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水熱合成PZT厚膜の厚み振動発生を利用した センサデバイスおよび強力

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水熱合成PZT厚膜の厚み振動発生を利用した センサデバイスおよび強力
The Murata Science Foundation
水熱合成PZT厚膜の厚み振動発生を利用した
センサデバイスおよび強力超音波デバイスに関する研究
Thickness vibration mode sensor device and high intensity
transducer using hydrothermal PZT material
A31112
代表研究者
黒 澤 実
東京工業大学 大学院総合理工学研究科 助教授
Minoru Kuribayashi Kurosawa
Associate Professor, Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering,
Tokyo Institute of Technology
An ultrasonic transducer with MHz frequency range has been proposed using a hydrothermal PZT film. The hydrothermal method was used for a deposition technique of PZT crystals on a Ti substrate. At first, PZT nuclei were formed on a Ti substrate, and then, the crystals were grown up to target thickness. The resulting hydrothermal PZT film was about 45
µm thick.
In this study, the hydrothermal polycrystalline PZT thick film (HPTF-PZT) ultrasonic transducer was researched on the wide frequency band transmitting characteristics. The experimental results showed the HPF-PZT has the wide band frequency characteristics. From the
impulse response, the transducer indicated wide band frequency from 1 to 20 MHz within 20
dB deviation. The rectangular wave drive at 2MHz generated higher odd order harmonic
waves up to 11th order, namely, 22MHz wave. These results indicated that the fabricated
ultrasonic transducer has satisfactory wide band characteristics for MHz frequency range
ultrasonic transmitter.
高い周波数帯での超音波診断が求められてお
研究目的
り、十分な性能の得られる数十から数百MHz
数 10MHz 以上の帯域において医用診断な
帯域で動作する超音波振動子の実現が必要で
どの計測用に用いるのに十分な送受波感度を
ある。このためには、圧電素子の厚さが
有する超音波トランスデューサや、この周波
0.1mm 以下となるため、バルク材からの振動
数帯域での強力な超音波を発生できるトラン
子作製は非常に困難となる。
スデューサを実現する技術開発は、実用上お
科学実験の分野においては、超音波キャビ
よび科学実験の上で重要な研究テーマとなっ
テーションがもたらす、局所的な高温・高圧
ている。医用診断の分野においては、生体の
状態が様々な物理的および化学的反応をもた
より微細な構造変化を体外および体内から行
らす事が予想され事から、盛んに研究が進め
うことで、これまで以上に詳細な診断を行う
られている。しかし、この分野においても、
ことが求められている。しかし、このために
現在使われている数 MHz 帯域の超音波より、
は、空間分解能を上げるため、これまでより
より高い周波数の超音波が興味ある反応を引
─ 165 ─
Annual Report No.18 2004
き起こす事が期待されているが、適当な振動
た。SEM 観察により、水熱合成 PZT 多結晶
波源が無いことから、実際には高周波での実
膜は厚み方向に± 10µm 以上のばらつきがあ
験は行われていない。このような分野におい
ることが分かる。これは結晶成長と同時に結
ては、材料開発が重要であるが、これまでは
晶核形成も行われることで、個々の結晶の大
既存の材料の性能限界から、十分な研究開発
きさに差ができ、厚み方向にその影響が出た
が行われていないのが現状である。
ためと考えている。また、表面形状からは結
これまでの我々の研究でも、厚み振動に関
する検討は十分に行われておらず、厚み横振
晶と結晶の間に数 µm 以下の隙間が点在する
ことがわかる。
動のように、優れた性能を発揮できるかどう
