以外の 3 郡では、全ての給水事業体によって 2011 年 6 月中に水質検査が実施されて
いる。カヨンザ郡では、担当者が極めて多忙であるという理由により、検査の実施が延期されて
いる。
3-2-7 スペアパーツ調達・利用体制の構築及びスペアパーツ管理ガイドラインの改良
(1) 交換部品・燃料などの資機材流通状況
給水施設維持管理用の交換部品・燃料等の流通状況を 2009 年 2 月に実施した。動力ポンプ及び
ハンドポンプの本体・スペアパーツ及び修理はキガリにある 1 社の代理店のみが対応可能である。
「ル」国内の燃料価格は、石油価格の影響を受け、頻繁に変動し、運搬距離に比例して上昇して
いる。対象地域のルワマガナ郡及びカヨンザ郡では、主要都市の建具店・建築資材店で、配管資
材が主に給水施設の維持管理に使用可能な資材の在庫量はどれも乏しい状況であるが、販売され
ており、注文を受けキガリから取り寄せることが可能な店もある(但し、到着期間、品質等に疑
問がある)
。
A-3-26
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-2-14 給水事業の交換部品・燃料等の流通状況
交換部品・燃料等
キガリ
動力ポンプ・ハンド 1 社の
ポンプ等本体・スペ 代理店
アパーツ
給油所数
ディー2008 年 1 月
燃
ゼル 2008 年 8 月
料
価格
2009 年 2 月
(Frw/L)
店舗数
店舗種
配
管
材
購入可能資機材
ルワマガナ
カヨンザ
カヨンザ
カバロンド
ンゴマ
キレヘ
無し
無し
無し
無し
無し
4 ヶ所
726
924
3 ヶ所
728
924
1 ヶ所
730
927
5 ヶ所
734
932
1 ヶ所
736
933
756
756
760
764
771
無し
無し
2軒
2軒
建具・建築
建具・建築
資材店
資材店
亜鉛めっき鋼管 亜 鉛 め っ き 鋼
継手、同 L 型継 管、同継手、同
手、同 T 型継手、 L 型継手、同 T
Reducer、エンド 型継手、エンド
キ ャ ッ プ 、 Ball キャップ、量水
valve、蛇口、止 計、止水テープ
水テープ
3軒
建具・建築
資材店
亜鉛めっき鋼
管、T 型継手、
Ball valve、蛇口
(2) スペアパーツ調達・利用体制案の作成、スペアパーツ調達・利用体制案についての関係者の
合意およびスペアパーツ出入庫ガイドラインの作成
無償資金協力ソフトコンポーネントで提案されたスペアパーツの出入庫管理の基本理念を踏襲
し、スペアパーツの出入庫管理案に関し関係者に説明し合意を得た。
今後各郡・給水事業体がスペアパーツを購入することが考えられるため、出入庫管理に加えスペ
アパーツの調達方法案について作成し、ルワマガナ、カヨンザ、ンゴマ郡の郡職員および給水事
業体関係者の同意を得た。これらの結果をもとに、スペアパーツ出入庫ガイドラインを作成した。
(3) スペアパーツ管理者に対する出入庫手順ガイドラインを用いた管理方法の指導、およびスペ
アパーツ利用者に対する出入庫管理の仕組みの説明
スペアパーツ出入庫ガイドラインを元にした出入庫の指導について、OJT で以下の日程で実施し
た。なお、ルワマガナ郡については、担当者との都合がつかず実施出来なかった。
表 A3-2-15 スペアパーツ出入庫 OJT 実施内容
郡 名
カヨンザ郡
月 日
2010年
2月16~18日
ンゴマ郡
2010年
2月15日
対象者
Francine MUTESI
(Secretary, District Water Fund)
Nyirasafari GELTUDE
(President of Cooperative VOMA
MEZA KAYONZA)
Edgard RUDASINGWA
(In charge of WUA)
Tito RUTAISIRE
(President of Murama WUA)
A-3-27
実施内容
1) 無償資金協力で作成された
在庫書類の確認
2) 員数および保管場所の確認
3) 在庫票の作成
1) 無償資金協力で作成された
在庫書類の確認
2) 員数および保管場所の確認
と在庫票への反映
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
ンゴマ郡については、無償資金協力ソフトコンポーネントで作成された在庫管理書類が残って
いたことから、郡職員への使用方法の再指導を行った。一方、カヨンザ郡では前任者の異動時に
引継が行われず、在庫書類が紛失していた。このため、在庫書類を全て再作成した。
(4) 終了時評価結果によるスペアパーツ調達ガイドラインの改訂
作成されたガイドラインについて、終了時評価調査団により、スペアパーツの種類、調達先、
調達者をより具体化して示す必要があるとの評価がなされ、また現地においては、ンゴマ郡
Murama 水利用組合でのハンドポンプ修理に際し、スペアパーツの購入ができないがために中断し
ている状況が確認された。この結果を受けて、同ガイドラインに以下の事項を付け加えることが
必要であると判断した。
1.
各郡、各対象施設それぞれのケースでの対応者、対応方法、調達方法を明示する。
2.
スペアパーツ購入にかかる連絡先を明示する。
3.
ハンドポンプについてはパーツリストおよび価格表を作成する。
以上より、スペアパーツの調達方法について担当者および流れを明記したダイアグラムをサイ
ト毎に作成した。これらはスペアパーツ調達ガイドラインに添付される。また、ンゴマ郡 Murama
水利用組合については、Afridev ポンプのパーツおよびルワンダ代理店での価格リストを作成した。
スペアパーツ調達ダイアグラムについては、行政関係者の周知を図るため、2010 年 6 月 18 日の
運営会議に併せて、会議参加者でカヨンザ郡の倉庫を視察し、在庫表と出庫依頼票を用いたスペ
アパーツ調達の仕組みと、ダイアグラムを用いた各関係者の役割について説明し、理解を求めた。
また、MKM ではダイアグラムをポンプ小屋に掲示し、ポンプ技術者のリファレンスとして使用
できるようにした。
また、ムラマのハンドポンプのスペアパーツについては、5 月にキガリでのスペアパーツ調達
可能な代理店まで郡水利用組合担当者及び給水事業体の技術者を案内し、スペアパーツ調達の実
地支援を行った。
(5) スペアパーツ調達ガイドラインの再改訂
a) 背景
スペアパーツ調達ガイドラインは、当初無償資金協力事業で郡およびセクトゥールに供与され
たスペアパーツの適切な利用を目的に作成された。ところが、2010 年 5 月に、ムラマ・セクトゥ
ールでハンドポンプのスペアパーツを使い切ったために、無償資金協力事業で供与された以外の
スペアパーツの調達に配慮した内容に改訂された。
一方で、給水セクターの民間委託化が進められている「ル」国内では、郡・セクトゥールは給
水施設の維持管理にかかるスペアパーツを有しているが、それはドナーなどからの供与によるも
のだけであること、給水事業体は修理および交換等に必要なパーツ類を殆ど建材屋から購入して
いることが明らかになった。この状況は、前述の Murama のハンドポンプの故障のように、町の
建材屋等でスペアパーツおよび補修資材が無い場合、対応が困難になることや時間がかかる結果
となる。
A-3-28
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
このため、スペアパーツの区分、調達および調達者にかかる責任分担を明確にし、
「ル」国政府
に提案する必要があった。
b) 補修とスペアパーツの区分
「ル」国の給水施設の状況と給水セクターの技術や財務に鑑み、スペアパーツの定義、種類お
よび管理方法を以下の通り立案した。
表 A3-2-16 スペアパーツの区分
名称
(1)大規模修理用
スペアパーツ
(2)中規模修理用
スペアパーツ
(消耗品を含む)
(3)小規模修理用
スペアパーツ
(消耗品を含む)
定義
種類等
ポンプ、ジェネレー
大規模補修時に必
タのパーツ等、およ
要なもの(交換頻
び無償資金協力で調
度は概ね 5 年以上)
達された部品類
給水事業体で修理 ジェネレータのフィ
が可能であるが、 ルタ、フロートバル
購入に時間がかか ブのゴムパッキン、
るもの
ハンドポンプのパー
(交換頻度は半年 ツ等、各給水施設に
~5 年)
よりパーツは異なる
給水事業体で修理
が可能であり、地
配管、バルブ類
方都市で直ぐ購入
水道メーター、エン
可能なもの(交換
ジンオイル等
頻度は半年~1 年
以下)
管理方法
原則ストックせず、問題発生時に
郡・MININFRA により対応
(無償調達部品類は郡が管理義務
を負う)
給水事業体による在庫管理→郡へ
報告
給水事業体による購入
(購入が容易なため、在庫管理の必
要はない)
b-1) 大規模修理用スペアパーツ
ルワマガナ郡では無償資金協力によって調達されたスペアパーツがルワマガナ郡庁およびルワ
キボゴ・ポンプ場にストックされている。この殆どはポンプなどの大規模補修用のパーツである。
月例会議において郡庁は MKM 水利用組合にスペアパーツの保管状況について、把握するように
指示したが、郡は無償資金協力のソフトコンポーネントで作成し提出された在庫管理帳などを全
て紛失していた。以上の状況から、郡はスペアパーツを保管することは出来るが、その管理能力
は乏しいと考えられる。
カヨンザ郡の Cyatokwe 給水施設、およびキレヘ郡の Gatore2 給水施設では、水源のポンプ・発
電機が故障しており、給水が停止している。これらは大規模補修の範疇に入る。その後について
は、
「その他の活動」を参照。
b-2) 中規模修理用スペアパーツ
「ル」国内や地方では入手のしにくいスペアパーツがこれに当たる。現況では給水事業体の技
術者が首都キガリに出向き、代理店やマーケットを通して入手している。
MKM では、フロートバルブのゴムパッキンは「ル」国内に無いことから、技術者がキガリの
代理店を通し、ナイロビから手に入れる予定である。ムラマではハンドポンプのスペアパーツを
代理店に注文して入手している。
これらのスペアパーツの問題点は、代理店に在庫がない場合、入手に時間がかかることである。
A-3-29
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
特に小規模なパーツなどは他の物品を運搬する際に同梱されることが予想されるため、これらが
代理店に届く時期は不確定である。このためには、消耗が予想されるスペアパーツを予め注文し、
ストックしておくことが重要である。
b-3) 小規模修理用スペアパーツ
地方部で入手のしやすいスペアパーツがこれに当たる。現況では、故障や問題が発生次第、給
水事業体の技術者が地元の建材屋から資材を購入して修復している。一方で、MKM では現地で
調達した資材のうち、水道メーターの品質が悪いなど、品質の確保に問題がある。購入先を EWSA
指定の建材屋に限定するなどして、一定の品質を確保するなどの指導が必要である。
(6) 変更の内容
Ver.6.0 の PDM で定められた目標は「円滑なスペアパーツの適正利用のための仕組みが形成さ
れ運用が開始される」であり、その活動として、
「無償資金協力で作成されたスペアパーツ管理書
類を用いて、スペアパーツ調達・利用体制を構築する」となっている。この活動に基づき、無償
供与資機材の出入庫管理体制強化を主な内容とする、
「スペアパーツ利用ガイドライン」が作成さ
れた。しかしながら、現況を踏まえ、以下の観点からの改訂、追加を行った。
1) 郡が独自にスペアパーツを購入するという例は少ないが、ドナー、NGO によるスペアパー
ツの供給先は郡が多い。一方、給水事業体は独自でスペアパーツを購入し管理している。
この状況を踏まえ、郡と給水事業体を対象としたスペアパーツの管理体制を構築する。
2) 主要なスペアパーツの発注、購入方法、購入先についての情報を提供する。
3) スペアパーツ調達ガイドラインは昨年 5 月の終了時評価により、より具体性を持たせるこ
とが必要であると評価されたため、各給水施設でのスペアパーツ調達案を追加するととも
に、案に沿った CP 側への支援を実施している。また、JICA 現地事務所より「ル」国の全
ての給水施設に対し汎用性を持たせたいとの観点から、コメントが昨年 10 月に寄せられて
いる。水質管理マニュアルの改訂と同様に、マニュアルの前半部分には地方給水における
スペアパーツの種類、ストック、調達の重要性を説き、大中小と修理の規模に分けたスペ
アパーツの管理方法を示している。
3-2-8
料金徴収適切化
(1) 住民啓発活動
料金徴収適切化の活動のため、下記の 5 サイトのモデル公共水栓が選定された。選定の際、料
金徴収実態の状況を勘案し、良い事例と改善が必要な事例を導出できるようバランスよく選出し
ている。
Munyaga セクトゥール:
MY-02、MY-06、MY-28
Mwulire セクトゥール:
MW-03
Kigabiro セクトゥール:
KG-03*
* 当初 KG-15 を選定していたが、KG-03 における料金徴収実態の悪化のため MKM 水利用者組合による住民啓発
活動実施の緊急度が高いとの判断に基づき、KG-03 へと変更された。
上述の 5 サイトに対して下記の通りの日程で住民啓発活動を実施した。
A-3-30
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-2-17 住民啓発活動概要
セクトゥール
Munyaga
Mwulire
Kigabiro
公共水栓 No.
MY-02
MY-06
MY-28
MW-03
KG-03*
開催日時
2011/3/24
2011/3/24
2011/7/7
2011/7/8
2011/7/12
人数
約 100 名
約 60 名
62 名
55 名
8名
住民啓発活動を実施するに当たり、プロジェクトは住民啓発活動に必要な説明資料の作成を支
援した。実際の住民啓発活動においては MKM 水利用者組合の組合長、会計役、料金徴収係、技
術者がそれぞれの担当分野である組織体制、会計状況、衛生、水質管理、施設維持管理の項目を
発表し、住民からの質疑応答の時間を設けて参加者の疑問の解消に努めた。
本住民啓発活動の実施の結果、住民たちは普段抱いている疑問点を解消することができ、彼等
が支払う水料金の使途についての理解を深めて積極的な参加意識を持ち始めている。また組合長
を始めとする給水事業体職員が面と向かって説明を行っているため、住民たちとの間に顔の見え
る関係を構築することができ、今後の問題発生時にも適切なコミュニケーションが行われること
が期待される。更に給水事業体も住民との関係強化、広報活動の一環としてこうした場を持つこ
とに意義を感じており、モデル公共水栓以外の公共水栓においても同種の活動が実施されること
が期待される。
一方で、本住民啓発活動はウムドゥグドゥリーダーを通して住民に周知され、参加を募るもの
であるが、KG-03 ではウムドゥグドゥリーダーへの連絡及び住民への周知が徹底されず、参加者
が少ないものとなってしまった。今後の課題としては、給水事業体とウムドゥグドゥリーダーと
の関係をこのような関係を活用して強化し、時宜に応じた問題点の把握と解決に向けての協議を
実施する中で、一層の料金徴収適切化を実現することが求められる。
組合長による説明
会計役による説明
料金徴収係による説明
技術者による説明
図 A3-2-5 住民啓発活動
A-3-31
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(2) 未納金対策
ほぼすべての給水事業体は、公共水栓管理人が住民から徴収した水料金が適切に給水事業体に
納金されていない。MKM 管路系給水施設を管理する UBUZIMA BWIZA 水利用組合でも、同じ問
題を抱えており、料金徴収担当者は、セクトゥールに問題の解決を依頼してきたが、セクトゥー
ルからの協力を得ることができないまま、問題が拡大してきた。
この課題を受けて、プロジェクトでは、まず毎月の未納金をゼロに近づけ、将来的には未納金
問題を解消することを目的とした支援を 2011 年 6 月に実施した。まず、ルワマガナ郡メイヤーに
よる郡と給水事業体との会議の開催を計画した。会議は 6 月 15 日に開催され、メイヤーにより未
納金問題の早期解決の方針が支持された。その後、プロジェクトでは、これまで不明確であった
公共水栓管理人の規約について、給水事業体関係者とともに規約案を準備するとともに、未納金
の解消を目的とした計画を立案した。この規約案と未納金解消プログラムは、6 月 26 日に開催さ
れた給水事業体の全体会議にて承認を得た。規約は以下の 9 項目からなる。
1. 契約手続き
4. 支払い方法
7. 施設の破損の責任
2. 勤務時間
5. 未納金の支払い方法
8. 給与
3. 水料金
6. 清掃活動の義務
9. 解約手続き
引き続き 6 月末から、給水事業体職員によって 3 セクトゥールにて公共水栓管理人に対して規
約と未納金解消のための方策について説明するとともに、各公共水栓管理人と未納金の金額とそ
の解消のための方策について合意した。
また、各セクトゥールが管理する政府系協同銀行に口座を開設して、セクトゥールを料金回収
に巻き込むと共に、料金回収の手間を削減する工夫を行った。
この結果、7 月の水料金回収率は、各セクトゥールで改善が見られた。特に、ムーリレ・セク
トゥール内の公共水栓では、4 月時点では 87%であった料金徴収率が 7 月では、99%にまで改善
された。料金徴収率の改善に加えて、未納金解消への取り組みにより、未納金額も増加から減少
傾向に転じた。この改善が長期的に持続することにより、2 年後には未納金をほぼ解消できる見
込みが立った。
これら一連の活動により、料金徴収と未納金に改善が見られたほか、それらを数値でモニター
できる仕組みが整った。この結果、数値が悪化した場合においても、問題をできるだけ早い時期
に発見、対応することができる体制に改善された。
3-3 成果 3 に対する活動
3-3-1 活動の基本方針と概要
(1) 基本方針
「ル」国の水衛生分野の上位計画である「国家地方水衛生プログラム(PNEAR)
」に準拠し「保
A-3-32
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
健衛生普及活動の国家戦略3」との整合と、我が国無償資金協力事業「地方給水計画」との連携を
基本方針とした。また、進行中である地方分権化への適応、保健省の掲げる「地域保健4」「行動
変容のためのコミュニケーション5」
「環境保健6」のそれぞれの政策と連動するように留意しなが
ら活動を進めた。
(2) 活動の概要
衛生普及活動(第 1 年次その 2 から第 4 年次前半)の概要は、下表の通りである。
表 A3-3-1 活動概要
対象地域
活動対象
(直接)
活動対象
(間接)
主な活動
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
1.
2.
東部県ルワマガナ、カヨンザ、ンゴマ、キレヘの
4 郡に属する旧キブンゴ県の地域
各郡の保健衛生ユニット長および職員
セクトゥール/セルの社会福祉担当官
保健所の村落保健衛生技官(CHSC)
給水事業体(WSP)の衛生普及/住民動員担当者
保健所傘下の村落衛生普及員(Agent Sante Communautaire)
初等学校の教職員/PTA、地域有識者等の関係者
初等学校の生徒
各郡のインフラ・ストラクチャー長および担当職員
各郡教育ユニット長(もしくはそれに準ずる)および職員
地域住民
地域で衛生普及活動を実施する主体者の能力向上支援
学校保健衛生普及活動の推進支援
(3) PDM に記載される成果と指標
本プロジェクトの衛生普及活動強化に関わる PDM 上の記載事項は、以下の通りである。
【成果 3】
対象 4 郡および給水事業体による実証サイト住民への衛生教育、啓発活動が強化される。
【指標】
1.
郡が衛生啓発活動の計画を策定し、実施する。
2.
実証サイトにおいて住民の衛生啓発活動への参加が増える。
3.
作成される学校衛生活動のマニュアル・教材に基づき、生徒教師により衛生普及活動が 1
回/1 ヶ月継続して行われる。
(4) 対象地域
対象地域は、上記 4 郡のうち、前述の無償資金協力事業で建設される給水施設によって給水を
受ける範囲、または本プロジェクトにおいて給水事業運営の支援対象となる給水事業体が給水範
囲としている地域を基本とした。
3
4
5
6
National Strategy on Sanitation and Promotion of Hygiene; May 2007, MINITERE
National Community Health Policy; March 2007, MINISANTE
National Behavior Change Communication Policy for the Health Sector; December 2006, MINISANTE
Environmental Health Policy; April 2007, MINISANTE
A-3-33
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-3-2 主な活動 1 の対象地域(パイロットサイト)
選定
先行
後発
郡
ルワマガナ
給水スキーム
MKM
給水事業体
MKM WUA
ンゴマ
Murama
カヨンザ
Nyankhora
キレヘ
Gatore 2
Murama WUA
(現在、KODUMU)
COVOMEKA
(現在、COGEPRENA)
Gatore WUA
保健委員会
Mwurile
Kigabiro
Munyaga
Murama
管轄保健所
Rwamagana
Rwinkwavu
Rwinkwavu
Gatore
Kirehe
Munyaga
Rukira
表 A3-3-3 主な活動 2 の対象地域(パイロット校)
選定
先行
後発
郡
ルワマガナ
ンゴマ
カヨンザ
セクトゥール
Mwurile
Sakara
Nkondo
学校名
Mwurile 2
Sakara
Nkondo 2
キレヘ
Curazo
Curazo
管轄 WSP
MKM WUA
COVOMEKA
(現 COGEPRENA)
Gatore WUA
管轄保健所
Rwamagana
Rukira
Rwinkwavu
Kirehe
3-3-2 PDM 指標の達成状況
PDM 指標については、各指標ともおおむね達成されている。
指標 1:郡が衛生啓発活動の計画を策定し、実施する。
1.
確認時期:2010 年 5 月(終了時評価準備調査/終了時評価)
2.
確認対象:各郡保健ユニット長
3.
確認手法:質問表による聞取り
4.
目的:
終了時評価の準備と、各郡での進捗状況の確認
達成状況は表 A3-3-4 の通り。
表 A3-3-4 各保健委員会の衛生普及活動計画の郡年間活動計画への反映状況
ルワマガナ
MKM
Rwamagana
活動計画
策定時期
2010 年 2 月
カヨンザ
COVOMEKA
Munyaga
Rwinkwavu
2010 年 2 月
2010 年 2 月
ンゴマ
キレヘ
Murama
Gatore
Rukira
Kirehe
2010 年 2 月
2010 年 2 月
郡
管轄 WSP
保健所
郡による承認と郡活動計画へ反映
郡の C/P 空席。
保健所と郡との協議を継続する。
同上
郡保健ユニットの年間活動計画へ反映、予算
計上済み。
郡保健ユニットの月別活動計画へ反映済み。
郡保健ユニットの年間活動計画へ反映予定。
備考:プロジェクトで新たに構築された衛生普及活動体制では、郡の保健ユニットの傘下にあり各セクトゥール
に配備される、保健所にて保健衛生の普及活動を統括する。
指標 2:実証サイトにおいて住民の衛生啓発活動への参加が増える。
達成状況の確認概要については、下表の通り。
A-3-34
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-3-5 指標 2 達成状況確認方法の概要
調査
確認時期
調査手法
終了時評価準備調査
2010 年 5 月
聞き取り
調査対象
給水事業体(WSP)
目的
・終了時評価準備
・横断的な支援対象者
である WSP の活動
状況を確認する。
フォローアップ調査
2010 年 6 月
a) 行動観察調査
b) 現地踏査
c) 質問表への記入
a) 保健委員会
b) 村落住民
c) 意識化集会への参加者
・衛生普及活動の実施主体への能力向上
支援を全体的に評価するために、研修
受講者によって開催される衛生意識化
集会を観察して、課題を抽出する。
・上記衛生意識化集会の参加者からニー
ズや改善点への提案などを獲得する。
・意識化活動の浸透度合いを確認し改善
するため、保健委員会のメンバーと共
に担当地域の世帯を訪問して情報を収
集する。
モニタリング調査
2010 年 6 月
質問表による聞取り
村落保健衛生技官
(保健所)
プロジェクトで構築
した保健衛生普及活
動の実態把握と、モニ
タリングシステムの
稼働状況を把握し、課
題の抽出を行う。
(1) 達成状況
本プロジェクトにおいては、WSP の衛生普及担当者と、各保健所に登録している村落保健衛生
普及員(Agent Santé Communautaire=ASC)とで、セクトゥール毎に保健委員会を形成し、恊働し
て保健衛生概念の普及を行う体制作りを行った。4 つの WSP に対する聞き取り調査結果において
は、それぞれ一ヶ月に 1 度以上定期的に継続して衛生普及活動を行っているとの結果を受けてい
る。また、フォローアップ調査、モニタリング調査においても、それぞれセクトゥールを単位に
設立した保健委員会で、普及活動が継続して行われている事が確認されている。また学校を発信
拠点とする地域での保健衛生普及活動が始まっている(以下参照)
。プロジェクトの支援によって
能力強化された要員により、衛生普及活動の開催回数は増加し、参加者の人数もおしなべて増加
している。
指標 3:作成される学校衛生活動のマニュアル・教材に基づき、生徒/教師により衛生普及
活動が 1 回/1 ヶ月継続して行われる。
達成状況の確認概要については、下表の通り。
表 A3-3-6 指標 3 達成状況確認方法の概要
調査
終了時評価準備調査
フォローアップ
支援終了時活動評価
確認時期
2010 年 5 月
2010 年 8 月
2010 年 9 月
調査手法
聞取り
聞取り/行動調査
質問表記入
調査対象
各学校長/職員
教職員/PTA/生徒
教職員/PTA/生徒
目的
・終了時評価準備
・各学校での活動進捗状
況確認
・ガイドラインを用いた保健衛生教
育(学校のカリュキュラムへの適用
状況)の確認
・生徒たち HAMS クラブによる近隣
世帯訪問を通じた衛生習慣の改善
度合いを確認する
支援内容やマニュアル、教材
類の課題を抽出する。
A-3-35
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A3-3-7 2010 年各校の HAMS クラブによる学内衛生普及集会開催回数
選定
先行
後発
郡
セクトゥール
学校名
Club 設立
2009 年 9 月
ルワマガナ
Mwurile
Mwurile 2
ンゴマ
Sakara
Sakara
カヨンザ
Nkondo
Nkondo 2
キレヘ
Curazo
Curazo
2010 年 2 月
2月
3月
4月
1
2
2
1
2
2
1
4
0
1
1
1
備考:先行 2 サイトでは、2009 年 8 月以降教師/生徒によって衛生普及活動が開始され、月に 2 から 4 回の活動
が行われている。
(2) 学校カリキュラムへのガイドラインの適用
プロジェクトにて制作された保健衛生教育ガイドラインを、カリキュラムの一つとして授業時
間の中に取り入れる事については、4 校とも 2010 年 8 月にて開始している。
(3) 地域への波及
2010 年 8 月以降、地域社会に対する生徒達 HAMS クラブによる衛生普及活動集会が開催されて
おり、上記指標 2 の達成にも多いに寄与している。
3-3-3 技術移転の方法
(1) 上位計画との整合
「ル」国においては行政のスリム化を目指し、地方分権化の推進と中央省庁の組織改編が、急
激に且つ停滞することなく押し進められている。政策を実行する行政組織は流動的で変化するも
のの、
「水と衛生」は、国家の緊急に取り組むべき課題として常に重要視されてきている。Vision
2020 では、給水セクターとして 1)持続的な統合水資源管理、2)全ての国民の安全な水と衛生施
設へのアクセス、3)経済発展のための貯水と保全、が可能となる状況を確保しなければならない
としている。また、貧困削減戦略文書では、1)母子の健康に対する影響、2)女子の情報獲得力
の向上、3)女性の水汲み労働時間の減少、4)世帯および国家の保健サービスコストの削減(特
に下痢等の水因性疾病罹患リスク)、5)生産性の向上(健康状態の改善)のための水衛生セクタ
ーの優位性、が挙げられている。そして、次の 5 点を目標に設定している。すなわち、1)給水サ
ービスの向上と配管網の拡張、2)農業・運輸・エネルギー部門での水利用の最適化、3)給水サ
ービスにおけるコミュニティ主体の運営、4)衛生サービスへのアクセス率向上、5)中央、地方
政府レベルでの管理能力向上、である。
(2) 水・衛生/保健セクターの動向との整合
上記目標を達成するために、特に「ル」国環境保健衛生分野においては、地域住民の主体的な
参加による自律発展を目指した活動を主たる活動として位置づけている。例えば村落保健衛生普
及員を各村落(ウムドゥグドゥ)に配置し、疾病予防に重点をおいた基本的な保健知識を普及さ
せることや、日常の生活における特に水に関わる衛生行動変容を望むための「PHAST7」手法を用
いた住民意識化活動の推進、村落部で安価に設置が可能となる簡易トイレの普及など、村落住民
を実施主体として位置づけることを奨励してきた。
また、将来を担う子供達への衛生習慣の定着をめざし、学校衛生活動=「HAMS8」の導入に力
7
8
Participatory Hygiene and Sanitation Transformation
Hygiene et Assainissement en Milieu Scolaire。2002 年には教育省(MINEDUC)、保健省(MINISANTE)、当時の国土・
環境・森林・水・鉱山省(MINITERE)の恊働組織として HAMS 委員会が設立された。議長は水資源環境省
(MINIRENA)。
A-3-36
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
を入れてきた。
3-3-4 技術移転の内容
衛生教育の技術移転は 4 つのフェーズに分けられる。各フェーズの節目には可能な限りカウン
ターパートの参加を促した。主な活動とアウトプットを表 A3-3-8 に示す。
表 A3-3-8 支援のフェーズと主な活動/アウトプット
フェーズ
準備
(1 年次
3 年次)
支援計画立案
(2〜3 年次)
実施
(3 年次)
フォローアップ
(3 年次〜
4 年次前半)
主な活動
0)水衛生セクター概況と対象地域保健サービス
構造の把握
1) 対象地域の衛生概況の把握
2) 住民/学校内の衛生行動把握
3) 村落内普及活動の実施者確認
4) 学校内の人的資源確認
5) 研修用プログラム/教材作成
—村落衛生普及員養成用
—村落衛生普及員利用
−学校関係者養成用
−教師の授業での利用
—生徒(HAMS Club)利用
6) 村落保健衛生官、WSP 担当者への PHAST 手法
の普及活動研修
7) HAMS(モジュール)導入による学校衛生活動方
法の研修
8) 村落衛生普及活動の継続と活動方法の再確認
研修
9) 学校を発信拠点とした衛生普及活動の継続と
活動方法の再確認
10)マニュアル類の改訂
・
・
・
・
・
・
・
・
・
主なアウトプット
ベースライン調査結果
簡易ベースライン調査結果
学校衛生状況調査結果
KAP 調査結果
研修受講候補者リスト(村落保健
衛生官/水利用組合担当)
支援対象学校リスト
マニュアル/ガイドライン
教材としての学校衛生施設の整備
(建設/機材供与)
研修カリキュラム
衛生概念普及活動体制
学校衛生 HAMS クラブ
モニタリング体制
モニタリングシート
モニタリング体制とモニタリングシート
の改訂版
マニュアル/ガイドラインの改訂版
本プロジェクトで構築された衛生外苑普及活動の実施体制と、学校衛生活動の普及体制を、次
ページに図で示す。また、制作された成果品(マニュアル)の一覧を前節 2.5 に示す。尚教材と
しての学校衛生施設(プライマリー・バリアズ)は後述する。
A-3-37
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
給水事業体
郡
病院
セクトゥール
保健所(CS)
報告/監理
給水エリア
AHS
保健委員会(Comité de Santé)
セル
AHS
イミドゥグドゥ
AHS
AHS
AHS
AHS
村落内衛生概念普及の実施体制図
郡
給水事業体
病院
セクトゥール
保健所(CS)
セル
AHS
学校
PTA
HAMS クラブ
ASC/PTA
ASC
学校衛生(HAMS)の実施体制図
図 A3-3-1 本プロジェクトで構築された衛生普及概念実施体制
A-3-38
ASC
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(1) 行政関係者への技術移転
1) 研修プログラム、カリキュラム、マニュアル/ガイドライン類の策定
本プロジェクトでは、無償資金協力事業で先行して策定されたマニュアル類を改訂することと
なっていたが、結果的には日本人専門家と各郡のカウンターパート主導の元、現地スタッフとと
もに学校衛生活動/住民への意識化活動用の双方のガイドライン類を新たに制作した。策定にあ
たっては、準備フェーズで実施した、ベースライン調査、聞き取り調査、既存資料の解析、人的
資源の確認作業を行っている。
2) 実施体制の構築
WSP に配置されている衛生普及担当もしくは住民動員担当者(=AHS)と地域 ASC との協調のも
とで、環境衛生の向上に務めることが望ましいと、各保健所から要望が強く出された。WSP の
AHS 要員が、対象サイトでは定着しない問題があったが、C/P と協議の結果、村落を中心とした
地域で運用をするのに最もよい実施体制として、
前出の図 A3-3-1 の実施体制を運用するに至った。
また、HAMS 導入による学校衛生普及活動は東部県で実績が無かったため、本プロジェクトで初
めての導入となった。他地域で実績のある実施体制を当事者である学校職員/PTA/セルの職員
等と協議した上で導入した。
3) 衛生普及概念活動実施主体者への研修の実施
可能な限り研修を行うべく準備を進め、4 郡のうち 2 郡のみ研修日程の一部ではあるが参加を
得られた。今回制作したキット一式で彼等独自の研修の実施が可能となるため、積極的な利用が
望まれる。
(2) 衛生普及概念活動実施主体者への研修
研修受講後の効果をはかり、マニュアル類の改訂や改良点の抽出を行うため、実施フェーズと
フォローアップ・フェーズに各 1 回ずつ研修を実施した。
実施フェーズ:衛生普及員養成研修(第 1 回 2009 年 11 月)
a)
b)
受講者の内訳

給水事業体:各給水施設の給水事業体から、衛生普及担当者もしくは住民動員担当者
の2名

ASC:各水利用組合の管轄する給水範囲から 3 名(基本的にはセクトゥールから 1 名)
ただし、ルワマガナについては給水範囲が広大であるため、合計 9 名とする。

セル ES:各給水施設の給水範囲となるセルの Executive Secretary。
研修実施者

プロジェクトカウンターパート (1/4 郡 参加)

プロジェクト専門家(給水施設、運営維持管理、衛生教育/IEC)

プロジェクト(直営)テクニカルスタッフ(現ルィンファブ病院勤務の保健士)
c)
研修の目的
以下を主目的として、座学および PHAST を導入した参加型手法によって、研修を実施した。
A) 水と衛生に関連する知識の取得
A-3-39
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
B)
C)
D)
E)
F)
基本的な給水施設の技術的なあらまし、運営維持管理に係る情報の取得
世帯や村落など身近なコミュニティで予防可能な疾病に関連する基本的な知識の取得
村落での衛生普及員として必要となるコミュニケーション能力の向上
地域社会での活動に貢献するための計画立案、モニタリング体制構築方法と立案
地域保健委員会の設置
会場の様子【1 日目】
グループワーク【2 日目】
コミュニティドラマ
疾病感染予防対策
活動計画立案
行動変容/キレヘ郡 C/P
給水施設概要講義
運営維持管理講義
閉会
図 A3-3-2 衛生普及員研修開催の模様(2009 年 11 月 17 日から 20 日)
d) 研修のプログラム
研修のモジュールは以下の通り。
表 A3-3-9 衛生普及員養成研修モジュール
日
1
2
テーマ
水・衛生・保健に関わる課題
研修方法/手法
講義
効果測定テスト
取水の段階
研修前レベル確認
PHAST カード:水源の選択
水の循環と水源保護
カップの中身
講義
PHAST カード:コミュニケーション
水/水源の汚染
結論開放型のストーリー制作
講義/PHAST:3 つの選択
PHAST カード:村落内衛生現況把握、同ドラマの制作と上演
給水施設とシステム概要
水の価値と料金徴収
講義
講義
水因性/糞便性疾患伝搬経路
水因性/糞便性疾患
PHAST カード:疾病伝搬経路
講義
A-3-40
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
日
2
3
4
テーマ
水因性/糞便性疾患のバリア
研修方法/手法
PHAST カード:疾病伝搬経路の遮断
手洗いの習慣
飲料水の浄水
PHAST カード:3 つの選択
講義
衛生階段
改良型トイレの使用と建設
PHAST カード:トイレ仕様の選択、現況と改良
講義
写真並べ(衛生習慣/行動)
ギャップ・ストーリー
PHAST カード:村落内の現況把握
PHAST カード:現況改善への道程
ジョハリの窓
行動変容のためのコミュニケーション
PHAST チャート:コミュニケーション
講義
活動/行動計画とモニタリング
セクトゥール別保健委員会設立
講義
グループワーク
行動計画立案
行動計画の発表
グループワーク
発表
効果測定テスト
研修後効果確認
対象者:
1 日目から 3 日目:WSP 衛生普及員/ASC
4 日目:WSP 衛生普及員/ASC 各セル ES
e) 研修の効果
以下の図 A3-3-3 に示す通り、一定の効果が現れている。
図 A3-3-3 効果測定(研修前/後)テスト結果
上記は研修前と後に実施した効果測定テストの結果である。
(赤線が後)PHAST による参加型
手法を導入したことで、受講者の理解度や参加度、疑問などが把握しやすく、教材へのフィード・
バックもその都度、取得することが可能であった。また、受講者の規模を 30 名以下としたため、
グループワークは円滑に進行し、参加者同士のつながりも早い段階から形成されたと言える。言
語をキニアルワンダ語に限定したことで、4 郡の給水施設におけるそれぞれに共通する問題点の
把握、情報交換による参加者みずからの気づきなどが発現されやすい環境にあったと考える。
フォローアップ・フェーズ:衛生普及員フォローアップ研修(第 2 回:2010 年 6 月)
a)
受講者の内訳

2009 年 11 月に研修を受けた 24 名の ASC および衛生普及員
A-3-41
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書

対象地域をカバーする 5 つの保健所に所属する村落保健衛生技官 5 名

プロジェクトカウンターパート 郡保健担当官 2 名(旧ユニット長)
b)
研修提供者

プロジェクト専門家(衛生教育/IEC)

プロジェクト(直営)テクニカルスタッフ(現ルィンファブ病院勤務の保健士)
c)
研修の目的

衛生普及員/ASC の PHAST アプローチを利用した能力向上、保健所を中枢とする共同モニ
タリングの実施、同モニタリングシステムの検証と再構築、活動の評価。
(研修結果は別途報告書あり9)
d)
研修項目
対象地域の衛生状況調査結果の共有、意識化活動の現況実施調査結果に基づき経験値の共有と、
PHAST アプローチを用いた意識化活動の実施方法をレビュー。また、2009 年 11 月から 2010 年 2
月にかけて設置したモニタリング/レポーティングシステムを検証し、再構築を行った。ASC と
WSP スタッフの実際の行動や、質問票、インタビューの結果と、対象地域の衛生に係る世帯調査
の結果を用いて、研修を実施することによって、実情を交えたインパクトの検証の場となった。
活動計画とレポーティング検証
ポケット・チャート10の復習
研修参加者
図 A3-3-4 衛生普及員研修開催の模様(2010 年 6 月 15 日から 17 日)
(3) 学校衛生活動(JICA PURA-SANI HAMS)実施主体者への研修
「ル」国の水衛生セクターにおいては、学校内での衛生概念向上活動(HAMS)が、意識化活動の
主軸とされている。HAMS の基本的な考え方は、子供をフォーカルポイントとして育成し、子供
から子供、子供から親、学校から地域へ、波及効果を広げることにある。子供たちは、学校での
レクリエーション(演劇の練習と上演、詩の朗読、歌やダンスの創作と披露など)を通じて水と
衛生、環境向上や疾病予防に関わる基本的な知識を習得し、友達とともに学校内で実践を重ねる
9
”Rapport d’Atelier de recyclage des facilitateurs en hygiène et assainissement et les charges d’hygiène et santé
communautaire au niveau des centre de Santé” 「ASC/衛生普及員および保健所村落保健衛生技官フォローアッ
プ研修会報告書」
(フランス語版)
10
PHAST 手法のうちの一つ。
A-3-42
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
ことで、行動変容を起こしていく。子供の行動変容が、家庭内、近隣へと波及を広げることで地
域の衛生環境の向上に寄与し、また子供達を主たるターゲットとすることで、地域社会の将来へ
長い時間効果が継続されることを狙うというものである。同国東部県以外の他地域では、数多く
実績を有する活動である。本プロジェクトではこれまでの HAMS に改良を加えた以下のパッケー
ジ型 JICA PURA-SANI 型学校衛生活動(JICA PURA-SANI HAMS) を展開した。JICA PURA-SANI
HAMS の三本柱は以下の通りとなる。
1.
HAMS モジュールによる人的資源の能力向上(教職員/PTA/生徒)
2.
JICA HAMS 学校衛生施設(プライマリー・バリアズ)の整備
3.
JICA HAMS 教材(視覚教材、保健衛生教育用ガイドライン整備、HAMS クラブ活動資
材等)の整備
表 A3-3-10
JICA PURA-SANI HAMS 活動内訳
1 研修
対象
HAMS 導入研修
教職員・PTA
研修を受けた教職員/PTA による HAMS クラブ設立研修
生徒
モニタリング活動
教職員・PTA/生徒
2 パッケージ教材
a)
「プライマリー・バリアズ(共同トイレと、手洗い場、雨水タンク)
」の建設
b)
簡易手洗い器カナクラの整備
c)
HAMS で通常使われている PHAST 教材
d)
プライマリー・バリアズ視覚教材に関わる視覚教材
e)
教職員により授業に利用される保健衛生教育ガイドライン
f)
HAMS クラブ活動資材
1) HAMS を実施する学校選定基準
パイロット校として各郡に 1 校ずつを選定すること、本プロジェクトの活動と連携をとるべく、
支援対象となっている給水事業体の給水範囲内に位置する学校となるよう、各郡のカウンターパ
ート、およびセクトゥール、セルの行政職員と本プロジェクトの総括者にて調整を行った。プロ
ジェクト側から示した学校の選定基準は以下のとおりである。
表 A3-3-11
1.
HAMS を実施する学校選定基準
無償資金協力で建設/改修した給水施設の給水範囲の学校、又はその給水施設の裨益世帯
の子供が通っている学校である
2.
公立学校であり、私立ではない
3.
適応性及び効果の確保を考慮し、初等学校である
4.
現在、その学校にトイレはない、又は既存のトイレは全生徒数に対し不足している
5.
手洗施設がない(取水設備が無い)
、又は適切な場所に設置されていない
6.
下痢等の水系性疾病の高発生率により、学校出席率が低い学校である
7.
この学校を管轄する郡及びセクトゥールが、この学校の発展を優先する
A-3-43
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
2) JICA PURA-SANI HAMS のモジュール
各学校へ HAMS を導入するための標準モジュールは以下の通りとなる。今般のモジュールは他
地域で実績があった標準的なモジュールに、若干の改良を加え策定した。全体行程は学校側の年
間計画(休暇時期)の変更により、1校につき 4〜5 ヶ月程度を要した。
表 A3-3-12
活動
確認協議会
0
JICA PURA-SANI HAMS 導入モジュール
内容
日数/1校
支援対象者となる学校職員/PTA、地方行政府(セル・レベル)
、 1 日程度
村長、村落内有識者などの関係者や地域の人的資源の確認、プロ
ジェクト概要説明と受け入れ意思の確認会
プライマリー・バリアズ建設の開始
1
開始協議
HAMS 導入のための開始協議会
参加者:郡の教育ユニット担当官/セクトゥール・セルの職員/
学校長/教職員/PTA/村長、村落内有識者/生徒
2
地方行政府との準 プロジェクト側と地方行政府、学校関係者による活動計画や日程
備協議
等の調整協議会。モニタリング体制の組織確認など
3
教員/PTA 研修
PHAST や HAMS に関する研修。HAMS クラブ設立に向けた
HAMS 導入方法、コミュニケーションなど。受講者数は各学校
12〜13 名程度
4
モニタリングシー モニタリング項目の調整、シートの作成とモニタリング方法の決
トの構築
定
5
保健衛生教育ガイ 授業内でのガイドライン運用方法について、または簡単な KAP
ドラインの運用研 調査の実施について
修
プライマリー・バリアズ建設の終了
1日
1日
4〜5 日
1〜2 日
2〜3 日
6
簡単な KAP 調査
の実施
モニタリング項目の見直し、ベースラインを把握するため生徒達
の衛生習慣や行動について簡単な観察調査を行う
学校による
7
評価、モニタリン
グ、フォロー
HAMS クラブによる衛生普及活動の継続、学校衛生施設の維持管
理計画策定、また、4 校の交流を深める訪問/視察活動など
継続
視察:2 日間程度
3) HAMS 活動のフォローアップ
本プロジェクトでは、HAMS 導入の時期が 2 サイトずつ 6 ヶ月ずれた事、学校教育システムに
変化があったこと(フランス語の棄却と英語教育の開始、フランス教育制度からイギリスの制度
準拠へと変更があり、年間日程や休暇期間に変更があったこと)などの理由から、HAMS 導入に
かける期間が非常に短くなった。また、小中 9 年間の一貫教育の試行が開始され、HAMS クラブ
の形成する生徒の層に広がりがでるなどの変化があった。このため、フォローアップ・モジュー
ルを策定以下の通り策定し、合計 4 ヶ月間、各校月に 1 度の訪問でプロジェクトからフォローア
ップを行った。
表 A3-3-13
HAMS フォローアップ・モジュール
活動
1
第 1 回訪問/協議
目的
活動計画照会、活動実績モニタリング、HAMS ガイド
ライン利用状況確認など
2
学校訪問、HAMS クラブ、HAMS 委員会
トイレの利用方法おさらい、学校衛生施設利用状況の
フォローアップ
確認、維持管理計画立案、HAMS モニタリングシート
運用状況確認、HAMS クラブ設立方法おさらいなど
A-3-44
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
3
4
活動
目的
学校訪問、周辺地域世帯訪問、周辺地域
トイレ利用方法確認、周辺地域への波及効果確認、地
住民との合同協議
域との協調、恊働、経験共有など
学校訪問、学校関係者(生徒)による周
学校衛生施設維持管理計画立案、HAMS ガイドライン
辺住民への意識化活動実施、最終評価
利用状況確認、HAMS 活動計画、HAMS モニタリング
シート運用状況の確認など
4) 活動の効果
各学校における衛生活動のモニタリング実施状況はおおむね良好である。生徒達で構成される
HAMS クラブによる衛生概念普及活動も継続されており、生徒達が家族に対して意識化を継続さ
せている効果も出ている。各学校では、トイレ脇に毎日設置するとした簡易手洗い器「カナクラ」
が利用され、排泄行為後の手洗いについては、ほぼ全校生徒に習慣化できていると、4 校から発
表された。また、好ましいインパクトとして、学校で衛生教育を受けた子供たちの影響で、トイ
レ脇に簡易な手洗い器を設置するようになった世帯が増えつつある。現行 HAMS 活動の課題の一
つは、カヨンザ郡の Nkondo 2 学校周辺地域で見られる子供対大人の論争である。子供たちが取り
入れる新しい概念や活動に対して、なかなか理解を示す事のできない保守的な大人達が地域には
存在し、論争がおこる場面がある。学校関係者によって、地域住民に対する意識化を地方行政官
たちの協力を得て進めるとのことである。
排泄後トイレ脇で手を洗う生徒
歌/ダンスによる衛生普及活動
メッセージを受け取る生徒達
図 A3-3-5 HAMS 導入後 各学校の様子
3-3-5 技術移転の留意事項
衛生普及活動を進めるにあったって留意した事項は以下の通りである。
(1) 水と衛生の関連性強調や専門家の恊調
いずれの活動も、本プロジェクトの給水運営に関わる支援活動と連携をとるように留意した。
日本側専門家チームの給水施設、運営維持管理の専門家には、各教材制作や、学校衛生施設整備
への積極的な参加を得た上に、普及員養成研修会に講師として参加を得る等、保健衛生分野のカ
ウンターパートと共にプロジェクト活動を進めて行けるよう配慮した。
A-3-45
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(2) 現地人的資源の投入
意識化活動は、現状調査結果から課題を抽出して、課題を抱える人々自身の意識変革による解
決を訴える活動である。故に、他地域で見られるよく似た課題に対応した成功例をそのまま導入
し実践する事はあまり効果的でない。課題を抱える地域の事情と、課題の背景や社会構造に鑑み
て、参加者自身が活動を進める環境を整備することが大切である。特に衛生については、排泄行
為や廃棄、不潔さ、非生産性など人間生活の卦の部分が主題となるため、通訳を介さずに、母国
語で研修を実施できる要員を投入することが肝要である。また、こうした卦の情報を伝達し交換
する必要があるため、反感を抱く人、ごまかしたり嘘をついたりという事が必然的に出てくる。
従い、目に見える効果を発現するまでには、ある程度の時間がかかる。また地域開発の担い手と
しての自覚の芽生えを促すことからも、活発な意見交換が必要となる。こうした諸条件に照らし、
本活動では、現地スタッフ(現地庸上のテクニカルスタッフや、再委託先であるローカルコンサ
ルタント)が座学、OJT ともに研修講師の大部分をつとめることで、受講者が積極的に参加しや
すい環境づくりをおこなった。
(3) 住民参加型手法の活用
短い期間で効率的な活動を行うため、プロジェクトで発信する情報が対象地域の実際と乖離し
ていないかの確認を取る事ができ、また、本対象地域で前例がなかった住民参加型手法による意
識化活動実施の前準備と位置づけた。この事によって、住民による衛生概念普及活動の基盤を整
備する事とした。また、PHAST 手法を用いたことで無償資金協力で制作されたガイドラインやマ
ニュアルの改良するべき課題や箇所が把握しやすい状況となった。
(4) JICA プライマリー・バリアズの整備
本プロジェクトは、衛生教育の教材として学校衛生施設
(トイレ、手洗い場、雨水タンク)を整備した。計画、設
計、調達/施工監理にあたっては、給水施設専門家、運営
維持監理専門家とともに行った。以下計画時での留意/検
討事項を記す。
【施設の種類】
「ル」国 MINITERE(現 MININFRA/MINERENA)は、
衛生/給水施設の標準化に係る文書11において、環境配慮
型し尿分離トイレ(以下「ECOSAN」
)を公共衛生施設の
標準型として規定している。本プロジェクトではこの施設
標準と対象地域に普及している衛生概念とその実践度合
いなどを検討した結果、し尿分離トイレを設置した。
11
「Etude de développement des infrastructures d’alimentation en eau potable et d’assainissement en milieu rural」Rapport
provisoire, juillet 2007。
A-3-46
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
【設置施設数】