現在までの実験から水熱合成PZT 多結晶膜
かは、未知である。また、厚み振動を発生す
はセラミックスと比べて弾性率が約30 %、密
るには、10 ミクロンから100 ミクロン程度の
度が約50 %であると推定している。そのよう
間の膜を成膜する必要があり、これまでの10
な材料特性値を示すのは、上記のようなポー
ミクロン程度の膜と比べると、反応速度の向
ラスな形状によるものと考えられる。このた
上など、プロセスの改良を行う必要がある。
め水熱合成PZT 多結晶膜は低音響インピーダ
とくに、厚い膜を安定に作製するためのプロ
ンス材料であると予想している。
セスの改良が必要と考えている。また、水熱
法による膜は、膜の表面状態および結晶の生
2.試作デバイスと評価システム
成のばらつきなどが多いことから、プロセス
振動子は、幅 12mm × 12mm、厚み 50µm
への新しい手法の導入などによる膜質の改善
のTi 基板上に約45µm のPZT 多結晶を成膜し、
も、さらなる性能の向上に貢献するものと考
その表面に 8mm × 8mm の寸法で金を蒸着し
えられる。
たものである。水熱合成法の特徴から分極処
本研究では、これまで検討してきた水熱合
理は行わず、Ti 基板を対極として用い、超音
成法によるPZT 膜を用いた厚み振動トランス
波トランスデューサとしての動作確認を行っ
デューサに関して、周波数特性および発生音
た。作製した水熱合成PZT 多結晶膜トランス
圧について検討を行った。
デューサを水中にて動作させ、超音波の放射
を試みた。Ti 基板と金電極を同軸ケーブルに
概 要
接続し、振動子を水中に浸した。
1.水熱合成プロセス
水熱合成法により Ti 基板上に PZT 多結晶
3.周波数特性
核を形成し、その核を結晶成長させることで
振動子の駆動には、周波数1 ∼20MHz を10
約45µm のPZT 多結晶膜を得た。本研究で提
波の信号をアンプで増幅した電圧を印加した。
案した多機能型オートクレーブを用いると結
振動子に印加された電圧は20MHz の時25V p-p
晶成長が速くなることに注目し、出発原料と
であった。1MHz から20MHz に渡る周波数帯
してTiO 2 を用いた水熱合成を行った。ルチル
域で、超音波の送信が可能であり、ほぼフラッ
型TiO 2 結晶99.0 %を使用し、合成中はFixing-
トな特性が得られた。音圧のピークは
Stirrer を245rpm で回転させた。
19.8MHz で65kPa であった。
合成には上述したプロセスを20 回繰り返し
─ 166 ─
駆動周波数 19.6MHz で 1 波の送信を行っ
The Murata Science Foundation
た。トランスデューサから送信された超音波
現在までに水熱合成PZT 多結晶膜を用いた
は1 波に近いパルス状であり、±10dB の範囲
実験ではMHz 帯の超音波受信と振動変位の測
で1 ∼20MHz までの周波数成分を含んでいた。
定を行ってきたが、今回はその基礎的検討と
して厚み 45µm の水熱合成 PZT 膜を用意し、
4.高調波成分を含む送波実験
水中にてMHz 帯での超音波送信実験を行い、
駆動周波数を2MHz の矩形波として、10 波
MHz 帯において広帯域特性を有することを見
の送信を行った。波形は立ち上がり、立ち下
出した。その広帯域特性を利用し、1 ∼20MHz
がり共に切り立っており、基本周波数と
において複数の周波数成分を含む超音波送信
3,5,7,9,11 次高調波で構成されていた。信号
実験を行った。周波数19.6MHz で1 波駆動を
波形に比べて送信された超音波の波形では11
した時の送信波形は、± 10dB の範囲で 1 ∼
次高調波までが励振されていた。
20MHz までの周波数成分を含み、また周波数
2MHz で10 波の矩形波で駆動をした時、11 次
5.まとめ
高調波までを含む超音波の送信が可能である
水熱合成PZT 多結晶膜による超音波トラン
ことが分かった。
スデューサの広帯域な特性を利用して、周波
数1 ∼20MHz において複数の周波数成分を含
2.水熱合成PZT 多結晶膜
む超音波送信が可能であることを示した。こ
水熱合成法によりTi 基板上にPZT 多結晶核
のような広帯域特性になる理由は水熱合成
を形成し、その核を結晶成長させることで約
PZT 結晶間に点在するポーラスな形状により
45µm の PZT 多結晶膜を得た。合成は既に提
低音響インピーダンス材料であるためという
案 5-7)したプロセスを20 回線り返した。得ら
材料特性ともう一つには水熱合成PZT 多結晶
れた結晶の表面と断面のSEM 像をFig. 1 に示
膜が厚み方向に± 10µm 以上のばらつきがあ
す。SEM 観察により、水熱合成PZT 多結晶膜
るという構造的な特徴を有するためと考えて
いる。また、現状ではそれほど高い音圧を発
生したデータは得られていないが、強力な音
場を発生できる可能性も得られており、さら
に追試を行う必要がある。
本 文
1.はじめに
最近、センサやアクチュエータの作製に水
熱合成法による Pb(Ti,Zr)O 3 (PZT)等の圧
電性結晶膜を用いた例 1-4)がいくつか報告さ
れ、その有効性が示されている。我々もプロ
セスの提案 5)を行うと同時に水熱合成法の特
徴を活かした医療用超音波トランスデューサ
Fig. 1 SEM photographs of surface and thickness of
への検討 6)7)を行っている。
hydrothermal PZT thick films.