トイレは生徒数 100 人に対して 1 基(個室 1 室)設置とする。

対象地域で調査を行った学校の生徒数は最小 700 人から 1,400 人であるが、1,000 人程度の
学校が大多数を占める。=>1 校当たり 10 基必要となる。

ただし、多くの学校に既存の VIP ラトリンがあり、生徒用に 4 個室を 1 基としているもの
が多く設置されている。ただし維持管理状況が悪い学校が多いため、既存の VIP も同時に
活動の場として利用する。

上記から、10 —4=6 基(男女各 3 基)を、本プロジェクトによる設置数の最小コンポーネ
ントとする。ただし、VIP ラトリンの場合は、設置からの経年数により利用期限がある。
(通
常は 2-3 年で汚物槽が一杯になる設計となっているので、3 年が最長利用限度。これ以降は
汚物槽を埋め戻す必要があるため、VIP の場合は 2 槽式が望ましい。)このため、6 基設置
としても実質不足する事態の発生が否めないが、今回のプロジェクトでは、パイロットで
の活動し、試行段階とするため、最小コンポーネントを設置する。

流し台付きの手洗い場(水栓)については、300 人に対して 1 基として、各校 3 基とする。
水栓の利用は、トイレ使用後の手洗いのみならず、校内の清掃活動や他美化活動にも利用
する。
【衛生教育実施の方法】
衛生教育の手法検討にあたっては、糞便性疾病の伝搬経路とその予防や水因性疾患に対する知
識の定着だけではなく、トイレの正しい利用方法、維持管理の方法を取得するような衛生教育を
実施した。習得した知識に裏付けられた環境衛生を向上するような地域活動の実践によって、校
内から地域への波及を狙い、親と子、先生と生徒、地域社会と PTA といった関係の協力体制を構
築しながら、対象地域内での衛生概念の普及に役立てることに留意した。
3-3-6 研修受講者による波及効果
(1) 保健委員会による継続的な普及活動
村落内衛生普及員によっては、意識化活動が継続して行われている。特に PHAST カードを使
った参加型の活動が、養成された普及員達の手によって継続されている点は評価できる。セルの
議長などへの聞き取り調査結果では、住民同士によって協議される村落内の衛生課題や向上意欲
などについても満足している。
図 A3-3-6 養成された衛生普及員(保健委員会)による衛生普及活動の様子(2010 年 6 月)
A-3-47
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(2) HAMS クラブおよび生徒達による活動
フォローアップ期間に 4 校の生徒は近隣の家庭訪問をして現況確認と行動変容を望む普及活動
を実施している。子供たちの影響をうけて手洗い器を設置する世帯が出てきている。また、HAMS
メンバーや子供達による地域社会に対する衛生意識化活動が実施されるようになった学校もある。
HAMS 活動に触れる機会があった、カヨンザ郡 Nkondo2 近隣の学校長からは、同様のプログラム
導入の要望が出ており、郡の教育ユニットへ導入調整の要望を提出したとのことであった。こう
した活発な活動を継続できるよう学校側、地方行政府の支援が特に望まれる。
子供の影響を受けて設置した
Kandavwarwa(手洗器)
HAMS 世帯訪問の様子
村落内での HAMS メンバーによる
意識化集会
図 A3-3-7 HAMS クラブおよび生徒達による活動
3-3-7 プロジェクト成果品の面的な展開
(1) 保健省 CBEHPP との協調 (2010 年 9 月)
2010 年 6 月より先行する 5 郡で本格的に活動が開始された保健省の CBEHPP(Community Based
Environmental Health Promotion Program)と、JICA PURA-SANI プロジェクトとの連携と協調につ
いて、保健省環境衛生局と協議を進めてきた。本 PURA-SANI プロジェクトの成果を全国的に伝
搬させることを最終目的とし、特にこれから CBEHPP にて作成され全国に頒布される衛生概念向
上のための各種マニュアルや視覚教材へ、PURA-SANI プロジェクトの成果および成果品の内容を
盛り込む事で、より効率的なマニュアル制作が可能になることを、環境衛生局 (Environmental
Health Desk)の責任者へ伝え、連携と協調を改めて要請した。
(写真は協議の様子。
)
UNICEF/MINISANTE の下で、CBEHPP 促進のための全国版マニュアル制作を担当するコンサ
ルタントと協議を実施、プロジェクトの内容の説明と具体的な成果、すなわち実施した研修内容、
研修に利用したマニュアル類などの成果品に関わる協議を行い、同様に協調を依頼し、プロジェ
クトの成果品を貸与している。
(2) JOCV 水の防衛隊隊員との協調
カヨンザ郡カバロンドセクトゥールに赴任した JOCV 水の防衛隊隊員と、プロジェクトでの活
動を共有している。同隊員にはプロジェクトで策定した成果品一式を託している。同隊員は給水
と衛生の活動を包括して同セクトゥールで実施する計画を立案しており、衛生分野では、カバロ
ンド保健所と恊働で村落保健衛生普及員の養成を目指している。PURA-SANI で実施した要項を参
考にした研修会の開催が予定されているとのことであった。
A-3-48
ルワンダ共和国政府
インフラストラクチャー省
東部県
イミドゥグドゥ水・衛生改善計画プロジェクト
エンドライン調査報告書
2011 年 7 月
PURA SANI EXPERT TEAM
A-3-49
目次
…………………………………………………………………….....
1
………………………………………………………………………………
5
………………………………………………………………….
7
1.
調査背景・目的
2.
上位目標
3.
プロジェクト目標
4.
成果 1
………………………………………………………………………………….
14
5.
成果 2
………………………………………………………………………………….
17
6.
成果 3
………………………………………………………………………………….
21
7.
結論
……………………………………………………………………………….
24
添付資料
1. 世帯調査結果
2. 世帯調査結果と第一次ベースライン調査・簡易ベースライン調査各結果の比較
3. 世帯調査質問票
4. 関係者インタビュー調査結果
5. PDM6.0
A-3-50
1. 調査背景・目的
1-1. 目的
「イミドゥグドゥ水・衛生改善計画プロジェクト」は 2007 年より開始され、本年 9 月に
完了する。本エンドライン調査はこの 4 年次に渡るプロジェクトの成果を計測するために
計画された。本エンドライン調査は PDM6.0 に規定されている下記の各指標に基づき達成
度を評価するものである。
表 1 PDM 指標一覧
上位目標
1.
対象4郡において財務的に健全な(赤字で無い等)給水事業体の数が増加する。
2.
対象4郡において衛生面での改善された行動様式(清潔な水で適切なタイミングで手
を洗う)をとらない住民の割合が 15%減少する。
プロジェクト目標
1.
実証サイトの給水施設の稼働停止期間が 1 週間を超えない。
2.
実証サイトにおいて衛生面での改善された行動様式(清潔な水で適切なタイミングで
手を洗う等)をとる住民が増加する。
3.
実証サイトにおける給水施設の売り上げが増加する。
4.
プロジェクト対象地域において郡による衛生啓発活動の実施回数が増加する。
成果 1
1.
郡が監督する内容(項目)及び手順が文書化される。
2.
郡が実証サイトにおける給水システムの稼働状況・財務状況を月例報告書を通じてモ
ニタリングし、給水事業体に適切な監督指導を行う。
3.
郡が給水事業体の技術者の育成計画を作成する。
4.
郡が給水施設の建設・リハビリ計画を審査する。
5.
郡が実証サイトにおける好事例を郡内に普及(セミナー、ワークショップ等)する。
成果 2
1.
給水事業体より地方行政府に対して、月例報告書の提出が継続して行われる。
2.
給水システムの形態に応じて作成される維持管理ガイドラインに基づいて、テクニシ
ャンが給水施設(ポンプ、配管、ハンドポンプ等)の運用と維持管理を行う。
3.
改良された維持管理マニュアル(会計編)に基づき、給水事業体が日常の会計処理を
適切に実施する。
4.
実証サイトの水源および公共水栓において水質検査マニュアルに基づいて水質検査
が 1 回/3 か月継続して行われる。
5.
円滑なスペアパーツの適正利用のための仕組が形成され、運用が開始される。
1
A-3-51
成果 3
1.
郡が衛生啓発活動の計画を策定し、実施する。
2.
実証サイトにおいて住民の衛生啓発活動への参加が増える。
3.
作成される学校衛生活動のマニュアル・教材に基づき、生徒/教師により衛生普及活動
が 1 回/1 か月継続して行われる。
1-2. 調査手法
1-2-1. 関係者インタビュー
1) 日時・場所・調査対象者
下記の通り関係者インタビューを実施した。
表 2 関係者インタビュー実施概要
日時
所属
調査対象者氏名
役職
6月8日
ムーリレ 2 小学校
Mr. MWUMBANEZA Jean Claude
ムーリレ 2 小学校校長
6月8日
MKM 水利用者組合
Mr. UWIRINGIYIMANA Emmanuel
組合長
Mr. HAVUNABAKUNDA Aloni
技術者
Ms. NYIRAHABINEZA Josiane
会計役
6 月 10 日
同上
Mr. NKUNZURWANDA John
料金徴収係/衛生啓発
6月9日
カヨンザ郡庁
Ms. MUTESI Francine
水担当
Mr. MBONYUMUKIZA Emmanuel
インフラ担当
Mr. GATETE John
保健担当
Mr. NZIYOROSHYA J. Marie
組合長
Ms. UMUTONIWASE Zaituna
会計役
Mr. BIKORIMANA Emmanuel
技術者
Mr. KAREGE Thadé
技術者
Mr. NGABONEZA Deodatus
環境・水・森林担当
Mr. RWAKAYIGAMBA Emmanuel
インフラ担当
6月9日
6 月 10 日
COGEPRENA
ルワマガナ郡庁
6 月 16 日
同上
Ms. UMUHOSA Chantal
保健担当
6 月 13 日
サカラ小学校
Mr. MURWANASHYAKA Antoine
サカラ小学校長
6 月 14 日
チュラゾ小学校
Ms. MUKANGANGO Louise
チュラゾ小学校長
6 月 15 日
ガトレ 2 水利用者組合
Mr. MUHUNDE Narcisse
組合長
Mr. NKURUNZIZA Valerian
会計役
Mr. RWAHAMA Ildephonse
技術者
Mr. NYANDWI Aphrodis
ンコンド 2 小学校長
6 月 16 日
ンコンド 2 小学校
2
A-3-52
6 月 21 日
ンゴマ郡庁
Ms. UWAMAHORO Angelique
保健担当
6 月 22 日
同上
Mr. RUDASINGWA Edigard
給水事業体担当
Mr. MUTABARUKA Mubuecky
環境・水担当
Mr. KAYIGIRE Fidèl
インフラ担当
7月4日
同上
Mr. TUYISABE Augustin
CDF 技術者
6 月 23 日
ムラマ協同組合
Mr. HAKIZAMUNG Elias
組合長
CODAMU
Ms. TUYISHIMIRE Yvonne
会計役
Ms. MUKANKUNZURWANDA Marceline
衛生担当
Mr. NYAMPETA Celestin
技術者
Mr. KARUHIJE Jean Bosco
技術者
Mr. MUTABARUKA Silvain
環境・水・森林担当
Mr. KAYIRANGA Jean Damascene
保健担当
7月6日
キレへ郡庁
2) 調査要員
PURA-SANI 邦人専門家(立花)及び現地傭人(通訳)の 2 名で各対象者へのインタビ
ュー調査を実施した。
1-2-2. 世帯調査
1) 日時・場所
2011 年 6 月 6 日にルワマガナ郡 MKM 給水施設給水エリアにおいてプレテストを実施し、
調査要員と世帯調査票の内容について検討し、現状に応じて改訂した。また、各実証サイ
トでの世帯に対するインタビュー調査に先立ち、各実証サイトを管轄するセクトゥール事
務所に表敬及び調査開始の旨を連絡し、必要であれば支援を提供するよう要請した。更に、
各実証サイトでの調査に先立ち、調査要員に対して給水施設の概要及び給水エリアの範囲
を説明した。
以下の日程で、各実証サイトにおいて世帯調査を実施した。
表 3 世帯調査実施概要
郡
実証サイト
日時
ルワマガナ郡
MKM 給水施設給水エリア
2011 年 6 月 7 日~6 月 13 日
カヨンザ郡
ニャンコラ給水施設給水エリア
2011 年 6 月 14 日~6 月 16 日
ンゴマ郡
ムラマ給水施設給水エリア
2011 年 6 月 17 日~6 月 21 日
キレへ郡
ガトレ 2 給水施設給水エリア
2011 年 6 月 22 日~6 月 24 日
3
A-3-53
2) 標本抽出方法
標本抽出手法としては各給水点で一定数の世帯数を確保するという層化抽出法に準じた
手法を採用した。すなわち、各実証サイトの給水施設が裨益対象とする人口及び地理的範
囲を勘案し、各実証サイトの合計サンプル世帯数をおおよそ、ルワマガナ郡:カヨンザ郡:
ンゴマ郡:キレヘ郡=2:1:1:1 として割り当てた。その後、各実証サイトの給水点数(ルワ
マガナ郡、カヨンザ郡、キレヘ郡においては公共水栓数、ンゴマ郡においてはハンドポン
プ数)に応じて、給水点毎のサンプル世帯数をルワマガナ郡:3 世帯、カヨンザ郡:7 世帯、
ンゴマ郡:9 世帯、キレヘ郡:9 世帯として割り当てた。上記標本抽出作業によって得られ
た本エンドライン調査におけるサンプル世帯総数は 485 世帯である。各実証サイトのサン
プル世帯数の内訳は以下の通りである。
表 4 世帯調査標本抽出方法
郡庁
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
ンゴマ郡
キレヘ郡
サンプル世帯調査
MKM 給水施設
ニャンコラ給水
ムラマ給水施設
ガトレ 2 給水施設
対象実証サイト
給水エリア
施設給水エリア
給水エリア
給水エリア
給水点数
63
14
11
11
給水点種類
公共水栓
公共水栓
ハンドポンプ
公共水栓
単位サンプル世帯数
3
7
9
9
サンプル世帯数
189
98
99
99
485
合計
3) 調査要員
ルワンダ人の中から本調査と類似した調査従事経験を有する者を 6 名選定し、現地での
質問票を用いたインタビュー調査を依頼した。
4
A-3-54
2. 上位目標
上位目標の各指標についての結果概要は下記の通りである。
表 5 上位目標指標達成度概要
1.
対象4郡において財務的に健全な(赤字で無い等)給水事業体の数が増加する。
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
MKM 水利用者組合は安定的に収益を出せる体質になっている。その他
の給水事業体(COGERWA 等)も財政的な困窮状態には陥っていない。
COGEPRENA は安定的に収益を出せる体質になっている。その他の給
水事業体)も財政的な困窮状態には陥っていない。
CODAM は料金徴収業務を開始したところであり、整備中の利用者名簿
ンゴマ郡
をもって確実な料金徴収及び財政的に健全な運営が期待されている。ま
たその他の給水事業体についても民営化の導入により、郡庁による財政
健全化に向けた取り組みが行われているところである。
ガトレ 2 水利用者組合は給水施設稼働を待って料金徴収業務を開始する
キレヘ郡
予定であるが、従前の経験から適切な料金徴収業務の実施及び財政的に
健全な運営が期待される。その他の給水事業体についても郡庁による財
政健全化に向けた取り組みが期待される。
2.
対象4郡において衛生面での改善された行動様式(清潔な水で適切なタイミングで手
を洗う)をとらない住民の割合が 15%減少する。
実証サイトにおいては、毎回・しばしば手洗いをするとの回答が高い傾
ルワマガナ郡
向を示している。その他の地域についても郡庁保健担当は改善傾向にあ
ると認識している。
実証サイトにおいては、毎回・しばしば手洗いをするとの回答が高い傾
カヨンザ郡
向を示している。その他の地域についても郡庁保健担当は改善傾向にあ
ると認識している。
実証サイトにおいては、毎回・しばしば手洗いをするとの回答が高い傾
ンゴマ郡
向を示している。その他の地域についても郡庁保健担当は改善傾向にあ
ると認識している。
実証サイトにおいては、毎回・しばしば手洗いをするとの回答が高い傾
キレヘ郡
向を示している。その他の地域についても郡庁保健担当は改善傾向にあ
ると認識している。
2-1. 上位目標指標 1
上位目標指標 1「対象4郡において財務的に健全な(赤字で無い等)給水事業体の数が増
加する。
」においては、各実証サイトの給水事業体は多様な運営状況にあるものの、財政健
全化に向けた取り組みを実施していると評価される。プロジェクト実施前は財政的に困窮
5
A-3-55
状態にあった給水事業体も存在したが、プロジェクトによる運営面・技術面の支援を受け、
また郡庁との適切なコミュニケーションを図るための制度構築の支援を受けた結果、財政
の健全化が実現しつつある。また郡毎に差異が見られるものの、実証サイトの経験を踏ま
えて郡庁担当官は郡内の他の給水事業体の財政健全化に向けた取り組みを行なっている。
実証サイトで、しかも対象 4 郡の中でも最も大きな規模のルワガマナ郡 MKM の運営組織
が年ごとに売上げを伸ばし、組織運営を強化していったことで、対象地域の他の給水事業
体に良い影響を及ぼしている。このことから、上位目標指標 1 は達成に向かっていると評
価される。
2-2. 上位目標指標 2
上位目標指標 2「対象4郡において衛生面での改善された行動様式(清潔な水で適切なタ
イミングで手を洗う)をとらない住民の割合が 15%減少する。
」においては、実証サイトで
の衛生行動は高い水準を保っており、全ての郡で、回答が 85%を上回っている。
これについては、15%の住民が改善された行動様式をとるようになるということであるが、
本プロジェクトのベースライン調査では、当初から高い数値を示していた。プロジェクト
開始以前のデータとしては、2006年6月より12月に派遣されたJICA短期専門家による報告
がある。これは、旧キブンゴ県(現東部県の一部)において、本技プロの実施準備のため
の情報収集として行われたもので、その中で、手洗いについて『約半数の住民はトイレ後
および食事の前に石鹸による手洗いを行っていることが確認されたが、手洗いを行わない
人に理由を確認したところ、
「手洗いをする必要は無いと考えるから」
(45.9%)が「石鹸は
高いから」
(36.9%)を上回り、第一の理由にあげられた。
』と報告されている。また、『食
事前でも、トイレ後でも手を洗わない者が、それぞれ12.1%と16.3%いる』との調査結果も
ある。この調査では、石けんを使用するかという条件がつけられているが、手洗い自体を
行わないものが、12%以上いた。このことから、
「清潔な水で適切なタイミングで手を洗う」
をとらない者は、本プロジェクトの対象4郡においては、2006年時の他地域に比べ、減少し
ている(少ない)と言える。
また、各郡庁の保健担当官は郡内の他地域においても同様に手洗い等の適切な衛生行動
様式が普及しつつあると回答している。このことから、上位目標指標2は達成に向かってい
ると評価される。
3. プロジェクト目標
プロジェクト目標の各指標についての結果概要は下記の通りである。
6
A-3-56
表 6 成果 1 指標達成度概要
1.
実証サイトの給水施設の稼働停止期間が 1 週間を超えない。
ルワマガナ郡
2008 年~2010 年の間に計 4 回、その後は 1 週間以上の稼動停止はない。
カヨンザ郡
2008 年~2010 年の間に計 1 回、その後は 1 週間以上の稼動停止はない。
ンゴマ郡
2 基は 2010 年~2011 年 6 月まで停止していたが、
その後は稼動している。
キレヘ郡
2010 年~2011 年 6 月まで停止していたが、現在は稼動している。
2.
実証サイトにおいて衛生面での改善された行動様式(清潔な水で適切なタイミングで
手を洗う等)をとる住民が増加する。
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
ンゴマ郡
キレヘ郡
3.
の手洗いについては従前より改善する傾向にある。
食事前の手洗いについては変わらず高い水準にある一方で、トイレ使用後
の手洗いについては従前より改善する傾向にある。
食事前の手洗いについては変わらず高い水準にある一方で、トイレ使用後
の手洗いについては従前より改善する傾向にある。
食事前の手洗いについては変わらず高い水準にある一方で、トイレ使用後
の手洗いについては従前より改善する傾向にある。
実証サイトにおける給水施設の売り上げが増加する。
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
ンゴマ郡
キレヘ郡
4.
食事前の手洗いについては変わらず高い水準にある一方で、トイレ使用後
2009 年から 2010 年にかけて増加している。
一定の売上高を維持している。
2008 年から 2009 年は料金を徴収していたもののその後料金徴収が停止
していた。現在料金徴収を再開している。
施設再稼働により料金徴収を開始している。
プロジェクト対象地域において郡による衛生啓発活動の実施回数が増加する。
プロジェクト開始前は郡による衛生啓発活動がほとんど実施されていな
ルワマガナ郡
かったが、現在は四半期ごとに実施、またワクチン接種キャンペーン等の
他の機会に乗じて実施している。
プロジェクト開始前は郡による衛生啓発活動がほとんど実施されていな
カヨンザ郡
かったが、現在は四半期ごとに衛生週間を実施し、全世帯を訪問して衛生
状態を確認している。
プロジェクト開始前は郡による衛生啓発活動がほとんど実施されていな
ンゴマ郡
かったが、現在は不定期で啓発活動を実施していたが、今後は定期的に実
施するように計画中である。
キレヘ郡
プロジェクト開始前は郡による衛生啓発活動がほとんど実施されていな
かったが、現在は年間 8 回実施している。
7
A-3-57
3-1.プロジェクト目標指標 1
プロジェクト目標指標 1「実証サイトの給水施設の稼働停止期間が 1 週間を超えない。」
においては、終了時評価時(2010 年 4 月)までの稼働停止期間については下記の通りとな
っていた。
表 7 給水施設稼働停止期間
実証サイト
1 週間以上の稼働停止期間
種別
Rwakibogo ポンプ: 2009 年 1 月に 1
データ期間
2008 年 4 月~
回運転記録の欠損があるが1、稼動停
止はない。
MKM
(ルワマガナ郡)
動力式
Mwulire ポンプ: 1 週間以上の稼動 2008 年 4 月~
停止はない。
Munyaga ポンプ:2010 年 2 月、3 月
2008 年 4 月~
に各 1 回2、それ以降は稼動停止はな (2009 年 2 月~7
ニャンコラ
(カヨンザ郡)
動力式
ムラマ
ハンド
(ンゴマ郡)
ポンプ
ガトレ 2
(キレヘ郡)
動力式
い。
月はデータ欠損)
1 回
2009 年 10 月~
11 基全基が稼働中である3。
2011 年 7 月時点
2009 年 7 月よりポンプが 6 ヶ月以上
2009 年 7 月~
に渡り故障中4であったが現在は稼動
している。
2010 年 4 月以降は、MKM、ニャンコラ給水施設においては、停電による給水施設稼動
停止が見られたものの全て 1 週間以内であった。ムラマ・ハンドポンプについては、現在
全基稼働中である。ガトレ 2 給水施設は新規ポンプ調達に伴い、現在は稼動している。
Rwakibogo ポンプを管理する技術者が病気になり、急遽管理を交代した他の技術者が、
ポンプ運転記録をつけていなかったための記録欠損。同期間中もポンプ自体は稼働してい
た。
2 発電機そのものの整備不良、故障ではなく、可動部分のビスが緩んでいたものであり、当
初はそのことに気づかず、対応が遅れた。2 回目も同様であったが、別の箇所であったので
これも対処に時間がかかった。
3 住民のスペアパーツ購入費用の積立不足、
首都キガリからのスペアパーツ調達の困難さか
ら幾度かの停止はあった。
4 他ドナーによる当該給水施設建設時に設置されたポンプが中古品であったため、
修理を何
度も試みたが、現地の技術力では対応できない段階に達し、新規にポンプを調達して稼働
を再開した。
1
8
A-3-58
3-2. プロジェクト目標指標 2
プロジェクト目標指標 2「実証サイトにおいて衛生面での改善された行動様式(清潔な水
で適切なタイミングで手を洗う等)をとる住民が増加する。
」においては、本エンドライン
調査で実施したサンプル世帯調査の結果、食事前・トイレ使用後の手洗い習慣について下
記の通りであり、手洗いを「毎回」
・
「しばしば」するとの回答が軒並み 85%を超えるとい
う高い傾向を示した。本エンドライン調査の手洗い習慣についての結果をベースライン調
査結果(第一次ベースライン調査:2008 年 10 月、簡易(第二次)ベースライン調査:2009
年 9 月)
、KAP 調査(2009 年 9 月)
、モニタリング調査(2010 年 1 月)と比較すると、食
事前の手洗いについては変わらず高い水準にある一方で、トイレ使用後の手洗いについて
は従前より改善する傾向にあることが分かる。こうした一連の衛生習慣の改善が見られる
理由として、プロジェクトの支援による郡庁の保健担当の定期的なモニタリング活動の実
施が挙げられ、高水準の衛生習慣の維持に寄与していると考えられる。
表 8 食事前の手洗い習慣(ベースライン調査時等との比較)
調査時点
実証サイト
MKM・ムラマ
ニャンコラ・ガトレ 2
2008 年 10 月
299/301 (99.3%)
-
2009 年 9 月
-
194/200 (97%)
2011 年 7 月
278/286 (97.2%)
193/197 (98.0%)
表 9 トイレ使用後の手洗い習慣(ベースライン調査時との比較)
調査時点
実証サイト
MKM・ムラマ
ニャンコラ・ガトレ 2
2008 年 10 月
241/301 (80.1%)
-
2009 年 9 月5
-
155/200 (75.5%)
2009 年 9 月6
21/47 (44.7%)
6/15 (40.0%)
2011 年 7 月
258/285 (90.5%)
173/196 (88.3%)
また、飲料水等の保管状況について、場所・処理方法を同様にベースライン調査時と比
較すると、保管場所については屋内保管(台所、室内)の割合が高い水準を保つ一方で、
処理方法については SurEau の商標で販売されている塩素剤の使用率が上昇していること
が分かる。
5
6
簡易(第二次)ベースライン調査
KAP 調査
9
A-3-59
表 10 水保管場所(ベースライン調査時との比較)
場所
第一次 BL 調査
簡易 BL 調査
EL 調査
台所
10
3.3%
7
3.5%
30
6.3%
室内
288
96.3%
191
95.5%
437
92.0%
屋外
1
0.3%
2
1.0%
8
1.7%
合計
299
100.0%
200
100.0%
475
100.0%
表 11 水処理方法(ベースライン調査時との比較)
方法
第一次 BL 調査
簡易 BL 調査
EL 調査
塩素剤使用
34
8.7%
21
10.5%
122
30.3%
煮沸
253
64.9%
120
60.0%
276
68.5%
濾過
62
15.9%
5
2.5%
5
1.2%
その他
41
10.5%
-
-
0
0.0%
合計
390
100.0%
200
100.0%
403
100.0%
以上の結果から、他ドナーによる支援等の様々な要因が影響するものの、実証サイトの
住民は適切な衛生行動様式を身に付けており、かつ改善する傾向にあると考えられること
から、プロジェクト目標指標 2 については達成されていると評価できる。
3-3. プロジェクト目標指標 3
プロジェクト目標指標 3「実証サイトにおける給水施設の売り上げが増加する。
」におい
ては、各実証サイトで状況が異なっている。
1) MKM 給水施設(我が国無償資金協力による建設)
MKM 給水施設では、プロジェクト開始時には水利用者組合と公共水栓管理者、住民及び
行政組織とのコミュニケーションが不十分な状況であった。また利用者からの料金徴収は
公共水栓管理者を通じて実施されていたものの全体で 63 箇所の公共水栓を巡回して料金徴
収を実施することは会計役には困難な作業であり、公共水栓管理者からの未収金が発生し
ていた。さらに水利用者組合の組織体制としても適切な経営判断に基づく意思決定ができ
る状況にはなかった。加えて、ポンプ動力としてディーゼル発電機を使用していたところ、
ディーゼル燃料費の上昇に伴うポンプ運転費用の増加が経営を圧迫していた。
その後のプロジェクトによる支援の結果、料金徴収係の新規採用、公共水栓管理者から
の未収金の督促強化、住民啓発活動の実施等の売上高増加のための努力をすると同時に、
ポンプ動力のディーゼル燃料から商用電源への転換等の経費削減策、会計役交代や協同組
合化等の運営面での改善策を採っており、安定的な経営基盤の整備を目指している。
10
A-3-60
2) ニャンコラ給水施設(我が国無償資金協力による建設)
ニャンコラ給水施設はプロジェクト開始当初 COVOMEKA と称する協同組合が運営を実
施していた。これはカヨンザ郡では給水施設の民間委託化政策が採用されており、同政策
下で郡庁が所有権を有する同給水施設の運営委託契約を当該協同組合と締結したものであ
る。COVOMEKA はニャンコラ給水施設のみを運営するものではなく、カヨンザ郡内の他
の給水施設と併せて運営を管理していた。しかしながら、契約に規定されている郡水基金
への売上金の 15%に相当する額の納付ができておらず、また他の既存給水施設の運営にも
困難をきたしていた。
こうした状況下で、プロジェクトの支援によりニャンコラ給水施設を含む給水施設はプ
ロジェクト期間中の 2009 年に運営委託組織が COVOMEKA から COGEPRENA へと変更
され、経営状況の改善に取り組んでいる。実証サイトであるニャンコラ給水施設では、不
透明であった料金徴収の仕組みが見直された結果、適正な料金回収が継続的に実施されて
いる。
3) ムラマ・ハンドポンプ施設(我が国無償資金協力による建設)
ムラマ・ハンドポンプ施設はプロジェクト開始当初、水利用者組合が運営を管理してい
た。利用者からの水料金は世帯毎の定額制で徴収されていたものの、井戸の水質や他の無
料の水源(中国により建設された保護湧水)が近辺に存在することから、水利用者組合に
よる料金徴収は困難な状況であった。水利用者組合の技術者はハンドポンプの補修技術を
有していたが、上述の通り料金徴収が滞っていたこと、さらにハンドポンプのスペアパー
ツは首都キガリからの調達が必要でありキガリにある唯一の代理店の在庫も不十分であっ