─ 167 ─
Annual Report No.18 2004
は厚み方向に± 10µm 以上のばらつきがある
板上に約 45µm の PZT 多結晶を成膜し、その
ことが分かる。これは結晶成長と同時に結晶
表面に 8mm × 8mm の寸法で金を蒸着したも
核形成も行われることで、個々の結晶の大き
のである。Ti 基板と金電極を同軸ケーブルに
さに差ができ、厚み方向にその影響が出たた
接続し、振動子を水中に浸した。
めと考えている。また、表面形状からは結晶
振動子から30mm 離れた場所にハイドロフ
と結晶の間に数 µm 以下の隙間が点在するこ
ォン(MHA500A)を固定した。使用したハ
とがわかる。
イドロフォンは1 ∼20MHz で感度校正済みで
現在までの実験から水熱合成PZT 多結晶膜
ある。振動子の駆動には、周波数1 ∼20MHz
はセラミックスと比べて弾性率が約30 %、密
を 10 波の信号をアンプ(ENI A300, 55dB)
度が約50 %であると推定している。そのよう
で増幅した電圧を印加した。振動子に印加さ
な材料特性値を示すのは、上記のようなポー
れる電圧は20MHz の時25V P-P であった。
ラスな形状によるものと考えられる。このた
め水熱合成PZT 多結晶膜は低音響インピーダ
4.周波数応答実験の結果
水熱合成PZT 多結晶膜からの超音波放射を
ンス材料であると予想している。
次に得られた結晶の表面に金を真空蒸着し
ハイドロフォンで受信した波形をFig. 3 に示
た。水熱合成法の特徴から分極処理は行わ
す。送信から約20µs 後(距離30mm)に音波
ず、Ti 基板を対極として用い、超音波トラン
を検出した。この検出電圧から送信された超
スデューサとしての動作確認を行った。
音波の音圧を求めた。送信周波数と音圧の関
係をFig. 4 に示す。1MHz から20MHz に渡る
3.周波数応答実験
周波数帯域で、超音波の送信が可能であり、
作製した水熱合成PZT 多結晶膜トランスデ
ューサを水中にて動作させ、超音波の放射を
ほぼフラットな特性が得られた。音圧のピー
クは19.8MHz で65kPa であった。
試みた。測定システムをFig. 2 に示す。振動
子は、幅 12mm × 12mm、厚み 50µm の Ti 基
5.インパルスおよび高調波駆動実験
水熱合成法により、幅 12mm × 12mm、厚
み 50µm の Ti 基板上に約 45µm の PZT 多結晶
膜を形成した。その表面に 8mm × 8mm の寸
Fig. 2 Schematic diagram of the hydrothermal poly crystalline PZT thick film transducer and measurement
Fig. 3 Time domain wave form at 20MHz
system for ultrasonic wave transmitting.