たことから維持管理業務に支障をきたしていた。
その 後ンゴマ 郡における民 営化の導 入により、従 来の水利 用者組合から 協同組 合
(CODAM)へと組織変更があり、経営体制を一新した。この中で、プロジェクトの支援に
より会計トレーニングの実施、郡庁に対して住民啓発活動の実施の要請等を通じて料金徴
収を開始している。また従来水料金徴収率が芳しくなかったが、現在利用者名簿を整備し
ており、これにより確実な料金徴収を実施することで売上高の増加が期待されている。
4) ガトレ 2 給水施設(他ドナーによる建設)
ガトレ 2 給水施設は他の実証サイトと異なり、他ドナー7により建設された施設である。
建設時に設置されたポンプが中古品であったことから施設稼働開始時から故障を繰り返し
ており、施設を管理する水利用者組合の技術者が修理を実施していた。しかしながら、度
重なる故障の結果、現地の技術力ではで対応が困難な段階に達し 2009 年 9 月から 2011 年
7 月までポンプ故障のため、施設の稼働が停止していた。
仏民間企業 Nestle からの資金供与を受けた現地 NGO の LWF(Lutheran World
Federation)が現地建設会社を使用して給水施設を建設した。
7
11
A-3-61
現在、赤十字により新規ポンプが調達・設置され、施設が再稼働している。料金徴収額
も水利用者組合によって決定されており、施設再稼働により着実な料金徴収及び売上高の
増加が期待されている。
表 12 各サイトの売上高推移(千フラン)
2008 年
Jan
ルワマガナ・MKM
カヨンザ・ニャンコラ
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
2009 年
ルワマガナ・MKM
カヨンザ・ニャンコラ
Oct
Nov
Dec
4,269
3,254
1,392
2,047
2,560
na
na
na
na
na
na
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
113
-
-
-
-
-
-
Jan
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
2,223
1,324
1,304
1,294
2,730
3,634
-
-
ンゴマ・ムラマ
-
-
-
-
-
-
-
-
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
3,773
3,240
1,899
1,135
135
934
-
-
72
キレヘ・ガトレ 2
Sep
-
ンゴマ・ムラマ
キレヘ・ガトレ 2
Aug
-
76
-
-
-
-
75
-
-
-
na
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2010 年
Jan
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
ルワマガナ・MKM
985
2,418
2,444
1,994
2,042
3,506
4,908
5,801
3,090
3,675
2,356
3,399
-
-
-
-
-
-
1,041
1,016
864
816
325
451
カヨンザ・ニャンコラ
ンゴマ・ムラマ
-
キレヘ・ガトレ 2
2011 年
ルワマガナ・MKM
カヨンザ・ニャンコラ
-
-
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
Jan
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
4,837.4 2,256.7
544.0
ンゴマ・ムラマ
キレヘ・ガトレ 2
-
377.6
-
1,595.6 2,503.8 3,701.1
601.2
521.4
475.2
0
0
0
-
0
0
3-4. プロジェクト目標指標 4
プロジェクト目標指標 4「プロジェクト対象地域において郡による衛生啓発活動の実施回
数が増加する。
」においては、定期的に各郡が工夫を凝らして啓発活動を実施している。プ
ロジェクト開始前は郡による衛生啓発活動がほとんど実施されていなかったが、現在はプ
ロジェクトの支援により衛生啓発活動が実施されるようになっており、プロジェクトの支
援により上記指標は達成されたものと評価できる。郡担当官へのインタビュー調査による
と、次のような啓発活動が行われている。
① ルワマガナ郡: 四半期ごとに啓発活動を実施。
② カヨンザ郡:3 ヶ月毎 に”health week”を開催しており、全世帯を訪問して衛生
状況を確認し、 必要があれば指導している。また各行政レベル(郡庁、セクト
12
A-3-62
ゥール、セル、ウムドゥグドゥ)において保健委員会を開催し、啓発活動に取
り組んでいる。
③ ンゴマ郡:啓発活動は不定期開催であったが、最近は定期的に行っている。
④ キレへ郡:衛生啓発活動は 2010/2011 会計年度中に 8 回実施 した。
上記でも特にカヨンザ郡では競技会の開催や全世帯訪問などを通じて高い成果を上げて
いる。プロジェクトの成果として、地域に根ざす保健衛生委員会が設置されて、郡の最終
監督下における保健所主導のコミュニティヘルスワーカーと給水事業体の担当による、体
系的な衛生普及の活動が増加した結果、適切なタイミングでの手洗の必要性が住民たちに
認識された上で、励行されている。そしてその習慣が定着されるよう郡庁保健担当がモニ
タリング・フォローするような体制が整備された。
13
A-3-63
4. 成果 1
成果 1 の各指標についての結果概要は下記の通りである。
表 13 成果 1 指標達成度概要
1.
郡が監督する内容(項目)及び手順が文書化される。
ルワマガナ郡
行政支援マニュアルを作成済み。
カヨンザ郡
行政支援マニュアルを作成済み。
ンゴマ郡
行政支援マニュアルを作成済み。
キレヘ郡
行政支援マニュアルを作成済み。
2.
郡が実証サイトにおける給水システムの稼働状況・財務状況を月例報告書を通じてモ
ニタリングし、給水事業体に適切な監督指導を行う。
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
ンゴマ郡
キレヘ郡
3.
かかる指導監督といった関与が見られる。
1給水事業体の問題に適宜対応している。
定期会合が四半期ごとに実施され、その際に監督指導が行われている。
定期会合の実施が計画されており、これまでにも問題の発生時には適宜対
応している。
郡が給水事業体の技術者の育成計画を作成する。
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
4.
給水事業体による月報の提出が行われており、現状の把握、料金値下げに
計画立案済み、予算申請中。
計画立案ができていない。
ンゴマ郡
計画立案済み、予算申請中。
キレヘ郡
計画立案済み、予算申請中。
郡が給水施設の建設・リハビリ計画を審査する。
ルワマガナ郡
入札審査は問題なく行われている。
(技術評価をインフラ担当官が行う)
カヨンザ郡
入札審査は問題なく行われている。
(技術評価をインフラ担当官が行う)
ンゴマ郡
入札審査は問題なく行われている。
(技術評価をインフラ担当官が行う)
キレヘ郡
入札審査は問題なく行われている。
(技術評価をインフラ担当官が行う)
5.
郡が実証サイトにおける好事例を郡内に普及(セミナー、ワークショップ等)する。
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
普及活動を実施した。
普及活動が計画されている。
ンゴマ郡
普及活動を実施した。
キレヘ郡
普及活動を実施した。
14
A-3-64
4-1. 成果 1 指標 1
成果 1 の指標 1「郡が監督する内容(項目)及び手順が文書化される。」においては、プ
ロジェクトの支援の結果、
「行政支援マニュアル」が作成され、郡庁により承認されている
ことから達成されたものと評価できる。この行政支援マニュアルにより、郡庁が準拠すべ
き項目が整備された。一方で、マニュアルの実際の職務における継続的な運用については
フォローが必要である。
4-2. 成果 1 指標 2
成果 1 指標 2「郡が実証サイトにおける給水システムの稼働状況・財務状況を、月例報告
書を通じてモニタリングし、給水事業体に適切な監督指導を行う。」については郡毎に下記
の通りの状況となっている。
ルワマガナ郡では、プロジェクト開始前は郡庁と給水事業体の定期的なコミュニケーシ
ョンは存在していなかったが、現在はプロジェクトの支援により給水事業体による月報の
提出が行われており、現状の把握、料金値下げにかかる指導監督といった関与が見られる。
また定例会議の開催も計画されている。
カヨンザ郡では、郡庁職員が過度な業務負担を強いられているものの、問題が発生した
場合はその都度給水事業体と郡庁 ES との間のコミュニケーションを支援しており、これま
でにもこうした形で給水事業体の問題に対処している。給水事業体から郡庁への月報は継
続的に提出されている。
ンゴマ郡では、10 月、2 月、5 月に給水事業体との定例(四半期毎)会議が開かれている。
定期会合においては郡庁が給水事業体から提出された月報を基に指導監督を行っている。
2011 年 7 月(来年度)からの定例会議は、引き続き四半期毎に開催される計画になってい
る。給水施設の運営組織変更のため、月報は 8 月に提出される予定である。
キレヘ郡では、7 月、9 月、11 月、3 月に給水事業体との会合が開催されている。またそ
れ以外にも問題の発生時には適宜指導監督を行っている。プロジェクト開始前は郡庁と給
水事業体との定期的なコミュニケーションは存在していなかったが、プロジェクトの支援
により 2011 年 7 月(来年度)からは、四半期毎に月報に基づいた会合が計画されており、
そのための予算(予算申請上は毎月の開催になっている)も計上されている。給水事業体
から郡庁への月報は施設再稼働後の 8 月に提出される予定である。
4-3. 成果 1 指標 3
成果 1 指標 3「郡が給水事業体の技術者の育成計画を作成する。
」においては、カヨンザ
郡を除く 3 郡については技術者トレーニングの計画を立案し、予算を申請中である。カヨ
ンザ郡が計画を立案できていない理由は水担当官が産休中の教育担当官の職務を引き受け
ていることから特に多忙を極めていることで、計画立案・予算申請の時間を割くことがで
きなかったことが挙げられる。トレーニング計画はないものの、他ドナー等の外部リソー
スを獲得する努力は行われており、実際にこうした財源による研修が実施されてきた。
一方で、計画の詳細内容についてはより一層の改善の余地があり、郡庁が本年度の計画
15
A-3-65
を実施していく中でフォローアップしていく必要がある。
4-4. 成果 1 指標 4
成果 1 の指標 4「郡が給水施設の建設・リハビリ計画を審査する。」においては、各郡と
も入札評価に関して問題なく実施しており、達成されたものと評価できる。なお、郡庁で
は、入札評価以外に給水施設の計画や設計を審査する場面はなく、各ドナーや NGO が計画
に沿って、入札後、施工監理や竣工検査などを行っている。計画時の給水施設の技術的な
審査についてはインフラ省が担当している。郡のインフラ担当官は、理工学部出身の技術
者であり、入札時に技術面の評価(審査)を行っている、
4-5. 成果 1 指標 5
成果 1 指標 5「郡が実証サイトにおける好事例を郡内に普及(セミナー、ワークショップ
等)する。
」においては、カヨンザ郡8を除く 3 郡において好事例普及活動が実施された。
ルワマガナ郡では、COGERWA によるポンプの適切な運転とその記録、塩素滅菌、月例
報告書の書き振りについての好事例を郡内の給水事業体に紹介した。
ンゴマ郡では、月例報告書の書き振りや会計処理の好事例を郡内の給水事業体に紹介し
た。
キレへ郡ではルスモにある給水事業体の好事例を郡内の給水事業体に紹介した。キレへ
郡の好事例普及活動は、郡庁担当官自ら事例を選定し実施した。これは郡庁担当官が郡内
の給水事業体の現状を把握し、その中から好事例を抽出した上で、他の給水事業体へ紹介
するという役割を果たしたということができる。
8
郡庁水担当が産休中の教育担当の業務を兼任して多忙なことから当該業務に時間を割く
ことができない状況にある。
16
A-3-66
5. 成果 2
成果 2 の各指標についての結果概要は下記の通りである。
表 14 成果 2 指標達成度概要
1.
給水事業体より地方行政府に対して、月例報告書の提出が継続して行われる。
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
月例報告書を提出しており、今後継続が期待される。
継続して月例報告書を提出している。
料金徴収停止状態が続いていたが、ンゴマ郡が進める民間委託化により
2011 年 2 月に協同組合が新たに設立された後、世帯リストが更新される
ンゴマ郡
とともに、そのリストに基づいて 5 月末より料金徴収が再開されている。
また、月例報告書の提出 2011 年 6 月報より提出することが再開されてい
る。
2011 年 4 月に赤十字によって故障していたポンプの交換が実施され、同
キレヘ郡
年 6 月より給水事業体により施設が再稼働されている。また、6 月末より
料金徴収が再開されており、月例報告書についても 2011 年 7 月報が作成
されている。
2.
給水システムの形態に応じて作成される維持管理ガイドラインに基づいて、テクニシ
ャンが給水施設(ポンプ、配管、ハンドポンプ等)の運用と維持管理を行う。
ルワマガナ郡
維持管理ガイドラインを用いて維持管理活動を実施している。
カヨンザ郡
維持管理ガイドラインを用いて維持管理活動を実施している。
ンゴマ郡
維持管理ガイドラインを用いて維持管理活動を実施している。
キレヘ郡
維持管理ガイドラインを用いて維持管理活動を実施している。
3.
改良された維持管理マニュアル(会計編)に基づき、給水事業体が日常の会計処理を
適切に実施する。
ルワマガナ郡
会計役が適切な会計処理を行っている。
カヨンザ郡
会計役が適切な会計処理を行っている。
4.
ンゴマ郡
会計役が適切な会計処理を開始している。
キレヘ郡
会計役が適切な会計処理を開始している。
実証サイトの水源および公共水栓において水質検査マニュアルに基づいて水質検査
が 1 回/3 か月継続して行われる。
ルワマガナ郡
OJT 後、2011 年 6 月から開始している。
カヨンザ郡
OJT 後、2011 年 6 月から開始している。
ンゴマ郡
OJT 後、2011 年 6 月から開始している。
キレヘ郡
OJT 後、2011 年 6 月から開始している。
5.
円滑なスペアパーツの適正利用のための仕組が形成され、運用が開始される。
17
A-3-67
スペアパーツの員数確認を実施し、その後運用が開始される予定である。
ルワマガナ郡
現時点でも小中規模のスペアパーツの管理は実施されており、大規模なス
ペアパーツの管理体制を準備中である。
カヨンザ郡
ンゴマ郡
キレヘ郡
スペアパーツの管理を実施している。
スペアパーツを管理しており、1 年分の備蓄がある。
給水施設稼働中は給水事業体自ら購入していたが、今後の体制は協議中で
ある。
5-1. 成果 2 指標 1
ルワマガナ郡 MKM 給水事業体においては、会計役の交代等の運営体制の強化を行った
結果、継続して月例報告書を提出するようになった。
カヨンザ郡 COGEPRENA では継続して月例報告書を提出している。
ンゴマ郡 CODAM、キレヘ郡ガトレ 2 水利用者組合は料金徴収開始後に継続して月例報
告書を提出することが期待される。
これらの郡では他の給水事業体でも月報が提出されており、プロジェクトの効果が波及
している。
5-2. 成果 2 指標 2
成果 2 指標 2「給水システムの形態に応じて作成される維持管理ガイドラインに基づいて、
テクニシャンが給水施設(ポンプ、配管、ハンドポンプ等)の運用と維持管理を行う。」に
おいては、各実証サイトでプロジェクトにより作成された維持管理ガイドラインが使用さ
れ、一定の維持管理状況が達成されている。
5-3. 成果 2 指標 3
成果 2 の指標 3「改良された維持管理マニュアル(会計編)に基づき、給水事業体が日常
の会計処理を適切に実施する。
」においては、実証サイトにより状況が異なっているものの、
一定程度達成されたものと評価できる。
MKM 水利用者組合では、適切な会計処理を行っている。
COGEPRENA では以前より一定水準の会計処理を実施していたが、会計マニュアルに基
づくトレーニングを実施した結果、帳簿の記入方法等にさらなる改善が見られた。
CODAM では料金徴収が開始直後のため、実際の会計処理実務は将来的な課題となるが、
会計マニュアルに基づくトレーニングを受講しており、現時点では会計役は適切な会計処
理を行うことが出来る程度の理解を有している。
ガトレ 2 水利用者組合では、施設再稼働を待って料金徴収を開始する予定であるが、以
前も会計役は適切な会計処理を実施しており、今後も適切な会計処理を実施することが期
待される。
18
A-3-68
5-4. 成果 2 指標 4
成果 2 の指標 4「実証サイトの水源および公共水栓において水質検査マニュアルに基づい
て水質検査が 1 回/3 か月継続して行われる。
」においては、本年 4 月、5 月に OJT が実施
され、今後定期的に実施する計画がカヨンザ郡9を除く実証サイトにおいて立案されている
が、依然継続性に課題がある。今後はカヨンザ郡に対する働きかけも必要となる。また、
他の郡においても水質検査を継続して実施することが課題である。一方で、郡内の他の給
水事業体でも実施され、プロジェクトの効果が波及している。
5-5. 成果 2 指標 5
成果 2 の指標 5「円滑なスペアパーツの適正利用のための仕組が形成され、運用が開始さ
れる。
」においては、下記の通り各郡で多様な状況にあり、達成に向けて取り組みが行われ
ていると評価される。
1) ルワマガナ郡
ルワマガナ郡庁では無償資金協力事業で供与されたスペアパーツを管理している。プロ
ジェクト開始当初はスペアパーツ管理が十分に行われておらず、運用体制の整備がなされ
ていなかった。
このためプロジェクトの支援によりスペアパーツの員数確認を行う予定であり、その後
郡庁の倉庫に移動した上でスペアパーツ運用管理が開始される予定である。
2) カヨンザ郡
カヨンザ郡では無償資金協力事業で供与されたスペアパーツを管理している。プロジェ
クト開始当初はスペアパーツ管理が十分に行われておらず、運用体制の整備がなされてい
なかった。
プロジェクトの支援によりマニュアルを用いたトレーニングが実施された結果、現在は
スペアパーツ出入庫管理書類も作成・運用されており、現時点では一定の運用水準にある。
3) ンゴマ郡
ンゴマ郡では無償資金協力事業で供与されたスペアパーツは払底しているが、現在は給
水事業体が独自に購入することで対応しており、スペアパーツの維持管理が適切になされ
ていると判断できる。
9
郡庁水担当が産休中の教育担当の業務を兼任して多忙なことから当該業務に時間を割く
ことができない状況にある。
19
A-3-69
4) キレへ郡
キレへ郡では郡庁としては特に管理していない。そもそもキレへ郡の実証サイトは日本
の無償資金協力によるものではないため、スペアパーツを郡庁が管理する体制になってい
ない。このため、給水事業体が独自に購入している。
20
A-3-70
6. 成果 3
成果 3 の各指標についての結果概要は下記の通りである。
表 15 成果 3 指標達成度概要
1.
郡が衛生啓発活動の計画を策定し、実施する。
ルワマガナ郡
計画を策定し、予算申請中である。
カヨンザ郡
計画策定中であり、予算は未申請。
2.
ンゴマ郡
ごみ箱設置計画はあるが、予算は申請中である。
キレヘ郡
計画は作成したが、予算が少なく実施が難しい。
実証サイトにおいて住民の衛生啓発活動への参加が増える。
ルワマガナ郡
定期的な啓発活動に住民が参加している。
カヨンザ郡
定期的な啓発活動に住民が参加している。
3.
ンゴマ郡
不定期であるが、啓発活動に住民が参加している。
キレヘ郡
定期的な啓発活動に住民が参加している。
作成される学校衛生活動のマニュアル・教材に基づき、生徒/教師により衛生普及活動
が 1 回/1 か月継続して行われる。
ルワマガナ郡
不定期に開催されているが、今後定期的に実施するよう改善する予定であ
る。
カヨンザ郡
定期的に実施されている。
ンゴマ郡
定期的に実施されている。
キレヘ郡
定期的に実施されている。
6-1. 成果 3 指標 1
成果 3 指標 1「郡が衛生啓発活動の計画を策定し、実施する。」においては、プロジェク
ト開始前は郡庁に拠る衛生啓発活動計画は存在していなかったが、プロジェクトの支援に
より下記の通り 4 郡中 3 郡で計画の立案が行われている。
ルワマガナ郡では計画が策定され、郡庁に予算を申請中である。
カヨンザ郡では郡庁保健担当が多忙であるものの、計画を現在策定中であり、策定後に
予算申請を行う予定である。
ンゴマ郡では啓発活動の予算が承認されなかったため、予算に合わせてしまった形であ
るが、ごみ箱の設置等の計画を立案し予算を申請しているところである。
キレヘ郡では衛生啓発活動に係る計画を立案したものの、予算が充足されず実施が困難
な状況にある。
21
A-3-71
6-2. 成果 3 指標 2
成果 3 の指標 2「実証サイトにおいて住民の衛生啓発活動への参加が増える。」において
は、下記の状況から一定程度達成できていると評価できる。
郡庁による衛生啓発活動はンゴマ郡を除いた 3 郡で定期的に実施されており、ンゴマ郡
においても必要に応じて実施されていることから、一定数の参加者が得られていると判断
される。また、各給水事業体でも衛生啓発担当者が村落を巡回して衛生行動に関する指導
を継続している。
6-3. 成果 3 指標 3
成果 3 の指標 3「作成される学校衛生活動のマニュアル・教材に基づき、生徒/教師によ
り衛生普及活動が 1 回/1 か月継続して行われる。
」においては、学校休暇期間中を除き、毎
月定期的に啓発活動を実施していることから、ルワマガナ郡ムーリレ 2 小学校を除き概ね
達成されたと評価できる。本活動に対するプロジェクトの支援は 2010 年 9 月の邦人専門家
による活動が最終であったが、その後も各学校で継続して衛生啓発活動(HAMS クラブ活
動)が実施されており、持続性の観点からも非常に高く評価されるものである。
ムーリレ 2 小学校において HAMS クラブ活動の回数が記録されていない要因として、
HAMS クラブの中核を担っていた生徒が一斉に卒業し、引継ぎが上手くいかなかったこと、
HAMS クラブを担当する教員が大学に入学して離職したことが挙げられている。
表 16 ルワマガナ郡ムーリレ 2 小学校における HAMS クラブ活動実施回数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
2009
-
-
-
-
-
-
-
3
12
1
1
-
2010
-
4
-
-
-
-
1
1
4
1
-
-
2011
-
-
-
-
-
-
表 17 カヨンザ郡ンコンド 2 小学校における HAMS クラブ活動実施回数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
2009
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2010
-
6
4
2
4
5
2
7
5
4
4
-
2011
2
4
4
2
4
3
表 18 ンゴマ郡サカラ小学校における HAMS クラブ活動実施回数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
2009
-
-
-
-
-
-
-
2
4
4
-
-
2010
-
4
4
2
4
4
1
4
4
4
1
1
2011
1
4
4
1
4
22
A-3-72
表 19 キレへ郡チュラゾ小学校における HAMS クラブ活動実施回数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
2010
-
7
3
3
5
4
2
6
5
4
5
-
2011
3
4
3
1
4
2
23
A-3-73
4. 結論
4つの実証サイトにおける給水施設の運営維持管理(成果 2)については、プロジェクト
専門家による指導ならびにマニュアル等の整備により、給水事業体が技術的及び財務的な
能力を身につけ、概ね安定した運営維持管理が出来るようになった。
これら給水事業体に対する郡による監督指導(成果 1)については、当初郡による関与は
ほぼ皆無だったが、プロジェクトの支援により、給水事業体からの報告書の取り付け、定
期会合の開催、行政支援マニュアルの適用が行われるようになり、郡が給水事業体の実情
を把握し、必要に応じた指導を行う場面が増加した。今後は、この定着が期待されるとこ
ろ。また、郡による給水事業体へのトレーニングについても、トレーニングの計画策定及
び郡との協議を重ねた結果、多くの郡では独自予算が確保されるようになり、今年度(2011
年7月~2012 年 6 月)での実施が予定されている。
衛生啓発活動(成果 3)については、特に小学校における啓発活動は、ほとんどの学校で、
プロジェクトによる支援が終了した後も、学校衛生クラブの活動が継続的に実施されてお
り、大きな成果を収めたと判断できる。
このような成果があった一方で、以下の事柄も課題として残されている。
プロジェクト後半に入って、いくつかの郡が給水施設の運営維持管理を専属で配置する
ようになったことが追い風となって、給水事業体への監督指導がより強化されていったと
いう背景がある。しかしながら、これを専属がいない郡も含めて、組織的に継続できるよ
うな仕組みをつくるためには、
今年設立された EWSA の関与や関係機関の役割分担を整理、
明確化していくことが必要であると思われる。
実証サイトの給水事業体は、専門家の OJT 指導によって、プロジェクト終了までに、安
定的な運営維持管理能力を身に着けることが可能であると想定される。今後の課題は、1)
中・大規模の改修等、郡レベル以上の関与が必要となる場合の郡としての対応力の強化、
2)新たに導入されつつある民間委託の枠組みの中での郡としての資金管理や契約マネジメ
ントの強化、3)実証サイト以外の他の給水事業体をどのように育成・指導し、給水事業体に
よるサービスの質を向上していくか、という点にある。
補足:本プロジェクトの経緯から、PDM の変更が 5 回、実施機関や関係所管、行政機関
の改編なども数回あったことから、当初の指標が現状と合わなくなったままのものがあり、
本エンドライン調査でも、数字の扱いや比較が困難なものもあった。他地域や古い調査資
料(プロジェクト開始以前)との比較もあるが、概ね妥当なものとなっている。
24
A-3-74
A-3-75
0 - 500
501 - 1000
1001 - 1500
1501 - 2000
2001 - 2500
2501 - 3000
3001 - 3500
3501 - 4000
4001 - 4500
4501 - 5000
5001 - 5500
Range
A-2 Water Costs
River
Marshland
Rain Water
Prtcd Spring
Handpump
Public Tap
Kiosk
Private Tap
Bottled
Other
Total
Source
A-1 Source of Water
No.
17
25
6
60
8
32
2
16
8
1
1
No.
5
21
85
42
60
164
16
16
0
0
409
添付資料 1 世帯調査結果
MKM
%
9.0%
13.2%
3.2%
31.7%
4.2%
16.9%
1.1%
8.5%
4.2%
0.5%
0.5%
%
1.2%
5.1%
20.8%
10.3%
14.7%
40.1%
3.9%
3.9%
0.0%
0.0%
100.0%
MKM
Nyankora
No.
%
23
23.5%
28
28.6%
21
21.4%
11
11.2%
6
6.1%
3
3.1%
0
0.0%
2
2.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
Nyankora
No.
%
12
4.9%
60
24.5%
56
22.9%
3
1.2%
20
8.2%
81
33.1%
0
0.0%
13
5.3%
0
0.0%
0
0.0%
245
100.0%
A-1
No.
99
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
Murama
1
11
17
41
97
0
0
0
0
0
167
No.
Murama
%
100.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
%
0.6%
6.6%
10.2%
24.6%
58.1%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
No.
39
6
4
2
2
11
0
2
1
1
0
Gatore2
0
48
55
59
16
1
0
3
0
0
182
No.
Gatore2
%
39.4%
6.1%
4.0%
2.0%
2.0%
11.1%
0.0%
2.0%
1.0%
1.0%
0.0%
%
0.0%
26.4%
30.2%
32.4%
8.8%
0.5%
0.0%
1.6%
0.0%
0.0%
100.0%
No.
178
59
31
73
16
46
2
20
9
2
1
Total
18
140
213
145
193
246
16
32
0
0
1003
No.
Total
%
36.7%
12.2%
6.4%
15.1%
3.3%
9.5%
0.4%
4.1%
1.9%
0.4%
0.2%
%
1.8%
14.0%
21.2%
14.5%
19.2%
24.5%
1.6%
3.2%
0.0%
0.0%
100.0%
A-3-76
A-3-77
3
1
0
9
189
Yes
No
Total
Answer
B-2 Needs for Latrine
No.
186
2
188
No.
36
127
7
1
1
0
0
172
No.
2
0
0
2
98
98
0
98
2.0%
0.0%
0.0%
2.0%
100.0%
%
100.0%
0.0%
100.0%
A-2
No.
Nyankora
No.
%
20
20.6%
74
76.3%
3
3.1%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
97
100.0%
Nyankora
%
20.9%
73.8%
4.1%
0.6%
0.6%
0.0%
0.0%
100.0%
MKM
1.6%
0.5%
0.0%
4.8%
100.0%
%
98.9%
1.1%
100.0%
MKM
Latrine traditional
Simple latrine
Latrine with platform
VIP
VIP double septic tank
Urine diversion (ECOSAN)
Other
Total
Type
B-1 Type of Latrine
5501 - 6000
6001 - 6500
6501 - 7000
7001 Total
添付資料 1 世帯調査結果
98
1
99
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
%
99.0%
1.0%
100.0%
25
72
1
0
0
0
0
98
%
25.5%
73.5%
1.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
Murama
Murama
No.
0
0
0
0
99
No.
97
1
98
9.1%
0.0%
1.0%
21.2%
100.0%
22
74
1
0
0
0
0
97
%
99.0%
1.0%
100.0%
%
22.7%
76.3%
1.0%
0.0%
0.0%
0.0%
0.0%
100.0%
Gatore2
Gatore2
No.
9
0
1
21
99
No.
479
4
483
Total
No.
103
347
12
1
1
0
0
464
Total
14
1
1
32
485
%
99.2%
0.8%
100.0%
%
22.2%
74.8%
2.6%
0.2%
0.2%
0.0%
0.0%
100.0%
2.9%
0.2%
0.2%
6.6%
100.0%
A-3-78
Method
No.
142
37
8
0
187
%
75.9%
19.8%
4.3%
0.0%
100.0%
MKM
Everytime
Sometimes
Rarely
Never
Total
Frequency
No.
113
51
18
5
187
B-3 Wash Hands after Toilet
%
60.4%
27.3%
9.6%
2.7%
100.0%
MKM
With water from a bucket
With running water
With running water with soap
I don't wash my hands before meal
Total
Everytime
Sometimes
Rarely
Never
Total
Frequency
B-3 Wash Hands before Meal
添付資料 1 世帯調査結果
81
16
1
0
98
No.
47
41
10
0
98
No.
83
16
0
0
99
%
48.0%
41.8%
10.2%
0.0%
100.0%
A-3
No.
Murama
52
42
4
0
98
%
83.8%
16.2%
0.0%
0.0%
100.0%
No.
%
53.1%
42.9%
4.1%
0.0%
100.0%
No.
Murama
No.
%
15
15.2%
16
16.2%
68
68.7%
0
0.0%
99 100.0%
Murama
Nyankora
No.
%
12
12.4%
13
13.4%
72
74.2%
0
0.0%
97 100.0%
%
82.7%
16.3%
1.0%
0.0%
100.0%
Nyankora
%
17.9%
9.8%
71.7%
0.5%
100.0%
MKM
33
18
132
1
184
No.
No.
Nyankora
39
46
10
3
98
%
77.8%
19.2%
3.0%
0.0%
100.0%
%
39.8%
46.9%
10.2%
3.1%
100.0%
Gatore2
No.
%
23
23.5%
13
13.3%
62
63.3%
0
0.0%
98 100.0%
Gatore2
77
19
3
0
99
Gatore2
%
79.3%
18.2%
2.5%
0.0%
100.0%
No.
251
180
42
8
481
Total
%
52.2%
37.4%
8.7%
1.7%
100.0%
Total
No.
%
83
17.4%
60
12.6%
334
69.9%
1
0.2%
478 100.0%
No.
383
88
12
0
483
Total
A-3-79
With bucket with cover
With bucket without cover
With container
With jar with cover
With jar without cover
With can
With tank
Other
Total
Method
Kitchen
Room
Outside the house
Total
Place
B-4 Water Keeping
No.
29
19
129
0
51
A-4
Nyankora
No.
%
36
29.5%
15
12.3%
11
9.0%
21
17.2%
13
10.7%
23
18.9%
3
2.5%
0
0.0%
122
100.0%
No.
Murama
No.
%
37
29.8%
14
11.3%
12
9.7%
30
24.2%
6
4.8%
25
20.2%
0
0.0%
0
0.0%
124
100.0%
6
91
2
99
%
6.1%
91.9%
2.0%
100.0%
52
6
17
22
16
22
4
0
139
%
37.4%
4.3%
12.2%
15.8%
11.5%
15.8%
2.9%
0.0%
100.0%
Gatore2
6
88
3
97
%
6.2%
90.7%
3.1%
100.0%
Gatore2
Gatore2
No.
%
27
28.1%
21
21.9%
48
50.0%
0
0.0%
96 100.0%
No.
No.
Murama
No.
%
18
18.4%
14
14.3%
66
67.3%
0
0.0%
98 100.0%
Murama
Nyankora
No.
%
19
19.4%
14
14.3%
65
66.3%
0
0.0%
98 100.0%
Nyankora
No.
%
11.3%
11.3%
87.6%
87.6%
1.0%
1.0%
100.0%
100.0%
%
16.4%
10.7%
72.9%
0.0%
100.0%
MKM
%
28.5%
23.6%
10.6%
9.3%
6.9%
19.9%
1.2%
0.0%
100.0%
MKM
%
3.8%
95.1%
1.1%
100.0%
70
58
26
23
17
49
3
0
246
No.
MKM
7
173
2
182
No.
With water from a bucket
With running water
With running water with soap
I don't wash my hands after using toilet
Total
Method
添付資料 1 世帯調査結果
Total
No.
195
93
66
96
52
119
10
0
631
Total
30
437
8
475
No.
No.
93
68
308
0
469
%
30.9%
14.7%
10.5%
15.2%
8.2%
18.9%
1.6%
0.0%
100.0%
%
6.3%
92.0%
1.7%
100.0%
%
19.8%
14.5%
65.7%
0.0%
100.0%
Total
A-3-80
Method
No.
137
52
189
MKM
41
112
2
0
155
No.
%
72.5%
27.5%
100.0%
MKM
With disinfectant liquid
By boiling
Filtration
Other
Total
Yes
No
Total
Answer
B-5 Water Treatment
添付資料 1 世帯調査結果
%
26.5%
72.3%
1.3%
0.0%
100.0%
No.
A-5
Nyankora
No.
%
21
26.9%
57
73.1%
0
0.0%
0
0.0%
78
100.0%
Nyankora
No.
%
73
74.5%
25
25.5%
98
100.0%
84
15
99
No.
%
84.8%
15.2%
100.0%
37
53
2
0
92
No.
%
40.2%
57.6%
2.2%
0.0%
100.0%
Murama
Murama
No.
72
26
98
%
73.5%
26.5%
100.0%
23
54
1
0
78
%
29.5%
69.2%
1.3%
0.0%
100.0%
Gatore2
Gatore2
366
118
484
Total
No.
122
276
5
0
403
No.
Total
%
30.3%
68.5%
1.2%
0.0%
100.0%
%
75.6%
24.4%
100.0%
添付資料 1 世帯調査結果
1. 日時・場所
2011 年 6 月 6 日にルワマガナ郡 MKM 給水施設給水エリアにおいてプレテストを実施し、
調査要員と世帯調査票の内容について検討し、現状に応じて改訂した。また、各実証サイ
トでの世帯に対するインタビュー調査に先立ち、各実証サイトを管轄するセクトゥール事
務所に表敬及び調査開始の旨を連絡し、必要であれば支援を提供するよう要請した。更に、
各実証サイトでの調査に先立ち、調査要員に対して給水施設の概要及び給水エリアの範囲
を説明した。
以下の日程で、各実証サイトにおいて世帯調査を実施した。
郡
実証サイト
日時
ルワマガナ郡
MKM 給水施設給水エリア
2011 年 6 月 7 日~6 月 13 日
カヨンザ郡
ニャンコラ給水施設給水エリア
2011 年 6 月 14 日~6 月 16 日
ンゴマ郡
ムラマ給水施設給水エリア
2011 年 6 月 17 日~6 月 21 日
キレへ郡
ガトレ 2 給水施設給水エリア
2011 年 6 月 22 日~6 月 24 日
2. 標本抽出法
標本抽出手法としては各給水点で一定数の世帯数を確保するという層化抽出法に準じた
手法を採用した。すなわち、各実証サイトの給水施設が裨益対象とする人口及び地理的範
囲を勘案し、各実証サイトの合計サンプル世帯数をおおよそ、ルワマガナ郡:カヨンザ郡:
ンゴマ郡:キレヘ郡=2:1:1:1 として割り当てた。その後、各実証サイトの給水点数(ルワ
マガナ郡、カヨンザ郡、キレヘ郡においては公共水栓数、ンゴマ郡においてはハンドポン
プ数)に応じて、給水点毎のサンプル世帯数をルワマガナ郡:3 世帯、カヨンザ郡:7 世帯、
ンゴマ郡:9 世帯、キレヘ郡:9 世帯として割り当てた。上記標本抽出作業によって得られ
た本エンドライン調査におけるサンプル世帯総数は 485 世帯である。各実証サイトのサン
プル世帯数の内訳は以下の通りである。
郡庁
ルワマガナ郡
カヨンザ郡
ンゴマ郡
キレヘ郡
サンプル世帯調査
MKM 給水施設
ニャンコラ給水
ムラマ給水施設
ガトレ 2 給水施設
対象実証サイト
給水エリア
施設給水エリア
給水エリア
給水エリア
給水点数
63
14
11
11
給水点種類
公共水栓
公共水栓
ハンドポンプ
公共水栓
単位サンプル世帯数
3
7
9
9
サンプル世帯数
189
98
99
99
485
合計
A-6
A-3-81
添付資料 1 世帯調査結果
3. 調査要員
ルワンダ人の中から本調査と類似した調査従事経験を有する者を 6 名選定し、現地での
質問票を用いたインタビュー調査を依頼した。
4. 世帯調査結果
4-1 水利用状況
今回の調査対象である 4 箇所の実証サイトにおける水料金月額支払状況は下記の通りで
ある。
図 1 水料金月額支払
全体の傾向としては 0Frw~500Frw が最多となっており、平均値は 2214Frw、中央値は
1200Frw となっている。一方で、各実証サイトの水料金月額支払状況は下記の通りとなっ
ており、実証サイト毎に多様な状況にあることが分かる。
MKM 給水施設では 1501Frw~2000Frw が最多となっており、全体の傾向に比べて平均
値が高い状況にある。平均値は 2566Frw、中央値は 1800Frw となっている。調査時の水料
金(30Frw/ジェリカン)で換算すると、平均値で約 85 ジェリカン/月(約 1.7m3~2.0 m3
/月)
、中央値で約 60 ジェリカン/月(約 1.2m3~1.4 m3/月)となる。
ニャンコラ給水施設では 501Frw~1000Frw が最多となっており、全体の傾向に比べて
平均値がやや高いが、MKM 給水施設と比較すると平均値は低い。平均値は 1335Frw、中
央値は 1000Frw となっている。調査時の水料金(25Frw/ジェリカン)で換算すると、平均
値で約 53 ジェリカン/月
(約 1.0m3~1.2 m3/月)、
中央値で約 40 ジェリカン/月(約 0.8m3
A-7
A-3-82
添付資料 1 世帯調査結果
~0.9 m3/月)となる。
ムラマハンドポンプ施設では、定額制(500Frw/四半期)が採用されており、全ての回
答が 0Frw~500Frw の範囲内に収まっている。このことから、
月額支払は 500÷3≒167Frw
となる。平均値は 130Frw(未支払い、支払免除世帯を含むため)、中央値は 167Frw であ
り、全体の平均値を押し下げる要因となっている。
ガトレ 2 給水施設では、0Frw~500Frw が最多となっており、一見全体の平均値より低
いように思われるが、平均値は 4494Frw、中央値は 1600Frw となっている。これは調査当
時ガトレ 2 給水施設が稼動しておらず、住民は保護湧水等の無料の水源を利用するか、水
販売人から 100Frw~200Frw/ジェリカンの価格で購入するという状況にあることが原因
である。このため、7001Frw 以上の水料金を支払うと回答している世帯が 0Frw~500Frw
の次に多くなっている。
図 2 実証サイト別水料金月額支払
MKM
Nyankora
Murama
Gatore2
A-8
A-3-83
添付資料 1 世帯調査結果
4-2. 衛生状況
1) トイレ種別
調査対象世帯の保有するトイレ種別は下記の通りとなっており、各実証サイトにおいて
も同じ傾向が見られた。
図 3 世帯の保有するトイレ種別
またトイレの必要性についても 99.2%の世帯が必要であると回答している。これは「ル」
国政策によりトイレ設置が義務付けられており、保健所やセクトゥールの職員が巡回して
設置状況を確認していることが高い意識を有する理由である。調査対象世帯がトイレ設置
理由として挙げているのは、
「家屋・周辺環境を清潔に保つため」、
「感染症を防ぐため」、
「プ
ライバシーを保つため」
、
「そのように指導されたため」、
「(理由は分からないが)重要であ
るから」
、
「設置しないと罰則があるため」等である。
2) 手洗い習慣
a) 食事前
食事前の手洗い習慣について、”everytime”、”sometimes”を合わせて 97%の世帯が手洗
い習慣を有していると回答している。これは全ての実証サイトに共通して見られる傾向で
ある。
A-9
A-3-84
添付資料 1 世帯調査結果
図 4 食事前の手洗い習慣
一方で、手洗い方法については下記の通りとなり、各実証サイトにおいても同様の傾向
が見られ、70%前後の世帯が石鹸を使用して手洗いをすると回答している。
図 5 食事前の手洗い方法
b) トイレ使用後
トイレ使用後の手洗い習慣については、各サイトで”everytime”、”sometimes”を合わせ
て 90%前後の世帯が手洗い習慣を有していると回答している
A-10
A-3-85
添付資料 1 世帯調査結果
図 6 トイレ使用後の手洗い習慣
一方で、トイレ使用後の手洗い方法については下記の通りとなっており、石鹸の使用率
が食事前の手洗いに比較してやや低くなっている。
図 7 トイレ使用後の手洗い方法
これは次に示すとおり、ガトレ 2 給水施設の周辺地域において石鹸の使用率が他の実証
サイトに比較して低くなっているのが原因である。ガトレ 2 給水施設周辺地域において石
鹸の使用率が低い理由としては、ガトレ 2 給水施設は調査当時稼働を停止しており、安全
な水を入手するのが困難であることが挙げられる。
A-11
A-3-86
添付資料 1 世帯調査結果
図 8 実証サイト別トイレ使用後手洗い方法
MKM
Nyankora
Murama
Gatore2
With water from a bucket
With running water
With running water with soap
I don't wash my hands after using toilet
3) 水保管状況
a) 水保管場所
調査対象世帯のうち 98%が”Kitchen”及び”Room”と室内で水を保管していると回答して
おり、安全な水の保管に留意していることが読み取れる。
A-12
A-3-87
添付資料 1 世帯調査結果
図 9 水保管場所
また保管方法については、様々な手法を併用しており、下記の通りとなっている(多重
回答)
。それぞれの世帯では蓋付きの容器を可能な限り使用して、入手した水の汚染を防ぐ
努力をしている。
図 10 水保管方法(多重回答)
4) 水処理状況
飲料水等の処理について、ムラマハンドポンプ周辺地域(85%)を除く 3 サイトでは 70%
台の世帯が処理を行っていると回答している。水処理を実施していない世帯が理由として
挙げているのは、
「時間がない」、
「煮沸用の燃料(木材等)がない」、「(既に塩素滅菌され
ている等の理由で)入手した水は安全であり、処理は不要である」、「無関心」等である。
A-13
A-3-88
添付資料 1 世帯調査結果
図 11 水処理実施状況
一方で、水処理の方法については下記の通りとなっており、水処理をすると回答した世帯
のうち全体では 30%の世帯が塩素剤(商品名 SurEau)を使用していることが分かる(多
重回答)
。
図 12 水処理方法(多重回答)
これについては、実証サイト毎に下記のような差異が見られた。ムラマハンドポンプ周
辺地域において塩素剤を使用する世帯の割合が他の実証サイトに比較してやや高くなって
いる。
A-14
A-3-89
添付資料 1 世帯調査結果
図 13 各実証サイトの水処理方法
MKM
Nyankora
Murama
Gatore2
With disinfectant liquid
By Boiling
Filtration
Other
A-15
A-3-90
添付資料 2 世帯調査結果と第一次ベースライン調査・簡易ベースライン調査各結果の比較
水料金支払額
支払額
0 - 500
501 - 1000
1001 - 1500
1501 - 2000
2001 - 2500
2501 - 3000
3001 - 3500
3501 - 4000
4001 - 4500
4501 - 5000
5001 - 5500
5501 - 6000
6001 - 6500
6501 - 7000
7001 Total
簡易 BL 調査
-
BL 調査
103
34.2%
63
20.9%
24
8.0%
45
15.0%
2
0.7%
29
9.6%
0
0.0%
15
5.0%
8
2.7%
2
0.7%
4
1.3%
0
0.0%
2
0.7%
0
0.0%
4
1.3%
301
100.0%
-
EL 調査
178
36.7%
59
12.2%
31
6.4%
73
15.1%
16
3.3%
46
9.5%
2
0.4%
20
4.1%
9
1.9%
2
0.4%
1
0.2%
14
2.9%
1
0.2%
1
0.2%
32
6.6%
485
100.0%
トイレ種別
種類
Latrine traditional
(without platform and pit)
BL 調査
簡易 BL 調査
EL 調査
258
86.3%
56
28.0%
103
22.2%
Simple latrine
1
0.3%
135
67.5%
347
74.8%
Latrine with platform and septic
ventilated pit
2
0.7%
2
1.0%
12
2.6%
VIP
33
11.0%
0
0.0%
1
0.2%
VIP double septic tank
0
0.0%
0
0.0%
1
0.2%
Urine-diversion
(ECOSAN) toilet
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
No toilet
5
1.7%
7
3.5%
0
0.0%
299
100.0%
200
100.0%
464
100.0%
Total
A-16
A-3-91
添付資料 2 世帯調査結果と第一次ベースライン調査・簡易ベースライン調査各結果の比較
トイレの必要性
回答
Yes
No
Total
第一次 BL 調査
301
100.0%
0
0.0%
301
100.0%
簡易 BL 調査
EL 調査
479
99.2%
4
0.8%
483
100.0%
手洗い(食事前)
Yes
No
頻度
Everytime
Sometimes
Rarely
Never
Total
第一次 BL 調査
299
99.3%
1
301
0.7%
100.0%
簡易 BL 調査
163
81.5%
31
15.5%
5
2.5%
1
0.5%
200
100.0%
EL 調査
383
79.3%
88
18.2%
12
2.5%
0
0.0%
483
簡易 BL 調査
101
50.5%
54
27.0%
26
13.0%
19
9.5%
200
100.0%
EL 調査
251
52.2%
180
37.4%
42
8.7%
8
1.7%
481
手洗い(トイレ後)
Yes
No
頻度
Everytime
Sometimes
Rarely
Never
Total
第一次 BL 調査
241
80.1%
60
301
19.9%
100.0%
水保管場所
場所
Kitchen
Room
Outside the house
Total
第一次 BL 調査
10
3.3%
288
96.3%
1
0.3%
299
100.0%
簡易 BL 調査
7
3.5%
191
95.5%
2
1.0%
200
100.0%
EL 調査
30
6.3%
437
92.0%
8
1.7%
475
100.0%
第一次 BL 調査
34
8.7%
253
64.9%
62
15.9%
41
10.5%
390
100.0%
簡易 BL 調査
21
10.5%
120
60.0%
5
2.5%
200
100.0%
EL 調査
122
30.3%
276
68.5%
5
1.2%
0
0.0%
403
100.0%
水処理方法
方法
Chlorination
Boiling
Filtration
Other
Total
A-17
A-3-92
添付資料 3 世帯質問票
________/ 06 /2011
Serial No.: __________
Questionnaire to Household for End Line Survey
District: ____________________________________
A: Water Usage
A-1.
Which source of water does
your household use for
drinking or cooking?
[multiple answers allowed]
River
Marshland (unprotected)
Rain Water
Protected spring water
Handpump
Public Tap
Kiosk (EWSA/ Electrogaz)
Private Tap
Bottled Water
Other (Specify ________________________________________
____________________________________________________)
A-2.
How
much
does
your
household pay for water?
_______________________________________ Frw/ Month
B: Sanitation
B-1.
Which type of latrines do you
use in your property?
[multiple answers allowed]
Latrine traditional (without platform and pit)
Simple latrine
Latrine with platform and septic ventilated pit
VIP
VIP double septic tank
Urine-diversion (ECOSAN) toilet
Other (specify ________________________________________
____________________________________________________)
Yes (Specify the reason ________________________________
___________________________________________________
___________________________________________________)
B-2.
Do you want to use latrines?
No (Specify the reason ________________________________
___________________________________________________
___________________________________________________)
A-18
A-3-93
添付資料 3 世帯質問票
Do you wash your hands
B-3.
before meal
or
after using toilet
and
How?
B-4.
Where and How does your
household keep water in your
property?
Before meal:
Everytime
Sometimes
Rarely
Never
After using toilet:
Everytime
Sometimes
Rarely
Never
Specify the reason
Specify the reason
__________________________
_________________________
__________________________
_________________________
“How?”
With water from a bucket
With running water
With running water with soap
I don’t wash my hands before
meal
Place:
Kitchen/ Room/ Outside the house
“How?”
With water from a bucket
With running water
With running water with soap
I don’t wash my hands after
using toilet
Methods:
With bucket with cover
With bucket without cover
With container
With jar with cover
With jar without cover
With can
With tank
Other (specify ____________________________________
________________________________________________)
If “Yes”, how?
With disinfectant liquid (such as SurEau)/ By boiling/ Filtration
Other (specify ____________________________________
B-5.
Does your household treat
water before drinking or
cooking?
________________________________________________)
If “No”, why?
Specify the reason _________________________________
________________________________________________
________________________________________________
Comments:
A-19
A-3-94
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
1. 日時・場所・調査対象者
日時
所属
調査対象者氏名
役職
6月8日
ムーリレ 2 小学校
Mr. MWUMBANEZA Jean Claude
ムーリレ 2 小学校校長
6月8日
MKM 水利用者組合
Mr. UWIRINGIYIMANA Emmanuel
組合長
Mr. HAVUNABAKUNDA Aloni
技術者
Ms. NYIRAHABINEZA Josiane
会計役
6 月 10 日
同上
Mr. NKUNZURWANDA John
料金徴収係/衛生啓発
6月9日
カヨンザ郡庁
Ms. MUTESI Francine
水担当
Mr. MBONYUMUKIZA Emmanuel
インフラ担当
Mr. GATETE John
保健担当
Mr. NZIYOROSHYA J. Marie
組合長
Ms. UMUTONIWASE Zaituna
会計役
Mr. BIKORIMANA Emmanuel
技術者
Mr. KAREGE Thadé
技術者
Mr. NGABONEZA Deodatus
環境・水・森林担当
Mr. RWAKAYIGAMBA Emmanuel
インフラ担当
6月9日
6 月 10 日
COGEPRENA
ルワマガナ郡庁
6 月 16 日
同上
Ms. UMUHOSA Chantal
保健担当
6 月 13 日
サカラ小学校
Mr. MURWANASHYAKA Antoine
サカラ小学校長
6 月 14 日
チュラゾ小学校
Ms. MUKANGANGO Louise
チュラゾ小学校長
6 月 15 日
ガトレ 2 水利用者組合
Mr. MUHUNDE Narcisse
組合長
Mr. NKURUNZIZA Valerian
会計役
Mr. RWAHAMA Ildephonse
技術者
6 月 16 日
ンコンド 2 小学校
Mr. NYANDWI Aphrodis
ンコンド 2 小学校長
6 月 21 日
ンゴマ郡庁
Ms. UWAMAHORO Angelique
保健担当
6 月 22 日
同上
Mr. RUDASINGWA Edigard
給水事業体担当
Mr. MUTABARUKA Mubuecky
環境・水担当
Mr. KAYIGIRE Fidèl
インフラ担当
7月4日
同上
Mr. TUYISABE Augustin
CDF 技術者
6 月 23 日
ムラマ協同組合
Mr. HAKIZAMUNG Elias
組合長
CODAMU
Ms. TUYISHIMIRE Yvonne
会計役