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The Murata Science Foundation
法で金を蒸着した。水熱合成法の特徴から分
放射された超音波の受信に用いたハイドロ
極処理は行わず、Ti 基板を対極として用い、
フォンは 1 ∼ 20MHz で感度校正済みである。
超音波トランスデューサとした。
受信電圧の増幅にはパルサーレシーバ(40dB)
そのトランスデューサを水中に浸し、
30mm 離れた場所に音圧測定用のハイドロフ
を用い、ハイパスフィルターは1MHz、ロー
パスフィルターは20MHz とした。
ォン(MHA500A)を固定した。作製したト
周波数19.6MHz の1 波で駆動し、ハイドロ
ランスデューサと音圧測定用実験システムを
フォンで受信した時の波形を Fig. 5 に示す。
Fig. 2 に示す。
送信から約20µs 後(距離30mm)に音波を検
トランスデューサの駆動には、ファンクショ
出していることが分かる。
ンジェネレータからの信号をアンプ(ENIA300,
55dB)で増幅した電圧を印加した。駆動に用
6.インパルスおよび高調波駆動実験結果
いた信号は周波数19.6MHz の矩形波を1 波と
水熱合成PZT 多結晶膜トランスデューサに
2MHz の矩形波を10 波である。トランスデュ
よる超音波の送信を、ハイドロフォンで受信
ーサに印加される電圧は 19.6MHz の時、約
した。
25VP-P であり、2MHzの時、約130VP-P であった。
駆動周波数19.6MHz で1 波の送信を行った
時の受信波形とその周波数成分をFig. 6 に示
す。トランスデューサから送信された超音波
は1 波に近いパルス状であり、±10dB の範囲
で1 ∼20MHz までの周波数成分を含んでいる。
次に駆動周波数2MHz で10 波の送信を行っ
た。この時の元となる信号波形と周波数成分
をFig. 7 に示す。信号は基本周波数と3,5,7,9
次高調波で構成されていることが分かる。次
にトランスデューサから送信された超音波の
Fig. 4 Sound pressure level from 1 MHz to 20 MHz by
受信波形と周波数成分をFig. 8 に示す。波形
thickness vibration of the hydrothermal PZT film.
Fig. 5 Obtained time waveform of the propagation of ultra-
Fig. 6 Obtained time waveform (a) and frequency spec-
sonic wave transmitting in water using the
trum (b) from transmitted ultrasonic wave at single-
hydrothermal poly crystalline PZT thick film trans-
cycle 19.6MHz using the hydrothermal poly crys-
ducer.
talline PZT thick film transducer.
─ 169 ─
Annual Report No.18 2004
は立ち上がり、立ち下がり共に切り立ってお
とを示した。このような広帯域な特性はトラ
り、基本周波数と 3,5,7,9,11 次高調波で構成
ンスデューサに用いた多結晶膜が低音響イン
されていることが分かった。信号波形に比べ
ピーダンス材料であるという推測を裏付ける
て送信された超音波の波形では11 次高調波ま
ものと考えられる。
で含まれる事と、5 次高調波である10MHz で
最 大 音 圧 は周 波 数 1 9 . 8 M H z 、 印 加 電 圧
25V P-P のとき65kPa であった。更なる音圧の
の振幅が励振されている事が分かった。
増加は印加電圧を増加させることで可能であ
7.まとめ
る。現在までに振動子からの距離 30mm、周
水熱合成法を用いて厚み約 45µm の水熱合
成PZT 多結晶膜によるトランスデューサを作
波数19.8MHz、印加電圧50V P-P 時に78kPa ま
での音圧を確認している。
製した。この素子は周波数帯域1 ∼20MHz に
水熱合成PZT 多結晶膜による超音波トラン
おいて± 20dB で超音波送波が可能であるこ
スデューサの広帯域な特性を利用して、周波
数1 ∼20MHz において複数の周波数成分を含
む超音波送信が可能であることを示した。
このような広帯域特性になる理由は水熱合
成PZT 結晶間に点在するポーラスな形状によ
り低音響インピーダンス材料であるためとい
う材料特性ともう一つには水熱合成PZT 多結
晶膜が厚み方向に± 10µm 以上のばらつきが
あるという構造的な特徴 8)を有するためと考
えている。
今後の課題は超音波トランスデューサとし
Fig. 7 Used signal waveform (a) and frequency spectrum
(b) of 10 rectangular waves at 2MHz by function
ての高出力化を図るため、セラミックス材料
の30 %程度にとどまっている低い圧電定数を
generator for ultrasonic wave transmitting.
改善することである。
参考文献
[1]Y. Ohba, M. Miyauchi, T. Tsurumi and M.