Ms. MUKANKUNZURWANDA Marceline
衛生担当
Mr. NYAMPETA Celestin
技術者
Mr. KARUHIJE Jean Bosco
技術者
Mr. MUTABARUKA Silvain
環境・水・森林担当
Mr. KAYIRANGA Jean Damascene
保健担当
7月6日
キレへ郡庁
A-20
A-3-95
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
2. 調査要員
PURA-SANI 邦人専門家(立花)及び現地傭人(通訳)の 2 名で各対象者へのインタビ
ュー調査を実施した。
3. 郡庁
ンゴマ郡庁における給水事業体の監理業務(月報、スペアパーツ、水質検査)が一定の
成果を挙げていると判断される。これは給水事業体専属の担当官が配置されていることが
大きな要因と考えられる。その他の郡庁ではカヨンザ郡が水担当官が配置されているもの
の、現在産休中の他の郡庁職員の業務を代行しており、給水衛生業務に専念できる状況に
ないことがンゴマ郡庁に比して成果が見えづらい原因であると考えられる。その他の郡庁
(ルワマガナ郡、キレヘ郡)では環境担当やインフラ担当が他の業務と並行して給水事業
体の監理業務を実施しており、多忙な業務環境の中で給水事業体の監理業務に割く時間は
限定的である。
入札監理は主に入札評価委員会のメンバーであるインフラ担当の職務となっているが、
彼等は基本的にルワンダ国標準ガイドラインに則って入札評価業務を実施しており、特段
の問題は生じていない。
衛生行動変容については、ンゴマ郡をのぞく各郡で詳細なデータは存在しないものの、
保健担当は清潔で安全な水が入手できることによる住民の意識の変化や行動変容を実感し
ており、それを更に強固なものにするために各種の施策を実施している。
以下、各郡の概況を述べる。
ルワマガナ郡
郡内の給水事業体の財政状況の監督は環境・水・森林担当の管轄であるが、MKM 水利用
者組合を含めた給水事業体から月報は提出されていない。今後、当該状況を改善するため、
7 月に郡内の全給水事業体を集める会合を開催し、引き続き定期的に開催するようにしたい。
スペアパーツの管理に関しては、現在プロジェクトの支援で在庫リストを確認中であり、
環境・水・森林担当が給水事業体の技術者等を交えて確認したリストを基に、インフラ担
当が最終的な在庫管理責任を負うようにする。実際の出入庫手続きはロジスティック担当
となるが、給水事業体はスペアパーツが必要な場合はインフラ担当を通じてロジスティッ
ク担当に要請するという手続きをとることになる。
水質分析については、雨期と乾期の変わり目に実施し、3 月、6 月、9 月、12 月の年 4 回
を計画している。手法としては郡庁に保管されている水質分析器を給水事業体に貸与し、
給水事業体において水質分析を行い、結果を郡庁に報告するものとなっている。
A-21
A-3-96
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
入札審査については、現在までに行政支援マニュアルに添付されているチェックリストは
使用していないが、チェックリストはルワンダ国の入札手続き手順に則っているため内容
に問題はないと考えている。今後機会があれば使用する。現在のところ、入札審査を実施
するに当たり特に問題や困難は感じていない。
住民の衛生行動の変容については、現在郡庁独自の保健調査の一項目に含まれているが、
現在進行中の調査であり、正確な数字は未だ分からない。ただし、大統領からも衛生に関
する強いコミットメントがあったことにより、トイレ設置を中心とする衛生意識は向上し
ていると感じている。また四半期ごとに啓発活動を実施しており、ワクチン接種キャンペ
ーン等の他の啓発活動に相乗りするかたちで実施している。またウムガンダの機会を利用
して実施することもある。
カヨンザ郡
給水事業体から提出される月報はファイルに保管されている。給水事業体との定例会合
は本年 2 月の選挙の影響もあって昨年 8 月から中断しているが、問題が発生した際には個
別に郡庁 ES と給水事業体の間で会合が持たれ、問題解決に資するようになっている。現在
のところ大きな問題は把握されていない。
改善された衛生行動を有する住民の数は不明だが、印象としては増加している。正確な
数字が得られるように支援して欲しい。また郡庁は独自にトレーニングを実施し、住民た
ちは公共水栓周辺の清掃の習慣が見られるようになった。またカナクラを用いた手洗い習
慣が見られるようになった。保健担当は住民の衛生行動が変容するのを見て、より深くコ
ミュニティと関わるようになった。カヨンザ郡では 3 ヶ月毎に”health week”を開催してお
り、全世帯を訪問して衛生状況を確認し、必要があれば指導している。また各行政レベル
(郡庁、セクトゥール、セル、ウムドゥグドゥ)において保健委員会を開催し、啓発活動
に取り組んでいる。”health week”では啓発活動の競技会が開催され、内容の優れた発表に
は郡から認定証(certificate)が授与される。
スペアパーツの管理については、プロジェクトの支援で在庫リスト、出入庫管理表を作
成し、それらの書類を用いて管理している。
水質分析は郡庁の責任の下で実施する。給水事業体が郡庁の保有する水質分析器を借上
し、現場で分析の後、郡庁に報告するシステムを採用している。基本的には四半期ごとに
実施することとなっている。この活動は開始したばかりであり、運用に不安があるので更
なるトレーニングを希望する。
入札審査については、ルワンダ国政府の手続きルールに則って実施しており、現在のと
ころ大きな問題はないと考えている。一方で、施工監理において、業者が定められた報告
書の期限を遵守しないことが問題として挙げられる。
A-22
A-3-97
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
ンゴマ郡
各給水事業体からの月報はファイルに保管している。ムラマの協同組合については 3 ヶ
月に 1 回の提出予定である。こうした一連の活動は PURASANI の支援のもとで郡庁が働
きかけて実現したものである。ンゴマ郡では郡内の給水事業体に関する規則を 2010 年 3 月
に制定し、またセクトゥールレベルで土地担当を給水に関する担当者として任命している
(2009 年 12 月~)
。
スペアパーツ管理は現在のところ実施していないが、無償で調達されたものについては
書類を整備して管理する予定である。
水質分析は書類を整備して実施しており、特に問題なく実施している。年 4 回(3 月、6
月、9 月、12 月)の実施予定である。
入札評価については、ルワンダ国標準様式を利用しており、現段階では特に問題なくで
きている。
月例運営会議で他郡の事例を知ることができて非常に参考になった。
靴を履くなどの改善傾向も見られるが、まだまだ行動変容は途上にある。住民の衛生行
動変容の障壁となっているのは貧困ではなく、彼等の意識である。啓発活動については、
最近までは不定期開催で、報告書が定期的にセクトゥールから保健センターに提出され、
それを郡庁が管理するようにしていた。現在は、啓発活動を定期的に実施するように要請
している。
キレへ郡
現在郡内の給水事業体の財政状況に係る監理はできていないため、本年中に監理体制を
確立するべく務めている。
郡庁としてはスペアパーツの管理は実施していないが、今後供与されるスペアパーツの
管理体制を構築したい。民営化の導入に伴い、将来的にスペアパーツは郡庁で管理される
こととなると考えられる。
水質分析は年 4 回の実施計画である。
入札評価は「ル」国基準に則り、適正に行われていると考えている。
郡内の衛生的な習慣を有する世帯数は、2010 年において全 515,405 世帯中 10,402 世帯
であった。2010 年以外のデータは無いため比較はできないが、安全な水を使用すること、
手洗い習慣化等が見られるようになった。
衛生啓発活動は 2010/2011 会計年度中に 8 回実施した。
PURASANI の結果、郡庁としては水・衛生の知識の向上や水質管理に係る機材・知識を
獲得できたことが成果として考えられる。
A-23
A-3-98
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
4. 給水事業体
各実証サイトの給水事業体が置かれている状況は多種多様であり、各々の事業体はその
状況に応じた対応を行ってきている。調査時点では、ガトレ 2 給水施設は稼働を停止して
いた。また、ムラマ・ハンドポンプ施設は定額制の料金徴収を開始し始めたところであり、
協同組合もその運営を開始したところであった。このため、当該 2 サイトの給水事業体は
会計記録の整備はこれからの課題となる。また、共通して見られる傾向として、ムラマを
除く 3 サイトでは従量制を採用しているため、詳細な給水人口のデータは入手出来ていな
い。
水質検査については、定期的な検査が導入されており、今後も適切に実施されることが
期待される。
衛生行動変容については、施設が稼動していないガトレ 2 を除き、住民の行動変容が見
られるということであった。
以下、各給水事業体の概況を述べる。
MKM 水利用者組合
会計記録は整備されており、事務所の整理整頓も心掛けるようになった。
給水人口については正確なところは不明だが、2008 年の給水開始当初には約 4000 世帯
であったのが現在は約 7000 世帯と推定される。これは無償のソフコンを初めとする啓発活
動の成果であると考えている。
技術者はマニュアルを活用しており、現時点では問題は見当たらず、また PURASANI
によって伝達された知見は非常に有効であると考えている。
会計役はマニュアルを活用しており、会計記録簿への記入に時間を要しているが特に問題
なく管理できている。
なお、スペアパーツの調達については郡庁からの支援はなく、事業体が独自にキガリま
で赴いて購入している。一方で、キガリに赴いても在庫がない場合はひたすら待つという
対応を取らざるをえない状況である。
水質分析はトレーニングを受講済みであり、6 月中に実施し、その後 9 月にも予定してい
る。
住民の衛生行動の状況については衛生啓発担当の印象として、給水人口の約 6 割がより
良い衛生知識を習得していると考えられるとのことであった。住民たちは水がより近い場
所で得られるようになったため、体を洗ったり、衣服を洗濯したり、家屋を清掃したりと
いった衛生行動をより意識的に実施するようになっている。一方で、公共水栓管理人(Tap
Manager)の 7 割は公共水栓周辺環境の整備を満足に出来ていないと見ている。現在、こ
れについて指導中であり、自らの家屋と同じように管理するように指導している。
A-24
A-3-99
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
COGEPRENA
以前ニャンコラ給水施設を管理していた VOMAMEZA から同施設を引き継いだ 2010 年
7 月からのデータを記録・管理している。月報を毎月提出しており、郡庁からのフィードバ
ックは 7 割を書類で、3 割を口頭で伝えられている。全てのフィードバックを書類ベースに
して欲しいところだが、それを除けば郡庁との関係は極めて良好である。また
COGEPRENA の組織としての運営にも特問題を感じていない。
住民の衛生行動が変容としては、ジェリカン内部の清掃をするようになったり、子ども
たちの服装が身奇麗になったりという大きな変化が見られる。また施設に衛生啓発のポス
ターを掲示して更なる啓発活動に取り組んでいる。
PURASANI で作成されたガイドライン類は非常に良く出来ており、緊急時の対応を含め
て非常に助かっている。
また会計マニュアルも非常に有効であり、これを用いたトレーニングを受講した結果、
以前から使用していた内部の記録様式をマニュアルに準拠して改良した。以前は会計記
録・管理に苦労していたが PURASANI のトレーニングのおかけで改善された。
スペアパーツについては組合で基本的に調達しているが、PURASANI の支援で作成され
た郡庁の在庫リストを入手したため、必要なものを郡庁に請求する予定である。
水質分析については本年 5 月にトレーニングを受け、その場で OJT として一度水質分析
を実施した。本年中はニャンコラ及びカザバザナについて毎月水質試験を実施する予定で
ある。
ムラマ協同組合 Cooperative Dufate Amazi Neza Murama
ハンドポンプ利用者からの料金徴収は今月から開始したため、料金徴収状況については
これから確認するところである。利用者名簿も現在作成中であり、詳細な利用者数は不明
だが、おおよそ 1000 世帯となる見込みである。
住民の衛生状況については、汚れているジェリカンは洗浄するように指導しており、住
民がその指示に従わない場合には給水を拒否するようにしている。また下痢等を含む疾病
が減少している。
OM マニュアル、会計マニュアルともに使用しており、特に問題なく活用できている。
スペアパーツは 5 月 11 日に発注したものが漸く 6 月 21 日に納入された。ムラマ協同組
合は設立して間もないため、購入資金については銀行からのローンで調達した。これらの
スペアパーツは組合長が経営する商店の倉庫に保管されている。
水質分析は 6 月 6 日に実施した。今後の予定については郡庁からの指示に基づいて実施
していくことになる。
協同組合の運営は現在設立初期の段階にあり、様々な苦労はあるが日々改善していると
感じている。また、郡庁との関係も良好であると認識している。
A-25
A-3-100
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
ガトレ 2 水利用者組合
概況:明日 6 月 16 日の組合会合で水料金決定(40Frw/jc を予定)を含めたマネジメント
のあり方について協議する予定。その後給水サービスを再開する予定である。
→50Frw/jc で料金は決定したものの、赤十字から給水開始について合意が得られていない
ため未稼働の状況。
会計データは過去の分についても会計役の家で保管している。給水サービス再開後に水
利用者組合の事務所を持てるようにしたい。会計実務については PURASANI の会計マニ
ュアルを使用しており、再開後も同じく利用する予定である。
給水人口については、3 セルで 2314 世帯となっており、約 8000 人が使用していたと推
測される。住民たちは給水サービス実施中は、子どもたちが手洗いを習慣化するようにな
った。また公共水栓レベルでも汚いジェリカンを持ってきた者や汚い服を来てくる者に対
してはサービス提供を公共水栓管理人が拒否するということを行っていた。ただ現在は水
がないので、こうした意識も低下しつつある。
ポンプの運転に係る維持管理ガイドラインはポンプが更新されたとしてもシステムが同
じことから改訂の必要性は感じておらず、現在のものを継続して利用する予定である。
スペアパーツは 2008 年の施設建設時に LWF により供与されたものがセクター事務所に保
管されている。在庫がなくなった場合は組合が自身で購入することにしている。
水質分析については細田氏のトレーニングを受講しており、6 月、12 月の年 2 回実施する
計画になっている。次回は今週金曜日(6 月 17 日)に予定している。手順としては郡庁か
ら水利用者組合が水質分析器を借りて組合により分析を行い、結果を郡庁に報告するとい
うものである。
水利用者組合と郡庁との関係は特に問題は感じていない。ポンプ更新についても郡庁が
手助けしてくれて感謝している。
5. 学校
各小学校では学校長、HAMS クラブに属する教師・生徒の適切なリーダーシップの下、
定期的な衛生啓発活動が実施されており、生徒の間で衛生習慣が定着している。
以下、各小学校の概況を述べる。
ルワマガナ郡ムーリレ 2 小学校
プロジェクトの実施前は、子どもたちに手洗いの習慣がなく、またその用途の水も生徒
の自宅から持ってくる必要があった。今は、子どもたちの間で手洗い習慣が定着し、また
雨水タンクが設置されたおかげで、水料金の削減と運搬時間の減少が実現した。雨水タン
A-26
A-3-101
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
クは HAMS クラブで清掃・管理されている。
HAMS は PTA とも連携し、生徒の家庭を訪問するなど生徒が身につけた衛生習慣を普及
する活動を実施している。PTA を含めた生徒の親との関係も良好であり、HAMS クラブは
積極的に活動を実施している。こうした活動は定期的な会合で協議・評価されており、記
録が付けられている。
表 1 ルワマガナ郡ムーリレ 2 小学校における HAMS クラブ活動実施回数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
2009
-
-
-
-
-
-
-
3
12
1
1
-
2010
-
4
-
-
-
-
1
1
4
1
-
-
2011
-
-
-
-
-
-
カヨンザ郡ンコンド 2 小学校
プロジェクト実施前にはあまり見られなかった手洗いが習慣化されるようになった。ま
た、教室の清掃、ガーデニング等に水を使っている。タンク設置前には谷底まで生徒たち
が水を汲みに行っていたが、今はその時間が削減できて勉強に取り組む時間が増加した。
HAMS クラブは毎週水曜日 14 時より自学自習
(Self Study)
の一環として実施している。
水栓は故障しているためタンクのバルブ開閉で対応している。修理をセクトゥール事務
所、郡庁に依頼予定である。ECOSAN トイレは女子用に使用しており、特に問題はない。
男子用には別のトイレを設置した。カナクラは全て破損しており、修理を検討している。
表 2 カヨンザ郡ンコンド 2 小学校における HAMS クラブ活動実施回数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
2009
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2010
-
6
4
2
4
5
2
7
5
4
4
-
2011
2
4
4
2
4
3
ンゴマ郡サカラ小学校
PURASANI で設置した雨水タンクに加えて、新たに近隣の給水施設からの給水サービス
を享受することができるようになった。水が得られるようになったため、花や野菜の栽培
を始めた。畑と教室の間にミニ・ジェリカンを使用した手洗器を設置して、畑仕事の後に
手洗いをするよう生徒に指導している。また、トイレは生徒たちで管理しており、彼等に
より清掃されている。
水が得られるようになって、教師が昼食を学校でとることができるようになったり、近
A-27
A-3-102
添付資料 4 関係者インタビュー調査結果
隣の高齢者・弱者に生徒たちがジェリカンで水を無償で配達したりといった副次的効果が
得られた。
HAMS クラブは毎週水曜日の午後に実施しており、ダンスや劇などのパフォーマンスを
実施している。実施記録は紙で保管している。
表 3 ンゴマ郡サカラ小学校における HAMS クラブ活動実施回数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
2009
-
-
-
-
-
-
-
2
4
4
-
-
2010
-
4
4
2
4
4
1
4
4
4
1
1
2011
1
4
4
1
4
キレへ郡チュラゾ小学校
PURASANI でトレーニングを受けた HAMS クラブが活発に活動しており、生徒たちの
間でトイレ後の手洗いが意識的に実施され習慣化した。また、毎日教室内を生徒たちが清
掃している。また環境整備の一環として、校庭に花や木を植えるようにしている。HAMS
クラブは通常、毎週金曜日午後 4 時から 1 時間、啓発活動を実施している。事前に活動計
画を作成した上で当該活動を実施している。
トイレ、雨水タンク共に特に問題はない。トイレは 3 箇所を男子用、3 箇所を女子用とし
て高校用に使用している。小学生達は新設のトイレを使用するよう指導している。乾期に
は雨水タンクに水を貯留することができないため、生徒に自宅からジェリカンで水を持っ
てくるように指導している。
表 4 キレへ郡チュラゾ小学校における HAMS クラブ活動実施回数
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
2010
-
7
3
3
5
4
2
6
5
4
5
-
2011
3
4
3
1
4
2
A-28
A-3-103
添付資料 5:PDM version 6.0
実証サイトにおいて地方行政/住民の連携および民間の活
用による給水事業の運営体制が整備される。
3. 対象4郡及び給水事業体による実証サイト住民への衛生教
育、啓発活動が強化される。
2.
<成果>
1. 対象4郡の給水事業運営に係る監督能力が向上する。
<プロジェクト目標>
プロジェクト対象地域において給水事業運営維持管理体制と衛生
啓発活動実施体制が改善される。
<上位目標>
対象 4 郡において給水事業運営維持管理体制と衛生啓発活動実
施体制が改善される。
プロジェクトの要約
1.
2.
3.
5.
4.
3.
2.
1.
3.
4.
5.
1.
2.
3.
4.
1.
2.
2.
1.
A-29
郡が衛生啓発活動の計画を策定し、実施する。
実証サイトにおいて住民の衛生啓発活動への参加が増える。
作成される学校衛生活動のマニュアル・教材に基づき、生徒/教師によ
り衛生普及活動が 1 回/1 か月継続して行われる。
給水事業体より地方行政府に対して、月例報告書の提出が継続して
行われる。
給水システムの形態に応じて作成される維持管理ガイドラインに基づ
いて、テクニシャンが給水施設(ポンプ、配管、ハンドポンプ等)の運用
と維持管理を行う。
改良された維持管理マニュアル(会計編)に基づき、給水事業体が日
常の会計処理を適切に実施する。
実証サイトの水源および公共水栓において水質検査マニュアルに基
づいて水質検査が 1 回/3 か月継続して行われる。
円滑なスペアパーツの適正利用のための仕組が形成され、運用が開
始される。
郡が監督する内容(項目)及び手順が文書化される。
郡が実証サイトにおける給水システムの稼働状況・財務状況を月例報
告書を通じてモニタリングし、給水事業体に適切な監督指導を行う。
郡が給水事業体の技術者の育成計画を作成する。
郡が給水施設の建設・リハビリ計画を審査する。
郡が実証サイトにおける好事例を郡内に普及(セミナー、ワークショッ
プ等)する。
実証サイトの給水施設の稼働停止期間が 1 週間を超えない。
実証サイトにおいて衛生面での改善された行動様式(清潔な水で適切
なタイミングで手を洗う等)をとる住民が増加する。
実証サイトにおける給水施設の売り上げが増加する。
プロジェクト対象地域において郡による衛生啓発活動の実施回数が増
加する。
対象4郡において財務的に健全な(赤字で無い等)給水事業体の数が
増加する。
対象4郡において衛生面での改善された行動様式(清潔な水で適切な
タイミングで手を洗う)をとらない住民の割合が 15%減少する。
指標
指標入手手段
改良版行政支援マニュアル
月例会議議事録、月例報告書
郡年間計画
建設・リハビリ計画書の審査報告書
プロジェクト活動記録、議事録
ポンプ運転稼働記録
モニタリング調査
給水施設の売上高
衛生普及活動記録
1. 郡年間計画
2. インパクト調査、衛生啓発活動記録
3. HAMS クラブの活動モニタリングシート
4. 水質検査記録
5. スペアパーツ出入庫管理記録、スペアパ
ーツ管理台帳
2. ポンプ運転稼働記録、維持管理活動記
録
3. 会計書類リスト、監査記録
1. 月例報告書
1.
2.
3.
4.
5.
1.
2.
3.
4.
2. モニタリング調査
1. 給水事業体の収支報告
プロジェクト実施期間:2007 年 4 月~2011 年 10 月
プロジェクト名:ルワンダ国イミドゥグドゥ水・衛生改善計画
実証サイト対象地域:東部県 4 郡(ルワマガナ/カヨンザ/ンゴマ/キレヘ)
実証サイト: 東部県 4 郡(ルワマガナ/カヨンザ/ンゴマ/キレヘ)のうち選定された各郡1サイト
実施機関:インフラストラクチャー省(MININFRA)、東部県、東部県 4 郡(ルワマガナ/カヨンザ/ンゴマ/キレヘ)
ターゲットグループ:対象4郡の給水事業・衛生活動担当行政官、実証サイトの給水事業主体(水利用者組合、協同組合)、プロジェクト対象地域の水利用者
A-3-104
2010 年 8 月
−安全で安定した水源が継続
する。
-郡・セクテュールの給水及び
衛生改善に関する役割が変
更されない。
-地方分権化が滞り無く実施さ
れる。
-政府の地方給水事業の維持
管理に係る実施体制や基本
政策に変更がない。
外部条件
A-3-105
上記 1-1 から 1-3 までの活動結果から得られた知見を反映
し、行政支援マニュアルを改良する。
実証サイトにおける好事例を郡内の他の給水事業体に普
及する。
維持管理マニュアル(運営編)に基づいた月例報告・連絡
体制を強化する。
維持管理ガイドラインを利用し、実証サイトの給水事業体
技術者の給水施設維持管理能力を強化する。
実証サイトの給水事業体による会計処理能力を強化する。
郡および実証サイトの給水事業体の水質管理能力を強化
する。
無償資金協力で作成されたスペアパーツ管理書類を用い
て、スペアパーツ調達・利用体制を構築する。
公共水栓における料金徴収適切化が行われる。
追加実証サイトにおいて住民及び学校教員・児童の衛生
意識・習慣に関する現況を分析する。
郡による実証サイトの衛生啓発活動計画を策定する。
1-4
1-5
2-1
2-2
2-3
2-4
2-5
2-6
3-1
3-2
学校衛生活動マニュアル・教材を利用し、実証サイトにお
いて学校衛生教育活動の実施体制を整備する。
実証サイトにおける衛生状況の改善度合いを調査する。
衛生教育、衛生啓発の衛生普及員への普及を支援し、モ
ニタリングを行う。
3-4
3-5
3-6
3-2
実証サイトで衛生啓発活動を担う衛生普及員を育成する。
郡職員を対象とした、給水施設の建設・リハビリ計画の審
査に関する研修を実施する。
1-3
1-2
給水事業体からの定期報告に基づく事業監督の仕組みを
つくる。
郡による給水事業体技術者の育成強化のための研修を実
施する。
1-1
活動
A-30
C/P に対するルワンダ国内または第三国研修実施
機材供与
* 給水施設維持管理用機材
* 衛生改善に関する地域活動支援に関する機材
現地活動費
専門家(8 名)
* チーフアドバイザー/キャパシティビルディング1
* 副チーフ/給水施設 2/キャパシティビルディング 2
* 給水施設
* 運営維持管理
* 衛生教育/IEC
* 組織運営強化
* 住民啓蒙/運営維持管理
* 給水施設管理/水質管理
<日本側>
投入
事務所用維持管理費用の提供
日本人専門家事務所提供
CP の研修への参加
CP の配置(12 名)
<ルワンダ国側>
-無償資金協力事業にて建設・
改修された給水施設の利用が
開始される。
-ルワンダ国内の政治安定、国
民融和が進められる。
前提条件
−住民の協力が得られる。
-プロジェクトにより能力向上を
図られた郡・セクテュール職
員など地方行政府の職員が、
継続的に勤務する。
外部条件
資4 プロジェクト評価
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
資-4 プロジェクト評価
4-1 中間評価
(1) 中間評価の目的
本技術協力プロジェクト期間の凡そ半分を終えた時点で、中間評価調査を実施し、プロジェク
トの投入実績、活動実績、計画達成度を調査した。また、評価 5 項目(妥当性、有効性、効率性、
インパクト、自立発展性)の観点からも検証が行われ、終了時までの対応方針等について提言さ
れた。
(2) 中間評価調査団員構成・日程
当該プロジェクトの「中間評価」は下記の団員構成で実施された。
表 A4-1-1 中間評価調査団員構成
担当
総括
村落給水
協力企画
評価分析
氏名
須藤 和男
地紙 広
松崎 晃昌
大橋 由紀
所属
JICA地球環境部 課題アドバイザ-
JICAアフリカ地域支援事務所 広域企画調査員
JICA地球環境部 水資源第二課
㈱インターワークス
2009 年 1 月 25 日から 2 月 12 日まで、JICA による当該プロジェクトの「中間評価」が下記の
日程で実施された。
表 A4-1-2 中間評価調査行程
月
日
曜日
行程
1月
25
26
27
日
月
火
28
水
29
木
30
金
31
1
2
3
土
日
月
火
4
5
水
木
6
金
7
8
9
10
11
12
土
日
月
火
水
木
中間評価ミッション(コンサルタント団員)キガリ着
JICAルワンダ事務所表敬、PURA-SANI専門家打合せ、MININFRA・PNEARインタビュー
ルワマガナ郡カウンターパート・インタビュー、実証サイト視察、対象セクトュール事務所・
MKM給水施設水利用組合関係者インタビュー、Mwulire 2初等学校視察・校長インタビュー、PURA-SANI
専門家インタビュー
カヨンザ郡カウンターパート・インタビュー、給水施設管理共同組合インタビュー、無償案件建設
給水施設視察、東部県次官インタビュー
東部県カウンターパート・インタビュー、ンゴマ郡カウンターパート・インタビュー、Murama
ハンドポンプ水利用組合関係者インタビュー、PURA-SANI専門家インタビュー
キレヘ郡カウンターパート・インタビュー、郡水利用組合関係者インタビュー、PURA-SANI専門
家インタビュー
資料整理
資料整理
PNEAR・ELECTROGAZ打合せ、中間評価ミッション(官団員2名)キガリ着
JICAルワンダ事務所表敬・打合せ、ミション団内打合せ、PURA-SANI専門家打合せ、中間評
価ミッション(官団員1名)キガリ着
世銀打合せ、MININFRA次官表敬、PNEAR打合せ、MKM施設視察・インタビュー
東部県次官表敬、ルワマガナ郡長表敬、カヨンザ郡協同組合打合せ・給水施設視察・インタビュ
ー
東部県知事表敬、ンゴマ郡長表敬・ムラマ・ハンドポンプ施設視察・インタビュー、キレヘ郡カウ
ターパート表敬・給水施設視察・インタビュー
合意議事録作成、報告書作成、団内・PURA-SANI専門家打合せ
合意議事録作成、報告書作成、団内・PURA-SANI専門家打合せ
報告書仕上げ、カヨンザ郡庁打合せ、東部県次官打合せ
MININFRA次官打合せ、JICAルワンダ事務所報告
第5回JCC開催、合意議事録署名
中間評価ミッション・キガリ発
2月
A-4-1
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(3) 評価結果
1) プロジェクトの投入実績
表 A4-1-3 投入実績
日本側
ルワンダ側
項目
日本人投入
ルワンダでの活動経費
機材調達
カウンターパート配置
専門家事務所提供
事務所用維持管理費用
投入実績
専門家4名派遣
2009年3月まで、合計US$2,600,000.2008年12月現在で、US$12,900.現在12名配置
仮ルワマガナ郡庁敷地内のコンテーナハウス
電気代、水道代等
2) 成果達成状況
成果
成果1
成果2
成果3







表 A4-1-4 成果達成
現段階の成果達成
給水事業関連調査の実施
行政支援マニュアルの検証
維持管理マニュアル・運営マニュアルの検証
プロジェクト第3年次のOJT活動の準備
衛生啓発活動の実施
実証サイト内の学校での衛生施設設置
プロジェクト第3年次の衛生啓発活動の準備
3) 活動状況
 プロジェクトの内容の変更
無償資金協力案件の遅延、民営化・地方分権化の進捗等プロジェクトの周辺状況の変化に
より第 2 年次活動開始前に、
プロジェクトのデザイン・活動がレビューされ、PDM が version
3.0 に改訂された。PDM version 3.0 に沿って、Plan of Operation (PO)も変更された。
 プロジェクトのモニタリング
プロジェクトの進捗は日本人専門家より行われ、JCC 会合を通してルワンダ側に報告され
た。また、日本専門家はプロジェクト活動の結果を JICA に月例報告していた。
 日本人専門家とカウターパートとのコミュニケーション
テクニカル・カウターパートとのコミュニケーションにつき、カウンターパートは多種の
業務担当でプロジェクトに十分な時間が取れなく、日本専門家は共同作業が困難な状態で
あった。
A-4-2
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
 プロジェクトの認識及びオーナシップ
本プロジェクトの愛称「PURA-SANI」は関係者で認識され親しまれてきたが、カウターパ
ート及び他関係者からプロジェクトの目的や活動について理解されていない例が見受けら
れた。地方給水事業運営に関する役割分担の不確実性により、郡・セクトゥール・給水事
業体等の関係者同士でプロジェクト活動に関する責任や役割が明確に定義されていなかっ
た。OJT を通した技術移転は第 3 年次から開始が予定されていたので、各関係者のプロジ
ェクトを通した給水事業運営に関する責任範囲及びオーナシップが期待されていた。
 テクニカル・カウターパートの参加
ユニット長である本プロジェクトのテクニカル・カウンターパートは多種役割に追われ多
忙でプロジェクトへの参加が困難な状況であった。ユニット長の下にインフラ担当者や保
健担当者が配置され、プロジェクト活動参加は可能であったが、彼らも同様に多種の担当
により十分な時間が取れない状況にあった。従い、第 3 年次予定の OJT 活動に十分に参加
できるかが懸念された。
4) 評価 5 項目
表 A4-1-5 評価結果
評価5項目
妥当性
有効性
効率性
インパクト
自立発展性
内容
プロジェクト目標及び上位目票
が先方政府や他ドナーの政策、
またカウターパートのニーズ・
優先内容に合致しているかを判
断する総合評価。
プロジェクト目標が達成される
かの指標。即ち、プロジェクト
目標の達成に成果がどの程度寄
与したか。
結果
以下の点で本プロジェクトは妥当性がある。