Daimon: Jpn. J. Appl. Phys. Vol.32, Part 1,
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pp.1091-1092, Sep.2003.
本助成金による主な発表論文、著書名
[6]桂, 竹内, 石河, 黒澤, : 日本音響学会講演論文
1) Mutsuo Ishikawa, Minoru Kuribayashi Kuro-
集, pp.1078-1079, Sep.2003.
sawa, Naoki Katsura, Shinichi Takeuchi, "PZT
[7]石河, 黒澤, 竹内: 日本音響学会講演論文集,
Thick Films Deposited by Improved
Sep.2004.
Hydrothermal Method for Thickness Mode
[8]K. Yamada, J. Sakamura and K. Nakamura:
Ultrasonic Transducer", 2003 Materials
Jpn. J. Appl. Phys. Vol.38, No. 5B, pp. 3204-
Research Society Fall Meeting C, Boston,
3207, 1999.
(2003).
2) 石河睦生,竹内真一,黒澤 実,「酸化チタン
を用いた水熱合成法によるPZT 膜の作製と振
今後の研究の見通し
動特性に関する検討」,2003 年日本音響学会秋
季発表会講演論文集,(2003.9)
.
PZT 膜の厚み振動を用いることで、MHz 帯
での水中への広帯域な超音波放射が可能であ
3) 石河睦生,竹内真一,黒澤 実,「水熱合成法
PZT 多結晶膜の厚膜化に関する検討」
,2003 年
ることを示した。今後は、より広帯域・高周
度材料技術研究協会討論会,東京理科大
波パルス波の放射が可能であるかという観点
と、より強力な波動の励振が可能であるかど
(2003)
.
4) 石河睦生,桂 尚樹,竹内真一,黒澤 実,
「酸化チタンを用いた水熱合成法によるPZT 膜
うかという観点で研究を進める必要がある。
の作製と振動特性に関する検討」
,第24 回超音
医用超音波プローブへの応用面から求めら
波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシン
れる広帯域化の観点から考えると、20MHz を
超える周波数帯での超音波放射が行われてい
ポジウム,pp. 155-156, (2003.11).
5) 石河睦生,竹内真一,黒澤 実,「水熱合成法
るかどうかを測定する必要がある。そのため
PZT 結晶膜トランスデューサの水中における振
に、100MHz までの広帯域ハイドロフォンを
動特性の評価」,2004 年日本音響学会春季発表
導入して、計測を行うとともに、広帯域化を
会講演論文集,(2004.3)
.
6) Mutsuo Ishikawa, Akito Endo, Shinichi
実現する超音波プローブのデザインに関する
Takeuchi, Minoru Kurosawa, "Wide Frequen-
検討を行う。また、実用上はアレイ化を行う
cy Band and High Intensity Thickness Vibra-
必要があるので、そのための研究も行う。
tion of Hydrothermal Lead Zirconate Titanate
Polycrystalline Film" 2004 IEEE International
強力な超音波を水中へ放射するには、未だ
Ultrasonics Ferroelectrics, and Frequency
十分な音圧が得られているとは言えない。こ
Control 50 th Anniversary Joint Conference,
れまでの実験で、黙視によりアコースティッ
Palais des Congres de Montreal, Canada
(2004) (to be published).
クストリーミングが発生していることが確認
されているが、膜質のばらつきのために、再
7) 石河睦生,竹内真一,黒澤 実,「水熱合成法
PZT 結晶膜トランスデューサの20MHz での送
現性に問題があり、データの取得には至って
波特性」,2004 年日本音響学会秋季発表会講演
いない。成膜プロセスの安定化などにより、
より高品位な素子を作成して、さらに実験を
論文集,pp. 1197-1198,琉球大学(2004)
.
8) 石河睦生,遠藤聡人,竹内真一,黒澤 実,
行う必要がある。また、今回は機材の調達の
問題で十分に行えなかったが、成膜プロセス
の改良も大きな課題である。
「水熱合成PZT 多結晶膜を用いた1-20MHz 帯超
音波トランスデューサ」,第25 回超音波エレク
トロニクスの基礎と応用に関するシンポジウ
ム,北海道大学(2004.10.27-29)
.
─ 171 ─
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