対象地域の給水率が低い

能力開発及び運営維持管理のニーズがある

ルワンダ国家政策と合致する

我が国援助政策と合致する
プロジェクト第3年次から開始予定の技術移転活
動による。
考慮すべき課題:

テクニカル・カウンターパートの参加

カヨンザ郡及びキレヘ郡に実証サイトがない
全体資源の投入に対してプロジ プロジェクト第3年次活動より成果が期待される。
ェクトの成果がプロジェクトに 投入のタイミング・質・量に係る課題:
どの程度寄与したかの指標。

カウターパートの参加

日本人専門家の知識活用
プロジェクトにより直接的また 上位目標の成果は現在で予想できない。
は間接的に生じた正・負の変化。 期待されないインパクトは把握されない。
プロジェクト完了後、プロジェ 特に以下の内容につき、自立発展性を考慮すべきで
クトで達成した正の変化がどの ある。
程度持続するかの総合評価。

政策・制度面

組織的・財務的面

技術的面等
A-4-3
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
5) 結論
本プロジェクトは給水事業運営の現状及び衛生啓発状況に関する種々の調査を実施し、無償資
金協力で作成されたマニュアル類を検証してきた。また、給水事業体の技術者に対し、給水施設
の維持管理に関する訓練を開始している。
しかし、テクニカル・カウターパートと日本人専門家との密接な協同作業の不足によりいくつ
かの成果が明確でない状態が生じている。また、プロジェクトのより効果的・効率的実施を達成
するために、情報交換の場として定期的な会合が必要である。これらの努力によりプロジェクト
終了時にプロジェクトの成功を期待することができる。
6) 提言
中間評価で以下の内容を提言した。
1. 日本人専門家とカウターパートとの親密なコミュニケーション及び共同活動
技術協力、カウターパート・他関係者と日本人専門家との協同作業であり、これを通してカ
ウターパートの能力が向上する。プロジェクト関連情報は常に共有し、プロジェクト関連の
問題や課題は協議し適切に対応することによりプロジェクトの効果的・効率的な実施が確保
される。従い、プロジェクト活動を進め、問題解決を協議する定期的打合せをより多く行う
必要がある。カウターパート・他関係者と日本人専門家は、より密接に作業し、東部県の現
地状況に適切な給水・衛生に関連する技術・知識を共有することが重要である。
2. 実証サイト2ヶ所の追加
本プロジェクトはルワマガナ、カヨンザ、ンゴマ及びキレヘの 4 郡を対象にしている。しか
し、カウターパート・他関係者と主な技術移転活動を実施し、活動の成果を各郡の他地域へ
拡大させる目的がある実証サイトは、ルワマガナ及びンゴマの 2 郡のみに設けている。本プロジ
ェクトの上位目標及びプロジェクトの重要性を勘案して、カヨンザ郡及びキレヘ郡にも実証
サイトを設ける必要がある。
3. PDM の改訂提案
当時現行の PDM version 3.0 のいくつかの指標、活動等の表現が、本プロジェクトの現状に不
適切と思われた。従い、カウターパート・他関係者に本プロジェクトの方向性を明確にする
ため、PDM の検証及び改訂が重要である。指標・活動等を見直し、必要な改良を行うことが
推薦された。
A-4-4
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
4-2 運営指導調査
(1) 運営指導調査の目的
本技術協力プロジェクトを終える時期に終了時評価の実施が予定され、その前に運営指導調査
を実施し、終了時評価に必要な情報の収集が目的であった。また、プロジェクト終了に至るまで
の行程整理と課題抽出・改善提案を行った。
(2) 運営指導調査団員構成・日程
当該プロジェクトの「運営指導調査」は下記の団員構成で実施された。
担当
総括
協力企画
調査分析
表 A4-2-1
氏名
村上 博
菊池 慎吾
市川 智子
運営指導調査団員構成
所属
JICAルワンダ事務所 所長
JICAルワンダ事務所 企画調査員
株式会社VSOC
2010 年 1 月 19 日から 2 月 5 日まで(18 日間)、JICA による当該プロジェクトの「運営指導調
査」が下記の日程で実施された。
表 A4-2-2 運営指導調査行程
月
1月
2月
日
19
20
21
22
23
24
25
曜日
火
水
木
金
土
日
月
26
火
27
水
28
木
29
金
30
31
1
2
3
4
5
土
日
月
火
水
木
金
行程
羽田-関空>ドバイ経由
ドバイ>ナイロビ経由>キガリ
JICAルワンダ事務所表敬、プロジェクト総括との打合せ、世銀訪問
MININFRA(PNEAR出向官)訪問、ルワマガナ郡へ移動、再委託NGO(COFORWA)と面談
資料整理、質問回答の集計・分析・検証、専門家との協議
資料整理、分析・検証、専門家との協議
東部県郡開発計画コーディネーターと面談、ルワマガナ郡実証サイト給水事業体長と面談、実証
サイト視察MKM(ルワマガナ郡)
、衛生教育対象学校長と面談Mwulire 2(ルワマガナ郡)
ルワマガナ郡保健担当官と面談、カヨンザ郡実証サイト給水事業体長と面談、実証サイト視察
Nyankora(カヨンザ郡)、カヨンザ郡インフラ担当官、衛生教育対象学校長と面談Nkondo 2
(カヨンザ郡)
キレヘ郡インフラ担当官・保健担当官と面談、キレヘ郡実証サイト給水事業体次長と面談、実証
サイト視察Gatore 2(キレヘ郡)、衛生教育対象学校長と面談Curazo(キレヘ郡)
ンゴマ郡実証サイト給水事業体長と面談、実証サイト視察Murama(ンゴマ郡)、衛生教育対象学校
長と面談Sakara(ンゴマ郡)
ルワマガナ郡インフラ担当官と面談、東部県次官と面談、ンゴマ郡インフラ担当官と面談、
MININFRA次官と面談
資料整理、質問回答の集計・分析・検証、専門家との協議(現地調査結果の共有)
資料整理、専門家との協議(分析・検証結果の共有)
(祭日) 専門家との協議(分析・検証結果の共有)
評価報告書作成、専門家との協議(調査結果の共有)
JICAルワンダ事務所へ報告、PNEAR長との面談
キガリ>ナイロビ>ドバイ経由
ドバイ>成田着
A-4-5
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(3) 運営指導調査への対応
1) 運営指導ミッションへの関係者面談実施支援
本プロジェクトの PDM に沿って、現段階までの活動、指標の達成状況を確認するため、実施
機関、プロジェクト・カウンターパート、実証サイト、衛生教育対象学校、関係機関等を訪問し、イ
ンタビューーを行った。次年度に予定している終了時評価の準備として資料を纏めた。
実証サイト共同組合とのインタビュー
対象学校校長とのインタビュー
実証サイト水利用組合とのインタビュー
実証サイト給水施設利用者とのインタビュー
図 A4-2-1 実証サイトでのインタビューー
また、運営指導ミッションの評価コンサルタントにより作成された質問票を MININFRA 、東部
県、対象 4 郡のカウンターパート及び実証サイトの給水事業体へプロジェクト側の支援として、配布
し、各者へ回答を依頼後、順次回収した。この結果は、運営指導ミッションの資料となった。
2) 終了時評価の準備
本プロジェクトの終了時評価は 2010 年 4 月に予定され、上記運営指導調査は本評価の準備でも
あった。
【世帯調査】
a)PDM モニタリング指標取得のためのサンプル世帯調査
プロジェクト対象地域の衛生行動・意識の現況を調査することを目的として、下記のサイトに
おいてプロジェクト・アシスタントによるサンプル世帯への質問票に基づくインタビュー調査を実施し
た。
A-4-6
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
表 A4-2-3 調査対象サイトおよびサンプル数
対象郡
ルワマガナ郡
ンゴマ郡
カヨンザ郡
キレヘ郡
給水スキーム
MKM
Murama
Nyankora
Gatore II
合計
サンプル世帯数
40
20
20
20
100
上記調査結果は、調査団において取りまとめられ、プロジェクトのモニタリングに資すること
を目的として評価コンサルタントにおいて検討されることとなっている。
b)PDM モニタリング指標取得のための郡庁職員、給水事業体、学校長への聞き取り調査
PDM の各指標を収集し、プロジェクトの成果達成度合いを確認することを目的として、プロジ
ェクト関係者への聞き取り調査を実施した。聞き取り対象者は、実証サイトを管轄する郡庁職員
(インフラ担当、保健衛生担当)及び、実証サイトの給水施設を管理する給水事業体の事業体長、
会計役、構成員、また HAMS 活動対象初等学校の学校長であった。各者への質問項目は下記の通
りであった。
郡庁職員
1. 郡内の給水事業体の財務状況を把握しているか。
把握している場合は、2008 年及び 2009 年における実証サイトの給水事業体の負債額は幾らか。
2. 改善された衛生行動を有する(または有さない)住民数について把握しているか。
把握している場合は、2008 年及び 2009 年における当該数値は幾らか。
3. 技術協力プロジェクト開始後に郡内で住民の衛生状況及び衛生行動で何らかの変化が観察されたか。
何らかの変化が観察されている場合、具体的に述べよ。
4. 郡内で実施されている衛生啓発活動実施回数を把握しているか。
把握している場合は、2007 年、2008 年、2009 年における実施回数は幾らか。
5. 郡内にスペアパーツ購入・流通システムが存在するか。
存在する場合は、当該システムが円滑かつ適切に機能しているか。
給水事業体
1. (事業体長及び会計役)2007 年及び 2008 年、2009 年の財務状況はどうだったか。
当該期間の負債額及び利益は幾らか。
2. (衛生普及員)技術協力プロジェクト開始後に、実証サイトにおける住民の衛生状況及び衛生行動に何らかの
変化が観察されたか。
何らかの変化が観察されている場合、具体的に述べよ。
3. (事業体長)裨益住民数を把握しているか。
把握している場合は、技術協力プロジェクト開始後に増加しているか。
具体的な裨益者数を把握している場合は、2007 年、2008 年、2009 年の数値
4. (技術者)給水施設維持管理時にプロジェクトにより作成された維持管理ガイドラインを使用しているか。
5. (会計役)維持管理マニュアル(会計編)を使用しているか。また、自身が適切に日常の会計処理を実施で
きていると考えるか。
6. (構成員)郡内でスペアパーツの購入・流通システムが存在しているか。
存在する場合は、当該システムが円滑かつ適切に機能しているか。
また、過去に利用した実績があるか。
学校長
1. 技術協力プロジェクト開始後に、生徒の衛生状況及び衛生行動に何らかの変化が観察されたか。
観察された場合、具体的に述べよ。
2. 学校で実施された衛生啓発活動の実施回数を把握しているか。
把握している場合、2007 年、2008 年、2009 年に何回実施されたか。
A-4-7
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
4-3 終了時評価
(1) 終了時評価の経緯
本技術協力プロジェクトは当初 2010 年 10 月に完了予定であったため、4 月~5 月に終了時評価
が実施された。本終了時評価は、①カウターパート機関からの情報収集及び協議、②プロジェク
ト専門家からの情報収集及び協議、③現地踏査による現状の把握及び対象地域の関係者からの情
報収集、等を通じてプロジェクトを評価 5 項目の観点から評価分析が行われた。
(2) 終了時評価調査団の団員構成・日程
当該プロジェクトの「終了時評価調査」は下記の団員構成で実施された。
担当
総括
地方給水計画
協力企画
評価分析
表 A4-3-1 終了時評価調査団員構成
氏名
所属
坂田章吉
JICA 地球環境部水資源防災担当次長
宇根雄二
JICA 国際協力専門員
佐藤隼人
JICA 地球環境部水資源・防災グループ、水資源第二課
嶋岡和美
株式会社グローバル・リンク・マネージメント
2010 年 4 月 26 日から 5 月 15 日までの内、最初の 9 日間を評価コンサルタント団員のみ、その
後 JICA 調査団が合流し、全体 20 日間、当該プロジェクトの「終了時評価調査」が下記の日程で
実施された。
表 A4-3-2 終了時評価調査日程
月日(曜日)
4 月 26 日(月)
4 月 27 日(火)
4 月 28 日(水)
4 月 29 日(木)
4 月 30 日(金)
5 月 1 日(土)
5 月 2 日(日)
5 月 3 日(月)
5 月 4 日(火)
5 月 5 日(水)
5 月 6 日(木)
5 月 7 日(金)
5 月 8 日(土)
5 月 9 日(日)
5 月 10 日(月)
5 月 11 日(火)
5 月 12 日(水)
5 月 13 日(木)
5 月 14 日(金)
5 月 15 日(土)
官団員
コンサルタント
東京発
キガリ着
JICA ルワンダ支所打合、MININFRA・PNEAR 打合、専門家打合
東部県・MKM 水利用組合・Mwulire2 初等学校面談
ルワマガナ郡・ンゴマ郡・Sakara 初等学校・Gatore2 水利用組
合・Murama 水利用組合面談
Curazo 初等学校面談、資料整理、報告書作成
報告書作成、専門家打合
ルワマガナ郡・Nkondo2 初等学校・キレヘ郡面談
カヨンザ郡面談、報告書作成
東京発
追加調査、報告書作成
キガリ着
AfDB・WB 打合せ、報告書作成
JICA ルワンダ事務所・大使館打合、専門家打合
実証サイト調査(キレヘ・ンゴマ・カヨンザ)、報告書作成
実証サイト調査(ルワマガナ)、報告書作成
報告書作成、JICA ルワンダ事務所・専門家打合
世銀・MININFRA 打合、専門家打合
4 郡カウターパートへの報告書案説明
JCC 会合
MININFRA・JICA ルワンダ事務所・大使館報告、専門家打合
帰国
A-4-8
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
(3) 終了時評価調査への応対
2010 年 1 月~2 月に、実施された「運営指導調査」の対応として、本プロジェクトの PDM に
沿って、現段階までの活動、指標の達成状況を確認するため、実施機関、プロジェクト・カウン
ターパート、実証サイト、衛生教育対象学校、関係機関等を訪問し、インタビューを行い、今回の終
了時評価の準備として資料を纏めた。また、運営指導調査の評価コンサルタントにより作成され
た質問票を MININFRA 、東部県、対象 4 郡のカウンターパート及び実証サイトの給水事業体へ配
布し、各関係者へ回答を依頼し順次回収した。
さらに、終了時評価のための情報収集を目的として下記の世帯調査を実施した。
PDM モニタリング指標取得のためのサンプル世帯調査
プロジェクト対象地域の衛生行動・意識の現況を調査することを目的として、実証 4 サイトに
おいてプロジェクト・アシスタントによるサンプル世帯への質問票に基づくインタビュー調査を
実施した。本調査結果は、専門家において取りまとめられ、プロジェクトのモニタリングに資す
ることを目的として評価コンサルタントにおいて検討された。
PDM モニタリング指標取得のための郡庁職員、給水事業体、学校長への聞き取り調査
PDM の各指標を収集し、プロジェクトの成果達成度合いを確認することを目的として、プロジ
ェクト関係者への聞き取り調査を実施した。聞き取り対象者は、実証サイトを管轄する郡庁職員
(インフラ担当、保健衛生担当)及び、実証サイトの給水施設を管理する給水事業体の事業体長、
会計役、構成員、また HAMS 活動対象初等学校の学校長であった。
上記の資料を参考に、今回の評価コンサルタントが終了時評価に利用した。また、終了時評価
ミッショインは、関係者との面談及び実証サイトの視察調査を行い、評価を進めた。
実証サイト給水事業体との面談
終了時評価ミッションの実証サイト視察
図 A4-3-1 終了時ミッション
(4) 終了時評価の結果
評価の結果は以下の通りとなった。
A-4-9
【PURA-SANI】プロジェクト事業完了報告書
プロジェクト目標
終了時評価時点では、部分的に達成している
成果
成果 1: プロジェクト終了時までは、概ね達成することが見込まれる
成果 2: 終了時評価時点では、プロジェクト終了時までに部分的に達成することが見込まれる
成果 3: プロジェクト終了時までは、概ね達成することが見込まれる
上位目標
プロジェクト終了時までに自立発展性が高まった場合、概ね達成することが見込まれる
評価 5 項目
妥当性:
極めて高い
有効性:
中程度に発揮されている
効率性:
ある程度発揮されている
インパクト:
正のインパクトが発揮している
自立発展性:
更なる強化が必要である
なお、終了時評価ミッションにより、2010 年 5 月 13 日にルワマガナで開催された第 8 回 JCC
会合でルワンダ側の関係者の参加のもと、上記の内容が発表され、その後、合意議事録が署名さ
れた。
終了時評価の結果により、プロジェクト終了に向けて、プロジェクト目標の達成度の向上を目指
し、以下の内容を促進する必要があると判断され、活動期間の延長が提案された。

スペアパーツ調達体制の整備

水質分析体制の整備

給水事業体の運営維持管理能力の強化

郡の(給水事業を担当する)インフラ担当官の監督能力の強化
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資5 R/D及び検討R/D
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